千歌「ダイヤさんダイヤさん!月が綺麗だよ!!」【SS】

ちか夢夜空 SS


1: 2020/10/31(土) 23:03:29.82 ID:5qHduD3d
ダイヤ「……」

月が変わって10月になりました。
私の目の前には満月を見て綺麗だとほんの少し力が入った口調で話す千歌さん。
お出かけの帰り、月明かりと遠く離れた街灯と貴女の笑顔が夜を照らします。

さて、私の正解はどちらでしょうか。

千歌「ダイヤさん?ほらほら!」

千歌「月が綺麗!」

無邪気に笑う貴女。
たとえ不正解だとしても……。

ダイヤ「そうですね」

ダイヤ「……死んでもいい……」

ダイヤ「わっ……!」

2: 2020/10/31(土) 23:03:51.26 ID:5qHduD3d
ダイヤ「いったぁ」

千歌「なんでそんなこと言うの!」

千歌「私ダイヤさんが死んだら嫌だよ!」

千歌「私だけじゃない!みんなダイヤちゃんに生きて欲しいよ!」

千歌「何かあるなら私が守ってあげるから!」

ダイヤ「あ……その……そういうわけでは……」

ダイヤ「別に死にたいなんて思ってません」

3: 2020/10/31(土) 23:04:08.79 ID:5qHduD3d
ダイヤ「私だって今とても幸せですわ」

ダイヤ「今のはそうですね……」

ダイヤ「それぐらい綺麗だということです……」

あぁ……不正解だったようです。
きつく抱きつく貴女が潤んだ瞳で発した言葉に喜びと悲しみが同時に押し寄せてきます。
私の初恋はこれで終わり。
きっと衝突から始まった私達が結ばれることはあり得ないことだったのでしょう。

4: 2020/10/31(土) 23:04:34.67 ID:5qHduD3d
――

ダイヤ「…………」

鞠莉「Hey!ダイヤー!」

鞠莉「この前の千歌っちとのデートはどうだったの?」

果南「ちょ!鞠莉!」

ダイヤ「鞠莉さん、おはようございます」

鞠莉「あ、えーっと、おはよ」

果南「朝からずっとこんな調子」

鞠莉「それは困ったわね」

5: 2020/10/31(土) 23:04:56.00 ID:5qHduD3d
鞠莉「そもそも絶対に失敗なんてあり得ないはずじゃないの?」ヒソヒソ

果南「そのはずなんだけど……」ヒソヒソ

果南「あとで梨子ちゃん達にも話聞いてみようか」ヒソヒソ

鞠莉「そうね、それならこちらも情報収集と……」

ダイヤ「お二人でコソコソ内緒話ですか?」

ダイヤ「私も混ぜて頂きたいものですわ」

鞠莉「だ、ダイヤ!」

果南「よし!単刀直入に聞くよ!」

果南「何があったの?」

ダイヤ「別に何もありませんわ」

鞠莉「私達の中でsecretは厳禁よ」

6: 2020/10/31(土) 23:05:23.56 ID:5qHduD3d
ダイヤ「私が選択を間違ったというか、早まったというか」

ダイヤ「勘違いで悲しませたというか……」

鞠莉「ふむふむ」

果南「つまり?」

ダイヤ「かくかくしかじか……というわけでして……」

果南「いやー、それは……」

鞠莉「逆にお見事ね」

果南「さすがの千歌でも……いや……どうかなぁ」

7: 2020/10/31(土) 23:05:41.09 ID:5qHduD3d
鞠莉「まぁ、知らなくてもおかしくはないと思うけど……」

ダイヤ「なんですかお二人して……」

果南「まぁ、別にダメだったわけじゃないんだしさ、元気だしなよ」

鞠莉「そうそう!逆にそこまで心配してくれているんだから心配しなくてもall OKよ!」

ダイヤ「そうでしょうか……」

果南「そうだ!そんなダイヤにいいお知らせがあるよ!」

果南「それはね……」

8: 2020/10/31(土) 23:06:08.83 ID:5qHduD3d
――

千歌「ブルームーン?」

千歌「何それ?月が青くなるの?」

梨子「青くはならないと思うけど……」

梨子「ひと月の中で2回満月がある内の2回目がそう呼ばれるんだって」

千歌「ふーん」

千歌「でも、私もう月には頼れないよ……」

千歌「あんなに盛大に失敗したのに」

曜「まぁまぁ千歌ちゃんそう言わずにさ」

曜「今回のブルームーンはハロウィンの日らしいよ」

9: 2020/10/31(土) 23:06:30.67 ID:5qHduD3d
曜「なんだかロマンチックじゃない?」

千歌「むむむ……」

曜「私がとびっきりの衣装作ってあげるよ!!」

梨子「それは曜ちゃんが見たいだけじゃ……」

曜「WIN-WINの関係だよ!」

梨子「まぁ確かに……」

千歌「でも……でもだよ?」

千歌「おんなじこと言うのちょっと恥ずかしいと言うか……」

10: 2020/10/31(土) 23:06:58.32 ID:5qHduD3d
千歌「そもそも私が知ってることダイヤさんが知らないわけないでしょ?」

千歌「それをスルーされたってことはさ……」

曜「千歌ちゃん大丈夫!大丈夫だから!!」

千歌「でもぉ……曜ちゃんその自信はどこから……」

梨子「千歌ちゃん」

千歌「梨子ちゃん?」

梨子「大丈夫よ!」

千歌「もぉー!二人してー!」

11: 2020/10/31(土) 23:07:50.05 ID:5qHduD3d
梨子「うーん……どうする?」

曜「別に教えてあげてもいいんじゃない?」

千歌「なになに!なんの話?」

梨子「そうね、千歌ちゃんはその言葉について調べたの?」

千歌「それぐらい調べなくても知ってるよ!」

千歌「あれでしょ?昔のお札の偉い人の言葉でしょ?」

曜「なるほど」

12: 2020/10/31(土) 23:08:36.18 ID:5qHduD3d
千歌「何がなるほどなの?」

梨子「はい」

千歌「スマホ?」

千歌「ふむふむ……」

千歌「ふむ……ふむ!?」

千歌「ほぇ?」

曜「すごい、人の顔が赤くなるのこんなにはっきり見たの初めてかも」

梨子「分かった?そういうこと」

千歌「ぁ……ぇ、えっと……」

13: 2020/10/31(土) 23:09:10.61 ID:5qHduD3d
梨子「事前に調べてたらねぇ」

千歌「わ、私三年生の教室にっ……ぐえっ」

梨子「もう授業始まるから」

千歌「うぅ……」

曜「でも、今回はすれ違いも良かったかもね」

千歌「どうして?」

曜「ロマンチックな夜があるからだよ」

14: 2020/10/31(土) 23:09:31.95 ID:5qHduD3d
千歌「曜ちゃんなんだかキラキラしてる」

梨子「多分コスプレのことしか考えてないわね」

曜「そんなことないってばぁ!」

梨子「でも、私も素敵だと思うな」

梨子「次のブルームーンは3年後、今のままだったらずっと一緒なんて叶いっこない願いだもの」

梨子「なんだかすごく良いタイミングだと思わない?」

千歌「うん……このままだったら、きっと側にいられない」

千歌「今の関係のまま終わらせたくない」

15: 2020/10/31(土) 23:10:03.66 ID:5qHduD3d
――

千歌「ダイヤさーん!!」

ダイヤ「千歌さん!」

千歌「えへへ、一緒にお昼食べよう!」

ダイヤ「えぇ、もちろんですわ!」

果南「ねぇ、あれまだなんだよね」

梨子「はい、まだです」

鞠莉「まぁ、お互い暗いままよりはいいんじゃないかしら」

曜「でも、あれからずっとこの調子だけど……」

16: 2020/10/31(土) 23:10:59.50 ID:5qHduD3d
果南「ダイヤはハロウィンまで待つんだって」

梨子「千歌ちゃんもそうみたい」

鞠莉「それにしても果南よくブルームーンなんて知ってたわね」

果南「え?それはーほら!天体観測とか好きだし」

曜「そういえば、梨子ちゃんも教えてくれたよね!」

梨子「え?私?私は……ニュースで見たのよ」

鞠莉「そう、ハロウィンパーティは果南と梨子も誘おうかと思っていたけれど……」

鞠莉「二人だけでハロウィン楽しみましょうか、曜」

曜「え?うん!」

17: 2020/10/31(土) 23:11:51.62 ID:5qHduD3d
曜「鞠莉ちゃんどんな衣装がいい?」

鞠莉「曜が作ってくれるものならなんでも嬉しいわ」

鞠莉「でも……お揃いとかもいいかもね」

曜「うん!分かった!」

果南「あのー……行っちゃった」

梨子「……いいんじゃないですか?」

果南「へ?」

梨子「それとも……果南ちゃんは私と二人じゃ……いや?」

果南「あ……っと……ううん、嬉しい……かな」

梨子「そう?良かった!」

18: 2020/10/31(土) 23:12:20.75 ID:5qHduD3d




千歌「それでね?……あ、もうこんな時間!」

千歌「教室戻らなきゃ!」

ダイヤ「そうですね、惜しいですが……仕方ありません」

千歌「うん、またねダイヤさん」

千歌「おーい!曜ちゃん梨子ちゃんー帰ろー?」

千歌「あれ?いない」

ダイヤ「そういえば果南さんも鞠莉さんもいませんわね」

千歌「勝手にどっか行っちゃって困った同級生だね!」

ダイヤ「ふふ、そうですわね」

19: 2020/10/31(土) 23:13:06.57 ID:5qHduD3d
ダイヤ「でも……そのおかげで千歌さんと二人きりの空間にいれたのですね」

千歌「……ん、そ、そうだね」

ダイヤ「では、戻りましょうか?」

千歌「……」

ダイヤ「ん?どうしたのですか?急に手をつかんで」

千歌「あの!あのね?」

千歌「私ね……」

ダイヤ「……千歌さん」

千歌「……えっと、袖に糸くずついてたから……」

千歌「ごめんね、急に」

ダイヤ「……いえ」

20: 2020/10/31(土) 23:13:09.80 ID:IjDqajHO
ダイちかは聖典

21: 2020/10/31(土) 23:14:00.22 ID:5qHduD3d
千歌「……ダイヤさん?」

千歌「糸……手……とらないの……?」

ダイヤ「千歌さん……」

~♪

ダイヤ「チャイム!」

千歌「わ!急いで戻らなきゃ!」

千歌「ダイヤさんお話大丈夫?」

ダイヤ「いえ、ハロウィン楽しみにしてますね」

千歌「うん!」

22: 2020/10/31(土) 23:14:26.48 ID:5qHduD3d
――

千歌「おじゃましまーす」

ダイヤ「いらっしゃいませ」

千歌「あれ?ルビィちゃんは?」

ダイヤ「善子さんのお家でハロウィンパーティするそうですわ」

千歌「ふーん」

ダイヤ「ハメを外しすぎないか少し心配ですが」

ダイヤ「花丸さんもいますし、善子さんも根は真面目ですから大丈夫でしょう」

千歌「さすがダイヤさんよく見てるね」

ダイヤ「私はお茶を用意してきますので、くつろいでいてください」

千歌「はーい!」

23: 2020/10/31(土) 23:15:22.52 ID:5qHduD3d




ダイヤ「お待たせしました」

千歌「ダイヤさん!」

千歌「とりっく! おあ とりーと!」

ダイヤ「……あら、可愛らしいワンちゃんですわね」

千歌「もう!犬じゃないもん!狼だよ!!」

千歌「がおー!食べちゃうぞ!!」

かわいい。
すごくかわいい。

ダイヤ「……かわいい」

千歌「へ?」

24: 2020/10/31(土) 23:16:00.84 ID:5qHduD3d
ダイヤ「あ、その、よく似合っていらっしゃいますわ」

千歌「う、うん、ありがと」

千歌「曜ちゃんに作ってもらったんだ」

ダイヤ「さすが曜さんですわ」

ダイヤ「千歌さんによく似合う衣装を……」

千歌「ダイヤさん……そんなじっくり見られると恥ずかしい……」

ダイヤ「あ」

ダイヤ「ゴホン……失礼しました」

25: 2020/10/31(土) 23:16:23.44 ID:5qHduD3d
ダイヤ「それで、みかんどら焼きをご用意してますので、一緒に食べましょう?」

千歌「わぁ!いいの?」

ダイヤ「お菓子をあげないとイタズラされてしまうんでしょう?」

ダイヤ「それから、みかんもあるのでご自由に」

千歌「ダイヤさん!ありがとう!!」

気のせいでしょうか。
千歌さんの尻尾がすごく動いているように見えるのは。
その嬉しそうな笑顔からそう錯覚してしまうのでしょう。

26: 2020/10/31(土) 23:16:56.98 ID:5qHduD3d
千歌「あ!ほら!ダイヤさんもダイヤさんも!」

ダイヤ「はい?」

千歌「ほら!言って?」

ダイヤ「あぁ……Trick or Treat」

千歌「はい!プリン!」

ダイヤ「千歌さん!ありがとうございます!」

ダイヤ「それでは……いただきます」

千歌「いただきまーす!」

27: 2020/10/31(土) 23:17:20.77 ID:5qHduD3d




千歌「うへへ……ダイヤさーん!」

ダイヤ「笑い方が気持ち悪いですわよ」

千歌「ガーン!」

千歌「でもでも、なんだか幸せだなーって」

ダイヤ「そうですか……それは私もですわ」

千歌「やっぱり、ダイヤさん綺麗」

ダイヤ「ありがとうございます」

千歌「中々見ない角度だし余計そう思うのかも」

千歌「どこから見ても綺麗」

28: 2020/10/31(土) 23:17:46.16 ID:5qHduD3d
ダイヤ「千歌さんも可愛らしいですよ」

千歌「……ありがと」

ダイヤ「おやつ食べて、膝枕でゴロゴロしちゃうワンちゃんみたいで可愛らしいですよ」

千歌「もう!ダイヤさん!」

ダイヤ「ふふ、失礼致しました。」

ダイヤ「でも、かわいいのは本音ですよ」

千歌「もぅ……」

ダイヤ「そうだ、少しお散歩でも行きませんか?」

千歌「それ……犬だからってこと……?」

ダイヤ「違いますわ、千歌さんとお散歩にね」

ダイヤ「せっかくの満月ですから」

千歌「……うん!」

29: 2020/10/31(土) 23:18:14.17 ID:5qHduD3d
――

千歌「お待たせー!」

ダイヤ「いえ、大丈夫……耳だけつけたままになってますが……」

千歌「せっかくだからつけたまま行こうかなぁって!」

千歌「ハロウィンだし!狼さんは満月でパワーアップするんだよ!」

ダイヤ「パワーアップしたらどうなるのですか?」

千歌「うーん、ダイヤさんのこと食べちゃうぞー!」

ダイヤ「はじめと変わってないじゃないですか」

千歌「ダイヤさんの意地悪!」

ダイヤ「ふふ、すみません」

30: 2020/10/31(土) 23:18:54.63 ID:moYfVN5u
从c*・ヮ・§

31: 2020/10/31(土) 23:19:24.63 ID:5qHduD3d
ダイヤ「のんびり月でも見ながら歩きましょうか?」

千歌「うん!」

ダイヤ「手、どうぞ」

千歌「ん?」

ダイヤ「狼さんはパワーアップしてしまうので、急に駆け出していっては困るでしょう」

千歌「うん……」ギュ

ダイヤ「千歌さん、改めてありがとうございました」

千歌「なんのこと?」

ダイヤ「今までの全てにです」

32: 2020/10/31(土) 23:20:15.17 ID:5qHduD3d
ダイヤ「出会った当初は衝突ばかりで、こんな風に隣を歩くことはあり得ないと思っていました」

千歌「……」

ダイヤ「今日のブルームーンはあり得ないことだったり、非常に珍しいことといった意味もあるらしいです」

ダイヤ「ですが、今日の月を実際に見られているのも、千歌さんの隣を歩けるのもあり得ないことではなかった」

千歌「ダイヤさん……」

千歌「ブルームーンを見ると幸せになれるんだって」

千歌「だから……一緒にこの月を見てるダイヤさんとずっとずっと幸せでいたいなって」

千歌「これからも一緒に側を歩けたらって思うの」

33: 2020/10/31(土) 23:22:46.30 ID:5qHduD3d
千歌「ねぇダイヤさん……月が……」

千歌「月が綺麗だよ」

ダイヤ「……そうですね、とても綺麗です」

ダイヤ「今なら手を伸ばせば届くかもしれませんね」

ダイヤ「……ですが」

千歌「……」

ダイヤ「今日は一年で一番小さいマイクロムーンだそうです」

千歌「手を伸ばしても届かない……かな?」

ダイヤ「えぇ……それでも、狼さんは満月で力が湧くそうですね」

ダイヤ「今、この世界で唯一人、私の側にいる千歌さんなら」

ダイヤ「千歌さんなら月に手が届きますよ」

千歌「……つかまえた」

千歌「もうはなさないから」

ダイヤ「はい、私もはなしません」

ダイヤ「だって二人は月に幸せが約束されていますから」

34: 2020/10/31(土) 23:23:11.35 ID:5qHduD3d
おしまい。
満月とハロウィンのお話。

良ければ過去のも見て頂ければ嬉しいです。
前回の
善子「私は千歌に命を救われたの!」千歌「はい?」
http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1604061602/l50?v=pc

35: 2020/10/31(土) 23:26:50.36 ID:ArjiEcK7
すごくよかった!素敵なちかダイが読めて嬉しい。

36: 2020/10/31(土) 23:27:00.74 ID:5qHduD3d
コメントくださった方ありがとうございました。
虹の振り返りとかアニメとか見てたので投稿時間遅くなりましたが、ハロウィン、ブルームーン、マイクロムーンが重なった珍しい日らしいので、月を見てのんびりしてきます。
皆さまも是非。

37: 2020/10/31(土) 23:29:44.58 ID:IjDqajHO
よきかな

38: 2020/10/31(土) 23:51:27.76 ID:1qKK2Ye4
大変素晴らしいです

39: 2020/11/01(日) 04:19:50.38 ID:CUm9wZhR
乙乙

40: 2020/11/01(日) 13:36:11.57 ID:9ZWfVGO7
ええやん

41: 2020/11/02(月) 07:44:05.96 ID:V2rVFHF9
いいちかダイをありがとう

42: 2020/11/03(火) 07:12:40.98 ID:2XqIbSBq
ロマンチックで素敵
おつおつ

43: 2020/11/03(火) 08:13:17.37 ID:uANjakSO
ちかダイ好きよ

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1604153009/

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