【SS】可可「Happy Sugar Life」千砂都【ラブライブ!スーパースター!!】

SS


3:バッドエンド 閲覧注意です(あら) 2022/10/15(土) 21:08:14.48 ID:II0XbsMG
可可「千砂都ーーーー! おっはよーデス!」

千砂都「うん、おはよう」

可可「むぅ…。また千砂都は先に起きてマス」

可可「たまには可可に起こさせてくだサイ!」プクーッ

千砂都「あはは、目覚ましが鳴る前に起きちゃうんだよね」

千砂都「ほら見て…この目覚まし時計のまるさ。震えてる時のまるっぷりったらないんだよ」ウットリ

可可「千砂都のまる信奉だけは理解できかねマス…」

千砂都「可可ちゃんも私と生活していればいつか分かるようになるよ」

可可「千砂都と一緒に…」

千砂都「うん…」

可可「エヘヘ…」

千砂都「おはようのキスする?」

可可「ハイ!」チュッ
 
4: (あら) 2022/10/15(土) 21:10:34.91 ID:II0XbsMG
千砂都「♪~」

可可「むぅ…また千砂都が朝ごはんを作ってマス」

可可「たまには可可にも作らせてくだサイ!」

可可「本場中華の味を見せてやりマス!」パッパカパーン

千砂都「それはやめとくよ…」

可可「デスよね…」

千砂都「はい、ごはんとお味噌汁、それに目玉焼き! 明太子もあるよ」コトッ

可可「これはスバラシイチョウショクノヒト…! 頂きマス!」

千砂都「えへへ~、明太子はまるがいっぱいで最高だねぇ」ウットリ

可可「分かる気がしまセン…」

千砂都「それに美味しいし!」

可可「それは分かりマス!」モグモグ

可可「おかわりいいデスか?」

千砂都「もちろん! なんだかこういうのっていいね~」
 
5: (あら) 2022/10/15(土) 21:12:17.65 ID:II0XbsMG
千砂都「それじゃあ行ってくるね」

可可「あ…」

可可(行かないで…)

千砂都「ゴメンね。でも、そんな顔しないで?」

千砂都「お昼はナポリタン買ってきてるからそれ食べていいよ」

可可「本当デスか!? モウ、冷凍庫にあるなら言ってくだサイ」

千砂都「言ったら勝手に食べちゃうじゃん…。冷凍庫と、入ったらダメなお部屋は見るの絶対禁止!」

可可「ハイ…」シュン

千砂都「…でもって、夜ご飯は中華にしよう? 可可ちゃん一人には任せられないけど一緒に作ろうよ!」

可可「千砂都と一緒に…!」パアアア

可可「それ、すっごくいいデス! 素敵デス!」

千砂都「うん。じゃあ…」

可可「行ってらっしゃい…」チュッ
 
6: (あら) 2022/10/15(土) 21:14:23.61 ID:II0XbsMG
可可「~~~」フリフリ

千砂都「…」バタン

千砂都「…」カチャカチャ…ガチャッ

千砂都「…」ガチャッ



可可「ふぅ…」

可可「千砂都がいないと寂しいデス」

可可「けど、家で待つのも良い女の務め!」

可可「可可は居候の身。家事はしっかりこなすのデス!」

可可「まずはお洗濯、それからお掃除、窓ふきデス!」

可可「…」

可可「千砂都の下着…!」アワワワワワ

可可「ちょっとだけ…ちょっとだけ…///」
 
7: (あら) 2022/10/15(土) 21:16:06.95 ID:II0XbsMG
千砂都「かのんちゃん、うぃっすー!」

かのん「うぃっすー、ちぃちゃん…」

千砂都「今日もすみれちゃんお休み?」

かのん「うん、今日もお休みってLINE来てたんだよ…」

千砂都「そっ…かぁ…」

かのん「可可ちゃんも電波つながらないみたいだし、みんなどうしちゃったの…!?」

かのん「元気でいるよね? 可可ちゃん…! すみれちゃんも…!」

千砂都「…」

千砂都「きっと元気だよ。2人とも強い子だもん」

千砂都「私たちは信じて待つ。そうでしょ?」

かのん「ちぃちゃん…。うん…!」

かのん「…」

かのん「ちぃちゃん、シャンプーか何か変えた…?」

千砂都「…うん。ちょっと気分転換!」
 
8: (あら) 2022/10/15(土) 21:18:10.12 ID:II0XbsMG
可可「♪~」ゴー

可可「ハイ、お掃除も終わりデス!」

可可「…」

可可「このお部屋以外…」

可可「けど、このお部屋は鍵がかかってマス。千砂都にも入らないでって言われてて~」

可可「うーむ、綺麗に掃除してビックリさせたいのはやまやまなんデスが」

可可「千砂都には…嫌われたくありまセン」ポッ

可可「可可たちはずっと…この家で2人で生きていくのデスから」








 
9: (あら) 2022/10/15(土) 21:20:34.22 ID:II0XbsMG
――ヒロインになりたかった

――白いステージの上で誰よりまばゆく光り輝くアイドルに

――Liella!のみんなのお陰で私はそれになれた


――ヒロインになりたかった

――それは光り輝くアイドルということではなく

――王子様に優しく抱き留められてキスをするお姫様のような


――今の時代は前者を目指す人が多いのでしょうか?

――後者になりたいのは可笑しいことなのでしょうか?

――私はどちらの夢も叶えましたよ――


千砂都『可可ちゃんのことは私が命をかけて守るからね――』チュッ…

可可『ハイ…!』ギュゥッ…


可可(この家は可可と千砂都の2人きり。甘くて甘くて甘い…Happy Sugar Life)
 
11: (あら) 2022/10/15(土) 21:23:37.70 ID:II0XbsMG
恋「…いいですよ。私たちは親友ですから」ニコッ

千砂都「ごめん、恋ちゃん…」ペコリ

恋「千砂都さんの家庭事情は存じてます。バイトで賄うのも大変でしょう」

千砂都「うん…」

恋「もっとも、私も大してお金はないんですけどね。いっそレトロゲームを売ろうかと思ってます」

千砂都「そんな! あのゲームはせっかくお父さんとの絆が戻った証拠でしょ?」

恋「父もきっと分かってくれますよ」

恋「第一いい年してあんなコレクション集めるのに夢中で、娘を放ってた方がおかしいのです」ズズズズ

千砂都「恋ちゃん、今日黒くない…?」ゾッ

恋「そんな日もありますよ」

恋「とにかく、気にしないでください」ニコッ

千砂都「…」

千砂都(黒いのは私の方だよ…)

千砂都(恋ちゃんが『親友』なのを利用してるんだから…。私、最低だ…)
 
12: (あら) 2022/10/15(土) 21:26:07.68 ID:II0XbsMG
可可「コノ、コノコノ~」ピコピコ

可可「また負けてしまいマシタ…」

可可「やはり新しく始めたアカウントだと装備集めからして一苦労デス」

可可「それはそれで楽しいんデスが…。レンレンとの協力プレイももう出来ませんし…」

可可「可可、とっても楽しいところに居たのデスね…」

可可「かのん…レンレン…きなきな…メイ…四季…夏美…」

可可「すみれ…」

可可「しゅみれぇ…」

可可「…」

可可「いやいや、ダメデス! 可可は千砂都と生きていくんデス!」

可可「千砂都は可可のことを命をかけて守ると約束してくれマシタ…」ポッ

可可「大好きで、大好きデス!」
 
13: (あら) 2022/10/15(土) 21:30:07.45 ID:II0XbsMG
かのん「…」

夏美「また今日も、こんな雰囲気なんですの…」

四季「しょうがない。可可先輩は行方不明。すみれ先輩もずっと休んでるんだし」

メイ「なぁ、やっぱりあのニュースと関係あるんだよな?」

きな子「あのニュースって…」ゾクッ

千砂都「休憩終わりー! さ、次のステップいくよー!」

きな子「は、はいっす!」

恋「…今、あのニュースの話題は避けたいですもんね」

かのん「うん…。可可ちゃんやっぱり何かに巻き込まれてるんじゃ…」

千砂都「恋ちゃん、かのんちゃん? 集中集中ー!」

かのん「う、うん! ゴメン!」

恋(千砂都さんが気を張ってくれているお陰でなんとかこうしていられます…本当に強い人ですね)
 
14: (あら) 2022/10/15(土) 21:33:20.20 ID:II0XbsMG
千砂都「ただいまー! 可可ちゃん!」

可可「千砂都ーーー!」ギュッ

千砂都「お待たせ」チュッ

可可「一回だけじゃ足りまセン! もっともっと~」チュッ

千砂都「もー、くすぐったいよ」

可可「寂しい思いをさせた罰デス!」チュッ

可可「それで、夜ご飯は…」

可可「青椒肉絲?八宝菜デスか?」

千砂都「…私と生きていくうえではもう青椒肉絲は食べられないと思ってね」

可可「あ…ピーマン入ってマスもんね」

千砂都「と、いうことでー今日はエビチリを作りまーす!」

千砂都「このエビがまるくて可愛いんだよぉ」

可可「今からそれ食べるんデスよね?」
 
15: (あら) 2022/10/15(土) 21:36:15.87 ID:II0XbsMG
千砂都「はい、まずはエビの殻をむいていきます。背わたもしっかり取りましょう」

可可「ほっ」バリバリグチャア

可可「…」グスン

千砂都「食べられれば大丈夫だから…。洗って料理酒・にんにく・しょうが・ごま油・塩コショウなどに漬け込みます」

可可「これなら出来マス」

千砂都「ケチャップ・鶏ガラの素・しょうゆ・砂糖・水などを混ぜて調味料を作っておきます」

可可「て、適量…」

千砂都「はい、ちゃんと量は計ってね」スッ

千砂都「熱したフライパンに油をひいて…漬け込んだエビたちと豆板醤を炒めます」

千砂都「これはさせないからね」

可可「分かってマス…」

千砂都「全面色がつくまで炒めたら~混ぜた調味料と刻みネギを入れて煮込みます」

千砂都「最後に水で溶いた片栗粉を入れて~仕上げのごま油っ!」

可可・千砂都「完成ー!」パララララーン
 
16: (あら) 2022/10/15(土) 21:40:33.57 ID:II0XbsMG
可可「本場の味とは違いマスが、これはこれでアリデス」モグモグ

可可「何より優しい味付けデス…」

千砂都「本当? 良かった~。あんまりこういうの作らないしさ」

可可「うぅ…、すみれといいかのんといい、みんな料理が出来て羨ましいデス」

千砂都「可可ちゃんも練習してみる?」

千砂都(一人ではさせられないけど…)

可可「ハイ! 是非!」

可可「あ、千砂都、千砂都」チョイチョイ

千砂都「ん?」

可可「頂きデス!」ペロリ

千砂都「~~~っ///!!」

千砂都「もー! 可可ちゃん!?」

可可「隙だらけの千砂都が悪いのデス!」
 
17: (あら) 2022/10/15(土) 21:44:25.30 ID:II0XbsMG
可可「…お風呂には一緒に入らないのデスか?」ポッ

千砂都「無理無理~。ウチのお風呂狭いもん」

可可「千砂都のいけず…」

千砂都「はいはい、いいから入っておいでよ」

千砂都「…」

千砂都「まだ、見せられないもん…」

千砂都「…」ズキィ…

千砂都「こんな傷見せたら…」

千砂都「…」

千砂都「さ、可可ちゃんがお風呂入ってるうちに…」カチャカチャッ…ガチャッ

千砂都「…」

千砂都「こういうのはお風呂に入る前にやらないとね…!」
 
18: (あら) 2022/10/15(土) 21:47:51.66 ID:II0XbsMG
可可「…千砂都ぉ…」チュッ…

千砂都「うん、可可ちゃん」ギュゥッ…

可可「抱いては…くれないんデスか?」

千砂都「っ………!」

千砂都「ゴメン…そういう、気分じゃないの…」

千砂都「もし可可ちゃんがどうしようもないなら…してあげることは出来る…」

可可「それではイヤデス…。初めては千砂都と一緒じゃないと…」

可可「…」

可可「千砂都は奥ゆかしい人デス。まさに大和撫子デスね!」

可可「可可は…こうしてギュッとしてもらえてるだけで幸せデス…」

千砂都「…」

可可「すぅ…」zzz

千砂都「ごめん…」

千砂都「…おやすみ、可可ちゃん」スック
 
19: (あら) 2022/10/15(土) 21:50:13.75 ID:II0XbsMG
可可「また遅れを取りマシタ…」

可可「千砂都ー? リビングデスかー?」

千砂都「…」ツギノニュースデス。ユクエフメイニナッテイルチュウゴクジンノタ――

千砂都「おはよう、可可ちゃん」ブツッ

可可「なんのニュースデスか?」

千砂都「あんまり面白くないニュースだよ」ニコッ

千砂都「そんなことより、はい」チュッ

可可「今日も一日幸せに過ごせそうデス」ギュッ…

千砂都「うん。今日はバイトあるから少し遅くなるんだ。だから…」

千砂都「もう少しこうして…くっついていよう?」

可可「ハイ…」
 
21: (あら) 2022/10/15(土) 21:58:07.54 ID:II0XbsMG
千砂都「うっ…」カクン

かのん「ちぃちゃん、すっごく眠そうだけど大丈夫…?」

千砂都「…」

千砂都「大丈夫…って言いたいとこだけど、保健室行くことにする…」

かのん「付き添うよ!」

千砂都「ごめん…」

かのん「ちぃちゃん…」



千砂都「…」

かのん「即寝ちゃった…。私たちの前では気を張ってくれてるけど、ちぃちゃんも不安でいっぱいなんだよね」

かのん「…」

かのん「いや、それだけじゃないよね…」

かのん「何か理由が…あるんだよね」

かのん「ちぃちゃん…」チュッ…
 
22: (あら) 2022/10/15(土) 22:01:16.64 ID:II0XbsMG
千砂都(結局、最後の授業まで寝ちゃってた…みんなに心配かけちゃったな)

千砂都(練習も軽めで切り上げることになっちゃった)

千砂都(まぁ…可可ちゃんとすみれちゃんがいないんだし、こうなるよね)

千砂都(Liella!はもう…二度とあの時のようには戻れない)

千砂都(いつ、誰に、どこにこれを言ったらいいんだろう…どうすれば…少しでも傷つかずに済むんだろう)

千砂都(してしまったことはもう戻らないのに…!)

千砂都「…」

千砂都「バイト行かなきゃ…」

千砂都「恋ちゃんに借りたお金はちゃんと返さないといけないしね…」

千砂都(私が頑張るんだ…)

千砂都(可可ちゃんとの甘くて甘くて甘い…幸せな生活を守るために…!)
 
23: (あら) 2022/10/15(土) 22:04:59.09 ID:II0XbsMG
可可「…」

可可「暇デス…」

可可「千砂都ぉ…まだ帰ってこないのデスか…?」

可可「…」

可可「そうデス! 可可の方が千砂都のところに行けばいいんデス」

可可「そうと決めたら今がその時! ………」

可可「アリェ? 玄関にまで内鍵がついてマス。スマホでロックを外すタイプデスか」

可可「…」

可可「まぁ、可可の手先の器用さの前では意味をなさないのデスがね」カチャカチャ…ガチャッ

可可「ん~~~、久しぶりの娑婆デス」バタリ…

可可「さぁ、パートナーの働く姿をこの目に焼き付けに行きマショウ!」

可可「♪~」
 
25: (あら) 2022/10/15(土) 22:07:17.84 ID:II0XbsMG
恋「はっ、はっ、はっ…」

恋(ついに千砂都さんまで倒れてしまいました…。無理もありません)

恋(可可さんが行方不明。…しかも同時にあんな事件が起きていれば関係性を疑うしかありません)

恋(そしてショックですみれさんがずっと学校を休んでいて…)

恋(…)

恋(…)

恋(すみれさん…休みとは言っていましたが誰かお見舞いに行きましたか…?)

恋(いえ、みんな今は自分の不安を沈めるのにいっぱいいっぱいで誰も…)

恋(すみれさんの姿を見ていません…!)

恋(まさか、すみれさんも何らかの事件に巻き込まれて…!?)


恋「えっ…あれは…!?」

恋「可可、さん…!?」
 
26: (あら) 2022/10/15(土) 22:10:25.42 ID:II0XbsMG
――チョコバナナ、ミルクティー

――桃、コーラ、アイスクリーム、イチゴのケーキ

――大好きなものをずーっと食べていられるような、満ち足りた時間

――綿菓子で出来たクッションに身を包まれてうたた寝している時間

――甘くて甘くて甘くて、幸せな生活

――…だけど

――もっともっと、幸せになりたくて

――大好きな人と一緒にいたくて…




可可(だから――――――)
 
27: (あら) 2022/10/15(土) 22:14:15.54 ID:II0XbsMG
可可「アリェ…?」パチクリ

可可「んん~? どうして可可は布団で寝ているのデショウ?」

可可「洋服もパジャマになってマスし…」

可可「千砂都ー?」

可可「千砂都ーー?」

千砂都「可可ちゃん!? 目、覚めたんだ…!」ギュゥッ…

可可「ちょ、千砂都ー!? ど、どどどうしたんデスか///」

可可「そんなに情熱的に抱きしめられるとー、心の準備がー///!」

千砂都「良かった…! ひとまず起きてくれて…!!」

可可「…」

可可「…泣いているのデスか? 千砂都…」

千砂都「泣いてない! 泣いてないよ…!」

千砂都「泣いてないもん…!」

可可「じゃあ…これは涙ではなく汗なんデスね…。赤い…紅い…」
 
28: (あら) 2022/10/15(土) 22:17:13.32 ID:II0XbsMG
可可「…」グラリ

千砂都「可可ちゃん!?」

可可「…」zzz

千砂都「また、寝ただけか…」

千砂都「…」

千砂都「しまった、まだこっちに…」フキフキ

千砂都「…」

千砂都「今夜はもう眠れないし明日は学校も行ってる暇はない…」

千砂都「こんなこと、もう続けられないよ…!」

千砂都「助けて…」

千砂都「かのんちゃん…!」

千砂都「…」

千砂都「恋ちゃん…!!!」
 
29: (あら) 2022/10/15(土) 22:20:14.99 ID:II0XbsMG
可可「おは…アリェ?」

千砂都「んっ…」

千砂都「私! 寝てた!? 今…」

可可「おはようございマス。千砂都…」

可可「ようやく寝顔を見られマシタね」ニコッ…

千砂都「ぁ…」

千砂都「うん、おはよう。今日は負けちゃった」

可可「千砂都、顔色良くないデスよ? もしかして寝てないのデハ?」

千砂都「…」

千砂都「うん。ちょっと眠れてないかも。でも大丈夫!」チュッ

千砂都「今日も元気に学校行くよ!」

千砂都「だから…その間…」


千砂都「絶対、外に出たらダメだよ?」
 
30: (あら) 2022/10/15(土) 22:23:16.73 ID:II0XbsMG
千砂都「…」ガチャッ…ガチャッ

千砂都(昨日もう解錠されたけど、今は他に道具もないしこうしておくしかない…)

千砂都(可可ちゃんのことを信じよう…)ピロリン

千砂都「かのんちゃん…」

千砂都「『恋ちゃんも今日お休みしてるみたい… 何か聞いてない?』」

千砂都「着信もたくさん…」

千砂都「…ゴメン、かのんちゃん」

千砂都「私たち…もう会わない方がいいのかもね…」

千砂都「っ…」

千砂都「ゴメン、分からない…。私も昨日から体調悪いし休むね、っと…」ポチッ

千砂都「…」

千砂都「これでいいのかな…?」

千砂都「いや、いいのかなじゃないよ…!」

千砂都「もうやるしかないんだ…!!」
 
31: (あら) 2022/10/15(土) 22:26:21.12 ID:II0XbsMG
千砂都「怪しいキッチンカー、無免許運転、おまけに積み荷は動かなくなった―――」

千砂都「警察に見つかったら一発アウトだなぁ」

千砂都「でもやるしかない」

千砂都「まずは…恋ちゃん家が持ってる池…」

千砂都「恋ちゃんのお母さんが亡くなってから碌に管理されず放置されてるらしいし…」

千砂都「とりあえずそこに捨てるしかない」

千砂都「っ…」

千砂都「いや、やっぱりどこに証拠があるか分からないから…見つからないのが一番だよ」

千砂都「ゴメンね、恋ちゃん…」

千砂都「また、親友だってこと利用しちゃった…。こんな話、そうそう誰にでもすることじゃないのにね…」



千砂都「…」ツギノニュースデス。――ノミチバタデケッコンガハッケンサレテオリ、ジケンノカノウセイガタカイトミテ…

千砂都「…」センジツユクエフメイニナッタ――――レンゾクサツジンジケンノカノウセイモアルトミラレテイマス
 
33: (あら) 2022/10/15(土) 22:30:38.90 ID:II0XbsMG
千砂都「っ…!」

千砂都(もし、このドアの先に可可ちゃんがいなかったら…!)

千砂都(いや、可可ちゃんを信じるんだ…!)

千砂都「…ただいま」ガチャッ

可可「お帰りデス! 千砂都ー!」ドタドタ

千砂都「可可ちゃん…!」ギュッ

可可「今日は帰りは早かったんデスね!」

千砂都「うん。ちょっと疲れちゃってたから」

可可「じゃあじゃあ、早く入ってくだサイ。お風呂にしまショウ!」

可可「お背中流しマスよ~」

千砂都「あはは…」







千砂都「は―――――――」















かのん「可可ちゃん…!? どうしてちぃちゃんの家にいるの…!?」
 
34: (あら) 2022/10/15(土) 22:33:15.36 ID:II0XbsMG
カチャカチャッ…ガチャッ



千砂都「…可可ちゃんはリビングで待ってて?」

かのん「え…」


バタンッ…ガチャッ







――千砂都、すごく困った顔をしていまシタ…

――かのんが来たから…

――かのんは千砂都のことが好きなんデショウ? でも千砂都は可可のことが好きなんデス

――だから別にいい。別にいいんデス…
 
35: (あら) 2022/10/15(土) 22:36:04.56 ID:II0XbsMG
かのん「…こんな部屋、ちぃちゃんの家にあったっけ…?」

かのん「第一なんなの? このにおい…」

千砂都「――――――――――」

かのん「はぁっ…!?」

かのん「可可ちゃんが…―――――――――」

かのん「ころ、した…!?」

千砂都「うん…」

かのん「嘘…そんなこと! そんなこと信じられない!!」

かのん「じゃあ…ちぃちゃんは…」

千砂都「うん…」

千砂都「私は今、可可ちゃんを匿ってる」

千砂都「そして…――――――――を処理して捨てたんだ」


千砂都「どう? 幻滅した?」
 
36: (あら) 2022/10/15(土) 22:40:17.25 ID:II0XbsMG
かのん「あ…あぁぁ…! ひとごろし…!? それを処理…!?」

かのん「その、手で…!?」

千砂都「そうだよ」

千砂都「…もう、かのんちゃんの手を握れないね」

かのん「え…ぇぇ…」ブルブル

かのん「嫌…来ないで…」

千砂都「行かないし、もう行けない…」

千砂都「かのんちゃんがこのことを誰にも話さないならちゃんと家にも帰すよ…」

かのん「嫌…嫌だ…」

かのん「ちぃちゃんも一緒じゃないと…」

千砂都「そうかな?」

千砂都「私の手、また握れる?」

かのん「っ…!?」
 
37: (あら) 2022/10/15(土) 22:44:31.31 ID:II0XbsMG
千砂都「無理、だよね…?」

かのん「ぁ…ぁぁ…!」

千砂都「私ね、可可ちゃんのこと…ただ匿ってるだけじゃないんだ」

かのん「え…?」

千砂都「愛してるんだよ。可可ちゃんのこと」

かのん「え…!? ぇ…!?」

千砂都「だからさ」

千砂都「何も言わないなら帰してあげる」

千砂都「私と可可ちゃんの…甘い甘い…恋人生活を邪魔するなら…」


千砂都「分かるよね?」

かのん「ぁぁ…ぁぁぁぁ…ぁぁ…ぁ…………!!!」
 
38: (あら) 2022/10/15(土) 22:47:03.14 ID:II0XbsMG
千砂都(さよなら)

千砂都(大好きなかのんちゃん)

千砂都(恋愛感情はないよ。それはハッキリしてる)

千砂都(けど…それでも一番大事な人)

千砂都(かのんちゃんがいたから、かのんちゃんがいるから、かのんちゃんが好きだから)

千砂都(かのんちゃんの為に、かのんちゃんと一緒に、かのんちゃんみたいに)

千砂都(ずっと私の一番大事な人でいてくれてありがとう)

千砂都「さよなら…」

千砂都「かのんちゃん…」














かのん「嫌…」

かのん「嫌だ!」


かのん「私は…ちぃちゃんのことが好きだよ!!」ギュッ…

千砂都「っ…!?」
 
39: (あら) 2022/10/15(土) 22:50:20.78 ID:II0XbsMG
かのん「例えちぃちゃんがどんなことをしたって」

かのん「ちぃちゃんが誰のことを好きでいたって」

かのん「どこに行ったって、どんな理由であっても、私を嫌いになっても!」

かのん「それでも私はちぃちゃんのことが好き!」

かのん「だから…」ギュッ…

かのん「一緒に考えよう…?」

かのん「ちぃちゃんも、可可ちゃんも…みんなが幸せになれる未来を…!」

千砂都「…かのん、ちゃん…」

千砂都「…!!」

千砂都「…!」

千砂都「……………」

千砂都「たす、けて…」

千砂都「かのんちゃん…!」ギュッ…
 
41: (あら) 2022/10/15(土) 22:53:08.05 ID:II0XbsMG
 
グサリ…
 
 
 
 
かのん「え…?」


千砂都「っ…?」ドロッ…


かのん「ちぃ…ちゃ…」バタッ…




千砂都「かのんちゃん…!? かのんちゃん…!?」ユサ…

可可「これで一安心デスね。千砂都…」



可可「これでもう、千砂都を困らせる人はいまセンよ」

可可「ね♪」ニコッ
 
44: (あら) 2022/10/15(土) 22:56:32.71 ID:II0XbsMG
――横たわるかのん

――泣き叫ぶ千砂都

――泣かないで、千砂都

――可可たちの生活にそんな涙はいらないデショウ?

――楽しくて、嬉しくて、甘くて柔らかくて暖かくて愛しくて

――それ以上はもういらない


――サイレンの音が鳴り響く

――救急車? 警察?

――こんな煩い音が鳴っていたら静かに暮らせないではないデスか

――どうしたらいいのデショウ?

――すみれ? レンレン? 相談に乗ってくだサイ

――ああ…すみれとレンレンにも会いたいデスね…
 
45: (あら) 2022/10/15(土) 23:00:04.38 ID:II0XbsMG
すみれ「…これは…!?」ガチャッ…

可可「え…?」

恋「千砂都さん!? かのんさん!? これは…!!!!」

千砂都「すみれ、ちゃんに…恋ちゃん…!?」

千砂都「警察…!!」

恋「かのんさん! かのんさん!?」ユサユサ

千砂都「かのんちゃんは軽傷。刺さってない。ショックで気を失ってるだけ…」ポタッ…

恋「!?」

恋「千砂都さん、その手…」

千砂都「私の手はかなり切れちゃったけどね…」ポタッ…

恋「は、早く手当てを!」

千砂都「いらない…」

千砂都「今は…!」
 
47: (あら) 2022/10/15(土) 23:03:04.57 ID:II0XbsMG
すみれ「可可、無事だったのね…」

可可「ハイ、可可は大丈夫デスよ」

可可「可可も会いたかったデス。すみれ…」ポタ…

すみれ「…!!」

すみれ「ちょっと…近づく前にそれ放しなさいよ…! なんでアンタがそんな刃物持ってんのよ…!」

可可「ン?」

すみれ「料理も出来ないアンタが刃物を持っている理由は…!」

恋「やはり…」

千砂都「うん…」


千砂都「可可ちゃんは…自分を国に帰すために来た家族をその手にかけてしまったんだよ…」

千砂都「そうして…」
 
49: (あら) 2022/10/15(土) 23:06:13.38 ID:II0XbsMG
可可『嫌ッ…! まだ帰りまセン! そういう約束だったではないデスか!』

千砂都『可可ちゃん!…きゃあっ!』

可可『千砂都っ…!?』

可可『どうして! なんで千砂都にまで…友だちにまで手を出すんデスか!?』

可可『っ…!』

可可『~~~~~~ッ!!』

可可『我会杀了你…』

千砂都『えっ…!? 可可ちゃんなんて…』

千砂都(中国語は分かんないけど…可可ちゃんも家族も酷い言葉を投げ合ってるのは分かる!)

千砂都『~~~~っ!?』

千砂都『あ…あぁ…!!!!』

千砂都『やめて可可ちゃん!』

千砂都『その人たち、もう…!!』
 
53: (あら) 2022/10/15(土) 23:10:05.01 ID:II0XbsMG
可可『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…』

可可『私が…この手で…』ブルブル…

千砂都(冷静になって…落ち着いて考えるんだ嵐千砂都…!)

千砂都(このまま可可ちゃんが捕まったら…まだ未成年だけど…でも…!)

千砂都(母国のことを考えたら死刑になるかも……した人数も多いし…!)

千砂都(どうにせよ、もうこうするしかない!)

千砂都『可可ちゃん!』

可可『千砂都…』

千砂都『私の家に行こう』

千砂都『そこで…ずっとずっと、2人で暮らそうよ…』

可可『千砂都…!』

可可『でも…んんっ!?』

千砂都『可可ちゃんのことは私が命をかけて守るからね――』チュッ…

可可『…!』

可可『ハイ…!』ギュゥッ…
 
54: (あら) 2022/10/15(土) 23:13:03.16 ID:II0XbsMG
千砂都「可可ちゃんが壊れるのを防ぐには…衝動を抑えるには、何か別の激情で抑え込むしかないと思った」

千砂都「だから…恋愛を選んだ」

千砂都「ゴメン、すみれちゃん…」

すみれ「…」

すみれ「許さないったら許さない。けど…貴女をどうこう言えない」

すみれ「結果的に、可可が今ここにいるのは貴女のお陰だもの…」

すみれ「それにこの子は昨日も人を……したんでしょ?」

恋「私…見ていたんです」

恋「可可さんが………恐らく家からの追手と思われる方たちを………」

恋「そして千砂都さんが私の家の池に…」

千砂都「全部バレてたんだね…」

すみれ「私は知らなかったわよ…可可が行方不明になったって聞いて怖くて引き籠ってた」

すみれ「昨日のことを見て来た恋に話を聞いて始めて可可を疑ったの…! どうしてこんなことに…!」
 
55: (あら) 2022/10/15(土) 23:16:13.82 ID:II0XbsMG
ガチャッ…

可可「え…?」

千砂都「ちょっと!? 何してるの!? 可可ちゃんを逮捕するの!?」

すみれ「…そりゃあそうでしょう…。それだけのことをしたんだから…」

千砂都「待って! そんなのダメだよ!」

千砂都「可可ちゃんのしたことを考えたら死刑になるかもしれない!」

千砂都「死刑じゃなくても一生会えないかもしれないんだよ!?」

千砂都「すみれちゃん!?」

すみれ「そんなことは分かってる!」

すみれ「それでも…これが正しいのよ…!」

千砂都「正しさって何!? それが可可ちゃんにとっての幸せなの!?」

千砂都「私は…!?」ガシィッ

バッチィィィン

千砂都「恋ちゃん…痛ぅっ!?」

恋「例えそうだとしても! 大好きな人だとしても! こんなことをして許されるわけがないじゃないですか!!」

恋「なぜ相談してくれなかったんです!! 私たちは…親友ではないのですか…!?」
 
57: (あら) 2022/10/15(土) 23:20:08.46 ID:II0XbsMG
千砂都「…」ジリジリ

千砂都「親友、かぁ…心が痛いよ」

千砂都「みんなに相談したら自首しろって勧められると思ったからこうしたんじゃない…」グイッ…

恋「!!」

千砂都「可可ちゃん! 手を伸ばして!」

可可「ハイ!」

すみれ「ちょっ…!?」

千砂都「逃げるよ!」

恋「待ってください!」

恋「待って…」

恋「まって…」

すみれ「可可ーーーーーーーーーーーー!!」
 
59: (あら) 2022/10/15(土) 23:23:02.15 ID:II0XbsMG
――千砂都が、泣いている

――すみれとレンレンの想いを裏切って。それでも可可が一番幸せになれる方法を考えている

――なんて幸せなことでしょう。こんなに想われているなんて

――今、この瞬間…可可は誰より、千砂都王子のお姫様でした



――警察の人が追ってくる

――すみれも、レンレンも…

――手を怪我している千砂都と、手錠をかけられた私に逃げられるわけがない



――千砂都を困らせているのは?

――ハッピーシュガーライフを妨げているのは?


千砂都「え…!? なんでまだ、そんなもの持ってるの…!?」

千砂都「可可ちゃん! 可可ちゃんっ…………!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
60: (あら) 2022/10/15(土) 23:26:05.60 ID:II0XbsMG
epilogue

千砂都「…」

すみれ「随分痩せたわね…」

千砂都「うん…」

千砂都「かのんちゃんも…恋ちゃんも…久しぶり…」

かのん「ちぃちゃん…」

恋「…」

すみれ「面会時間は短いから端的なことだけ伝えるわよ」

千砂都「…」

すみれ「可可はまだ目を覚まさないわ。下手すれば一生植物状態になるって…」

千砂都「…!!」

千砂都「うん…」

恋「っ…」

かのん「…」
 
61: (あら) 2022/10/15(土) 23:30:09.94 ID:II0XbsMG
すみれ「その代わりと言ったらなんだけど…あの子は病院から出られない。日本を出られないの」

すみれ「こんな結果…認められないけど」プルプル

すみれ「それでも…これからいつまでか分からない永い時間、あの子が幸せな夢を見ていられるのなら…!」

すみれ「貴女の最後の選択は間違ってなかったのよ…!」

恋「すみれさん!」

すみれ「分かってる。千砂都のしたことは最低のことよ。私も、親友も、告白してくれた幼馴染も裏切るような」

千砂都「…」

すみれ「それでも…私は貴女を責められない」

すみれ「私の好きな人の幸せを私より考えていた貴女を…」

すみれ「それだけよ…」
 
62: (あら) 2022/10/15(土) 23:33:03.32 ID:II0XbsMG
恋「私は貴女を許しません」

千砂都「うん…ごめん…」

恋「学校の評判はガタ落ち。部も解散。これから大変なことばかりです」

恋「一生許しません。刑期が終わっても許さないので覚悟しておいて下さい」

千砂都「…」

恋「私は、親友が道を間違っていたら正すべきだと思っています」

恋「たとえそれがこんなにも重いことだったとしても…自首するべきだったのではないかと思っています」

すみれ「…」

恋「ですが、私もまた貴女という親友の道を正せなかった」

恋「相談するに値しない人だった…貴女の親友として自分も反省することしかありません」

恋「…もう一度言います。刑期が終わっても許さないので覚悟しておいて下さい」
 
63: (あら) 2022/10/15(土) 23:36:25.83 ID:II0XbsMG
かのん「…ちぃちゃん」

千砂都「うん…」

かのん「可可ちゃんはさ、ちぃちゃんにキスされたから好きになったんだよね?」

千砂都「え…? うん…そうだと思う」

かのん「じゃあ、ちぃちゃんは? 本当に可可ちゃんのこと好きだったの?」

かのん「って…そっちは言うまでもないか」

千砂都「うん…」

千砂都「好きだよ」

千砂都「今でも愛してる…」

千砂都「思い出すんだ…」

千砂都「たった数日間の甘くて幸せな日々を」

かのん「…」

かのん「差し入れ、持ってきてるから食べてね?」
 
64: (あら) 2022/10/15(土) 23:40:05.59 ID:II0XbsMG
 

  
千砂都「…甘い」
 
 
 
 
 
千砂都(貴女も、こんな夢を見ているのかな…?)





千砂都(この、儚く小さな星のようにすぐに消える…だけど口の中を刺激する甘い甘い金平糖のような日々を)





 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1665835586/

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