【SS】可可「ゆらゆら揺らぐわ」千砂都「変わらないすべて」【ラブライブ!スーパースター!!】

SS


2: (あら) 2022/09/22(木) 17:17:45.98 ID:msas62aM
可可(始まりは、恋人と友達がキスしているのを見た時)

すみれ『かのん…』

かのん『すみれちゃん…もっと激しく…!』

可可『え…』

可可(呆然とする意識の中、信じられない、信じたくないという想いはその続きで?き消された)

可可『…おっぱじめやがりマシタ』ガタガタ

可可『すみれ…………可可の時より激しいんじゃないデスカ…?』

可可『嫌…やめて』ガタガタ

可可『やめて下さいっ…! こんなの、悪夢デス…!』

可可(目の前の光景から逃げ出すように走り出した。その先に)

千砂都『??』
 
6: (あら) 2022/09/22(木) 17:24:27.38 ID:msas62aM
千砂都『そっ…かぁ…。かのんちゃんとすみれちゃんがねぇ…』

可可『うっ…ぐすっ…ちさとぉ…!』

可可(たまらず、全てを話してしまっていた)

可可(かのんと千砂都が付き合っていることは知っていたのに…!)

千砂都『私ね、かのんちゃんが浮気しても許すつもりなんだ』

可可『は、ハァ!?』

千砂都『だってそれって、私がかのんちゃんを満足させられない女だからだもん』

千砂都『私が悪い。それだけの話』

可可『そ、そんなワケないデス! 千砂都はおかしいデス!』

千砂都『そう、なんだろうね…。そのくらいの覚悟でいたはずなのにもう揺らいでる』フラフラ

千砂都『やっぱり、辛いや…』グスン

可可『…!!』
 
12: (あら) 2022/09/22(木) 17:31:50.76 ID:msas62aM
可可(すみれへの憎悪、かのんへの嫉妬、目の前で見せつけられたことで膨らんだ性欲)

可可(パートナーを満足させられなかったという後悔。渦巻く激情の中)

可可(目の前で弱弱しく涙を流すその子を――)

可可『千砂都っ…!』ガシィッ

千砂都『!?』

可可(抱きしめてしまった。激しく、強く、理性が飛ぶほどに)

可可『ハァ、ハァ…ごめんなさい、千砂都…』

可可『今日だけ…今日だけデスから…!』

可可『可可を…受け止めて下さいっ…!』ポタリ

千砂都『…』

千砂都『うん………いいよ』
 
14: (あら) 2022/09/22(木) 17:38:15.34 ID:msas62aM
可可『千砂都っ…千砂都ぉっ!』

可可『あはっ! 千砂都…とっても気持ちいいデス! すみれなんかよりずっと…』

可可(千砂都は、自分が達することを第一に考えてるどこかのグソクムシと違って優しかった)

可可(そして何より上手デシタ。こんなテクニックを楽しめるかのんが羨ましい)

可可(恋敵にすら嫉妬するほどの刺激の中、可可のお腹はどんどん熱くなっていまシタ)

可可『はあああああああああああんっ!』


可可「そしてその日、可可は…」

可可「千砂都の子を、身籠ってしまいマシタ…」
 
26: (あら) 2022/09/22(木) 17:48:54.94 ID:msas62aM
可可「うっ…」

可可(匂いに敏感になり、吐き気がしてトイレが近くなって…)

可可「やっぱり」

可可「陽性デス…」

可可「あぁ、ぁぁ…」

可可「一体、どうすればいいんデスか…!?」

可可「こんなことがバレたらスクールアイドルもラブライブもお終いデス…!」

可可「退学…国に強制送還…」

可可「すみれとも離れ離れに…!」

可可「嫌…嫌デスよぉ…」

可可「千砂都ぉ…!」
 
28: (あら) 2022/09/22(木) 17:55:39.95 ID:msas62aM
すみれ「ねぇ、可可」

可可「は、はい!? ななんデスか!?」

すみれ「なんかぼーっとしてない?」

すみれ「もしかして今日の私そんなに良かった?」ニヤリ

可可「…そんなわけないデス。すみれはまだまだグソクムシデス」

すみれ「あっそ…ω」ショボン

可可(すみれのことは、間違いなく好きデス)

可可(そして千砂都とはあの日以来、一度もしてマセン。元の関係に戻ってマス)

可可(なのに…お腹の奥底が、あの日のことを忘れられてないのデス…)
 
30: (あら) 2022/09/22(木) 18:04:23.00 ID:msas62aM
かのん「ねぇ、ちぃちゃん…今日…いい?」

千砂都「もちろん! バイト終わったら連絡するね」

すみれ「かのんと千砂都は今日も仲良いわねぇ」

すみれ「もしかしてあの子たち、付き合ってたりして」クスッ

すみれ「どう思う? 可可」

可可「どうもこうもないデスよ」

可可「とっても…良い、仲だと思いマス」

可可(すみれは知らない。かのんと千砂都が付き合っていることを)

可可(そしてかのんもまた知らない。千砂都がかのんとすみれの浮気を知っていることを)

可可(千砂都…貴女は一体どんな気持ちでかのんといるのデスか…?)
 
32: (あら) 2022/09/22(木) 18:11:18.17 ID:msas62aM
可可「うっ…」

すみれ「ちょっと可可? 大丈夫?」

可可「ハァ、ハァ…」

すみれ「どうしたの? ここ数日ヘンよ?」

かのん「体調悪いの? とりあえずほら、お水飲んで」

可可「あ、ありがとうデス…」ゴクゴク

千砂都「もしかして体調悪い? 無理はしない方がいいよ?」

可可「大丈夫、デス…」

可可(本当は大丈夫じゃないデス…)

すみれ「…」
 
34: (あら) 2022/09/22(木) 18:22:35.39 ID:msas62aM
すみれ「ねぇ可可? 本当に大丈夫?」

すみれ「性欲強いハズのアンタが最近全然誘ってこないし…」

すみれ「なんか最近風邪っぽい症状も出てたし…」

可可「大丈夫デス。変わりないデスよ」

すみれ「本当ったら本当?」

すみれ「アンタ結構知らないうちに無理するタイプよ? 自覚しなさいよね」

すみれ「私もアンタが体調悪いうちは誘わないから、安静にしなさいよ」

すみれ「家まで送ろうか?」

可可「…」

可可「イヤ、いいデス…自分で帰れマス…」

可可(やっぱり、すみれには言えないデスよ…!)
 
35: (あら) 2022/09/22(木) 18:29:50.78 ID:msas62aM
すみれ「はぁ…」

すみれ「可可、一体どうしたのかしら?」

すみれ「やっぱり今流行りのあの感染症? だったら私も危ないかも?」

すみれ「…」

すみれ「そうじゃなくてもあの子色々一人で抱え込むとこあるのよね」

すみれ「まぁ、自分で言ってくるのを待つしかないわよね!」ブーッブーッ

すみれ「ん? かのん…?」ピッ

すみれ「…」

すみれ「はぁ…。あの子も結構溜まってるのね」

すみれ「しょうがない、私も本当は溜まってるし今日はかのんのところに行っちゃいましょ」ウキウキ
 
36: (あら) 2022/09/22(木) 18:37:38.68 ID:msas62aM
可可(すみれにはこんなこと言えない…)

可可(大好きなすみれを困らせたくない、嫌いになって欲しくない)

可可(裏切りたくなんかない)

可可「…堕ろすしかない、デス…」

可可「ゴメンナサイ…対不起…」

可可(あの日…あんなことをしなければ)

可可「ちさ、とぉ…」ボロボロ


千砂都「―――呼んだ? 可可ちゃん」

可可「え…!?」
 
37: (あら) 2022/09/22(木) 18:45:33.60 ID:msas62aM
可可「千砂都…!? 千砂都!?」

千砂都「うん、嵐千砂都。可可ちゃんの友達の千砂都だよ」

可可「今日は…バイトが終わったらかのんのところに行くはずデハ…」

千砂都「自分でもどうしてこうしてるのか分からないよ」

千砂都「分からない…分からないけど」

千砂都「ここに…可可ちゃんのところに行かないといけない、そう思ったんだ」

可可「ひっく…えぐっ…」

可可「ちさとおぉぉぉ…!」
 
38: (あら) 2022/09/22(木) 18:53:53.08 ID:msas62aM
千砂都「…」

千砂都「…冗談じゃ、ないんだよね?」

可可「ハイ…。陽性なのはこの通り。時期からしても間違いない、デス…」

千砂都「…」

千砂都「ゴメン、私も頭の中整理したい…」

可可「…」


可可(すべてを千砂都に話しマシタ。可可だって分かりマセン)

可可(どうして…可可はすみれではなく千砂都に話したのデショウ?)

可可(可可が好きなのは…すみれなのに…)
 
39: (あら) 2022/09/22(木) 19:00:23.44 ID:msas62aM
すみれ「はぁ~。正直いいタイミングだったわよ、かのん」バタリ

かのん「こっちこそ。折角したかったのにちぃちゃん急に行けないとか言ってさぁ」

かのん「今日ばかりは頭に来たね。…でも好き♪」

すみれ「そういえばアンタ千砂都と付き合ってたのね…衝撃だったわ。これじゃW浮気じゃない」

かのん「悪いことしてるね、私たち。可可ちゃん体調悪いのに…ヒトデナシだよ」

すみれ「本当その通りね」

かのん「私たち、いつまでこんな関係続けるんだろ…」

すみれ「そう、よね…。勘のいい千砂都に気付かれるかもしれないし」

かのん「じゃあやめとく?」

すみれ「やめない♪」

かのん「だよね♪」
 
40: (あら) 2022/09/22(木) 19:13:08.20 ID:msas62aM
かのん「大体さぁ、ちぃちゃんは優しすぎるんだよ

すみれ「早速惚気?」

かのん「私のことを気持ちよくさせるのに夢中で自分が気持ちよくなるの考えてないんだよね」

かのん「っていうか私が気持ちいいのが一番気持ちいいみたいな」

すみれ「あー…なんか分かる」

かのん「だからなんか情熱?を感じなくて…すみれちゃんの激しさには惹かれるっていうか」

すみれ「千砂都も大変ねぇ。こんなワガママな子の恋人で」

かのん「えへへ~、すみれちゃんこそそうでしょ?」

すみれ「そうなのよ…。可可、性欲強くて要求激しいからこっちの身体が保たないのよ」

すみれ「だからアンタとするのは良いガス抜きになるのよね」

かのん「ガス抜きって」

すみれ「そういうものでしょ? 私たち、浮気同士なんだから」
 
42: (あら) 2022/09/22(木) 19:24:32.95 ID:msas62aM
千砂都「可可ちゃんは、さ」

可可「ハイ…」

千砂都「すみれちゃんと付き合ってるよね? 今でも好きだよね?」

可可「ハイ…。それは間違いありまセン」

千砂都「…」

千砂都「っ…」

千砂都「…ぅ…」

千砂都「…ぁ…ぅ…」

千砂都「………」

千砂都「責任は、取るよ…」

千砂都「だから、一緒に考えよう」

可可「千砂都…!」
 
43: (あら) 2022/09/22(木) 19:35:10.60 ID:msas62aM
可可(とりあえず、夜も遅いので今日はそのまま家に帰りマシタ)

可可(千砂都に話しただけなのに…少しだけ、スッキリした気がしマス)

可可「ケホッ…ごほっ…」ピッ

可可「37.3℃…」

可可「例の感染症も流行っていますし、明日は学校はお休みデス」

可可「今日はゆっくりすやぴするのデス!」


可可(…)

千砂都『責任は、取るよ…。だから、一緒に考えよう』

可可(えへへ…千砂都ぉ…)zzz

可可(可可は…千砂都のこと…)zzz
 
44: (あら) 2022/09/22(木) 19:42:55.00 ID:msas62aM
千砂都「昨日は本当にゴメン!」

かのん「いいんだって! 大事な用事だったんでしょ? そういうこともあるよ~」ツヤツヤ

千砂都「…」

かのん(あれ? もしかして私ツヤツヤしすぎ!?)

かのん(もしかしてもしかして…バレたぁ!?)

千砂都「本当に、ゴメン…」

かのん「??」

かのん(バレてはないみたい?)

かのん「もう、ちぃちゃんは真面目だなぁ」

千砂都「…」
 
46: (あら) 2022/09/22(木) 19:52:33.69 ID:msas62aM
すみれ「おはよー…って! うわっ」テカテカ

かのん「あ、おはよう! すみれちゃん」ツヤツヤ

すみれ「ちょっと! あんたいくらなんでもツヤりすぎでしょ!? バレたらどうすんのよ!」ヒソヒソ

かのん「大丈夫だって。ちぃちゃんにはバレてないから」ヒソヒソ

すみれ「まぁ…恋人のアンタがそういうんなら間違いないんだろうけど」ヒソヒソ


千砂都(…)

千砂都(あれから一晩…一睡も出来なかった)

千砂都(私は今、恋人と恋敵のこの茶番をどんな表情で見守ればいいんだろう…)

千砂都(いや…)

千砂都(今はそれより……)
 
47: (あら) 2022/09/22(木) 20:02:02.78 ID:msas62aM
すみれ「それよりLINE見た? 可可、体調悪いから休むって」

かのん「見た見た。やっぱり調子悪かったんだね」

千砂都「…」

かのん「心配だよね…」

すみれ「そうね…。お見舞い行こうかしら」

すみれ(今日は練習休んで可可のところに行かないと! 千砂都にどう言い訳しようかしら)

千砂都「今日は練習休みにしよう」

すみれ「えっ?」ビクッ

千砂都「例の感染症も流行ってるし、もしそうなら私たちも濃厚接触かもしれないからね」

すみれ「え゙っ…!? そ、それもそうね?」

すみれ(確かに! その可能性もあるのよね…? やっぱり可可からの連絡を待とうっと)
 
48: (あら) 2022/09/22(木) 20:10:00.74 ID:msas62aM
かのん「ちぃちゃん、今日バイトないでしょ?」モゾモゾ

かのん「練習も休みにしたしさ、デートしようよ!」

千砂都「え!? えっと…」

千砂都(…)

千砂都「ご、ゴメン…ちょっと今日は行けない…」

かのん「えーっ!? なんで? 今日も何か用事あるの?」

千砂都「っ…!」

千砂都(………)

かのん「昨日も結局すっぽかされちゃったし今日はと思ったのに…」

千砂都「ゴメン…」

千砂都「ごめん!」ダッ

かのん「えっ…!? ちぃちゃん…!?」
 
50: (あら) 2022/09/22(木) 20:20:41.38 ID:msas62aM
千砂都(どうしてこうなっちゃったんだろう)

千砂都(あの日だって、本当は嫌だったんだ)

可可『千砂都っ…!』ガシィッ

千砂都『!?』

千砂都(でも、勢いに負けてしてしまった。揺らいだ心じゃ止める術がなかった)

千砂都(かのんちゃんを気持ちよくさせるために勉強した技術を試してみたかった)

千砂都(私自身は…あの日)

千砂都(『愛』はなかった)


千砂都「かのんちゃん…!」

千砂都「私…かのんちゃんのことだけ愛していたいよ…!」
 
53: (あら) 2022/09/22(木) 20:33:07.23 ID:msas62aM
千砂都(私は今、倒錯している)


千砂都(かのんちゃんと共に生きてきた)

千砂都(かのんちゃんに追いつきたくて、かのんちゃんの出来ないことを出来るようになって)

千砂都(かのんちゃんと同じ学校に入って、同じ部活に入って、同じ夢を見て)

千砂都(かのんちゃんと同じお布団で夜を明かして)

千砂都(かのんちゃんと、かのんちゃんに、かのんちゃんの)

千砂都(私の心の中はかのんちゃんでいっぱいだ)

千砂都(だから)

千砂都(『ちぃちゃん、可可ちゃんのことを見捨てるような悪い女になっちゃダメだよ!』)


千砂都(無理やり、かのんちゃんが言いもしないことを頭で言わせていた)
 
54: (あら) 2022/09/22(木) 20:41:46.44 ID:msas62aM
可可「ん…」ピンポーン

可可「ハッ! もう夕方デスか。二度寝したとは思いましたが…」

可可「はいはーい、今開けマスよー」

可可(って、一体誰が来たのかも確認せずに!)

可可(平和と安全の国・日本とは言え、可可は女子高生の一人暮らし!)

可可(どんな輩が狙っているかも分からないのに不用心すぎマス!)

可可(…)

可可(すみれ? かのん?)

可可「…千砂都?」ガチャッ

千砂都「うん…。私」

千砂都「可可ちゃん顔色良くなったね。安心したよ」

可可「千砂都ーーー!」ギュッ

千砂都「!!」
 
55: (あら) 2022/09/22(木) 20:50:56.85 ID:msas62aM
可可「♪~」

千砂都「顔色良くなっただけじゃなく機嫌まで…」

可可「ハイ! しっかり休んだのでだいぶ楽になりマシタ」

可可「それに千砂都が来てくれマシタから…」

千砂都「えっ!?」

可可「…」

可可「え? あれ?」ボウッ

可可(な、何を言ってるデス? 可可は千砂都のこと…)

可可(好き、なのデシタか…?)

千砂都「…」

千砂都「ねぇ可可ちゃん、昨日聞けなかったことなんだけど…」
 
56: (あら) 2022/09/22(木) 20:58:47.57 ID:msas62aM
千砂都「可可ちゃんはすみれちゃんのこと好きだよね?」

千砂都「じゃあ、私のことは今どう思ってるの?」

可可「え…」

可可「…」

可可「…」

可可「っ…」

可可「……えと……その…」

可可「…」

可可「っ…」

千砂都「好きじゃないよね」

可可「好きデス!」

千砂都「えっ!?」ビクッ
 
57: (あら) 2022/09/22(木) 21:05:10.90 ID:msas62aM
可可「好き…可可はすみれのことが好きデス」

可可「何度考えてもそれは間違いないことデス」

千砂都「だったら」

可可「でも!」


可可「千砂都のことも好きデス…!」

可可「好きに、なってしまったんデス…!」
 
60: (あら) 2022/09/22(木) 21:12:09.01 ID:msas62aM
可可(可可のお腹には千砂都との赤ちゃんがいる)

可可(赤ちゃんが可可に語り掛けてくるのデショウか? それとも本能的にそうなるもの?)

可可(昨晩駆けつけてくれた千砂都を見てから、可可の頭は千砂都でいっぱいになっていく)

可可(すみれ)

可可(千砂都)

可可(2人の人を好きになるのはイケナイことなのデスか?)

可可「千砂都は可可のこと…好きデスか?」

千砂都「ううん。友達としてなら好きだけど恋人とは思ってないよ?」

可可「そんなにハッキリ!?」ガーン
 
61: (あら) 2022/09/22(木) 21:21:03.46 ID:msas62aM
千砂都「多分可可ちゃんと同じ。そう簡単に割り切れるものじゃない、でしょ?」

可可「その通りデス…」

千砂都「私はかのんちゃんが好き。それは変わらない。私にとっての変わらないすべて」

可可「全て…」

千砂都「そう、全て」

千砂都「ここに来たのだって頭の中のかのんちゃんに無理やり言いもしない台詞を言わせて…」

千砂都「その暗示で体を動かしてようやくたどり着いたんだから」

可可「意味が分かりませんが千砂都がかのキチなのは知ってマス」

千砂都「ここに来たのはつまり」

千砂都「『かのんちゃんが想う、泣いてる女の子を見捨てない嵐千砂都』でいたいから」

千砂都「それだけなんだよ……ゴメン」
 
62: (あら) 2022/09/22(木) 21:29:04.34 ID:msas62aM
可可「…」

千砂都「…」

可可「フラれてしまいマシタ…」

千砂都「ゴメン。これ以上はもう自分を許せない」

千砂都「けど、昨日言った通りちゃんと責任は取る」

千砂都「一緒に考えよう。可可ちゃん」

可可「ハイ…」

可可(少し晴れた気分がまだ沈んでいく)

可可(それほどまで、千砂都のことを好きになっていたのデスか…)
 
64: (あら) 2022/09/22(木) 21:39:15.14 ID:msas62aM
すみれ「えっ…!?」ピロリン

すみれ「やっぱり例の感染症だった、って…」

すみれ「あの子大丈夫なのかしら? こういう時、お見舞いとか行っていいのかしら?」

すみれ「差し入れくらいならいいわよね? っていうか行くべきよね?」

すみれ「…」ピロリン

すみれ「ん…? グループLINEの方にも?」

すみれ「はぁ!? 千砂都も感染したの!?」

すみれ「まぁ…同じクラスで同じ部活だし誰に感染しても仕方ないわけだけど…」

すみれ「私はなんともないし、かのんたちだって調子悪い感じじゃないし…」

すみれ「うーん?」
 
65: (あら) 2022/09/22(木) 21:46:31.43 ID:msas62aM
かのん「…」ピリリリリリリ

かのん「もしもし、すみれちゃん?」

かのん「うん、LINE見たよ。ちぃちゃんと可可ちゃん感染したんだよね」

かのん「…」

かのん「うん、私は大丈夫。恋ちゃんや他の子も変わらないって」

かのん「…」

かのん「…」

かのん「…そのことなんだけどさ」

かのん「何か理由があると思うんだよね」

かのん(ちぃちゃんは何か隠してる。そのくらいは分かるよ、幼馴染で恋人だもん)
 
67: (あら) 2022/09/22(木) 21:53:43.08 ID:msas62aM
千砂都(次の日、私たちは感染症になったと嘘をついて学校を休んだ)

千砂都(2人で病院に行くためだ)

可可「お腹の中…本当に赤ちゃんがいマシタ」ギュッ

可可「人の体というのは不思議なものデスね」ドキドキ

千砂都「うん…」

千砂都(これでいよいよ実感した。可可ちゃんは母親になったんだ)

千砂都(それにしても出生前DNA鑑定って高いなぁ…結果が出るまでそこそこかかるし)

千砂都(けど、これは私が払わないとね。私の責任なんだから)

千砂都(……感染症の待機期間が終わったらバイト増やさないとなぁ)
 
68: (あら) 2022/09/22(木) 22:00:21.97 ID:msas62aM
すみれ「ん…?」ピンポンピンポーン

すみれ「あれ? いない…? それとも寝てる?」

すみれ「もしかして中で倒れてるってことも…!?」ピロリン

すみれ「あ、病院に行ってるってことか…」

すみれ「食べ物とか飲み物とか、ドアノブにかけとくわよ、っと…」スマスマ

すみれ「…」

すみれ「可可に会えないとやっぱり寂しいものね…」

すみれ「かのんとの浮気で紛らわせているとはいえ…」

すみれ「やっぱり私のパートナーは可可! こんなときだから大事にしてあげないと!」ピロリン

すみれ「はぁ、千砂都も家にいなかったのね。あの子も病院かしら?」
 
71: (あら) 2022/09/22(木) 22:07:23.56 ID:msas62aM
かのん「食べ物とか飲み物とか、ドアノブにかけとくね、っと…」スマスマ

かのん「…」

かのん「可可ちゃんも病院に行ってるんだ」

かのん「…偶然だよね?」

かのん「…」

かのん「ちぃちゃんに会いたいなぁ…」

かのん「…」ピロリン

かのん「しばらくは私たちも会わないようにしよう、っと…」スマスマ

かのん「私とすみれちゃんだって濃厚接触かもしれないんだもんね」

かのん「………寂しいよ」
 
73: (あら) 2022/09/22(木) 22:14:52.15 ID:msas62aM
千砂都「はい、お水。すみれちゃんが持ってきてくれてた分」

可可「ありがとうございマス…」

千砂都「病院までの距離とはいえ疲れたでしょ? ゆっくり休んでね」

可可「はい…。お腹に赤ちゃんがいると思うと、無理出来ないものデスね」

千砂都「そういうものなの? …そうなんだ」

可可「はい」

千砂都「…」

可可「…」

可可「千砂都は、これから1週間どうするのデスか? 感染症って嘘ついちゃいマシタけど」

千砂都「うーん、考え中なんだよね。家にいるべきなんだけど可可ちゃんを放っておけないし」

千砂都「そうだ! 私も1週間ここに泊まっていい?」

可可「えっ…///!?」
 
75: (あら) 2022/09/22(木) 22:21:36.51 ID:msas62aM
可可「えっ…!? それは、その…」カアアアア

千砂都「あ…」

千砂都「ち、違うよ!? そういう意味じゃなくて!」

可可「そういう意味でも、いいんデスよ…?」

千砂都「そういう意味じゃないの! ゴメン…」

可可「…」

可可「いえ、いいんデス…。千砂都は、可可が心配だから一緒にいてくれるんデスよね?」

可可「責任を取ってくれる…そういう理由デス」

千砂都「うん…」

可可「半分物置になってるお部屋がありマス。そこを使ってください。お布団もありマスよ」

千砂都「分かった…。そこ、使わせてもらうね」
 
76: (あら) 2022/09/22(木) 22:29:05.79 ID:msas62aM
千砂都「…」

千砂都「はぁ…」

千砂都(今のは軽率だったな…。1週間も一緒にいるなんて)

千砂都(可可ちゃんは私のことを好きだと言ってくれてる。そんな人と一緒に居たらますます…)

千砂都「何考えてるんだろ…私…」

千砂都「…」

千砂都「このお布団…すみれちゃんの匂いがする」

千砂都「何を考えてるの? 可可ちゃん」

千砂都「可可ちゃんは、すみれちゃんのことが好きなんでしょ…?」
 
77: (あら) 2022/09/22(木) 22:37:11.00 ID:msas62aM
千砂都(それから1週間…)

千砂都「はい、可可ちゃん。お粥出来たから食べてね」

可可「ありがとうございマス…。千砂都もお料理上手デス」

千砂都「タコ焼き屋してるからね!」

千砂都(可可ちゃんは、寝ている時間が長くなった)

千砂都(妊娠初期の体の変化が辛いのもあるだろう)

千砂都(…私がすぐ傍にいることに、安心感を覚えているのかもしれない)

千砂都「ゆっくり休んで、可可ちゃん…」


千砂都(そして誰にも見つからない深夜にこっそり抜け出して、家に戻る)

千砂都「かのんちゃん…また差し入れ持ってきてくれてる」

千砂都「かのんちゃん…会いたいよ…!」
 
78: (あら) 2022/09/22(木) 22:45:10.87 ID:msas62aM
千砂都(そして―――ついにその時を迎える)


かのん「はぁ…」

かのん「結局またすみれちゃんとしちゃった…」

かのん「1週間もちぃちゃんと会えないなんて寂しいよ…家に行っても出てくれないしさ」

かのん「そりゃあ感染リスクあるから会えないっていうのは分かるんだけど」

かのん「…明日我慢すれば明後日からは待機解除になるんだもんね」

かのん「あ、もう日付変わってるし明後日というより明日かな!」

かのん「待ち遠しいなぁ…」

かのん「…」

かのん「えっ…!?」
 
84: (あら) 2022/09/22(木) 22:55:06.58 ID:msas62aM
千砂都(明後日で待機解除になるって学校には伝えてる…)

千砂都(後遺症がーって言ってもう少し期間を延ばすことは出来るだろうけど…)

千砂都(どちらにせよ、これからどうするのか決めないといけない)

千砂都(少なくとも可可ちゃんはもう元の生活に戻ることは出来ない)

千砂都「明日、話さないとなぁ…」

かのん「…ちぃ、ちゃん?」

千砂都「…!!!」ビクッ

かのん「どうして、ちぃちゃんが可可ちゃんのマンションに入ろうとしてるの…?」

千砂都「かのん、ちゃん…!?」
 
85: (あら) 2022/09/22(木) 23:03:27.03 ID:msas62aM
可可「ん…」

可可「また眠ってしまってマシタ…」

可可(そろそろ、つわりが辛い時期に入ると聞いてマス…)

可可(可可はもう、部活に戻れるような体力はないデショウ)

可可(明日には決めないといけないデス…)

可可「…千砂都?」

可可「千砂都ー?」ガチャッ

可可「ちさ、と…?」ドタドタ

可可「千砂都…どこに行っちゃったんデスか…?」
 
86:今日はここで中断します。続きは明日投下します(あら) 2022/09/22(木) 23:10:21.17 ID:msas62aM
かのん「ちぃちゃん、感染症はもう良くなったんだね。出歩けるようになったんだもんね」

千砂都「う、うん…」

かのん「けど、どうして可可ちゃんのマンションに入ろうとしてるの?」

かのん「可可ちゃんも陽性みたいだけど、差し入れならすみれちゃんが持って行ってるハズだよ?」

かのん「ちぃちゃんが無理をしてこんな時間にここに来る理由、ないよね?」

千砂都「それ、は…!」

かのん「…何を隠してるの? ちぃちゃん」

かのん「恋人の私より先に…一体どういうつもりなの!?」

かのん「可可ちゃんの方が大事なの!?」

千砂都「!!」

かのん「『違うよ』って言ってよ!!」
 
98:再開します(あら) 2022/09/23(金) 13:32:22.21 ID:3TsO1R9s
千砂都「ちが…ちがう、よ…」

千砂都「かのんちゃんのことが…だいじ、だよ…?」

かのん「だったらどうして!?」

千砂都「それは…理由があって…」

かのん「どんな理由があるの!?」

かのん「私、この1週間寂しかったよ…。LINEも反応悪いし」

かのん「電話だってなかなか出てくれないし、家に行っても出てくれないし…」

かのん「いや、まさか…出てくれないんじゃなくて家にいなかったんじゃ…!?」

かのん「ずっと、ここに…!」ガタガタガタガタ


可可「その、通りデス。かのん…」

可可「千砂都はずっと、可可と一緒にいまシタ」
 
99: (あら) 2022/09/23(金) 13:41:24.42 ID:3TsO1R9s
かのん「!!?」

千砂都「く、可可ちゃん!? 階段降りて来たの!? そんなことしたら…」

可可「大丈夫デス。そのくらいの体力はありマス」

千砂都「でも…」

かのん「え…? 何ソレ意味わかんない…ちぃちゃんがずっと、可可ちゃんと一緒にいた!?」

かのん「何の為に!? 確かに可可ちゃん調子悪そうだけどちぃちゃんがいる必要ないよね!?」

かのん「私の恋人といる必要…ないよね…? すみれちゃんを、呼ぶよね…?」

かのん「まさか…まさかまさか…まさか…」

可可「そのまさかデス」

可可「千砂都は…可可のものデス」ギュッ

千砂都「可可ちゃん!」

かのん「嘘…嘘…嘘だよ…!」

千砂都「違う! 違うよかのんちゃん! 私は…」

かのん「いや………………そんなの嫌だよっ…いやあああああああ!」ダッ
 
102: (あら) 2022/09/23(金) 13:50:28.08 ID:3TsO1R9s
千砂都「可可ちゃん!」

可可「…ゴメンナサイ」

千砂都「ゴメンじゃ済まないよ! 私はかのんちゃんの恋人なんだよ…!」

千砂都「可可ちゃんのものじゃないんだよ…!」

可可「ソウ、デスね…」

可可「可可はもう、千砂都と一緒になったように感じていまシタ…」

可可「お腹の子も、そう言ってマス…」

千砂都「――――!!」

千砂都「…これまでずっと、言わないできた。これだけは言わないできた」

千砂都「酷いことだと思っていたから。明日…聞くしかないと思ってた」


千砂都「可可ちゃんはその子…どうするの? 産むつもり、なの?」
 
105: (あら) 2022/09/23(金) 14:00:07.12 ID:3TsO1R9s
千砂都「この1週間、聞かずにいたのはDNA鑑定の結果を待ってからでいいと思ってたから」

千砂都「万が一私の子じゃなかったら私に堕ろすとかそんな話出来ないもん」

千砂都「けど…」

千砂都「私が本当にその子の親なら、聞かないといけない」

可可「…」

可可「千砂都は、どう思いマスか?」

千砂都「質問に質問で返さないで!」

千砂都「私は可可ちゃんの想いを聞いてるんだよ!」

千砂都「私は…」


千砂都「堕ろして欲しくなんかないよ…! 可可ちゃんもその子も…大事だよ…!」
 
106: (あら) 2022/09/23(金) 14:10:27.00 ID:3TsO1R9s
千砂都(ゆらゆら)

千砂都(心が揺らぐ)

千砂都(変わらないと思っていた全てが崩れていく)

千砂都(これが親になるっていうことなんだろうか?)

千砂都(『母親』になった可可ちゃんといて…可可ちゃんのことを本気で大事と思うようになった)

千砂都(かのんちゃんのことは好きだ)

千砂都(だけど)

千砂都「可可ちゃんのことも…好きだよ…!」

千砂都「2人の人を好きになるのは…いけないことだよ…!」
 
108: (あら) 2022/09/23(金) 14:20:12.92 ID:3TsO1R9s
可可「千砂都…」

千砂都「可可ちゃん…」

可可「すみれからLINEが来ていマス。…明日、ここに来るそうデス」

千砂都「うん…」

可可「その前にたくさんお話しまショウ。これからのこと」

千砂都「うん…、うん…!」

可可「しっかりして下さい。今の可可を支えてくれるのは」

可可「千砂都なのデスから」

千砂都「うん…!」
 
109: (あら) 2022/09/23(金) 14:30:35.21 ID:3TsO1R9s
千砂都「…眠れそう?」

可可「日中随分寝てたので、まだ眠れそうにないデス…」

千砂都「そっか…」

可可「…嘘、デス」

千砂都「え…?」

可可「眠れないのは千砂都の本当の気持ちが聞けてドキドキしてるからデス…」

千砂都「…!!」

可可「千砂都も、そうなのデスか…?」

千砂都「うん…」

可可「だったら…可可もそっちに行って、いいデスか…?」

千砂都「それはダメだよ…」

千砂都「私がそっちに行くから…!」
 
110: (あら) 2022/09/23(金) 14:40:12.58 ID:3TsO1R9s
 
 
 
 
千砂都(その日私は―――生まれて初めて、恋人以外の人と本気のキスをした)
 
 
 
 
 
 
千砂都(優しく、大事に、赤ちゃんを抱くように)

千砂都(愛する人を、慈しむように)
 
113: (あら) 2022/09/23(金) 14:50:51.62 ID:3TsO1R9s
かのん「っ…」

すみれ「調子、悪いみたいだけど大丈夫?」

可可「平気デス」

すみれ「そう…」

すみれ「千砂都の方は、全然問題ないみたいね」ギリッ

千砂都「うん。心配かけてゴメン」

かのん「ゴメンじゃないでしょ…?」

かのん「どういうことなのか説明してよ!」

千砂都「説明の前に、先に謝ります」

千砂都「ごめんなさい、私はかのんちゃんとすみれちゃんを裏切りました」

かのん「!!!?」
 
116: (あら) 2022/09/23(金) 15:01:24.95 ID:3TsO1R9s
すみれ「…!」

可可「可可も謝りマス…。千砂都を誘ったのは可可の方デス」

可可「誠に、申し訳ありまセン」

すみれ「…!!」

可可「次は、すみれとかのんの番デス」

かのん「…知ってたんだね。私とすみれちゃんが浮気してたの」

千砂都「…うん」

可可「もう随分前から何度もしてるみたいデスね」

すみれ「…」

すみれ「…そうよ」

すみれ「ああ、そう…。じゃあこれは私たちへの仕返しっていうことなのね…」

かのん「う…」
 
117: (あら) 2022/09/23(金) 15:12:26.22 ID:3TsO1R9s
かのん「で…でもっ! だからってこんな嘘までついて…!」

かのん「心配したんだよ!? 寂しかったんだよ!? ちぃちゃんがいないと私…」

かのん「ちぃちゃんは私のこと、嫌いになっちゃったの!?」

千砂都「好きだよ」

可可「…」

かのん「え…」

かのん「そっか…それなら良かった…///」

千砂都「でも」

千砂都「可可ちゃんのことも好き、なんだ…」

すみれ「はぁああああっ!?」
 
119: (あら) 2022/09/23(金) 15:19:11.63 ID:3TsO1R9s
すみれ「アンタそれどういう意味よ…」

すみれ「可可が私の恋人だって知ってて言ってるのよね?」

千砂都「うん。言ってる」

千砂都「可可ちゃんがすみれちゃんのこと好きだっていうのも知ってて言ってる」

千砂都「私がまだかのんちゃんのことを好きなのにそれでも言ってる」

かのん「え…ええっ!? ちぃちゃん何それ意味が」

千砂都「私は…」

千砂都「可可ちゃんのこと、好きだよ…」

可可「千砂都…!」
 
120: (あら) 2022/09/23(金) 15:31:06.33 ID:3TsO1R9s
かのん「いや…ちぃちゃんからそんな言葉聞きたくない…!」

かのん「ちぃちゃんは私の幼馴染で大事な恋人で…これからもずっと一緒で…」

かのん「私のことを一番に見ててくれる…そうじゃなくちゃ」

すみれ「可可もそうなの?」

可可「ハイ…。可可もすみれのことは好き、デス…」

可可「でも、千砂都のことも好きデス」

かのん「いやあああああああ!」

かのん「やめて…やめてよ…こんなの…!」

すみれ「少し黙りなさい、かのん」

かのん「え…!?」

すみれ「散々2人を傷つけるような不貞を働いておいて、やめてなんて言えないでしょ…」

すみれ「っ………」
 
122: (あら) 2022/09/23(金) 15:40:16.01 ID:3TsO1R9s
すみれ「可可、千砂都…」

すみれ「ごめん」

千砂都「…」

可可「…」

かのん「すみれ、ちゃん…!」

かのん「私もゴメン! 可可ちゃん! ちぃちゃん! 私…私…!」

すみれ「私たち、もうこんな関係は続けない。浮気はしない」

すみれ「だから…」

すみれ「元の関係に戻りましょう…?」

可可「…!!」
 
124: (あら) 2022/09/23(金) 15:51:30.46 ID:3TsO1R9s
すみれ「見て…」コトッ

可可「それは…」

すみれ「貴女がくれたティアラよ。私はこれに…貴女に救われたの」

すみれ「私は貴女のことが好き。大好き」

すみれ「貴女を深く傷つけた私にこんなことを言う資格がないのは分かってる、けど…」

すみれ「私、貴女がいない生活なんて考えられない…!」

千砂都「…」

すみれ「お願い…」

すみれ「私を、許してください…」

すみれ「また、貴女と一緒にいさせてください…!」

可可「すみれ…」

可可「しゅみれぇ…!」
 
127: (あら) 2022/09/23(金) 16:00:53.78 ID:3TsO1R9s
可可(あのすみれが、私に頭を下げて泣いている)

可可(心が揺らぐ。好き。可可はすみれのことが大好き)

可可(一緒にいて楽しい。こんな嫌な子の可可を認めてくれる)

可可(けど…)

可可「…」さすり

可可「ごめんなさい、すみれ…」

すみれ「え…」

可可「すみれのことが大好き、で…大好き『でした』」

すみれ「そん、な…」

千砂都「…」ピンポーン

千砂都「ちょうど届いたみたいだね…。DNA鑑定の結果」
 
128: (あら) 2022/09/23(金) 16:10:47.95 ID:3TsO1R9s
かのん「DNA鑑定? 一体なんの…」

千砂都「可可ちゃん」

可可「ハイ…2人で一緒に開けましょう」

千砂都「結果は…」


可可「千砂都は…」

千砂都「私は…」


『99.99994%、生物学的親子関係であると判断されます』


すみれ「親子…!? じゃあ、貴女たちは…!!!!!」

かのん「可可ちゃんのお腹に…ちぃちゃんの赤ちゃんがいるってこと…!?」
 
132: (あら) 2022/09/23(金) 16:20:37.42 ID:3TsO1R9s
可可「…千砂都」

千砂都「…うん。覚悟、決まったよ」

すみれ「は…!? 覚悟って何よ! まさか…」

かのん「いや…嫌…言わないで…!」

可可「すみれ、かのん…」

千砂都「私たちは…」


可可「この子を、産むつもりデス…」

千砂都「だからスクールアイドル部も辞める。学校も…多分退学になると思う」
 
136: (あら) 2022/09/23(金) 16:30:15.31 ID:3TsO1R9s
すみれ「ば…馬鹿なこと言ってんじゃないわよ!」

すみれ「貴女たちまだ高校生なのよ!? 育てられるわけないじゃない!」

すみれ「第一可可は留学生なのよ!? 国に返されるに決まってる!」

すみれ「千砂都は冴えないタコ焼き屋のバイトなんかで養えると思ってるの!?」

可可「国にはむしろ帰れまセン…。話をしたら勘当されてしまいマシタ」

可可「だから千砂都と結婚して、配偶者ビザを申請シマス…」

千砂都「私はもっとちゃんとしたところで働く。アテはちゃんとある」

かのん「そんなの無理だよ!」

かのん「それに…私たちの…ラブライブの夢は…?」

千砂都「…ゴメン」

かのん「!!」
 
139: (あら) 2022/09/23(金) 16:40:30.98 ID:3TsO1R9s
可可「スクールアイドルの夢はみんなに託しマス」

すみれ「ダメ! そんなの許さない!」

すみれ「貴女が始めた物語でしょ!? 諦めるの!?」

可可「諦めマス…」

すみれ「そんなにあっさり!?」

可可「可可は…可可の夢より…自分が始めた物語より」

可可「この子の物語を、選びマス」

かのん「ちぃちゃんも可可ちゃんを止めてよ! ちぃちゃんは私たちと…私と一緒に」

千砂都「私も、この子と…可可ちゃんを選ぶよ」

千砂都「そう決めたんだ」
 
140: (あら) 2022/09/23(金) 16:50:09.49 ID:3TsO1R9s
千砂都(変わらないと思っていたすべてが崩れ落ちていく)

可可(揺らいでいた心が新しいカタチで固まっていく)


すみれ「そうよ…。せめて高校くらいは卒業するべきよ…!」

すみれ「だから…その子の為にも」


すみれ「堕ろす、べきよ…」

かのん「そうだよ…」


可可(心は決まった)

千砂都(この子と共に生きていく。それが新しい、私のすべてだ)
 
142: (あら) 2022/09/23(金) 16:59:51.14 ID:3TsO1R9s
恋「はい…。正直なところ、とても残念です」

千砂都「ゴメン、恋ちゃん…」

恋「ですが私はどこにいても貴女たちの親友…Liella!の仲間であることに変わりありません」

恋「心から祝福します。どうかお二人…三人の人生が輝くものでありますように」

可可「レンレン…ありがとうございマス…!」

恋「Liella!の方は任せて下さい。かのんさんとすみれさんも来てくれなくなってしまいましたが…」

恋「連れ戻して見せます。そうでなくても、私と1年生たちでラブライブに出場します」

恋「絶対に」

可可「レンレン…レンレン…!」

恋「ふふ、私に抱き着いたら浮気になってしまうのでは?」

千砂都「恋ちゃん…!」

千砂都「有難う…! そして、さよなら…」
 
145: (あら) 2022/09/23(金) 17:11:09.44 ID:3TsO1R9s
Epilogue

千砂都「ただいま~。うんうん、今日も我が子はまるっとして可愛いねぇ」

可可「お帰り、千砂都。疲れてるでしょう?」

可可「ご飯にしますか? お風呂にしますか? そ・れ・と・も…」

可可「可可に」

千砂都「お風呂入るねー!」

可可「…」

千砂都「あ、言われてたもの買ってきてるからー! 机に置いてるからねー!」

可可「千砂都のいけず…」

可可「すみれなら、すぐに襲ってくるんでしょうね」

可可「…でも、それが千砂都です」
 
146: (あら) 2022/09/23(金) 17:26:37.71 ID:3TsO1R9s
千砂都「はぁ…」チャプン

千砂都「まさか、かのんちゃんがウチの職場に来るなんて…」

千砂都「結女卒業してウチに就職するとか誰も考えないよ…」

千砂都「あー、可可になんて説明しよう」

千砂都「絶対何しても浮気を疑われるよね…」

千砂都「早めにかのんちゃんの新しい恋人見つけてあげないと…!」

可可「今、かのんのこと考えてませんでした?」ガラッ

千砂都「ひっ!?」

可可「お背中流しますよ? ア・ナ・タ?」

千砂都「えぇ…」

可可「今の話を詳しく聞いたらですがね」6c◉ _ ◉∂
 
147: (あら) 2022/09/23(金) 17:40:35.52 ID:3TsO1R9s
可可「はぁ~~~~!? かのんが千砂都の職場に就職!?」

千砂都「部署は違うんだけどね…。でも間違いなく狙ってやったことだと思う」

千砂都「卒業直前まで進路相談してたんだけどなぁ…まさかこう来るなんて」

可可「ぐぬぬぬぬぬ…! あの泥棒猫!」

千砂都「泥棒猫になったのは私たちの方なんだけどね…」

可可「それはそれです! 千砂都!?」

千砂都「は、はいっ!」

可可「絶対浮気したらダメですよ…?」キュッ

千砂都「もちろんだよ」

千砂都「可可と、この子が不幸になるようなことはしないよ」
 
149: (あら) 2022/09/23(金) 17:50:17.62 ID:3TsO1R9s
千砂都「あ、スクールアイドル特集だ」

千砂都「この子はスクールアイドルの曲を聞くと大喜びするね」

可可「可可たちの子どもですから」

可可「来ました! Liella!です!」

可可「…」

可可「今年も目指すのは優勝…頑張っているようですね」

千砂都「うん。恋ちゃんも大学の授業が休みの時に練習見てくれるんだって」

千砂都「すみれちゃんは…」

可可「まぁ、浪人生は練習見に来る暇とかないですから…」

千砂都「あの予備校、外出する暇もないくらい厳しいらしいね。恋愛絶対禁止とか」

千砂都「そんなところに身を置くなんて凄い覚悟だよ…」

可可(すみれ…貴女は自分の夢に向かって、頑張ってくださいね…)
 
150: (あら) 2022/09/23(金) 18:00:30.80 ID:3TsO1R9s
千砂都(今でも時々、思うことはある)

千砂都(あの日、がなかったら)

千砂都(私はかのんちゃんと)

可可(可可はすみれと、こんな風に家庭を築いていたのでしょうか?)

可可(いや、きっとこの家族は…今の優しい空気は)

千砂都(私と可可だからこそ、あるんだと思う)


可可「明日も早いんでしょう?」

千砂都「うん。この子が寝たら私も寝るよ」

千砂都「だから先にお休み?」

千砂都「可可」



 
152: (しうまい) 2022/09/23(金) 18:12:00.00 ID:XDUzp80k
すごく面白かったし爛れた話は好きだ
かのんとすみれサイドの続編が見たくなる終わり方だった 乙
 
155: (もんじゃ) 2022/09/23(金) 18:43:09.16 ID:WQxX5MNN

クゥちぃはとても暖かい家庭を築けそう
 
157: (もんじゃ) 2022/09/23(金) 21:14:47.04 ID:4hlC/LHD
お子さんの名前は千可(ちか)ちゃんで
 
159: (もんじゃ) 2022/09/23(金) 21:56:23.81 ID:bSgAjNRI
こういうSSは助かる
 
163: (茸) 2022/09/24(土) 11:12:37.36 ID:o37gVBjX
脳が破壊と再生を繰り返している
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1663834331/

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