1: (笑) 2017/12/04(月) 00:09:46.50 ID:OfS5ZATO
曜「えへへ……今日は千歌ちゃんの家にお泊り……♪」
曜「えっと、準備するものはこれで大丈夫かな……う、うん。いざという時のための下着も準備してるし……！」
曜「べ、別にやましい気持ちがあるってわけじゃなくてただ何事にも心の準備ってものがあってもうヨーソローなぁ！」
曜「さて。そろそろ出なきゃ。千歌ちゃんにLINEして、っと……」
曜「それじゃおかーさーん！ 行ってくるねー！」
曜「えっと、準備するものはこれで大丈夫かな……う、うん。いざという時のための下着も準備してるし……！」
曜「べ、別にやましい気持ちがあるってわけじゃなくてただ何事にも心の準備ってものがあってもうヨーソローなぁ！」
曜「さて。そろそろ出なきゃ。千歌ちゃんにLINEして、っと……」
曜「それじゃおかーさーん！ 行ってくるねー！」
2: (笑) 2017/12/04(月) 00:10:12.70 ID:OfS5ZATO
曜「ちーかーちゃーん！」
志満「あらいらっしゃい。千歌から話は聞いてるからあがって」
曜「えへへ、お邪魔します！」
志満「……にしても、もしかしたら部屋で寝てるのかもね。起こしてきてくれるかな？」
曜「はい！ 了解であります！！」
志満「あらいらっしゃい。千歌から話は聞いてるからあがって」
曜「えへへ、お邪魔します！」
志満「……にしても、もしかしたら部屋で寝てるのかもね。起こしてきてくれるかな？」
曜「はい！ 了解であります！！」
3: (笑) 2017/12/04(月) 00:11:17.14 ID:OfS5ZATO
曜「ドアをノックしても反応がない……寝てるね」
曜「ち～か～ちゃ～ん」ｶﾞﾁｬ
曜「ちかちゃーん。おきてるー？」
千歌「………」
？？？「………」
曜「………え」
曜「ち～か～ちゃ～ん」ｶﾞﾁｬ
曜「ちかちゃーん。おきてるー？」
千歌「………」
？？？「………」
曜「………え」
4: (笑) 2017/12/04(月) 00:11:47.70 ID:OfS5ZATO
？？？「……何者だ」
曜「…………」
曜「～～～～～～！！！！！」
曜（ななななな、なになになになになに！？！？！？）
曜（全身真っ黒な布と……が、骸骨みたいな顔……！？）
？？？「混乱しているようだな、娘よ」
曜「！……！！」
曜（声が、出ない……！）
曜「…………」
曜「～～～～～～！！！！！」
曜（ななななな、なになになになになに！？！？！？）
曜（全身真っ黒な布と……が、骸骨みたいな顔……！？）
？？？「混乱しているようだな、娘よ」
曜「！……！！」
曜（声が、出ない……！）
5: (笑) 2017/12/04(月) 00:12:06.85 ID:OfS5ZATO
？？？「我は死神。お前には、私の姿が見えるのか」
曜「！」
曜（し、しにがみっ！？）
？？？「ちょうどこの娘の魂を貰いに来たところだったのだが……知り合いか？」
曜「しっ……しっ……しん、親友……っ！」
死神「ほう」
曜「！」
曜（し、しにがみっ！？）
？？？「ちょうどこの娘の魂を貰いに来たところだったのだが……知り合いか？」
曜「しっ……しっ……しん、親友……っ！」
死神「ほう」
6: (笑) 2017/12/04(月) 00:13:27.15 ID:OfS5ZATO
曜「親友っ……！ 親友っ、ですっ……！！」
死神「そうか。では気の毒だが、この娘の魂は貰っていくぞ」
曜「な、なんっ！ なんっ……っっ！ なんで……っ！！」
死神「何故、と問うているのか？」
曜「！！」ｺｸｺｸ
死神「そうだな。理由などない。死とは常に唐突に、突然、理不尽に訪れるものである。偶然、我の目に止まったこの娘の魂の輝きが、昨今では見ぬほど美しくてな。つい、蒐集したくなっただけだ」
曜「そ、それだけの理由で……！？」
死神「そうだ」
曜「そ、そんなの認められないよ！！」
死神「ならば、神に抗うというのか？」
曜「ち、千歌ちゃんは連れて行かせないよっ！！！」
死神「そうか。では気の毒だが、この娘の魂は貰っていくぞ」
曜「な、なんっ！ なんっ……っっ！ なんで……っ！！」
死神「何故、と問うているのか？」
曜「！！」ｺｸｺｸ
死神「そうだな。理由などない。死とは常に唐突に、突然、理不尽に訪れるものである。偶然、我の目に止まったこの娘の魂の輝きが、昨今では見ぬほど美しくてな。つい、蒐集したくなっただけだ」
曜「そ、それだけの理由で……！？」
死神「そうだ」
曜「そ、そんなの認められないよ！！」
死神「ならば、神に抗うというのか？」
曜「ち、千歌ちゃんは連れて行かせないよっ！！！」
8: (笑) 2017/12/04(月) 00:13:56.94 ID:OfS5ZATO
死神「……お前には、一つだけ残された道がある」
曜「道？」
死神「我と契約を交わすのだ」
曜「けい、やく？」
死神「この娘の命の代わりに、お前が"代価"を差し出す。その代価に応じて、命をもらうまでの刻限を延長させてやろう」
曜「………」
死神「神に意見しようというのだ。最大限の譲渡と思って欲しいものだ」
曜「……何を、捧げればいいの」
死神「ほう。契約を結ぶのか」
曜「千歌ちゃんの命には代えられない……！」
死神「ならば……"代価"を頂いていくぞーーーー」
曜「道？」
死神「我と契約を交わすのだ」
曜「けい、やく？」
死神「この娘の命の代わりに、お前が"代価"を差し出す。その代価に応じて、命をもらうまでの刻限を延長させてやろう」
曜「………」
死神「神に意見しようというのだ。最大限の譲渡と思って欲しいものだ」
曜「……何を、捧げればいいの」
死神「ほう。契約を結ぶのか」
曜「千歌ちゃんの命には代えられない……！」
死神「ならば……"代価"を頂いていくぞーーーー」
9: (笑) 2017/12/04(月) 00:14:31.87 ID:OfS5ZATO
千歌「ふぁああ……」
曜「おはよう、千歌ちゃん。もう晩御飯だよ？」
千歌「うぇえっ！？ よ、曜ちゃん！？」
曜「あはは……ほら、今日お泊りに来るって言ってたじゃん？」
千歌「ご、ごめーん！ 部屋の掃除してたらつい寝ちゃって！！」
曜「いいよいいよ。じゃ、晩御飯食べに行こ？」
千歌「えへへ……じゃ、一緒にいこ！」
曜「うん！」
曜（千歌ちゃん……）
曜「おはよう、千歌ちゃん。もう晩御飯だよ？」
千歌「うぇえっ！？ よ、曜ちゃん！？」
曜「あはは……ほら、今日お泊りに来るって言ってたじゃん？」
千歌「ご、ごめーん！ 部屋の掃除してたらつい寝ちゃって！！」
曜「いいよいいよ。じゃ、晩御飯食べに行こ？」
千歌「えへへ……じゃ、一緒にいこ！」
曜「うん！」
曜（千歌ちゃん……）
10: (笑) 2017/12/04(月) 00:16:00.50 ID:OfS5ZATO
千歌「すぅ……すぅ……」
曜「………千歌ちゃん」
曜（眠れないなぁ……）
死神「時間だ、娘よ」
曜「………私の貯金程度じゃ、数時間が限度かぁ」
死神「どうする？」
曜「……他に、何なら差し出せる？」
死神「差し出せるものは、形あるモノのみとは限らない。例えばーー」
曜「………千歌ちゃん」
曜（眠れないなぁ……）
死神「時間だ、娘よ」
曜「………私の貯金程度じゃ、数時間が限度かぁ」
死神「どうする？」
曜「……他に、何なら差し出せる？」
死神「差し出せるものは、形あるモノのみとは限らない。例えばーー」
11: (笑) 2017/12/04(月) 00:16:28.44 ID:OfS5ZATO
曜「……じゃあ、それを持っていって」
死神「了解した」
曜（もう、後戻りはできないんだ）
死神「了解した」
曜（もう、後戻りはできないんだ）
12: (笑) 2017/12/04(月) 00:18:15.08 ID:OfS5ZATO
部室
千歌「おっはよー！！」
曜「おはヨーソロー！」
梨子「………」
千歌「ん？ 梨子ちゃん眉間に皺寄せてどうしたの？」
梨子「……ん」ﾕﾋﾞｻｼ
千歌「あ、シュークリームだ！」
曜「これ、食べていいの！？」
梨子「………」
千歌「おっはよー！！」
曜「おはヨーソロー！」
梨子「………」
千歌「ん？ 梨子ちゃん眉間に皺寄せてどうしたの？」
梨子「……ん」ﾕﾋﾞｻｼ
千歌「あ、シュークリームだ！」
曜「これ、食べていいの！？」
梨子「………」
13: (笑) 2017/12/04(月) 00:18:58.82 ID:OfS5ZATO
ちかよう「「いただきまーす！！」」
曜「………」ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞ
千歌「……」ﾓｸﾞﾓ
千歌「はぐぅあっ！？！？」ﾌﾞﾌｫｫｯ
曜「え？ 千歌ちゃんどうしたの？」
千歌「おっ……あぇぐぁ……っ！！ み、みすっ……！」
曜「……うわっ、中真っ赤じゃんこれ」
善子「ドッキリ大ッ成ッ功！！！」
鞠莉「イェーーーーイ！！！」
曜「………」ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸﾞ
千歌「……」ﾓｸﾞﾓ
千歌「はぐぅあっ！？！？」ﾌﾞﾌｫｫｯ
曜「え？ 千歌ちゃんどうしたの？」
千歌「おっ……あぇぐぁ……っ！！ み、みすっ……！」
曜「……うわっ、中真っ赤じゃんこれ」
善子「ドッキリ大ッ成ッ功！！！」
鞠莉「イェーーーーイ！！！」
14: (笑) 2017/12/04(月) 00:19:43.44 ID:OfS5ZATO
千歌「ひ、ひどいよりこひゃん！！」
梨子「ごめんね……ふたりとも……私も騙されたんだから……」
曜「これ、中身は堕天使の涙かぁ……」
善子「……って、曜は大丈夫なの？」
曜「あ……あ、あんまり口の中に入らなかったからかな！ あははは」
梨子「命拾いしたわね」ｼﾞﾄｰｯ
曜「なんだか視線が痛いよ梨子ちゃん！？」
千歌「みーーーーーーーずーーーーーーー！！！！！！」
曜「………」
梨子「ごめんね……ふたりとも……私も騙されたんだから……」
曜「これ、中身は堕天使の涙かぁ……」
善子「……って、曜は大丈夫なの？」
曜「あ……あ、あんまり口の中に入らなかったからかな！ あははは」
梨子「命拾いしたわね」ｼﾞﾄｰｯ
曜「なんだか視線が痛いよ梨子ちゃん！？」
千歌「みーーーーーーーずーーーーーーー！！！！！！」
曜「………」
15: (笑) 2017/12/04(月) 00:20:36.93 ID:OfS5ZATO
ダイヤ「それでは、今日の練習は此処まで」
千歌「……ダイヤさん。もうちょっと、個人練習見てもらっていいですか？」
ダイヤ「千歌さん？」
千歌「うん……ラブライブ優勝目指す、っていざ考えると、いてもたってもいられなくて！！」
ダイヤ「まったく……無理は禁物ですからね？」
千歌「はいっ！！」
梨子「すっかり、リーダーになっちゃったね、千歌ちゃん」
曜「うん……」
曜「そう、だね」
千歌「……ダイヤさん。もうちょっと、個人練習見てもらっていいですか？」
ダイヤ「千歌さん？」
千歌「うん……ラブライブ優勝目指す、っていざ考えると、いてもたってもいられなくて！！」
ダイヤ「まったく……無理は禁物ですからね？」
千歌「はいっ！！」
梨子「すっかり、リーダーになっちゃったね、千歌ちゃん」
曜「うん……」
曜「そう、だね」
17: (笑) 2017/12/04(月) 00:22:15.33 ID:OfS5ZATO
曜（……晩御飯にも、慣れてきちゃったな）
曜「千歌ちゃん……」
死神「娘よ。刻限だ」
曜「まだ……まだだよ」
死神「ほう。"味覚"を喪失しても尚、次に何かを差し出すつもりでいるのか？」
曜「千歌ちゃんが、何かを成し遂げようと頑張ってるんだ」
曜「こんな……こんなところで、死んじゃいけないんだ」
曜「さあ。また、私から持っていってよ」
曜「もっと……もっと、千歌ちゃんには時間が必要なんだから……！」
曜「千歌ちゃん……」
死神「娘よ。刻限だ」
曜「まだ……まだだよ」
死神「ほう。"味覚"を喪失しても尚、次に何かを差し出すつもりでいるのか？」
曜「千歌ちゃんが、何かを成し遂げようと頑張ってるんだ」
曜「こんな……こんなところで、死んじゃいけないんだ」
曜「さあ。また、私から持っていってよ」
曜「もっと……もっと、千歌ちゃんには時間が必要なんだから……！」
19: (笑) 2017/12/04(月) 00:24:14.70 ID:OfS5ZATO
死神「では、何を差し出す？ 他の五感を失っては、生きることすら困難になるぞ」
曜「何か……何か、ないの？」
死神「ーーーーであれば。その美貌をいただくのはどうか」
曜「えっ……？」
死神「人間の基準はよくわからぬがーーーお前の容姿は、人間の中では秀でている部類のようだ」
曜「……褒められてるはずなんだけど、あまり嬉しくないなぁ」
死神「だが、それを喪えばーーーお前は、あの９人の中にはいられなくなるだろう」
曜「……だろうね。スクール"アイドル"っていうくらいなんだから」
曜「何か……何か、ないの？」
死神「ーーーーであれば。その美貌をいただくのはどうか」
曜「えっ……？」
死神「人間の基準はよくわからぬがーーーお前の容姿は、人間の中では秀でている部類のようだ」
曜「……褒められてるはずなんだけど、あまり嬉しくないなぁ」
死神「だが、それを喪えばーーーお前は、あの９人の中にはいられなくなるだろう」
曜「……だろうね。スクール"アイドル"っていうくらいなんだから」
20: (笑) 2017/12/04(月) 00:24:43.35 ID:OfS5ZATO
曜「……でもいいよ。もっていって」
死神「よいのか？」
曜「顔がダメになっても、衣装作りくらいはできるんでしょ？ みんなを支えることができるなら、私はそれでいい」
死神「そうか。では、契約成立だ」
曜（……もう、千歌ちゃんの隣では踊れないんだね）
曜（……ううん。千歌ちゃんの隣にいることも、難しくなるかもしれない）
曜（それでも、千歌ちゃんのためならば）
死神「よいのか？」
曜「顔がダメになっても、衣装作りくらいはできるんでしょ？ みんなを支えることができるなら、私はそれでいい」
死神「そうか。では、契約成立だ」
曜（……もう、千歌ちゃんの隣では踊れないんだね）
曜（……ううん。千歌ちゃんの隣にいることも、難しくなるかもしれない）
曜（それでも、千歌ちゃんのためならば）
22: (笑) 2017/12/04(月) 00:27:10.24 ID:OfS5ZATO
～病院～
千歌「よ、よよよよよ曜ちゃん！？！？！？」
善子「だ、だだだだ大丈夫なの！？！？！？」
ルビィ「あっ……あぅぁっ……！」
曜「あはは……わ、私は大丈夫だよ。ほら、こうやって喋ることもーー」
千歌「そうじゃなくて！！！ 顔が大やけどしたって聞いたよ！！！」
曜「うん。揚げ物の油が……」
千歌「よ、よよよよよ曜ちゃん！？！？！？」
善子「だ、だだだだ大丈夫なの！？！？！？」
ルビィ「あっ……あぅぁっ……！」
曜「あはは……わ、私は大丈夫だよ。ほら、こうやって喋ることもーー」
千歌「そうじゃなくて！！！ 顔が大やけどしたって聞いたよ！！！」
曜「うん。揚げ物の油が……」
23: (笑) 2017/12/04(月) 00:28:04.47 ID:OfS5ZATO
曜（契約の結果、私は顔の広い範囲に大きなやけどを負った）
曜（視力などには影響は出なかったが、私の顔の半分はひどく爛れてしまい、表情を作ることも難しくなった）
曜（ーーーーもう、あの頃のように笑うことはできないんだ）
曜（この包帯の下の顔は、もう人の前に明かすことのできないものになっているのだろう）
曜（ステージに立つことはおろか、街中を歩くだけでも、きっと奇異の目線に晒されるような）
曜（だからきっとーー千歌ちゃんと一緒に、街で並んで歩くことも、できない）
曜（視力などには影響は出なかったが、私の顔の半分はひどく爛れてしまい、表情を作ることも難しくなった）
曜（ーーーーもう、あの頃のように笑うことはできないんだ）
曜（この包帯の下の顔は、もう人の前に明かすことのできないものになっているのだろう）
曜（ステージに立つことはおろか、街中を歩くだけでも、きっと奇異の目線に晒されるような）
曜（だからきっとーー千歌ちゃんと一緒に、街で並んで歩くことも、できない）
24: (笑) 2017/12/04(月) 00:30:07.16 ID:OfS5ZATO
果南「……痛みは、ないの？」
曜「うん。ま、まあ感覚もないっていうほうが……だから、笑うとぎこちなくなっちゃって……」
ダイヤ「曜さん……」
曜「そ、そんなお通夜みたいな空気にならないでよ！！ 確かに、こんなんじゃもうステージには立てないけど、みんなの衣装作りはできるからさ……」
千歌「やめてよっ！！！」
曜「千歌ちゃん……？」
千歌「曜ちゃんと一緒にライブができないだなんて……嫌だよ……」
曜「千歌ちゃん………」
曜「うん。ま、まあ感覚もないっていうほうが……だから、笑うとぎこちなくなっちゃって……」
ダイヤ「曜さん……」
曜「そ、そんなお通夜みたいな空気にならないでよ！！ 確かに、こんなんじゃもうステージには立てないけど、みんなの衣装作りはできるからさ……」
千歌「やめてよっ！！！」
曜「千歌ちゃん……？」
千歌「曜ちゃんと一緒にライブができないだなんて……嫌だよ……」
曜「千歌ちゃん………」
25: (笑) 2017/12/04(月) 00:30:33.04 ID:OfS5ZATO
曜「でも、ラブライブで優勝するって決めたんでしょ？」
千歌「………」
曜「私はこんなのになっちゃったけど……でも、千歌ちゃんが輝きを追いかけるその背中を押してあげたいって気持ちには、全く変わりがない」
千歌「よぉちゃん……」
曜「だから、せめて私のこの気持だけは押し通させて？」
千歌「よぉちゃん……！！」
曜（………だから、お願い。ラブライブまで、時間が続いて）
千歌「………」
曜「私はこんなのになっちゃったけど……でも、千歌ちゃんが輝きを追いかけるその背中を押してあげたいって気持ちには、全く変わりがない」
千歌「よぉちゃん……」
曜「だから、せめて私のこの気持だけは押し通させて？」
千歌「よぉちゃん……！！」
曜（………だから、お願い。ラブライブまで、時間が続いて）
26: (笑) 2017/12/04(月) 00:31:47.42 ID:OfS5ZATO
更に、しばらくの時間が経った。
27: (笑) 2017/12/04(月) 00:37:18.66 ID:OfS5ZATO
曜「………来たね。死神さん」
死神「ああ。刻限だ」
曜「ラブライブの決勝まであと少しなんだ。千歌ちゃん、あれからすごい頑張ってさ……すごいよね」
曜「学校のみんなも優しくしてくれるんだ。Aqoursは８人になっても、うまくやっていけてる」
死神「………」
曜「だからーーーまた、契約を延長して」
死神「よいのか。次、お前が何かを差し出すとしたならら、その辛うじて送れている日常すらもーーー」
曜「いいよ。だから、ラブライブの決勝まで保つようにーーーー」
死神「ああ。刻限だ」
曜「ラブライブの決勝まであと少しなんだ。千歌ちゃん、あれからすごい頑張ってさ……すごいよね」
曜「学校のみんなも優しくしてくれるんだ。Aqoursは８人になっても、うまくやっていけてる」
死神「………」
曜「だからーーーまた、契約を延長して」
死神「よいのか。次、お前が何かを差し出すとしたならら、その辛うじて送れている日常すらもーーー」
曜「いいよ。だから、ラブライブの決勝まで保つようにーーーー」
29: (笑) 2017/12/04(月) 00:44:44.55 ID:OfS5ZATO
曜「私の、手でも足でも持っていって」
死神「我は契約を拒まない。だがお前は、その残されていた未来の可能性すらも、あの少女のために投げ出すというのだな」
曜「もちろん」
死神「我は契約を拒まない。だがお前は、その残されていた未来の可能性すらも、あの少女のために投げ出すというのだな」
曜「もちろん」
30: (笑) 2017/12/04(月) 00:45:11.42 ID:OfS5ZATO
千歌「曜ちゃんっっ！！！！！！！ 曜ちゃんっっ！！！！！！！」
曜「………」
曜（……これが、きっと最後の契約だ）
曜（私は、交通事故で病院に救急搬送された）
曜（辛うじて一命を取り留めたが）
曜（両手は、もう衣装を縫うような複雑な動作に耐えられない）
曜（両足は、膝から下が喪われた）
曜（飛び込むことはおろか、一人で水にすら入れない）
曜（そして………）
曜「………」
曜（……これが、きっと最後の契約だ）
曜（私は、交通事故で病院に救急搬送された）
曜（辛うじて一命を取り留めたが）
曜（両手は、もう衣装を縫うような複雑な動作に耐えられない）
曜（両足は、膝から下が喪われた）
曜（飛び込むことはおろか、一人で水にすら入れない）
曜（そして………）
31: (笑) 2017/12/04(月) 00:49:14.78 ID:OfS5ZATO
曜「…………」
千歌「よ……ぉぢゃん……」
曜（ーー声も、喪った）
曜（もう、歌うことも）
曜（それどころか、千歌ちゃんと会話することも、できない）
曜（飛び込み選手としての渡辺曜も）
曜（スクールアイドルAqoursとしての渡辺曜も）
曜（千歌ちゃんの幼馴染としての渡辺曜も）
曜（完全に、壊れてしまった）
千歌「よ……ぉぢゃん……」
曜（ーー声も、喪った）
曜（もう、歌うことも）
曜（それどころか、千歌ちゃんと会話することも、できない）
曜（飛び込み選手としての渡辺曜も）
曜（スクールアイドルAqoursとしての渡辺曜も）
曜（千歌ちゃんの幼馴染としての渡辺曜も）
曜（完全に、壊れてしまった）
32: (笑) 2017/12/04(月) 00:49:44.92 ID:OfS5ZATO
千歌「曜ちゃん。お見舞いに来たよ」
曜「………」
曜（ありがとう、千歌ちゃん。そう返したいのに）
千歌「ほら、見てよ。決勝のライブ動画。曜ちゃんが頑張って作ってくれた衣装、すっごくキラキラしてるでしょ！」
曜「……」ｳﾝｳﾝ
千歌「それにね……」
曜（千歌ちゃんは、あの日からほぼ毎日お見舞いに来てくれる）
曜（そして、笑顔でいろんな話をしてくれる）
曜（きっと、素敵な、素敵な話をしてくれているのだろう）
曜「………」
曜（ありがとう、千歌ちゃん。そう返したいのに）
千歌「ほら、見てよ。決勝のライブ動画。曜ちゃんが頑張って作ってくれた衣装、すっごくキラキラしてるでしょ！」
曜「……」ｳﾝｳﾝ
千歌「それにね……」
曜（千歌ちゃんは、あの日からほぼ毎日お見舞いに来てくれる）
曜（そして、笑顔でいろんな話をしてくれる）
曜（きっと、素敵な、素敵な話をしてくれているのだろう）
33: (笑) 2017/12/04(月) 00:50:44.07 ID:OfS5ZATO
曜（でも、私はそれを類推することしかできない）
千歌「それに……ひっく……」
曜（千歌ちゃんはいつも、突然泣き出してしまう）
千歌「ごめんね……よぉちゃん……ずっと、ずっと笑顔で……いなきゃなのに……！」
千歌「千歌が……ひっく……泣き虫だからいつも……！」
曜（私は、そのことがとても悲しい）
曜（私の耳が聞こえなくなっているせいで、千歌ちゃんを悲しませてしまっていることが）
千歌「それに……ひっく……」
曜（千歌ちゃんはいつも、突然泣き出してしまう）
千歌「ごめんね……よぉちゃん……ずっと、ずっと笑顔で……いなきゃなのに……！」
千歌「千歌が……ひっく……泣き虫だからいつも……！」
曜（私は、そのことがとても悲しい）
曜（私の耳が聞こえなくなっているせいで、千歌ちゃんを悲しませてしまっていることが）
51:再開します(笑) 2017/12/04(月) 20:21:49.10 ID:OfS5ZATO
ラブライブが終わり、幾つかの季節が過ぎた。
この白く清らかな病室は、時間の感覚を惑わせる。
どれだけの時間が経ったのか、もう私にはよくわからない。
それでも、ただひとつ確かなことはーーー
"曜ちゃん”
千歌ちゃんは、毎日お見舞いに来てくれたということ。
この白く清らかな病室は、時間の感覚を惑わせる。
どれだけの時間が経ったのか、もう私にはよくわからない。
それでも、ただひとつ確かなことはーーー
"曜ちゃん”
千歌ちゃんは、毎日お見舞いに来てくれたということ。
52: (笑) 2017/12/04(月) 20:22:33.30 ID:OfS5ZATO
そして、とある夜。
見慣れた影が、病室に揺らめいていた。
見慣れた影が、病室に揺らめいていた。
53: (笑) 2017/12/04(月) 20:25:00.57 ID:OfS5ZATO
死神「………」
曜（ああ、死神さん）
死神「お前の思っていることは我にはわかる。神だからな」
曜（テレパシー、ってやつなのかな。便利だね）
曜（久々に声を聞いた気が……声なのかなぁ、これ）
死神「さて……刻限だ」
曜（そっか……今回は、長かったなぁ）
死神「命に等しいものを賭したのだからな」
曜（ああ、死神さん）
死神「お前の思っていることは我にはわかる。神だからな」
曜（テレパシー、ってやつなのかな。便利だね）
曜（久々に声を聞いた気が……声なのかなぁ、これ）
死神「さて……刻限だ」
曜（そっか……今回は、長かったなぁ）
死神「命に等しいものを賭したのだからな」
54: (笑) 2017/12/04(月) 20:27:17.11 ID:OfS5ZATO
死神「……どうする。お前の当初の望みの刻限までは延命できたのではないか？」
曜（そうだね……千歌ちゃんはラブライブで優勝まで果たした）
曜（もう、私は思い残すことはない）
曜（……いや、違う）
曜（輝きを見つけ出した千歌ちゃんに、この先でももっとずっと輝いていて欲しい）
曜（……毎日、お見舞いに来てくれることは本当に嬉しい）
曜（でも、このまま千歌ちゃんを縛り付けておくわけにもいかないんだ）
死神「………」
曜（死神さん。最後の、本当に最後の最後の契約延長を）
死神「………何を、差し出す」
曜（全部。私の、持てるもの。私の、差し出せるものを全部）
曜（そうだね……千歌ちゃんはラブライブで優勝まで果たした）
曜（もう、私は思い残すことはない）
曜（……いや、違う）
曜（輝きを見つけ出した千歌ちゃんに、この先でももっとずっと輝いていて欲しい）
曜（……毎日、お見舞いに来てくれることは本当に嬉しい）
曜（でも、このまま千歌ちゃんを縛り付けておくわけにもいかないんだ）
死神「………」
曜（死神さん。最後の、本当に最後の最後の契約延長を）
死神「………何を、差し出す」
曜（全部。私の、持てるもの。私の、差し出せるものを全部）
55: (笑) 2017/12/04(月) 20:27:47.23 ID:OfS5ZATO
死神「……お前は"全部"という言葉の意味を理解しているのか？」
曜（どういうこと？）
死神「全部とは正に"全部"だ」
死神「お前の存在、縁、絆、この世に残した証、何もかも一切合切」
死神「その全てを失うということは、お前は"この世界にいなかったことになる"ことと等しい」
曜（………）
死神「お前が築き上げてきたもの、積み上げてきたもの。何もかもが無に帰す」
死神「当然、お前の想う少女はお前のことの全てを忘れる」
死神「9人の絆も、8人の絆として上書きされる」
曜（どういうこと？）
死神「全部とは正に"全部"だ」
死神「お前の存在、縁、絆、この世に残した証、何もかも一切合切」
死神「その全てを失うということは、お前は"この世界にいなかったことになる"ことと等しい」
曜（………）
死神「お前が築き上げてきたもの、積み上げてきたもの。何もかもが無に帰す」
死神「当然、お前の想う少女はお前のことの全てを忘れる」
死神「9人の絆も、8人の絆として上書きされる」
57: (笑) 2017/12/04(月) 20:31:03.57 ID:OfS5ZATO
死神「お前が、その存在をかけて守り抜いた少女もーーーお前の存在を忘れ去ってしまう。否、はじめから居なかったものとして扱われるのだぞ」
曜（……そっか）
曜（……………）
曜（いいよ）
死神「正気か？」
曜（うん）
曜（……そっか）
曜（……………）
曜（いいよ）
死神「正気か？」
曜（うん）
58: (笑) 2017/12/04(月) 20:32:36.84 ID:OfS5ZATO
死神「……何か、言い残したことはないのか」
曜（未練はあるよ。でも、それをわざわざ千歌ちゃんに言う必要もないかな、って）
死神「確かに。何を言い残しても、この先の世界の彼女はそのことを覚えていない」
曜（そう、だね）
死神「……再度確認するぞ。本当に、よいのだな」
曜（うん。千歌ちゃんが、新しい未来へと踏み出せるのなら）
曜（未練はあるよ。でも、それをわざわざ千歌ちゃんに言う必要もないかな、って）
死神「確かに。何を言い残しても、この先の世界の彼女はそのことを覚えていない」
曜（そう、だね）
死神「……再度確認するぞ。本当に、よいのだな」
曜（うん。千歌ちゃんが、新しい未来へと踏み出せるのなら）
60: (笑) 2017/12/04(月) 20:33:03.24 ID:OfS5ZATO
死神「ならばーーーー契約は成立だ」
死神「お前は、その存在全てを失う」
曜（………さよなら、千歌ちゃん）
曜（でも、それでも）
曜（私は、きっと、忘れないからーーー）
死神「お前は、その存在全てを失う」
曜（………さよなら、千歌ちゃん）
曜（でも、それでも）
曜（私は、きっと、忘れないからーーー）
62: (笑) 2017/12/04(月) 20:38:24.06 ID:OfS5ZATO
ーーーー緩やかな眠りに落ちるように。意識は闇へと拡散していく。
死とは、ただひたすらに暗黒の水底へ落ちるものだと、そう考えていた。
……だが、これは"死"ですらない。
存在の消滅。
何も残さず、何も残せず、まるで水泡のように消えていく。
それはまるで、おとぎ話の結末のようなあっけなさで。
渡辺曜という存在は、ここで終了した。
死とは、ただひたすらに暗黒の水底へ落ちるものだと、そう考えていた。
……だが、これは"死"ですらない。
存在の消滅。
何も残さず、何も残せず、まるで水泡のように消えていく。
それはまるで、おとぎ話の結末のようなあっけなさで。
渡辺曜という存在は、ここで終了した。
63: (笑) 2017/12/04(月) 20:56:45.62 ID:OfS5ZATO
ーー静けさが聞こえる、というと日本語がおかしい気もするけど。
俗に言う「シーン」という音。音じゃないけど、そういうモノが聞こえてきそうな空気。
曜「………」
曜「ううん………」
曜「………」
曜「ふぁあ……」
そしてその静寂に、気の抜けたあくびが響く。
俗に言う「シーン」という音。音じゃないけど、そういうモノが聞こえてきそうな空気。
曜「………」
曜「ううん………」
曜「………」
曜「ふぁあ……」
そしてその静寂に、気の抜けたあくびが響く。
64: (笑) 2017/12/04(月) 20:57:02.66 ID:OfS5ZATO
曜「……ここは」
曜「……千歌ちゃんの、部屋？」
曜「……私って、死んだんじゃ……いや、存在自体が消えたはず」
曜「もしかして、死後の世界ってやつ？」
曜「……死後の世界が千歌ちゃんの部屋って、未練たらたらだなぁ……あはは」
曜（……でも、死後の世界ならちょっとくらい探索してもいいのかな？）
ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ……
曜（ん？ 足音？）
曜「……千歌ちゃんの、部屋？」
曜「……私って、死んだんじゃ……いや、存在自体が消えたはず」
曜「もしかして、死後の世界ってやつ？」
曜「……死後の世界が千歌ちゃんの部屋って、未練たらたらだなぁ……あはは」
曜（……でも、死後の世界ならちょっとくらい探索してもいいのかな？）
ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ……
曜（ん？ 足音？）
65: (笑) 2017/12/04(月) 20:58:14.20 ID:OfS5ZATO
ｶﾞﾗﾗｯ!
千歌「曜゛ち゛ゃ゛ん゛っっ！！！」
曜「！？」
千歌「曜ちゃん曜ちゃん曜ちゃん曜ちゃんよぉおおちゃぁああん！！！！」ﾀﾞｷﾂｷｯ
曜「うわぁああちちかちゃんっ！？」
千歌「よぉおおおおおちゃああああああん！！！！！！」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｳｯ
曜「千歌ちゃん苦しいっっ！！ 苦しい苦しいってばぁ！！」
千歌「よぉおおおおちゃあああん！！ よかったよぉおお！！！！」
曜「えっ、えっ……これは……」
曜（ついに千歌ちゃんをこじらせすぎて死後の世界でも千歌ちゃんの幻を？）
千歌「曜゛ち゛ゃ゛ん゛っっ！！！」
曜「！？」
千歌「曜ちゃん曜ちゃん曜ちゃん曜ちゃんよぉおおちゃぁああん！！！！」ﾀﾞｷﾂｷｯ
曜「うわぁああちちかちゃんっ！？」
千歌「よぉおおおおおちゃああああああん！！！！！！」ｷﾞｭｳｳｳｳｳｳｯ
曜「千歌ちゃん苦しいっっ！！ 苦しい苦しいってばぁ！！」
千歌「よぉおおおおちゃあああん！！ よかったよぉおお！！！！」
曜「えっ、えっ……これは……」
曜（ついに千歌ちゃんをこじらせすぎて死後の世界でも千歌ちゃんの幻を？）
66: (笑) 2017/12/04(月) 20:58:34.76 ID:OfS5ZATO
死神「目が覚めたか、娘よ」
曜「し、死神さん！？」
死神「ーーしてやられた」
曜「え？」
曜「し、死神さん！？」
死神「ーーしてやられた」
曜「え？」
67: (笑) 2017/12/04(月) 20:59:50.94 ID:OfS5ZATO
死神「お前と魂の契約を交わした後、お前が救おうとした少女に伝えたのだ」
曜「千歌ちゃんに……？」
死神「そう、事の顛末をな。どうせ全てを忘れ去ってしまうのだから、最後にお前の証を立ててやろうとしてのことだったが」
死神「ーーー思えば、これがよくなかった」
曜「？」
死神「……一通り、お前との契約の内容について話し終えるや否や、我に掴みかかるほどの勢いでこう言ってのけたのだ」
"千歌「だったら！！ 私の全部全部ぜーーーーんぶをもっていっていいから、曜ちゃんのことは助けてあげて！！ ううん！！ なんだったら私の大好きなみかん一箱もおまけでつけるから、だから……私と契約して！！」"
死神「とな」
曜「千歌ちゃんに……？」
死神「そう、事の顛末をな。どうせ全てを忘れ去ってしまうのだから、最後にお前の証を立ててやろうとしてのことだったが」
死神「ーーー思えば、これがよくなかった」
曜「？」
死神「……一通り、お前との契約の内容について話し終えるや否や、我に掴みかかるほどの勢いでこう言ってのけたのだ」
"千歌「だったら！！ 私の全部全部ぜーーーーんぶをもっていっていいから、曜ちゃんのことは助けてあげて！！ ううん！！ なんだったら私の大好きなみかん一箱もおまけでつけるから、だから……私と契約して！！」"
死神「とな」
68: (笑) 2017/12/04(月) 21:00:35.56 ID:OfS5ZATO
曜「千歌ちゃん……」
死神「これが、我にとって想定外であった」
死神「我は契約を拒まない。相応の代償があるのであればな」
曜「そ、そうなんだ」
死神「だが、この契約を果たそうとすればーー」
曜「……そんなの、私が認めるはずない」
曜「その千歌ちゃんの契約を、更に上書きするまでだよ」
曜「例え忘れ去ってしまっても……絶対に思い出して、そして、絶対に契約する」
死神「……そう答えると思っていた」
死神「だがこれでは堂々巡りだ。契約に次ぐ契約の更新。どちらかが折れるまで、これが延々と続くことは想像に難くない」
曜「少なくとも私は絶対に譲らないよ」
死神「……いかに興味深い魂であっても、手に入れられなければ意味がない」
死神「これが、我にとって想定外であった」
死神「我は契約を拒まない。相応の代償があるのであればな」
曜「そ、そうなんだ」
死神「だが、この契約を果たそうとすればーー」
曜「……そんなの、私が認めるはずない」
曜「その千歌ちゃんの契約を、更に上書きするまでだよ」
曜「例え忘れ去ってしまっても……絶対に思い出して、そして、絶対に契約する」
死神「……そう答えると思っていた」
死神「だがこれでは堂々巡りだ。契約に次ぐ契約の更新。どちらかが折れるまで、これが延々と続くことは想像に難くない」
曜「少なくとも私は絶対に譲らないよ」
死神「……いかに興味深い魂であっても、手に入れられなければ意味がない」
69: (笑) 2017/12/04(月) 21:01:45.00 ID:OfS5ZATO
死神「なので、我は貴様らに関わるのを諦めることにした」
曜「なるほどなるほど……へっ？」
死神「我とて暇ではない。手に入れることが叶わぬならば、他の魂を蒐集するまで」
曜「あっ……そう、ですか」
死神「……その魂の輝きは確かに魅力的ではあった。だが、それほどの輝きを持つに至るには、何らかしらの理由があった」
死神「それは、その魂の持ち主の輝きでもあり、その魂に寄り添う者の輝きでもある」
死神「お互いがお互いを強く想うその輝きは、神であろうと戯れには手を出せぬのだ、と」
死神「若輩の身に、よい経験となった」
曜（死神にも若いとかそういうのがあるんだ……）
曜「なるほどなるほど……へっ？」
死神「我とて暇ではない。手に入れることが叶わぬならば、他の魂を蒐集するまで」
曜「あっ……そう、ですか」
死神「……その魂の輝きは確かに魅力的ではあった。だが、それほどの輝きを持つに至るには、何らかしらの理由があった」
死神「それは、その魂の持ち主の輝きでもあり、その魂に寄り添う者の輝きでもある」
死神「お互いがお互いを強く想うその輝きは、神であろうと戯れには手を出せぬのだ、と」
死神「若輩の身に、よい経験となった」
曜（死神にも若いとかそういうのがあるんだ……）
70: (笑) 2017/12/04(月) 21:03:19.43 ID:OfS5ZATO
死神「よって、当初の契約から全てを巻き戻させてもらった」
曜「じゃあ今日は……あの、千歌ちゃんの家に泊まった日だ」
死神「そうだ。今後は、順当に死が迎えに来るのを待つが良い」
死神「人類は、生まれながらにして絶対の契約を交わしている」
死神「こればかりは、誰かが肩代わりすることのできない契約をな」
曜「死神さん……」
千歌「曜ちゃんっ！！！」ﾄﾞﾝｯ
曜「ぐぇっ！？」
曜「じゃあ今日は……あの、千歌ちゃんの家に泊まった日だ」
死神「そうだ。今後は、順当に死が迎えに来るのを待つが良い」
死神「人類は、生まれながらにして絶対の契約を交わしている」
死神「こればかりは、誰かが肩代わりすることのできない契約をな」
曜「死神さん……」
千歌「曜ちゃんっ！！！」ﾄﾞﾝｯ
曜「ぐぇっ！？」
71: (笑) 2017/12/04(月) 21:03:52.85 ID:OfS5ZATO
千歌「さっきから曜ちゃん曜ちゃんって呼んでるのに、無視しないでよ！！！」
曜「ごめんごめん……でも、本当によかった！ 二人共無事で」
千歌「……よくない」
曜「？」
千歌「チカは、ぜんぜんよくない」
曜「え、だって……千歌ちゃんも私も、何事もなくー……」
曜（ってわけにはいかないか……）
曜「ごめんごめん……でも、本当によかった！ 二人共無事で」
千歌「……よくない」
曜「？」
千歌「チカは、ぜんぜんよくない」
曜「え、だって……千歌ちゃんも私も、何事もなくー……」
曜（ってわけにはいかないか……）
72: (笑) 2017/12/04(月) 21:04:16.39 ID:OfS5ZATO
千歌「……曜ちゃん」
曜「……」
千歌「どうして……どうして、あんな無茶なことしたの……？」
曜「……
千歌「曜ちゃんのバカ！ バカヨーソロー！！ あんな……あんな無茶してぇ……！！」
曜「ごめんね、千歌ちゃん。でも」
曜「これからは、ずっと、一緒にいるから」
曜「……」
千歌「どうして……どうして、あんな無茶なことしたの……？」
曜「……
千歌「曜ちゃんのバカ！ バカヨーソロー！！ あんな……あんな無茶してぇ……！！」
曜「ごめんね、千歌ちゃん。でも」
曜「これからは、ずっと、一緒にいるから」
74: (笑) 2017/12/04(月) 21:05:33.71 ID:OfS5ZATO
千歌「本当？」
曜「うんっ！」
千歌「絶対？」
曜「もちろん！！」
千歌「ずっと？」
曜「ずっと！！！」
千歌「……でもなぁ」
曜「信用ないなぁ私！？」
曜「うんっ！」
千歌「絶対？」
曜「もちろん！！」
千歌「ずっと？」
曜「ずっと！！！」
千歌「……でもなぁ」
曜「信用ないなぁ私！？」
75: (笑) 2017/12/04(月) 21:05:56.69 ID:OfS5ZATO
千歌「……けーやく」
曜「？」
千歌「契約！ 契約だよっ！！」
曜「け、契約？」
千歌「そう！！ 私に黙って勝手に突っ走ったりしないで！！ ずっと一緒にいて！！」
曜「う……うん」
曜「？」
千歌「契約！ 契約だよっ！！」
曜「け、契約？」
千歌「そう！！ 私に黙って勝手に突っ走ったりしないで！！ ずっと一緒にいて！！」
曜「う……うん」
76: (笑) 2017/12/04(月) 21:06:34.20 ID:OfS5ZATO
千歌「……ってことは、代償が必要だよね」
曜「さ、さっきの死神さんみたいな……？」
千歌「そうそう。契約には代償が必要なのだ」
曜「………えっと、じゃあ、何を差し出す？」
千歌「……じゃあ」
ﾁｭｯ
曜「ふぇっ？」
曜「さ、さっきの死神さんみたいな……？」
千歌「そうそう。契約には代償が必要なのだ」
曜「………えっと、じゃあ、何を差し出す？」
千歌「……じゃあ」
ﾁｭｯ
曜「ふぇっ？」
77: (笑) 2017/12/04(月) 21:07:08.77 ID:OfS5ZATO
千歌「曜ちゃんを、差し出してもらおうかな……なんてねっ」
曜「あははは……まいったなぁ」
曜（この契約の刻限は、一体いつになるのだろうか）
曜（でも、それはきっと。遠く、永く、ずっと続く契約）
曜「大好きだよ、千歌ちゃん！」
千歌「私もだよ、曜ちゃん！」
曜「あははは……まいったなぁ」
曜（この契約の刻限は、一体いつになるのだろうか）
曜（でも、それはきっと。遠く、永く、ずっと続く契約）
曜「大好きだよ、千歌ちゃん！」
千歌「私もだよ、曜ちゃん！」
78: (笑) 2017/12/04(月) 21:08:11.82 ID:OfS5ZATO
|c||^.-^||おしまいですわ！
前作
聖良「迎えに来ましたよ。善子さん」 ダイヤ「！？」
|c||^.-^||「あらルビィ、おかえりなさい」理亞「た、ただいルビィ……」
前作
聖良「迎えに来ましたよ。善子さん」 ダイヤ「！？」
|c||^.-^||「あらルビィ、おかえりなさい」理亞「た、ただいルビィ……」
81: (きしめん だぎゃー) 2017/12/04(月) 21:12:33.47 ID:Z2+1zkF+
乙です
ハッピーエンドで良かった
ハッピーエンドで良かった
83: (庭) 2017/12/04(月) 21:22:35.74 ID:uUq70BQL
(q|^ ᴗ ^)乙！
94: (笑) 2017/12/04(月) 23:30:22.16 ID:ltNb39Ua
曜ちゃんの「何か異形のものと契約してそう」感
98: (プーアル茶) 2017/12/05(火) 04:05:15.59 ID:48VQsGMB
ハッピーで良かった…
途中は辛かったなぁ
途中は辛かったなぁ
85: (ふく) 2017/12/04(月) 21:39:11.14 ID:DUSkcisl
本当に近未来ハッピーエンドでよかった・・・
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1512313786/