【SS】綴理「冬が寒くって本当に良かった」【ラブライブ！蓮ノ空】

さやか「綴理先輩、綴理先輩！起きてください！」

綴理「ん……さや？」

綴理「いつもより早い……」

さやか「起きてください！雪が！雪が積もってます！」

綴理「そうなんだ、道理で寒いと思った……」

綴理「どうしてこんなに早く……？」

さやか「ちょっと外に出てみませんか！？」

綴理「え、雪が積もってるのに……？」

さやか「雪が積もってるからです！着替えも用意しましたから！さあ起きましょう！」

綴理「んー、さやがそこまで言うなら……」

さやか「寒いですからちゃんと厚着しましょうね。風邪を引いてはいけませんから」

綴理「ありがと」

ごそごそ

さやか「よし、ばっちりです！……ふふ、厚着したら少しもこもこしてて可愛いですね、綴理先輩」

綴理「さや、ボクで遊んでる？」

さやか「いえいえ！そんなつもりは！」

さやか「さあ気を取り直して外へ行きましょう！」
　

さやか「ほら！見てください！」

さやか「朝早いからまだ誰の足跡もついてないんですよ！」

さやか「これこそまさに、雪の絨毯です！」

綴理「おー、綺麗」

綴理「去年も雪は積もっていたけど、ボクは起きるのが遅くて、誰かが踏んだ後だった気がする」

綴理「確かにこれは早起きした甲斐があったかもしれない」

綴理「さやが見せたかったのはこれのこと？」

さや「これもありますけど……」

綴理「？」

さやか「今から少し歩きませんか？」

綴理「朝のお散歩？」

さやか「そんなところです。この雪の絨毯に、私たちが初めて足跡をつけていくんですよ」

綴理「なるほど。」

さやか「ちょっとワクワクしませんか？」

綴理「うん。確かに楽しそうだ」

さやか「そうですよね。ふふ」
　

さやか「それに……去年と比べてまだ違うところがありますよ、綴理先輩」

綴理「隣にさやがいる」

さやか「……正解です」

さやか「今年の冬は綴理先輩と過ごす初めての冬なので……色々と覚えておきたくて」

さやか「スクールアイドル以外の思い出も、たくさん」

綴理「うん、そうだね」

綴理「じゃあ行こう」

さやか「はい！」
　

さやか「暖かくしてきたとはいえ流石に寒いですね」

綴理「さや。手」

さやか「手……？」

綴理「手、繋ごう？」

さやか「！」

さやか「いいんですか？」

綴理「その方があったかい」

さやか「……はい！」

ぎゅ

綴理「ん」

綴理「そしたら、さやと繋いだ手を……ボクのポケットに入れる」

綴理「これでもっとあったかい。ね？」

さやか「……はい」
　

ギュッギュッ

綴理「おー、誰も踏んでない雪。踏んだらギュッギュッって音がするよ、さや」

さやか「もう綴理先輩、そんなに力一杯歩いたら滑っちゃいますよ」

綴理「たのしー」

ギュッギュッ

さやか「綴理先輩ってば、もう。綴理先輩が転んだら私も一緒に転んじゃうんですからね」

綴理「ふふ。」

さやか「もう！今度はどうしたんですか、私の顔を見て笑って」

綴理「さや、怒ってるのに楽しそう」

さやか「……何でだと思いますか？」

綴理「何でかなー？」

さやか「何でですかねー？」
　

さやか「綴理先輩、後ろを見てみてください」

綴理「？」

さやか「私たち二人の足跡が続いていますよ」

綴理「ほんとだ。二人だけの足跡だ」

さやか「はい」

さやか「こうして隣で並んで歩いていると、やっぱり私と綴理先輩とでは歩幅が違うんだなって、改めて思います」

綴理「身長もボクの方が高いしね」

さやか「それもありますけど……」

さやか「綴理先輩は2年生なので……私より先に卒業してしまいます」

綴理「うん」

さやか「私がどれだけ隣に追いつこうと走っても、綴理先輩がどれだけ私の隣にいてくれようとしてくれても、やっぱりこれだけはどうしようもないんだなって」

さやか「綴理先輩が卒業した後は、綴理先輩のいない道を私一人で歩くしかないんだって」

さやか「季節が進むたびにどうしても考えてしまいます」

さやか「綴理先輩はどう思いますか？」
　

綴理「んー。」

綴理「確かにボクの方が先に卒業しちゃうし、ちょっとだけ離れ離れになっちゃうかも」

綴理「でも、さやはまたボクに追いつこうと走ってきてくれるよね？」

綴理「ボクはそう信じてる」

さやか「綴理先輩……」

綴理「それに」

綴理「ボクがあと80年生きるとして、1年だけさやと一緒にいられないとしても、後79年は一緒にいられるよ？」

綴理「そう考えたら1年くらいへっちゃら」

さやか「……それってあと79年私が綴理先輩のお世話をするってことですか？」

綴理「え。だめ？」

さやか「綴理先輩、いま、とんでもないことを言っていますよ。わかっていますか？」

綴理「おー、とんでもないこと？そうかな……そんなに変なことだったかな……」

さやか「ふふ、綴理先輩にとっては変なことではないんですね」
　

さやか「確かに綴理先輩の言う通りかもしれません」

さやか「これからのことを考えれば、1年なんてどうってことないですよね」

綴理「さや、元気出てきた？その調子その調子」

さやか「はい！なんだか身体もあったまってきました！」

綴理「おー良かった。それじゃあ、さやのあったかさ、ボクにも分けて」

さやか「え、分けるってどうやって……」

綴理「こっちの手も繋ご？」

さやか「両手で！？」

綴理「そしたらほら。もっとあったかい」

さやか「確かにあったかいですけど、これじゃまっすぐ歩けない……」

綴理「蟹歩き蟹歩き」

さやか「ええっ！」
　

さやか「これ、このまま寮に戻るんですか！？」

綴理「そうだよ？」

さやか「流石にこれは人に見つかったらまずいというか……いえ、そもそも綴理先輩と手を繋いで歩いていたのも見つかったらまずかったというか……」

綴理「まずいの？」

さやか「時間的にそろそろ他の子も起きてくるかもしれませんし、ね？」

綴理「これも思い出にしよ？ボクとさやの蟹歩き」

さやか「蟹歩きが思い出……」

綴理「さやは、ボクと手を繋ぐの嫌？」

さやか「い……嫌じゃ、ありませんが。」

綴理「じゃあOKー。一緒に歩こー」

さやか「綴理先輩～～～、っ、きゃあ！」

綴理「おおっと。」

ぼふっ
　

さやか「す、すみません、綴理先輩！滑って転んでしまいました！大丈夫ですか！？」

綴理「うん、ボクは大丈夫だよ。さやこそ大丈夫？おしりから転んじゃったけど……」

さやか「雪の上だったので大丈夫でした」

綴理「そっか。よかった」

さやか「ふふ、やっぱり手を繋いでいると二人で転んじゃいますね」

綴理「転ぶ時も一緒」

さやか「ですね。立てますか？」

綴理「大丈夫」

さやか「では、戻りましょう。」

綴理「……さや。」

さやか「なんですか？」

綴理「来年はまだ一緒にいられるから、また雪の上で一緒に転ぼう？」

さやか「転ぶこと前提なんですか！？」

綴理「うん」

さやか「……はい、これからも一緒に歩いて一緒に転びましょうね、綴理先輩。」
　

おわり
　

スノースマイル聴きながら読んでる
　

これ見て久しぶりに聴いたけどやっぱめっちゃ良い
　

良かった……スノースマイルの結局君がいなくなる話に反してずっと二人でいる意志、大好き
　

つづさやるり




　

すき
宇宙飛行士への手紙とかもこの2人っぽい曲よね
　

ウキウキさやかかわち