【SS】瑠璃乃「何度でもこんてぃにゅー！」【ラブライブ！蓮ノ空】

瑠璃乃(ある日の、いつもの数学の授業)

瑠璃乃(何の変哲もない時間だけど、ルリにとっては……すこし違う)

「それではこの問題を……大沢さん、お答えください」

クラスメイト「え、あの問題、まだ習ってないとこじゃない」ﾋｿﾋｿ

クラスメイト「あの先生、意地悪だなぁ……」ﾋｿﾋｿ

瑠璃乃(答えられるわけがないっていう視線を、みんなが、先生が、ルリに向けている)

瑠璃乃(……ふっふーん！　でも“今のルリ”は、わかっちゃうんだよねー！)

瑠璃乃「──cosθの二乗ぶんの一、です！」

「！？　せ、正解です……」

花帆「！　瑠璃乃ちゃんすごい……！」

瑠璃乃「ふふんっ」ﾄﾞﾔｯ

瑠璃乃(わかる……わかる！　ルリには、これから何が起こるかが、全部！)

瑠璃乃(やっぱりルリは、とんでもない能力を手に入れちゃったのかもしれない……！)
　

────

花帆「瑠璃乃ちゃん、瑠璃乃ちゃん！　さっきの問題、どうしてわかったの！？」

さやか「わたしも気になりますね……まだ授業で扱っていない範囲でしたから」

瑠璃乃「え、えっと……ちょっとばかし、予習をね！」

花帆「予習してたの！？　うわぁ、瑠璃乃ちゃん偉いなぁ……」

瑠璃乃(予習……まぁ、ある意味、予習かもね)

瑠璃乃(──実は、ルリは今、ある目的のために……)

瑠璃乃(“今日”を何度も、繰り返してる)
　

瑠璃乃(気づいたのは、“あの出来事”が起きた日、ルリの自室でのこと……)

──回想

瑠璃乃「……っ……なんで、どうしてなの……このままじゃ、ルリは嫌だよ……」

瑠璃乃「…………何とか、しなきゃ。でも……どうすれば、変えられるのかな、この結末を」

瑠璃乃「ゲームみたいに、今日一日をクリアまで何回もできたら良いのになぁ……なんて」

瑠璃乃「……ダメだ、こんなファンタジーみたいなこと考えるくらいじゃ、良い考えは浮かばないや。もう夜だし、眠って明日考えよ……」ﾉｿﾉｿ

瑠璃乃(…………本当に、もう一度やり直せたなら……)ｷﾞｭｯ
　

ﾋﾟｶｯ‼︎!

瑠璃乃「！？！？！？　なんか光って………………あれ？」ｶﾞﾀｯ

瑠璃乃(ルリが目をギュッと瞑った瞬間、なぜだか部屋が明るくなって……)

瑠璃乃「っていうか、さっきまで感じてた眠気も無くなってる……！？　な、何が起きて……」

ｺﾝｺﾝ

慈「るりちゃーん？　いるー？」
　

瑠璃乃「！？　め、めぐちゃん！？　なんでここに……」

慈「なんでって……朝練の時間なのに来ないから、めぐちゃんが見に来てあげたんだぞー⭐︎」

瑠璃乃「…………へ？　あ、朝練！？」

瑠璃乃(これってもしかして……)

瑠璃乃(朝まで、時間が戻ってる──！？)
　

──

瑠璃乃(あのときは、びっくりしたなぁ……いきなりその日の朝に時間が戻ってる、なんて)

瑠璃乃(条件は多分、ルリが強く願って目をギュッと瞑ること。そうすれば、一瞬でその日の朝に戻ってる)

瑠璃乃(なんでルリがこんな力を手に入れたのかは、わかんないけど……それ以来、何度も“今日”を繰り返してる)

瑠璃乃(でも……この力があれば)

瑠璃乃(変えられる……！　“あの未来”を──！)
　

────

花帆「よし、今日の授業もおしまい！　あとは清掃だけだね！」

さやか「そうですね……早く終わらせたいところですが、年末なので少し量が多いみたいですね……」ｳｰﾝ

瑠璃乃(──ということで、今は放課後！　何度もやり直して、実はルリ、気づいたことがあるんだよね)ｳﾝｳﾝ

瑠璃乃「あ、ルリ、そのゴミ持ってくよ！」ｻｯ

花帆「え、いいの、瑠璃乃ちゃん？　この袋、瓶が入ってるから重いけど……」

瑠璃乃「そうそう、重いからルリが持つの！　貸して貸して！」ｷﾞｭｯ

花帆「？　ありがとう、瑠璃乃ちゃん！」ﾆｺｯ
　

瑠璃乃(一番の目的は──“あの未来”を変えること。でもそれとは別に、ルリは気づいたんだ)

瑠璃乃(日常の細かなことも、ルリの行動次第で変えられる、って！)

さやか「ゴミは一階で回収してるみたいですね。収集センターのトラックを先ほど見ました」

花帆「確か、ゴミを集めた後、そのままゴミ処理センターの焼却炉の方に運んでくれるんだよね」ﾌﾝﾌﾝ

瑠璃乃「じゃあ、ちょっち行ってくる！」ﾀﾞｯ
　

瑠璃乃(……正直なところ、“あの未来”を変えるのが想像以上に難しかったから、他に目移りしてるだけなのかもしれない)

瑠璃乃(でも、せっかく何度でもやり直せるんだし、どうせなら最高の一日を作りたい。だって、ルリはみんなを幸せにしたいから……！)

花帆「──あ！　待って、瑠璃乃ちゃん！　そっちは……」

瑠璃乃「え？　あっ……」

瑠璃乃(ルリが踏み出そうとした足元に、水の入ったバケツがあって……)

ﾊﾞｯｼｬｰﾝ‼︎

花帆「瑠璃乃ちゃんーー！？！？　ずぶ濡れだよ、大丈夫！？」

瑠璃乃「…………こんてぃにゅー！」ｷﾞｭｯ
　

────

瑠璃乃「…………はっ、朝……」

瑠璃乃「うぅ、こうなることもあるのか……変えたからって、全部いい方に！　とはいかないんだ……」

瑠璃乃(でも……ルリにとって、ずっと気は楽だ。失敗したら、全部無かったことにしてやり直せばいい……)

瑠璃乃「そうだよ、だって……」

瑠璃乃(何度でもやり直せるってことは、ルリも、みんなにとっての最善の行動ができるってこと……！)
　

瑠璃乃(純粋に気づけてなかったり、ルリの充電が切れてたりして、見過ごしてた人を、今のルリは助けられる)

瑠璃乃(最初の頃なんて大変だった。花帆ちゃんが瓶を割っちゃったり、掃除中に色々ゴタゴタがあったり……)

瑠璃乃(でも、“今日”を繰り返すルリさえ無理をすれば、その分だけ、そういう他の誰かを幸せにできるんだ)

瑠璃乃(“あの未来”を変えるだけじゃ、もったいない。今のルリなら、みんなの幸せのためにもっと手を加えられる)
　

瑠璃乃(それに……ダメだったら、何度でもやり直せる！　言ってみれば、現実版RTA！)

瑠璃乃(ルリが納得いくまで、最高の一日を作れるまで、今日をやり直す……)

瑠璃乃「これは、今のルリにしかできないこと……だもんね」ｳﾝｳﾝ

瑠璃乃「──よし！　それならルリが、誰も苦しまない最高の一日を作れるまで……何度でもこんてぃにゅーだ！」ｸﾞｯ
　

────

瑠璃乃(──それから、ルリは何十回も“今日”を繰り返した……)


びわこ「ゴミ回収で一階まで行くの？　あ、それなら、忘れ物を届けて欲しいんだけど……」


えな「部室棟の方で揉め事が起きてるらしくて、ゴミの分別に時間がかかっちゃってるんだよね……」


しいな「寮母さんが人手を探してたけど、寮の方まで手が回る人がいなくて……」


──

瑠璃乃「こんてぃにゅー！！」ｷﾞｭｯ

──

瑠璃乃「こんてぃにゅー！！」ｷﾞｭｯ

──

瑠璃乃「……こんてぃにゅーーー！！」ｷﾞｭｯ
　

──────

────

瑠璃乃「うぅーん……瓶のゴミを持ったうえで、びわこちゃんに声をかけることでバケツを回避して……」

瑠璃乃「寮母さんが、まだ回収できていないゴミの処理に困ってるから、そのために先に寮まで行く、と……」

瑠璃乃「あぁー……でもこれだと、一階のしいなちゃんに忘れ物を届けられなくなっちゃうから……」ｳｰﾝ

「ちゃ……るりちゃん……」


慈「──ねぇ、るりちゃん！」ｶﾞﾀｯ

瑠璃乃「！？　め、めぐちゃん！？」
　

慈「どーしたの、るりちゃん？　さっきからずっと黙っちゃってさ」

瑠璃乃「あ、えぇと……というかめぐちゃん、いつの間に来てたの？」

慈「ちょっと前から。こっちのとこの清掃はもう終わっちゃったんだ。後は、梢が部室の方を見てるくらい」

瑠璃乃「そ、そうなんだ……」

瑠璃乃(あともうちょいで、全部上手く行くルートを辿れる気がするから……今、めぐちゃんと話してるとその時間が……)

慈「……ねぇ、るりちゃん。なんか、いつもより充電切れてない？」

瑠璃乃「……！」
　

瑠璃乃「え、えっと……」

慈「言い訳したって無駄だよ、るりちゃん。私の目は誤魔化せないんだから！」ﾌﾌｯ

慈「……何か悩み事？　すっごく暗い顔してたけど」

瑠璃乃「え……そ、そんなに今のルリ、思い詰めてるように見えちゃってる？」

慈「そりゃあ、ぱっと見でわかるくらいはね。なんていうか、自分で決めた目的をいつまでも達成できない……みたいな？」
　

瑠璃乃「！　……そっか」

瑠璃乃(やっぱり、めぐちゃんはすごいなぁ。ルリ、絶対隠し事とかできないや)

瑠璃乃(でも……)

瑠璃乃「……」

慈「……私でよければ、何でも話聞くよ？　なんていっても私は、るりちゃんの幼馴染ですから」ﾆｺｯ

瑠璃乃「…………めぐちゃん……」
　

瑠璃乃(……“こんてぃにゅー”できるルリだけが、みんなが幸せになる“今日”を作れる)

瑠璃乃(今この瞬間に至るまで、ルリはめぐちゃんに、“今日”を繰り返してることを伝えてなかったと思う)

瑠璃乃(あの未来だけじゃなくて、他も全部やり直せるから……それを達成するまで、めぐちゃんには話したくなかったんだけど)ﾁﾗｯ

慈「……るりちゃん」ｼﾞｰ

瑠璃乃(……これ以上、めぐちゃんに誤魔化しは効かないもんね)

瑠璃乃「……めぐちゃん。実は……」


瑠璃乃「ルリ、“めぐちゃんの未来”を変えたくて──今日を何度も繰り返すようになったんだ」

慈「………………え？？　私の……未来？？」
　

────

慈「──つまり、るりちゃんはゲームでいう“コンティニュー”を何度も何度も連打してるわけだ」

瑠璃乃「う、うん……やっと伝わった……」ﾊｧ

瑠璃乃(同じ時間を繰り返す、ってめぐちゃんに理解してもらうのが、こんなに大変だとは……)

慈「えっと、それで今るりちゃんは……せっかくやり直せるならってことで、周りの人達のことをなるべく全部助けて周ってる、と」

瑠璃乃「うん……だからね、めぐちゃん。ルリ、もう少しだけ……誰も悲しまない今日を作るために、頑張りたいんだ」

瑠璃乃「だって“今日”を繰り返して、みんなを助けられるのは……今のルリだけだから」

慈「……」

瑠璃乃「……めぐちゃん？」

慈「……私はそれ、反対かな」
　

瑠璃乃「え……な、なんで！？　だって、ルリがやり直して誰かを助けてあげれば、その分、その子は幸せになれるのに……！」

慈「……るりちゃんが優しい子なのはわかるよ。みんなのために、自分のことだって後回しにできちゃうくらいに」

慈「確かに、酷い一日だったかもしれない子が、るりちゃんのおかげで傷付かない最高の一日に変わる、なんてこともあるかもしれない」

瑠璃乃「だったら……！」

慈「でも、それって──代わりに何度も繰り返して、何回も傷付いたるりちゃんもいるってことでしょ？」

瑠璃乃「……！！」
　

慈「私は……るりちゃんの痛みを一緒に受けてあげられないし、今、るりちゃんがどんな気持ちかだって、全部わかるわけじゃないよ」

慈「でも、るりちゃんを一人にだけはしたくない。るりちゃんが辛いって思ったことは、私も共有したいの」

瑠璃乃「…………めぐちゃん……」

瑠璃乃(何か……ルリは、大切なことを見逃しているような気がする)
　

慈「あ、というか、るりちゃんは元々“めぐちゃんの未来”を変えるために、今日を繰り返してて……他の人も見過ごせなくなった、って話だよね」

慈「それなら……その、るりちゃんがそこまでして変えたい私の未来、ってなんなの？」

瑠璃乃「！　あ…………えっと、それは」

瑠璃乃「……」

慈「……もしかして言えないこと？」
　

瑠璃乃「ううん……いつかは直接、言わなくちゃいけないこと、だったから」

瑠璃乃(そう、元はと言えば一番の目的は“めぐちゃんの未来”を変えること……もしかしたら、そのためにこんな力を手に入れたのかもしれないし)

慈「どんな内容だって聞くよ？　私の未来に……なにかあったの？」

瑠璃乃(言わなくちゃ、だよね)

瑠璃乃「……そう、だね。うん、あのね……」ｽｩ



瑠璃乃「──お願いだから補習室に行って、めぐちゃん……！」







慈「……………………へ？」
　

慈「え……何、どういうこと？」

瑠璃乃「めぐちゃんが補習室に行かないから……！！」

──

梢「……慈の留年が決まったわ」

さやか「そんな……」

綴理「めぐ……」

──

瑠璃乃「ルリはこの目で見たの！　めぐちゃんの留年が決まって重苦しい空気の部室を！　何度も！」

慈「え、えー…………？」
　

慈「つまり……るりちゃんが変えたい私の未来は、留年……？」

瑠璃乃「そう！　だから、めぐちゃん！　今回こそ補修室に……！」

慈「──い、いや待って、るりちゃん！　いくら私でも、留年がかかった補修に出ないわけないって」

慈「るりちゃんを悲しませるようなことは、私だって流石にしないよ！　何かよっぽどの理由がない限りは……」

瑠璃乃「り、理由……？」

瑠璃乃(そんなの、補修が嫌だからとしか考えてなかった……何回やったって、いつもめぐちゃんは教えてくれてなかったし)
　

慈「……私が、補修に出ないくらいの重大な理由、かぁ」ｳｰﾝ

瑠璃乃「ま、まぁ！　最悪理由が分からなくても、“今日”の補修にさえ、ちゃんと出てくれれば──」

ﾌﾟﾙﾙﾙ ﾌﾟﾙﾙﾙ

瑠璃乃「？　電話……？」

慈「……梢からだ、何だろ」ﾋﾟｯ

慈「もしもし、どしたの、梢？　──えっ」
　

慈「それ……本当？」

瑠璃乃「？　……めぐちゃん？」

慈「……」ﾋﾟｯ

慈「……ごめん、私、行かなきゃ」ｽﾀｯ

瑠璃乃「！？　ま、待って、めぐちゃん！」ｷﾞｭｯ

慈「るりちゃん、でも私急いでるから……」

瑠璃乃「だから待って、って！　ルリ、絶対めぐちゃんが補修の時間までに帰ってこないの知ってるもん！」

瑠璃乃(急いでる、って言って居なくなっためぐちゃんが、そのまま補修にも出なくて留年に……を、ルリは何度も見ていた)

瑠璃乃「いつもそうだった！　それで帰ってきてからどうしたの、って聞いても、ずっと暗い顔で何も言わないし……！」
　

慈「え……あ、そっか。だから私は、補修室に行かなかった……ううん、行けなかったんだ……なるほどね」

瑠璃乃「……教えてよ、めぐちゃん。何があったの……？」

慈「そう……だよね。るりちゃんの話からすると、行っても私はもう、間に合わないっていうのもわかってるし」

慈「……」

慈「…………捨てられ、ちゃった……」

瑠璃乃「？」


慈「るりちゃんに貰った、大切な靴が捨てられちゃった……」
　

瑠璃乃「え……あの部室に置いてあっためぐちゃんの靴が……？　どうして……」

瑠璃乃「……あ」

瑠璃乃(そういえば、えなちゃんが……)

──

えな「部室棟の方で揉め事が起きてるらしくて、ゴミの分別に時間がかかっちゃってるんだよね……」

──

瑠璃乃(そうだ、揉め事が部室棟で、って……！　だから、ゴミが正しく分別されずに、纏まっちゃって……)
　

慈「確かじゃないけど、もうゴミ処理センターの方まで運ばれてるんじゃないか、って……だから私、焼却炉の方まで行こうとしてたんだけど……」

慈「さっきのるりちゃんの話を踏まえると、私はきっと……そのせいで、補修に出られないんだと思う」

瑠璃乃「めぐちゃん……」

瑠璃乃(……そっか。めぐちゃんは、毎回遠くのゴミ処理センターまでわざわざ向かってたから、補修には行けなかったんだ)

瑠璃乃(いつも暗い顔で帰ってきてたことを考えると、きっと靴を回収することもできなくて……)

慈「るりちゃん。……“今日”はもう、やり直して良いよ」

瑠璃乃「…………え？」
　

瑠璃乃「え、そ、それって……どういうこと？」

慈「……今から行っても間に合わないんでしょ？　私は、あれが無かったら、どうしていいか……」

慈「だって、るりちゃんに貰った大切な靴なんだよ……？　私の思い出が全部詰まってる、とっても大事なもの」

慈「理由がわかったんだったら、この私はいいから、もう一回やり直してほしい。そして朝のうちにでも、私に伝えてくれれば、万事解決するはずでしょ？」

瑠璃乃「え……でも、それは……」
　

瑠璃乃(“こんてぃにゅー”して、今のめぐちゃんを無かったことにしたら、それは……)

瑠璃乃(“今日”を生きためぐちゃんはどうなるんだろう……だって、いつだってめぐちゃんは、今を全力で生きているはずで)

瑠璃乃(それを無かったことにするのは……“今日”を否定することになるんじゃ……)

瑠璃乃「……あ」

瑠璃乃(……そっか。そういうことだったんだ……！)

慈「だから、絶対やり直して、今回は無かったことにした方が……」


瑠璃乃「──ううん、めぐちゃん、違うよ！」ﾊﾞｯ
　

慈「！？　る、るりちゃん？」

瑠璃乃「ルリは、もう戻らない。この一回で……絶対終わらせる！　……ルリ、わかったんだ」

慈「わ、わかったって……何が？」

瑠璃乃「──ルリ達の人生はリセット出来ない、ってこと！」

瑠璃乃「一日一日、全部を大切に生きていかなきゃダメだったんだよ！」
　

瑠璃乃「めぐちゃんの靴だって……あれは、めぐちゃんが必死に今を生きた、めぐちゃん自身の積み重ねで、消えるものじゃなくて」

瑠璃乃「なんていうか、無かったことにしちゃいけないものなんだよ！　で、それは全部そうだったんだ！」

慈「な、無かったことにしちゃいけない……？」

瑠璃乃「うん。ルリがみんなのために、って何度もやり直してたのだって……考えてみれば、必死で生きたみんなの“今日”を否定することになっちゃうんだ」
　

瑠璃乃(本質ってやつを、ルリは見逃していたんだと思う)

瑠璃乃「もうこんてぃにゅーは、しない。ルリは……めぐちゃんと“今”を生きたいから！」

慈「……！！」

慈「でも、もう……今からじゃどうしようも……」

瑠璃乃「ううん、諦めるのは早いよ、めぐちゃん！　一人で行動したって、限界があるってルリは知ってる」

瑠璃乃「待ってて、めぐちゃん！　ルリ、こーゆーときは人に頼っても良いんだって……みんなに、教わったから！」ﾋﾟｯ

瑠璃乃「──もしもし、さやかちゃん、花帆ちゃん！　ルリのこと助けてほしくて……」
　

──────

────

瑠璃乃「──良かったね、めぐちゃん。靴、まだ回収途中だったみたいで」

慈「いや、本当だよ……どっちみち、ゴミ処理センターまで行っても、無駄だったってことだもんね……」

瑠璃乃(あれから……さやかちゃんに花帆ちゃん、それにクラスメイトの子達にも手伝ってもらって、ゴミとして出された靴の大捜索をした)

瑠璃乃(その結果、ギリギリのとこで、回収前のゴミ袋を発見することができ……長かった“今日”はエンディングを迎えた)
　

慈「おかげで補修室にも間に合ったし……これで万事解決、だね」

慈「でも……ごめんね、るりちゃん。私のために、色々大変な思いをさせちゃったみたいで……」

瑠璃乃「ううん、今回のことで、改めてルリ……気付けたからさ」

瑠璃乃「──ルリはやっぱ、めぐちゃんと一緒にこれからも同じ時間を過ごしていきたいんだ、って！」ﾆｯ
　

慈「！　るりちゃん……！　……うん。私も同じ気持ち！　これからも絶対、るりちゃんの隣にいるからね！」

瑠璃乃「うんうん、ルリも、めぐちゃんのこと一人にしない！　大好きだよ、めぐちゃん！」ﾆｺｯ


おしまい