1:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 20:27:20 ID:???00
三月 成田空港
かのん「それじゃあ、行ってくるね!」
かのん母「気をつけてね。向こうでもちゃんとご飯食べるのよ」
ありあ「行ってらっしゃい。帰省するときはお土産買ってきてね」
マルガレーテ「頑張りなさいよ。まあ、私も今度そっちに帰るから、またそのときにね」
かのん「うん、頑張ってくる。……でもやっぱり不安だよ~。マルガレーテちゃんはどうやって乗り越えたの?」
マルガレーテ「私は日本語も話せるし、日本文化もそれなりにわかるし、そんなに大変では……」
かのん「うわ~、もう駄目だー! やっぱりマルガレーテちゃんも一緒に来てよ~!」
マルガレーテ「はいはい、もう何回目よこのくだり。行ったら行ったで何とかなるってば」
ありあ「あ、ほら、国際線なんだからそろそろ行かないと」
かのん「うう~、それじゃあ、行ってきます。……またね~! みんな~!」
かのん「それじゃあ、行ってくるね!」
かのん母「気をつけてね。向こうでもちゃんとご飯食べるのよ」
ありあ「行ってらっしゃい。帰省するときはお土産買ってきてね」
マルガレーテ「頑張りなさいよ。まあ、私も今度そっちに帰るから、またそのときにね」
かのん「うん、頑張ってくる。……でもやっぱり不安だよ~。マルガレーテちゃんはどうやって乗り越えたの?」
マルガレーテ「私は日本語も話せるし、日本文化もそれなりにわかるし、そんなに大変では……」
かのん「うわ~、もう駄目だー! やっぱりマルガレーテちゃんも一緒に来てよ~!」
マルガレーテ「はいはい、もう何回目よこのくだり。行ったら行ったで何とかなるってば」
ありあ「あ、ほら、国際線なんだからそろそろ行かないと」
かのん「うう~、それじゃあ、行ってきます。……またね~! みんな~!」
2:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 20:27:50 ID:???00
マルガレーテ「全く、大丈夫かしら」
ありあ「まあ、大丈夫でしょ。なんだかんだ何とかする人だから」
マルガレーテ「そうね、ああ見えて結構な人たらしだし」
ありあ「まあ、大丈夫でしょ。なんだかんだ何とかする人だから」
マルガレーテ「そうね、ああ見えて結構な人たらしだし」
3:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 20:29:18 ID:???00
かのん(ええと、私の席は、……あ、ここだ)
かのん(一人で国際線に乗るのはまだ慣れないなあ)
かのん(それに、飛行機ってなんか怖いし。何で飛んでるかわからないとかいって)
かのん(……ふあ~、準備で慌ただしかったから、ちょっと眠いかも)
かのん(食事まで少し時間がありそうだから、一眠りしよう……か、な)
かのん(…………)
かのん(一人で国際線に乗るのはまだ慣れないなあ)
かのん(それに、飛行機ってなんか怖いし。何で飛んでるかわからないとかいって)
かのん(……ふあ~、準備で慌ただしかったから、ちょっと眠いかも)
かのん(食事まで少し時間がありそうだから、一眠りしよう……か、な)
かのん(…………)
8:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:05:02 ID:???00
——
ジリリリリリリリ !!
かのん「はっ! 目覚まし鳴ってる!? すみません! ……って、あれ? ……家のベッド?」
かのん「やばい! 出発する夢見て遅刻するやつだ!」
かのん「スーツケースもない! 準備せずに寝ちゃったんだっけ?」
かのん「お母さん! ありあ! どうしよう、準備終わってない!」
かのん父「おはよう。そんなに慌てなくても、今から準備したら、入試には間に合うだろう?」
かのん「えっ!? 何でお父さんがマルガレーテちゃんの部屋から!? ……ま、まさかお父さん!?」
かのん父「え、何の部屋だって? いつもどおり、自分の部屋だけど……」
ジリリリリリリリ !!
かのん「はっ! 目覚まし鳴ってる!? すみません! ……って、あれ? ……家のベッド?」
かのん「やばい! 出発する夢見て遅刻するやつだ!」
かのん「スーツケースもない! 準備せずに寝ちゃったんだっけ?」
かのん「お母さん! ありあ! どうしよう、準備終わってない!」
かのん父「おはよう。そんなに慌てなくても、今から準備したら、入試には間に合うだろう?」
かのん「えっ!? 何でお父さんがマルガレーテちゃんの部屋から!? ……ま、まさかお父さん!?」
かのん父「え、何の部屋だって? いつもどおり、自分の部屋だけど……」
9:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:05:22 ID:???00
かのん「え、だって今はそこは……」
ありあ「おはよう。……何? 寝ぼけてるの?」
かのん「いやいや、だってマルガレーテちゃんの、……というかお父さんいつ帰ってきたの?」
ありあ「昨日の夜も一緒に晩御飯食べたでしょう? 入試壮行会だー、って」
かのん「ええと、ちょっと、ちょっと待って。……って、それどころじゃないよ! ウィーンに行く準備しないと! ありあ手伝って!」
ありあ「はあ? どこまで寝ぼけてるの? 今日行くのは高校、結ヶ丘の入試でしょ?」
かのん「……え? いやいや、……え? ……ええと、整理していいかな。私は高校卒業して留学することになって、今日はその出発日、だよね?」
ありあ「何一つ合ってないよ。……お姉ちゃんは中学三年生で、結ヶ丘高校音楽科の入試の日、だよ? お姉ちゃん、本当に大丈夫?」
かのん「だ、大丈夫じゃないかも……。ドッキリ、じゃない? 本当に、夢? だってあんなにはっきり……」
ありあ「じゃあほら、下に行ってニュースでも見たら? テレビまでお姉ちゃんにドッキリは仕掛けないでしょ」
かのん「え、……うん。……そ、そうする」
ありあ「おはよう。……何? 寝ぼけてるの?」
かのん「いやいや、だってマルガレーテちゃんの、……というかお父さんいつ帰ってきたの?」
ありあ「昨日の夜も一緒に晩御飯食べたでしょう? 入試壮行会だー、って」
かのん「ええと、ちょっと、ちょっと待って。……って、それどころじゃないよ! ウィーンに行く準備しないと! ありあ手伝って!」
ありあ「はあ? どこまで寝ぼけてるの? 今日行くのは高校、結ヶ丘の入試でしょ?」
かのん「……え? いやいや、……え? ……ええと、整理していいかな。私は高校卒業して留学することになって、今日はその出発日、だよね?」
ありあ「何一つ合ってないよ。……お姉ちゃんは中学三年生で、結ヶ丘高校音楽科の入試の日、だよ? お姉ちゃん、本当に大丈夫?」
かのん「だ、大丈夫じゃないかも……。ドッキリ、じゃない? 本当に、夢? だってあんなにはっきり……」
ありあ「じゃあほら、下に行ってニュースでも見たら? テレビまでお姉ちゃんにドッキリは仕掛けないでしょ」
かのん「え、……うん。……そ、そうする」
10:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:06:44 ID:???00
……
かのん「本当に、三年前の日付だ……」
かのん(そういえば、このパジャマも、……二年生のときに穴が空いて捨てたやつ)
かのん(じゃあ、本当に、夢……? ラブライブ!も、Liella!のみんなも、全部夢だった……?)
かのん(そんな、……あんなに、あんなに楽しかったのに、みんな大事な友達なのに……)
ありあ「少しは現実に戻ってきた?」
かのん「うん。……でも、本当に夢だったのかな……」
かのん母「随分楽しい夢だったみたいね」
かのん「うん……」
かのん母「それじゃあ、現実もそれに負けないくらい楽しくしないとね」
かのん「うん……そうだね……」
かのん母「じゃあ、まずは受験を頑張る! さあ、そろそろ千砂都ちゃんと待ち合わせの時間でしょう?」
かのん「本当に、三年前の日付だ……」
かのん(そういえば、このパジャマも、……二年生のときに穴が空いて捨てたやつ)
かのん(じゃあ、本当に、夢……? ラブライブ!も、Liella!のみんなも、全部夢だった……?)
かのん(そんな、……あんなに、あんなに楽しかったのに、みんな大事な友達なのに……)
ありあ「少しは現実に戻ってきた?」
かのん「うん。……でも、本当に夢だったのかな……」
かのん母「随分楽しい夢だったみたいね」
かのん「うん……」
かのん母「それじゃあ、現実もそれに負けないくらい楽しくしないとね」
かのん「うん……そうだね……」
かのん母「じゃあ、まずは受験を頑張る! さあ、そろそろ千砂都ちゃんと待ち合わせの時間でしょう?」
11:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:07:08 ID:???00
かのん「うん……! ちょっとまだ混乱してるけど、……行ってみるよ!」
かのん「それで、ええと、……何時に行けばいいんだっけ」
ありあ「ちょっと、しっかりしてよね」
かのん「何がいるんだっけ。受験票とか?」
ありあ「昨日鞄に入れてた」
かのん「ありがとう~、流石わが妹。……じゃあ、いってくるね!」
かのん母「いってらっしゃい。気を付けてね」
かのん「それで、ええと、……何時に行けばいいんだっけ」
ありあ「ちょっと、しっかりしてよね」
かのん「何がいるんだっけ。受験票とか?」
ありあ「昨日鞄に入れてた」
かのん「ありがとう~、流石わが妹。……じゃあ、いってくるね!」
かのん母「いってらっしゃい。気を付けてね」
12:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:07:30 ID:???00
かのん母「……」
ありあ「……」
かのん母「……大丈夫かしら」
ありあ「……いつも以上に不安だけど、でも、何か不思議と大丈夫な気もする」
かのん母「ありあもそう思う? 何かいつもより頼りになる感じがするのよねー」
ありあ「……」
かのん母「……大丈夫かしら」
ありあ「……いつも以上に不安だけど、でも、何か不思議と大丈夫な気もする」
かのん母「ありあもそう思う? 何かいつもより頼りになる感じがするのよねー」
14:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:10:18 ID:???00
……
かのん「ちぃちゃん、お待たせ!」
千砂都「あ! か……かのんちゃん。……おはよう」
かのん「おはよう。……えっと、い、いよいよ試験だね……?」
千砂都「う、うん。……そうだね、って何で疑問形?」
かのん「いやー、何か妙にリアルな夢見ちゃってさ」
千砂都「え!? ……どんな夢?」
かのん「うーん、いろいろありすぎて何と言ったらいいか。……あ、とりあえず私は音楽科に落ちる夢」
かのん「ちぃちゃん、お待たせ!」
千砂都「あ! か……かのんちゃん。……おはよう」
かのん「おはよう。……えっと、い、いよいよ試験だね……?」
千砂都「う、うん。……そうだね、って何で疑問形?」
かのん「いやー、何か妙にリアルな夢見ちゃってさ」
千砂都「え!? ……どんな夢?」
かのん「うーん、いろいろありすぎて何と言ったらいいか。……あ、とりあえず私は音楽科に落ちる夢」
15:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:10:53 ID:???00
千砂都「……」
かのん「ちぃちゃん? あ、ごめんね、試験前に縁起悪いこと言って」
千砂都「……ううん。……じゃあ、正夢にならないように頑張ろう?」
かのん「うん。いやー懐かしいな、受験」
千砂都「……本当にね」
かのん「ん? ごめん、何か言った?」
千砂都「ううん、何にも。……よーし、それじゃあ、頑張るぞー!」
かのん「おー!」
かのん「ちぃちゃん? あ、ごめんね、試験前に縁起悪いこと言って」
千砂都「……ううん。……じゃあ、正夢にならないように頑張ろう?」
かのん「うん。いやー懐かしいな、受験」
千砂都「……本当にね」
かのん「ん? ごめん、何か言った?」
千砂都「ううん、何にも。……よーし、それじゃあ、頑張るぞー!」
かのん「おー!」
17:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:12:10 ID:???00
……
試験官「では、次の方どうぞ」
かのん「はい、受験番号15番、澁谷かのんです」
試験官「澁谷さんですね。では、課題曲からお願いします」
かのん「はい」
かのん(落ちた後も未練がましく入試のときの曲練習していて良かった~)
かのん(ふー、この雰囲気、緊張するなー。……でも、ラブライブ!決勝に比べたら!)
かのん「~~♪」
試験官(ほう、これは……! ……澁谷さん、ですか)
試験官「では、次の方どうぞ」
かのん「はい、受験番号15番、澁谷かのんです」
試験官「澁谷さんですね。では、課題曲からお願いします」
かのん「はい」
かのん(落ちた後も未練がましく入試のときの曲練習していて良かった~)
かのん(ふー、この雰囲気、緊張するなー。……でも、ラブライブ!決勝に比べたら!)
かのん「~~♪」
試験官(ほう、これは……! ……澁谷さん、ですか)
19:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:13:06 ID:???00
……
試験官「以上で実技試験は終了です。ありがとうございました」
かのん「ありがとうございました。〇△先生」
試験官(ん? ……あの子、私のことを知っている? どこかで会ったかな)
試験官「以上で実技試験は終了です。ありがとうございました」
かのん「ありがとうございました。〇△先生」
試験官(ん? ……あの子、私のことを知っている? どこかで会ったかな)
20:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:13:39 ID:???00
……
かのん「お待たせ、ちぃちゃん。声楽も終わったよ」
千砂都「あ、……かのんちゃん。その、……どうだった?」
かのん「うん、バッチリだよ!」
千砂都「!? ……そうなんだ、……よ、よかった」
かのん「ちぃちゃんは、どうだった?」
千砂都「……それが、……駄目だったと思う。……私、踊れなかったんだ」
かのん「お待たせ、ちぃちゃん。声楽も終わったよ」
千砂都「あ、……かのんちゃん。その、……どうだった?」
かのん「うん、バッチリだよ!」
千砂都「!? ……そうなんだ、……よ、よかった」
かのん「ちぃちゃんは、どうだった?」
千砂都「……それが、……駄目だったと思う。……私、踊れなかったんだ」
22:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:18:55 ID:???00
かのん「え!? ちぃちゃんが? ……そんな、どうして」
千砂都「……朝は言えなかったんだけど、私も昨晩夢を見たんだ……」
かのん「え、……夢? それって……」
千砂都「妙に現実感があって、……というか現実そのもので、でも目が覚めたら中学生で、やけにリアルな夢を見たなって思ってた」
かのん「うん」
千砂都「でも、試験会場に来たら、知ってるんだ。……試験官の先生も、他の中学から来た同級生も、夢で見たとおりで……」
千砂都「……朝は言えなかったんだけど、私も昨晩夢を見たんだ……」
かのん「え、……夢? それって……」
千砂都「妙に現実感があって、……というか現実そのもので、でも目が覚めたら中学生で、やけにリアルな夢を見たなって思ってた」
かのん「うん」
千砂都「でも、試験会場に来たら、知ってるんだ。……試験官の先生も、他の中学から来た同級生も、夢で見たとおりで……」
23:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:20:18 ID:???00
かのん「あ……」
千砂都「それで、動揺しちゃって、足が動かなくて」
かのん「そ、そういえば、私も試験官の人が知ってる先生だと思ってたけど、夢と一緒だったからだ……」
千砂都「かのんちゃんも? やっぱり、かのんちゃんが見た夢っていうのも、私と同じ……?」
かのん「……そう、かも。えっと、私が見たのは、……Liella!の夢」
千砂都「……結ヶ丘でスクールアイドルをやった、……三年間の……夢?」
かのん「そう! そう! 私と、ちぃちゃんと、可可ちゃんと!」
千砂都「すみれちゃんと、恋ちゃんと、後輩のみんなと!」
千砂都「それで、動揺しちゃって、足が動かなくて」
かのん「そ、そういえば、私も試験官の人が知ってる先生だと思ってたけど、夢と一緒だったからだ……」
千砂都「かのんちゃんも? やっぱり、かのんちゃんが見た夢っていうのも、私と同じ……?」
かのん「……そう、かも。えっと、私が見たのは、……Liella!の夢」
千砂都「……結ヶ丘でスクールアイドルをやった、……三年間の……夢?」
かのん「そう! そう! 私と、ちぃちゃんと、可可ちゃんと!」
千砂都「すみれちゃんと、恋ちゃんと、後輩のみんなと!」
24:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:20:48 ID:???00
かのん「なんで……」
千砂都「私とかのんちゃんが同じ夢を見た……? でも、現実も見たとおりということは、むしろ私たちだけが、……過去に戻った?」
かのん「そんなの、そんなこと、ある?」
千砂都「ない、と思うけど、でも、今のこの状況は……」
かのん「説明がつかないよ。だって、夢ならこんなにはっきり覚えてない。みんなで作った曲も、ダンスも、出会った人も!
千砂都「うん、……ん? あれって……」
千砂都「私とかのんちゃんが同じ夢を見た……? でも、現実も見たとおりということは、むしろ私たちだけが、……過去に戻った?」
かのん「そんなの、そんなこと、ある?」
千砂都「ない、と思うけど、でも、今のこの状況は……」
かのん「説明がつかないよ。だって、夢ならこんなにはっきり覚えてない。みんなで作った曲も、ダンスも、出会った人も!
千砂都「うん、……ん? あれって……」
26:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:21:50 ID:???00
かのん「あ!」
恋「!? 」
恋「あ、……し、失礼しました」
かのん「ちょっと待って、恋ちゃん!」
恋「え、なぜ私のことを……?」
千砂都「知ってるよ! というか、今の反応、もしかして恋ちゃんも私たちのこと、知ってるんじゃない?」
恋「そ、そんなこと、ありません。……今初めてお会いしたと思いますが」
かのん「ん~? 目が泳いでるなあ。それに、この感じ、一年生の頃の余裕のない恋ちゃんじゃないような」
恋「……」
恋「!? 」
恋「あ、……し、失礼しました」
かのん「ちょっと待って、恋ちゃん!」
恋「え、なぜ私のことを……?」
千砂都「知ってるよ! というか、今の反応、もしかして恋ちゃんも私たちのこと、知ってるんじゃない?」
恋「そ、そんなこと、ありません。……今初めてお会いしたと思いますが」
かのん「ん~? 目が泳いでるなあ。それに、この感じ、一年生の頃の余裕のない恋ちゃんじゃないような」
恋「……」
27:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:22:45 ID:???00
千砂都「ねえ、恋ちゃんもLiella!っていう名前に聞き覚えない?」
恋「!? ……Liella!、……はい! よく、知っています」
かのん「やったあ! これで三人目だ!」
恋「まさか、お二人もこれからの三年間のことを……?」
千砂都「三年間、……そう、スクールアイドル部で過ごした三年間を、ね」
恋「そんな……悪い夢ではなかったのですね……」
かのん「いやいや、夢だったとしても、悪くはないでしょ」
恋「あ、いえ、そういう意味ではなく……」
恋「!? ……Liella!、……はい! よく、知っています」
かのん「やったあ! これで三人目だ!」
恋「まさか、お二人もこれからの三年間のことを……?」
千砂都「三年間、……そう、スクールアイドル部で過ごした三年間を、ね」
恋「そんな……悪い夢ではなかったのですね……」
かのん「いやいや、夢だったとしても、悪くはないでしょ」
恋「あ、いえ、そういう意味ではなく……」
28:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:23:11 ID:???00
千砂都「でも、これで三人。それも、みんなLiella!のメンバーばかりだ」
恋「本当に、記憶があるのですね。……これは、一体どういうことなのでしょう」
千砂都「まだ現実感がないよ。だって、もう卒業したのにさ」
恋「はい、……これからどうしたら」
かのん「うーん、わかんないけど、とりあえず……」
千砂都「とりあえず?」
かのん「行ってみよっか」
恋「本当に、記憶があるのですね。……これは、一体どういうことなのでしょう」
千砂都「まだ現実感がないよ。だって、もう卒業したのにさ」
恋「はい、……これからどうしたら」
かのん「うーん、わかんないけど、とりあえず……」
千砂都「とりあえず?」
かのん「行ってみよっか」
30:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:25:28 ID:???00
……
神社
すみれ「……」
かのん「あ、見て、すみれちゃんだよ」
恋「境内の掃除中でしょうか。でも、少し様子がおかしいですね」
千砂都「同じところばっかり掃いているし、何か悩んでる感じかな?」
恋「どうやって確かめましょうか」
かのん「まあ、行くしかないよね!」
千砂都「うーん、そうだね!」
神社
すみれ「……」
かのん「あ、見て、すみれちゃんだよ」
恋「境内の掃除中でしょうか。でも、少し様子がおかしいですね」
千砂都「同じところばっかり掃いているし、何か悩んでる感じかな?」
恋「どうやって確かめましょうか」
かのん「まあ、行くしかないよね!」
千砂都「うーん、そうだね!」
31:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:27:21 ID:???00
かのん「すーみれちゃん!」
すみれ「ひっ! 何!? か、かのん……!」
千砂都「あ、やっぱり。……ねえ、すみれちゃん、Liella!って知らない?」
すみれ「な! どうしてその名前を」
恋「私たちも、Liella!として過ごした記憶があるのです」
すみれ「え、本当に、みんななの?」
かのん「そうだよ。高校三年生三月の、ね」
すみれ「私だけじゃ、なかったのね……」
千砂都「どうやら、そうみたいなんだよ」
すみれ「自分がどうかしちゃったのかと、思っていたわ」
恋「私たちはたまたま今日が音楽科の入試だったので気が付きましたが、そうでないと、確信を持つまでには至らないかもしれませんね」
すみれ「ひっ! 何!? か、かのん……!」
千砂都「あ、やっぱり。……ねえ、すみれちゃん、Liella!って知らない?」
すみれ「な! どうしてその名前を」
恋「私たちも、Liella!として過ごした記憶があるのです」
すみれ「え、本当に、みんななの?」
かのん「そうだよ。高校三年生三月の、ね」
すみれ「私だけじゃ、なかったのね……」
千砂都「どうやら、そうみたいなんだよ」
すみれ「自分がどうかしちゃったのかと、思っていたわ」
恋「私たちはたまたま今日が音楽科の入試だったので気が付きましたが、そうでないと、確信を持つまでには至らないかもしれませんね」
34:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:28:27 ID:???00
すみれ「本当にみんなが来てくれてよかったったらよかったわ」
すみれ「あとは……可可は?」
千砂都「うーん、普通科の入試はもう終わってるし、確か入学式直前までこっちに来てないんじゃなかったっけ」
すみれ「そっか、連絡先もわからないものね。誰か暗記していない?」
かのん「すみれちゃんがしていないなら、誰もしていないよ」
恋「上海に会いに行くのも、私たちがまだ中学生だということを考えると、難しそうですね」
すみれ「仕方がないわね。まあ、入学したら会えるんだから、待ちましょう。そして会ったら驚かせてやるのよ!」
すみれ「あとは……可可は?」
千砂都「うーん、普通科の入試はもう終わってるし、確か入学式直前までこっちに来てないんじゃなかったっけ」
すみれ「そっか、連絡先もわからないものね。誰か暗記していない?」
かのん「すみれちゃんがしていないなら、誰もしていないよ」
恋「上海に会いに行くのも、私たちがまだ中学生だということを考えると、難しそうですね」
すみれ「仕方がないわね。まあ、入学したら会えるんだから、待ちましょう。そして会ったら驚かせてやるのよ!」
35:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:30:47 ID:???00
千砂都「それじゃあ、あと会える人といったら……」
恋「近場ならメイさん、四季さん。夏美さんと冬毬さんも少し遠いですが会いには行けそうです」
かのん「きな子ちゃんとマルガレーテちゃんは、……厳しいかな」
すみれ「まずは、メイと四季ね。……そもそも、一、二年生も記憶があるの?」
千砂都「多分……いや、どうかな」
かのん「行ってみればわかるよ」
恋「今日はもう遅いので、明日の放課後にしましょうか」
すみれ「そうね、そうしましょう」
恋「近場ならメイさん、四季さん。夏美さんと冬毬さんも少し遠いですが会いには行けそうです」
かのん「きな子ちゃんとマルガレーテちゃんは、……厳しいかな」
すみれ「まずは、メイと四季ね。……そもそも、一、二年生も記憶があるの?」
千砂都「多分……いや、どうかな」
かのん「行ってみればわかるよ」
恋「今日はもう遅いので、明日の放課後にしましょうか」
すみれ「そうね、そうしましょう」
36:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:31:51 ID:???00
千砂都「じゃあ、また明日ここでいいかな。あ、連絡先は交換しておかなきゃ」
かのん「そうだった。ちぃちゃんはこのときから登録してあるけど、二人の連絡先は入ってないんだ」
恋「……はい、これで大丈夫ですね。では、また明日よろしくお願いします」
すみれ「……みんな、ありがとう、来てくれて」
かのん「うん、私もすみれちゃんがいてくれてよかったよ」
千砂都「みんなも同じなら、できるだけ早く会いに行かないとね」
かのん「じゃあ、その第一歩として、明日も頑張ろー!」
すみれ「任せなさいったら任せなさい!」
かのん「そうだった。ちぃちゃんはこのときから登録してあるけど、二人の連絡先は入ってないんだ」
恋「……はい、これで大丈夫ですね。では、また明日よろしくお願いします」
すみれ「……みんな、ありがとう、来てくれて」
かのん「うん、私もすみれちゃんがいてくれてよかったよ」
千砂都「みんなも同じなら、できるだけ早く会いに行かないとね」
かのん「じゃあ、その第一歩として、明日も頑張ろー!」
すみれ「任せなさいったら任せなさい!」
37:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:34:29 ID:???00
……
翌日
かのん「寝て起きたら戻ってないかなー、と思ったけど、駄目だったねー」
千砂都「本当にねー。どうなってるんだろう」
すみれ「着いたわよ。ここが二人の中学ね」
恋「メイさんと四季さんはまだ下校前でしょうか」
かのん「四季ちゃんは、中学でも科学部なんだっけ? それならまだいるかなー」
千砂都「会えたとして、どう話しかけようか。一歩間違えば不審者だけど……」
すみれ「この四人が揃っていれば何かしら反応があるでしょう?」
恋「これまでどおりLiella!の名前を出すのがいいでしょうね」
かのん「あ! いたいた! 四季ちゃんと、メイちゃんも一緒だ!」
すみれ「よし、行くわよ」
翌日
かのん「寝て起きたら戻ってないかなー、と思ったけど、駄目だったねー」
千砂都「本当にねー。どうなってるんだろう」
すみれ「着いたわよ。ここが二人の中学ね」
恋「メイさんと四季さんはまだ下校前でしょうか」
かのん「四季ちゃんは、中学でも科学部なんだっけ? それならまだいるかなー」
千砂都「会えたとして、どう話しかけようか。一歩間違えば不審者だけど……」
すみれ「この四人が揃っていれば何かしら反応があるでしょう?」
恋「これまでどおりLiella!の名前を出すのがいいでしょうね」
かのん「あ! いたいた! 四季ちゃんと、メイちゃんも一緒だ!」
すみれ「よし、行くわよ」
38:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:35:41 ID:???00
メイ「 ……四季、どうしたんだ? 何か様子が変だぞ?」
四季「科学的な考察をしているだけ。……そういうメイも、変」
メイ「私も色々、な。……考えてるんだよ、って、あ、あれは?」
四季「まさか……」
かのん「あれ、どっちかな? 知らない他校生に絡まれてる反応?」
すみれ「それにしては、話しかけてもいないのにいきなり過剰反応ね」
千砂都「じゃあ、やっぱり二人とも……」
恋「こんにちは、……Liella!のメイさんと、四季さんで合っているでしょうか」
メイ「恋先輩……!」
四季「Liella!の名前を出した、ということは……」
千砂都「私たちは、……三年後から来たんだ。二人もなんじゃない?」
四季「科学的な考察をしているだけ。……そういうメイも、変」
メイ「私も色々、な。……考えてるんだよ、って、あ、あれは?」
四季「まさか……」
かのん「あれ、どっちかな? 知らない他校生に絡まれてる反応?」
すみれ「それにしては、話しかけてもいないのにいきなり過剰反応ね」
千砂都「じゃあ、やっぱり二人とも……」
恋「こんにちは、……Liella!のメイさんと、四季さんで合っているでしょうか」
メイ「恋先輩……!」
四季「Liella!の名前を出した、ということは……」
千砂都「私たちは、……三年後から来たんだ。二人もなんじゃない?」
39:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:36:44 ID:???00
四季「三年後、……そう」
メイ「な……!? 四季もかよ!? 様子がおかしいと思ったら……」
四季「メイも同じ可能性が高いと思ったけど、確証がなかった」
メイ「聞けよ! 私が一人でどんな思いだったか……」
かのん「まあまあ、……二人も一緒でよかったよ」
すみれ「ということは、やっぱり二年生もタイムスリップしているみたいね」
四季「タイムリープ」
すみれ「え?」
四季「記憶のみ時を越える現象は一般的にタイムリープと呼ばれる」
メイ「どうでもいいだろ」
四季「よくない。自分が置かれている状況を正確に把握することは重要」
メイ「な……!? 四季もかよ!? 様子がおかしいと思ったら……」
四季「メイも同じ可能性が高いと思ったけど、確証がなかった」
メイ「聞けよ! 私が一人でどんな思いだったか……」
かのん「まあまあ、……二人も一緒でよかったよ」
すみれ「ということは、やっぱり二年生もタイムスリップしているみたいね」
四季「タイムリープ」
すみれ「え?」
四季「記憶のみ時を越える現象は一般的にタイムリープと呼ばれる」
メイ「どうでもいいだろ」
四季「よくない。自分が置かれている状況を正確に把握することは重要」
40:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:38:53 ID:???00
千砂都「それで、この状況については何かわかるの?」
四季「それは無理。タイムトラベルならまだしも、タイムリープは人知を超えている」
すみれ「タイムトラベルはまだしも、って……」
メイ「じゃあ、四季でも解決策はわからないってことか?」
四季「そう、何がきっかけかすらわからない状況では、手の打ちようがない。……だから、まずはメイとの中学生活を楽しもうと思っていた」
恋「やはり手がかりはなし、ですね」
かのん「でも、これで二年生もタイムリープしてることがわかったよ。なら次は……」
すみれ「夏美と冬毬ね」
かのん「牛久かー。中学生だからお小遣い少ないんだよねー」
恋「とはいえ、行くしかありません」
千砂都「そうだね。よし、じゃあ明日は牛久にゴーだよ! ……おっと、その前にまた連絡先の交換をしておかないとね!」
四季「それは無理。タイムトラベルならまだしも、タイムリープは人知を超えている」
すみれ「タイムトラベルはまだしも、って……」
メイ「じゃあ、四季でも解決策はわからないってことか?」
四季「そう、何がきっかけかすらわからない状況では、手の打ちようがない。……だから、まずはメイとの中学生活を楽しもうと思っていた」
恋「やはり手がかりはなし、ですね」
かのん「でも、これで二年生もタイムリープしてることがわかったよ。なら次は……」
すみれ「夏美と冬毬ね」
かのん「牛久かー。中学生だからお小遣い少ないんだよねー」
恋「とはいえ、行くしかありません」
千砂都「そうだね。よし、じゃあ明日は牛久にゴーだよ! ……おっと、その前にまた連絡先の交換をしておかないとね!」
47:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:49:02 ID:???00
>>42はこれで
……
翌日 牛久 鬼塚家前
かのん「この頃の二人って、確か……」
四季「夏美ちゃんが夢を失くして、マニーに傾倒していたはず」
メイ「でも、スクールアイドルは始める前だから、姉妹仲はそれほど拗れていない、のか?」
すみれ「どちらにしろ、行ってみるしかないわね」
恋「では、チャイムを鳴らしますね」
ピン……ポーン
「とまりー、お願いですのー」
メイ「この声……」
四季「夏美ちゃん……」
……
翌日 牛久 鬼塚家前
かのん「この頃の二人って、確か……」
四季「夏美ちゃんが夢を失くして、マニーに傾倒していたはず」
メイ「でも、スクールアイドルは始める前だから、姉妹仲はそれほど拗れていない、のか?」
すみれ「どちらにしろ、行ってみるしかないわね」
恋「では、チャイムを鳴らしますね」
ピン……ポーン
「とまりー、お願いですのー」
メイ「この声……」
四季「夏美ちゃん……」
43:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:44:02 ID:???00
冬毬「はい、どちらさまでしょう、……か」
かのん「あ! 冬毬ちゃん、久しぶり……?」
冬毬「み、みなさん……! いえ、何か御用でしょうか」
千砂都「うん、Liella!の冬毬ちゃんと夏美ちゃんにね」
冬毬「Liella!、……それでは、みなさんも……」
すみれ「さすが、理解が早いわね。そういうことよ」
冬毬「私だけでは、なかったのですね」
千砂都「そうみたい。Liella!のメンバーがタイムリープした、らしいんだ」
四季「ちょっと待って。『私だけでは』? 夏美ちゃんは?」
冬毬「姉者には、そういう様子はありませんでした。以前のような、マニーのことだけを考えている姿のままです」
恋「そんな、夏美さんだけが対象外ということでしょうか」
すみれ「うーん、とにかく会ってみましょう」
かのん「あ! 冬毬ちゃん、久しぶり……?」
冬毬「み、みなさん……! いえ、何か御用でしょうか」
千砂都「うん、Liella!の冬毬ちゃんと夏美ちゃんにね」
冬毬「Liella!、……それでは、みなさんも……」
すみれ「さすが、理解が早いわね。そういうことよ」
冬毬「私だけでは、なかったのですね」
千砂都「そうみたい。Liella!のメンバーがタイムリープした、らしいんだ」
四季「ちょっと待って。『私だけでは』? 夏美ちゃんは?」
冬毬「姉者には、そういう様子はありませんでした。以前のような、マニーのことだけを考えている姿のままです」
恋「そんな、夏美さんだけが対象外ということでしょうか」
すみれ「うーん、とにかく会ってみましょう」
45:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:46:55 ID:???00
……
冬毬「姉者、入りますよ」
夏美「……株、株、このあと上がった株がわかりませんの~」
夏美「それに~、万馬券が出たというニュースはありましたが、……いつのレースだったか~」
夏美「……って、み、みみみみなみなさま、なぜここに~!?」
すみれ「はい、確定ね」
四季「マニーに夢中になっていただけ」
メイ「諦めろよ、そんなんで稼いだお金じゃなあ」
夏美「でも、またとないチャンスですの。これを逃しては……」
四季「どうせ調子に乗ったところで、前回とは違う結果になって損するパターン」
夏美「なんとなく想像できる自分が嫌になりますの。……まあまだ時間はありますから、じっくり思い出していけばそのうち……って、……み、みんなも記憶がありますの!?」」
四季「そう、みんな三年後から来た」
冬毬「姉者、入りますよ」
夏美「……株、株、このあと上がった株がわかりませんの~」
夏美「それに~、万馬券が出たというニュースはありましたが、……いつのレースだったか~」
夏美「……って、み、みみみみなみなさま、なぜここに~!?」
すみれ「はい、確定ね」
四季「マニーに夢中になっていただけ」
メイ「諦めろよ、そんなんで稼いだお金じゃなあ」
夏美「でも、またとないチャンスですの。これを逃しては……」
四季「どうせ調子に乗ったところで、前回とは違う結果になって損するパターン」
夏美「なんとなく想像できる自分が嫌になりますの。……まあまだ時間はありますから、じっくり思い出していけばそのうち……って、……み、みんなも記憶がありますの!?」」
四季「そう、みんな三年後から来た」
49:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:50:56 ID:???00
夏美「そ、そんな……!? じゃあ……」
冬毬「……姉者は、記憶があったのに何も言ってくれなかったのですか?」
夏美「やっぱり冬毬も!? ……え、 いや、それはー、やっぱり信じてもらえないと思ったし……」
冬毬「それに、もうあの頃とは違うのに、また二人の間に距離が空いたままでいいと思っていたということですか?」
夏美「そ、そそそんなことありませんの。というかそれを言うなら、冬毬こそ全然変わらなかったですの」
冬毬「私は前回よりしっかり歩み寄っています。スクールアイドルの雑誌もグッズも揃えて、あんなに話しかけたじゃありませんか」
夏美「え? あ! そうか、元々の冬毬はまだスクールアイドルを知らないから、……今の、ええと、ややこしいですの。三年後の冬毬のイメージがあったから、気づいてませんでしたの!」
すみれ「はいはい、姉妹喧嘩は後にしてくれる? 」
夏美「あ、……あ~そうでしたの! 喧嘩している場合ではありませんの~!」
冬毬「……姉者は、記憶があったのに何も言ってくれなかったのですか?」
夏美「やっぱり冬毬も!? ……え、 いや、それはー、やっぱり信じてもらえないと思ったし……」
冬毬「それに、もうあの頃とは違うのに、また二人の間に距離が空いたままでいいと思っていたということですか?」
夏美「そ、そそそんなことありませんの。というかそれを言うなら、冬毬こそ全然変わらなかったですの」
冬毬「私は前回よりしっかり歩み寄っています。スクールアイドルの雑誌もグッズも揃えて、あんなに話しかけたじゃありませんか」
夏美「え? あ! そうか、元々の冬毬はまだスクールアイドルを知らないから、……今の、ええと、ややこしいですの。三年後の冬毬のイメージがあったから、気づいてませんでしたの!」
すみれ「はいはい、姉妹喧嘩は後にしてくれる? 」
夏美「あ、……あ~そうでしたの! 喧嘩している場合ではありませんの~!」
50:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:51:49 ID:???00
冬毬「……」
千砂都「まあまあ、冬毬ちゃん」
夏美「しかし、Liella!のみんなが未来の記憶を持っている、……ということは」
かのん「ということは……?」
夏美「……どういうことですの?」
メイ「なんだよ、なんかあるんじゃないのかよ」
夏美「さっぱりわかりませんの」
四季「冬毬ちゃんも?」
冬毬「はい、一体なぜこのようなことが……」
恋「特に進展はありませんか。それでもこれで八人、大分揃いましたね」
千砂都「まあまあ、冬毬ちゃん」
夏美「しかし、Liella!のみんなが未来の記憶を持っている、……ということは」
かのん「ということは……?」
夏美「……どういうことですの?」
メイ「なんだよ、なんかあるんじゃないのかよ」
夏美「さっぱりわかりませんの」
四季「冬毬ちゃんも?」
冬毬「はい、一体なぜこのようなことが……」
恋「特に進展はありませんか。それでもこれで八人、大分揃いましたね」
51:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:53:22 ID:???00
かのん「可可ちゃんには、四月に会えるとして、あとはきな子ちゃんと……」
千砂都「マルガレーテちゃん。そう簡単に行けるところじゃないね」
すみれ「連絡先がわかる人は?」
夏美「……覚えてませんの」
冬毬「三年後なら手帳にも残しているのですが……」
恋「どうにか連絡する手段は……きな子さんのご実家のペンションは、どこかに連絡先がないでしょうか」
夏美「検索してみますの!」
メイ「マルガレーテは、音楽一家なんだよな。家族の連絡先なら見つかるんじゃないか?」
冬毬「どこかにご両親の連絡先がないか調べてみましょう」
千砂都「マルガレーテちゃん。そう簡単に行けるところじゃないね」
すみれ「連絡先がわかる人は?」
夏美「……覚えてませんの」
冬毬「三年後なら手帳にも残しているのですが……」
恋「どうにか連絡する手段は……きな子さんのご実家のペンションは、どこかに連絡先がないでしょうか」
夏美「検索してみますの!」
メイ「マルガレーテは、音楽一家なんだよな。家族の連絡先なら見つかるんじゃないか?」
冬毬「どこかにご両親の連絡先がないか調べてみましょう」
52:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:53:54 ID:???00
夏美「あ! ありましたの! 多分ここのはず……」
メイ「よし、それじゃあ、……何て送るんだ?」
恋「きな子さんに、Liella!という名前に覚えがあったら連絡するようお伝えください、というところでしょうか」
夏美「うーん、なかなか怪しいメールですが、やむを得ません、……送信ですの!」
四季「マルガレーテちゃんの方はどう?」
冬毬「すみません、もう少し時間をください」
すみれ「海外の情報収集は難しいわね。……それぞれ調べてみて、何か分かったら共有しましょう」
かのん「そうだね。私もマルガレーテちゃんの部屋を調べてみて、……ってそれはできないんだった。まだ慣れないなあ」
千砂都「可可ちゃんは、あと少しで日本に来るし、メンバー集めでできるのは一旦ここまでかな」
すみれ「そうね。うまく連絡がつけばいいけど……」
メイ「よし、それじゃあ、……何て送るんだ?」
恋「きな子さんに、Liella!という名前に覚えがあったら連絡するようお伝えください、というところでしょうか」
夏美「うーん、なかなか怪しいメールですが、やむを得ません、……送信ですの!」
四季「マルガレーテちゃんの方はどう?」
冬毬「すみません、もう少し時間をください」
すみれ「海外の情報収集は難しいわね。……それぞれ調べてみて、何か分かったら共有しましょう」
かのん「そうだね。私もマルガレーテちゃんの部屋を調べてみて、……ってそれはできないんだった。まだ慣れないなあ」
千砂都「可可ちゃんは、あと少しで日本に来るし、メンバー集めでできるのは一旦ここまでかな」
すみれ「そうね。うまく連絡がつけばいいけど……」
53:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:55:07 ID:???00
恋「……あの、少し気になっているのですが、私たちが何か行動すると未来が変わります。私たちが知る未来から変わることを、どの程度重く受け止めればいいのでしょう」
千砂都「うーん、でも全く同じにするのは無理だよね。もう色々変わってるし。あまり意識しすぎなくてもいいんじゃないかな」
四季「小さな変化は避けられない。でも、それが世界全体に影響することはほとんどないはず」
メイ「私たちが何かやっても世界を変えるほどじゃないってことか」
四季「でも、テロや暗〇はしないほうがいいと思う」
かのん「いやいや、それはしないよ。それでも、あまり目立ったことはしないほうがいいのかな」
すみれ「例えば?」
かのん「高校生歌姫澁谷かのんメジャーデビュー、とか?」
すみれ「高校生美少女タレント平安名すみれ朝ドラ主演決定、とか?」
四季「その程度なら多分大丈夫」
かのん「その程度なら……」
すみれ「いつか世界を変えてやるったら変えてやるわ……」
千砂都「うーん、でも全く同じにするのは無理だよね。もう色々変わってるし。あまり意識しすぎなくてもいいんじゃないかな」
四季「小さな変化は避けられない。でも、それが世界全体に影響することはほとんどないはず」
メイ「私たちが何かやっても世界を変えるほどじゃないってことか」
四季「でも、テロや暗〇はしないほうがいいと思う」
かのん「いやいや、それはしないよ。それでも、あまり目立ったことはしないほうがいいのかな」
すみれ「例えば?」
かのん「高校生歌姫澁谷かのんメジャーデビュー、とか?」
すみれ「高校生美少女タレント平安名すみれ朝ドラ主演決定、とか?」
四季「その程度なら多分大丈夫」
かのん「その程度なら……」
すみれ「いつか世界を変えてやるったら変えてやるわ……」
54:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:58:22 ID:???00
……
四月
可可「かのん!? かのんがいまセン! かのん~! どこに行ってしまったのデスか~!」
千砂都「かのんちゃんなら音楽科だよ。……か、かのんちゃんの知り合いかな?」
可可「千砂都!? ……いや、その、知り合いというか、一方的に知っているといいマスか~」
千砂都「あ、私の名前覚えてくれたんだ。まだ初日なのに」
可可「へ? あ……そ、そうデス、名前を覚えるのは得意デス」
すみれ「へえ、そうなんだ。可可ちゃん、だっけ。私の名前も覚えている?」
可可「す、すみれ!?」
すみれ「あ、本当、すごいのね。……でも、慣れないこともたくさんあるでしょう? 困ったことがあったら何でも頼ってね」
可可「な、何デスかこのすみれは。かのんもいマセンし、……やはり上海で蝶が羽ばたくと東京ですみれが大人しくなる……、ククが歴史を変えてしまったのデスか……」
四月
可可「かのん!? かのんがいまセン! かのん~! どこに行ってしまったのデスか~!」
千砂都「かのんちゃんなら音楽科だよ。……か、かのんちゃんの知り合いかな?」
可可「千砂都!? ……いや、その、知り合いというか、一方的に知っているといいマスか~」
千砂都「あ、私の名前覚えてくれたんだ。まだ初日なのに」
可可「へ? あ……そ、そうデス、名前を覚えるのは得意デス」
すみれ「へえ、そうなんだ。可可ちゃん、だっけ。私の名前も覚えている?」
可可「す、すみれ!?」
すみれ「あ、本当、すごいのね。……でも、慣れないこともたくさんあるでしょう? 困ったことがあったら何でも頼ってね」
可可「な、何デスかこのすみれは。かのんもいマセンし、……やはり上海で蝶が羽ばたくと東京ですみれが大人しくなる……、ククが歴史を変えてしまったのデスか……」
55:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 21:59:52 ID:???00
千砂都「ちょっと、そろそろいいんじゃない?」
すみれ「まだよ、もうちょっと。だって見てよあの可可の顔」
可可「どうしたんデスか?」
すみれ「いや、……ぷふっ、何でも、……くくくっ、ないのよ……」
千砂都「ほら、もう笑っちゃってるし、ここまでにしよう。すみれちゃんも一人の不安はわかってるでしょ?」
すみれ「ふふふ、……そうね。仕方がないから、これで勘弁してあげるわ」
可可「……すみれ?」
千砂都「あー、えっと、そう。ごめんね、……私たちも可可ちゃんと一緒なんだ。一緒っていうのは、未来からタイムリープしてきたってことが」
可可「×〇△□~!?」
すみれ「まだよ、もうちょっと。だって見てよあの可可の顔」
可可「どうしたんデスか?」
すみれ「いや、……ぷふっ、何でも、……くくくっ、ないのよ……」
千砂都「ほら、もう笑っちゃってるし、ここまでにしよう。すみれちゃんも一人の不安はわかってるでしょ?」
すみれ「ふふふ、……そうね。仕方がないから、これで勘弁してあげるわ」
可可「……すみれ?」
千砂都「あー、えっと、そう。ごめんね、……私たちも可可ちゃんと一緒なんだ。一緒っていうのは、未来からタイムリープしてきたってことが」
可可「×〇△□~!?」
57:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:01:28 ID:???00
……
かのん「あれ、本当にやったんだ……」
可可「信じられマセン! ククがどんな気持ちでいたか……!」
すみれ「そうね、悪かったわ。ごめんなさい」
可可「まだ大人しいすみれの振りデスか……?」
すみれ「違うわよ。本当に悪かったって言ってるの」
可可「……ならいいデス。素直に謝ったから許してやりマス」
恋「でも、よかったです。可可さんがまた結ヶ丘に来てくれて」
可可「当然デス、ここにくる以外の選択肢はありマセン」
千砂都「みんなそうだといいんだけどね……」
可可「……何かあったんデスか?」
かのん「後輩のみんなも私たちと同じ状態なんだけど、マルガレーテちゃんときな子ちゃんは、連絡が取れないんだ」
かのん「あれ、本当にやったんだ……」
可可「信じられマセン! ククがどんな気持ちでいたか……!」
すみれ「そうね、悪かったわ。ごめんなさい」
可可「まだ大人しいすみれの振りデスか……?」
すみれ「違うわよ。本当に悪かったって言ってるの」
可可「……ならいいデス。素直に謝ったから許してやりマス」
恋「でも、よかったです。可可さんがまた結ヶ丘に来てくれて」
可可「当然デス、ここにくる以外の選択肢はありマセン」
千砂都「みんなそうだといいんだけどね……」
可可「……何かあったんデスか?」
かのん「後輩のみんなも私たちと同じ状態なんだけど、マルガレーテちゃんときな子ちゃんは、連絡が取れないんだ」
58:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:03:31 ID:???00
可可「マルマル、きなきな……」
恋「メールは送ってみたのですが、返信はなく……現状お手上げです」
可可「そうデスか。……でも、二人ならきっと結ヶ丘に来てくれるはずデス!」
千砂都「うん、そう信じよう」
すみれ「……それで、私たちはどうするの?」
かのん「どうするって?」
すみれ「理由はともかく、もう一度高校生になったわけじゃない? なら、もう一度Liella!を、スクールアイドルをやるわけ?」
可可「すみれはやらないつもりデスか!?」
すみれ「勘違いしないで。嫌なわけじゃないわ。……でも、限られた時間で全力で頑張って、結果として優勝もしたわけじゃない? それなりにやり尽くしたと言ってもいいんじゃないの?」
恋「メールは送ってみたのですが、返信はなく……現状お手上げです」
可可「そうデスか。……でも、二人ならきっと結ヶ丘に来てくれるはずデス!」
千砂都「うん、そう信じよう」
すみれ「……それで、私たちはどうするの?」
かのん「どうするって?」
すみれ「理由はともかく、もう一度高校生になったわけじゃない? なら、もう一度Liella!を、スクールアイドルをやるわけ?」
可可「すみれはやらないつもりデスか!?」
すみれ「勘違いしないで。嫌なわけじゃないわ。……でも、限られた時間で全力で頑張って、結果として優勝もしたわけじゃない? それなりにやり尽くしたと言ってもいいんじゃないの?」
59:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:04:45 ID:???00
恋「確かに。もう一度同じことをやる意義があるのかということですね」
千砂都「……でも、元に戻れるかもわからないんだよね。そうしたら、私たちがやらないと、Liella!が、結ヶ丘のスクールアイドル部が、なかったことになっちゃうよ。それは嫌だな」
可可「そうデス、ククたちがやらずに誰がLiella!をやるんデスか!?」
すみれ「後輩たちに託す、っていう手もあるわよ」
恋「でもそうすると、そこに私たちはいない……」
千砂都「それに、Liella!のみんなだけがタイムリープしたことに、何か意味があるなら、Liella!は結成した方がいいのかも」
かのん「うーん、もう一度やる意義かー。……確かに私たちやるだけやったけど、それでもできなかったこともあるよね?」
すみれ「できなかったこと?」
かのん「そう。……狙っちゃう? ……三連覇」
千砂都「……でも、元に戻れるかもわからないんだよね。そうしたら、私たちがやらないと、Liella!が、結ヶ丘のスクールアイドル部が、なかったことになっちゃうよ。それは嫌だな」
可可「そうデス、ククたちがやらずに誰がLiella!をやるんデスか!?」
すみれ「後輩たちに託す、っていう手もあるわよ」
恋「でもそうすると、そこに私たちはいない……」
千砂都「それに、Liella!のみんなだけがタイムリープしたことに、何か意味があるなら、Liella!は結成した方がいいのかも」
かのん「うーん、もう一度やる意義かー。……確かに私たちやるだけやったけど、それでもできなかったこともあるよね?」
すみれ「できなかったこと?」
かのん「そう。……狙っちゃう? ……三連覇」
61:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:07:24 ID:???00
……
理事長「葉月さん、澁谷さん、あなたたちは音楽家の期待の星なのよ。それが、本業以外に時間を使う余裕はあるのかしら」
恋「でも、やりたいのです。母も愛した、スクールアイドルを!」
理事長「……葉月さん、高校生になって、何か変わったわね」
かのん「それに、大丈夫です。スクールアイドルが結ヶ丘のためにもなると証明して見せます」
理事長「証明?」
かのん「はい、今度のフェスで優勝して、結ヶ丘最初の実績を作ってきます!」
理事長「葉月さん、澁谷さん、あなたたちは音楽家の期待の星なのよ。それが、本業以外に時間を使う余裕はあるのかしら」
恋「でも、やりたいのです。母も愛した、スクールアイドルを!」
理事長「……葉月さん、高校生になって、何か変わったわね」
かのん「それに、大丈夫です。スクールアイドルが結ヶ丘のためにもなると証明して見せます」
理事長「証明?」
かのん「はい、今度のフェスで優勝して、結ヶ丘最初の実績を作ってきます!」
62:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:09:44 ID:???00
……
恋「……ふう、何とか説得できましたね」
かのん「まあ、前回も反対してたの恋ちゃんだけだし」
恋「え……」
すみれ「で、あんたは優勝宣言してきたってわけね」
かのん「狙うは無敗の三連覇だからね!」
恋「私だけ……」
千砂都「最初から全力ってことだね!」
可可「それに、サニパ様と戦える数少ない機会デス!」
恋「前回も……」
恋「……ふう、何とか説得できましたね」
かのん「まあ、前回も反対してたの恋ちゃんだけだし」
恋「え……」
すみれ「で、あんたは優勝宣言してきたってわけね」
かのん「狙うは無敗の三連覇だからね!」
恋「私だけ……」
千砂都「最初から全力ってことだね!」
可可「それに、サニパ様と戦える数少ない機会デス!」
恋「前回も……」
63:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:13:18 ID:???00
……
千砂都「それじゃあ、新生……いや、転生Liella!かな? 初練習始めようか!」
恋「はい、よろしくお願いします」
千砂都「まずはランニングから、いくよー」
可可「よーし、いつでも来いデス!」
千砂都「それじゃあ、新生……いや、転生Liella!かな? 初練習始めようか!」
恋「はい、よろしくお願いします」
千砂都「まずはランニングから、いくよー」
可可「よーし、いつでも来いデス!」
64:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:14:16 ID:???00
……
可可「ククは、……もう駄目デス」
すみれ「可可はまず体を鍛え直さないといけないんじゃない?」
可可「ククの、……三年間の、……努力が」
かのん「これは、やばいなー、鍛え直しだー」
恋「確かに、三年後とのギャップには気をつけないといけませんね」
千砂都「いやー、本当に、体が重いねー」
すみれ「千砂都はほぼ変わらなく見えるけど……」
千砂都「全然変わらなくないよ! 感覚的には半分くらいだね」
可可「ああ……改めて、千砂都がいてくれてよかったデス、……バタ」
可可「ククは、……もう駄目デス」
すみれ「可可はまず体を鍛え直さないといけないんじゃない?」
可可「ククの、……三年間の、……努力が」
かのん「これは、やばいなー、鍛え直しだー」
恋「確かに、三年後とのギャップには気をつけないといけませんね」
千砂都「いやー、本当に、体が重いねー」
すみれ「千砂都はほぼ変わらなく見えるけど……」
千砂都「全然変わらなくないよ! 感覚的には半分くらいだね」
可可「ああ……改めて、千砂都がいてくれてよかったデス、……バタ」
65:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:15:29 ID:???00
すみれ「ちょっと可可、大丈夫!?」
恋「少し休憩しましょうか」
かのん「じゃあ、フェスでやる曲決めようよ。前回はクーカーだったけど、今回は五人だし」
千砂都「うーん、この感じだと、できればトレーニングに時間を使いたいから、既存曲から選んだ方がいいかも」
すみれ「どちらにしろ、この時間では新曲だしね。そこは明確にうちが有利な点だわ」
かのん「この五人で歌う、最初の曲かー」
すみれ「『始まりは君の空』でいいんじゃない? 最新曲だけど披露する機会はなかったし、始まりっぽいし」
千砂都「始まりといえば『Starlight Prologue』っていう手もあるかも」
恋「いえ、この五人の最初の曲といえば『Wish Song』ではないでしょうか……」
可可「『START!! True dreams』はどうデスか?」
かのん「そうだなあ、……あ! 思いついたかも」
千砂都「ん? 何かアイデア出た? どの曲?」
かのん「えへへ、それはね……」
恋「少し休憩しましょうか」
かのん「じゃあ、フェスでやる曲決めようよ。前回はクーカーだったけど、今回は五人だし」
千砂都「うーん、この感じだと、できればトレーニングに時間を使いたいから、既存曲から選んだ方がいいかも」
すみれ「どちらにしろ、この時間では新曲だしね。そこは明確にうちが有利な点だわ」
かのん「この五人で歌う、最初の曲かー」
すみれ「『始まりは君の空』でいいんじゃない? 最新曲だけど披露する機会はなかったし、始まりっぽいし」
千砂都「始まりといえば『Starlight Prologue』っていう手もあるかも」
恋「いえ、この五人の最初の曲といえば『Wish Song』ではないでしょうか……」
可可「『START!! True dreams』はどうデスか?」
かのん「そうだなあ、……あ! 思いついたかも」
千砂都「ん? 何かアイデア出た? どの曲?」
かのん「えへへ、それはね……」
66:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:34:43 ID:???00
……
フェス当日
「次は結ヶ丘女子高等学校、Liella!です」
かのん「よし、私たちの番だ」
千砂都「行こうみんな」
可可「転生Liella!の始まりデス!」
フェス当日
「次は結ヶ丘女子高等学校、Liella!です」
かのん「よし、私たちの番だ」
千砂都「行こうみんな」
可可「転生Liella!の始まりデス!」
67:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:36:18 ID:???00
回想
すみれ「それで、なんでこの曲なわけ? これってかのんのソロ曲でしょう?」
かのん「うーん、そうなんだけど、やっぱり私にとってのスクールアイドルやるぞってなった始まりの歌でもあるしね。それに、みんなで歌うところがイメージできるというか。……いや違うな。何かみんなで歌ったことがあるような気がするというか」
千砂都「……みんなで? この曲をやった……?」
かのん「実際にはやってないんだけどね。何でだろう、そんなことがあったような気がするというか」
恋「デジャヴのようなものでしょうか。パート割もそれほど難しくなさそうですし、選曲としては、問題ないと思いますが」
可可「ククも大好きな曲デス! これでいきマショウ!」
回想終わり
かのん「……大好きっていま叫ぼう♪ 夢見るしかないでしょ♪」
すみれ「それで、なんでこの曲なわけ? これってかのんのソロ曲でしょう?」
かのん「うーん、そうなんだけど、やっぱり私にとってのスクールアイドルやるぞってなった始まりの歌でもあるしね。それに、みんなで歌うところがイメージできるというか。……いや違うな。何かみんなで歌ったことがあるような気がするというか」
千砂都「……みんなで? この曲をやった……?」
かのん「実際にはやってないんだけどね。何でだろう、そんなことがあったような気がするというか」
恋「デジャヴのようなものでしょうか。パート割もそれほど難しくなさそうですし、選曲としては、問題ないと思いますが」
可可「ククも大好きな曲デス! これでいきマショウ!」
回想終わり
かのん「……大好きっていま叫ぼう♪ 夢見るしかないでしょ♪」
68:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:37:12 ID:???00
……
「優勝は、……結ヶ丘女子高等学校、Liella!です!!」
可可「よっしゃ、やりマシタ!」
すみれ「これで何とか創部条件クリアね」
かのん「よーし、じゃあこれから三連覇目指して頑張ろう!」
一同「おー!」
「優勝は、……結ヶ丘女子高等学校、Liella!です!!」
可可「よっしゃ、やりマシタ!」
すみれ「これで何とか創部条件クリアね」
かのん「よーし、じゃあこれから三連覇目指して頑張ろう!」
一同「おー!」
69:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:37:49 ID:???00
……
悠奈「あー、負けたねえ」
摩央「あのパフォーマンスは、……脅威になるなんてレベルじゃない」
悠奈「まあ、本番はまだ先、こりゃあ鍛え直しだね!」
摩央「そうね、慢心していたつもりはないけど、ここで負けたのはよかったかもしれない……」
悠奈「うん、ラブライブ!では、負けないよ!」
悠奈「あー、負けたねえ」
摩央「あのパフォーマンスは、……脅威になるなんてレベルじゃない」
悠奈「まあ、本番はまだ先、こりゃあ鍛え直しだね!」
摩央「そうね、慢心していたつもりはないけど、ここで負けたのはよかったかもしれない……」
悠奈「うん、ラブライブ!では、負けないよ!」
70:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:40:43 ID:???00
……
可可「さあ、正式にスクールアイドル部のスタートデス!」
恋「当面の目標は今年のラブライブ!優勝ですね」
かのん「サニパさんたちにも通用するってわかったし、引き続き頑張っていこう!」
千砂都「でも、トレーニングは続けるとして、予選までは少し時間があるね」
恋「何か他にすべきことがありますか?」
千砂都「うん、一回北海道に行かない?」
すみれ「きな子のところ?」
千砂都「そう、結局連絡はつかなかったけど、直接行けば、……って」
可可「そうデスね。夏休みは神津島に行きマスから、その前に行ってしまいマショウ」
可可「さあ、正式にスクールアイドル部のスタートデス!」
恋「当面の目標は今年のラブライブ!優勝ですね」
かのん「サニパさんたちにも通用するってわかったし、引き続き頑張っていこう!」
千砂都「でも、トレーニングは続けるとして、予選までは少し時間があるね」
恋「何か他にすべきことがありますか?」
千砂都「うん、一回北海道に行かない?」
すみれ「きな子のところ?」
千砂都「そう、結局連絡はつかなかったけど、直接行けば、……って」
可可「そうデスね。夏休みは神津島に行きマスから、その前に行ってしまいマショウ」
71:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:42:09 ID:???00
かのん「そうだね、直接行けばきっと会える! ……でも私、神津島と北海道両方に行くお金はないかも……」
すみれ「……あんたねー、いつも無駄遣いするから。……ただまあ、ちょっと苦しいのは確かね」
千砂都「私はまたバイト始めたから、何とか、かな?」
すみれ「遊びに行くわけじゃないし、全員で行く必要はないかもね。カンパするから、二人くらいで行けば大丈夫でしょ」
かのん「あ、それなら私もいくらか出せるよ!」
恋「そうなると、誰が行きましょうか?」
かのん「まだ中学生のみんなは厳しいよね」
すみれ「悩む必要はないでしょう? 二人なら恋と千砂都ね」
可可「そうデスね。二人に任せマショウ」
かのん「え、え? 私は? すみれちゃんと可可ちゃんはいいの?」
すみれ「なんでこの二人より適任だと思えるのよ……」
可可「ハイ、……適材適所デス」
すみれ「……あんたねー、いつも無駄遣いするから。……ただまあ、ちょっと苦しいのは確かね」
千砂都「私はまたバイト始めたから、何とか、かな?」
すみれ「遊びに行くわけじゃないし、全員で行く必要はないかもね。カンパするから、二人くらいで行けば大丈夫でしょ」
かのん「あ、それなら私もいくらか出せるよ!」
恋「そうなると、誰が行きましょうか?」
かのん「まだ中学生のみんなは厳しいよね」
すみれ「悩む必要はないでしょう? 二人なら恋と千砂都ね」
可可「そうデスね。二人に任せマショウ」
かのん「え、え? 私は? すみれちゃんと可可ちゃんはいいの?」
すみれ「なんでこの二人より適任だと思えるのよ……」
可可「ハイ、……適材適所デス」
72:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:44:21 ID:???00
……
かのん「あーあ、北海道行きたかったなー」
すみれ「あんたは遊びにいきたかっただけでしょう」
かのん「えー、まあそうなんだけどさ」
すみれ「夏休みにはまた神津島に誘ってもらったんだから、それで我慢しなさい」
かのん「それはそれで楽しみだけど、でも海はちょっと怖いし」
すみれ「怖い? ……確かにあの飛び込みはちょっと怖かったわね……」
可可「ククはもう平気デス!」
すみれ「じゃあ、今度は可可が一番ね」
可可「それは~、……すみれに譲ってあげマス~」
かのん「あーあ、北海道行きたかったなー」
すみれ「あんたは遊びにいきたかっただけでしょう」
かのん「えー、まあそうなんだけどさ」
すみれ「夏休みにはまた神津島に誘ってもらったんだから、それで我慢しなさい」
かのん「それはそれで楽しみだけど、でも海はちょっと怖いし」
すみれ「怖い? ……確かにあの飛び込みはちょっと怖かったわね……」
可可「ククはもう平気デス!」
すみれ「じゃあ、今度は可可が一番ね」
可可「それは~、……すみれに譲ってあげマス~」
73:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:44:59 ID:???00
すみれ「はあ……、それに今回は遊びに行ったわけじゃないのよ? しかも、弾丸日帰りなんだから、きな子の家まで行ったらほぼ自由時間はないわ」
かのん「わかってるけど、でも空港でソフトクリーム食べるだけでも十分なんだよ!」
可可「それはちょっとわかりマス、……うぅ、夏休み前なのに東京は暑すぎデス。アイス食べたくなってきマシタ!」
かのん「だよね? だよね? あ、ちょうどあそこにアイス屋さんあるし、買いに行こっか」
可可「行くデス!」
すみれ「私はいいわ。いってらっしゃい」
かのん「あれ? 食べないの? じゃあ、……ちょっと待っててね」
かのん「わかってるけど、でも空港でソフトクリーム食べるだけでも十分なんだよ!」
可可「それはちょっとわかりマス、……うぅ、夏休み前なのに東京は暑すぎデス。アイス食べたくなってきマシタ!」
かのん「だよね? だよね? あ、ちょうどあそこにアイス屋さんあるし、買いに行こっか」
可可「行くデス!」
すみれ「私はいいわ。いってらっしゃい」
かのん「あれ? 食べないの? じゃあ、……ちょっと待っててね」
74:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:47:06 ID:???00
すみれ「ふう、かのんは本当いつもどおりね」
女性「あの、すみません」
すみれ「え、私? はい、なんでしょう」
女性「突然すみません。私こういうものです。お名前伺ってもよろしいですか?」
すみれ(芸能事務所……! しかも私が行く予定の事務所よりずっと有力なところ!)
すみれ「……平、です」
女性「平さん、平さんは高校生ですよね? 芸能活動に興味ありませんか?」
すみれ「な、くはないですけど……」
女性「よかった。私、街で見かけた雰囲気がある人をスカウトしているんです。平さんも一目で行ける!って思って声をかけさせてもらいました。もしよければ少しお話する時間ありませんか?」
女性「あの、すみません」
すみれ「え、私? はい、なんでしょう」
女性「突然すみません。私こういうものです。お名前伺ってもよろしいですか?」
すみれ(芸能事務所……! しかも私が行く予定の事務所よりずっと有力なところ!)
すみれ「……平、です」
女性「平さん、平さんは高校生ですよね? 芸能活動に興味ありませんか?」
すみれ「な、くはないですけど……」
女性「よかった。私、街で見かけた雰囲気がある人をスカウトしているんです。平さんも一目で行ける!って思って声をかけさせてもらいました。もしよければ少しお話する時間ありませんか?」
75:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:47:54 ID:???00
すみれ(前はこの頃の私はどこにも引っかからなかったのに。でも、まだLiella!としての実績もほとんどないのに声がかかったってことは、私自身を評価してもらえたってこと?)
女性「いかがですか? まずはお話だけでも大丈夫ですよ」
すみれ(もちろん最初は下積みだろうけど、この事務所なら、うまくいけば本当に朝ドラだって夢じゃない。スクールアイドルを始めたのだって、そもそもはその後のショービジネスのため……)
すみれ(でも……)
すみれ「すみません、お話はありがたいのですが、今はそういうことは考えていません」
女性「そうですか。でも、もし話が聞きたくなったらこの番号まで連絡してくださいね」
すみれ「はい。それから、……声をかけていただけて、嬉しかったです。ありがとうございました」
女性「ふふ、よかった。それでは、いつでも連絡してください。待っていますね」
すみれ(ふう、まあこれは社交辞令ね。脈がなさそうなところにいつまでも時間を費やすほど甘い業界じゃない……)
女性「いかがですか? まずはお話だけでも大丈夫ですよ」
すみれ(もちろん最初は下積みだろうけど、この事務所なら、うまくいけば本当に朝ドラだって夢じゃない。スクールアイドルを始めたのだって、そもそもはその後のショービジネスのため……)
すみれ(でも……)
すみれ「すみません、お話はありがたいのですが、今はそういうことは考えていません」
女性「そうですか。でも、もし話が聞きたくなったらこの番号まで連絡してくださいね」
すみれ「はい。それから、……声をかけていただけて、嬉しかったです。ありがとうございました」
女性「ふふ、よかった。それでは、いつでも連絡してください。待っていますね」
すみれ(ふう、まあこれは社交辞令ね。脈がなさそうなところにいつまでも時間を費やすほど甘い業界じゃない……)
76:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:49:26 ID:???00
可可「すみれ! 今のは?」
すみれ「……ふふ、これ見なさい。大手事務所からのスカウトよ」
かのん「え!? スカウト!? すごいすごい! ……でも、どうするの?」
可可「……今から、その事務所に所属してショービジネスやるんデスか?」
すみれ「まあ、始めるのは早いに越したことはないわね」
かのん「でも、そうしたらLiella!は……」
可可「ククと同じ事務所に行くんじゃないんデスか!?」
すみれ「そうね、……じゃあ、もう一回あれ作ってよ」
かのん「あれ?」
すみれ「そう、あれ」
かのん「あれって、……もしかして、……スカウトの名刺?」
すみれ「そう、そして改めて私をLiella!に誘ってちょうだい。そうしたら考えてあげるわ」
すみれ「……ふふ、これ見なさい。大手事務所からのスカウトよ」
かのん「え!? スカウト!? すごいすごい! ……でも、どうするの?」
可可「……今から、その事務所に所属してショービジネスやるんデスか?」
すみれ「まあ、始めるのは早いに越したことはないわね」
かのん「でも、そうしたらLiella!は……」
可可「ククと同じ事務所に行くんじゃないんデスか!?」
すみれ「そうね、……じゃあ、もう一回あれ作ってよ」
かのん「あれ?」
すみれ「そう、あれ」
かのん「あれって、……もしかして、……スカウトの名刺?」
すみれ「そう、そして改めて私をLiella!に誘ってちょうだい。そうしたら考えてあげるわ」
78:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:50:47 ID:???00
かのん「あれで、いいの……? 本当に……?」
すみれ「……だって、……過去に戻ったらなくなっちゃったんだもの」
可可「やっぱり今回のすみれはどうも素直デスね……」
すみれ「可可もよ。今年の予選は私をセンターにしてくれるんでしょう?」
可可「そ、そこまで言うなら作ってやらなくもないデス!」
すみれ「……ありがと」
かのん「すみれちゃん……。わ!? 電話? ……ちぃちゃんだ!」
すみれ「きな子のことね」
可可「出てクダサイ!」
かのん「うん、……もしもし、ちぃちゃん?」
千砂都「あ、かのんちゃん。今大丈夫?」
かのん「うん、大丈夫。可可ちゃんとすみれちゃんも一緒」
可可「どうデシタか? きなきなは!?」
千砂都「うん、それが……」
千砂都「きな子ちゃんには、会えなかったんだ」
すみれ「……だって、……過去に戻ったらなくなっちゃったんだもの」
可可「やっぱり今回のすみれはどうも素直デスね……」
すみれ「可可もよ。今年の予選は私をセンターにしてくれるんでしょう?」
可可「そ、そこまで言うなら作ってやらなくもないデス!」
すみれ「……ありがと」
かのん「すみれちゃん……。わ!? 電話? ……ちぃちゃんだ!」
すみれ「きな子のことね」
可可「出てクダサイ!」
かのん「うん、……もしもし、ちぃちゃん?」
千砂都「あ、かのんちゃん。今大丈夫?」
かのん「うん、大丈夫。可可ちゃんとすみれちゃんも一緒」
可可「どうデシタか? きなきなは!?」
千砂都「うん、それが……」
千砂都「きな子ちゃんには、会えなかったんだ」
79:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 22:54:26 ID:???00
すみれ「会えなかった?」
かのん「ど、どういうこと?」
恋「はい、きな子さんの家を訪ねたのですが……」
千砂都「住んでいたのは別の人たちだったんだ」
可可「な、何でデスか!?」
恋「一応、今住んでいる方にお話を伺えたのですが、少し前に売りに出されていたのを購入しただけで、それ以前のことはわからないと」
かのん「そんな……」
すみれ「このご時世、これ以上個人を追うのは難しいかもしれないわね」
千砂都「そうだね、もう少し時間があれば、同級生を当たってみたりもできるかもしれないけど……」
恋「今回の旅程では難しそうですね」
すみれ「そもそも、あの辺りって周りに家がないけど、近くに同級生はいるのかしらね……」
かのん「きな子ちゃん……、どこに行っちゃったんだろう」
可可「来年、結ヶ丘に来てくれることを信じるしかありマセン……」
かのん「ど、どういうこと?」
恋「はい、きな子さんの家を訪ねたのですが……」
千砂都「住んでいたのは別の人たちだったんだ」
可可「な、何でデスか!?」
恋「一応、今住んでいる方にお話を伺えたのですが、少し前に売りに出されていたのを購入しただけで、それ以前のことはわからないと」
かのん「そんな……」
すみれ「このご時世、これ以上個人を追うのは難しいかもしれないわね」
千砂都「そうだね、もう少し時間があれば、同級生を当たってみたりもできるかもしれないけど……」
恋「今回の旅程では難しそうですね」
すみれ「そもそも、あの辺りって周りに家がないけど、近くに同級生はいるのかしらね……」
かのん「きな子ちゃん……、どこに行っちゃったんだろう」
可可「来年、結ヶ丘に来てくれることを信じるしかありマセン……」
82:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 23:05:11 ID:???00
……
ラブライブ!東京大会
かのん「さあ、いよいよ東京大会だね。過去の私たちを超えよう!」
千砂都「うん、トレーニングもしっかり積んだし、五人の力を合わせれば、きっと勝てる!」
恋「さあ、時間です。参りましょう」
かのん「行くよ! Song for me! Song for you!」
五人「Song for all!!」
ラブライブ!東京大会
かのん「さあ、いよいよ東京大会だね。過去の私たちを超えよう!」
千砂都「うん、トレーニングもしっかり積んだし、五人の力を合わせれば、きっと勝てる!」
恋「さあ、時間です。参りましょう」
かのん「行くよ! Song for me! Song for you!」
五人「Song for all!!」
83:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 23:07:42 ID:???00
……
かのん「……はあ、……はあ」
すみれ「ふう、やり切ったわね」
恋「はい、完璧でした、これなら……」
< 2nd Liella! >
可可「アレ……な、何で」
< 1st Sunny Passion >
かのん「そんな……」
千砂都「五人のLiella!とはいえ、私たちはラブライブ!に優勝したときと遜色ないパフォーマンスだったはず。それなのに……」
恋「前回以上の力を発揮したのに、結果は同じ……」
すみれ「もしかして、いくら頑張っても歴史は変えられない……?」
千砂都「……」
かのん「……はあ、……はあ」
すみれ「ふう、やり切ったわね」
恋「はい、完璧でした、これなら……」
< 2nd Liella! >
可可「アレ……な、何で」
< 1st Sunny Passion >
かのん「そんな……」
千砂都「五人のLiella!とはいえ、私たちはラブライブ!に優勝したときと遜色ないパフォーマンスだったはず。それなのに……」
恋「前回以上の力を発揮したのに、結果は同じ……」
すみれ「もしかして、いくら頑張っても歴史は変えられない……?」
千砂都「……」
84:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 23:10:45 ID:???00
メイ「ちょっと、これを観てくれ!」
すみれ「メイ!? なんでいるわけ?」
メイ「Liella!一期生伝説の東京大会をまた観られるんだ、そりゃあ来るだろ」
冬毬「アグリーです」
すみれ「冬毬までいるし……」
メイ「……って、今はそれはいいから、ほらこれ!」
かのん「何? ……サニパさんのパフォーマンス!?」
恋「こ、これは……」
可可「さ、さすがデス……! でも、これは……!?」
千砂都「うん、すごすぎる……! 前はここまでじゃなかったはずなのに!」
すみれ「画面越しでも鳥肌が立つわね……」
すみれ「メイ!? なんでいるわけ?」
メイ「Liella!一期生伝説の東京大会をまた観られるんだ、そりゃあ来るだろ」
冬毬「アグリーです」
すみれ「冬毬までいるし……」
メイ「……って、今はそれはいいから、ほらこれ!」
かのん「何? ……サニパさんのパフォーマンス!?」
恋「こ、これは……」
可可「さ、さすがデス……! でも、これは……!?」
千砂都「うん、すごすぎる……! 前はここまでじゃなかったはずなのに!」
すみれ「画面越しでも鳥肌が立つわね……」
85:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 23:12:32 ID:???00
かのん「……私、連絡してみる!」
千砂都「かのんちゃん!?」
かのん「あ、もしもし、悠奈さん?」
悠奈「はい、……かのんちゃん!? それにLiella!のみんな……?」
かのん「あの、……おめでとうございます! それに、こんなときにすみません! でも、どうしても聞きたくて! どうして、あんなにすごいパフォーマンスができたんですか!?」
悠奈「あはは、ありがとう。でも、Liella!のみんなのお陰なんだ」
可可「ククたちの?」
摩央「そう、あの代々木のフェスでLiella!を見たとき、衝撃だった。こんなにすごいスクールアイドルがいるのかって」
恋「あのときの……」
悠奈「私たちも結構やると思ってたんだけどさ、全然ダメだって気づいたんだ。だから次はLiella!に届くように頑張った。まあ、限界を超えたねー」
摩央「でも、無理じゃないってあのときわかったから、だからみんなのお陰なの」
かのん「そうなんですか……」
悠奈「それにしても、何て連絡しようか迷っていたけど、……みんな強いね」
かのん「……はい、一度通った道ですから!」
悠奈「?」
摩央「あ、ごめんなさい。こちらでちょっと呼ばれてしまったわ」
かのん「いえ、こちらこそ忙しいときにありがとうございました。全国でも絶対優勝できます! 頑張ってください!」
悠奈「ありがとう、それじゃあ、またね」
千砂都「かのんちゃん!?」
かのん「あ、もしもし、悠奈さん?」
悠奈「はい、……かのんちゃん!? それにLiella!のみんな……?」
かのん「あの、……おめでとうございます! それに、こんなときにすみません! でも、どうしても聞きたくて! どうして、あんなにすごいパフォーマンスができたんですか!?」
悠奈「あはは、ありがとう。でも、Liella!のみんなのお陰なんだ」
可可「ククたちの?」
摩央「そう、あの代々木のフェスでLiella!を見たとき、衝撃だった。こんなにすごいスクールアイドルがいるのかって」
恋「あのときの……」
悠奈「私たちも結構やると思ってたんだけどさ、全然ダメだって気づいたんだ。だから次はLiella!に届くように頑張った。まあ、限界を超えたねー」
摩央「でも、無理じゃないってあのときわかったから、だからみんなのお陰なの」
かのん「そうなんですか……」
悠奈「それにしても、何て連絡しようか迷っていたけど、……みんな強いね」
かのん「……はい、一度通った道ですから!」
悠奈「?」
摩央「あ、ごめんなさい。こちらでちょっと呼ばれてしまったわ」
かのん「いえ、こちらこそ忙しいときにありがとうございました。全国でも絶対優勝できます! 頑張ってください!」
悠奈「ありがとう、それじゃあ、またね」
86:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 23:14:16 ID:???00
かのん「ええと、私たちがサニパさんを強くしたってこと……?」
すみれ「それで結局本番では負けているんだから世話ないわね」
恋「でも、このままだと、来年はどうなるのでしょう」
可可「元々できていた二連覇も怪しくなってきマシタ……」
千砂都「うん、……でも、よかったよ。順風満帆なだけじゃやっぱりやり甲斐がない。来年はあの二人を超えないといけない。それくらいじゃないとね!」
すみれ「まあ、そうね。……そうだけど、もし駄目だったら、私たちの進路にも関わってくるかもしれないわよ」
すみれ「それで結局本番では負けているんだから世話ないわね」
恋「でも、このままだと、来年はどうなるのでしょう」
可可「元々できていた二連覇も怪しくなってきマシタ……」
千砂都「うん、……でも、よかったよ。順風満帆なだけじゃやっぱりやり甲斐がない。来年はあの二人を超えないといけない。それくらいじゃないとね!」
すみれ「まあ、そうね。……そうだけど、もし駄目だったら、私たちの進路にも関わってくるかもしれないわよ」
87:
◆SvV8jRF5★
2025/09/08(月) 23:15:11 ID:???00
可可「ククは大丈夫ですが、すみれは事務所に拾ってもらえないかもしれマセン!」
かのん「いやー、すみれちゃんはこの間もスカウトされてたし、大丈夫でしょ!」
すみれ「ま、まあ、今の私のオーラがあれば、大丈夫ったら大丈夫よ!」
かのん「ちぃちゃんも恋ちゃんも自分の能力で進路決まってるしさ、多分影響ないよね?」
千砂都「うん、多少は実績も見られているのかもしれないけど、多分ね……」
かのん「じゃあ、……じゃあ私の留学は!?」
恋「お話が来たのは、ラブライブ!優勝という実績があったからでしょうね……」
かのん「ああー!! 私だけじゃん!? どうするのこれ!? 来年は勝てるの!? 絶対勝とうね!? ね!?」
かのん「いやー、すみれちゃんはこの間もスカウトされてたし、大丈夫でしょ!」
すみれ「ま、まあ、今の私のオーラがあれば、大丈夫ったら大丈夫よ!」
かのん「ちぃちゃんも恋ちゃんも自分の能力で進路決まってるしさ、多分影響ないよね?」
千砂都「うん、多少は実績も見られているのかもしれないけど、多分ね……」
かのん「じゃあ、……じゃあ私の留学は!?」
恋「お話が来たのは、ラブライブ!優勝という実績があったからでしょうね……」
かのん「ああー!! 私だけじゃん!? どうするのこれ!? 来年は勝てるの!? 絶対勝とうね!? ね!?」
105:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 21:51:13 ID:???00
……
四月
すみれ「さあ、いよいよ今日からメイたちも合流ね」
かのん「うん、でも……」
恋「あ、新入生の皆さんがいらっしゃいましたよ」
四月
すみれ「さあ、いよいよ今日からメイたちも合流ね」
かのん「うん、でも……」
恋「あ、新入生の皆さんがいらっしゃいましたよ」
106:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 21:51:40 ID:???00
メイ「よし、今日からまた私たちもLiella!だ」
四季「待ちくたびれた」
夏美「改めてよろしくお願いしますの」
かのん「入学おめでとう! みんなが来るのを待ってたよ~!」
可可「トレーニングし直しはきついデスよ~」
夏美「ま、まあ、冬毬と一緒に少しは自主練してきましたので、多分前回よりはマシですの……」
千砂都「お、やる気だね~。それじゃあ、よろしくね。でも、やっぱり……」
四季「きな子ちゃんは、どのクラスにもいなかった」
夏美「入試にも姿が見えなかったから、予想はできていましたが」
メイ「きな子、どこに行っちまったんだろうな」
恋「結ヶ丘に来なかったということは、探し出すのは難しくなってしまいましたね」
四季「待ちくたびれた」
夏美「改めてよろしくお願いしますの」
かのん「入学おめでとう! みんなが来るのを待ってたよ~!」
可可「トレーニングし直しはきついデスよ~」
夏美「ま、まあ、冬毬と一緒に少しは自主練してきましたので、多分前回よりはマシですの……」
千砂都「お、やる気だね~。それじゃあ、よろしくね。でも、やっぱり……」
四季「きな子ちゃんは、どのクラスにもいなかった」
夏美「入試にも姿が見えなかったから、予想はできていましたが」
メイ「きな子、どこに行っちまったんだろうな」
恋「結ヶ丘に来なかったということは、探し出すのは難しくなってしまいましたね」
107:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 21:56:17 ID:???00
可可「……いえ、まだ手はありマス」
メイ「可可先輩?」
可可「今年は何としてもLiella!がラブライブ!で優勝しマス。そうすれば、テレビや雑誌に出られマス!」
千砂都「そっか、そこで呼びかけるんだ」
メイ「大切な仲間に宛てたメッセージを伝えさせてください、とでも言えばいいのか」
かのん「そっか、そうだね。きな子ちゃんもタイムリープしているなら、そうしたらきっと気づいてくれる」
すみれ「どちらにしろ今年は優勝するつもりだもの、ちょうどいいわね」
メイ「可可先輩?」
可可「今年は何としてもLiella!がラブライブ!で優勝しマス。そうすれば、テレビや雑誌に出られマス!」
千砂都「そっか、そこで呼びかけるんだ」
メイ「大切な仲間に宛てたメッセージを伝えさせてください、とでも言えばいいのか」
かのん「そっか、そうだね。きな子ちゃんもタイムリープしているなら、そうしたらきっと気づいてくれる」
すみれ「どちらにしろ今年は優勝するつもりだもの、ちょうどいいわね」
108:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 21:56:55 ID:???00
恋「ところで、定期的に連絡を取ってはいましたが、これまでの情報以外にタイムリープについて新しく何かわかったことはありますか?」
四季「……お手上げ」
メイ「そうだな。何でこんなことが起きているのかすら……」
夏美「さっぱりですの」
すみれ「……まあ、そうよね」
可可「せめてきっかけだけでもわかればいいのデスが……」
千砂都「……四季ちゃん、例えばSFとかの創作だとどういうきっかけがあるのかな」
四季「発生原因は、科学技術によるもの、超能力によるもの、落雷などの外的要因によるもの。あとは、時空がバグっているようなものもある。発生契機は、任意のタイミングで起こせるもの、決まった時間を繰り返すもの、死がきっかけになるもの、ランダムに発生するものなど。複数組み合わせることもあるけど、大体このどれか」
四季「……お手上げ」
メイ「そうだな。何でこんなことが起きているのかすら……」
夏美「さっぱりですの」
すみれ「……まあ、そうよね」
可可「せめてきっかけだけでもわかればいいのデスが……」
千砂都「……四季ちゃん、例えばSFとかの創作だとどういうきっかけがあるのかな」
四季「発生原因は、科学技術によるもの、超能力によるもの、落雷などの外的要因によるもの。あとは、時空がバグっているようなものもある。発生契機は、任意のタイミングで起こせるもの、決まった時間を繰り返すもの、死がきっかけになるもの、ランダムに発生するものなど。複数組み合わせることもあるけど、大体このどれか」
110:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:03:28 ID:???00
夏美「……なぁるほど~、……くっくっく、実は私の内に眠る超能力が目覚めましたの~」
千砂都「……うーん、ちょっとどれも、……ピンとこないなあ。みんなは?」
メイ「思い当たることはないな」
夏美「ナッツー!! 華麗にスルーですの~!?」
恋「結局進展はなしですね……」
すみれ「できるのは、前の歴史に近いところに軟着陸を目指すくらいね」
かのん「うん、そのためにも今年こそ優勝を目指そう!」
すみれ「あんたの進路のためにもね」
かのん「うぅ……」
千砂都「……うーん、ちょっとどれも、……ピンとこないなあ。みんなは?」
メイ「思い当たることはないな」
夏美「ナッツー!! 華麗にスルーですの~!?」
恋「結局進展はなしですね……」
すみれ「できるのは、前の歴史に近いところに軟着陸を目指すくらいね」
かのん「うん、そのためにも今年こそ優勝を目指そう!」
すみれ「あんたの進路のためにもね」
かのん「うぅ……」
111:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:06:06 ID:???00
メイ「あとは、……マルガレーテにも会いに行かないとな」
可可「前回マルマルに会ったのは、代々木のフェス……」
恋「マルガレーテさんは、来てくださるでしょうか」
千砂都「悩んでいても仕方がない! 私たちは準備するだけだよ!」
夏美「そうですの! やれることをやるんですの! そうすれば、きっと何とかなりますの!」
すみれ「出し惜しみはなし、全員で全力で、マルガレーテと勝負ね!」
可可「前回マルマルに会ったのは、代々木のフェス……」
恋「マルガレーテさんは、来てくださるでしょうか」
千砂都「悩んでいても仕方がない! 私たちは準備するだけだよ!」
夏美「そうですの! やれることをやるんですの! そうすれば、きっと何とかなりますの!」
すみれ「出し惜しみはなし、全員で全力で、マルガレーテと勝負ね!」
112:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:14:39 ID:???00
……
フェス当日
千砂都「八人のフォーメーションもバッチリ! おさらいは完璧だね! あとは出番を待とう!」
かのん「よし、それじゃあ……」
マルガレーテ「……し、澁谷かのん!」
かのん「あ! マルガレーテちゃん!」
マルガレーテ「え!? 何!?」
かのん「会いたかったよ~! マルガレーテちゃ~ん!」
マルガレーテ「え、ええと……、わ、私が本当の歌……歌を」
かのん「マルガレーテちゃ~ん!!」
マルガレーテ「な、何なの!?」
フェス当日
千砂都「八人のフォーメーションもバッチリ! おさらいは完璧だね! あとは出番を待とう!」
かのん「よし、それじゃあ……」
マルガレーテ「……し、澁谷かのん!」
かのん「あ! マルガレーテちゃん!」
マルガレーテ「え!? 何!?」
かのん「会いたかったよ~! マルガレーテちゃ~ん!」
マルガレーテ「え、ええと……、わ、私が本当の歌……歌を」
かのん「マルガレーテちゃ~ん!!」
マルガレーテ「な、何なの!?」
113:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:18:31 ID:???00
千砂都「あー、マルガレーテちゃん、Liella!……はもう駄目か。ええと、鬼塚冬毬ちゃんとかトマカノーテとかに聞き覚えはないかな?」
マルガレーテ「え!? どうしてその名前を……!?」
恋「実は私たちには未来の記憶があるのです」
四季「マルガレーテちゃんも、そうなんじゃない?」
マルガレーテ「そう! そうよ!! ある日、急に中学生に戻って、周りの人は誰も信じてくれなくて……でも、みんなに、……かのんにもう一度会うために、前と同じようにしなくちゃって……」
かのん「うん、うん、うぅ~、泣かないでよ~。マルガレーテちゃんにはまた会えてよかったよ~!」
マルガレーテ「本当に、かのんなのね。……ん? ……"には"? でも、冬毬はまだ中学生だし、あとはここにみんな……あれ、きな子先輩は?」
メイ「きな子には連絡がつかないんだ。結ヶ丘にも入学しなかった」
マルガレーテ「そんな……、きな子先輩……」
マルガレーテ「え!? どうしてその名前を……!?」
恋「実は私たちには未来の記憶があるのです」
四季「マルガレーテちゃんも、そうなんじゃない?」
マルガレーテ「そう! そうよ!! ある日、急に中学生に戻って、周りの人は誰も信じてくれなくて……でも、みんなに、……かのんにもう一度会うために、前と同じようにしなくちゃって……」
かのん「うん、うん、うぅ~、泣かないでよ~。マルガレーテちゃんにはまた会えてよかったよ~!」
マルガレーテ「本当に、かのんなのね。……ん? ……"には"? でも、冬毬はまだ中学生だし、あとはここにみんな……あれ、きな子先輩は?」
メイ「きな子には連絡がつかないんだ。結ヶ丘にも入学しなかった」
マルガレーテ「そんな……、きな子先輩……」
114:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:19:58 ID:???00
「次は特別参加の中学生、ウィーン・マルガレーテさんのパフォーマンスです」
かのん「あ、マルガレーテちゃんの番……」
マルガレーテ「こんなときに……! いえ、……行ってくるわ! みんなが私のステージを待っているんだもの!」
かのん「うん! 頑張って!」
メイ「ステージにかける想いは、さすがだな」
四季「でも、あの状態じゃあ……」
夏美「いくらマルガレーテでも、十分なパフォーマンスはできませんの……」
かのん「あ、マルガレーテちゃんの番……」
マルガレーテ「こんなときに……! いえ、……行ってくるわ! みんなが私のステージを待っているんだもの!」
かのん「うん! 頑張って!」
メイ「ステージにかける想いは、さすがだな」
四季「でも、あの状態じゃあ……」
夏美「いくらマルガレーテでも、十分なパフォーマンスはできませんの……」
115:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:26:16 ID:???00
……
マルガレーテ「卑怯よ、反則よ! 本番直前にあんな動揺させるようなこと!」
かのん「ごめんね、でも一刻も早く伝えたくて」
マルガレーテ「ま、まあいいけど。……でも、あれで勝ったと思わないことね!」
メイ「おやおや、結果は真摯に受け止めないとなあ」
マルガレーテ「ぐぬぬ……ちゃんと歌えてさえいれば……」
夏美「それでー? どうしてマルガレーテが部室にいるんですの?」
マルガレーテ「当然でしょう? どうせ来年にはLiella!に入るんだから同じことだわ」
メイ「……まあ、そうか?」
夏美「自分以外のみんなが集まっていることを知ったら冬毬が拗ねますの」
マルガレーテ「卑怯よ、反則よ! 本番直前にあんな動揺させるようなこと!」
かのん「ごめんね、でも一刻も早く伝えたくて」
マルガレーテ「ま、まあいいけど。……でも、あれで勝ったと思わないことね!」
メイ「おやおや、結果は真摯に受け止めないとなあ」
マルガレーテ「ぐぬぬ……ちゃんと歌えてさえいれば……」
夏美「それでー? どうしてマルガレーテが部室にいるんですの?」
マルガレーテ「当然でしょう? どうせ来年にはLiella!に入るんだから同じことだわ」
メイ「……まあ、そうか?」
夏美「自分以外のみんなが集まっていることを知ったら冬毬が拗ねますの」
116:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:27:13 ID:???00
すみれ「まだ部外者なんだから、あんまり無茶すると出禁になって、来年入学もできなくなるわよ」
マルガレーテ「そこはほら、恋先輩がいろいろやってくれたから」
恋「一応合同練習という形で申請はしていますので、良識の範囲内であれば問題ないと思いますが……」
マルガレーテ「ほら!」
夏美「なんでマルガレーテが得意げなんですの」
マルガレーテ「そこはほら、恋先輩がいろいろやってくれたから」
恋「一応合同練習という形で申請はしていますので、良識の範囲内であれば問題ないと思いますが……」
マルガレーテ「ほら!」
夏美「なんでマルガレーテが得意げなんですの」
118:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:28:39 ID:???00
可可「でも、マルマルはラブライブ!の予選にも出るつもりなんデスよね?」
マルガレーテ「ええ、そのつもり」
メイ「じゃあ、勝ち進めば東京大会でまた私たちと戦うことになるのか……」
マルガレーテ「そうね。……確かにLiella!で過ごした時間は私にとってかけがえないものだわ。でも、同じくらいもう一度歌いたいの。あの場所で、競い合うライバルとして」
かのん「マルガレーテちゃん……」
マルガレーテ「もう二度と、かのんと競い合う機会はないと思っていたから……だから、わかって」
かのん「……うん、わかった。正々堂々戦おう! でも、私たちも負けられないから、また返り討ちだよ!」
マルガレーテ「ふん、そういうことは私の成長を見てから言ってくれる?」
マルガレーテ「ええ、そのつもり」
メイ「じゃあ、勝ち進めば東京大会でまた私たちと戦うことになるのか……」
マルガレーテ「そうね。……確かにLiella!で過ごした時間は私にとってかけがえないものだわ。でも、同じくらいもう一度歌いたいの。あの場所で、競い合うライバルとして」
かのん「マルガレーテちゃん……」
マルガレーテ「もう二度と、かのんと競い合う機会はないと思っていたから……だから、わかって」
かのん「……うん、わかった。正々堂々戦おう! でも、私たちも負けられないから、また返り討ちだよ!」
マルガレーテ「ふん、そういうことは私の成長を見てから言ってくれる?」
119:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:30:19 ID:???00
可可「言っておきマスが、今のサニパ様に簡単に勝てると思わないことデス」
マルガレーテ「どういうこと?」
すみれ「……去年は私たちも勝てなかったのよ」
マルガレーテ「でも、前回はサニーパッションに勝った私に勝ったのよね?」
かのん「いやー、切磋琢磨した結果、前よりすごくなったというかなんというか……」
マルガレーテ「あなたたちねえ……まあいいわ、なら私が更に上をいけばいいだけでしょ」
夏美「おぉ~、すごい自信ですの」
マルガレーテ「どういうこと?」
すみれ「……去年は私たちも勝てなかったのよ」
マルガレーテ「でも、前回はサニーパッションに勝った私に勝ったのよね?」
かのん「いやー、切磋琢磨した結果、前よりすごくなったというかなんというか……」
マルガレーテ「あなたたちねえ……まあいいわ、なら私が更に上をいけばいいだけでしょ」
夏美「おぉ~、すごい自信ですの」
120:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:34:20 ID:???00
千砂都「お疲れさまー! あら、マルガレーテちゃん」
かのん「あ、ちぃちゃん!」
四季「マルガレーテちゃん、いらっしゃい」
メイ「お、四季も一緒か」
すみれ「さあ、全員揃ったし、練習を始めましょう。マルガレーテもやっていく?」
マルガレーテ「やるわ! 私はLiella!の一員でもあるんだから!」
夏美「複雑ですの~。スパイですの~?」
マルガレーテ「別に直接殴り合うわけじゃないんだからいいでしょう!?」
千砂都「うーん、じゃあ、……転生Liella!スペシャルは封印しておこうか(そんなのないけど)」
可可「……いくらマルマルとはいえ、ライバルに見せるわけにはいかないデスからね~(そんなのないデスけど)」
マルガレーテ「はあ? 何よそれ、教えなさいよ!」
四季「ひ・み・つ(そんなのないけど)」
恋(転生Liella!スペシャルってなんでしょう?)
かのん「あ、ちぃちゃん!」
四季「マルガレーテちゃん、いらっしゃい」
メイ「お、四季も一緒か」
すみれ「さあ、全員揃ったし、練習を始めましょう。マルガレーテもやっていく?」
マルガレーテ「やるわ! 私はLiella!の一員でもあるんだから!」
夏美「複雑ですの~。スパイですの~?」
マルガレーテ「別に直接殴り合うわけじゃないんだからいいでしょう!?」
千砂都「うーん、じゃあ、……転生Liella!スペシャルは封印しておこうか(そんなのないけど)」
可可「……いくらマルマルとはいえ、ライバルに見せるわけにはいかないデスからね~(そんなのないデスけど)」
マルガレーテ「はあ? 何よそれ、教えなさいよ!」
四季「ひ・み・つ(そんなのないけど)」
恋(転生Liella!スペシャルってなんでしょう?)
121:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:52:52 ID:???00
……
地区予選後
夏美「よしよし、今回も無事地区予選突破、次は東京大会ですの」
すみれ「まずは一安心ね。でも……」
メイ「マルガレーテ、やっぱり上がってきたな」
可可「あの更に強力になったサニパ様を上回るなんて……」
メイ「記事にもなってるぞ。『昨年の王者を筆頭に、かつてないほどハイレベルな予選を制したのは、まだ十四歳のウィーン・マルガレーテだった』……か」
地区予選後
夏美「よしよし、今回も無事地区予選突破、次は東京大会ですの」
すみれ「まずは一安心ね。でも……」
メイ「マルガレーテ、やっぱり上がってきたな」
可可「あの更に強力になったサニパ様を上回るなんて……」
メイ「記事にもなってるぞ。『昨年の王者を筆頭に、かつてないほどハイレベルな予選を制したのは、まだ十四歳のウィーン・マルガレーテだった』……か」
122:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 22:54:09 ID:???00
千砂都「一緒に練習しているときは基礎トレだけだけど、成長したっていうのは嘘じゃないみたいだね」
かのん「でも、私たちだって成長している! 行こう! 最大のライバルを倒しに!」
恋「はい、サニーパッションさんを……以前のLiella!を超えるために研鑽を積んだのは私たちも同じです」
マルガレーテ「……ふっ、そうね、やってみなさい」
夏美「あ、また当たり前のようにいますの……」
恋「マルガレーテさん。おめでとうございます」
マルガレーテ「ありがとう、恋先輩。……そして、かのん! ついにこのときが来たわ!」
かのん「そうだね、私も楽しみにしてた! 私たちも全力で歌うから、今のマルガレーテちゃんの全力を見せて!」
マルガレーテ「ええ、望むところだわ!」
かのん「でも、私たちだって成長している! 行こう! 最大のライバルを倒しに!」
恋「はい、サニーパッションさんを……以前のLiella!を超えるために研鑽を積んだのは私たちも同じです」
マルガレーテ「……ふっ、そうね、やってみなさい」
夏美「あ、また当たり前のようにいますの……」
恋「マルガレーテさん。おめでとうございます」
マルガレーテ「ありがとう、恋先輩。……そして、かのん! ついにこのときが来たわ!」
かのん「そうだね、私も楽しみにしてた! 私たちも全力で歌うから、今のマルガレーテちゃんの全力を見せて!」
マルガレーテ「ええ、望むところだわ!」
123:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 23:04:36 ID:???00
……
ラブライブ!東京大会
メイ「さあ、次はマルガレーテの番だな」
四季「今回は集中している。代々木のときとは違う」
夏美「お手並み拝見ですの」
~♪
四季「この曲……?」
可可「新曲? マルマルにしては、明るい曲調デスね……」
マルガレーテ(これが、いつかかのんともう一度歌いたいという願いを込めて作った曲! Liella!で過ごして知った、本当の歌の楽しさ。そして、成長した私の歌を全て乗せるわ!)
マルガレーテ「——伸びやかに行くわ Look up Look up Look up~♪」
ラブライブ!東京大会
メイ「さあ、次はマルガレーテの番だな」
四季「今回は集中している。代々木のときとは違う」
夏美「お手並み拝見ですの」
~♪
四季「この曲……?」
可可「新曲? マルマルにしては、明るい曲調デスね……」
マルガレーテ(これが、いつかかのんともう一度歌いたいという願いを込めて作った曲! Liella!で過ごして知った、本当の歌の楽しさ。そして、成長した私の歌を全て乗せるわ!)
マルガレーテ「——伸びやかに行くわ Look up Look up Look up~♪」
124:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 23:05:32 ID:???00
恋「これが今のマルガレーテさんの、歌……」
夏美「歌うことの楽しさが伝わってくる、……想いがこもった、いい歌ですの」
メイ「ああ……でも、ちょっと待てよ! こんなの……!」
千砂都「……サニパさんを破ってきたのも納得だ」
すみれ「学生のレベルじゃない……」
かのん「マルガレーテちゃん……!」
夏美「歌うことの楽しさが伝わってくる、……想いがこもった、いい歌ですの」
メイ「ああ……でも、ちょっと待てよ! こんなの……!」
千砂都「……サニパさんを破ってきたのも納得だ」
すみれ「学生のレベルじゃない……」
かのん「マルガレーテちゃん……!」
125:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 23:06:30 ID:???00
……
< 2nd Liella! >
夏美「二番……」
四季「でも……」
すみれ「そうね、悔しいけど……私たちから見ても、妥当だわ」
恋「私たちも、精一杯やりはしましたが……」
メイ「代々木とは逆の立場になっちまったな」
< 1st ウィーン・マルガレーテ >
マルガレーテ「やった……! やった! かのん、私の歌、どうだった!?」
かのん「マルガレーテちゃん、すごい! すごかった! 今まで聴いた歌の中で一番すごかったよ!」
千砂都「本当に感動したよ。……二年でここまで、一体どんな努力をしてきたの?」
マルガレーテ「二年? いいえ、私はかのんがいなくなってから十年、ずっと努力してきたもの!」
< 2nd Liella! >
夏美「二番……」
四季「でも……」
すみれ「そうね、悔しいけど……私たちから見ても、妥当だわ」
恋「私たちも、精一杯やりはしましたが……」
メイ「代々木とは逆の立場になっちまったな」
< 1st ウィーン・マルガレーテ >
マルガレーテ「やった……! やった! かのん、私の歌、どうだった!?」
かのん「マルガレーテちゃん、すごい! すごかった! 今まで聴いた歌の中で一番すごかったよ!」
千砂都「本当に感動したよ。……二年でここまで、一体どんな努力をしてきたの?」
マルガレーテ「二年? いいえ、私はかのんがいなくなってから十年、ずっと努力してきたもの!」
126:
◆cKLVhE3A★
2025/09/16(火) 23:09:39 ID:???00
四季「……十年?」
マルガレーテ「ええ、そうよ! かのんがあんなことになって、もう二度と一緒に歌えなくても、それでも、いつかかのんを超えたと思える、そんなときが来るのを願って歌い続けてきた!」
すみれ「ちょ……ちょっと待って! 本当に十年後のマルガレーテなの!?」
マルガレーテ「だって、最初にそう言っていたじゃない……? みんな未来から来た、って……」
メイ「ああ、いや、私たちはさ……」
マルガレーテ「確かにみんなは卒業後に歌を専門に続けてきたわけじゃないから、少し不公平かもしれないけど。……でも、これが今の私の全力だから」
マルガレーテ「……あら? じゃあ、かのんはいつのかのんなの……?」
かのん「な、……なんかさっきから変なこと言ってない? 特に私について……」
マルガレーテ「だって、……高校卒業後すぐに亡くなったかのんが、十年後から来たわけがないし……」
かのん「え? ……何?」
マルガレーテ「一体、どういうこと……?」
かのん「どういうことって、……え? 私……死ぬの?」
マルガレーテ「ええ、そうよ! かのんがあんなことになって、もう二度と一緒に歌えなくても、それでも、いつかかのんを超えたと思える、そんなときが来るのを願って歌い続けてきた!」
すみれ「ちょ……ちょっと待って! 本当に十年後のマルガレーテなの!?」
マルガレーテ「だって、最初にそう言っていたじゃない……? みんな未来から来た、って……」
メイ「ああ、いや、私たちはさ……」
マルガレーテ「確かにみんなは卒業後に歌を専門に続けてきたわけじゃないから、少し不公平かもしれないけど。……でも、これが今の私の全力だから」
マルガレーテ「……あら? じゃあ、かのんはいつのかのんなの……?」
かのん「な、……なんかさっきから変なこと言ってない? 特に私について……」
マルガレーテ「だって、……高校卒業後すぐに亡くなったかのんが、十年後から来たわけがないし……」
かのん「え? ……何?」
マルガレーテ「一体、どういうこと……?」
かのん「どういうことって、……え? 私……死ぬの?」
142:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:37:14 ID:???00
……
恋「では、状況を整理しましょうか」
かのん「……死ぬんだ。私、もうすぐ死ぬんだ……」
千砂都「私たちは、私たちが高校三年生の年度終わり、三月から来た」
メイ「全員がそうだと思っていたけど、マルガレーテは違った」
マルガレーテ「そう、私は十年後から来た。……基準がないとわかりづらいわね。そのみんなが来た三月から十年後……いえ、もう二十七歳になっていたから、ほぼ十一年になるのね」
夏美「二十七歳!? マ、マルガレーテ、さん……ですの?」
マルガレーテ「いつもどおりでいいわよ、夏美先輩」
夏美「ナッツ~、何だかやりにくいですの~」
四季「十年後だから、あんなにすごい歌が歌えた……?」
マルガレーテ「そうね。私はずっと歌を続けてきたから、高校生の頃に比べたら成長しているはずよ」
恋「では、状況を整理しましょうか」
かのん「……死ぬんだ。私、もうすぐ死ぬんだ……」
千砂都「私たちは、私たちが高校三年生の年度終わり、三月から来た」
メイ「全員がそうだと思っていたけど、マルガレーテは違った」
マルガレーテ「そう、私は十年後から来た。……基準がないとわかりづらいわね。そのみんなが来た三月から十年後……いえ、もう二十七歳になっていたから、ほぼ十一年になるのね」
夏美「二十七歳!? マ、マルガレーテ、さん……ですの?」
マルガレーテ「いつもどおりでいいわよ、夏美先輩」
夏美「ナッツ~、何だかやりにくいですの~」
四季「十年後だから、あんなにすごい歌が歌えた……?」
マルガレーテ「そうね。私はずっと歌を続けてきたから、高校生の頃に比べたら成長しているはずよ」
144:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:39:09 ID:???00
すみれ「なるほどね。……マルガレーテさんが私たちと違う時間から来たのはわかったわ」
マルガレーテ「"さん"はいらないってば」
恋「となると、マルガレーテさん以外はどうなのでしょう。みんな同じと思っていましたが、本当にそうなのでしょうか」
マルガレーテ「だからいらないって……あら? 恋先輩は普段からだからいいのか」
千砂都「……ええと、三年生の三月としか言ってなかったけど、違いがあるかもしれないってこと?」
恋「はい、もしかしたらと、思っただけですが」
千砂都「……そうだなあ、じゃあ、かのんちゃんは詳しく言うといつから来たの?」
かのん「死ぬんだ……もうおしまいだ……」
マルガレーテ「"さん"はいらないってば」
恋「となると、マルガレーテさん以外はどうなのでしょう。みんな同じと思っていましたが、本当にそうなのでしょうか」
マルガレーテ「だからいらないって……あら? 恋先輩は普段からだからいいのか」
千砂都「……ええと、三年生の三月としか言ってなかったけど、違いがあるかもしれないってこと?」
恋「はい、もしかしたらと、思っただけですが」
千砂都「……そうだなあ、じゃあ、かのんちゃんは詳しく言うといつから来たの?」
かのん「死ぬんだ……もうおしまいだ……」
145:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:42:21 ID:???00
千砂都「かのんちゃん?」
かのん「もう死ぬんだったら何したって意味ないし……」
千砂都「しっかりして! ……大丈夫だよ、かのんちゃん。かのんちゃんは死なない。私が死なせない。もしそういう未来があったんだとしても、こうして過去に戻ったのは、きっとかのんちゃんの運命を変えるためだよ!」
かのん「ちぃちゃん……だって……」
千砂都「だから、一緒に考えよう! 一緒に、頑張ろう?」
かのん「だって…………でも……うん、そうだね……ちぃちゃんには敵わないなあ…………よし、……わかった! 私だってまだまだ死んでなんていられないもん! やりたいことだっていっぱいあるんだ! 引きこもってでも生き残ってやる!」
千砂都「うん……!」
かのん「もう死ぬんだったら何したって意味ないし……」
千砂都「しっかりして! ……大丈夫だよ、かのんちゃん。かのんちゃんは死なない。私が死なせない。もしそういう未来があったんだとしても、こうして過去に戻ったのは、きっとかのんちゃんの運命を変えるためだよ!」
かのん「ちぃちゃん……だって……」
千砂都「だから、一緒に考えよう! 一緒に、頑張ろう?」
かのん「だって…………でも……うん、そうだね……ちぃちゃんには敵わないなあ…………よし、……わかった! 私だってまだまだ死んでなんていられないもん! やりたいことだっていっぱいあるんだ! 引きこもってでも生き残ってやる!」
千砂都「うん……!」
146:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:43:34 ID:???00
かのん「それで、マルガレーテちゃん、……私って何で死んだの?」
マルガレーテ「それは、その、留学先で通り魔に……」
かのん「ええ!? ……嫌だなあ、痛そうだなあ」
四季「通り魔……」
メイ「でも、それならそのときその場所にいなければ何とかなりそうだな」
千砂都「……うん、そうだね」
すみれ「まあ、今年も勝てなかったし、留学自体無くなるかもしれないけど」
かのん「それは言わないでよ~」
可可「マルマル、具体的な日時と場所はわかりマスか?」
マルガレーテ「もちろん、忘れるわけがないわ……! そう、あれはかのんが留学して一年目の——」
マルガレーテ「それは、その、留学先で通り魔に……」
かのん「ええ!? ……嫌だなあ、痛そうだなあ」
四季「通り魔……」
メイ「でも、それならそのときその場所にいなければ何とかなりそうだな」
千砂都「……うん、そうだね」
すみれ「まあ、今年も勝てなかったし、留学自体無くなるかもしれないけど」
かのん「それは言わないでよ~」
可可「マルマル、具体的な日時と場所はわかりマスか?」
マルガレーテ「もちろん、忘れるわけがないわ……! そう、あれはかのんが留学して一年目の——」
147:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:44:56 ID:???00
……
マルガレーテ「——かのんについての情報はこんなところね」
すみれ「なるほどね。……そういえば、十年後ってことは、かのんだけじゃなくて、みんなの将来も知っているってことよね?」
マルガレーテ「そうだけど、あまり知らない方がいいんじゃない?」
可可「……知ってはいけない何かがあるということデスか!?」
マルガレーテ「そうじゃなくて……いや、かのんはそうかもしれないけど。……やっぱり、未来を知ったら楽しみが減っちゃうじゃない?」
恋「それは、……そうかもしれません」
千砂都「わからないからこそ頑張れる、ってこともあるかもだしね」
マルガレーテ「高校生のころみたいに毎日会うことはできないけど……まあ、みんな元気そうよ。今はそれでいいでしょう?」
マルガレーテ「——かのんについての情報はこんなところね」
すみれ「なるほどね。……そういえば、十年後ってことは、かのんだけじゃなくて、みんなの将来も知っているってことよね?」
マルガレーテ「そうだけど、あまり知らない方がいいんじゃない?」
可可「……知ってはいけない何かがあるということデスか!?」
マルガレーテ「そうじゃなくて……いや、かのんはそうかもしれないけど。……やっぱり、未来を知ったら楽しみが減っちゃうじゃない?」
恋「それは、……そうかもしれません」
千砂都「わからないからこそ頑張れる、ってこともあるかもだしね」
マルガレーテ「高校生のころみたいに毎日会うことはできないけど……まあ、みんな元気そうよ。今はそれでいいでしょう?」
148:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:47:30 ID:???00
かのん「あーあ、未来のある人たちはいいですねえ」
すみれ「かのんだって、その日を乗り切れば大丈夫でしょ」
かのん「そうだけどさ~」
すみれ「むしろ一番まっさらな未来が広がっているとも言えるわけだし」
メイ「それにしても、外見がそのままなのは当然だけど、十年後とはいえ、なんだか中身もあまり変わらないな」
マルガレーテ「みんなもなってみればわかるわ。人の中身なんてそうそう変わらないものよ。取り繕うのがうまくなるだけ」
千砂都「大人も中身は子供とそう変わらないってこと? 小学生の頃は高校生が大人に見えたし、確かにそうかもねー」
四季「夏美ちゃんは年を取っても夏美ちゃん」
マルガレーテ「あははっ! それは確かだわ!」
夏美「なんで名指しなんですの……?」
すみれ「かのんだって、その日を乗り切れば大丈夫でしょ」
かのん「そうだけどさ~」
すみれ「むしろ一番まっさらな未来が広がっているとも言えるわけだし」
メイ「それにしても、外見がそのままなのは当然だけど、十年後とはいえ、なんだか中身もあまり変わらないな」
マルガレーテ「みんなもなってみればわかるわ。人の中身なんてそうそう変わらないものよ。取り繕うのがうまくなるだけ」
千砂都「大人も中身は子供とそう変わらないってこと? 小学生の頃は高校生が大人に見えたし、確かにそうかもねー」
四季「夏美ちゃんは年を取っても夏美ちゃん」
マルガレーテ「あははっ! それは確かだわ!」
夏美「なんで名指しなんですの……?」
149:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:49:30 ID:???00
……
四月
恋「ご入学おめでとうございます、冬毬さん、マルガレーテさん」
冬毬「ありがとうございます。再びお世話になります」
可可「硬い、硬いデス。かつて一緒にラブライブ!優勝した仲デスよー!」
冬毬「はい、よろしくお願いします」
恋「学年も私たちのイメージと合うようになりましたね」
マルガレーテ「そして、今度はもう一度仲間として一緒に戦えるわ!」
かのん「うん! よろしくね!」
冬毬「忘れないうちに入部届を提出しておきます」
千砂都「ありがとう、また一緒に頑張ろうね」
マルガレーテ「ちょっと私はまだ書いていないから、また持ってくるわ。それに……」
かのん「?」
すみれ「……ん? ……何だか部室の外が騒がしいわね」
四月
恋「ご入学おめでとうございます、冬毬さん、マルガレーテさん」
冬毬「ありがとうございます。再びお世話になります」
可可「硬い、硬いデス。かつて一緒にラブライブ!優勝した仲デスよー!」
冬毬「はい、よろしくお願いします」
恋「学年も私たちのイメージと合うようになりましたね」
マルガレーテ「そして、今度はもう一度仲間として一緒に戦えるわ!」
かのん「うん! よろしくね!」
冬毬「忘れないうちに入部届を提出しておきます」
千砂都「ありがとう、また一緒に頑張ろうね」
マルガレーテ「ちょっと私はまだ書いていないから、また持ってくるわ。それに……」
かのん「?」
すみれ「……ん? ……何だか部室の外が騒がしいわね」
150:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:50:14 ID:???00
メイ「た、大変だ!」
恋「二年生の皆さん……?」
夏美「非常事態ですの!」
冬毬「姉者、一体どうしたのですか?」
四季「それが……」
恋「二年生の皆さん……?」
夏美「非常事態ですの!」
冬毬「姉者、一体どうしたのですか?」
四季「それが……」
151:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:51:29 ID:???00
……
回想
夏美「また同じクラスですの」
四季「前回と同じ」
メイ「まあ、別々よりはいいだろ?」
夏美「確かにそうですの。でも、実は前回になかったことが起きるという噂がありますの」
四季「前回になかったこと……」
夏美「そう、転入生が来るらしいですの!」
メイ「へえ、転入生か。やっぱり同じようで少しずつ変わってるんだな」
回想
夏美「また同じクラスですの」
四季「前回と同じ」
メイ「まあ、別々よりはいいだろ?」
夏美「確かにそうですの。でも、実は前回になかったことが起きるという噂がありますの」
四季「前回になかったこと……」
夏美「そう、転入生が来るらしいですの!」
メイ「へえ、転入生か。やっぱり同じようで少しずつ変わってるんだな」
152:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:52:13 ID:???00
先生「はいはい、いつまでも話し込んでないで着席しなさい」
メイ「おっと、先生は同じか」
夏美「はいはいですの~」
先生「今年みなさんの担任になる〇✗です。去年から同じ人も、そうでない人も、よろしくお願いします。今日から新年度、心機一転がんばりましょう。……まずは、自己紹介から始めましょうか。でも、その前に転入生を紹介します。……それでは、入ってきていいですよ」
???「はいっす!」
四季「!?」
先生「転入生の、桜小路きな子さんです。桜小路さん、自己紹介お願いします」
きな子「北海道から転入してきた桜小路きな子っす。都会は初めてで緊張してるっす。みなさんよろしくお願いしますっす!」
メイ「おっと、先生は同じか」
夏美「はいはいですの~」
先生「今年みなさんの担任になる〇✗です。去年から同じ人も、そうでない人も、よろしくお願いします。今日から新年度、心機一転がんばりましょう。……まずは、自己紹介から始めましょうか。でも、その前に転入生を紹介します。……それでは、入ってきていいですよ」
???「はいっす!」
四季「!?」
先生「転入生の、桜小路きな子さんです。桜小路さん、自己紹介お願いします」
きな子「北海道から転入してきた桜小路きな子っす。都会は初めてで緊張してるっす。みなさんよろしくお願いしますっす!」
153:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:53:03 ID:???00
……
メイ「というわけなんだ……」
可可「きなきなが!?」
恋「確かに転入生がいるとは聞いていましたが、お名前までは確認していませんでしたね。それがきな子さんだとは……」
千砂都「……でも、どうして今なんだろう」
かのん「そんなのどうだっていいよ! これでみんな揃ったってことでしょ?」
四季「そうとも言えない」
すみれ「どういうこと?」
夏美「問題がありますの」
冬毬「きな子先輩が転入してきて、全員揃ったのに、何の問題が……?」
メイ「それが……きな子のやつ、私たちと違って記憶が無いみたいなんだ」
メイ「というわけなんだ……」
可可「きなきなが!?」
恋「確かに転入生がいるとは聞いていましたが、お名前までは確認していませんでしたね。それがきな子さんだとは……」
千砂都「……でも、どうして今なんだろう」
かのん「そんなのどうだっていいよ! これでみんな揃ったってことでしょ?」
四季「そうとも言えない」
すみれ「どういうこと?」
夏美「問題がありますの」
冬毬「きな子先輩が転入してきて、全員揃ったのに、何の問題が……?」
メイ「それが……きな子のやつ、私たちと違って記憶が無いみたいなんだ」
155:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:55:51 ID:???00
千砂都「記憶が、無い?」
夏美「話しかけても、きな子が作った曲のことを聞いても、初対面の反応ですの」
四季「嘘発見器にも反応は無かった」
恋「そんな、きな子さんだけ記憶が無いなんて……」
冬毬「どういうことなのでしょう」
コンコン
かのん「ん? 誰だろう」
きな子「失礼しますっす。あのー、ここがスクールアイドル部で合ってるっすか?」
夏美「話しかけても、きな子が作った曲のことを聞いても、初対面の反応ですの」
四季「嘘発見器にも反応は無かった」
恋「そんな、きな子さんだけ記憶が無いなんて……」
冬毬「どういうことなのでしょう」
コンコン
かのん「ん? 誰だろう」
きな子「失礼しますっす。あのー、ここがスクールアイドル部で合ってるっすか?」
156:
◆cKLVhE3A★
2025/09/23(火) 23:59:02 ID:???00
マルガレーテ「きな子先輩!」
きな子「え? すごいっすね。転入生とはいえ、もうきな子のことが知れ渡ってるんすか?」
千砂都「あ、うん。……そうなんだ、ちょうど今みんなにきな子ちゃんのことを聞いていてね」
きな子「みんな……? あ、同じクラスの、ええと……」
メイ「……米女メイと若菜四季、それに鬼塚夏美だよ」
きな子「ああ、そうだったっす。申し訳ないっす」
夏美「……まだ来たばかりだから、気にしなくていいですの」
きな子「え? すごいっすね。転入生とはいえ、もうきな子のことが知れ渡ってるんすか?」
千砂都「あ、うん。……そうなんだ、ちょうど今みんなにきな子ちゃんのことを聞いていてね」
きな子「みんな……? あ、同じクラスの、ええと……」
メイ「……米女メイと若菜四季、それに鬼塚夏美だよ」
きな子「ああ、そうだったっす。申し訳ないっす」
夏美「……まだ来たばかりだから、気にしなくていいですの」
157:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 00:00:21 ID:???00
千砂都「そうだね。あ、私は嵐、三年生で部長をやってるんだ。初めまして、かな? ……ここに来てくれたということは、きな子ちゃんもスクールアイドル部に興味があるの? もしそうなら歓迎するよ」
きな子「初めまして、よろしくお願いしますっす、嵐先輩。でも、色々見て回ってみてはいるんっすが、運動はさっぱりなので……申し訳ないっす」
かのん「じゃあ、どうしてここに?」
きな子「……ここに来たのは、科学部に興味があったからっす。スクールアイドル部の部室に行けば、科学部の人に会えると聞いたんっすが……」
四季「……私が、科学部部長」
きな子「あ、そうなんっすね! 入部希望の桜小路きな子っす! よろしくお願いしますっす!」
四季「わかった。……じゃあ、ちょっと案内してくる」
かのん「うん……よろしくね」
きな子「初めまして、よろしくお願いしますっす、嵐先輩。でも、色々見て回ってみてはいるんっすが、運動はさっぱりなので……申し訳ないっす」
かのん「じゃあ、どうしてここに?」
きな子「……ここに来たのは、科学部に興味があったからっす。スクールアイドル部の部室に行けば、科学部の人に会えると聞いたんっすが……」
四季「……私が、科学部部長」
きな子「あ、そうなんっすね! 入部希望の桜小路きな子っす! よろしくお願いしますっす!」
四季「わかった。……じゃあ、ちょっと案内してくる」
かのん「うん……よろしくね」
158:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 00:06:38 ID:???00
夏美「……きな子が、科学部?」
恋「一体どういうことなのでしょう」
可可「きなきな……本当に、ククたちのこと覚えていないようデシタ」
冬毬「しかもスクールアイドル部ではなく、科学部とは……」
マルガレーテ「正直、あまりイメージは無いわね。……未来まで含めても」
千砂都「うーん……」
かのん「ちぃちゃん?」
千砂都「あ、ううん、何でもないよ」
恋「一体どういうことなのでしょう」
可可「きなきな……本当に、ククたちのこと覚えていないようデシタ」
冬毬「しかもスクールアイドル部ではなく、科学部とは……」
マルガレーテ「正直、あまりイメージは無いわね。……未来まで含めても」
千砂都「うーん……」
かのん「ちぃちゃん?」
千砂都「あ、ううん、何でもないよ」
159:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 00:08:27 ID:???00
ガチャ
メイ「あ、四季……」
四季「ただいま」
すみれ「どうだった? きな子の様子は?」
四季「……何も。ごく普通の入部希望者。入部届ももらった」
冬毬「そんな、……では、スクールアイドルはもうやらないのでしょうか」
夏美「でも、……記憶が無いなら、無理に誘うこともできませんの」
すみれ「そうね……」
四季「私は、本当に記憶が無いとは思っていない」
かのん「え、四季ちゃん……?」
四季「たとえ仕組みがわからなくても、物事には原因と結果がある」
メイ「あ、四季……」
四季「ただいま」
すみれ「どうだった? きな子の様子は?」
四季「……何も。ごく普通の入部希望者。入部届ももらった」
冬毬「そんな、……では、スクールアイドルはもうやらないのでしょうか」
夏美「でも、……記憶が無いなら、無理に誘うこともできませんの」
すみれ「そうね……」
四季「私は、本当に記憶が無いとは思っていない」
かのん「え、四季ちゃん……?」
四季「たとえ仕組みがわからなくても、物事には原因と結果がある」
160:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 00:09:55 ID:???00
かのん「原因と、結果……?」
四季「そう、状況から考えて、きな子ちゃんだけタイムリープしていないというのは考えにくい」
千砂都「四季ちゃん」
四季「千砂都先輩、今みんなにも話した方がいい」
千砂都「でも……」
四季「このタイミングできな子ちゃんが来たことは、偶然とは思えない。だから……」
千砂都「……」
千砂都「ふう……うん、わかった、私から話すよ」
かのん「ちぃちゃん、四季ちゃん……?」
千砂都「あのね、私たち、……私と四季ちゃんも、マルガレーテちゃんと同じ、……十年後から来たんだ」
四季「そう、状況から考えて、きな子ちゃんだけタイムリープしていないというのは考えにくい」
千砂都「四季ちゃん」
四季「千砂都先輩、今みんなにも話した方がいい」
千砂都「でも……」
四季「このタイミングできな子ちゃんが来たことは、偶然とは思えない。だから……」
千砂都「……」
千砂都「ふう……うん、わかった、私から話すよ」
かのん「ちぃちゃん、四季ちゃん……?」
千砂都「あのね、私たち、……私と四季ちゃんも、マルガレーテちゃんと同じ、……十年後から来たんだ」
161:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 00:12:32 ID:???00
かのん「え!? 本当に!?」
メイ「四季! 何で今まで黙って……」
四季「私たちは、他のみんなとは事情が違うから」
メイ「事情って何だよ!」
千砂都「私たちは、十年後から、自分たちの意思でタイムトラベルしてきたんだよ」
恋「自分の意思で……?」
すみれ「タイムトラベル? ……でも、確かタイムリープとタイムトラベルは違うって言ってなかった?」
千砂都「そう、私たちはタイムマシンを使って、意識だけじゃなく、体ごと未来から来た」
メイ「四季! 何で今まで黙って……」
四季「私たちは、他のみんなとは事情が違うから」
メイ「事情って何だよ!」
千砂都「私たちは、十年後から、自分たちの意思でタイムトラベルしてきたんだよ」
恋「自分の意思で……?」
すみれ「タイムトラベル? ……でも、確かタイムリープとタイムトラベルは違うって言ってなかった?」
千砂都「そう、私たちはタイムマシンを使って、意識だけじゃなく、体ごと未来から来た」
168:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:08:14 ID:???00
マルガレーテ「そんなの、……本当に? 本当に私と同じ十年後から来たの?」
千砂都「そうだな……ええと、マルガレーテちゃん、今年の日本ツアーでの私のダンスとのコラボ、すごく評判良かったよ。私もすごく楽しかった。特に千秋楽の大阪公演は最高だったね」
マルガレーテ「それは……! ……それを知っているということは、本当……なのね」
かのん「で、でも、ちぃちゃんは高校生のちぃちゃんそのままだよ」
千砂都「うん、初めから説明するね。……まず、……そう、始まりは高校三年の三月、かのんちゃんが、留学に行くために乗った飛行機が墜落して……亡くなったことだった」
かのん「……え? また私死んだの?」
マルガレーテ「しかも、通り魔じゃなくて、飛行機事故?」
千砂都「うん。それから、……落ち込んだり自暴自棄になったりもしたけど、最終的に私はかのんちゃんを救うために四季ちゃんの研究に賭けることにした」
千砂都「そうだな……ええと、マルガレーテちゃん、今年の日本ツアーでの私のダンスとのコラボ、すごく評判良かったよ。私もすごく楽しかった。特に千秋楽の大阪公演は最高だったね」
マルガレーテ「それは……! ……それを知っているということは、本当……なのね」
かのん「で、でも、ちぃちゃんは高校生のちぃちゃんそのままだよ」
千砂都「うん、初めから説明するね。……まず、……そう、始まりは高校三年の三月、かのんちゃんが、留学に行くために乗った飛行機が墜落して……亡くなったことだった」
かのん「……え? また私死んだの?」
マルガレーテ「しかも、通り魔じゃなくて、飛行機事故?」
千砂都「うん。それから、……落ち込んだり自暴自棄になったりもしたけど、最終的に私はかのんちゃんを救うために四季ちゃんの研究に賭けることにした」
169:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:10:15 ID:???00
すみれ「それが、タイムマシン?」
四季「そう。その事故は私にとっても大きな事件だったから。大学で基礎理論を学びながら、研究の核になる部分は独自に進めていた」
四季「でも、研究には資金が必要。だから、なかなか実験を進められずにいた」
千砂都「そこで、私がダンスで稼いだお金を投資して、研究してもらっていたんだ」
マルガレーテ「そんなの、……知らなかった」
千砂都「タイムマシンなんて、夢物語だからね。世間にも……みんなにも知らせず、二人だけで進めていた。……みんなにはみんなの生活があるから、簡単に巻き込むことはできなかった」
千砂都「そして、夢物語だったタイムマシンをついに実現させたのが十年後のこと」
夏美「四季一人で作ったんですの!?」
四季「天才だから」
メイ「お前、自分で言うなよ……」
四季「そう。その事故は私にとっても大きな事件だったから。大学で基礎理論を学びながら、研究の核になる部分は独自に進めていた」
四季「でも、研究には資金が必要。だから、なかなか実験を進められずにいた」
千砂都「そこで、私がダンスで稼いだお金を投資して、研究してもらっていたんだ」
マルガレーテ「そんなの、……知らなかった」
千砂都「タイムマシンなんて、夢物語だからね。世間にも……みんなにも知らせず、二人だけで進めていた。……みんなにはみんなの生活があるから、簡単に巻き込むことはできなかった」
千砂都「そして、夢物語だったタイムマシンをついに実現させたのが十年後のこと」
夏美「四季一人で作ったんですの!?」
四季「天才だから」
メイ「お前、自分で言うなよ……」
170:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:10:46 ID:???00
四季「タイムマシンを動かすにはドライバーと機関士が必要。機関士は作った私にしかできない。そして、千砂都先輩は小柄で運動能力や状況判断力が高く、ドライバーとして申し分ない」
メイ「ドライバー? パイロットとかじゃなくて?」
千砂都「あはは、変わってるよね。でも、自動車型のタイムマシンなんだ。だからドライバー」
四季「タイムマシンは自動車型と有史以前から決まっている」
夏美「有史以前に自動車もタイムマシンもありませんの……」
千砂都「……それで、タイムマシンを完成させた私たちは、かのんちゃんが乗る飛行機の事故を未然に防ぎにいった」
四季「合法的に」
千砂都「整備主任さんの連絡先を手に入れた方法は、若干グレーだったけどね……」
メイ「ドライバー? パイロットとかじゃなくて?」
千砂都「あはは、変わってるよね。でも、自動車型のタイムマシンなんだ。だからドライバー」
四季「タイムマシンは自動車型と有史以前から決まっている」
夏美「有史以前に自動車もタイムマシンもありませんの……」
千砂都「……それで、タイムマシンを完成させた私たちは、かのんちゃんが乗る飛行機の事故を未然に防ぎにいった」
四季「合法的に」
千砂都「整備主任さんの連絡先を手に入れた方法は、若干グレーだったけどね……」
171:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:11:50 ID:???00
冬毬「それでかのん先輩は助かったということですか?」
千砂都「そこが問題なんだ。……飛行機事故を防いで十年後に帰ってみると、かのんちゃんは留学直後、トラックに轢かれて亡くなったことになっていた……」
かのん「今度はトラック!?」
千砂都「もちろんもう一度過去に戻って、今度はその事故も防いだ。そうしたら次は夏休み帰省中に行った海で……」
かのん「うえ~、溺死は苦しそう~」
すみれ「何か余裕出てきたわね、あんた」
かのん「だってー、実感湧かないし……」
千砂都「そこが問題なんだ。……飛行機事故を防いで十年後に帰ってみると、かのんちゃんは留学直後、トラックに轢かれて亡くなったことになっていた……」
かのん「今度はトラック!?」
千砂都「もちろんもう一度過去に戻って、今度はその事故も防いだ。そうしたら次は夏休み帰省中に行った海で……」
かのん「うえ~、溺死は苦しそう~」
すみれ「何か余裕出てきたわね、あんた」
かのん「だってー、実感湧かないし……」
172:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:12:24 ID:???00
恋「しかし、何度も食い止めても命を落としてしまうとは……」
可可「かのんが死んでしまうのは変えられない運命ということデスか!?」
四季「それはない。運命なんてものはないというのが私の持論。現に私たちは今まさに過去を変えているところ」
可可「タイムトラベルとタイムリープで違うということはないのデスか?」
千砂都「最初の飛行機事故で、かのんちゃん以外に犠牲になった人たちは、事故を防いだら十年後も元気だったよ。何人かは病気で亡くなった人もいたみたいだけど」
メイ「じゃあ、どうして……」
四季「それがわからない。かのん先輩だけが何か特別なのか。それとも他に何か別の力が働いているのか」
千砂都「でも、わからなくても、それでもかのんちゃんを助けようとして、今度は留学先での通り魔を食い止めようとしたんだ」
マルガレーテ「……それは、私が知っている未来ね」
四季「そう、でもそこで想定外の事態が起きた……」
可可「かのんが死んでしまうのは変えられない運命ということデスか!?」
四季「それはない。運命なんてものはないというのが私の持論。現に私たちは今まさに過去を変えているところ」
可可「タイムトラベルとタイムリープで違うということはないのデスか?」
千砂都「最初の飛行機事故で、かのんちゃん以外に犠牲になった人たちは、事故を防いだら十年後も元気だったよ。何人かは病気で亡くなった人もいたみたいだけど」
メイ「じゃあ、どうして……」
四季「それがわからない。かのん先輩だけが何か特別なのか。それとも他に何か別の力が働いているのか」
千砂都「でも、わからなくても、それでもかのんちゃんを助けようとして、今度は留学先での通り魔を食い止めようとしたんだ」
マルガレーテ「……それは、私が知っている未来ね」
四季「そう、でもそこで想定外の事態が起きた……」
174:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:42:47 ID:???00
……
回想
千砂都「今度は通り魔!? 何でかのんちゃんだけこうなるの!?」
四季「他の人には起きていないということは、何かかのん先輩だけがこうなる理由があるはず」
千砂都「何かって、何なの……」
四季「わからない。これまでの事故の周囲を調査しても何も異常は見つからなかった」
千砂都「……よし、乗って。もう一度行くよ四季ちゃん」
四季「でも、かのん先輩が何度も命を落とす原因を解明しないと、キリがない」
千砂都「それでもやらなきゃ……何度だって、助けてみせる」
四季「……確かに、原因の解明にも現地に行くのが一番。……じゃあ、通り魔事件が起きた二日前に目標をセットする」
千砂都「……うん、ありがとう」
回想
千砂都「今度は通り魔!? 何でかのんちゃんだけこうなるの!?」
四季「他の人には起きていないということは、何かかのん先輩だけがこうなる理由があるはず」
千砂都「何かって、何なの……」
四季「わからない。これまでの事故の周囲を調査しても何も異常は見つからなかった」
千砂都「……よし、乗って。もう一度行くよ四季ちゃん」
四季「でも、かのん先輩が何度も命を落とす原因を解明しないと、キリがない」
千砂都「それでもやらなきゃ……何度だって、助けてみせる」
四季「……確かに、原因の解明にも現地に行くのが一番。……じゃあ、通り魔事件が起きた二日前に目標をセットする」
千砂都「……うん、ありがとう」
175:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:43:10 ID:???00
千砂都「それじゃあ、行くよ! 発車シーケンス開始……電圧」
四季「……上昇中…………1.21」
千砂都「フューエル」
四季「……フル」
千砂都「目標時刻、ニ○××年十一月十日午前四時JST」
四季「……セット」
千砂都「時間跳躍エネルギー充填開始」
四季「エネルギー充填開始、……完了まで二十秒」
千砂都「……パーキングブレーキリリース」
四季「…………充填完了まで十秒、発車オーライ」
千砂都「了解、発車オーライ」
四季「充填完了まで五秒…………充填完了」
四季「……目標速度に到達、いつでもいける」
千砂都「時間跳躍開始。……行くよ!」
四季「……上昇中…………1.21」
千砂都「フューエル」
四季「……フル」
千砂都「目標時刻、ニ○××年十一月十日午前四時JST」
四季「……セット」
千砂都「時間跳躍エネルギー充填開始」
四季「エネルギー充填開始、……完了まで二十秒」
千砂都「……パーキングブレーキリリース」
四季「…………充填完了まで十秒、発車オーライ」
千砂都「了解、発車オーライ」
四季「充填完了まで五秒…………充填完了」
四季「……目標速度に到達、いつでもいける」
千砂都「時間跳躍開始。……行くよ!」
176:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:45:50 ID:???00
——
四季「ここは……!?」
千砂都「空中!? 何で!? 下は……結ヶ丘だよ!」
四季「座標誤差が大きすぎる。どうして……」
四季「立て看板を拡大表示……第一回卒業証書授与式……? 時間もずれてる」
千砂都「あとあと! 今はこれを何とかしないと!」
四季「この高さから落ちると助からない。緊急時間跳躍を開始」
千砂都「間に合う!?」
四季「速度は自由落下で十分。でも、充填は半分が限界、溜まったらその分出力を四倍にして一気に放出する。だからタイミングは超シビア」
千砂都「オッケー! 合わせてみせる! コールお願い!」
四季「充填率三十……」
千砂都「下にいるのは……! Liella!のみんなだ! このままじゃみんなの上に落ちる! 四季ちゃん! 急いで!」
四季「無理。……充填率四十」
千砂都「早く早く!」
四季「……充填率五十、いける」
千砂都「よし! 間に合えーーー!!」
四季「ここは……!?」
千砂都「空中!? 何で!? 下は……結ヶ丘だよ!」
四季「座標誤差が大きすぎる。どうして……」
四季「立て看板を拡大表示……第一回卒業証書授与式……? 時間もずれてる」
千砂都「あとあと! 今はこれを何とかしないと!」
四季「この高さから落ちると助からない。緊急時間跳躍を開始」
千砂都「間に合う!?」
四季「速度は自由落下で十分。でも、充填は半分が限界、溜まったらその分出力を四倍にして一気に放出する。だからタイミングは超シビア」
千砂都「オッケー! 合わせてみせる! コールお願い!」
四季「充填率三十……」
千砂都「下にいるのは……! Liella!のみんなだ! このままじゃみんなの上に落ちる! 四季ちゃん! 急いで!」
四季「無理。……充填率四十」
千砂都「早く早く!」
四季「……充填率五十、いける」
千砂都「よし! 間に合えーーー!!」
177:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 12:48:50 ID:???00
——
ピピピピピピピピ
千砂都「はっ!? ここは……?」
千砂都「目覚まし……? ……実家だ。……四季ちゃん?」
千砂都(何年に来たんだろう。ええと、あ、スマホがある……あれ? まだ中学生の年? それにこの格好……体つきもなんか違うような……)
千砂都(これ……いつものタイムトラベルじゃ、ない……?)
千砂都(落ち着け、落ち着け……確か、何だっけ、この状況。……座学で言っていた、タイムトラベルじゃなくて……ええと、そう、タイムリープになっちゃってる?)
千砂都(……そうだとして、状況の確認は必要だけど……でも、止まってられない。それに、やるべきことだって変わらない。いつもと違うことが起きたのはむしろチャンスかも)
千砂都(よし、ここからまた、かのんちゃんを助けるためのSTEP1だ。どうする……? 前回と何かをあえて変えてみる……?)
千砂都「ええと……あ、今日は音楽科の入試の日だ」
千砂都(四季ちゃんとも連絡取れてないし、もう少し状況確認に時間を使いたかったけど……まあ、仕方ない、やってみるか!)
ピピピピピピピピ
千砂都「はっ!? ここは……?」
千砂都「目覚まし……? ……実家だ。……四季ちゃん?」
千砂都(何年に来たんだろう。ええと、あ、スマホがある……あれ? まだ中学生の年? それにこの格好……体つきもなんか違うような……)
千砂都(これ……いつものタイムトラベルじゃ、ない……?)
千砂都(落ち着け、落ち着け……確か、何だっけ、この状況。……座学で言っていた、タイムトラベルじゃなくて……ええと、そう、タイムリープになっちゃってる?)
千砂都(……そうだとして、状況の確認は必要だけど……でも、止まってられない。それに、やるべきことだって変わらない。いつもと違うことが起きたのはむしろチャンスかも)
千砂都(よし、ここからまた、かのんちゃんを助けるためのSTEP1だ。どうする……? 前回と何かをあえて変えてみる……?)
千砂都「ええと……あ、今日は音楽科の入試の日だ」
千砂都(四季ちゃんとも連絡取れてないし、もう少し状況確認に時間を使いたかったけど……まあ、仕方ない、やってみるか!)
178:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 17:26:59 ID:???00
……
千砂都「……と、いうわけなんだ」
四季「私も同様に、この時間軸にタイムリープしてきた」
可可「……そうなのデスか。しかし、タイムマシン……それは、本当なら世界的大ニュースデス」
四季「公表はしていない。それに、乱用するつもりもないから」
すみれ「あれ? でも、タイムリープはできないって……」
四季「そう。そんな機能はないし、理論すら構築されていない。状況からは、緊急時間跳躍により何らかの時空の歪みが発生したとしか考えられない」
四季「でも、それだけじゃタイムリープなんて起こせないはず。おそらく何か他の要因がある」
夏美「ほ、他の要因って何ですの……?」
四季「残念だけど、タイムリープした後では、調査することもできない。そもそも座標誤差が大きかったのもどうしてかわからない。未成熟な技術なのは確か。でも、あそこまでずれるのは理論上一万分の一以下の確率のはず」
千砂都「車だって飛行機だって100%安全じゃないからさ、ある程度は覚悟していたけど、それがこうなっちゃうとはね。……だから私たちもこの二年何の進展もないんだ」
千砂都「……と、いうわけなんだ」
四季「私も同様に、この時間軸にタイムリープしてきた」
可可「……そうなのデスか。しかし、タイムマシン……それは、本当なら世界的大ニュースデス」
四季「公表はしていない。それに、乱用するつもりもないから」
すみれ「あれ? でも、タイムリープはできないって……」
四季「そう。そんな機能はないし、理論すら構築されていない。状況からは、緊急時間跳躍により何らかの時空の歪みが発生したとしか考えられない」
四季「でも、それだけじゃタイムリープなんて起こせないはず。おそらく何か他の要因がある」
夏美「ほ、他の要因って何ですの……?」
四季「残念だけど、タイムリープした後では、調査することもできない。そもそも座標誤差が大きかったのもどうしてかわからない。未成熟な技術なのは確か。でも、あそこまでずれるのは理論上一万分の一以下の確率のはず」
千砂都「車だって飛行機だって100%安全じゃないからさ、ある程度は覚悟していたけど、それがこうなっちゃうとはね。……だから私たちもこの二年何の進展もないんだ」
179:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 17:27:55 ID:???00
恋「……そうなのですか。でも、そのときの時間跳躍がきっかけで、私たちもタイムリープしたのですね」
かのん「……ええと、そのとき校門前にLiella!のみんながいたからってこと?」
四季「そう推測される。そして、ここで話が戻る」
かのん「え、何の話だっけ」
四季「原因があって結果があるということ」
冬毬「なるほど、予定外の時間跳躍がLiella!メンバーのいるところで起きた。それが、私たちだけがタイムリープしている原因なのだとしたら……」
四季「そう。きな子ちゃんだけタイムリープしていないことの説明がつかない」
マルガレーテ「でも、きな子先輩だけ範囲から外れたとか、そういうこともあるでしょう?」
四季「もちろんその可能性もある。だから、あくまでわかる情報から推測しているに過ぎなかった……きな子ちゃんが転入してくるまでは」
かのん「……ええと、そのとき校門前にLiella!のみんながいたからってこと?」
四季「そう推測される。そして、ここで話が戻る」
かのん「え、何の話だっけ」
四季「原因があって結果があるということ」
冬毬「なるほど、予定外の時間跳躍がLiella!メンバーのいるところで起きた。それが、私たちだけがタイムリープしている原因なのだとしたら……」
四季「そう。きな子ちゃんだけタイムリープしていないことの説明がつかない」
マルガレーテ「でも、きな子先輩だけ範囲から外れたとか、そういうこともあるでしょう?」
四季「もちろんその可能性もある。だから、あくまでわかる情報から推測しているに過ぎなかった……きな子ちゃんが転入してくるまでは」
180:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 17:30:27 ID:???00
メイ「どういうことだ?」
千砂都「これまでは、記憶がなくてたまたま違う道を選んだから、結ヶ丘に来なかっただけかもしれいと思っていた」
四季「でも、この前のラブライブ!で……」
マルガレーテ「……私の優勝インタビューね」
四季「そう、あのときマルガレーテちゃんは、明確に個人を特定できない範囲できな子ちゃんに向けてメッセージを発信した」
夏美「確かにそうですの。だから、きな子はそれを見て結ヶ丘に来たんじゃないんですの? あれ? でも、記憶はないと言っていたから~……」
四季「そう、偶然にしてはタイミングが良すぎる」
可可「マルマルのメッセージに反応したのでなければ、今編入してくるのはでき過ぎということデスね」
千砂都「これまでは、記憶がなくてたまたま違う道を選んだから、結ヶ丘に来なかっただけかもしれいと思っていた」
四季「でも、この前のラブライブ!で……」
マルガレーテ「……私の優勝インタビューね」
四季「そう、あのときマルガレーテちゃんは、明確に個人を特定できない範囲できな子ちゃんに向けてメッセージを発信した」
夏美「確かにそうですの。だから、きな子はそれを見て結ヶ丘に来たんじゃないんですの? あれ? でも、記憶はないと言っていたから~……」
四季「そう、偶然にしてはタイミングが良すぎる」
可可「マルマルのメッセージに反応したのでなければ、今編入してくるのはでき過ぎということデスね」
181:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 17:31:11 ID:???00
かのん「でも、……じゃあ、きな子ちゃんもタイムリープしていたとして、……どうして記憶がない振りをしているの?」
メイ「それに、嘘をついているそぶりはなかっただろ?」
千砂都「そうなんだよね。何か考えがあるのか、それとも……」
かのん「じゃあ、話してみようよ! 話したら、きっと何かわかるよ……!」
恋「そうですね。はっきりしないまま、疑問だけを抱えていても、前には進みません」
すみれ「どうせ迎えに来てくれなかった仕返しとかでしょ。……なんてことないわ」
千砂都「そうだね……うん、わかった! きな子ちゃんと話してみよう! 四季ちゃん」
四季「不安要素もある……でも、わかった」
メイ「よし! それじゃあ、明日声かけてみるか!」
夏美「首に縄かけてでも連れてきますの!」
メイ「それに、嘘をついているそぶりはなかっただろ?」
千砂都「そうなんだよね。何か考えがあるのか、それとも……」
かのん「じゃあ、話してみようよ! 話したら、きっと何かわかるよ……!」
恋「そうですね。はっきりしないまま、疑問だけを抱えていても、前には進みません」
すみれ「どうせ迎えに来てくれなかった仕返しとかでしょ。……なんてことないわ」
千砂都「そうだね……うん、わかった! きな子ちゃんと話してみよう! 四季ちゃん」
四季「不安要素もある……でも、わかった」
メイ「よし! それじゃあ、明日声かけてみるか!」
夏美「首に縄かけてでも連れてきますの!」
182:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:40:42 ID:???00
……
すみれ「いよいよ今日がきな子と話をする日ね」
かのん「でも、どうしてわざわざ日曜日なんだろう」
メイ「引っ越してきたばかりで忙しいからって、言ってたけどな」
恋「場所は、理科実験室。人目がなくて好都合ですね。あまり大声で話せる内容ではありませんから」
すみれ「いよいよ今日がきな子と話をする日ね」
かのん「でも、どうしてわざわざ日曜日なんだろう」
メイ「引っ越してきたばかりで忙しいからって、言ってたけどな」
恋「場所は、理科実験室。人目がなくて好都合ですね。あまり大声で話せる内容ではありませんから」
183:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:41:23 ID:???00
きな子「あ、皆さん! ちょうど良かったっす」
冬毬「おはようございます、きな子先輩」
きな子「おはようございますっす。先輩って言われると何だかむず痒いっすね。……それじゃあ、どうぞ入ってくださいっす。……部長は四季ちゃんっすけどね」
マルガレーテ「お邪魔します」
きな子「といっても、何も用意していなくて申し訳ないっすけど……」
かのん「気にしないで! 私たちの仲だしね!」
きな子「は、はあ……」
冬毬「おはようございます、きな子先輩」
きな子「おはようございますっす。先輩って言われると何だかむず痒いっすね。……それじゃあ、どうぞ入ってくださいっす。……部長は四季ちゃんっすけどね」
マルガレーテ「お邪魔します」
きな子「といっても、何も用意していなくて申し訳ないっすけど……」
かのん「気にしないで! 私たちの仲だしね!」
きな子「は、はあ……」
184:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:42:08 ID:???00
きな子「……それで、今日は何の話っすか? 勧誘なら、前もお話ししたけど、入部する気はないっすよ?」
メイ「……私たちは、きな子のことを知っている。……転入してくる前から」
きな子「それ、二年生のみんなは前も言ってたっすけど、他のみんなもっすか?」
冬毬「そうです。……そして私たちは、きな子先輩も同じだと思っています」
きな子「えっと……ちょっと話が見えないっす」
四季「説明する。まず私たちは——」
メイ「……私たちは、きな子のことを知っている。……転入してくる前から」
きな子「それ、二年生のみんなは前も言ってたっすけど、他のみんなもっすか?」
冬毬「そうです。……そして私たちは、きな子先輩も同じだと思っています」
きな子「えっと……ちょっと話が見えないっす」
四季「説明する。まず私たちは——」
185:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:44:23 ID:???00
……
きな子「……タイムリープにタイムトラベル? しかも、きな子がスクールアイドル部の一員だった……っすか?」
四季「それだけじゃない。さっきも言ったけど、きな子ちゃんもタイムリープしたと考えている」
きな子「きな子も……? それはなさそうっすけど……」
四季「じゃあ、あの場にいた人の中で、きな子ちゃんだけタイムリープしていない理由は何?」
きな子「それは、きな子にはわからないっす。タイムリープが本当だとしてっすけど」
四季「今年度結ヶ丘に編入してきたのは?」
きな子「家の事情っすから、たまたまとしか言えないっす」
四季「そう。……なら、どうして科学部に入りたいと言ってスクールアイドル部の部室に来たの?」
きな子「それは、四季ちゃんが科学部とスクールアイドル部を兼任しているって聞いたからっす」
四季「誰に?」
きな子「ちょっと……覚えてないっすね……まだ、みんなを覚えたわけじゃないっすから」
四季「そう。……でも、あの日きな子ちゃんとそんな話をした人はいない。生徒と先生全員に確かめたから、確実」
きな子「……タイムリープにタイムトラベル? しかも、きな子がスクールアイドル部の一員だった……っすか?」
四季「それだけじゃない。さっきも言ったけど、きな子ちゃんもタイムリープしたと考えている」
きな子「きな子も……? それはなさそうっすけど……」
四季「じゃあ、あの場にいた人の中で、きな子ちゃんだけタイムリープしていない理由は何?」
きな子「それは、きな子にはわからないっす。タイムリープが本当だとしてっすけど」
四季「今年度結ヶ丘に編入してきたのは?」
きな子「家の事情っすから、たまたまとしか言えないっす」
四季「そう。……なら、どうして科学部に入りたいと言ってスクールアイドル部の部室に来たの?」
きな子「それは、四季ちゃんが科学部とスクールアイドル部を兼任しているって聞いたからっす」
四季「誰に?」
きな子「ちょっと……覚えてないっすね……まだ、みんなを覚えたわけじゃないっすから」
四季「そう。……でも、あの日きな子ちゃんとそんな話をした人はいない。生徒と先生全員に確かめたから、確実」
186:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:47:59 ID:???00
きな子「…………うーん、証拠固めは終わってるってことっすかね。……高校生の四季ちゃんにはそこまでの行動力はなかったはずっすけど……まさか十年後の四季ちゃんだったとは、想定外っすね」
メイ「おい、それって……」
きな子「……そうっす、きな子も……いや、私も、タイムリープしてきたってことだよ」
マルガレーテ「やっぱり、そうなのね……!」
夏美「それに、その口調……」
千砂都「でも、……じゃあ、何で今まで黙ってたの?」
きな子「……こうなったら仕方がないね、全部話そうか。……さっき千砂都先輩たちは十年後から来たと言っていだけど、私はもっと先の未来、……今からだと、大体六十年後から来たんだよ」
メイ「おい、それって……」
きな子「……そうっす、きな子も……いや、私も、タイムリープしてきたってことだよ」
マルガレーテ「やっぱり、そうなのね……!」
夏美「それに、その口調……」
千砂都「でも、……じゃあ、何で今まで黙ってたの?」
きな子「……こうなったら仕方がないね、全部話そうか。……さっき千砂都先輩たちは十年後から来たと言っていだけど、私はもっと先の未来、……今からだと、大体六十年後から来たんだよ」
187:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:48:53 ID:???00
四季「六十年後? 私たちのタイムトラベルが影響しても、マルガレーテちゃんのように十年後から来る程度のはず」
きな子「へえ、そうなんだ。でも、それは関係ないよ。私は私の意思で、タイムリープして来たからね」
すみれ「自分の意思で? どうしてそんな未来から……?」
きな子「……私ね、子供がいたんだ。この子のためなら自分の命すら惜しくない。そう思えるくらい大切な子供が」
きな子「女の子でね、……年はちょうど今の私と同じ十七歳、幼馴染の子と一緒にスクールアイドルをやっていて、全国大会に出るんだ、って頑張っていた」
可可「きなきなの子供が、スクールアイドル……」
きな子「私はそれまでスクールアイドルとは無縁な生活だったから、あまり詳しいことはわからなかったんだけど、昔の優勝グループに憧れのスクールアイドルがいるみたいだった」
きな子「だから、その元スクールアイドルがやるコンサートのチケットが当たったときは、大興奮で家を出ていったよ」
きな子「へえ、そうなんだ。でも、それは関係ないよ。私は私の意思で、タイムリープして来たからね」
すみれ「自分の意思で? どうしてそんな未来から……?」
きな子「……私ね、子供がいたんだ。この子のためなら自分の命すら惜しくない。そう思えるくらい大切な子供が」
きな子「女の子でね、……年はちょうど今の私と同じ十七歳、幼馴染の子と一緒にスクールアイドルをやっていて、全国大会に出るんだ、って頑張っていた」
可可「きなきなの子供が、スクールアイドル……」
きな子「私はそれまでスクールアイドルとは無縁な生活だったから、あまり詳しいことはわからなかったんだけど、昔の優勝グループに憧れのスクールアイドルがいるみたいだった」
きな子「だから、その元スクールアイドルがやるコンサートのチケットが当たったときは、大興奮で家を出ていったよ」
188:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:50:15 ID:???00
恋「元、スクールアイドル、ですか?」
きな子「そしてそこで、……澁谷かのん日本凱旋コンサートの会場で、その後の世界を大きく変える事件が起きた」
かのん「私の、コンサート……」
マルガレーテ「世界が変わるって、どういうことよ!?」
冬毬「それほどの注目度がある場で、世界が変わるほどの事件というと……」
きな子「そう、国際的なテロ組織による、極めて感染力及び致死率が高い未知のウイルスの散布、バイオテロが発生したの」
きな子「国際的にも注目の歌手ということで、世間の関心も高かったから、なのかな?」
四季「そんなに人がいるところで、バイオテロが起きたら、被害は甚大になる」
きな子「……会場にいた人間は、半数以上が三ヶ月以内に死亡。……その中には、私の娘も含まれていた」
きな子「そしてそこで、……澁谷かのん日本凱旋コンサートの会場で、その後の世界を大きく変える事件が起きた」
かのん「私の、コンサート……」
マルガレーテ「世界が変わるって、どういうことよ!?」
冬毬「それほどの注目度がある場で、世界が変わるほどの事件というと……」
きな子「そう、国際的なテロ組織による、極めて感染力及び致死率が高い未知のウイルスの散布、バイオテロが発生したの」
きな子「国際的にも注目の歌手ということで、世間の関心も高かったから、なのかな?」
四季「そんなに人がいるところで、バイオテロが起きたら、被害は甚大になる」
きな子「……会場にいた人間は、半数以上が三ヶ月以内に死亡。……その中には、私の娘も含まれていた」
189:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:50:49 ID:???00
かのん「そんな……!」
きな子「それだけじゃない。そこから広がった感染症は全世界で猛威をふるい、特に三十代以上の人間にとっては、感染イコール死と言ってもいいくらいの惨状だった」
きな子「世界の人口は激減し、文明も文化も次々と失われていくことを、……誰も止めることはできなかった」
きな子「そうやって、人類は絶滅に向かって進んでいたけど、……それでも天才っていうのはいるんだね。……人類の技術はついに時間の流れに干渉するところまできた。……それが、タイムリープマシン」
きな子「でも、それよりずっと前にタイムマシンを完成させていたなんて、四季ちゃんもやっぱり天才なんだね」
千砂都「本当にそんな未来が待っていたとして、どうしてきな子ちゃんがタイムリープすることになったの?」
きな子「簡単なことだよ。タイムリープは自分が生まれる前には戻れない。それなら、できるだけ長生きしている人を対象にした方がいい。だから私が選ばれたんだよ。……当時世界最高齢の私が」
きな子「それだけじゃない。そこから広がった感染症は全世界で猛威をふるい、特に三十代以上の人間にとっては、感染イコール死と言ってもいいくらいの惨状だった」
きな子「世界の人口は激減し、文明も文化も次々と失われていくことを、……誰も止めることはできなかった」
きな子「そうやって、人類は絶滅に向かって進んでいたけど、……それでも天才っていうのはいるんだね。……人類の技術はついに時間の流れに干渉するところまできた。……それが、タイムリープマシン」
きな子「でも、それよりずっと前にタイムマシンを完成させていたなんて、四季ちゃんもやっぱり天才なんだね」
千砂都「本当にそんな未来が待っていたとして、どうしてきな子ちゃんがタイムリープすることになったの?」
きな子「簡単なことだよ。タイムリープは自分が生まれる前には戻れない。それなら、できるだけ長生きしている人を対象にした方がいい。だから私が選ばれたんだよ。……当時世界最高齢の私が」
190:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:51:43 ID:???00
すみれ「六十年後って言ったわよね? それで、世界最高齢……?」
きな子「それだけ人の寿命は短くなったんだよ。しかも私は二位にダブルスコアの一位だからね」
夏美「みんな、三十歳くらいまでしか生きられないということですの?」
きな子「そう、それでも長生きしている方。……平均で言うともっと低い」
冬毬「では、なぜきな子先輩だけが高齢になるまで無事だったのですか?」
きな子「……冬毬ちゃんは、ウイルスって生き物だと思う?」
冬毬「ウイルスが……? それは、……諸説ありますが、少なくとも私たち人間のような生物とは違うのではないかと思います」
きな子「うん、まあ大体そんなふうに言われているよね。……実際、ウイルスには高度な思考はもちろん、明確な感情もない。……でも、確かに何かを発しているんだよ。感情になる前の何かを。そして、私はそれが感じ取れて、だからどこにウイルスがいるかわかる」
マルガレーテ「じゃあ、ウイルスを避けることができるから、きな子先輩だけは長生きできたってこと?」
きな子「そういうこと。……そうして過去に戻って人類を救うという使命が私に課せられた。……でも、私は本当はただ、もう一度娘に会いたかった。ただ娘を助けたかった……」
きな子「それだけ人の寿命は短くなったんだよ。しかも私は二位にダブルスコアの一位だからね」
夏美「みんな、三十歳くらいまでしか生きられないということですの?」
きな子「そう、それでも長生きしている方。……平均で言うともっと低い」
冬毬「では、なぜきな子先輩だけが高齢になるまで無事だったのですか?」
きな子「……冬毬ちゃんは、ウイルスって生き物だと思う?」
冬毬「ウイルスが……? それは、……諸説ありますが、少なくとも私たち人間のような生物とは違うのではないかと思います」
きな子「うん、まあ大体そんなふうに言われているよね。……実際、ウイルスには高度な思考はもちろん、明確な感情もない。……でも、確かに何かを発しているんだよ。感情になる前の何かを。そして、私はそれが感じ取れて、だからどこにウイルスがいるかわかる」
マルガレーテ「じゃあ、ウイルスを避けることができるから、きな子先輩だけは長生きできたってこと?」
きな子「そういうこと。……そうして過去に戻って人類を救うという使命が私に課せられた。……でも、私は本当はただ、もう一度娘に会いたかった。ただ娘を助けたかった……」
191:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:52:37 ID:???00
きな子「最初は何とかテロを止めようとしたけど、何回繰り返しても無理だった。実行犯を何とかしても、新たな実行犯が現れるだけ。……テロ組織の全貌を掴むこともできなかったよ」
きな子「だから、他の方法を探したの。……どういうわけか、テロは澁谷かのんのコンサートで起きた。それは、何度やっても変わらなかった。例え、コンサートの規模が小さくても、突発路上ライブのような形であっても」
恋「かのんさんのコンサートでテロが起きる。どうしてでしょう……」
すみれ「さあ、かのんのファンだったんじゃない?」
かのん「ファンならそんなことしないでほしいけどなあ」
きな子「どうしてなんだろうね。結局その理由はわからなかった。別にかのん先輩のせいでテロが起きるだなんて言うつもりはない。でもね、何回も繰り返すと何となくわかってくるんだ。特定の出来事や人物の存在が、なぜかその後の誰かの行動に強く影響を与えることがあるって……大なり小なりね」
千砂都「……」
きな子「だから、他の方法を探したの。……どういうわけか、テロは澁谷かのんのコンサートで起きた。それは、何度やっても変わらなかった。例え、コンサートの規模が小さくても、突発路上ライブのような形であっても」
恋「かのんさんのコンサートでテロが起きる。どうしてでしょう……」
すみれ「さあ、かのんのファンだったんじゃない?」
かのん「ファンならそんなことしないでほしいけどなあ」
きな子「どうしてなんだろうね。結局その理由はわからなかった。別にかのん先輩のせいでテロが起きるだなんて言うつもりはない。でもね、何回も繰り返すと何となくわかってくるんだ。特定の出来事や人物の存在が、なぜかその後の誰かの行動に強く影響を与えることがあるって……大なり小なりね」
千砂都「……」
192:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:55:11 ID:???00
きな子「だから、もっと遡って澁谷かのんに会ってみることにした」
きな子「中学生からやり直して、わざわざ東京の高校を受験して……でも、娘が最後までやりきれなかったスクールアイドルを、私がやることになるなんてね……」
かのん「きな子ちゃん……」
きな子「まあ、先輩とはいえ高校生の女の子に敬語を使うのはちょっとむず痒くて、……おかげで変な喋り方になっちゃったんっすけどね」
夏美「じゃあ、やっぱり……これまでのは素の喋り方じゃないんですの……?」
きな子「同期にはメイちゃんも四季ちゃんもいたから、私も別に敬語じゃなくても良かったのかもしれないけど、私の方が先に入部していたからね」
メイ「全部、作り物だったってことかよ、きな子!」
きな子「そういうこと。幻滅した? ……でも、初めはそうだったけど……でも……でも、それだけじゃないよ」
きな子「先輩たちも、みんなも、優しくて、輝いてて、こんな私を受け入れてくれた。これがスクールアイドルなんだって、年甲斐もなく夢中になって……本当に楽しかった……」
メイ「きな子……」
きな子「中学生からやり直して、わざわざ東京の高校を受験して……でも、娘が最後までやりきれなかったスクールアイドルを、私がやることになるなんてね……」
かのん「きな子ちゃん……」
きな子「まあ、先輩とはいえ高校生の女の子に敬語を使うのはちょっとむず痒くて、……おかげで変な喋り方になっちゃったんっすけどね」
夏美「じゃあ、やっぱり……これまでのは素の喋り方じゃないんですの……?」
きな子「同期にはメイちゃんも四季ちゃんもいたから、私も別に敬語じゃなくても良かったのかもしれないけど、私の方が先に入部していたからね」
メイ「全部、作り物だったってことかよ、きな子!」
きな子「そういうこと。幻滅した? ……でも、初めはそうだったけど……でも……でも、それだけじゃないよ」
きな子「先輩たちも、みんなも、優しくて、輝いてて、こんな私を受け入れてくれた。これがスクールアイドルなんだって、年甲斐もなく夢中になって……本当に楽しかった……」
メイ「きな子……」
193:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:56:29 ID:???00
千砂都「でも、それなのに、……かのんちゃんに危害を加えようとしたの?」
きな子「かのん先輩がいなければ、テロは起きない可能性が高い。……それでも、世界を天秤にかけても、何もしないほうが良かった?」
千砂都「だって、それって、かのんちゃんだけに世界を背負わせているってことでしょ? ……そんなの、ひどいよ」
かのん(うーん、世界の命運を握る歌姫かー。最期の言葉は『いいの、私の歌を聞いてくれる世界がなくなっちゃうほうが悲しいから……』とかかなあ)
四季「でも、そうだとしても、疑問がある。これまで何回かかのん先輩を助けてきて、周囲も調べたけど……事故に誰かが介入していた形跡はなかった」
きな子「それは当然だよ。だって私は何もしていない」
きな子「かのん先輩がいなければ、テロは起きない可能性が高い。……それでも、世界を天秤にかけても、何もしないほうが良かった?」
千砂都「だって、それって、かのんちゃんだけに世界を背負わせているってことでしょ? ……そんなの、ひどいよ」
かのん(うーん、世界の命運を握る歌姫かー。最期の言葉は『いいの、私の歌を聞いてくれる世界がなくなっちゃうほうが悲しいから……』とかかなあ)
四季「でも、そうだとしても、疑問がある。これまで何回かかのん先輩を助けてきて、周囲も調べたけど……事故に誰かが介入していた形跡はなかった」
きな子「それは当然だよ。だって私は何もしていない」
194:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:58:21 ID:???00
四季「どういうこと?」
きな子「証拠を残さないため、というのもなくはないけど、……一緒に過ごして、かのん先輩のことを大好きになったから、直接危害を加えるなんて、そんなことはできなかった」
千砂都「じゃあ、どうやって?」
四季「協力者がいたわけでもないのに」
かのん(へえ、大好きだって大好き)
きな子「簡単なことだよ。……高校生の不慮の事故による死亡率って知ってる? ……大体十万人あたり四人くらいなんだよ」
きな子「だから、少しずつ行動を変えて、前回知った事故にさりげなく、ほんの少しだけ誘導して、かのん先輩に事故が起きるまで繰り返していた」
可可「何万回も、デスか……?」
きな子「そういうこと。だから、六十年後から来たけど、精神的には歳を数えきれないくらいのおばあちゃんということだね。手を汚す覚悟がなかったおかげでこのとおり、演技だってこんなに上手になれたよ」
夏美「そんなの、辛すぎますの……」
きな子「もし途中で自分が死んだら終わりだけど、何回か繰り返した時点で危ないところは大体わかったから、それを避けてやれば問題なかった」
きな子「証拠を残さないため、というのもなくはないけど、……一緒に過ごして、かのん先輩のことを大好きになったから、直接危害を加えるなんて、そんなことはできなかった」
千砂都「じゃあ、どうやって?」
四季「協力者がいたわけでもないのに」
かのん(へえ、大好きだって大好き)
きな子「簡単なことだよ。……高校生の不慮の事故による死亡率って知ってる? ……大体十万人あたり四人くらいなんだよ」
きな子「だから、少しずつ行動を変えて、前回知った事故にさりげなく、ほんの少しだけ誘導して、かのん先輩に事故が起きるまで繰り返していた」
可可「何万回も、デスか……?」
きな子「そういうこと。だから、六十年後から来たけど、精神的には歳を数えきれないくらいのおばあちゃんということだね。手を汚す覚悟がなかったおかげでこのとおり、演技だってこんなに上手になれたよ」
夏美「そんなの、辛すぎますの……」
きな子「もし途中で自分が死んだら終わりだけど、何回か繰り返した時点で危ないところは大体わかったから、それを避けてやれば問題なかった」
195:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 21:59:46 ID:???00
きな子「でも、繰り返してもかのん先輩の身には何も起こらなかった。惜しいところで事故を避けているみたいでおかしいと思っていたら、千砂都先輩と四季ちゃんが歴史を変えていたんだね」
メイ「ええと、どういうことだ?」
四季「本当は何回かかのん先輩は死んでいたけど、私たちがなかったことにしたから、きな子ちゃんの主観としては一度も成功していないということ」
きな子「四季ちゃんとかのん先輩が一度に事故に遭うパターンを見つけられたら良かったのかな。それは、さすがにわからなかったね」
きな子「……あ、そういえば他のLiella!のメンバーも、一度も亡くなることはなかったから、きっとそれも四季ちゃんが助けていたんだね。夏美ちゃんなんて平均より事故率が高そうなのに」
夏美「それどういう意味ですの?」
メイ「それは、まあ……気持ちはわからなくはないけどな」
夏美「むー……」
メイ「ええと、どういうことだ?」
四季「本当は何回かかのん先輩は死んでいたけど、私たちがなかったことにしたから、きな子ちゃんの主観としては一度も成功していないということ」
きな子「四季ちゃんとかのん先輩が一度に事故に遭うパターンを見つけられたら良かったのかな。それは、さすがにわからなかったね」
きな子「……あ、そういえば他のLiella!のメンバーも、一度も亡くなることはなかったから、きっとそれも四季ちゃんが助けていたんだね。夏美ちゃんなんて平均より事故率が高そうなのに」
夏美「それどういう意味ですの?」
メイ「それは、まあ……気持ちはわからなくはないけどな」
夏美「むー……」
196:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:00:36 ID:???00
きな子「そして、そうやって繰り返す中で、あるとき高校二年生の終わりに前触れなくタイムリープが起こった」
すみれ「それが、今回私たちに起きたやつね」
きな子「想定外の事態だったから、今回は何もせずにやり過ごそうと思っていたんだけど、マルガレーテちゃんの呼びかけを聞いて、私以外にもタイムリープしている人がいる可能性があるとわかった」
きな子「だから、様子を伺いに結ヶ丘に編入してきたんだけど……軽率だったかな。まさかこういうことになるとはね」
すみれ「それが、今回私たちに起きたやつね」
きな子「想定外の事態だったから、今回は何もせずにやり過ごそうと思っていたんだけど、マルガレーテちゃんの呼びかけを聞いて、私以外にもタイムリープしている人がいる可能性があるとわかった」
きな子「だから、様子を伺いに結ヶ丘に編入してきたんだけど……軽率だったかな。まさかこういうことになるとはね」
197:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:03:14 ID:???00
千砂都「それで? これから、どうするの?」
きな子「そうだね……うん……そろそろ潮時だよ。……もう、いいかな」
恋「きな子さん……」
冬毬「もういい、とは?」
きな子「そのままの意味だよ。もうね、繰り返すのに疲れたんだ。人類がほぼ絶滅したって、きっと山奥とか孤島とかに暮らす人がまた文明を作ってくれるよ」
メイ「子供は、いいのかよ」
きな子「……よくないよ……よくないけどね、でもテロを止められても止められなくても、……全く同じ行動は取れないから、どっちにしろ同じなんだ」
きな子「そうだね……うん……そろそろ潮時だよ。……もう、いいかな」
恋「きな子さん……」
冬毬「もういい、とは?」
きな子「そのままの意味だよ。もうね、繰り返すのに疲れたんだ。人類がほぼ絶滅したって、きっと山奥とか孤島とかに暮らす人がまた文明を作ってくれるよ」
メイ「子供は、いいのかよ」
きな子「……よくないよ……よくないけどね、でもテロを止められても止められなくても、……全く同じ行動は取れないから、どっちにしろ同じなんだ」
198:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:04:49 ID:???00
可可「どういう意味デスか?」
きな子「同じ両親から生まれた姉妹が別々の人間であるように、やり直した世界で生まれた子供は、似ているけどみんな別の人間なんだよ。もちろんみんな大切な私の子供。でも、誕生……正確には受精かな? それより前に戻った時点で、もう二度と同じ子には会えない」
すみれ「そんな……」
きな子「あ、安心して。タイムリープの影響を受けずに過ごしてきた親のところには、同じ子供が生まれてきているみたいだから」
四季「もし違っていても、認識できないから同じ」
きな子「そうだね。でも……私だけは、認識できちゃうんだ」
マルガレーテ「……そんなの、あんまりだわ」
きな子「だから、もういい。今回の周回で終わりにするよ。そうしたらさ、これでもうかのん先輩が亡くなる未来を選ばなくていいんだ」
きな子「私が未来を選ぶなんて、間違いだったんだよ。だって、あの子を看取ったときの防護服越しに握った右手の感覚も、かのん先輩にスクールアイドルの世界に連れて行ってもらったときに引かれた左手の感覚も、どうしても……どっちも忘れられないんだから……」
かのん「きな子ちゃん……」
きな子「同じ両親から生まれた姉妹が別々の人間であるように、やり直した世界で生まれた子供は、似ているけどみんな別の人間なんだよ。もちろんみんな大切な私の子供。でも、誕生……正確には受精かな? それより前に戻った時点で、もう二度と同じ子には会えない」
すみれ「そんな……」
きな子「あ、安心して。タイムリープの影響を受けずに過ごしてきた親のところには、同じ子供が生まれてきているみたいだから」
四季「もし違っていても、認識できないから同じ」
きな子「そうだね。でも……私だけは、認識できちゃうんだ」
マルガレーテ「……そんなの、あんまりだわ」
きな子「だから、もういい。今回の周回で終わりにするよ。そうしたらさ、これでもうかのん先輩が亡くなる未来を選ばなくていいんだ」
きな子「私が未来を選ぶなんて、間違いだったんだよ。だって、あの子を看取ったときの防護服越しに握った右手の感覚も、かのん先輩にスクールアイドルの世界に連れて行ってもらったときに引かれた左手の感覚も、どうしても……どっちも忘れられないんだから……」
かのん「きな子ちゃん……」
199:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:06:44 ID:???00
きな子「ふう……あ、ちょうどいい時間だから、少し待っていて」
メイ「ん? 準備室に何かあるのか?」
きな子「すぐにわかるよ」
夏美「?」
四季「あ……駄目! 止めて!」
ガチャ
千砂都「四季ちゃん?」
四季「ナンバーロック、アナログ式だからすぐには開けられない」
きな子「……大丈夫だよ、逃げたりしないから」
四季「そうじゃない……そうじゃなくて!」
メイ「ん? 準備室に何かあるのか?」
きな子「すぐにわかるよ」
夏美「?」
四季「あ……駄目! 止めて!」
ガチャ
千砂都「四季ちゃん?」
四季「ナンバーロック、アナログ式だからすぐには開けられない」
きな子「……大丈夫だよ、逃げたりしないから」
四季「そうじゃない……そうじゃなくて!」
200:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:07:32 ID:???00
メイ「どうしたんだ? 四季」
四季「中の保管庫には、薬品類がある。それを使えば……」
千砂都「有毒な成分の物質もできる……?」
きな子「……本当に、十年後の二人は頼もしいね」
夏美「そんな! きな子! きな子! すぐ出てくるんですの!」
きな子「こめんね、夏美ちゃん。でも、離れて。密閉が甘いから、ドアの近くはガスが漏れるよ」
夏美「きな子! どうして!?」
きな子「夏美ちゃん、みんな……私はここまで。変な話をしちゃったけど、みんなは未来に縛られず自由に生きてね……」
夏美「きな子!」
四季「中の保管庫には、薬品類がある。それを使えば……」
千砂都「有毒な成分の物質もできる……?」
きな子「……本当に、十年後の二人は頼もしいね」
夏美「そんな! きな子! きな子! すぐ出てくるんですの!」
きな子「こめんね、夏美ちゃん。でも、離れて。密閉が甘いから、ドアの近くはガスが漏れるよ」
夏美「きな子! どうして!?」
きな子「夏美ちゃん、みんな……私はここまで。変な話をしちゃったけど、みんなは未来に縛られず自由に生きてね……」
夏美「きな子!」
201:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:09:19 ID:???00
千砂都「みんな! すぐ外に出て! 恋ちゃん、消防に連絡! 夏美ちゃん、早くこっちに!」
夏美「嫌! きな子がここを開けるまで離れませんの1」
冬毬「姉者! ……姉者!」
四季「冬毬ちゃん、行っちゃ駄目」
冬毬「離してください! 姉者が!」
きな子「夏美ちゃん、いいんだよ。……それに、きな子はもう……ゴホッ……助から……ないっす。だから、きな子の……分まで」
夏美「きな子! きな子! ……うぅ……頭、が…………きな子……」
メイ「夏美!」
四季「千砂都先輩、無呼吸かつ鼻から息を吐きながら、目も閉じて」
千砂都「オッケー! 今助ける! ……すぅ」
千砂都( ……夏美ちゃん、ごめん!)
夏美「離して……きな子、が……」
夏美「嫌! きな子がここを開けるまで離れませんの1」
冬毬「姉者! ……姉者!」
四季「冬毬ちゃん、行っちゃ駄目」
冬毬「離してください! 姉者が!」
きな子「夏美ちゃん、いいんだよ。……それに、きな子はもう……ゴホッ……助から……ないっす。だから、きな子の……分まで」
夏美「きな子! きな子! ……うぅ……頭、が…………きな子……」
メイ「夏美!」
四季「千砂都先輩、無呼吸かつ鼻から息を吐きながら、目も閉じて」
千砂都「オッケー! 今助ける! ……すぅ」
千砂都( ……夏美ちゃん、ごめん!)
夏美「離して……きな子、が……」
202:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:10:17 ID:???00
「消防には連絡しました。ですが……到着には十分程度かかるだろうと……」
「とにかく離れよう。ここにいちゃ駄目だ」
「まさか、こんなことになるなんて」
「姉者! しっかりしてください! 姉者!!」
(……私が、助けて……あげます…………の……きな……子……)
——
「とにかく離れよう。ここにいちゃ駄目だ」
「まさか、こんなことになるなんて」
「姉者! しっかりしてください! 姉者!!」
(……私が、助けて……あげます…………の……きな……子……)
——
205:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:33:02 ID:???00
可可「どういう意味デスか?」
きな子「同じ両親から生まれた姉妹が別々の人間であるように、やり直した世界で生まれた子供は、似ているけどみんな別の人間なんだよ。もちろんみんな大切な私の子供。でも、誕生……正確には受精かな? それより前に戻った時点で、もう二度と同じ子には会えない」
すみれ「そんな……」
きな子「あ、安心して。タイムリープの影響を受けずに過ごしてきた親のところには、同じ子供が生まれてきているみたいだから」
四季「もし違っていても、認識できないから同じ」
きな子「そうだね。でも……私だけは、認識できちゃうんだ」
マルガレーテ「……そんなの、あんまりだわ」
きな子「だから、もういい。今回の周回で終わりにするよ。そうしたらさ、これでもうかのん先輩が亡くなる未来を選ばなくていいんだ」
きな子「私が未来を選ぶなんて、間違いだったんだよ。だって、あの子を看取ったときの防護服越しに握った右手の感覚も、かのん先輩にスクールアイドルの世界に連れて行ってもらったときに引かれた左手の感覚も、どうしても……どっちも忘れられないんだから……」
かのん「きな子ちゃん……」
きな子「同じ両親から生まれた姉妹が別々の人間であるように、やり直した世界で生まれた子供は、似ているけどみんな別の人間なんだよ。もちろんみんな大切な私の子供。でも、誕生……正確には受精かな? それより前に戻った時点で、もう二度と同じ子には会えない」
すみれ「そんな……」
きな子「あ、安心して。タイムリープの影響を受けずに過ごしてきた親のところには、同じ子供が生まれてきているみたいだから」
四季「もし違っていても、認識できないから同じ」
きな子「そうだね。でも……私だけは、認識できちゃうんだ」
マルガレーテ「……そんなの、あんまりだわ」
きな子「だから、もういい。今回の周回で終わりにするよ。そうしたらさ、これでもうかのん先輩が亡くなる未来を選ばなくていいんだ」
きな子「私が未来を選ぶなんて、間違いだったんだよ。だって、あの子を看取ったときの防護服越しに握った右手の感覚も、かのん先輩にスクールアイドルの世界に連れて行ってもらったときに引かれた左手の感覚も、どうしても……どっちも忘れられないんだから……」
かのん「きな子ちゃん……」
206:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:33:32 ID:???00
きな子「ふう……あ、ちょうどいい時間だから、少し待っていて」
メイ「ん? 準備室に何かあるのか?」
夏美「駄目ですのー!」
きな子「夏美ちゃん!?」
夏美「みんな、きな子を捕まえて! きな子は、きな子は死ぬ気ですの!」
四季「……あ! 準備室の、薬品……?」
メイ「ん? 準備室に何かあるのか?」
夏美「駄目ですのー!」
きな子「夏美ちゃん!?」
夏美「みんな、きな子を捕まえて! きな子は、きな子は死ぬ気ですの!」
四季「……あ! 準備室の、薬品……?」
207:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:35:57 ID:???00
……
夏美「さあ、観念するんですの!」
きな子「まあ、これだけ押さえつけられて、準備室のドアの前も塞がれたら、ね」
夏美「どうして、どうして死のうなんて……」
きな子「変えられない未来のために、生きるのは疲れたんだよ。……それにしても、よくわかったね、私が死のうとしてると」
すみれ「確かに、反応が異常に早かったわね」
恋「まるでこれから起きることを、知っていたみたいに……」
夏美「う、それは……」
千砂都「夏美ちゃん?」
夏美「…………はあ、私も観念しますの。……実は私も、ついさっきタイムリープしてきましたの」
夏美「さあ、観念するんですの!」
きな子「まあ、これだけ押さえつけられて、準備室のドアの前も塞がれたら、ね」
夏美「どうして、どうして死のうなんて……」
きな子「変えられない未来のために、生きるのは疲れたんだよ。……それにしても、よくわかったね、私が死のうとしてると」
すみれ「確かに、反応が異常に早かったわね」
恋「まるでこれから起きることを、知っていたみたいに……」
夏美「う、それは……」
千砂都「夏美ちゃん?」
夏美「…………はあ、私も観念しますの。……実は私も、ついさっきタイムリープしてきましたの」
208:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:36:46 ID:???00
冬毬「姉者……!?」
夏美「ただし、ほんの数分前から。……私にできるのは、それだけですの」
四季「でも、どうやって? 特別な機器があるようには見えない」
夏美「そんなもの必要ありませんの。ただ、頭の中でこう、さっき見た光景をコラージュするみたいに念じれば……というわけですの」
四季「機器もなしで、自分の力だけで……?」
すみれ「え、それ、超能力……ってこと?」
夏美「調べたわけじゃないのでわからないけど、多分そうですの」
冬毬「姉者にそんな能力が……? でも、普段の姉者からは、そんなそぶりは……」
夏美「まあ、数分じゃ馬券の購入も間に合いませんの。だから、普段はあまり使いませんの。本当に大事なとき以外は……」
メイ「馬券って……夏美、お前……」
夏美「ただし、ほんの数分前から。……私にできるのは、それだけですの」
四季「でも、どうやって? 特別な機器があるようには見えない」
夏美「そんなもの必要ありませんの。ただ、頭の中でこう、さっき見た光景をコラージュするみたいに念じれば……というわけですの」
四季「機器もなしで、自分の力だけで……?」
すみれ「え、それ、超能力……ってこと?」
夏美「調べたわけじゃないのでわからないけど、多分そうですの」
冬毬「姉者にそんな能力が……? でも、普段の姉者からは、そんなそぶりは……」
夏美「まあ、数分じゃ馬券の購入も間に合いませんの。だから、普段はあまり使いませんの。本当に大事なとき以外は……」
メイ「馬券って……夏美、お前……」
209:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:37:50 ID:???00
千砂都「……それじゃあ、これはどう? 私がこれからメモ帳に文字を書いて見せるから、タイムリープして書く前に当ててみて」
夏美「それはできませんの。一回使ったら、大体丸一日空けないと次のタイムリープはできませんの」
可可「一日一回……万能というわけではないのデスね」
四季「それでも、私たちがタイムリープした原因がわかったかも。きな子ちゃんはタイムリープしてきたとはいえ、あの場では影響を及ぼしているとは考えづらかった」
四季「だから、私たちのタイムマシンの機能だけでは説明がつかなかったけど、夏美ちゃん……あのとき夏美ちゃんもタイムリープしようとしていた?」
夏美「そのとおりですの。あのとき私は——」
夏美「それはできませんの。一回使ったら、大体丸一日空けないと次のタイムリープはできませんの」
可可「一日一回……万能というわけではないのデスね」
四季「それでも、私たちがタイムリープした原因がわかったかも。きな子ちゃんはタイムリープしてきたとはいえ、あの場では影響を及ぼしているとは考えづらかった」
四季「だから、私たちのタイムマシンの機能だけでは説明がつかなかったけど、夏美ちゃん……あのとき夏美ちゃんもタイムリープしようとしていた?」
夏美「そのとおりですの。あのとき私は——」
210:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:38:56 ID:???00
……
回想
冬毬「かのん先輩……」
夏美「冬毬……?」
冬毬「リボン、ください……」
夏美(冬毬! ……よく勇気を出しましたの。……ああ、夕焼けがきれいですの…………って、あれ!? 上から何か落ちてきますの!!)
冬毬「ずっと憧れてました……」
夏美(このままだとマルガレーテの方に!)
夏美「マ、マルガレーテ! 上! 上ですの!!」
マルガレーテ「え? 何?」
夏美(駄目、間に合わない!? こうなったら……戻れ! 戻るんですのー!!)
回想
冬毬「かのん先輩……」
夏美「冬毬……?」
冬毬「リボン、ください……」
夏美(冬毬! ……よく勇気を出しましたの。……ああ、夕焼けがきれいですの…………って、あれ!? 上から何か落ちてきますの!!)
冬毬「ずっと憧れてました……」
夏美(このままだとマルガレーテの方に!)
夏美「マ、マルガレーテ! 上! 上ですの!!」
マルガレーテ「え? 何?」
夏美(駄目、間に合わない!? こうなったら……戻れ! 戻るんですのー!!)
211:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:39:33 ID:???00
——
夏美(ふう、危機一髪でしたの。……でも、ここは……家? いつもは戻れても二分くらいなのに、一体どれくらい戻ったんですの?)
夏美(……)
夏美「……さ、三年前!? ナッツ~! やってしまいましたの~!!」
夏美(ふう、危機一髪でしたの。……でも、ここは……家? いつもは戻れても二分くらいなのに、一体どれくらい戻ったんですの?)
夏美(……)
夏美「……さ、三年前!? ナッツ~! やってしまいましたの~!!」
212:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:41:03 ID:???00
……
夏美「——とまあ、そんな感じですの」
千砂都「なるほどね。よくわからないけど、タイムマシンの力と夏美ちゃんの力が合わさってこうなったってことかな……」
四季「多分マルガレーテちゃんの近くに落ちたから、マルガレーテちゃんは私たちの影響を受けて、十年後のマルガレーテちゃんになった」
マルガレーテ「うーん、わかるようなわからないような」
四季「それどころか、タイムトラベルの誤差が異常に大きかったのも夏美ちゃんのタイムリープの影響かも」
冬毬「それは…… 誤差が大きかったからタイムリープが発生したので、因果が逆では?」
四季「時間理論に、通常の因果は通用しない」
夏美「じゃあ、私のマッチポンプだったんですの……?」
夏美「——とまあ、そんな感じですの」
千砂都「なるほどね。よくわからないけど、タイムマシンの力と夏美ちゃんの力が合わさってこうなったってことかな……」
四季「多分マルガレーテちゃんの近くに落ちたから、マルガレーテちゃんは私たちの影響を受けて、十年後のマルガレーテちゃんになった」
マルガレーテ「うーん、わかるようなわからないような」
四季「それどころか、タイムトラベルの誤差が異常に大きかったのも夏美ちゃんのタイムリープの影響かも」
冬毬「それは…… 誤差が大きかったからタイムリープが発生したので、因果が逆では?」
四季「時間理論に、通常の因果は通用しない」
夏美「じゃあ、私のマッチポンプだったんですの……?」
213:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:43:48 ID:???00
すみれ「ここで考えてもわからないし、それは後にしましょう。それより今は、この後のことね……」
きな子「でも、私はもう……」
夏美「よくありませんの! 諦めるなんて、そんな風に育てた覚えはありませんの!」
きな子「育てられたつもりもないけど……だってさ、何万回もやったんだ。それでも、駄目だったんだよ……」
夏美「そんなの、当然ですの!」
きな子「……!?」
夏美「どうして一人でやろうとするんですの!? 結ヶ丘で、Liella!で、一体何を学んだのか、思い出してみるといいですの!!」
きな子「!!」
夏美「私たちがいますの! 一人では駄目でも、みんなでなら! ……だから、もういいなんて言わないで……頼って」
きな子「夏美、ちゃん……」
きな子「でも、私はもう……」
夏美「よくありませんの! 諦めるなんて、そんな風に育てた覚えはありませんの!」
きな子「育てられたつもりもないけど……だってさ、何万回もやったんだ。それでも、駄目だったんだよ……」
夏美「そんなの、当然ですの!」
きな子「……!?」
夏美「どうして一人でやろうとするんですの!? 結ヶ丘で、Liella!で、一体何を学んだのか、思い出してみるといいですの!!」
きな子「!!」
夏美「私たちがいますの! 一人では駄目でも、みんなでなら! ……だから、もういいなんて言わないで……頼って」
きな子「夏美、ちゃん……」
214:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:49:50 ID:???00
千砂都「そうだよ。見てよ、Liella!のみんなを。……頼りになるみんな、この十一人がいれば、きっとなんだってできる」
四季「またタイムマシンができれば、テロを止める方法を探せるかも。それに、タイムリープだって不可能な技術じゃないとわかった。丁度いい実験対象も見つかったから、きっと十年以内に実現できる」
夏美「え………実験対象って……それ、もしかして私のことですの……?」
四季「しかも二人」
きな子「千砂都先輩、四季ちゃん……って、二人? きな子も入っているんっすか? き、きな子からは何も出ないっすよ」
四季「やってみなくちゃわからない。大丈夫、科学の進歩に犠牲はつきもの」
夏美「ぎ、犠牲前提ですの!?」
マルガレーテ「活動資金だって、まあまあ稼ぐわよ。使い道もないと思っていたけど、このためなら惜しくないわ」
かのん「何度も繰り返して疲れたんだったら、最後にしてもいい。でも、最後は一緒に頑張ってみない? もしまた駄目でも、駄目だったねって……みんなで笑えるように……!」
四季「またタイムマシンができれば、テロを止める方法を探せるかも。それに、タイムリープだって不可能な技術じゃないとわかった。丁度いい実験対象も見つかったから、きっと十年以内に実現できる」
夏美「え………実験対象って……それ、もしかして私のことですの……?」
四季「しかも二人」
きな子「千砂都先輩、四季ちゃん……って、二人? きな子も入っているんっすか? き、きな子からは何も出ないっすよ」
四季「やってみなくちゃわからない。大丈夫、科学の進歩に犠牲はつきもの」
夏美「ぎ、犠牲前提ですの!?」
マルガレーテ「活動資金だって、まあまあ稼ぐわよ。使い道もないと思っていたけど、このためなら惜しくないわ」
かのん「何度も繰り返して疲れたんだったら、最後にしてもいい。でも、最後は一緒に頑張ってみない? もしまた駄目でも、駄目だったねって……みんなで笑えるように……!」
215:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:50:48 ID:???00
きな子「マルガレーテちゃん、かのん先輩……頼って……巻き込んでいいんっすか……?」
かのん「もちろん! それに私の場合、他人事じゃないみたいだしね!」
メイ「みんなにここまで言わせて……それで、どうするんだ? きな子」
きな子「うぅ……私は……きな子は……みんなと……う……ぐす……みんなと、一緒に、が、頑張りたいっす~」
可可「よっしゃ、決まりデス! やりマスよー!!」
恋「卒業後も見据えた、長期計画を立てないといけませんね」
冬毬「はい、忙しくなりそうです」
かのん「もちろん! それに私の場合、他人事じゃないみたいだしね!」
メイ「みんなにここまで言わせて……それで、どうするんだ? きな子」
きな子「うぅ……私は……きな子は……みんなと……う……ぐす……みんなと、一緒に、が、頑張りたいっす~」
可可「よっしゃ、決まりデス! やりマスよー!!」
恋「卒業後も見据えた、長期計画を立てないといけませんね」
冬毬「はい、忙しくなりそうです」
216:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:51:43 ID:???00
すみれ「一件落着、と言っていいのかしら」
千砂都「世界の未来を背負うなんて、ちょっと私たちだけじゃ荷が重いけどね」
千砂都「でも、やるしかない。それに……どうしてかな、何とかなりそうな気がするよ」
すみれ「……そうね。きっとなんとかなるわ」
千砂都「そういうわけで、またよろしくね、Liella!の桜小路きな子ちゃん!」
きな子「はい……よろしくお願い——」
マルガレーテ「ちょっと待った!」
千砂都「世界の未来を背負うなんて、ちょっと私たちだけじゃ荷が重いけどね」
千砂都「でも、やるしかない。それに……どうしてかな、何とかなりそうな気がするよ」
すみれ「……そうね。きっとなんとかなるわ」
千砂都「そういうわけで、またよろしくね、Liella!の桜小路きな子ちゃん!」
きな子「はい……よろしくお願い——」
マルガレーテ「ちょっと待った!」
217:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:52:34 ID:???00
きな子「え!? どうしたんっすか?」
マルガレーテ「ちょうどよかったわ。きな子先輩、私と一緒に新スクールアイドル部に入りなさい」
かのん「新スクールアイドル部!? また!? なんで!?」
マルガレーテ「かのん、あなたまだ留学を希望しているんでしょう?」
かのん「え、そ、そうだけど。……だから、全員そろったし、みんなで今年こそ優勝するために頑張ろうってなる流れだったんじゃないの……?」
マルガレーテ「多分それじゃ駄目ね」
かのん「な、何で?」
マルガレーテ「だって、私は一人でも優勝できたんだもの」
マルガレーテ「ちょうどよかったわ。きな子先輩、私と一緒に新スクールアイドル部に入りなさい」
かのん「新スクールアイドル部!? また!? なんで!?」
マルガレーテ「かのん、あなたまだ留学を希望しているんでしょう?」
かのん「え、そ、そうだけど。……だから、全員そろったし、みんなで今年こそ優勝するために頑張ろうってなる流れだったんじゃないの……?」
マルガレーテ「多分それじゃ駄目ね」
かのん「な、何で?」
マルガレーテ「だって、私は一人でも優勝できたんだもの」
218:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:54:13 ID:???00
かのん「……えーと?」
冬毬「なるほど、つまり一人でも優勝できる実力があるマルガレーテが加わったことで、Liella!が優勝できたとしても、それはマルガレーテのお陰だと思われるということですか」
マルガレーテ「そう、ただ私が加わって優勝しただけじゃ、かのんの評価は上がらない」
かのん「あ、そっか……」
マルガレーテ「だから、私に勝って見せなさい! そうすれば、向こうの学校へのアピールになるわ!」
きな子「なるほどっすねー。そういうことなら、やるっすよ!」
夏美「きな子も乗り気ですの!?」
きな子「っす! ふっふっふ……きな子には才能はないっすけど、何度も繰り返したおかげで年季が違うっすからね。本気を出せばなかなかのものっすよー」
冬毬「なるほど、つまり一人でも優勝できる実力があるマルガレーテが加わったことで、Liella!が優勝できたとしても、それはマルガレーテのお陰だと思われるということですか」
マルガレーテ「そう、ただ私が加わって優勝しただけじゃ、かのんの評価は上がらない」
かのん「あ、そっか……」
マルガレーテ「だから、私に勝って見せなさい! そうすれば、向こうの学校へのアピールになるわ!」
きな子「なるほどっすねー。そういうことなら、やるっすよ!」
夏美「きな子も乗り気ですの!?」
きな子「っす! ふっふっふ……きな子には才能はないっすけど、何度も繰り返したおかげで年季が違うっすからね。本気を出せばなかなかのものっすよー」
220:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:55:58 ID:???00
マルガレーテ「安心しなさい! 勝負だから手は抜けないけど、ちゃんと練習には付き合って、ビシバシ鍛えてあげるから!」
かのん「そ、そんなぁ……」
可可「では、きなきなとマルマルでキナマル……キナコレーテ……デスか?」
マルガレーテ「いいえ、ちゃんと使用許可は取っておいたわ! Liella!のライバルといえば、一つしかないでしょう? 私たちは……新生Sunny Passionよ!」
すみれ「え、何でサニーパッション?」
マルガレーテ「去年優勝してから、このことは考えていたの。だから、予選で戦って素晴らしいパフォーマンスだったサニーパッションの二人に相談していたのよ」
可可「いつの間にそんなに仲良く……」
かのん「そ、そんなぁ……」
可可「では、きなきなとマルマルでキナマル……キナコレーテ……デスか?」
マルガレーテ「いいえ、ちゃんと使用許可は取っておいたわ! Liella!のライバルといえば、一つしかないでしょう? 私たちは……新生Sunny Passionよ!」
すみれ「え、何でサニーパッション?」
マルガレーテ「去年優勝してから、このことは考えていたの。だから、予選で戦って素晴らしいパフォーマンスだったサニーパッションの二人に相談していたのよ」
可可「いつの間にそんなに仲良く……」
221:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 22:58:36 ID:???00
マルガレーテ「そうしたら、残念ながら神津島には後継者もいないし、かのんを鍛えるためなら自由に使ってくれて構わないって。とはいえ、一人で名乗るのも、と思っていたんだけど、きな子先輩のお陰で、最後のピースがそろったわ」
かのん「ああー、なるほどなるほど、そういうことね」
マルガレーテ『ん? ええ、まあ……そういうこと?」
かのん「ほら、あれでしょう? 一昨年はサニパさんが優勝して、去年はマルガレーテちゃんが優勝、そして今年はマルガレーテちゃんがサニーパッションの名前を受け継いだわけだ。そうなったらそれはもうね……狙っちゃう? 三連覇……ってことでしょ?」
マルガレーテ「え、いや、別にそんなことは考えていなかったけど……」
かのん「またまた~、隠さなくていいから~」
すみれ「そもそも、それって三連覇ってことになるの?」
かのん「なるんじゃないの? 知らないけどさ! あーあー、一回も優勝できない私への当てつけですか? ……わかったよ。上等だよ。完っ全に勝利して私のことを認めさせてやるんだから~!!」
マルガレーテ「ちょっとよくわからないけど、やる気がでたならよかったわ……」
かのん「ああー、なるほどなるほど、そういうことね」
マルガレーテ『ん? ええ、まあ……そういうこと?」
かのん「ほら、あれでしょう? 一昨年はサニパさんが優勝して、去年はマルガレーテちゃんが優勝、そして今年はマルガレーテちゃんがサニーパッションの名前を受け継いだわけだ。そうなったらそれはもうね……狙っちゃう? 三連覇……ってことでしょ?」
マルガレーテ「え、いや、別にそんなことは考えていなかったけど……」
かのん「またまた~、隠さなくていいから~」
すみれ「そもそも、それって三連覇ってことになるの?」
かのん「なるんじゃないの? 知らないけどさ! あーあー、一回も優勝できない私への当てつけですか? ……わかったよ。上等だよ。完っ全に勝利して私のことを認めさせてやるんだから~!!」
マルガレーテ「ちょっとよくわからないけど、やる気がでたならよかったわ……」
222:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 23:00:13 ID:???00
きな子「……なんか、悩んでたのが、ちっぽけなことに思えてきたっす」
メイ「ああ、きっと大丈夫だ。みんながいれば」
四季「未来は変えられる。この世界がどこに向かうかは、私たちが決められる」
夏美「そうですの。私たちなら、きっと……!」
おわり
メイ「ああ、きっと大丈夫だ。みんながいれば」
四季「未来は変えられる。この世界がどこに向かうかは、私たちが決められる」
夏美「そうですの。私たちなら、きっと……!」
おわり
224:
◆cKLVhE3A★
2025/09/24(水) 23:07:57 ID:???00
お付き合いいただきありがとうございました
序盤に時間ものにあるまじ投稿ミスを連発してしまい申し訳ありませんでした
特に伏線でも何でもないただのミスです……
その他、タイムパラドックスにもならない矛盾は見つけても大目に見てください
元々デ口りエランに着想を得て、リバイバルライブに合わせて投稿できたらなと思っていたので
何とか間に合ってよかったです!!
序盤に時間ものにあるまじ投稿ミスを連発してしまい申し訳ありませんでした
特に伏線でも何でもないただのミスです……
その他、タイムパラドックスにもならない矛盾は見つけても大目に見てください
元々デ口りエランに着想を得て、リバイバルライブに合わせて投稿できたらなと思っていたので
何とか間に合ってよかったです!!