愛「おーSaintSnowだ! せっつーから色々聞いたよー」理亞(うわっ、ギャルだ……怖い)

SS


1: 2020/04/21(火) 00:14:40.43 ID:lDm6ifvj
理亞(どうしよう……姉様いないのにこんな派手な人と一緒になるなんて)

愛「確か妹さんの方だよね。曲もめっちゃアガってかっこいいって思ってたんだよね!」

愛「あ、自己紹介がまだだっけ。虹ヶ咲2年の宮下愛。よろしく♪」

理亞(虹ヶ咲……聞き覚えがある。9人のスクールアイドルがいるけど、ソロ活動をメインにしてる異色の学校)

理亞(東京の学校だっけ。9人もいるのにわざわざソロ活動なんて……やっぱり都会のギャルは気が強いんだ……怖い)

2: 2020/04/21(火) 00:20:20.43 ID:lDm6ifvj
愛「名前、鹿角理亞だったよね? それってリアリー?」

理亞「えっ」

愛「あはは、冗談冗談! 愛さん最近、ちょーっと英語にハマっててさ。研究中なんだよね」

愛「名前は理亞ね。んー。理亞っち、理亞すけ、理亞りん……なんて呼ぼう。悩むなあ」

理亞「いや、普通に呼んで……」

愛「そう? んじゃ理亞で。よろしく、理亞!」

理亞「よ、よろしく……」

理亞(なにこの人グイグイ来る……おかしい、初対面でこの距離感は絶対におかしい。怪しい)

理亞(きっと何か裏があって私に近付いてるんだ……都会のギャル怖い。騙されないようにしなきゃ……)

4: 2020/04/21(火) 00:24:51.74 ID:lDm6ifvj
愛「今日はひとり? お姉さんと一緒にスクールアイドルやってるんだったよね?」

理亞(な、何だろう。いきなり姉様のことを聞いてきた……いったい何の狙いが)

理亞(まさか! ……そうか、狙いは姉様だ。私を利用して姉様に近付いて、不良の道に誘い込もうとしてるんだ!)

理亞(このままじゃ姉様が、ぶっ〇すぞとか夜露死苦とか言っちゃうキャラに……そんなのダメ!)

理亞(ギャル怖い、けどっ。私が姉様を守らないと……!)

理亞「ね、姉様はいない! 今は私だけだから姉様に近付こうとしても無駄!」

理亞(本当は、イベントスタッフさんとの打ち合わせしに行ってるだけだけど……)

愛「あれ、そうなの? 会ってみたかったけどなぁ。まぁ理亞と会えたからいっか!」

6: 2020/04/21(火) 00:28:52.98 ID:lDm6ifvj
愛「ねえねえ。もし時間あるなら少し付き合ってよ。ぶちょーがスタッフさんと打ち合わせしてる間、ヒマしてるんだよね」

愛「奢るからさ。愛さんとお茶しよーぜ?」

理亞「え、お茶? 私と?」

理亞(どういうこと。姉様が狙いのはずなのに……いや。将を射んとすればってやつかな。油断できない……ギャル怖い)

理亞「い、いえ。遠慮して――」

愛「あ。そういえば理亞ってAqoursのみんなとも仲いいんだってね。よく連絡とりあってるって聞いたよー」

理亞「!? ……あの。なんで私とAqoursのことを」

愛「Aqoursのみんなとは友達だからね! 住んでるところ離れてるけどよく会うよ。みんなノリいいし面白いし最高!」

理亞「なぁ……!?」

理亞(なんてこと!? Aqoursがギャルの毒牙に!?)

9: 2020/04/21(火) 00:32:10.70 ID:lDm6ifvj
理亞(まずい。これはマズい……! このままじゃ悪い子ルビィになったりギャル木田になったり善子はまぁいいか!)

愛「? どしたの、理亞」

理亞(くっ、ギャルめ……みんなをウェーイ系にする気!? そんなことされたら、みんなに怖くて近付けない……っ!)

理亞(何とかしなきゃ。私がみんなを守るんだ。この、パリピのギャルを倒して!!)

理亞「……分かった。お茶、付き合わせてもらう」

愛「さっすが話が分かる! じゃあ向こうにテラスあったから、そっち行こうよ!」

11: 2020/04/21(火) 00:36:22.05 ID:lDm6ifvj
~間~

愛「到着~! おー、けっこう雰囲気いいトコじゃん。愛さんはなに飲もうかなぁ」

愛「あ、ほうじ茶ラテにしよっと。理亞はどうする? 注文してくるから、席とっといてよ」

理亞「あ、えと。ホットココア……あ」

愛「りょーかい。席で待っててね。――理亞?」

理亞「え、あ。なんでもない。じゃあ、向こうの席で」トコトコ

愛「……」

愛「んー。これかな? 店員さーん、注文お願いします」

愛「ホットココアとほうじ茶ラテと。あと――、」

14: 2020/04/21(火) 00:39:28.54 ID:lDm6ifvj
愛「お待たせ―。買ってきたよ」

理亞「あ、どうも。って、それ……!?」

愛「どジャァーン。アップルパイ! 理亞、さっきこれ見てたでしょ。愛さんは見逃さないんだなぁ」

愛「美味しそうだからアタシも食べたくなっちゃった。一緒に食べよっか」

理亞(バレてた……!? ギャルめ、目ざとい……これで優位に立ったつもり!?)

理亞(これ以上の隙は見せられない。姉様やルビィたちを守るためにも、このギャルには負けられない……!)

理亞「あっ、そうだお金! レシート見せて!」

愛「いいよいいよ。奢るって言ったじゃん」

15: 2020/04/21(火) 00:42:45.21 ID:lDm6ifvj
理亞「そ、そんなのダメ!」

愛「理亞はマジメだなぁ。愛さんが誘ったんだから気にしないでいいって」

理亞「そういうわけにはいかない。自分の分は自分で払う」

愛「うーん。あ、じゃあ理亞の連絡先教えてよ」

理亞「?」

愛「お互いスクールアイドルなんだし、またどこか同じイベントで会うでしょ。その時は愛さんが理亞に奢ってもらうってことで」

愛「よし決定! 楽しみだなぁ。いい店期待してるからね!」

愛「そうと決まれば。――はい、あーん」

理亞「えっ? えっ?」

17: 2020/04/21(火) 00:46:39.79 ID:lDm6ifvj
理亞「な、え……!?」

愛「あれ。食べないの?」

理亞「た、食べるっ。食べる、けど……」

理亞(おかしいでしょ!? 初対面の相手に、あーんって、そんなことする!? いや初対面でなくてもしないし!)

理亞「そ、そんなことしなくてもいい! 自分で食べるから!」

愛「遠慮しなくていいって。うりうり、愛さんのパイが食べられないのかー? 観念して口を開けろー」

愛「いっぱい精いっぱい食べさせたげるからさ。Eat pie! Say eat pie!!」

理亞「うぅ……///」

愛「ほら。あーん……」

理亞「~~~~~っ/// ……あ、」

理亞「あーん……///」

22: 2020/04/21(火) 00:51:13.06 ID:lDm6ifvj
理亞「あむっ。もぐもぐ」

愛「どう? おいしい?」

理亞「……///」コクッ

愛「やったね! 愛さんも食べよっと。ん~、うまうま!」

理亞(な、流されてしまった……っ///)

理亞(何なのこの人、強引すぎる……! これが東京のギャル……恐ろしい!)

理亞(どうしよう。このままじゃ勝てない! 姉様が、おめぇどこ中だ?とか言い始めちゃう!)

愛「はい、理亞。あーん」

理亞「あっ。あーん……もぐもぐ///」

理亞(――違うっ! 何をやってるんだ、私は!?)

理亞(何とかしないと! このペースに乗せられたままじゃダメ。自分の土俵に引きずり込まないと!)

23: 2020/04/21(火) 00:54:48.00 ID:lDm6ifvj
理亞(そうだ。私たちはスクールアイドルだ。実力を見せつければ、このギャルも何も言えなくなるはず……)

理亞(Aqoursの時もそれで上手くいったし。――よし)

理亞「……」スック

愛「? どしたの。トイレ?」

理亞「……!」ダッシュ!

愛「!? ちょ、理亞!?」

理亞「とうっ!!」クルッ シュタッ…

理亞(……ふふん。決まった。今日も完璧なムーンサルト……。Aqoursもこれにド肝を抜かれたんだから)

愛「――こら、理亞っ!」

理亞「っ!?」

愛「いくらテラスだからってお店で跳び跳ねたりしたらダメじゃん!」

理亞「――ぁ」

理亞「ご、ごめんなさい……」

24: 2020/04/21(火) 00:59:18.14 ID:lDm6ifvj
理亞(怒られちゃった……ギャルに正論を言われるなんて)

愛「ほら、座って。はい、あーん」

理亞「あーん、もぐもぐ……」

愛「どうしたの。いきなり跳んだりして」

理亞「……もぐもぐ」

愛「おー、答えない気かぁ」

愛「はい、あーん」

理亞「あー」

愛「――と見せかけて、いただき!」パクッ

理亞「あっ」

愛「ざ~んねん。答えないような子にはもうアップルパイはあげないかんね。これはぜんぶ愛さんの!」

理亞「……!」

25: 2020/04/21(火) 01:03:45.58 ID:lDm6ifvj
愛「もぐもぐ。んー、ここのアップルパイおいし~。ほうじ茶ラテにめっちゃ合う!」

理亞「……っ」ジーッ

愛「……理亞も食べたい?」

理亞「っ、べ、別に! もともと注文する気もなかったし!」

愛「なかなか強情だなあ」ケタケタ

愛「でも、さっきのジャンプは普通にスゴかったね。愛さんも運動には自信あるけど、あれはムリ。理亞って運動とか好きなの?」

理亞「……別に。練習は好きだけど、それ以外は家にいることの方が多い」

愛「インドア派? それであんな飛ぶんだ? あれエマっちも飛び越えちゃうんじゃない?」

26: 2020/04/21(火) 01:07:31.47 ID:lDm6ifvj
理亞「虹ヶ咲……エマ。覚えがある。外国人の、背の高い3年生。どこの国だったかな……」

愛「スイスからスィーッスって来たんだってさ!」

理亞「スイス。よく知らない……」

愛「あんまり接点ないよね。でも話聞くと面白いよー? 今度エマっちのことも紹介したげる!」

愛「山育ちで冬はめっちゃ寒いって言ってたからさ、雪バナで盛り上がっちゃったりするかもよ!」

理亞「言っておくけど函館はそんなに寒くない。むしろ暖かいから」

愛「でも雪とか普通に降るんでしょ?」

理亞「冬なら雪くらい降るに決まってるでしょ。東京の人たちが雪ひとつで騒ぎすぎなだけ」

愛「やっぱ寒いじゃん!」

理亞「さ、寒くないっ! 旭川とか帯広とかよりずっと暖かいんだから!」

29: 2020/04/21(火) 01:12:37.51 ID:lDm6ifvj
愛「いやー、江戸っ子の愛さんには分からないわー。……っていうか冬の間は練習とかどうしてるの? 雪積もってるんでしょ?」

理亞「別に。積もっててもよっぽどじゃなければ走れるし踊れる」

愛「マジ!? 危なくない!?」

理亞「ちゃんとした靴があれば、あとは慣れ。できるだけ毎日走らないと体力も筋力もすぐに落ちるし、休んでられない」

愛「はー……雪国ヤバい。そりゃあれだけ跳ぶよ」

理亞「跳ぶのを基準にされても困るんだけど」

愛「いやいや。ホントすごいって。さっきの宙返りもめっちゃビックリしたし」

愛「愛さん、まだスクールアイドル始めたばっかりだからさ。μ'sやAqoursのことは知ってたけど、ホント、全国ってヤバいね」

理亞「……ムーンサルトが出来れば凄いわけじゃない」

31: 2020/04/21(火) 01:14:50.78 ID:lDm6ifvj
理亞「個人の身体能力が劣ってても、魅力的なパフォーマンスをする人たちはいくらでもいる」

愛「……ルビィとか?」

理亞「な――っ!? な、何でルビィがここで出てくるの!?」

愛「いやあ。仲良いって聞いてたからね。いいライバルだーって」

理亞「っ、ま、まあ。今のAqoursのことは認めてる。でもだからってルビィ個人のことを言う気はないから」

愛「ホント強情だなあ。……でも、なんかいいね。そういうの」

理亞「そういうの?」

32: 2020/04/21(火) 01:22:07.08 ID:lDm6ifvj
愛「μ'sもAqoursも友達だけどさ。ライバルっていうと、ホントにそうか?ってなっちゃうんだよね」

愛「やっぱ実力差ってあるよね。くそー負けるか―って、思うばっかりでそんな風に思ってくれるかって言ったらまだまだでさ」

理亞「……」

愛「だから今日も、理亞と仲良くなれて良かった。愛さん、また目標が出来ちゃったよ」

愛「よーし、イベントもめっちゃアガるライブにするぞー! 目指せ理亞充、おー!」

理亞「……なんだ。同じなんだ、この人も……」

愛「え、何か言った?」

理亞「――よいしょ」ザクッ

愛「って、ああっ! ちょ、アップルパイ、まだ食べていいって言ってないじゃん!」

理亞「あむっ。もぐもぐ、ごくん。――ご馳走さま」

愛「あーもう。そんなに食べたかった? 別に最後まで意地悪する気なかったのに」

理亞「次は私が焼いてくる」

愛「え?」

34: 2020/04/21(火) 01:23:49.10 ID:lDm6ifvj
理亞「リクエストがあるなら他のお菓子でもいいけど。……次は私のおごり、なんでしょ」

理亞「おごってもらったままだしね。今はまだライバルになれないから、私たちのライブ、よく見ていって。でも次に会う時は」

理亞「――それで、対等だから」

愛「……!」

理亞「まあ、あなたが遊びじゃないなら、だけど」

愛「……あはは。そんなこと言ったら、次に会う時は追い抜いちゃうかもよ?」

理亞「出来るものなら。私たちは負けないから――愛さん」

愛「――よーっし、気合入った! それじゃあ行こうか、そろそろ打合せも終わったっしょ!」

理亞「ん、確かに、いい時間かも。行こうか」

35: 2020/04/21(火) 01:24:59.63 ID:lDm6ifvj
愛「――いたいた。おーい、こっちこっち!」

あなた「あ、愛ちゃん。探したよ。どこ行ってたの? って、あれ。その子って」

愛「ちょっと友達になってね~。って、その人って」

理亞「姉様。打合せ終わった? ……その人は?」

聖良「え、ええ。虹ヶ咲学園の、スクールアイドルの部長さんで。そ、それより、理亞?」

理亞「なに?」

聖良「えっと。その人……」

愛「?」

聖良(うわっ、ギャルだ……怖い)

37: 2020/04/21(火) 01:26:01.72 ID:lDm6ifvj
~間~

愛「おっと、そうだ、理亞」

理亞「ん?」

愛「次の手作りアップルパイ、ちゃんと愛さんにあーんして食べさせてくれるんだよね?」

理亞「え」

愛「愛さんがやったんだからさ、ちゃんとやり返してくれなきゃ対等じゃないじゃん?」

理亞「え、えぇ!? ちょ、そんなの聞いてない!」

愛「それじゃ、行ってくるから。愛さんのライブもちゃんと見とけよ~? よろしく、理亞!」


おしまい

38: 2020/04/21(火) 01:29:15.22 ID:kcaOX7Y8
もっと読みたい

39: 2020/04/21(火) 01:29:20.74 ID:xxbp/rOe
安易に口りコンにしない+252521点

41: 2020/04/21(火) 01:38:37.05 ID:hT5lsobs
もっと読みたいけど乙

42: 2020/04/21(火) 01:53:11.08 ID:6xMozUB1
最高かよ

44: 2020/04/21(火) 02:19:28.84 ID:r4zCSpRi
会話がめっちゃしっくりしててイイネ!

45: 2020/04/21(火) 02:33:58.64 ID:Zvdv+FsK
愛さんのナチュラルに気を使えるノリのいいねーちゃん感の描写かなりええ感じやん
こういうのでいいんだよこういうので

47: 2020/04/21(火) 03:02:29.54 ID:6DcppHIC

こういうの好き

48: 2020/04/21(火) 03:05:51.61 ID:IMISSbir
ここ最近で一番面白かったです、続かないかなぁ

51: 2020/04/21(火) 04:57:57.03 ID:Ur8BmV9v
璃奈ちゃんボード「こういうのでいいんだよ」

53: 2020/04/21(火) 05:27:46.65 ID:zxibtVYG
読みやすい
面白い

55: 2020/04/21(火) 06:37:35.33 ID:S5BPiQ7M
すーっと読めるいいSSだった
また書いてくれるの楽しみにしてる

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1587395680/

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