【SS】絵里「ただ、ありふれた夜」

SS


1: 2019/10/26(土) 11:48:32.81 ID:oN0YZLeW
「・・・じゃあ、今週はありがとね。土日しっかり休んで」

絵里「はい、ありがとうございます」

ピッ

絵里「・・・ふう」



仕事も終わり、外は夜になる所

後は家に帰って、お風呂に入って、ご飯を食べて寝るだけ



絵里「コンビニで何か買いましょう」

絵里「・・・どうせ、1人だし」

2: 2019/10/26(土) 11:49:34.92 ID:oN0YZLeW




アリアトヤシター

絵里「・・・」カサッ

プシュッ



夜も更けてきた真夜中に

一人で夜道を歩きながら

飲む味気のないチューハイ



絵里「こんな所、みんなには見せれないわね・・・」ゴクッ



半ば、衝動的に買ってしまった久しぶりのお酒に

疲れからか、直ぐに千鳥足となっていた私は



絵里「・・・あら?ここどこかしら」



少し、道に迷っていた

3: 2019/10/26(土) 11:50:32.23 ID:oN0YZLeW
絵里「うーん、来た事はあると思うんだけど・・・家路とは違うわよね・・・」コツコツ

絵里「・・・あら?」



~BAR Nine~



絵里「BAR・・・こんな所に・・・」

絵里「・・・」



私は、少しでもこの、いつもの1人の夜を変えたくて

チューハイを飲み干し、袋に押し込んでから、ドアを開けた

ガチャ・・・



ダイヤ「いらっしゃいませ」

絵里「・・・あ、1人です」



思わぬ所で、一人という事を再認識させられてしまったが



ダイヤ「カウンターへどうぞ」ニコッ



店主はにこやかに、私を席へ促した

4: 2019/10/26(土) 11:51:24.57 ID:oN0YZLeW
店はこじんまりとした、カジュアルなBARだ

成程お洒落である、私ももう少し若い頃はこういう店によく行っていたーーー



ダイヤ「何に致しますか?」



そう聞いてきた店主



絵里「そうね・・・」



まあ、ここに来るまでに飲んでいたチューハイは、ノーカンって事で



絵里「マティーニを貰えるかしら」

ダイヤ「かしこまりました」



そう言うと店主は、熟れた手付きで準備に取り掛かる

カウンターという席のお陰か、マスターの手付きが良く見える

私の目の前に置かれたビーフィーターのジンと、ドライベルモット

素早く、しかし確実な手順でメジャーカップに注いでいく

そして二 三度、ステアして

小さないじらしいオリーブを添えーーー



ダイヤ「お待たせ致しました、マティーニです」



2つの結晶は、私の前に

5: 2019/10/26(土) 11:52:24.35 ID:oN0YZLeW
私も色々と店を飲み歩いたが、一番オーソドックスなマティーニだった

カクテルグラスに一滴も零さず入れられたマティーニは、正しく始まりを告げるに相応しいものだと言える



絵里「頂きます」

ダイヤ「どうぞ」ニコッ

コクッ

絵里「・・・うん、美味しいわ」

ダイヤ「ありがとうございます」

絵里「久しぶりにまともなお酒ね・・・」

ダイヤ「ふふ、お酒にまともも不真面目もありませんわ」



店主ーーーダイヤさんと言うらしいーーーは、そう微笑んで言った



ダイヤ「この時期、飲み会等も増えて確かにお酒で痛い目を見る方もいらっしゃいますが」

ダイヤ「悪いのはお酒ではなくて、飲ませる人、ですわ」

絵里「ふふ、そうね・・・確かに」コクッ



じゃなかったら、飲み会後に一人で飲み直したりしないわ・・・



絵里「・・・ふう、美味しかったわ」コトン

ダイヤ「ありがとうございます」

絵里「次は・・・」

6: 2019/10/26(土) 11:53:04.55 ID:oN0YZLeW
絵里「・・・うーん、どうしようかしら・・・」

ダイヤ「メニューもございますわ」スッ



そう言って手渡されたメニュー

その中で、一際私の目を惹き込んだ、このカクテルに決めた



絵里「ブルーマルガリータを」

ダイヤ「かしこまりました」

7: 2019/10/26(土) 11:53:56.36 ID:oN0YZLeW
相も変わらず素晴らしい手さばきだ

私の前に置かれたテキーラとブルーキュラソー

カクテルグラスに雪が降ると、テキーラが注がれた

そこに今し方切られたフレッシュのライムを注ぎ入れ

最後にブルーキュラソーを少し・・・



ダイヤ「お待たせ致しました、ブルーマルガリータです」スッ

絵里「・・・綺麗ね・・・」



小さく、そして雪の降る海は、私の前へ

8: 2019/10/26(土) 11:54:31.74 ID:oN0YZLeW
絵里「頂きます」



一口含む

丁度いい塩梅の塩気とマルガリータが何とも言えない



絵里「・・・美味しい・・・」

ダイヤ「ありがとうございます」ニコ

絵里「BARに来たら必ずマルガリータを頼むんだけど・・・ブルーが付くから思わず頼んじゃったわ」

ダイヤ「基本のマルガリータはブルーキュラソーではなく、ホワイトキュラソーですものね」

絵里「私、青が好きなの」

ダイヤ「存じ上げていますわ」

絵里「・・・え?」



一抹の不安と、期待が入り交じってしまう



ダイヤ「メニューにノーマルのマルガリータもあるのに、ブルーマルガリータをお選びになった辺りから・・・」クスッ

絵里「・・・ま、普通はそうよね」クスッ



私はもう、普通の会社員なんだから・・・



ダイヤ「・・・」

9: 2019/10/26(土) 11:55:02.81 ID:oN0YZLeW
絵里「さて・・・美味しいお酒だったわ」

ダイヤ「ありがとうございました」

絵里「また来るわ、今度は道に迷わずに」

ダイヤ「ちょっと入り組んだ所にありますから・・・迷うのも無理ないですわね」

絵里「・・・ええ、もう、迷わないわ」

絵里「ご馳走さま、いい夜だったわ」

ダイヤ「はい、また起こし下さい」



カランカラン・・・



ダイヤ「・・・絵里さん」

10: 2019/10/26(土) 11:55:19.46 ID:oN0YZLeW
底冷えのする真夜中の通りに

また少し千鳥足気味の私は



絵里「さってと、お風呂入って寝よっ!」



傍から見れば、タダの酔っぱらいのソレになっているとも気付かず

私の夜は更けていったーーー

11: 2019/10/26(土) 11:57:02.81 ID:oN0YZLeW
終わりです
過去作もいくつか宜しければ

絵里「雨の日のコーヒー」

穂乃果「第一次音ノ木坂抗争」

絵里 「ゲームセンターに行きましょう!」 にこ 「拒否」 希 「話を聞こう」

にこ 「絵里って」 希 「映画の影響」 ことり 「受け過ぎだよね」

絵里 「真夜中に」 にこ 「愚痴を肴に」 希「姦しく」

穂乃果&ツバサ「聖♡おねえさん」

絵里「ノッキン・オン」 にこ「ヘブンズ・ドア」

絵里「青き」 海未「サムライ」

孤独のエレナ

海未「ふぁ~あ・・・眠いな・・・」 ことほの「「!?」」

12: 2019/10/26(土) 11:59:43.07 ID:YxRXe9Cq
雰囲気すごく好き

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1572058112/

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