【SS】せつ菜「ガンプラバトルをやりましょう!」【ラブライブ!虹ヶ咲】

せつな SS


1: 2021/01/09(土) 23:36:48.24 ID:cv72lzN3
数日前

かすみ「スクールアイドル同好会の定例会議を始めます!今日の議題は、同好会の人気を高める更なるプロモーション方法についてです!」

せつ菜「はい!!はい!!」

かすみ「せつ菜君、どうぞ!」

せつ菜「最近、人気が高まっているガンプラバトルを提案します!
ガンプラバトルで話題になってるスクールアイドルの動画も既にたくさんあるんですよ!!
私も個人的にハマってしまっているんですが…
どうでしょう、同好会でやってみませんか!?」

侑「あー私も動画見た!あれ面白そうでときめいちゃうよ!」

4: 2021/01/09(土) 23:38:22.67 ID:cv72lzN3
かすみ「ガンプラバトル?ですか…?
かすみんそういうのはあんまり詳しくないんですけど、スクールアイドル活動にプラスになるんだったら…
みなさんはどうですか?」

歩夢「侑ちゃんがやりたいっていうなら私は賛成するよ」

愛「面白そう!…けど愛さん家もんじゃ屋だし、シンナー臭かったりするのは困っちゃうかなあ」

エマ「ガンプラ…って、ロボットのおもちゃだよね?スイスの弟も喜んでくれるかなぁ?」

果林「…スクールアイドルとしてはさておき、モデル活動の足を引っ張らないかが少し心配ね…」

彼方「遥ちゃんの周りでも最近流行ってるんだって~
あんまり高いのは困るけど、安いものなら私もやってみたいなぁ」

璃奈「ガンダム 、すき。私もやってみたい」

しずく「ガンダムにもいろんな役が出てくるんですよね?役になりきるスクールアイドル戦士ってのも悪くないかもしれませんね」

栞子「私も家の事情がありますから、一旦両親に相談することにします」

この日の会議も、いつも通りつつがなく終わった。

5: 2021/01/09(土) 23:39:20.43 ID:cv72lzN3
しかしそのすぐ後、ランジュたちスクールアイドル部が現れ同好会は機能停止、愛さん、果林さん、しずくさん、栞子さんは部へと移った。

かすみ「スクールアイドル同好会、定例会議を始めます…」

かすみ「まずは、練習場所をどう確保するかという議題ですが…」

せつ菜(かすみさん、いつもの元気がありません…)

侑「そのことなんだけど、実は私、ランジュさんのところに直談判に行こうと…」

歩夢「なら、私も一緒に!」
かすみ「かすみんも!」
せつ菜「私も行きます!」

侑「…行こうと思って、もうさっき行ってきたんだ」

せつ菜「えぇっ!? そ、それで結果は…?」

侑「それが…

6: 2021/01/09(土) 23:40:34.41 ID:cv72lzN3
〈回想〉

ランジュ「近頃スクールアイドルで流行っているガンプラバトル、それで私たちを倒したら練習を許可してもいいラ。」

ランジュ「二本先取、3vs3の三回勝負、各勝負でメンバーやプラモデルの入れ替えはあり。このルールでどうラ?」

侑「…それで勝ったら、練習を認めてくれるんですね?」
侑「分かりました、受けて立つよ!」


侑「…ってことになっちゃいました…」

かすみ「なんでそんな話を受けちゃったんですかぁ!?
せつ菜先輩以外は素人なんですよ!?」

エマ「それどころか、まだ誰もプラモデル完成させられてないよね?」

侑「ごめん、つい熱くなっちゃって…
でも、あっちもミアさん以外は素人らしいし、私もできる限りのサポートはするよ!」

歩夢「それで、勝負はいつに決まったの?」

侑「一回戦は、えっと、その……」

侑「明後日…」

一同「えぇっ!?」

7: 2021/01/09(土) 23:41:49.44 ID:cv72lzN3
その夜

菜々「あと二人のメンバーはくじ引きで歩夢さん、彼方さんに決まりましたが、問題はガンプラですよね」

菜々「明日は私のコレクションで勝負してもらうしかありませんね…」

菜々「バトルに出せそうな出来のガンプラは、デュナメス、キュリオス…」

菜々「そして私、せつ菜はやっぱり♪」

菜々「RG ガンダムエクシア!」

ポロッ

菜々「!?」

菜々「わ、忘れていました…
RGエクシアのフレームはABS樹脂製…
そして完成を目前に興奮した私は、
"ABS樹脂部分への塗装は破損する恐れがありますので、塗装はお勧めできません。"
という財団Bからの警告を忘れ、十分な処理をせずフレームにまで塗装してしまったんでした!」

菜々「ど、どうしましょう、他に戦えるガンプラはありませんし…」

RG ダブルオーライザー(未組立)「ニッコリ」

菜々(残るガンプラはこれだけ…ゴクリッ)

菜々「明日放課後はお二人を特訓しなければなりませんし、残された時間は数時間…それでも、ダブルオー本体だけなら!」

11: 2021/01/09(土) 23:49:21.51 ID:cv72lzN3
一回戦予定時間 バトルルーム

せつ菜「私以外はガンプラバトル未経験、ここは私が出てなんとしても一回戦を勝ち残り、経験値で勝る状態で二回戦に持ち込むしかありません。」

歩夢「そうするしかなさそうだよね」

彼方「わかった~」

ランジュ「逃げずに来たその根性は褒めてあげるラ」

ランジュ「私自身が出るまでもないラ。果林、リーダーは任せるラ。
ガンプラはミアが作ったものを使うと良いラ」

果林「愛、しずく、行くわよ。作戦は適宜指示するわ」

歩夢「ねぇ、侑ちゃんは?」

璃奈「さっき連絡があった。少し遅れるって」

ミア「お互いに準備はいいよね?わざわざボクが時間を割いたんだ、つまらない勝負はしないでよ」

13: 2021/01/09(土) 23:51:55.13 ID:cv72lzN3
〈フィールド1 SPACE〉

せつ菜「優木せつ菜、ダブルオーガンダム、行きます!!」
彼方「彼方ちゃん、ガンダムデュナメス、出るよ~」
歩夢「キュリオス、上原歩夢、えっと…が、頑張ります!」

歩夢「せつ菜ちゃん、こっちは作戦とかどうするの?」

せつ菜「ダブルオーは近距離戦用ですから、私が前に出て戦います!みなさんはサポートをお願いします。
デュナメスは遠距離に適した機体です。彼方さん、後方から相手を狙い撃ってください!
歩夢さんのキュリオスは飛行機に変形しての高速戦闘が持ち味です。速さを活かして相手を翻弄してください!」

彼方「ねぇせつ菜ちゃん、デュナメスのレーダーがおかしいよ?」

せつ菜「もしかしたら、なにかのジャミングがなされているのかもしれませんね」

かすみ「りなこ、ジャミングって?」

璃奈「レーダーをジャマして、うまく使えないようにすること」

かすみ「なるほど、ジャマするからジャミングか…
りなこ、物知り~」

璃奈「りなちゃんボード、げっそりん」

歩夢「一機近付いてきたよ、気をつけて!」

15: 2021/01/09(土) 23:54:03.06 ID:cv72lzN3
せつ菜「あれは…スローネツヴァイ!」

せつ菜「あの完成度…素晴らしいです!色分けが残念なスローネタイプを、完全塗装で塗り分けてあります!」

彼方「むむむ、あのおっきな剣…あれもせつ菜ちゃんと同じ接近戦用だね?」

せつ菜「ジャミングの中では見つけ次第戦うしかありません。
私が引きつけます、その隙に歩夢さんがトドメを!
彼方さんはその場でサポートしつつ周囲を警戒してください!」

ダブルオーが斬り掛かるが、ツヴァイはその大剣で軽くいなした。デュナメスの狙撃もひらひらと躱し、キュリオスは狙いを定めきれない。

17: 2021/01/09(土) 23:55:19.05 ID:cv72lzN3
彼方「あの動きは、バスケのピボットターン…」

せつ菜「1対3なのに…押しきれない!?」

なんとか追いついたキュリオスが、切り結ぶ瞬間に狙いを定める。

愛「そうはさせないよ!
行っちゃいなよ、ファング!」

歩夢「なにこれっ!?」

せつ菜「ファングです、避けてください!」

歩夢「こんなにたくさん!?…そうだ、変形すれば!」

キュリオスが変形によりその速度を増し、ファングは宙を切った。

愛「なかなかやるね~さっすが歩夢!
で~も~…」

愛「もう1本、あるんだよねぇ!」

18: 2021/01/09(土) 23:57:12.69 ID:cv72lzN3
残されたファングが放たれ、動きが直線的になったキュリオスを捉えた。

歩夢「直撃コース!避けられない…!」

歩夢「まだ…何も出来ていないのに…!」

〈歩夢の脳内〉

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「お前は思考で動き過ぎる!状況の変化に動きが追いついてねぇ!

歩夢「誰!?」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「分かってんだろ、私はお前、お前は私だ!そうだろ、歩夢ゥ!」

歩夢「もう一人の、私…?」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「勝ちてぇんだろ、あの子のために!だったらこの体、とっとと明け渡しちまえよ!」

19: 2021/01/09(土) 23:59:27.85 ID:cv72lzN3
愛「避けられた!?あの状況から!?」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「これ以上オメェの好きにはやらせねぇ!せつ菜、彼方、援護しろ!」

せつ菜、彼方(だ、誰!?)

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「一気に決める!トランザムだ!」

TRANS-AM

愛「赤くなった!?それに、速い!」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「これで終わりだ!くたばりやがれ!」

せつ菜「あの機動性なら…勝てます!」

キュリオスは圧倒的な速さでスローネを翻弄し、愛にはその姿を捉えるのが精一杯だった。
止めを差すべく開かれたアームクローがスローネへと迫る。

20: 2021/01/10(日) 00:06:17.85 ID:LFer6nuV
果林「しずく、ジャミングはもう良いわ。あの黄色いのを撃ち続けて。当てなくていいわ、牽制になればそれで十分。
愛、青いのを狙って。一対一ならやれるわね?
緑のやつは私が抑えるわ」

愛「あいさっ!」

しずく「分かりました!」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「くそっ、近付くこともできねえ!」

せつ菜「愛さん、上手い…!
一対一では生き延びるだけで精一杯です!」

彼方(愛ちゃんをなんとかしないと勝ち目はないけど二人は動けない、果林ちゃんの砲撃は正確で、彼方ちゃんもジリ貧…)

彼方(この状況、切り札は彼方ちゃんのトランザムだけみたいだね)

TRANS-AM

果林「愛、緑の動きが変わったわ。恐らく狙いはあなたよ。
この距離ではあの速さは抑えきれない、そっちに行くまでなんとか持ちこたえて」

21: 2021/01/10(日) 00:09:45.79 ID:LFer6nuV
愛「愛さんなら大丈夫だって~もう見切ったから!先に黄色いの、片付けといてよ」

愛「それよりミア、あの赤くなる奴こっちの機体には積んでないの?」

ミア「無茶言わないでよ。スローネは擬似太陽炉だからトランザムは使えないんだ」

愛「え~愛さんもあれやりたい!」

軽口を叩きながらもファングを差し向け、彼方は襲いかかるファングにGNビームピストルで応戦せざるを得なかった。

彼方「愛ちゃん、トランザムに対応してる…
さっき歩夢ちゃんと戦っただけで学習しちゃったのか」

せつ菜「二人がかりで、トランザムまで使っているのに…オーライザーさえあれば!」

彼方(ファングを落としている間にトランザムが終わっちゃいそうだよ…かくなる上は)

愛「あれ?もうすやぴしちゃった?」

愛「思ったより早かったね…その首、もらうよ!」

トランザムが終わり動きの遅くなったデュナメスに、ツヴァイが斬り掛かる。

せつ菜(間に合わない!)

22: 2021/01/10(日) 00:14:48.33 ID:LFer6nuV
しかし、その大剣がデュナメスを切り裂くことは無かった。

愛「消えた…?」
愛「あれ、後ろ?」

彼方「終わっちゃったんじゃない、1秒だけ残して終わらせたんだよ」

愛「一瞬だけトランザムして、あたしを捕まえたってわけ?
さっすが彼方、面白いことしてくれるじゃん!」

彼方のデュナメスがスローネツヴァイを抱きとめ、両者の動きを止まった。

彼方「せつ菜ちゃん、今のうちだよ」

せつ菜「しかしその近さでは、彼方さんまで巻き込んでしまいます!」

彼方「大丈夫、当たる直前に彼方ちゃんは離脱するから」

せつ菜「分かりました…避けてください!」

彼方(ごめんねせつ菜ちゃん、もうデュナメスにそんな力は残ってないんだ)

彼方(後は頼んだよ)

ダブルオーの攻撃により、デュナメスはツヴァイとともに爆発した。
続いて戦線を押し上げた果林のスローネアイン・ドライの連携によって、キュリオスもその機能を停止した。

23: 2021/01/10(日) 00:21:15.35 ID:LFer6nuV
せつ菜「残っているのは私だけ…なんとしてもお二人を倒さなければ!」

しずく「果林さん、接近して一気に止めを!」

果林「熱くならないで、負けるわ。
相手は接近戦用の機体。今は距離を取るべきよ」

ダブルオーは斬りかかろうとするも、アインの正確な射撃の前に隙を見いだせない。
その間にも、ドライの支援射撃が襲いかかる。

せつ菜「このままでは距離を離されてしまう…トランザムさえ、オーライザーさえあれば!」

ランジュ「つまらないラ。青いガンダムはスローネより新しいものの筈ラ。なんでこうも一方的な展開になるラ?」

ミア「当然だよ。あのダブルオー、元がRGだから目立たないけど、他の二つと違って塗装もされてないし、パーツの処理も甘い。恐らく突貫で作られたものだ。いくら元が良くたって、あれじゃ僕の作ったガンプラには勝てないよ。」

ランジュ「そうかラ。なら、そんな相手に勝ちを収めても意味はないラ。」

ランジュ「同好会側に戦力の追加を認めるラ。」

24: 2021/01/10(日) 00:28:39.79 ID:LFer6nuV
かすみ「ぐぬぬ…かすみん達、舐められてますよ!」

エマ「でも、もうこっちにはガンプラがないよ?」

その時、バトルルームのドアが勢いよく開いた。

侑「ごめんね遅くなって!」

歩夢「侑ちゃん、何してたの?」

侑「せつ菜ちゃんに頼まれてたオーライザー、なんとか試合までにって作ってたんだけど…もう試合始まっちゃったかぁ」

璃奈「ううん、ナイスタイミング。たった今戦力の追加が認められた。侑さん、オーライザーで出て。」

侑「分かった!高咲侑、オーライザー、発進します!」

25: 2021/01/10(日) 00:29:00.13 ID:LFer6nuV
しずく「何をするつもりか知らないけど、そんな小さな飛行機で!」

果林「しずく、攻撃を中止しなさい。
ランジュの気まぐれの結果、見届けてあげましょう?」

せつ菜「ドッキングします!」

侑「オーライザー、ドッキングモード!」

せつ菜「ドッキングセンサー、同調!」

せつ菜&侑「ダブルオーライザー!!」

せつ菜「やれる…これならやれます!」

せつ菜&侑「トランザム!」

TRANS-AM

果林「さっきとは桁違いの出力…逃げきれないわね。
作戦変更よ、しずくはステルスフィールドをパージ。二方向からビームサーベルで応戦するわ」

34: 2021/01/10(日) 01:42:35.44 ID:LFer6nuV
両方向から襲いかかるスローネを、ダブルオーライザーが押し返す。弾かれながらもドライが一撃を放ったものの、ダブルオーの姿は既になかった。

果林「ミア、今のは一体?」

ミア「量子化だよ。細かな粒子に分かれて攻撃を防いだんだ。」

ドライのコクピットに警告音が鳴り響く。
しずく「やられる前にこっちから!」

ドライが再度ビームサーベルを構える。
しかし、構えたはずの右腕は瞬時に切り離されてしまった。

せつ菜「ここは…私の距離です!」

赤い軌跡が行き来するたび、スローネドライの体は徐々に斬り刻まれ、戦力を失った。

「果林さん、ごめんなさい…熱くなり過ぎました。お先にリタイアしますね」

果林「やられちゃったのね…
まぁいいわ、トランザムとやらも終わったことだし、1対1で決着をつけましょう。」

侑「行こうせつ菜ちゃん!私たちは託されたんだ!」
せつ菜「優木せつ菜、目標を駆逐します!」

35: 2021/01/10(日) 01:43:00.30 ID:LFer6nuV
数分後

侑「負けた…」
せつ菜「負けました…」

せつ菜「まさか果林さんまで愛さん並みの腕とは思いませんでした」

歩夢「侑ちゃん…ごめんね、私が不甲斐ないばっかりに」

彼方「彼方ちゃんこそ、警戒してって言われてたのに…ごめんね」

せつ菜「済んだことは仕方ありません。お二人とも、十分すぎるほど下さいました。残念ですが、相手の方が一枚上手でした。」

侑「問題は、次の2回戦をどうするか、だよね…せつ菜ちゃんのガンプラは全部壊れちゃったし」

エマ「大丈夫だよ!私たちがなんとかしてみせるから!」

璃奈「その通り。りなちゃんボードやったるで!」

エマ「二回戦は私たちが組んだガンプラで出るよ。昨日3人で作ったんだ。」

せつ菜「皆さん…」
侑「みんな…」

かすみ「ほらほら、スクールアイドルはスマイルですよ!」

かすみ「先輩達、忘れちゃいましたか?このスクールアイドル同好会の部長は、このかすみんなんですよ!なんとしても、守り抜いてみせますから!」

36: 2021/01/10(日) 01:43:21.99 ID:LFer6nuV
二回戦予定時間 バトルルーム

ランジュ「今日の出場メンバーは、栞子、愛、しずくで行くラ。」

栞子「果林さんでなくて良いんですか?」

ランジュ「既に果林には別命を下しているラ。栞子にも期待しているラ。」

栞子「そういうことなら…分かりました。やれるだけの事をしましょう。」

かすみ「行きますよ!私たちの力、見せつけてやりましょう!」

エマ、璃奈「うん!」

ミア「じゃ、始めるよ。」

37: 2021/01/10(日) 01:43:49.33 ID:LFer6nuV
〈フィールド2 MOON〉

璃奈「セラヴィー、天王寺璃奈、出る」

エマ「エマ・ヴェルデ、ヴェルデバスター、行ってくるね!」

かすみ「かすみんはダハックで行きます!」

エマ「相手の機体が来たよ!」

璃奈「あの機体はデスティニーガンダム、あらゆる距離に置いて万能の高性能モビルスーツ。
後ろのはヘビーアームズ改、それもEW版。射撃戦に強い砲撃用。
最後に来るのは…ガンダムスローネ」

ミア「ただのスローネじゃないよ。正規の太陽炉を搭載して、アイン、ツヴァイ、ドライ全ての装備を一機にまとめたボクのオリジナルさ。愛ならその性能を活かせる。ボクのガンプラを使いこなせる!」

璃奈「愛さん… 」
璃奈「あの人だけは…私がやる」

かすみ「相手が悪過ぎるんですよ!」
かすみ「エマ先輩のは遠距離用なんでしょ!りな子のバックアップお願いします!」

エマ「かすみちゃん、一人で大丈夫なの!?」

かすみ「手間は手間ですが、このダハックのプランダーとビームサーベルなら!」

38: 2021/01/10(日) 01:45:01.93 ID:LFer6nuV
璃奈の砲撃をあっさりと躱し、接近するスローネ。セラヴィーはビームサーベルを抜き、スローネと切り結ぶ。同時にスローネはファングを放ち、ヴェルデバスターに狙いを定めさせない。

愛「りなりー?愛さんに斬りかかるなんて、ちょっとはキモが座ったみたいだね!」

スローネの援護に向かおうとするデスティニーの行く手を、ダハックのビーム砲が遮る。

39: 2021/01/10(日) 01:46:41.68 ID:LFer6nuV
栞子「2対1?…侮られるのは初めてです。
しずくさん、手出しは無用です」

その機動性とミラージュコロイドの残像でダハックのビーム砲を外し、デスティニーはアロンダイトを振り下ろした。

かすみ「ビームシールドは、こう使う!」

ダハックは両手から発振したビームシールドでアロンダイトを挟み、その刀身をへし折った。

栞子「白羽どり!?しかし、武器はまだあります!」

デスティニーは光の翼を広げ、連続攻撃を叩き込む。長距離砲の接射を躱され、続けて放ったビームブーメランもシールドに弾かれた栞子は、掌に隠された一撃に全てを賭けた。

かすみ「プランダーはただのバリアじゃないんだって!」

かすみは延ばされた掌をダハックの掌で受け止め、エネルギーを吸収するプランダーを起動した。

栞子「パルマフィオキーナが無効化された…?」

掌を掴まれ身動きの取れないデスティニーを、ダハックの4本のビームサーベルが串刺しにした。

栞子「こんな屈辱を味わったのは、初めてです…!」

スペックで大いに優るデスティニーの敗北に、しずくは戦慄した。

41: 2021/01/10(日) 02:11:17.87 ID:LFer6nuV
セラヴィーは振り下ろされたスローネのバスターソードを二本のサーベルで受け止めた。

愛「そんな機体で接近戦なんて、無理し過ぎじゃない?そうだ、りなりーも部においでよ、きっと楽しいって!」

たった一機で璃奈とエマを圧倒しながら、愛が軽口を叩く。

璃奈「愛さん、私はみんなと同好会を守る。そのためにも…負けられない!」

愛「隠し腕!?」

セラヴィーの足に隠された二本のビームサーベルがスローネに斬りかかった。

愛「ところがぎっちょん!」
愛「こっちにも、あるんだよ!」

スローネの爪先から現れた光の刀身が、振りかぶったセラヴィーを足ごと切り落とす。

せつ菜「あのスローネ、よく見たらスリッパが違います!あれはアルケーのものです!」

璃奈「私はまだ戦える!セラフィム!」

斬り刻まれたセラヴィーの背中からガンダムの顔が飛び出し、モビルスーツへと変形した。

璃奈「トランザム!」

TRANS-AM

ファングを始末したヴェルデバスターの一斉射撃を機に、セラフィムガンダムがスローネの懐に飛び込んだ。

愛「ねぇりなりー、愛さんだってトランザム出来ること、忘れてない?」

TRANS-AM

スローネは渾身の一斉射撃を軽々と掻い潜り、セラフィムの剣戟を受け止めながらヴェルデバスターを長距離砲で圧倒する。
捨て身の一撃を放った璃奈をすれ違い様に斬り伏せ、ヴェルデバスターに迫る。
近づけまいと弾幕を張るエマをあざ笑うようにスローネはひらひらとターンを繰り返す。
エネルギーを使い果たし、フェイズシフト装甲もダウンしたヴェルデバスターの前に悠々と舞い降り、抵抗するエマのバヨネットをバスターソード1本で捌いてみせた。完全に動力を失い、立ち尽くすヴェルデバスターを放置して、スローネはまた舞い上がっていった。

璃奈「かすみさん、ごめん…」
エマ「私たち、何も出来なかった…」

42: 2021/01/10(日) 02:12:43.76 ID:LFer6nuV
月面を敗走するヘビーアームズの中で、しずくが呻く。
しずく「どうしてかすみさんはいつもいつも私の先を行くの!?」

デスティニーを圧倒してみせたかすみの動きに慄きながらも、しずくはダハックに対抗する手段を懸命に考えていた。

しずく「あの掌だって、流石に実弾までは吸収出来ないはず…それにビームシールドでカバー出来る範囲は限られてます。全弾を一気に叩き込めば…」

かすみ「変なお面のガンダムは、しず子なんでしょ!?」

牽制の射撃によりダハックを誘い出し、しずくは月の海の影にヘビーアームズ改を潜ませた。

かすみ「しず子、一体どこに…?」

しずく「かすみさん、不意打ちで勝ちたくはないけどっ!」

影から飛び出したヘビーアームズ改が、通り過ぎるダハックに全弾を浴びせる。

かすみ「そんなものでは!」

しずく「機体を回転させて、全面をサーベルとシールドで覆った!?」

かすみ「しず子!しず子なんでしょ!?スクールアイドル部は、あの場所はしず子の本当に望んだものなの!?あれで夢を叶えられるの!?」

しずく「かすみ、ちゃん…」

失意のしずくに、ダハックが手を差し伸べる。

43: 2021/01/10(日) 02:13:21.13 ID:LFer6nuV
愛「ほらほら、お芝居はそこまでだよ!しずく、愛さんを援護して!」

差し伸べられた右腕を撃ち抜き、スローネが襲い掛かった。

愛「かすかす、中々やるじゃん!流石の愛さん手を焼きそうだったけど、しずくの名演技で助かったよ!」

かすみ「演技!?しず子は演技なんか!」

愛「あれ?かすかすには怒らないんだ」

かすみ「大切な友達が馬鹿にされて、そんな場合じゃ無いでしょう!」

激しく切り結ぶダハックとスローネ。それを目前にして、しずくは引き金を引けずにいた。

しずく「大切な…友達…かすみさん…」

ビームシールドを失った右側を攻め立てるスローネに、ダハックは徐々に追い込まれていく。

愛さん「左腕ももらった!さ、次はどんな面白いことしてくれるかな!」

かすみ「相打ちだと言いたいところだけど!」

しずく「かすみさん!」

バスターソードを持ちかえ突きを繰り出したスローネの背中を、仮面を脱ぎ捨てたヘビーアームズ改が撃ち抜いた。

愛「あちゃ~、やられちゃった。ごめんねミア、大切なガンプラだったのに」

かすみ「おかえり、しず子…でも、帰ったらみっちり反省してもらいますからね!」

バスターソードはそのままダハックに突き刺さり、スローネと共に爆炎に消えた。

44: 2021/01/10(日) 02:17:39.26 ID:LFer6nuV
侑「同好会、全滅しちゃった…」

歩夢「侑ちゃん…」

ランジュ「今回は同好会の勝ちラ」

せつ菜「え?でも、最後に残ったのはしずくさんじゃ…」

ランジュ「しずくは同好会に戻ったラ。それに、ヴェルデバスターも撃破された訳ではないラ。」

侑「ランジュさん…うん!これで一勝一敗だね!」

ランジュ「そうラ。次こそ決着をつけるラ。」

彼方「案外潔い人で助かっちゃったね(小声)」

侑「ほんと助かっちゃった!首の皮一枚ってとこだね(小声)」

ランジュ「…それはそれとして、裏切り者には相応の対処が必要ラ」

エマ「なにこれ…?所属不明の機体が接近してくる?凄い速さ…」

璃奈「あれは…ウイングガンダムゼロ?しかもEW版…」

かすみ「鳥みたいな羽根がついてますよ!?」

果林「しずく…あなたの裏切りは予想されていたわ。」

果林「勝負に水を差すつもりはないけれど…裏切り者には、消えてもらわなくちゃね。」

ランジュ「お別れラ。」

47: 2021/01/11(月) 00:31:32.91 ID:gYO9Ox5Z
次の日

侑「三回戦まであと少しだね」

せつ菜「今回使ったガンプラは全て壊れてしまいましたから、次の試合では私、歩夢さん、彼方さんが今作っているガンプラで戦うしかありませんね」

璃奈「相手が何を使うかは分からないけど、エース格の愛さん、ウイングガンダムを見せた果林さんは出てくると思う。」

しずく「あのお二人の強さは別格ですから、何か対策をしないと勝てないのではないでしょうか?」

彼方「そういうことなら、果林ちゃんは私に任せて~」

侑「何か思いついたの!?」

彼方「うん、果林ちゃんにはきっと効果てきめんだよ~」

侑「彼方さん、頼りになるなぁ~!」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ(このままじゃあの子が取られちまう!嘘でもいいから何とか言っとけ!)

歩夢(もう一人の私!?戦ってる時以外にも出てきちゃった!)

歩夢「じゃ、じゃあ!愛さんは私にやらせて!」

侑「歩夢も何か思いついたの?さっすが私の幼なじみだよ!」

歩夢「う、うん!」

歩夢(どうしよう、勢いで言っちゃったけど、何も思いつかないよ…)

48: 2021/01/11(月) 00:32:10.35 ID:gYO9Ox5Z
コンコン

侑「誰だろう?私が出るね!」

ガチャ

侑「誰もいない…あれ?ガンプラと紙が置いてある」

侑「なになに…『きっとあなたのちからになる』?」

歩夢「侑ちゃん、どうかしたの?」

侑「うん、誰もいないのにこれが置いてあって…」

せつ菜「これは…ガンダムエクシアですね。良く出来てます!」

かすみ「よく分かりませんけど、くれるものならもらっておきましょうよ!試合に使うのは不安ですけど、置いておくだけなら大丈夫ですよ」

侑「そうだね…もらっとこうか!」

せつ菜「では、今日はこれで解散して、私の家でガンプラを仕上げましょう!」

歩夢「せつ菜ちゃん、えあぶらし?の使い方まだよく分からないから、また教えてね?」

せつ菜「もちろん!塗料の入れ方から片付け方まで、みっちり教えますよ!」

彼方「そ、そこまではいらないかな…」

49: 2021/01/11(月) 00:45:02.53 ID:gYO9Ox5Z
同じころ

愛「あ、ミア帰ってきた!どこ行ってたの~もう作戦会議始まってるよ?」

ミア「ちょっと用事があってね…」

ランジュ「三回戦のメンバーは果林、愛、栞子の3人でいくラ。」

ミア「待ちなよ。次の試合には僕も出る」

ランジュ「ラ?」

ミア「彼女たちはガンプラも戦い方もまだ未熟だ。だけど何か…確かめたい何かを感じるんだ。」

ランジュ「ミアがそんな事を言うなんて珍しいラ。」

栞子「でしたら、私がメンバーから外れましょう。お二人ほどの技量はありませんから。」

愛「ところで、ランジュはなんで戦わないの?」

果林「私たちが練習してるバトルルームも、教えてくれるコーチもランジュが用意したのよね?腕に自信がない訳ではないんでしょう?」

ランジュ「ガンプラバトルに興味はないラ。ただスクールアイドルに必要だからやっているだけラ。対外的に意味のない試合に出る必要はないラ。」

ミア「…」

50: 2021/01/11(月) 01:25:50.24 ID:gYO9Ox5Z
三回戦予定時間 バトルルーム

せつ菜「優木せつ菜、ダブルオークアンタ、行きます!」

歩夢「アーチャーアリオス、上原歩夢、頑張ります!」

彼方「彼方ちゃん、∀ガンダム、出るよ~」

せつ菜「作戦通り、散開して各個に応戦しましょう!」

愛「このガンダム愛さんとめっちゃ相性いい!1.5(アイズガンダム)だけに!」

歩夢「愛さんが来た!私の作戦は時間との勝負…上手くやらなきゃ!」

1.5ガンダムの正確な砲撃がアーチャーアリオスの行く手を阻む。

歩夢「あと少し近付けたら…!もう一人の私、力を貸して!」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「アイツの砲撃は正確だ!その上反応が早い!」

歩夢「反射で対応すれば追い込まれ、思考で対応すれば間に合わない」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「方法は一つしかねぇ!」

歩夢「分かってる!」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「思考と反射の融合だ!」

TRANS-AM

愛「始まったばかりだってのにもうトランザム?ならこっちも…ハイスピードモード!」

1.5ガンダムのバインダーが動く。アタックモードより射撃の威力は落ちるが、愛の技量と相まってトランザムに追従することが出来た。直線的に動くアーチャーアリオスに直撃させることは造作もなかった。

51: 2021/01/11(月) 01:26:06.54 ID:gYO9Ox5Z
歩夢「この威力なら、数発は耐えられる!」

アーチャーアリオスは真っ直ぐ1.5ガンダムに迫る。

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「今だ!突っ込みやがれ!」

GNアーチャーが切り離され、慣性に任せて突撃する。

愛「一撃で消滅させれば!」

またバインダーが動き、アルヴァアロンモードに変化する。放たれた大出力のビームを避けることもなくGNアーチャーは粉々に砕け散った。破片と共に飛び散った透明な液体が1.5ガンダムを濡らした。

愛「残念だったねぇ~トランザムも終わって機体はボロボロ、特攻も失敗…なかなか楽しかったけど、もう終わりにしよっか!」

@cメ˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「ああ、楽しかったよ!」

愛「負け惜しみ?歩夢らしくないなぁ~」

1.5ガンダムの銃口が動きの鈍ったアリオスに向けられる。しかし、1.5ガンダムの腕はボ口りと崩れ落ちた。

愛「ちょっと…冗談!」

歩夢「モナカ割りのGNアーチャーのバックパックに、ツールクリーナーを仕込んでおいたんだよ」

プラモデルに良くある二枚貼り合わせの単純な構造をモナカ割りと言い、その中には大きな隙間が出来る。

愛「ツールクリーナー!?」

歩夢「エアブラシを掃除する強い溶剤だよ。プラスチックに使ったら溶かしてしまうほどの」

脆くなった関節が立て続けに崩れ、脚までへし折れた1.5ガンダムは最早逃げることも叶わなかった。転がった胴体にアリオスガンダムのシールドが容赦なく突き刺さった。

52: 2021/01/11(月) 02:06:46.43 ID:gYO9Ox5Z
果林「なんとも可愛らしい仕上がりね、彼方」

立ちはだかった∀ガンダムの胸に貼られた愛らしい柄のマスキングテープを見て、果林はパイロットを確信した。

彼方「果林ちゃんこそ、綺麗なのに乗ってるね」

果林「その格好でハンマーは似合わないんじゃない?」

投げられたハンマーを軽々と避ける。

果林「かすみの戦い振りを見て主要なガンダムの戦い方は学習したわ。∀ガンダム、武器はビームライフル、ビームサーベル、ガンダムハンマー、それに月光蝶とマルチパーパスサイロのミサイル。」

果林「ゼロシステムって知ってるかしら?簡単に言えば未来を予測するシステムよ。反応速度を大幅に上げる事ができるの」

投げつけられたハンマーを、バスターライフルが鎖ごと消し飛ばす。

53: 2021/01/11(月) 02:07:06.06 ID:gYO9Ox5Z
彼方「ならこれも予想できるのかな?」

彼方はハンマーを捨て、ビームサーベルを束ねる。

果林「伸びるんでしょう?知ってるわ」

ウイングガンダムは最小の動きでそれを避けた。

果林「ビームライフルの単純な軌跡は見え透いてるし、こちらの機動性にはビームサーベルも通用しないわ」

果林「警戒すべきはマルチパーパスサイロと月光蝶。ミサイルはこの翼で防ぎ切れるし、月光蝶は背中を向けなければ使えない。変形すれば見てからでも避けられるわ。」

果林「諦めなさい、未来は見えているの」

彼方「こちらの武器はお見通しって訳だ。でも、武器以外はどうかな?」

∀ガンダムが胸のマスキングテープを剥がし、装甲が弾け飛ぶ。ほぼ同時に、果林は見えた未来に対処する。

54: 2021/01/11(月) 02:07:27.31 ID:gYO9Ox5Z
果林「ちょっと、パンダが落ちたらどうするのよ…え?」

果林「なんなのよそれ!?」

中に詰まっていたやわらかなパンダの羊毛フェルトが飛び出す。ウイングガンダムは手を伸ばし、パンダを抱きとめた。

彼方「ふふふ、彼方ちゃん特製ふわふわパンダだよ。彼方ちゃんは遥ちゃんの衣装も作ってるのだ~」

果林「ゼロ、その指令は…分かったわ、私の負けね」

∀が背中を向け、月光蝶を放つ。抱きとめたパンダの後ろを除いて、ウイングガンダムは砂に変わった。果林は自爆装置を起動させ、∀を道連れにした。

64: 2021/01/12(火) 02:40:44.25 ID:WUqH3AK/
せつ菜「この相手がミアさん…レーダー上で一切動きがありません!」


ミア「やっと来たか、待ちくたびれたよ。」
ミア「君たちとは一度本気でやり合ってみたくてね…これが僕の本気のガンプラ」
ミア「紅武者アメイジングだ!!」

せつ菜「SDサイズながら、SDにつきものの色分けの不甲斐なさを全塗装で補ってあります!!」

ミア「ふふ…君なら分かると思っていたよ。
ミア「さぁ始めよう、お互いの」

せつ菜「大好きをぶつける」

せつ菜・ミア「ガンプラバトル!」

65: 2021/01/12(火) 02:45:12.85 ID:WUqH3AK/
両者とも、初撃から格闘武装による激しい鍔迫り合いとなった。
戦術ではなく、ただ互いのガンプラを認めるために。

せつ菜「確信しました…この塗り分け、妥協が全くありません!鎧をイメージしたメタルレッドの輝き、アクセントの金!」

ミア「キミのガンプラもよくできている…!指示通り組むだけでなく、面積が大きいクリアパーツにラメを塗布して印象を変え、独自の解釈で赤部分を青に変更、青も二色で深みを出している!」

せつ菜「あなたも私も、ガンプラが大好きです!分かり合えました!私はあなたのガンプラを壊したくない!同好会を取り戻したいだけなんです!」

ミアの笑い声が静かに響く。面白くてたまらないという感じだ。

ミア「キミは決定的な勘違いをしているよ。たしかにボクたちは分かり合えた。でも、好敵手を前に、戦わずにはいられない!それがガンプラバトラーさ」

ミア「こっちから行くよ!ハイパー大筒!」
ミア「ホイールアーマー!」

せつ菜「GNソードビット、守ってください!」

ミアの連撃を受け止め、せつ菜の抑えていた魂に火がついた。私と彼女、クアンタと紅武者アメイジング、どちらが上か確かめたい。そんなひりついた思いに任せ、せつ菜は武器を振るった。

せつ菜「GNバスターライフル!」
せつ菜「乱れ撃ちます!」

太い光が何本も放たれる。だが紅武者アメイジングの小さな体にはかする事もない。

せつ菜「それなら!GNバスターソード!」

再びビットが動き大剣の形を成す。クアンタの機動性と大きな刃先を利用して紅武者アメイジングを追うが、名刀・紅葵により刃先をずらされ、鎧を切り裂くことができない。

ミア「SDの本領、見せてあげるよ。」

紅武者アメイジングはフィールドとなった市街地に降り立ち、姿をくらませた。探しに分け入った一角から、鮮烈な光弾が降り注ぐ。

せつ菜「市街地戦ではこの大きな武装は不利…武装のバリエーションの少ないクアンタでは対応しづらいですね…!」

GNソードビットの柄を掴み、小型剣としたクアンタの中でせつ菜が呻く。

せつ菜「残る戦力は私と満身創痍のアリオス、相手は紅武者アメイジング、フィールドは市街地…SDサイズなら、たった一撃くわえられれば!」

せつ菜「そうだ!歩夢さん、敵に攻撃されない位置から観測をお願いします!」

歩夢「分かった、でももう戦える状態じゃないからね」

せつ菜「分かってます!クアンタ…量子ワープの準備です!」

68: 2021/01/13(水) 02:24:59.67 ID:WidoHSne
歩夢「せつ菜ちゃん、見つけたよ!情報送るね!」

ミア(都市フィールドでの射撃戦では機体の小さなSDが有利。ハイパー大筒でゲリラ戦に持ち込めば、クアンタに取れる手段は…)

ミア(量子ワープでの一撃必〇!)

紅武者アメイジングの外装パーツが組み合わさり、武者クロスカノンに変形する。SDサイズの本領、フルサイズモデルにはない自由な発想のギミック。

ミア(さぁ斬り込んできなよ。武者クロスカノンで受け止めて名刀紅葵で居合斬りにしてやる!)

量子ワープを終えたクアンタが紅武者アメイジングの前に飛び出し…GNソードを横に放り投げる。

ミア「何っ!?」

せつ菜「行きますよ…トランザム!」

GNソードに目を取られた一瞬の隙に、クアンタは紅武者アメイジングを抱きしめた。トランザムの速度を活かしそのままフィールドの外へ疾走した。

ミア「フィールドアウト狙い!?なんで!」

せつ菜「あなたがそのガンプラを大好きなのが伝わったから…大好きを、傷付けたくなかったから!」

〈FIELD OUT〉
〈SETSUNA MIA RETIRED〉

69: 2021/01/13(水) 02:26:00.98 ID:WidoHSne
栞子「…せつ菜さん、ミアさんは場外につきリタイア、バトルフィールド上で行動可能なのはアリオスのみ。」

栞子「よって、三回戦の勝者は同好会チーム!」

侑「やった!やったよ歩夢!」
かすみ「やりましたね、せつ菜先輩!」
果林「おめでとう、そして…ありがとう、彼方」

同好会のメンバーたちは勝利に沸いた。戦いの中で互いの思いを確かめ合ったスクールアイドル部も、その勝利に心からの賛辞を送っていた。ただひとり、ランジュを除いて。

ランジュ「私たちに一度ならず二度までも勝利するとは。素晴らしいラ。」

ランジュ「練習の妨害は即刻中止するラ。ライブの許可も出すラ。」

ランジュ「では、私たちはレッスンの時間だから失礼するラ」

せつ菜「待ってください!私はまだあなたと戦っていません!」

ランジュ「ラ?既に同好会は自由ラ。戦う理由があるラ?」

せつ菜「私は、あなたの心が知りたい。戦いの中で!」

しずく「でも、ガンプラがないんじゃ…」

ミア「ガンプラならあるはずだよ。」

侑「うん。これだよね?…ガンダムエクシア」

ミア「ボクからも頼むよ。きっと君に無いものが見つかるはずだよ。」

ランジュ「…そこまでいうなら」

ランジュ「叩き潰してあげるラ」

70: 2021/01/13(水) 03:24:04.69 ID:WidoHSne
〈FIELD1 SPACE〉

せつ菜「優木せつ菜、ガンダムエクシア…行きます!」

発進したエクシアの前に金に輝く巨躯が立ちはだかっている。

エマ「あの大きなのはなに?あれもモビルスーツなの!?」

果林「あれはアルヴァトーレ…擬似太陽炉を7基も積んだモビルアーマーよ。」

かすみ「えぇっ!?そんなの勝てるんですかぁ~!?」

侑「勝てるよ。せつ菜ちゃんなら、必ず!」

ランジュ「大量の太陽炉に金の外装、最強の砲と最強の盾!」

ランジュ「これこそランジュにふさわしい最強のモビルアーマー!」

璃奈「でも、アルヴァトーレはプラモデル化されていないはず…」

ランジュ「その通り!プロのモデラーに依頼してフルスクラッチしたものに!最強のスクールアイドルが乗る!全てが最強!」

せつ菜「…ひとつだけ教えてください。」

せつ菜「ランジュさんの大好きはどこにあるんですか!?」

せつ菜「例え最強の"敵"だとしても、そこに大好きが無いのなら、私は絶対に負けません!」

ランジュ「小癪な…なら、そちらの得意な接近戦で叩き潰してあげるわ!」

アルヴァトーレは高濃度のGNフィールドを張りながら直進し、巨大なアームでエクシアを脅かす。アームを掻い潜ったエクシアのGNソードがGNフィールドを侵食し、刃先がアルヴァトーレを斬り付けていく。

ランジュ「なぜ!?アルヴァトーレのGNフィールドは鉄壁のはず!」

71: 2021/01/13(水) 03:24:23.36 ID:WidoHSne
ミア「エクシアのGNソードは、GNフィールドを打ち破るために作られた装備なんだ。
君の敗因はただ一つ。」

ランジュ「私は…まだ負けてなんかいない!接近戦に拘ったからよ!アルヴァアロンで脱出すれば!」

ミア「…愛を持って向き合わなかったことだ」

脱出したアルヴァアロンのビーム砲がエクシアを狙う。その正確な射撃を、エクシアはなんとか避け続けていた。

ランジュ「私は…全てにおいてスクールアイドルの頂点に立つのよ!そのために!」

せつ菜「見つけました…あなたの呪縛、あなたの苦しみを!」

アルヴァアロンは砲撃に全てのエネルギーを集め、赤い光の奔流を放つ。その中に、エクシアの姿は無かった。

ランジュ「やった…やったわ!やっぱり私は…!」

鳴り響く警告音にランジュは周囲を見渡した。

ランジュ「あれは…トランザム!」

せつ菜「これは破壊ではありません…私たちが分かり合うための!先駆けです!」

不意を突き、エクシアのGNソードがアルヴァアロンのGNフィールドを突き破る。持てる武器の全てを使い、アルヴァアロンを斬り刻んだ。

ランジュ「負けた…この、私が…?」

栞子「ほら、ランジュ、語尾をつけ忘れていますよ?そこまで落ち込まないでください。」

栞子「辛い時だって、仲間はいます。私も、ほら、あちらにも」

ミア「ねぇランジュ、最強なんて目指さなくても良かったのかもしれないね」

侑「そうだよ!ランジュさんらしいスクールアイドルになるのがいっちばんときめいてるよ!」

せつ菜「あなたの大好きを、私たちに教えてください!」

72: 2021/01/13(水) 03:25:40.48 ID:WidoHSne
〈エピローグ〉
せつ菜「私たち同好会とスクールアイドル部の対立は、これで終わりました。まだ統合できたわけではありませんが、少しずつ、合同練習をしたり、ガンプラバトルで一緒に遊べるようになりました!いつか、みんな一緒に笑い合える日が来る。そう信じて、スクールアイドルもガンプラバトルも頑張っていきます!

@cメ*˘ ᴗ ˘ リ でもね、侑ちゃん…
@cメ◉ _ ◉リ 私もGNアーチャーで助けにきて欲しかったな?

73: 2021/01/13(水) 15:31:34.85 ID:T4oz9Oco
乙面白かった
戦闘場面がガンダム00名場面集的な感じでちょっと懐かしかった

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1610203008/

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