【ギャルゲ風安価SS】>>3「また一年が始まる」【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (茸) 2020/10/24(土) 08:13:10.53 ID:J7clgn+M
μ's、Aqours、ニジガク
お好きにどうぞ
※ 安価がモアイになったらそこで終了します
 
3: (SB-Android) 2020/10/24(土) 08:13:46.60 ID:mQtxUVIk

 
5: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:17:58.68 ID:PY7Zo9+U


耳に馴染んだ着信音が朝を告げる。

どことなく大切な幼馴染みを思い出させるその曲にいつまでも耳を傾けていたいけど、そもそもそう早くない時間のこと、あまりぐずぐずしていると遅刻しかねない。

それに、


♪……… ピタ


侑「ふわぁ………よいしょっと」トコトコ…ガラッ

侑「おはよう、歩夢」

歩夢「おはよう侑ちゃん」
 
6: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:21:34.14 ID:PY7Zo9+U
自室からベランダに出ると、頭もぼさぼさの私とは反対にすでにきちっと朝の支度を終えた幼馴染みが出迎えてくれる。

マンションの隣同士に住む、歩夢。

うんと小さい頃から一緒に育ってきた歩夢は幼馴染みというよりもはや姉妹のような感覚で、今だって目覚まし時計の代わりに電話をくれたのだ。

………姉妹というよりお母さん?


侑「私、甘え過ぎか…!?」

歩夢「なに?」

侑「あっううん、なんでもない。毎朝ありがとう」

歩夢「いーよ、今さら。侑ちゃんに寝坊されたら私まで遅刻しちゃうもん」

侑「へへー、助かります」
 
7: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:24:42.40 ID:PY7Zo9+U
歩夢「今日から二年生だね。また一年間よろしくね、侑ちゃん」

侑「私の方こそ!よろしくね」

歩夢「それじゃまた後でね」スイッ


手をひらりと振ると歩夢は自室へと引っ込んだ。

うん、やっぱり私の朝はこうしてベランダ越しに歩夢と話さなくちゃ始まらない。

一人で勝手に遅刻するだけならまだしも歩夢を巻き込んでしまうとあっては、おちおち寝坊なんかするわけにはいかないよね。


侑「よーし、朝ごはん朝ごはん~♪」


今日から二年生。

また、新しい一年が始まる──!
 
10: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:31:11.00 ID:PY7Zo9+U
侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん」


一階のエントランスホールで待ち合わせて学校へ向かう。

思い返せば幼稚園の頃から続いてきたそんな習慣が私達の日常だった。

まだ高校生の私達もいずれは進路を別々に取って進んでいくことになるんだろうけど、歩夢が隣にいる、それだけはきっと変わらないんだろうな──


歩夢「侑ちゃん、なにか難しいこと考えてる?」

侑「え、そんなカオしてた?」

歩夢「してたよ。朝ごはん美味しかったなって顔じゃなかった」

侑「あはは、朝ごはんも美味しかったんだけどな」

歩夢「悩み事とかあったら話してね」

侑「もちろん」


そういえば、と適当な話題が振られる。

この辺の居心地の良さは、他の誰といても味わえない特有のものだ。

春の朝から小難しいことを考えるのはやめにして、歩夢が嬉しそうに見せてくれるスマホの画面を覗き込んだ──
 
11: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:36:53.32 ID:PY7Zo9+U
ニジガク


歩夢「…………おんなじクラス!」

侑「ナイスっ歩夢!」イェイ

歩夢「普通科はクラス多いから緊張しちゃうね」

侑「ねー。もっとマイナーな学科だったら1クラスしかなくて歩夢と離れちゃう心配しなくていいのに」

歩夢「うふふ。マイナーな学科って、例えば?」

侑「え?そうだなー、>>とか?」


1.国際交流学科
2.ライフデザイン学科
3.情報処理学科
4.思いつかないや!
 
12: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:37:12.04 ID:PY7Zo9+U
失礼


ニジガク


歩夢「…………おんなじクラス!」

侑「ナイスっ歩夢!」イェイ

歩夢「普通科はクラス多いから緊張しちゃうね」

侑「ねー。もっとマイナーな学科だったら1クラスしかなくて歩夢と離れちゃう心配しなくていいのに」

歩夢「うふふ。マイナーな学科って、例えば?」

侑「え?そうだなー、>>14とか?」


1.国際交流学科
2.ライフデザイン学科
3.情報処理学科
4.思いつかないや!
 
14: (茸) 2020/10/24(土) 08:40:53.68 ID:SdZjVVw5
2
 
15: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:44:35.51 ID:PY7Zo9+U
侑「えっとー、なんだっけ。あの洋服とかやってる…ライフデザイン学科?とか!」

??「へえ~、面白いこと言うじゃない。ライフデザイン学科ってそんなにマイナーかしら」ポン

侑「ひっ!?」ビクッ

歩夢「あ、あの…?」

??「ああ、驚かせたならごめんなさい。たまたま私の学科がどうこうって話が聞こえたから、つい話しかけちゃった」クス

侑「あ、えと、ライフデザイン学科の…?」

??「そうよ。マイナーなライフデザイン学科」ニコッ

侑「ぅ…」タジ…
 
16: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:50:21.86 ID:PY7Zo9+U
歩夢「あっあの、ライフデザイン学科の悪口を言いたかったわけじゃなくてっ、その、おんなじクラスになりたいからクラスが一つしかない学科だったらいいねって、そんな話をしてただけで…!」アワアワ

??「………うふふ、怖がらせちゃった?別に怒ってないわよ」

歩夢「ぇ…」

??「それにライフデザイン学科は1クラスじゃないもの」

侑「へ、そうなんですか?」

??「ええ。ライフデザイン学科は科内でさらに専攻が分かれるのよ。私はファッションの専攻だけど、料理を専攻してる人とは全然会わないくらいよ」

侑「へー、そうなんだ…」

??「っと、もうこんな時間ね。それじゃあね」

侑「変なこと言ってすみませんでした」

??「いいのよ、可愛い後輩ちゃん達とお話しできたからそれでチャラ」

歩夢「三年生ですよね、お名前とか…」

??「んー」

??「また会えたら、教えてあ・げ・る♡」

??「ばいばい」スタスタ…
 
17: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:54:10.50 ID:PY7Zo9+U
侑「…はー、びっくりした」

歩夢「もう、侑ちゃんが突然変なこと言うからだよ」

侑「あはは、ごめんごめん。でもカッコいい先輩だったね」

歩夢「そうだね。一年後にああなってる自信は…うう、ないなあ」

侑「ところで歩夢、今って何時?」

歩夢「え?まだ八時前だよ」

侑「だよね。そんなに急ぐ時間でもないと思うんだけど、ライフデザイン学科って授業始まるの早かったりするのかな」

歩夢「実習があるとか?」

侑「なるほど、そうかもね」

歩夢「教室行こ、侑ちゃん。場所変わっちゃうから気をつけないとね」グイ

侑「うん!」
 
18: (しうまい) 2020/10/24(土) 08:57:59.22 ID:PY7Zo9+U
お昼休み改め放課後…


侑「おーわった!」ンーッ

歩夢「今日は授業ないから楽チンだったね」

侑「うん!毎日こうならいいのになー」

歩夢「もう、ばかなこと言ってないで帰ろう?」

侑「そうだね。えっとー…」


>>19
1.お台場寄って帰る?
2.ライフデザイン学科覗いていかない?
3.部室棟見ていかない?
4.まっすぐ帰る
 
19: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:00:46.44 ID:2BYHzvC1
3
 
20: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:03:20.38 ID:PY7Zo9+U
侑「ね、歩夢。ちょっと部室棟見ていかない?」

歩夢「部室棟?いいけど、侑ちゃん部活やるの?」

侑「やるつもりはないけどさ、一年もいるのに部室棟ってほとんど行ったことないじゃん。せっかく早く終わったんだし寄り道!」

歩夢「寄り道ってお台場じゃないんだから…」

歩夢「でもいいよ、行ってみよっか」

侑「やったー、さすが歩夢!行こ!」

歩夢「うんっ」
 
21: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:07:44.57 ID:PY7Zo9+U
部室棟…


侑「ここが部室棟かー、広いね~!」

歩夢「同好会だけでも百個以上あるらしいよ」

侑「ひえー…そんなたくさんの中から、みんなどうやってやりたいこと見つけたんだろう」

歩夢「あー、私もそれ不思議だったの!」

歩夢「中学の頃にやってた部活を続けるっていうのはよくわかるんだけど、初めて聞くような部活に決めちゃうのってどういう感覚なんだろうって」

侑「中学で初めて知ったハンドボール部が栄えてた感じだよね。うーん、確かにどういう心境で未知の部活に飛び込むものなんだろう…」

歩夢「ね」

侑「…」ジーッ

歩夢「侑ちゃん?」


?? トコトコ…


侑「なにか困ってそうな人がいるね」

歩夢「え、そう?どこらへんが困ってそう?」
 
22: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:09:51.08 ID:PY7Zo9+U
侑「いやいや、困ってそうじゃん。授業も終わって部活も真っ盛りのこんな時間にただふらふら部室棟を歩いてるなんて、困ってる以外あり得ないよ!これは話しかけて力にならなくちゃ!」

歩夢「え、そ、そうかな。でもあれ三年生だし、私達が力になれることなんて…」

侑「おーい、せんぱ~い」タタタ

歩夢「…って侑ちゃん!」
 
23: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:13:51.83 ID:PY7Zo9+U
侑「先輩、なにか困り事ですか?お話聞きましょうか?」

??「えっ?」

侑 ニコニコ

??「特に困ってることはない、けど…」

侑「あれー、勘違いだったか~。てっきり道にでも迷ってるのかなーなんて思って声かけちゃいました」アハハ

??「わ、私そんな風に見えた?」アワワ

??「大丈夫だよ、でもありがとう」

侑「いえいえ~」

歩夢「…侑ちゃんってば!」

侑「お、歩夢。先輩困ってなかったってさ」

歩夢「私にもそう見えたよ…」

侑「ところで先輩、部活とかってなにかやってますか?よかったらなんでその部に入ったのか聞いてみたいなーって」

歩夢「あ!それが狙いだったんだ!」

侑「いひひ…」

??「部活、か…」
 
24: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:18:04.67 ID:PY7Zo9+U
食堂…


エマ「私、国際交流学科三年のエマ・ヴェルデ。よろしくね」

侑「エマ先輩!外国の方ですか?」

エマ「うん。スイスから来たの」

侑「へー、スイス!……ってどこか、よくわかんないけど」

歩夢「侑ちゃん…」

歩夢「私は普通科二年の上原歩夢です」

侑「高咲侑です!」

エマ「それで、なんだっけ?」

侑「エマ先輩の部活の話を聞きたいなって」

エマ「部活かー…」

侑「エマ先輩、そもそも何部なんですか?」

エマ「えっとね、スクールアイドル部、なんだけど」

ゆうぽむ「「………スクールアイドル部?」」
 
25: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:24:10.28 ID:PY7Zo9+U
侑「スクールアイドルって、んー…アイドルなんですか?」

エマ「うん。学校で活動するアイドル、知らない?」

侑「知らないな…歩夢は?」

歩夢「私も、聞いたことないです」フルフル

侑「どういう活動するんですか?」

エマ「ダンスしたり歌ったりだよ。私、とっても好きなスクールアイドルがいてね。どうしても自分もやりたくって日本に来たんだ~」

侑「え!?スクールアイドルやるためにスイスから!?」

エマ「そうだよ」

歩夢「す、すごい行動力…」

エマ「スイスにいた頃、日本のスクールアイドルを知って夢中になったんだ。だから高校は日本に行ってスクールアイドルやろうって決めて、必死に勉強したんだよ!」

侑「そんなに夢中になれるものなんだ…」

侑「エマ先輩、もっとスクールアイドルの話聞かせてください!」

歩夢「わ、私も聞きたいです!」

エマ「えへへ、いいよ~。どこから話そうかなあ…」


エマとスクールアイドルの話をしました! ▼
 
26: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:27:10.72 ID:PY7Zo9+U
夜…


侑「エマ先輩いい人だったなー」

侑「スクールアイドルかあ。オススメ教えてもらったし動画観てみようっと」カチカチ

『────♪』

侑「お、ほんとだ。かわいいなあ」

『────♪』

侑「…あれ?」

侑「そういえば、エマ先輩はなんで部室棟にいたんだろう。部活に行く途中ってわけじゃなさそうだったよね」

侑「うーん…?」
 
27: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:32:17.02 ID:PY7Zo9+U
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


昨日は結局、かなり遅くまでスクールアイドルの動画を観てしまった。

オススメ動画の機能があるせいで、次から次に観てみたい動画が溜まっていってしまう。あれは悪魔の機能だ。

今日は午後から授業が始まるし、しっかりしなくちゃいけないのにな。


侑「ふわ…」

歩夢「侑ちゃん、寝グセついてるよ」

侑「えっうそ!」

歩夢「この寝グセはー………うん、夜更ししたでしょ」

侑「なんでわかるの!?」

歩夢「うふふ、なんだってわかるよ。学校に着いたら直してあげるね」

侑「ありがと~」
 
28: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:39:02.76 ID:PY7Zo9+U
午前中、入学式…


生徒会長「新入生の皆さん、虹ヶ咲学園へようこそ──」


壇上に立つ生徒会長がはきはきと挨拶する様子をぼんやりと眺める。

ずらりと並ぶ新入生は相変わらずの多さで、後ろからその列の長さと厚さを感じるだけでもなかなか圧力がある。

私達を含めればあの三倍、それだけの人数を前にあんなに堂々と話せるなんて、やっぱり生徒会長をやる人ってとんでもないな。

昨日は期せずして三年生と話す機会があったけど、そのうち一年生とも話せるかな。

せっかくこれだけたくさんの生徒がいるんだもん、色んな人と仲良くなりたいよね。
 
29: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:43:56.43 ID:PY7Zo9+U
お昼休み…


侑「お昼だーっ!お昼ごはん大好き!」

歩夢「侑ちゃんお弁当?」

侑「うん。歩夢も?」

歩夢「そうだよ」

侑「ね、今日お昼>>30で食べない?」


1.中庭
2.裏庭
3.食堂
4.部室棟
 
30: (きりたんぽ) 2020/10/24(土) 09:50:56.54 ID:p9YVcNYs
1
 
31: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:55:41.79 ID:PY7Zo9+U
中庭…


侑「天気もいいし風もないし、絶好のお弁当日和だね!」

歩夢「たまにはお外でお昼食べるのもいいね」

侑「歩夢こっちこっち!」

歩夢「もう、あんまりはしゃぐとみっともないよ」

侑「ここで食べよ」ペンペン

歩夢「ハンカチ敷くから待ってね」ファサ

侑「ありがと!」

ゆうぽむ「「いただきます」」
 
32: (しうまい) 2020/10/24(土) 09:59:02.09 ID:PY7Zo9+U
侑「あ、それちょうだい」ヒョイパク

歩夢「まだいいよって言ってませーん」モグモグ

侑「はい」ヒョイ

歩夢「ランク低いのと交換しないでくださーい」モグモグ

侑「これ種ないやつだ、さすがお母さん」モキュ

歩夢「ぶどうはおかずじゃないんだよー」モグモグ

侑「歩夢、お茶ある?」

歩夢「あるよ」っ旦 スッ

侑「ありがと~」
 
33: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:06:15.33 ID:PY7Zo9+U
ゆうぽむ「「ごちそうさまでした」」

侑「いやー、こんなに気持ちいいとお昼寝したくなっちゃうね」

歩夢「さすがに芝生に寝転がって寝るわけにはいかないけどね」

侑「…だめかな?」

歩夢「だーめ、です。汚れちゃうよ」

侑「ちぇ~、どこかいいお昼寝スポットとかあったらいいのにな」

歩夢「侑ちゃんそんなにお昼寝好きだったっけ?」

侑「いやいや、こう天気がいいと誰だってお昼寝したくなるでしょ」ウンウン

歩夢「秘密の場所とかあったらいいのにね。なんて…」


ニャー


侑「ん?」

歩夢「今の…猫の声?」

侑「かも」
 
35: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:10:22.95 ID:PY7Zo9+U
白猫「…」

侑「あ、あそこ猫いるよ歩夢」

歩夢「ほんとだ。すっごくキレイな白猫だね」

侑「おいでおいで~、怖くないよ~」チチチ

白猫「…」ジッ

侑「ずっとこっち見てるな」

歩夢「学校に入ってきちゃうくらいだから、あんまり人間のこと怖くないのかもね」

侑「だったら私の方から近づいちゃうぞ~」ジリ…

白猫「!」

白猫 タタタタッ

侑「あっ逃げた!」

歩夢「あーあ」


追いかける? >>36
1.追いかける
2.追いかけない
 
36: (もんじゃ) 2020/10/24(土) 10:12:35.51 ID:xF0+fWGQ
2
 
37: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:18:07.69 ID:PY7Zo9+U
歩夢「侑ちゃんが怖がらせるからだよ」

侑「怖がらないかもって言ったじゃん!」

歩夢「かもって言っただけだもん」

侑「でも猫がいるなんて、よっぽど居心地いいのかな。緑も多いもんねウチ」

歩夢「どこかに猫の巣とかあるのかな」

侑「猫の巣…」


──侑「うわー、歩夢!あっちもこっちも猫だらけだよー!」

ニャー ニャー ニャー ニャー

──歩夢「こんにちは。お元気かニャん?」


侑「…いいね」

歩夢 (なんだか変なこと考えてる顔してるなぁ)


ぽかぽか陽気の中でお喋りして過ごしました! ▼
 
39: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:24:24.84 ID:PY7Zo9+U
放課後…


侑「とうとう授業が始まってしまったー」グター

歩夢「今年は進路のことも考えなくちゃいけないんだってね」

侑「進路かあ。やりたいことも特にないのに、将来のことなんかよくわかんないな」

歩夢「だからこそ、やりたいことが見つかったときにその道を選べるように今はきちんと勉強しておくんだよ」

侑「先生みたいなこと言わないでよ……」


この後どうする? >>40
1.お台場に寄って帰る
2.中庭を覗く
3.部室棟を覗く
4.まっすぐ帰る
 
40: (たこやき) 2020/10/24(土) 10:26:05.01 ID:cVuaW9O3
4
 
41: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:33:34.57 ID:PY7Zo9+U
帰り道…


歩夢「予備校どこにしよっか」

侑「行くなら近いとこがいいけど、歩夢どこか気になってるとこある?」

歩夢「うーん、実はまだあんまり考えてないかも…」

侑「あ、私も」ニシシ

侑「どうせもう少ししたらチラシ入ってくるようになるだろうし、まだ考えなくていいんじゃないかな」

歩夢「またそうやって先延ばしにするんだから」

侑「歩夢だって考えてなかったじゃん。おあいこだよ」

歩夢「そうだけど。夏休みまでには行くんだからね?」

侑「はーい。夏休みまでにテストの神様が味方にならないかな~」

歩夢「ならないよー」


歩夢と話しながら帰りました! ▼
 
46: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:46:56.77 ID:PY7Zo9+U
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


今朝の占い、私は3位と微妙だった。

少し気になったのはその内容で、『思わぬことに巻き込まれるかも?』って──そんなに曖昧じゃ、何事にも巻き込まれない日なんか一日もないと思うんだけど。

こういうのは意識をするからそっちに寄るんだよね。

楽しいことが待ってるなら、私は積極的に巻き込まれにいきたいな!


歩夢「昨日ね、お父さんがお土産買ってきてくれたんだけど、なんだと思う?」

侑「え、なんだろ。キーホルダーとか?」

歩夢「ううん。孫の手だったの」

侑「孫の手!?」

歩夢「『ピンクで可愛かったから』だって。もう、私にいつ使えっていうんだろ…」

侑「お父さん相変わらずだね…」ハハハ…
 
47: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:51:01.66 ID:PY7Zo9+U
ニジガク


侑「あ」ピタ

歩夢「どうかしたの?」

侑「んっとねー」

──『思わぬことに巻き込まれるかも?』

侑「教室までちょっと遠回りしない?」

歩夢「え、なんで?」

侑「なんとなく、いつもと違う気分で歩きたいなーと思って」

歩夢「いいけど…」


どこを通って教室に向かう? >>48
1.部室棟
2.中庭
3.一年生エリア
4.やっぱりいつも通りでいっか!
 
48: (しうまい) 2020/10/24(土) 10:54:11.07 ID:S9nFx1ZV
3
 
49: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:00:00.78 ID:PY7Zo9+U
一年生エリア


ザワザワ…


侑「お~、一年生がいっぱいいるねー」

歩夢「当たり前でしょ。うう、ちょっと居心地悪いよぅ…」

侑「気にし過ぎだってば。みんな可愛い後輩達だよ。あ、おはよー」手ヒラヒラ

歩夢「もう、いいってば。早く行こうよ」クイクイ

侑「なんだか随分見られてるな」

歩夢「他学年の生徒なんか私達だけだもん、目立ってるからだよ!」

侑「歩夢は恥ずかしがり屋だなぁ」


「………」ジッ
 
50: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:04:45.72 ID:PY7Zo9+U
侑「みんなこっちは見てるけど話しかけてくれないね。やっぱりこういうのは先輩から行かなくちゃいけないかな」ウズウズ

歩夢「行かなくていいです!」

歩夢「もう、なんでそんなに人と関わりたがるのかなぁ。気が済んだら早く教室行こうよ」

侑「もうちょっとだけ…」

?? ヨロヨロ… ドンッ

侑「わっ」

??「あっ、ごめんなさい──立ち眩んでしまって」

侑「大丈夫?」

??「はい、ありがとうございます。お優しいんですね」ニコ──

侑「うわ、めっちゃ可愛い子だ………」

歩夢「えっ」

??「えっ…」

侑「あれ、今私声出てた?」
 
51: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:08:57.49 ID:PY7Zo9+U
??「………///」

歩夢「……」

シン…

侑「あー…」

歩夢「大丈夫?どこも痛くない?人が多い場所では気をつけなくちゃね。さ、侑ちゃんもいつまでも遊んでないでそろそろ教室行こうね」グイ

??「あぅっ」

侑「え、あ、うん」

??「あ──あの、また…会えますか……?」

歩夢「へえぇ?」

侑「えっと…」

??「今日のお昼休み、全てを見渡せる丘の上で待ってます──」

?? タタタタ…

侑「…?」

歩夢「行 こ う か 侑 ちゃ ん」ガシッ

侑「アッハイ…」
 
54: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:19:16.03 ID:PY7Zo9+U
たびたび失礼


お昼休み…


どうも、高咲侑です。

ちょっぴり困ったことになりました。


歩夢「………」ムスッ


なんだか幼馴染みがご機嫌ナナメなんです。

朝はいつも通りだったと思うんだけど、学校に着いたくらいからあんな様子で、この時間まで来てしまいました。

私は楽しくお昼休みを過ごすことができるんでしょうか。


どうする? >>55
1.あーゆむっ(ツンツン
2.今日お昼どこで食べるー?
3.ちょっと行きたいとこあるんだ
 
55: (そのまんま) 2020/10/24(土) 11:23:16.18 ID:xasraNdu
3
 
57: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:27:18.48 ID:PY7Zo9+U
侑「あ、歩夢」

歩夢「つーんっ」

侑 (つーんって言った)

歩夢 ムー

侑「えっと、私…」

侑「ちょっと、行きたいとこあるんだけど…」

歩夢「えっ」

侑「えっ?」

歩夢「………お昼は?」

侑「先食べてていいよ、待たせるかもしれないし」

歩夢「行きたいとこってどこ…?」

侑「…………その…」

歩夢「あの後輩ちゃんのところでしょ」ジト

侑「ぅ」

侑「ハイ…」
 
58: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:32:03.12 ID:PY7Zo9+U
歩夢「そんなにあの後輩のこと気になるんだ」

侑「気になるっていうか、まあ、そうだけど…」

歩夢「可愛かったもんね」

侑「だよねだよね、すっごく可愛かったよね!」

歩夢「………」ジト

侑「あっいやその…」

歩夢「いたずらかもしれないよ。侑ちゃんがぶつかったからお昼ごはん食べさせないようにって意地悪したのかも」

侑「そんな子には見えなかったけどなー」

侑「っていうか私がぶつかったわけじゃないよ」

歩夢「どーかな。わざわざ一年生のとこ通って教室行こうなんて言い出した直後のことだったよ?」

侑「あれは…」

侑 ンー…

侑「あ、歩夢も一緒に行く…?」

歩夢 ニコッ

侑「!」パァ

歩夢「行かない!!」イーッ
 
59: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:35:12.85 ID:PY7Zo9+U
侑 (教室を追い出されてしまった…) トコトコ

侑 (ところで、どこに行けば会えるんだろう。一年生の教室?ううん、違うよね。だって…)

──??「全てを見渡せる丘の上で待ってます──」

侑 (全てを見渡せる丘の上…)

侑 (中庭も広いし敷地内に自然は多いけど、そんな小高い丘なんてさすがにないよなぁ)

侑 (丘…丘……全てを見渡せるってことは高い場所、学校の中でそんな比喩をする場所があるとしたら…)

侑「…もしかして」
 
60: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:39:24.25 ID:PY7Zo9+U
屋上


キィ──


侑「…いた!」

??「本当に来てくださったんですね」

侑「あはは、半信半疑だったと言えばその通りなんだけど。もう一回会ってみたいって気持ちの方が強かったから来ちゃった」

??「よくここがわかりましたね」

侑「うん。どこか高い場所だとは思ったんだけど、『全てを見渡せる』って言われたら、やっぱりここなのかなってね」

侑「改めて。普通科二年の高咲侑です」

しずく「ご挨拶が遅れました、国際交流学科一年生の桜坂しずくといいます」ペコッ

侑「しずくちゃん、かあ」
 
62: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:45:39.64 ID:PY7Zo9+U
侑「体調は平気?朝ふらついてたけど」

しずく「はい、大丈夫です。あれは演技ですから」

侑「え、演技?」

しずく「ふふ。私、昔からお芝居が好きなんです」

侑「演劇部ってこと?」

しずく「そうですね、まだ仮入部ですけど、昨日演劇部に伺って挨拶をしてきました」

侑「へー!入学初日なのにアクティブだね」

しずく「私、演劇をやりたくて虹ヶ咲に来たんです。中学校には演劇部がなかったので、観るばっかりで。ずっと舞台に立ちたくて仕方がなかったので、家からは少し遠いんですが…演劇部の活動が活発な虹ヶ咲に」

侑「そっか~、エマ先輩といいやっぱりニジガクには夢や目標を持った人が集まってくるんだなー」ウンウン

しずく「エマ先輩、というのは?」

侑「最近知り合った先輩なんだけどね、すごいんだよ。なんとスイスからわざわざニジガク目指して日本に来たんだって!」

しずく「ええっ、スイスから…!?一体なにをしに来られたんですか?」

侑「スクールアイドル、だってさ!」

しずく「スクールアイドル…?」
 
63: (しうまい) 2020/10/24(土) 11:50:25.91 ID:PY7Zo9+U
侑「あ、しずくちゃんも知らない?」

侑「学校で活動するアイドルだからスクールアイドル、ってそのまんまなんだけど…動画観た方が早いかな。えっとね、私のお気に入りの……見て見て!」

しずく「………わあ、すごいですね…!」

侑「でしょでしょ!こうやって見ると、演劇とスクールアイドルって似てるのかな?舞台の上でこんな風にさ、私演劇のこと全然知らないけど…」ハハ…

しずく「これは確かに、お芝居に活かすことのできる経験ができそうですね…」

しずく「侑先輩、他にはオススメの動画はないんですか?」

侑「あるよ、これとか」

しずく「これも素敵…!」

侑「でも私、演劇の話も聞いてみたいな。この曲聞き終わったらしずくちゃんの話聞かせてよ」

しずく「はい、私でよければ!」


しずくと話しました! ▼
 
72: (しうまい) 2020/10/25(日) 10:11:23.18 ID:gc/5zm4t
放課後…


結局、お昼休みはしずくちゃんとたっぷり話し込んでしまった。

それはいいんだけど、そのおかげでご機嫌ナナメの歩夢をこの時間まで放ったらかすことになったわけで…


どうしよう? >>73
1.歩夢と帰る
2.一人で帰る
3.寄り道して帰る(食堂、中庭、部室棟、屋上、お台場、から選択)
 
73: (たこやき) 2020/10/25(日) 10:30:24.64 ID:2QptZXIo
1
 
74: (しうまい) 2020/10/25(日) 10:42:12.32 ID:gc/5zm4t
歩夢 ゴソゴソ…

侑「…」グ

侑「歩夢!帰ろ!」タタッ

歩夢「…」ム

侑 ニコ…

歩夢「…歩夢ちゃんに言うことは?」ジー

侑「ほったらかしててごめんなさいっ!」ペコッ

侑「歩夢と話しながら帰りたい、な」

歩夢 …ハァ

歩夢「よく言えました。それじゃ帰ろっか」

侑「うん!」

歩夢「今日は寄り道なしだよ。いっぱいお話ししながら帰るんだからね」

侑「わかってるー」ルン
 
75: (しうまい) 2020/10/25(日) 10:49:01.23 ID:gc/5zm4t
歩夢「後輩ちゃんには会えたの?」

侑「会えたよ。桜坂しずくちゃんって子でね、演劇部やりたくてウチに来たんだってさ」

歩夢「へー、部活で高校決めるのってすごいね」

侑「ね!エマさんもそうだけど、やりたいことがある人ってやっぱり熱量があるんだなー」

歩夢「演劇やりたくなっちゃった?」クス

侑「いやいや、私には無理!裏方で支えるのとかならやってみてもいいけど」


自分で言うのも恥ずかしいけど、私は昔から気になったことに向かって走っちゃう方だ。

そのたびにああやって歩夢を置いてけぼりにしては膨れちゃって…

ちゃんと謝ればすぐに笑って許してくれるけど、いつも緊張しちゃうんだよね。

もし、もし──今回は許してくれなかったらどうしよう。愛想を尽かされちゃったらどうしよう、って。
 
76: (しうまい) 2020/10/25(日) 10:51:03.23 ID:gc/5zm4t
侑「…歩夢、コッペパン食べよ!」

歩夢「えー、寄り道しないって言ったじゃない」

侑「歩夢とお話ししながら食べるんだから寄り道じゃないよ」

歩夢「なにそれ」

侑「ね、好きなの奢るからさ」

歩夢「侑ちゃんはしょうがないなぁ」

侑「えへへ…ありがと、歩夢!」


歩夢の優しさに甘えてばっかりの私だから、こうやってそれとなく感謝の気持ちを伝えておかないと。

大切な大切な──幼馴染みなんだもん。


歩夢と楽しく放課後を過ごしました! ▼
 
79: (しうまい) 2020/10/25(日) 10:54:14.44 ID:gc/5zm4t
翌朝…


無音の自室で目を覚ます。

スマホに手を伸ばすと、時刻は朝の八時半。

寝坊だ!なんて慌てることはない。


侑「今日はなにしよっかなー」ゴロン


今日は土曜日だからね。


なにしよっかな? >>80
1.一人でのんびり過ごす
2.歩夢の家に行く
3.お出かけしてみる(お台場、公園、お買い物、から選択)
 
80: (茸) 2020/10/25(日) 10:56:43.10 ID:pOsORFqQ
2
 
82: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:03:45.43 ID:gc/5zm4t
侑「いただきまーす」


特に返ってくる相槌はない。

我が家ではお休みの日はそれぞれが好きな時間に朝ごはんを摂るスタイルなので、のんびりとパンにマーガリンを塗りながらあくびを一つ。


『原宿に新しくオープンしたのは、なんとコッペパンのお店!定番のジャムを挟んだものからタマゴとハムでお昼ごはんになるもの、中にはちょっとした変わり種も──』


ふふん、原宿にはやっとコッペパンのお店ができて騒いでいるらしい。

ちっちっち、そんなのお台場ではとっくの昔に辿り着いたブームだよ。案外たいしたことないな──なんて一人でニュースに勝ち誇っていると、


侑「……わあ!指にマーガリンついちゃった!」


濡れ布巾を用意してくれるお母さんの姿もないので、私は泣く泣くティッシュで入念に指を拭くのだった…
 
83: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:08:32.59 ID:gc/5zm4t
侑「ごちそーさまっ」


自室に戻って一息ついて、さて、今日はなにをしようかな。

スクールアイドルの動画を観るのもいいし、演劇のこともちょっと気にはなるんだよな。

課題………は、まあ、いいや。


侑「んー、とりあえず歩夢んとこ行こっと」


動画を観るのも調べ物するのも、万が一課題をするにしても、歩夢と一緒の方がきっと捗るもんね。

お気に入りのカバンに適当に私物を詰め込んで、髪だけ結ぶ。


侑「歩夢のとこ行ってきまーす」
 
84: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:15:48.20 ID:gc/5zm4t
歩夢の部屋…


侑「おはよー」ガチャ

歩夢「おはよう。ちょっと待ってね」カキカキ…

侑「なにしてるの?」

歩夢「んっとねー…」カキカキ…

歩夢「…できた」

侑「どれどれ…」


『シュークリーム レシピ』
 
86: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:18:24.63 ID:gc/5zm4t
侑「シュークリーム作るの!?やったぁ!」ピョンピョン

歩夢「誰か侑ちゃんにあげるって言ってたんですかー?」

侑「えー、くれないの…?」シュン

歩夢「ふふっ、からかっただけだよ。侑ちゃんが好きなダブルクリームにするから、いっぱい食べてね」

侑「ダブルクリーム!歩夢だいすきーっ!」ハグッ

歩夢「わっもう、危ないでしょ!後で材料の買い出しにいこうね」

侑「はーい!」ゞ

侑「って、すぐに行かないの?」

歩夢「行くのは課題終わらせてからだよ」

侑「げ…」

歩夢「課題頑張った後のシュークリームはきっと美味しいよ」

侑「課題を頑張らなくても歩夢のシュークリームはきっと美味しい」ウン

歩夢「頑張らない子にはあげませーん」

侑「そんな~!………じゃあ頑張る」

歩夢「うん。ぱぱっと終わらせちゃお♪」

侑「は~い」


歩夢の家で過ごしました! ▼
 
87: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:28:35.03 ID:gc/5zm4t
翌朝…


侑「ごちそーさまっ」

高咲母「ごちそうさま。お皿洗っとくから、水に浸けといてくれたらいいから」

侑「ほんと?ありがとお母さん」


ラッキー!

今日は朝ごはんをお母さんと食べられたので、自分でお皿を洗わずに済んじゃった。

たった三分浮いただけでも嬉しくなるんだから、我ながら単純だなぁ。

でもこういう小さな喜びを積み重ねていくことが、うん、幸せへの近道だよね!


今日はなにをしようかな? >>88
1.一人でのんびり過ごす
2.歩夢の家に行く
3.お出かけしてみる(お台場、公園、お買い物、から選択)
 
88: (わんこそば) 2020/10/25(日) 11:31:02.85 ID:nMRzPNrI
3お台場
 
90: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:41:17.99 ID:gc/5zm4t
侑「そういえば新刊出たんだっけ」


なんとなく本棚を眺めていて、昔から買い続けているマンガの新刊が先日発売されたことを思い出す。

昨日も買い物に行ったのに、シュークリームのことで頭がいっぱいになってて気づかなかったんだよなぁ…


侑「よーし、ぱっと行って買ってこようっと」
 
91: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:46:44.88 ID:gc/5zm4t
お台場…


侑「どこ行こっかなー」トコトコ


お台場には意外と本を買えるお店がたくさんある。

一般向けの普通の本屋さんもあれば、スタバとくっついたカフェ兼任の本屋もあるし、そう、ヴィレヴァンだってあるんだよね。


侑 ンー…

侑「ヴィレヴァン行ったら余計なもの買っちゃいそうだからなぁ」


歩夢がいれば止めてくれるんだけどね。

私一人だと気まぐれにいらないものを手に取って後から歩夢に怒られちゃうのが目に見える。

よし、察知できる危険は回避していこう。


侑「くまざわ書店にゴー!」
 
92: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:52:42.93 ID:gc/5zm4t
目当ての新刊を一冊、平積みのコーナーから手に取る。

昔はマンガもたくさん買ってたけど、少しずつ減ってきたな。

読んでたものは連載が終わって、コミック誌を買わなくなってからは新しいマンガを読み始める機会もなかなかないから。

たまたま第一巻を見かけてよっぽど気になったら買うこともあるけど、それも相当稀なことだし。

なんかときめくような表紙ないかなー………


侑「……ん、これ面白そうかも…」


と伸ばした手が、


「「あ」」


誰かと触れ合った。
 
93: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:54:32.46 ID:gc/5zm4t
??「す、すみません!」バッ

侑「ああいやこちらこそ、──って…え?」


勢いよく引っ込められた手に少し驚いて見上げると、


??「…」


手の主はサングラスにマスクをした『いかにも』な格好の人だった。
 
94: (しうまい) 2020/10/25(日) 11:57:56.14 ID:gc/5zm4t
侑 ジーッ

??「…」

侑 ジーーッ

??「……」

侑 ジーーーッ

??「………っ、あの…」

侑 ハッ!

侑「あっごめんなさい、つい見ちゃって…」

??「い、いえ、見られるような格好をしていることは自覚しているので…」

??「手がぶつかったことは失礼しました」ペコッ

侑「いやいや、私も不注意だったので」ペコッ


お互いにお辞儀を交わして、


??「それでは…」スッ


その第一巻を手に取って立ち去ろうとする後ろ姿に思わず私は、


侑「……そのマンガ、面白いんですか?」

??「ぇ…」


話しかけてしまった。
 
95: (しうまい) 2020/10/25(日) 12:00:44.98 ID:gc/5zm4t
近くのベンチ…


侑「はい」っコーヒー

??「あ、ありがとうございます…」

侑「おとなり失礼っと」ストン

??「………その…」

侑「それでそれで!?続き聞かせてください!」ズイ

??「うっ」
 
96: (しうまい) 2020/10/25(日) 12:05:39.70 ID:gc/5zm4t
本屋でたまたま知り合ったその人は、


──侑「……そのマンガ、面白いんですか?」


初対面の私の問いかけにぐっと食いついた。


──??「し、知らないんですか!?このタイトルを!?」

──??「確かにコミカライズはされたばっかりですが、これまでノベルにゲームにラジオCD、数多の媒体で幅広く展開されてきて重なる熱望に応えて満を持してのコミカライズですよ!」

──??「作画にこの方を迎えての堂々コミカライズ!発売日から遅れて手に取ったことを悔やまずにはいられないほどのこの期待作、まさか知らないだなんてことは──ッ………」ハッ…


これは、と思った私は同じマンガを手に取ってレジへ急ぎ、そのままこの人を連れ出してしまったのだった。
 
97: (しうまい) 2020/10/25(日) 12:06:48.80 ID:gc/5zm4t
>>96
訂正


×──??「確かにコミカライズはされたばっかりですが、これまでノベルにゲームにラジオCD、数多の媒体で幅広く展開されてきて重なる熱望に応えて満を持してのコミカライズですよ!」

○──??「確かにコミカライズはされたばっかりですが、これまでノベルにゲームにドラマCD、数多の媒体で幅広く展開されてきて重なる熱望に応えて満を持してのコミカライズですよ!」
 
99: (しうまい) 2020/10/25(日) 12:13:34.66 ID:gc/5zm4t
侑 (ああ、またよくない癖が出ちゃったな…こんなの知られたら歩夢に怒られちゃうよ…)

侑 (でもやっちゃったことは仕方ないしね!今は目の前のチャンスを楽しまないと!)

侑「私、あんまりマンガとか読まないから詳しくなくて。そんなに面白いんですか、これ」

??「まあその、面白いか面白くないかで言えばそれはそれは歴史的一作と言っても過言ではないほどの名作ですが…」

侑「へー、そんなに面白いんだ!私の目は狂ってなかったんだなー」ウムウム

侑「確かに絵すっごくキレイだもんね。なんていうのかなー、マンガの表紙でこんな風に水彩絵の具で描いてあるのってあんまり見ないから新鮮だな」

??「!」

??「そ…そうなんですよ!マンガ本編はデジタルでキリッとした絵を描くんですが、表紙だけは自ら本物の筆を取って大きな一枚絵を描くんです!その雰囲気の違いが物語への期待をぐっと膨らませてくれるというか、特に髪への色遣いのこだわりが、見てくださいここを──」ハッ…

侑 ニコニコ

??「…っ」//
 
100: (しうまい) 2020/10/25(日) 12:17:45.73 ID:gc/5zm4t
侑「え、なんでやめちゃうの?もっと聞かせてよ!」

??「わ、私そろそろ帰らなくてはいけないので…両親には参考書を買ってくると伝えているので…」

侑「そうなんだ、残念…」

侑「ねえ、またマンガの話聞かせてほしいな。よくそこのくまざわ書店行くの?」

??「…まあ、近くですから。たまに」

侑「いつもその格好なの?だったら次に会ったときもすぐ気づけると思うんだけど」

??「…普段からこんなものを着けてはいませんが」

侑「顔、見ちゃだめなの?」

??「ぅ…」

??「………他の人には内緒にしてくださいね」ス…
 
101: (しうまい) 2020/10/25(日) 12:23:17.74 ID:gc/5zm4t
??「…」(素顔)

侑「あれ?どこかで会ったことあるかも…」ンン…

??「全校生徒の顔を覚えなさいとは言いませんが、代表者の顔くらいは覚えるようにした方がいいと思いますよ。社会に出たときのためにも」

侑「代表者…?」

侑「……あーっ、生徒会長!?」

菜々「中川菜々と申します。普通科二年、高咲侑さん」

侑「私のこと知ってるんだ!っていうか生徒会長、マンガ好きだったんだ!?サングラスなんで!?」

菜々「っ、もういいですか」ササッ

侑「だからサングラスなんで!!?」

菜々「言ったじゃないですか、両親には隠れてマンガを買いにきたんだと。本当に、これで失礼しますね」ガタ…

侑「あっうん、引き留めちゃってごめんね」

侑「──生徒会長!また、好きなマンガのこと教えてね!」

菜々「………菜々で構いませんよ」

菜々「それでは」タタタ…


菜々とお話ししました! ▼
 
102: (しうまい) 2020/10/25(日) 12:26:49.33 ID:gc/5zm4t
夜…


侑「あーっ、面白かったー!思わず二回読んじゃった!」パタパタ

侑「すっごいなあ、ほんとに名作だよコレ。生徒会長に推されなかったら買ってなかったかもしれないと思うと、運命感じちゃうなぁ」

侑 ウズウズ…

侑「ゲームとかドラマCDとかあるって言ってたよね!調べようっと」バッ

侑 カチカチ…

侑「うわーっ、色んな作品があるんだ!あ~、早く次の巻出ないかな~」ワクワク…
 
111: (しうまい) 2020/10/26(月) 19:47:06.52 ID:29HO9fq/
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


昨日はあれからネットサーフィンに明け暮れてしまった。

だって調べれば調べるほど情報が出てきて、あれもこれも気になっちゃったんだもん…

歩夢が『もう寝る時間だよ』って連絡くれなかったらやばかったなぁ。


侑「やっぱり私には歩夢が必要だな」ウンウン

歩夢「へ!?なに、突然」

侑「いやー、これからもおやすみとおはようを歩夢に言ってほしいってことだよ」

歩夢「な…っ!」

歩夢「変なこと言ってないで、もう、早く行くよ。二度寝したの侑ちゃんなんだからね」スタスタ

侑「まだ全然間に合うってば、待ってよ歩夢~」
 
112: (しうまい) 2020/10/26(月) 19:49:42.91 ID:29HO9fq/
お昼休み…


侑「お昼ごはんの時間だ!」ガタッ

先生「高咲さん、終わりの挨拶がまだですよ」

侑「わ、失礼しました」

歩夢「侑ちゃん…」


今日はどこでお昼食べようかな? >>113
1.教室
2.中庭
3.食堂
4.屋上
 
113: (茸) 2020/10/26(月) 19:52:42.22 ID:SULLYoUq
2
 
114: (しうまい) 2020/10/26(月) 19:58:21.45 ID:29HO9fq/
中庭


侑「いい天気だね」ンーッ

歩夢「侑ちゃん、中庭でお昼食べるの気に入っちゃったんでしょ」

侑「うん!だって気持ちいいんだもん!」

歩夢「うふふ、そんなにはしゃいでワンちゃんみたい」

侑「え、ワンちゃん!?」

侑「……わんわん、歩夢、早くお弁当食べたいわん!」

歩夢「えっと、お手?」

侑 ペン

歩夢「…悪くないかも」キュン

侑「ねえ歩夢、いいから早く食べようってば!」

歩夢「わ、そうだった。ごめんごめん」

ゆうぽむ「「いただきます」」
 
115: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:03:32.97 ID:29HO9fq/
侑「………ふー、ごちそうさま。今日のお肉のやつ美味しかったな、また入れてもらおうっと」

歩夢「侑ちゃん、もうお腹いっぱい?」

侑「え?ううん、普通だけど」

歩夢「実はね、一昨日食べきれなかったシュークリーム持ってきてるの。食べる?」

侑「食べる!!」

侑「今日結構あったかいけど平気かな?」

歩夢「うん。お料理同好会の子に家庭科室の冷蔵庫借りてたから大丈夫だよ」

侑「さすが歩夢!食べよ食べよ」

歩夢「はい、召し上がれ♪」

侑「いっただっきまーす!」パクッ

侑「んーーー、何個でも行けちゃうよ!」

歩夢「ああほら、慌てて食べたら喉に詰まっちゃうよ」


歩夢とデザートまで楽しみました! ▼
 
117: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:10:46.47 ID:29HO9fq/
放課後…


気がつけば午後の授業は終わっていて、でもいつもみたいな「やっと終わったー」感があんまりない。

歩夢のシュークリームのおかげかな?

やっぱり甘いもの食べると違うね!


どうしようかな? >>118
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(中庭、屋上、公園、お台場、から選択)
 
118: (茸) 2020/10/26(月) 20:11:58.25 ID:lk1B4Dzf
お台場
 
119: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:22:55.71 ID:29HO9fq/
お台場


侑「歩夢、なんか見たいものとかある?」

歩夢「ううん、私はないかな。侑ちゃんに付き合うよ」

侑「そしたら私ヴィレヴァン行きたいんだよね。行こ!」

歩夢「うん、いいよ」

侑「変なもの買いそうになったら止めてね」

歩夢「私は侑ちゃんのお母さんじゃないんだよ~」

侑「お母さんより頼りにしてるよ」

歩夢「嬉しいような嬉しくないような…」
 
120: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:26:04.60 ID:29HO9fq/
ヴィレヴァン


侑「見て歩夢!」

歩夢「…なにそれ」

侑「タコの脚手袋!」シャキーン

歩夢「脚なの?手なの?」

侑「脚を手にはめるから、えっと…どっちだろう。でも暖かいよ」

歩夢「まさかと思うけど、」

侑「1,800円か…」

歩夢「棚に戻してきなさい!」メッ

侑「ちゃんと面倒みるから~」

歩夢「冬になっても欲しかったらまた買いにきなさい」

侑「ちぇー」


歩夢とウィンドウショッピングをして帰りました! ▼
 
123: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:34:43.25 ID:29HO9fq/
翌朝…


侑「いってきまーす」

高咲母「あ、侑。今日は寄り道しないでまっすぐ帰ってきなさい」

侑「いいけど、なにかあるの?」

高咲母「お父さんが早く帰ってこられるそうだから、外にごはん食べにいきましょ」

侑「やった!わかった~」
 
124: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:37:41.00 ID:29HO9fq/
侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


侑「歩夢、なんか食べたいものある?」

歩夢「え?うーん、スイカとか?」

侑「スイカかー、参考にならないなぁ」

歩夢「なんで?」

侑「今日晩ごはん外に食べにいくから食べたいもの考えといてって言われてさ」

歩夢「ふふっ、スイカの専門店なんてあるかな?」

侑「なさそうだなぁ」
 
125: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:42:23.84 ID:29HO9fq/
お昼休み…


侑 ムムム…


たった今の英語の授業で朋也がスミスをラーメンに連れていったせいで、すっかりラーメンを食べたい気持ちになってしまった。

でも家族でごはん行くのにラーメンってちょっとな…

ラーメンだったらお休みの日に歩夢とだって行けちゃうし、お小遣いで行くのがためらわれるようなものを食べたいなぁ…


今日はどこでお昼を食べようかな? >>126
1.教室
2.中庭
3.食堂
4.屋上
 
126: (茸) 2020/10/26(月) 20:43:29.56 ID:l7/ag1ax
1
 
127: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:49:31.41 ID:29HO9fq/
侑「歩夢、中庭行こ!」

歩夢「え、今日も!?」

侑「だめなの?」

歩夢「えっと…たぶん、あんまりお弁当食べるのに向いてないと思うよ」

侑「んん?」チラッ


ビュオオ… ガサガサ…


侑「なんか風強いね」

歩夢「お昼から風が強くなる時間があるって天気予報で言ってたの。だから今日は中で食べよう?」

侑「そっか、残念。じゃたまには教室で食べよっか」

歩夢「そうだね」
 
128: (しうまい) 2020/10/26(月) 20:55:56.84 ID:29HO9fq/
クラスメイト「侑達お昼教室?珍しいね、一緒食べようよ」

侑「いいよ。机くっつけちゃおっか」ガタガタ

歩夢「優花ちゃん、一人?」

優花「ううん、香が購買にパン買いにいってるの。すぐ戻ると思うよ」


タタタ…


香「お待たせ~」

優花「お帰り、侑達とご一緒することにしたー」

香「あらら…お二人の邪魔じゃない?」

歩夢「!」//

侑「へ?うん、全然邪魔なんかじゃないよ」

歩夢「じゃ、邪魔って、そんなの、なに言ってるの!」

香「反応に随分差がありますなー」
 
129: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:02:09.65 ID:29HO9fq/
「「「いただきまーす」」」

侑「あれ?購買にそんなパンあったっけ?」

香「! ああ、これね」モグ…

優花「例のパンでしょ」

香「そうそう」

歩夢「例のパンってなに?」

香「最近ね、お昼休みに購買の隣で一年生がパン売ってるんだよ」

侑「え、どういうこと?」

香「そのまんま。その子の手作りパンみたいなんだけど、めっちゃ美味しいし購買のより安いから密かに人気なんだよ」モグモグ

優花「それ何味?」

香「イチゴジャムとホイップ。ジャムも初めて作ってみたって言ってたけど、そうは思えないくらい美味しいよ」

侑「へー、不思議な子もいるんだね。その子も目標があってウチに来たのかな」

優花「その子もって?」

侑「ああ、最近他学年の人と話す機会があったんだけど──」


クラスメイトとお昼を食べました! ▼
 
131: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:12:26.52 ID:29HO9fq/
放課後…


ビュオオ…


侑「わ、まだ風強いね。今日体育なくてよかった」

歩夢「お昼、外に行かなくてよかったでしょ?」

侑「だねー。天気予報私も見たはずなんだけどな、ちっとも覚えてないや」

歩夢「朝ごはんはなんだった?」

侑「豆腐とワカメのお味噌汁と鮭だったよ。最近お母さんが豆腐の種類変えたんだけど、私は前のやつの方が好きだな。なんだっけ、えっと…」

歩夢「侑ちゃん家のお豆腐は元々木綿だったよね。絹ごし豆腐に変えたんだ」

侑「あー、それそれ。どこかで食べて気に入ったみたいなんだけど、戻してもらおっかなー。あ、でも鮭は皮も食べやすい感じになってたんだよ!パリパリしてて美味しかったなー」

侑「…って、なんで朝ごはんの話?」

歩夢「うふふ。あのね、天気予報見てたかもしれないけど、それより朝ごはんに夢中だったから覚えてないんだと思うよ」

侑「な…なるほど…!」
 
132: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:15:21.56 ID:29HO9fq/
高咲家


高咲父「ただいま」

侑「お帰りなさーい」

高咲父「お母さんから聞いてるか?なに食べにいこうか」

侑「聞いてる聞いてる、えっとねー」


なにを食べにいきたい? >>133
1.ラーメン!
2.焼き肉!
3.粉モノ!
4.なんか珍しいやつ!
 
133: (わんこそば) 2020/10/26(月) 21:15:36.19 ID:DOdCaUpv
3
 
134: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:25:44.25 ID:29HO9fq/
侑「ラーメン!………じゃなくて、えっと、なんかお好み焼きとか食べたいな」

高咲父「ラーメン?後輩から美味い店教えてもらったんだよ、そこ行こうか」ヨシ

侑「もー、違うってば!ラーメンは歩夢と行くからいいの!お好み焼き!」

高咲父「なんだ~、侑とラーメン食えるなんて楽しそうだと思ったのにな。でもお好み焼きか、なかなか渋いチョイスだな」

侑「滅多に食べないから久し振りに食べたいなーと思って!」

高咲父「どこかいい店あったかな…」

高咲母「あらあなた、お帰りなさい」ヒョコ

高咲父「ああ、ただいま。母さん、侑がお好み焼きがいいって言うんだけど、どこ行こうか」

高咲母「お好み焼き?そうねえ…あ、あそこはどう?お好み焼きじゃないけど、ほら、この間…」

高咲父「……あー!行ってみたかったんだよな」

侑「なになに?美味しいお店?」

高咲父「きっと美味いぞ。お好み焼きとは少し違うんだけどな、もんじゃって食ったことないだろ──?」
 
135: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:33:16.34 ID:29HO9fq/
もんじゃ みやした


ガララ…


「いらっしゃい!お客さん三名様!」

侑「うわっいい匂い!音も美味しい!」

高咲父「うーん、いい雰囲気の店だなあ」

??「こんばんは、いらっしゃい!こっちの席どうぞ!」

高咲母「あら、看板娘さん?」

??「へっへっへー、そんなとこです!」

高咲母「侑と同じくらいかしらね」

侑「そうかも。私高二なんですけど、お姉さんは?」

愛「お!愛さんも一緒だよ、侑ってゆーの?それじゃゆーじょーを記念してプレゼントフォーユー!」っオシボリ

侑「ぷっ、あはははは………なにそれ面白い!!」ヒーヒー

愛「見た父さん!?めっちゃ笑ってくれた!」

「お客さん笑かして〇すなよー」


アハハハ…
 
137: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:39:32.76 ID:29HO9fq/
愛「ほいほいほいっと」チャッチャッチャッ

高咲父「さすが、手際がいいな」

侑「不思議な焼き方するんだね」

愛「うん、慣れてない人はどうやって焼いたらいいかわかんないっていうけど、こんなのはノリでやっちゃえばいいんだよ。焼き上がったらノリノリで青ノリもまぶしちゃうから呼んでね!」

侑「ぷっ、くくく…!」プルプル

高咲母「侑は昔からダジャレ好きよねえ」

侑「はぁはぁ…食べる前からお腹痛いよぉ」

高咲父「友達もできたし、いい店見つけたなあ」
 
138: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:45:42.61 ID:29HO9fq/
侑「いただきまーす!」

高咲父「熱いから気をつけてな」

侑「うん、はふ……あちち…ん!でも美味しい!」

高咲母「ほんと、とっても美味しいわね」

高咲父「くーっ、ビールに合うなあ!」プハーッ

侑「お酒飲みたいからバスで行こうって言ったんだね」

高咲父「もんじゃ食うのにビール飲まないなんて地獄だからな」

侑「そうなんだ…」ゴクリ

愛「侑はまだビール飲めないっしょ。はい、愛さんのおごりだからこれでガマンして!」ドンッ

侑「これは?」

愛「愛さん特性のスペシャルドリンクだよ。もんじゃにいっちばん合うように作ったんだから、これ飲んだらビールなんか欲しくなくなっちゃうよ!」

侑「へー、そんなのおごってもらっちゃっていいの!?」

愛「いっぱい笑ってくれたからそのお礼。飲んで飲んで」

侑 ゴクゴク…

侑「うまっ!!確かにもんじゃ焼きにすごく合うよ、これ!」

高咲父「そ、そんなにか?父さんにも一口…」

侑「代わりにビールくれる?」

高咲父「いや、それはやれないけど…」

侑「じゃああげなーい」

高咲父「そんな~、侑ぅ…!」
 
140: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:50:38.72 ID:29HO9fq/
侑「ごちそうさまでした!」

高咲父「いやー、お腹いっぱいだなぁ」

高咲母「すごく美味しくてぱくぱく食べちゃったわね」

愛「今日は来てくれてありがとね。いつもは馴染みのお客さんが多いから、タメの子と話せて楽しかったよ」

侑「私こそ!」

「おいおい愛ちゃん、おれ達じゃ物足りないってか~?」

愛「んー、あと一品頼んでくれたらそんなことないよって言ってあげるよ!」

「はっはっは!じゃオヤジ、明太!」

「あいよ!」

「愛ちゃん!頼んだぞ!」

愛「毎度っ、明日もアタシに会いにきてよね!」


ハッハッハ…
 
141: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:58:40.69 ID:29HO9fq/
「毎度、あざーーっしたーーっ!」

侑「きっとまた来るね、愛ちゃん」

愛「いつでも待ってるよ、お休みの日は安くでランチもやってるからぜひおいでね!」

侑「ほんと!?それじゃ友達と来るよ!」

愛「ぜひぜひ。ってか侑、学校はどこなん?」

侑「私は虹ヶ咲ってところ、お台場の学校なんだけど…」

愛「え?」

愛「愛さんもだよ!情報処理学科!」

侑「そうなの!?私は普通科だけど、うわー、そんな偶然ってあるんだね!」

愛「なーんだ、タメどころかクラスメイトみたいなもんじゃん!」

侑「もんじゃだけに?」

愛「………おお、やるね侑」ニカッ

侑「愛ちゃんのおかげだよ」ニパッ

愛「そのうち学校でも会えそうだね、アタシから会いにいっちゃうかもだけど」

侑「うん!!」


愛と友達になりました! ▼
 
142: (しうまい) 2020/10/26(月) 21:59:48.10 ID:29HO9fq/
今日はここまで、
優花と香はぱっと思いついただけです。
 
147: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:18:17.53 ID:eQxj8giF
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


昨日、美味しいもんじゃとビールに機嫌をよくしたお父さんと寄り道をして、タコの脚手袋を買ってもらってしまったことは歩夢には内緒だ。


歩夢「…?どうかした?」

侑「う、ううん。なんでもないよ」サッ

歩夢「うそ、侑ちゃんなにか隠してるでしょ」

侑「隠してないよ!なんにも!」

歩夢「じゃあ私の方向いてよ」

侑「歩夢鋭いからだめ…」

歩夢「ほらー!なに?白状しなさい!」

侑「うわーん勘弁して~!」
 
148: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:21:22.19 ID:eQxj8giF
お昼休み…


愛ちゃんが同じニジガクの二年生だってわかったおかげで、校内を歩くのがすごく楽しくなった。

下足室から教室に向かうとき、休み時間にお手洗いに行く間、教室移動の時間も、もしかしたらばったり会っちゃうかも?なんて思うとそわそわせずにいられない。

歩夢には「落ち着きがない」って言われちゃったけど、きっと愛ちゃんを紹介したら仲良くなれるよね!


今日のお昼はどうしようかな? >>149
1.教室で食べる
2.中庭で食べる
3.購買に行く
4.食堂に行く
 
149: (うめぼし) 2020/10/27(火) 21:21:58.76 ID:xWfC+uE5
4
 
151: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:27:14.92 ID:eQxj8giF
歩夢「侑ちゃん、今日はお昼ごはんどうする?また中庭に行く?」

侑「あー…えっとね、歩夢。実は私今日お弁当持ってきてなくてさ…」

歩夢「えっそうなの?」

侑「いやー、昨日ごはん食べにいったって言ったじゃん?あれで珍しくお母さんがお酒飲んで、今朝起きれなかったみたいなんだよね。それで」

歩夢「そうだったんだ…それじゃどうするの?購買に行くならついていくよ」

侑「んー、さっきちらっと覗いたら食堂の日替わりがなんか美味しそうだったんだよね」

歩夢「わかった、食堂に行こっか」

侑「うん!」
 
152: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:29:59.20 ID:eQxj8giF
食堂…


ガヤガヤ…


侑「大盛況だー」

歩夢「滅多に来ないけど、やっぱり生徒が多いから賑わってるね」

侑「ほら見て見て歩夢、日替わり!美味しそうじゃない?あれ、でもおそばも海老の天ぷらが乗ってて美味しそう…」ジュルリ

歩夢「一つにするんだよ?」

侑「わかってるー………今日のカレーはビーフカレーかぁ…」

歩夢「ほんとにわかってるのかなあ。あっちに席取っとくからね」

侑「はーい」
 
154: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:37:03.17 ID:eQxj8giF
侑「うう、どれも美味しそうで迷っちゃうな…みんなよくこの中から一つ選べるなぁ」

侑 キョロキョロ

侑「あの人もメニュー見て悩んでる。仲間かな」ススス…

侑 (わかるわかる、これだけあると悩むよね。いっぱい悩め、若者──)

侑「って、エマ先輩?」

エマ「え?わあ、確か…侑ちゃん!」

侑「何日かぶりですね。エマ先輩もお昼ごはん食堂ですか?」

エマ「うん、そうだよー。侑ちゃんも?」

侑「歩夢と一緒に。あ、この前一緒にいた子で」

エマ「うんうん、覚えてるよ歩夢ちゃん。そっかー、仲良しなんだね」

侑「エマ先輩、よかったらお昼ご一緒しませんか?この前の話の続きもしたいですし!」

エマ「いいの?ぜひ…って、私も友達と一緒なんだけどいいかなあ?」

侑「エマ先輩のお友達ならきっといい人ですよね、歩夢もいいと思いますよ!」

エマ「それじゃどれ食べるか決めて早く席に行き…たいんだけど」

侑「はい。その決めるのが難しいんですよね」

エマゆう ムムムム…………
 
155: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:43:39.27 ID:eQxj8giF
五分後…


歩夢「随分遅かったね」

侑「迷いに迷っちゃって、面目ない…でもカレーいっぱいついでくれたからいいんだ!」ブイッ

歩夢「しかも結局日替わりにしなかったんだ」

エマ「歩夢ちゃん、チャオ~」

歩夢「あれ、エマ先輩」

侑「さっき会ってさ、一緒に食べることにしたよ!」

エマ「お邪魔じゃないかなあ」

歩夢「そんなことないですよ、座ってください」

エマ「それとね、私の友達も…あ、おーい果林ちゃん、こっちこっち」ノシ

果林「相変わらず食堂は人が多いわね…って、あら?」

侑「あ…!」
 
157: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:47:21.92 ID:eQxj8giF
歩夢「え、侑ちゃん知り合い?…って、ああ!」

侑「ライフデザイン学科のお姉さん!」

果林「また会っちゃったわね、運命かしら」フフ

エマ「果林ちゃん達、友達だったの?」

果林「友達というか、そうねえ。そんなところ」

侑「果林先輩っていうんですね」

果林「ふふ…また会えたら名前を教える約束だったものね。ライフデザイン学科の、三年朝香果林よ」

果林「マイナーな学科の名前をよく忘れずにいられたわね、偉い偉い」ヨシヨシ

侑「ぅ…その節は、すみませんでした…」
 
158: (しうまい) 2020/10/27(火) 21:52:55.24 ID:eQxj8giF
「「「いただきます」」」

歩夢「果林先輩、お昼ごはんそれだけですか?」

果林「え?ああ、そうよ」シャク

侑「ええ~、それだけしか食べなかったら午後お腹ぺこぺこで倒れちゃいますよ!」

果林「慣れると案外平気なものよ。ま、目の前で友人がカツ丼だラーメンだって食べてるのを見るのは少し身体に毒だけどね」

エマ「えへへ…」

侑「い、いりますか…?」

果林「んー、遠慮しとく。気持ちだけで充分よ」

侑「そうですか」ホッ…

歩夢「ほっとするくらいなら差し出さなきゃいいのに…」

侑「だってすごく美味しいんだよ、このカレー!」

エマ「ハンバーグも美味しいよ、侑ちゃん。食べる?」ス…

侑「食べます!」パクッ

果林「あなたのお友達、随分と食べるのが好きなのね。エマから食べ物を貰う人なんかそうそう見ないわよ」

歩夢「こういう子なんです…」//
 
159: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:00:55.08 ID:eQxj8giF
侑「へー、二人とも隣同士に住んでるんですね」

果林「空いてたお隣にエマが新しく入ったのよ。挨拶しておこうと思って訪ねたら外国の子で、びっくりしちゃったわ」

エマ「あのとき果林ちゃん、慌ててめちゃくちゃな英語話してたもんね」

果林「え、エマ!余計なこと言わなくていいの!」

エマ「でもお隣が果林ちゃんでよかった。わかんないこととか教えてくれるし、お休みの日も遊びに連れていってくれるんだよ。この前はお気に入りの動物園に連れていってくれてね」

侑「動物園?果林先輩、動物好きなんですか?」

果林「あっいや、エマ…」

エマ「大好きだよね、パンダ」

侑「へえ~、意外ですね」

果林「エマ!!」

歩夢「か、果林先輩。私も好きですよ、パンダ!」

果林「ありがとう歩夢ちゃん、フォローが痛いけど…」


エマと果林とお昼を食べました! ▼
 
160: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:09:09.37 ID:eQxj8giF
放課後…


お昼のカレー、すごく美味しかったのは間違いないんだけど、スパイスを効かせて作った本格的なやつだったからか手に匂いがついてるような気がして…

午後の授業中、だいたいずっと手の匂いを嗅いで過ごしてしまった。

くんくん…まだちょっぴりいい匂いする気がする!


どうしようかな? >>161
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(部室棟、屋上、公園、お台場から選択)
 
161: (茸) 2020/10/27(火) 22:09:38.35 ID:V4EdDZHB
屋上
 
162: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:17:47.62 ID:eQxj8giF
歩夢「侑ちゃん、帰るのちょっと待ってもらってもいい?」

侑「うん、どうかした?」

歩夢「さっきの授業でわからないところがあったから先生に聞いておきたいの。ここなんだけど」

侑「…………聞いてきた方がいいね、これは!」

歩夢「侑ちゃんは理解できたの?」

侑「ほら歩夢、早く行かないと先生部活行っちゃうかもよ!」グイ

歩夢「え?わ、うん、ちょっと行ってくるから待っててね」アワワ

侑「いってらっしゃ~い」


歩夢は真面目だなぁ。

その部分は私もよくわからなかったけど、うん、わからない生徒二人で先生を質問攻めにするより歩夢が理解してから私に教えてくれる方が効率的だよね。

さて、歩夢が戻ってくるまでなにしていようかな…
 
163: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:24:04.38 ID:eQxj8giF
特に目的もなく校内をふらふらと歩いてみる。

なんだか最近は思わぬ出会いが続いているから、こんな風にしていたらまた新しい友達ができるかもしれない。

情報処理学科はあっち、ライフデザイン学科は向こう、国際交流学科は…どこだったかな。

学科を越えて交流する機会なんて、それこそ学校行事のときくらいしかないから、こんなに色々な学科に知り合いがいるのはなんだか特別な感じがしてくる。

部活でもやってればもっと交流が広がるんだろうけど──


「────、────」

侑「ん?話し声?どこからだろう…」


やたらハキハキとした声、その割には誰か一人が一方的に話すばっかりで相手の声が聞こえない。

なんとなく惹かれてその声の出どころを辿ると、辿り着いたのは…
 
164: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:25:42.14 ID:eQxj8giF
屋上…


キィ──


侑 ヒョコ…

「そこにいるのでしょう。わかっているのよ」

侑 ビクッ


顔を覗かせるや否やそんな風に言われて思わず身を竦める。

けれど、それは私に向けた言葉ではなかったようで、というか誰に向けた言葉でもなくて。
 
165: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:29:51.57 ID:eQxj8giF
しずく「あなたがその身を朝日に溶かそうと、私は見失うことなどない。永遠にないのです」

しずく「この心が、あなたをいとも容易く見つけてしまう。それがどれだけ幸せで、そして苦しいことか、きっとわかりはしないのでしょう」

しずく「私はあなたに出会ってから、もう私ではなくなってしまった。戻れない、この身が、この心が何者にも縛られず、満たされず、自由な空虚人であったあの頃には」

しずく「だから、だから………」

しずく「………ふぅ…」
 
166: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:33:41.20 ID:eQxj8giF
侑 パチパチ…パチパチ……

しずく「えっ?」

侑「すごいすごい、今のって演劇の練習だよね!」

しずく「ゆ、侑先輩…!いつからいたんですか!?」

侑「ちょっと前。声が聞こえたから覗いてみたらしずくちゃんを見つけたんだけど、すっかり見入っちゃったよ!」

しずく「もう、いるなら声をかけてくださればいいのに…」

侑「いやぁ、邪魔しちゃ悪いなと思ったし、それになにより声なんかかけられなかったんだもん。まるで違う世界の出来事を眺めてるみたいな気持ちでさ」

しずく「それは、誉めてくださってるんですか?」

侑「もちろんだよ!もっと見せてほしいくらい!」

しずく「あ…ありがとうございます」
 
167: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:39:45.78 ID:eQxj8giF
侑「演劇部ってここで練習してるの?あれ、でもしずくちゃん以外の人いないんだね」キョロ

しずく「私はまだ仮入部の身ですから、必ずしも他の部員の方々とは同じように活動してはいないんです」

侑「そっか、一人の方がやりやすいの?」

しずく「やりやすい…とは、少し違うかもしれません。今は他の方々と活動したくないと言いますか…」

しずく「って、こんなことを聞かされても困ってしまいますよね。今日は思い切り声を出して練習したかったので、別で行動させてもらっているんです」

侑「>>168


1.私が練習の相手しようか?
2.部の雰囲気が合わないの?
3.邪魔しちゃってごめんね!
 
168: (茸) 2020/10/27(火) 22:40:49.84 ID:PPqYgVWp
1
 
169: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:49:56.41 ID:eQxj8giF
侑「私が練習の相手しよっか?」

しずく「え?」

侑「ほら、演劇って会話するものでしょ?だったら相手がいた方がよかったりするのかなって。あはは、私そういうのやったことないから下手っぴだと思うけど、それでもよければ…」

しずく「ぜ…ぜひお願いしたいです!!」ガシッ

侑「うおっ!?」

侑「わ、私、間とか全然わかんないけど、その」

しずく「構いません!ぜひ先輩に相手をしていただきたいです!」

しずく ランランッ

侑 (力強い眼差し…好きなことに打ち込む人の目って、こんなに綺麗に輝くものなんだ…)

侑「…うん、だったらやらせて!しずくちゃんの好きなように使ってくれていいから!」

しずく「本当ですか!?ありがとうございます、うふふ…嬉しいっ」キュッ

侑 (あ、可愛い)
 
170: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:55:20.51 ID:eQxj8giF
侑「よし、さっそく付き合うよ。私なにしたらいい?」

しずく「そうですね…相手との位置取りを確認したいので、ここからこう…歩いてもらえますか?考え事をしているくらいの速さで」

侑「えっと、このくらい…かな?」トコ…トコ…

しずく「いい感じです!そしたら私はこっちに回って、と…」

しずく スゥ──

侑「…!」

侑 (なんだか雰囲気が…)

しずく「………っ、…」フイッ

しずく ギュ…

しずく「……ヴァイオレット!やっぱりだめだよ!」

しずく「────」

しずく「少し早かったかな。先輩、もう一度いいですか?」

侑「もちろん、何回だっていいよ!こっちから歩けばいいんだよね」タタタ
 
171: (しうまい) 2020/10/27(火) 22:58:15.31 ID:eQxj8giF


しずく「………ヴァイオレット!やっぱりだめだよ!」

侑「!」

しずく「────」

しずく「…うん、今のはよかった感じがする」

侑「あ、やっぱり?私もよくわかんないけど、なんとなくしっくり来た…ような」

しずく「そうですよね!先輩もそう感じてくださったのなら間違いないと思います!」

侑「ただ歩いてただけの私の感覚があてになるかなぁ」ハハハ…

しずく「演劇をやったことがない侑先輩が感じたからこそ間違いないんですよ」

侑「そっか、そんなものかな」

しずく「そんなものですよ」ニコッ
 
172: (しうまい) 2020/10/27(火) 23:01:26.30 ID:eQxj8giF
しずく「このシーンは感覚が掴めました。次のシーンは…」ペラペラ

侑「さっきのとこはやらないの?」

しずく「さっきの?」

侑「私が覗いちゃったときにやってたところ。あ、でもあそこは相手が必要ないのかな」

しずく「ぁ──」

しずく「…そうですね、あのシーンは、まだいいんです」

侑「そうなんだ。じゃ次はどんなシーンなの?」

しずく「えっと、」


キィ──


歩夢「侑ちゃん、こんなところにいたんだ」

侑「…歩夢!」ハッ

歩夢「すっかり忘れてたってカオしてるー…」ジト
 
173: (しうまい) 2020/10/27(火) 23:05:47.17 ID:eQxj8giF
侑「ごめんっ、ちょっと夢中になっちゃって…」

歩夢「なにしてたの?」ヒョコ

しずく「あ…初めまして、国際交流学科一年生の桜坂しずくといいます」ペコッ

歩夢「あれ、もしかしてこの間の…」

侑「うん、演劇部の子だよ。一緒に練習させてもらってたんだ」

歩夢「侑ちゃんが演技してたの?」

侑「ううん、まさか!私は歩いてただけ!」

しずく「すみません、先輩のお時間を考えずに付き合っていただいてしまって」

侑「そんな、私が好きで付き合ってたんだもん。どうしよっか、次のシーン…」

しずく「今日はこれで、失礼します。相手をしてくださってありがとうございました。それではっ」ペコッ タタタ…

侑「あ、しずくちゃん!………行っちゃった」


しずくと演劇の練習をしました! ▼
 
179: (しうまい) 2020/10/28(水) 20:36:29.59 ID:1GNfDKmM
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


昨日、しずくちゃんがやっていた演劇について帰ってから調べてみた。

けれどセリフもあんまり思い出せなかったし、情報が少なくてそれらしいものは見つけられなかった。

また相手をする機会があったらどんなお話なのか知ってる方がいいと思ったのに残念。

しずくちゃんに会ったら忘れず聞いておこうっと。


歩夢「今日はお弁当持ってきた?」

侑「うん、持ってきた!でもよく考えたら毎日早起きしてお弁当作ってくれるお母さんってすごいね」

歩夢「そうだよ。感謝しないとね」

侑「お礼に今日の晩ごはんはお母さんの好きなものにしてもらおう!」

歩夢「作るのお母さんだよね、それ」
 
180: (しうまい) 2020/10/28(水) 20:42:10.98 ID:1GNfDKmM
お昼休み…


ふと聞いた話では、ニジガクでは要件さえ満たせば割と簡単に同好会を設立することができるらしい。

正式な部活動と比べるとほんの少しだけど人数や活動実績によっては部費も貰えるらしいし、なにか同好会を作ってみてもいいかもしれない。

歩夢と共通の好きなものってなんだろう。お台場とか?

お台場同好会。

毎日放課後お台場に寄り道して、自由気ままに遊ぶ同好会!

…今と変わらないや。


お昼はどうしようかな? >>181
1.教室で食べる
2.中庭で食べる
3.食堂で食べる
4.屋上で食べる
 
181: (星の眠る深淵) 2020/10/28(水) 20:42:35.22 ID:2oUjJfkQ
3
 
184: (しうまい) 2020/10/28(水) 20:49:35.74 ID:1GNfDKmM
食堂


侑「窓際空いててよかったね。ここ中庭が見えるんだ~」

歩夢「ねえ侑ちゃん、私達二人ともお弁当だよ?どうして食堂に来ちゃったのかな」

侑「昨日は食堂で楽しいお昼になったじゃん。だから今日もそうなるかなって!」

歩夢「そういうの、柳の下のどじょうって言うんだよ」

侑「どじょう…?」

歩夢「なんでもない。食べよ」

侑「うん、いただきます!」

歩夢「いただきます」
 
185: (しうまい) 2020/10/28(水) 20:56:30.76 ID:1GNfDKmM
侑「みんな食堂のランチ食べてるね」モグモグ

歩夢「当たり前でしょ。もう、グループ全員お弁当なの私達くらいだよ。目立ってないかな…」

侑「歩夢ってば気にし過ぎだよ。購買のパン食べてる子もいるし、向こうのグループにはお弁当の子もいるよ」

歩夢「きょろきょろしないでお昼ごはんに集中しなさい」

侑「…今日のカレーはキーマカレーだ」

歩夢「侑ちゃん~」

侑「あ、あはは…」

侑「でもやっぱりお母さんの料理が一番だよ。外食もたまにはしたくなるけど、結局これだーって思うのは家のごはんなんだよね」

歩夢「そうだね。私もそんなお料理を作れるようになるかなあ」

侑「歩夢ならできるよ。洗い物は私がするからね」

歩夢「侑ちゃん面倒くさがりだもん。溜めないで毎日やってね?」

侑「が、頑張ります…」
 
186: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:02:33.33 ID:1GNfDKmM
果林「あら、いい席みっけ」

侑「果林先輩」

歩夢「こんにちは、果林先輩。お昼ごはんですか?」

果林「ええ。ここ、座ってもいいかしら?」

歩夢「もちろんですよ」

果林「それじゃお言葉に甘えて」ガタ

侑「エマ先輩は一緒じゃないんですか?」

果林「そうね。国際交流学科もライフデザイン学科も実習が多いから、そう毎日は時間が合わないのよ。いただきます」

歩夢「へ~、ライフデザイン学科の実習ってどういうことするんですか?」

果林「私は服飾とデザインを専攻してるから、わかりやすいところでいうと被服実習とかね。街に出て流行デザインのチェックをする実習なんかもやるわよ」

侑「授業で外に行くんですか!?いいな~」

果林「あくまでも勉強よ、勉強」
 
187: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:10:40.94 ID:1GNfDKmM
侑「それにしても、デザインか…」ジッ

果林「なあに?」

侑「私、あんまり美術面が得意じゃないので。それを専攻にするのってすごいなって」

果林「ふふ、そう難しいことじゃないわよ。侑も可愛い洋服を着たりオシャレしたりするのは好きでしょう?うちの学科はそんなのが特に好きな人達が集まって一生懸命にやってる、それだけのことだから」

歩夢「でも果林先輩ってすごくオシャレですよね。制服の中にさり気ないポイントを混ぜてるだけなのに、全然違って見えるというか…」

果林「嬉しいこと言ってくれるじゃない」

果林「ま、私は学校の授業とは別に個人的にそういうことに触れる機会が多いのよ。そのおかげかしらね」

侑「個人的に?サークル活動とかですか?」

果林「ふふ、内緒」

侑「え~、また内緒!」

果林「また今度教えてあげるわ。…さて、ごちそうさまでした。楽しいお昼になった、アリガト♡」ガタ

侑「もう食べちゃったんですか!?」

歩夢「やっぱり足りなさそうですね…」

果林「また会いましょうね」ヒラ

侑「行っちゃった」

歩夢「優雅でカッコいいけど、どこか不思議な人だね」


果林とお昼を食べました! ▼
 
188: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:16:37.81 ID:1GNfDKmM
放課後…


想像してみた。

お昼休み、お弁当箱を開けるとそこにはたっぷりのサラダが敷き詰められていて、しゃくしゃくと野菜を噛む自分の姿を。

向かいでは歩夢が美味しそうなお弁当を嬉しそうに頬張ってるんだ。

…無理だ。色んな意味で無理だ。

私は果林先輩みたいにはなれない…


どうしようかな? >>189
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(三年生エリア、屋上、中庭、お台場から選択)
 
189: (星の眠る深淵) 2020/10/28(水) 21:17:33.42 ID:C3vrOLUD
お台場
 
191: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:29:10.69 ID:1GNfDKmM
お台場


侑「海岸はまだ風が冷たいねー」

歩夢「そうだね。もう少ししたら人が増えてくる季節だから、静かに楽しめるのは今のうちだよね」

侑「まったく、地元民をのけ者にして盛り上がるのは頂けないなぁ」

歩夢「うふふ、私達がどこかへ遊びにいくときも、きっと地元の人達が同じように思ってるんじゃないかな」

侑「うっ、それもそうか…遊びにきてくれる人達に支えられてる部分もあるんだもんね。広い心で受け止めなくちゃだめか~」

歩夢「そうそう。偉いよ侑ちゃん」

歩夢「あ、ハトがいっぱいいるね。ちょっとだけパンあげちゃおっか?」

侑「えっ」

侑「せっかく買った、このコッペパンを………?」

歩夢「そんな世界の終わりみたいな顔しなくても…」
 
192: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:33:52.80 ID:1GNfDKmM
ハト クポックポッ (安いパンを買ってきて与えた)

侑「めちゃめちゃ食べるね」

歩夢「お腹空いてるのかな。ハトって普段なに食べてるんだろう?」

侑「それは、なんだろう…豆…?」

歩夢「主食が豆じゃ、いつでもお腹いっぱいでいるのは難しそうだね…」

侑「そうだね…」


歩夢がハトを眺めながらうんうんと真剣に考えている横で、ふと視線を遠くにやると、


侑「…ん?あれって…」
 
193: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:37:53.82 ID:1GNfDKmM
歩夢「侑ちゃん?」


ぼーっと遠くを見つめる私の隣に立って、歩夢も同じように視線を飛ばす。


歩夢「なにか面白いものでも見つけた?」

侑「ううん、今あそこにいた人…」

歩夢「知り合い?」


海を背中に写真を撮るみたいにして数人が戯れていた、その中に──


侑「果林先輩がいたような…」

歩夢「ほんと?」
 
194: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:41:38.88 ID:1GNfDKmM
歩夢「うーん、見えないや…」


私が姿を見かけたのもちょうど去り際だったみたいで、すぐに集団は移動してしまった。

見間違いだったかな?


侑「私もよく見えなかったから、人違いだったかもしれないや」

歩夢「そうなの?ねえ、人間の脳ってね、よくわからないものを知ってるものだって認識したがるんだって」

侑「へえ、そうなんだ。じゃあやっぱり似てた人を果林先輩だと思いたかっただけなのかも」

歩夢「うふふ、そうかもしれないね」


歩夢とお台場で遊んで帰りました! ▼
 
195: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:48:37.91 ID:1GNfDKmM
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「走ると危ないよ。行こっか」

侑「うん!」


今朝は雨。

そう強くないし風も吹いてないからカサを差していれば濡れることはないけど、足元には気をつけておかなくちゃいけない。

こんな穏やかな雨の日には、歩夢がよく話したがる話題があって…


歩夢「ねえ、覚えてる?侑ちゃんが幼稚園の頃、雨の日に滑っちゃったことがあったじゃない」

歩夢「思い切り転んだからすごく心配したけど、侑ちゃんってば『カエルさん着てるからぬれない!』ってはしゃいで、わざわざ三回も立ち上がっては転んで遊んでたよね。可愛かったなぁ」

侑「もー、覚えてるよ。雨降るたびに歩夢が掘り返すから!いいのっもう、早く行こ!」

歩夢「急ぐと転んじゃうよ。今日はカエルさん着てないんだから気をつけなくちゃ」

侑「うるさいのー!」//
 
196: (しうまい) 2020/10/28(水) 21:52:18.62 ID:1GNfDKmM
お昼休み…


雨はそのまま降り続け、お昼休みになってしまった。

これじゃ外には行けないかなー…


お昼はどうしようかな? >>197
1.教室で食べる
2.食堂で食べる
3.図書室で食べる
 
197: (黒酢) 2020/10/28(水) 21:55:59.81 ID:Wi/b2+on
3
 
198: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:02:15.71 ID:1GNfDKmM
食堂


ガヤガヤガヤガヤ…


侑「さすがに混んでるね」

歩夢「いつもは校内の色んな場所で食べてる人達が、みんな集まっちゃってるのかもしれないね」

侑「よし、人が少なそうなところ探そっか!」

歩夢「ええ…今から?」

侑「じゃあ十五分探しても見つからなかったら教室に戻ろ。それならいいでしょ?」

歩夢「もう、仕方ないなぁ。いいよ、付き合ってあげる」

侑「さすが歩夢!」
 
199: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:06:27.17 ID:1GNfDKmM
そして校内を練り歩くこと十五分…


侑「い、意外と穴場スポットって見つからないものだね…」

歩夢「みんな考えることは同じみたいだね。そろそろ十五分だよ?」

侑「うう…そもそも学校が広すぎてまだそんなに場所あたれてないのに…」

侑「あと一箇所だけ!えっとえっと、人が少なそうなところ、人が少なそうなところ………そうだ!」
 
200: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:09:48.20 ID:1GNfDKmM
『図書室』


侑「どう!?図書室使ってるってほとんど聞かないし、きっとお昼休みの今だってそんなに人はいないはず──」ガラリ


ガラン…


侑「ねっ!」

歩夢「確かに人はいないけど、図書室って飲食禁止なんじゃない?」

侑「えー、そうかな。でもほら、他に人がいないなら誰にも迷惑かけないし見つからなければ怒られない──」

「すでに見つかっていますよ」

侑「うえっ!?」ビクッ
 
201: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:15:44.54 ID:1GNfDKmM
菜々「普通科二年、高咲さん。上原さんがおっしゃったよう、図書室は飲食禁止ですよ。他の利用者がいるかどうかに関わらず、これはルールです」

侑「あ、生徒会長…」

歩夢「生徒会長…!ご、ごめんなさい、食堂が混んでたから落ち着いてお昼ごはんを食べられる場所を探してて、教室に戻ります。行こう、侑ちゃん…」グイ

侑「ねえ生徒会長、そんなわけなんだけど、どこかお昼ごはん食べるのにいい場所知らない?」ニコッ

歩夢「ゆ、侑ちゃん!?なんでそんなに気安いの!?」

侑「大丈夫、大丈夫。生徒会長そんなに怖い人じゃないから。ねっ」

菜々「…」ム

歩夢「え、えええ…とてもそんな風には…」

菜々「…はあ」

菜々「まったく、仕方のない人ですね。高咲さんは」

歩夢「………へ?」
 
202: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:21:34.81 ID:1GNfDKmM
生徒会室


侑「失礼しまーす!」

歩夢「い、いいんですか…?お昼ごはん食べるのに生徒会室なんて使って…」

菜々「いつでもお好きにどうぞ、とは言えませんが。私が使っているのに他の生徒は使えないというのは筋が通りませんからね。私が一緒にいるならば誰かに咎められることもないと思います」

侑「うわー、結構広いんだなー生徒会室って。わ、見てよ歩夢!ここニジガクの校門までずっと見渡せるよ!」

歩夢「ゆ、侑ちゃん、少しは遠慮を…」

菜々「普段からあんな調子なんですね、彼女は」

歩夢「は、はい…って、そういえば生徒会長、侑ちゃんと面識があったんですね」

菜々「…ええ、まあ。少し縁がありまして」

菜々「高咲さん、早く食べないとお昼休みが終わってしまいますよ」

侑「おっとそうだった、食べよ食べよ!」
 
204: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:31:53.61 ID:1GNfDKmM
侑「ごちそーさまでしたっ!」

歩夢「ごちそうさまでした」

侑「いやー、普段と違う雰囲気で楽しいお昼だったね」

歩夢「私は緊張して疲れちゃったよ…」

菜々「急かすようですみませんが、そろそろ部屋を閉めますよ。いずれにせよ教室に戻らなくてはならない時間でしょう」

侑「うん、部屋開けてくれてありがとう!」

菜々「あなた達のために開けたわけでは…構いませんが」

侑「生徒会長、いつもここでお昼ごはん食べてるの?」

菜々「他に予定がなければ、だいたいそうですね」

侑「ふ~ん、そっかそっか」ニヤニヤ

歩夢 (あ、『いいこと聞いた』って顔してるなぁ…)

菜々「それでは、私は職員室に寄ってから戻るのでこれで」

歩夢「あ、ありがとうございました」ペコッ

侑「………そうだ、忘れてた」

菜々「なんですか?」

侑「菜々ちゃん、って呼んでいいんだったよね。またね、菜々ちゃん!」

菜々「…はい、また」ニコッ


菜々とお昼を食べました! ▼
 
205: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:38:38.96 ID:1GNfDKmM
放課後…


う~っ、この瞬間がたまらないよね!

金曜日の放課後、一週間の授業がみんな終わった解放感!

明日はなにしようかな。明後日は。

…ううん、せっかくだからこの放課後だって楽しまないとね!


どこに寄って帰ろうかな? >>206
1.情報処理学科
2.ライフデザイン学科
3.国際交流学科
4.部室棟
 
206: (たこやき) 2020/10/28(水) 22:40:28.08 ID:2SzpGu5H
4
 
208: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:45:27.26 ID:1GNfDKmM
侑「雨やっと止んだみたいだね」

歩夢「でもまだ地面は濡れてると思うから、はしゃいで回ったらだめだよ」

侑「犬じゃないんだから、雨が止んだからってはしゃいで回ったりしないよ!」

侑「ね、歩夢」ソワソワ

歩夢「どこか寄り道したいんでしょ?」

侑「ありゃ、バレてる」

歩夢「侑ちゃんわかりやすいもん。いいよ、どうしよっか」

侑「そうだなー、今日はね…」
 
209: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:49:14.61 ID:1GNfDKmM
部室棟


歩夢「で、部室棟なんだ」

侑「だって人が多くてわくわくするんだもん。雨で外が使いづらいからかな?この前より多い感じするかも」

歩夢「そう言われたらそうだね。ほら、部活もやってない私達がいたら邪魔になっちゃうよ」

侑「むむむ…」

侑「そうだ!だったら部活に参加しちゃえば邪魔にならないよね?」

歩夢「えっ、どういうこと?」

侑「そのままだよ。まだ一年生は仮入部の期間でしょ?だったら無所属の二年生だって仮入部で受け入れてくれる部活があるかも!」

歩夢「ほ…本気~!?」
 
210: (しうまい) 2020/10/28(水) 22:54:23.06 ID:1GNfDKmM
『虹ヶ咲学園 部室棟 案内図』


侑「ほんとに色んな部があるね。どう、歩夢。やってみたい部活ある?」

歩夢「え、ええ……」

歩夢「スポーツはさけたい、かな…」

侑「私も。スポーツやる心構えできてないからいきなりはハードル高いもんね。あ、でもダンスとかだったら楽しそうじゃない?」

歩夢「ひ、人前で踊るなんて恥ずかしくて無理だよ…!」

侑「えー、そう?歩夢のダンス可愛くていいじゃん。よく踊って見せてくれたやつ、あの日曜日にやってたアニメのオープニングのダンスとかさ~」

歩夢「も、もうっ!変なこと思い出さなくていいから!」

侑「朝のお返し~」ニシシ
 
213: (しうまい) 2020/10/28(水) 23:01:39.06 ID:1GNfDKmM
侑「文化系のとこは同好会の方が多いみたいだね。部活より同好会の方が気軽に覗けるかなー」ウーン…

歩夢「侑ちゃんはどうしてそんなにアクティブなの…」

侑「………ん、これとかどう!?」

歩夢「えー、どれ…?」


どこに行く? >>214
1.ライトノベル研究同好会
2.ゲーム同好会
3.映画研究同好会
4.スクールアイドル同好会
 
214: (茸) 2020/10/28(水) 23:02:05.67 ID:6c/aeEbf
3
 
215: (しうまい) 2020/10/28(水) 23:07:34.46 ID:1GNfDKmM
映画研究同好会


侑「こんにちはー」

部員「ん?見学ですか?」

侑「はい、どんなことやってるのかなーって気になって!いいですか?」

部員「もちろんいいですよ。後ろの人も?」

歩夢「あ、は、はい。付き添いで…」

部員「せんぱーい、見学したいって二人来ましたー」

先輩「えっほんとに!?やったー、大歓迎大歓迎!ささ、こっち来てこっち来て」グイグイ

侑「おー、文化部なのに積極的だな~」

歩夢「ゆ、侑ちゃん、大丈夫かな?無理やり入部させられたりしないかな?」

侑「面白そうならいいんじゃない?」

歩夢「そんなあ!」
 
216: (しうまい) 2020/10/28(水) 23:12:24.93 ID:1GNfDKmM
侑「映画って観る方ですか?撮る方ですか?」

先輩「どっちもやるよ。部員によって関心があることが違うから、だいたいグループに分かれてそれぞれやっちゃってるかな。たまにお互いのグループがどんなことやってるか意見交換したりするけどね」

侑「へー。先輩はどっちですか?」

先輩「私は断然撮る派!」

先輩「元々は洋画が好きでたくさん観てたんだけど、ここで邦画と見比べるってことをやってるうちに、カメラワークとか演出の違いに興味が出てきちゃってね。やってみたらこれが奥深くて面白くて!」

侑「お~っ、なんか面白そう!」

先輩「キミぃ!話がわかるねえ!」バシバシ

侑「いやー、好きなことがある人のお話って聞いてて楽しいんですよね」
 
217: (しうまい) 2020/10/28(水) 23:17:15.91 ID:1GNfDKmM
部員「あなたは映画よく観ますか?」

歩夢「え、どうだろう。その、お休みの日とか…あの子と出かけて面白そうなのやってたら観ることもあります、けど…」

部員「金曜日の夜とかは?」

歩夢「あ…ああ、それは気になるやつだったら家族と観ます」

部員「ちなみに今日のやつはオススメですよ」

歩夢「そうなんですか?観てみたいなって思ってたやつなので、ぜひ観てみます」

部員「うんうん、充分映画好きって言えそうですね」

歩夢「そ…そうですか…?」

部員「映画はドラマと違って観るのが疲れるからって、遠ざけちゃう人も多いんですよ。一本が長いからそう感じるのかもしれないけど、物語を二時間程度の尺にしっかり収める技術って結構すごいことなんですよ」

歩夢「へ、へえ…もう少し聞いてもいいですか?」

部員「もちろん!私のオススメの映画はねー…」
 
218: (しうまい) 2020/10/28(水) 23:22:46.84 ID:1GNfDKmM
部員「…………わ、結構話し込んじゃった。時間平気ですか?」

歩夢「あ、はい。時間は全然。そういう視点で映画を観たことってないから、とっても面白かったです。ありがとうございました」

部員「話聞くの上手ですね。すっかり熱くなっちゃった」

歩夢「うふふ…いっぱいお話ししてくれる子とずっと一緒に育ってきたので。そういえば侑ちゃんは…」キョロ


侑「どうですか?」

先輩「……うん。なかなかいいカメラワークだね、初めてやってこれってセンスあるよ!ぜひうちでカメラマンやらない?なんでも教えるよ!」

侑「カメラマン…!」パァ

先輩「いい響きでしょ?カメラマン高咲」ポン

侑「カメラマン──高咲──……!!」パァァ

侑「ぜひっ明日からよろしくお願い

歩夢「しません!!!」


映画研究同好会で楽しく過ごしました! ▼
 
220: (茸) 2020/10/28(水) 23:29:01.36 ID:s/3NJQ6e
今日はここまで。

カレンダーは今年のものを使用しています、自分のメモとして書いたものなので雑ですが。
%title%【ギャルゲ風安価SS】>>3「また一年が始まる」【ラブライブ!虹ヶ咲】

 
221: (茸) 2020/10/28(水) 23:36:19.31 ID:G/SQ/9Zy
>>220
すげえ 次回も期待してます
 
225: (しうまい) 2020/10/29(木) 20:23:26.06 ID:U4GbLs53
翌朝…


侑「んー…」モゾ


お休みの日は、だいたいいつも同じくらいの時間に自然と目が覚める。

そこから二度寝するか起きて活動するか選べるからなかなか勝手がよくて助かるんだよね。

カーテンの隙間から細く射す朝日、無音の自室がなんとなく物足りなくて歩夢専用の着信音を小さな音で鳴らしてみる。

──♪……

うん、やっぱりこれを聞くと朝って感じがするな。


どうしよっかな? >>226
1.二度寝しちゃおう
2.歩夢と過ごす
3.一人で過ごす
4.お出かけしてみる(お台場、公園、お買い物から選択)
 
226: (茸) 2020/10/29(木) 20:27:43.25 ID:0REdIrh0
4 公園いこうぜ!
 
227: (しうまい) 2020/10/29(木) 20:33:06.54 ID:U4GbLs53
──♪……

この曲、なんの曲だったかなぁ。

気づいたら歩夢専用の着信音にしてて、それからはほとんど毎日聴いてるんだよね。

歩夢に肩をゆすられてるような心地よさがあって、起きなくちゃって思うのに、このままずっとまどろんでたいって気持ちも強くて…


侑 ウト…

侑 …ハッ

侑 ブンブンブンッ

侑「起きよ!」バッ


二度寝できるのは休日の特権だけど、朝から昼に変わっていく時間をゆっくり楽しめるのだって休日の特権だもんね。

今日はそっち!
 
228: (しうまい) 2020/10/29(木) 20:39:51.29 ID:U4GbLs53
侑「ちょっと出かけてくる~」


すでに起きてたお母さんと話しながら朝ごはんを済ませて、食後のお散歩がてら出かけることにする。

昨日の夕方に止んだ雨の面影はすっかりなくなって、入れ替えたばっかりのような清々しい空気が全身を包んでくれる。


侑「んー、気持ちいーなー」ノビー

侑「…ちょっとだけ走ってみようかな」


ただの気まぐれ。

この空気をもっと思い切り味わいたい、なんてふと思ってしまえば、考えるよりも先に足が動き出す。
 
229: (しうまい) 2020/10/29(木) 20:44:33.50 ID:U4GbLs53
ジョギングやランニングなんて言うのもおこがましいくらいの気ままな足取りをお台場に残してみる。

日頃から運動といえば体育の授業くらいのもので、控えめな朝ごはんで蓄えたエネルギーなんかすぐに使い果たしてしまう。

地面が芝生に変わった辺りで、足は止まってしまった。
 
231: (しうまい) 2020/10/29(木) 20:53:53.07 ID:U4GbLs53
潮風公園


侑「久し振りに来たな、ここ」


適当な散歩はぐるりと回って、海辺の公園に落ち着いた。

昔はお母さんにサンドイッチを持たされて歩夢とよく遊びにきたっけ。

帰りがけに通ることはあってもなかなか足を止めて散策することはなくなってしまった。

せっかくだしのんびり歩いて回ろうかな。
 
232: (しうまい) 2020/10/29(木) 20:59:16.45 ID:U4GbLs53
桜の木に囲まれた広場、その端を歩いてみる。

土曜日の午前中ということもあってそこそこ賑わっていて、子供達が元気に走り回っている。

そんな様子を眺めていると、


女の子「このはっぱかわいい!もっていこ!」

男の子「この石もかっこいいよ!」

侑「…?」


一生懸命に葉っぱや石をかき集める子供達に遭遇した。

持っていく…?
 
233: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:02:58.20 ID:U4GbLs53
なんとなく気になって傍で見ていると、女の子に発見されてしまった。


女の子「おねえちゃんもあそぶ?」

侑「えっと、なにやってるの?」

男の子「ふわふわにかざりつけするんだよ!」

侑「ふわふわに飾りつけ…?」

女の子「はい、たんぽぽあげる!」っタンポポ

侑「あ、ありがとう」

女の子「いこー!」グイ

侑「わわっ」
 
234: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:09:21.14 ID:U4GbLs53
女の子に手を引かれて辿り着いたのは、木が密集して立つ木陰だった。

私の記憶ではここに面白いものなんかなかったと思うんだけど…


女の子「みてー、ふわふわ」

侑「ふわふ………わ…?」


木陰にぽつんと置かれたベンチ、そこには確かにふわふわしたものがあって、でもそれ…


侑「人、だよね…」


ふわふわ、それはベンチいっぱい使ってすやすやと眠る女の子の髪──のこと、だと思う。
 
235: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:10:51.86 ID:U4GbLs53
男の子「石はここ!」サクッ

侑「なにやってるの!?」


戸惑う私をよそに男の子は手に持った石を、あろうことかその子の髪に刺した。


女の子「はっぱはここ!」サクッ

侑「また刺した!?」


続いて女の子までも。

よく見ると髪にはその他にもたくさんの石や葉っぱ、花が刺さっている。

飾りつけってこのこと…?
 
236: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:14:51.21 ID:U4GbLs53
侑「……って、だめだよ!人の髪に葉っぱ刺したりしちゃ!」


慌てて駆け寄って、髪に埋もれつつある自然物を一つひとつ取り除いていく。


女の子「えー、なんでとっちゃうのー」

男の子「せっかくかざりつけしたのにー」

侑「こ、このふわふわは飾りつけしちゃだめなやつなんだよ。ごめんね」

女の子「そうなのー?」

男の子「つまんなーい」


自慢の飾りつけをみんな剥がされて面白くなくなったのか、女の子達はすぐにどこかへ行ってしまった。

後には、髪がすっかりぼさぼさになった眠る女の子と私だけが残る。
 
237: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:17:55.91 ID:U4GbLs53
なんでこの人、こんなところで寝てるんだろう。

髪にあれだけいたずらされたのに起きなかったみたいだし、一体…

まさか死んでる…?なんてこと、ないよね…


侑「あのー、お姉さん。具合でも悪いんですか?」トントン

??「んん~……」


あ、よかった。

さすがに生きてはいるみたい。
 
239: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:23:18.51 ID:U4GbLs53
??「ふわぁぁあ…」

侑「えっと、おはようございます…?」

??「うん、おはよう。気持ちのいい朝だねぇ」

侑「もうギリギリお昼のような気もしますけど…」

??「え~ほんと?今何時?」

侑「十一時前、ですね」っスマホ

??「うわ、寝過ごしちゃった…」

侑「お姉さん、いつからここで寝てたんですか?まさか昨日の夜から…?」

??「ううん、さっき。お買い物に来たんだけどちょっぴり早かったみたいでどこも開いてなかったから、お昼寝してたんだよね~」

侑「お、お昼寝…ですか…」
 
241: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:27:54.56 ID:U4GbLs53
??「う~ん…」

侑「…」

??「じゃあお昼まで寝ちゃおうっと」モゾ…

侑「!?」

侑「いや、待って待って!寝直すのは違うんじゃないですか!?」

??「だめなの…?」

侑「だめっていうか、一応ここ公共の場所ですし…また子供達にいたずらされますよ」

??「いたずら?」

侑「えっと、髪が…」

??「…?」ペチペチ

??「随分ぼさぼさになってますなぁ」

侑「葉っぱとか刺されてましたから…」

??「まじか」
 
242: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:32:11.64 ID:U4GbLs53
??「まあいっか、今日は遥ちゃんに整えてもらったわけじゃないもんね。仕方ない、起きよう」ンーッ

侑 (なんだかのんびりした人だなぁ…)

??「キミがすやぴタイムを守っててくれたんだよね」

侑「守ってたって言うほどなにもしてませんよ」

彼方「いやいや、ありがとね。私は近江彼方、彼方ちゃんって呼んでくれていいよ~」

侑「彼方ちゃん。私は高咲侑だよ」

彼方「侑ちゃんね、覚えた覚えた」ウム
 
243: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:37:39.08 ID:U4GbLs53
彼方「ところで侑ちゃんはこの辺の人?」

侑「うん、そうだよ。家も近所」

彼方「なるほどなるほど、これは運命の導きとやらですな」

侑「え?」

彼方「寝過ごしちゃった彼方ちゃんのために、お買い物に付き合ってもらうということなのだよ」

侑「え?そうなの?」

彼方「そうなの」コク

侑「そうなら、まあ、仕方ないね」

彼方「そう、仕方ないんだよ。それじゃ行こっか、オススメのお店教えてね」ヨッ

侑「幼馴染みとよく行くとこ覗いてみよっか。それにしても商業エリアからそんなに近くないのに、よくこんなとこまで来たね」

彼方「彼方ちゃんはお昼寝のためならどこへでも行くからね~」

侑「場所は選ばないとだめだよー」
 
244: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:43:15.06 ID:U4GbLs53
お買い物中…


侑「彼方ちゃんはなにを買いにきたの?」

彼方「遥ちゃんの入学のお祝い」

侑「遥ちゃんってさっきも言ってたね、友達?」

彼方「ううん、妹だよ。とっても可愛くてとっても頼りになるいい子なの~」ウットリ

侑「へー!わざわざ妹の入学祝いを買いにくるなんて、いいお姉ちゃんだね」

彼方「ちっちっち、遥ちゃんのためなら彼方ちゃんはどこへでも行くのだよ」

侑「お昼寝に対するのと同じスタンスでは…」

侑「ん?遥ちゃんの入学って、中学?高校?」

彼方「高校だよ。なんとあんなにちっちゃかった遥ちゃんが高校生になったの…!」

侑「あれ、じゃあ彼方ちゃんは…」

彼方「ん~?あ、学年?三年生だよ~」

侑「年上だあ!!」
 
245: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:47:30.34 ID:U4GbLs53
彼方「お、そうなんだ。侑ちゃんは何年生?」

侑「私は高二です…あわわ、勝手に同い年だと思い込んで話しちゃってた」

彼方「いいよいいよ、あんまりそういうの気にしないから。それよりも今さら敬語とか使われちゃう方が寂しいからヤだな」

侑「そ、そう…?彼方さん…」

彼方「もー、彼方ちゃんって呼んでって言ったじゃん。さんって呼んだら反応しなーい」プゥ

侑「わわ、ごめんごめん!彼方ちゃん、ねっ」

彼方「んへへ、それでよーし」ナデナデ

侑「うう、なんか調子狂っちゃうなぁ…」//

彼方「それじゃ一緒に遥ちゃんが喜びそうなもの選んでね。責任重大だよ侑ちゃん~」

侑「が、頑張るよ…!」


彼方とお買い物をしました! ▼
 
246: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:53:03.24 ID:U4GbLs53
夜…


侑「ふえ~」ボフッ


お風呂から上がってベッドに倒れ込む。

彼方ちゃん、あんな風なのに結構パワフルだったな。

結局夕方近くまで付き合って、その間ずっと熱心にプレゼント見比べてたもん。

遥ちゃんが原動力になってるのかな。

私は一人っ子だからわかんないけど、だとしたら…姉妹っていいなぁ。


侑「…歩夢は姉妹みたいなものかも」


歩夢とだったら…

私の方がしっかりしてるからお姉ちゃんだよね!
 
248: (しうまい) 2020/10/29(木) 21:59:31.05 ID:U4GbLs53
翌朝…


侑「…」

侑「……」

侑「………」

侑「…なんか、すごくお腹空いてる…」


どうしよっかな? >>249
1.一人で過ごす
2.歩夢と過ごす
 
249: (とばーがー) 2020/10/29(木) 22:01:06.19 ID:USazbkSX
2
 
250: (しうまい) 2020/10/29(木) 22:05:21.04 ID:U4GbLs53
歩夢の部屋…


侑「あーゆむー」ガチャ

歩夢「おはよう侑ちゃん。お腹空いてそうな声だね」

侑「えっわかる!?」

歩夢「わかるよー、侑ちゃんわかりやすいもん」フフッ

歩夢「朝ごはん食べなかったの?」

侑「食べなかった…!!」ギリリ

歩夢「そんな顔するくらいなら食べたらいいのに…」

侑「歩夢とランチ行こうと思ってさ。朝ごはん食べちゃった?」

歩夢「食べたけど、お昼なら全然大丈夫だよ。なにか食べたいものあるの?」


食べたいものは… >>251
1.ラーメン
2.もんじゃ焼き
3.コッペパン
 
251: (星の眠る深淵) 2020/10/29(木) 22:07:41.53 ID:8BN15JnU
1
 
252: (しうまい) 2020/10/29(木) 22:14:48.04 ID:U4GbLs53
歩夢「ラーメン?」

侑「うん!朋也のせいでこの前からずっとラーメン食べたくて仕方なかったんだよ!」

@cメ*◉ _ ◉リ「え、誰?」

侑「お父さんから美味しいって評判のお店教えてもらったからさ、ね、行こ!ラーメン!」

歩夢「いいよ。滅多に食べることないもんね」

侑「やったー!さすが歩夢!」イェイッ

侑「お父さんの職場の近くだから電車に乗るんだけど、十一時くらいに出発しよ」

歩夢「わかった。じゃあ出発するまで──」

侑「ゲームでもする?」

歩夢「課題、まだだよね」ニコッ

侑「い──今すぐ出発するッ!!」

歩夢「だめでーす」クスクス
 
253: (しうまい) 2020/10/29(木) 22:17:01.49 ID:U4GbLs53
電車で移動中…


侑「まさか日曜日の午前から課題やることになるなんて…」ヘロヘロ

歩夢「もう、そんなこと言って。午後になったらなったでやる気出さないじゃない」

侑「だってー」

歩夢「でもちゃんと終わらせて偉かったね。これできっとラーメンももっと美味しくなるよ」

侑「だよねだよね!頑張ったもん!あ~、楽しみだなー!」

歩夢「ゆ、侑ちゃん。ここ電車の中だから…」

侑「うわ、ごめん…」//
 
254: (しうまい) 2020/10/29(木) 22:19:13.06 ID:U4GbLs53
ラーメン屋


侑「うわー、めっちゃいい匂い!」

「いらっしゃい!」

侑「二人、いいですか!?」

「おう、もちろんでい!座んな座んな!」

侑「歩夢、こっちこっち!」

歩夢「し、失礼しますっ」
 
255: (しうまい) 2020/10/29(木) 22:23:22.99 ID:U4GbLs53
歩夢 ソワソワ

侑「あの、私達ラーメンってあんまり慣れてないんですけどどうしたら…」

「うちのイチオシは塩だぜ!迷ってんなら塩食いな、塩ォ!」

侑「塩ラーメンかぁ。じゃあ私それ!歩夢は?」

歩夢「わ、私も同じの下さい」

「麺は固いのとやわっこいのとどっちにするよ!?」

侑「えー、悩むな。オススメはなんですか?」

「そりゃもう固茹で一本よ!」

侑「じゃあ私それ!歩夢は?」

歩夢「わ、私も同じのお願いします」

「おうよ!待ってな!」

侑「楽しみだね、塩ラーメン」

歩夢「勢いがあってなんだか怖いよ…」

侑「ラーメン屋さんなんかみんなこんなもんだって!」
 
256: (しうまい) 2020/10/29(木) 22:27:46.06 ID:U4GbLs53
「塩お待ち!!」

塩ラーメン ドンッ

侑「うわー、来た~!スープきらきらしてる!」

歩夢「美味しそう…」

「冷めないうちに食いな!火傷しねえように気をつけて食いな!」

侑「いっただっきまーす!」

歩夢「いただきます」

侑 ズズズーッ

侑「…………うま!!すごく美味しいです!」

「だろ!豪快にすすって繊細に噛み締めて、一気にスープを飲み干しちまいな!」

侑「はいっ!!」
 
257: (しうまい) 2020/10/29(木) 22:29:56.94 ID:U4GbLs53
侑 ズズズーッ

侑「ラーメンはまっちゃいそうだなぁ…!ね、歩夢──」チラッ

歩夢 フーッ フーッ フーッ

歩夢「…あつっ」

歩夢 チュルチュル…

歩夢 モクモクモク…

歩夢「おいしい…!」

侑「…」

「…」

歩夢 フーッ フーッ フーッ…

歩夢 チュルチュル…

歩夢 モクモクモク…

歩夢「はふ、はふ…」

侑 (なんか可愛いなーーーー!!)

(うちのラーメンそんな可愛く食う奴があるかバカヤローーーー!!いつでも来な!!)


歩夢とラーメンを食べました! ▼
 
272: (しうまい) 2020/11/02(月) 19:55:02.76 ID:Eqy87x5I
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


月曜日が好きじゃない人ってどれくらいいるんだろう。

私は歩夢の音で起きるあの瞬間、歩夢と学校に行くこの時間、それに学校だって毎日どんなことがあるのか考えるだけでわくわくするから好きだな。

お休みの日はお休みの日の、学校の日は学校の日の、それぞれいいことや楽しいことがある。

今日はなにがあるかな!


歩夢「そうだ、侑ちゃん」

侑「なに?」

歩夢「今日数学の小テストだけど復習した?」

侑「……学校なんかだいっきらいだー!」

歩夢「えっ…ええ!?」
 
273: (しうまい) 2020/11/02(月) 19:57:36.43 ID:Eqy87x5I
お昼休み…


侑「うへー…」グテ


なんとか小テストは乗り切れた。

昨日課題をやりながらところどころ歩夢が解説してくれてた部分がそれなりに出題内容と被ってたおかげだ。

歩夢もそれならそうと早く言ってくれたらテスト勉強くらい、………したかはわかんないけど…

とにかくお昼ごはん!終わったテストのことは忘れよう!


お昼はどうしようかな? >>274
1.中庭で食べる
2.教室で食べる
3.生徒会室を覗く
 
274: (SIM) 2020/11/02(月) 20:00:16.16 ID:Tw9FZEKq
1
 
276: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:06:02.35 ID:Eqy87x5I
中庭


侑「私の中庭だー!」タタタ

歩夢「もー、侑ちゃんってば。走ったら危ないよ」

侑 ワーイ タタタ…

歩夢 イソイソ…

歩夢「はい、準備できたよ。早く食べようよ」

侑「うん!」
 
277: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:07:40.90 ID:Eqy87x5I
「「いただきます」」

侑 モグモグ…

侑「ん、美味しい!」

歩夢「私の中庭ってなに?」

侑「え?ああ、や、深い意味はないんだけど久し振りの中庭で嬉しくなっちゃって」

歩夢「子供じゃないんだから、もう」

侑「子供と言えば」キョロ

歩夢「?」

侑「ごめんね」プチ

歩夢「花?がどうかしたの?」
 
278: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:10:25.53 ID:Eqy87x5I
侑「へへへ、よっと」サクッ

歩夢「きゃ!?な、なに…?」

侑「歩夢の髪にお花刺してみた~」ニッ

歩夢「な、なんで!?」

侑「うん、似合ってる似合ってる。可愛いよ」

歩夢「あ、ありがとう…って答えになってないよ!なんでお花刺したの!?」

侑「かっこいい小石も刺しとく?」ヒョイ

歩夢「い…石は絶対にイヤ!!」

侑「ちぇー」

歩夢「もー、取ってよぅ」

侑「はいはい、可愛いのに」スッ

歩夢「私はあなたがくれた髪飾りだけで満足だもん」
 
279: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:15:55.51 ID:Eqy87x5I
侑「それもずっと着けてるよね」

歩夢「だって侑ちゃんが初めてくれたものだもん」

侑「大切にしてくれるのは嬉しいけどすごく安いやつだし、そればっかり着けてたら他の髪飾りが寂しがっちゃうんじゃない?」

歩夢「値段とかじゃないの。侑ちゃんが私に似合いそうって想って買ってくれた、それがすっごく嬉しいんだよ」

歩夢「それに私、これ貰ってから自分で髪飾り買ったこと一回もないよ。だからいいの」

侑「あ、そうだったんだ」

歩夢「うふふ。ねえ、覚えてる?この髪飾りのおかげで怒られちゃったこと」

侑「あはは…覚えてるよ」
 
280: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:22:33.24 ID:Eqy87x5I
歩夢「この髪飾り、お使いのお金で買ってくれたんだよね」

侑「だったね~。お台場着く頃にはお使いのことなんかすっかり忘れちゃっててさ、色んなお店見て回ってるうちに『歩夢に似合いそう!』って見つけた髪飾り買っちゃったんだよね」

歩夢「私の家まで渡しにきてくれて、うちでお茶してたら侑ちゃんのお母さんが迎えにきて、」


──高咲母「もう、侑ったらやっぱりこっちにいた。歩夢ちゃんのところに行くのはいいけど、せめて一回帰ってきてからにしなさい」

──高咲母「ところでお使いは?」

──ゆう「ママ!見て、あゆむにかみかざりかったの!かわいいでしょ!」

──あゆむ「かわいい!」キラキラ

──高咲母「侑…?」


侑「歩夢が泣いて庇うからお母さんも困っちゃって、それ以上怒るに怒れなかったんだよね~」ケラケラ

歩夢「昔から変わらないんだから」フフッ
 
281: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:29:26.70 ID:Eqy87x5I
「「ごちそうさまでした」」

侑「この間はこの後にデザートのシュークリームが待ってたんだよね」チラッ

歩夢「今日はありませーん」

侑「ぶー」

歩夢「たまには侑ちゃんがなにか作ってきてくれたらいいのに」

侑「私は歩夢のお菓子を食べる専門だから!」

歩夢「分担が不公平じゃないかなぁ…」


ニャー


歩夢「あれ、今の声…」

侑「この間の猫かも!」


どうする? >>282
1.猫を探す
2.そっとしておく
 
282: (ぎょうざ) 2020/11/02(月) 20:32:00.42 ID:b6EZ3RLN
1
 
283: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:35:53.17 ID:Eqy87x5I
侑「よし」スクッ

歩夢「またいじわるするの?」

侑「一回もしてないじゃん!ちょっと探すだけだよ、歩夢もまた会いたいでしょ」

歩夢「会いたいけど怖がらせたくはないかな」

侑「無理やり近づいたりしないから大丈夫だって」

侑「茂みが多いから、どこにいるかわかんないな…」

侑「ルールルルル…」

歩夢「それ猫だっけ…?」


ガサ…


白猫「…」

侑「合ってた!」

歩夢「合ってるんだ…」
 
284: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:38:26.55 ID:Eqy87x5I
白猫 ジーッ

侑 ジーッ

白猫 ジーッ

侑「…今日は逃げないのかな…」

侑 ジリジリ…

白猫「!」ピクッ

白猫「…」

侑「驚きはしたみたいだけど、まだ逃げない…」

侑 ジリジリ…ジリジリ…

白猫「……」

歩夢「か、かなり近いよ侑ちゃん。怖がってない?」

侑「たぶんね。ほら、ずっとこっち見てるしきっと遊びたいんだよ」ジリジリ

歩夢「そうなのかな」ハラハラ
 
285: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:40:59.37 ID:Eqy87x5I
侑「…」

白猫「…」

侑「ニャ…にゃおーん…?」

白猫「…」

侑「無視は結構堪えるな…」

侑「だっこできるかな?」

歩夢「ど、どうだろう」

侑 ソッ…

白猫「!!」


シュッ


侑「ったぁ!」

歩夢「侑ちゃん!」

白猫 タタタッ

侑「あっ待って!」
 
286: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:44:12.87 ID:Eqy87x5I
侑「逃げられちゃった…」

歩夢「それより手、引っかかれたでしょ!?」タタタ

侑「ああ、うん。でも別に深い傷じゃないよ」

歩夢「それでもそのままにしておいたらだめだよ。私絆創膏持ってるから、洗いにいこ」

侑「うん、ありがとう。歩夢」

侑「次はだっこできるかなぁ…」

歩夢「引っかかれたのになんで諦めないの…」


歩夢と中庭で過ごしました! ▼
 
287: (しうまい) 2020/11/02(月) 20:53:40.01 ID:Eqy87x5I
放課後…


私、考えたんだ。

次はお弁当に魚を入れておけばいいんじゃないかって。

魚をほぐして置いておいたら猫がつられて出てくるでしょ?

それで、夢中で食べてる間に後ろからだっこする。

この作戦なら完璧だ。

…でも、せっかくのお弁当を猫にあげちゃうの、もったいないなぁ…


これからどうしよっかな? >>288
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(屋上、部室棟、保健室、お台場から選択)
 
289: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:04:44.69 ID:Eqy87x5I
侑「…」

歩夢「侑ちゃん、帰り支度終わった?私もう帰れるよ」

侑「歩夢。私、ずっと猫のこと考えてたんだけど」

歩夢「まだ考えてたんだ…」

侑「引っかかれたことを意識し過ぎて、今さらじわじわ痛くなってきた」

歩夢「ええっ傷が!?大丈夫!?」

侑「ちょっと保健室に行って消毒してもらってくるよ」ガタ…

歩夢「私も行くよ」

侑「平気平気、すぐ戻るから歩夢は課題でもやって待っててよ」

歩夢「侑ちゃん…」

歩夢「先に終わったとしても、見せないからね?」

侑「教えてはくれるよね!?」
 
290: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:08:25.10 ID:Eqy87x5I
保健室


ガラ


侑「失礼しまーす」

侑「あれ、先生いないな…」

侑「うーん、この辺の棚って勝手に触ってもいいのかな。いいとしてもどれをどうすればいいのかわかんないや」

侑 ムムム…

侑「少し待って先生来なかったら、いいや。歩夢に来てもらおうっと」

侑 ブラブラ…


ガラ


侑「! あ、先生──?」

「ん~?」
 
291: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:13:25.87 ID:Eqy87x5I
彼方「あれ、その声は…侑ちゃん?」

侑「彼方ちゃん!なんでニジガクに…っていうか、眠りながら歩いたら危ないよ!」

彼方「さっきまでは起きてたんだけどね、あと一歩間に合わなかったよ…」フラ──

侑「いや間に合ってる間に合ってる!ベッドすぐそこだから、あと五秒頑張ってよ!」

彼方「ところで侑ちゃん、保健室でなにしてるの?」

侑「ちょっとケガしちゃって、先生待ってるところなんだ」

彼方「担任持ってない先生達は今職員会議やってるから、しばらく来ないと思うよ~」

侑「え、そうなの?困ったな、それじゃ歩夢に来てもらうか…」

彼方「む、軽いケガなら彼方ちゃんが手当てしたげるよ。座って座って~」
 
292: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:20:26.08 ID:Eqy87x5I
彼方「絆創膏はがすよ~」ペリ

彼方「なるほど、猫と遊んでてやられましたな?」

侑「わ、よくわかったね。だっこしようと思って手を伸ばしたら引っかかれちゃって」

彼方「高校生にもなってやんちゃだなぁ」カチャカチャ

侑「彼方ちゃん、応急手当てとかできるんだ。すごいね」

彼方「ん~、まあね。先生がいなくてもケガ人は来ちゃうから、誰かができなくちゃいけないことだしねぇ」

彼方「ちょっとしみるぜ、お嬢ちゃん」チョイチョイ

侑「ぅ…!」

彼方「絆創膏貼るよ。………はい、動物と遊ぶのはいいけどほどほどにね」

侑「ありがとう、彼方ちゃん!」
 
293: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:24:17.49 ID:Eqy87x5I
彼方「ふわぁぁ…」

侑「今日もおねむ?」

彼方「彼方ちゃんはおねむじゃないことの方が珍しいのだよ」

侑「っていうか彼方ちゃんニジガクの生徒だったんだね」

彼方「そう言う侑ちゃんもね。あんなに長い時間一緒にお買い物してたのに、そんなこと全然お話ししなかったもんね~」

侑「彼方ちゃん、遥ちゃんのお話ばっかりだったもんね。そういえばプレゼントは喜んでくれた?」

彼方「喜んでくれたよぉ!」

彼方「それで、『お礼に』って、えへへ~昨日クッキー焼いてくれたんだよ。はあ……遥ちゃん天使過ぎか…♡」メロメロ

侑「よかったね!」
 
294: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:30:25.10 ID:Eqy87x5I
彼方「行きずりで会ったばっかりの彼方ちゃんにいっぱい付き合ってくれて、改めてありがとね」

侑「そんな、私も楽しかったよ」

彼方「これは侑ちゃんにもお礼をしないといけませんなぁ」

侑「えー、そんなのいいってば。あ、それじゃ遥ちゃんが焼いてくれたクッキーを何枚かくれるっていうのは」ジュルリ…

彼方「だーめ。それは彼方ちゃんがみんな食べるの、誰にも一枚もあげない~」

侑「むぅ…」

彼方「でも、そうだね。じゃ代わりに彼方ちゃんがなにか作ってきてあげるよ」

侑「ほんと!?」

彼方「うん。好きなもの言ってよ、だいたい作れると思うからさ」

侑「そ、そう言われると迷っちゃうな…」


なにを作ってほしい? >>295
1.クッキー
2.シチュー
3.お弁当
 
295: (SIM) 2020/11/02(月) 21:32:35.93 ID:SPsJUJI+
3
 
296: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:37:55.07 ID:Eqy87x5I
彼方「自慢じゃないけど、彼方ちゃんお料理は結構得意なんだよ。なんたってお料理を専攻してるくらいなんだもん」

彼方「シチューでもハンバーグでも、クッキーでもアップルパイでもいいよ。パンだって焼いちゃう~」

侑「お弁当がいい!」

彼方「…お?」

侑「彼方ちゃんのお弁当食べたいな!」

彼方「ほう、料理名じゃなくてそう来ましたか。これはさすがの彼方ちゃんも予想してなかったなぁ」

侑「あ、あれ。だめだった…?」

彼方「んーん、いいよ。好きなもの言ってって言ったの彼方ちゃんだからね。明日でいい?」

侑「うん!楽しみにしてるよ!」

彼方「侑ちゃんは食欲に正直ですな。そういう子好きだけどね~」
 
297: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:41:52.19 ID:Eqy87x5I
彼方「じゃ明日のお昼休み、ここでお昼ごはんにしよっか」

侑「保健室でお昼ごはん食べるのっていいの?」

彼方「いいんじゃないかな。なんにも言われたことないもん」

侑「そっか、じゃあいいんだね!やったー、すっごく楽しみだなー!」

彼方「そこまで楽しみにされると腕の振るいがいがあるねぇ。楽しみだからって朝ごはん抜いたりしてきちゃだめだからね」

侑「えへへ…はーい!」


彼方とお昼ごはんの約束をしました! ▼
 
298: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:48:43.67 ID:Eqy87x5I
夜…


侑「お母さん!明日は私、お弁当いらないから!」

高咲母「あら、そうなの?」

侑「そうなの。ふふん、なんでかっていうとね──」

高咲母「五百円くらいで足りる?」

侑「購買じゃなくて!」

高咲母「…」エット…

高咲母「侑も、大人になったのね──」フッ

侑「違うよ!明日からは自分で作るとかじゃないからね!?明後日は作ってね!?」

高咲母「わからないことは聞いてね。包丁と火の扱いには気をつけるのよ」

侑「お母さん!待って、見捨てないで!!」
 
300: (しうまい) 2020/11/02(月) 21:56:51.02 ID:Eqy87x5I
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


お母さん以外の人にお弁当を作ってもらうなんて滅多にないからすごく楽しみだな。

夏休みの課題で歩夢とお互いにお弁当の作り合いっこしたことはあるけど、それとはちょっと違うもんね。

あのときは、交換するのが申し訳ないくらい出来に差があって悲しくなったっけな…


侑「そうだ、歩夢。今日ちょっと人とお昼ごはん食べることになったんだ」

歩夢「ぇ…………………………………」

歩夢「エマ先輩?果林先輩とか?わ、私もお話ししたいし一緒に…」

侑「ごめん、歩夢の知らない先輩なんだよね。お弁当作ってきてもらうことになってるから、余計な気を遣わせちゃうといけないから今日は別々に食べよ!」

歩夢「…………………………そう、なんだ………」
 
301: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:03:26.71 ID:Eqy87x5I
休み時間…


侑「あれ?歩夢いないな」キョロキョロ…

歩夢「侑ちゃん、購買で、美味しそうなお菓子買ってきたの!い、一緒に食べない?」ハァハァ…

侑「え?う、うん。なに歩夢、走ったの…?」

歩夢「うっううん、その、早く侑ちゃんにあげたくて!」エヘヘ

侑「そっか、ありがと歩夢。食べよっか」

侑 パク

侑「…ん、これ美味しいね!」

歩夢「だよねだよね!侑ちゃん絶対好きだろうなって思ったの。たくさん食べて!」

侑「歩夢も一緒に食べようよー」
 
302: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:05:08.28 ID:Eqy87x5I
次の休み時間…


歩夢「侑ちゃん!隣のクラスの子からお菓子貰ったよ、食べる?」

侑「え、また?せっかくくれたんなら食べよっか」

歩夢「うん!」

侑「でもお昼ごはんもあるから少しだけね」

歩夢「う、うん…少しでもいいから食べてあげよ」

侑「貰い物だもんね~」パク
 
304: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:07:53.76 ID:Eqy87x5I
その次の休み時間…


歩夢「侑ちゃん、すごく美味しそうなコッペパン見つけたんだよ。ほら、好きでしょ?食べて!」

侑「あはは、今日の歩夢なんか変だよ。ずっと食べ物のことばっかり話してるじゃん」

歩夢「そ、そうかな」

侑「あ、わかった。一緒にお昼ごはん食べられないから寂しいんでしょ。だから色んなもの一緒に食べようとしてるんだ」

歩夢「あ、あはは…」

侑「ありがと、でも今からコッペパン食べちゃうとせっかくのお弁当美味しく食べられないかもしれないから遠慮しとくよ。放課後にでも貰うね」

歩夢「そ、そっか…」
 
305: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:12:25.45 ID:Eqy87x5I
お昼休み…


侑「歩夢、それじゃ私今日は約束あるから行ってくるね──」

歩夢 モシャモシャモシャ…

侑「あれ!?それ、放課後くれるってコッペパン…」

歩夢「放課後にはもう必要なくなってるから、いいの。行ってらっしゃい」モシャモシャモシャ

侑「う、うん…」

歩夢「侑ちゃん」

侑「なに?」

歩夢「このコッペパンすっっっごく美味しいよ」

侑「ず、ずるいよー歩夢!!」
 
306: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:16:13.49 ID:Eqy87x5I
保健室


侑「あんな美味しそうなコッペパン、どこで見つけたんだろ。購買のやつじゃなかったよね。歩夢なんか変だったけど大丈夫かな…」トコトコ…


ガラ


侑「もう来てるかな?失礼しまーす」

彼方「やっほー」

侑「彼方ちゃん、こんにちは!」

彼方「こんにちは~」
 
307: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:19:11.84 ID:Eqy87x5I
彼方「お腹はバッチリ空かせてきたかね?」

侑「う、う~ん…どうだろう…」

侑「でも彼方ちゃんのお弁当朝からずっと楽しみにしてたんだよ!」

彼方「ちっちっち…」

侑「?」

彼方「昨日からだったでしょ」ニヤリ

侑「そうだったね。ねえ彼方ちゃん、早く早く!待ちきれないよ!」ピョンピョン

彼方「まーまー、そう焦りなさんな。そーれ、じゃじゃーん。彼方ちゃんのお手製べんと~!」サッ

侑「うわーーーーっ、おいしそーーーー!」パァァ
 
310: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:27:10.46 ID:Eqy87x5I
ごはんは鶏そぼろと玉子そぼろの二色構成。

おかずは生皮の春巻とレンコンの挟み揚げ、タコのウインナーにポテトサラダととっても豪華だ。


侑「こ、こんな丁寧に作ってくれたんだ」

彼方「そりゃあねぇ、お礼に作るお弁当でおてて抜き抜きするわけにはいかないよ~」

侑「これじゃ私の方がお礼貰い過ぎだよ」

彼方「今それ言う?」

侑「え?」

彼方「見た目でそんなこと言っちゃったら、食べてからが大変だぜい?」

侑「い──いただきますっ!!」

彼方「ゆっくり食べたまえよ」
 
314: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:32:49.84 ID:Eqy87x5I
侑「んーっ、ほんと!美味しいよ彼方ちゃん!最っ高!」パクパク

彼方「でしょでしょ。特に玉子のそぼろは彼方ちゃん秘伝のレシピで作ってるから一味違うよ」

侑「んん、そう言われてみたら食べ慣れた味と違うかも。なんだろう、お出汁…?」

彼方「ぴんぽんぴんぽーん、やー、よくわかったね侑ちゃん。砂糖を抑えてるのと、鶏そぼろと同じお出汁を混ぜてるんだよ。全体が引き締まってとっても美味しくなるんだから」

侑「春巻も美味しいよ!ん、これエビなんだ!」

彼方「タンパク質をお肉でばっかり摂ると飽きちゃうからね。エビなら食べごたえも栄養価もバッチリなのだ~」

侑「どれも美味し過ぎるよ~~~っ!」パクパク…

彼方「うむうむ、お口に合ってよかったよかった」
 
315: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:36:31.67 ID:Eqy87x5I
侑「…………ぷはーーーっ、食べた~」

彼方「いい食べっぷりだったねぇ。なんだか嬉しくなっちゃったよ」

侑「ごめんね、食べるのに夢中であんまりお話もしないで放ったらかしちゃった」

彼方「それだけ喜んでくれたってことだよね。なによりだよ~」

侑「いやー、なめてた!彼方ちゃんがこんなに料理上手だとは思わなかったよ!私の負け!」

彼方「知らぬ間に勝ってしまったぜ…」

彼方「ところで侑ちゃん、満足したかい?」

侑「満足満足、大満足だよ!」

彼方「そっか~、残念だなあ」

侑「────………!!」ピーン
 
316: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:40:53.19 ID:Eqy87x5I
侑「いや、まだ満足ではありません!彼方隊長!」

彼方「ほほう?」

侑「腹六分目といったところです!午後の授業をしっかり乗り切るためには、」

彼方「乗り切るためには?」

侑「なにか…愛情のこもった甘いものが必要かと!」

彼方「………キミのような勘のいい子は好きだぞぅ」

彼方「ではでは、とくと味わいたまえ。デザートに彼方ちゃんの手作りシフォンケーキ~」サッ

侑「やったーーーっ!!食べる食べるー!」

彼方「コーヒー淹れるから先に食べててね」カチャ

侑「それ彼方ちゃんの?」

彼方「ううん、保健の先生のだよ~」

侑「………なんでもいっか!いっただっきまーす!」


彼方とお昼ごはんを食べました! ▼
 
317: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:44:07.68 ID:Eqy87x5I
放課後…


歩夢「侑ちゃん、帰るよ」ニコッ

侑「あ、準備早いね。………おっけー、私も帰れる!」

侑「今日はどこに寄り道して

歩夢「どこにも寄り道しないでまっすぐ帰ろうね」ニコニコ

侑「たまにはそれもいいよね!帰ろー!」
 
318: (しうまい) 2020/11/02(月) 22:47:28.49 ID:Eqy87x5I
侑「歩夢、さっきのコッペパンどこのやつだったの?購買のじゃないよね?」

歩夢「侑ちゃんが知らない後輩に貰ったんだよ」

侑「えー、誰それ。歩夢、後輩に知り合いなんかいるの?」

歩夢「内緒でーす」

侑「むむーっ。今度は私もそのコッペパン買うときついていくからね!」

歩夢「いつ行くか決めてないから、毎日見張ってないとまた侑ちゃんがいないときに買ってきちゃうかもしれないよ」

侑「な、なんか今日の歩夢いじわるだー!」

歩夢「うふふ、そんなことないよ♡」


歩夢と一緒に帰りました! ▼
 
325: (しうまい) 2020/11/03(火) 20:34:12.03 ID:SD1yqbf7
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


昨日の夜も散々もてあそばれたけど、なんとか今朝はお母さんにお弁当を作ってもらうことに成功した。

まさかこれから毎日あの闘いが続くんじゃ…いやいや、お母さんを信じよう。

でも彼方ちゃんもニジガク生だったなんてな。世間って広いようで狭いよね。


侑「あゆ

歩夢「今日はどこで一緒にお昼ごはん食べよっか?」

侑「え?そうだなー…」

侑「お昼の気分で決める!」

歩夢「もう、侑ちゃんってば気まぐれ屋さんなんだから~」ニコニコ
 
326: (しうまい) 2020/11/03(火) 20:38:16.21 ID:SD1yqbf7
お昼休み…


お母さんに彼方ちゃんの玉子そぼろの秘密を自慢してみた。

鶏そぼろと同じお出汁を入れたら味が引き締まって美味しくなるんだよ、って。

そしたら、そしたら、お母さんってば『そうなの。一人でお出汁とれるようになったらやってみなさいね』って笑ったんだよ!

ちくしょおおお……っ!


お昼はどうしようかな? >>327
1.教室で食べる
2.食堂で食べる
3.生徒会室を覗く
 
327: (ぎょうざ) 2020/11/03(火) 20:38:53.91 ID:fF60eDiv
3
 
328: (しうまい) 2020/11/03(火) 20:45:57.65 ID:SD1yqbf7
歩夢「侑ちゃん。天気いいけど、中庭に行く?」

侑「うーん、そうだなぁ…」

歩夢「あれ、中庭の気分じゃない?」

侑「そんなことないんだけど、他に人誘ってもいいかな」

歩夢「えっ」

歩夢「な、なんで…?」

歩夢「私と二人じゃ楽しくない……?」

侑「そんなわけないじゃん!ただ、ちょっと仲良くなりたい人がいてさ」

歩夢「仲良くなりたい人…」

侑「中庭行く途中、寄り道してっていい?」

歩夢「いいけど…」
 
330: (しうまい) 2020/11/03(火) 20:51:12.87 ID:SD1yqbf7
侑「これだけ広くて施設も多いと、なかなか目的の人に出会うのも難しいよね~」テクテク

歩夢「そうだね。私は侑ちゃん以外探したことないからあんまり感じないけど」

侑「私だったらすぐ見つけられる?」

歩夢「もちろんだよ。三箇所回るまでには絶対見つけられるって自信あるもん」

侑「えーほんと~?」

侑「じゃ今日の放課後やってみよっか!ニジガク隠れんぼ!」

歩夢「うふふ、いいよ」
 
331: (しうまい) 2020/11/03(火) 20:53:09.31 ID:SD1yqbf7
歩夢「ところで、ここに来たってことは──」


『生徒会室』


歩夢「仲良くなりたい人って、」

侑「そ!菜々ちゃん!」

歩夢「せ、生徒会長かぁ…」

侑「こんにちはー、菜々ちゃんいますかー?」ガラッ

歩夢「そ、そんなせめてノックくらいしなくちゃ!」
 
332: (しうまい) 2020/11/03(火) 20:58:04.38 ID:SD1yqbf7
菜々「!」

侑「あ、菜々ちゃんやっぱりいた。こんにちは!」

歩夢「こ、こんにちは…」オズ…

菜々「高咲さん。それに、上原さん」

菜々「生徒会にご用ですか?生憎、今は見ての通り私しかいませんが」

侑「やだなー、そんな堅苦しいのじゃなくて菜々ちゃんに会いにきたんだよ」

菜々「私に?」

侑「ね、一緒にお昼ごはん食べよ!中庭行こうと思ってたけど、こっちの方が落ち着くならここでもいいし!」

菜々「お昼、ですか」
 
333: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:01:04.22 ID:SD1yqbf7
菜々「そのお誘いで来てくださったのだと?」

侑「そうだよ!」

菜々 チラッ

歩夢 ビクッ

菜々「……」

菜々「………」

菜々「気持ちはありがたく受け取りますが、高咲さん」

侑「なに?」

菜々「まず、自分が自由な入退室を許可されている以外の部屋に入るときはノックをしましょう」

侑「ぁ…」

歩夢「ほ、ほらも~…!」
 
334: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:06:35.41 ID:SD1yqbf7
菜々「もちろんノックするだけではなく、入室の許可が出されるのを待つところまでですよ」

侑「あはは…早く菜々ちゃんとお話ししたくって。ごめんなさい」

菜々「会議の最中であったりさえしなければ生徒会室への入室を断ることはありませんが、最低限のマナーとして弁えておくことをお勧めしますよ」

侑「うん、わかった」

菜々「それとお昼ごはんのお誘いですが──」

侑「うん!ここと中庭とどっちがいい!?」

菜々「申し訳ないのですが、今日は遠慮させていただきます」

侑「えーっ、なんで…?」

菜々「……」
 
335: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:10:18.85 ID:SD1yqbf7
菜々「…実は諸事情により、少し早めに頂いたんです。つまりもうお昼は済ませてしまったので」

侑「わ、そうだったんだ。生徒会長って大変なんだね」

菜々「いえ、たいしたことじゃないですよ」

菜々「なのでもし──」

歩夢「…?」

菜々「もし、また機会があればお声掛けください」

侑「残念だけど食べちゃったんじゃ仕方ないよね。また誘うね!」

菜々「ありがとうございます」

侑「それじゃ行こっか、歩夢」

歩夢「う、うん。失礼しましたっ」ペコッ

侑「またね!」

菜々 ペコ…
 
336: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:15:01.77 ID:SD1yqbf7
中庭


歩夢「はい、侑ちゃんお弁当」

侑「え、くれるの?でも私お母さんが作ってくれたやつあるよ」

歩夢「そっちは私が貰っていい?」

侑「え~、なになに。別にいいけど、ほんとに交換するの?」

歩夢「うん。今日は私が作ったから、侑ちゃんに食べてほしいなって」

侑「これ歩夢が作ったの!?だったら私食べたい!交換成立ね!なんだー、それなら私も作ってきて交換した方が………いや、お母さんのでよかったな…」

歩夢「うふふ、味わって食べてね♡」


中庭で歩夢とお昼ごはんを食べました! ▼
 
337: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:19:10.85 ID:SD1yqbf7
放課後…


歩夢のお弁当、美味しかったなぁ。

前に食べた料理より美味しくなってた気がする。

美味しくなってたというか、私の好きな味になってたのかな。

歩夢もお母さんも彼方ちゃんも料理が上手ですごいな。

私も………私は、みんなの料理を残さず美味しく食べるからいいよね!
 
338: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:23:44.87 ID:SD1yqbf7
侑「さて」

侑「放課後になったので始めたいと思います、ニジガク隠れんぼ」

歩夢「ほんとにやるんだね」

侑「歩夢は教室で二十分待機して、その間に私がニジガク内のどこかに隠れる。二十分経ったら探し始めてね」

歩夢「途中で動くのはだめだよ」

侑「もちろん!私は正々堂々歩夢に…勝つ!」

歩夢「変なところでやる気になるんだから。それじゃ私は教室で待機してるね」

侑「隠れてくる!」タタタ…


どこに行こうかな? >>339
1.屋上
2.裏庭
3.部室棟
4.ライフデザイン学科
 
339: (茸) 2020/11/03(火) 21:24:05.86 ID:dt/gYMAM
1
 
341: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:31:13.17 ID:SD1yqbf7
侑「ニジガク広いんだもん、のんびりしてたら廊下の真ん中で時間迎えることになっちゃうよね。だからって歩夢がすぐ思いつくような場所じゃ見つかっちゃうし…」タタタ

侑「部室棟に行くのはどうだろう」ピーン

侑「同好会だけでも百個以上あるって言ってたし、適当な同好会の部室に匿わせてもらえばさすがに歩夢だって見つけらんないよね」ニヤリ…

侑「………いや、それはずるいか」

侑「なにがなんでも見つからないのが目的じゃないもんね。歩夢が早く見つけてくれなかったら私帰るまで一人ぼっちだし…」

侑「どこに行こうかなー」タタタ…
 
342: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:32:22.00 ID:SD1yqbf7
>>341
訂正


×侑「同好会だけでも百個以上あるって言ってたし、適当な同好会の部室に匿わせてもらえばさすがに歩夢だって見つけらんないよね」ニヤリ…

○侑「同好会だけでも百個以上あるって言ってたし、適当な同好会の部室に匿ってもらえばさすがに歩夢だって見つけらんないよね」ニヤリ…
 
343: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:34:35.16 ID:SD1yqbf7
侑「…」


『↑ 屋上』


侑「屋上、ありだな」

侑「屋上だってもちろんニジガク内だよね。屋内じゃないけど、敷地の中だし当然…」

侑「ふっふっふ~、歩夢は私のとこまで辿り着けるかな~」ルンルン


キィ──
 
344: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:38:18.11 ID:SD1yqbf7
しずく「──侑先輩…」ハッ

侑「あ、しずくちゃん」

しずく「お久し振りです。ちょうど一週間でしょうか」

侑「久し振り。そっか、ここ練習に使ってるんだったよね」

しずく「はい」

侑「>>345


1.しばらくここにいてもいい?
2.今日も演劇の練習してたの?
3.邪魔しちゃってごめんね!
 
345: (光) 2020/11/03(火) 21:38:40.16 ID:zUydTFr+
1
 
346: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:45:09.87 ID:SD1yqbf7
しずく「先輩、私、待ってたんですよ。ここに来てくださったということは今日も練習に──」

侑「ねえしずくちゃん、私しばらくここにいてもいいかな?」

しずく「え?はい、もちろん…」

侑「実は歩夢と隠れんぼしててさ、あ、歩夢この前会ったよね。幼馴染みなんだけど、私がどこに隠れても見つけられるって言うからちょっと試してみようってことになってね」

しずく「あ、そうなん…ですか…」

侑「あー、でもよかった。しずくちゃんがいて」

しずく「ど…どうしてですか?」ドキッ

侑「だって歩夢が来てくれるまで一人ぼっちかと思ってたんだもん。えへへ、しずくちゃんがいるなら退屈しないや」

しずく「…」
 
347: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:54:31.00 ID:SD1yqbf7
侑「そうだ、しずくちゃんがこの前やってた演劇、なんていうお話?私帰ってから調べようとしたんだけど、上手く検索できなくて」

しずく「!」

しずく「あれは大瀬夢見の『残り香』という作品です。そう有名なものではないんですけど、私は小さな頃から大好きなんです」

侑「そうなんだ!」

しずく「侑先輩、演劇に興味がおありですか?」

侑「うん、しずくちゃんの演技すごかったもん。興味出たんだよね」

しずく「で、でしたらぜひ…観にいきませんか!?」

侑「観る?って、演劇を?」

しずく「はい。どうでしょう、ちょうど日曜日に行く予定なのですが、ご一緒に…」
 
348: (しうまい) 2020/11/03(火) 21:59:38.30 ID:SD1yqbf7
侑「そうだなぁ」

しずく ドキドキ…

侑「うん、いいよ。行こっか!」

しずく「ほ…本当ですか!?嬉しいです!」パァ

侑「でも、へへへ…私演劇観るのって初めてだから、お供には物足りないかもしれないけど」

しずく「そんなことないです!同じ舞台を観てその時間を共有できるのってすごく貴重なことなので、楽しみです」

侑「色々と教えてね」

しずく「もちろんですっ」
 
349: (しうまい) 2020/11/03(火) 22:02:43.99 ID:SD1yqbf7
侑「あ、それじゃしずくちゃん。連絡先交換しておいていい?」

しずく「はい」

しずく「…………はいっ!?」

侑「え、だめ?待ち合わせの連絡とか、できた方がいいかなと思ったんだけど」

しずく「いえ!いえ!だめじゃないです!!」ブンブンッ

侑「よかった。今携帯持ってる?」

しずく「も、持ってます…」ゴソゴソ

侑「これでー……よしっと。いつでも連絡してね!なんてね」

しずく「た、大切にします…」//
 
351: (しうまい) 2020/11/03(火) 22:09:26.51 ID:SD1yqbf7
侑「じゃひとまずは日曜日だよね。時間とか場所とか帰ってからでいいから連絡ちょうだい」

しずく「わかりました」コク

侑「観にいくやつってどんなお話?」

しずく「実は、これも大瀬夢見の作品なんです。『ノスタルジア』という作品なのですが」

侑「へー、本当に大瀬夢見さんの作品好きなんだね」

しずく「はい。私が初めて触れた舞台もそうでしたから、とても大切な劇作家さんなんです」

侑「ストーリーは?どんなの?って、こういうのって観る前に聞いてもいいものなのかな」

しずく「全く知らないままで観るのと少し知識を入れてから観るのとでは、同じ舞台でも全く表情が変わるんですよ。そうですね、侑先輩は演劇自体が初めてとのことですから──」


キィ──


歩夢「いたいた、侑ちゃん」

侑「わ、歩夢」
 
352: (しうまい) 2020/11/03(火) 22:13:49.59 ID:SD1yqbf7
侑「えっと……隠れんぼ始めてから、二十五分くらい。ってことは…」

歩夢「ここかなと思ってまっすぐ来たよ。うふふ、大正解だったね」

侑「ほ……ほんとに!?歩夢すごくない!?」

歩夢「だから言ったでしょ、すぐに見つけられるって。私の勝ちだから帰りになにか奢ってもらっちゃおうかな──」

しずく「あ、こ、こんにちは。この間ぶりです」ペコッ

歩夢「あ、こんにちは」ペコッ

歩夢「…またこの子と一緒だったんだね」

侑「うん、屋上に来たらしずくちゃんがいてさ。また演劇の話してたんだよ」

歩夢「ふうん…」
 
354: (しうまい) 2020/11/03(火) 22:17:19.09 ID:SD1yqbf7
侑「そうだ、実はね。しずくちゃんと今度──」

しずく「!」

しずく「ゆ、侑先輩っ!私、今日はこれで失礼しますね!約束があるのを忘れてました!」

侑「わ、そうだったんだ。引き留めちゃったかな、ごめんね」

しずく「いえ平気です、お会いできてよかったです。本当に、今日お会いできて…」

侑「私もだよ。気をつけてね、また後で

しずく「また!今度!お話ししましょうね!!」

侑「う、うん。またね」バイバイ

しずく「歩夢先輩も、失礼します!」タタタ


キィ── バタン
 
355: (しうまい) 2020/11/03(火) 22:20:46.79 ID:SD1yqbf7
侑「しずくちゃん、いつも帰り際ばたばたしてるね」

歩夢「そうだね」

歩夢「ねえ、さっきなにか言いかけてたのって…」

侑「うわーっ、でも負けたー!」

侑「ほんとにこんなにすぐ見つかるなんて思わなかったよ、歩夢ってばほんとに私のことなんでもわかってるんだね!」

歩夢「も、もちろんだよ。だって幼馴染みだもの」//

侑「参っちゃったよ~、帰りアイスでも奢らなきゃだめかな。これは」

歩夢「いいの?やったあ!」

侑「高くないやつにしてね」

歩夢「どうしよっかな~」

侑「た…頼むよー!」


しずくと観劇の約束をしました!
しずくの連絡先を手に入れました! ▼
 
363: (しうまい) 2020/11/04(水) 20:45:33.12 ID:q+2CJKgz
翌朝…


──♪………

──♪………

──♪………

侑「んん…………?」モゾ…

侑「………」

侑「んはっ!!」バッ


慌てて枕元のスマホに手を伸ばし、着信音を止める。

いつもほどはすっきりしていない頭をなんとか持ち上げてよろよろとベランダへ。


侑「お、おはよう歩夢…」

歩夢「おはよう侑ちゃん。ちょっと遅かったね」

侑「なんか起きられなかったよ、ありがと」

歩夢「朝ごはんしっかり食べて、身体起こしてくるんだよ」スイッ

侑「はーい」
 
364: (しうまい) 2020/11/04(水) 20:48:33.60 ID:q+2CJKgz
侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


私は普段から寝るのが早い方じゃない。

ベッドに入って電気を消すのはそこそこ早いんだけど、そこからついスマホをいじって動画を観たりネット記事を読んだりしてるうちに日を跨いじゃうんだよね…

そのまま寝落ちしちゃって朝起きたら充電がかつかつなんてこともよくあって、よくないとは思ってるんだけどな。


歩夢「昨日も遅かったの?」

侑「うん、たぶん」

歩夢「寝落ちしちゃったんだ…」

侑「うん…」
 
365: (しうまい) 2020/11/04(水) 20:51:25.57 ID:q+2CJKgz
お昼休み…


まだ四月なのに今日はなんだか暑いな。

湿度が高い暑さじゃないから不快感はないけど、体育がなくてよかったって思っちゃう。

毎年のことなのに、夏が来たらどうなっちゃうんだろうって不安だなぁ…


どうしようかな? >>366
1.教室で食べる
2.一年生エリアに出かける
3.生徒会室を覗く
 
366: (茸) 2020/11/04(水) 20:53:01.08 ID:NXRmkko9
3!
 
367: (しうまい) 2020/11/04(水) 20:56:52.32 ID:q+2CJKgz
歩夢「侑ちゃん、お昼どうしよっか」ス

侑「外暑いかな?」

歩夢「暑いかもね。教室は窓を開けてれば風が通って気持ちいいけど、日差しも強そうだし…」

侑「お弁当、傷んでないかな」クンクン

歩夢「保冷剤入ってれば大丈夫だと思うよ」

侑「え?」ゴソゴソ…

侑「保冷剤入ってる!なんでわかったの!?」っ保冷剤

歩夢「これくらいの気温だったら侑ちゃんのお母さんは入れてくださるでしょ。昔からずっとそうじゃない」

侑「そうなんだ~」
 
368: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:01:22.70 ID:q+2CJKgz
歩夢「今日は教室で食べよっか」

侑「うん…」

歩夢「どこか行きたい?」

侑「ねえ、菜々ちゃん連れてきてもいい?」

歩夢「えっ」

歩夢「えっ、と…」

侑「やだ?」

歩夢「ううん、いやってわけじゃないの。でもなんだか緊張しちゃうから」

侑「そっか…菜々ちゃんってそんなに怖いかな?」
 
369: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:04:44.70 ID:q+2CJKgz
歩夢「うーん…笑ってお話ししてるところ見たことないからかも。ほら、集会とかで前に立つときもキリッとしてるし、この間だって私達がお昼ごはん食べ終わるまで黙々と机でなにかしてたし…」

侑「なるほど、わかったよ!歩夢!」

歩夢「え、なに?」

侑「菜々ちゃんが笑って話してくれるようになったら歩夢も怖くないよね、そしたら三人でお昼ごはん食べられるようになるじゃん!」

歩夢「え、うん…?」

侑「私が菜々ちゃんと仲良くなって、お話しするとき笑ってくれるようにしてみせるよ!」ガタ

歩夢「ゆ、侑ちゃん?」

侑「今日は菜々ちゃんと仲良くなってくるから!待っててね、歩夢!」タタタ

歩夢「え…ええ~、侑ちゃん!私、お昼ごはん一人なの~!?」

歩夢「………行っちゃった…侑ちゃん…」

香「一緒に食べよ、歩夢ちゃん」ポン

歩夢「ありがとう…」グスン
 
370: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:06:41.84 ID:q+2CJKgz
『生徒会室』


侑「菜々ちゃ──」ハッ

──菜々「自分が自由な入退室を許可されている以外の部屋に入るときはノックをしましょう」

侑「おっといけない、また怒られちゃうとこだったよ」ットト

コンコン

「開いています、どうぞ」

侑「失礼しまーすっ」ガラッ
 
371: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:10:48.53 ID:q+2CJKgz
菜々「高咲さん」

侑「こんにちは、菜々ちゃん」

菜々「こんにちは。どうかしましたか?」

侑「私がここに来る理由は言ったでしょ、菜々ちゃんとお昼ごはん食べたくてそのお誘いだよ!」

菜々「!」

菜々「………上原さんが、」

侑「今日は私一人だよ」ニコッ

菜々「へ。そ、そうなんですか?」

侑「うん。それとも、今日ももうお昼済ませちゃった?」

菜々「……いえ、今から頂くところです」

侑「だったら…!」

菜々「仕方がありませんね。わざわざこんなところまで来てくださったのに、断るわけにはいかないじゃないですか」フフッ

侑「やったぁ!!」
 
372: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:15:24.25 ID:q+2CJKgz
侑「いただきます!」

菜々「いただきます」

菜々「高咲さん、保冷剤を入れてきたんですか。偉いですね」

侑「うん、お母さんが入れてくれたみたい。菜々ちゃん、お弁当手作り?」

菜々「いえ、まさか。母が作ってくれたものですよ」

侑「そっか~。菜々ちゃんお料理うまそうだよね」

菜々「私も何度か自分で用意すると言ったんですけど、母が頑として首を縦に振らなくて」

侑「そうなの?私がそんなこと言ったらお母さん飛び跳ねて喜ぶと思うよ。高校卒業するまではなんとしても作り続けてもらわなくちゃ!」フンス

菜々「ふふ、なんですかそれは」

侑 (あ、笑ってくれた──)
 
373: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:18:56.55 ID:q+2CJKgz
侑「菜々ちゃん、お昼休みはだいたいここにいるって言ってたよね。生徒会長のお仕事ってやっぱり忙しいの?」

菜々「!」

侑「私に手伝えることがあるなら手伝いたいけど、頭よくないからなー。書類並べるとかならできるかもしれないけどね」ヘヘ…

菜々「…」

侑「あ、もしかしてお仕事しながらお昼ごはん食べるタイプとかだった?私、邪魔だったかな!?」

菜々「そっ、そんなことないです!邪魔なんかじゃありませんよ!」

侑「あ、そ、そう?それならいいんだけど…」
 
375: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:23:25.88 ID:q+2CJKgz
菜々「…今日は、どうして上原さんとご一緒じゃないんですか?」

侑「え。あー…」

侑「私が菜々ちゃん誘おうって言ったら、緊張しちゃうって言うから…」

侑「あ、でも違うんだよ。歩夢前から人見知りなところがあって、菜々ちゃんが特別どうとかってわけじゃなくてね──」

菜々「そういうこと、なんですよ」

侑「え…?」

菜々「私がいると、周りの人達はみんな緊張してしまうようなんです。授業中も、休み時間も、もちろんお昼休みも」

菜々「せっかくの和気藹々としたお弁当の時間が、近くにお堅い生徒会長がいると窮屈になってしまうんです。だから、私は皆さんと別々でお昼ごはんを取るようにしているんですよ。幸い、生徒会室という打ってつけの場所がありましたから」
 
376: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:28:04.91 ID:q+2CJKgz
菜々「どこかのグループに加われば緊張させてしまうし、かといって誰の輪にも加わらず一人でいては気を遣わせてしまいます」

菜々「でもお昼休みは生徒会室で過ごすので、と言えば皆さんどこかほっとしたような表情になるんです。生徒会の用事があるなら仕方ないよね、とでもいわんばかりに」

菜々「そうするのが皆さんにとっても私にとっても一番いいとわかってからは、ずっとこうしているんですよ──」

侑「………」

菜々「──って、すみません私ったら。こんな、愚痴のようなことを言いたかったわけではなくて。高咲さんは話しやすいので、ついこんなことを…」

菜々「だからですね、その、上原さんの感覚は間違っていないというか、当然の反応なので正しいのは上原さんで…」

侑「私、菜々ちゃんといて緊張するとか思ったことなんかないよ?」キョトン

菜々「ぁ…」
 
377: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:30:47.01 ID:q+2CJKgz
菜々「……………ぷっ」

菜々「くくっ……はは、あははは………!」

侑「え?え?どうしたの?宇宙人でもいた?」キョロキョロ

菜々「あはははははっ、なんですかそれは…!」

侑「な、なに?わかんないよ、なんで突然笑うの!?」

菜々「あはは………本当に、高咲さんは…不思議な人ですね」

侑「そ、そう…?」
 
378: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:34:10.19 ID:q+2CJKgz
菜々「はぁ…はぁ………久し振りにこんな風に笑いました」

侑「も、もういいじゃん。なにがそんなに面白かったの?」

菜々「本当にわからないという調子で反応なさったことが、面白くて。いえ──嬉しくて」

侑「…?」

菜々「高咲さん、私と話すのは緊張しませんか?」

侑「ううん、全然」

侑「歩夢がそんなこと言ってたけど、わかんなかったんだよね。だって、えっとー…菜々ちゃんだって私と話すの緊張する?しないでしょ?」

菜々「…はい。全くもってしませんね」

侑「だ、だよね!そういうことなんだよ!」

菜々「ふふっ」

侑「ま…また笑ったー!」
 
379: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:38:01.28 ID:q+2CJKgz
侑「でも、菜々ちゃんもっと笑ったらいいのにっては思ったよ」

菜々「笑ったら?」

侑「うん。歩夢は生徒会長としてハキハキ話す菜々ちゃんしか印象にないからどこか緊張しちゃってるんだと思うんだ」

侑「菜々ちゃん、笑ったらすっごく可愛いのにね」

菜々「かゎ………っ!」

菜々「な、なにを言うんですか。からかわないでくださいよ」プイッ

侑「マンガの話してくれたときとか、とってもキラキラした笑顔だったもん。歩夢も変なマンガ好きだから、そういう話ができたら緊張なんてしなくなると思うよ!」

菜々「…そうかもしれませんね」
 
380: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:46:37.59 ID:q+2CJKgz
侑「あ!そう、菜々ちゃんが勧めてくれて買ったやつ!めちゃくちゃ面白かったよ!二回も読んじゃった!」

菜々「わ、わかりますか!あのよさが!」

侑「わかるわかる!一巻の最後で撃つシーンとかさ、『本当にこれが正しいことなのか』って迷ってるのがひしひし伝わってきて苦しくなっちゃったよ!」

菜々「そ──そうなんですよ!あそこはマンガ特有の表現ですよね!あえて主人公の顔を描かず、銃口だけが鈍く光るあの構図は小説では絶対に成し得ない表現です!そこまでの葛藤をきちんと理解していなければ描くことのできないあのコマは一巻の中でも屈指のひとコマです!最初にそこを思い出すとは、やりますね高咲さん!!」

侑「菜々ちゃん知ってる?去年アニメやったんだって!」

菜々「ふっふっふ、当然観たに決まってるじゃないですか!」

侑「えーっ、いいなあ!」

菜々「四周しました!!」ドヤッ

侑「すごい!」
 
381: (しうまい) 2020/11/04(水) 21:50:57.72 ID:q+2CJKgz
菜々「実は間もなくブルーレイボックスが出るのですが、うちは親がなかなか厳しいので買うわけにいかず…くっ、ボックス特典のミニドラマを聴かないことには死んでも死にきれません…!!」

侑「ブルーレイボックスかぁ」

菜々 …………ハッ

菜々 コホン

菜々「す、少し熱くなってしまいましたね。まあその、機会があれば高咲さんもぜひアニメを観て、ついでにノベルも読んで、ドラマCDも聴いてゲームもやって…」

侑「私買おっかな」ボソ

菜々「ぶっぶぶぶぶブルーレイボックスですか!?」

侑「うん。そんなに楽しそうに語られちゃったら気になるもん!」

菜々「は……はぁぁあ…………はわわ……!」

侑「買ったら菜々ちゃんも一緒に観ようね」

菜々「ぜ──ぜひっっっ!!!」


菜々とお昼ごはんを食べました! ▼
 
384: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:02:16.63 ID:q+2CJKgz
放課後…


授業が終わる頃には日差しも随分弱まって涼しくなってきた。

よかった、あの日差しの中を歩いて帰らなくちゃいけないと思うとちょっと億劫だったもん。

これならいつもくらいの気候だし、どこにでも寄り道して帰れるよね!


これからどうしようかな? >>385
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(屋上、公園、部室棟、お台場から選択)
 
385: (たこやき) 2020/11/04(水) 22:03:47.91 ID:RlRr8muF
部室
 
386: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:07:47.20 ID:q+2CJKgz
侑「歩夢、帰ろ!」

歩夢「生徒会長と帰らないの?」ツーン

侑「帰らないよ~、歩夢と帰りたいんだもん」

歩夢「じゃあいいけど…」チョローン

歩夢「生徒会長とは仲良くなれそう?」

侑「うん!明日は三人でお昼ごはん食べられるかな!?」

歩夢「あ、明日はまだ…心の準備が…」

侑「菜々ちゃん怖くないってば~」
 
387: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:13:11.54 ID:q+2CJKgz
侑「歩夢が好きな変なマンガあるじゃん?菜々ちゃんにあれの話とかしたら仲良くなれると思うんだよね」ウンウン

歩夢「変なマンガって言った?」

歩夢「そう、生徒会長マンガ好きなんだ。ちょっと意外だね」

侑「そうかな?でもマンガの話してるときの菜々ちゃん、すっごく可愛いんだよ。子供みたいに目を輝かせてさ!」

歩夢「可愛いって言った?」

侑「集会で話すときちょっとマンガのこととか話してみたらいいのにね。そしたらみんな菜々ちゃんのこと好きになるのに!」

歩夢「好きって言った?」

侑「………ん?あれって…」


エマ トコトコ…


侑「エマ先輩だー!」ワー

歩夢「あっ侑ちゃん!?」
 
388: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:18:58.73 ID:q+2CJKgz
侑「エーマ先輩っ」

エマ「侑ちゃん」

歩夢「エマ先輩、こんにちは」タタタ

エマ「歩夢ちゃんも。こんにちは~」

侑「帰るとこですか?途中まで一緒に──って、寮なんでしたね」

エマ「うん、住んでるのは寮だよ。でも今日はまだ帰らないの」

歩夢「実習とかですか?」

エマ「ううん、部活だよ」

侑「……部活!」
 
389: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:39:07.83 ID:q+2CJKgz
侑「エマ先輩、スクールアイドル部でしたよね!」

エマ「そうだよ~」

侑「今から部活なんですよね!?」

エマ「そうだよ~」

侑 キラキラ…

歩夢「!」

エマ「一緒に来る?」

侑「い──行きます!」

歩夢「侑ちゃんってば、仮入部ごっこはこの間やったでしょ!」

侑「今週はまだやってないよ!」

歩夢「一週間に一回じゃないの!」
 
391: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:43:59.01 ID:q+2CJKgz
侑「ねえ歩夢~、いいでしょ~。あと一回だけ~」

歩夢「す…すぐそうやって甘えるんだから!部活の邪魔になっちゃうからだめだよ」

エマ「邪魔じゃないと思うよ?」

侑「!」パァ

歩夢「え、エマ先輩~…」


どうしよう? >>392
1.部活に参加したい!
2.部室見るだけ!
3.おとなしく帰る…
 
392: (SIM) 2020/11/04(水) 22:44:57.23 ID:Z4XzML8k
1
 
394: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:48:36.70 ID:q+2CJKgz
侑「歩夢、エマ先輩だってこう言ってることだし!ここは私の顔を立てると思って!」

歩夢「日本語めちゃくちゃだよ侑ちゃん」

エマ「そうそう~」

歩夢「エマ先輩わかってませんよね?」

歩夢 ハァ…

歩夢「もう、邪魔になっちゃいそうだったらすぐに帰るんだからね?」

侑「やったー!歩夢だいすきーっ!」ギューッ

歩夢「ゆゆゆ侑ちゃん…!!」

エマ「それじゃ行こっか」
 
395: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:51:13.89 ID:q+2CJKgz
『スクールアイドル同好会』


エマ「ここだよ」

侑「あれ?同好会なんですね、部じゃないんだ」

エマ「部と同好会は違うの?」

侑 チラッ

歩夢「わ、私に振らないで!」

侑「同じようなものですよ!」

エマ「やっぱりそうなんだね。果林ちゃんもそう言ってたもん」

侑「果林先輩がそう言ってたんならそうだよね」

歩夢「そうなの…?」

エマ「こんにちはー」ガチャ
 
396: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:55:39.43 ID:q+2CJKgz
スクールアイドル同好会、部室


??「エマせんぱいってば遅いですよー!」

エマ「ごめんね、人と会ってお話ししてたの」

??「お友達ですか?」

エマ「そうだよ~。ほら、侑ちゃんと歩夢ちゃん」

??「え?連れてきちゃったんですか?」

侑「あ、こんにちは。スクールアイドルに興味があって見学させてもらいたくて、来ちゃいました」

??「なんだー、かすみんのファンの方ですかあ?それならそうと言ってくださいよー、もう!」

侑「かすみん?」

かすみ「この最高に可愛いスクールアイドル、かすみんこと、中須かすみのことですよ♡」

侑「かすみんだって!アイドルみたい!」

かすみ「だからアイドルですってばー!」
 
397: (しうまい) 2020/11/04(水) 22:58:35.93 ID:q+2CJKgz
侑「中須かすみちゃんがかすみんなら、エマ先輩は…エマみん?」

エマ「エマみん!可愛いね、気に入っちゃった」

かすみ「な、なんですか…このおとぼけな人は…」

歩夢 ソワソワ

かすみ「あなたもー、かすみんのファンですかあ?」

歩夢「えっ!?あ、いえ、違いますっ!」

かすみ「そんなに強く否定しなくていいじゃないですか…」ズーン…

歩夢「あ、ご、ごめんなさい…」オロオロ
 
398: (しうまい) 2020/11/04(水) 23:03:25.73 ID:q+2CJKgz
かすみ「もーーーっ、かすみんのファンでもない人を連れてこないでください!」プンプン

エマ「だめだった?」

かすみ「だめですよ!ファンじゃないのにスクールアイドルに興味があるなんて、敵の内通者かもしれないじゃないですか!はっ、まさかかすみんの可愛さの秘密を盗みに…!?」ガクガク

侑「あんまり歓迎されてないみたいだね」

歩夢「言ったでしょ。ひやかしで部活を見にこられたら迷惑だって」

エマ「そんなことないんだけどな」

侑「うーん…じゃあ私、かすみんのファンになるよ!」

かすみ「へ?」

歩夢「え?」

侑「ファンならここにいてもいいんでしょ?」

かすみ「それはまあ、ファンの方に冷たくするようなスクールアイドルなんていませんから…」
 
399: (しうまい) 2020/11/04(水) 23:07:36.21 ID:q+2CJKgz
かすみ「でも、その、ほんとにかすみんのファンになってくれるんですか?」

侑「うん、なるなる!なっちゃう!」

かすみ「かすみんのこと、世界で一番応援したいって思いますか?」

侑「思う思う!最前列で応援するよ!」

かすみ「そ」

かすみ「そこまで言うなら、仕方ありませんねえ、かすみんのファンとして認めてあげてもいいですよ。メロメロになっちゃって他のことに集中できなくなっちゃっても知らない──」

侑「エマ先輩もスクールアイドルですよね。エマ先輩のファンにもなろうっと!」

かすみ「…」

エマ「ほんとに?嬉しいなあ」

侑「他には?他にもスクールアイドルやってる人がいるなら私ファンになっちゃうよ!」

エマ「他にもいるよ~。えっとねぇ…」

かすみ「や…やっぱりひやかしじゃないですかー!帰ってくださーーーいっ!!」ンモーーーッ


かすみに追い返されてしまいました… ▼
 
407: (しうまい) 2020/11/06(金) 17:44:58.60 ID:dKQEoMWT
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


背中を押されてかすみんに部室から追い出された後、諦められなくてすぐに部室を覗いたらもう一回押し出された。

その後も三回部室を覗いたけど、「帰ってくださいって言いましたよねえ!」って三回とも押し返されちゃった…

歩夢が「これ以上は」ってあんまり真剣に引き止めるからその顔に免じて諦めたけど、次こそ必ず私が勝ってみせるからね、かすみん!


歩夢「なんだかよくないこと考えてるでしょ」ジッ

侑「そ、そんなことないよ」

歩夢「人に迷惑かけることしちゃだめだからね」

侑「わかってるよ」フスーフスー

歩夢「口笛吹けてないよ」
 
408: (しうまい) 2020/11/06(金) 17:49:50.78 ID:dKQEoMWT
お昼休み…


私は今日、お母さんが作ってくれたお弁当を持ってきている。

それはいつも通りで特別なことじゃないけど、なんだか最近、それ以外のものをお昼ごはんに食べる機会がちょっと多いような気がする。

美味しいものを食べると「美味しい!」って思うけど、やっぱりふとお母さんの料理を思い出すんだ。

これって幸せなことだよね。


今日のお昼はどうしようかな? >>409
1.教室で食べる
2.中庭で食べる
3.裏庭で食べる
4.生徒会室で食べる
 
409: (たこやき) 2020/11/06(金) 17:50:52.57 ID:XD7kD5dk
1
 
410: (しうまい) 2020/11/06(金) 17:58:27.87 ID:dKQEoMWT
歩夢「侑ちゃん、お昼ごはん食べよ」


中学の頃、「お母さんの料理がヘタクソ、キライ」って言ってる友達がいたんだよね。

そんなの考えたこともなかったからびっくりしてお昼休みにお弁当を見せてもらったら、なんてことない美味しそうなお弁当で。


歩夢「…?」


試しに交換してみようって提案したら本当にすごく喜んで、私のお弁当ぺろっと食べちゃった。

私はその子のお弁当を食べてみて、別に美味しくないとは思わなかったけど、「あ、お母さんの料理って美味しいんだ」って感じたのを覚えてる。


ガタガタ…


それからたまにお弁当を交換しようって言われるようになって、でも私はなんとなくその提案を受け入れられなくて、そんなやり取りを何回か交わすうちに段々疎遠になっちゃったんだよね。

あれからだと思う。私が「お母さんの料理は美味しい」ってはっきり思うようになったのは──
 
411: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:00:43.26 ID:dKQEoMWT
侑「──ん?」


ふと気づくと、適当な机が寄せられていて、歩夢がにこにこと向かいに座ってた。


侑「あれ、机が班になってる」

歩夢「侑ちゃん考え事してるみたいだったから机寄せちゃった。教室でいいよね?」

侑「わ、やらせちゃってごめん、ありがとう!片付けは私がやるね!」

歩夢「うん。食べよ」

侑「うん!」

「「いただきます──」」

「あーー!侑、みーっけ!!」

侑「ん?」
 
413: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:06:20.71 ID:dKQEoMWT
愛「やっほー!」

侑「愛ちゃん!」パァ

歩夢「宮下さんだ」

愛「そっかそっか、ここだったんだね。やっと会えたよー」トコトコ

侑「もしかして探してくれてたの?」

愛「モチ!友達とお昼の約束ない日にね、ちょいちょいクラス覗いてたんだよ。でも教室に侑がいたことなくてさ、もしかして科とか学年聞き間違えたかなーなんて思ってたとこ」

侑「わ、ごめん。私校内のあちこちでお昼ごはん食べること多いから、すれ違っちゃってたのかも」

愛「まあウチ広いもんね。でもこーやって会えたんだからよしってことで!愛さんも一緒に食べてい?」

侑「もちろんだよ!一緒に食べよ!」
 
415: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:11:14.69 ID:dKQEoMWT
侑「歩夢、紹介するね。こちら愛ちゃん!」

愛「チッス!情報処理学科の宮下愛です、タメだし気軽に愛って呼んでよね」

侑「でこっちが私の幼馴染みの歩夢だよ」

歩夢「こ、こんにちは」ペコッ

愛「歩夢ね、よろしく!」

侑「よーし、愛ちゃんも加わったことだし改めていただきまーす!」

愛「いただきまーす!」

歩夢「い、いただきます」
 
416: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:16:19.44 ID:dKQEoMWT
侑「ところで歩夢、愛ちゃんのこともしかして知ってた?」モグモグ

愛「え、そーなん?話したことあったっけ」

歩夢「ううん、お話ししたことはないけど、宮下さんって有名だから」

侑「そうなの?」

歩夢「知らない?よく運動部の助っ人してるんだって、たまに名前聞くことあるよ」

侑「有名人だ!」

愛「あはは、そんな言うほどじゃないって。たまたま暇な日に遊ばせてもらってるだけだよ」ケラケラ

愛「ってゆーか、そんな堅いのやめてさ。アタシも歩夢って呼ぶから名前で呼んでよ。ね?」

歩夢「あ、愛…ちゃん?」

愛「うんうん。これでもう友達だね!」

侑「だねー!」

歩夢「なんだか意気投合してる…」
 
417: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:24:50.91 ID:dKQEoMWT
侑「ほら、この前家族でごはん食べにいった日あるでしょ?そのとき行ったお店で知り合ったんだよ」

愛「侑ってば愛さんがもんじゃ焼いてるの見て自分もやりたがったんだけどさ、」

侑「あ…愛ちゃん!」

愛「うまく周り盛れてなかったから生地が流れちゃって薄焼きみたいになったんだよ!」アハハ

侑「な、なんで言っちゃうのー!恥ずかしいから歩夢には言ってなかったのに!」

愛「あはは、ごめんごめん。またドリンク奢るから許してよ~」

侑「えっほんと!?じゃあ許す許す!聞いて歩夢、愛ちゃんの特製ドリンクすっごく美味しいんだよ!ランチもやってるらしいから今度行こうね!」

歩夢「う、うん」

愛「いつでも来て来て。お得意様顔負けってくらいオマケしちゃうよ!」

侑「…………オマケだけに!」ハッ!

愛「そーゆーこと!」

歩夢「ふ、二人で盛り上がっちゃやだ!私にももっと話聞かせてよ~…!」


愛と歩夢とお昼ごはんを食べました! ▼
 
418: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:31:15.32 ID:dKQEoMWT
放課後…


もう金曜日の放課後だって!

毎日楽しいからあっという間に一週間が終わっちゃうな。

今日はやっと校内で愛ちゃんに会えたし、来週もなにか楽しいことが起こるかな。

今からわくわくしちゃうよ!


放課後はなにをしようかな? >>419
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(中庭、部室棟、屋上、公園、お台場から選択)
 
419: (茸) 2020/11/06(金) 18:31:56.89 ID:YD5wYc5+
中庭行こうぜ!
 
420: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:36:03.87 ID:dKQEoMWT
侑「歩夢」ズイ

歩夢「な、なに?侑ちゃん」

侑「金曜日だよ。放課後だよ」

歩夢「そ、そうだね」

侑「このまま帰るのは惜しいと思わない?」

歩夢「どこか寄り道して帰る…?」

侑「猫探そう!!」

歩夢「猫…?」

侑「中庭で!!」

歩夢「また引っかかれても知らないよ!?」
 
421: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:39:06.85 ID:dKQEoMWT
中庭


侑「こっちの方に逃げてったはずだよね、確か」キョロキョロ

歩夢「侑ちゃん、引っかかれちゃったのもう忘れたの?」

侑「忘れてないけどさ、あの子だって私達と遊びたがってると思うんだよね」

歩夢「どこから来る自信なの…」

侑「猫の巣を見つけられたらいつでも会えるんだよ、ね?」

歩夢「いつでも引っかかれちゃうだけだよ」


ニャー


侑「! 猫の声だ!」

歩夢「聞いてないし」
 
423: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:45:23.12 ID:dKQEoMWT
侑「う~ん、こっちから聞こえたと思うんだけどなぁ」ガサガサ

歩夢「絆創膏用意しとくね」ゴソゴソ


シュタタタ


侑「ん!?」

侑「今、あっちの方で動いたかも!」ササッ

歩夢 (侑ちゃんは外で遊んでるときすごくイキイキしてるなぁ)

侑「………そこかーっ!」ガサ

??「っ!」ビクッ

侑「うわっ!」

侑「わ、と、と……っ」ヨロ

侑「うわーっ!」ドテッ

歩夢「え?」


コツゼン…


歩夢「あ、あれ!?侑ちゃん!?どこ行っちゃったの!?」
 
424: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:48:53.51 ID:dKQEoMWT
歩夢「侑ちゃ~ん」タタタ

侑「いてて…」

侑「ぁ…歩夢、こっちこっち~…」

歩夢「転んじゃったの?大丈夫?」ガサ

侑「私は大丈夫だけど、えっと、ケガしなかった?」

歩夢「ぶつかっちゃったの!?」

??「してない。ぶつからなかった」

侑「よかった…」ホッ

??「あなたこそ大丈夫?派手に転んだ」

侑「私は平気だよ、心配してくれてありがとう」

??「そう」
 
425: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:51:52.39 ID:dKQEoMWT
歩夢「何事もなかったみたいでよかった…」

侑「いやー、茂みの奥に女の子がいるなんて驚いちゃったよ」タハハ

??「茂みの向こうから女の子が飛び込んできたのもなかなか驚いた」

侑「確かに、それは驚くよね」ウンウン

歩夢「侑ちゃん、危ないことしちゃだめって言ってるでしょ!一歩間違えば二人ともケガしてたかもしれないんだよ?」

侑「わ、ごめんなさい!」
 
426: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:56:29.52 ID:dKQEoMWT
侑「私、普通科二年の高咲侑。あなたは?」

璃奈「天王寺璃奈。一年生」

侑「璃奈ちゃん、驚かせちゃってごめんね」

璃奈「大丈夫」フルフル

璃奈「それより、なにしてたの?」

侑「あー…猫を追いかけてて、こっちの方に行ったかなって思ったんだけど」

璃奈「猫?」

歩夢「この前から何回か見かけた白猫なんだけど、侑ちゃんが会いたがっちゃって。…あ、私は二年生の上原歩夢っていいます。よろしくね、璃奈ちゃん」

璃奈「よろしく。です」
 
427: (しうまい) 2020/11/06(金) 18:59:32.92 ID:dKQEoMWT
璃奈「中庭で白猫っていったら、たぶんあの子のことだと思う。ます」

侑「璃奈ちゃんわかるの!?」

璃奈「うん。今もエサあげにいく、いきます、ところ」

侑「私もついていっていい!?」パァ

璃奈「いいよ」

侑「あ、璃奈ちゃん、無理に敬語使おうとしなくていいよ。私そういうの気にしないからさ、話しやすいようにしててよ」

璃奈「………ありがとう」コクン

璃奈「こっち」

侑「……!…!」

歩夢「わかったわかった、落ち着いてついていこうね」ヨシヨシ
 
428: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:02:54.99 ID:dKQEoMWT
ガサ

璃奈「はんぺん、ごはんだよ」

猫「…」

侑「はんぺん?」

璃奈「この子の名前。白くてやわらかいから、はんぺん」

侑「か、可愛い…!」

歩夢 (可愛い…)

猫 モキュモキュ…

璃奈 ナデナデ

侑「な、撫でてるぅ…!」フラ…

歩夢「侑ちゃん、近づいたら怖がらせちゃうよ。せっかく安心してごはん食べてるのに」ガシ

侑「そんなぁ…私も撫でたいよぅ…」

歩夢「我慢しなさい」メッ

猫 モキュモキュ…

璃奈 ナデナデ
 
429: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:05:31.02 ID:dKQEoMWT
猫 …ケフ

猫 モゾモゾ

猫 ゴロン…

璃奈「お腹いっぱいになって寝るみたい」

歩夢「こんなところにお家があったんだね」

璃奈「くぼみになってて雨も降り込みにくいから」

歩夢「戻ろっか」

侑「うん………………」ジーーー

歩夢「戻るよ」ポン

侑「はぁい…」シュン
 
430: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:10:47.49 ID:dKQEoMWT
侑「はんぺん、璃奈ちゃんに懐いてたね」

璃奈「そう?」

侑「うん。近づいても撫でても全然怖がってなかったもん、羨ましいなあ」

璃奈「よくごはんあげてるからかな」

侑「私も今度ごはんあげる!そしたら懐いてくれるかな」

歩夢「あんまりあげ過ぎちゃうのもよくないんじゃないかな?」

侑「う、それもそっか…」

璃奈「だったら、私がごはんあげるとき一緒に行こう。そしたらはんぺんもあなたに慣れるかも」

侑「いいの?」

璃奈「うん」

侑「やった!ありがとう、璃奈ちゃん!」

璃奈「うん」


璃奈とはんぺんにごはんをあげました! ▼
 
431: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:17:37.39 ID:dKQEoMWT
翌朝…


侑「………あれ?」パチ…


床だ、ここ。

私のベッドはソファも兼ねた形をしてるから、寝相によっては転がり落ちちゃうことがある。

お母さんが「侑は寝てるときおとなしいから大丈夫よ」って言うから信じたのに、たまに落ちてるんだよなぁ…しかも落ちたのに気づかないでちゃんといつもの時間まで寝てるし。

ベッドから落ちたときくらい目を覚ませばいいのに、私。


今日はなにをしようかな? >>432
1.一人でのんびり過ごす
2.歩夢と過ごす
3.お買い物に出かける
 
432: (わんこそば) 2020/11/06(金) 19:17:57.70 ID:8WKQJLfq
3
 
433: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:27:51.52 ID:dKQEoMWT
お台場


朝ごはんを済ませて、ふらふらと外に出た。

新刊はこの前買ったし、文房具も足りてる。

特に目的はないけど時間があるとこうして商業エリアに来てしまう。

今頃歩夢はちゃんと課題やってるんだろうな。

毎週毎週偉いなぁ、ほんと。


侑「今日は変なもの買わない!買わないよ!見るだけ!」


そう心に決めておけば滅多な買い物はしないはずだ。

それでも買ってしまうものがあったら、きっとそれは本当に欲しかったり必要だったりするものだよね。

よーし、ウインドウショッピングだー!
 
434: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:30:13.08 ID:dKQEoMWT
「1,320円です」


チーン


侑「変なもの買っちゃったなー」ビヨヨヨ


薄紫色のヘビをもてあそんでみる。

見た目を裏切ってしなやかな動きが愛嬌たっぷりで可愛い。

歩夢こういう動物系のアイテム好きだけど、あげたら喜ぶかな?

いや、怒られるかな…
 
436: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:34:57.41 ID:dKQEoMWT
手持ち無沙汰をごまかしてくれるヘビをお供に、適当に商業エリアを散歩する。

さすがにこの子がいればこれ以上余計な買い物はしない。

お昼時に向けて少しずつ人が増えていく様子を見ながら歩くのってなんだか楽しいよね。

街が『出来上がっていく』のを眺めてる感じ。


侑「あ、あの服可愛いなー」ビヨヨヨ

「ふうん、ああいうのが好みなの?」

侑「ぅえっ!?」

果林「あら、そんな反応されると悲しいわね」クス

侑「か…果林先輩!いきなり話しかけられたらそりゃびっくりしますよ!」

果林「うふふ、ごめんなさいね」
 
438: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:40:28.23 ID:dKQEoMWT
果林「知った姿が見えたから、つい声かけちゃった」

侑「なにもあんな背後からじゃなくても…」

侑「って果林先輩、それ私服ですか…!?」

果林「ん?」


少し落ち着いて果林先輩に目をやると、その服装に思わずそんなことを呟いてしまった。

胸元が広く開いた黒のワンピーススカートに存在感のあるレザーのベルトでスタイルがいやと言うほど強調され、かと思えば肩から羽織って流した薄手のジャケットがもどかしい気持ちにさせてくれる。

とてもちょっと買い物にきた格好ではない、ように見える。


果林「ああ、ふふ。似合ってるでしょう?」ヒラ

侑「と、とっても。デート…とか、ですか?」ドキドキ
 
439: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:42:58.44 ID:dKQEoMWT
果林「んー」


すらりとした人差し指を口元にあてがって視線を漂わせる、そんな些細な動きすらも見とれてしまうくらい様になってる。

そわそわしてしまうのを堪えながら返事を待っていると、


果林「どうかしらね?」

侑「な…っ」


あまりにも生〇しなウィンクを返された。
 
440: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:46:21.43 ID:dKQEoMWT
果林「…なんてね、デートなんかじゃないわよ。そんな相手いないもの」

侑「そ、そうなんですか…」

果林「キミをドキっとさせちゃったかしら?だったら私もまだまだ上を目指せるわね」

侑「ドキっとしましたよー、もう。デートじゃないってことは、それが普段着…」

果林「ということではなくって」

果林「言ったかしら?言ってないかな。私、読者モデルやってるのよ。今朝その撮影をしてて、今はその帰り」

侑「ど…読者モデルですか!?」

果林「駆け出しだけどね。普段からいちいちこんな格好してるんじゃ気軽に出歩けないじゃない」フフッ

侑「そ、そうですよねー」ハハ…
 
441: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:51:21.01 ID:dKQEoMWT
侑「…ん、ってことはやっぱりあれって…」

果林「なに?」

侑「この間、海辺の方で撮影とかしてましたか?」

果林「海辺の…?ああ、したわね。放課後でしょ?見てたの?」

侑「やっぱり果林先輩だったんだ!遠くから見かけただけなんですけど、見慣れない光景だったから印象的だったんですよ」

果林「ふふ、そう。春から夏にかけてファッションも変わるから、色々な服を着られて楽しいのよね。そのときはどんな格好してたんだったかしら」

侑「あ!果林先輩が言ってた『個人的な活動』って読者モデルのことだったんですね!」

果林「あら、よくそんな会話の端を覚えてるわね。もしかして私のファンだったりする?なんてね」

侑「えへへ…こんなにキレイな姿を見かけたら、ファンになっちゃいそうですよ」
 
442: (しうまい) 2020/11/06(金) 19:55:23.82 ID:dKQEoMWT
果林「ふうん…」

侑「私なんか家の近くだからってこんな気の抜けた格好で来ちゃうから、眩しくて直視できないくらいです」

果林「…ねえ、今って暇?暇よね」

侑「え?はい、別に用事はありませんけど」

果林「決めた。今から侑とデートしようっと」

侑「え……えええ!?」

果林「デートにぴったりの格好だと思うんでしょう?いいじゃない、付き合ってよね」

侑「や、私、こんな格好、とても隣を歩くなんて」アワワ

果林「面白いことを言うわね」フフ

果林「あなたをコーディネートするデートなんだから、ビフォーアフターを活かすのに最適な格好だわ。さ、行くわよ!」グイ

侑「え………うわーーーー!」ズルズルズル…


果林に連れ回されました! ▼
 
447: (茸) 2020/11/07(土) 07:17:28.87 ID:/q0rUiGk
翌朝…


高咲母「侑、ケータイ鳴ってるわよ」

侑「アラーム!止めといてー」

高咲母「はいはい」


念のために掛けておいたアラームが鳴った頃、私はすでに朝ごはんも済ませて歯を磨いていた。


高咲母「日曜日にアラームまで掛けるなんて、随分用意がいいわね」

侑「んー」グチュグチュ…ペ

侑「だって絶対寝坊なんかできないんだもん!」


今日はしずくちゃんと演劇を観にいく日!
 
448: (茸) 2020/11/07(土) 07:24:33.49 ID:/q0rUiGk
侑「行ってきます!」


気軽に出かけるときはお気に入りのリュックを持っていくんだけど…去年のお年玉で少し背伸びして買った可愛いカバンを提げていく。

駅までの慣れた道を歩くだけでもどこかドキドキしてしまうのは、うん、あの人のせいだ。

私、どこか変じゃないかな。

ふとガラスに姿が映るたびに横目でさっと全身を眺め、ほっとして脚を進める。

うう、一日こんな気持ちで過ごすのかな。

早く慣れちゃいたいよ…
 
449: (茸) 2020/11/07(土) 07:29:05.97 ID:/q0rUiGk
『新橋、新橋に到着です。お忘れ物のないようお気をつけください…』


流れる人混みに身を任せて電車を降りる。

ここからJRの駅までも、一番人が多い群れについていくだけでいい。

ピ──

定期圏内の移動がほとんどの毎日だからICカードの残高が足りないかもしれない、ってちょっとだけ心配したけど、大丈夫だった。

でも帰りの分は足りなさそうだからどこかのタイミングでチャージしておかなくちゃ。
 
450: (茸) 2020/11/07(土) 07:32:46.18 ID:/q0rUiGk
『ドア、閉まります…』


侑「ふう」


ここからは乗換もなしで40分。

起こしてくれる歩夢はいないから、寝過ごすのにだけは気をつけないとね。

ぼーっと流れる景色を目で追いながら、ふと。


侑 スマスマ…


『おはよう。今新橋で電車に乗ったよ』

『楽しみにしてるね!』


こういう日の振る舞いには慣れてないんだけど、これで合ってるよね?
 
451: (茸) 2020/11/07(土) 07:36:30.30 ID:/q0rUiGk
しずくちゃんから返信があったのはほとんど目的駅に到着する直前だった。


『しずくちゃん:おはようございます』

『しずくちゃん:私も楽しみです』

『しずくちゃんがスタンプを送信しました』


傘を差した女の子の可愛いスタンプ。

大きな雨の雫がひと粒あしらわれたそれは、しずくちゃんによく似合ってるように感じた。
 
452: (茸) 2020/11/07(土) 07:38:48.59 ID:/q0rUiGk
しずく「侑先輩、お待たせしました!」タタタ…

侑「しずくちゃん、おはよう」

しずく「おはようございます。すみません、私の方が近いのにお待たせしてしまって」

侑「全然気にしなくていいよ。私こういうの遅刻が怖くて早く着くようにしちゃうんだよね」

しずく「そうなんですか。素敵な心がけですね」

侑「いやあ、それでよく怒られたからさ…」

しずく「…それにしても」チラチラ

侑「ん?」
 
453: (茸) 2020/11/07(土) 07:42:29.46 ID:/q0rUiGk
しずく「なんだか、その、とても素敵な格好ですね」

侑「ああ…」


どこか照れたように視線をくれるしずくちゃん、その言葉で忘れていたことを思い出す。

今日の私は、ちょっとお台場で遊ぶのとはもちろん、約束をして出かけるときにだって滅多にしないようなオシャレをしてるんだった。

これはひとえに──


しずく「制服姿でしかお会いしたことがないのですごく新鮮です。そんな風に着こなせるなんて、羨ましい…」

侑「いや、違うのこれ!私のセンスじゃなくて!」

しずく「え?」

侑「昨日、ちょっとした知り合いに着せ替え人形にされた名残というか………」

しずく「はあ…」
 
454: (茸) 2020/11/07(土) 07:48:32.68 ID:/q0rUiGk
昨日、この服を見たお母さんは大はしゃぎで、すぐに引ったくられたかと思ったら今朝にはアイロンまでかけて枕元に置いてあった。

使い慣れたリュックもいつの間にか隠されていて、大切にしまってたはずのカバンが代わりに出されていて。

こんなことならしずくちゃんとお出かけすること報告しなきゃよかったかなぁ、なんて思ったけど。


しずく「とってもお似合いですよ。隣を歩くのにこんな格好で、気後れしてしまいます」


こうやって微笑んでくれる様子を見たら、案外悪くなかったな、って思っちゃう。

我ながら単純だなぁ。


侑「そんなことないよ、しずくちゃんの服だってすごく可愛いよ!」

しずく「あ、ありがとうございます…」//

侑「行こっか!」
 
455: (茸) 2020/11/07(土) 07:55:12.97 ID:/q0rUiGk
侑「私この辺初めて来たよ。結構栄えてるんだね」

しずく「そうですね。近いですし、簡単なお買い物はここまで出てくればだいたい済んでしまいます」

侑「鎌倉に住んでるんだよね。通学大変じゃない?」

しずく「時間はかかりますが、自分で選んだことなので。色んなことに集中するいい時間だと思うようにしてるんです」

侑「偉いなぁ、私なんか家から近いし幼馴染みも行くからって理由で決めちゃったよ」

しずく「それだって合理的でいいじゃないですか」

侑「そうかな?」
 
456: (茸) 2020/11/07(土) 08:05:50.68 ID:/q0rUiGk
侑「ニジガクに行くこと自体はまあ変わらなかったと思うんだけどさ、せっかくなら普通科じゃなくて他の科にしてみてもよかったかなーって思うんだよね」

しずく「例えば何科ですか?」

侑「そうだなー、音楽科とか?」

しずく「侑先輩、音楽が得意なんですか」

侑「ううん、全然。でも他にできそうな分野もないし、音楽ならなんとなく面白いかなーって」

しずく「ふふ、なんですか。それ」

侑「えへへ…しずくちゃんは国際交流学科だよね。どういうことするの?」

しずく「私は英語とオランダ語を専攻しているんですけど、今はまだ読み書きやOCばかりですが、秋頃には映画を観たり文学作品の翻訳をしたり、ニ年次には大学の方々と交流を取る課外学習なんかもあるみたいです」

侑「うへ~、大変そうだね…」

しずく「興味があると楽しく感じますよ」ニコッ
 
457: (茸) 2020/11/07(土) 08:10:03.21 ID:/q0rUiGk
侑「国際交流学科ってオランダ語も選べるんだね」

しずく「はい。人気が高いのは中国語とイタリア語みたいですが、珍しいところだとスコッツ語なんかもあるそうですよ」

侑「スコッツ語?」

しずく「スコットランド語、ですね」

侑「適当に思い浮かぶものすらない国だ…」

しずく「バグパイプとかでしょうか?」

侑「スカートで演奏するやつだ!」

しずく「それです!」
 
458: (茸) 2020/11/07(土) 08:13:51.32 ID:/q0rUiGk
劇場


しずく「ちょうどいい時間ですね」

侑「文化ホールっていうのかな。こういうところも小学生のときに行事で来た以来だな」

しずく「私的に来るのは珍しいかもしれませんね。文化的な用途でしか使われることがない場所ですから」

侑「私には文化的な趣味がないってことだね…」

しずく「ええっ、そんなつもりで言ったわけじゃ!」アワアワ
 
459: (茸) 2020/11/07(土) 08:20:17.63 ID:/q0rUiGk
しずく「客席の入口はこっちですね。お手洗いを済ませておきましょうか」ススス

侑「あれ、そういえばチケットはどこで買うの?」

しずく「私が持っているので買う必要はありませんよ。前売分が完売しなかったら入口で当日券を売っているのですが、この様子を見ると完売したみたいですね」

侑「えっ、待って、チケット代出してもらっちゃったの!?ごめん、いくらだった?」サッ

しずく「あ、いいんです。私きっと二回行くだろうと思って、この回の分と日時指定のないものと一枚ずつ持っていたので、改めて買ったわけじゃないんですよ」

侑「それって結局私が観る分もしずくちゃんが払ったってことだよ」

しずく「それは、そういうことになりますが…」

しずく「そ、それなら、ランチをご馳走になってもいいですか?私、行ってみたかったお店がこの近くにあるんです!」

侑「うん、うん、ぜひ行こう!食べたいものみんな頼んでね!」

しずく「はいっ」
 
460: (茸) 2020/11/07(土) 08:28:08.82 ID:/q0rUiGk
しずく「間もなくですね」

侑「なんか緊張するな…」

しずく「開演前のこの空気、独特ですよね」

しずく「会場にいる全員がこれから始まる物語に対してそれぞれの想いを、あるいは願いを抱いて待つ時間」

しずく「今からここで出会う物語が、未来の自分を作ってくれるのか。はたまた過去の自分を解き放ってくれるのか。ほんの一時間ばかり『誰かの人生』を歩もうとする、現実と境界線を越えた向こう側への旅支度の時間」

しずく「難しいことを考える必要はないと思います」

しずく「ただ目の前で繰り広げられる物語を、感じるままに感じてください。悲劇ならば共に悲しみ、喜劇ならば共に笑ってください。それだけがただ一つ、演劇を観るためのルールだと私は思っています」

侑「………わかったよ。ありがとう」

しずく ニコッ──


しずくちゃんが優しく、美しく微笑むと同時に、人生の始まりを告げる低いブザーが会場を包んだ──
 
461: (茸) 2020/11/07(土) 08:36:19.39 ID:/q0rUiGk
『ノスタルジア』

脚本・演出、大瀬夢見。

深い森の奥に二人きりで暮らすリョウと娘のハナ。

ある日、奔放な母がアンドロイドのユウを連れ帰るところから物語は始まる。

『その辺で拾った』というユウのお世話をするようにとリョウから言いつけられるも、自身の気難しい性格とアンドロイドの素直な複雑さに奮闘するハナ。

ようやくユウとの生活に慣れてきた頃、ハナは──最愛の母もまたアンドロイドであったことを知る。

ユウは、自身の躯体が長くないことを悟ったリョウがハナのために遺したものだった。

三者の感情が大きく入り乱れ、すれ違い、絡み合い、物語は悲しくも優しい終焉を迎えた…
 
462: (茸) 2020/11/07(土) 08:40:52.05 ID:/q0rUiGk
ワァァァァァ…


侑 ────ハッ


大きなブザーも聞き逃した私を呼び戻したのは、会場に満ちる拍手だった。

見ればお客さんはそれぞれに笑顔や涙を浮かべて、はちきれんばかりに両手を叩いて称賛の声を送っていた。

演劇というものを初めて観た私には衝撃的なことが多すぎて、上手く褒めることだってままならない。

それでも自然と両手は動いて、ついに客席の全員が拍手と喝采を送ることになった。

その光景が、今の演劇がどういうものだったのかを教えてくれたような気がした。
 
463: (茸) 2020/11/07(土) 08:43:56.43 ID:/q0rUiGk
侑「──よかったね!!」


まだどこか放心気味だった(らしい)私は、しずくちゃんに手を引かれて例のお店に連れられた。

お水を飲んだところでやっとしっかり呼吸ができるようになって、そんな第一声が店内の雰囲気にそぐわない大きさで飛び出した。

周りから視線が刺さったように感じたけど、しずくちゃんはそんなこと気にもしないで微笑んで頷いてくれた。


しずく「はい、とっても」コクン
 
464: (茸) 2020/11/07(土) 08:51:23.27 ID:/q0rUiGk
しずく「たった三人きりの世界でああも濃密な物語が描き出されるなんて、やっぱり大瀬夢見の作品は素晴らしいものです。もしくはたった三人だからこそだったのでしょうか」

侑「そうかもしれないね。なんていうのかな、他になにも邪魔するものがないから三人の気持ちがダイレクトにぶつかり合うっていうか!」

しずく「あのシンプルな舞台演出も、それをより濃く活かすためのものだったのかもしれませんね」

侑「あれってやっぱりシンプルなんだ?」

しずく「プロ劇団のステージであれだけ大道具が少ないのは相当珍しいことです。音響も最低限に留められていて、役者の表現力を絶対的に信頼した演出になっていましたね」

侑「うう、そうなんだ。そういう部分も噛み締められるようになったら、きっともっと面白いんだろうなあ!」

しずく「そうですね。でも一番大切なこと、今日覗かせてもらったあの方々の人生は──侑先輩の心を豊かにしてくれましたか?」

侑「──もちろん!!」

しずく「よかったです♡」
 
465: (茸) 2020/11/07(土) 08:55:25.51 ID:/q0rUiGk
侑「あのね、私が一番印象的だったのは、リョウがユウに自分を解体するように命令したところで、照明が消えてユウが…!」

「お待たせしました」

侑「あっ…」

しずく「うふふ。興奮冷めやらぬうちにたくさん語り合いたいのは私も同じですけど、まずはお料理冷めやらぬうちにランチを頂くことにしませんか?」

侑「は、はい…」

侑「ここ、雰囲気もいいしお料理も美味しそうだね。一緒に来られてよかったよ」

しずく「私もです。チケット二枚持っててよかった」

侑「え、どういうこと?」

しずく「ぁ……」
 
467: (茸) 2020/11/07(土) 08:58:30.02 ID:/q0rUiGk
丁寧におしぼりで手を拭いていたしずくちゃんは、しまった、という風に私を見つめた。

まだソースを味わってもいない口元をひと拭きすると、少しはにかんで、


しずく「ランチをご一緒する口実を見つけられたから、です」


音響も照明も置き去りにしてしまうほどの、それは可愛い笑顔だった。


しずくと観劇を楽しみました! ▼
 
482: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 07:25:43.98 ID:gxUGk581
たびたび間が空いて申し訳ありません
 
483: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 07:25:50.94 ID:gxUGk581
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


歩夢「今週はどんな風に過ごしたの?」

侑「一昨日はお台場で果林先輩に会ったんだよ。そしたらお買い物に連れ回されちゃって、あ、でも果林先輩ってばすごくてさ!読者モデルやってるらしいんだけどキレイな格好してて、私にも新しい服見立ててくれてね」

歩夢「そうなんだ…昨日は?」

侑「昨日はしずくちゃんと演劇を観にいったんだよ。これもすごくてさ!絶対また行こうねって約束したんだ~」

歩夢 ムー…

歩夢「私にも新しいお洋服見せて!演劇のお話ももっと聞かせて!」ギュー

侑「え…ええ!?わかった、わかったから歩夢!服は帰ってからね、じゃあ演劇の話なんだけど──」
 
484: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 07:29:04.47 ID:gxUGk581
お昼休み…


登校時間と休み時間をいっぱい使って、やっと昨日の演劇で得た感想を歩夢にみんな伝えられた。

っていうかあんまりにも色んな角度から質問されるから、自覚してなかったような感想が改めて出てきて、結果的により理解が深まってしまった。

歩夢、すごいな…


お昼はどうしようかな? >>485
1.教室で食べる
2.購買に立ち寄る
3.中庭で食べる
4.生徒会室で食べる
 
485: (茸) 2020/11/11(水) 07:30:12.43 ID:Y4lppKy6
購買
 
486: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 07:39:19.00 ID:gxUGk581
さて、今日のお昼ごはんはどこで食べようかな。

やっぱり定番の中庭で………


侑「ぁ」

歩夢「侑ちゃん、お昼どうしよっか?」

侑「歩夢ごめん、ちょっと購買寄って飲み物買いたいんだけど」

歩夢「いいよ。あれ?でも侑ちゃんお茶持ってきてなかった?」

侑「持ってきてたんだけど、空っぽになってた…」

歩夢「朝からたくさん飲んだんだね。うふふ、侑ちゃんってば飲みしん坊なんだから」

侑「いや、たぶん朝から休む間もなく喋り続けたからだよ!半分歩夢のせいね!?」

歩夢「えー」
 
487: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 07:47:25.67 ID:gxUGk581
歩夢「侑ちゃんのお話聞いてたら私も演劇観てみたくなっちゃったなぁ」テクテク

侑「だったら今度は歩夢も誘おうか?しずくちゃんが言うには季節によって観賞機会のある演劇が違うんだってさ。春頃は社会人とかプロの劇団の活動が活発で、秋口は大学の演劇サークルが活動的になるんだとか」

歩夢「へー。それぞれなにか違うのかな」

侑「説明してもらったけど、私がまだ一つしか演劇観たことないからよくわかんなかったんだ。これから色んな演劇に触れてみましょうねって、しずくちゃんああ見えて演劇のことになると結構積極的でさぁ」ヘヘ

歩夢「わ、私も積極的になれるよ!」

侑「今さら張り切らなくたって、歩夢の好きなことはもうみんな知ってるよ」

歩夢「そ、そういうことじゃないもん~!」
 
488: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 07:54:00.99 ID:gxUGk581
購買


侑「お茶買ってくるね、ちょっと待ってて!」

歩夢「うん」


ガヤガヤ…


侑「うわ、結構混んでるな。購買戦争ってよく言ったものだよね…」

侑「すみませーん、お茶ください!お茶…うわあああっ」ムギュムギュ

………ポーン

侑「は、弾き出されてしまった…」

侑「みんなパンとかお弁当買うのに必死なんだ。うう、私はお茶を買いたいだけなんだけど…これなら少し遠回りでも自販機に寄る方がいいかなぁ…」

侑「よし、もう一回チャレンジしよっと!」
 
489: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 07:58:32.00 ID:gxUGk581
侑「す、すみませーん!お茶、一本、くだ…さい…っ!」ムギギギ

トントン

侑「?」

「お困りですかぁ?せ、ん、ぱい。よかったら購買のより美味しいパンありますけど、買っていきませんか?」

侑「えと、私はパンじゃなくてお茶が欲しくて…って、あれ?かすみん?」

かすみ「え?」

かすみ「お会いしたことありましたっけ?かすみんって呼んでくださるってことはファンの方ですか!?」パァ

侑「そうそう、かすみんのファン!私だよ、覚えてない?」

かすみ「かすみんー、ファンの方とーっても多いからぁ、一度お話ししたことあるだけだとどうしても全員は覚えきれない…………あっエマせんぱいのお友達の!ひやかしにきた人ですか!!」

侑「うわー、覚えててくれたんだ!でもひやかしじゃないよ!ファンだもん!」

かすみ「私のステージ観たこともないのに、よくそんな堂々と…」
 
492: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 08:06:49.97 ID:gxUGk581
侑「ところでパンがどうこうって言った?」

かすみ「はい。かすみんの手作りパンがあるんですけど、よかったら食べませんか?」

侑「手作りパン!?食べたい!」

かすみ「毎度ありです!どれでも一個120円ですよ」

侑「あ、でも私今日お弁当持ってきてるんだよね…」

かすみ「コッペパンの一つや二つ、食べ盛りならお弁当にプラスしてもぺろっと食べられちゃいますよ。美味しいですし」

侑「そ、そうかなぁ…」

かすみ「…やっぱりひやかしですか」ジー

侑「うっ!?」グサッ

侑「や、待って!待ってかすみん!えっとー、えっとー…………そうだ!」
 
493: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 08:13:47.40 ID:gxUGk581
中庭


かすみ「で」

かすみ「なんでこうなってるんですか?」

歩夢「かすみちゃん、お茶飲む?」

かすみ「あ、はい。ありがとうございます」

侑「お弁当とパンを食べるのが無理なら、パンを食べることに集中すればいいんだよね!はいかすみん、私のお弁当。お母さんが作ったから味は問題ないと思うよ」

歩夢「侑ちゃん、お母さんのお弁当を物々交換の手札にしてるよね。最近」

かすみ「それで先輩はかすみんのパンを食べると」

侑「うん。コッペパンなら三つはいけちゃうよ!」

かすみ「まあ、美味しく食べてくださるならそれでいいですけど…」

歩夢「それじゃ、いただきます」

侑「いただきます」

かすみ「い、いただきます…」
 
494: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 08:18:32.15 ID:gxUGk581
歩夢「そういえば、この間パンありがとう。かすみちゃんだったんだね」

かすみ「え?歩夢せんぱいもパン買いにきてくださったことあるんですか?」

歩夢「うん。ちょうど一週間前くらいかな」

かすみ「そうでしたか。どうしたか?かすみんの手作りコッペパンは」

歩夢「美味しかったよ。もっと素直な気持ちで食べられたら、もっと美味しかったんだろうなぁ…」

かすみ「なんですか。どうしてそんな遠い目をしながら言うんですか。どんな気持ちで食べたんですか…」

侑「おいっっっしい!」

あゆかす ビクッ

侑「かすみん、このパンすっごく美味しいよ!手作りだなんて思えないくらい!」

かすみ「そ、そうですかそうですか!かすみんが作ったんだから美味しいのは当たり前ですけど、そこまで絶賛されると照れちゃいますねぇ」フフン

侑「これ売ったらお金取れちゃうよ!」

かすみ「売ってるしお金取ってますよ」
 
495: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 08:23:38.65 ID:gxUGk581
侑「っていうか歩夢がこの前食べてたコッペパン、あれかすみんのやつだったんだ!」モグモグ

歩夢「うん、そうだったみたい」

侑「こんな美味しいの、一人で食べちゃったなんて許せないな!」モグモグ

歩夢「侑ちゃんがいけないんだもん」プー

かすみ「かすみんのパンで争うのはやめてください!」
 
496: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 08:33:44.09 ID:gxUGk581
侑「ごちそうさまでした。いやー、美味しかった」

かすみ「侑せんぱいのお弁当も美味しかったです、お母様にごちそうさまって伝えといてくださいね」

侑「かすみん、いつまでパン売ってるの?また買いにいきたいな!」

かすみ「特に決めてませんね。毎日やってるわけでもないですし」

侑「えー、じゃあかすみんのパン食べたくなったとき私どうしたらいいの!?」

かすみ「し、知りませんよ。我慢してください」

侑「やだやだ!かすみんのパンまた食べたい!」

かすみ「そこまで言われると悪い気はしませんね…」

歩夢「わ、私が作ってこようか?コッペパン…」

かすみ「自分のおやつにちょっとだけ持ってることもあるので、教室とか部室に来てくだされば、まあ…余ってたらあげてもいいですよ」

侑「ほんと!?やったー!」ワーイッ


かすみとお昼ごはんを食べました! ▼
 
497: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 08:42:55.78 ID:gxUGk581
放課後…


そわそわ。

そわそわ、そわそわ。

かすみん、教室とか部室に行っていいって言ったよね?

さっきの今でコッペパン貰いにいったらさすがに呆れられちゃうかな。

でも美味しかったんだもん、くっ…すでに一日経過してればいいのに…!!


これからどうしようかな? >>498
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(部室棟、ライフデザイン学科、家庭科室、お台場から選択)
 
498: (茸) 2020/11/11(水) 08:47:12.79 ID:Y4lppKy6
家庭科室

安価出すときはageた方が良くない?
 
499: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 08:55:03.39 ID:gxUGk581
うう、パンのこと考えてたらお腹空いてきちゃった…

歩夢とどこか寄り道して帰ろう。

お台場のコッペパン食べて帰るのでもいいけど、かすみんのコッペパンを食べちゃうとなんだか今まで一番好きだったあれすら霞んできちゃうよ。

恐るべし、かすみん…

…………ん?


侑「なんか、いい匂いする…かも」フラ


歩夢「お待たせ、侑ちゃん。帰る準備できたよ…あれ?」

歩夢「ゆ、侑ちゃん!?」

優花「さっきふらふら出ていったよ」

歩夢「お腹空いてるのかな!?」

優花「動物か?」
 
500: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 09:00:23.51 ID:gxUGk581
かすかに漂ってくるいい匂いに釣られるようにして校内を歩く。

くんくん。

休日に歩夢の家でよく嗅ぐ匂い、小麦粉と砂糖が焼き上がるような匂いだ。

つまりこの匂いの元は…ケーキ!?

勢い辿ってきてしまったけど、家庭科部の人が作ってるやつとかかなぁ。

少し味見させてくれたり、するかな…
 
501: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 09:04:34.90 ID:gxUGk581
家庭科室


侑 ヒョコ…


足が向いたのは普通科校舎の端にある家庭科室だった。

普通科では特別教室を使う授業はあまりないけど、必要な教室の数が少ないからか色々な特別教室が校舎の中に入っている。

ライフデザイン学科寄りのこの場所にある家庭科室は、傍を通りかかるといい匂いがすることがよくあって、いつももどかしい気持ちにさせられるんだよね──


侑「…あ」
 
502: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 09:11:20.64 ID:gxUGk581
侑「彼方ちゃん!」

彼方「うん?」

彼方「お、侑ちゃんじゃん。こんにちは~」

侑「家庭科室でなにしてるの?一人?」

彼方「うん、一人だよ。調理実習で余った材料をお菓子にしてたところなの」

侑「へえ!今日はなに作ったの?今はなに作ってるの?作ったお菓子どうするの!?」

彼方「食べ物のことになると興味津々ですな」

彼方「今日は調理実習でシューパイを作ったんだけどね、カスタードクリームを作る過程でたくさん卵白が余ったから今はラングドシャクッキーを焼いてるんだよ」

侑「そっかそっか!」ウンウン

彼方「そうだよ~」

侑 ジーーー

彼方「…クラスのみんなにあげるつもりだけど、少しくらい食べちゃってもわかんないかもね」

侑「!」パァ

彼方「紅茶を淹れてあげよう」

侑「うわーいっ!彼方ちゃん大好き!」

彼方「彼方ちゃんもだよ~」
 
503: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 09:18:19.70 ID:gxUGk581
彼方「ん、いい具合」サク

侑「できた!?」

彼方「できたできた。あーん」

侑「あーん」

侑 サク

侑「…美味しい!」

彼方「ラングドシャは卵白だけで作れるし調理手順も簡単だからねぇ。カスタードクリームを作った後の定番お菓子なんだよ」

侑「そうなの?高級なお菓子のイメージあるけど」

彼方「食感がいいからかな。彼方ちゃんも作り方を知るまでは滅多に食べなかったもん」

侑「ね、もうちょっと食べてもいい?」

彼方「いいよいいよ、たくさんお食べ~」

侑「えへへ…いただきます」
 
504: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 09:29:41.38 ID:gxUGk581
侑 サクサク…

侑 サクサク…

彼方「侑ちゃんはよく食べるねぇ」

侑「だって美味しいから!彼方ちゃんも食べないの?」

彼方「彼方ちゃんはお菓子を食べるのより、作るのと食べてるのを見るのが好きなのだよ」

侑「そうなんだ。昔からよく作ってたの?」

彼方「そうだねー」

彼方「うち、両親とも働いてるの。だから遥ちゃんと二人きりで過ごす時間がすっごく多くてね、小さな遥ちゃんが寂しくないようにってお菓子とかごはんとか作るようにしてたんだよ」

侑「そっか。だから彼方ちゃんが作ってくれたものって優しい味がするんだね」

彼方「ずっと色んなお料理してるうちにとうとう一番得意なことになっちゃって、今では専攻になっちゃった」

侑「すごいよね!お弁当だってシフォンケーキだってすっごく美味しかったもん!」

彼方「うちの学科にはもっとお料理上手な子なんかたくさんいるけどね」

侑「でも私は、きっと彼方ちゃんの作ってくれたものが一番好きだよ」

彼方「侑ちゃんはいい子だね」ニコッ
 
505: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 09:34:35.24 ID:gxUGk581
侑 サクサク…

彼方「はい、もうおしま~い」

侑「!!?」

侑「な、なんで!?まだたくさんあるよ!?」オロ…

彼方「後はクラスのみんなにあげる分だもん。余った材料とは言っても、みんなが持ってきたものの余りだからね」

侑「あっ、そうだった…」

彼方「それにしてもすごい勢いで食べましたな。お昼ごはん食べなかったの?」

侑「ううん、コッペパン三つ食べたよ」

彼方「小麦粉の過剰摂取だねぇ」
 
506: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 09:41:35.20 ID:gxUGk581
侑「でも、いいなぁ」

彼方「む?」

侑「彼方ちゃんのクラスメイトだったら、こうして作ったものを食べる機会がいっぱいあるんだろうなーって。それを知ってたら私もライフデザイン学科にしたのに…!」

彼方「彼方ちゃん、三年生だよ?」

侑「はっ、そうじゃん!」ガーン…

侑「じゃあどっちみち毎日彼方ちゃんのお菓子や料理を食べるのは無理だったのか」シュン…

彼方「調理実習のお裾分けなんかでいいなら、いつでもあげるよ」

侑「ほんと!?」

彼方「もちろん。せっかく作ったものは、美味しい美味しいって食べてもらいたいもん。ニジガクの中でそんな風にしてくれるのは侑ちゃんが一番だからね」

侑「ニジガクの中で?」

彼方「うん。学校にいる間は会えないけど──」

彼方「彼方ちゃんの大切な人の中では、遥ちゃんが一番!」


彼方とお茶をしました! ▼
 
510: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:01:31.38 ID:gxUGk581
翌朝…


侑「お待たせ…」トボトボ

歩夢「行こっか…?」

侑「うん…」


お気に入りのニーソックスがみんな洗濯されてた。

おかげで今日は普通の白靴下をはくしかなくて、ちょっと気分が上がらない。

幸いニジガクは靴下に関しての規則がないから、中でも気に入りめのものをはくことはできたけど…

なんか、落ち着かないなぁ…


歩夢「侑ちゃん、今日は靴下違うんだね」

侑「うん…みんな洗濯中だったんだ…」

歩夢「こまめに出さないからだよ」

侑「歩夢までお母さんと同じこと言う~」メソメソ

歩夢「もー、これに懲りたら脱ぎっぱなしにするのやめるんだよ」

侑「約束する!」

歩夢「それ聞くの六回目だけどね」

侑「うっ」
 
511: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:04:29.13 ID:gxUGk581
お昼休み…


後は午後、午後の授業さえ乗り切れば帰れる!

帰れば私のニーソックス達が待っててくれる!

う~~っ、お腹空いた!!


お昼はどうしようかな? >>512
1.中庭で食べる
2.屋上で食べる
3.食堂で食べる
4.生徒会室で食べる
 
512: (茸) 2020/11/11(水) 22:05:14.12 ID:BoTsME+b
4
 
513: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:12:48.92 ID:gxUGk581
そういえば、靴下のことだけじゃなくてニジガクって結構全体的に規則は厳しくないんだよね。

これまであんまり気にせずにきたけど、ちょっと興味あるな。

誰か規則に詳しそうな人とか、いないかな。

…あ。


歩夢「侑ちゃん、お昼ごはんはどうする?」

侑「菜々ちゃんとお話しする!」

歩夢 ギクッ

歩夢「そ、それは…もう決まったことなの…?」

侑「うん、今すっごく話したい気分!」

歩夢「…」

歩夢 クッ…

歩夢「…いってらっしゃい……」ギリリ…

侑「まだ早いか~」チェー
 
514: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:17:06.26 ID:gxUGk581
生徒会室


コンコン

「はい、どうぞ」

侑「菜々ちゃん、こんにちは!」ガラッ

菜々「高咲さん。どうしましたか──」

菜々「…お昼ごはん、ですか?」

侑「うん。一緒に食べてもいい?」

菜々「ええ、構いませんよ」ニコッ…

侑「よかった。お邪魔しまーすっ」
 
515: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:24:06.36 ID:gxUGk581
「「いただきます」」

菜々「高咲さんは、上原さんと食べる約束をしているのではないのですか?」

侑「お昼?ううん、別に約束はしてないよ。いつも一緒に食べてるから当たり前ってだけ」

菜々「その当たり前を放棄して私なんかのところに来てしまっていいんですか」

侑「だって歩夢とは明日も明後日も一緒に食べられるもん。一日や二日別々だからって、なんにも変わらないよ」

菜々「…いいですね、そんな風に思える相手がいるのは」

侑「そうかな?歩夢とはもう小さい頃からずーっと一緒に育ってきたから、それが当たり前のこと過ぎてよくわかんないな」

菜々「とても幸せなことだと思いますよ」
 
516: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:30:55.75 ID:gxUGk581
侑「ねえ菜々ちゃん、聞きたいことがあるんだけど、いい?」

菜々「はい、私でわかることなら」

侑「うちって規則あんまり厳しくないじゃん?他の高校に行った友達とかと話しててそう感じるし、なんなら中学とかの方が厳しいところありそうなんだけど…なにか理由でもあるのかなーって」

菜々「高咲さんは校則が厳しい方がいいのですか?」

侑「えっ!?や、そんなことないよ!気になっただけ、気になっただけだから!」アワアワ

菜々「…ふふ。そう焦らなくても、私に校則を変えるほどの権限などありませんよ」

侑「そ、それはそうなんだろうけど…」ホッ
 
517: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:41:13.33 ID:gxUGk581
菜々「確かに、虹ヶ咲の校則は厳しくありませんね。いえ、むしろ緩いと言っていいと思います」

菜々「ただ始めからずっとこうだったわけではないようですね」

侑「え、そうなの?」

菜々「はい」コク

菜々「生徒会と学校側の話し合いによってたびたび校則は改定されています。中でも過去に三度大きな改定があって、そのたびに全体的に緩くなっていったといえます」

侑「へえ、そうなんだ…!」

菜々「私も過去の生徒会誌で読んだだけなので詳細はわかりませんけどね。生徒達の声が集まって生徒会に届き、その声を背負って時々の生徒会が学校側へ訴えたそうです」

菜々「しかし、校則を緩めろという生徒の声こそ集まりやすくても、その主張に正当性や合理性がなければ生徒会も動きはしないでしょう。私が生徒会長であればそう統率します」
 
518: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 22:54:46.62 ID:gxUGk581
侑「校則が全体的に緩くなるほど大きな改定が認められるくらいだもんね」

菜々「ですね」

菜々「その根底には虹ヶ咲の最大の特色である専攻の多様さが関わっているようです」

菜々「より虹ヶ咲の生徒達が自分らしく、そして虹ヶ咲の生徒らしくあるように。今の校則はその理念が保たれる最低限のものにまで数が減らされているように感じます」

侑「自分らしく、虹ヶ咲の生徒らしく。それが保たれる最低限…」

菜々「例えば、我が校に『学園敷地内での動物の放し飼いを禁止する』という校則があることを知っていますか?」

侑「え、なにそれ。そんな校則あるの…?」

菜々「はい、あるんです」

菜々「これは酪農科が新設されるにあたって新しく定められた条文だったようですね。今は我が校にもそれなりの数の動物がいるので、それらをみんな敷地内で放し飼いにすることは様々な観点から望ましくありません」

菜々「服装に関する規則も、学園指定の服装は制服・体操服およびジャージ・通学鞄のみに留め、その他の部分は標準モデルこそあるものの校則で規定されてはいません。虹ヶ咲の生徒であることを自他が認識するためにはそれで最低限足りると判断したからでしょう」
 
519: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 23:05:44.49 ID:gxUGk581
侑「そっか、正しく制服を着用してれば、どんな靴下をはいててもニジガクの生徒であることはわかるもんね」

菜々「靴下?…ええ、そうですね。靴も同じです」

侑「さすが菜々ちゃん、生徒会長。詳しいんだね」

菜々「こ、これくらいは。歴代の生徒会が丁寧に残してくださった資料を読んだだけですから」

侑「いやー、それにしても靴下の規定がなくてよかった。好きなのはいてられるもんね」

菜々「とは言っても、あまりに派手であったり柄が多かったりするものはだめですよ。校則の条文が最低限に留めてあるのは生徒もその理念を正しく理解し歩み寄ることを信頼してのものですから」

侑「わかってるってば!私、普段黒しかはかないから大丈夫だよ」

菜々「制服の着崩しもです。ジャージやブレザーは着用するならきちんと袖を通し、肩から流すような真似はいけません」

侑「あはは、そんな着方する人いないよ~」

菜々「前に見かけたんですよ!そのときは注意しそびれてしまいましたが、次に同じような生徒を見かけたら厳しく注意します」

侑「菜々ちゃんの手を煩わせるようなことはしないよ、約束するからね」

菜々「はい。ありがとうございます、高咲さん」

侑「あ」

菜々「?」
 
520: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 23:09:15.07 ID:gxUGk581
侑「ねえ、菜々ちゃん」

菜々「なんですか?」

侑「私、菜々ちゃんのこと菜々ちゃんって呼んでるよね」

菜々「はあ、そうですね…」

侑「だから菜々ちゃんも私のこと、名前で呼んでほしいな!」

菜々「え、な…なぜですか!?」ギョッ

侑「そっちの方が嬉しいからだよ!」
 
521: (もんじゃ) 2020/11/11(水) 23:11:50.15 ID:gxUGk581
侑「私の名前、知ってるよね?」

菜々「それは、もちろん、知ってますが…」

侑 ニパーッ

菜々「………!!」

侑 ワクワク

菜々「…」

侑 ワクワク…

菜々「……」

侑 ワクワク…ッ

菜々「………っ、ゅ…」

侑「!」パァ…

菜々「……………次までに、慣れて…おきます…」プイ…

侑「えええ~~~~~っ!」


菜々とお昼ごはんを食べました! ▼
 
528: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:12:29.20 ID:iJBvHqHH
放課後…


「それでは、また明後日」


先生が教室から出ていくや、みんな好き好きにお喋りし始める。

部活に行く子は鞄を手に取って駆け出すけど、それ以外はみんな結構居残って喋ってることが多いように感じる。

クラスのみんなが仲良しなのはいいことだね!


どうしようかな? >>529
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(一年生エリア、ライフデザイン学科、中庭、お台場から選択)
 
529: (SIM) 2020/11/12(木) 18:14:46.29 ID:eWZ7SUiv
まっすぐ帰ろう
 
530: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:21:29.14 ID:iJBvHqHH
侑「よーっし、歩夢!今日はどこ寄って帰ろっか!?」ガタ


部活に行く子、居残ってお喋りする子、みんな自由でみんないい。

そして私は放課後を思い切り楽しむよ!

かすみんにコッペパンを貰いにいこうか?

果林先輩を捜してみようか?

璃奈ちゃんがはんぺんにエサをあげてるかもしれないし、お台場で誰かに会えちゃうかも?

さあ、なにしよっかな──


歩夢「まっすぐ帰ろうね」ポン

侑「え?」

歩夢「お昼休み私のこと置いてった分、ちゃんと二人きりの時間作ってね」

侑「寄り道、中庭とか…お台場とか…」

歩夢「帰るよ侑ちゃん」

侑「みんな、ばいばーい」ノシ ズルズルズル…

香「慣れてるなー」

優花「ばいば~い」
 
531: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:26:03.91 ID:iJBvHqHH
侑「だからね、私が毎日自由にニーソックスをはけるのは歴代の生徒会の人達のおかげなんだって!」

歩夢「自由にって、侑ちゃんがはくの同じやつばっかりじゃない」

侑「この間も安くなってたから五足まとめ買いしたよ」

歩夢「そんなに持っててもはくやつなくなっちゃうくらい溜め込んでたんだね」ジト…

侑「うっ…いや、今のなし!まだ買ってない!まとめ買いする予定なだけ!」アセアセ

歩夢「そんな言い間違いある!?」
 
533: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:33:43.44 ID:iJBvHqHH
歩夢「今日は課題も出なかったから、明日は一日ゆっくりできるね。なにしよっか?」

侑「え、明日?なんで?」

歩夢「侑ちゃん、明日祝日だよ?」

侑「えっうそ、そうなの!?なんの日!?」

歩夢「昭和の日。もう侑ちゃん、先生の話聞いてなかったでしょ。ちゃんと帰りの挨拶のときに言ってたよ」

侑「そうなんだ~、歩夢がいなかったら私明日も学校行っちゃうところだったよ!ところで、昭和の日ってなんの日?」エヘ

歩夢「侑ちゃん…」

歩夢「昭和天皇の誕生日だって、中学で習ったでしょ」

侑「そうだっけ。だって昭和天皇がなにした人なのか知らないもん」

歩夢「なにした人って、それは…天皇様だから」

侑「だから?」

歩夢「ぅ…」

歩夢「じ、自分で調べてください!」プーイッ

侑「あーー、歩夢ずるーい!!」
 
534: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:38:30.07 ID:iJBvHqHH
歩夢「そんなに言うなら、明日は図書館に行って日本の祝日について勉強しよっか」

侑「ええっ…お休みの日なのに勉強するの?」

歩夢「知っておいた方がいいことでしょ。祝日はただお休みするだけじゃなくて、その由来を想って感謝したりする日なんだって聞いたことあるもん」

侑「大切なことなのはわかるけど、なにも明日やらなくても…」モゴモゴ

歩夢「先延ばしにして、いつやるの?」

侑「いつってそれは、その…」

侑「あ!ほら、区民センターって祝日お休みじゃない!?明日も閉まってるよ、たぶん!」

歩夢「区民センターは年末年始以外開いてるよ」ニコッ

侑「そ、そんなあ…!!」ガーン…
 
535: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:45:04.06 ID:iJBvHqHH
侑「わ…わかった、わかった。祝日のことはきちんと調べておくから、明日図書館に行くのは勘弁して。それより歩夢と楽しく遊びたいな、私」

歩夢「そ、そう?ふーん…」//

歩夢「それじゃ祝日のことはお互いに調べておいて今度情報交換しようね」

侑「任せて!」

侑 (変な約束しちゃったけど、お休みを図書館で勉強することになるよりは全然いいや。いつ調べよう…)

歩夢「なにして遊ぼうかな。侑ちゃん、なにしたい?」

侑「えー、そうだなー。最近歩夢とゲームしてないから久し振りにやりたい気もするな。あとはお菓子も作ってほしいし、お買い物にも行こうよ!」

歩夢「侑ちゃんってば欲張りなんだから。お菓子作りは一緒にやろうね?」

侑「簡単な作業なら…」

歩夢「手伝った分しか食べさせてあげませーん」

侑「や…やだー!だったらいっぱい手伝う~!」

歩夢「うふふ」


歩夢と帰りました! ▼
 
536: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:48:46.99 ID:iJBvHqHH
翌朝…


侑「歩夢のとこ行ってくるね」

高咲母「行ってらっしゃい。お昼は?」

侑「たぶん歩夢と食べるよ」

高咲母「そう。歩夢ちゃんによろしくね」

侑「はいはーい。行ってきまーす」
 
537: (しうまい) 2020/11/12(木) 18:53:55.69 ID:iJBvHqHH
歩夢の部屋…


侑「おはよー」ガチャ

歩夢「おはよう。お菓子、なに作りたいか考えてきた?」

侑「あ、考えてなかった」

歩夢「もーっ」プクーッ

侑「あはは、ごめんごめん。そうだなー、なんでもいいの?」

歩夢「すごく凝ったものじゃなければなんでもいいよ。食べたいものある?」

侑「えっと…」


なにを作ろうか? >>538
1.シュークリーム!
2.シフォンケーキ!
3.ラングドシャクッキー!
4.フィナンシェ!
 
538: (もんじゃ) 2020/11/12(木) 18:54:11.61 ID:AM19IX7E
2
 
539: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:00:49.68 ID:iJBvHqHH
侑「シフォンケーキ!歩夢、作れる?」

歩夢「うん、作れるよ。何味がいい?」

侑「うーん…紅茶とか…?」

歩夢「紅茶ね。それじゃ先に材料買いにいこっか」

侑「うん!シフォンケーキ作るのってなにが必要なの?」

歩夢「あんまり特別なものはいらないよ。卵とお砂糖と小麦粉くらい。それと今回は紅茶だね」

侑「へ~、普通のケーキより簡単?」

歩夢「どうだろう。生地を焼く工程はそんなに変わらないかな。でも普通のケーキはデコレーションがあるから、そういう意味では時間がかかるよね」

侑「そっか、シフォンケーキってデコレーションしてるイメージないもんね」

歩夢「プレーンならクリームを塗ったりすることもあるよ。味付きのやつならケーキ自体にはデコレーションしないで、クリームを別に作って付けて食べたりする方が多いかも」

侑「わあ、クリーム!作りたい!」

歩夢「それじゃ紅茶クリームも作ろうね」

侑「やったー!」
 
540: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:06:43.73 ID:iJBvHqHH
お買い物中…


歩夢「紅茶は普通のセイロンティーでいいかな。ほんとはアールグレイ風味の方がいいけど、うちの家族茶葉だと誰も飲まないから減らないんだよね…」

侑「うちもティーパックでしか飲まないなー。…うわ歩夢見て見て、トマト紅茶だって!面白いね!」

歩夢「そんなの飲まないでしょ、棚に戻しておきなさい」

侑「はーい」スッ

歩夢「でも飲み物はなににしよっか」

侑「コーヒーとか?紅茶のケーキに紅茶って合うのかな」

歩夢「合うと思うよ。むしろコーヒーだと少し重いかもしれないね。ホットミルクでもいいかもしれないけど」

侑「あ、じゃあホットミルクがいいな」

歩夢「ハチミツ入れたやつね」

侑「そう!さすが歩夢、わかってる!」
 
541: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:13:58.21 ID:iJBvHqHH
「ありがとうございましたー」

侑「持つよ歩夢、貸して」

歩夢「ありがとう。重いよ?」

侑「ヘーキヘーキ。作るのとかは歩夢に甘えちゃうからこれくらいやらせてよ」

歩夢「手伝ってくれるんでしょ?」

侑「もちろん。いっぱい食べたいからね!」

歩夢「もう、侑ちゃんってば」

侑「えへへ」

侑「そういえば、歩夢っていつからお菓子作ってたっけ」

歩夢「え?そうだなぁ、いつだろう…」

侑「小学生のときに初めてくれたバレンタインデーのチョコとかかな?」

歩夢「そう、かも。お母さんと一緒に作ったけどね」

侑「さすがに最初から一人では作れないよね~」
 
542: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:19:00.29 ID:iJBvHqHH
侑「あー、バレンタインデー好きだったなぁ。歩夢のくれるお菓子が楽しみでさー」

歩夢「そうなの?お菓子ならたまに作ってたじゃない」

侑「だって歩夢、チョコ系のお菓子ってバレンタインデーにしか作ってくれないでしょ」

歩夢「え、気づいてたんだ…」

侑「そりゃ気づくよ。チョコ味とかお願いしたら露骨に断って他の味にされてたし」

歩夢「…だってバレンタインデーは特別なものをあげたいんだもん」

侑「うん、わかってる。だから最近はチョコ味お願いしないでしょ?」

歩夢「バレてたんだと思うと恥ずかしくなってきた…」//

侑「今年のも美味しかったよ」

歩夢「た、たまには侑ちゃんもホワイトデー手作りでもいいんだよ!」

侑「歩夢に変なものを食べさせるわけにはいかないから…」

歩夢「自分で変なものとか言っちゃうんだ…」
 
543: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:27:54.19 ID:iJBvHqHH
お菓子作り中…


歩夢「これでよしっと」バタン

侑「焼いてる間にこの辺洗う?」

歩夢「うん、洗わなくちゃいけないのもそうなんだけど、今のうちに紅茶クリームを作っちゃおうかなって」

侑「い、意外とやること多いんだね…混ぜて焼くだけだと思ったんだけど…」

歩夢「お菓子作りは大変なんだよ。分量とか焼き時間とか丁寧にやらないと失敗しちゃうから、お料理の方が慣れたら手軽なくらいだから」

侑「そうなんだ。いつもありがとうございます…」

歩夢「うふふ、どう致しまして。ティーパックの用意してくれる?」

侑「はーい」
 
545: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:35:30.88 ID:iJBvHqHH
歩夢「………うん、いい具合に冷めたね」ツンツン

侑「ってことは…?」

歩夢「これで完成だよ」

侑「ぃやったーーー!!」

歩夢「さ、食べよっか」

侑「なんで冷ます間ひっくり返してたの?」

歩夢「しぼんじゃうのを防ぐためだよ。そのままにしてたら空気が抜ける過程でへにゃってなっちゃうから」

侑「おー、そうなんだ」

歩夢「はい、侑ちゃんの分。いっぱい食べてね」コト

侑「うん!いただきます!」

歩夢「いただきます」

侑「あむ。………ん~、やっぱりシフォンケーキって美味しいなぁ!」

歩夢「紅茶の風味がとっても素敵だよね。匂いまで美味しく感じちゃう」

侑「紅茶味にして正解だったな~」モグモグ

歩夢「それにしても、侑ちゃんシフォンケーキってそんなに好きだったっけ?私もそんなに作ってあげたことないと思うけど」モグモグ

侑「うん。この前彼方ちゃんに作ってもらってから、なんか忘れられなくってさー」

歩夢「は?」
 
546: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:44:22.87 ID:iJBvHqHH
歩夢「彼方ちゃん?って、誰…?」

侑「あれ、彼方ちゃんのことってまだ歩夢に話してなかったんだっけ。あのー…ほら、この間人とお弁当食べる約束してるからって言った日あるでしょ。あの人、先輩なんだけどさ。最初会ったのが学校じゃなかったからなんとなく敬語とか使わない感じになってさー」

侑「あ、彼方ちゃんライフデザイン学科でお料理を専攻してるんだけど、めっちゃ上手いんだよ!お弁当も美味しかったしデザートに作ってきてくれたシフォンケーキもふわっふわで…」

侑「そうだ、一昨日も放課後ラングドシャクッキー焼いてたから貰っちゃってさ。調理実習の余り物で作ったって言ってたけど、すごいよね。妹さんが羨ましいなぁ、遥ちゃんっていうらしいんだけど」

歩夢「ず…随分、仲良しみたい…だね?」

侑「うん!先輩って感じあんまりしなくて、すごく話しやすいし一緒にいると落ち着くから、大好きなんだ!」ニコッ

歩夢「…………………へー……」

侑「…あれ?歩夢、なんか怒ってる…?」

歩夢「怒ってない。でももうシフォンケーキはあげない。それ食べたら今日の分はおしまいです」サッ

侑「えっ、な…なんで!?いっぱい食べてねって言ったのに!歩夢!」

歩夢「つーんっ」

侑「ぁ………歩夢ぅ~~~…!」


歩夢と楽しく過ごしました! ▼
 
547: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:46:46.56 ID:iJBvHqHH
夜…


歩夢、なんとか機嫌直してくれてよかった。

どうしたんだろう、また「つーんっ」出てたし。

歩夢のシフォンケーキ食べながら彼方ちゃんのシフォンケーキを褒めたのがいけなかったのかな。

明日、歩夢のも同じくらい美味しいよって伝えよう。





侑「ん?ラインだ。誰だろ」スッ


『しずくちゃん:侑先輩、こんばんは』


侑「おっ、しずくちゃんだ。珍しいな」
 
548: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:49:53.10 ID:iJBvHqHH
『しずくちゃん:明日、もし他にご予定がなければお昼ごはんをご一緒しませんか?』


おお、しずくちゃんからお昼ごはんのお誘いだ。

明日…別に、なんの予定もないよね。


どうしようかな? >>549
1.もちろんいいよ!
2.歩夢も一緒でいい?
3.明日はだめかな
 
549: (たまごやき) 2020/11/12(木) 19:51:12.76 ID:jcSiCglH
1
 
550: (しうまい) 2020/11/12(木) 19:53:56.08 ID:iJBvHqHH
予定がない以上、せっかく誘ってくれたのを断る理由なんかないもんね。


『もちろんいいよ!』

『しずくちゃん:本当ですか。ありがとうございます!』

『お昼休み、教室に迎えにいくね』

『しずくちゃん:楽しみにしています♪』

『しずくちゃんがスタンプを送信しました』


侑「えへへ…♪」


ああ、なんだか気持ちよく眠れそうだなぁ。
 
555: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:28:02.17 ID:3uBpnhdv
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


侑「歩夢」

歩夢「なに?侑ちゃん」

侑「歩夢のシフォンケーキだってすごく美味しかったよ!」

歩夢「え?あ、ありがとう」

侑「シフォンケーキだけじゃなくて、歩夢が作ってくれるお菓子はみんな美味しい。私、大好きだよ」

歩夢「な、なになに?どうしたの急に」

侑「ううん、別に。思ったことはちゃんと伝えとかなくちゃなーって」

歩夢「…今日もシフォンケーキ持ってきてるから、お昼、食べようね」

侑「うん!」
 
556: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:29:49.17 ID:3uBpnhdv
侑「………あ、ねえ、それカットしてある?」

歩夢「もちろんしてるよ。どうして?」

侑「いやー、今日しずくちゃんとお昼ごはん食べる約束したんだよね」

歩夢「は?」

侑「だから私の分、持っていってもいい?そうだ、もし余りがあるならしずくちゃんにも食べてもらおうよ!美味しいからきっと喜んでくれるよ!」

侑「歩夢、シフォンケーキいくつ持ってきてる──」

歩夢「教室から持ち出し禁止です!!」イーッ

侑「えーーーーーっ!?」ガーンッ
 
557: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:32:23.58 ID:3uBpnhdv
お昼休み…


侑「歩夢ー」

歩夢「つーんっ」

侑「歩夢ってばー」ツンツン

歩夢「つーんっ」

侑「あゆむぅ~」クイクイ

歩夢「つんつーんっ」

侑「私、約束したからしずくちゃんのところ行かなくちゃいけないんだけど…」

歩夢「…行かなくちゃいけないんだけど、なに?」

侑「その…」モジモジ

侑「シフォンケーキ、は…?」

歩夢「」
 
558: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:36:17.18 ID:3uBpnhdv
侑「怒られてしまった」トコトコ…


一昨日も菜々ちゃんとお昼ごはん食べて、今日も歩夢を置いて約束しちゃったからかなぁ。

一昨日の分は放課後でチャラにしてくれたと思ったんだけど…

結局、シフォンケーキも持たせてもらえなかったし。

やっぱり、菜々ちゃんやしずくちゃんも歩夢と一緒にお昼ごはん食べられるようになった方がいいよね。

二人より三人の方がきっと楽しいし!
 
559: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:40:24.88 ID:3uBpnhdv
一年生教室


侑 ヒョコ…

しずく「!」

しずく「先輩っ!」ガタッ

侑「あ、しずくちゃ~ん」ノシ

しずく「お待ちしていました!」タタタ

侑「よかったよ、すぐに見つけられて。他の学年の教室を覗くのって思ったより緊張するものだね」

しずく「来ていただいてすみません。後輩なんですから、私からお迎えにいくべきでしたよね。私、侑先輩とお昼をご一緒できると思うと嬉しくて舞い上がってしまって、そこまで気が回らなくて…」

侑「いいのいいの、きっと上級生の教室を覗く方が緊張しちゃうはずだからさ。こういうのは私に任せてよ」

侑「それじゃ、行こっか」

しずく「はい!」
 
561: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:42:36.25 ID:3uBpnhdv
侑「──って言ったんだけど、どこで食べよっか」

しずく「そ、そうですね。考えていませんでした」

侑「屋上…は人が多いかもなぁ。やっぱり中庭かな」

しずく「中庭ですか。あまり行ったことがないので行ってみたいです」

侑「うん、じゃ決まりね!今日は天気もいいし気持ちいいよ!」

しずく「早く行きましょう!」
 
562: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:47:16.36 ID:3uBpnhdv
中庭


しずく「わあ…とってもキレイ…!」

侑「ねー。緑も多いし空もよく見えるし、向こうには池もあるんだよ」

しずく「そうなんですか!私、水辺って好きなんです。水が自然に流れている様子を眺めるのとかが」

侑「それならそっちで食べよっか」

しずく「やった!」キュッ

侑 (あ、可愛い)
 
563: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:51:52.42 ID:3uBpnhdv
侑「ベンチあいててよかったね」

しずく「はい。侑先輩を地面に座らせずに済みました。お誘いしておきながらレジャーシートの一つも持ってこないなんて、ふがいないばかりです…」

侑「あはは、そんなに気にしないでよ。私そこまでデリケートじゃないからさ、公園とか行ったら普通に地面座っちゃうし」

しずく「だめですよ、汚れてしまいます」

侑「歩夢も同じこと言ってたなぁ。私が気にしないから、いつも歩夢がハンカチとか持ってきてて敷いてくれるんだよね」ヘヘ

しずく ム…

侑「でも、しずくちゃんからお誘いがあるなんて思わなかったよ」

しずく「ぁ…ご迷惑、でしたか?」

侑「そんなはずないじゃん、すごく嬉しかったよ!だからすぐに返事したでしょ?」

しずく「は、はい。早かったです」

侑「そういうことだよ!」
 
564: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:55:38.25 ID:3uBpnhdv
しずく「昨日のお休み、お気に入りの舞台のディスクを観てたんです。それでふと先日のことを思い出して、ああ、楽しかったな、と思っていたら…」

侑「思っていたら?」

しずく「し、知らない間にお誘いのメッセージを送ってしまってたんです…」//

侑「そうだったの?」

しずく「それに気づいて慌ててフォローのメッセージを送ろうとしたんですけど、それより早く侑先輩がお返事を下さったので…」

侑「わ、危なかった。返信遅かったら取り消しになっちゃうとこだったんだ」

侑「よくやったね、昨日の私」ニッ

しずく「…っ」

しずく「た、食べましょうか。お昼休みが終わっちゃいますね」イソイソ

侑「うん、食べよう!」
 
565: (しうまい) 2020/11/13(金) 11:59:54.26 ID:3uBpnhdv
しずく「そろそろゴールデンウィークですが、先輩はお出かけの予定などあるんですか?」

侑「特にないかなー、お父さんが仕事だから家族みんなでお出かけってわけにもいかなくてさ」

しずく「お仕事なんですか」

侑「うん、あんまりカレンダーとか関係ないタイプの仕事でね。だからなかなか休みは合わなかったりするけど、みんなの生活を支える大事な仕事だから私は誇らしいよ!」

しずく「素敵ですね」

侑「いつかしずくちゃんもお世話になることがあるかもね~」ニシシ

しずく「そ、そうなんですか!?なんのお仕事を…」

侑「なーいしょっ」

しずく「ゆ、侑先輩~~」
 
566: (しうまい) 2020/11/13(金) 12:05:59.12 ID:3uBpnhdv
侑「そう言うしずくちゃんはなにか予定あるの?また演劇を観にいくとか?」

しずく「いえ、ゴールデンウィーク中にその予定はないです。うち何日かは部活動をやるみたいなのでお出かけにも行けなさそうです」

侑「え、ゴールデンウィークにも部活あるの?演劇部って大変なんだね」

しずく「ふふ。私は演劇をめいっぱいしたくてここに来たので、嬉しいんですよ」

侑「そっか。どう?演劇部。楽しい?」

しずく「楽しいです。技術はまだまだですが、ずっとやりたかったことなので上手く行かない部分も試行錯誤をする楽しみに変えられるんです」

侑「へえ、やっぱりすごいなぁ」

しずく「そんな、大したものでは…」
 
567: (しうまい) 2020/11/13(金) 12:11:49.04 ID:3uBpnhdv
しずく「侑先輩、ゴールデンウィークなんですけど」

侑「うん。なに?」

しずく「まだ部活動の予定を聞いていないので具体的な日は決められないんですけど、その、もしご都合が合ったら…また、ランチにでも行きませんか…?」

侑「いいよ、行こう!」

しずく「!」パァ

侑「私は基本暇してると思うからさ、いつでも連絡してよ。あ、でも鎌倉まで行くの結構時間かかっちゃうから、当日のお誘いだったら早めにね!」

しずく「ちゃ、ちゃんと余裕をもってお誘いしますもん…!」

侑「あはは、ならいいんだけど」
 
569: (しうまい) 2020/11/13(金) 12:19:03.22 ID:3uBpnhdv
「「ごちそうさまでした」」

侑「…」

しずく「侑先輩?」

侑「ほんとはね、デザートのシフォンケーキがあったんだ…」

しずく「そうなんですか?本当は、というのは…」

侑「ちょっと事情があって持ってこられなくてさ。しずくちゃんにも食べてほしかったなぁ」ハァ…

しずく「えと…」オロ

しずく「先輩が作ったんですか?」

侑「ううん、私も手伝ったけど、ほとんど歩夢が。紅茶味でね、すごく美味しくできたんだよ」

しずく「紅茶のシフォンケーキですか、それはぜひ食べてみたかったです」

侑「次は絶対に確保してくるからね!!」キッ

しずく「は…はいっ、お願いします!!」


しずくとお昼ごはんを食べました! ▼
 
576: (しうまい) 2020/11/13(金) 17:42:27.31 ID:3uBpnhdv
放課後…


シフォンケーキは無事だろうか。

クリームはさすがに傷むから持ってきてないって言ってたけど、シフォンケーキは傷まないんだろうか。

歩夢はもう食べたんだろうか。

私の分は残ってるんだろうか。

シフォンケーキ──シフォンケーキ──


これからどうしようかな? >>577
1.まっすぐ帰る
2.教室でお茶する
3.保健室でお茶する
 
577: (茸) 2020/11/13(金) 17:44:58.24 ID:sQfrOwho
3

保健室ってそういうのいいのか……?
 
578: (しうまい) 2020/11/13(金) 17:48:31.40 ID:3uBpnhdv
侑「歩夢!」

歩夢「!」ハッ

侑 ジリ…

歩夢「…」

侑 ジリリ…

歩夢「……っ」

侑「──シフォンケーキは、まだ残ってますか」キリッ

歩夢「………!」
 
579: (しうまい) 2020/11/13(金) 17:52:23.80 ID:3uBpnhdv
歩夢 ………ハァ

歩夢「もちろん残ってるよ。侑ちゃんのために持ってきたんだもん、私が食べちゃったり捨てちゃったりするわけないでしょ」

侑「ぁ…歩夢~っ!」ウルウル

歩夢「そんなカオするくらいなら、最初から放ったらかしにしないでほしいなぁ」ボソ

侑「歩夢は?歩夢、自分の分はもう食べちゃった?」

歩夢「ううん。一人で食べたって美味しくないもん」

侑「だよねだよねっ、そうだと思った!ねえ歩夢、食べよ!今から食べちゃお!」

歩夢「い、今からって、学校で?」

侑「うん!もう我慢できないんだもん!」

歩夢「ええ…」
 
580: (しうまい) 2020/11/13(金) 17:58:19.57 ID:3uBpnhdv
侑「平気だよ、お昼休みにお弁当を食べていいのに放課後にシフォンケーキ食べちゃいけないなんておかしいもん!」

歩夢「そ、そうかなぁ…?」

侑「そんなに厳しい規則じゃないはずだよ、ニジガクは!」

歩夢「授業で民法かじった中学生みたいなこと言ってる…」

歩夢「怒られても知らないからね。先生がいないうちに早く食べちゃおっか」ゴソゴソ…

侑「いや、歩夢。私は歩夢が作ってくれたシフォンケーキをそんなに雑に食べるなんてできないよ」

歩夢「え?」

侑「できるだけじっくり楽しむために、いい場所を知ってるんだ。行こ」

歩夢「え?え??」
 
581: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:02:39.84 ID:3uBpnhdv
保健室


侑 コソ…

歩夢「保健室?なんでこんなところに来たの?…っていうか侑ちゃん、どうしてそんなにこそこそしてるの…」

侑「うん、情報通り先生いないね」

歩夢「保健の先生?」

侑「そうだよ。この時間、部活の顧問を持ってない先生達は職員会議なんだってさ」

歩夢「なにその情報網…先生がいないからって保健室でケーキ食べなくても…」

侑「ふふふ。歩夢、ここにはね、これがあるんだよ」スッ

歩夢「それって…」

侑「保健の先生のコーヒーメーカー!」っコーヒーメーカー

歩夢「…………いやだめだよ!!!」
 
582: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:06:17.08 ID:3uBpnhdv
侑「ふっふっふ、これで淹れたてアツアツのコーヒーと歩夢のシフォンケーキを楽しめるよ」

歩夢「ど、ど、どうしてそんなこと思い付くの!?普通に購買とか自販機で飲み物買えばいいじゃない!」

侑「淹れたてのコーヒーには敵わないでしょ?あれ、これどうやって動かすんだろう。簡単そうだったのにな、ちゃんと見とけばよかった」カチカチ

歩夢「だったら食堂でコーヒー買おう?ね?おばちゃんが淹れたてのコーヒー出してくれるよ!」

侑「ここかな?」カチ

歩夢「侑ちゃんってば!!」

「勝手に触っちゃいけないんだぞ~」

侑 ビクッ

歩夢「ひぃぃぃいいいっ、ごめんなさいごめんなさい!!」ビクッ
 
583: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:09:49.35 ID:3uBpnhdv
歩夢「ちょ、ちょっと好奇心が出ただけで、すぐ帰ります、ごめんなさいっ!ほら侑ちゃん行こ、ちゃんと謝って!ごめんなさい!」グイ

侑「わわっ。い、一杯くらい飲んでいっても…」

歩夢「侑ちゃん!!!」

「はっはっは、なかなか豪胆なことをしますなぁ」

侑「…ん、この声…」

彼方「や」

侑「やっぱり彼方ちゃんだ!」

歩夢「え?…あれ、先生じゃない…」

彼方「んー、保健の先生代理の近江彼方ちゃんだよ。よろしくね」

歩夢「か、彼方ちゃん…って、あれ…?」

彼方「まーまー、とりあえずそっちに座りたまえよ少女達」ポン
 
584: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:12:52.97 ID:3uBpnhdv
コポポポ…

彼方「ほいさ」カチャ

侑「ありがとう彼方ちゃん!そっか、先にそっちのボタン押せばよかったんだね」

歩夢「えと、これ…」

彼方「飲んじゃっていいよ。先生からも使っていいって言われてるからさ」

歩夢「そ、そうなんですか…」

侑「ね?だから言ったじゃん」

彼方「…いやぁ、彼方ちゃんはたまに怪我した子の面倒を見てるからってことで名指しで許可してもらってる身だからねぇ。侑ちゃんが使ってもお咎めなしかどうかは保証できないな~」

侑「あれ?」

歩夢「ゆーうーちゃーんーーー………」

侑「あ、あはは…」
 
585: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:15:41.52 ID:3uBpnhdv
歩夢「あの、よかったら彼方…先輩も、食べますか?私が作ったやつなので、味は

侑「味はピカイチだよ!」

歩夢「侑ちゃん!」

彼方「ほー。貰っちゃっていいの?」

歩夢「は、はい。余分に持ってきてたので」

彼方「そかそか、それじゃお言葉に甘えちゃおうかな。いただきます」

侑「いただきまーす!」
 
586: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:22:09.65 ID:3uBpnhdv
彼方「………む」

彼方「美味しいね!」

侑「でしょでしょ!?」

歩夢「よかった」ホッ

彼方「すごく丁寧に作られてるね。なるほど、侑ちゃんが妙にお菓子に敏感なのはこういう素敵なお友達が身近にいるからなんだね~」

侑「歩夢は幼馴染みなんだよ。昔から色んなお菓子作ってくれるんだ」

彼方「これは彼方ちゃんもなかなか負けてられませんなぁ」

侑「どっちが作ってくれたのも同じくらい美味しいから、優劣はつけらんないな」ウンウン

歩夢「…」

彼方「…ほー」
 
587: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:26:31.67 ID:3uBpnhdv
彼方「ごちそうさまでした。とっても美味しかったよ、歩夢ちゃん」

歩夢「お、お粗末様でした」ペコ

彼方「コーヒーカップは彼方ちゃんが片付けておくから、二人は食べ終えたら教室に戻りなね。職員会議もそろそろ終わると思うから」

侑「おっと、それも重要な情報だね。彼方ちゃんに会えてよかったよ」

歩夢「なにからなにまでありがとうございます。もう少しちゃんとこの子の手綱を握ります…」

彼方「はっはっは、そうだね~」

侑「むー、それじゃ私が聞かんぼうみたいじゃん」

歩夢「侑ちゃんは自覚を持って…」
 
588: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:30:42.73 ID:3uBpnhdv
侑「そうだ、彼方ちゃん」

彼方「ん~?」カチャカチャ…

侑「またお弁当作ってね!彼方ちゃんのお弁当すっごく美味しかったからさー」

歩夢「!」

彼方「んー…」

歩夢「…」

彼方「そうだねぇ」

彼方「お弁当は、疲れちゃうからやめとこうかな」

侑「えー…」

彼方「調理実習で作ったものをお裾分けするのならいいけどね。侑ちゃんにはもっと侑ちゃんのことを考えてお弁当を作ってくれそうな子がいるみたいだしさ」

侑「え?」
 
589: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:33:28.02 ID:3uBpnhdv
彼方「いつもと違うお弁当が食べたくなったら、彼方ちゃんよりもっと身近な人にお願いしたらいいと思うよ」

彼方「ねっ」ニコ

歩夢「…!」

侑「もっと身近な人?って、誰のこと…?」

彼方「それは彼方ちゃんにはわかりませんなぁ。さ、先生が来ちゃう前に行った行った~」

侑「はーい。またね、彼方ちゃん」

歩夢「ぁ──か、彼方先輩…!」

彼方「彼方ちゃんでいいよ」

彼方「また会おうね、歩夢ちゃんも」


彼方とお茶をしました! ▼
 
590: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:41:45.79 ID:3uBpnhdv
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


一昨日休んだばっかりなのに、今日行ったらまたお休みだ。

しかも五連休!

お父さんには悪いけど、ゴールデンウィークって最高!


侑「でもゴールデンウィークってこの辺結構人が多くなるから疲れるよね」

歩夢「そうだね。商業エリアまで混んじゃうからお買い物も大変なんだよね」

侑「おつかいとか頼まれないといいな~」

歩夢「それくらいはやらないとだめだよ。私も暇な時間だったら声かけてくれたら付き合うからね」

侑「はーい」
 
591: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:45:10.26 ID:3uBpnhdv
お昼休み…


クラスの雰囲気もどこか浮き足立った感じがあって、授業中の空気に締まりがなかったような。

その代わりと言わんばかりに毎授業、連休中の課題が出されたんだけど…

これはどこかで歩夢と課題を片付ける日が必要だなぁ…


お昼はどうしようかな? >>592
1.中庭で食べる
2.食堂で食べる
3.生徒会室で食べる
4.教室で食べる
 
592: (SIM) 2020/11/13(金) 18:46:14.53 ID:kJRQotIS
1
 
593: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:53:17.62 ID:3uBpnhdv
中庭


歩夢「侑ちゃんと中庭でお昼ごはん食べるの、なんだか久し振りに感じるね」

侑「実際久し振りかも。前いつだっけな」ンー…

歩夢「先週の水曜日だよ。久し振りって言うほどではないのかもしれないけどね」

侑「一緒に中庭に来たのは璃奈ちゃんとはんぺんのとき以来だよね。あれは」

歩夢「金曜日だったね」

侑「そっか。璃奈ちゃん、お昼休みもはんぺんの様子見にきてるのかな?」

歩夢「どうだろう。近くまで行ってみる?」

侑「行ってみよ行ってみよ!」
 
594: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:55:52.61 ID:3uBpnhdv
侑「んー……あ、璃奈ちゃん!」タタタ

璃奈「侑さん。歩夢さん」

歩夢「こんにちは、璃奈ちゃん。はんぺんちゃんのところ?」

璃奈「うん。ごはんとミルク」ガサ

侑「私達も行っていい?」

璃奈「いいよ」

侑「やったー!」

歩夢「はんぺんちゃん怖がらせないようにね」

侑「わかってるってー」
 
595: (しうまい) 2020/11/13(金) 18:58:59.03 ID:3uBpnhdv



侑「はんぺん嬉しそうだったね」

璃奈「お腹空いてたのかな」

歩夢「それもあると思うけど、璃奈ちゃんに会えるのが嬉しいっていう風に見えたよ」

璃奈「私に?…そうかな」

侑「私だってこんなに可愛い子が毎日自分に会いにきてくれてしかもごはんまでくれちゃったら、めっちゃ嬉しいよー!」ナデナデ

璃奈「はんぺんが喜んでるなら、よかった」

歩夢「璃奈ちゃん、お昼ごはんまだだよね。よかったら一緒に食べない?持ってきてる?」

璃奈「いいの?」

侑「もちろんだよ!ごはんは一緒に食べた方が美味しいもん。あっちで食べよ!」

歩夢「行こう、璃奈ちゃん」ギュ

璃奈「…うん」
 
596: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:04:59.55 ID:3uBpnhdv
璃奈 ガサ…

侑「あれ?璃奈ちゃん、それってコンビニの?」

璃奈「そう」

侑「サンドイッチなら購買にもあるのに。安いし美味しいらしいよ」

璃奈「人がたくさんいるところに並ぶの、苦手だから。大きな声出さないと聞こえないし」モグ…

侑「そっか…」

歩夢「でもコンビニのサンドイッチって高いよね。二つ買ったら七百円とかしちゃうもん」

侑「だねー。美味しいっちゃ美味しいんだけど、それだったら菓子パン買っちゃうな。全然安上がりだもん」

璃奈「安いか高いかって、あんまり考えたことない。千円あればサンドイッチ二つとジュースも買えるから」
 
598: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:07:37.02 ID:3uBpnhdv
歩夢「お弁当にはしないの?」

璃奈「コンビニのお弁当は身体によくないから、買わない。パンはいい」

侑「難しい基準だね」

歩夢「よかったらこれ食べる?すごく好きでいつも入れてもらうの」

璃奈 ジッ

歩夢「口あけて」

璃奈 アーン

歩夢「はい」ヒョイ

璃奈 モグモグ…

歩夢「どう?」

璃奈「美味しい」

歩夢「よかった」ニコッ

侑「えー、歩夢それ私も欲しい!」

歩夢「ええ…」
 
599: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:16:12.27 ID:3uBpnhdv
侑「美味しかった~、ごちそうさま」

璃奈「ごちそうさま」

歩夢「ごちそうさまでした。…あ、璃奈ちゃん、口元が汚れちゃってるよ。拭くからじっとしててね」クイ

歩夢「よしっ」

璃奈「ありがとう」

璃奈「歩夢さんがくれたの、美味しかった」

歩夢「コンビニのサンドイッチ、私も好きだけど、やっぱりお母さんが作ってくれたものを食べるとこれだなぁって思うよね」

璃奈「…」

侑「璃奈ちゃん?どうかした?」

璃奈「購買のパンは手作りかな」

侑「確かそうだよ。購買のおばちゃん達が作ってるんだって言ってた気がする」

歩夢「でも、璃奈ちゃんは人が多いの苦手なんだよね」

璃奈「苦手…」
 
600: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:19:27.61 ID:3uBpnhdv
侑「うーん、購買はお昼休みになるとすぐ混んじゃうし、かと言ってパンはお昼休みにならないと買えるようにならないもんね…」

侑「……あ」

歩夢「どうしたの?」

侑「璃奈ちゃん、お昼ごはんってパンとごはん、どっちが好み?」

璃奈「どっちかというとパン」

侑「そっか!」

侑「ねえ璃奈ちゃん、放課後付き合ってくれる?」

璃奈「うん」

侑「授業が終わったら教室に迎えにいくから待っててほしいな」

璃奈「わかった」コクン

歩夢「侑ちゃん…?」

侑「歩夢も、一緒に来てね」

歩夢「う、うん…」


璃奈とお昼ごはんを食べました! ▼
 
601: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:21:23.14 ID:3uBpnhdv
放課後…


今週の授業、みんな終了!

ちょっぴりこの騒がしい教室で連休前の余韻に浸ってたい気持ちもあるけど…


侑「歩夢、璃奈ちゃんとこ行こ!」

歩夢「うん」
 
602: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:24:29.94 ID:3uBpnhdv
一年生教室


侑「りーなちゃんっ」ヒョコ

璃奈「こんにちは。侑さん、歩夢さん」

歩夢「さっきぶりだね」

侑「時間は平気?用事とかない?」

璃奈「ううん、特にない」

侑「おっけー!」

歩夢「侑ちゃん、なにをするの?」

侑「ふっふっふ………かすみんを捜す!!」

歩夢「え、どうして…?」

璃奈「?」

侑「話さえできればきっとこっちのものだよ。さ、かすみん捜しだー!」

歩夢「えっ、ええぇ…説明して~!」
 
603: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:29:51.31 ID:3uBpnhdv
やがて…


侑「み──見つけた、かすみん…!」ゼェゼェ

かすみ「うわ、出ましたね」

歩夢「かすみちゃん、こんにちは」

かすみ「こんにちは、歩夢せんぱい」

かすみ「…そっちの子は?」

侑「璃奈ちゃん」

璃奈「天王寺璃奈。一年」

かすみ「あ、そうですか…それで?わざわざかすみんのこと探し回ってた風ですけど、どうかしたんですか?やっと用事が済んで今から部活に行くところなんですけど」

侑「かすみんにお願いしたいことがあって来たんだ」
 
604: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:34:25.78 ID:3uBpnhdv
かすみ「お願いぃ~?サインですかぁ?」

侑「サインはまた今度貰う!」

かすみ「なんで当然貰えるものだと思ってるんですか…」

侑「かすみん、この璃奈ちゃんにコッペパン作ってきてくれないかな?」

かすみ「え?」

歩夢「えっ!?」

璃奈「えっ」

侑「璃奈ちゃん、コンビニのサンドイッチを食べる機会が多いみたいなんだけど、どうせなら手作りのもの食べてほしいんだ。かすみんのコッペパンならどこよりも美味しいし信頼できるから、どうかなと思って!」

かすみ「……どうせ作ってくるものなので、余らすよりは確実に受け取ってくれる人がいるのはいいですけど」

侑「けど?」

かすみ「肝心の本人が初耳っぽいのはなんなんですか?」

璃奈「…」

侑「ああっ、璃奈ちゃんに話してなかった!!」

かすみ「ええ…」

歩夢「侑ちゃん…」
 
605: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:37:44.77 ID:3uBpnhdv
侑「ね、璃奈ちゃん。どうかな?」

侑「かすみんね、コッペパン作るのすっごく上手でめちゃくちゃ美味しいんだよ。一回食べたらきっと大好きになっちゃうよ」

璃奈「…」

かすみ「それ、天王寺さんが頷いたら、かすみん毎日休みなくコッペパン持ってくるのが義務になるんですかね?」

侑「ああっ……ふ、二人同時に話を進めるの難しいよ!」

かすみ「知りませんよ…」

歩夢「思い付きで行動するからだよ…」
 
606: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:42:40.66 ID:3uBpnhdv
璃奈 トコ…

かすみ「!」

璃奈「毎日じゃなくていい。持ってきた日だけでいいから、かすみんのコッペパン、食べたい。お願い、します」ペコ…

かすみ「わ、ちょっと、頭なんか下げなくていいよ!わかったよ、天王寺さんの分持ってくるから!」アワワ

かすみ「でも絶対毎日持ってこられるって約束はできないよ。かすみんがパンを持ってこられない日、お昼どうするの?」

璃奈「えっと…購買で、買う…」

かすみ「……もうっ!スマホ貸して!」

璃奈「え?はい…」っスマホ

かすみ スッスッ

かすみ「これ、かすみんのライン!特別に交換してあげる。用意できなさそうな日は事前に言うから、そのときは自分でなんとかしてね!」

璃奈「…わかった。ありがとう」
 
607: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:45:21.57 ID:3uBpnhdv
侑「よ──」

侑「よかったぁ、なんとかなった…」ヘニャ

かすみ「歩夢せんぱい、その人もう少し考えて行動させた方がいいですよ」

歩夢「うん、気をつけるね…」

侑「ひどい言われようだ!?」ガーンッ

璃奈「侑さん」テテテ

璃奈「かすみんのこと、紹介してくれてありがとう」ペコッ

侑「…えへへ。ほんとに美味しいからびっくりしないでね」

璃奈「覚悟して食べる」

かすみ「そんなハードル上げないでくださいよ…」
 
608: (しうまい) 2020/11/13(金) 19:49:27.69 ID:3uBpnhdv
侑「ところでー、か~すみんっ」ツツツ

かすみ「な、なんですか…」

侑「私もかすみんのライン教えてほしいなー。とびきりのコッペパンができた日は連絡してくれたら飛んでいくからさ」

歩夢「!」

かすみ「ええ…」

侑「おねがーい!私だってかすみんのコッペパン食べたいよ~!」

かすみ「ああもう、わかりましたよ!なんなんですかこの人!」プンプン

侑「わーい、やったー!」

璃奈「…」

璃奈「私も交換する」ス

歩夢「!?」

侑「ほんと!?しようしよう!」


かすみと璃奈が仲良くなりました!
かすみの連絡先を手に入れました!
璃奈の連絡先を手に入れました!  ▼
 
619: (しうまい) 2020/11/16(月) 07:49:44.39 ID:PLENPB2b
翌朝…


始まる。

始まる。

ううん、始まった──私のゴールデンウィーク!

わくわくしちゃうよ、毎日なにしようかな。

えへへ、歩夢と遊びたいしランチにも行きたい、お買い物にも行きたいし一日たっぷり寝たい。

なにしよっかな、なにしよっかな。


侑「えへへ~」ゴロゴロ…

侑「……ん?」ハッ


『9:20』


侑「一時間もこうしてる!?」ガーンッ


今日はどうしようかな? >>620
1.一人で家で過ごす
2.歩夢と過ごす
3.お買い物に出かける
 
620: (もんじゃ) 2020/11/16(月) 07:51:37.48 ID:6Qo6YSZj
3
 
621: (しうまい) 2020/11/16(月) 07:55:08.08 ID:PLENPB2b
いけないいけない、ぼーっとしてたらお休みってすぐに終わっちゃうんだよね。

未来を見られる秘密道具でのび太くんがやってた失敗を繰り返すわけにはいかないよ。

私には未来なんて見えないけど、だから自分の足で楽しいことを探しにいかなくちゃね。

今日は連休初日の土曜日、まだお台場だってそんなに人が多くないはず。


侑「様子見にいこーっと!」ヨッ
 
622: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:01:36.47 ID:PLENPB2b
商業エリア


…うん、まだ時間も早いしいつもの土曜日って感じだね。

なにか目的があったわけじゃないから、こうなるとお散歩くらいしかすることないな。

どこか覗いてみてもいいけど…


どこか覗く? >>623
1.アニメショップ
2.ゲームケンター
3.図書館
4.お散歩を続ける
 
623: (たまごやき) 2020/11/16(月) 08:02:17.21 ID:eB4qIxAa
2
 
624: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:08:50.75 ID:PLENPB2b
侑「ゲームセンターでも行ってみようかな」


一人だと…ううん、歩夢と一緒でもあんまり行くことないんだよね。

理由は単純、私は目についたものがすぐに欲しくなっちゃうし歩夢はクレーンゲームが下手だから。もちろん私も上手くない。

私達二人で行くのは結構危険な場所だったりする。

でも、でも、たまにすっごく可愛い商品が出てたりするし、そういうの見逃しちゃったらイヤだからこっそり覗くこともある。

うう~、今テンション高い自覚あるもん。

いっぱい使っちゃいませんように、いっぱい使っちゃいませんように…!
 
626: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:14:06.02 ID:PLENPB2b
ゲームセンター


ガヤガヤ…


土曜日の午前中、開店したばかりの時間なこともあって、人はまだ多くない。

それでも独特の電子音が混ざり合うこの空間はすごく賑わっているように思えてしまう。


侑「メダルゲームは得意なんだけどな、得るものがなんにもないからやる気にならないんだよね。景品とかあったらいいのに」ブラブラ


少し用事を済ませてくるって離れたお母さんを待つ間に暇潰しで始めたメダルゲームでメダルが八十枚くらいに増えちゃって、なかなか戻れずに怒られたこともある。

うーん、私、ゲームセンターととことん相性よくないみたい。
 
627: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:19:10.96 ID:PLENPB2b
侑 トコトコ…

侑「!」


羊のかぶりもの デン…


侑「わ、わ、わぁぁ…!」

侑「うわー、可愛い!可愛いなぁ!」ベタ


黄色いふわふわのかぶりもの。

耳のところが長く垂れてて、両手で握って可愛く照れる歩夢の姿が目に浮かぶ。


侑「ほ、欲しい…いや歩夢にあげたい…!」ゴクリ
 
628: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:23:46.24 ID:PLENPB2b
いやいや、待って。

待つんだよ高咲侑。

キミ、クレーンゲーム下手でしょ?取れるの?今まで取れたことある?

ううん、取れたことあるのは知ってるけど、それって何円使ったんだっけ。

歩夢と繰り返し三回も千円札崩したよね?

それでも結局上手くいかなくて店員さんが贔屓してくれたの、忘れちゃった?

まだゴールデンウィーク始まったばっかりだよ。

ここでお小遣い使い切っちゃう覚悟でもあるの?

おとなしく本屋でも覗いて帰ろうね。


侑「うん!」


チャリーン
 
629: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:27:25.27 ID:PLENPB2b
侑「こっちか?奥の方、いけいけ…ああっ違う!待ってもう一回だけ。さっき行き過ぎたから手前で止めるのが正解じゃん?だからここで、えーなんで!おかしいって、引っかかったのに!じゃあいいよもう、右側から攻めるもん。こうやって押していけばいいんだってテレビでやってたし、え?今ちゃんと動いた?あたったよね?」チャリーンチャリーン


羊のかぶりもの クイ…


侑「!」


羊のかぶりもの トスン…


侑「!!」

侑「持ち上がった!今ちょっと持ち上がったから次で取れる!」キャーキャー
 
631: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:33:53.29 ID:PLENPB2b
侑「今と同じとこ狙えばいいんだよね。よーし…」チャリーン

「そっちは狙っちゃだめ。狙うのは奥の角」スッ

侑「え?」

璃奈「重心を見ないと。手前に引っかけたら持ち上がるのは当然」

侑「璃奈ちゃん!」

璃奈「派手に持ち上がるのはわざと」

侑「そ、そうなんだ」

璃奈「奥の角、アームで上から押して」

侑「わかったよ!」
 
632: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:40:35.85 ID:PLENPB2b
侑「…………ああっ、惜しい!惜しかったよね今!?」

璃奈「惜しかった。アームの位置が浅かった」コク

侑「くうっ…そっか、アームって上から降りてくるから押すことができるんだ。完全に盲点だったよ」

璃奈「イリュージョンスピンを使えるかどうかでクレーンゲームの成功率は天と地ほどの差になる」

侑「い…イリュージョンスピン!?なんかカッコいい!」

璃奈「押して落とす技の名前」

侑「もしかして、璃奈ちゃんクレーンゲーム得意…?」

璃奈「よく動画で観てる」

侑「り、璃奈ちゃん!いや師匠!お願いします、あの羊さんを私に取ってください!」

璃奈「…」

璃奈「よかろう」コクン

侑「やったー!」

璃奈「見てて」チャリーン
 
633: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:45:31.72 ID:PLENPB2b
ウィィィン…

グッ…

スン…


侑「お、惜しい!」

璃奈「今のでアームの反応速度と力を把握した」

侑「…!」


チャリーン

ウィィィン…

グッ…

スン…


侑「も、もうちょっとだったよね!?」

璃奈「見た目と重心が噛み合ってない。箱の中で変な風に商品が入ってるときにありがち」

侑「そんなのわかっちゃうんだ!さすが!」


チャリーン

ウィィィン…

グッ…

スン…


璃奈「なるほど。設定が少し厄介な台」

侑「うう、そうなんだ。取れる?」

璃奈「もちろん」


チャリーン… チャリーン… チャリーン………
 
634: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:51:04.42 ID:PLENPB2b
羊のかぶりもの ポトッ


ゆうりな「「!!」」

侑「と…取れたーーーっ!!」

璃奈 フゥ

侑「さすが璃奈ちゃん、私だけじゃ絶対に取れなかったよ!」

璃奈「クレーンゲームの景品は800円以下の原価しかかけちゃいけないから、商品一つにかけていい金額はそこまで」

侑「えっ、そうなの!?たまに腕時計とか見かけるけど…」

璃奈「あれも原価は800円以内。騙されたらだめ」

侑「危なかった、騙されちゃうところだったよ…」

侑「あれ?でも私、璃奈ちゃんが来る前に800円くらい使ってたけど、璃奈ちゃんも同じくらい…」

璃奈「設定が難しい台だったから」

侑「そ、そっか!」
 
635: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:55:49.54 ID:PLENPB2b
侑「でも取れてよかった~。ありがとね、璃奈ちゃん」

璃奈「役に立ててなにより」

侑「ところでなにしてるの?」

璃奈「土曜日だからお菓子取りにきたの」

侑「お菓子?」

璃奈「あれ」スッ


うまい棒(30本パック) デン


侑「あの夢みたいなやつだ!取れるの!?」

璃奈「毎週取って帰る」

侑「取るところ見たい!」

璃奈「いいよ」
 
636: (しうまい) 2020/11/16(月) 08:58:01.29 ID:PLENPB2b
璃奈「こういう大きな景品はバウンドを使うといい。端を持ち上げて落とすことで反動を利用する」チャリーン

侑「そんな技もあるんだ!」


ウィィィン…

グイ…

ベシ

チャリーン

ウィィィン…

グイ…

ベシ


侑 ハラハラ

璃奈 ポチ……チャリーン……ポチ……チャリーン
 
638: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:04:44.21 ID:PLENPB2b
うまい棒(30本パック) ポトッ


侑「すごい、落ちたよ!」

璃奈 フゥ

侑「うわー、これ取れるとこ初めて見たよ。すごいなぁ璃奈ちゃん」

璃奈 ゴソゴソ…

璃奈「戦果のお裾分け」っうまい棒

侑「貰っちゃっていいの!?ありがとう!…ちょっと折れちゃってるね」

璃奈「何回も叩きつけるからそうなるのは当然」

侑「それもそうだね。味は変わらないもんね」

璃奈「うまい棒は美味しいしお腹にも溜まるからいい」

侑「500円も使っちゃったけどよかったの?」

璃奈「800円以内で取れたから、私の勝ち」

侑「そっか!さすが璃奈ちゃん!」


璃奈とゲームセンターで遊びました! ▼
 
639: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:12:07.48 ID:PLENPB2b
歩夢の部屋


侑「あゆむー」ガチャ

歩夢「侑ちゃん。こんな時間に来るの珍しいね、どうかしたの?」

侑「へっへっへ~、じゃじゃーん!歩夢にプレゼントでーす!」

歩夢「えっ!?ぷ、プレゼント?……わ、可愛い」

侑「でしょでしょー?絶対似合うと思ったんだよね」

歩夢「か、可愛いけどこれ子どもが着けるやつじゃないの?」

侑「そんなことないって、ほら、全年齢対象じゃん」

歩夢「それ小さい子が使ってもいいってことだよね!?」

侑「いいからいいから、かぶって見せてよ」

歩夢「も、もー…」
 
640: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:17:52.03 ID:PLENPB2b
歩夢(羊)「ど、どうかな…?」//

侑「うわーっ、歩夢の羊さん!やっぱり可愛い!すっごく似合ってるよ歩夢!」キャーッ

歩夢「そう?少し恥ずかしいけど、ふわふわしてて気持ちいいね」ギュ

侑 (やっぱり耳のところ握った!ぴこぴこしてて可愛いなぁ)

侑「いや~、私の目に狂いはなかったね。一目見た瞬間、これは歩夢に似合うぞって

歩夢「これ、ゲームセンターの景品だよね?」

歩夢「行ったんだ、ゲームセンター」

侑「………えっと、ね」

歩夢 ニコニコ

侑「……………えへ♡」
 
642: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:25:44.57 ID:PLENPB2b
歩夢「私にくれるのは嬉しいけど、ゲームセンターはできるだけ行かないようにしよって言ったのに」

侑「今日からお休みだって思ったら、なんかこう、気が緩んじゃって」

歩夢「もう。いっぱい使っちゃったでしょ」

侑「使わなかったよ!今日はそんなに!璃奈ちゃんに会ってね、すごいんだよ璃奈ちゃん。クレーンゲームすごく上手で、その羊も取ってくれてさ。うまい棒の大きなやつとかも取ってたの」

歩夢「璃奈ちゃん?」

侑「うん、うん、師匠が一緒だったからあんまり使わなくて済んだの!」

歩夢「師匠って」

歩夢「プレゼントくれたから許してあげる。でもあんまりゲームセンターに行っちゃだめだからね、侑ちゃんすぐ欲しくなっちゃう子なんだから」

侑「はーい」

歩夢「明日は課題やろうね」

侑「ぅ…」

歩夢「侑ちゃん、一人じゃ始めないでしょ」

歩夢「うう…はーい…」
 
643: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:32:31.77 ID:PLENPB2b
夜…


璃奈ちゃんにあんな特技があったなんて、驚いちゃったな。

これからゲームセンターで欲しい景品があったらお願いしちゃおうかな!なんてね。





侑「ん、…しずくちゃんだ!」


『しずくちゃん:こんばんは』

『しずくちゃん:急ですみません、部活のお休みが明日だけとのことなのですが、なにかご予定はありますか?』


侑「明日か~、…あっ。歩夢と課題やるって言っちゃったんだっけ…」


なんて返事しようかな? >>644
1.なにも予定ないよ!
2.一緒に勉強する?
3.明日は予定あるんだ…
 
644: (わんこそば) 2020/11/16(月) 09:33:51.95 ID:h8YKENPn
2
 
645: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:37:49.67 ID:PLENPB2b
はっきり約束したわけじゃないし、歩夢は明後日でも明々後日でもいいと思うけど…

一回やるって言ったんだもん、その上から他の約束を入れるのは失礼だよね。

でもしずくちゃんのお休み、明日しかないんだ。

せっかく連絡してくれたんなら会いたいなぁ。

うーん…

…あ、そうだ!


『明日、歩夢と課題やることになってるんだ』

『しずくちゃんも一緒にどうかな?』


こうだ!
 
646: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:41:01.53 ID:PLENPB2b
侑「…」

侑「……」

侑「………」


あれ?返事来ないな。

既読はついてるけど、どうしたんだろう。

しまった、しずくちゃんも勉強あんまり好きじゃない子だったかな。


『イヤだったら無理に  スマスマ…





『しずくちゃん:ご一緒してもいいんですか?』
 
647: (しうまい) 2020/11/16(月) 09:46:49.91 ID:PLENPB2b
『もちろんいいよ。しずくちゃん、課題出てる?』


侑「…」


『しずくちゃん:出ました。それでは、お言葉に甘えますね』

『うん!学校の近くまで来てくれたら迎えにいくね』


侑「…」


『しずくちゃん:ありがとうございます』


侑「時間はどうしようかなー」スマスマ…


しずくと勉強する約束をしました! ▼
 
650: (しうまい) 2020/11/16(月) 17:59:53.74 ID:PLENPB2b
翌朝…


しずく「あっ、侑先輩!おはようございます」タタタ

侑「おはよう、しずくちゃん。お休みなのにこっちまで来てもらっちゃってごめんね」

しずく「いえ、いずれにしても部活動で毎日登校しているので。私こそ、駅まで迎えにこさせてしまってすみません」

侑「いいのいいの、これくらい。えへへ…近所だから、こんな気の抜けた格好だけど」

しずく「普段着はそんな雰囲気なんですね。侑先輩のことを知れて嬉しいです」

侑「しずくちゃんは相変わらず可愛いね」

しずく「かゎ…っ!?」

侑「鎌倉からずっと電車に乗るんだし、まさかジャージでってわけにもいかないもんね。って、しずくちゃんのことだから近くのコンビニにだってジャージで行ったりしないよね」

しずく「近くのコンビニだったらジャージで行くものなんですか?」

侑「あ、あはは……さ、行こっか!こっちね!」サッ

しずく「あ、はいっ」
 
651: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:04:34.37 ID:PLENPB2b
しずく「歩夢先輩と約束されていたのに、本当に私もお邪魔してよかったんですか?」

侑「もちろん!歩夢もいいってさ」

しずく「それなら、いいんですけど…」

しずく「…侑先輩は歩夢先輩と幼馴染み、なんでしたっけ」

侑「うん。もう小さい頃からずっと一緒なんだ。どんな想い出も必ず歩夢とセットって感じでさ、妹みたいな感覚だよ」

しずく「歩夢先輩が妹ですか?」

侑「へへ、だって私の方がしっかりしてるからね。歩夢結構ぼーっとしてるところあるから!」

しずく「侑先輩の方が、しっかり…?」
 
652: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:14:02.76 ID:PLENPB2b
侑「ここが私の家だよ」

しずく「へえ、ここですか。学校からよく見えますよね」

侑「そうだね。まっすぐ橋が架かってればいいのにーっていつも思うよ」

しずく「うふふ、いいですね。それ」


トコトコ…


しずく「…あれ?このお部屋じゃないんですか?」

侑「ああ、うん。今日は歩夢の部屋でやることになってるんだ。私の部屋より片付いてるからね~」

『上原』

しずく「! お隣、なんですか…」


ガチャ


しずく「………えっ、チャイム鳴らしましたか!?」

侑「ああ、大丈夫大丈夫。侑でーす、失礼しまーす。入って入って」

しずく「えっ………えええ……??」
 
653: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:18:16.16 ID:PLENPB2b
上原家


歩夢「侑ちゃん、おはよう。それにしずくちゃん」ヒョコ

しずく「あ、お、おはようございます。お世話になります」ペコ

侑「おはよ。お母さんに挨拶してくるね」

歩夢「うん。しずくちゃんが来ることも話してあるから」

侑「ありがと!しずくちゃん、お母さんに挨拶してから歩夢の部屋行こうね」

しずく「は、はい……」ソワソワ
 
654: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:23:33.15 ID:PLENPB2b
歩夢の部屋


歩夢「改めて、いらっしゃい。しずくちゃん」

しずく「はい、急にご一緒させていただいて、ありがとうございます」

歩夢「もう、突然『しずくちゃんも来ることになった』なんて言うからびっくりしたよ」プクー

侑「だってしずくちゃん今日しか部活のお休みないって言うんだもん。歩夢だったら何回か会ってるしいいかなーって」

歩夢「それはもちろん、いいけど…」

侑「遠慮しないでくつろいでね」

しずく「は、はい。えっと…」

歩夢「ここは侑ちゃんのお家じゃありませんよー」ムニ

侑「ぅへ」

歩夢「でも、遠慮しなくていいのは本当だからね」

しずく「ありがとうございます」
 
655: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:29:18.89 ID:PLENPB2b
侑「しずくちゃんも課題いっぱい出た?」

しずく「そう多くはないです。なので大体昨日のうちに済ませたんですけど、数学だけ後回しにしてしまっていたので…ちょうどいい機会でした」

侑「苦手なの?数学」

しずく「あまり、得意では…」

侑「わかるわかる、誰にだって苦手な教科の一つや二つあって当然だよ。見せて、私が教えてあげるからさ」

しずく「わあ、助かります。このページからなんですけど」

侑「どれどれ~」

侑「…」

侑「……」

侑「………」

しずく「どうですか?」

侑 チラッ

歩夢「…侑ちゃんのいいかっこしい」ボソ

侑「うっ」グサッ
 
656: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:35:55.78 ID:PLENPB2b
歩夢「少しノート見せてもらってもいい?」

しずく「はい」

歩夢「………分配法則はきちんと理解できてるけど、それと展開が結び付けられてないね。こことここは形が違うだけでやってることは同じだから、そうだな、…この問題をもう一回解いてみて」

しずく「は、はい!」

侑「へえ~…」

歩夢「侑ちゃんは覗いてないで自分の課題を進めようね。後から答え合わせするからね」

侑「は、はいっ」

しずく (しっかりしてる…?)
 
657: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:43:34.44 ID:PLENPB2b
しずく「……できました!歩夢先輩、見てください!」

歩夢「うん、貸して」

しずく「どうでしょう?」

歩夢「んー、……うん。全問正解!すごいね、しずくちゃん!」

しずく「歩夢先輩のおかげです!」

侑「どう?歩夢の教え方、すごくわかりやすいでしょ。私がこれまで試験を乗り越えてこられたのは、みんな歩夢のおかげなんだよ!」フフン

歩夢「どうしてそこで侑ちゃんが誇らしそうなのかな」

しずく「わかりませんが、すごく誇らしげです」

侑「幼馴染みとして鼻が高いよ!」
 
658: (しうまい) 2020/11/16(月) 18:58:34.20 ID:PLENPB2b
侑 ウーン…ウーン…

しずく「侑先輩は、お勉強はあまり得意じゃないんでしょうか?」

歩夢「得意か苦手かってことなら別に苦手じゃないんだけど、あんまり好きじゃないの。とにかく楽しいこととか好きなことにすぐ関心を持っていかれちゃうから、苦手って言うなら集中して取り組むのが苦手かな」

しずく「なんだか、子どもみたいですね」

歩夢「しずくちゃんもそう思う?昔からずっと無邪気であんな調子で、そういうところが可愛いから好きなんだけどね。だから私、勉強自体はそんなに得意なわけじゃないけど、人に教えるのは得意になっちゃったの。侑ちゃんの苦手なとこをきちんと教えられるようにって」

しずく「どこが苦手かわかるんですか?」

歩夢「なんとなくね。同じクラスだから授業中の表情とか見てたら、あんまりわかってなさそうだなとかね」

しずく「………そう、なんですね」
 
659: (しうまい) 2020/11/16(月) 19:08:29.59 ID:PLENPB2b
侑「解けたぁ~」グテー

歩夢「終わった?」

侑「終わったよぅ、ほら見て~」

歩夢「…………うん。ほとんど正解だね」

侑「え?ほとんど?」

歩夢「ここと、ここ。間違ってるよ」トン

侑「えーっ!?」

歩夢「んー…侑ちゃん、速度の向き勘違いしてるかも。速度は上向きが正になるんだよ」

侑「ん?………あっ、そういうことかー!」

歩夢「そこだけきちんと覚え直せばこの単元は問題なさそうだね」

侑「よかったぁ」ホッ…

しずく「…」
 
660: (しうまい) 2020/11/16(月) 19:13:48.33 ID:PLENPB2b
歩夢「休憩しよっか。飲み物取ってくるね」

侑「手伝うよ」

歩夢「いいからいいから、しずくちゃんが一人じゃ居心地悪くなっちゃうじゃない。二人でお話ししてて」

歩夢「しずくちゃん、紅茶好き?」

しずく「はい、ありがとうございます」

歩夢「待っててね」タタ
 
662: (しうまい) 2020/11/16(月) 19:17:54.97 ID:PLENPB2b
侑「やっと化学が終わったー」

しずく「うふふ、お疲れ様です。先輩」

侑「しずくちゃん、数学終わったってことはもう課題残ってない?」

しずく「そうですね。でもお休み明けにいくつか小テストがあるみたいなのでその復習をしておくつもりです」

侑「くっ、しずくちゃんがやることなくなっちゃったらそれを口実に外に行こうと思ったのに」

しずく「口実って言っちゃわないでください」

しずく「侑先輩もあと少しですよね。一緒に頑張りましょう」

侑「うん。でも一人じゃずるずる残しちゃうし、歩夢と一緒にやると捗るから助かるんだよね」

しずく「…歩夢先輩と、すごく仲良しですもんね。仲良しという言い方では足りないくらいに見えます」

侑「そう?そうかもね、もう歩夢はいて当たり前だからなぁ」
 
664: (しうまい) 2020/11/16(月) 19:23:36.18 ID:PLENPB2b
しずく「…」

侑「しずくちゃんも、いてくれて助かってるよ」

しずく「え?私、なにもしてませんよ…」

侑「私、これまで部活とかやってこなかったからさ。後輩の子とこんなに仲良くなったの初めてなんだよね。だから、しずくちゃんと一緒にいるとカッコつけたくなっちゃうんだ。勉強も、いつも以上にやらなきゃって思えるから」

しずく「…!」

侑「って言っても結局教えるのも歩夢に頼っちゃったし、カッコつかないとこばっかりなんだけど」アハハ…

しずく「そ──」

しずく「そんなことないです。真っ先に教えようとしてくださったの、とっても嬉しかったです。唸りながら一生懸命課題に向き合ってる表情も、真剣で素敵です」

侑「そ、そうかな」

しずく「そうです!」
 
665: (しうまい) 2020/11/16(月) 19:29:43.57 ID:PLENPB2b
しずく「侑先輩、ちょっとだけ…わがまま言ってもいいですか?」

侑「うん、なに?」

しずく「ぁ…歩夢先輩としたことがないことを、なにかしたいです…」

侑「歩夢としたことないこと?」

しずく「はい。侑先輩と私だけの、なにか…」

侑「んー、歩夢としたことないことなんかあるかなぁ。お化け屋敷も行ったことあるし、一緒に迷子になったこともあるし、うーん…」

しずく「……」

侑「…あ、それならこんなのどうかな」

しずく「な、なんでしょう──」
 
666: (しうまい) 2020/11/16(月) 19:33:18.86 ID:PLENPB2b
ナデナデ…


しずく「──、ぁっ…」

侑「たぶん、歩夢の頭撫でたことってないと思うんだよね。ぱっと思いついたのこんなところだけど、こういうことじゃなかった?」

しずく「…いいえ、とっても…嬉しいです…」//

侑「ほんと?よかった」

しずく「先輩、もう少しだけ──無でてほしいです──」

侑「うん、いいよ」ナデナデ

しずく「………♡」


しずくと歩夢と勉強しました! ▼
 
667: (しうまい) 2020/11/16(月) 19:33:38.51 ID:PLENPB2b
今日はこんなところで。
 
682: (茸) 2020/11/17(火) 08:22:12.85 ID:XY0JRRrr
翌朝…


こんなに心地のいい朝を迎えたことはあるかな。

ううん、きっとない。

課題はみんな終わってお休みはまだ三日もある。

私はなんだってできちゃうぞ!無敵だ!


今日はどうしよっかな? >>683
1.一人で家で過ごす
2.歩夢と過ごす
3.出かける(アニメショップ、本屋、公園から選択)
4.誰かに連絡する(しずく、かすみ、璃奈から選択)
 
683: (うめぼし) 2020/11/17(火) 08:24:31.21 ID:ssNaQWqd
4
かすかすとも仲を深めてみよう
 
684: (茸) 2020/11/17(火) 08:31:09.56 ID:XY0JRRrr
スマホのカレンダーを見ては嬉しくなる。

わかる?今日、月曜日なんだよ。

それなのにお休みなんだよ。

しかも明日も明後日もお休みなんだよ!

昨日は歩夢としずくちゃんと一緒に過ごして楽しかったなぁ。

一昨日は璃奈ちゃんにも会えたしね。


侑「…ん?ってことは…」


『おはよう、かすみちゃん!今日はかすみちゃんに会えるといいな!』


侑「えい!」
 
685: (茸) 2020/11/17(火) 08:35:24.12 ID:XY0JRRrr
侑「かすみちゃんってお休みの日はなにしてるんだろう。やっぱりコッペパン作ってるのかなぁ」

侑「出かける準備しとかなくちゃね!あ、でも作りたてのコッペパン食べさせてくれるかもしれないから朝ごはんは控えめがいいかな…」

侑「そもそもパンを作るのってどれくらいかかるものなんだろう?生地を寝かせるとか聞くけど、朝から焼くのかな。その辺も今日聞いてみようっと」

侑「…お返事来ないな」
 
686: (茸) 2020/11/17(火) 08:40:23.70 ID:XY0JRRrr
侑「ごちそうさまでした」


しばらく待ってもお返事がなかったので、とりあえず軽めに朝ごはんを食べておくことにした。

フルーツグラノーラは牛乳をかけても味があんまり変わらないから、そのまま食べちゃうんだよね。

「痛そう」ってお母さんからは変な目で見られるけど…

さて、かすみちゃんからお返事は来てるかな?


侑「…おっ」


『かすみちゃん:おはようございます』

『かすみちゃん:今日は学校お休みですよ』


侑「ははーん、私が学校でかすみちゃんに会えるのを期待してるって勘違いしてるな。違うんだよ~」スマスマ
 
687: (茸) 2020/11/17(火) 08:46:43.76 ID:XY0JRRrr
『わかってるよ!かすみちゃん、今日はお出かけの予定ないの?』

『かすみちゃん:ありませんよ』

『かすみちゃん:侑せんぱいはどこか出かけるんですか?』

『私も予定はないんだよね。かすみちゃん、どこか行きたいところある?』


侑「…」


『かすみちゃん:最近水族館に行ってないので久し振りに行きたいです』


侑「おー、水族館かぁ。いいね!」


『いいね!葛西の方かな?しながわ?』

『かすみちゃん:よく行くのは葛西です』

『じゃあしながわに行ってみようよ!』


侑「…」


あれ、またお返事来なくなっちゃった。

朝は忙しいのかな?
 
689: (茸) 2020/11/17(火) 08:53:47.47 ID:XY0JRRrr
ひとまず水族館に行く準備をしておいたらいいよね。

果林先輩の服…は、ちょっと照れくさいから、いつも通りの服でいいかな。

かすみちゃんはどんな服装なんだろう。

ショートカットだからボーイッシュな格好も似合いそうだけど、フリルのスカートとかポップな系統も似合いそうだよね。

う~ん、私はあんまりファッションセンスがないから、歩夢を連れてかすみちゃんのコーディネートをしてみたいなぁ。

果林先輩だともっといいけど、系統が違い過ぎて難しかったりするのかな。

なんにしても今日の服装が楽しみだな!





侑「お返事来た!待ち合わせは品川駅…と思ったけど、かすみちゃんもこの辺に住んでるのかな。だったら台場から一緒に行っても──」


『かすみちゃん:楽しんできてくださいね』


…………あれー?
 
691: (茸) 2020/11/17(火) 09:01:32.40 ID:XY0JRRrr
品川駅


侑「かすみちゃ~ん!」ノシ

かすみ「こんにちは、侑せんぱい」

侑「うん、こんにちは。えへへ、結局お昼になっちゃったね」

かすみ「そうですね」

侑「もー、かすみちゃんがなかなかお返事くれないからだよ」

かすみ「いや、そもそもなんですけど、どうして一緒に水族館に行くのが当たり前みたいになってるんですか?」

侑「え、水族館じゃない方がよかった?」

かすみ「そういうことじゃなくて、かすみん達って一緒に水族館に行くような間柄じゃないですよねぇ!?学校で何回かお話ししたことあるだけですよ!」

侑「だってかすみちゃんと仲良くなりたかったんだもん」

かすみ「ぅぐっ…そんなストレートに言われると責めづらい…」

侑「かすみちゃんもそう思ってくれたから来てくれたんでしょ?」

かすみ「それはせんぱいがあまりにもしつこかったからですけど。…はあもう、いいですよ。来ちゃったからには付き合いますよ!楽しくなかったら帰っちゃいますからね!」

侑「うん、行こ!」
 
692: (茸) 2020/11/17(火) 09:07:27.96 ID:XY0JRRrr
侑「出口どっちだっけな。えっとー…」

かすみ「…侑せんぱいが行こうとしてるのってアクアパークですよね?」

侑「え?ううん、しな水だよ、しな水!品川の水族館といったらしながわ水族館でしょ?」

かすみ「…」

かすみ「侑せんぱい、お一人でしながわ水族館に行ったことなかったりしますか?」

侑「さすがに私も一人で水族館には行かないよ~。歩夢のとこと一緒に行ったんだったと思うけど」アハハ

かすみ「しながわ水族館は、最寄り駅ここじゃないですよ」

侑「あはは…………えっ?」
 
693: (茸) 2020/11/17(火) 09:14:34.17 ID:XY0JRRrr
アクアパーク品川


かすみ「うわぁ~!見てくださいっ侑せんぱい、ここ触ったらお魚がキラキラしますよ!わっこの子なんか追いかけてきます!こーやってこーやって…ハートマークっ♡」

侑「すごいすごい!私もやってみようっと!」

侑「こうなぞって、こうなぞって…あれ?ついてきてくれないな、こうやって…」

かすみ「なんで逆三角形なんですか?」

侑「わ、私もハートマーク描いたつもりなんだけど!」ガーンッ
 
694: (茸) 2020/11/17(火) 09:17:39.84 ID:XY0JRRrr
侑「ふわー……すごい、神秘的な空間…」

かすみ「クラゲってキレイなんですねぇ」

侑「私、金魚がこんな風にキレイに彩られてるのも見たことあるんだ。どこだったかな、日本橋だっけなー」

かすみ「へー、金魚ですか。金魚も種類たくさんいるって聞きますもんね」

侑「そうなの?赤いのと黒いのとデメキンしか知らないや」

かすみ「せんぱい金魚見にいったんじゃないんですか…」
 
695: (茸) 2020/11/17(火) 09:19:31.69 ID:XY0JRRrr
侑→かすみ
呼び方『かすみん』でした。以降『かすみん』に戻します、ここまでの表記は各自脳内補完してください。失礼しました
 
696: (茸) 2020/11/17(火) 09:22:13.73 ID:XY0JRRrr
侑「チンアナゴだ、最近よく話題になるよね」

かすみ「せんぱい、チンアナゴそっちじゃないですよ。こっちの白いのがチンアナゴです」

侑「えっそうなの!?じゃあこれは何アナゴ?」

かすみ「ニシキアナゴ、だそうですね」

侑「そうなんだ~。こっちの方が目立つ色してるのにチンアナゴじゃないんだね」

かすみ「それはチンアナゴ達の自由じゃないですか」
 
698: (茸) 2020/11/17(火) 09:28:53.82 ID:XY0JRRrr
侑「うわ、ピラルクだって!私これ釣ったことあるよ!」

かすみ「こんな大きいのをですか!?え!?ジャングルに生息してるって書いてありますよ!?」

侑「違う違う、どうぶつの森でね」

かすみ「紛らわしい言い方しないでくださいよ!それだったらかすみんも釣ったことありますけど」

侑「でもこんなに大きな魚、よく釣り上げられたね」

かすみ「そう言われるとそうですね。タランチュラとか平気で捕まえますもんね」

侑「私、タランチュラとサソリ捕まえたことないや。いつも刺されて倒れちゃうんだ…」

かすみ「かすみんは博物館コンプリートしてましたよ!」ヘヘン

侑「えーっ、すごい!歩夢と交換とかしても全然集められなかったのに!ねえ、今度かすみんの村の博物館見にいかせてよ!」

かすみ「すみません、もうそのソフトは売っちゃいました」

侑「そんなぁ…あっ、私も売っちゃったかも」

かすみ「新しいのやらないんですか?」

侑「ゲームしばらくやってないからなー。かすみんがやるなら一緒にやるよ」

かすみ「侑せんぱいより早く博物館コンプリートしてみせちゃいますよ」

侑「い、今なら負けないもんね!」

かすみ「どうですかね~」
 
699: (茸) 2020/11/17(火) 09:35:17.23 ID:XY0JRRrr
侑「おっきいねー…!」

かすみ「可愛いですけど、さすがにこんな大きなぬいぐるみ買っても持って帰るのが大変ですね。しかもかなり高いですし」

侑「触り心地いいなぁ」スベスベ

かすみ「水族館のお土産コーナーってなんでみんな可愛いんですかね。全部欲しくなっちゃいます」ヒョイ

侑「かすみん、なにか買う?」

かすみ「……もう置く場所がないので買いません」

侑「そんなにぬいぐるみいっぱいあるの?」

かすみ「なんですか、いいじゃないですか!だって見たらつい買いたくなっちゃうんですもん!」

侑「あはは、からかったわけじゃないんだよ。私もぬいぐるみ好きだし、歩夢なんか私よりたくさん持ってるしね」

かすみ「ああ、歩夢せんぱいは持ってそうですね…」
 
700: (茸) 2020/11/17(火) 09:37:04.44 ID:XY0JRRrr
かすみ ブラブラ…

侑 (かすみん、ずーっと見て回ってる。やっぱり欲しいのかな)

侑 (水族館よく行くみたいだし、きっと好きなんだろうなぁ)


なにかかすみんに買う? >>701
1.ぬいぐるみ
2.ボールペン
3.クッキー
4.なにも買わない
 
701: (わんこそば) 2020/11/17(火) 09:39:40.96 ID:hgIi2DZx
2
 
702: (茸) 2020/11/17(火) 09:43:06.21 ID:XY0JRRrr
侑「かすみん、そろそろ行こっか」

かすみ「…はーい」

侑「かーすみんっ」

かすみ「なんですか?」

侑「はい、これ。あげる!」

かすみ「えっ!?」

侑「今日、付き合ってくれたお礼。無理やり誘っちゃってごめんね」

かすみ「それは、かすみんも楽しかったので…いいですけど…」ガサ…

侑「ほんとはぬいぐるみがいいかなーと思ったんだけど、邪魔になっちゃいけないからボールペンにしたよ。ずっと眺めてたから、カクレクマノミ好きかなと思って」

かすみ「可愛い…」
 
703: (茸) 2020/11/17(火) 09:47:24.91 ID:XY0JRRrr
侑「ボールペンって使い勝手の好き嫌いあるからさ、手に馴染まなかったら机の上にでも飾っててよ」

かすみ「ありがとうございます。大切にしますね」

侑「うん!」

侑「ね、お腹減っちゃった。お昼食べていこうよ」

かすみ「お昼っていうか、もうおやつの時間ですよ」

侑「じゃあおやつ食べていこ!そうだなぁ、コッペパンとか!」チラッ

かすみ「持ってきてませんけど」

侑「そんなぁ…!」ガックリ

かすみ「…まあ、お休み明けにまたお会いできたら、二番目に美味しくできたのあげてもいいですけど」

侑「ほんと!?」パァ

侑「あれ、一番美味しくできたやつは…?」

かすみ「それは、天王寺さんにあげるので!」ニヒッ


かすみと水族館に行きました! ▼
 
709: (茸) 2020/11/17(火) 18:57:01.90 ID:XY0JRRrr
翌朝…


侑「ん…」パチ…


スマホに手を伸ばして時刻を確認する。

寝坊の感覚もないからいつも通りだと思うけど…


侑「つ、つかない…」


充電し忘れたんだ………!!


今日はなにしよっかな? >>710
1.一人で家で過ごす
2.歩夢と過ごす
3.出かける(アニメショップ、本屋、公園から選択)
4.誰かに連絡する(しずく、かすみ、璃奈から選択)
 
710: (茸) 2020/11/17(火) 18:58:01.31 ID:K2/3pUqX
公園
 
711: (茸) 2020/11/17(火) 19:02:06.22 ID:XY0JRRrr
侑「いた、だき、ます」

高咲母「どうしてそんなにゆっくりなの?」

侑「うん」

侑 モグ…

侑 ムシャ…ムシャ…

侑 フゥ

侑 モグ…

侑「充電の時間を稼ぐためだよ」

高咲母「? そうなの」
 
712: (茸) 2020/11/17(火) 19:06:19.31 ID:XY0JRRrr
侑「65%か…」


たっぷり時間をかけて朝ごはんを食べたかいがあって、それなりに充電できていた。

一日中外に出て触りっ放しにするのでもないし、これくらいできてれば充分だよね。

連休が始まるときには一日なにも気にせず心行くまで寝てやる!なんて思ってたけど、いざ始まってみるともったいなくてそんな風に過ごせなくなっちゃうな。

やりたいことは一つもないけど、なにかしたくてうずうずしちゃうよ。

商業エリアは混んでそうだから、公園にでも行ってみようっと。

また彼方ちゃんが眠っちゃってないか、確認しておかないとね!
 
713: (茸) 2020/11/17(火) 19:11:52.64 ID:XY0JRRrr
潮風公園


侑「いつもより家族連れが多い、かも?」


普段はお母さんと子ども、という光景が多いのに対して、今日はお父さんの姿もちらほら見える。

お仕事がお休みなのかな。

確かうちのお父さんも今日は夕方に帰ってきて明日一日お休みだって言ってたっけ。

もう家族揃ってこんなご近所の公園にピクニックなんて年齢じゃなくなっちゃったけど、たまには三人でどこかにお出かけするのもいいよね。
 
714: (茸) 2020/11/17(火) 19:19:30.75 ID:XY0JRRrr
いつからかすっかり来なくなってた公園だけど、最近はたまに行こうかなってふと思うときがある。

たぶん、ここで彼方ちゃんに出会ってからだ。

とっくの昔に卒業した場所だと思い込んでたのに、あの日、ここで私の物語はまた一つ動いた。

そのことがきっと嬉しくて、好きな場所になっちゃったのかもしれない。


侑 トコトコ…

侑「彼方ちゃんに会いたいなぁ」ポツ

「その願い、叶えて進ぜよう~」

侑「わ、彼方ちゃん!?」

彼方「やーやー、またここで会えるなんてとびっきりの偶然だねぇ…って言うのは少し白々しいかな」
 
715: (茸) 2020/11/17(火) 19:21:45.43 ID:XY0JRRrr
彼方「随分と照れちゃうことを一人言してくれてましたなぁ」

侑「い、いやあれは…ちょっと思っただけで…!」

彼方「ちょっと思って口をついて出たのなら言い訳する余地はないんじゃないかな?」

彼方「お休み前に会ったばっかりなのに侑ちゃんをもう恋しくさせちゃうなんて、彼方ちゃんってば魅力的で困っちゃうぜ」

侑「も、もうそのことは忘れてよ~!」
 
716: (茸) 2020/11/17(火) 19:26:07.07 ID:XY0JRRrr
侑「彼方ちゃん、なにしてるの?今日もお昼寝?だめだよ、寝るならせめて屋内で…じゃなくて、えっと…」

彼方「ん~、お天気もいいしすやぴしたい気持ちはやまやまなんだけどね。今日の彼方ちゃんはしゃっきりさんモードなのだよ」

侑「しゃっきりさんモード?あれ、そう言われてみたらなんだか動きやすそうな格好だね。草野球?」

彼方「そこまでアクティブ求められちゃうと困るんだけど、ダンスの練習するんだよ~」

侑「ダンス?」

彼方「そう、ダンス。これでも彼方ちゃんスクールアイドルだからねぇ」

侑「えっ、そうなの!?なんで!?」

彼方「なんでとは心外な」

侑「いやっ違うの、びっくりして変なこと言っちゃった。スクールアイドル?ほんとに?」

彼方「まあね」
 
718: (茸) 2020/11/17(火) 19:31:49.74 ID:XY0JRRrr
侑「ってことは、かすみんとかエマ先輩と…もしかして同じ同好会…?」

彼方「およ、エマちゃん達と知り合いなの?」

侑「うん、色々縁があってね。かすみんとは昨日、水族館に行ったよ」

彼方「ほほう、そこまで仲良しさんだったとは」

侑「部室にも遊びにいったことあるんだよ。あのときはかすみんに追い返されちゃったけど…」

彼方「んん~、仲良しさんじゃなかったのかな」

侑「でもっ!まさか彼方ちゃんもスクールアイドルだったなんて!今から練習するんだよね?私、お手伝いしてもいい!?」

彼方「大歓迎だよ~。むしろお手伝いしてくれるなんて助かっちゃう」

侑「どこでやろっか!?あ、子ども達がいっぱいいるからあっちでやる!?見てもらおっか!」

彼方「これこれ、勝手にゲリラライブを開催させようとしないでね」
 
719: (茸) 2020/11/17(火) 19:37:06.11 ID:XY0JRRrr
彼方「それじゃ悪いんだけど、音楽の再生と動画頼んじゃっていい?一人だとなかなか慌ただしくなっちゃうんだよね」

侑「任せて!」

彼方「音楽お願い」

侑「はーい」ポチ


預かったスマホを操作して音楽を再生する。

彼方ちゃんはワイヤレスイヤホンをしてるから私には曲が聞こえないけど、ダンスを見る感じかなりアップテンポで楽しい感じの曲かも?

それにしても無音でただ踊ってるだけの様子って、なんだかちょっと不思議な感覚だな…
 
720: (茸) 2020/11/17(火) 19:42:13.54 ID:XY0JRRrr
彼方「………っと」タン

彼方「止めてくれる?」フゥ

侑「…」

彼方「あり、侑ちゃん?寝ちゃった?」

侑「すっ」バッ

彼方 ビクッ

侑「っっっごく、ダンス上手いね!彼方ちゃん!」

彼方「あ、ああ…ええ…?そんなことないと思うよ。他のみんなの方がよっぽど上手だよ~」

侑「いやいや!だってあんなに激しいダンス、私だったら曲が終わるまで続けられないもん!彼方ちゃんすごいよ!」

彼方「まあ今は歌わないでダンスだけだったからね。…あの侑ちゃん、音楽止めてくれるかな?」

侑「うわあっ忘れてた!」ポチ
 
721: (茸) 2020/11/17(火) 19:45:44.13 ID:XY0JRRrr
彼方「どう?侑ちゃんから見て気になる部分とかなかった?」

侑「えっ、うーん…私からすると上手いなーすごいなーってしか思わなかったんだけど…」

彼方「そっか~。そう言ってもらえるのは嬉しいし励みになるけどね」

彼方「…それじゃもう一回やろっかな。次は動画も撮ってほしいんだけど──」

侑「──でも、違和感はあったかも」

彼方「……………え…?」
 
722: (茸) 2020/11/17(火) 19:52:49.32 ID:XY0JRRrr
侑「あっううん、ごめん!悪口を言いたいんじゃなくてね!」

彼方「侑ちゃん、その意見、聞かせてほしい。思ったことみんな話してもらえる?」

侑「っぁ…」

侑「…彼方ちゃんのダンスね、すごく上手だった。それは本当のことだし、普段のんびりしてる彼方ちゃんが踊ってる姿はカッコよかったよ」

侑「でも、なんていうのかな。どこか『人のダンスを借りてる』感じがしたっていうか、彼方ちゃんらしい感じがしなかったっていうか…ごめん、こんな言い方傷つくよね」

彼方「そっか、そうだよね──やっぱり」

侑「やっぱり…?」

彼方「その曲ね、彼方ちゃんの曲じゃないの。それは『全てのスクールアイドルの曲』として作られたもので、曲を作ったグループが正式に著作権を解放したから、誰でも歌って踊って披露していいことになってるんだ。だから、練習用に借りてるの」

侑「へえ、そうなんだ…」


あまりピンと来ないそんな話を聞いて、スマホに目を落とす。

曲名は『SUNNY DAY SONG』とある。
 
723: (茸) 2020/11/17(火) 19:58:54.90 ID:XY0JRRrr
彼方「歌い方も、振りも、なんなら歌詞もメロディも好きなようにアレンジしていいってことになってるんだけど、オリジナルのパフォーマンスがあんまりにも完璧だったから、借りてる誰もそんなことできずにいるんだよ」

彼方「彼方ちゃんのダンスじゃないのは、だから当然なの。その人達に合わせて練り上げられた、その人達の曲なんだもん」

彼方「すごいね、侑ちゃん。一目見ただけでそんなこと見抜いちゃうなんて」

侑「いやっ、私は、なんだか漠然と感じたことを言っただけだから…」

彼方「なんにも知らない侑ちゃんのものだからこそ、なによりも信頼できる感想だって思うよ」

侑「…!」


──しずく「演劇をやったことがない侑先輩が感じたからこそ間違いないんですよ」


侑「しずくちゃんも、そんなこと言ってたっけ…」

彼方「そうだよね~、いくらこの曲を練習したって根本的になんにも解決しないのはわかってるんだけどなぁ」

侑「解決?」
 
724: (茸) 2020/11/17(火) 20:05:56.75 ID:XY0JRRrr
彼方「いやぁ、うちの同好会、曲の数がとっても少なくてね。ライブしたくても披露する曲が足りないんだよ」

侑「スクールアイドルの曲って、顧問の先生が作ってくれるの?」

彼方「ううん、自分達で作詞作曲するんだよ」

侑「じ──自分達で!?高校生が!?」

彼方「そうそう。スクールアイドルである以上、曲も振付もライブの演出も、みんな自分達でやらなくっちゃ。大人に作ってもらった曲を歌うんだったら、そんなのスクールアイドルの意味ないもん~」

侑「そ、そうかもしれないけど…ええっ、そんな…すごい…」クラ

彼方「もしかして侑ちゃんは音楽苦手さん?」

侑「得意では、全然…」

彼方「そっかそっか、だったらびっくりしちゃうのも無理ないよねぇ」
 
725: (茸) 2020/11/17(火) 20:11:01.63 ID:XY0JRRrr
彼方「ま、これはスクールアイドルみんながぶつかる壁だからね。いつまでも借り物の曲でごまかしてないで、そろそろ向き合わなくちゃいけないな」

彼方「さ、まだ練習始めたばっかりなのに休憩し過ぎちゃった。再開しよっか」

侑「う、うん…」


それから午前いっぱい彼方ちゃんの練習に付き合ったけど、なんだか言いようのない感情がぐるぐると渦巻いてるみたいで落ち着かなかった…


彼方のダンス練習に付き合いました! ▼
 
731: (茸) 2020/11/18(水) 08:24:00.24 ID:Oa9oOfaB
翌朝…


こんなに心が苦しい朝を迎えたことはあるかな。

ううん、きっとない。

始まったばっかりだったはずのゴールデンウィークも、気づけば今日で最後なんだよ。

私はこのお休みを有意義に使えたのかな。

今日は…今日は……


今日は… >>732
1.一人で過ごす
2.歩夢と過ごす
3.出かける(アニメショップ、図書館、公園から選択)
4.誰かに連絡する(しずく、かすみ、璃奈から選択)
 
732: (茸) 2020/11/18(水) 08:25:17.86 ID:W0EoQouF
しずく

1を選んだらどうなるんだろ
 
733: (茸) 2020/11/18(水) 08:35:35.68 ID:Oa9oOfaB
<おはよう、朝ごはん食べる?

<侑は?侑と一緒に食べたいんだけど

<そろそろ起きてくるんじゃないかしらね

<……待つ

<はいはい


お父さん、起きたんだ。

仕方ないな~、待たれてるみたいだしご一緒してあげちゃおっかな?

でもその前に…


『おはよう、しずくちゃん。今日も演劇部?』


しずくちゃんにメッセージだけ飛ばしておいて──


『しずくちゃん:おはようございます、侑先輩』


お返事がすごく速い。
 
734: (茸) 2020/11/18(水) 08:43:25.05 ID:Oa9oOfaB
『しずくちゃん:今日も部活動です。もう家を出て今は電車の中ですよ』

『早いんだね!朝練?』

『しずくちゃん:いえ、朝練というほどではありません。10時からなんですけど、私はこれくらいに家を出ないと間に合わないので』

『そうだよね、毎日頑張っててすごいなぁ』

『しずくちゃん:そんなことは』

『しずくちゃん:侑先輩は今日はなにをなさるんですか?』

『私は相変わらず特に予定ないんだけどさ』

『今日も頑張るしずくちゃんと話して、やる気を貰おうと思って!』

『しずくちゃん:そうでしたか』

『しずくちゃん:がんばれ、がんばれ、侑先輩!』

『しずくちゃん:…どうでしょう?』

『可愛いなって思いました』

『しずくちゃん:やる気が出たかどうかを聞いてるんです…』


すっごく出た。
 
735: (茸) 2020/11/18(水) 08:48:59.09 ID:Oa9oOfaB
侑「おとーさんっ、おはよ!」

高咲父「侑!おはよう!一緒に朝メシ食うか!」

侑「仕方ないなー、いいよ」

高咲父「母さん!」

高咲母「はいはい。みんなで揃って朝ごはんを食べられるのはいいわね」

高咲母「目玉焼き食べる人~」

侑「はいはい!」

高咲父「はいはい!」

侑「お父さんのは完熟!」

高咲父「違うよ母さん、半熟!侑のが完熟!」

侑「私は半熟派だもん!」

高咲父「父さんもだぞ!」

高咲母 ジュー ←半熟二枚焼いてる
 
736: (茸) 2020/11/18(水) 08:57:16.19 ID:Oa9oOfaB
高咲父「歩夢ちゃんにケーキごちそうさまって言っといてくれな」

侑「うん、美味しかったでしょあれ。私も手伝ったんだよ」

高咲父「そうか!侑が手作りのお菓子をくれる日も近いかなぁ」

侑「歩夢との共同製作ならいくらでもあげるよ!」

高咲母「それだとほとんど歩夢ちゃんの手作りじゃないの?」

侑「そ、そんなことないよ。半分食べさせてくれたってことは半分は私が作ったってことだもん」

高咲父「どうかな。歩夢ちゃんは優しいからなぁ」

高咲母「そうねぇ」

侑「もーっ!」
 
737: (茸) 2020/11/18(水) 09:03:24.02 ID:Oa9oOfaB
高咲父「あの子とはどうだ?あのほら、この前のもんじゃ屋さんで会った…」

侑「愛ちゃんね。科は違うんだけど、この前一緒にお昼ごはん食べたよ。わざわざ私のこと探して教室まで来てくれてさ」

高咲父「いい子だったもんな」

侑「うん!色んな部活の助っ人とかしてる人気者なんだって」

高咲母「あんなに可愛くて元気だったらみんな一緒に遊びたいものね」

侑「私も部活やってたら愛ちゃんに助っ人お願いしたいもんなー」

高咲父「やらないのか?部活。興味あることとか、今からでもやってみたらいいぞ」

侑「んー、興味あることかぁ」
 
738: (茸) 2020/11/18(水) 09:07:34.57 ID:Oa9oOfaB
侑「演劇とスクールアイドル、なのかな」

高咲母「演劇?」

高咲父「アイドル!?」

侑「どっちも、やってる友達ができてね。話聞いたり見たりしてたら面白そうだなって思うことが多くて」

高咲父「アイドルって、アイドルか?侑が歌うの?」

侑「歌って踊るみたいだよ。でも私はアイドルやるんじゃなくて、やるにしてもサポートかなぁ。頑張ってる人を応援して支えるのってすごくやりがいあるし」

高咲父「なにかに打ち込んでる人を本気でサポートするには、その人以上に情熱がないとなかなかできるものじゃないぞ。それも含めて考えて、やりたいならやってみるといい」

侑「うん、ちゃんと考えてみるよ。やってみてダメでした、じゃ失礼だもんね」
 
739: (茸) 2020/11/18(水) 09:14:04.49 ID:Oa9oOfaB
高咲母「演劇って、しずくちゃんよね?」

侑「そうだよ」

高咲父「しずくちゃん?」

高咲母「この間ね、随分おしゃれして出かけたのよ。しずくちゃんと演劇を観にいったのよね」

侑「あ、あれはお母さんが無理やりあの服で行かせたんでしょ!」

高咲母「つい一昨日くらいに歩夢ちゃんのところで一緒に勉強したみたいで、うちにも挨拶してくれたのよ。すごく可愛い子で礼儀もきちんとしてて、いい子だったんだから」

高咲父「へー、それは挨拶したかったな。歩夢ちゃん以外の友達が来ることなんかほとんどないもんな」

侑「鎌倉からニジガクに通っててね、演劇部があるから選んだんだって」

高咲父「鎌倉から!?よっぽど演劇が好きなんだな」

侑「そうだよ。演劇のこと話し始めたら止まらなくなっちゃうんだ~」
 
740: (茸) 2020/11/18(水) 09:25:51.25 ID:Oa9oOfaB
侑「ゴールデンウィークもほとんど毎日部活で、今日も10時から練習なんだって。さっき連絡したらもう家を出て電車に乗ってるって」

高咲母「熱心なのね。部活動に思い切り打ち込むのってすごく青春よねぇ」

侑「通学も時間かかるけど、色んなことに集中するいい時間だと思うようにしてるんだ、って言ってたよ」

高咲父「高校生なのにしっかりしてるな」

高咲母「侑、演劇のサポートも面白いんじゃない?一生懸命な人の近くにいるといい刺激や成長をたくさん貰えるものよ」

侑「演劇のサポートかぁ。音響とか照明とかだよね」

高咲母「場面転換のときに舞台の道具を運んだりする黒子とか、公演のチラシを作って広報する係、学校以外で公演をするなら場所の手配も必要だし、サポートなんてしようと思えばどれだけでもできるものよ」

高咲父「もしかして侑も舞台に立つのか…!?」

侑「舞台には立たないよ」

高咲父「立たないのかぁ」
 
741: (茸) 2020/11/18(水) 09:36:50.17 ID:Oa9oOfaB
侑「ごちそうさまでした」


たっぷりお父さん達と話してから部屋に戻る。

その間放置していたスマホを手に取ると、しずくちゃんから追いメッセージが来ていた。


『しずくちゃん:そろそろ学校に着きます』

『しずくちゃん:部活に行ってきます、侑先輩も今日どんなことをしたのか教えてくださいね』


それから少しだけ離れて、


『しずくちゃん:部活は15時までです』


と届いていた。
 
742: (茸) 2020/11/18(水) 09:41:57.97 ID:Oa9oOfaB
時刻は9時45分、もうスマホを触るような環境じゃないかな。

返信しても確認できるのはお昼休憩の時間になっちゃうかもしれないけど、激励のメッセージを送っておこうっと。


侑「…」


メッセージは… >>743
1.頑張ってね!
2.今度見学に行かせてね!
3.部活が終わったらお迎えにいくね!
 
743: (茸) 2020/11/18(水) 09:45:12.45 ID:W0EoQouF
3
 
744: (茸) 2020/11/18(水) 09:50:37.55 ID:Oa9oOfaB
15時か。

せっかく終わる時間がわかるんなら、お疲れ様って言いにいこうかな。

学校なんか歩いてすぐそこだもんね。


『お返事遅くなってごめんね』

『部活、頑張ってね!』

『終わったらお迎えにいくね!』


これでよしっと。

さて、しずくちゃんにやる気貰っちゃったし、なにかちょっとでも報告できるようなことをやらなくちゃね…!


しずくとラインで話しました! ▼
 
748: (茸) 2020/11/18(水) 19:12:17.90 ID:Oa9oOfaB
15時過ぎ…


ラインを振り返る。

思った通り朝はもう返信は来なくて、お昼過ぎに怒涛のメッセージがあった。


『しずくちゃん:え!?』

『しずくちゃん:お迎えですか!?』

『しずくちゃん:私が行くんですか??』

『しずくちゃん:どこに行けばいいのでしょうか』

『しずくちゃん:着替えるので15時は少し過ぎてしまいます』

『しずくちゃん:お迎えってお迎えですか?』

『しずくちゃん:部活がんばります』

『しずくちゃん:今からお昼ごはんです』


うーん、ところどころメッセージ間に時刻の開きがあるのがなんとも言えない可愛さだなぁ。

私もちょうどお昼ごはんを食べていたせいでお返事できないまま一方的にメッセージが溜まっていて、最後に


『しずくちゃん:いっぱい送っちゃってすみません』


そこで返信は途切れた。
 
749: (茸) 2020/11/18(水) 19:15:45.79 ID:Oa9oOfaB
それからついさっき何通かメッセージを交わして、今。

校門を潜るには制服かジャージを着ていなくちゃいけないので、少しだけ離れたところで待ち合わせ。


しずく「侑せんぱ~い!」


もうすっかり聞き馴染んだ呼ぶ声に振り向くと、駆けてくるしずくちゃんの姿があった。

小さく手を振ると嬉しそうにはにかむ。

後輩に慕われるのってなんだか嬉しいね!
 
750: (茸) 2020/11/18(水) 19:18:25.38 ID:Oa9oOfaB
しずく「お待たせしてしまいました」ハァ

侑「そんな、急がなくてよかったのに。練習お疲れ様」

しずく「侑先輩が待ってると思うと、自然に走り出しちゃったんです」

侑「えへへ、ありがと」

しずく「なんだか学校の傍で待ち合わせるのは照れてしまいますね」モジモジ…

侑「そうかな?」

侑 ンー…

侑「練習、お疲れ様」ナデナデ

しずく「な…っ!?」//
 
751: (茸) 2020/11/18(水) 19:20:36.03 ID:Oa9oOfaB
しずく「ど、ど、どうして頭を撫でるんですか!?」

侑「こうするとちょっとは年上らしくなるかなと思って。しずくちゃん、頭撫でたとき嬉しそうだったから」ナデナデ

しずく「ぅ、嬉しいです…けど、ここで撫でられるのは少し…いえかなり恥ずかしいです……」///

侑「あはは、ごめんごめん」パッ

しずく「ぁ…」シュン
 
752: (茸) 2020/11/18(水) 19:26:45.44 ID:Oa9oOfaB
侑「終わる時間教えてくれたからなんとなくお迎えにきちゃったんだよね。せっかくだから駅まで送るよ」

しずく「いいんですか?」

侑「うん。お話ししたいもん」

しずく「それでは、はい、お言葉に甘えますね」

侑「今日はどんな練習したの?」トコトコ

しずく「実は、今月の下旬に演劇の発表機会があるんですけど」トコトコ

侑「ぇ…もしかして、しずくちゃん出るの!?」

しずく「え!?い…いえ、まだ決まったわけじゃないんです。そもそもは早くに引退する三年生の最後の舞台として設定されたもので、端役を一年生からオーディションで決めることになって」

しずく「最近はそのオーディションに向けての練習をしています」

侑「オーディション…!演劇部らしい響きだね!」

しずく「先輩ってば。演劇部ですよ」クス
 
753: (茸) 2020/11/18(水) 19:34:34.60 ID:Oa9oOfaB
侑「どんな役なの?」

しずく「酒場で民衆に訴える革命家です。登場してすぐに撃たれて死んじゃうんですけど、はっきりと視線を集める役だし短い間にいくつもの演技を重ねられる役なので、絶対に獲得したいんです!」グッ

侑「おお…しずくちゃんがいつになく燃えてる…!」

しずく「入部したばかりのこの時期に舞台に立てるのは、貴重なスタートダッシュになります。頑張らなくっちゃ!」

侑「一年生で出られるのは一人だけなの?」

しずく「はい。メインは三年生で、脇役もほぼほぼ二年生で固めるのが伝統みたいですから。今年は役の数が多い台本になったおかげで枠に空きが出たそうです」

侑「へ~」
 
754: (茸) 2020/11/18(水) 19:38:56.16 ID:Oa9oOfaB
侑「ところで、『早くに引退する三年生』ってどういうこと?引退の時期が違うの?」

しずく「高校演劇は秋に大会があるので、身内向けの舞台を考慮しなければそれが最後で、引退するタイミングもその後になることが多いみたいです。ただ就職活動や受験勉強で早めに引退する人もいるので、今回の発表はそういう三年生に向けたものなんです」

侑「そっか~、受験勉強かぁ…」

しずく「先輩は進学するんですか?」

侑「たぶんね。すぐに社会に出てやりたいこともないから。でもそんな状態でそもそもどこに進学すればいいんだろうって、うっ…考えるのを先延ばしにしてたことが…」

しずく「あ、ご、ごめんなさいっ」

侑「あはは、いいのいいの。早いとこ考えなくちゃいけないことだからね」
 
755: (茸) 2020/11/18(水) 19:47:31.30 ID:Oa9oOfaB
侑「でも、オーディションに合格したらしずくちゃんが舞台に立つってことだよね!?」

しずく「は、はい。そうなります」

侑「うわーっ、楽しみ!昔から憧れてたんだもんね、舞台に立つの!私、絶対観にいくからね!」

しずく「ま、まだ決まったわけじゃ…というかオーディションすら受けてませんよ」

侑「大丈夫!」

侑「しずくちゃんがどれくらい演劇のこと好きで真剣に向き合ってるか、知ってるもん!もしかしたら前からやってた人に技術では敵わないかもしれないけど、私だったら一番真剣な人にやってほしいって思うよ!」

しずく「侑先輩…」
 
756: (茸) 2020/11/18(水) 19:52:08.37 ID:Oa9oOfaB
しずく「………はいっ!」

しずく「信じてくださる先輩の期待に応えるためにも、なんとしても役を獲得してみせます!桜坂しずく、頑張りますっ!」

侑「うん!できることがあったらなんだって協力するから、遠慮なく言ってね!」

しずく「なんでも、ですか?」

侑「なんでも!!」

しずく「ほ、…本当になんでもいいんですか?」

侑「いいよ!私にできることなんか多くないと思うけど、それでしずくちゃんの力になれるなら!」

しずく「…… …………っ、ありがとう…ございます…っ。なにかあったらお願いしますので…」

侑「今は?今なにかできることってないかな!?」グイ

しずく「ああんっ、我慢したのにどうしてそんなに積極的なんですか!」
 
757: (茸) 2020/11/18(水) 19:57:23.93 ID:Oa9oOfaB
侑「我慢って、なにかあるんだ。言って言って、遠慮しないで!」

しずく「遠慮したんじゃなくて、あんまりにも関係ないことが思い浮かんだので我慢したんですぅ…」

侑「関係ないこと?いいよ、別に演劇関係なくたって」

しずく「侑先輩、なんでも安請け合いしてはだめですよ。特に内容もわからないうちからそんなに簡単に引き受けるのは危険です」

侑「こ、ここでしずくちゃんに諭されるとは…」

侑「いいんだってば!しずくちゃんのこと信頼してるもん。いやなことだったら断るしね」

しずく「断られたら傷ついてしまいます…」

侑「いやじゃないから断らないよ」

しずく「またそういうことを簡単に言う…」
 
758: (茸) 2020/11/18(水) 19:59:15.69 ID:Oa9oOfaB
しずく「………て、ほしいです」

侑「え、なに?」

しずく「……な…」

しずく「無でて、ほしいです…」

しずく「がんばれって、きっとオーディションがいい結果になるって、侑先輩に背中を押してほしいんです…っ」

しずく「だめ、ですか…?」
 
759: (茸) 2020/11/18(水) 20:03:17.13 ID:Oa9oOfaB
侑「しずくちゃんってば」

侑「だから言ったじゃん、いやじゃないから断らないよって」

侑「そんなことでいいならお安い御用だよ。──おいで」


俯いて歩みが遅くなったしずくちゃんを軽く引き寄せる。

揺れた鞄は、中身がぎっしりと重くて、そこにはしずくちゃんの想いがこれでもかと詰め込まれてるんだよね。


侑「頑張って、しずくちゃん。私、しずくちゃんが舞台に立ってる姿を見たいな。それに、見られるって信じてるからね」ナデナデ


小刻みに肩が震えて、小さく、そして力強く。


しずく「……はいっ」
 
761: (茸) 2020/11/18(水) 20:07:24.37 ID:Oa9oOfaB
しずく「侑先輩は、今日はなにをしてたんですか?」


やがてしずくちゃんが元気に顔を上げたので、私達はまた駅に向かって歩き始めた。


侑「待ってました!」

侑「そうそう、それを報告したかったんだよ!」

しずく「わ、なにかお話ししたいことがあったんですね。すみません」

侑「今朝しずくちゃんが私のこと応援してくれたでしょ?やる気貰っちゃったからなにか頑張らなくちゃいけないと思ってね」

しずく「はい」

侑「日本の祝日について調べたんだよ!」

しずく「…はい?」
 
762: (茸) 2020/11/18(水) 20:16:56.24 ID:Oa9oOfaB
侑「歩夢と約束してたんだけどさ、どうもやる気が出なくて手がつかなくってさー」

侑「でもしずくちゃんのおかげでなんとか始められたんだ!」

しずく「あ、そうなんですか」

侑「そもそも祝日って国民の祝日に関する法律で定められてて、あ、略して祝日法っていうんだけど。この間の水曜日がお休みだったのは昭和の日っていう祝日で、元々はみどりの日だったところに作られたんだって!」

しずく「な…なるほど」

侑「でもみどりの日はなくなっちゃったんじゃなくて、5月4日に移動したんだってさ」

しずく「あれ?でも5月4日って元々お休みじゃありませんでしたっけ?」

侑「それが難しいところなんだけど、祝日と祝日の間の日はお休みになるって決まりがあるらしくて………」

しずく「あ、頭がこんがらがってきました…」


しずくに祝日法の説明をしようとしたけど上手くできませんでした! ▼
 
768: (茸) 2020/11/19(木) 08:27:10.75 ID:4k5jLNcz
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


昨日起きたときは、結構テンションが上がらなかった記憶がある。

楽しい楽しいゴールデンウィークが終わっちゃうからだけど、こうしてお休みが明けた今日は、思ったよりいやな気分じゃないな。

朝から歩夢と話せるのは嬉しいし、朝ごはんは美味しいし、友達に会うのも楽しみだもん。


歩夢「侑ちゃん、なんだかご機嫌だね」

侑「そう?」

歩夢「昨日いいことでもあったの?」

侑「んー…あったかも!」

歩夢「なになに?教えてほしいな」

侑「いいよ。えっとねー………」
 
769: (茸) 2020/11/19(木) 08:30:36.29 ID:4k5jLNcz
お昼休み…


意外と疲れた。

気持ちは前向きでも五日休んだ後だと午前が終わっただけでも割と疲れちゃうな。

歩夢としずくちゃんと課題をやった日がなかったら、もっと疲れてたかもしれない。

ナイス、私!


お昼はどうしよっかな? >>770
1.教室で食べる
2.中庭で食べる
3.一年生の教室を覗く
4.食堂で食べる
 
770: (茸) 2020/11/19(木) 08:38:20.78 ID:GmO9nkaA
3
 
771: (茸) 2020/11/19(木) 08:42:40.80 ID:4k5jLNcz
侑「歩夢、お昼なんだけど」

歩夢「うん。どこで食べよっか」

侑「かすみんのところに顔を出してもいい?」

歩夢「かすみちゃん?いいけど、どうかしたの──って、まさか…」

侑「コッペパン!今日は初日だしかすみんなら絶対作ってきてると思うんだよね!」

歩夢「も~、そのコッペパンは璃奈ちゃんのために作るものでしょ?」

侑「そうだけど、二番目に美味しくできたやつくれるって言われたんだも~ん」

侑「ね、行こ!みんなでお昼ごはん食べれば楽しいじゃん!」

歩夢「はいはい、仕方ないなぁ」
 
772: (茸) 2020/11/19(木) 08:45:45.71 ID:4k5jLNcz
侑「かすみん達、どこでお昼食べるのかな」

歩夢「教室じゃない?」

侑「かすみんと璃奈ちゃんは学科違うから、どっちかなーって」

歩夢「そっか。かすみちゃんのことだから璃奈ちゃんの教室までお迎えにいってそうだよね」

侑「かな。じゃあ先に情報処理学科の教室を覗いてみよっか」

歩夢「うん」
 
773: (茸) 2020/11/19(木) 08:50:55.71 ID:4k5jLNcz
侑 ヒョコ…

璃奈「侑さん」

侑「あ、璃奈ちゃん!この間はありがとね」

璃奈「うん」

歩夢「こんにちは、璃奈ちゃん」ヒョコ

璃奈「こんにちは」

侑「あれ?かすみんまだ来てないの?」

璃奈「かすみちゃんは購買に寄ってから来るって言ってた」

侑「──!」

歩夢「そうなんだ。私達、よかったら二人とお昼ごはん食べようかなと思って来たの。一緒にどうかな」

璃奈「机くっつける?」

歩夢「どうしよう、下級生の教室でお昼ごはん食べるのって周りに気を遣わせちゃわないかな。中庭に行く?……侑ちゃん?」

侑「私、かすみんのとこ行ってくる!二人は中庭に行ってて!」ダッシュ!

歩夢「あっ侑ちゃん!?」
 
774: (茸) 2020/11/19(木) 08:55:18.27 ID:4k5jLNcz
購買


かすみ「天王寺さん、紅茶飲めるかな。リンゴと両方買っといて選んでもらおうっと。これ下さい…」

侑「かすみん!!」

かすみ「うぎゃーーーっ!?」ビクッ

かすみ「ゆ…侑せんぱいですか…な、なんですか!びっくりさせないでくださいよ!っていうかこんなに人が多いところでおっきな声で名前呼ばないでください!」

侑「コッペパンは!?コッペパンもう売っちゃった!?私に二番目に美味しくできたのくれるって言ったの忘れちゃったの!?」ユサユサ

かすみ「ちょ、ぅわ、やめ、せんぱっ……せんぱい!!」グイッ
 
775: (茸) 2020/11/19(木) 08:57:05.43 ID:4k5jLNcz
かすみ「ちょっとおとなしくしててください!ジュース買ってすぐ戻ってきますから!」キッ

侑「は、はーい…」

かすみ「うるさくしちゃってごめんなさい、これ下さい…」


チャリーン
 
776: (茸) 2020/11/19(木) 08:59:55.79 ID:4k5jLNcz
かすみ「で」

かすみ「なんなんですか突然、こんなところまで追いかけてきて。廊下は走っちゃだめなんですよ」

侑「璃奈ちゃんが、かすみん購買に行ったって言うから…コッペパン売っちゃうのかと思って…」

かすみ「そんなことで来たんですか…」

侑「そんなことじゃないよ!約束したもん、楽しみにしてたんだよ。かすみんのコッペパン!」

かすみ「あーもうはいはいわかりましたから、教室に戻りながらお話ししましょう」

侑「あ、璃奈ちゃん達には先に中庭に行っててもらってるよ」

かすみ「だからなんで当たり前みたいに加わろうとしてるんですか!達ってなんですか!?」

侑「璃奈ちゃんと歩夢」

かすみ「わかってましたけど!」
 
777: (茸) 2020/11/19(木) 09:03:56.17 ID:4k5jLNcz
侑「かすみん、私のコッペパン…」トコトコ

かすみ「わかってますって、今日はコッペパン売ってませんよ。ジュース買いにいっただけです」トコトコ

侑「じゃあ私のコッペパンは…」

かすみ「四番目に美味しくできたやつあげますね」

侑「二番目は!?」

かすみ「天王寺さんが三つ食べるって言うので、せんぱいには四番目をあげます」

侑「そんなぁ、私のコッペパン…!」ショック…

かすみ「あの、さっきから私のコッペパンって言うのやめませんか?」
 
778: (茸) 2020/11/19(木) 09:08:10.35 ID:4k5jLNcz
中庭


侑「お待たせ~」

歩夢「お帰りなさい。かすみちゃん、こんにちは」

かすみ「こんにちは、歩夢せんぱい」ペコ

侑「…かすみん、私と話すときと歩夢と話すときで若干態度違うよね?」

かすみ「かすみんも高校生ですから、相手によって接し方を変えることくらいできますよ」

侑「どういうこと?それはどういうこと??」
 
779: (茸) 2020/11/19(木) 09:12:42.67 ID:4k5jLNcz
かすみ「はい、天王寺さん!かすみん特性のコッペパン!三つでいいんだよね」ガサ

璃奈「ありがとう。大切に食べる」

かすみ「何回でも作ってくるから大切になんてしなくていいよ。それよりも、ああ~かすみんのパン美味しい~って味わって食べてね」

璃奈「わかった」コク

侑「かすみん、かすみん」クイ

かすみ「どうぞ」っパン

侑「私も味わって食べるからね!」

かすみ「じゃなかったらあげませんよ」

侑「やったー、かすみんのコッペパン!ねえ歩夢、早く食べよ!」

歩夢「もう、侑ちゃん達を待ってたんだよ。それじゃ、いただきます」

「「「いただきます」」」
 
780: (茸) 2020/11/19(木) 09:13:48.50 ID:4k5jLNcz
>>779
訂正

×かすみ「はい、天王寺さん!かすみん特性のコッペパン!三つでいいんだよね」ガサ

○かすみ「はい、天王寺さん!かすみん特製のコッペパン!三つでいいんだよね」ガサ
 
782: (茸) 2020/11/19(木) 09:20:11.79 ID:4k5jLNcz
侑「んーっ、美味しい!」

璃奈「美味しい」モクモク

かすみ「ほんと?よかった。それはね、かすみんのオリジナルレシピで作ったタマゴフィリングとエビのパン!」

璃奈「白身とエビの食感、黄身とソースのコクがすごくマッチしてる。百点」モクモク

かすみ「えへへ~、百点貰っちゃった」

かすみ「こっちはねぇ、てりやきチキンと辛子マヨネーズ!天王寺さん辛いの食べられるかわかんなかったから控えめにしてるけど、好みがあったら教えてね」

璃奈「辛いのは平気」モクモク

かすみ「…」ソワソワ

璃奈 モクモク…

かすみ「ねーえ、早くてりやきチキンのパンも食べてー!」ユサユサ

璃奈「まだタマゴとエビのパン食べてるから、後で」ユラユラ
 
783: (茸) 2020/11/19(木) 09:28:22.00 ID:4k5jLNcz
璃奈「てりやきチキンも美味しい。百点」モクモク

かすみ「わー、また百点貰っちゃいましたぁ♡かすみんってばパン作る天才で困っちゃいます~」エヘヘ

かすみ「最後のはデザートパンだよ。この間作ったイチゴジャムの味を調整して挟んだの、これも美味しくできた自信作なんだから!」

璃奈「楽しみ。甘いのも好き」モクモク

歩夢「これ、みんな朝から作ったの?大変じゃなかった?」

かすみ「ほとんどお休みのうちに準備しておいたので、今朝からやった作業はそんなに多くなかったですよ。天王寺さんに初めて食べてもらうから、ちょっぴり張り切っちゃいました!」

歩夢「うんうん、誰かを想ってお料理を作るのって自分も嬉しくなるし張り切っちゃうよね。どれもすごく丁寧に作ったんだなってわかるよ」

かすみ「そうなんですよぉ!あ~んっ、歩夢せんぱい、すきすき♡」

歩夢「よしよし。でも無理しないでね」

かすみ「はーい!」

侑「む、無理しないでね!かすみん!」

かすみ「コッペパンせがんでおいてよく言いますねぇ」

侑「うぅ…私もすきすきしてほしい…」

歩夢「まあまあ」
 
784: (茸) 2020/11/19(木) 09:34:41.97 ID:4k5jLNcz
かすみ「天王寺さん、紅茶飲まないの?リンゴの方がよかった?」

璃奈「ううん。私、飲み物は最後に飲むから」モクモク

かすみ「そっか」

侑「そういえば、かすみん璃奈ちゃんのこと苗字で呼んでるんだね」

かすみ「呼んでますね」

侑「私は璃奈ちゃんのこと璃奈ちゃんって呼んでるよ」

歩夢「私も、璃奈ちゃん」

璃奈「…私はかすみちゃんって呼んでる」モクモク

かすみ「あー…」

かすみ「えっと、名前で呼んでも…いいの?」

璃奈 モクモク…

璃奈 ゴクン

璃奈「名前で呼んでほしい」

かすみ「璃奈、ちゃん」

璃奈「かすみちゃん」

かすみ「璃奈ちゃん…璃奈ちゃん!」

璃奈「かすみちゃん」

かすみ「えへへ…」
 
785: (茸) 2020/11/19(木) 09:43:43.84 ID:4k5jLNcz
「「「ごちそうさまでした」」」

璃奈「かすみちゃんのパン、どれもみんな美味しかった。合わせて三百点」

かすみ「これから璃奈ちゃんの好きな味、いっぱい教えてね」

璃奈「うん」

侑「私はねー、チーズとハチミツのパンとか食べたいかなぁ」

かすみ「侑せんぱいには聞いてないんですけど」ジ

かすみ「でも、それ美味しそうですね。今度挑戦してみようっと」

歩夢「私、お菓子はよく作るけどパンはほとんど作ったことないの。今度作り方教えてほしいな。どんなお惣菜が合うのかも」

かすみ「はいっもちろん!だったら歩夢せんぱいも得意なお菓子の作り方教えてくださいね」

歩夢「うん、教え合いっこだね」

璃奈「私と侑さんが食べるから、二人ともじゃんじゃん作ってね」

侑「なんでも食べちゃうよー!」

歩夢「侑ちゃんってば…」

かすみ「璃奈ちゃんも、こう見えて意外と欲張りキャラなんですかね…」


かすみと璃奈とお昼ごはんを食べました! ▼
 
791: (茸) 2020/11/19(木) 18:47:36.51 ID:4k5jLNcz
放課後…


どうしようかな、悩むなぁ。

お弁当、少し減らしてもらおうかなぁ。

それでかすみんにコッペパンを貰うんだ。

お弁当丸々一つとコッペパンを毎日はさすがに食べ過ぎな気がするんだよね。

うーん、悩むなぁ…


どうしようかな? >>792
1.まっすぐ帰る
2.寄り道して帰る(演劇部、スクールアイドル同好会、生徒会室、お台場から選択)
 
792: (たこやき) 2020/11/19(木) 18:49:24.07 ID:QOg9QPpb
同好会
 
793: (茸) 2020/11/19(木) 18:55:39.67 ID:4k5jLNcz
侑「歩夢、スクールアイドル同好会に顔を出そうと思うんだけど、一緒に行かない?」

歩夢「え?」

歩夢「侑ちゃんが行くならもちろん一緒に行くけど、なにしに行くの?目的なく行ったらまたかすみちゃんに怒られるかもしれないよ」

侑「今はあのときと違って仲良くなったから怒られないんじゃないかなぁ」

歩夢「仲良く、なったかな…?」

侑「私、スクールアイドルのことをもっとよく知りたいんだ。エマ先輩、かすみん、彼方ちゃん、身近に三人もやってる人がいるのに、なんにも知らないんだもん」

侑「スクールアイドルのこと知って、手伝えることがあるなら手伝いたいと思ってる」

侑「どうかな?」

歩夢「…いいよ」

歩夢「そんな風に思ってるなら、きっとかすみちゃんも無理やり追い出したりしないと思う。私達がお手伝いできることがあるかはわからないけど、わからないからこそ知ろうとするのは大事だよね。行ってみようか」

侑「うん!」
 
795: (茸) 2020/11/19(木) 19:00:33.09 ID:4k5jLNcz
歩夢「──って、彼方先輩もスクールアイドルなの?」

侑「ああ、そうなんだってさ。私も知らなかったんだけど、この前たまたま練習するのに立ち会う機会があったんだ」

歩夢「なにそれ知らない…」

侑「彼方ちゃん、普段はのんびりしてるのにダンスすっごく上手でさ。それを見たのももっと知りたいって思うようになったきっかけなんだよね」

歩夢「そうなんだ。練習に立ち会ったって、部活動の見学でもしたの?」

侑「ううん、海のところの公園にお散歩に行ったら彼方ちゃんに会って、練習するところだって言うから立ち会わせてもらったんだよ」

侑「私は音楽再生したり動画で踊ってるのを撮ったりするだけだったんだけど、それでもいてくれたらすごく捗るって言われてさ。そんなことでいいなら私にもできるなーって」

歩夢「彼方先輩、近くなのかな」

侑「かもね。運動する用のラフな格好だったから」
 
796: (茸) 2020/11/19(木) 19:05:38.39 ID:4k5jLNcz
スクールアイドル同好会、部室前


侑「…あ」ピタ

歩夢「どうしたの?」

侑「かすみんに、見学に行くねって連絡しとけばよかった。今からでもしておいた方がいいかな…」

歩夢「いや、もう必要ないんじゃないかな。たぶんかすみちゃんがメッセージに気づくより私達が部室に着いちゃう方が早いし…」

侑「そ、そっか」

侑「それじゃ行くよ──」

「あれ、侑ちゃん。歩夢ちゃん」

侑「! エマ先輩」

歩夢「こ、こんにちは。エマ先輩」ペコッ

エマ「こんにちは~。なんだか久し振りな感じがするね」
 
797: (茸) 2020/11/19(木) 19:07:29.31 ID:4k5jLNcz
エマ「もしかして、部の見学に来てくれたの?」

侑「はい!やっぱり興味があるなって」

エマ「わぁ、大歓迎だよ~!ここで会えてよかった、入って入って」

侑「失礼しまーす。私達にとってもよかったね、歩夢」

歩夢「う、うん。そうだね」
 
798: (茸) 2020/11/19(木) 19:12:44.17 ID:4k5jLNcz
スクールアイドル同好会、部室


エマ「こんにちは~」ガチャ

かすみ「エマせんぱい、やっと来ましたね。もう、しょうがないから待ってる間にお掃除しておきましたよ。やっぱりお休みの日が続くとなんだか埃っぽくなっちゃうの…で…」

侑「やっほーかすみん!」

歩夢「こんにちは、かすみちゃん…」

かすみ「ま──また来たんですか!」

侑「また来ちゃった!さっきぶりだね!」

エマ「さっき?」

歩夢「お昼ごはんを一緒に食べたんですよ」

エマ「なんだ、そうだったの?そんなに仲良しさんだったんだね」

侑「ほら歩夢、仲良しさんだって!」

歩夢「そ、そうだね」
 
799: (茸) 2020/11/19(木) 19:19:23.60 ID:4k5jLNcz
かすみ「も~、なんですか。コッペパンならさっきあげた分でなくなっちゃいましたよ」

侑「それは残念…」シュン

侑「ってじゃなくて、いやコッペパンも食べたいんだけど、私達やっぱりスクールアイドルに興味があってね。見学させてほしくて来たんだ」

かすみ「スクールアイドルにぃ……?」

侑「うん。だめ、かな?」

かすみ「むー…」ジー

侑 ドキドキ…

かすみ「…まあ、見学くらいならいいですよ。本当に興味がなかったら二回も来ないでしょうし」

侑「ほんと!?やったー、ありがとうかすみん!」ワーイッ

歩夢 ホッ…
 
800: (茸) 2020/11/19(木) 19:24:21.23 ID:4k5jLNcz
エマ「今日は侑ちゃん達が見学してる中で練習することになるんだね。なんだか緊張しちゃうよ」

かすみ「なに甘いこと言ってるんですか!ライブをやるとなったら、お客さんは二人どころの話じゃないんですよ。ううん、それくらいの目標でやらなくちゃいけないんです!」

エマ「そうだよね。わかってるんだけど、私は今まで妹とヤギにしか歌を聞いてもらったことないから」エヘヘ…

かすみ「まったく、エマせんぱいは人の前に立つことに慣れるのから始めなくちゃいけないかもしれませんね」

侑「ライブ…予定はあるの?」

かすみ「まだはっきり決まってはないんですけど、せつ菜せんぱい…同好会の部長がステージの許可を取る連絡をしてくださってるみたいです。そのお話がついたらいよいよライブですよ」

侑「そう、なんだね」

歩夢「侑ちゃん…?」
 
801: (茸) 2020/11/19(木) 19:31:29.12 ID:4k5jLNcz
かすみ「さて!」パン

かすみ「せつ菜せんぱいは今日も遅れて来るでしょうし、彼方せんぱいも予定がよくわからないので、かすみん達だけで始めちゃいましょう──」

侑「ライブの曲はどうするの?」

かすみ「──えっ…」

エマ「!」

侑「聞いたんだ、ライブやるには曲が足りないんじゃないかって。どうするか決まったの?」

かすみ「…そんなこと、誰から聞いたんですか?」

侑「彼方ちゃんから。顔見知りなんだ」

エマ「そうだったんだ。みんなお友達なんだね」
 
802: (茸) 2020/11/19(木) 19:38:21.90 ID:4k5jLNcz
エマ「そうなの。うちの同好会、曲を作れる人がせつ菜ちゃんしかいなくて、でもせつ菜ちゃんも忙しいから最近は曲作りができてないんだって。だからひとまずせつ菜ちゃんが一人でやってた曲をやるんだけど──」

かすみ「エマせんぱい!部外者にそこまでぺらぺら話さないでください!」

エマ「あ、ご、ごめんなさい…」

侑「わ、私が聞いたことだからエマ先輩を責めないで!聞いちゃいけないことだった?」

かすみ「…ライブやろうっていうスクールアイドル同好会が実は曲数が足りませんなんて、格好がつかないじゃないですか。そんな事情が広まったら、かすみん達に期待してくれる人がいなくなっちゃいます」

かすみ「曲は、ライブまでになんとかします。だから、このことは黙っててくれませんか」

侑「…もちろんだよ」
 
803: (茸) 2020/11/19(木) 19:43:27.92 ID:4k5jLNcz
侑「ね、かすみん。エマさんも」

侑「私達で力になれることってないかな?」

かすみ「ぇ…」

侑「スクールアイドルの曲を作るっていうのは、ちょっと難しいと思うんだけど…練習のサポートとかだったらできるよ。それで少しでもみんなの負担が軽くなって必要なことに集中できるなら、なんだって手伝いたいんだ!」

侑「ね?歩夢」

歩夢「う、うん…」

かすみ「なんで…」

かすみ「なんでですか!?」
 
804: (茸) 2020/11/19(木) 19:51:06.44 ID:4k5jLNcz
かすみ「侑せんぱい、部外者じゃないですか!関係ないことなんですよ?」

かすみ「同好会の一員ってわけでもないのに、なんでそんなことしてくれるんですか!?」

かすみ「曲を作るのだって、練習だって、ライブの手配だって、みんな自分達でやらなくちゃいけないことなんです。スクールアイドルは、スクールアイドルだから」

かすみ「それをかすみん達だけ部外者の力を借りるなんて、ずるです!」

かすみ「自分達で、自分達でやらなくちゃ…!」
 
805: (茸) 2020/11/19(木) 19:56:25.83 ID:4k5jLNcz
侑「かすみん」ポン

侑「かすみんは、色んなものを守ろうとしてるんだね」

かすみ「…」

侑「スクールアイドルであることの誇りとか、ニジガクのスクールアイドル同好会のこととか、自分の気持ちとか、色んなもの」

侑「色んなものを守らなきゃって必死になって、狭い世界で苦しくなっちゃってる」

侑「だったらもっと周りに頼っていいと思うよ。一人で苦しいことは二人で、二人で苦しいことは四人でやったらいい。同好会はかすみん一人じゃないでしょ?」

かすみ「だって!せつ菜せんぱいも彼方せんぱいも忙しいみたいでいつでもは部にいてくれないし、かすみんは後輩なんだからエマせんぱいより率先して動かなくちゃいけないから…」

エマ「かすみちゃん、私に気を遣って…?」

かすみ「…エマせんぱいは日本に来てからまだ長くないですし、なんでもかんでも頼っちゃったらいけないから…」
 
806: (茸) 2020/11/19(木) 20:00:36.77 ID:4k5jLNcz
侑「スクールアイドルのこと、彼方ちゃんとも話したんだ。大人の力を借りたら意味がないって」

侑「でも、私は高校生だよ。同じニジガクの生徒。だったら力を貸しても問題ないんじゃないかな?」

侑「私、部活やってないからさ。いつでもお手伝いできるよ」

かすみ「そんなの、屁理屈ですよ…」

かすみ「それとも侑せんぱい、スクールアイドル同好会に入部でもしてくれるんですか?」

侑「え?」

かすみ「そうなったら部外者じゃないですし、色んなこと一緒にできると思いますけど…」

侑「入部、かぁ」

侑 チラッ

歩夢「…」
 
807: (茸) 2020/11/19(木) 20:03:44.14 ID:4k5jLNcz
侑「私──」

歩夢「一日、考えさせて」スッ

侑「歩夢…」

歩夢「侑ちゃん。これってね、簡単に答えを決めていいことじゃないと思うの」

歩夢「侑ちゃんがスクールアイドルに興味を持っててかすみちゃん達の力になりたいと思ってるのはわかってるよ。でも、外からちょっとお手伝いするのと入部して一緒に頑張るのは、全然違うことだよ」

歩夢「責任が生まれるし、期待もさせる」

歩夢「よく考えて決めないと──色んなことを」
 
808: (茸) 2020/11/19(木) 20:06:46.05 ID:4k5jLNcz
歩夢「軽い気持ちでやり始めて、やっぱりできませんでしたって言いたくないから」

歩夢「お返事するのに、一日貰ってもいい?」

かすみ「……いいですけど」

かすみ「だめだっていうなら、期待させるようなこと、そもそも言い出さないでほしいです」プイ…

侑「……っ!」

歩夢「こういうこと、なんだよ」ボソッ

侑「…」グ…

歩夢「きちんと考えて答えを出すから。また明日、ここに来るね」

かすみ「わかりました」
 
809: (茸) 2020/11/19(木) 20:09:12.22 ID:4k5jLNcz
歩夢「突然お邪魔して、デリケートな問題に口を出しちゃってごめんなさい」ペコッ

侑「ご、ごめんなさい」ペコッ

歩夢「今日はこれで帰りますね。エマ先輩、かすみちゃん、失礼しました」

エマ「…うん、また明日ね」

かすみ ペコ…

歩夢「侑ちゃん、行こう」

侑「うん…」


かすみとエマと話しました! ▼
 
815: (茸) 2020/11/20(金) 08:13:28.15 ID:mSJAs1g3
夜…


侑「ふー………」ボフ


ごはんとお風呂を済ませて、ベッドに倒れ込む。

頭の中ではぐるぐると色んなことが目まぐるしく移り行く。

スクールアイドル同好会に、入部するかどうか。

歩夢がいなかったらあの場で頷いてたんだろうな。

それがどんな未来に繋がっていくのか、よく考えもしないまま。
 
816: (茸) 2020/11/20(金) 08:18:11.29 ID:mSJAs1g3
同好会の一員として上手くやっていけるのかもしれない。

かすみん、エマ先輩、彼方ちゃん、それに部長のせつ菜さんという方。

他にも部員がいるのかわからないけど、そのみんなの一歩前で駆け抜ける道を整える、あるいは後ろで駆け抜けた道を片付ける。

そんな風にして夢を追いかける人達の力になれるのかもしれない。

でも──上手く、やっていけないのかもしれない。
 
817: (茸) 2020/11/20(金) 08:21:11.39 ID:mSJAs1g3
なにが原因でそうなるのか。

忙しいとか、楽しくないとか、みんなとソリが合わないとか、どんな理由があるのかわからないけど、サポートする私が折れてしまう日が来るかもしれない。

そしてそれは、ここで入部を断るより何倍もみんなを傷つけて悲しませることなんだ。

歩夢と話さなかったら、そんなことにも気づかなかった。


──かすみ「だめだっていうなら、期待させるようなこと、そもそも言い出さないでほしいです」


すでに私はかすみんを傷つけた。

きっとエマ先輩のことも。

損な役回りを歩夢に押し付けてしまった。

軽率だったって、反省しなくちゃいけない。
 
818: (茸) 2020/11/20(金) 08:25:17.31 ID:mSJAs1g3
考えよう。

反省するだけじゃだめだ、明日には返事をするって約束したんだから。

私は、いくつかのことを思い出したんだ。


──歩夢「予備校どこにしよっか」

──しずく「先輩、私、待ってたんですよ」

──高咲父「なにかに打ち込んでる人を本気でサポートするには、その人以上に情熱がないとなかなかできるものじゃないぞ」
 
819: (茸) 2020/11/20(金) 08:28:18.11 ID:mSJAs1g3
高校二年生、五月。

これまで触れたこともなかったスクールアイドル。

しずくちゃんになんでもするって約束したこと。

同好会に入部すれば、きっと多くの時間を割くことになる。

勉強、歩夢とのお出かけ、演劇のお手伝い、家族、友達、お散歩、気まぐれな私が当たり前に繰り返してきた色んなことにかけられる時間はきっとぐっと少なくなる。

それでもスクールアイドル達のサポートをすることこそが今最もやりたいことだって、はっきり言えるかな──?


スクールアイドル同好会に… >>820
1.入部する
2.入部しない
 
820: (茸) 2020/11/20(金) 08:31:53.65 ID:Ki/mBi2B
あえての2
 
821: (茸) 2020/11/20(金) 08:35:19.33 ID:mSJAs1g3
翌朝…


侑「お待たせ、歩夢」

歩夢「行こっか」

侑「うん」
 
822: (茸) 2020/11/20(金) 08:39:31.90 ID:mSJAs1g3
歩夢「侑ちゃん、答えは決まった?」

侑「──うん。決まったよ」

歩夢「そう」

歩夢「私は、侑ちゃんが決めたことにならついていくって決めてるから。侑ちゃんのやりたいことが私のやりたいことだから」

侑「ありがとう、歩夢」

歩夢「…もうっ、なんでも思いつきで動いちゃうんだから。私だって色々あるんだよ?巻き込まれる方の身にもなってよね!」プクー

侑「歩夢がいてくれるから、私は今日まで私のままでいられてるんだと思ってるよ。いつも迷惑かけちゃってごめんね」

歩夢「いいよ。好きで一緒にいるんだもん」

歩夢「それで、どうすることに決めたか、聞いておいてもいい?」

侑「うん、私はね────」
 
823: (茸) 2020/11/20(金) 08:43:07.14 ID:mSJAs1g3
お昼休み…


朝、私の気持ちを聞いた歩夢は、一言だけ「わかったよ」と微笑んで頷いた。

それっきりその話は終わりにして、いつも通りの他愛ない会話に戻った。


歩夢「侑ちゃん、お昼ごはんどうしよっか?」

侑「あー…」

侑「教室で食べよっか」


中庭は、もしかしたら璃奈ちゃんとかすみんがいるかもしれないから。


歩夢「そうだね」
 
824: (茸) 2020/11/20(金) 08:50:09.05 ID:mSJAs1g3
優花「お。今日は侑も一緒だね」

香「もー、あんまり歩夢ちゃんを置いていったらだめだよ。侑ちゃんがいない日すっごくしょんぼりしてるんだからね」

侑「え、そうなの?」

歩夢「ちょ…ちょっと、やめてよ!」

優花「まーまー、今日は歩夢も楽しいお昼になりそうでよかったよ。食べよ食べよ」

香「食べよ食べよー」

歩夢「優花ちゃんと香ちゃんの意地悪…」

侑「まあまあ、歩夢。そう膨れないで、食べよ?」

歩夢「そもそも侑ちゃんが私のこと置いていっちゃうからよくないの!」プクーッ

侑「ええっ私!?」

優花/香 ((そうそう、ほんとそう))
 
825: (茸) 2020/11/20(金) 08:56:12.56 ID:mSJAs1g3
侑「香が前食べてたパン、私も何回か食べたよ」

香「んー!一年生ちゃんのやつ?どうだった?」

侑「すっごく美味しかった!あんなの毎日作ってきちゃうなんてすごいよね」

香「だよねー。何味食べたの?」

侑「昨日はタマゴとエビのやつで、前はカスタードのやつとツナマヨ、もう一個なんだっけなぁ。その前はねー」

優花「めっちゃ食っとるやん」

歩夢「かすみちゃんのコッペパン、すっかりお気に入りになっちゃったもんね」ムゥ

香「かすみちゃん?」

侑「あのパン作ってる子、仲良くなったんだ」

優花「フレンドリースキルが高いな、侑は」
 
826: (茸) 2020/11/20(金) 09:01:11.39 ID:mSJAs1g3
香「そういえば昨日も宮下ちゃん来てたよ」

侑「え、そうなの?」

優花「たまに来ては侑達がいないか聞いてきて、残念だーって帰ってくよ」

香「あんまり残念そうじゃないけどね」

歩夢「愛ちゃん、お友達多そうだもんね。私達がいなくても他のお友達がすぐ集まってきちゃいそう」

侑「だねー。でもそっか、来てくれてるのに申し訳ないなぁ」

歩夢「今度は私達の方から行ってみよっか」

侑「そうだね!」

優花「事前に予約とかしとかなくていいものなの?」

侑「人気アトラクションかな…」
 
827: (茸) 2020/11/20(金) 09:06:17.14 ID:mSJAs1g3
侑「優花達は毎日教室でお昼ごはん食べてるの?」

優花「まあ、そうだね」

香「優花ちゃん面倒くさがりだから、動きたがらないもんね」

侑「もったいないなー、ニジガク広いから面白いよ。お昼ごはん食べられる場所なんてたくさんあるのに」

香「侑ちゃん達ほど動き回ってる人もそれはそれで珍しいと思うけどね」

侑「あれ?」

歩夢「侑ちゃん、なんにでも興味持ってすぐそっちに行っちゃうから…」

優花「今日はリード着けてないけど平気なん?」

歩夢「お家に忘れてきちゃったの」

優花「あらら~」

侑「一回も着けられたことないよ!」
 
828: (茸) 2020/11/20(金) 09:15:21.68 ID:mSJAs1g3
「「「ごちそうさまでした」」」

優花「お昼食べた後って、二人ともなにしてる?」

侑「えー…なんだろう。普通に喋ってるよね」

歩夢「そうだね。最近は二人じゃないこともよくあるから、お喋りしてるとすぐに時間経っちゃうもんね」

香「誰と食べてるの?」

侑「かすみんとか、一年生の璃奈ちゃん、しずくちゃん、あと三年生の彼方ちゃん、エマ先輩、とか」

優花「あなたの幼馴染みどうなってるの?交友広くないですか?」

歩夢「うーん…」モヤモヤ

香「部活にも入ってないのにそんなに顔が広いのすごいねー」

侑「ぶ、かつ…!」ピキーン

歩夢「い、今はその言葉出さないで!」

優花/香「「?」」


クラスメイトとお昼ごはんを食べました! ▼
 
841: (しうまい) 2020/11/21(土) 10:31:37.90 ID:yGQ0avwS
放課後…


侑「…お待たせ、歩夢」

歩夢「うん」

侑「歩夢、こんなこと言うのもなんだけど、行くの私だけで平気だよ。きっと楽しい話にはならないし、言い出したのは私だから…」

歩夢「ちゃんとお話して帰ってこられる?」

歩夢「かすみちゃんが怒り出しちゃったら?エマ先輩が泣き出しちゃったら?彼方先輩が口をきいてくれなくなるかもしれないし、せつ菜さんって人がすっごく怖い人かも」

歩夢「いいんだよ、侑ちゃん。言ったでしょ、私は侑ちゃんのやりたいことを一緒にやりたいの」

歩夢「侑ちゃん一人で行かせたらまた変な問題を持って帰ってきちゃうかもしれないもんね」ペロ

侑「歩夢…」

侑「ありがとう」

歩夢「私達の間で遠慮することなんかないよ。行こ」

侑「うん」
 
842: (しうまい) 2020/11/21(土) 10:33:45.50 ID:yGQ0avwS
スクールアイドル同好会、部室


侑 スゥ──ハァ──


コンコン


侑「こんにちは、侑です」


…ガチャ


かすみ「…こんにちは。どうぞ」

侑「ありがとう、かすみん」

歩夢「こんにちは。失礼します」
 
843: (しうまい) 2020/11/21(土) 10:38:45.57 ID:yGQ0avwS
エマ「二人ともいらっしゃい」

彼方「や」

侑「彼方ちゃん…!」

歩夢「こんにちは」ペコ

彼方「かすみちゃんから『今日は絶対に来てください』って連絡があってさぁ、なにかな~と思ったら侑ちゃん達が来るなんてね。もしかして嬉しい報告かな?」ニマニマ

侑「ぅ……ど、どうだろうね…」

かすみ「彼方せんぱいはもっと頻繁にスマホ見るようにしてください。せっかく連絡しても夜にしかお返事が来ないんじゃ意味ないじゃないですか」

彼方「ごめんごめ~ん。そんなに怒らないでよ~」スリスリ

エマ「お昼寝の邪魔になるからって、彼方ちゃん、通知鳴らないようにしてるもんね」
 
844: (しうまい) 2020/11/21(土) 10:43:04.76 ID:yGQ0avwS
侑「かすみん、

かすみ「もう少し待ってもらえますか?せつ菜せんぱいも来てくれるはずなので」

侑「…そうなんだ、わかった」

エマ「二人とも、そんなに緊張しないで座って。お茶いれるよ」

彼方「座って座って」

歩夢「あ、ありがとうございます」

エマ「かすみちゃんも。可愛いのにむーってしてたらもったいないよ」

かすみ「……エマせんぱいののんき屋さん」

エマ「えへへ。昔からよく言われるよ」
 
846: (しうまい) 2020/11/21(土) 10:53:28.96 ID:yGQ0avwS



かすみ「…!」ピク

かすみ「せつ菜せんぱい、来たみたいですね」

侑「え?」


ガチャ


せつ菜「すみません、遅くなってしまいました!」

せつ菜「お待たせしていてすみません、かすみさん。ちょうどお昼休みに管理会の方からご返信があったのでその連絡をするつもりだったのですが──」

かすみ「せつ菜せんぱい!」

せつ菜「はい?」

侑「こ、こんにちは。二年の高咲といいます。少しお話ししたいことがあってお邪魔してます」ガタ

歩夢「上原です。お邪魔してます」ペコ…

せつ菜「え!?高咲さん、上原さん…!?」

侑「…え?」
 
847: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:00:35.18 ID:yGQ0avwS
せつ菜「あっ」ハッ…

侑「せつ菜、さん。私達のこと知ってるんですか」

せつ菜「えっと、その…」

彼方「侑ちゃん、せつ菜ちゃんとも知り合いだったの?」

侑「どうだろう…会ったことありましたっけ?」

歩夢「…」

歩夢「今はいいんじゃない、侑ちゃん」ポン

侑「あ、そうだよね」

かすみ「侑せんぱい。これで同好会の部員は全員です。みんなと顔見知りならお話が早いですね」
 
848: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:03:39.98 ID:yGQ0avwS
かすみ「せつ菜せんぱい、彼方せんぱいも、絶対に来てくださいって連絡したのは侑せんぱいと大切なお話をすることになったからです。私とエマせんぱいだけで聞いていいお話じゃないと思ったので来てもらいました」

せつ菜「はい、構いませんよ。わざわざそんな連絡をさせてしまってすみません」

彼方「ちゃんと毎日来なくてごめんね、かすみちゃん」

かすみ「それは今はいいですよ」

かすみ「侑せんぱい」

侑「…うん」
 
849: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:08:51.02 ID:yGQ0avwS
侑「改めて、普通科二年の高咲といいます」

侑「大切なお話というのは、その…スクールアイドル同好会への入部のことなんですけど」

せつ菜「入部…!?」

彼方「おお…!」

侑「…っ」グ…

かすみ「…」

エマ「…」

歩夢 ソッ

侑「────入部、は、しないことに…しました…」
 
850: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:14:43.18 ID:yGQ0avwS
かすみ「………」

彼方「…ん??」

侑「彼方ちゃん、それとせつ菜さんには急なお話になって混乱させてしまってると思いますけど…」

エマ「侑ちゃんね、スクールアイドルに興味があるからって何度か部室に来てくれてたんだよ」

せつ菜「そうだったんですか。知りませんでした、恥ずかしながら私が常に部にばかり時間を割いていられなかったもので…」

エマ「それでね、なにか力になれることはないかって言ってくれたの。できることがあったらお手伝いしたいって」

彼方「侑ちゃん、この間も練習手伝ってくれたもんね」

侑「うん…」
 
851: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:22:31.89 ID:yGQ0avwS
エマ「昨日も侑ちゃん達来てくれて、お手伝いしようかって言ってくれたんだけど、


ガタッ


せつ菜「か、かすみさん?」

かすみ「侑せんぱい、うちの同好会がライブするには曲数が足りないってこと知って、心配してそんなことを言ってくれたんです」

彼方「…ぁ、彼方ちゃんが言ったから…?」

かすみ「その気持ちは嬉しかったです。ほんとです」

かすみ「でも、部外者の手を借りるわけにはいかないじゃないですか。他のスクールアイドル達はみんな全部自分でやってるのに、うちだけそんなの」

かすみ「だから、もし本気でお手伝いしてくださるつもりがあるなら入部してくださいってお願いしたんです。それが昨日のことです」

せつ菜「そういうこと、でしたか」
 
853: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:30:29.56 ID:yGQ0avwS
かすみ「一日考えるって歩夢せんぱいが言ったから、今日改めてここでお話しようってことになったんです。せつ菜せんぱいと彼方せんぱいにも聞いてもらうことだったのでそれはよかったんですけど」

かすみ キッ

かすみ「侑せんぱいの答えが聞けたので、充分です」

侑「…っ、かすみん、私ね、ちゃんと考えたんだよ。思いつきで昨日あんなこと言っちゃって、私もやらなきゃいけないこととかあるのに──」

歩夢「侑ちゃん」

歩夢「それは、かすみちゃんに言うことじゃないよ。言わなくちゃいけないことは、違うでしょ?」

侑「私、でも、みんなの力になりたいって気持ちは本当に、嘘じゃ………」

侑「…………」

侑「…かすみん、期待させて、ごめんね。ごめんなさい。スクールアイドル同好会には、入部、し、ません……」

かすみ「…そうですか」
 
854: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:36:47.13 ID:yGQ0avwS
歩夢「私も、同じです。皆さんのお手伝いをしてみたい気持ちはあるけど、きっと本気ではないって、自分でもわかるので。入部はできません」

歩夢「変に期待させてしまって、ごめんなさい」ペコ…

かすみ「…いいですよ。侑せんぱいも歩夢せんぱいも、そんなに謝らないでください」

かすみ「もし同じだけの気持ちでスクールアイドル活動に打ち込めるなら、もちろん仲間に加わってくれたら嬉しかったですけど」

かすみ「そんなの、無理やりすることじゃないですもん」

歩夢「そうだね。私もそうだと思う」

せつ菜「お話はわかりました」
 
855: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:41:58.88 ID:yGQ0avwS
せつ菜「かすみさん、エマさん。私がいなかったばかりに気苦労をかけてしまったみたいですね」

エマ「私は、なんにも…」

せつ菜「高咲さん、上原さん。頂いた答えは残念ですが、私達の力になりたいと思ってくださったことは本当に嬉しく思います」

せつ菜「お恥ずかしい内情を耳に入れてしまいましたが、それは自分達でなんとかしてみせます。ライブの際にはぜひ観にきてくださいね」

歩夢「はい──」

彼方「ねえ、部に入ってもらわないとお手伝いってしてもらっちゃだめなの?」
 
856: (しうまい) 2020/11/21(土) 11:49:34.19 ID:yGQ0avwS
せつ菜「え?どういうことですか?」

彼方「んっとー、彼方ちゃん、このお休み中にたまたま公園で侑ちゃんに会って練習手伝ってもらっちゃったんだよね。それってだめなことだった?」

せつ菜「いえ、だめではないと思いますが…」

彼方「スクールアイドルは全部自分達でやるからこそスクールアイドルって、かすみちゃんが言うことはよくわかるんだけどね。ほんのちょっとも手伝ってもらっちゃいけないものなのかな~って」

彼方「入部って結構覚悟がいることだと思うけど、それができないなら全部だめ!って言うほどキッパリしちゃうものなの?」

せつ菜「それは…」
 
857: (しうまい) 2020/11/21(土) 12:08:15.69 ID:yGQ0avwS
かすみ「彼方せんぱいの言うことだってわかりますよ。手伝ってもらえるところは手伝ってもらっていいよねってことですよね」

かすみ「でもじゃあ、それってどこまでなんですか?」

かすみ「例えば練習の様子を見ててもらって動画を撮ってもらうとか、休憩のときに飲み物を貰うとか。一回や二回ならお手伝いだと思いますけど、毎日やってもらったらそれってもう部外者のレベルじゃないですよね?」

かすみ「ライブの準備とか当日の運営とか、それはどうなんですかね。自分達でやるべきことなんじゃないですか?」

彼方「別にそんなの、侑ちゃん達の予定が空いてて本人達ができるって言ってくれたらお願いしたらいいじゃん。彼方ちゃん達から無理やりお願いすることなんかないけど、反対に手伝うって言ってくれるのを拒否することでもないと思う」

かすみ「一つお願いしたら、きっと次も、次も、ってなりますよ。責任のない相手を予定に入れて考えるようになるのは危険です」

彼方「それは彼方ちゃん達がきちんと管理しておけばいいことじゃん。だって私、またお休みの日に侑ちゃんに会ったら練習のお手伝いお願いしちゃうよ」

かすみ「好きにしてくださいよ」

彼方「うん。する」

エマ「ちょ…ちょっと、二人とも!」
 
858: (しうまい) 2020/11/21(土) 12:14:08.80 ID:yGQ0avwS
侑「あ、あの、私達…」

せつ菜「かすみさん、彼方さん」

せつ菜「高咲さん達とのお話は、一旦終わりにしても構いませんね?」

彼方「あ…ごめんね、侑ちゃん。変なとこ見せちゃった」

侑「う、ううん…」

せつ菜「私はお二人を外まで送ってきます。練習の準備をしておいてください」

かすみ「…はーい」

せつ菜「行きましょうか」

侑「は、はい」

歩夢「お邪魔しました」ペコ…
 
859: (しうまい) 2020/11/21(土) 12:20:22.72 ID:yGQ0avwS
侑「…せつ菜さん。私、ごめんなさい…かすみんと彼方ちゃんが喧嘩みたいになっちゃって…」

せつ菜「いえ」

せつ菜「恐らく、高咲さん達のことがなくても近いうちにお互いが衝突することは避けられなかったと思います。あの二人に限ったことではなく」

せつ菜「ライブ曲数のこともそうですが、私達それぞれの方針や目標があまり噛み合っていないこともあって、穏やか一辺倒ではない空気だったんです」

せつ菜「これを機に、全員できちんと話し合う機会を設けてみることにしますよ」

侑「それ、私も…!せめてかすみん達の仲だけでも…」

せつ菜「ありがとうございます」

せつ菜「ですが、結構です」
 
860: (しうまい) 2020/11/21(土) 12:28:23.72 ID:yGQ0avwS
せつ菜「目の前でお見苦しいところを見せてしまったので気を煩わせるのは申し訳ありませんが、これは部内の問題なので。私達だけで解決します」

せつ菜「高咲さんは高咲さんの、やるべきことややりたいことに向き合ってください。上原さんも」

侑「は、い…」

歩夢「はい」

せつ菜「…では、気をつけて下校してください」

歩夢「今日はありがとうございました、せつ菜さん」

せつ菜「いえ、こちらこそ」

歩夢「帰ろっか、侑ちゃん」

侑「うん…」トボ…


「──個人的には信頼しているし、頼りにしていますよ。またお昼をご一緒する機会があれば色々な話をしましょうね、────侑さん」


侑「…え?」クルッ

せつ菜 タタタタ…


スクールアイドル同好会のみんなと話をしました! ▼
 
870: (しうまい) 2020/11/21(土) 21:51:34.85 ID:yGQ0avwS
各キャラまとめ
%title%【ギャルゲ風安価SS】>>3「また一年が始まる」【ラブライブ!虹ヶ咲】


もしなにか質問があればこのレスに安価つけてください
大体のことは訊かれたら回答するので、質問する内容はご注意ください
 
886: (茸) 2020/11/24(火) 07:56:07.01 ID:DQF42Rpb
翌朝…





侑「ん…」


今、なんかスマホ鳴った…?

昨日はなかなか寝付けなくて、遅くまで寝返りを繰り返してたような気がする。

今日が土曜日でほんとによかった。

なんとか、このお休みできちんと心に整理をつけなくちゃ──自分の選択の責任をね。


スマホを見る? >>887
1.まだ眠いよ…
2.確認だけしとこう…
 
887: (茸) 2020/11/24(火) 07:56:26.46 ID:QXCcoi0b
2
 
888: (茸) 2020/11/24(火) 08:04:07.54 ID:DQF42Rpb
侑「んー…」モゾ


感覚、いつもの時間を過ぎてると思う。

飛び起きて精力的に動き始める気にはなれないけど、時刻も確認しておきたいしね…


侑「…ぉ」


『しずくちゃん:おはようございます』


鳴ったと思ったのはどうやら気のせいじゃなくて、受信ほやほやのしずくちゃんメッセージだった。

すぐに既読へのお返事が来る。


『しずくちゃん:土曜日の朝早くにごめんなさい』

『しずくちゃん:今日、例のオーディションなんです』


侑「!」
 
889: (茸) 2020/11/24(火) 08:09:00.28 ID:DQF42Rpb
オーディションなんて慣れない身だから長い時間をかけて万全の準備を整えて挑むものみたいに考えてたけど、そっか、そもそも公演が今月の下旬だって言ってたもんね。

私には相当縁遠いなぁ。

日にちくらい確認しておくんだった、応援するなんて言っておきながらまだまだ視点が狭いや。


侑『>>890


1.オーディションは何時から?
2.部活は何時まで?
3.頑張ってね!!
 
890: (もんじゃ) 2020/11/24(火) 08:10:18.69 ID:MNb5o6Ga
1
 
891: (茸) 2020/11/24(火) 08:16:45.83 ID:DQF42Rpb
『おはよう』

『今日だったんだね。オーディションって何時からなの?』

しずくちゃん『お昼休憩の後なので、13時くらいからだと思います』


侑「13時…」


今は9時前。

確かこの間は10時から部活だったよね。

今日も同じかな。

電車の中でメッセージをくれたんだとしたら、そうかもしれない。


侑「…よし!」
 
892: (茸) 2020/11/24(火) 08:23:21.01 ID:DQF42Rpb
虹ヶ咲学園前駅


侑「しずくちゃん、おはよう!」

しずく「おはようございます、侑先輩」

しずく「お会いできて嬉しいです」

侑「今からオーディションだっていうんだもん、応援しないわけにいかないよ」

侑「少し話しながら歩こうよ。部室棟まで送るからさ」

しずく「いいんですか?ありがとうございますっ」
 
893: (茸) 2020/11/24(火) 08:33:25.38 ID:DQF42Rpb
侑「午前中はいつもの練習?」トコトコ…

しずく「はい。アップは全員でやりますけど、その後は舞台に立つ役者、オーディションを受ける一年生、それ以外に分かれて各自練習に入ります」トコトコ…

侑「オーディションの練習ってどういうことやるの?えっとー…革命家、だったっけ」

しずく「そうです」

しずく「新王の圧政の影響で主人をなくしたことから革命家入りした市民ですが、台本外の情報は全く与えられていないので、その背景は演じる人に任せられるんです。どれだけ彼女に寄り添えるか、それが役への厚みを左右すると思っています」

侑「演劇って、与えられたセリフを言うだけのものじゃないんだね。それってもう、なんだか…」

しずく「一つの物語を考えるみたい、と思いませんか?」

侑「思う。端役って言ってたけど、その彼女だってもちろん生きてるんだもんね」

しずく「役の数だけ…ううん、舞台には立たなくても登場人物は無数にいて、その数だけ物語が、人生があります。その無数の物語が交差するワンシーンを切り取って描くのが演劇という舞台」

しずく「私達が舞台に立つとき、それは誰かの人生を背負うときなんです」
 
894: (茸) 2020/11/24(火) 08:41:26.28 ID:DQF42Rpb
侑「しずくちゃんの中には、もう彼女がしっかりいるの?」

しずく「──はい」コクン

しずく「だから今日の午前中は、彼女と同じ人生を辿って、最も『彼女らしく』当該シーンを迎えられるようにするつもりです」

侑「そうなんだ…!」

侑「彼女がどんな人なのか聞いてみたいけど、それは我慢するね。しずくちゃんの舞台を通して私自身が感じてみたいもん」

しずく「先輩…」

しずく「きっと、舞台の上から届けてみせます」グッ

侑「うん!」
 
895: (茸) 2020/11/24(火) 08:43:45.14 ID:DQF42Rpb
しずく「──侑先輩、少しだけ…まだ、お時間いいですか?」

侑「うん、私は全然大丈夫だよ」

しずく「部活へ行く前に、少しだけ…付き合ってもらえませんか?」

侑「もちろん!なんでも言ってよ!」

しずく「この時間なら…先輩、こっちへ」

侑「? うん」トトト
 
896: (茸) 2020/11/24(火) 08:47:01.70 ID:DQF42Rpb
空き教室


侑「えっと…」


部室棟の傍の空き教室、普段どんな授業で使われる教室かわからないけど、私はしずくちゃんに連れられるままそこに辿り着いた。

──ピシャ

先に入室を譲ってくれたしずくちゃんが、後ろ手に扉を閉める。


侑「しずく、ちゃん?」

しずく「侑先輩」

しずく「ほんの少しの間だけ、私のものになってください」

侑「──!」ドキッ…
 
897: (茸) 2020/11/24(火) 08:50:16.17 ID:DQF42Rpb
演劇のために高校を決めたしずくちゃん。

念願の演劇部に入ることができて、今日は初めての舞台を賭けたオーディションの日。

緊張してないわけがないよね。

私の些細な行動でその緊張をほぐしてあげられるなら。


侑「いいよ、しずくちゃん。おいで──」

しずく「いえ、行きません」ピシャリ

侑「えっ?」
 
898: (茸) 2020/11/24(火) 08:55:39.85 ID:DQF42Rpb
不格好に固まる私。


侑「あれ…頭を無でてほしいとか、そういうことかと思ったんだけど…」

しずく「…無でてほしくないと言うとそれは大嘘になりますが」

侑「大嘘になるんだ」

しずく スゥ──

しずく『今の私は、愛しいあなたに触れることは叶いません。なぜならあなたはもう、旅立ってしまったのだから──』

侑「!」

しずく『触れたい。抱き締めたい。あなたを想ってこの腕は毎夜苦しいほどに宙を掻く』

しずく『それでも、この手があなたに届くことはないのです。二度と──もう、二度と…』

しずく『待っていてください。私は、あなたを奪った彼の王を絶対に許しません。その願いを果たすまで、もう少し──もう少し────』
 
899: (茸) 2020/11/24(火) 09:04:16.21 ID:DQF42Rpb
しずくちゃんは手を振り、身を翻しながら、私へ決意を語った。

そこには、ただただ愛しいご主人を失った悲しみ、その怒り、そして身を切るような強い意志がありありと描かれていた。

『登場してすぐに撃たれてしまう役』だってしずくちゃんは言ってた。

こんなシーンは台本にはないはずだ。

つまり、これはしずくちゃんが作り上げてきた『彼女』の人生に違いない。

すごい、と思った。

どれだけの情報が台本の上にはあったんだろう。

きっと多くはないそんな情報から、しずくちゃんは一人の人物を作り上げたんだ。

そして今、しずくちゃんはその人を演じている。

瞳に宿る熱に、声に籠もる悲しみに、私ははっきりと『彼女』を感じられた──
 
900: (茸) 2020/11/24(火) 09:10:18.43 ID:DQF42Rpb
しずく「────ふう…」

侑「すごい!すごいよ、しずくちゃん!」パチパチパチ

侑「なんていうのかな、今、私も舞台に立ってるみたいだった!セリフもなくて動きもなかったけど、本当に自分のことを想ってくれる奥さんが語りかけてくれてるみたいだったよ!」

しずく「ほ、本当ですか」

侑「うん!演劇をやる人って、みんなこんなに上手なのかなぁ」

しずく「私なんかまだまだですよ。これまで培ってきたのは演劇に関する知識だけ、一年二年と実際に舞台を経験してきた先輩達とは比べるべくもないほどです」

侑「そうなんだ…でも、オーディションで戦うのは一年生の子達なんだよね?だったらこんなに上手なの、きっとしずくちゃんだけだよ!」

しずく「中学にも演劇部がある学校はありますから、なにも私だけなんてことは…」

侑「それでも!」

侑「私は、しずくちゃんの演技がすごく素敵だって思ったよ!」

しずく「侑先輩…」
 
901: (茸) 2020/11/24(火) 09:15:30.57 ID:DQF42Rpb
しずく「──ありがとうございます。その言葉が、すごく自信になりました」

しずく「不安だったんです。決して短くない時間をかけて作り上げた『彼女』の想いが、正しいのか」

しずく「でも先輩に向けて想いを吐くことで、愛しい相手に抱く感情を確かに味わえました。この想いは間違ってないと思います」

侑「そうだね。受け取った私も保証するよ」

しずく「うふふ…」

しずく「土曜日なのに付き合ってくださってありがとうございました。そろそろ行かなくちゃいけませんね」
 
902: (茸) 2020/11/24(火) 09:19:32.17 ID:DQF42Rpb
鞄を持ち、名残惜しそうに視線を泳がせるしずくちゃん。


侑「…応援、しておく?」スッ…


苦しそうに眉根を寄せて、首を振る。


しずく「…いいえ」

しずく「愛しい相手に触れることができない、この気持ちを抱えていきます」

侑「そっか」


一度だけ深く息を吐いて、しずくちゃんは顔を上げた。


しずく「それじゃ、行ってきます!」

侑「うん、行ってらっしゃい!応援してるからね!」
 
904: (茸) 2020/11/24(火) 09:24:39.06 ID:DQF42Rpb
晴れやかに駆けていった背中を見送って、私もどこか緊張していた肩が落ちる。


侑「あはは…私が緊張してちゃ世話ないよね」


真剣な人の目って、向かい合う相手も引き上げる力があるよね。

ひたむきに演劇に向き合うしずくちゃん、そんなしずくちゃんの傍にいることで、私も少し成長できたりするのかな。

しずくちゃんが向けてくれる信頼に応えられるような、そんな私に──


──しずく「愛しい相手に触れることができない、この気持ちを抱えていきます」


………信、頼…
 
906: (茸) 2020/11/24(火) 09:28:56.58 ID:DQF42Rpb
侑「…いやいや、役でしょ」


役だよ、ね?

しずくちゃんはあのとき『彼女』で私は『ご主人』だったんだから、そうだよね。

私自身を指して言ったわけじゃ──


侑「…っ」//


な、ないないない!

役にほだされちゃったんだ、私!

あんまりにもしずくちゃんの演技が迫真だったから!


侑「が…頑張れーっ、しずくちゃーん!!」


きっと踏み出してみせてね、夢への一歩目を!


しずくと演劇の練習をしました! ▼
 
908: (茸) 2020/11/24(火) 19:31:20.44 ID:UI7xkTOu
夜…


ごはん終わり、お風呂も終わり!

しずくちゃんのおかげで一日を暗く始めることなく過ごすことができた。

たいしたことはしなかったけど、自発的に課題をやったりした。

歩夢にお尻を叩かれもしないでやるなんてすごいことだよ!

…うん、もしかしてハードルが低いかな?


誰かと話そうかな? >>909
1.歩夢
2.しずく
3.かすみ
4.璃奈
5.今日はいいや。
 
909: (たまごやき) 2020/11/24(火) 19:32:23.92 ID:bnan/86C
かすみで

しずくを選ぶとそろそろルート確定に入ってしまいそうだ
 
911: (茸) 2020/11/24(火) 19:37:23.11 ID:UI7xkTOu
『トーク履歴 かすみん』


侑「…」


かすみんのトーク履歴は、水族館の日のままで止まっている。

ばいばいした後、簡単なお礼と写真を何枚か。

最後にかすみんがくれたメッセージの文末には可愛い絵文字が揺れる。

話したい。

話したい。

入部しなくてごめんね。

期待させてごめんね。

傷つけて、ごめん。

言いたいことはいっぱいあるけど、そのどれも言えばさらにかすみん傷つけてしまうだけのような気がする。
 
912: (茸) 2020/11/24(火) 19:41:16.41 ID:UI7xkTOu
彼方ちゃんとはどうなった?

ライブの曲はどうすることにしたの?

昨日の今日でなにかが変わったとも思えないそんなことを、ふと指が綴りそうになる。


──かすみ「…いいですよ。侑せんぱいも歩夢せんぱいも、そんなに謝らないでください」

──かすみ「もし同じだけの気持ちでスクールアイドル活動に打ち込めるなら、もちろん仲間に加わってくれたら嬉しかったですけど」

──かすみ「そんなの、無理やりすることじゃないですもん」


怒らなかったな、かすみん。

一昨日の別れ際、あの場で即答できなかった時点で半分くらい諦めてたのかもしれない。

諦めてたのに、昨日、私はもう一回殴ったのかもしれない。


侑「…っ、かすみん…」
 
913: (茸) 2020/11/24(火) 19:45:55.28 ID:UI7xkTOu
なにを言えばかすみんを傷つけてしまうのか、

なにを言ってもかすみんを傷つけてしまうのか、

そんなことにもはっきり答えを──自分の考えも持てないままで、でも、私はかすみんと話したい気持ちを我慢できない。

謝るのがよくないなら。

同好会の話をするのがよくないなら。

なんでもいい、なにか関係ない、明るい話を──


『かすみん、今日はなにしてた?』


そんな当たり障りない一文を投げてから、


『私は朝から演劇部の


次の一文を打つ手を止める。

スクールアイドル同好会がだめなら演劇部、そんな風に見えちゃうかな。
 
914: (茸) 2020/11/24(火) 19:49:45.37 ID:UI7xkTOu
『私は課題を済ませたよ!


…だから?

やって当然のこと、しかも学年も違う相手からそんな報告をされてどうすればいいんだって話だ。


『明日は晴れそうだね、


今日の話もしないままに明日の話って。


『またかすみんのコッペパン


…ここでお願い事を重ねるなんて正気?
 
915: (茸) 2020/11/24(火) 19:51:16.55 ID:UI7xkTOu
打って、消して、打って、消して、打って、消して。

ああでもない、こうでもない。

誰かに送るラインの一文をこんなに悩んだことはないってくらい、うんうんと一人で唸る。

唸っている──と、


侑「!」


既読が付いた。
 
916: (茸) 2020/11/24(火) 19:55:31.35 ID:UI7xkTOu
やばい、まだ入りの一文しか投げてないのに。

さすが女子高生、なんて感心してる場合じゃなくて──これだけ見たかすみんはどう思うだろう。

待って待って、せめて適当な近況報告をもう一文。

焦って、焦って、でも送信ボタンを押せるようにはなかなかならなくて。


侑「…お返事、ないや…」


そのまま20分経った。

私はメッセージを送れてないし、かすみんからも来ていない。

会話にもならなかった一文が、画面の一番下で私を見上げていた。
 
917: (茸) 2020/11/24(火) 20:05:07.66 ID:UI7xkTOu
侑「…」


もう30分も前の時刻、そこに並ぶ『既読』。

今さらどんなメッセージを送るのも白々しい感じがして、私はトーク画面を閉じた。

私には、かすみんにも、まだ早かった。

昨日の今日で急ぎ過ぎたかもしれない。

明日──月曜日──来週──

でも日を置けばそれだけでまた話せるようになる?

私は、また──まだ、かすみんと話したいと思っててもいいのかな。


そのまま眠ってしまい、握り締めたスマホが私を起こしてくれることはなかった。


かすみに連絡してみました… ▼
 
921: (しうまい) 2020/11/24(火) 22:39:10.56 ID:QswLG1SH
時間あるので書きます
 
922: (しうまい) 2020/11/24(火) 22:39:18.58 ID:QswLG1SH
翌朝…


侑「んぇ…」


また寝落ちしてた。

スマホの充電はぎりぎり残ってるから問題ないけど、そろそろ寝落ちするクセ直さなくちゃね…

もちろん新着メッセージはない。

すっきりとは全く違う、それなのに二度寝する気にならない朝。

こんなときは朝ごはんでリセットするしかない。


今日はどうしよっかな? >>923
1.一人で家で過ごす
2.歩夢と過ごす
3.出かける(一人ランチ、公園、買い物から選択)
4.誰かに連絡する(しずく、かすみ、璃奈から選択)
 
923: (茸) 2020/11/24(火) 22:40:39.43 ID:jN/ZnMZH
買い物
 
924: (しうまい) 2020/11/24(火) 22:44:31.52 ID:QswLG1SH
侑「お母さんおはよう。わがまま言っていい?」ヒョコ

高咲母「おはよう。朝からなに?」

侑「フレンチトースト食べたいから作って」

高咲母「フレンチトーストねえ。お母さんそんなに得意じゃないんだけど…」

侑「…」

高咲母「ま、いいわよ。侑がそういうこと言うの珍しいもんね」

侑「ありがとう」

高咲母「はいはい。寝癖でも整えてなさい」

侑「…寝癖ついてるんだ、私」ピョコ
 
925: (しうまい) 2020/11/24(火) 22:50:33.49 ID:QswLG1SH
侑「いただきます」

高咲母「いただきます。ちょっと崩れちゃった」

侑 モグ…

侑「…美味しい」

高咲母「そう?味付けは失敗しようがないからね、よかった」モグ

侑「美味しいから形なんか気にならないよ」

高咲母「そうね、お腹に入れちゃえば同じだものね」

侑「フレンチトーストって難しいの?」

高咲母「焼くときにひっくり返すのだけが苦手ね。タイミング間違えるとまだ柔らかくて崩れちゃうのよ」

侑「こんな風に」ツンツン

高咲母「気にならないって言ったじゃない」

侑「気にしてないよ。ここも美味しいよ」モグ

高咲母「侑なんだか今日はちょっとご機嫌ナナメね」

侑「………そうなのかな」
 
926: (しうまい) 2020/11/24(火) 22:55:45.10 ID:QswLG1SH
侑「出かけてくるね」

高咲母「行ってらっしゃい。お皿ありがとう」


美味しかった。

半分でいいと言うお母さんに残りを貰って、トースト一枚半も食べてしまった。

わがままのお礼に引き受けたお皿洗いを済ませて、せっかく天気がいいので出かけることにする。

歩夢に声をかけようか迷うけど…

ううん、今日は一人で気分に任せて歩きたい気分だ。

…お母さんの言う通り、機嫌悪いのかな。
 
927: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:01:59.90 ID:QswLG1SH
商業エリア、メガネショップ


侑「サングラスかぁ」カチャ

侑 キョロキョロ…

侑 スチャ

侑「…うん。なかなか似合ってる」

侑 フッ イェイ キラーン

侑「エージェントになれちゃうな、私」


エージェントがなにかは知らないけど。
 
928: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:05:38.44 ID:QswLG1SH
帽子のショップ


侑「しばらく帽子って被ってないなー」


キャスケット、キャップ、最近はベレー帽を私服に合わせてる子もたまに見かけるかも。

麦わら帽子…を被るのは勇気がいるな。


侑「これなんか色合い可愛いなぁ」ヒョイ

侑 ス…

侑「…ツインテールが邪魔で被れないな?」

侑 ンー…

侑「帽子は諦めるしかないみたいだね」ソッ


今度歩夢を連れてきて色々被らせようっと。
 
931: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:13:47.58 ID:QswLG1SH
アクセサリーショップ


侑「へー、誕生石のアクセサリーか~」

侑「確か歩夢の誕生石はアクアマリンだったよね。えっとー…あった」ヒョイ

侑「でも水色かぁ。歩夢にはピンクとか着けてほしいんだよね。水色だと…しずくちゃんとか似合いそうだな」

侑「…これなんの宝石だろ?」ヒョイ

侑「……へえ、サンゴ!こんな風に加工してあるのあんまり見たことないから新鮮だなぁ」

侑「鮮やかな赤と薄いピンクとあるんだ。こっちなんか歩夢に似合いそうだけど」

侑「でもまあ、高校生が気軽に買える金額じゃないよねー」ハハ…


買えたら買っちゃうかもしれないから、セーフ!
 
932: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:20:20.27 ID:QswLG1SH
シューズショップ


侑「私、そういえばこの靴ずっと履いてるや」


そもそもファッションにすごく敏感な方じゃないから、使い勝手のいいアイテムを買っちゃうといつもそればっかりになるんだよね。


侑「靴くらいはシーンに合わせて使い分ける用のを買っといてもいいかもなぁ」ンー


ブーツっぽい形のパンプス。

履いた感じは軽いのに見た目がシックでいいな。

薄手のフラットシューズ。

これから暑くなってくることを思うといいかも。

明るめのローヒール。

シルエットと色のバランスがちょっと難易度高め?


侑「うん、色んな靴があって楽しかった」


さ、次はなにを見よっかな。
 
933: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:33:16.34 ID:QswLG1SH
メンズファッションショップ


男物のジャケットもいいよね。

果林先輩みたいなすらっとしたスタイルの人なんかは、むしろ丈のあるパリッとしたメンズの方が似合っちゃうのかもしれない。

この前会ったときにしてたベルトなんか、たぶんメンズだよね。

それ以外はレディースだったから組合せが大事ってことなのかな。

もう少し初心者にも優しくコーディネートしてくれるなら、またお願いしたいなぁ…

こんなにサイズの大きいベストとユニセ   のアウターで『着られてる感』の璃奈ちゃんっていうのも可愛いだろうな。

下は短めのキュロットスカートとカラータイツでガーリーにまとめて上下のアンバランスとか…


侑「璃奈ちゃんいないかな?」ソワソワ


いなかった。
 
934: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:38:29.48 ID:QswLG1SH
ハワイアン雑貨ショップ


侑「うおおおお……!!」


サーフィンしてるサンタさんの置き物を見つけた。

ハワイアン雑貨特有の重くてざらっとした、なんていうのかわかんないあの素材の置き物だ。

使いどころも、家のどこに置けば見栄えするのかも検討がつかない。

欲しい…欲しいなぁ。


侑「ん?待てよ、これ…」


背中に穴が空いてる…

ボールペンを立てられるんだ…!

全然いらない付加価値だなぁ、欲しいなぁ!!
 
935: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:45:09.85 ID:QswLG1SH
気の向くままショッピングモールを渡り歩いているうちに、すっかり昼下がりになっていた。

横目に混雑してたレストランエリアからもお客さんが引きつつある。

すごくお腹空いてるわけでもないし、適当にコッペパンでも買って食べようかな。

あ、でも私あそこのコッペパンで満足できるかな。


侑「…でもコッペパンは食べたいかも」


血の涙と引換えで棚に戻したサンタさんが浮かせてくれた分のお小遣いでコッペパンを買おう。
 
936: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:48:06.32 ID:QswLG1SH
お惣菜系とデザート系を一つずつ買ってベンチに落ち着く。


侑「いただきます」ムシャ…


美味しい。

中学生の頃から何度も食べてきた安心の味だ。


侑 モグモグ…
 
937: (しうまい) 2020/11/24(火) 23:52:52.08 ID:QswLG1SH
誰かに会うかと思った。

本屋で菜々ちゃんに、公園で彼方ちゃんに、ゲームセンターで璃奈ちゃんに、お買い物中に果林先輩に、もんじゃ屋さんで愛ちゃんに会ったみたいに、今日も誰かに会うと思ったけど。

一人で過ごす時間もキライじゃない。

でも、


侑「やっぱり誰かと過ごす時間の方が楽しいな」


同じウインドウショッピングをするにしても、きっと誰かと一緒なら全然違うものになったんだろうな。

次は誰と来ようかな──


一人でのんびりと過ごしました! ▼
 
941: (茸) 2020/11/25(水) 08:01:23.01 ID:oFk/rCpq
翌朝…


侑「お待たせ~」タタタ

歩夢「行こっか」

侑「うん!」


歩夢の電話で目を覚まして、ほんの一、二言会話して、またこうして話しながら学校に行く。

何気ないこんなことが今日はなんだかとっても嬉しい。

えへへ…


歩夢「侑ちゃん、にこにこしてなにかあった?」

侑「んー?歩夢だーって思うと、なんか嬉しくて」

歩夢「なにそれ。私はいつでも歩夢だよ」

侑「そーなんだけどさ。今日も歩夢だーっ」ギュ

歩夢「わわっ、ゆゆゆ侑ちゃん…!?」//
 
942: (茸) 2020/11/25(水) 08:09:49.95 ID:oFk/rCpq
お昼休み…


そういえば、中学の頃、お弁当におでんを持ってきてる子がいたっけ。

魔法瓶の太い土管みたいなお弁当箱におつゆたっぷりのおでんが入ってて、教室に満ちた出汁の匂いに騒然となったんだよね。

あんまりにもみんなで珍しがったからか、それきり持ってこなくなっちゃって、一回食べてみたかったなぁ…


侑「さー、お昼ごはんお昼ごはん………あれ?」


ふと廊下を見ると、なにやら見慣れた人影が。

あれは、菜々ちゃんだ…


どうする? >>943
1.菜々に話しかける
2.菜々をお昼ごはんに誘う
3.今日は歩夢と二人の日!
 
943: (茸) 2020/11/25(水) 08:11:32.63 ID:CMxse578
2
 
944: (茸) 2020/11/25(水) 08:13:37.96 ID:oFk/rCpq
歩夢「侑ちゃん、お昼ごはん…」

侑「ごめん歩夢、ちょっと待っててね!」ガタ

歩夢「え!?」

侑 トトト…
 
945: (茸) 2020/11/25(水) 08:17:29.70 ID:oFk/rCpq
侑「菜々ちゃん」

菜々「高咲さん」ホッ…

侑「もしかして私のこと探してた?」

菜々「あ…はい。よくわかりましたね」

侑「なんとなく、目が合ったような気がして」

侑「どうかしたの?」

菜々「そうですね、たいした用件があって来たわけではないのですが…昨日の今日という感もありますし…」

侑「え、なに?」

菜々「いっいえ!その、少しお話ししたいと思ったというか…」ゴニョ

侑「…!」パァァ
 
946: (茸) 2020/11/25(水) 08:22:54.53 ID:oFk/rCpq
侑「じゃあ一緒にお昼ごはん食べようよ!ね、お話ししながらさ!」

菜々「え!?は、はい…それは嬉しい、の、ですが…」チラッ

クラスメイト達 ソワ…

歩夢「…」ジッ

菜々「高咲さん──」

侑「久し振りの生徒会室ランチだー!」イェイッ

侑「あーゆむっ、菜々ちゃんと一緒にお昼食べない?」

歩夢「生徒会長がいいなら…」

菜々「私は、はい、お断りするような立場じゃないですし、上原さんともお話ししてみたいので、ぜひ」

歩夢「それじゃ…行こっかな」

侑「やったー!」
 
947: (茸) 2020/11/25(水) 08:27:15.22 ID:oFk/rCpq
生徒会室


「「「いただきます」」」

侑「でも菜々ちゃんから会いにきてくれるなんて嬉しいなぁ」

菜々「た、ただ会いにいったわけでは」

侑「あれ?そういえばお話があるって言ったっけ?」

菜々「そうですね、そのつもりだったんですけど…」

歩夢「私がいると話しづらいことでしたか?」

菜々「決してそういうことでは。ただ高咲さんとの個人的な話なので、せっかく三人でいるときにすることでもないかと思います」

歩夢「侑ちゃんとの、個人的な話…?」ピクッ

侑「えーなんだろ、気になるよー」

菜々「急ぐものではありませんから」

侑「むー」
 
948: (茸) 2020/11/25(水) 08:34:32.09 ID:oFk/rCpq
侑「せっかくなら三人で共通する話か。なにがあるかなぁ」ンー

歩夢「勉強のこととか?」

侑「えっ」

菜々「お二人とも普通科ですよね。であれば範囲も進捗も同程度でしょうし、多少は力になれるかもしれません」

侑「え、いやいや…なんで勉強の話を…」

歩夢「生徒会長、英語は得意ですか?さっきの授業で少し引っかかったところがあって」

菜々「どこでしょう。少し先の分まで予習しているので恐らく答えられるかと──」

侑「待った待った!お昼ごはん中に勉強の話なんて始めないでよ!えっとあー、そうだ!勉強といえばね、今週は一人で課題やったんだよ!」

菜々「それは普通のことなのでは?」

侑「うっ!違うの、歩夢の手を借りずにやったってことでね…」

菜々「普段は上原さんに甘えているということですか?」

侑「うううっ」ギクッ
 
949: (茸) 2020/11/25(水) 08:36:36.85 ID:oFk/rCpq
菜々 ジー

侑 タジ…

菜々 ジーー

侑 タジタジ…

菜々 ジジジーーー

侑「…っ、なんで歩夢菜々ちゃんに敬語なの!?呼び方も『生徒会長』なんて硬いよ!」

歩夢「あ、話逸らした」

侑「逸らしてないもん!」
 
950: (茸) 2020/11/25(水) 08:40:44.51 ID:oFk/rCpq
菜々「勉強のことは追々お話しするとして」

侑「しなくていいよ。忘れよ?菜々ちゃん」

菜々「敬語かどうかは私も同様なのでなしにしてほしいとは言いませんが、そうですね、上原さんに抵抗がなければ名前で呼んでくださると嬉しいです」

歩夢「菜々、ちゃん?」

菜々「はい。菜々です」ニコッ

歩夢「それなら、菜々ちゃんも私のこと名前で呼んでほしいな」

菜々「えと…歩夢さん…?」

歩夢「はい。歩夢です」ニコッ

菜々「…」// テレテレ

歩夢「…」// テレテレ

トントン

菜々「?」
 
951: (茸) 2020/11/25(水) 08:45:33.48 ID:oFk/rCpq
侑「さっきも高咲さんって言ったよね」ニコッ

菜々「そ、そうでしたね…」

菜々 コホン

菜々「侑さん」

侑「よくできましたっ」

侑「これでみんな仲良しだね。歩夢、もう菜々ちゃんのこと怖くないでしょ?」

歩夢「ゆ、侑ちゃん…!」

菜々「平気ですよ、昔からそう思われることは多かったので慣れっこです。それよりも、今──」

歩夢「怖くないよ、菜々ちゃん。お話ししてて楽しい。もっと前から仲良くなっておけばよかった」

菜々「──今、そう思ってもらえているのなら、こんなに嬉しいことはありません」
 
952: (茸) 2020/11/25(水) 08:57:11.03 ID:oFk/rCpq
侑「…」

──菜々「侑さん」

侑「……」

──「────侑さん」

侑 ム…

菜々「howを用いて感嘆文を作るときには、主語となる名詞を表せなくなるんですよ。主語を強調した文にしたければwhatを用いる必要がありますね」

歩夢「whatだと、……………ってことだよね?」

菜々「そうですね」

歩夢「なるほど!わかったよ、ありがとう」

菜々「いえいえ。このくらいでよければお安い御用です」

侑「…勉強の話は終わりましたかー?」

歩夢「侑ちゃん、感嘆文は理解できてる?」

侑「簡単文…?」

菜々「これは個別の指導が必要かもしれませんね」

歩夢「そうですね」

侑「え……えええーーーっ!?」ガーンッ
 
953: (茸) 2020/11/25(水) 09:05:12.88 ID:oFk/rCpq
「「「ごちそうさまでした」」」

菜々「お話ししながらお昼ごはんを食べていると、あっという間にお昼休みが終わりますね」

侑「わ、ほんとだ。もうあとちょっとじゃん!」

歩夢「あんまりのんびりしてられないね」

菜々「私は職員室に寄らなければならないので、そろそろ出ましょうか」

歩夢「うん」
 
954: (茸) 2020/11/25(水) 09:08:58.89 ID:oFk/rCpq
侑「──あ、菜々ちゃん。これ」っ紙

菜々「これは?」


『ラインID: xxxxxx』カサ…


菜々「…!」

侑「私、もっと菜々ちゃんと仲良くなりたいからさ。個人的な話っていうのも気になるしね!いつでも連絡してよ」

菜々「はい…ありがとうございます」

侑「くれなかったら拗ねちゃうからね」

菜々「わかりましたよ」クス

歩夢「侑ちゃん、菜々ちゃん。行かないの?」

侑「行ーくー!」タタタ

菜々「すぐに行きますよ」


菜々とお昼ごはんを食べました!
菜々に連絡先を渡しました!   ▼
 
958: (茸) 2020/11/25(水) 18:38:08.93 ID:oFk/rCpq
放課後…


ちょっぴりうとうとしちゃった。

その間に五時間目と六時間目が丸々終わってたことには驚くしかないや。

えっとー…そもそもなんの授業だったっけ?


どうしよっかな? >>959
1.一人で帰る
2.歩夢と帰る
3.しずくに連絡する
4.寄り道して帰る(同好会、運動場、お台場から選択)
 
959: (たこやき) 2020/11/25(水) 18:39:13.52 ID:/drs/+AO
運動場
 
962: (茸) 2020/11/25(水) 18:51:04.77 ID:oFk/rCpq
侑「ふう…」

歩夢「侑ちゃん、帰らない?」

侑「あ、うん。帰ろっか」

歩夢「なんだか疲れ気味だね」

侑「一日室内にいたからかな、ちょっと息が詰まる感じがしちゃって…大丈夫だよ」

歩夢「それなら、校舎の周りぐるっとして行こうよ。普段見ない景色を見たら気持ちもすっきりするかも」

侑「いいの?」

歩夢「もちろんいいよ。侑ちゃんが疲れてるのに放っておけないもん」

侑「ありがと、歩夢。それじゃ付き合ってもらおっかな」

歩夢「うん」
 
963: (茸) 2020/11/25(水) 18:54:20.45 ID:oFk/rCpq
歩夢「今日は中でお昼ごはん食べたからかな」トコトコ

侑「そうかな?」トコトコ

歩夢「かな。週明けはいつも外で食べてるもんね」

侑「え、そうだっけ?」

歩夢「そうだよ。侑ちゃん、週明けはほとんど外に行きたがるもん」

侑「へー、そうなんだ」

歩夢「自分のことですよ?」

侑「私のことは私より歩夢の方が詳しいでしょ!」

歩夢「私のことは?」

侑「それはもちろん歩夢の方が詳しいに決まってるじゃん」

歩夢「なにが決まってるのかなぁ、それ」
 
964: (茸) 2020/11/25(水) 18:58:13.76 ID:oFk/rCpq
……ワー…


侑「なんかあっち騒がしいね」

歩夢「運動場があるからだと思うよ」

侑「あれ、あっちだっけ?」

歩夢「あっちのは私達が普段使わない方だね」

侑「運動場って一つじゃないんだ」

歩夢「同好会だけで百個以上あるらしいから…」

侑「だったね…」

侑「覗いてっていい?」

歩夢「うん、行ってみよっか」
 
965: (茸) 2020/11/25(水) 19:07:49.99 ID:oFk/rCpq
運動場


侑「おー、こっちって来たことないのかな。新鮮だね」

歩夢「一年生のときは何回かこっちで授業したこともあると思うけど、こうして色んな部活が活動してるのを見ると壮観だね」

侑「ほんと、色んな部があるんだなぁ」

歩夢「あれなんていうんだっけ、陸上部だよね」

侑「タータントラックだったかな。すごいや、あんなのまであるんだ。うちの陸上部」

歩夢「数が多いとは言っても、やっぱり人気の部活が多いほど設備も豪華なのかな」

侑「かなー」

侑「……ん?ねえ歩夢、あそこ、トラックの向こう側にいるのって愛ちゃんじゃない?」

歩夢「えっ?……ほんとだね、愛ちゃんだ」

侑「走るのかな!?行ってみよ!」

歩夢「え、えええ~…いいのかなぁ…」
 
966: (茸) 2020/11/25(水) 19:15:35.45 ID:oFk/rCpq
「位置について、よーい!」


ピッ


ピストルの代わりが鋭く笛が鳴って、バトンを持った子が走り出す。

走りづらそうなカーブを物ともせずにぐんぐん加速して、終わりで待っていた子にバトンをパスする。

二人の距離が開き始める直前でバトンは渡り、次の走者が加速に乗る。

今度はレーンがまっすぐなだけにその速さがよくわかる。

あっという間にバトンは、カーブの始まりで待つ愛ちゃんの元へ届く。


愛「…」グ…


タンッ!!


愛ちゃんがレーンを蹴った。
 
967: (茸) 2020/11/25(水) 19:16:31.26 ID:oFk/rCpq
>>966
訂正

×ピストルの代わりが鋭く笛が鳴って、バトンを持った子が走り出す。

○ピストルの代わりに鋭く笛が鳴って、バトンを持った子が走り出す。
 
968: (茸) 2020/11/25(水) 19:24:05.13 ID:oFk/rCpq
一瞬、ひやっとした。

愛ちゃんが走り出すのが早かったんじゃないかと思った。

わからないけど、走り出すのが早くても遅くてもバトンパスって上手くいかないような気がする。

でも、そんな心配はいらなかったみたいで。

愛ちゃんがぴんと伸ばした手にバトンが勢いよく滑り込む。

手に吸い付いたバトンが空中を赤く切るたび、どんどん速くなっていくみたいで。

ちょうど最後のまっすぐゾーンの脇で見てた私にふと愛ちゃんが視線をくれて、ぱちりと目が合った。

にっ、と笑ったような気がした。


侑「────!」


気づくと隣をすごいスピードで走り抜ける子がいて、私の髪を小さくたなびかせた。
 
969: (茸) 2020/11/25(水) 19:26:41.76 ID:oFk/rCpq
後ろで聞こえる、お~という喜びの声。

でもそんな声はほとんど聞こえてなくて、


愛「…っし!」ノシシシ ブンブン


嬉しそうに手を振る愛ちゃんの晴れやかな笑顔だけが運動場にあった。
 
970: (茸) 2020/11/25(水) 19:31:42.85 ID:oFk/rCpq
愛「見た?愛さん速かったっしょ」ポン

侑 …ハッ

侑「う、うん。速かった。すごかった!」

愛「あはは、小学生みたいな感想だねー。しょーかしょーか、クセになりそうかい?なんつって!」

侑「しょーか、クセ………ぷっ」

侑「あはははは……っ、それ…それ最高だよ!愛ちゃん…!走ったばっかりでそんなダジャレ言えちゃうなんてすごいよぉ……!」ヒィヒィ

歩夢「!?」

歩夢「い、今ので笑ったの!?っていうかダジャレだったの!?」

愛「あー、歩夢ってばひどいなー。愛さんのダジャレ面白くなかった?」

歩夢「面白くないというか、ごめん、気づかなかった…」

愛「ちぇーっ」
 
971: (茸) 2020/11/25(水) 19:35:46.56 ID:oFk/rCpq
「愛ー、こっち来てよー!いい記録出たよー!」

愛「お、だってさ。侑達もおいでよ」

歩夢「邪魔にならない?」

愛「ヘーキヘーキ、いい記録出たときの陸部メンほどご機嫌な人もこの世にいないって!」

歩夢「そうなんだ。ほら侑ちゃん、行くよ」グイ

侑「ひぃひぃ…ぉ、お腹いたい…」ズルズル
 
972: (茸) 2020/11/25(水) 19:43:43.09 ID:oFk/rCpq
『51" 22』


「なかなかだね~」

愛「アタシ、バトンパスちょいミスったからなー。それなかったら50秒台いったよね」

侑「えっ」

「全然ミスってないよ!めっちゃやりやすかったって!」

歩夢「侑ちゃん?」

侑「や、ううん、ミスしたなんて全然わからなかったなって…すごくキレイなパスに見えたよ」

愛「いやー、まだまだ。なんとか落とさなかったって感じだよ」

侑「そうなの…?」

「いやいや、正規メンじゃないんだから完璧にできるわけないし!代理で入ってくれてアンダーできるだけでもすごいことだよ!」

侑「やっぱりすごいんだ!」

愛「誉め過ぎだって~」
 
974: (茸) 2020/11/25(水) 19:49:30.85 ID:oFk/rCpq
「撮ったやつ、少し休憩したら確認するよ!」

「「「はーい」」」

侑「愛ちゃんは休憩しないの?」

愛「ん、アタシはアップと流ししかしてないからね。休憩するほど走ってないんだよ」

歩夢「よく代理で入るの?」

愛「どーかなー、陸部ばっかり手伝ってるってわけでもないからね。今日は第三走者のコが休んでリレー練習できないっていうんで呼ばれたの」

歩夢「大会に出るとかじゃないんだね」

愛「あはは。愛さんみたいなウソっこが入って記録に泥塗っちゃうわけにはいかないって」

侑「大会に出るなら絶対応援に行くのになぁ」

愛「ありがとありがと。球技とかはたまーに出ることもあるから、そんときは来てよね」

侑「うん!」
 
975: (茸) 2020/11/25(水) 19:55:14.61 ID:oFk/rCpq
「愛には何回も入部してって言ってるんだよ」ニュ

侑「わっ」

「でもさー、なーんか頑なに入ってくれないの」ジトー

愛「愛さんは陸部だけの助っ人じゃないからね」キラン

「はいはい、ヒーロー様には陸上一本じゃ物足りませんか。悪かったね、走るしか脳のないチームで」

愛「んなこと言ってないじゃんかよ~」ウリウリ

侑「ヒーロー?」

「部室棟のヒーロー。呼べば駆けつけてくれる愛を尊敬して運動部の間で通ってるあだ名だよ」

侑「か…かっこいい!」パァ

愛「ちょっとちょっと、運動部じゃないコにまで広めるのやめーい」

歩夢「私達スポーツ得意じゃないから憧れちゃうよ」

愛「へへ、見直した?」

侑「見直したーっ!」
 
976: (茸) 2020/11/25(水) 20:03:05.34 ID:oFk/rCpq
「っと、そろそろかな。リレメン集まってー」パンパン

「愛もまだ平気?あと一回か二回付き合ってくれたら助かるんだけど」

愛「モチモチおもち!今日は陸部以外予定ないから全然いいよ」

「ありがと!」

愛「そんじゃ愛さん行くね!」

歩夢「うん、頑張ってね」

愛「おっと、侑」

侑「うん、なに?」

愛「愛さんの走る姿に見とれちゃだめだぜ?」

侑「へ…」

歩夢「…!?」

愛「アタックしたりサードやったりシューティングガードこなしたりしちゃうんだからさ。いちいちときめいてたら身がもたないよん」ニッ

愛「じゃね!」タタタ

侑「も…も~っ、変なこと言わないでよー!」//


愛とお話ししました! ▼
 


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