【SS】せつ菜「侑さんに避けられている気がします……」歩夢「せつ菜ちゃん……」【ラブライブ!虹ヶ咲】

せつな SS


2: (あら) 2022/12/10(土) 18:08:28.12 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「私、何かしてしまったんでしょうか?」シュン

歩夢「せつ菜ちゃん、大丈夫だよ。元気を出して」ナデナデ

せつ菜「歩夢さん……」

彼方「そんなの気のせいだよって言ってあげたいところだけど……」

しずく「完全に無視してるってわけじゃないですけど、明らかに避けてはいますよね」

せつ菜「やっぱり、そうですよね。……どうして、こんなことに」ウルウル

エマ「ああっ、泣かないで。きっと大丈夫だから」ナデナデ

かすみ「そうですよ! ちゃんと侑先輩とお話しすれば、すぐに元通りです!」ナデナデ

せつ菜「ありがとうございます……」
 
4: (あら) 2022/12/10(土) 18:12:16.10 ID:p6Wl7lqy
愛「でも、せっつーには何か心当たりはないの? ゆうゆに避けられちゃうような理由のさ」

せつ菜「避けられる理由の心当たりですか?」

愛「うん、せっつーがゆうゆに何か酷いことするとは思えないけど……」

果林「でも侑だって、何も理由がないのに誰かを避けるような子じゃないものね」

璃奈「確かに理由が分かれば、解決策も見つかるかも」

せつ菜「そう言われても、私には何も……」

彼方「せつ菜ちゃん、避けられてるなって感じたのはいつから? それで何か分かるかもしれないしさ」

せつ菜「えっと、先週までは侑さんも普通だったと思います」

しずく「今週からいきなりですか?」

せつ菜「はい、月曜日の朝練のときから侑さんの様子がおかしくて……」

かすみ「土日に何かありました?」

せつ菜「いえ、何もありません。そもそも侑さんとまともに会話したのは、先週の金曜日が最後ですし……」

璃奈「週末に侑さんと約束してたのに、すっぽかしちゃったとかはない?」

せつ菜「それもないはずです。私も同じことを考えて、きちんと予定は確認しましたから」
 
5: (あら) 2022/12/10(土) 18:15:47.25 ID:p6Wl7lqy
歩夢「でも、土日に何かあったのは間違いないと思うよ」

歩夢「月曜日の朝に一緒に学校に行ったとき、侑ちゃんの機嫌がすごく悪かったから」

エマ「そうなの? でも、練習のときは普通だったよね?」

歩夢「はい、みんなに当たらないようにしてたんだと思います」

歩夢「私も幼馴染だから雰囲気で分かったけど、何か嫌なことを言われたりしたわけじゃないですし」

果林「でも、それはそれでおかしいわよね?」

愛「うん、愛さんたちに八つ当たりしないようにしてくれてるのはゆうゆらしいけどさ」

せつ菜「そうですよ! だったら、なんで私だけ!」

しずく「侑先輩のイライラの原因がせつ菜さんなら話が通りますけど、週末は会ってもいないんですよね?」

せつ菜「はい! 会っていないどころか、連絡すら何もしていません!」

かすみ「侑先輩、何を怒ってるんでしょうねぇ?」ンー?

璃奈「謎は深まるばかり」
 
7: (あら) 2022/12/10(土) 18:19:28.22 ID:p6Wl7lqy
彼方「でも、侑ちゃんも怒ってるっていうのとはちょっと違う気がしない?」

せつ菜「どういうことですか?」

彼方「うーん、どう言えばいいのかなあ。怒ってるんじゃなくて、拗ねてるっていうか~」

果林「拗ねてる? せつ菜とは連絡も何もしてないのに、せつ菜に拗ねるのは変じゃない?」

彼方「そう言われちゃうと、そうなんだけどさあ~」

エマ「だけど、拗ねてるっていうのは私もそんな気がするかも」

エマ「私の妹や弟も、他の子を褒めすぎるとあんな感じになっちゃうことがあるんだあ」

彼方「あ~、確かにそんな感じかも!」

彼方「前に同好会の後輩が可愛いって話をしすぎちゃったとき、遥ちゃんも拗ねちゃったんだ~」

しずく「へえ、遥さんって私と同じ1年生なのにしっかりしてるなって思ってたんですけど……」

しずく「そんな可愛らしい一面もあるんですね」フフッ

彼方「うん、もうすっごい可愛かった。この世のものとは思えないくらいに」
 
8: (あら) 2022/12/10(土) 18:22:54.96 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「つまり、私が誰かを褒めすぎたせいで侑さんが拗ねてる?」

せつ菜「いや、でも侑さんとは会話も何もしていませんし……」ン?

愛「まあ、そのまんまってわけじゃないだろうけど、ゆうゆが拗ねるような何かがあったのかもしれないね」

せつ菜「そうですね。そもそも私が誰かを褒めたところで、それで侑さんが拗ねるのは変ですから」

愛「っていうか、もう聞いてみたらよくない?」

せつ菜「……それは、侑さんに聞くってことですよね?」

愛「そりゃあそうだよ。せっつーは何も心当たりはないんだよね?」

せつ菜「……はい」

愛「だったら、なんで避けるんだって真正面から聞いてみなよ。そっちの方がせっつーらしいしさ」

愛「何を言われるのか分かんなくて怖いかもしれないけど、ゆうゆが相手なら悪いことにはならないと思うよ」

せつ菜「……分かりました。確かにそれが一番ですね! そうと決まれば、今からでも――」

歩夢「ちょっと待って」
 
9: (あら) 2022/12/10(土) 18:26:22.10 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「歩夢さん?」

歩夢「侑ちゃんには、私から聞いてもいいかな?」

せつ菜「えっと、歩夢さんが聞きたいのでしたら、私は構いませんが……」

かすみ「でも、なんで歩夢先輩が?」

エマ「何か心当たりでもあるの」

歩夢「ええ、ちょっと気になることがあるんです。さっきのエマさんと彼方さんの話を聞いて……」

歩夢「いや、杞憂だといいんだけど、もしかしたら……」ブツブツ

しずく「歩夢さんに何か考えがあるようですし、侑先輩に連絡してみますか?」

果林「というか、そろそろあの子も来るんじゃない?」

しずく「確かに、いつもより少し遅いくらいで――」

侑「お疲れ様~」ガチャ

侑「あ、私が最後? 遅くなっちゃってごめんね。ちょっと課題に手間取っちゃってさ」

彼方「お、噂をすればってやつだね~」
 
10: (あら) 2022/12/10(土) 18:29:51.84 ID:p6Wl7lqy
侑「え? 何か私の噂でもしてたの? どんなこと話してたのか気になるじゃん」

愛「うん、ちょっとゆうゆに聞きたいことがあってさ」

侑「聞きたいこと? もちろんいいけど、何が聞きたいの? 何でも聞いてよ!」

せつ菜「えっと、歩夢さんが聞くということになったのですが……」

侑「……あ、うん」

せつ菜「その、歩夢さんが……」

侑「……うん」

歩夢「ねえ、侑ちゃん? どうしてせつ菜ちゃんを避けてるの?」

侑「……え? いや、別に私は……」

歩夢「せつ菜ちゃんが侑ちゃんに何かした? それとも、誰かがせつ菜ちゃんについて何か言った?」

侑「そもそも私がせつ菜ちゃんを避けてるって何の話? そんなことはないんじゃ――」

歩夢「侑ちゃん、さすがにそれは通らないよ?」

侑「うぐぅ」
 
11: (あら) 2022/12/10(土) 18:33:21.48 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「私、何かしてしまいましたか? でしたら謝りますから、許していただけると――」

侑「ごめん、待って」

侑「謝らないで。……せつ菜ちゃんは、何も悪いことなんてしてないから」

璃奈「じゃあ、誰かがせつ菜さんについて何か言ってたの?」

エマ「誰かが侑ちゃんに何かよくない話をしちゃったってこと? そんな……」

璃奈「さっき歩夢さんが聞いてたけど、少し唐突だったから何か心当たりがあるのかなって」

侑「まあ、よくない話ってわけじゃないけど、そんな感じといえばそんな感じかも」

彼方「誰かに何か吹き込まれたの? そんなの信じちゃダメだよ~」

侑「いや、吹き込まれたってわけじゃないんだけど……」

果林「はっきりしないわね」
 
12: (あら) 2022/12/10(土) 18:36:47.57 ID:p6Wl7lqy
侑「でも、その話の内容はともかくとして、どう考えても悪いのは私だよ」

侑「せつ菜ちゃんは何も悪くないって、頭では分かってたのに……」

侑「ごめんなさい、せつ菜ちゃん。私のせいで嫌な思いしたよね。本当にごめんなさい」ペコ

せつ菜「侑さん、頭を上げてください。もう避けないでくれるなら、私は気にしませんよ」

侑「許してくれるの? 私が一方的に悪かったのに……」

侑「土下座ぐらいならするよ? さすがに切腹は勘弁して欲しいけど……」

エマ「わあ! ジャパニーズハラキリ!」オー!

愛「エマっち、しないからね?」

エマ「あ、そうだよね。ごめんね。スイスにいたとき読んだ日本の文化を紹介する本に載ってて……」

エマ「日本のブシドーってすごいなあって気になってたんだあ」

しずく「最近の女子高生は切腹なんてしませんからね。残念ですが、今回はお預けです」

果林「最近は女子高生じゃなくてもしないと思うわよ」

璃奈「別に残念ではないかな」

彼方「今回はっていうか、次回はないけどね」

しずく「えー」
 
13: (あら) 2022/12/10(土) 18:40:18.49 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「切腹はもちろんですが、土下座も必要ありません」

せつ菜「これからは避けないでいただけるなら、それで十分です。この話は、これでお終いですよ!」

侑「ありがとう。……いや、でもよかった」ホッ

侑「こんなことした私が言うのはホントあれなんだけど、せつ菜ちゃんとはこれからも仲良くしたいからね」

せつ菜「はい!」ペカー!

かすみ「よかったですね、せつ菜先輩」

せつ菜「はい、本当によかったです! これも、かすみさんたちに相談に乗ってもらったおかげですね!」

侑「みんなにも心配かけちゃったみたいだね。本当にごめんなさい」

しずく「私は何も役に立てませんでしたけど、解決したみたいで安心しました」

璃奈「2人がぎくしゃくしたままだなんてイヤだもんね」

彼方「まったくだよ~」ウンウン
 
15: (あら) 2022/12/10(土) 18:43:50.41 ID:p6Wl7lqy
愛「でも、どうしてゆうゆはせっつーを避けてたの?」

果林「確かに気になるわね。せつ菜は何もしてないんでしょ?」

愛「蒸し返したいってわけじゃないけど、ゆうゆの地雷を知っとけば今後の対策になるかもだしさ」

侑「えっと、理由は言わなくてもいいかな? 無視なんてしといて悪いんだけど、ちょっと恥ずかしくって」

しずく「何か恥ずかしいような理由なんですか?」

侑「うん、ちょっとね。さすがに言いづらいっていうか……」

侑「せつ菜ちゃん、ごめんね。こんなことは二度としないって誓うから、見逃してくれないかな?」

せつ菜「まあ侑さんは謝ってくれましたし、これからも仲良くしていただけるなら、別に私は――」

歩夢「ダメだよ」

せつ菜「え? 歩夢さん?」

歩夢「そんなの許されないよ。侑ちゃんは理由を言わないと。私が知りたいから」
 
17: (あら) 2022/12/10(土) 18:47:29.65 ID:p6Wl7lqy
侑「いやいや、歩夢は関係ないでしょ? 私が知りたいとか言われてもさ」

侑「せつ菜ちゃんが知りたいって言うならさすがに話すけど、歩夢に言われても……」

歩夢「そっか、私じゃダメなんだ?」

侑「歩夢がダメとかじゃなくて、被害者のせつ菜ちゃん以外に言われて話すのは変でしょ?」

歩夢「なるほど、確かにそうだね」ウンウン

侑「でしょ? だから、悪いけどこの話はお終いに――」

歩夢「でも、せつ菜ちゃんも聞きたいよね?」

せつ菜「え? いや、私は別に……」
 
19: (あら) 2022/12/10(土) 18:51:08.59 ID:p6Wl7lqy
歩夢「せつ菜ちゃんも本当は聞きたいでしょ? そうだよね? そうだって言ってくれるよね?」

せつ菜「えっと、歩夢さんのお役に立ちたいのは山々ですが、嫌がる侑さんに無理強いするのは――」

歩夢「こういう大切なことをなあなあにする人は嫌いだなあ」

せつ菜「うえっ!? き、嫌い?」オロオロ

歩夢「逆に、こういうことをきちんと聞いてはっきりさせられる人って素敵だなって思うよ」

歩夢「聞くべきときにちゃんと聞ける人はかっこいいよね。好きになっちゃうかも」

せつ菜「……侑さん、理由を教えていただけますか?」

侑「せつ菜ちゃん!?」ガーン!

愛「せっつーは、やっぱり歩夢に甘いんだよなあ」

彼方「今のはせつ菜ちゃんが甘いというか、歩夢ちゃんの脅しに近かった気が……」

璃奈「歩夢さん、せつ菜さんの気持ちに気づいてたんだ。璃奈ちゃんボード『せつ菜サーの姫』」
 
20: (あら) 2022/12/10(土) 18:54:59.33 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「前言を撤回して申し訳ありませんが、急に理由が知りたくなったのでお願いします」

侑「いやぁ、でもぉ……」

せつ菜「私のためを思うなら言ってください。ほら、私に悪いと思っているなら言えるはずですよね?」

侑「その言い方はズルいよぉ」

歩夢「侑ちゃん、せつ菜ちゃんが知りたがってるよ? せつ菜ちゃんになら話すんだよね?」ネ?

侑「あ、歩夢っ! 歩夢ェ!」ガタッ!

エマ「侑ちゃん、気持ちは分かるけど落ち着いて」ドウドウ

愛「まあ歩夢のやり方はあれだけど、ゆうゆも諦めて言っちゃいなよ」

かすみ「侑先輩、かすみんも実はちょっと聞きたいです」

侑「もう、分かったよ。言えばいいんでしょ、言えば!」モー!
 
21: (あら) 2022/12/10(土) 18:58:29.30 ID:p6Wl7lqy
侑「えっとね、今まで言ってなかったけど、実は私にはお兄ちゃんがいるんだ。それで――」

せつ菜「ああ、あのときのお兄さんですか」

侑「は? どういうこと?」ハ?

せつ菜「ええっと、侑さん?」

侑「なんでせつ菜ちゃんが、私のお兄ちゃんのこと知ってるの? 会ったの? 聞いてないんだけど」ハ?

せつ菜「いや、別に会ったというわけではないんです」アセアセ

せつ菜「遠くからお見かけしただけですから、お兄さんは私のことを知りもしないと思いますよ」

侑「遠くから見かけただけって、どういうことなの?」ネエ?

せつ菜「広い道を挟んで向こう側にいらっしゃるのを見たというだけなんです」

せつ菜「ですから、お兄さんの顔もよく分からないくらいですし」

侑「へえ、そうなんだ。でも、逆にそれでなんで私のお兄ちゃんだって分かったの?」

侑「私と一緒だった? いや、でも私といるのを見ても兄だとは分からないんじゃ……」

せつ菜「いえ、歩夢さんとお話をされていたんです。それを、道路の反対側から偶然に発見しまして」

せつ菜「それで、後で歩夢さんからあれは侑さんのお兄さんだと伺ったんです」
 
22: (あら) 2022/12/10(土) 19:01:54.45 ID:p6Wl7lqy
侑「歩夢といたの? 歩夢、どういうことかな?」

歩夢「先月に侑ちゃんが私の誘いを断って、お兄さんと映画に行ったときのことだよ」

歩夢「たまたま会ったあの人に、今から侑ちゃんと映画を観るんだって自慢されたんだ」

侑「ああ、そういうこと。そういえば、お兄ちゃんが歩夢に会ったって言ってたっけ」

歩夢「くだらない自慢をするのはやめろって言っておいてくれる? 本当に不愉快だから」

侑「ふふっ、歩夢はホントお兄ちゃんのこと嫌いだよね」

歩夢「二度と私の視界に入るなって伝えておいてね」

侑「それだと、歩夢が私の家に来れなくなっちゃうよ? お兄ちゃんがいるから」

歩夢「違うでしょ! お兄さんがこの世界から消えてなくなればいいだけでしょ!」バンッ!

侑「いや、世界からってさあ」

かすみ「やっぱりすごいね。一発でエンジンかかった」ヒソヒソ

しずく「あんな歩夢さん、普段は見れないから新鮮だね」フフッ
 
23: (あら) 2022/12/10(土) 19:06:19.63 ID:p6Wl7lqy
侑「いくら歩夢でも、お兄ちゃんのことをあんまり悪く言わないで欲しいんだけどなあ」ムー

歩夢「私を優先してよ。侑ちゃんと私は幼馴染なんだよ。幼稚園の年少さんの頃から、ずっと一緒でしょ!」

侑「いやいや、幼馴染より兄妹の方が上だって。生まれたときからずっと一緒なんだからさ」

歩夢「……幼馴染より上? 兄妹の方が? 幼馴染じゃ勝てないの?」

侑「そりゃそうだよ。歩夢は私の初めての友達だけど、年少さんって4歳でしょ?」

侑「つまり、私は0歳から3歳までは歩夢の幼馴染じゃなかったんだよ」

侑「でも、私は生まれたときからずっとお兄ちゃんの妹なんだ。そうじゃなかったときは一瞬だってない」

侑「お兄ちゃんも、『歩夢は4年も何してたんだ?』ってよく言ってるじゃん。あれ、面白いよ――」

歩夢「ああー! 死ねっ!」バンッ!

侑「あ、歩夢……?w」

歩夢「あっ、ごめんなさい。今のは口に出すつもりじゃなかったけど、心の底から言葉が溢れてきて……」

侑「そ、そんなに怒ったの? ごめんね。〇さないでね?」

歩夢「侑ちゃんを〇したりなんかしないよ! そんなこと、何があっても絶対にするわけないよ!」

歩夢「今のはお兄さんをできるだけ苦しめて〇したいってだけで、侑ちゃんには何も――」

侑「いや、お兄ちゃんを〇すのもやめて欲しいんだけど……」
 
24: (あら) 2022/12/10(土) 19:09:46.05 ID:p6Wl7lqy
果林「あの優しい歩夢にあれだけ嫌われるって、侑のお兄さんはどんな人なのよ?」

エマ「すっごく嫌な人なのかな? でも、侑ちゃんのお兄ちゃんなのに……」

愛「いや、歩夢によく兄妹マウントを取ってくるらしいんだよ。ゆうゆが生まれたときの話とかしてさ」

果林「兄妹マウント?」

愛「うん。ゆうゆが生まれて最初に話した言葉が、『お兄ちゃん』だったとか自慢されるみたい」

愛「他にもゆうゆが初めて歩いたときのこととか、生まれたときから毛先が緑色だったこととか……」

愛「そういう歩夢も知らない昔の話でマウントを取られるんだって」

愛「『俺は母さんに侑が入ってるお腹をなでさせてもらったけど、歩夢は?』って自慢は面白かったかも」
 
25: (あら) 2022/12/10(土) 19:13:13.03 ID:p6Wl7lqy
彼方「ふふっ、そういうことか~。それであんなに怒っちゃう歩夢ちゃんも可愛いね~」

エマ「侑ちゃんのこと大好きなんだね」フフッ

果林「でも、歩夢もよく幼馴染マウントを取ってるけど、誰かにしたことって返ってくるものね」

エマ「あ! インコホーホーとかいうやつだよね!」

果林「ふふっ、印鑑方法でしょ? ホーホー鳴くのは、インコじゃなくてフクロウじゃない」フフッ

彼方「因果応報だよ。印鑑の方法ってどういうことなの?」

果林「え? 気軽に印鑑を押しちゃうと、その書類が返ってきて大変なことになるって意味じゃないの?」

愛「母国語じゃないエマっちはともかく、カリンはさあ」

彼方「やっぱり留年かなあ」

果林「やっぱり!?」ガーン!
 
27: (あら) 2022/12/10(土) 19:16:56.65 ID:p6Wl7lqy
璃奈「話が反れてるけど、侑さんがせつ菜さんを避けてた理由は結局のところ何だったの?」ネエ?

かすみ「侑先輩のお兄さんが、せつ菜先輩の悪口を言ったってことですか?」

せつ菜「ど、どうしてですか? 会ったこともありませんよ」

愛「いや、逆でしょ」

彼方「だね~。妹や弟は、お姉ちゃんやお兄ちゃんが他の子を褒めすぎると拗ねちゃうんだぜ~」

果林「ああ、そういうことね」

エマ「侑ちゃん、やきもち焼いちゃったの?」

侑「だって、お兄ちゃんがせつ菜ちゃんが可愛いって何回も言うから……」

侑「せつ菜ちゃんの顔を見たら、思い出してイライラしちゃって。……ごめんなさい」
 
28: (あら) 2022/12/10(土) 19:20:55.26 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「それはそれでどういうことですか? 会ったこともないのに……」

歩夢「お兄さん、せつ菜ちゃんのファンだったの? 妹の友達のファンだなんて気持ち悪いね」

侑「別にファンってわけじゃなかったんだけど、私がライブの動画を見せたら気に入ったみたいで……」

エマ「侑ちゃんが動画を見せたの?」

しずく「自業自得じゃないですか……」

侑「だって、お兄ちゃんとスクールアイドルの話をしたいじゃん!」

侑「私はスクールアイドルが大好きだから、その話題でお兄ちゃんと盛り上がれたら最高だなって思ったの!」

愛「まあ、大切な人には自分の好きなものを好きになって欲しいよね」

愛「愛さんもスクールアイドルとか同好会のみんなのこと、おねーちゃんによく話してるし」

エマ「私もスイスにいたとき、家族によくスクールアイドルの動画を見せてたなあ」
 
29: (あら) 2022/12/10(土) 19:24:18.81 ID:p6Wl7lqy
かすみ「だったら、なんでせつ菜先輩の動画なんですか!? かすみんの動画にしてくださいよ!」

侑「いや、せつ菜ちゃんだけじゃなくて、もちろん同好会のみんなの動画を見せたよ」

侑「私はスクールアイドルはみんな好きだけど、やっぱり同好会のみんなが一番に大好きだからね!」

歩夢「私が侑ちゃんの一番だなんて照れちゃうなあ~」フフッ

愛「歩夢、ちゃんとゆうゆの話を聞かなきゃダメだよ?」ネ?

侑「私が隣で色々と解説しながら、全員のライブを見てもらったんだ」

しずく「侑先輩の解説でライブの動画を見るのは楽しそうですね」

侑「うん、お兄ちゃんも楽しんでくれたよ。初めはあんまり乗り気じゃなかったんだけどさ」

侑「そもそもアイドルに興味ない方だし、スクールアイドルとか素人の部活だろって言ってて……」

侑「でも、思ったよりずっとすごかったって言ってくれたもん!」
 
30: (あら) 2022/12/10(土) 19:27:50.63 ID:p6Wl7lqy
果林「まあ、私も本気でやってるからね。アマチュアなのは事実だけど、軽く見られるのはイヤよ?」

侑「果林さんのことは、すごく大人っぽいって言ってた。私とひとつしか違わないとは思えないって」

侑「それで、他のみんなのことも色々と褒めてたんだけど――」

かすみ「かすみんのことは? かすみんのことはなんて言ってました?」

侑「え? えっと、ああいうぶりっ子も嫌いじゃないってさ」

かすみ「もっと普通に褒めてくれませんか!?」

侑「他には、『歩夢が踊ってるw』って楽しそうに笑ってた」

歩夢「は? 〇したい」

果林「歩夢がああいうこと言うのは、どうも慣れないわね」ヒソヒソ

彼方「普段の歩夢ちゃんとは大違いだからね~」ヒソヒソ

しずく「ああいう歩夢さんも、私は好きですよ」ヒソヒソ
 
31: (あら) 2022/12/10(土) 19:31:21.43 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「みんなのことを褒めてるみたいじゃないですか。侑さんは、どうして私だけを……」

侑「だって、せつ菜ちゃんのときだけ違ったんだよ!」

侑「それまでは歌唱力がどうとか歌詞と雰囲気の整合性がどうとか、評論家みたいなこと言ってたくせに……」

侑「せつ菜ちゃんの動画が始まったら、お兄ちゃんが急に静かになっちゃって」

侑「それで、『すごい可愛い』とか『ヤバい』とか『え、待って』とか語彙がなくなってさあ!」

侑「せつ菜ちゃん! どういうことなの!?」バンッ!

せつ菜「え、いや、私に聞かれましても……」

歩夢「お兄さん、せつ菜ちゃんのことが気に入ったんだね。いっそのこと付き合っちゃったらどうかな?」

歩夢「それで侑ちゃんと私も付き合えば、バランスが取れていいと思わない?」

かすみ「何のバランスですか? かすみん、分かんないんですけど」

璃奈「その2つの事柄に論理的な繋がりはない。璃奈ちゃんボード『これだから文系は』」

せつ菜「歩夢さん、邪魔なものを私に押しつけるのはやめてください」

歩夢「えー」
 
32: (あら) 2022/12/10(土) 19:34:46.32 ID:p6Wl7lqy
愛「でも、ゆうゆのお兄さんにはせっつーのライブが刺さったみたいだね」

果林「侑のお兄さんはどうでもいいけど、なんか悔しいわね」ムー

エマ「ふふっ、仲間だけどライバルだもんね」

侑「せつ菜ちゃんは素敵だから、お兄ちゃんが気に入るのも分かるよ? 私もそのつもりで見せたんだし」

侑「でも、あれは気に入りすぎでしょ。家に遊びに来たりしないのかとか聞かれたしさあ」

侑「サインもらって握手したいとか言ってたけど、前にアイドルの握手会のことバカにしてたじゃん!」バンッ!

せつ菜「付き合うのは無理ですけど、サインと握手ぐらいならしますよ? ファンの方は大切にしたいですし」

侑「ダメダメ! せつ菜ちゃんは高咲家に出禁だから!」

せつ菜「出禁!? 一度も行ったこともないのに!?」ガーン!

侑「特にお兄ちゃんがいるときは絶対に来ちゃダメだからね!」

侑「それに、もし街中とかで私のお兄ちゃんに話しかけられても相手しちゃダメだよ」

侑「男性のファンとはオフに交流しないようにマネージャーから釘を刺されてるって言っておいてね」

彼方「マネージャーって侑ちゃんのことかな?」

しずく「清々しいくらいに職権濫用ですね」
 
33: (あら) 2022/12/10(土) 19:37:50.97 ID:p6Wl7lqy
侑「はぁー、せつ菜ちゃんってもろにお兄ちゃんの好みのタイプっぽいんだよなあ」ムー

果林「へえ、そうなの?」

侑「そうなんだよねえ。兄妹でそういう話はしないけど、やっぱりなんとなくは分かるし」

エマ「侑ちゃんのお兄ちゃんは、せつ菜ちゃんみたいな元気な子が好きなの?」

侑「えっと、お兄ちゃんの好みのタイプは……」

愛「好みのタイプは?」

侑「背が低くて!」

璃奈「せつ菜さんだ!」

侑「胸が大きくて!」

エマ「せつ菜ちゃんだ!」

侑「笑顔が素敵な子だよ!」

歩夢「ペカ菜ちゃんだね」

せつ菜「ちょっと待ってください!」
 
34: (あら) 2022/12/10(土) 19:41:17.69 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「今のは明らかにおかしいでしょう!」

せつ菜「璃奈さん! 確かに私も背が低い方ですけど、同好会で最も小さいのはあなたですよ!」

璃奈「でも、私は胸も一番に小さいし」

せつ菜「でしたらエマさん! 胸が大きいことを、あなたに言われるのは納得できません!」

エマ「でも、私は身長も高いし」

せつ菜「それはそうですが……」

かすみ「同好会のメンバーで、せつ菜先輩より胸が大きくて背が低い人っています?」

彼方「いないね~。せつ菜ちゃんより胸が大きい子は、彼方ちゃん以外はみんな160を超えてるからさ~」

果林「彼方も158センチだから、別に小さいってわけじゃないものね」

せつ菜「だったら、最後のやつです! 笑顔なら、みんな素敵じゃないですか!」

璃奈「え? みんな?」ン?

せつ菜「あ、いや、今のはその……」

しずく「せつ菜さん、発言には注意してくださいね」

愛「うわー、せっつーってばサイテー」

せつ菜「ううぅ」
 
35: (あら) 2022/12/10(土) 19:44:43.34 ID:p6Wl7lqy
歩夢「ふふっ、せつ菜ちゃんが可愛いからって、みんなあんまりいじめちゃダメだよ」

せつ菜「歩夢さん!」ペカー!

せつ菜「って、あなたもおかしなこと言ってませんでしたか!?」

歩夢「え? そんなことないよ、ペカ菜ちゃん」

せつ菜「そんなことあるじゃないですか! 何ですか、ペカ菜ちゃんって!?」

せつ菜「歩夢さんに笑顔を褒めていただけるのは嬉しいですが、初めて聞く言葉ですよ?」

かすみ「え? せつ菜先輩、知らないんですか? 有名ですよ?」

エマ「せつ菜ちゃんのファンの子たちが、ネットでせつ菜ちゃんの話をするときによく使ってるよね?」

せつ菜「ファンの間で普通に使われてる言葉なんですか!?」ガーン!

侑「そうだよ! この世のみんなを幸せにするペカペカな笑顔!」

侑「ネットのファンの間で話題になってる、ペカ菜ちゃんことペカペカせつ菜ちゃんだよ!」
 
36: (あら) 2022/12/10(土) 19:48:05.80 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「あの、私はエゴサの類はしないんですが、そんなに話題になってるんですか?」

侑「うん、色んなとこに書き込んだ甲斐があったよ」

せつ菜「侑さんが流行らせたんですか!?」ガーン!

侑「そうだよ。私は同好会のマネージャーだからね! みんなの知名度アップのためにがんばらないと」

せつ菜「……本当のところは?」

侑「自分が思いついた言葉が流行るのって、すっごく気分いいよね!」ペカー

せつ菜「できれば私と関係のない言葉を思いついて欲しかったですね」

愛「まあ、いいじゃん。ファンのみんなが、せっつーを褒めるために使ってる言葉なわけでしょ?」

エマ「そうだよ。せつ菜ちゃんのペカペカな笑顔は、私も大好きだもん」

かすみ「ペカ菜ちゃんって、バズったんですよねぇ。それで、せつ菜先輩の人気もさらに伸びたし……」

かすみ「侑先輩、かすみんを褒める言葉も思いついてくださいよ!」

侑「任せといてよ! いつもみんなのことを考えてるからさ! きっとすぐ思いつくよ!」

せつ菜「そう考えると、私も感謝した方がいいのかもしれませんね」
 
37: (あら) 2022/12/10(土) 19:51:30.53 ID:p6Wl7lqy
璃奈「でも笑顔はともかく、背が低いのが好みって侑さんのお兄さんも口リコンなの? 大変だね」

愛「ん、りなりー? も?」

侑「いや、お兄ちゃんはそっちと違って口リコンってわけじゃないんだ」

愛「ん、ゆうゆ? そっちと違って?」

侑「ただ、背が低い方が可愛くていいと思うって言ってくれたことがあるってだけで……」

しずく「言ってくれたってことは、侑先輩の身長に関する話ってことですか?」

侑「そうだよ。清少納言も小さいものはみんな可愛いって言ってたって教えてくれたの!」

彼方「枕草子の『うつくしきもの』だね~」

果林「清少納言ね。もちろん知ってるわよ」ウンウン

エマ「果林ちゃん?」

果林「ほ、本当に知ってるわよ! 昔の人でしょう!?」ネ!?

彼方「いや、まあそうではあるんだけどさ」
 
38: (あら) 2022/12/10(土) 19:55:32.56 ID:p6Wl7lqy
果林「でも昔の人の言葉はともかくとして、侑はたまに縮むものね」ネ?

彼方「まあ確かにそうだね~」

侑「たまに縮む!? 確かにそう!? そんなわけないでしょ!」ガーン!

かすみ「侑先輩って、ホントに156センチもあるんですか? かすみんより大きい感じはしませんけど……」

璃奈「明らかに私と同じくらいなときすらあるよね。璃奈ちゃんボード『サバ読み』」

侑「ちょっと待ってよ! 調子がいいときは、ちゃんと156あるんだから!」

しずく「身長の調子がいいってどういうことですか?」

愛「お兄さんに褒めてもらうためには、小さい方がいいんじゃないの?」

侑「え? そ、そうなのかな? お兄ちゃんは、小さい方が好きだから……」

侑「でも、私は確かに156のはずで……。せつ菜ちゃんやかすみちゃんより大きくて……。あ、あれ?」

せつ菜「侑さんが混乱していますから、身長の話はやめましょう」
 
39: (あら) 2022/12/10(土) 19:58:55.75 ID:p6Wl7lqy
歩夢「でも、小さいものが可愛いだなんて男子大学生が言うのは、ちょっとあれなんじゃないかなあ」

歩夢「侑ちゃんが知らないだけで、きっとお兄さんは口リコンだよ。家から追い出した方がいいと思うな」

侑「そういう話になったの、歩夢のせいなんだけど……」

歩夢「うえっ!? ど、どういうこと!?」

侑「まあ、歩夢のせいって言っちゃうのはあれだけどさ。別に歩夢が悪いわけじゃないし」

侑「ねえ、歩夢。出会ったときから中学に上がるまでは、歩夢より私の方が大きかったでしょ?」

歩夢「う、うん……」

侑「でも、中学で歩夢が急に大きくなって、あっという間に私のこと抜かしちゃったじゃん!」

歩夢「それは、成長期だから……」

侑「私だって成長期のはずなのに! あれ、そこそこショックだったんだよ?」

侑「それで私が凹んでたら、お兄ちゃんが慰めてくれたんだ」

侑「背が低い方が可愛いって! 侑はとっても可愛いって!」ヘヘーン
 
41: (あら) 2022/12/10(土) 20:03:01.62 ID:p6Wl7lqy
果林「へえ、いいお兄さんじゃない」

エマ「ふふっ、そうだね」

彼方「その話の流れだと、口リコンの可能性はなさそうだね~」

歩夢「ま、待ってください! だったら、胸が大きい子が好きっていうのは気持ち悪くないですか!?」

しずく「まあ、男の人なんてみんなそんなもんですよ」

璃奈「そうだね。璃奈ちゃんボード『バカばっか』」

侑「それに、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだからさ。なんていうか、好みも似るっていうか……」

エマ「そっかあ」

果林「なるほどね」

彼方「あー」

愛「うんうん」

せつ菜「そういうことですか」

かすみ「巨乳組の納得がエグい!」

璃奈「というか、同好会って巨乳組が多くないかな?」
 
43: (あら) 2022/12/10(土) 20:06:38.15 ID:p6Wl7lqy
エマ「侑ちゃん、お  い大好きだよねえ」

果林「抱き合ったとき、本当に幸せそうな顔するわよね」

愛「必ず胸に顔を埋めてくるもんね」

侑「いや、身長差があるおかげで位置がちょうどいいっていうか……」

彼方「彼方ちゃんが相手でも一直線に胸に飛び込んでくるよね。身長の調子が悪いのかな?」

せつ菜「侑さんより背が低いはずの私に対しても、下から抉り込むように抱きついてきますからね」

侑「その、お兄ちゃんと違って私は身長で差別しないタイプだから……」

歩夢「やめて! みんなして私の侑ちゃんを誘惑しないで!」

かすみ「そう言う歩夢先輩だって、お  い放り出した衣装で侑先輩を誘惑してるじゃないですか」

歩夢「放り出してなんかないよ!?」ガーン!
 
45: (あら) 2022/12/10(土) 20:10:24.69 ID:p6Wl7lqy
せつ菜「ですが、確かに歩夢さんの衣装は胸元の露出度が高いものが多いですよね。夢への一歩のやつとか」

歩夢「あれは、侑ちゃんに可愛いって勧められたから……」

しずく「やっぱり侑先輩の趣味なんですね」

歩夢「いや、胸がどうこうじゃなくて、歩夢はデコルテが綺麗だからって言ってくれて……」

侑「まあデコルテっていうか、実際に見たいのは上乳なんですけどね」ハイハイ

歩夢「上乳!?」ガーン!

璃奈「こいつ、開き直りやがった。璃奈ちゃんボード『お  い星人』」

侑「男の人はみんなお  いが好きなんだし、お  いが大好きな女の子がいたっていいじゃん」

侑「最近は多様性に寛容な社会が望まれてるからね。LGBTってやつだよ」

愛「LGBTと来たかあ」

彼方「反論しづらいなあ~」
 
46: (あら) 2022/12/10(土) 20:13:49.88 ID:p6Wl7lqy
侑「今してるのは、そこの口リ巨乳が私のお兄ちゃんを誘惑するのをなんとかしなきゃって話でしょ!」

せつ菜「そこの口リ巨乳!? 誘惑なんてしてませんけど!?」ガーン!

果林「でも、侑のお兄さんが背が低くて胸が大きい子が好きだっていうのも怪しい気がするわよ?」

しずく「確かに今までの話の感じだと、そうとは限らないんじゃないかと私も思います」

侑「いや、そこは間違いないよ。お兄ちゃんはシスコンだからね」

かすみ「ん? どういうことですか?」

侑「私はあんまり背が高い方じゃないし、そこそこ胸が大きいでしょ?」

侑「お兄ちゃんは私が大好きだからね! つまり、私みたいな子が好みなんだよ!」ドヤァ

彼方「侑ちゃんは、お兄さんにそういう目で見られたい系の妹なのかい?」

愛「ブラコンだねえ」

侑「別にブラコンじゃないよ! そういうんじゃないの」

侑「ただ、お兄ちゃんには『やっぱり侑が一番に可愛いな』って思ってて欲しいってだけなの!」

璃奈「それがブラコンじゃないなら、いったい何だって言うの?」

侑「少なくとも、『侑はせつ菜ちゃんの下位互換だな。交換したい』とか絶対に思われたくないの!」バンッ!

せつ菜「お兄さんはそんなこと思ってませんって」
 
47: (あら) 2022/12/10(土) 20:17:23.57 ID:p6Wl7lqy
侑「お兄ちゃんとスクールアイドルの話ができるのは嬉しいけど、せつ菜ちゃんのことばっかりだし……」

侑「ここ何日か、お兄ちゃん分が足りなくて調子が悪いんだからね!」

果林「お兄ちゃん分って何よ?」

侑「お兄ちゃん分はお兄ちゃん分だよ。お兄ちゃんに可愛がってもらえないと不足するの」

侑「シュークリームを食べないとシュークリーム分が不足するでしょ? それと同じだよ」

エマ「そっかあ」

璃奈「お兄ちゃん分もシュークリーム分も知らない物質だな。どんな成分で構成されてるんだろ?」

彼方「フードデザイン専攻の彼方ちゃんも初耳だけど、確かに遥ちゃん分ってあるからなあ~」

歩夢「侑ちゃん、歩夢分ならいくらでもあげられるよ!」

侑「それは摂りすぎだって医者に注意されたから遠慮しとくよ」

かすみ「どこのお医者さんに言われたんですか?」
 
48: (あら) 2022/12/10(土) 20:20:46.90 ID:p6Wl7lqy
侑「昨日の夜、『せつ菜ちゃんの方が大事なの!』って聞こうか迷ったんだけど……」

侑「やっぱりやめたんだ。お兄ちゃんを困らせたいわけじゃないしね」

しずく「あら、やめちゃったんですか? そういうの私は嫌いじゃありませんけど」フフッ

侑「いやあ、さすがに重いかなあって思ってさ」

せつ菜「そうですね。ちょっと重すぎですし、それはやめて正解だったと思いますよ」

歩夢「……ねえ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「はい?」

歩夢「嫌いっ」プイッ

せつ菜「ええっ!?」ガーン!
 
50: (あら) 2022/12/10(土) 20:24:52.02 ID:p6Wl7lqy
愛「まあ歩夢によく兄妹マウントを取るくらいだし、お兄さんはゆうゆのことが大事だと思うよ」

侑「そ、そうかな」ヘヘッ

侑「確かにいつも可愛がってくれるけどね。兄妹マウントも昔から歩夢にやってるし」

彼方「遥ちゃんも誰かに姉妹マウントを取ったりしてくれてないかなあ~」

侑「お兄ちゃんは今までずっと私のそばにいてくれたからね。これからだってずっと一緒だよ!」

歩夢「ねえ、侑ちゃん。お兄さんは、いつになったら家を出ていくの?」

歩夢「あの人は、いつまで侑ちゃんの周りをうろちょろするつもりなの?」

侑「大学院に行きたいって言ってたから、まだ何年かは家にいてくれるはずだよ」

歩夢「大学院なんて行かなくていいよ。そんなの、お兄さんにはもったいないって」

歩夢「早くいなくなっちゃえばいいんだよ。小学校を卒業したら、すぐに就職すればよかったのに……」

しずく「せめて義務教育までは受けさせてあげましょうよ」
 
51: (あら) 2022/12/10(土) 20:28:13.51 ID:p6Wl7lqy
歩夢「そうだ! 私の知り合いが人を探してたから、就職先を紹介してあげようか?」

歩夢「今すぐにでも働けるよ。ちょっと遠いところだけど、すごくやりがいのある仕事だと思うな」

彼方「歩夢ちゃんって、そんないい働き口の伝手があるの?」

愛「ああ、もしかしてロンドンとか?」

侑「うーん、ロンドンかあ。あんまり遠いと会いづらくなっちゃうからなあ」

歩夢「ううん、火星だよ」

侑「火星!?」

歩夢「火星人の知り合いが、実験用に地球人のサンプルが欲しいんだって」

せつ菜「人体実験に使われるのって、やりがいあります?」

かすみ「せつ菜先輩、つっこむなら他につっこむべきとこがあると思うんですけど」
 
52: (あら) 2022/12/10(土) 20:31:37.48 ID:p6Wl7lqy
侑「週末とかに気軽に会いに行けるぐらいの距離がいいから、火星はないかな」

侑「ほら、火星だと日帰りとかは無理になっちゃうでしょ?」

璃奈「無理なのは日帰りだけかな?」

しずく「侑先輩もいい感じに思考を放棄してますね」

果林「今日の歩夢はずっとあれだけど、侑もそこそこあれよね」

侑「定期的にお兄ちゃん分を補給しないとダメだからね。電話とかだともらえる量に限界があるし」

侑「特に最近はせつ菜ちゃんの件のダメージを癒すために、お兄ちゃん分がたくさん必要だからさ」

せつ菜「なんかすみません」

侑「いやいや、せつ菜ちゃんが謝る必要は何もないよ!」アセアセ

侑「私の方こそごめんね。変な言い方しちゃって」
 
53: (あら) 2022/12/10(土) 20:35:28.79 ID:p6Wl7lqy
侑「スクールアイドルの話題で盛り上がれてるのは確かだしね。9割がせつ菜ちゃんの話だとしてもさ」

侑「遅くまでお兄ちゃんの部屋にいると眠くなったとか言って甘えやすいし、感謝しなきゃってぐらいだよ」

歩夢「あっ! 侑ちゃん、またお兄さんと一緒に寝てるでしょ! だから夜に部屋にいなかったんだね!」

歩夢「もう高校生なんだから、いい加減にやめた方がいいって何度も言ってるでしょ!」バンッ!

かすみ「いやいや、女子高生がお兄さんと一緒に寝たりしないでしょ」

果林「さすがにねえ」

侑「……別にいいじゃん。それで誰かに迷惑かけた?」

愛「一緒に寝たりしてるかあ」

彼方「まあ、彼方ちゃんも遥ちゃんと一緒に寝たりするしさ」

エマ「私もスイスにいたときは、よく妹や弟と寝てたよ。家族なんだから普通なんじゃないかな?」

璃奈「普通? 侑さんの年で?」

エマ「……きっと普通だよ。多分だけど」
 
54: (あら) 2022/12/10(土) 20:38:50.10 ID:p6Wl7lqy
侑「お兄ちゃんも仕方ないなあとか言いつつ嬉しそうだし、win-winでウェイウェイの関係ってやつだよ」

歩夢「何がwin-winなの!? 私がlose-loseだよ!」

侑「お兄ちゃんと私が喜んでるんだよ? ここは民主国家だから、きっと歩夢も喜んでるよ」

歩夢「何それ!? 意味が分かんない!」

果林「今日の歩夢に初めて同意できた気がするわ」

彼方「確かに彼方ちゃんにも意味が分からないかなあ~」

しずく「ふふっ、win-winでウェイウェイなんて愛さんが言いそうな台詞ですね」

愛「そんな意味不明なこと言わないよ!?」ガーン!

愛「……え? しずくの中の愛さんって、どんなイメージなの?」
 
55: (あら) 2022/12/10(土) 20:42:12.82 ID:p6Wl7lqy
歩夢「もう許せないよ! これ以上は絶対に看過できない!」

歩夢「ねえ、侑ちゃん。練習が終わったら、私の部屋に来てくれないかな? 私と一緒に寝よう?」

侑「お泊まり会をしたいってこと? それは急だね」

侑「うーん、今日はお兄ちゃん分の補給をしたいから、歩夢とのお泊まり会は週末にでも――」

歩夢「ううん、お泊まり会じゃないよ」

侑「え、違うの? 一緒に寝るのに?」

歩夢「今日から侑ちゃんは私の部屋に住むの!」

侑「歩夢の部屋に住む!? ……え? 住む!?」

果林「あ、やっぱり今日の歩夢には同意できないわ」

かすみ「歩夢先輩、またとんでもないこと言い出しましたよ……」
 
57: (あら) 2022/12/10(土) 20:45:36.35 ID:p6Wl7lqy
歩夢「私の大切な幼馴染が汚されるのを、黙って見てるなんて無理だよ!」

侑「別に汚されたりなんてしないよ?」

歩夢「侑ちゃん、兄妹なんかより幼馴染の方がずっと素敵だって教えてあげるね!」

歩夢「侑ちゃんの魂に、上原歩夢という存在を刻み込んでやるんだから!」

侑「えぇ、何するつもり? 私、何されるの?」

侑「せっかくのお誘いで悪いんだけど、ちょっと遠慮しとくよ。ほら、お兄ちゃん分も取らなきゃだし……」

歩夢「そんなっ!?」

せつ菜「歩夢さん、ここは間を取って私がお泊まり会に行くというのはどうですか?」

せつ菜「それで私たちも前世で幼馴染だったということにすれば、バランスも取れていいと思うんです」

かすみ「何のバランスですか? かすみん、分かんないんですけど」

エマ「私に断りなく勝手に間を取らないで。著作権侵害だよ」プンプン

歩夢「せつ菜ちゃん、お泊まり会がしたいなら今度するから、今は大人しくしててね」

せつ菜「えー」
 
58: (あら) 2022/12/10(土) 20:49:52.73 ID:p6Wl7lqy
侑「とにかく今日はお兄ちゃんに可愛がってもらうの!」

侑「兄弟姉妹で仲良くするより大切なことなんてないんだから!」

侑「彼方さん、エマさん、愛ちゃん! この1人っ子に言ってやってよ!」

彼方「まあ、確かに妹を可愛がるより大事なことなんてないよねえ~」

エマ「そうだね。汝の妹や弟を愛せよって、聖書にも書いてあるから」

愛「愛さんも久しぶりにおねーちゃんと一緒に寝てみよっかなあ」

歩夢「くっ、姉妹組を仲間にするなんて……。幼馴染組は、えっと、あー、せつ菜ちゃん!」

せつ菜「はい! 太陽の姫巫女であるアユムさんの本物の幼馴染、聖騎士のセツナが助太刀します!」ペカー!

かすみ「歩夢先輩の援軍がヤバすぎるんですけど!」

果林「そもそも実際は幼馴染じゃないものねえ」

璃奈「璃奈ちゃんボード『存在しない記憶』」

しずく「さあ、侑先輩はA・ZU・NAのやべーやつらに勝てますか?」フフッ

侑「勝つに決まってるでしょ! 勝てなきゃ私がやべーことになるんだから!」

歩夢「勝つのは私だよ! 今日から侑ちゃんは私の抱き枕だ!」

侑「歩夢の思い通りにはならないからね! お兄ちゃん、私に力を!」
 
59: (あら) 2022/12/10(土) 20:50:20.49 ID:p6Wl7lqy
終わりです
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1670663089/

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