【SS】絵里「穂乃果を」花陽「待ちながら」

SS


1: 2015/12/23(水) 08:36:19.63 ID:MFBDIojK0

絵里「穂乃果との約束の時間まであと5分ね」

絵里「それにしても一体何の用かしら」

花陽「あ、絵里ちゃん」

絵里「あら花陽。あなたも穂乃果に呼ばれたの?」

花陽「うん」

絵里「じゃ、ベンチに座って一緒に待ちましょうか」

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2: 2015/12/23(水) 08:37:24.16 ID:MFBDIojK0

―――――――


絵里「約束の時間になったけど、穂乃果来ないわね」

花陽「うん」

絵里「人を呼びつけておいて遅れるなんていい度胸よね」

花陽「……うん」



絵里「あれから5分経ったけど、まだ来ない」

花陽「なにかあったのかな」

絵里「電話してみましょう」

プルルル プルルル ―――

絵里「出ないわ」

花陽「どうしたんだろう」

絵里「時間には遅れるし、電話にも出ない」

絵里「まったく、いい加減にして!」

花陽「ひっ!」

絵里「あ、ごめん、つい大声出しちゃった」

花陽「いえ、そんな……」

絵里「……」

絵里「ねえ花陽、前から思ってたんだけど」

花陽「なに?」

絵里「あなたって、私のこと苦手?」

3: 2015/12/23(水) 08:38:26.51 ID:MFBDIojK0

花陽「え……エエエェェエ!?そそそそんなこことないよォーー!」

絵里(かなり動揺してるわ)

絵里「いいのよ別に」

絵里「私って、ほら、こんな気の強い性格だから」

絵里「あなたみたいに気立ての優しい子にはつい疎まれたりして」

花陽「そ、そんなことないよ。絵里ちゃんはわたしの憧れだもん」

絵里「ふふ、ありがと。嘘でも嬉しいわ」

花陽「嘘なんかじゃないよ」

花陽「だって絵里ちゃんは、いつも明るくて、すごく綺麗で、しっかりしてて、皆に慕われてて」

花陽「わたしにないものをいっぱい持ってるから」

花陽「だから、絵里ちゃんはわたしの憧れなの」

絵里「そう、お世辞でもうれ――」

花陽「お世辞なんかじゃないよ!」

絵里「花陽……」

4: 2015/12/23(水) 08:39:17.85 ID:MFBDIojK0

花陽「それは、最初は怖い人だなって思ってた」

花陽「けど本当はとっても優しくて、いつも皆のこと考えてくれて」

花陽「わたし、そんな絵里ちゃんのことが大好きだもん!」

花陽「だから、だから……」ポロポロ

絵里「も、もう、泣くことないでしょ」

絵里「私が悪かったわ。――ほら、こっち向いて」フキフキ

花陽「ありがとう、やっぱり優しいね」

絵里「こ、このくらいは普通よ///」

花陽「えへへ」

絵里「でも、あなたの気持ち、すごく嬉しかったわ」

絵里「私も花陽のこと、大好きよ」

5: 2015/12/23(水) 08:40:20.88 ID:MFBDIojK0

―――――――


花陽「穂乃果ちゃん、遅いね」

絵里「あの子が時間にルーズな子だとは思わなかったわ」

絵里「……」

花陽「……」

絵里「ねえ、花陽」

花陽「なに?」

絵里「花陽は、どうしてμ'sに入ろうって思ったの?」

花陽「え?」

絵里「私は、あなたも知っての通りだけど」

絵里「私は花陽が入った理由を知らないなーって思って」

花陽「えっと、それは」

絵里「あ、でも、言いたくないなら別にいいのよ」

花陽「小さい頃から、ずっとアイドルになりたかったの」

絵里「それで」

6: 2015/12/23(水) 08:41:15.12 ID:MFBDIojK0

花陽「けど、ずっと自分に自信がなくて」

花陽「そんな時、穂乃果ちゃんたちがアイドルを始めて」

花陽「ファーストライブを見て、わたしもあの人たちの一員になりたいって思ったけど」

花陽「やっぱり自信なくて、ずっと迷ってて」

花陽「でもね、そしたら、真姫ちゃんや凛ちゃんが応援してくれて、背中を押してくれて」

花陽「やっと、メンバーにしてくださいって言えたんだ」

絵里「そう」

花陽「みんながいてくれなかったら、今のあの時間がきっとなかった」

花陽「だから、感謝してもしきれない、かな」

絵里「みんなのおかげももちろんあるけど」

絵里「1番頑張ったのは、花陽自身じゃないかな」

花陽「え?」

絵里「いくら周りに言われたからって、自分の意志じゃなければ、きっと穂乃果たちは入れなかったはずよ」

絵里「だからその時の花陽は、これまでの自分に打ち勝った」

絵里「それってきっと、なかなかできることじゃないと思うの」

花陽「絵里ちゃん……ありがとう」

花陽「でもそれを言うなら絵里ちゃんだって」

絵里「もう、私のことはいいの!」

7: 2015/12/23(水) 08:41:47.54 ID:MFBDIojK0

―――――――


絵里「花陽はなんで飼育委員になったの?」

花陽「単純に動物が好きだからかな」

絵里「けどうちの学校は珍しいわよね。なにせアルパカだもん」

花陽「でも慣れちゃえばウサギとかと変わらないよ」

絵里「そうかしら。私、アルパカってどうも苦手」

花陽「まあ、唾かけられちゃ仕方ないよ」

絵里「花陽はなかったの?」

花陽「うん、全然。ふたりとも最初からとても良い子だったよ」

絵里「きっと花陽、飼育員の才能があるのよ」

花陽「そ、そうかな」

絵里「そうよ。そうでなくちゃ」

絵里「私の扱いに納得できないもの」

花陽「絵里ちゃん……」

8: 2015/12/23(水) 08:42:27.04 ID:MFBDIojK0

―――――――


絵里「そういえば、こうやってベンチに座って話してると、海未とのことを思い出すなあ」

花陽「海未ちゃんと?」

絵里「ええ。まだ私がμ'sを認めてなかったころ」

絵里「海未にずいぶんと思い切ったこと言っちゃったの」

絵里「あなたたちの活動は遊びにしか見えない、ってね」

絵里「あと、A-RISEのことも素人呼ばわりしちゃったなー」

花陽「す、すごいね……」

絵里「アイドルファンの花陽の前では、最大級の禁句よね」

花陽「でも、絵里ちゃんのダンスは実際すごいし」

絵里「そんなことないわ……所詮、上の世界には通用しなかったものよ」

花陽「ご、ごめんね」

絵里「気にしないで。その代わりに、とても大事なものが手に入ったし」

花陽「え、それって――」

絵里「ふふ、秘密よ」

9: 2015/12/23(水) 08:43:07.61 ID:MFBDIojK0

―――――――


花陽「――こんなかな」

絵里「ハラショー!ずいぶん上手なのね」

花陽「そんなことないと思うけど、絵を掻くの、わりと好きなんだ」

絵里「木の枝を使って地面に描くだけでこれほどの出来だもの」

絵里「きっと花陽は絵の才能もあるのよ」

花陽「もう、さっきから褒めすぎだよ」

絵里「これが穂乃果ね。ふふ、特徴がよく出てるわ」

花陽「サイドテールは欠かせないからね」

絵里「そっちもだけど、私はこの元気いっぱいな表情がよく描けてると思うの」

絵里「で、こっちは凛ね」

花陽「当たり」

絵里「ねえ花陽、私のことは描いてくれないのかしら」

花陽「ええ!?さ、さすがに本人の前で似顔絵を描くのは……」

絵里「いいじゃん、いいじゃん♪」

花陽「じゃあ、怒らないでね」

10: 2015/12/23(水) 08:43:53.01 ID:MFBDIojK0

カキカキ カキカキ 


花陽「――できた」

絵里「おお、さすがの出来ね」

花陽「ありがとう」

絵里「けど、私にしては妙に柔らかくて楽しそうな表情ね」

花陽「これが、みんなと一緒にいるときの絵里ちゃんで」

花陽「花陽が一番好きな絵里ちゃんだよ」

絵里「花陽……」

花陽「なんてね、えへへ」

絵里「ありがと」ギュッ


11: 2015/12/23(水) 08:44:29.38 ID:MFBDIojK0

―――――――


花陽「よーしよし、よーしよし」

絵里「さすが花陽ね。犬もよく懐いてるわ」

花陽「この子、迷子かな」

絵里「首輪とリールがついてるし、多分そうよ」

花陽「飼い主さん、探しに行く?」

絵里「そうは言っても何の手掛かりもないしね」

絵里「ここは下手に動くより、もう少し様子を見てはどうかしら」

花陽「そうだね」

花陽「あ、あばれないでぇー。よーしよし」

12: 2015/12/23(水) 08:45:06.92 ID:MFBDIojK0

絵里「そういえば、花陽って家で何か飼ってるの?」

花陽「ううん。本当は欲しいんだけどなかなか」

花陽「そういう意味でも絵里ちゃんが羨ましいな。ペットじゃないけど、あんな素敵な妹さんがいて」

花陽「わたし、一人っ子だから」

絵里「そうなんだ」

花陽「本当はお兄ちゃんがいると思ったけどそんなことなかったし」

絵里「それなら私も、弟がいると思ったけどそんなことなかったわ」

花陽「なんか不思議だね」

絵里「そうね」

13: 2015/12/23(水) 08:45:39.63 ID:MFBDIojK0

ワンワン ダダダ


花陽「――あっ!どこ行くの!」

絵里「あの人、犬に向かって手を振ってるわ」

絵里「もしかして、飼い主?」

花陽「きっとそうだよ。あの子、嬉しそうに抱っこされてるもん」

絵里「ここで待っててよかったわね」

花陽「絵里ちゃんのおかげだよ。やっぱり絵里ちゃんはかしこいね」

絵里「や、やめてよ///」


14: 2015/12/23(水) 08:46:32.44 ID:MFBDIojK0

―――――――


絵里「で、結局1時間も経ったけど」

花陽「穂乃果ちゃん、来ないね」

絵里「これは、ジュースでもおごってもらわないとね」

花陽「でも、何かあったのかもしれないし」

絵里「花陽、優しさと甘さは違うのよ」

花陽「うっ……すみません」

絵里「とはいえ、さすがにちょっと心配になってきてわ」

花陽「――あれ?あれって……」

希「おーい、えりちー、はなよちゃーん」

絵里「希、どうしたの?」

希「二人とも、穂乃果ちゃん待ってるんやろ」

絵里「ええ」

希「穂乃果ちゃんなら来ないよ」

花陽「ええ!?どうして……」

希「本人からの伝言」

希「『待ち合わせの日、明日だと勘違いしてた。ごめんなさい』。だって」

絵里「……」

花陽「……」

絵里「どうして本人が来ないのかしら」

花陽(うう……怖い絵里ちゃんだ……)

希「二人に申し訳なくて、合わす顔がないらしいよ」

希「それでウチに泣きながら頼んできたんや」

希「えりち、あんまり怒らんといて」

絵里「まったく」

希「それじゃ、ウチはこれで」

15: 2015/12/23(水) 08:47:13.18 ID:MFBDIojK0

―――――――


絵里「結局、待ちぼうけをくらわされたってわけね」

絵里「明日、絶対に穂乃果にジュースおごってもらうんだから」

花陽「あはは」

絵里「花陽も、怒れる時には怒ったほうがいいわよ」

花陽「でもわたしは、穂乃果ちゃんには感謝、かな」

絵里「花陽、さっきも言ったけど、優しさと甘さは――」

花陽「だって、絵里ちゃんともっと仲良くなれた気がするから」

絵里「あ……」

花陽「今日はありがとう」

絵里「それはこっちのセリフよ」

絵里「!そうだわ!ねえ花陽、これから予定とかある?」

花陽「とくにないけど……」

絵里「じゃあ二人でどこか行かない?」

花陽「絵里ちゃん……うん!」

絵里「じゃ、行きましょう!」

花陽「うん!」



おしまい

17: 2015/12/23(水) 11:44:11.35 ID:r4KDDwtKO
えりぱなに無限の可能性を感じました!!
乙です

18: 2015/12/23(水) 11:51:55.82 ID:O8fDdb3co
素晴らしい

引用元: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450827379/

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