【SS】(23:59)希「あと1分やね…！」

希の家
(0:00)

希「ついに来た！6月9日はウチの誕生日やん！！」ピコーンピコーン

希「ふふふ、みんな期待通り0:00ちょうどにお祝いのLINEくれるなんて…ウチは人気者やなあ！」

すき家:大好きなトッピングが50円引き！

希「」

希「ま、まあ良いやん！μ'sのみんなは慌てん坊さんやから、今頃心のこもったLINEを書いてくれてるんやろ！」

希「あ～！楽しみ♪」

(1:00)

希「みんなまだかなあ…。」

(2:00)

希「そんな長文書いてくれてるんかなあ…。」

(3:00)

希「遅いなあ…。」

(4:00)

希「…。」

(5:00)

希「…。」グスン

(7:18)

希「…ん？」

希「おっといけない！ついうたた寝してしもうた！」

希「って！？もうこんな時間やん！？」

希「…ん？」

LINE②

希「…フフッ♪」

お母さん:希へ 誕生日おめでとう。誕生日プレゼントを贈るから、また受け取ってね。ちゃんと栄養ある物食べてる？毎日忙しいからって、インスタントばっかりだとダメよ？

お母さん:スタンプ

希「…。」

希「お母さんありがとう…。けど今はあんまり嬉しくないなあ。」

希「…いけない、急いで着替えて準備しなきゃ！」

～

学校

(8:12)

絵里「希、おはよ！」

希「！エリチ、にこっち！おはよ！！」ソワソワ

にこ「どうしたのよ大きな隈作っちゃって」

希「ちょ、ちょっと昨日勉強してたら夜遅くなっちゃってね…。」

にこ「あっ…そういえば今日は！！」

希「…！」ソワソワ

絵里「そうよ、数学の小テストが1時間目にあるのよ。にこったら忘れてたでしょう？」

にこ「に、にこは小テストなんて勉強しなくても余裕なのよ！！別に内申なんて気にしてないから！！」

絵里「…今回の小テストで10点中5点未満を取れば特別課題が出されるのよ？練習も忙しくなるのに大丈夫なの？」

にこ「ぬぁ、ぬぁんですって～！？こうしちゃいられない、あんたのノート貸しなさい！！」

絵里「ちょっとにこ！？」

希「…。」

希「(2人とも…テストのことで頭がいっぱいで、ウチの誕生日なんてどうでも良いのかなあ。)」はあ…

希「(って！？ウチもテストのことしっかり忘れてた！勉強しないと…)」

～

(9:42)

希「ふぅ…なんとか5点は死守したかなあ。」

絵里「希、お疲れ様。どうだった？」

希「…うん、課題は回避できそうかな。」

絵里「…珍しいわね。希なら夜通し勉強してれば9割は固いわよ？」

希「いや、別の勉強してたから…。」

絵里「あらあら、希がそんなドジ踏むなんて、今日は雪でも降るのかしら。」

希「降らへんよ！エリチったらもう…」

絵里「フフッいつものお返し♪」

にこ「…。」どよーん

絵里「…に、にこ？」

にこ「…あんた達私に出される課題手伝いなさいよ。そうしてくれなきゃ練習に出れないわ。」フラー

絵里「もう、自業自得でしょ？練習に出れないならにこのボーカルパートだけ減らしてダンスも簡単なのにするから！」

にこ「いやあ！！そんなの嫌に決まってるじゃない！！」

希「…。」シュン

(12:23)

絵里「希、にこ、今日は部室で食べましょう？」

にこ「分かったわ。」

希「うん、良いよ。」

希「(はは～ん読めてきたで。これはサプライズでお祝いしてくれるパターンやな。中々粋なことしてくれるやん…！)」

希「♪」ニヤニヤ

にこ「どうしたのよ希、そんなにニヤニヤして。気持ち悪いんだけど！」

希「ううん♪べーつに♪」

絵里「？変なの。」

希「なあ2人とも、ウチに何か渡すもんなり、言うことなりあるんやない？」

絵里「あっ！そうだったわ！」ガサゴソ

にこ「にこもあんたに渡したい物があるんだった」ガサゴソ

希「(え！？ついに！？ついにプレゼント！？でもここで渡して良いの！？)」ソワソワ

絵里「はい、これ今月の部費の過足金ね。」

にこ「あんたが聴きたがってたCD、貸したげるわ。」

希「…あ、ありがとう。」シュン

～

部室

(12:50)

真姫「そう、今日3年生も小テストだったのね。」モグモグ

絵里「3年生も、ということは1年生も？」パクパク

花陽「うん、1年生は英語の小テストだったんだあ。」モフモフ

凛「凛全然できなかったから、後で特別課題にゃ…。」ツルツル

真姫「英語って言ったって単語のテストでしょ！？範囲も狭かったんだから。」

花陽「そ、それでも今回のは難しかったよね。花陽も自信ないなあ。」

真姫「…まったく、昨日の晩何してたのよ？」

凛「昨日は疲れてたから、ご飯食べてお風呂入ってすぐに寝たよ～」

希「…。」

希「(いやいや、凛ちゃんも疲れてたんよ。仕方ない仕方ない…。」

絵里「凛、心配しなくても特別課題を課されるのはあなただけじゃないわよ。ねえにこ？」

にこ「別にここで話さなくても良いじゃない！！」

凛「別に話さなくても、にこちゃんのことは大体予想つくにゃ～！」

真姫「にこちゃんも昨日何やってたのよ？」

希「…。」ソワソワ

にこ「何って…あんたたち今日は何の日だと思ってるのよ！？」

希「…！？」ソワソワ

絵里「…そういえば今日は！」

凛「今日は！？」

真姫「…！？」








花陽「A-RISEの新曲PVの配信日です！！」

希「…。」ズコー

絵里「…？どうしたの希？漫画みたいな転け方しちゃって。」

希「…な、何でもないんよ。」

にこ「そうよ！今日9日の0:00から配信されたのよ！？」

にこ「あんた達ライバルの動向も確認しないでなにのんきに勉強してんのよ！？」

真姫「何正当化してんのよ…。」

希「…。」

希「(にこっちはウチの誕生日よりA-RISEかあ…。まあウチと出会うずっと前からスクールアイドル好きやもんね。仕方ないよね。)」シュン

絵里「…そういえば穂乃果達は？」

真姫「穂乃果達は昼休みに生徒会の仕事で校内放送しないといけないらしいわ。」

にこ「校内放送ねえ」

絵里「ああ、生徒会で放送部と一緒に不定期にやるラジオDJみたいなあれね。」

絵里「希、私達も去年やったわよね？」

希「う、うん…。」

絵里「13:00からだからそろそろ始まるんじゃ…」ピンポンパンポーン

穂乃果『皆さん、こんにちは。音ノ木坂学院生徒会長、高坂穂乃果です！』

花陽「ちょうど始まったみたいだね！」

穂乃果『今日は6月9日！みなさん、今日は何の日か分かりますか～？』

希「…！？」ソワソワ

希「(え！？まさか穂乃果ちゃん達こんなサプライズで祝ってくれるん！？な、なんか恥ずかしいなあ///)」

穂乃果『そう！今日はロールケーキの日なんです！！』

希「(え！？ウチへのプレゼントはロールケーキなん！？)」ソワソワ

穂乃果『ロールケーキの「ロ」と、ロールケーキが断面が「9」の字に見えることから、そういうことになったそうです！』

穂乃果『というわけで、今日は生徒会のスイーツ担当南ことりちゃんがロールケーキを作ってきてくれました～！』

ことり『皆さんこんにちは～！生徒会の南ことりです！今日はロールケーキを作ってきました～！』

穂乃果『皆さんに見せてあげられなくて残念だねえ。』

ことり『本当は学院中の皆さんに味見してもらいたいんですけど、今日は学院を代表して穂乃果ちゃんに味見してもらいま～す♡』

ことり『はい、穂乃果ちゃんはいあ～ん♡』

穂乃果『むぐっ！？ことりちゃん…口に入れすぎだよ…！』

バタッ

海未『ほ、穂乃果！？大丈夫ですか！？』

放送部『は、はい…生徒会の皆さん、ありがとうございま～す。』

真姫「…って何よこれ！」

凛「穂乃果ちゃんらしいにゃ～！」

にこ「まったく…こういう所からμ'sのイメージが…！」

希「…はぁ。」

希「(ウチったら勝手に期待して…馬鹿みたいやな。)」シュン

教室

(16:00)

希「…。」

希「(クラスのみんな、結局誰もお祝いしてくれなかった…。)」

希「(でも仕方ないよね。ウチ、あまりクラスの友達の輪を広げようとして来んかったから。)」

希「(これから部活が始まる…。さすがにμ'sのみんなが集まったらサプライズでお祝いしてくれるかな。)」

「…み？」

希「(もしお祝いしてくれなかったら…嫌だなあ。)」

「希ったら！」

希「…えっ！？」

絵里「どうしたのよボーッとしちゃって。」

にこ「あんた熱でもあるんじゃないのー？」

希「ううん、ウチは平気だよ。ほな、練習行こっか！」

～

屋上

(16:18)

絵里「あら、穂乃果とことりは？」

海未「はい…ちょっと準備に時間がかかるそうで。」

絵里「準備？」

海未「はい…。」

希「…。」聞き耳

希「(これは間違いないやん！！きっと今頃プレゼントをラッピングしてるんやろうなあ！！あー楽しみ！！)」ソワソワ

真姫「どうしたの？希？」

希「え！？う、ううん、なんでもないよ！」ソワソワ

ガチャ

穂乃果「お待たせー！」

希「穂乃果ちゃん…！？」

希「(うわーかわいい服！あれがプレゼントかな！？でもあんなかわいい服もったいなくて着れないよ…。)」ドキドキ

ロールケーキの日って6月6日だった…ごめんなさい…。

ことり「みんなお待たせー！今度の新曲の衣装だよ！」

凛「おおー！」

花陽「すごい、かわいい！ありがとう、ことりちゃん！」

ことり「えへへ…//」

希「…。」

希「(新曲の衣装か…。で、でもことりちゃんが頑張って作ってくれたんや。感謝せな…。)」シュン

(18:30)

絵里「それじゃあ、今日はここまで。みんな気をつけて帰るのよ？」

凛「ねえねえ、今日これからゲームセンター行かない？」

花陽「ゲームセンターかあ…」

穂乃果「良いねえ♪行こう行こう！」

海未「…穂乃果、凛、絵里の話を聞いていましたか？」

凛「だってだって、まだこーんなに明るいんだよー！？」

海未「遊んで帰ったら真っ暗になるでしょう？遊ぶのは今度の土曜日の練習終わりにしてはどうですか？」

穂乃果「じゃあゲームセンターの代わりに、クレープ屋さんは？」

真姫「私パス。模試が近いし家で勉強するわ。」

にこ「にこも今日はママの帰りが遅いからチビ達の面倒見なきゃいけないのよ。」

穂乃果「そんなあ～！」

希「…。」

希「(結局誰も何も言ってくれなかった。帰りにみんなで何かすることもないみたいやし…。)」

希「(ウチってμ'sではいらない子なのかな。確かにあまり目立つポジションじゃないけど、ウチはウチなりに頑張ってきたのに。)」ジワッ

ことり「…。」

ことり「…大丈夫？希ちゃん？」

希「こ、ことりちゃん…。ううん、なんでもないんよ。疲れて眠たくなっちゃってね。」

希「(ウチもことりちゃんみたいにかわいかったら、衣装作りができたらみんなから必要とされるのかな。)」

希「(…どんなに頑張っても、敵いっこないなあ。)」

ことり「希ちゃん……。」

穂乃果「こっとりちゃーん！帰るよー？」

ことり「…。」

ことり「…希ちゃん、一緒に帰ろう？」

希「…ううん、ウチ今日用事があるから一人で帰るね。」タッタッタッ

ことり「…。」

帰り道

(18:56)

希「…。」はぁ

希「…おかしいなあ。みんなのこと大好きやのに。」

希「…明日から笑顔で学校行けないよ。」ジワッ

希「ウチもうμ'sにいられないのかなあ…。」

希の家

(20:58)

希「…せっかく今日は誕生日やから自分の為に気合いいれてご飯作ったけど。」

希「…なんだか虚しいなあ。」

希「μ'sのみんなで一緒にご飯食べれたら、おいしいだろうなあ。」

希「…もういらないや。ごちそうさま。」

～

(22:05)

希「…。」

希「…。」

希「…眠れんなあ。」

希「明日朝練あるから早く寝ないといけないのに…。昨日全然寝てないからぐっすり眠れるはずなのにな。」

希「…これからμ'sでやってくの。なんだか辛いなあ。」

希「誕生日祝ってもらえんかったからって、自分でも面倒くさい人間やって思うけど。」

希「ウチ、このままμ'sにいてもいいのかなあ。」

～

(23:50)

希「…。」

希「…もうこんな時間やん。」

希「誕生日、終わっちゃう…。お母さんしか祝ってくれんかった。」グスン

希「こんな年、これまで何年もそうだったのに…μ'sに出会っちゃったからかなあ。ウチわがままになってしもうたんや。」

希「うん、きっとそうなんよ。ウチは多くを求めすぎてるんよ。これ以上の幸せ、ウチが得る資格はきっとないんよ…。」ピコーン

希「…ん？またすき家のLINEかな？」ピコピコピコーン

希「…え？」ピコピコピコピコピコーン

LINE38

希「…38？」ピンポーン

希「誰か、来た…？」

(23:59)

ガチャ

希「…エリチ！？」

絵里「誕生日おめでとう、希。はいこれ、プレゼントよ。」

希「…エリチ、どうして？」

絵里「どうしたもこうしたも、大切な人の誕生日よ？お祝いするに決まってるでしょ？」

絵里「ごめんね、みんなと相談して、希を思いっきり驚かせてあげようって思って、23時59分にお祝いしに来たってわけ。」

希「エリチ…。」

絵里「本当は他の8人も来る予定だったけど、夜も遅いからそれは辞めさせたわ。その代わり、LINE見てごらんなさい？」

希「…みんな。って、クラスのみんなまで！？」

絵里「μ'sのみんなはともかく、クラスのみんなにまで手回しするのは大変だったわよ。」ふぅ

希「…エリチ、ウチな、みんなウチの誕生日忘れてると思ったんや。」

希「誕生日祝ってくれなかったってだけやけど、もうμ'sにはいられないと思った。」

希「誕生日祝ってもらうなんて、ウチには大きすぎて掴めない幸せやって思ったんよ。」

絵里「…バカね。」ギュッ

絵里「そんな訳ないでしょ。みんなあなたのことが大好きで、大切に思ってるのよ。」

絵里「でも確かに、今日のサプライズはやりすぎたわ。途中希の辛そうな顔、何度も見たからみんなでサプライズやめるかどうか、相談したのよ？」

絵里「…ごめんね。」

希「…ばか、エリチのばか、みんなのばか。」グスン

希「でも…大好き。」

絵里「ごめんね。来年からはもっと別のサプライズを考えるわ。」

希「…来年からも祝ってくれるん？」

絵里「もう、当然でしょ？死ぬまで祝ってあげるわよ。」

希「…ありがとう。」

～

次の日の朝練

(7:20)

希「みんな、おはよーっ…て！？」

8人「希(ちゃん)！！誕生日おめでとう！！」パーン！！

希「…も、もう昨日で終わったよ。みんなエリチから聞いたよ？ひどいことするんやから！」

穂乃果「えへへ、普通のサプライズじゃつまらないかなーと思って！」

真姫「こっちも気付いてないフリするの大変だったんだから。」

凛「うんうん、でも希ちゃん喜んでくれて良かったにゃ！」

希「ウチ結構傷ついたんよ～？分かってる？」

花陽「…ほんとにごめんね。途中でやめた方が良いんじゃないかなって思ったんだけど…。」

希「フフッ…来年からは気をつけてね？」

ことり「…！希ちゃん、その髪飾りかわいい～！」

海未「早速使ってくれたんですね！嬉しいです！」

にこ「あんたの為にみんなでお金を出し合って、みんなで選んで買ったのよ？」

希「うん…みんなほんとにありがとう。一生大事にするね。」

絵里「…よし、それじゃあ練習始めるわよー！」

8人「はーい！

希「フフッ。」ルンルン

ことり「…希ちゃん、こんなに喜んでくれてありがとう！」

希「ううん、こちらこそこんなに素敵なプレゼントとサプライズ、ほんまにありがとう！」

希「…よしっ！しっかり練習せな！！みんな行くよー！？」

8人「オーッ！！」

終わり

優しい世界

乙
最後以外俺の誕生日だった

乙

ロールケーキの日が6月6日だったのワロタ