【SS】絵里「海未、ちょっといいかしら」海未「なんですか?」

SS


1: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:30:09.62 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「実はこの間、商店街の福引で温泉旅行が当たっちゃってね」

海未「はあ」

絵里「それがペア券なんだけど、よかったら一緒に行ってくれない?」

海未「……はい?」

絵里「だから、一緒に旅行に行かない?」

海未「ちょ、ちょっと待って下さい。旅行なら亜里沙と行けばいいのでは……」

絵里「いや、えっと、亜里沙は都合が悪いみたいで一緒に行けないのよ」

海未「そうだったんですか」

絵里「え、ええ。海未はどう? 無理にとは言わないけれど……」

海未「いいですよ、私で良ければお供します」

絵里「そう、よかった。じゃあ詳しいことは後で話すわ。またね」タッタッタッ……

海未「行ってしまいました……ん?」

海未(亜里沙が行けないにしても、なぜ私なのでしょうか。希やにこでもいいはずですが……)

海未(ももしや絵里は私のことをすす好きなのではいいいいやしかしまさかそそんな)

2: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:32:02.72 ID:C5tqd2OQ.net
夜・園田家

海未「実は、相談したいことがあるんです」

穂乃果『海未ちゃんが穂乃果に? 珍しいね』

海未「その、今度絵里とふたりで旅行に行くことになったんです」

穂乃果『絵里ちゃんと旅行!? いいな~』

海未「誘われたのは私ですからね! 穂乃果には譲りませんよ?」

穂乃果『わかってるよ~……よかったね、海未ちゃん』

海未「な、なにがですか?」

穂乃果『だって海未ちゃん、絵里ちゃんにぞっこんじゃん』

海未「ばば、バカなことを言わないでくださいっ!」

穂乃果『今さら隠さなくてもいいのにー』

海未「うぅ……もう切ります!」

4: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:34:01.19 ID:C5tqd2OQ.net
穂乃果『ああっ、待って待って!』

海未「なんですか? 今からことりに電話をかけたいのですが」

穂乃果『ごめん海未ちゃん、もうからかわないから』

海未「次は本当に切りますからね?」

穂乃果『う、うん……あっ、旅行ってどこに行くの?』

海未「ええと……湯狩田村です」

穂乃果『ゆかりた村……?』

海未「温泉地らしいですよ」

穂乃果『へー、そうなんだ。聞いたことないけど』

海未「私も初めて聞きましたが、きっといいところだと思います」

穂乃果『それで、相談したいことって?』

海未「ああ、そうでした。相談というのは――」

5: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:36:04.86 ID:C5tqd2OQ.net
高坂家

穂乃果「――で、海未ちゃんなんて言ったと思う?」

ことり『うーん……なんだろう?』

穂乃果「『絵里にバレないようについてきてください!』って」

ことり『あー……』

穂乃果「つい電話切りそうになっちゃったよ」

ことり『でも絵里ちゃんはどうして旅行に行こうなんて言い出したんだろう』

穂乃果「福引でペア旅行券が当たったんだって」

ことり『福引……えっと、海未ちゃんたちの旅行先ってどこかわかる?』

穂乃果「湯狩田村って言ってたけど」

ことり『穂乃果ちゃん。普通福引の景品なら、旅行先はもっとメジャーな所にすると思わない?』

穂乃果「んー、まあそんな気はするけど……それがどうかしたの?」

ことり『……絵里ちゃんは本当に福引で旅行券を当てたのかなぁ』

6: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:38:01.13 ID:C5tqd2OQ.net
旅行当日

海未(絵里とふたりきりで旅行……緊張で心臓が破裂しそうです……)

絵里「えーっと、8時ちょうどのスーパーあずさは……」

海未「あっちです、絵里」

絵里「行きましょう」


車内

絵里「ねえ海未、チョコレートあるんだけど食べる?」

海未「あっ、いただきます」

絵里「じゃあ……はい、あーん」

海未「へぁっ!? じ、自分で食べられますから!」

絵里「遠慮しないで、ほら」

海未「……あむっ」

絵里「おいしい?」

海未「はい……おいしいです」

9: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:40:00.97 ID:C5tqd2OQ.net
駅前・タクシー乗り場

絵里「湯狩田村までお願いします」

運転手「あいよ」

海未「村へはタクシーで向かうのですね」

絵里「ええ。バスでもいいんだけど、本数が少ないから」

海未「田舎ですし、仕方ありませんね」

運転手「お客さん、若いのに湯狩田行くなんて珍しいなぁ」

海未「珍しい、ですか?」

運転手「湯狩田なんただの温泉地だで行くのは年寄りばっかだわ」

海未「そうなんですか」

運転手「あんなとこに若い子が喜ぶもんあったかや?」

絵里「ふ、福引で湯狩田村の旅行券が当たったんです。行かないのはもったいないかなって」

運転手「ああ、福引。だったら温泉旅行よりもいい景品あったずら?」

絵里「そうですね、あはは……」

運転手「ま、温泉は気持ちいいでゆっくりしてき」

絵里「はい。そうだ、海未にも村の地図を渡しておくわね」

海未「ありがとうございます。ふむ……あっ、湖があるんですね。三森すず湖ですか……」

11: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:42:00.32 ID:C5tqd2OQ.net
湯狩田村

絵里「ついたわ!」

海未「空気が澄んでいますね……」

絵里「さて、それじゃあまずはどうする?」

海未「もうこんな時間ですし、お昼にしませんか?」


定食屋

海未「何を食べましょうか」

絵里「そうねぇ……あっ、そういえばこの村って郷土料理があるのよ」

海未「郷土料理ですか」

絵里「ええっと……あったわ、ほりだ飯。私はこれにしようかな。海未はどうする?」

海未「では私も同じものを」

絵里「すみませーん、ほりだ飯二つお願いします」

15: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:44:00.78 ID:C5tqd2OQ.net
田圃道

海未「おいしかったですね、ほりだ飯」

絵里「ええ、とっても。食事も済ませたし、次はどこに行こうかしら」

海未「……意外と無計画なんですね」

絵里「やっぱりスケジュールはきちんと立てたほうがよかった?」

海未「いえ、たまにはこういうのもいいかもしれません」

絵里「もし退屈させちゃったらごめんなさい。でもね、私は海未と一緒なら、のんびり村をぶらつくだけでも楽しいかなって思って」

海未「!」

海未(そ、それはどういう……)

絵里「そうだ、海未はどこか行きたいところはある?」

海未「はぇ! い、行きたいところですか!? そ、そうですね、私は三森すず湖が気になりますかね」

絵里「じゃ、そこに行きましょう」

17: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:46:01.19 ID:C5tqd2OQ.net
三森すず湖

絵里「綺麗な湖ね」

海未「はい、なんだか心が落ち着きます……」

絵里「あっ、見て!」

海未「どうしました?」

絵里「桜が咲いているわ!」

海未「えっ、今は夏ですが……」

絵里「行きましょう!」

海未「ちょっ、絵里!?」

18: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:48:00.39 ID:C5tqd2OQ.net
桜の木の下

海未「本物の桜のようですね……」

絵里「この桜は湯狩田村の固有種で、ナンジョウヨシノっていう品種なのよ」

海未「へえ、よく知っていますね」

絵里「ま、まあこれくらい知っていて当然よ」

海未(こんなに綺麗な桜を絵里とふたりで見られるなんて、私は幸せ者です……なんて、絶対口には出せませんね)

絵里「この桜を海未とふたりで見られてよかったわ」

海未「ほぁ!?」

絵里「……私、海未に話したいことがあるの」

海未「わ、私にですか? なななんでしょう……?」

絵里「あのね、私……私は……」

海未「…………」

海未(これはまさか、告白というものなのでは!?)

19: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:50:01.72 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「えっと、その……」

海未(早く! 早く言ってください!)

絵里「私は海未のこと……」

海未(私の答えは決まっていますから! どんと来いです!!)

絵里「あの、うーんと……」

海未(なかなか焦らしますね……)

絵里「私……あー……」

海未(まだ言いませんか)

絵里「えーと……あのね……」

海未(いくらなんでも待たせすぎなのでは……)

絵里「海未!」

海未「はいっ!?」

海未(いよいよですね……!)

絵里「やっぱり、なんでもないわ……」

海未(あああああなぜ言わないんですか! 絵里はヘタレすぎます!!)

絵里「そ、そういえば山の上に神社があるらしいの。せっかくだからお参りしましょう? ねっ?」

海未「むぅ……」

21: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:52:00.40 ID:C5tqd2OQ.net
神社

パンッパンッ

海未(どうか絵里に告白してもらえますように!)

神様(自分から告白しろよこのヘタレが……)

海未「ん? 絵里、何か言いましたか?」

絵里「いいえ、私は何も……」

海未「そうですか。今とても失礼なことを言われたような気がしたのですが、空耳みたいですね」

絵里「海未は神様に何をお願いしたのかしら?」

海未「……教えませんからね?」

絵里「あら、それは残念」

海未「絵里こそ何をお願いしたのですか?」

絵里「んー、私も内緒にしておくわ」

23: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:54:05.27 ID:C5tqd2OQ.net
旅館・客室

仲居「では、ごゆっくり」

スーッ

絵里「さてと、早速だけど温泉に入りましょうか」

海未「そうですね」


浴場

絵里「ふう~、気持ちいいわねぇ……」

海未(あぁ、絵里の肌はとても綺麗ですね。ついつい見惚れてしまいます……)

絵里「あの……海未? そんなに見られたら恥ずかしいわ」

海未「えっ! すすすみません!」

絵里「どうしたのよ、そんなに慌てて」

海未「あ、慌ててなんかいませんっよ?」

24: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:56:00.78 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「ふふっ、海未ってほんとに可愛いわね」

海未「か、かか可愛い……!?」

絵里「あっ、顔真っ赤になってる」

海未「もう、やめてください!……ところで昼間のことなのですが」

絵里「なぁに?」

海未「湖に行った時、なにか話そうとしていましたよね?」

絵里「え……そうだったかしら?」

海未「とぼけないでください。あの時本当は何を話すつもりだったんですか?」

絵里「べ、別に何も?」

海未「いえ、話そうとしていたはずです」

絵里「そんなことより露天風呂に行きましょう!」ザバァ

海未「絵里! 逃げないでください!」ザバァ

26: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 20:58:00.42 ID:C5tqd2OQ.net
客室

海未(結局あれからいくら聞いても絵里は話してくれませんでした……)

絵里「この旅館の料理もおいしかったわね」

海未「…………」

絵里「海未? どうかしたの? ぼーっとしちゃって……」

海未「はいっ? な、なんですか?」

絵里「もしかして、疲れちゃった?」

海未「いえ、そういうわけでは……」

絵里「そう? ならいいけど……テレビでもつけましょうか」

ピッ

絵里「あ、私この映画好きなのよね。見てもいいかしら?」

海未「構いませんが……」

絵里「ありがとう」スッ

海未「ぁえっ! な、なぜ隣に座るのですか!?」

絵里「ダメだった?」

海未「ダメではありませんが……」

絵里「ならいいじゃない。一緒に見ましょ?」

海未「は、はい……」

28: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:00:00.38 ID:C5tqd2OQ.net
二時間後

絵里「何度見てもいい映画ねぇ……」

海未「私は初めて見ましたが、なかなか面白い映画でした」

絵里「よかった、海未にも楽しんでもらえて」

海未「でも少し意外です。絵里はこういう映画も見るのですね」

絵里「元々は亜里沙が好きな映画だったんだけど、一度見せてもらったら私もハマっちゃって」

海未「そうだったんですか」

絵里「今度は海未の好きな映画を一緒に見てみたいなぁ」

海未「私の好きな映画ですか……考えておきます」

絵里「楽しみにしてるわ。……ちょっと電話を掛けてくるから、ここで待っててくれる?」

海未「はい、わかりました」

スー……トン

海未(電話……誰に掛けるのでしょうか。おそらく亜里沙だと思いますが……)

海未(なぜわざわざ部屋を出て行ったのでしょう? 携帯も圏外ではないはずです)

海未(可能性があるとすれば、私に聞かれたくない会話。き、気になります)

海未(しかし絵里にはここで待っているように言われていますし……)

29: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:02:00.41 ID:C5tqd2OQ.net
廊下

海未(やはり待っているなんて出来ません。様子を見に行きます!)

海未(絵里の声……こっちですね……いました! いったい誰と電話を――)

絵里「あなたのことが好きなの!」

海未(えっ……)

絵里「ど、どう? ダメ、かしら……?」

海未(今のは、告白……ですか? そんな……嘘です!)

絵里「本当!? よかったぁ」

海未「ぁ……」

海未(OK、されてしまいました……。誰なのですか……電話の相手は……)

絵里「うん……ありがとう、希」

海未「…………」

海未(そう、ですよね……。絵里が私を選ぶなんて、そんなことあるわけが……)

海未「ぐすっ……」

海未(私はなにを浮かれていたのでしょう……馬鹿みたいです……)

32: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:04:00.69 ID:C5tqd2OQ.net
客室

絵里「おまたせー……って、海未? 寝てるの?」

海未「…………」

絵里「やっぱり疲れてたのね……でもこんなところで寝てたら風邪引いちゃうわ」

絵里「海未、起きて。ちゃんと布団で寝ましょう?」ユサユサ

海未「……放っておいてください」

絵里「えっ、起きてるの? どうしたのよ、さっきまで元気だったじゃない」

海未「私は大丈夫ですから、温泉にでも浸かってきたらどうですか?」

絵里「なら海未も一緒に――」

海未「私は行きません」

絵里「どうしてよ、何か怒ってる?」

海未「言いたくありません」

絵里「何よそれ……とりあえず顔を上げてくれない?」

海未「それはできません。私に構わないでください」

絵里「はぁ……じゃあ私は浴場にいるから、機嫌が治ったら来てくれる?」

35: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:06:00.67 ID:C5tqd2OQ.net
浴場

ガラガラ

海未「…………」

絵里「海未! 来てくれたのね」

海未「……隣、いいですか?」

絵里「どうぞ」

海未「失礼します」

チャポン……

絵里「なかなか来ないから、ほんとに寝ちゃったのかと思ったわ」

海未「絵里、教えてください。三森すず湖で話そうとしていたことを」

絵里「……海未って結構しつこいわね」

36: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:08:00.79 ID:C5tqd2OQ.net
海未「どうしても聞きたいんです。お願いします」

絵里「ごめんなさい、今は言えないの」

海未「どういうことですか?」

絵里「あの時のことはちゃんと話すつもりよ。でもそれは今じゃないわ」

海未「では、いつ聞かせてもらえるのですか?」

絵里「明日まで待ってくれる? 今度はちゃんと、海未に話すから」

海未「……約束、ですよ?」

絵里「ええ、必ず話すわ」

海未「嘘ついたら、許しませんからね」

絵里「大丈夫、私はもう嘘なんてつかないわよ」

38: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:10:00.36 ID:C5tqd2OQ.net
翌朝

チュン……チュン……

ホホーホーホホッホホー……

海未「ん……もう朝ですか……」

海未(絵里はまだ眠っているようですね)

絵里「すぅ……ぅみ……」

海未(……私の夢でも見ているのでしょうか)

絵里「海未……好きよ……」

海未「えぁっ!?」

海未(い、今私のことを好きだと……っていやいや、絵里は希と結ばれたじゃないですか)

海未「夢の中とはいえ、浮気はダメですよ、絵里」

絵里「んぅ……」ギュウゥ

海未「ちょおぉっ!!?」

海未(だだ抱きつかれてしまあああ!!!!)

海未「い、いけませんっ、いけませんよ絵里っ……!」

海未(どうしましょうこのままでは理性がでも幸せですああ絵里いい匂い……)

40: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:12:00.37 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「んん……あら……?」ギュッ

海未「あぁ……あぁあ……」

絵里「きゃあっ! ごめんなさい海未!」バッ

海未「あ……絵里ぃ……」

絵里「ちょっ、大丈夫?」

海未「だ、大丈夫です……問題ありません」タラァ

絵里「って、鼻血が出てるじゃない! ええと、ティッシュは――」


数分後

海未「すみませんでした、朝からお騒がせして……」

絵里「そんな、謝らないでよ。元はと言えば、私が寝ぼけて海未に抱きついたのがいけないんだから……」

海未「いえ、絵里は何も悪くありません。ですから気にしないでください」

絵里「ありがとう。あのね、海未。ひとつお願いがあるんだけど……」

海未「お願い?」

絵里「朝食が済んだら、一緒にナンジョウヨシノのところへ行ってほしいの」

41: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:14:00.70 ID:C5tqd2OQ.net
桜の木の下

海未「聞かせてくれるんですね、昨日のこと」

絵里「ええ。でもその前に謝らなくちゃいけないことがあるわ。私ね……海未に嘘をついていたの」

海未「嘘、ですか?」

絵里「まず一つ目」

海未「一個だけじゃないんですね」

絵里「福引で温泉旅行が当たったっていうのは、嘘」

海未「……他には?」

絵里「もう一つは、亜里沙の都合が悪いって言ったこと。私のついた嘘はそれだけ」

海未「どうしてそんな嘘を……」

絵里「さりげなく海未をここに連れ出すためよ。たまたま温泉旅行が当たって、たまたま亜里沙の都合が悪かったから、海未に声をかけた」

海未「最後はまったくさりげなくないですよね。どうして私を誘ったんだろうって、ずっと思ってましたから」

絵里「け、結果的に海未を連れ出せたからいいのよ!」

海未「それと、絵里はまだ隠していることがありますよね」

絵里「えっ?……なにかあったかしら」

海未「希のことですよ」

43: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:16:00.41 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「……!! どうして、そのことを……」

海未「昨夜、聞いてしまったんです。絵里が電話で話していたこと」

絵里「まさか盗み聞きしたの? 部屋で待っててって言ったのに」

海未「すみません、気になってしまって」

絵里「……じゃあ私の気持ちも、もうわかっちゃってるのね」

海未「はい」

絵里「はぁ……アレを聞かれちゃうなんて、思いもしなかったわ」

海未「では絵里、そろそろ……」

絵里「そうね、帰りましょうか」

海未「は?」

絵里「え?」

海未「話を聞かせてくれるのでは……」

絵里「だって聞いたんでしょ? 電話」

海未「聞きましたよ……」

絵里「それが海未に話したかったことよ」

海未「はぁ!?」

44: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:18:00.39 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「ど、どうしたのよ……ああ、そっか。返事を聞いてなかったわね。聞かせてくれる?」

海未「返事……? なんのですか?」

絵里「電話で話してたことの」

海未「……別に、絵里と希が交際を始めたからといって、私がどうこう言うことではありませんよ。まあ多少言いたいことはありますが」

絵里「交際? 私と希が? えっ、何の話?」

海未「昨夜電話で希に告白していたじゃありませんか」

絵里「ちょっと待って、どうして私が希に告白するのよ」

海未「はい?」

絵里「んん?」

海未「……なんだか話が噛み合っていませんね」

絵里「そうみたいね……」

海未「昨夜の電話、いったい何を話していたんですか?」

絵里「あれは――」

45: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:20:00.50 ID:C5tqd2OQ.net
……

…………

………………

希『ええっ! 告白できなかった!?』

絵里「いざとなったら、急に怖くなって……」

希『はあ~……えりちはホンマにヘタレやね』

絵里「仕方ないじゃない! 告白なんてしたことないんだから!」

希『……なら練習しよか』

絵里「練習?」

希『ウチを海未ちゃんやと思って、告白の練習をするんよ』

絵里「希を海未だと……ピンと来ないわね」

希『いいからやってみ。しっかり想いが伝わるように』

46: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:22:00.60 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「うーん、わかったわ……いくわよ?」

希『どうぞ』

絵里「海未、私ね……あなたのことが好きなの!」

希『っ!』

絵里「ど、どう? ダメ、かしら……?」

希『あ、いや……なんかドキッとしたわ。これならきっと海未ちゃんもイチコロやね』

絵里「本当!? よかったぁ」

希『……明日こそちゃんと告白するんよ? えりちの気持ちをそのまま伝えれば大丈夫やから』

絵里「うん……ありがとう、希」

………………

…………

……

49: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:24:00.86 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「――たしかこんな感じよ」

海未「つまり、私への告白の練習だったと……?」

絵里「ええ。せっかく村まで来たのに、こんなことになるなんてね……昨日のうちに告白しておくべきだったわ」

海未「そ、そうですか。絵里が私に……」

絵里「えっと、一応私の気持ちは伝わったと思うから、返事を聞かせてくれない?」

海未「……嫌です」

絵里「……それはお断り、ってことかしら」

海未「そうじゃありません」

絵里「だったらどういう――」

海未「絵里にきちんと告白してほしいんです。だって、そのためにこの村に来たんでしょう?」

絵里「海未……」

海未「さ、早くしてください」

50: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:26:00.86 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「……ちゃんと、聞いててね?」

海未「はい」

絵里「海未。私は……あなたのことが好き。大好きよ」

絵里「私が海未に相応しい人間かどうかはわからないけれど……それでも、私は他の誰よりも海未のことを好きだって自信があるの」

絵里「だから、海未さえよければ……私の恋人になってください」

海未「……絵里の気持ち、しっかり伝わりました。不束者ですが、よろしくお願いしますね」

絵里「い、いいの……? 私なんかで……」

海未「何を言っているんですか、絵里じゃなきゃダメなんですよ。私もずっと、絵里のことを想っていたのですから」

絵里「えっ、それ本当?」

海未「こんな時に嘘なんてつくと思いますか?」

絵里「……なら海未から告白してくれればよかったのに」

海未「う……それについては、その、すみません……」

絵里「まあ過ぎたことを言っても仕方ないわ。それより、目を瞑ってくれる?」

海未「こう、ですか……?」

絵里「じっとしててね……」

51: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:28:07.81 ID:C5tqd2OQ.net
海未「あの――」

絵里「喋るのもダメよ」

海未「…………」

絵里「んっ……」チュッ

海未「!?」

絵里「恋人同士なら、これぐらいして当然よね?」

海未「い、いきなりは反則です!」

絵里「あら、私とキスするのは嫌?」

海未「嫌、ではありません……」

絵里「よかった。今日は私からだったけど、いつか海未からもしてほしいな」

海未「……考えておきます」

絵里「楽しみにしてるわ」

海未「あまり期待しないでくださいね?」

絵里「ふふっ、それは無理ね。さて、そろそろ旅館に戻って帰り支度をしましょう?」

海未「えっ、まだ少し早いのでは?」

絵里「東京へ帰る前に、寄っていきたいところがあるのよ」

52: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:30:00.54 ID:C5tqd2OQ.net
城・最上階

海未「いい眺めですね」

絵里「そうねえ……」

海未「お城、好きなんですか?」

絵里「好きってわけではないけど、せっかく近くまで来たから見てみようかなって」

海未「……そういえば一つわからないことがあるのですが」

絵里「なに?」

海未「なぜわざわざ湯狩田村で告白をしようと?」

絵里「希に教えてもらったのよ。三森すず湖の畔にあるナンジョウヨシノの下で告白すると、必ず相手と結ばれるって」

海未「……それって本当なんですか?」

絵里「現に海未と恋人同士になれたじゃない」

海未「まあそうですが……」

53: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:32:00.67 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「希には感謝してもしきれないわ。お土産も奮発しちゃった」

海未「いつの間に……ちなみに何を買ったんですか?」

絵里「お肉よ。村に行くなら買ってきてって、希に頼まれていたの」

海未「頼まれた?」

絵里「ええ、湯狩田村でしか買えないからって」

海未「……たしか、希は焼き肉が好きでしたよね?」

絵里「そうだけど、それがどうかしたの?」

海未「希は最初からそのお肉が目的だったんじゃないでしょうか」

絵里「どういうこと?」

海未「ですから、お肉を買わせるために私たちを村へ行かせたんですよ」

絵里「……え?」

海未「きっと桜の木の話も希の嘘です」

絵里「ま、まさかぁ……」

54: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:34:00.81 ID:C5tqd2OQ.net
海未「確認します」

ピッピッピッ

プルルルル……

希『もしもーし、海未ちゃんどうしたん?』

海未「希、あなた知っていましたね?」

希『んー? なにを?』

海未「その……私が絵里のことを好きだと」

希『そうなん? いやぁ、知らなかったわー』

海未「あなたはそのことを知っていて、絵里に桜の木がどうこうと嘘をつきましたね?」

希『な、何言ってるん海未ちゃん。嘘やないよ?』

海未「いいえ嘘です! お肉が食べたかっただけでしょう!」

希『あ』

ブツッ

海未「ちょっと、希? 希!……切られました」

56: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:36:06.75 ID:C5tqd2OQ.net
絵里「切られたってことは……」

海未「間違いありません、私たちはまんまと希に利用されたんです」

絵里「そんなぁ……」

海未「帰ったらゆっくり希と話をしましょう。言いたいことが山ほどあります」

絵里「……ねえ海未、希を許してあげてくれない?」

海未「は? 何を言っているんですか、絵里も腹が立ったでしょう?」

絵里「まあ、少しはね。でも私が海未に告白できたのは、希のおかげだから」

海未「絵里……」

絵里「こんな機会がなかったら、きっと私は海未に気持ちを伝えられないままだったもの」

海未「ですが――」

絵里「いいじゃない。私が海未と旅行に行きたかった、それだけのことよ」

海未「……絵里がそう言うなら、わかりました」

57: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:38:01.14 ID:C5tqd2OQ.net
夜・園田家

ピリリリリ……

海未「穂乃果からですか」

ピッ

海未「もしもし」

穂乃果『海未ちゃーん、旅行どうだった?』

海未「いきなりですね……楽しかったですよ」

穂乃果『そっかー』

海未「そんなことを聞くためにわざわざ電話したんですか?」

穂乃果『いやぁ、村で何かあったんじゃないかなーと思って』

海未「はぃぁっ!?」

58: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:40:00.75 ID:C5tqd2OQ.net
穂乃果『……その反応はあったってこと?』

海未「え、ええ、まあ。その……絵里とお付き合いすることになりました」

穂乃果『ほんとに!?』

海未「本当ですよ。あっ、このことはまだ内密にお願いしますね」

穂乃果『……ごめん、もう聞かれちゃった』

海未「はいぃ!?」

ことり『海未ちゃん、おめでとう』

海未「こ、ことり! なぜあなたが!?」

ことり『穂乃果ちゃんから旅行のことを聞いて、どうなったのか気になっちゃった』

海未「……そこにいるのは穂乃果とことりだけですか?」

ことり『うん。ことりも誰にも言わないから、安心してね』

海未「……よろしくお願いします」

59: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:42:00.67 ID:C5tqd2OQ.net
一週間後・音ノ木坂学院屋上

海未「私たちのこと、いつまで内緒にしておきましょうか」

絵里「うーん……まだしばらくは黙っておいたほうがいいんじゃないかしら」

海未「穂乃果とことりはもう知っているんですよ?」

絵里「希もね。でも、もしにこに知れたら怒られちゃうわ。アイドルは恋愛禁止だって」

海未「そうですよね……」

絵里「海未はみんなに話したいの?」

海未「はい。絵里は自慢の恋人ですから」

絵里「もうっ、やめてよ。恥ずかしいじゃない」

海未「ふふ。あっ、まつ毛にゴミがついていますよ」

絵里「えっ、どこ?」

海未「私がとってあげます。目を閉じてください」

絵里「じゃあ、お願い」

60: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:44:00.53 ID:C5tqd2OQ.net
海未「動かないでくださいね」

絵里「うん……」

海未「……ん」チュッ

絵里「っ!」

海未「この間のお返しです」

絵里「海未……」

海未「さて、そろそろ授業が始まってしまいますね」

絵里「そうね、戻りましょうか」

海未「あのっ、お願いしたいことがあるのですが……」

絵里「ん? なにかしら」

海未「手を、つないでもらえませんか?」

絵里「……私たちが付き合ってること、バレても知らないわよ?」スッ

海未「その時はその時です」ギュッ

絵里「じゃ、行きましょう」

海未「はいっ!」

おわり

61: (笑)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:45:02.43 ID:C5tqd2OQ.net
お粗末さまでした。

65: (庭)@\(^o^)/ 2015/06/14(日) 21:47:27.53 ID:K79lkCYa.net

いいうみえりが見れて幸せ

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1434281409/

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