【SS】鞠莉「ダイヤ号で」ダイヤ「どこまでも」【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:01:49.63 ID:I8QeaRq3.net
高く高く昇っていた太陽も高度を落とし
蝉たちも声を潜め始める。

広がる空は一面のオレンジで
今日1日を終わらせる準備を始めていた。

オレンジ...か。あの子ならみかん色、なんて言うかしら。

ようやく一つの壁を乗り越え、みんなの願いや想いが集まって
Aqoursは9人揃った。

訪れた平穏な日々。
大変ではない、と言ったら嘘になるけれど。すごく充実している。

今日も無事に生徒会の仕事と練習を終え、
穏やかな1日に終わりを告げる...はずだった。

...はずだったのだけれど。

4: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:02:36.03 ID:I8QeaRq3.net
――ピンポーン。

...嫌な予感がする。

――ピンポーン!

こんな時間に訪ねてくる知人は
お父様・お母様に御用のあるお客様を含めても
あまり思い当たらない。

――ピンポーン!ピンポーン!ピンポンピンポン....

この非常識なチャイムの鳴らし方。
おおかた犯人は1人しか思い浮かばない。

無視を決め込んでいると
聞きなれた甲高い声が耳に飛び込んできた。

「ダーーーーイヤーーーーーーー!!チャオーーーーーーーー!!」

...やっぱり。
声の主はAqoursのメンバーであり、浦女の理事長であり、
そして...旧友でもある、金髪のアイツ。

見た目を裏切らないその破天荒ぶりは
昔からいつだって波乱を連れてきた。

私の"不変の日常を過ごしたい。"という願いは
もう何度打ち砕かれたことか...。

「ダーーーーーイヤーーーーーーーー?いないのーーーー?アブセーーーンス?」

「...なあんだ。せっかく松月で新作のみかんプリン買ってきたのに...」

"プリン"という単語にぴくり、と耳が反応する。
ダメよダイヤ...軽率に食べ物に釣られるなんて...

「おまけに抹茶シュークリームも付けたのに。今日もひとりで間接照明しかない、暗いホテルの部屋で食べるのね...マリーってやっぱりロンリーガールなのね...ぐすっ。」

不覚にも少し寂しそうにしている顔が浮かんでしまった。
ダメよダイヤ...お茶くらいなら...なーんて考えたら。

「...いないならしょうがないね。かえ ...」

5: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:03:27.18 ID:I8QeaRq3.net
そっと縁側の影から覗くと
両手いっぱいに紙袋を下げた、いつもより小さくなった背中が見えた。
黄昏時の空はよりいっそう切なさを加速させる。

今日ばかりは本当に私に会いたくて来てくれたのかも...、
なんて思ってしまったのが最後だった。

「...鞠莉さん。」

門を後にする鞠莉さんを呼び止める。

振り返った彼女は....
ここ数年で一番のしてやったり顔で勝ち誇った笑顔をしていた。

――また罠にかかってしまいましたわ!!

「なーんだダイヤ。いるんじゃない。居留守なんてひどぉい。」

「わ、悪かったですわよ。また妙なものでも持ってきたのかと思ったので...」

以前にもこうして手土産を持って遊びに来てくれたことがあった。
大きな箱にいっぱい入った、カラフルで可愛らしいマカロン。
二人でお喋りしながら一緒に口に運んでいく。

これはイチゴ...こっちはパッションフルーツ?あ、こっちは抹茶...
おやつは和菓子が多かった私にとっては最高のおもてなし。

...のはずだった。

「か、辛!!なんですの!?これぇ!?」

「ふふ、ダイヤ。ひっかかったわね!これはロシアンルーレットマカロン!略してRRMだったのよ!」

「はぁ!?ふざけないでくださいます!?か、辛ぃ...」

涙目になった私をけたけたと笑いながら水を差し出してくる。
本当にこの女は...

それからというもの、鞠莉さんが我が家に来るときは
常に警戒をしている。――

「ほら、ダイヤ!スイーツ買ってきたから一緒に食べよう?」

「ありがとうございます。お茶、淹れて来ますわね。」

「レモンティー濃いめでオネガイ♡」

「おだまらっしゃい!うちは麦茶しか出ませんからね!」

滅茶苦茶な注文は無視して、透明なグラスにお茶を注ぐ。
お皿と...それからスプーンも持っていかなきゃね。

6: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:04:01.52 ID:I8QeaRq3.net
「イタダキマース!」

「いただきます。...よかった。辛くない。」

二人でみかん色のプリンを口に運ぶ。
程よい酸味と鼻を抜けるみかんの香り。
やっぱり洋菓子は断然松月ですわ。...なんて考えていたら。

「...ダイヤ、食べたね?」

「ええ。食べましたけど。」

「...お願いがあるの。」

「はぁ!?私を嵌めましたわね!?」

――やっぱり家に上げるんじゃなかった!!
一瞬の甘えが命取りになるのよ、ダイヤ...

「まぁ...話だけなら聞いてあげますわ。お土産を頂いてしまったのは事実ですし。」

自分の律儀な性格がイヤになる。


「あのね、マリーの、教官になってほしいの!」


――あぁ、また今回も、"何か"が始まってしまうみたい...

7: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:04:51.98 ID:I8QeaRq3.net
...暑い。
少し立っているだけでじんわり汗ばんでくるような快晴の日曜日。
家の目の前にある小さな公園で鞠莉さんを待っていた。

遊具という遊具といえば、ジャングルジムに、ブランコ二つ。鉄棒くらい。
幼い頃に幾度となく足を運んだここも、ちゃんと来るのは久しぶりかもしれない。

おでこに張り付く前髪を気にしていたら
遠くから近づいて来る異様な人影。

やだ、知り合いだと思われたくない...。

「ダイヤ〜チャオ〜♪あ、今日は教官だったわね。4649〜♪」

「その呼び方やめてくださる!?というか、その格好は何ですの...親が見たら泣きますわよ。」

現れた彼女は
補助輪付きのド派手なパープルのロードサイクルに乗っていた。

膝には分厚いサポーター、頭には安全第一と書かれたヘルメットを身につけて
上機嫌な顔で立っている。
どこから取って来たんですの、そのヘルメット...

「どう?どう?マリー、カタチから入るタイプなのよね♪もちろんこの愛車もおニューよ♪教官へのリスペクトを込めて"ダイヤ号と名付けたわ!」

よく見るとボディの部分に"Dia "とマジックで書かれていた。
すぐそばにはラクガキみたいな似顔絵。
あとで絶対に消してやりますからね...

「乗れもしないくせにロードバイクに乗るバカがいてたまりますか!
というか、どうして馬には乗れるのに自転車には乗れませんの...」

「パパが危ないからって乗せてくれなかったの。移動はヘリと船だし、私と自転車の接点はゼロね。
だから、ダイヤ号がマリーの初ジテンシャ♡イエーイ♡」

そういえば、鞠莉さんが自転車に乗っているところは見た事がない。
長年一緒にいても気付かないことってあるものなのね...

「まあ、いいですわ。私に頼んできたからには厳しく指導させて頂きますからね。覚悟なさい。」

「えー。お手柔らかにオネガイイタシマスワ!!」

「こら!真似はやめなさい!!」

鞠莉さんにものを教えるなんて、考えただけで頭が痛い。

8: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:05:31.74 ID:I8QeaRq3.net
まずはフォームを見るために
自転車に乗って軽く走るよう促した。

もともと運動はできるタイプのようだし、特段問題はなさそうですわね...

「ところで、どうして私に頼もうと思いましたの。他にも得意そうなメンバーがいるでしょう?」

「だって一番ヒマそうだし」

「むっかーーーー...帰りますわよ!?」

「It's joke♪ダイヤならルビィちゃんにも教えたことあるだろうし、上手かなって!」

「はぁ...」

一応、信頼はあった上で頼んできているのね...

「それにしてもこの公園、狭いわね。ダイヤのこと轢いちゃいそう」

笑いながらこっちへ向かって漕いで来た。

「ちょっと!追いかけないで!!もう!!」

本当にこの金髪は.!!.
こっちの体力がもたないわよ!!

「次は〜黒澤駅〜黒澤駅〜降り口は〜ホクロのある方〜♪」

「やかましい!!早く降りなさい!!」

律儀にも私の右側に自転車を止めて降りる。

「まずはバランスを取る練習からですわね。」

「はい!!私!教官が乗ってるとこ見たいデス!!」

「...人のを見ても何の参考にもなりませんわよ。ほら、ペダルと補助輪をはずすから、ダイヤ号を貸しなさい。」

不覚にもバカみたいな自転車の名前を口にしてしまって
自己嫌悪。

10: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:07:24.45 ID:I8QeaRq3.net
「えー。ケチー。」

ぶーぶー言う鞠莉さんを尻目に、自宅から持ってきた器具で
練習の準備をする。
一応、効率的な方法もネットで調べてきた。

どうして私ここまでしてるのかしら...

「ほら、この状態で乗ってみて。バランスが取れるようになるまで地面を足で蹴って進む、を繰り返してください。」

「はーい!」

意外にも素直に指示に従った彼女は
慣れない状態で漕ぐ自転車に四苦八苦している。

「oh...前に進まない〜〜」

蹴っても蹴ってもなかなか思うように進まないその様は
少し前の私たちみたいで苦笑する。

したたかで策士。そんな風に見えて実はすごく不器用。
私の知ってる小原鞠莉はこういうとこでも垣間見えるのね...

12: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:07:58.54 ID:I8QeaRq3.net
「ほら、私が後ろについてますから、思いっきり蹴ってみなさい?」

「オーケー!とーーーう!!」

「あ!ちょっと!!」

...しまった。
彼女のリミッターを外した時の勢いを侮っていた。

想定していた数倍くらい力強く地面を蹴った彼女は
自転車を一緒に一直線に私のもとを離れていってしまった。

前方にある砂の山を避けようとしたところで
バランスを崩して転倒。

やってしまいましたわ...

「いったーーーい!ダイヤの嘘つき!!」

「ごめんなさい。まさかあんなに勢い良く進むなんて...。ほら、手当てしてあげるからそこに座って。」

幸いにも肘を少し擦りむいたくらいで澄んだみたい。
こんなこともあろうかと、用意していた救護グッズが役に立つ時がもう来てしまった。

13: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:08:34.35 ID:I8QeaRq3.net
「クスリ染みない?大丈夫?」

「ダイジョーブ!ダイヤ、こうして見るとお姉ちゃんみたいね。」

「みたい、じゃなくて一応姉なんですけどね...」

さっと消毒液を塗って上からガーゼを貼る。
彼女の真っ白な肌に傷が残ってしまわないか、ちょっと心配。

「...ダイヤ、ゴメンね。悪いのは私だから気にしないで。」

私としたことが、顔に出てしまっていたみたい。
不安そうにこちらを見る鞠莉さんは"マリー"ではなくなっていて。

いつもこれくらいしおらしくしてくれていれば...と思う反面
調子が狂うように感じるのもまた事実。

私もすっかり彼女のペースに乗せられているみたい。

14: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:09:13.31 ID:I8QeaRq3.net
「マリーってほら、ジャジャウマみたいでしょ。すぐ暴走しちゃう。
でもダイヤなら上手く扱ってくれるかなって思って、今日はお願いしたの。」

曇った彼女の表情をかき消すように
ふっと微笑む。

「...まったく。私も鞠莉さんを乗りこなす練習、必要みたいですわね...」

目が合った鞠莉さんとくすくす笑い合う。
子供のような笑顔を浮かべてる彼女を見て、素直に可愛い、と思った。

「教官!練習の続きオネガイシマス!!」

すっかり元気を取り戻した鞠莉さんが立ち上がる。

「ここからは手加減なしですからね。ちゃんとついてきなさい?」

「ふふ。ダイヤはそうこなくっちゃ♪」

15: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:09:50.60 ID:I8QeaRq3.net
もともと運動が得意な彼女はコツを掴んだのか、
さっきの暴走が嘘のように、バランスを取って前進できるようになった。

これ、私がいなくても乗れてたんじゃ...

「どう?どう?上手くなってる?」

「ええ!上達が早すぎて、ちょっと驚いたわ。次はペダルを付けて乗ってみましょうか。」

「イエーイ!やっと鬼教官に褒められた♪」

「誰が鬼ですってぇ!?」

聞き捨てならない言葉に反応しつつ
ペダルを取り付ける。

朝はぴかぴかだったダイヤ号も
よく見ると、彼女の頑張りを映し出すかのように
細かい傷や砂の跡がたくさん付いていた。

あとで綺麗にしてあげよう...仮にも私の名前の乗り物ですからね。

16: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:10:29.36 ID:I8QeaRq3.net
自転車の準備を終え、
乗りたくてたまらないという顔をした彼女を跨らせる。

「私が後ろを持ってますから、鞠莉さんはバランスを取ることに集中して漕いでください。」

「らじゃー!まかせて!!」

サドルの後ろを軽く支えながら、彼女の運転をサポートする。

いつだってそう。
特殊な家柄、理事長、スクールアイドル、そして破天荒な性格...
何かとアンバランスになりやすい彼女を
ずっと後ろから見ていた。

必要なときは手を差し伸べて、背中を押して。
いらなくなったら手を引く。
そうやって彼女の背中をまっすぐ立たせるのが私の役目。

17: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:11:02.36 ID:I8QeaRq3.net
「ほら、次はカーブしてみますわよ!」

自転車だって、きっと一緒。
鞠莉さんはただ前を向いて走っていればいい。

最後はいつだって自分の力で進んでいくことを、私はよく知っているから...

そっと、手を離した。


「...鞠莉さん。おめでとう。」

「ホワッツ!?」

「気づかなかった?あなた、もう一人で進めてますわよ。」

「エキサイティーーーン!気持ちいい!!自転車ってサイコーね!!」

18: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:11:42.00 ID:I8QeaRq3.net
狭い公園をぐるぐる。ダイヤ号で走り回る。
屈託のない無邪気な笑顔を見ていると、自分の頬もふっ、と緩むのが分かる。

彼女が旅立っていくのを見るのは今日で三回目かしら。
一度めは留学のとき、二度めはAqoursに仲間入りするとき...。
手放すのは、もう慣れっこだけど、毎回すこしの寂しさを連れてきた。

...でも


「ダイヤーーーー!!」

私の元へ戻ってきた鞠莉さんが
自転車を放り投げて思い切り抱きついてきた。

20: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:12:22.51 ID:I8QeaRq3.net
「ただいま♪」

「...おかえりなさい。」

そう、いつだって少し成長した彼女が
幸せを連れて帰ってくる。

だから、安心して送り出せること、あなたは知ってるのかしら...


「ダイヤ、ありがとう。ダイヤにお願いしてホントによかった!」

「私も最初は乗り気じゃなかったけど...楽しかったですわ。」

鞠莉さんと顔を合わせて笑いあう。
こんな瞬間が訪れるなら、私どんなことでも乗り越えられますのよ...?

ふと、彼女に手を引かれブランコの方へ連れていかれる。

「今度はマリーがダイヤの背中を押す番ね!」

....何そのセリフ。まるで私の考えを見透かしているような...
と、背中をすごい勢いで押される感触。

21: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:13:01.13 ID:I8QeaRq3.net
「ちょっと!!それとこれとは話が違いますわよ!!」

どんどん高くなるブランコから見上げた黄昏時の空は
すっかり赤紫色に染まっていて
二人の小さな思い出に幕を閉じようとしていた。


...のだけど。


「あれ?お姉ちゃん?」

「ルビィ!?あなた出かけてましたの!?」

「花丸ちゃんと沼津まで行ってたんだぁ。ってあれ?あの自転車すごいね。鞠莉ちゃんの?」

「イエース!私の愛車、ダイヤ号よ♪今日はダイヤ教官に自転車の乗り方を教わっていたのデース♡」

「えっ!?お姉ちゃんに!?」

「?何かおかしい?」

「ちょっと、ルビィそれいじょ...」

「お姉ちゃん、自転車乗れないんだよ...」

「ホワーーーーーーッツ!?」

22: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:13:48.64 ID:I8QeaRq3.net
...終わった。おしまいですわ...。
鞠莉さんの顔が見れない。
きっと最っ高に悪い笑顔でニヤニヤしているんでしょうね...

「...何よ。何か言いたいことがあるなら言いなさいよ。」

そう言って見上げた彼女は
今にも泣きそうな優しい笑みを浮かべていた。

「ダイヤ、ホントのホントにセンキューね...。ダイヤのことだから、私が乗れるように、いっぱい調べてくれたんでしょう?」

23: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:14:17.65 ID:I8QeaRq3.net
「べ、別にそういうわけじゃ...」

「もう。スナオじゃないダイヤには、マリー教官から自転車レッスンのプレゼントね!」

「はぁ!?!?」

「来週またここに集合ね!!マリーが手取り足取り教えてあげる♡」

そう言ってブランコから飛び降りた彼女は
チャオ♪と言い残して自慢の自転車に乗って帰っていく。

来週...か。また今日みたいな一日を過ごせるのなら悪くないかも。
なんて思いつつルビィと一緒に公園を後にした。――

24: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:14:17.80 ID:I8QeaRq3.net
「べ、別にそういうわけじゃ...」

「もう。スナオじゃないダイヤには、マリー教官から自転車レッスンのプレゼントね!」

「はぁ!?!?」

「来週またここに集合ね!!マリーが手取り足取り教えてあげる♡」

そう言ってブランコから飛び降りた彼女は
チャオ♪と言い残して自慢の自転車に乗って帰っていく。

来週...か。また今日みたいな一日を過ごせるのなら悪くないかも。
なんて思いつつルビィと一緒に公園を後にした。――

25: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:14:55.89 ID:I8QeaRq3.net
あの日から二週間。

鞠莉さんのレッスンの甲斐もあり、私も自転車に乗れるようになった。
肝心のレッスンはハチャメチャすぎて、不満の一つでも言いたくなるような内容だったけど
結果オーライということにしておいてあげましょう。


――ピンポーン。

...嫌な予感がする。

26: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:15:31.17 ID:I8QeaRq3.net
「ダイヤーーーー!チャオー!」

「おはようございます。って!どうしたんですの、それ!!」

玄関のそばに置かれていたのは
ダイヤ号の色違い、真っ赤なロードバイク。

「ダイヤにはお世話になったからお礼よ!ダイヤにぴったりなレッド♪カワイイでしょ♡」

「ほんっと、あなたって人は...」

「果南にもターコイズの同じモデルをプレゼントしておいたわ!3人で地球の裏側までサイクリングするわよ!!」

「...もう。でも、今回はありがたく受け取りますわ。」

27: (きびだんご)@\(^o^)/ 2016/08/29(月) 22:16:24.97 ID:I8QeaRq3.net
お礼を告げて自転車に視線を移す。
ボディのすみっこにあったのは小さく書かれた"Mari"のサイン。

仕方ないから、これは消さずに残しておいてあげる。

目の前の乗り物から広がっていく世界、紡がれる思い出に
心が踊る。

ハチャメチャだけどいつだってドキドキをくれる彼女の、
今度は後ろじゃなくて隣を走ってみたい。

いつか別々の道を歩く日が来ても
彼女が「ただいま」と言える存在でありたい。

そんなことを願っていた。――



...その後、
学校に遅刻しそうになって。
"マリー号"で登校してみんなに笑われたのは、また別のお話...。――


-END-

43: (庭)@\(^o^)/ 2016/08/30(火) 06:04:33.92 ID:15cc7HUh.net
乙です!
最高のダイマリをありがとうございました

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1472475709/

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