【SS】千歌「今日は魔導士ギルド・ドラフト会議の日!」

SS


1: (庭) 2021/07/29(木) 11:47:13.93 ID:YB3I+e9s
「千歌ちゃ~ん」

「曜ちゃんが迎えに来たわよー。起きなさーい」

「千歌ちゃーん?」

「……ごめんね、曜ちゃん。あの子ったらこんな日まで……」

曜「ううん、大丈夫!」

ドタドタドタ

「あら、起きてたのね。珍しい」

千歌「当たり前だよ!大事な日だもん」

曜「ふふっ、気合いばっちりだね!千歌ちゃん!」

千歌「もちろん!」

千歌「行こう!曜ちゃん!」


私、高海千歌!今日は新人魔導士ドラフト会議の日!

1週間前に行われた一般魔導士選抜試験で厳しい試験を突破した千歌たち!
だけど魔導士として活動するには、ドラフト会議で指名してもらって魔導士ギルドに所属しなきゃいけないの。

今日は、いわば選抜試験の最終関門ともいえる大事な日なんだ!

2: (庭) 2021/07/29(木) 11:51:20.68 ID:YB3I+e9s
μ'sとaqoursがでます
展開次第では虹以降もでる可能性あり

3: (庭) 2021/07/29(木) 11:52:59.08 ID:YB3I+e9s
千歌「ここが会場か……おっきな建物だね」

曜「うん……大陸中のギルドの幹部が集まるからセキュリティーもすごいだろうね」

曜「ほら、警護の魔導士があんなに」

千歌「ほんとだ……なんか緊張してきたかも」

曜「あはは!まだ早いよー」

曜「とりあえず入ろ?」


【ドラフト会議 会場】

梨子「千歌ちゃん、曜ちゃん、久しぶり!」

千歌「梨子ちゃん!」

曜「1週間ぶりだね」

この子は桜内梨子ちゃん。
あのギルド【μ's】も独立前に所属していたギルド【オトノキ】の経営する魔法学校出身のエリート魔導士で選抜試験で仲良くなったんだ。
音を操る魔法の使い手なんだよ。

4: (庭) 2021/07/29(木) 11:55:36.33 ID:YB3I+e9s
梨子「いよいよね……ふぅ」

千歌「もしかして梨子ちゃん、緊張してる?」

梨子「そうね……選抜試験で大活躍ってわけじゃなかったから、希望のギルドに入れるかは不安かも」

曜「大丈夫だよ!梨子ちゃんなら」

梨子「ふふ、ありがとう。でもそれなら曜ちゃんこそ」

千歌「うんうん!気持ちだけは負けないようにしないと!」

千歌「千歌も今日が夢への第一歩だ~って自分を奮い立たせて来たんだよ?」

梨子「ってことは、千歌ちゃんは【printemps】か【Bibi】狙い?」


数々の功績を残してきた伝説のギルド【μ's】。
正確な人数や構成メンバーなど、謎につつまれてることも多い。

だけど、今は解散していること。
それから【Bibi】のギルドマスターである絢瀬絵里さんと、【Printemps】のギルドマスターの高坂穂乃果さんが元メンバーであるらしいことは知られているの。


千歌「うん、出来れば【printemps】で憧れの【μ's】のリーダーだった穂乃果さんの下で働きたい」

千歌「そしていつか、【μ's】みたいなすごいギルドを結成するのが千歌の夢なんだ~」

曜「昔から言ってるもんね!」

千歌「うん!」

5: (庭) 2021/07/29(木) 11:56:55.36 ID:YB3I+e9s
梨子「へー、じゃあギルドを創ったあかつきには私も入れてもらおうかしら」クスッ

千歌「うん!入ってはいって!」

曜「ち、千歌ちゃん!副マスターは私って約束だよ?」

「ぷっ、ギルド創るとかいってるぜ。あいつ、たしか最終試験もギリギリだった奴だよな?」

「そうそう、≪身体強化≫の魔法しか使えなくて悪目立ちしてた奴」

「くくっ、今時≪身体強化≫だけで魔導士になろうとするか?」

梨子「ひどい、聞こえよがしに……」

曜「ちょっと、行ってくるね」ガタッ

千歌「……あはは、いいよ曜ちゃん。気にしてない」

曜「でも千歌ちゃん……」

「ふん、その上ビビリかよ」

千歌「……」

6: (庭) 2021/07/29(木) 12:01:31.64 ID:YB3I+e9s
果南「ねぇ、キミたちさ?さっきから大きな声で楽しそうだけど」

果南「まさか私の妹分の悪口とか言ってないよね」ギロッ


「えっ?こ、こいつ!」

「ぅげっ、松浦果南!?言ってません!なにも言ってません!」


果南「そう?なら、よかったよ。」

果南「……会場で暴れたりしたらドラフトでとってくれるとこなくなるもんね」


「あ、あはは……おい、行こうぜ」ソソクサッ


千歌「果南ちゃん!」

果南「や、みんな。お揃いだね」テクテク

ダイヤ「貴女たち、今日くらい大人しくできませんの?」

鞠莉「あの子たちこそ完全にびびってたよね?まぁ、試験での果南の暴れっぷりをみたら仕方ないけど♪」


この人たちは千歌と同じウチウラ出身の幼なじみで、みんな年齢は千歌の1個上。
3人とも魔法はかなりの実力者で、魔導士試験も楽々突破していた印象があるくらい。

7: (庭) 2021/07/29(木) 12:04:39.60 ID:YB3I+e9s
梨子「うう、いよいよ緊張してきたなぁ」

梨子「ダイヤさんたちなら指名もたくさんもらえそうよね」

ダイヤ「別に指名数など気にしていませんわ……」

ダイヤ「それよりも私は、妹のルビィがドラフトに引っ掛かるのかが心配で心配で……」

鞠莉「オーウ、相変わらずの妹バカだね。ダイヤは」

ダイヤ「だれがバカですの!?」



司会「皆様、大変長らくお待たせしました」


千歌「き、きた……!」


司会「えー、現れていないギルドもありますが、時間になりましたのでドラフト会議を開始いたします。」

8: (庭) 2021/07/29(木) 12:06:50.67 ID:YB3I+e9s
司会「まずは改めてドラフトルールの説明をさせて頂きます」


司会「1つのギルドにつき3名の新人を指名して頂きます。次に指名された側が指定された中から入団するギルドを決定します」


司会「新人側は希望するギルドからの指名がない場合、辞退して2巡目に回っても構いません」


司会「しかし1つのギルドにつき定員はまちまちなので、下手したら一巡目で埋まってしまうギルドもでてきます……ということで」


司会「説明は以上です。質問がなければ指名に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか?」


千歌「定員……」

鞠莉「定員人数が非公開なのは嫌よねぇ。変な駆け引きが生まれるもの」

9: (庭) 2021/07/29(木) 12:08:06.15 ID:YB3I+e9s
にこ「久しぶりね、花陽」

花陽「にこちゃん!元気してた?」

にこ「ええ、あんたは壇上で穂乃果の傍にいなくていいの?」

花陽「うん、ステージ上も含めて見渡せる2階席のほうが臨場感があって好きなんだ」

花陽「魔導士たちの運命の第一歩を目にやきつけたいの」

にこ「相変わらずの魔導士オタクねぇ。まぁ、私一緒かしら」

にこ「……いよいよね」


司会「では大陸50のギルドの代表の皆さま、一巡目に指名する3名を提示してください…………どうぞ!」



おお~~~~~!!

10: (庭) 2021/07/29(木) 12:10:46.57 ID:YB3I+e9s
にこ「おー!やっぱり一巡目で指名される奴は限られてくるわね」

花陽「うん、試験で活躍した魔導士が順当に指名されてるね」

花陽「卓越した氷雪魔法の使い手である鹿角聖良さん」

花陽「魔導士の名門、黒澤一族の次期当主である黒澤ダイヤさん」

花陽「その幼なじみの松浦果南さんや小原鞠莉さん……それから」


「すげぇ、渡辺曜の一巡目指名……ほとんど全てのギルドに指名されてねぇか!?」

「43ギルドだってよ!あの綺羅ツバサに次ぐ歴代2位記録だぞ!」


曜「わ……嘘、こんなに?」

千歌「すごいよ曜ちゃん!やったね!」

にこ「超大型ルーキー、渡辺曜か。中堅クラスのギルドなら即エースの天才児、そりゃ指名も集まるわね」

花陽「うん、穂乃果ちゃんも絶対ほしいって言ってたよ。確かにすごい魔法センスだもんね」

にこ「あ、逆指名、始まるみたいね」

11: (庭) 2021/07/29(木) 12:13:23.60 ID:YB3I+e9s
ダイヤ「黒澤ダイヤ、ギルド【Bibi】の指名を謹んでお受けいたしますわ」

絵里「ありがとう。これからよろしくね」ニコリ


司会「指名が成立された方は壇上のギルドマスターの傍にどうぞ」


聖良「鹿角聖良、ギルド【A-RISE】の指名を謹んでお受けします」

ツバサ「ありがとう、これからの活躍を期待しているわ」ニコッ


果南「うーん、私は……そうだなぁ」チラッ

果南「うん!松浦果南、ギルド【printemps】の指名を謹んでお受けします」

穂乃果「ぃよっし!」グッ


梨子「果南さん、今こっち見て決めなかった?」

曜「あはは、千歌ちゃんに『待ってるよ』ってメッセージだと思う。そういう人だから…」

千歌「うん……!」

梨子「そういう曜ちゃんも、そろそろ出番ね。もう決めてるの?」

曜「うん、もちろん私も……」


曜「渡辺曜、ギルド【printemps】の指名を謹んでお受けします!」

穂乃果「え、ほ、ほんとに!?」

穂乃果「やった~~!!」


花陽「よっしゃー!」ガッツポーズ

にこ「くぅ……やられたわね」


曜「果南ちゃんと一緒に、待ってるよ。千歌ちゃん!」

千歌「うん……待ってて!」グッ

12: (庭) 2021/07/29(木) 12:16:33.79 ID:YB3I+e9s
「…………、謹んでお受けします」

「…………、辞退して二巡目に回らせて頂きます」

梨子「桜内梨子、指名を辞退して二巡目に回らせて頂きます」

「くっ……そうか、良い縁を祈っているよ」


千歌「良かったの?」

梨子「うん、二巡以降の大手より一巡目の中堅ギルドのほうが待遇がいいこともあるって理由で選ぶ人もいるけど」

梨子「私はギルドの気風との相性を重視したいから」


司会「えー、一巡目の指名が終了したので二巡目に移らせて頂きます」


千歌「二巡目……ここで、お願い!」ギュッ

千歌「うー…………ないか」ガクッ


梨子「桜内梨子、ギルド【Bibi】の指名を謹んでお受けいたします」


梨子「……千歌ちゃん、諦めちゃだめよ。4巡目くらいの指名からギルドのエース魔導士になった人だっているんだから」

千歌「う、うん」

梨子「私も腕を磨いて、千歌ちゃんがギルドを創るのを待ってるからね」

千歌「……ありがとう、梨子ちゃん。私諦めない!」


司会「えー、二巡目の指名が終了しましたので三巡目の指名へと……」


穂乃果「あ、すみません!ギルド【printemps】、定員のため指名終了です」

絵里「同じくギルド【Bibi】も指名終了とさせて頂きます」

13: (庭) 2021/07/29(木) 12:18:44.05 ID:YB3I+e9s
千歌「え…………しゅー、りょう?」


曜「うそ……」

果南「あ、あの……!なんでこんなに指名終了が早いんですか!?」

穂乃果「え?【Bibi】はいつも通りだと思うけど、うちは予定が変わったから、かな」

果南「それって、どういう……」

穂乃果「【printemps】は一応有力ギルドって評価をもらってるんだけど、そこに果南ちゃんと曜ちゃんという2人の大型ルーキーが奇跡的に入ってくれた」

穂乃果「これ以上の指名は他のギルドの圧迫になっちゃうんだよ」

曜「そ、そんな……私のせいで千歌ちゃんが、千歌ちゃんの夢が」

曜「わ、私、やっぱり辞退……!」

果南「曜!」

曜「っ」

果南「動揺してるのは私も一緒。でも今しようとしてることをやっちゃったらプロ失格だよ」

果南「そして何より千歌への侮辱になる」

曜「そんな……千歌ちゃん……」

14: (庭) 2021/07/29(木) 12:21:20.17 ID:YB3I+e9s
千歌「…………っ」ジワッ

千歌「~~~~~っ!」パシッパシッ

千歌「曜ちゃん!果南ちゃん!」

千歌「同じギルドにはなれなかったけど、お互い頑張ろう!!」


果南「ほらね、千歌は弱くない」

曜「うん……うん!」スッ

曜「……千歌ちゃん!!忘れないで!千歌ちゃんが創るギルドの副マスターは私だからね!」

曜「大陸最強の魔導士になって私は待ってるから!!」

千歌「………うん!」コクリ



絵里「あら……熱いわね」クスッ

穂乃果「うんうん、その意気だよ!」

聖良「…………」

ツバサ「ちょっとぉ、最強魔導士はエターナルこのツバサちゃんなんですけど?」

英玲奈「おいツバサ、空気を読め。恥ずかしい」

15: (庭) 2021/07/29(木) 12:23:32.64 ID:YB3I+e9s
司会「では、6巡目指名に移ります」


千歌「もう、6巡目……」


「6巡目って、もう有力ギルドはみんな指名終了しるじゃねぇか。あとは弱小ギルドだけだぜ」

「それより、あの大声で渡辺曜と話してたアイツ……」

「ああ、まだ一回も指名されてないって俺だったら恥ずかしくて土魔法で穴掘って出てこねぇよ」

「頑張ろう!…ってお前が頑張れよって話だよな?はははは」


千歌「うう、なんとか、どこかに……!ギルドに入りさえすれば!」


司会「では、指名をお願いします!」


千歌「あ……千歌の名前!指名された……!」

千歌「【ブラック・カンパニー】ギルド……あまり聞いたことないけど、まずは入ることが大事だよね?」

18: (庭) 2021/07/29(木) 12:25:56.59 ID:YB3I+e9s
鞠莉「シット!……ダメよちかっち、そのギルドは……悪質な労働環境にボロボロにされる」

鞠莉「次のドラフト開催に回ってもいい、そのギルドはやめなさい……!」


黒会社ギルマス「あー君。タカミくん、といったっけ?」

黒会社ギルマス「他に選択肢はない気もするが、わがギルドの指名に答えてくれるのかな?」

千歌「は、はい!高海千歌、ギルド【ブラックカンパニー】の指名、謹んで…」


鞠莉「くっ……!」


黒会社ギルマス「……」



ドゴォオオオオオオオオオン!!!


「!!!?」

「なんだ!何事だ!」

「会場の扉が吹き飛んだぞ!敵襲か!?」

「バカ!こんなに魔導士が大勢集まってる会場を襲う奴いるわけないだろ!」

19: (庭) 2021/07/29(木) 12:28:59.76 ID:YB3I+e9s
モクモクモクモク~~


「うぇー、ぺっぺっ。口に色々入ったにゃ」

「転送するなら安全に送りなさいと、いつも言ってるでしょう!」

「いや、この会場は何重にもプロテクトかかってるから正確な転移は難しいって何度も言ったやん!!」

「そもそも貴女たちが馬鹿なことをして時間をとらせるから悪いのです!」

「時間を忘れて説教してたのは自分にゃ!」

「なんですって~~!?そこになおりなさい!」


司会「あ、あの……どちら様でしょうか」


「……! 」

「ああ、見苦しいところをお見せしました……」



海未「ギルド【lily white】、後れ馳せながら見参いたしました」

20: (庭) 2021/07/29(木) 12:31:55.60 ID:YB3I+e9s
ざわざわ ざわざわ

「【lily white】……って、あのリリホワかよ?」

「ああ……あれが噂のイカれギルド……」


梨子「リリホワ……知ってますか、ダイヤさん」

ダイヤ「まぁ、噂はかねがね。実際見るのは初めてですが…」

ダイヤ「大陸最高クラスのプロテクト魔法が何重にもかかっている会場の、あろうことか内側に直接転移してくるとは……」

ダイヤ「噂以上のめちゃくちゃぶりですわね」

絵里「……頭いたい」ハァ..


海未「遅刻してしまい、大変申し訳ありません。」

海未「もし許されるなら、今からでもドラフト会議に参加させて頂きたいのですが」


司会「ええっと、はい……では、壇上の席へどうぞ」


海未「行きますよ、今日は大人しくしていてくださいね」ギロッ

のぞりん「はい……」

22: (庭) 2021/07/29(木) 12:35:41.44 ID:YB3I+e9s
スタスタスタ


「リリホワ……」ザワザワ

「あの悪名高い……」ザワザワ

千歌「……!」ゴクリ


果南「強いね、あの人たち」

曜「うん……所作に隙が見当たらない」

ガタッ
海未「おや、穂乃果ですか。久しぶりですね」

穂乃果「やっほー海未ちゃん、遅かったね」

穂乃果「ねぇ、あの2人……ついてきてないけどいいの?」

海未「え?……あっ」


希「海未ちゃーん!この子とろうよ、この子」ポンポンッ

千歌「え?わ、わ?」


海未「何をしているんです!早く壇上に上がってきなさい!」


希「えー、いいやん。うち、この子が気に入ったんやもん!」

希「ね、キミもうちのギルドに来たいやろ?楽しいよ?」

千歌「え、えっと?」


海未「希!」


希「はいはーい、怖い顔したら美人が台無しよ?」

希「じゃ、また後でな?」

千歌「あ、あはは」


海未「まったく……」


凛「凛はこーの子!」

ピギィ!


海未「さっさと来なさい!!」

24: (庭) 2021/07/29(木) 12:38:53.17 ID:YB3I+e9s
司会「え、えー…それでは、改めまして」

司会「只今、6巡目指名の途中でしたので、【lily white】さんは7巡目からの参加になります」


海未「はい……は?な、7巡……!?……い、いえ、結構です。構いません」

海未「」ギロリ

のぞりん「」プイッ


司会「高海千歌さんの指名回答の途中でしたかな?回答をお願いします!」


黒会社ギルマス「いや、タカミくんにはもう了承をもらったよ」

黒ギルマス「さ、壇上に来なさい」

千歌「え?」

黒ギルマス「どうした?さぁ、ほら」

千歌「えっ、えっと、千歌は……」

黒ギルマス「どうした?まさか約束を破るのか?最初からそれでは、どこでもやっていけないぞ?」

千歌「うぅ……」


曜「あいつ……!」

25: (庭) 2021/07/29(木) 12:42:26.24 ID:YB3I+e9s
希「千歌ちゃんかー、ええ名前やね!」

希「そんな新人詰めるような性格悪いおっさんのとこより、うちのギルドに来たらええやん。100倍楽しいよ?」

黒ギルマス「なんだと貴様!?無礼だぞ!」


ゴツン!

希「ったぁー!」ジンジン


海未「失礼しました。この通り、しっかり指導しておきますので」ペコリ

黒ギルマス「……ふん」


海未「ですが、そこの貴女にも落ち度はありますよ」

千歌「わ、私……?」

海未「未来とは自分の手で掴みとるもの」

海未「自分の考えを、自分の言葉できちんと述べることはその第一歩です……違いますか?」

千歌「……!」


千歌「あ、あの!」

千歌「高海千歌!指名を辞退して7巡目に回らせて頂きます!」


黒ギルマス「なんだと!?」

26: (庭) 2021/07/29(木) 12:46:18.99 ID:YB3I+e9s
黒ギルマス「ちっ……!まぁいい、お前程度の代わりなどいくらでもいるからな!」

黒ギルマス「それに大して使い物にもならなそうな奴だしな!」


曜・果南「……」

穂乃果「気持ちはわかるけど、落ち着いてね」


希「気にせんくてええよー、うちらがとるからなー」ヒラヒラ

千歌「……っ」


海未「まったく、勝手に決めて……これで指名しなかったら私が悪者じゃないですか」

海未「でも、もし貴女が望むのであれば……」

海未「来ますか?私たちのギルドへ」


千歌「は、はい!私、入りたいです!未来を掴みたいです!」

千歌「よろしくお願いします!」


海未「ふふ……では、ようこそギルド【lily white】へ」

海未「未来をその腕に掴みとりなさい、高海千歌!」

27: (庭) 2021/07/29(木) 12:49:43.08 ID:YB3I+e9s
【約1年後 ギルド舎前庭】


千歌「ぎゃーー!!千歌の腕が!腕がぁああ!!」ドバー


千歌「あ゛あ゛~~~~!!!」ゴロゴロ

28: (庭) 2021/07/29(木) 12:52:47.97 ID:YB3I+e9s
海未「……千歌、≪身体強化≫は意識を体の隅々まで張り巡らせろと、何度いえばわかるのですか」

海未「また左腕への意識が疎かになりましたね?」

海未「だから、そんなことになるのです」

千歌「うぎぎ……いや、腕ちょんぎれてる時にする説教じゃないだろ、それぇ!」ドバドバ

海未「しかたないですねぇ、希!」


シュンッ


希「ほいほい。うーわ、また……。海未ちゃん、無茶しすぎやって」

千歌「もっと言ってやるのだ!ギルマスは頭がおかしいのだ!」

海未「なんですって?」ギロリ

千歌「ひっ、希さ~ん」ササッ ドボドボ

希「おー、よしよし」

希「闇魔法≪常闇の反転光≫」ポオッ


ボコッボコボコボコッ


千歌「やったぁ!元通り!」グッパッ

29: (庭) 2021/07/29(木) 12:55:49.19 ID:YB3I+e9s
海未「う……やはり私は、その肉がボコボコ泡立ちながら再生する様にはグロテスクで馴れませんね」

希「海未ちゃんは怪我せんからねぇ」

希「千歌ちゃんくらい腕がぽんぽんトんでたら違うんやけど」

千歌「最初は悪魔じみてて気味悪さに失神しちゃってたけど、今は馴れたもんだよ」ヘヘッ


千歌「でも最初はびっくりしたなぁ、魔導士ギルドってこんなに厳しい修行をするんだなって」

海未「ふむ……他のギルドのことはわかりませんが、似たようなものでしょうね。なんせプロですから」

千歌「おお……さすがプロ!」

希「せやなー」


「ぴぎゃああああああああ!おねぃちゃぁああああああ!」


「希ちゃーん!こっち治療してほしいにゃー!」


希「はいはーい!」

希「ほんじゃ、頑張りや」シュンッ


私、高海千歌!新人魔導士!いつか憧れの【μ's】みたいなすごいギルドを創るため、今はこのギルド【lily white】で頑張っています!

ギルドに入ってすぐは手足がもげたり内臓が潰れるのが当たり前の修行内容にビックリもしたけど、同期入団した2人といっしょに頑張ってるんだ!

31: (庭) 2021/07/29(木) 12:59:52.66 ID:YB3I+e9s
【ギルド舎 食堂】

海未「みなさんはお昼食べたあとはどうするのですか?」モグモグ


この人は園田海未さん。リリホワのギルドマスターで、清く正しくって感じの人。
私の手足を切断するのも主にこの人!
すっごく強くて、私はまだ一発も攻撃を当てたことがないんだよね。


千歌「うーん、夕方からまた修行なんだよね?」

千歌「……あっ、この前雑誌でみたお洒落なカフェでまったりしたいから連れてってほしいのだ」

希「ん、ええよ。みんなも行く?」


この人は東條希さん!
この人のおかげで私は今このギルドにいる……のかな。
掴みどころがないけど優しくて、テレポートや回復魔法まで使いこなすすごい魔導士なの!


海未「いえ、私は急ぎではありませんがいくつか依頼をこなそうかと……」

千歌「えー…たまには海未さんも行こうよ。せっかく都会にきたんだよ?」


海未「私は地元なんですが……いえ、そうですね」

海未「たまには息抜きも必要ですね」クスッ

千歌「やった!」

33: (庭) 2021/07/29(木) 13:03:46.12 ID:YB3I+e9s
凛「凛も賛成!ルビィちゃんも行くよね?」


星空凛さん!
私の内臓を潰すのは主にこの人!
にゃーにゃー言って可愛らしいけど、戦闘になると信じられないくらい素早くて、私は最近やっと影らしきものが見えるようになったくらいなんだ!


ルビィ「いかない!降参っていったのに、凛さんルビィの脚折ったもん!すごい痛かった!」

ルビィ「凛さんなんか嫌い!」モグモグ


この子は黒澤ルビィちゃん!
名門、黒澤一族の次女で、あのダイヤちゃんの妹なの。最初の頃は千歌以上にプロの世界にカルチャーショックをうけて、毎日泣いてたんだ。

でも最近はすっかり元気になって、怖がってた幹部の皆にも文句をいえるくらいになったの!


凛「だって降参っていいながらルビィちゃん、こっそり凛の背後に魔法を展開して串刺しにしようとしたにゃ?」

ルビィ「……」

凛「スイーツが美味しいらしいよ?ホントに行かないの?」

ルビィ「……凛さんの奢りだからね」

34: (庭) 2021/07/29(木) 13:07:27.63 ID:YB3I+e9s
「くっくっく、リトルデーモンたち……」

「まさか、主人抜きにして魔の饗宴の話し合いですか?」

千歌「あ、善子ちゃん。どこ行ってたの?」モグモグ

希「あー、善子ちゃんはな魔法回路の拡張修行中に脳がオーバーヒートしちゃってな」

希「鼻血だして寝込んでたんよね」

善子「言わにゃいで!あと善子じゃにゃくてヨハネ!」


この子は津島善子ちゃん!
魔力けいとー?が希さんに似て特殊だから、私たちとは別メニューで修行することも多い自称・堕天使。
目が充血してるとこをみると、鼻血だけじゃなくて血涙も吹き出したのかな。
呂律も怪しいね!

36: (庭) 2021/07/29(木) 13:11:54.65 ID:YB3I+e9s
善子「ところで、リトルデーモン・ルビィよ」

ルビィ「なに?」モグモグ

善子「私のお盆にだけプリンがないのだけど……そのプリンは何個めかしら?」

ルビィ「……善子ちゃんさぁ、ドラフト何巡目だっけ」

善子「ぐ……9巡目だけど、それがなにか?」

ルビィ「ルビィは8巡目なんだよねぇ」

ルビィ「それが答えだよ」

善子「そんな変わんないじゃない!」

善子「1年前のことをいつまで言ってるのよ!」

千歌「まぁまぁ、落ち着くのだキミたち?」

善子「7巡目だからって調子のるなぁ!」


凛「なんという高度でハイレベルな争いにゃ……!」

海未「どこがですか……」ハァ


修行して遊んで修行して食べて修行して修行して宴会して寝る!

たまに本気で死にかけてるのはちょっと気になるけど、千歌は楽しく充実した毎日を送っています!

37: (庭) 2021/07/29(木) 13:47:42.17 ID:YB3I+e9s
つづく

41: (庭) 2021/07/29(木) 21:37:49.83 ID:FdmLgPLa
新人魔導士、高海千歌です。
今日はギルドの新人3人組で単眼巨人ギガンテスを狩りに来ているよ。

実はギルドに入団してすぐに、私たちの実力を見る目的で1度挑戦させられたことがあるんだ。
その時は3人ともあっという間にぺしゃんこにされて死にかけたんだけどね。

だから、これはそのリベンジって奴かな!


善子「千歌!つねに足下にまとわりつくのよ!翻弄して!」

善子「足下なら棍棒の攻撃範囲外なんだから!≪身体強化≫魔法の貴女ならできる!」

千歌「おっけーおっけー!って、うお!?」サッ!


どんっ!どんっ!どんっ!どんっ!


千歌「ぬぉおお、地団駄踏まないでよぉおお!」サッサッ


ルビィ「善子ちゃんも!安全圏で魔力練ってるからってギガンテスの目線から視線切らないで!」

ルビィ「ほら!投石くるよ!」

千歌「させるかぁ!カーフキック!」

千歌「とりゃぁ!」


ドカン!


善子「ぐらついて投石それた!ナイス千歌!」

42: (庭) 2021/07/29(木) 21:40:29.00 ID:FdmLgPLa
ルビィ「よし!こっち、魔法発動準備OKだよ!」キュイーン

ルビィ「千歌ちゃん!足下から抜けて棍棒を避けながら気を引いて!」

ルビィ「命懸けだけど、ごめん!お願い!」キュイキュイキュイ!

千歌「まかせてまかせて!って、相変わらず棍棒攻撃は!」ヒョイ


ブォンッ!ブォンッ!


千歌「かなり速いね、ギガンテス!」サッ!


ルビィ「でも、おかげで足下の意識が薄くなった……!」

ルビィ「いけぇ!土魔法≪紅玉の宝剣山≫!!」パンッ


ドシュ!ドシュドシュドシュ!!


「ぐぎゃあああああああああああああ!」


ルビィちゃんが手のひらで地面を叩くとギガンテスの足の甲から赤く鋭い鉱石が勢いよく突き破ってきた!
ルビィちゃんは土魔法を得意とする黒澤一族だけあって、地中の鉱物を操ることができるんだ。

43: (庭) 2021/07/29(木) 21:43:18.41 ID:FdmLgPLa
ルビィ「善子ちゃん今だよ!」

善子「任せなさい!」タタタタッ

善子「くらえ、我が至高の禁術!闇魔法≪侵食の魔病≫!」パシッ

「がっ!?がぎゃあああああああああ!」


ザシュザシュザシュザシュ!!


ギガンテスの足の甲から突き出た鉱石に善子ちゃんが魔法を流すと、今度は鉱石がギガンテスの全身から突き出た!

うう、血が吹き出してすっごい痛そう。

何でも、溶かしたルビィちゃんの魔法を血液中に流し込んで、体の色んなところで再発動させているんだって。

「ぐ、ぐぅるるる、がぁあうぅ」


ズシーン


ルビィ「やった!膝をついた!」

善子「……人喰いモンスターとはいえ哀れだわ」

善子「千歌、楽にしてあげて!」

千歌「了解!」

千歌「いい戦いだったよ、さよならギガンテス」


千歌「だりゃああ!!」バギィッ!


ズズゥ…ン

ギガンテス「」


千歌「ふぅ……よしっ!」

ルビィ「千歌ちゃん!」

善子「やったわね!」

44: (庭) 2021/07/29(木) 21:45:15.52 ID:FdmLgPLa
海未「よくやりましたね、3人とも」


千歌「あ、海未さん見てた!?すごいでしょ」


海未「ええ、個人の力もチームワークも、最初の頃に比べると見違えました」

海未「なにより、ほとんど無傷というのが素晴らしいです」

ルビィ「えへへ」

善子「造作もないことよ」ギラン

海未「ふふ、凛と希がお祝いの準備をしてくれているので早く帰りましょう」


「はーい!」

45: (庭) 2021/07/29(木) 21:49:19.54 ID:FdmLgPLa
千歌「ねぇねぇ、ところでギガンテスってどれくらいの強さのモンスターなの?」テクテク

海未「どれくらい、ですか?」

千歌「えっと……つまり、私たちってどれくらい強くなったのかなって思って」

海未「私は正直、モンスターの強さの序列のようなものには詳しくないのですが……」

海未「そうですね」フム

海未「私がみなさんと同じ一般魔導士に合格してすぐ、母に修行と称して十数体のギガンテスの群れの中に叩き落とされたことがあります」

「え゛」

海未「最低限の相手だけを斬り捨てて逃走に専念しましたし、それでも死にかけましたが……そうですね」

海未「当時の私の実力を考慮すると、みなさんは新人魔導士の中でも平均くらいの位置にはあるのではないでしょうか」

千歌「そっかぁ、新人の平均かぁ」

千歌「あー!まだまだだなー!」

46: (庭) 2021/07/29(木) 21:50:31.04 ID:FdmLgPLa
ルビィ「で、でも!落ちこぼれみたいな扱いだったのに平均まできたんだよ?」

海未「そうですね。成長度を考えると、頑張れば多くの同期たちよりも早く一人前になれるかもしれませんよ」

千歌「そっか、じゃあまた明日から修行だね!」

善子「くくく、腕が鳴るわ……!」

ルビィ「がんばルビィ!」

47: (庭) 2021/07/29(木) 21:57:17.29 ID:FdmLgPLa
【リリホワ ギルド舎】

凛「みんな遅いなぁ……」

凛「討伐対象のギガンテスって1体だけなんだよね?」

希「1年前にやられた相手なんやし、慎重になってるんちゃう?」

凛「あー、びっくりしたよね?」

凛「あんなに見事にペチャンコにされてさ……ぷぷぷっ」

希「あ、こらこら!あの子たちも一生懸命なんやから笑ったらいかんよ」

凛「だってさ、潰された時の3人のポーズがさ……覚えてるでしょ?」

凛「しかも、ギガンテスなんかにさ……」

希「ま、まあ確かに、ギャグ漫画みたいなポーズで潰れてて緊張感はなかったけども……ふふっ」

凛「希ちゃんも笑ってるにゃ!」

48: (庭) 2021/07/29(木) 22:00:25.28 ID:FdmLgPLa
【Bibi ギルド舎】


真姫「へぇ、やるわね」

にこ「どうしたの?」

真姫「今日の夕刊、穂乃果のとこのルーキーが2人だけでギガンテスのつがいを討伐成功だって」

真姫「しかも軽傷しか負ってないみたい」

にこ「あー、例の大物ルーキー2人ね……」

にこ「つがいってことは1人1体ってこと?」

にこ「半端ないわね」

にこ「ルーキーだけでギガンテスってだけでも相当なのに」

にこ「やっぱ渡辺曜はうちにほしかったわねぇ……くぅ!」

49: (庭) 2021/07/29(木) 22:03:47.27 ID:FdmLgPLa
絵里「あら、私はうちのルーキーだって全然負けてないと思うけど」

真姫「エリー」

絵里「ねぇ、そうでしょう?」

ダイヤ「はい、ギルドの名を汚さぬよう精進いたしますわ」ペコリ

梨子「わ、私も頑張ります!」

鞠莉「2人とも固いわねぇ!うちの師匠のお胸みたい」コンコンッ

鞠莉「こういう時は、オフコース!って言っとけばいいのよ♪」

にこ「鞠莉、あんたは今から地獄のレッスンフルコースよ……」

にこ「こっちきなさい」ゴゴゴゴ


鞠莉「オゥ……」


梨子「そっか、曜ちゃんも頑張ってるんですね…」

絵里「あら、きっともうすぐ会えるわよ?」

梨子「えっ?」

絵里「今年の【新交会】は成長目覚ましい貴女たち3人を連れていこうと思ってるの」

梨子「新交会、ですか?」

真姫「知らないの?正式名称【大陸ギルド新人魔導士交流会】」

絵里「各ギルドが集まって有望な新人をお披露目するパーティーみたいなものよ♪」

50: (庭) 2021/07/29(木) 22:10:02.30 ID:FdmLgPLa
【リリホワ 食堂】


海未「新交会、ですか……?」モグモグ

千歌「なにそれ」モグモグ

ルビィ「わからないけど、おねぃちゃあからのお手紙に書いてあったの。」モグモグ

善子「希さん葡萄酒もらえる?」

希「赤でいい?」

ルビィ「もうすぐ新交会だから、もし会えたなら嬉しいって」

海未「なるほど……いえ、確かにそろそろそんな季節ですね」

凛「そっかぁ、凛たちもついに……」

希「こんな日がくるなんてなぁ」

ルビィ「善子ちゃん、ポテサラ」

善子「ヨハネはポテサラじゃないわよ」ハイ

ルビィ「ありがと」

善子「で、新交会ってなんなの?」

希「えっと、確か正式名称は大陸ギルド新人魔導士なんちゃらっていって」

希「まぁ、ギルド同士集まってなんかする会やね」

千歌「へー!じゃあウチウラの皆や梨子ちゃんにも会えるかも!」

51: (庭) 2021/07/29(木) 22:16:42.44 ID:FdmLgPLa
善子「待って、その説明じゃ全然わかんないわよ。具体的にはどういう会合なの?」

海未「わかりません」

善子「……え、なんで?前に参加した時とかはどうだったの?」

海未「わかりません」

善子「えっと、な、なんで……?」

「…………」

希「あ、このお肉うちが焼いたんよ美味しい?」

ルビィ「うん、美味しい」

希「やろ?ハーブのっけて大きな塊を岩塩で焼くんよ」

ルビィ「へぇ……すごい」

善子「え、なに?ヨハネ変なこと聞いた?」

千歌「さ、さあ……?」

希「……だって、うちら参加したことないもん」

凛「うん……」シュン

千歌「あ、もしかして、そういう会合めんどくさい的な?」

千歌「もーダメなのだ?こういうのも付き合いなんだからさ」

ルビィ「うん!おねぃちゃあも面倒でも付き合いは大事にしなさいってゆってた!」

海未「違いますよ。新交会の時期に新人魔導士が残ってたことがなかっただけです」

ルビィ「え」

海未「新人魔導士が1年もの間、このギルドに居着いたことがなかったんですよ」

善子「え」

海未「むしろ半日もったことすらありませんでしたね」

千歌「え」

52: (庭) 2021/07/29(木) 22:19:42.78 ID:FdmLgPLa
凛「入団1日めの夜に3人とも残ってるのを見た時は、海未ちゃん泣いてたにゃ」

希「1週間経ってもみんな残ってた時は3人でしんみり朝まで飲んだよね」

海未「あれは今思い出しても感動的でした」グスッ

「…………」しんみり

千歌「な、なんで皆そんなにすぐやめてったのだ?」

海未「さぁ……きっと未熟な我々がプロ意識を伝えきれなかったのでしょうね」

千歌「プロ意識!じゃあ仕方ないね!」

善子「アマチュア気分だったのね」

ルビィ「甘えてちゃダメだよね!」

希「せやなー」

千歌「ねぇねぇ!」

千歌「それで、どうするの?」ワクワク

海未「そうですね、折角の機会です」

海未「みんなで行きましょうか、新交会!」

ヤッター!

53: (庭) 2021/07/29(木) 22:22:44.24 ID:FdmLgPLa
続きます
(予定)

63: (庭) 2021/07/31(土) 21:40:34.14 ID:PwCwj+55
【UTX帝国 城門前公園広場】

千歌「来たぞリリホワ!祝・初新交会! in UTX帝国ーー!!」

よしルビ「いぇい!」パチパチパチパチ

のぞりん「いぇい!」パチパチパチパチ

海未「ちょっと、注目浴びてますよ!」

海未「おやめなさい!」

希「なんや、海未ちゃんノリ悪いよ?」

凛「っていうか、なんか緊張してない?」

海未「いえ実は、最初はノリで参加してたんですけど……」

海未「よく考えると、【新人がまったく定着せず1度も新交会に参加できな
かったギルドのマスター】……という、色眼鏡で見られるかもしれないことに気づいてしまいまして…」

凛「色眼鏡じゃなくて、ただの事実にゃ」


新人魔導士の高海千歌です!私たちリリホワは、ここ、UTX帝国に大陸ギルド新人魔導士交流会、通称・新交会のためにやってきています!

ギルド入団のためにウチウラからオトノキ王国にきた時もその都会っぷりに驚いたけど、UTXはさらに大都会!

大通りには空に届きそうなほど大きな建物が並んでいて、道行く人も何だかお洒落!
……もしかして千歌、浮いてないよね?

64: (庭) 2021/07/31(土) 21:42:45.58 ID:PwCwj+55
喫茶  漆黒の羽舞う約束の丘】


善子「わぁ~!わぁ~!素敵ね!思ってた以上だわ!」

善子「オトノキには、こんなお店きっとないわね!」

海未「コンセプトカフェ、というのですか。面白いですね」

希「内装も細かいとこまで凝ってるなあ……このフォークなんやろ?変な形やね」

善子「それはまさか、ロンギヌスの槍を模して……?」

善子「くぅ……!さいっこう!」

堕天使店員「お待たせしました、こちら『禁断の果実のタルト  乳と蜜の流れるソース添え』でございます」

ルビィ「なにこれ、美味しい!」

凛「ほとんだ!完全に色物と思ってなめてたにゃ」

千歌「さ、最先端なのだ……」

千歌「この街はすべてが最先端なのだ!」

ルビィ「最先端なのは街だけじゃなくて魔法もだよ!」

ルビィ「なんたって大陸一といわれる魔導士ギルド【A-RISE】のお膝元だもん!」

ルビィ「あの伝説のギルド【μ's】ともライバル関係にあった凄いギルドなんだ~」キラキラ

千歌「ほほう、【μ's】の?」

65: (庭) 2021/07/31(土) 21:45:27.19 ID:PwCwj+55
千歌「……あ、そういえば」

千歌「新交会って【printemps】の高坂穂乃果さんも来るのかな?」

千歌「サインもらえないかなー」

海未「ああ、穂乃果ですか。来るっていってましたよ」

千歌「? 誰が言ってたの?」

海未「? 穂乃果がですけど」

「?」

希「海未ちゃんと穂乃果ちゃんは幼なじみなんよ。言ってなかったっけ?」

千歌「ええ~~~!あの【μ's】の穂乃果さんとぉ!?」

希「せやでー、あのμ'sのやでー」

海未「コホンっ」

凛「穂乃果ちゃんって、普段は別に普通の女の子って感じだけどね」

海未「いいえ!穂乃果は普通よりずっとだらしないです!」

千歌「わー!わー!聞かない!聞かない!夢壊したくない!」

千歌「ほらほら、新交会は明日でしょ?このあともいっぱい観光しよ!」

凛「あ!凛ね、UTXにはずっと目をつけてたラーメン屋さんがあるからお昼はそこね!」

ルビィ「ルビィも!行列ができるプリンを出すケーキ屋さん調べてきた!」

希「へへん、うちなんかわざわざ手紙を出してお肉料理が美味しいって大評判の居酒屋さんの予約、みんなの分とってるもんね!」

海未「食べてばかりですね、貴女たち……」

66: (庭) 2021/07/31(土) 21:47:16.47 ID:PwCwj+55
翌日【UTX帝国迎賓館】


善子「すごっ!新交会って国の迎賓館を貸しきってやるわけ!?」

希「UTX帝国とギルド【A-RISE】はズブズブだから、一声かければ迎賓館くらいは余裕やろうね」

凛「権力と腐敗の香りを感じるにゃー」

海未「そんなこと言って……聞かれたら怒られますよ」

ルビィ「おねいちゃあ、いないかな?」キョロキョロ


ザワザワ
「おい、あいつら……」

ザワザワ
「リリホワと前回ドラフトの……」


善子「な、なんか視線痛くない……?」

凛「うちのギルドじゃいつものことだよ、気にしなくていいにゃー」

希「ちなみに、何て言ってるん?」

凛「んー、いつも通り『いかれギルド』とか、新しいところでは『おちこぼれ』とかそんな感じだね」

ルビィ「もー!善子ちゃんがドラフト唯一の九巡目指名なんかとったからー!」

善子「えっ、ヨハネだけのせいかしら?ねえ、ほんとーにヨハネだけのせいって思ってるの?」

希「心配せんくても落ちこぼれ~のほうは、実力次第でその内消えるよ」

千歌「イカれギルド~のほうは?」

希「イカれギルド~のほうはリリホワに来た時点で御愁傷さま~やね」

千歌「まぁ、そうだよね」

海未「納得しないでください」

67: (庭) 2021/07/31(土) 21:50:27.27 ID:PwCwj+55
【迎賓館ダンスホール 】


千歌「おお、会場も広いねー」

ルビィ「これ、みんな参加者なのかな?思ってたより人がたくさんだね……」


「あれ、ルビィちゃん?千歌ちゃんも」


千歌「ん?」

ルビィ「……花丸ちゃん?花丸ちゃんだぁ!」

花丸「わぁ~!久しぶりだねぇ」

千歌「花丸ちゃんも新交会に来たの?」

海未「お知り合いですか?」

ルビィ「うん、ルビィの幼なじみの花丸ちゃん!ウチウラではいつも一緒だったの!」

花丸「始めまして皆さん、ギルド【printemps】所属の魔導士、国木田花丸です」ペコッ

花丸「いつもルビィちゃんがお世話になってます」

海未「これはご親切に。ギルド【lily white】ギルドマスターの園田海未です」

海未「そうですか、貴女は穂乃果のところの……」

千歌「今日は曜ちゃんと果南ちゃんも来てるの?」

花丸「うん、ギルマスたちと一緒にいるはずだよ」

花丸「曜さんは修行したいからって来たがらなかったんだけど、幹部の南ことりさんに絆されて渋々ついてきたんだ」

千歌「お~!曜ちゃんやる気満々だね、負けてられないなぁ」

花丸「あはは……できればあとで会ってあげてほしいずらよ、千歌ちゃん」

千歌「うん!」

68: (庭) 2021/07/31(土) 21:52:33.54 ID:PwCwj+55
善子「くくく、久しぶりねぇずら丸?ここで会ったが百年目よ!」

花丸「え、どちら様ですか?知らない顔です」シレッ

善子「な!?忘れたとは言わせないわよ!」

千歌「あれ、善子ちゃんヌマヅだよね?花丸ちゃん知り合いなの?」

ルビィ「うん、魔法幼稚園でいっしょだったらしいんだけど……魔導士試験で再会して、色々ね」

善子「あんたが妨害に妨害を重ねたせいで、ことごとく活躍を潰されてドラフトではまさかの9巡目指名……」

善子「ルビィはしつこくマウントをとってくるし、あんたのせいで最悪だったんだから!」

花丸「先に妨害してきたのは善子ちゃんのほうだよ?」

花丸「それにルビィちゃんの助けになることが出来たならマルは嬉しいずら~」

ルビィ「花丸ちゃんありがとう!おかげでたくさん優越感にひたれたよ、大好き!」

花丸「マルも大好きだよ、ルビィちゃん!」

善子「ふざけるな~!」


「ちょっとぉ、なーに騒いでんのよ」

69: (庭) 2021/07/31(土) 21:54:34.30 ID:PwCwj+55
にこ「しつけがなってないんじゃないの、あんたたち?」ニヤッ

善子「え……あ、失礼しました」

にこ「あ、いや、別に……そんな急に礼儀正しくされると、こっちもね……」

海未「にこですか……!」

希「なんやお前ー!どこ中やー!」

凛「子どもの出る幕じゃねえんだにゃー!かえれ!」

にこ「あんたらよ!あんたら!しつけが必要なのは!」

真姫「ちょっと、恥ずかしいから騒がないでよね、にこちゃん」

絵里「久しぶりね、みんな」

千歌「わ、【Bibi】のギルマス、絢瀬絵里さんだ」

善子「へぇ、あれが最高峰の魔導士の一人っていう……」

花丸「それと、ギルド【Bibi】の幹部のみなさんだよ」

70: (庭) 2021/07/31(土) 21:59:33.62 ID:PwCwj+55
希「あ、えりち!やっほー」

絵里「希!」

凛「真姫ちゃーん!元気してた?」

真姫「まぁ、それなりよ。」

真姫「そういえば、私たちの地区に新しくラーメン屋さん出来たんだけど……」クルクル

凛「ホント!?じゃあ、かよちんも誘ってまた一緒に行くにゃー!」

真姫「しょ、しょうがないわねっ」クルクル

絵里「でも、まさか貴女たちと新交会で顔をあわせる日がくるとはねー」

海未「い、言わないでください//// ですが、色々教えてもらえると助かります……」コソッ


千歌「海未さんたち【Bibi】とも顔見知りなんだね」

善子「修行ばかりしてるイメージだけど、一応他ギルドとの交流はあるのね」

善子「安心したわ」ウンウン

花丸「ふふっ、なに目線なの、それ」

善子「だって、自分の師匠たちが界隈でハブられてたら悲しいじゃない」

善子「ただでさえ、イカれギルドとか陰口いわれてるのよ?」

花丸「そ、そうずらね。今のはマルが悪かったずら……」

71: (庭) 2021/07/31(土) 22:01:26.47 ID:PwCwj+55
ルビィ「【Bibi】が来てるってことは、もしかして……」キョロキョロ

「……ルビィ?」

ルビィ「!……そ、その声は!」クルッ


ダイヤ「ルビィ~~~~~~~~~~~!!」

ルビィ「お、おねぃちゃああああああああ!!」


ダキッ


ルビィ「会いたかった……ずっと会いたかったよぉ!おねぃちゃあ!」

ダイヤ「わたくしもです……もう2度と離しませんわ、ルビィ!」


おーなんだなんだ?

生き別れの家族だって

うぅ、よかったねぇ


千歌「大げさだなぁ、知り合いと思われたくないし離れとこ」

72: (庭) 2021/07/31(土) 22:03:11.11 ID:PwCwj+55
トントン

千歌「ん?」

梨子「千歌ちゃん、久しぶりね!」

鞠莉「この姉妹の横だと、何か気恥ずかしいわね~」

千歌「わぁ!梨子ちゃん!鞠莉ちゃん!元気にしてた?」

鞠莉「ええ、ドラフト以来ね。ちかっち」

梨子「千歌ちゃんも修行頑張ってる?」

千歌「うんうん!毎日手足がちぎれるまで頑張ってるよ~」

鞠莉「おぅ、ブラックジョークまで覚えちゃって」

梨子「ふふっ、千歌ちゃんったら」


「おや、君は……」

73: (庭) 2021/07/31(土) 22:05:40.49 ID:PwCwj+55
希「ところで新交会ってなにするん?」

凛「ビンゴ大会は?ビンゴ大会はあるにゃ!?」

海未「あるわけないでしょう…」

にこ「えっ、あるわよ?」

海未「えっ」

真姫「豪華商品が当たるって毎年人気の企画じゃない、知らなかったの?」

希「……わぁ、園田さんってさ」クスクス

凛「……ちょっと、悪いよー」クスクス

海未「くう……////」


絵里「目的はそのギルド次第よ」

絵里「各国の要人や他ギルドの幹部とコネクションをつくったり、情報交換したり……」

絵里「でもほとんどのギルドにとって一番の目的は、育成力をアピールすることかしらね」

絵里「ドラフト獲得からどれだけ成長したかをアピールするの」

にこ「育成力もギルドの魅力だからねー。次のドラフトにも影響でるわよ」

希「なるほどなー」

凛「でもさ、アピールってどうするにゃ?うちの子は出来た子で~なんて口でいっても仕方ないにゃ」

真姫「申し込めば、あとで公開試合に出られるわよ」

真姫「ただし、時間は限られるから申し込みはギルドにつき一人だけ」

にこ「つまりコケたらイメージを挽回できないからけっこう痛いってことね」

凛「一人だけかー、海未ちゃんどうするにゃ?」

海未「ふむ……」


「ヘイ!貴方どういうつもり!?」

74: (庭) 2021/07/31(土) 22:10:07.96 ID:PwCwj+55
絵里「鞠莉、どうしたの?」

にこ「まったく、こういう場でだけはちゃんとしてるのがアンタでしょうに」

鞠莉「あ、マスターと師匠!だって聞いてよ!」

「私がこちらの子と話してたら、その子が急に言いがかりをつけてきたのですよ」

絵里「貴方は確か【ブラックカンパニー】のギルマスの……」

鞠莉「話す!?いいえ、貴方はちかっちを、私の幼馴染みを侮辱したのよ!」

鞠莉「落ちこぼれだの、どうせ足を引っぱってるだの言ったじゃない!」

黒ギルマス「ははは、困ったな。どういう教育をされてるのかな、お嬢さん?」

にこ「特別に教えてやらんこともないわよ?」スッ

絵里「にこ、まずは事実確認よ」

海未「どうなのですか、千歌」


千歌「うーん……」

75: (庭) 2021/07/31(土) 22:13:08.58 ID:PwCwj+55
千歌「まず貴方はどちら様なのだ?」

黒ギルマス「は?」

千歌「急に女の子に話しかけるのはキモいからやめたほうがいいのだ」

黒ギルマス「な、なんだと、ドラフトを忘れたのか!?」

黒ギルマス「誰がお前なんぞっ……」


ルビィ「やだー、いるよね?そういう男のひとー」コソコソ

善子「絶対モテないよねー」コソコソ


黒ギルマス「ぐっ……」

希「くくく!リリホワ流レスバ術・参の型【あいつ絶対モテないでしょ?】!!」

希「しかもトライアングルver.や……あの後ろから聞こえるコソコソ声はきついでぇ」

凛「レスバは戦いの基本。徹底的に仕込んでるに決まってるにゃ」

にこ「あきれて物も言えんわ……」

黒ギルマス「も、もういい!失礼する!」ソソクサ


「わー逃げるんだ?」クスクス

「ださくない?」クスクス


黒ギルマス「くぅ……!」タッタッタッ


にこ「あー……気はすんだ、鞠莉?」

鞠莉「そ、そうね。ねぇ、師匠、なにかしらこの気持ち……?」

にこ「考えたら負けよ」ハァ

76: (庭) 2021/07/31(土) 22:16:57.37 ID:PwCwj+55
タッタッタッ


黒ギルマス「あいつら、このおれに向かって……!」

黒ギルマス「くそっ……くそっ……許さねぇ」

「あ、あの、ギルドマスター、先ほど運営の方が……」

黒ギルマス「うるさい!!」

「ひっ……!」

黒ギルマス「ちっ……!」

「あれぇ?どうかしたの、父さん?」

黒ギルマス「む、お前か……。いや何でもない、ちょっとな」


「えー!千歌が公開試合の代表なのぉ!?」テクテク

「まぁ、何事も経験です。挑戦してみなさい」テクテク


黒ギルマス「うっ、あいつら」ササッ


千歌「でも、自信ないよぉ……負けても怒らない?」スタスタ

海未「当たり前です。ですが怪我だけは気をつけてくださいね?」

海未「貴女の体が一番大切なんですから!」スタスタ


黒ギルマス「……」

黒息子「何だあのぬるい奴ら。ところで父さん、ほんとに大丈夫なの?」

黒ギルマス「あ、ああ」

黒ギルマス「公開試合……?あんな奴が代表……?」

黒ギルマス「……くく、面白い。後悔させてやるぞ高海ぃ!」ニヤリ

77: (庭) 2021/07/31(土) 22:26:03.75 ID:PwCwj+55
凛「にゃー、悪い顔だねぇ」ジッ

凛「うん、オッケーっぽいにゃ」

希「よーしよし、仕込みの第一段はこれでよーし」

ルビィ「うゅ?何でさっきの人を監視してるの?」

善子「さっきの人って、さっきやり返した【ブラックカンパニー】のギルマス?」

凛「……やりかえした、だって?」

希「……わかってないみたいやなぁ」

善子「な、なにがよ?」


海未「ただいま戻りました」

千歌「ただいまー!言われたとおりにしたけど大丈夫だった?」

凛「ちょうどいいにゃ、千歌ちゃんも聞いて?」

千歌「う、うん、どしたの?」

凛「3人とも、去年の秋ごろ食べた熊鍋を覚えてるよね」

ルビィ「うん!ちょっとクセはあったけど、そのクセのあるお肉の脂がどっさりのキノコと合わさって美味しかった!」ジュルリ

善子「毎年恒例なのよね、リリホワの熊鍋会!」

千歌「今年も楽しみだよね~」

凛「あれね、凛たちがとってきた熊なんだよ?魔法を使わないで猟銃でね」


「えっ」


凛「封印具で徹底的に魔力を封じて、猟銃だけもって秋の山に入って、生身の体でとってきたの」


「えっ」

78: (庭) 2021/07/31(土) 22:31:29.92 ID:PwCwj+55
希「冬眠に備えて栄養を蓄えたオトノキヒグマはモンスターじゃなくても、めちゃくちゃ強くて狂暴や。生身だと当然死ぬ危険性もある」

希「それでもやるのは、命への感謝、自分たちの弱さ、生きていることへの喜びを忘れないため」

希「そして、さらに……闘争心と執着心や」


「……」ゴクリ


凛「凛たちは狩りの始めに、まずヒグマが後で食べるために埋めた獲物を盗む。」

凛「ヒグマは獲物への執着心が強いからね、何日でも何十キロも追ってくるよ。」

凛「しかも怒り狂って手がつけられないんだ」

希「ヒグマは必死。うちらも必死。その必死に学ぶんや、執着心とはなにか。闘争心とは何かをな」


「……」

79: (庭) 2021/07/31(土) 22:37:16.27 ID:PwCwj+55
海未「いいですか!【ブラックカンパニー】のギルマスは千歌を理不尽に侮辱しました!」

海未「それはリリホワに弓をひいたということに他なりません!もはや奴は我々の敵、我々の獲物です!」

海未「そして我々は断じてまだ、なにもやり返せてなどいません……!」

海未「千歌、さっきの演技を真に受けて、負けてもいいなどとアマチュアじみたことは考えてませんね?」


千歌「う、うん、もちろん!千歌はプロだもん!」


海未「よろしい。首だけになっても勝利にかじりつきなさい。敵に執着しなさい!」

海未「決して忘れぬよう、奴の骨髄にまで刻み込んでやるのです……」


海未「覚えおきなさい、【lily white】はヒグマより獲物に執着する……!」


「おうッ!」





千歌と話足りなくて残ってた梨子「ひ、ひぃ~~~っ」ゾゾォー!

86: (庭) 2021/08/01(日) 21:59:50.14 ID:pVVs7XPf
新人魔導士の高海千歌です!

新交会でUTXに来た私は、かつてドラフト会議で因縁のできた【ブラックカンパニー】のギルマスと一悶着ありまして……

正直、私は気にしてなかったけど、海未さんたち幹部は静かに大激怒!
プロならばヒグマのような闘争心と執着心で奴を屠れと指令をだすのでした。



果南「ねぇ曜さ、子どもみたいにへそ曲げるのやめな?」

曜「曲げてないよ、ただ私は修行してたかったなってだけで……」

曜「大陸最強の魔導士になるって約束したんだもん」

曜「このままじゃ千歌ちゃんに会えないよ」

曜「穂乃果さんや、幹部のみんなにもまだ敵わないのに……」

果南「そりゃあさ、しょうがないじゃん」

果南「すぐに最強なんて無理なんだからさ、千歌にも会いながら強くなればいいでしょ?」

曜「そんなの駄目だよ!私は果南ちゃんみたいにいい加減にはなれないもん!」

果南「こらこら?言葉には気をつけなよー?」ピキピキ


千歌「私がどうかしたの?」


曜「ひゃっ……千歌ちゃん!?」ドキーン

果南「千歌!」

87: (庭) 2021/08/01(日) 22:02:33.40 ID:pVVs7XPf
千歌「2人とも、久しぶりだねー」

千歌「いるって分かってるなら会いにきてくれてもいーじゃん」

千歌「もぅ、薄情だなー!」プク-

曜「千歌ちゃん!あ、あの……」

千歌「うん?」

曜「ひ、久しぶり……」

千歌「うん、久しぶり」

千歌「……ねぇ、曜ちゃんどーしたの?なんかおかしくない?」

果南「そうなんだよ、言ってやってよ千歌」

果南「曜ってば大陸最強になるまで千歌に会えないーとか、だからずっと修行してたいーとか言って、ずっとぐずってるんだよ?」

果南「普段も無茶ばかりするしさー」

曜「果南ちゃん!」

千歌「えーなにそれー!千歌に会いながら最強になればいーじゃん!」

曜「あ、あはは、うん、そーでありますな」

曜「よく考えたらその通りでありますっ!」

曜「ヨーソロー!」


果南「私も言ったのに、しばいたろうかこいつ……」

88: (庭) 2021/08/01(日) 22:04:52.85 ID:pVVs7XPf
千歌「そんなことよりさ、2人は公開試合出るの?」

果南「公開試合?」

果南「あー、たしか穂乃果さんが私たちは出る必要ないって言ってたかな」

曜「【printemps】からは腕試しに花丸ちゃんを出すって言ってたよ」

曜「千歌ちゃんはでるの?」

千歌「うん、狙いどおりギルド【ブラックカンパニー】と対戦が決まったよ!」

千歌「でも抽選のはずなのに、こんな都合よく決まるのかな?」

千歌「……実は私ね、希さんあたりが何かしたんだと思ってるんだけど…」ヒソッ

曜「【ブラックカンパニー】……?」

曜「!」

曜「千歌ちゃん、その相手……もしかすると危ないかも」

千歌「えっ?」

89: (庭) 2021/08/01(日) 22:08:17.57 ID:pVVs7XPf
果南「【ブラックカンパニー】なら多分あいつがでてくるね、ギルマスの息子」

果南「火炎魔法の使い手で、ドラフトでも1巡目指名をそこそことってた奴だけどさ」

果南「まあ、高飛車でヤな奴だよ」

曜「うん。最終試験でみたけど魔力の量だけなら、かなりのものだった。」

曜「千歌ちゃんの≪身体強化≫じゃ相性が厳しいと思う……無理はしないでね」

千歌「そっかぁ、でも嬉しいな」

曜「え?」

千歌「やめておけとは、言わないでくれて!」

果南「千歌は言っても聞かないでしょ」

千歌「えへへ、参加者はそろそろ集合時間だから行くね!」

千歌「応援してねー!」

曜「がんばってー!」

曜「……はぁ」

曜「可愛いくなってたよね、千歌ちゃん」

曜「やっぱモテるのかなぁ」ハァ..

果南「はいはい」

90: (庭) 2021/08/01(日) 22:11:07.25 ID:pVVs7XPf
タッタッタッ

千歌「わー、遅れちゃう!」


「おい!待てよ、そこの落ちこぼれ」


千歌「?」クルッ

黒息子「お前だろ?7巡目なんてしょーもない順位で魔導士にしがみついてる落ちこぼれって」

黒息子「親父の頼みとはいえ、正直面倒なんだよな」

黒息子「勝負しなくてもわかるだろ?」

黒息子「棄権しろよ、お前」

千歌「……ああ!」

千歌「千歌はもしかして今、侮辱されてるのかな?」

黒息子「はあ?そんなこともわからないほど落ちぶれてんのかよ」

千歌「うーん……なるほどなぁ」ウンウン

千歌「千歌はまだ、ヒグマさんから直接学んだわけじゃないんだけどさ」

千歌「いい感じに、沸いてきたよ」

千歌「……ありがとね」

黒息子「はぁ?なに言ってんだ、お前……って、おい!」

千歌「……」スタスタ


黒息子「ちっ……」

91: (庭) 2021/08/01(日) 22:14:02.56 ID:pVVs7XPf
ワー! ワー!

【控え室】

海未「さて、次の試合は千歌の出番ですね」

海未「アドバイスはしませんよ、貴女なら大丈夫です」

海未「緊張していますか?」


千歌「うん……でも、頭は冷えてるよ。大丈夫…」



黒ギルマス「相手は≪身体強化≫しか使えない雑魚だ、お前なら問題ないだろ?」

黒息子「まぁ、退屈しそうなのは問題かな」

黒ギルマス「よし、徹底的にやってこい」

92: (庭) 2021/08/01(日) 22:18:04.75 ID:pVVs7XPf
審判「ギルド【lily white】代表 高海千歌!」

審判「ギルド【ブラックカンパニー】代表 黒田〇〇!」

審判「前へ!」


千歌「はい!」

黒息子「……」


審判「試合は基本的に自ら棄権したとき、もしくは」

審判「所属ギルドのギルドマスターが棄権を申し込んだ時にのみ終了することとし」

審判「審判からは絶命の危険性ありと判断した時のみ介入します!いいですね?」

黒息子「だってよ?……とはいえ、過去には死亡例もある」

黒息子「死亡同意書はちゃんと書いたか?」

千歌「あ、係りの人ですか?」ニコッ

黒息子「…………落ちこぼれが」


曜「千歌ちゃん、無理は駄目だよ……」ギュッ

94: (庭) 2021/08/01(日) 22:21:05.48 ID:pVVs7XPf
審判「始め!」


黒息子「はぁああっ!」

ボボォオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!


千歌「うわっ!」バッ


鞠莉「うわっ!あいつ、ソッコーで炎の渦で自分を囲ったわよ!せこいわね!」

真姫「≪身体強化≫しか持たない魔導士との戦いではセオリーよ。ただ……」

絵里「火力が新人離れしてるわね。あれを生身で突破するのは難しいわよ」

梨子「……千歌ちゃん」

95: (庭) 2021/08/01(日) 22:26:38.32 ID:pVVs7XPf
千歌「うーん、もはや炎の壁だね。向こう側が何も見えないや」


ボボォオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!


黒息子「≪身体強化≫だけなら、これで詰みだろ」

黒息子「このまま炎の渦を広げてすり潰してもいいけどなぁっ」

黒息子「はあっ!火炎魔法≪火球≫!」

ボンッボンッ!!

千歌「よっ」サッ

千歌「ほっ」サッ

黒息子「……ふんっ」

曜「千歌ちゃん、足下!」


ゴォオオオッッ!


千歌「おっとっと」クルンッ

果南「飛んでくる火球に集中させて、足下からの火柱で奇襲、ね」

曜「千歌ちゃん大丈夫!?」

千歌「大丈夫大丈夫ー」

千歌「こんな教科書みたいな攻撃当たらないよー」

千歌「そもそも炎の壁で、自分が視認甘くなってるでしょー」アハハ

黒息子「……あ?」カチン

96: (庭) 2021/08/01(日) 22:30:57.59 ID:pVVs7XPf
黒ギルマス「炎の壁がある以上決まった勝負だ!」

黒ギルマス「挑発にのって渦を解くなよ!」

黒息子「わかってるよ!」

黒息子「 ……それならすり潰すだけだ!」


ボボォオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!


ルビィ「火の勢いが増した!」

善子「気をつけて千歌!」


千歌「さすがに魔法は解いてくれないかー、ちぇっ」

千歌「でも大丈夫!そろそろ、こっちも反撃だよ……!」

千歌「うぉ……」ガシッ

千歌「りゃっ!!」

ブンっ


ボボォオオオオオオオオオオオオオオオッッ


ボッ!


黒息子「……!」

97: (庭) 2021/08/01(日) 22:33:32.36 ID:pVVs7XPf
黒息子「炎の中を何かが突っ込んできた」

黒息子「これは……石畳?」

黒息子「なるほど床を剥がして投げたのか……!」

黒息子「……で、その影に隠れてるってわけだろ?」

黒息子「灼柱ッ!!」ゴォオオッ!


ジュッ


黒息子「想定内だよ!どっちが教科書みたいだ馬鹿女!」

黒ギルマス「いないぞ!後ろだ!!」

黒息子「えっ」


ボボォオオオオオオオオオオオオオオオッッ


ボッ!


千歌「ほわたぁ!!」ドゴォッッ!

黒息子「ぐぁ…!?」

ドサッ


黒息子「が、ガハっ、がはぁ……」

千歌「……っ、っ、……ふぅー」シュウウウ…

98: (庭) 2021/08/01(日) 22:36:51.82 ID:pVVs7XPf
曜「千歌ちゃん、腕が……!」

ことり「肉が、焦げてる……」

花陽「あの炎の壁を、腕を盾に生身でつっきるなんて……」

穂乃果「うんうん、皆がするわけないと思う」

穂乃果「だからこそ、そこが思考の穴になるんだよね!」

果南「千歌があんな戦いかたをするなんて……」


黒息子「……ごふっ、……ぅごぁ……」モゾモゾ

千歌「うぎっ!……ふぅー!……喉を潰したから、自分ではギブアップできないよ」

千歌「落ちこぼれに惨めな敗北を認めるなら、ギルマスさんからどーぞ?」


黒ギルマス「き、貴様……!」

海未「……」

99: (庭) 2021/08/01(日) 22:39:21.68 ID:pVVs7XPf
黒息子「…………う゛う゛ッッ! 」ボォッ!


ボキィ!


千歌「動かないで」

黒息子「ぁが゛っ~~~っっ!!」


梨子「嘘……脚、折った……?」

真姫「躊躇せずいったわね」

にこ「海未達んとこの子よ、容赦するわきゃないわ」

100: (庭) 2021/08/01(日) 22:41:31.85 ID:pVVs7XPf
千歌「ギブアップ、しないんですか?」

黒ギルマス「ぐ、ぐぬ……」

千歌「ゆっくり考えていいですよ」

千歌「だって、ほら」

スッ 

黒息子「…んぅ!?」

千歌「手足の数には余裕があるので……」

ググ……ミシッ

黒息子「ん゛ん゛~~~っ!!」ポロポロ

黒ギルマス「く……ギ、ギブアッ……」ボソッ


千歌「……」


ミシミシミシッ ビギビギィッ


黒息子「ぅぎイっ!?」ポロポロ

黒ギルマス「ギブアップだ!ギブアップと言っている!」

審判「そ、そこまで!」


審判「勝者【lily white】高海千歌!」


黒息子「……うっ……うぅっ」ポロポロ

黒ギルマス「……くっ」ガクッ



千歌「ぃやったぁー!!」



シーン……

101: (庭) 2021/08/01(日) 22:43:55.88 ID:pVVs7XPf
千歌「やったやった♪やったやった♪」スキップ!スキップ!


シーン……


千歌「やったやった♪やったやった♪」スキップ!スキップ!


シーン……


タタタッ

ちかよし「へーい♪」パーン

ちかルビ「へーい♪」パーン

ちかりん「へーい♪」パーン

ちかのぞ「へーい♪」パーン


千歌「からのー?」


ちかうみ「ぃよっしゃー!」パーン!



リリホワ「フーー!!」


シーン…

102: (庭) 2021/08/01(日) 22:45:14.50 ID:pVVs7XPf
海未「よくやりましたね、千歌」

千歌「えへへ、でしょでしょ?プロだったでしょ?」

希「立派にプロやったで!ほい、腕だして」

千歌「えへへ、はーい」


ボコッボココッボコォッ


千歌「治った!」


ザワッ……!

103: (庭) 2021/08/01(日) 22:48:05.69 ID:pVVs7XPf
ザワザワ……
「なんだよあれ……気色わりぃ」

「闇魔法で回復?……聞いたことねぇよ、禁忌術じゃねぇの?」


ザワザワ…
「てか試合もさぁ、あそこまでやるか普通」

「喉つぶして、脚折って、脅してだろ……イカれてるよ」


ザワザワ…
「あいつだけじゃねぇよ。あの試合のあとにハイタッチだぜ」

「やっぱリリホワって……」


凛「あー、有象無象の声が心地いいにゃー」

善子「今さらだけど、陰口はセーフなの?」

希「陰口に収めてるうちは一線越えずって感じやね」

ルビィ「むー、千歌ちゃんは正々堂々と実力で勝ったのに何で悪口言われるの!」

海未「新人たちには刺激が強かったかのかもしれませんね。プロの現場では、日常茶飯事なのですが」

千歌「まぁまぁ、千歌がそれだけプロってことなのだ?全然気にしないよ!」


曜「千歌ちゃん!」

果南「千歌!」

104: (庭) 2021/08/01(日) 22:52:31.69 ID:pVVs7XPf
千歌「曜ちゃん!果南ちゃん!」

千歌「あー……」

千歌「えっと、どうだった?」


希(とはいえ、親友たちの反応は気になるみたいやね)


曜「怪我!大丈夫!?うちのことりさんは凄腕の回復魔法使いだから急いで……」

曜「って、あれ?」

千歌「もう治してもらったよ?」

曜「なんだー……なんだー……」

曜「よかったー……」はぁ…

千歌「そんなことより千歌の戦い方とかさ、どうだった?」

曜「そんなこと!?」

曜「千歌ちゃんの体より大切なものなんてないよ!」

106: (庭) 2021/08/01(日) 22:55:40.54 ID:pVVs7XPf
千歌「や、ほらね?千歌、相手の喉とか脚とかね、やっちゃったし」

曜「いいよ!いいよ!千歌ちゃんが無事なら!」

曜「いくらでもやっちゃって!」

果南「いや、強くなったじゃん千歌!私びっくりしちゃったよ~」

果南「あ、でも喉を突いたあとは魔法使わせる気力を奪うために、先に脚を折ったほうがよかったね」

果南「魔法を使われそうになってから折るんじゃなくてさ」

ルビィ「なるほどー」

善子「ドラフト1巡目の意見は勉強になるわね!」

凛「さすが、穂乃果ちゃんとこの子はプロフェッショナルにゃ」ウンウン



千歌が心配でやってきた梨子「強い人ってみんな頭おかしいのかな……」

112: (庭) 2021/08/03(火) 21:01:54.02 ID:FVCH91Pj
千歌「ねえねえ、曜ちゃんたちはいつ帰るの?」

千歌「せっかくだしウチウラ組でお茶しようよ、梨子ちゃんも誘ってさ」

曜「あ、いいね!行こうよ!」

果南「修行はいいのかなん?」ニヤニヤ

曜「う……////」


希「ええなー、青春っぽくて」

凛「おばさんくさいにゃー」

希「誰がやねん!うちまだピッチピチやぞ!ピッチピチ!」

海未「いや、流石に私たちはピチピチというほどでは……」


ツバサ「久しぶりね」

リリホワ「!?」

113: (庭) 2021/08/03(火) 21:03:15.60 ID:FVCH91Pj
千歌「え、どちら様ですか?」

ルビィ「ちょ!?【A-RISE】の綺羅ツバサさんだよ!」

善子「現役最強魔導士をなんで知らないのよ!」

曜「最強……」

ツバサ「現役、じゃなくて歴代最強ね」

ツバサ「そこんとこ、シクヨロ」

英玲奈「はぁ……」

希「ツバサさん、英玲奈ちゃん……なんで……」

114: (庭) 2021/08/03(火) 21:04:56.23 ID:FVCH91Pj
海未「一体どういうつもりですか?」

ツバサ「そこの貴女」

千歌「え、千歌?」

ツバサ「試合、よかったわよ?新人の中ではトップクラスね」

ツバサ「まぁ一見すると、ずば抜けてすごいってほどじゃないけど……」

海未「そんなことを、わざわざ言いに?」

ツバサ「でも、ドラフトの時からの伸び幅でいえば異常ね!」

ツバサ「きっと他の2人も同じような成長曲線を描いているんでしょうね」

ツバサ「訓練から常に死線に身をおく人間にしかあり得ない成長率だわ」

ツバサ「……相変わらずね、貴女たちは」ピリッ

リリホワ「……!」バッ


善子「え、なんか険悪な感じ?」

ルビィ「な、なんで?」

115: (庭) 2021/08/03(火) 21:06:03.51 ID:FVCH91Pj
穂乃果「海未ちゃん!」バッ

絵里「……A-RISE」

ツバサ「あら、遅かったわね」

ことり「……ツバサさん」

花陽「……っ」

にこ「……」

真姫「……」

絵里「説明してくれるかしら?」

英玲奈「落ち着け、不可侵の約定を破るつもりはない」

真姫「ふん、どうだか……」

ツバサ「ふふ……懐かしいわね、このメンツ」

ツバサ「貴女たちが解散して、私たちからあの子が離れた……あの日以来」

ツバサ「……ふぅ」

穂乃果「ツバサさん?」

ツバサ「あんじゅが帰って来てるわよ」


μ's「!!?」


にこ「う、うそでしょ!?」

英玲奈「確かな情報だ」

ことり「そんな……」

116: (庭) 2021/08/03(火) 21:09:46.61 ID:FVCH91Pj
ツバサ「約定に従い、あんじゅが接触してきても私たちは協力しない」

ツバサ「でも、あんじゅの気持ちもわからないではないの」

ツバサ「むしろ、痛いほどに……」ざわっ

果南「(なにこれ、空気が重いい……!?)」

千歌「……、息…が……!」

英玲奈「ツバサ…」

ツバサ「……」

フッ

ツバサ「……私たちはあんじゅには協力しない」

ツバサ「だから貴女たちも協力はだめよ?」

ツバサ「私たちが全面対立したら、国が壊れちゃうもの」

穂乃果「わかってます……」

絵里「ええ……」

英玲奈「話はそれだけだ、邪魔をしたな」

英玲奈「いこう、ツバサ」

ツバサ「ええ……」

117: (庭) 2021/08/03(火) 21:11:14.75 ID:FVCH91Pj
ツバサ「……」ピタッ


ツバサ「……わかってると思うけど、あんじゅの標的は貴女たちよ【lily white】」

ツバサ「彼女の憎しみはいっそう激しく燃え盛っているわ」

海未「……!」

ツバサ「3人だけで馬鹿やってればよかったのに……」

ツバサ「今からその子たちを移籍させても遅いわよ」

ツバサ「……じゃあね」

海未「……」

千歌「えー、えっと?」

千歌「どういうことなの、これ?」

千歌「あんじゅって誰?それに、憎しみって……」

海未「……」

千歌「海未さん……?」

海未「……」

千歌「ねぇってば!」

118: (庭) 2021/08/03(火) 21:14:26.77 ID:FVCH91Pj
終末の時は、音もなく忍びよる……


「こんにちわ、可愛らしいお嬢さん」

千歌「?」


あんじゅ「あなたも【lily white】?」ニコッ


何の前触れもなく、盗人のように……


善子「やばいわこれはっ!全滅するわよ……!」

千歌「うう……」

ルビィ「ルビィが引き付ける!2人は逃げて!」

あんじゅ「うふふ……逃げられないわよ」


リリホワの前に立ちふさがるのは


凛「凛の仲間に手を出すな、〇すぞ」

あんじゅ「あはぁ……♡」ニタァ


復讐に燃える魔導士、元【A-RISE】優木あんじゅ!


希「あの子達は関係ないやろ!」

あんじゅ「だったら妹をっ、せつ菜をお前の禁忌術で甦らせてみろ!」

120: (庭) 2021/08/03(火) 21:16:14.10 ID:FVCH91Pj
次々に倒れる仲間たち……


海未「こちらにも貴女を斬る理由が出来ましたので」チャキ

あんじゅ「あら、理由なんていくらでも増やしてあげるわ」

あんじゅ「ほら」ドサドサッ

海未「希、凛……!?」

千歌「そ、そんな……!」


最期にリリホワを待ち受ける運命とは!


千歌「千歌は貴女も救いたいんだ……」

あんじゅ「……!」



「劇場版 新人魔導士の高海千歌!」

coming soon…

121: (庭) 2021/08/03(火) 21:18:17.69 ID:FVCH91Pj
おわりです


急に忙しくなって書く時間が確保できそうにないので打ちきりエンドになりました
ここまで読んでくれた方に感謝

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1627526833/

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