【SS】海未「部室で…」にこ「その5?」

SS


3: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:09:49.16 ID:eCN1mqwC.net
「うーみちゃん♪」

不意に聞こえた私を呼ぶ声。

その声には聞き覚えがあり放課後になった今、二年生の教室へ来たのかと辺りを見渡しました。

しかし、どこにもその姿は見えません。

まぁ、わざわざ二年生の教室に来るなんてことしませんよね?

部室からは離れていますし。

……。

別に期待したわけではありませんよ?
 
4: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:10:51.84 ID:eCN1mqwC.net
「ねぇ、海未ちゃんってば!」

あれ?さっきとは別のところから聞こえました。

うーん、こう何度も聞こえるとは。

実はこの教室にいるのではないでしょうか?

今度こそ、と声がした方へ振り向きましたが、私が探している人はどこにもいません。

……。

幻聴でしょうか?
 
5: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:12:12.72 ID:eCN1mqwC.net
いえ、確かに聞こえたはずです。

あの声は間違いなくにこのものです。間違うはずがありません。

声は聞こえるのに姿は見えない。

穂乃果たちに聞いてみましょうか?

……でも、少し待ってください。

もしですよ。にこがこの場にいなくて、声が聞こえたなんて言ったら穂乃果たちは何を言うでしょうか?

今までの経験上、きっとからかわれるに違いありません。
 
6: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:13:32.46 ID:eCN1mqwC.net
「海未ちゃんさっきからどうしたの?」

「え?」

帰り支度が終わったのでしょうか。

鞄を肩にかけたことりが私の目の前に立っていました。

「きょろきょろしちゃって、誰か探してるの?」

「な、なんでもありませんよ?」

「そう?」

不思議そうな顔をしていますが気にしないことにします。

止まっていた手を動かし帰り支度の再開です。
 
7: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:15:21.26 ID:eCN1mqwC.net
ことりは私のことを待っているのでしょうか?

前から動きませんね。

ことりに尋ねようと顔を上げました。

……。

何やら楽しそうですね。

ニコニコと笑顔を私の方へと向けています。

いつもはにかんでいることが多いことりですが、この笑みはいたずらを企んでいるときの顔ですね。

はぁ…。いったい何を考えているのやら。私には分かりませんが。
 
8: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:17:01.83 ID:eCN1mqwC.net
「だーれだっ♪」

……えっ?

声がしたと思ったら視界が遮られました。

これは一体…。

「くすっ♪誰だと思う?」

目を隠される時に聞こえた声とは違う声です。

……なるほど。誰が目を隠しているか当てればいいのですね。

それでは、考えてみましょうか。
 
9: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:18:20.97 ID:eCN1mqwC.net
ことりは直前まで私の前にいましたので除外です。

となると、先ほどから姿が見えない穂乃果ということに…。

……でも、この教室にはすでに来ていて、目隠しはにこがしているという可能性もありますね。

うーん、思ったより難しいです。

ここは私の直観に賭けてみましょうか。

「えっと……にこ、ですか?」

そう答えると、あちらこちらから聞こえた三つの声が消えて静かになりました。
 
10: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:19:52.55 ID:eCN1mqwC.net
あれ?もしかして間違えました?

あの…答えた後に静かだと不安になるのですが。

それに、なぜかドキドキしてきましたよ。

「あ、あの…誰でしょうか?」

耐えかねた私は思わず声を上げます。

「あったりー!正解ニコ♪」
 
11: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:21:50.36 ID:eCN1mqwC.net
……。

はぁ…。当たって良かったです。

一つため息をつき、気付かれないようにそっと胸を撫で下ろしました。

しかし、一体にこはどこから現れたのでしょうか?

この教室に隠れることができる場所なんてほとんどないと思いますが。

不思議ですね。

……穂乃果が協力していたということならば話は別ですけどね。

「うーん、なんで分かったんだろ?」

「だって海未ちゃんだよ?当たり前ニコ♪」

……。
 
12: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:23:41.83 ID:eCN1mqwC.net
まぁ、いいですけど。

二人が楽しそうにしているなら、野暮な考えは止めにしましょうか。

「ねっ♪海未ちゃん」

「はい、そうですね」

ご機嫌にウインクをするにこ。

とはいえ、当てることができてよかったです。本当に。

間違えていたら不機嫌モードになっていたかもしれません。
 
13: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:26:02.89 ID:eCN1mqwC.net
「ところでにこはどうしてここに?」

私としては些細な疑問からの質問でした。

何か用事でもあるようにはとても見えないのですが。

しかし、この一言がまた周りを静かにしてしまう破目になったのです。

「えっ?海未ちゃん?」

穂乃果は驚きを隠せないようで。

「……」

ことりにいたっては私のことを冷たい目で見てきます。

そしてにこは……。
 
14: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:27:29.21 ID:eCN1mqwC.net
小さく頬を膨らませてムスッとした表情。

あ、あれれ?なんでしょうか?

何かいけないことでも言いましたか?

「本当に海未ちゃんは……」

「えっ?な、なんですか?」

何か言いたげなことりでしたが、それ以上は何も言わずにこのところに行ってしまいます。

「あ、あの…」
 
15: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:29:08.32 ID:eCN1mqwC.net
「ねえ、海未ちゃん。にこちゃんのところに行ってあげてよ」

その場で動かない私の業を煮やしたのか、背中をぐいぐい押してきます。

「は、はい?」

「ほらっ!」

「ほ、穂乃果?、そんなに押さないでください!」

そうしてにこの前まで押されてきました。

「せーのっ」

「あっ、ちょっ…」
 
16: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:31:15.68 ID:eCN1mqwC.net
最後にひと押し。

これが思っていたよりも強くて、私はにこに抱き着くような形になっていました。

「す、すみません。大丈夫で……」

にこはそっぽを向いていますが、私はそれどころではありませんでした。

お互いの顔が近くにあって、あと少し近づけば触れてしまうぐらいです。

「……」

「……」
 
17: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:32:45.24 ID:eCN1mqwC.net
離れるべきなのでしょうけど、この時の私は身動きが取れませんでした。

ずっと、ずっとにこの顔を見つめて……。

「…こほん」

気が付くと軽く咳払いをした穂乃果がにやにやとこちらを見ていました。

隣にいることりも同じです。

「仲睦まじいですねぇ」

「か、からかわないでくだ――」

言い終わらないうちにぐいっと袖を引っ張られました。
 
18: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:33:59.25 ID:eCN1mqwC.net
「えっ?に、にこ!?」

何も言わないにこに私はされるがまま。

袖を握られてずるずると引きずられます。

何が起こっているのか分からない私は二人を見ますが、ただ手を振って見送っているだけです。

「にこ、一体どうしたのですか?」

私の声は届かないようでそのまま教室を出ました。
 
19: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:35:06.88 ID:eCN1mqwC.net
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「あ、あの、にこ…」

さっきからにこのことを呼んでいるけど聞いてないふりをしてる。

海未ちゃんから見れば、今のにこって怒っているように見えているのかな?

どうしたらいいのか分からないみたいで、海未ちゃんは戸惑っているみたい。

こんな海未ちゃん見たことなかったなぁ。

ふふっ♪また海未ちゃんの新しい顔が見れた♪
 
20: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:37:01.39 ID:eCN1mqwC.net
まぁ、確かにあんな態度を見せれば怒ってるって思われても仕方ないか。

…でもね。本当は全然怒ってないんだよ?

ただ、穂乃果ちゃんとことりちゃんでちょっとした悪戯をしているだけで。

困ってる海未ちゃんも可愛いけれど、こんなお互いに話さない状態になっちゃってるのは少し辛い。

だから今すぐにでも謝りたい。でも、謝ったら穂乃果ちゃんやことりちゃんに怒られちゃうし。

あ~あ。あんなこと相談するんじゃなかった。

はぁ…これ、どうすればいいんだろう。
 
21: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:38:13.49 ID:eCN1mqwC.net
このまま部室に行けばいいらしいけど、正直この空気にもう耐えられないかも。

これ以上は海未ちゃんをいじめたくないし。

「何でもしますから機嫌を直してくださいよ」

……あっ。

本当に言った。

まさかあの二人の言うとおりになるなんて。

「何でも?」

立ち止まってさっき海未ちゃんが言ったことを言ってみる。
 
22: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:40:10.56 ID:eCN1mqwC.net
「は、はい。…何でもですが、私にできる範囲で、ですよ?」

「何でも……か」

もう一度復唱する。

海未ちゃんがこのことを忘れないようにするために。

そして、じっと海未ちゃんの目を見つめる。

こうやって見つめるのは少し照れちゃうけどここは我慢我慢。

「な、なんでしょうか?」
 
23: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:41:43.82 ID:eCN1mqwC.net
先に耐え切れなくなったのは海未ちゃん。

視線をそらして正面から顔を見られないようにしている。

少し顔を赤くしてる。照れてるのかな?もうっ、可愛いんだから♪

くししっ♪負けだね、海未ちゃん。

「それじゃあ……キス、して?」

「……はい?」
 
24: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:43:21.85 ID:eCN1mqwC.net
きょとんとした顔。…ちょっと面白いかも。

もう一度言ってみようかな。

「キ・ス、してって言ったの」

海未ちゃんの唇に触れてぷにぷにって押してみる。

や、柔らかい…。

それに、唇に気を取られて気付かなかったけど、みるみるうちに赤くなっていく海未ちゃん。

なんだか震えている?ような。

「そ、そんなこと…できるわけないじゃないですか!」
 
25: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:45:11.62 ID:eCN1mqwC.net
どっかーん。

ついに爆発しちゃったみたい。

うぅ…。大きな声で耳がキーンってしてる。

「で、でも、何でもって言ったよ?」

「それは……そう、ですけど…」

言ったことを後悔しているみたいで俯いてしまった。

「海未ちゃん?」
 
26: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:46:43.51 ID:eCN1mqwC.net
少し心配になって覗き込んでみると、

「ここでですか?」

「え?」

「ここですればいいのですか?」

……えっ?

さっきまでの海未ちゃんと雰囲気が違う?

覚悟を決めたと言わんばかりに強い口調でにこのことを追い込んでくる。
 
27: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:48:34.58 ID:eCN1mqwC.net
そんな海未ちゃんの気迫に押されて後退ってしまう。

にこが一歩下がるごとに海未ちゃんが一歩踏み込む。

ついには壁際まで追い込まれてしまった。

「にこ……」

えっ?ちょっと!?

ここでしちゃうの!?

ここって廊下だよ?

見てる人がいるかもしれないんだよ?

とか言ってみようとするんだけど、近づいてくる海未ちゃんに思わず目を閉じてしまう。
 
28: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:51:07.52 ID:eCN1mqwC.net
……。

あ、あれ?

来ない?

「さすがにここではできませんよね」

目を開けると困ったような残念そうな顔を見せていた。

はぁ……。

にこが予想だにしなかった海未ちゃんの行動に緊張しちゃった。

でも、安心したのもつかの間。

何か違和感を感じる。
 
29: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 21:54:29.73 ID:eCN1mqwC.net
ふと袖を見ると海未ちゃんに握られていた。

「えっと、海未ちゃん?これは何かな?」

「行きますよ?」

「ど、どこに?」

「決まっているじゃないですか。部室ですよ。……」

そう言うとずるずるとにこを引きずりながら歩き出した。

……ん?

最後のほう、何て言ったの?
 
30: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:06:05.12 ID:eCN1mqwC.net
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

さて、部室の前まで来ましたが……。

はぁ…、一体どうすればいいのでしょうか。

にこに唇を押された辺りまでは覚えているのですが、それからの記憶が曖昧というか。

あの時はつい頭が熱くなったというか。

冷静になって考えてみると、かなり恥ずかしいことをしていましたよね?私。
 
31: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:08:27.11 ID:eCN1mqwC.net
でも、にこも悪いと思うのです。

あんなふうに煽ってくるから。

何ですか。キ・スしてって。

上目遣いで見てきて指で私の唇を触って、挙句おねだりなんて。

可愛いに決まってるじゃないですか。

あれに抗うなんて私にはできません。
 
32: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:10:40.31 ID:eCN1mqwC.net
「海未ちゃん?どうかした?」

にこの前にいるので振り返らない限り様子を見ることはできませんが、不思議そうな顔をしているでしょうね。

私が部室の前で動かないから当然ですよね?

この流れだと私がにこにキスをすることはもはや必然。

避けようのない事です。

ならば、覚悟を決めましょう。

それに私が言い出したのです。

「覚悟、していてくださいね?」
 
33: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:12:56.43 ID:eCN1mqwC.net
「えっ?」

何を言っているのか分からないような顔をしていますね。

私も自分で何を言っているのか分かりません。

でも、これで自分の逃げ場を失くしました。

あとは前へ進むのみです。

一つ、深呼吸していつもより重く感じるドアを開けました。
 
34: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:15:16.93 ID:eCN1mqwC.net
中の電気は点いてなく誰もいないようです。

少しだけ中に誰かいて欲しいという望みはありましたが、こうもあっけなく消え去るとは。

何故か誰かの手の平で踊らされているような、そんな気がしてきます。

しかし今はそんな考えは止めておきましょう。

決めた覚悟が揺らいでしまいます。

もう勢いでするしかありません。
 
35: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:17:23.46 ID:eCN1mqwC.net
にこが中に入りドアが閉まることを確認して。

ドンッ…。

「ひゃっ!?」

にこの肩を掴みドアに押し付けました。

「すみません。痛かったですか?」

「……ちょっとだけ」

なんて言ってみますが、心配する素振りを見せるだけ。

今の私にそんな余裕などありません。

これから自分がしようとしていることに、恥ずかしさで潰れそうになっているのですから。
 
36: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:19:22.06 ID:eCN1mqwC.net
にこの反応を伺いたいところですけど、暗くてどんな顔をしているかは分かりません。

赤く染めているのでしょうか?

それとも泣いているとか?

無表情?

いずれにしてもこの暗闇の中、目が慣れてくるまではむやみに動けません。

でもこのまま何もしないのも変ですよね。

「にこ、これで逃げれませんよ?」
 
37: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:21:16.56 ID:eCN1mqwC.net
「……」

「ここなら誰にも見られることはありませんし大丈夫ですよね?」

「……」

「……にこ」

~~っ!

何か話してくださいよぉ!

ものすごく恥ずかしいじゃないですか!

何ですか?逃げれませんよって!

海未、あなたはそんなことを言う人間でしたか!

もう……もう、恥ずかしさで死にそうです…。
 
38: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:24:11.95 ID:eCN1mqwC.net
……とか何とかしているうちに目が闇に慣れてきましたね。

落ち着いてなんてできるわけがないのですが、ずっと無言でいるにこの様子が気になります。



……!

ぼんやりと見えてきた目の前の様子に思わず喉を鳴らしてしまいました。
 
39: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:26:04.76 ID:eCN1mqwC.net
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ヤバい。ヤバいヤバい、ヤバい!

すごくドキドキしてる。

中に入ったと思ったらドアに押さえつけられるし、動こうにも海未ちゃんが押さえてるし。

暗くて海未ちゃんの顔なんか分かんないし、いつしてくるのか分かんない。

何か喋ってるみたいだけどドキドキがうるさくて何も聞こえないよぉ。

顔なんかもう熱くて、胸が苦しくて、このままだとにこ、壊れちゃうかも……。
 
40: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:28:00.71 ID:eCN1mqwC.net
でも、これはにこが仕掛けた事なんだし、それに……し、して欲しかったことだし?少しは頑張らないと!

それにこの暗闇にもようやく慣れてきて海未ちゃんの顔が見えてきた。

少しほっとして声を出そうとした。だけど、だけど!

そこにはギラギラ光る二つの何かがにこのことをずっと見ていて引っ込んでしまう。

うぅ……。

もう…泣きたいよぉ……。
 
41: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:30:05.17 ID:eCN1mqwC.net
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

……っ。

顔を赤く染めて潤んだ紅い瞳が私のことを見上げています。

先ほどみたいに血が上り、呼吸もいつも通りにできません。

もう何を考えればよいのか…。

思考が停止しかけている中、意識が集中していたのはにこの口元です。

「にこ……」

ぽつり、そう呟くとにこの顔が近づいてきます。
 
42: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:33:08.94 ID:eCN1mqwC.net
……いえ。

そうではありません。

にこは私が押さえているので動けるわけがないのです。

ということはつまり、私が近づいているということになります。

普段なら絶対にありえない事だと思いますが、考えることを放棄した私にとって容易いことでした。

にこも私が近づくことを感じ取ったのか、交わっていた視線が私からの一方通行。

目を閉じて小さくなっています。
 
43: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:35:01.70 ID:eCN1mqwC.net
お互いに触れ合う吐息が熱い。

もうこれだけでおかしくなりそうです。

そして……。

にこの唇に着地しました。

ただ触れるだけのキスです。

仄かに香る甘い匂いに柔らかい感触、でも少しだけ押し返してきて跳ね返される。

一瞬だけで思考回路が焼き切れそうです。
 
44: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:36:30.36 ID:eCN1mqwC.net
「あ、あの…どうでしたか?」

「……うん、よかった」

詳しいキスの仕方が分からないので、この評価に安堵します。

しかし、油断したのが悪かったのでしょうか。

気が付けばにこが胸の中に飛び込んでいるではありませんか。

「えっ?に、にこ?」
 
45: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:37:56.38 ID:eCN1mqwC.net
「……」

何か小さく言っていますがよく聞こえないです。

というか、少しくすぐったいです。

「ねぇ…その、もう一回」

「……っ」
 
46: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:40:17.51 ID:eCN1mqwC.net
なんでそんな蕩けた顔をしているのですか。

なんでそんな甘い声で囁くのですか。

こんなの抗えるわけがないでしょう。

「……だめ?」

……。

僅かにあった理性の糸が完全に切れた音がしました。

「もう…知りませんからね」

「…うん」
 
47: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:42:32.84 ID:eCN1mqwC.net
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

帰り道。

ご機嫌な海未ちゃんを他所に、にこはキスをおかわりしたことに後悔していた。

あの後、たぶん十分くらいずっとしていたと思う。

おかげで今も唇が熱い。

それにしている時に、自分でも聞いたことが無い声が聞こえて…。

その、すごく恥ずかしかった。
 
48: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:44:05.61 ID:eCN1mqwC.net
「にこ?どうしました?」

くっ。な、何て眩しい笑顔。

それになんか艶々してるし。

……むぅっ。なんでそんなに余裕な顔してるのかな。

こっちはすごく恥ずかしかったのに。

……今もだけど。
 
49: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:46:11.24 ID:eCN1mqwC.net
お返しとばかりにつないでいた手を強く握り返す。

ぎゅ~って。

でも、海未ちゃんは不思議そうな顔を少し覗かせるだけで、またさっきの嬉しそうな顔に戻っちゃった。

……。

はぁ…。どうしよう。

穂乃果ちゃんとことりちゃんに何て報告しよう。

あぁ…憂鬱。
 
51: (きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 22:49:38.79 ID:eCN1mqwC.net
以上です
一応続きものですけど前作は見なくても大丈夫です
それでは、失礼します
 
52: (茸)@\(^o^)/ 2016/01/25(月) 23:01:21.59 ID:TEmcgH3h.net
GODにこでのにこうみとは…
神か
 

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1453723529/

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