1: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 18:47:33.70 ID:H3Xk0I2O
『奪いに来てよ!』
親切心と性愛を混同するほど少女じゃないって思ってたけど、あの時から確かに私は――
親切心と性愛を混同するほど少女じゃないって思ってたけど、あの時から確かに私は――
2: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 18:50:01.84 ID:H3Xk0I2O
放課後_
かのん「すみれちゃん、おまたせー」
すみれ「もう、待ったったら待ちくたびれたわ」
かのん「これでも急いで委員会終わらせてきたんだけど……」
すみれ「他のメンバーは終わって、今日はあんたの居残り練習なんだからね」
かのん「はーい。今日はよろしくね、すみれちゃん」
かのん「すみれちゃん、おまたせー」
すみれ「もう、待ったったら待ちくたびれたわ」
かのん「これでも急いで委員会終わらせてきたんだけど……」
すみれ「他のメンバーは終わって、今日はあんたの居残り練習なんだからね」
かのん「はーい。今日はよろしくね、すみれちゃん」
3: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 18:54:23.07 ID:H3Xk0I2O
ことの発端は今年の初め、去年の東京予選でサニーパッションに負けてから数日後―
千砂都「私と可可ちゃんでこないだの予選、分析してみたんだけど……」
可可「歌やダンス、演出ではサニパのお二人には全然負けてませんでシタ」
すみれ「でも負けたじゃない。実際」
恋「ほかに負けた要因があった、というのですか?」
可可「ずばり、フォロワー数デス!」
千砂都「サニーパッションは大会前から、ううん結成した直後から自分たちのことだったり、島のことを配信してたの」
すみれ「コツコツ知名度とファンを獲得していったってわけね」
かのん「私たちは最初に上げたきり……」
千砂都「だから予選で2位になった今、改めて配信で全国のファンを獲得する!」
恋「なるほど」
すみれ「だったらショービジネスにビタビタに浸った私が前に出る時ね!」
可可「なら去年から前に出やがれデス」
すみれ「っさい!」
千砂都「私と可可ちゃんでこないだの予選、分析してみたんだけど……」
可可「歌やダンス、演出ではサニパのお二人には全然負けてませんでシタ」
すみれ「でも負けたじゃない。実際」
恋「ほかに負けた要因があった、というのですか?」
可可「ずばり、フォロワー数デス!」
千砂都「サニーパッションは大会前から、ううん結成した直後から自分たちのことだったり、島のことを配信してたの」
すみれ「コツコツ知名度とファンを獲得していったってわけね」
かのん「私たちは最初に上げたきり……」
千砂都「だから予選で2位になった今、改めて配信で全国のファンを獲得する!」
恋「なるほど」
すみれ「だったらショービジネスにビタビタに浸った私が前に出る時ね!」
可可「なら去年から前に出やがれデス」
すみれ「っさい!」
4: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 18:59:40.04 ID:H3Xk0I2O
というわけで、私、平安名すみれが配信係としてメイク動画を上げることになったんだけど……
すみれ「かのんもまずは映えメイクからね」
かのん「私メイクって普段リップくらいで……」
すみれ「安心しなさい。可可以外の3人もそんなもんだったから」
そう言って、部室の一角に作ったお手製ドレッサーの前に私はかのんを座らせた
かのん「すごい!これ全部すみれちゃんの私物?」
すみれ「ま、ショービジネスなら当然よ」
メイクしやすいようにかのんの髪を結うと、ふわっとハーブ系の香りがした
いい香り……かのんって前癖っ毛気にしてたけど、どんなシャンプー使ってるのかしら
かのん「ごめんね。私癖っ毛だからまとめにくいでしょ」
すみれ「ま、髪の方はまた今度教えるわ」
かのん「ありがとうすみれちゃん!私髪伸ばして待ってる!」
鏡越しにキラキラした目で見てくる……可愛いったら可愛すぎるのよ!
すみれ「かのんもまずは映えメイクからね」
かのん「私メイクって普段リップくらいで……」
すみれ「安心しなさい。可可以外の3人もそんなもんだったから」
そう言って、部室の一角に作ったお手製ドレッサーの前に私はかのんを座らせた
かのん「すごい!これ全部すみれちゃんの私物?」
すみれ「ま、ショービジネスなら当然よ」
メイクしやすいようにかのんの髪を結うと、ふわっとハーブ系の香りがした
いい香り……かのんって前癖っ毛気にしてたけど、どんなシャンプー使ってるのかしら
かのん「ごめんね。私癖っ毛だからまとめにくいでしょ」
すみれ「ま、髪の方はまた今度教えるわ」
かのん「ありがとうすみれちゃん!私髪伸ばして待ってる!」
鏡越しにキラキラした目で見てくる……可愛いったら可愛すぎるのよ!
5: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:04:02.87 ID:H3Xk0I2O
すみれ「ところで化粧水は何使ってるの?」
かのん「う~ん……確か今はちふれのだった気がするけど、あんまりこだわってないかな」
すみれ「ふーん」
かのん「え゛っ?もしかして肌ヤバい?」
すみれ「冗談よ。肌荒れ用にいくつかコンシーラー持ってきたけど、いらなかったわね」
かのん「うわ、本当にいろいろ持ってるんだ」
すみれ「これくらいなら当然よ」
かのん「へー」
すみれ「……こ、今度一緒に買いに行かない?二人で」
言っちゃったったら言っちゃったのよー!!これもうデートよデート!
かのん「いいよ。すみれちゃんのメイクで大人っぽくなったら、ちぃちゃんビックリするだろうなぁ」
………………
すみれ「も、もちろん!“プチプラの平安名”の実力見せてあげるわ!」
……やっぱり、そうよね……
かのん「う~ん……確か今はちふれのだった気がするけど、あんまりこだわってないかな」
すみれ「ふーん」
かのん「え゛っ?もしかして肌ヤバい?」
すみれ「冗談よ。肌荒れ用にいくつかコンシーラー持ってきたけど、いらなかったわね」
かのん「うわ、本当にいろいろ持ってるんだ」
すみれ「これくらいなら当然よ」
かのん「へー」
すみれ「……こ、今度一緒に買いに行かない?二人で」
言っちゃったったら言っちゃったのよー!!これもうデートよデート!
かのん「いいよ。すみれちゃんのメイクで大人っぽくなったら、ちぃちゃんビックリするだろうなぁ」
………………
すみれ「も、もちろん!“プチプラの平安名”の実力見せてあげるわ!」
……やっぱり、そうよね……
6: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:08:58.58 ID:H3Xk0I2O
かのん「すみれちゃん?」
すみれ「えっ?な、なんでもないわ。ファンデは薄く延ばせばいいわ」
またやっちゃうところだったわ……。かのんは気づいてなかったみたいだけど……
すみれ「さ、次はアイメイクね」
かのん「目かー。私つり目気味だから優しい目元にしてほしいな」
すみれ「それも“プチプラの平安名”に任せなさい」
すみれ「つり目を修正したいっていうけど、変えるなら眉からよ」
すみれ「かのんの場合、はっきりした眉だから余計つり目の印象が濃くなるのよ」
かのん「なるほど……」
すみれ「だからパウダー系のアイブロウでライン描いてぼかす」
かのん「うんうん」
すみれ「そうすれば優しい印象になるわ」
かのん「今度やってみよう」
すみれ「やってみようじゃなくてやるのよ。一人で。配信で」
かのん「うっ……そうでした」
すみれ「えっ?な、なんでもないわ。ファンデは薄く延ばせばいいわ」
またやっちゃうところだったわ……。かのんは気づいてなかったみたいだけど……
すみれ「さ、次はアイメイクね」
かのん「目かー。私つり目気味だから優しい目元にしてほしいな」
すみれ「それも“プチプラの平安名”に任せなさい」
すみれ「つり目を修正したいっていうけど、変えるなら眉からよ」
すみれ「かのんの場合、はっきりした眉だから余計つり目の印象が濃くなるのよ」
かのん「なるほど……」
すみれ「だからパウダー系のアイブロウでライン描いてぼかす」
かのん「うんうん」
すみれ「そうすれば優しい印象になるわ」
かのん「今度やってみよう」
すみれ「やってみようじゃなくてやるのよ。一人で。配信で」
かのん「うっ……そうでした」
7: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:13:36.43 ID:H3Xk0I2O
すみれ「目尻にはアイシャドウを引いて下げる。下まぶたにも同じシャドウを引いてラインをぼかせば……どう?」
かのん「すごい!自分じゃないみたい!」
すみれ「ふふっ、そうでしょう。今日はブラウンのアイシャドウを使ったけど、赤系を使うと流行りの韓国風になるわね」
かのん「マスカラは?マスカラは使わないの?」
すみれ「今回はつけなかったけど、つけるなら下まつ毛だけにしときなさい。垂れ目に見えるから」
かのん「わぁ~……すみれちゃんはやっぱりすごいなぁ」
すみれ「褒めても何も出ないわよ」
かのん「だってファンデとか手の甲に置いてから塗るの、すごいプロっぽいなーって」
すみれ「何?裏方の方が向いてるって言いたいわけ?」
かのん「あ、違っ……。そういう意味で言ってわけじゃなくて……」
すみれ「冗談よ」
こうやって冗談を言い合える関係も嫌いじゃない、というか心地いいけど私はもっと――
かのん「すごい!自分じゃないみたい!」
すみれ「ふふっ、そうでしょう。今日はブラウンのアイシャドウを使ったけど、赤系を使うと流行りの韓国風になるわね」
かのん「マスカラは?マスカラは使わないの?」
すみれ「今回はつけなかったけど、つけるなら下まつ毛だけにしときなさい。垂れ目に見えるから」
かのん「わぁ~……すみれちゃんはやっぱりすごいなぁ」
すみれ「褒めても何も出ないわよ」
かのん「だってファンデとか手の甲に置いてから塗るの、すごいプロっぽいなーって」
すみれ「何?裏方の方が向いてるって言いたいわけ?」
かのん「あ、違っ……。そういう意味で言ってわけじゃなくて……」
すみれ「冗談よ」
こうやって冗談を言い合える関係も嫌いじゃない、というか心地いいけど私はもっと――
11: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:20:06.89 ID:H3Xk0I2O
すみれ「最後はリップね。今日はナチュラルに行くからシアーの……って何してんの?」
かのん「え?だってリップ塗ってくれるからスタンバイを……」
すみれ「唇尖らせたら逆にやりにくいから普通にしてて」
かのん「すずめになろうか?」
すみれ「しなくていいって」
すずめ口にしてるかのんを想像してちょっと顔がほころぶ
もし付き合ってたらこのままキス、するんだろうな……
そんなことを思いながら私はマリーゴールド色のリップをかのんの唇に乗せていく
すみれ「かのんの唇柔らかい……」
やばっ!今の聞かれたわよね
かのん「んー?そうかなぁ……。ちぃちゃんのほうが柔らかかったよ」
すみれ「え…………」
やっぱりあの子なのね……
私より付き合いが長くて、私よりダンスがうまくて、私より要領がよくて、私より人当たりがよくて、私より――
かのん「え?だってリップ塗ってくれるからスタンバイを……」
すみれ「唇尖らせたら逆にやりにくいから普通にしてて」
かのん「すずめになろうか?」
すみれ「しなくていいって」
すずめ口にしてるかのんを想像してちょっと顔がほころぶ
もし付き合ってたらこのままキス、するんだろうな……
そんなことを思いながら私はマリーゴールド色のリップをかのんの唇に乗せていく
すみれ「かのんの唇柔らかい……」
やばっ!今の聞かれたわよね
かのん「んー?そうかなぁ……。ちぃちゃんのほうが柔らかかったよ」
すみれ「え…………」
やっぱりあの子なのね……
私より付き合いが長くて、私よりダンスがうまくて、私より要領がよくて、私より人当たりがよくて、私より――
14: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:25:25.26 ID:H3Xk0I2O
かのん「すみれちゃん?何かあった?」
すみれ「な、なんでもないったら何でもないわ!」
もう耐えられない。このまま逃げだしたくなる。話し戻さなきゃ
すみれ「できあがりよ。どう?メイクした自分は?」
かのん「綺麗……」
すみれ「かのんは元が綺麗なんだから当然よ」
かのん「ありがとう、すみれちゃん!」
すみれ「いい?来週の本番までにこのメイクを練習してきなさいよ?」
かのん「わかった。頑張る」
すみれ「ねえかのん……」
かのん「ん?やっぱり悩み?」
今ここであの子との関係を聞くべきじゃない、それはもう終わってしまうから
すみれ「もし、もしもの話よ?もし片思いしてる相手が違う子を好きだったらどうする?」
すみれ「な、なんでもないったら何でもないわ!」
もう耐えられない。このまま逃げだしたくなる。話し戻さなきゃ
すみれ「できあがりよ。どう?メイクした自分は?」
かのん「綺麗……」
すみれ「かのんは元が綺麗なんだから当然よ」
かのん「ありがとう、すみれちゃん!」
すみれ「いい?来週の本番までにこのメイクを練習してきなさいよ?」
かのん「わかった。頑張る」
すみれ「ねえかのん……」
かのん「ん?やっぱり悩み?」
今ここであの子との関係を聞くべきじゃない、それはもう終わってしまうから
すみれ「もし、もしもの話よ?もし片思いしてる相手が違う子を好きだったらどうする?」
15: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:29:38.06 ID:H3Xk0I2O
かのん「う~ん……って、三角関係!?っていうか不倫!?」
すみれ「だから例えばの話よ!」
かのん「う~ん……私だったら相手のこと考えちゃって、身を引くかなぁ」
すみれ「やっぱり、そうよね……」
かのんがそう言うなら、身を引くべきよね。ありがとう、かのん
かのん「でも意外だなー」
すみれ「え?」
すみれ「だから例えばの話よ!」
かのん「う~ん……私だったら相手のこと考えちゃって、身を引くかなぁ」
すみれ「やっぱり、そうよね……」
かのんがそう言うなら、身を引くべきよね。ありがとう、かのん
かのん「でも意外だなー」
すみれ「え?」
17: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:35:03.63 ID:H3Xk0I2O
かのん「すみれちゃんならどんなに不利でも『自分の魅力で振り向かせてやるわ!』ってタイプだと思ってた」
すみれ「で、でもそれじゃ好きな人も不幸にさせちゃうし、もう一人の子だって……」
かのん「すみれちゃんは好きな子も、その好きな子も魅了しちゃいそうだなって」
かのん「あっ、そしたらまたドロドロになっちゃうか」
あぁ……そうよ
私の好きな人は相手をよく見てくれる。私よりもずっと……
かのん「それにさ、私そんなすみれちゃんのことを思って作ったんだよ?ノンフィクション」
すみれ「かのん……」
なんだか暗闇の中にあった私の心にひとつ、星がともった気がした
すみれ「で、でもそれじゃ好きな人も不幸にさせちゃうし、もう一人の子だって……」
かのん「すみれちゃんは好きな子も、その好きな子も魅了しちゃいそうだなって」
かのん「あっ、そしたらまたドロドロになっちゃうか」
あぁ……そうよ
私の好きな人は相手をよく見てくれる。私よりもずっと……
かのん「それにさ、私そんなすみれちゃんのことを思って作ったんだよ?ノンフィクション」
すみれ「かのん……」
なんだか暗闇の中にあった私の心にひとつ、星がともった気がした
20: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:40:23.63 ID:H3Xk0I2O
かのん「すみれちゃん、今の話やっぱり……」
すみれ「だから違ったら違うわよ!」
ありがとう、かのん
すみれ「もうこの話は終わり!」
かのん「すみれちゃんが振ってきたのに!」
もう悩まない
すみれ「あ!なら、これあげるわ。話聞いてくれたお礼に」
私は――
かのん「なになに?」
かのん「えっ!?これさっきのリップ?いやいや、もらえないよ」
すみれ「言ったでしょプチプラの安物だって。これでメイクの練習に使って」
かのん「ありがとう!私頑張ってみる」
すみれ「そうね……上達したらもっといいのプレゼントするわ」
私はかのんが好き!!
すみれ「だから違ったら違うわよ!」
ありがとう、かのん
すみれ「もうこの話は終わり!」
かのん「すみれちゃんが振ってきたのに!」
もう悩まない
すみれ「あ!なら、これあげるわ。話聞いてくれたお礼に」
私は――
かのん「なになに?」
かのん「えっ!?これさっきのリップ?いやいや、もらえないよ」
すみれ「言ったでしょプチプラの安物だって。これでメイクの練習に使って」
かのん「ありがとう!私頑張ってみる」
すみれ「そうね……上達したらもっといいのプレゼントするわ」
私はかのんが好き!!
21: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:44:27.31 ID:H3Xk0I2O
四人が私のとこに初詣に来たあの日、実はもう一つお願いしてたの
『好きな人と距離が縮まりますように』
つい数日前のことだけど、その時の私はその程度の願いで十分だった
でも今は違う
いつか絶対、私の虜にしてみせるんだから!!
終わり
『好きな人と距離が縮まりますように』
つい数日前のことだけど、その時の私はその程度の願いで十分だった
でも今は違う
いつか絶対、私の虜にしてみせるんだから!!
終わり
22: (もんじゃ) 2022/02/06(日) 19:48:03.20 ID:H3Xk0I2O
ありがとうございました
俺以外にも拗らせ百合が好きなやつがいると思って書きました
俺以外にも拗らせ百合が好きなやつがいると思って書きました
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1644140853/