【SS】恋「私、A〇に出ることにします…」かのん「ええっ！？」act.2【ラブライブ！スーパースター!!】

かのん「そんなのダメだよ恋ちゃん！」ｶﾞﾀｯ

千砂都「そうだよ！ 自分を大事にしないと！」ｼｭﾊﾞｯ

すみれ「お金がないの？ 家に来たらご飯くらい出すわよ！？」ｷﾞｬﾗｯ

可可「AVとは一体なんのことデスか？」

恋「アニマルビデオのことです」

かのん「そうそう、アニマル…」

かのん・千砂都・すみれ「え」
　

すみれ「アニマルビデオ！？」ｶﾞｰﾝ

かのん（動物と触れ合う映像ってこと？）ﾋｿﾋｿ

千砂都（今時ビデオとか言うんだ…！）ﾋｿﾋｿ

可可「アニマルビデオ！ 動物と触れ合う映像デスか？」

可可「それともドキュメンタリーのようなものデショウカ？」

恋「どうも動物と触れ合う類のようです。可愛いワンちゃんが出ないかと期待してるんですよ」

恋「ところで、アニマルビデオのアルバイトはそんなにきついものなんですか？」

かのん・千砂都・すみれ「…///」
　

可可「動物たちと触れ合える一石二鳥のアルバイト…ｽﾊﾞﾗｼｲデス！」

可可「レンレン、私もアルバイトして良いデスか？」

恋「えっ！？ どうでしょう…確認してみますね」

恋「…もしもし…」

恋「お話したら『無問題ラ！ むしろ是非来て頂戴』とのことでした！」

可可「ら？」

恋「撮影日は週末です。一緒に頑張りましょう、可可さん！」

可可「楽しみデス！」

かのん・千砂都・すみれ「…」
　

千砂都「週末、可可ちゃんと恋ちゃんはアルバイトかぁ」ｺﾞｸｺﾞｸ

すみれ「アンタたちは一緒にやらないの？」ﾁｭｰ

かのん「出来ないよ…。『AV』って聞いて即そういうイメージが浮かんだ心汚れた私たちには」

千砂都「…だよね」

すみれ「これが大人になるってことなのね」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

かのん「違うと思うよ」ｶﾌﾟﾘ


？？「週末の例の撮影、女子高生の演者が一人追加になったわ」TEL

？？「ええ、ええ…。その子もスクールアイドルらしいからスタイルは問題ないわね」TEL

かのん「…」
　

千砂都「かのんちゃん？」

かのん「ｼｯ！ お隣さんの電話…ちょっと気になるんだ」


？？「けど、その子も酷よね。まさか騙されているとも知らずに」TEL

？？「今時、『AV』がアニマルビデオなわけないじゃない」TEL

？？「当日は急に　　　れて驚くことになるのよ…」TEL


かのん「！？」

すみれ「この人…まさか！？」

千砂都「AVだと思ったらAVじゃないと思ったらやっぱりAVだった…ってこと！？」
　

かのん「…どうしよう」ｶﾞｸﾌﾞﾙ

すみれ「このままじゃ、可可と恋がAVな方のAVに出演させられちゃうわ」

千砂都「本人たちに言って、バイトやめてもらう？」

千砂都「それか警察に…」

かのん「いや、相手は反社会的勢力。下手なことしたら電話番号を知られてる恋ちゃんが危ない」

すみれ「じゃあ、どうするったらどうするのよ！」

かのん「行こう、私たちも…」

かのん「私たちが可可ちゃんと恋ちゃんを助けるんだ―――」
　

前日――

かのん「…というわけで、現行犯で抑えるしかないと思うんだ」

千砂都「未成年者にそういうことしたら一発アウトだもんね」

すみれ「けど、スマホとか連絡手段を奪われたら？」

四季「そういう時の為に盗聴器を作っておきました…」

千砂都「さっすが四季ちゃん！」

四季「当日は私とメイがみなさんに取り付けた盗聴器からの情報を聞いておくので」

メイ「マズいと思ったら通報したらいいんだよな」

かのん「うん、よろしく…みんなで可可ちゃんと恋ちゃんを守ろう！」
　

当日――

恋「かのんさんたちまで一緒に来てくれるとは…助かります」

かのん「あはは～、私たちもほら、動物との触れ合いとか興味あるし」

恋「澁谷家にはマンマルがいますもんね」

可可「すみれはどーして来たのデスか？」

すみれ「そ、そりゃあアンタｦﾏﾓﾙﾀﾒﾆ…」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

可可「聞こえまセンヨ？ あー、分かりまシタ」

すみれ「！？」

可可「しょうもないグソクムシグッズにお金をかけて金欠なんデスネ！」

すみれ「違うったら違うー！」

すみれ（ああもうまどろっこしい…！）
　

かのん・可可・すみれ・千砂都・恋「よろしくお願いしまーす」

スタッフ「よろしくお願いね。質問があったらいつでも聞いて頂戴」

スタッフ「葉月さんと唐さんは早速台本を読んで」

恋「ん？ これは…！？」

かのん（嘘の台本なんだろうなぁ）

スタッフ「急遽入った他の3人はとりあえず荷物運びから進めてもらうわ」

スタッフ「でも、演者としての出番もあるかもしれないから準備しといてよね」

すみれ「ひっ！？」ｿﾞｸｯ

かのん「は…はい！」ｿﾞｸｿﾞｸ
　

千砂都「…」

かのん「どうしたの？ ちぃちゃん」

千砂都「いないんだよ」

かのん「誰が？」

千砂都「演者の人。その…可可ちゃんと恋ちゃんの…お相手…///」

千砂都「AVにとって肝心の女優らしい人が見当たらない。ガタイの良い人はたくさんだけど」

かのん「あー、確かに。AV女優って綺麗な人多いもんね。綺麗な人って言えばあのスタッフさんだけど」

スタッフ「カメラの搬入遅いわよー」

かのん「あの人はなんか監督って感じだもんね」

千砂都「まだ来てないだけなのかな…？ それともあっちの倉庫に…？」
　

すみれ「可可、台本ってどんな内容なの？」

可可「台本デスカ？」

すみれ（嘘台本とは分かってるけど気にはなる…）

可可「最初は犬との触れ合いのようデスね。レンレンが喜んでまシタ」

すみれ「あの子犬好きだもんね」

すみれ（その喜びが悦びの顔になるなんて…絶対阻止しないと！）

可可「その後はウサギと…おおっ、カバも出るみたいデスね！」

すみれ「カバ！？」

すみれ「カバ…！？」
　

千砂都「相変わらず恋ちゃんと可可ちゃんは嘘台本に没頭中」

千砂都「疑問点は、まだそれらしい女優の人がいないこと」

すみれ「台本も分からない部分が多いから、バイト作業の合間で探ってみるわ」

四季『定時報告OK。引き続きよろしくお願いします…』

かのん「…」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

千砂都「かのんちゃん、どうしたの？」

すみれ「なんかすごい顔してるけど」

かのん「ちぃちゃんとすみれちゃん、2人の話を合わせるとさ…」

すみれ「もしかして…もしかしてだけど、『動物に　される』ビデオって可能性、あるんじゃない…！？」
　

メイ『え？ それってどういう…』

四季『！！！ メイは知らなくていい…///』

すみれ「―――――――――――！！！」

かのん「マニアックすぎるけど…あるよね？」

千砂都「えー、それは流石に、流石に…」ﾄﾞﾝﾋﾞｷ

すみれ「ある、の…？ 犬とかはともかく、カバに…！？」ｿﾞｸｿﾞｸｯ

かのん「それならわざわざ『アニマルビデオの撮影』って称した理由にもなる…！」

かのん「日本の法律ではまだ、撮影自体は不可能ではないはず…！」

かのん「旧DMMなんかではもう取り扱いはないはずだけどね…！」

千砂都（かのんちゃん詳しいなぁ）
　

かのん「酷い話…」

かのん「感染症とかのリスクを考えたら契約しているプロを起用するのは得策じゃない」

すみれ「いつでも使い捨てられる素人を使えばいいってことね。酷すぎる…！」

スタッフ「ほら、アルバイトの3人ー！」

かのん「は、はい！」

スタッフ「このダンボール運んで頂戴」

千砂都「分かりました」

すみれ「ねぇ、このダンボールの中何？」

千砂都「どうだろう？ 揺らしたらガサゴソいうけど」

かのん「動物のエサとかだったりするかもだね…」
　

ボトッ

かのん「あ、すみれちゃんの箱から何か落ちたよ」

すみれ「ゴメン。拾ってくれてあり――何コレ」

千砂都「綺麗な丸だね！ それになんかコードがついて…」

ブウウウウウウウウウウン

かのん・すみれ・千砂都「震えてるーー！ バイブだこれーーーーー！」

かのん「うわああああああ！ ついにAV撮影って証拠出て来ちゃったよ」

千砂都「こんなに嬉しくない丸は久々だよ…」

すみれ「ねぇ、これどうやって使うの？ まさかカバの…に…」

かのん「うわわわわわわわわわわわわわわわ」
　

スタッフ「さ、それじゃあリハーサルいくわよー！」

かのん「！！」

可可「頑張りましょう、レンレン」

恋「ええ。思っていた内容とは違いましたがこれはこれでやりがいがありそうです」

千砂都「まずいよ…リハーサル始まっちゃう」

すみれ「動物は！？ どこにいるの！？」

かのん「犬とかウサギとかは散歩とかさせてるのかもね。カバは…別撮り？」

千砂都「かのんちゃん」

かのん「うん。今すぐやめさせないと！ 警察に通報とか言ってる場合じゃないよ！」

かのん「じゃないと…」

かのん「2人が犬ウサギカバに　　れたり球型のおもちゃで弄ばれちゃう…！」
　

かのん（四季ちゃんメイちゃん、とりあえず準備しといて）

四季『ＯＫ』

メイ『動物に…そんな世界があるんだぁ///』ｳﾈｳﾈ

かのん「合図したら一斉に、2人を連れて逃げるよ」

千砂都「Ok」

すみれ「ショウビジネスで鍛えた脚力を見せてあげる…！ 可可！ 恋！」


スタッフ「―――どこへ行こうとしてるのかしら？」ﾀﾞﾝｯ…！

かのん「！！！！」ﾋﾞｸｯ
　

スタッフ「やっぱりあなたたちも出演してもらうことにしたわ」

千砂都「あ…あぁ…」

スタッフ「演者は多い方がいいしね。大丈夫、優しくしてあげるから」

スタッフ「私にすべてを委ねなさい――」

すみれ「ひぃっ」

スタッフ「控室に連れてって」

きな子「はいっす！」

夏美「りょーかいですの！」

すみれ「なっ…！？ きな子と夏美！？ あんたたちどうして…！？」
　

きな子「夏美ちゃんに誘われてバイトに来たっす」

夏美「ですの！ 上京したてでお金も必要かなと思って」

千砂都「でも、よりにもよってこんな仕事…！」

すみれ「そうよ！ きな子！ あなたこれがなんの撮影か分かってるの！？」

きな子「そういえば詳しくは聞いてないっすけど…」

きな子「アンアンパンパンするとかなんとかなら聞いたっすね」

かのん「上京したての子を、事情も知らせずこんな撮影に巻き込んでる…！？」

かのん「それは流石にあんまりなんじゃない！？」

夏美「そんなことないですの！ 仕事は仕事！ どんな仕事でもやり遂げるのがアルバイターですの！」

千砂都「！！」
　

夏美「確かに、私はこの撮影がどんなものか知ってますの」

夏美「募集をかける時に嘘をついてることも…」

夏美「でも！ マニーを貰う以上は仕方のないこと、やるしかないんですの！」

千砂都「夏美ちゃん…！」

千砂都（バイト初日からワンオペで回せなんて無理言われたからなんか親近感湧くなぁ…）

すみれ「騙されないで千砂都！？」

かのん「そうだよ！ 反社は相手の心にすぐ付け込むんだから！」

夏美「ええい、御託はいいですの！ 先輩たち、覚悟ー！」

きな子「ごめんなさい、これ被せまーす！」
　

かのん「うわっ、何コレ…」

かのん（何か被された！？ 目隠し！？）

かのん（しかも心なしか臭い！！）

かのん（それに体の方も動き辛い！ 私、何か着せられてる！？ 拘束具！？）

かのん「四季ちゃん、メイちゃん！」

かのん（ダメだ…！ 電波が途切れたか何かで動いてない！）

かのん「くぅっ…！」

かのん（私…私たちも動物たちに　　される…！？）ｿﾞｸｿﾞｸｿﾞｸｯ

かのん「ああああああああああああああああああああああああああ」
　

スタッフ「ほら、目のとこ空けてるから見てみなさい」つ鏡

かのん「え」

夏美「ぷぷ、お似合いですの」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

きな子「最高っす」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

すみれ「これ…」


すみれ「チーズじゃない…アンパンマンの」

千砂都「ウサコちゃん…？」

かのん「私、カバオになってるーーーーー！？」
　

スタッフ「さ、今度こそ　AV(アンパンマンビデオ)　のリハーサル始めるわよー」

すみれ「あ、アンパンマンビデオぉ…！？」

千砂都「どんな略し方なの…」

かのん「全国の親御さんもびっくりだよ…」

恋（アンパンマン）「私もビックリしました。動物と触れ合うと思っていたらアンパンマンだなんて」

恋「けど、着ぐるみの中に入るというのも新鮮で楽しいです」

可可（メロンパンナ）「なんでも、着ぐるみの中身～でバイト募集すると人が集まらないそうデス」

可可「それでアニマルビデオと偽って募集をかけていたみたいデスね」

千砂都「あー、着ぐるみの中身って結構ハードらしいもんね…実際今暑いし」
　

すみれ「もしかして、可可が言ってた犬、ウサギ、カバって…」

可可「犬はすみれ、ウサギは千砂都、カバはかのんが着ているやつデショウ？」ｷｮﾄﾝ

千砂都「綺麗系の人じゃなくガタイの良い人が揃ってたのは着ぐるみの中の人ばっかりだったからか…」

かのん「いや！ でもバイブは！？ あれだけオーパーツすぎるでしょ！？」

スタッフ「バイブ？ ああ」

スタッフ「SEG〇T〇YSから発売の『ア〇パンマン つか〇えて♪ころぴ〇ん アンパン〇ン』のことね」

スタッフ「外身のぬいぐるみ部分が汚れたから外して洗ってたのよ」

スタッフ「ほら、この通り」ﾌﾞｳｳｳｳｳﾝﾝﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

かのん「おもちゃはおもちゃでもおもちゃな方のおもちゃだ…」ｽﾞｰﾝ
　

スタッフ「何？ あなたたちこれバイブだと思ってたの？」

スタッフ「もしかして、あなたたちAVのAVをAVのことだと思ってたんじゃ…？」

すみれ「そ、ソンナコトナイデスヨ？」ﾌﾟｲｰ

スタッフ「18歳未満の子どもなんて出せるわけないでしょ」

千砂都「至極真っ当なご指摘！」ｶﾞｰﾝ

スタッフ「それで？ どんなAVを想像してたの？」ﾆﾔﾆﾔ

かのん「想像させられないようなものです…///」

可可「かのんは何をあんなに真っ赤になっているのデス？」

恋「さぁ…？」
　

かのん（そうして、アンパンマンビデオの撮影が始まった）

かのん（カバオ）「助けてー！ アンパンマーン！」

恋（アンパンマン）「やめるんだ！ バイキンマーン！」

可可（メロンパンナ）「カバオくんとウサコちゃんを離しなサイ！」

千砂都（ウサコ）「アンパンマン！ メロンパンナちゃん！」

すみれ（チーズ）「アンアン！ アーン！」

きな子（バタコ）「アンパンマン！ 新しい顔よ！」

夏美（バイキンマン）「はーひふーへほー！」

かのん（AVな方のAVの撮影だと思ってモヤモヤしていた心も、汗をかいてるうちにどこかに行ったよう）

かのん（過酷な着ぐるみバイトを終えた私たちは充足した気分で家に帰ったのでした―――）
　

四季「『アンアン！ アーン！』」

夏美「ぷぷぷぷぷぷぷぷ」

きな子「本当、はまり役っす…！」

すみれ「四季、アンタ…」

四季「急に電波が切れたと思ったら急に復活してこんな声が…」

メイ「動物に　　されたのかと心配したけど良かった…//////」ｶｱｱｱ

千砂都「メイちゃんにどんな説明したの？」

四季「心配したけど、こんな面白い音声を録音出来たしチャラにしようと思う…」

『アンアン！ アーン！』

すみれ「消しなさーーーーーい！」
　

すみれ「はぁ…」

恋「すみれさん、この前のスタッフの方からまた連絡が来て、是非ともすみれさんにまた出演して欲しいと」

すみれ「…それ、アンパンマン役じゃないのよね？」

恋「もちろんチーズ役でと」

恋「『今まで見た誰よりチーズ役の演技が上手かったわ』だそうです」

すみれ「お断りよーーーーー！」

可可「ぷぷっ、お似合いでシタよ」

千砂都（私ウサコで助かったなぁ）

恋「それと、かのんさんにも」

かのん「私？」
　

恋「『あなたの想像していたAVも出演お待ちしてるわ』だそうです」

恋「よく意味は分かりませんが」

かのん「お断りだよーーーーーー！ もうAVなんてこりごりだーーーーーー！」

完