【SS】副会長「会長、一緒にライブに行きませんか？」【ラブライブ！虹ヶ咲】

菜々「ええ、いいですよ。予定が合うかはわかりませんが」

せつ菜（毎回予定が合わずいけないというのも不自然です。それに申し訳ないです）

副会長「今回は行けると思いますよ。お昼休みに校内でやるライブなので」

菜々「……そういえばそんな話を聞いたような」

せつ菜（どうしましょう！　昼休みに用事を作るのは難しいです！）

副会長「金曜の昼休みに中庭でやるみたいですよ」

菜々「金曜……」

せつ菜（金曜の昼休み……あ！　その日はライブの手伝いがあります！　じゃあそもそもいけない……ん？　ライブの手伝い？）

菜々「あの、すみません。何のライブですか？」

副会長「スクールアイドル同好会のライブですけど」

菜々「ですよね。優木せつ菜さんは出なかったような」

副会長「ですね。結構知ってるじゃないですか」

菜々「まあ会場の相談を受けたので……。出ないのを知っているなら何故ですか？」

副会長「あ、もしかして会長はせつ菜ちゃん以外にはご興味ないですか？」

菜々「い、いえそんなことは」

副会長「よかった。私も別にせつ菜ちゃん以外に興味ないわけじゃないですから。一番はせつ菜ちゃんですけど」

菜々「そうでしたか。あなたはいつもせつ菜さんの事ばかり話すのでてっきり」

副会長「流石に自分の学校のスクールアイドルは応援してますよ。他校のアイドルまでは把握してないですけど」

菜々「それならご一緒出来ますね」

副会長「“それなら”とは？」

菜々「あ、いえその金曜のお昼休みなら問題ないので」

副会長「なるほど。じゃあよろしくお願いします」

～部室～

せつ菜「――ということでこのライブでは私は観客として参加することになりました。すみません」

侑「ううん、全然かまわないよ。私も観客席行こうかなって思ってたくらいだし」

かすみ「だいじょうぶですかぁ？　かすみんのライブに夢中になって副会長の前でボロを出しちゃっても知りませんよぉ？」

果林「かすみちゃんこそ客席のせつ菜にビビってボロ出しそうね」

かすみ「そんなことありませんよ！」

しずく「私は全然気にならないと思います」

せつ菜「ありがとうございます！」

副会長「あ、会長！　こっちです」

菜々「お待たせしました……それは何ですか？」

副会長「応援用のうちわですよ。流石に個人用のは用意できませんでしたけど」

菜々「こういうのを使うんですね」

副会長「会長の分も用意しました」

菜々「あ、ありがとうございます」

せつ菜（こんなの持ったら本気で応援したくなっちゃいます！）

菜々「もうすぐですね」

副会長「はい……このライブが始まる前の感じ、SIFでも感じたんですけどいいですね」

菜々「わかります！　……初めてですけどそう思いました」

かすみ「みなさ～ん！　かわいいかすみんの登場で～す！　今日はかすみんのために集まってくれてぇ、と～っても嬉しいよ！」

ﾜｰ!
ｷｬｰ!

♪～

「届け！　届け！　地球の果ての果てまで♪」

♪～

せつ菜（かすみさん、いつにも増して観客を引き付けるパフォーマンスです）

副会長「……かわいい」

菜々「ですね」

せつ菜（副会長のこんな顔、初めて見ました）

ﾜｰ!　ｷｬｰ!
ｶｽﾐｰﾝ!

副会長「わぁ………！」

菜々「完全に会場の空気を彼女の物にしてしまいましたね」

副会長「ライブってこんなにすごいんですね。会場全体と一体になった感覚というか……裏方で見たとき以上に感じました」

菜々「圧倒されてしまいます」

副会長「せつ菜ちゃんのライブを観客としても見たくなりました。ああでもお手伝いもしたい！」

♪～

「Vividな　世界　ねぇどうして一緒だったら　心はずむの♪」

♪～

せつ菜（まるでこの場に私と果林さんしかいないかのような錯覚。引き込まれますね）

副会長「………………」

せつ菜（あのときの姫乃さんみたいな表情してますね）

ｷｬｰ!
ｶﾘﾝｻﾏ!　ｺｯﾁﾃﾞｽ!
ｷｬｰ!

副会長「会長！　さっき果林さんと目が合いました！」

菜々「ええ、私もです」

せつ菜（完全に“せつ菜”を見てましたね。なんならこの状況を面白がってましたよ！）

副会長「あんな素敵な方が居たなんて……確か読者モデルもされているとか」

菜々「大人な雰囲気を持つ方ですね」

せつ菜（意外と負けず嫌いな面もありますけどね）

♪～

「目覚めてく　強く　裸足で駆け出していこう～」

♪～

せつ菜（しずくさん、変わりましたね。これが新しい境地……）

副会長「すごい……本当に高校生だなんて」

菜々「あなたより一つ下ですよ」

せつ菜（彼女にとって、これが新しい世界との出会いなんでしょうね）

ﾜｰ!
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

副会長「たった数分の曲だったのに、長い物語を読んだ気分です」

菜々「確か演劇部所属で合同演劇祭にも出られたとか」

副会長「桜坂さんが演じているはずなのに、まるでこれが自分そのものだって思わされるような」

菜々「真に迫る表現とはこのことですね」

～ライブ終了後～

副会長「あーかすみちゃん可愛かった！　あんなにキラキラした女の子初めて見ました！」

菜々「ええ」

副会長「ライブ観る前からチェックはしてたんですけど、もう完全に魅了されちゃいましたよ！　また会いたいです」

菜々「そうですか」

副会長「果林さん……ファッション誌とか詳しくないんですけど、どの雑誌に出てるか会長はご存じですか？」

菜々「いえそこまでは……」

副会長「いろんな果林さんを見てみたくなりました！」

菜々「………………」

副会長「桜坂さんは凄い方でしたね！　彼女はきっと将来大女優になると思います！　あ、今度演劇部の公演があるみたいなんで一緒に行きませんか！」

菜々「ええ、都合が付けば」

副会長「はぁー虹ヶ咲の他の子のライブも見てみたいなぁ」

菜々「………………」

菜々「あなたは“スクールアイドル”が大好きなのですね」

副会長「はい！　こんなにいろんなスクールアイドルがいたなんて思いませんでしたよ」

菜々「そうですか」

副会長「会長は誰が好きですか？」

菜々「………………」

副会長「会長？」

菜々「今日のお三方ともに魅了されてしまいます。ですがやはり優木せつ菜さんのパフォーマンスが素晴らしいと思います」

副会長「え？」

菜々「あくまで個人的にですが、ステージ上での輝きは中須かすみさんにも劣らないと思います。朝香果林さんのような多彩な顔を持つ魅力も確かにわかりますが、スクールアイドル一筋で他の姿を見せないせつ菜さんはやはりとても魅力的ですね。桜坂しずくさんは人の生き様を感じさせるほどの気迫のあるパフォーマンスでしたが、これもせつ菜さんにも当てはまるとおも……」

副会長「か、会長……？」

菜々「はっ！」

副会長「会長、もしかして……」

副会長「この私以上の熱烈なせつ菜ちゃんファンだったんですか！？」

菜々「あ、いえ決して他の方に興味がないわけでは……」

副会長「実は今日出てないせつ菜ちゃんの話しても会長つまらないかなって思ってあんまり話さなかったんですけどそれならもっと語りましょう！！！！」

菜々「い、いいですね！　ですがもう時間がないのでまたの機会に」

副会長「あ、そうですね」

菜々「誤解のないように言っておきますが、私は今日のライブ楽しかったですよ」

副会長「私もです」

菜々「それは見たらわかります」

副会長「もちろんせつ菜ちゃんが一番ですけど……今日はそれ以上に」

菜々「？」

副会長「会長と一緒に観るライブ、最高に楽しかったです！」

侑「せつ菜ちゃん、ライブ楽しめたみたいだね」

かすみ「当然です。このかすみんのライブですからね！」

しずく「ちょっと、私も出てたんだけど！」

果林「あの子をせつ菜のファンから私のファンにするつもりだったのに。そうはいかないみたいね」

～数日後～

副会長「このせつ菜ちゃんかっこいいなぁ！　早く生で見たいです」

菜々「ですよね！　このシリアスな表情から顔を上げた瞬間のこの決め顔！　いいですよねぇ」

ｷｬｯｷｬｯ


かすみ「え、なんですかあれ？」

果林「せつ菜のファン2人が盛り上がってるだけよ……きっと」

しずく「まるで自分が他人であるかのように演じる……流石はせつ菜さんです！」

侑「あはは……この間ライブを一緒に観たのが原因なんだよね」

副会長「あ、歩夢さんのショート動画見ました？　これすっごく可愛いって話題なんですよ！」

菜々「……そうですか。あ、それよりせつ菜さんのエピソードであなたに話しておきたかったものがありまして」

副会長「え！？　なんですかなんですか！？」


かすみ「まさか、せつ菜先輩ジェラシーですか？」

果林「……ええっと、ああいうのなんていうんだったかしら？」

侑「ステルスマーケティング？」

しずく「むしろダイレクトにも程がありますけど」

かすみ「あ！　せつ菜先輩ずるい！　いくらでもファン増やせるじゃないですか！」

果林「しずくちゃんも別人に変装してやってみたら？」

しずく「なるほど！」

かすみ「しず子もずるい！」

せつ菜（何とか副会長の興味を他のスクールアイドルから私に向けられましたね。今度スクールアイドルショップに誘いましょう。そこでせつ菜グッズを一緒に買って、その足でカフェで語り明かしましょう！　一緒にお泊りしてライブ鑑賞もいいですね。生のライブに一緒に行けないですから。ふふっ、これで副会長はせつ菜に夢中になるはずです！）

せっつーはかわいいな