エマ「ただいま果林ちゃん」果林「おかえりエマ」【SS】

エマ「やりたいと思った時にはもう始まってるんだと思う」かり SS


1: 2021/01/13(水) 06:28:13.35 ID:cpDmJpqY
――――――
部室
かすみ「おえぇ~~~っ!?」


かすみ「エマ先輩、スイスに帰っちゃうんですかぁぁ!!?」


エマ「うん……そうなの」

エマ「みんな、ごめんね……」


エマ「わたし……スクールアイドルフェスティバルには出れない」


侑「そんな……」


——————それは“親友”からの突然の報告だった。

2: 2021/01/13(水) 06:29:32.29 ID:cpDmJpqY
――――――
果林の寮部屋


昨日の夜のこと。

エマから話があると言われ、彼女は私の部屋にやってきた。

いつも笑顔で、明るく私の部屋を訪ねてきてくれるエマ。

でも昨日はどことなく暗い表情で、なにか変だなと思っていた。

……―――

果林「……えっ?」


エマ「わたしのお父さん、お仕事で事故にあっちゃったの……」

エマ「お父さんは元気なんだけどね、大きな怪我で歩くことも食べることもできなくて」

エマ「病院でお母さんがつきっきりなの」

果林「……大変だったわね」


エマ「……それでわたしね、」

エマ「お母さんの代わりにお家のことと残された兄妹の面倒を見なきゃいけないの」

エマ「だから……故郷に帰らなきゃいけなくなったの」


果林「……」

果林「あら、そう」

3: 2021/01/13(水) 06:30:50.47 ID:cpDmJpqY
「あら、そう」

……愛想のない、冷たい返事しかできなかった。

正直、なんて言えばいいかわからなかったからだ。

エマには絶対に帰ってほしくない、だけど……

家族のことで私がとやかく言う事なんてできない。

ましてやエマはいつも誰かのために頑張ろうとする優しい娘だ。

家族のピンチを放っておける訳がない。


――――――「やりたいと思ったときから、きっともう始まってるんだと思う」


そう、誰かのために頑張ろうとするエマを私が一番知っている。

いま私がスクールアイドルでいられるのは、彼女のおかげなんだから……


エマ「ごめんね、しばらく果林ちゃんの面倒見れないけど」

果林「……別にいいわよ、エマが来る前は一人でなんとかしてきたもの……」

エマ「ふふっ……そうだね♪」


全くこの子は、こんな状況なのに……

一緒にいると自然に笑ってしまう、太陽みたいに明るい子。

エマがいなくなったら、私、笑うの減っちゃうかもしれないわね……

4: 2021/01/13(水) 06:32:02.65 ID:cpDmJpqY
果林「それでいつ帰れるのかしら?」

エマ「わからない……でも卒業までには帰れると思う」

エマ「でも次のスクールアイドルフェスティバルは……出られない」

果林「……!」


スクールアイドルフェスティバル……

いま侑ちゃんやせつ菜ちゃんを筆頭に大掛かりなライブを計画している。

街のいろいろな場所で、それぞれの同好会メンバーがライブをするという

私たちの活動の集大成といってもいいだろう。

私も同好会もみんなもそれに向けて頑張って来たけれど、

エマは……そこにはいない。


エマ「悔しいよ。みんなと一緒に出られないの、ほんとに悔しい」

エマ「けど一生懸命、悩んで、悩んで……やっぱり帰らなきゃって思ったの」

果林「……そう」

エマ「ごめんね、本当に」

果林「エマが謝ることじゃないわよ」

エマ「……明日みんなに伝えるから」

エマ「その前に果林ちゃんには知ってほしかったんだ」

6: 2021/01/13(水) 06:33:31.39 ID:cpDmJpqY
エマ「果林ちゃんとはこの国で、一番過ごした時間が多いから。だから……」

果林「これからもでしょ、エマ」

エマ「え?」

果林「別にどこにいてもスクールアイドルでなくても、私達ずっと友達じゃない」

果林「それは何も変わらないわ、エマ」ナデナデ

エマ「……果林ちゃん……っ」ギュッ


誰にも言わずずっと悩んでいたことをやっと打ち明けられたのだろう。

エマを撫でると彼女は弱弱しく抱きしめてきた。


そうだ、私たちの関係は何も変わらない。

卒業までにエマは帰ってくる。

卒業しても私がスイスに遊びにいけばいいじゃない。

フェスティバルに出られない、だけ……

そう、きっと……それだけのこと……

7: 2021/01/13(水) 06:34:34.85 ID:cpDmJpqY
――――――
部室


かすみ「ぬわ~~~~~~~っ!!!!!」

しずく「か、かすみさん?!」


かすみ「ぬわ~~~~~~~っとくできませんっ! 納得できませんよぉ!」


……かすみちゃんか。熱くなったのは。

もし反対するならかすみちゃんか侑ちゃん辺りとは思っていたけど。


かすみ「どうして帰らなきゃいけないんですかっ! エマ先輩、あんなに頑張ってたのに!」

歩夢「かすみちゃん……でもしょうがないんじゃ」

かすみ「なんとかならないんですか?! エマ先輩!」

エマ「え、えっと……」


せつ菜「かすみさん……エマさんに無理言っちゃダメですよ」

かすみ「でもぉ!」


璃奈「エマさんは3年生」

璃奈「もしかしたら次のフェスティバルが、最後のステージかもしれない」


果林「……!」

8: 2021/01/13(水) 06:36:55.76 ID:cpDmJpqY
彼方「……果林ちゃん」


部室に10人、気まずい空気が漂う中、彼方が隣で私にささやいてきた。


彼方「果林ちゃんは……知ってたの?」

果林「えぇ……でも私も昨日聞かされたばかりだわ」

果林「正直私だって……」


私達は最後のステージかもしれない。

そのステージにエマがいないなんて、受け入れたくない。

だけどもう……しょうがないじゃない。

家族のことなんだから、私達がどうこう言って変わる問題じゃない。


果林「……私はエマを快く見送ってあげるのか正解だと思う」

果林「だってこれは、エマが選んだことなんだから」

彼方「……そっかぁ。そう、だねぇ……」

彼方「エマちゃんのことを一番知ってる果林ちゃんが言うなら……」


そうだ。嫌だとか悔しいとか、そういう気持ちは押し込めないと……

9: 2021/01/13(水) 06:39:20.85 ID:cpDmJpqY
果林「ねぇ、かすみちゃん。しょうがないでしょ」

果林「エマは帰らなくちゃいけないんだから」

かすみ「果林先輩……っ!」


冷静さを失っているかすみちゃんが私を睨む。


かすみ「エマ先輩はスクールアイドルが大好きなんですよっ?!」

かすみ「それにそれに、3年生で……もう最後のステージかもしれないのに!」

果林「そうだとしてもよ。ご家族が大変な目に合ってしまったのなら会いに行くのが普通でしょ?」

果林「エマだってフェスティバルに出るのか、帰国するのか悩みに悩んで答えを出したの」

果林「だからしょうがないでしょ」

かすみ「……っ」

エマ「果林ちゃん、かすみちゃん……」オロオロ

10: 2021/01/13(水) 06:41:47.71 ID:cpDmJpqY
果林「エマだって辛いのをわかって帰るの。だから私たちは快く見送って」

かすみ「……ずるいですよ」


果林「……ずるい?」

かすみ「だって果林先輩がスクールアイドルでいられるの……エマ先輩のおかげなんですよね?」

果林「……!」

侑「かすみちゃん、ちょっとその辺に……」

かすみ「エマ先輩がいなかったら立てなかったステージに果林先輩は立つっていうのに、」

かすみ「そこにエマ先輩は立てないんですよ?!」

かすみ「よく「しょうがない」なんて言葉で済ませられますよね!」

かすみ「……失望しました」

かすみ「果林先輩ってばそこまで冷たい人間———っ!!」


エマ「かすみちゃんっ!」

かすみ「」ビクッ


エマ「……お願い、もうやめて」

11: 2021/01/13(水) 06:43:56.25 ID:cpDmJpqY
かすみ「あっ、え?」

かすみ「私……いますごい、酷いことを……」

エマ「あっ……えっと、ごめんね? 私こそ大きな声出して……」


部室の空気を切り裂くエマの声。

驚いたかすみちゃんは我に返って青ざめている。


かすみ「ごっ……ごめんなさいっ! 果林先輩、エマ先輩、あの……」

かすみ「かすみん、頭冷やしてきますっ!」ダッ

侑「か、かすみちゃん!」

しずく「わ、私、追いかけます!」ダダッ


部屋を飛び出してしまったかすみちゃんをしずくちゃんが追いかけた。


かすみちゃん……

怒ってない……いや、むしろ本音では全部かすみちゃんの言う通りだと思った。

腹黒いだとかなんだとか言われるけど根っからのいい子なのを私は知っている。

あの子があんなに必死になったのは、心の底からエマのことを想っていたからだ。

そのくせ私は大人ぶって、ただエマの帰るっていう言葉をそのまま受け止めていただけ。


歩夢「果林さん……大丈夫ですか?」

果林「えぇ、大丈夫よ。気にしないで」

歩夢「は、はい……」

エマ「……」

12: 2021/01/13(水) 06:46:03.18 ID:cpDmJpqY
愛「……あーっ!残念だなー!」


冷え切った気まずい空気の中、第一声を放ったのは愛だった。


愛「愛さん、エマっちとステージ立ちたかったー!」

エマ「愛ちゃん、ごめんね」

愛「でもさ! まずエマっちはお父さんとお母さんに顔見せて安心させてあげなよ!」

エマ「!」

愛「やっぱりご両親さん、愛する娘の顔を見るのが一番元気になるはずだからねー」

愛「だからまずはエマっちはスイスに帰ること!」

愛「んで……帰ってきたら、そりゃもう、とびっっっきり楽しいライブしようよ!」

愛「でしょ? かーりんっ♪」

果林「えっ? あっ……うん、そうよね」


私の真意を見抜いたのか、愛が私にウインクしてそう言った。

やっぱり愛は頼りになるわね。

私はほんとにもう……エマにも愛にも助けられてばかり。

13: 2021/01/13(水) 06:48:29.33 ID:cpDmJpqY
エマ「え? でも3年生は最後のライブ……」

侑「大丈夫だよ、エマさん」

侑「次のフェスティバルは難しいかもしれないけど、またライブができるよう動いてみる!」

エマ「で、できるの?」


せつ菜「……正直、難しいかもしれません」

せつ菜「フェスティバルが大々的な企画なので、もう一度できる余裕があるかどうか……」

エマ「そ、そうだよね……侑ちゃん、せつ菜ちゃん、無理しなくても大丈夫だよ?」


せつ菜「でもっ! 大丈夫です! エマさん!」

せつ菜「帰ってきたらもう一度ライブができるよう全力を尽くします!」

侑「エマさん。私達、無理なんかしてないよ」

侑「心からエマさんのステージが見たいんです。だから心配しないでください!」

エマ「ゆ、侑ちゃん……」

せつ菜「そうですね! 卒業公演ってことで! もうフェスティバルに負けないくらいのライブをやりましょう!」


彼方「なななっ! なんだって~?」

彼方「ほんとぉ~?!!? やったあ!!!」


歩夢「いやなんで彼方さんが一番喜んでるんですか?!」


一同:あはははは!


エマ「……ありがとう、凄く嬉しい!」


エマ「よかったよ、果林ちゃん!」

果林「え、えぇ……そうね」

15: 2021/01/13(水) 06:50:46.46 ID:cpDmJpqY
璃奈「……かすみちゃんは帰国の日にはちゃんと笑顔で見送ってくれるはず」

璃奈「だから安心してほしい」

エマ「うん。ありがとう。嬉しかったよ。かすみちゃん、あんなに本気になってくれて」


璃奈「……それともう一つ、私から提案がある」

璃奈「オンラインライブは、どうかな」

エマ「オンラインライブ?」

璃奈「フェスティバルで、エマさんとその故郷を中継するの」

璃奈「きちんとしたステージでは歌えないかもしれないし、踊れないかもしれない」

璃奈「生のお客さん達とより密接に繋がれないかもしれない」

璃奈「いろいろ足りないことはあるかもしれないけど、エマさんがもしよかったら」

璃奈「私も、なんでもしたい」

エマ「り、璃奈ちゃん……!」

エマ「すごいよ! もしできたら……やってみたい!」


オンラインライブ……さすが璃奈ちゃんね。

それなら遠く離れた土地でもエマはアイドルとして歌えるんだ。

生のライブと比べると物足りないかもしれないけど、それなら……

16: 2021/01/13(水) 06:55:54.45 ID:cpDmJpqY
エマ「それすごくいいよ! 璃奈ちゃん!」

璃奈「ありがとう。璃奈ちゃんボード『テレテレ』」

エマ「だけど少しだけ考えさせてもらってもいいかな……?」

璃奈「勿論。ご家族の状況を見て、もしエマさんができそうなら」

璃奈「その時は連絡して。私、なんでも協力する」

エマ「心強いなあ。なんか帰らなきゃいけないっていうのに、ちょっとワクワクしてきちゃったよ!」

愛「うんうん♪」



侑「……よし! みんな!」

侑「エマさんの分もスクールアイドルフェスティバル、頑張ろう!」

侑「そして……今まで同好会を支えてくれたエマさんを」

侑「今度は私たちが支えよう!!!」


一同:おおーっ!


エマ「みんな本当にありがとう……わたし、本当に幸せ……!」

果林「……ふぅ」


本当に同好会のみんな……頼れる人達だわ。

帰国することを告げることに大きな罪悪感を抱えていたエマの顔はすっかり晴れたようだった。

肩の荷が下りたのね。だからこれでよかったのよね……きっと。

36: 2021/01/13(水) 19:35:55.08 ID:cpDmJpqY
――――――
廊下


……あのあと同好会のみんなはエマのためにできることを考えたり、餞別の言葉を送っていた。

そしてしずくちゃんに連れてこられたかすみちゃんは泣きながら謝っていた。

「かすみんは最低です。果林先輩本当にごめんなさい」ってずっと繰り返してたっけ。

けど私は何も怒ってない。

だって私だって、本音を言えば本当は……


寮に戻るころにはもう辺りはすっかり夜になっていた。


果林「すっかり暗くなっちゃったわね」

エマ「そうだね」


とぼとぼと。なにか気の利いた言葉を探しながら二人並んで廊下を歩いた。


エマ「……果林ちゃん、今日はありがとう」

果林「私は何もしてないわよ」

果林「むしろ空気を悪くしちゃったわ」

エマ「ううん。果林ちゃんはしっかり私が帰ることに味方になってくれたから」

エマ「果林ちゃんにあらかじめ言って、安心したから今日言えたんだよ」

果林「……うん」

37: 2021/01/13(水) 19:37:57.02 ID:cpDmJpqY
果林「帰国の日取りが決まったらすぐ教えるのよ」

果林「同好会のみんなと見送りに行くから」

エマ「うん。わかったよ」

果林「それからあっちでもし辛いことがあったらすぐ相談して」

エマ「うんうん」

果林「寂しいと感じたらすぐ連絡するのよ」

エマ「……果林ちゃんもね?」

果林「えぇっ、いや別に私は大丈夫よ……っ 寂しいなんて」

果林「……とにかくっ! 連絡してっ!」

エマ「ふふふっ……」

エマ「あいわかった」

38: 2021/01/13(水) 19:40:59.33 ID:cpDmJpqY
エマ「果林ちゃんは1週間に1回はお部屋のお掃除するんだよ」

果林「えっ、1週間に1回? 多くない?」

エマ「お、多くないよ~? むしろ少ない方だと思うよ?」

果林「そうかしら」

エマ「そうだよ~」

果林「……」

エマ「……」

エマ「……どうなんだろう? わかんないや」


……本当は。

私だってかすみちゃんみたいに言いたかった。

「帰らないで!」って。

でも自分の気持ちを押し込めて、大人ぶって、受け流そうとした。

寂しいとか悔しいとか、余計な感情を握らされるのが煩わしいから。

私は真っ向からエマの帰国を素直に受け止めようとしてなかったんだ。


果林「……私、エマがいなきゃダメ人間まっしぐらになりそうだわ」

エマ「あはは。大丈夫だよ~」

果林「私、エマがいなきゃ……」

果林「スクールアイドルも……その……」

果林「できるか……不安だわ」

エマ「……」


エマが背中を押してくれたから、スクールアイドルとしていられるのに。

その恩人であるエマは次の大舞台に立てない。

オンラインライブも凄いけど、でもやっぱり生の舞台に立って、歌って踊りたいはず。

そんなのモヤモヤするに……決まってる。


果林「……エマ」

エマ「なあに? どうしたの?」

果林「……」


果林「やっぱり……その、帰るの、やめにしない?」

39: 2021/01/13(水) 19:43:23.87 ID:cpDmJpqY
エマ「……なんで」

エマ「なんでいま、こんなタイミングでいうの」


……ほんっと、そうよね。

だって私の「帰らないで」はかすみちゃんとは違う。

散々悩みを聞いた挙句、今更本音をさらけ出そうとする卑怯な訴え。


果林「……だってエマのお父さん、怪我はしてるけど元気は元気なんでしょ?」

果林「そんなに急いでエマが帰って状況は変わるの?」

エマ「お母さんの負担は減らせるよ。お父さんも安心してくれる」

果林「帰るにしたって、すぐじゃなくてフェスティバルの後とかでもいいじゃない」

エマ「フェスティバル、3週間も先だよ」

果林「そ、それまでだから、その、ご兄妹のお世話はご親戚におまかせするとか……」

果林「何かその……別の方法が……」

エマ「……」


どれだけ自分がわがままを言っているのかわかってる。

必死に悩みに悩みぬいたエマの決断を無視してわがままを言っているのもわかってる。

家族のことなんてほっとけとばかりに冷たいことを言っているのもわかってる。

わかってる……そんなの、わかってるわよ、わかってるけど……


エマ「……果林ちゃん」


エマはポツリと私の名前をつぶやいた。

本当にただただ困り果ててしまっているかのような、そしてどこか呆れてしまったようなそんな表情で。

だけどもう私は、そんな親友の決断に自分の気持ちを抑えることはできなかった。

昨日みたいに「あらそう」だなんて。そんなすまし顔はできない。

40: 2021/01/13(水) 19:44:58.39 ID:cpDmJpqY
果林「……エマがこの学校に来て初めて会った時のこと思い出したわ」

エマ「はじめて……会ったとき?」

果林「スクールアイドルに憧れて、この学校に編入してきたって」

果林「そのために日本語を猛勉強して、頑張ってきたんだってね」

果林「凄いと思ったわ。遠い国から自分のやりたいことのために頑張れる」

果林「なんて情熱のある、ガッツのある子なんだろうって」

エマ「……そんなことないよ」


果林「私は……そんなエマっていうスクールアイドルのファン1号なの」

エマ「ふぁ、ファン……?」

果林「そうよ。だから気づいたらエマのこと、精一杯応援して」

果林「そしたら私自身もだんだんスクールアイドルに興味を持ち始めて……」

果林「気づいたら私もスクールアイドルになってた」

果林「それも全部エマの影響なのよ」


エマ「……わ、わたし果林ちゃんが思ってるより全然普通の女の子だよ?」

エマ「果林ちゃんみたいにモデルをやってるような子が私を?」

エマ「……へんだよ」

果林「だから憧れたのよ」

果林「いつでも自然体で、みんなに優しくできる女の子のあなたのことを」

果林「私みたいにいつもお高く止まってしまう人間からしたら……ね」

41: 2021/01/13(水) 19:47:34.71 ID:cpDmJpqY
果林「だから……本当はすごく悔しいの」

果林「エマがスクールアイドルフェスティバルに出られないってことが」

果林「こんなに頑張り屋で優しくてスクールアイドルが大好きな女の子がステージに立てないってことが……!」

果林「本当はかすみちゃんの、何倍も何倍も、悔しいのよ……っ」

エマ「か、果林ちゃん……」


私はどれだけ、このエマという女の子に心を動かれているのかしら。

彼女の頑張りとか優しさを想うと、今回のことが悔しくてたまらない。


―――スイスで一人、どんな夢を見て日本語を勉強したのだろう。

もしかしたら次のフェスティバルのような、一生一度あるかないかのような、

そんな誰もが羨むような綺麗できらびやかなステージに立つことを夢見てたかもしれない。

その夢が破られようとしているのだ。何も言わず帰らせるなんてできない。


果林「私、親友の夢が叶えられないのを見過ごせないの」

エマ「わたしの……夢……」

果林「ご家族のことはもちろん大事だわ。でも……エマ自身の気持ちもおろそかにしないで」

42: 2021/01/13(水) 19:48:48.27 ID:cpDmJpqY
果林「今しかできないことを、投げやりにしないで」


エマ「……!」

43: 2021/01/13(水) 19:50:21.54 ID:cpDmJpqY
エマ「……」

エマ「……ふふっ、懐かしいね」

エマ「わたしも前、果林ちゃんにそんなこと言ったよね」

果林「……そうね」


エマ「……悔しかったよ」

エマ「悔しかった……っ」

エマ「……みんなと同じ、素敵なステージに立てないんだなぁって」

エマ「だけどもちろんお父さんもお母さんも、兄妹のこともみんな大好きなの」

エマ「だから帰らないっていうのはできない」

果林「……そう、よね」

エマ「……あの時の果林ちゃんと一緒」

エマ「心をぎゅっと閉じ込めて、辛いのは気のせいだ~って誤魔化してるだけ」

エマ「やっぱり辛いよ」

エマ「せっかくここまで頑張ってきたのに、っていう気持ち」

エマ「3年生は最後のステージかもしれないのに、って……」

果林「……ごめん」


……こんなこと言わないつもりだった。

故郷に帰るっていう彼女の言葉をすまし顔で飲み込んで、快く見送ってあげるつもりだった。

だからかすみちゃんの言葉にも冷静に対応した。

それなのに、同好会のみんなに報告して、やっとエマの肩の荷が下りたときにこんなこと言うなんて。

最低じゃない、私……

44: 2021/01/13(水) 19:52:30.39 ID:cpDmJpqY
エマ「でもね、果林ちゃん」

エマ「……わたしは日本に来て本当によかったと心の底から思ってるんだぁ」

果林「えっ?」

エマ「大好きなスクールアイドルになれて。同じ気持ちを持ったお友達がたくさんできて」

エマ「果林ちゃんと友達になって、たくさん楽しい時間を過ごせたもの」

エマ「こんなに幸せなことってないよ」


果林「……なにいってるの。最後のお別れみたいなこと言わないでよ」

エマ「えへっ、寂しくなっちゃった?」


いたずらっぽくエマは微笑む。

その時、偶然か窓辺の月夜に照らされて、エマがひと際綺麗に映った

その一瞬を眺めてたら、息を呑んで言葉に詰まってしまった。


エマ「大丈夫だよ」

エマ「わたしの夢はぜんぶじゃないけど、もう充分叶えてる」

エマ「だって日本で初めてできた大好きな親友が憧れのステージに立つんだから」

エマ「立つのは果林ちゃんだけかもしれないけど……私の想いは果林ちゃんに託してる」

エマ「幸せだよ。すっごく」

果林「エマ……」

エマ「……」スッ


エマ「遠く離れても心は一つ、だよ!」


―――そう言って、エマはハイタッチといわんばかりに手をかざす。

夜の月明かりが照らされる中、どんな人の心もぽかぽかにする太陽みたいな笑顔。

45: 2021/01/13(水) 19:55:11.14 ID:cpDmJpqY
果林「……うっ」グスッ

エマ「か、果林ちゃん?! ど、どうして泣いてるの?」

エマ「えっと、なんか変なこと言ったかな?」オロオロ

果林「違うわよ……違う、違うわ」ポロポロ


感情がぐちゃぐちゃで、もうわからなくなっていた。

悔しい気持ち、寂しい気持ち、そして親友への感謝。

次のフェスティバルは私の人生において、きっと大きな意味を持つステージになる。


果林「……わかったわ!」パシンッ!

エマ「!」


彼女の気持ちに応えるように私も強くハイタッチを返した。


果林「スクールアイドルとしてこれ以上ないパフォーマンスを見せるわ」

果林「……私の愛する親友のためにも」

エマ「……ふふっ、うん! 応援してるね!」

46: 2021/01/13(水) 19:57:35.11 ID:cpDmJpqY
果林「……でもエマ、一つ約束して」

エマ「約束?」


果林「帰ってきたら、もう一度同好会のみんなでステージに立つの」

果林「オンラインじゃなくて、同じ場所で、歌って踊って、一つになるのよ」

果林「それだけは譲れない」


エマ「同じ場所で……みんなと?」

果林「侑とせつ菜が言ってたでしょ? 次のライブが終わってももう一度ライブしようって」

エマ「でも開催できる余裕はないかもしれないって……」

果林「大丈夫。絶対できるわ」

果林「家族から同好会のみんなまで、いつもみんなを支えてきたエマのためだもの」

果林「絶対に実現する」


果林「だから……元気よく帰ってくるのよ、約束」

エマ「……それは?」

果林「指きりげんまん。日本にある約束のおまじない」

エマ「……うん! わかった! 指きりげんまん! だね!」


……そう、指きりげんまん。

絶対に私とエマはもう一度、同じステージに立つんだ。


だからこそ次のステージは彼女の想いを乗せながら

最っ高に魅力的で、鮮やかな世界をみんなに見せてあげるわ――――

53: 2021/01/14(木) 07:11:50.15 ID:D8bygdj4
――――――
スクールアイドルフェスティバル



果林「♪~……ッ!」


観客:ワァァァァァッッッ!!!!!

観客:きゃーーー!!果林さーーん!!!!!

観客:素敵ーーー!!!TOKIMEKI~~~~~~!!!!


……——————ライブ会場は盛大な熱狂に包まれて、私のステージは幕を閉じた。


果林「みんな、今日は私の魅力たっぷりなステージを堪能してくれてありがとう♪」

果林「……ここで遠く離れた地から中継が繋がっているわ」

果林「私達のかけがえのない仲間……」

果林「エマ・ヴェルデです」


……いったん照明が暗くなり、ステージ背後のモニター画面が照らされる。

そこに映っていたのは……スイスの高原をバックにした私の親友。


観客:きたああああああ!!

観客:エマさん!? エマさんと中継!?

観客:待ってたよ~~~!!!!

54: 2021/01/14(木) 07:15:23.94 ID:D8bygdj4
エマ『えぇー……みんな、聞こえますか?』

エマ『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会3年、エマ・ヴェルデです!』

エマ『えっと……この映像をみんなが見ているということは』

エマ『わたしはもうそこにはいないでしょう』


観客:えっ……


歩夢「え、エマさん……なんか死んじゃった人みたいな紹介しちゃってる……」

しずく「日本でそれっぽい映画でも見て影響されてるんでしょうか……」

かすみ「……ていうかこれ、ライブ映像ですよね?!」

愛「ちょっ! あははっ……! エマっち、おもしろ……っ!」


エマ『実はおうちの事情で、スイスに帰らなきゃいけなくなって』

エマ『今回はオンラインで参加します』

エマ『本当はみんなの前で直接歌って踊りたかったんだけど……』

エマ『それはまた次の機会、ということで! 楽しみにしててね!』

エマ『すぐに帰って、みんなの心をぽかぽかさせるよ~♪』


観客:うおおおおおおおおおおお!!!!!

観客:エマちゃーん! オンラインでも可愛い!

観客:母性を感じたのは初めてです

55: 2021/01/14(木) 07:17:31.42 ID:D8bygdj4
エマ『あ! 果林ちゃ~ん』テーフリフリ~

エマ『すっっっごく素敵なステージだったよ~♪』


……なにいってるのよ、もう。

でもそんなところが本当にエマらしいわ。


エマ『果林ちゃんだけじゃなくて、みんなもすごかった!』

エマ『同好会のメンバーは最高の最高の、最高の仲間です!』

エマ『そしていつも応援してくれるみなさま、本当にありがとうございます!』

エマ『スクールアイドルとしてキラキラでいられる日本は、わたしにとっての心の故郷です!』


観客:ワァァァァァァァ! パチパチパチ……


エマ『……それで今回は!』

エマ『わたしが生まれた大切な故郷で、歌を歌います!』

エマ『実は病院のお庭だから踊ったりとかはあまりできないけど……』

エマ『アカペラで一曲、歌います!』

エマ『聴いてくだ……』

エマ『いや、届いてください! 「La BeLLA Patria」!』

56: 2021/01/14(木) 07:21:00.61 ID:D8bygdj4
――――――

数か月後……




「えー、3年生のみなさん、」


「ご卒業おめでとうございます……」

58: 2021/01/14(木) 19:51:47.25 ID:D8bygdj4
――――――

体育館外
かすみ「果林先輩、卒業おめでとうございますっ!」

果林「あら、かすみちゃん。ありがとう」


卒業生がつける胸の花バッジ。

在校生がそのバッジを卒業生に渡す役目なのだが私はたまたまかすみちゃんだった。


時は流れて……そう、今日は卒業式。

私にエマ、彼方はこの日もってこの学校を卒業する。


かすみ「いやぁ~? 卒業しちゃったらかすみんと会えなくなって寂しくなっちゃいますねぇ?」

果林「うふふ、そうね」

しずく「寂しいのはかすみさんの方でしょ」

かすみ「うっ、しず子!」


しずく「果林さん、ご卒業おめでとうございます。胸のお花、とてもよくお似合いですよ」

果林「ほんと? しずくちゃん」

しずく「はい♪」


かすみ「もぉ~! しず子! かすみんから果林先輩との時間奪わないでよぉ!」

59: 2021/01/14(木) 19:52:54.41 ID:D8bygdj4
しずく「……かすみさん、以前果林先輩についてこう言ってたんです」

しずく「“3年生の人みんな尊敬してるけど、果林先輩を一番尊敬してる”って」

かすみ「えっ?! ちょ、しず子?!」

しずく「“果林先輩はかっこよくて、自分にないものを一番持っているから”って」

果林「うふふ、嬉しいこと言ってくれるわね」

かすみ「も、もうやめてよ!? 恥ずかしいじゃん~!!!」


しずく「だから一度、エマさんのことで果林さんと言い合いになってしまったこと、すごく後悔してました」

かすみ「あ、あっ」

しずく「“大好きな先輩に酷いこと言ってしまった、冷たい人間なんて最低なコト言ってしまった”って……」

しずく「“取り返しがつかないことをことを言ってしまった”……って」

かすみ「し、しず子~~~!!! そ、それだけは本当に言わないで! いわないでぇっ!」


……怒ってない。

ただ冷淡にエマの帰国を見過ごそうとした私を、かすみちゃんが本音をぶつけてくれたんだ。

あの時のかすみちゃんの言葉がなかったら。

私は大人ぶって、余計な感情を抱くことを面倒にしてエマを見送っただけだと思う。

かすみちゃんのあの言葉があったから、私は前向きな気持ちでステージに立てた。

60: 2021/01/14(木) 19:55:06.93 ID:D8bygdj4
果林「むしろ感謝してるくらいよ、かすみちゃん」

果林「……本当にありがとう。大好き」ナデナデ

かすみ「ふえぇっ?! しぇんぱいっ?」

かすみ「そ、その……恥ずかしいですから……っ」

かすみ「やめてください、わ、わたし、果林先輩に最低なコト言ったんです……」

かすみ「エマ先輩も嫌な気持ちにして……だから優しくしないでください……かすみんのことは」

かすみ「しず子とりな子を可愛がってください……」


果林「……アハハ! もーう! 素直なかすみちゃんは特に可愛いわね」

果林「あの日すぐ許したじゃない。そんなずっと気にするようなことじゃないわ」

果林「そんな自分のこと、責めないで」

かすみ「……しぇ、しぇんぱぁい……」

かすみ「うっ、うっ、うわーん……っ!!!」


しずく「……果林さん。応援に回るのはまだ早いですよ」

しずく「だってまだ卒業公演のステージが一つ残ってるんですから!」

果林「……そうだったわね。本番までよろしく頼むわ」

しずく「はい!」


しずく「今度は……エマさんと9人で!」

61: 2021/01/14(木) 19:56:49.26 ID:D8bygdj4
――――――
部室


?「……りん……~ん」

?「かり……ちゃ~ん……果林ちゃ~ん……?」

果林「んっ……」

?「おやっ……第一声、セクシーだったねぇ」


卒業式が終わって部室に訪れた私は、

どうやらそのまま部室で眠ってしまっていたみたいだった。

部室で過ごす最後の時間。少しでも味わっておきたくて。


果林「……まさか彼方に起こされるなんてね」

彼方「いやぁ~……珍しいこともあるもんですなぁ」

彼方「すごく幸せそうな寝顔だったよ~♪」

果林「からかわないでよ、もう」


彼方「……卒業しちゃったね」

62: 2021/01/14(木) 19:57:45.05 ID:D8bygdj4
彼方「いやぁ……私たち最高の3年生だったねぇ」

果林「それ自分で言う?」

彼方「言っちゃうよ~♪」


彼方「……エマちゃんから連絡は?」

果林「……ないわ、全然」

彼方「そっかぁ……」


エマは卒業式までに帰ってこれなかった。

やはり家のことでなかなか手が離せず、大変だったらしい。

いまはもうお父さんの怪我は完治し、もう問題はすべて解決したようだ。

それを聞いて安心していたのにそこから連絡がなかなかつかなくなってしまった。

もうすぐ帰ってくるはずなのに……どうしても連絡がない。


彼方「……でも果林ちゃん、約束したんだよねぇ」

彼方「最後のステージは一緒に立つって」

果林「……えぇ」

彼方「大丈夫。エマちゃんは……絶対約束を守る、いい子だもの」

彼方「特に愛する親友の約束はね~♪」

果林「な、なに言ってんのよ……そんなんじゃないから」

63: 2021/01/14(木) 19:59:06.00 ID:D8bygdj4
果林「ところで同好会の送別会は何時から?」

彼方「17時から。愛ちゃんのもんじゃ焼き屋さんでだよ~」

果林「……まだ時間あるわね」

彼方「みんないろいろ買い出しとかしてくれてるのかなぁ?」


卒業式のあと、私たちの卒業を祝って同好会一同で送別会をしてくれるらしい。


彼方「幸せな先輩だよね~、私達」

果林「えぇ……ほんとに」


彼方「……ねぇ、果林ちゃん」

彼方「彼方ちゃん、果林ちゃんとエマちゃんにいっぱい感謝してるんだ」

果林「私とエマ?」

彼方「だって彼方ちゃん、果林ちゃんみたいにかっこよくないし」

彼方「エマちゃんみたいな包容力もないし……みんなに甘えてばっかりだったから」

彼方「『わがままお姫様~』なんて言って、あんまり先輩らしいことしてこなかったからね~」

果林「……そんなことないわよ、彼方」

果林「私もみんなも彼方に救われたこと、たくさんあるわ」


彼方「……ほんとぉ?」

果林「嘘なんてつく必要ある? 本当よ」


彼方「……えへ、えへへへ~♪」ギュー

果林「もう、後ろから寄っかからないでよ……重いわ」

彼方「いいんだも~ん♪ これからも果林ちゃんとエマちゃんにたくさん甘えるよ~♪」

彼方「ずっと仲良くさせてね~♪」

果林「……ほんと調子いいんだから……」

64: 2021/01/14(木) 20:00:23.92 ID:D8bygdj4
ピロリン♪


突然、私の携帯に連絡が入った。連絡元は……

背中に寄っかかる彼方とその内容を確認する。


彼方「うおっ……うおおおおおおおおおっ!!!」


そんな……まさか。


彼方「果林ちゃん! 空港だよ! 迎えに行ってあげて!」

果林「で、でも送別会の時間……間に合うかしら」

彼方「えっ……えええええええええっ!!?」

彼方「な、何言ってんのさ! 迎えに行く以外ないでしょ?! ヘタレ!? ヘタレなの?!」


まるで眠気がすべて吹っ飛んだかのような口ぶりで彼方は私にまくし立てた。


彼方「いま果林ちゃんが迎えに行ってあげて、」

彼方「私たち3年生3人、卒業後のステージに立つんだよ!」


果林「……そう、よね!」

果林「私、行ってくる!」ダッ

彼方「うん、またあとで~!」


彼方「……いやぁ~~~」

彼方「きっと素敵な卒業ライブになるねぇ……」



彼方「……あの子にも届きますように」

彼方「……すやあ」

65: 2021/01/14(木) 20:01:36.07 ID:D8bygdj4
――――――
空港


息を切らしながら同好会のみんなで見送った空港のロビーに着いた。

あまりに突然すぎる。そんな素振り全くなかったのに。

帰ってくるの、どれだけ待ち望んでいたと思ってるの?

いたずらを含めたサプライズにしては、大きすぎるわ……


果林「はぁ、はぁ……」


卒業式の花バッジを抱えた制服のまま、空港まで走ってきた。

浮いてるように見えたかもしれないけど、そんなの気にしない。

ずっと会いたかった親友がやっと……


?「どうしたの? 何か困りごと?」


それはまるでかつての私の真似事のような口調で、私に話しかけてきた。


果林「……エマぁ……!」

66: 2021/01/14(木) 20:02:41.52 ID:D8bygdj4
エマ「……わたしがはじめて虹ヶ咲に来たとき、こんな感じだったよね♪」

果林「なによ……なんで何も言わずに突然帰ってくるのよ……!」

エマ「えへへ……ちょっとドッキリさせたくて」

果林「だめよ、こういうドッキリは……」

果林「……こんなの朝香果林のイメージじゃないのよ」

エマ「あはは……どんな果林ちゃんでも大好きだよ♪」


エマ「あっ、お花のバッジ……そっかあ! 卒業おめでとう」

果林「エマもでしょ」

エマ「ふふ、そうだねぇ」

エマ「でもたぶん卒業してもあんまりわたし達の関係、変わらないよね」

エマ「そんな気がする」

果林「そうね……そうよ」

67: 2021/01/14(木) 20:05:54.77 ID:D8bygdj4
これから先、私たちがスクールアイドルじゃなくなっても、

私達の関係はきっと、ずっと続いていく。

高校を卒業しても、エマがスイスに帰っても、どんな大人になっても。

私はエマのことを……


「やりたいと思ったときから、きっともう始まってるんだと思う」


そしてそれは、きっと、ずっと続いていくものだと思う。


だから次のライブは同好会のみんなと一緒に、

私達の魅力をたっぷり……見せつけてあげないとね?




エマ「……ただいま、果林ちゃん!」

果林「おかえり……エマ!」



おわり

68: 2021/01/14(木) 20:08:13.58 ID:D8bygdj4
おわりました!
ここまでお付き合いしてくれた方、ありがとうございました。
エマかり、大好きです。

77: 2021/01/15(金) 11:52:52.40 ID:5zuAv5w9
素晴らしい

69: 2021/01/14(木) 20:16:07.80 ID:FfJhKpy/
おつ
これは良いエマかり

70: 2021/01/14(木) 20:18:17.07 ID:96MHwUE/
おつ
よかったです??

71: 2021/01/14(木) 20:25:38.00 ID:K5s8GYQZ
乙です、ほっこりした

72: 2021/01/14(木) 20:27:55.03 ID:NKY6G9s2
おつおつ
泣かせるじゃないか

73: 2021/01/14(木) 21:11:16.61 ID:JgqsDKX2
すごいよかった乙

74: 2021/01/14(木) 22:12:24.63 ID:uYL7sCIY
ほっこりしたエマかりスレありがとう
おつ

75: 2021/01/14(木) 22:41:24.74 ID:yJRKemYi
おつ
めちゃくちゃ良かった

76: 2021/01/15(金) 02:11:14.41 ID:m+4wNESP
濃厚なエマかり助かる

78: 2021/01/15(金) 16:23:16.42 ID:qY5cpwNz
素晴らしい…一気に読んでしまったおつ

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1610486893/

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