【SS】しずく「直径約100センチの円の中で」【ラブライブ!スクスタ】

SS


1: 2020/05/28(木) 00:28:37.33 ID:W+E+Slab0

地の文もりもり あなしず
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2: 2020/05/28(木) 00:28:53.24 ID:W+E+Slab0
 夕方からがらりと天気が変わって、自主練を切り上げる頃にはすっかり分厚い雲が空を覆い尽くしてしまっていました。

 演劇部の先輩から受け取っていた鍵で部室の戸締りをして、職員室へ鍵を返し、昇降口へ急ぎます。

 最終下校時刻5分前を知らせるアナウンスを背に靴を履き替えて、玄関口から降りしきる雨粒を見たとき───傘を持ってきていないことに気がつきました。

しずく「いけない、確か折りたたみも家に…!」

 この時間に傘を借りられるような同級生もいる訳はなく、とはいえ鞄を傘がわりに飛び出すにはちょっと勇気の要る雨で、途方に暮れてしまいます。

 イベントやライブもまだ遠い時期なので、同好会の皆さんももうそれぞれ帰宅していることでしょう。

3: 2020/05/28(木) 00:29:11.18 ID:W+E+Slab0
しずく「ジャージは鞄にあるから…駅まで走って、トイレで着替えて最寄りまで…」

 苦肉の策ですが、もうそれしか無いような気がしてきました。

 学園の最寄り駅は新しく大きな駅舎で、トイレにはフィッティングルームも併設されていたはずです。

 ずぶ濡れで駅に突撃するのは迷惑になってしまいますが、この雨だと恐らく似たような人もいるだろうと、心の中で言い訳をして。

しずく「いける…私なら出来る!そう、今の私は雨を物ともせず夜を駆ける戦士!いざ!!」

あなた「絶対風邪引くからやめよう?傘無いの?」

しずく「えっ!?」

4: 2020/05/28(木) 00:29:26.87 ID:W+E+Slab0
 全力で張り切っていたさなか、背後から声がかけられて。

 メラメラと燃え滾っていた血が、別の意味で顔を赤くしていきます。

 ギギギと油の切れたロボットのような動きで振り向けば、ある意味今一番見られたくない相手が私を見ていました。

しずく「せ…先輩?今の、聞いて…」

あなた「ご、ごめんね?見慣れたシルエットがあるなあって思って、声かけようとしたんだけど…」

しずく「……」

あなた「その…ポーズも決まってたし、カッコよかったよ」

しずく「あっ…あぁぁぁ〜!!わっ、忘れてください!!」

あなた「わ、分かった!忘れたから!落ち着いて!」

 閑話休題。

5: 2020/05/28(木) 00:29:41.55 ID:W+E+Slab0
あなた「なるほどね。薄々降るかなとは思ってたけど、練習を切り上げられなかったと」

しずく「はい…」

 口調の端々から「しずくちゃんまた無理してるんじゃないよね?」という疑惑をひしひしと感じつつ、うなだれながら答えます。

 先輩はなにかを言いかけて───口を閉じ、切り替えるようにひとつ息を吐きました。

あなた「次の日に返しに行かないといけないけど、職員室で傘借りられるんだよ。一緒に行こうか?」

 恐らく、無理しないようにと釘を刺すつもりだった発言を引っ込めての提案。

 職員室で傘を借りられるというのは初耳でした。確かにただ生徒をずぶ濡れで帰すだけというのは、学園側としてもなるべく避けたいことなのかもしれません。

しずく「そんな制度があったんですね…初めて知りました」

あなた「案外忘れられがちだからね。3年でも知らないって人もいるみたいだし」

 ちょっと得意げに先輩は言います。それから職員室の方へ歩き出そうとして。

あなた「……行かないの?」

 動かない私へ、不思議そうに振り向きました。

6: 2020/05/28(木) 00:29:55.23 ID:W+E+Slab0
しずく「あっ、いえ、その…」

あなた「?」

 首を傾げる先輩に、言いたい言葉がつかえてしまいます。

 視界の中にはチラチラと先輩の手に持つ傘が映っていて、いや、でも、とそれを留める理性の声がしていました。

 玄関ホールには私たち以外に誰もいないのか、ただ雨の音だけが聞こえています。

 どくん、どくん、と聞こえるのは、アドリブが下手くそな私の鼓動。

 たったひとつワガママを言うことが、どんな役のセリフよりも難しいとは思いませんでした。

あなた「しずくちゃん?」

 覗き込んでくる先輩に、覚悟を決めます。

しずく「せっ、先輩の傘に、入れて、くれませんか…?」

7: 2020/05/28(木) 00:30:10.69 ID:W+E+Slab0
 この一言を吐き出すのに、どれだけ気力を使ったことでしょう。

 声はひっくり返ってしまって、耳の先まで熱くなっているのが分かりました。

しずく「そっ、その、最寄りには母に迎えに来て貰えますから、だから…!」

 高校生にもなって親の迎えを前提にすること、傘に人を入れて歩くという不便を要求すること。

 もう少し堪え性があれば言い出さずに済んだはずのワガママを、それでも私は吐き出してしまいました。

しずく「……」

 耳の先にじりじり熱を帯びさせながら、先輩の言葉を待ちます。

 窘められたり諭されたりすれば、すぐにでも職員室へ行くつもりです。

あなた「しずくちゃんがそれで良いなら。狭かったらごめんね?」

 けれど先輩は、拍子抜けするほどあっさりと、優しく笑ってくれました。

8: 2020/05/28(木) 00:30:26.65 ID:W+E+Slab0
 お芝居で傘を扱う経験があり、長さや大きさを調べた記憶があります。

 長傘の場合、女性ものの傘の大きさは、60〜65センチが平均です。

 それを開いて出来る円はおよそ直径100センチメートル。

 数字だけを見るとかなり大きく思えますが、その実、荷物を持った状態でふたりが入るには手狭です。

あなた「しずくちゃん、肩濡れてない?」

しずく「はい、私は大丈夫です」

 雨粒が周囲の音を吸い込んで、雨音と私たちの声以外は、どこかひとつ幕を通した向こう側の世界にあるようでした。

 雨に区切られて、円の中にふたりきり。

 自分からこうなるように言い出したはずなのに、緊張が全然解けません。

9: 2020/05/28(木) 00:30:41.53 ID:W+E+Slab0
しずく「……」

 考えてみれば当然のことで、ちょっと先輩に褒められると照れて後ずさってしまうような性格ですから、こんなことになればこんな風になってしまうに決まっています。

 きっとあからさまに口数が減ってしまっていたのでしょう。先輩はいつもよりも積極的に話題を振ってくれました。

あなた「この時間まで自主練って、相当気合入ってるんだね。確か準主役くらいの役だっけ?」

しずく「はい、いわゆるライバルポジションと言いますか、恋する相手を巡って主人公と対立する役柄ですね」

あなた「ヒロインの次は主人公のライバルかぁ。1年生でそんなに役を貰えるなんて、しずくちゃんはやっぱり凄いね!」

しずく「い、いえ、私は、やれることをやっているだけで…!」

10: 2020/05/28(木) 00:30:58.98 ID:W+E+Slab0
あなた「だとしても、その『やれること』がきちんと成果として演劇部の人たちの目に留まってるってことだよ」

 嬉しそうにニコニコと屈託無く笑う先輩は、こう言ってはなんですが、顔立ちも相まって普段よりちょっと幼く見えます。

 いつものように一歩下がって照れを誤魔化すことが出来ないので、私はそれを至近距離で受け止めるしかありません。

あなた「スクールアイドルのレッスンもこなして、演劇部の舞台にも出て、お休みの日もボーカルレッスンで…」

あなた「ホントにすごいなぁ。かっこいいよ」

しずく「誉め〇ししないでください…」

 この段になって気付きました。

 多分、一緒に傘に入るという行為は、私にとっては自滅に近い行為です。視線を忙しなくきょろきょろとさせて、落ち着こうと自分に言い聞かせても気持ちは浮つくばかり。

 どうにか話を逸らせないかと考えているうちに、気付くことがありました。

 傘の傾きです。

11: 2020/05/28(木) 00:31:17.12 ID:W+E+Slab0
 歩き始めたときは真っ直ぐに持っていたはずだったのに、今は明らかに私の方へ傾いています。

 軽く覗き込むようにして先輩の左肩を見ると、薄青のブラウスにポツポツと色濃い斑点が出来てしまっていました。

しずく「せ、先輩。その…私、もう少し近付きますから」

あなた「?」

 私より数センチ背の小さな先輩が、不思議そうに見上げてきます。

 やたらイノセントな視線に、もしや私の勘違いだったのかと再度傘を確認しますが、やっぱりそれは傾いたまま。

しずく「だから…傘、そんなに私の方へ傾けないでください。先輩の肩が、濡れちゃってます」

 目を丸くして、それから自分の手元を見て、柄の傾きを見て。ホントだ!なんて言う先輩に、気が抜けてしまいます。

13: 2020/05/28(木) 00:31:30.71 ID:W+E+Slab0
しずく「すみません。無意識とはいえお気遣いいただいて」

あなた「いや、私が傘差すの下手なだけだし気にしないで。これくらいで風邪引くほど繊細じゃないし」

 元気満点、といったスマイルをいただきました。

 今は私の言葉通り傘をまっすぐ持ってくれていますが、目を離せばいつ傾きが戻ってもおかしくありません。

 だから、先輩が私を気遣わずに済むように───もっと言えば、濡れているのではないかと思わずに済むように、空けていた距離を詰めました。

しずく「あっ、すみません」

あなた「…?大丈夫だよ?」

 詰めた分、歩くたびに肩がとん、と触れ合います。その度につい謝ってしまう私と対照的に、先輩は全く気にしていないようでした。

 ここまで反応が無いとちょっと複雑ではありますが、かといって何かできるほどの度胸もありません。

 こういうところで諸々の差ができるのでしょう。何がとは言う勇気もまだありませんが。

14: 2020/05/28(木) 00:31:52.56 ID:W+E+Slab0
あなた「こういう風にふたりで帰るのって珍しいから、私は嬉しいし楽しいよ」

あなた「だから、小さいことは気にしないで」

しずく「…はいっ」

 先輩はにっこりと頷いて、それからまた私の舞台の話や、最近読んだ本の話へと戻ります。

 音楽科では音楽史の勉強や芸術鑑賞を兼ねて、ミュージカルやオペラの映像を観ることも多いそうです。

 授業で観劇ができるなんて羨ましいと思ってしまいましたが、その後のレポートがきついそうで、なかなかうまい話というのは無いようです。

 私の知らない劇や楽曲演出の話も興味深くて、つい聞き入ってしまいました。

 観劇するとき、次からは楽曲面からも考察をしてみようと思います。そう言うと、しずくちゃんは勉強家だねと、先輩は柔らかく微笑みました。

15: 2020/05/28(木) 00:32:07.89 ID:W+E+Slab0
 それからほどなく駅に着き、雨に濡れる心配もなくなります。

 私が円から出るのを確認して、先輩は傘を閉じました。ぱさ、と水滴を落としながら閉じられるそれには、何故だか舞台の緞帳を重ねてしまいます。

 カーテンコール。

 アンコールの余韻も無しに、私は舞台から降りなければなりません。

しずく「今日は本当にありがとうございました。また明日、学園で!」

あなた「うん、また明日ね」

 触れ合う肩越しに持った熱をどうにか隠しきれていますようにと願いながら。

 私は素直な後輩そのままのお礼とあいさつとを先輩へ向けて、帰宅の途へ着きました。

 相性が悪いと思っていた雨のおかげで幸せな時間を過ごせはしましたが、もうひとつの片思いに関しては、まだまだ続いていくみたいです。

16: 2020/05/28(木) 00:32:22.32 ID:W+E+Slab0
しずく「……」

 ひとり電車に揺られながら、私は考えます。

 議題は、心に巣食う感情の正体について。

17: 2020/05/28(木) 00:32:46.56 ID:W+E+Slab0
 脳内の議場には私を含めて3人。

 議長は私、桜坂しずく。服装は虹ヶ咲の夏服です。私の前で残りふたりは机を挟み、向かい合って座っています。

???「私はスクールアイドルで、なにより先輩にとってはただの後輩。それだけで十分なんだよ」

???「本当に十分なら今こんな風に考え込んでいないはずだと思うけど」

???「むっ…でもそれはあくまで通過点で、結論自体はこちらの方が正しいはず!」

???「結論を急いでも納得できるとは思えないよ?私も、あなたも」

???「…っ」

しずく「えぇ…なにこの状況…?」

 自分の思考のはずなのに、思わずそう呟いてしまいました。

 言い返されて更なる返しを考えるように黙り込むのは、白いドレス調の衣装を着た私。

 その正面には、白い衣装の私よりも不思議と貫禄が滲みだしているように見える、赤いコートを着た私が座っていました。

 要するに、同じ顔が3人座っている訳です。

18: 2020/05/28(木) 00:33:00.50 ID:W+E+Slab0
 ややこしいので、安直ですが白い衣装を着ている私を白しずく、赤いコートを着ている私を赤しずくとでも言っておきましょう。後者をオードリー桜坂と称すると諸々の語弊が生まれてしまう気がしますし。

 困惑している私へ、ふたりが振り向きます。

白しずく「他人事みたいにしてるけど一番の当事者はあなただよ、制服の私」

赤しずく「私たちが何を言っても最後に動くのはあなただから、制服の私」

 何やら一斉に私へ矛先を向けてきました。自分と同じ顔が同時にこちらを見てくるの、ものすごく怖いです。

しずく「ええっと…何の話?」

白しずく「分からないふりは良くないよ。あなたがちょくちょく駄々洩れにしている感情の話」

しずく「だ、駄々洩れ…」

赤しずく「洩れてること自体を否定は出来ないかな」

白しずく「否定できないことが問題なんだよ」

19: 2020/05/28(木) 00:33:15.82 ID:W+E+Slab0
白しずく「先輩の側にいたいんだよね?支えていて欲しい、見ていて欲しいって思ってるんでしょ?」

 語尾は疑問形でも、確信に満ちています。当然でしょう、自分のことですから。

しずく「それは…そうだよ。だとしたらどうなるの?」

白しずく「だったら…だったら、先輩にとっての理想の姿でいられるように努力しているべきでしょ?」

白しずく「その理想は、誰か一人にとって特別になろうとしている姿じゃなくて…スクールアイドルとして輝いている私なんだから」

しずく「っ…」

 とっさには言い返すことができません。自分自身なだけあって、よく刺さる言葉でした。無意識に考えては目を逸らしていた迷いが、白しずくの口を通して、目の前に突き出されているようです。

 スクールアイドルと役者とを掛け持ちしているだけでなく、こんな浮ついた感情を抱えることは正しいのか。

 全霊で応援してくれている先輩に対してこんな気持ちを持っていることは、信頼に対する裏切りではないのか。

 そんな風に考えたことがないと言えば、嘘になります。

赤しずく「…そうだとして、自分の感情を押し込めた演技をし続けるなんて出来ると思う?」

 沈黙に、赤しずくが割り込みました。

20: 2020/05/28(木) 00:33:29.35 ID:W+E+Slab0
白しずく「今までだって不完全ながら出来てたんだよ。これから気持ちを改めれば綻びは減らせるはず」

赤しずく「出来たとして、それは本当に望ましいこと?自分の殻に留まった演技をしながら側にいる方が、先輩に対して不誠実なんじゃないかな」

白しずく「だったら…全部表に出すっていうこと?」

赤しずく「そうじゃなくて、心の持ちようの話」

赤しずく「ただの後輩で良いって自分自体を誤魔化し続けるのか、そうじゃないかっていうことだよ」

赤しずく「演じる上で、自分の感情に蓋をしたところで…その演技にはまた血が通わなくなる」

 ふたりの議論はヒートアップして、再び私は置いてけぼりを食らいます。どれも自分の脳内議場な訳ですから、本当は私が置いて行かれているということはないのでしょうけれども。

しずく「あの、ちょっといいかな」

しずく「とりあえずふたりの意見がところどころ割れてるのは分かったんだけど」

 水掛け論のままヒートアップしていきそうな場に、両手を掲げて割り込みました。

21: 2020/05/28(木) 00:33:42.41 ID:W+E+Slab0
しずく「…先輩が好きで、もしも振り向いて貰えたら嬉しいっていうのは同じなんだよね?」

白しずく「……それは」

赤しずく「…まぁ……」

 なにやらごにょごにょ呟いて、頬を赤くしながら俯きます。自分の顔と声でこんな感想を持つのもアレなんですが結構あざといですねこれ。

 言ってる自分も自分で恥ずかしいのですが、こうでもしなければ終わらないわけですから仕方ありません。

しずく「それが分かれば、良いかな」

 葛藤する部分と、そうでない部分。迷う自分の心でも否定できないことこそが、きっと核心なのでしょう。

 もちろん、大切な人の理想になれるよう頑張るべきだという言葉は本当のこと。

 演じることへ真摯であるべきだという意見もまた本当のことです。

 ただ、最後に残るのはどうしたって、一人の人間としての素直な感情でした。

 きっとこういうところが、私が役者としてまだまだ未熟な部分なのでしょう。

22: 2020/05/28(木) 00:33:55.18 ID:W+E+Slab0
『次は鎌倉~、鎌倉です』

しずく「お、降りなきゃ!」

 車内アナウンスで我に返ります。

 目を開くと同時に当然ながら脳内の議場は消えて、ふたりの私も同様に見えなくなりました。

 けれど心には確かに、ふたりを通して得たものが残っています。 

 ホームへ降りると、ほとんど雨はおさまっていました。

23: 2020/05/28(木) 00:34:09.05 ID:W+E+Slab0
 転機が来たのは、それからしばらく経った、けれどあの日と似た雨の日のことです。

 陽の落ちたふたりきりの玄関ホール。そこから数歩、空の下へ出た位置。

あなた「前にも似たようなことがあったよね」

 直径100センチの円の中で、先輩は屈託なく笑いました。

24: 2020/05/28(木) 00:34:22.89 ID:W+E+Slab0
しずく「ええ、いつも折り畳み傘を入れるように気を付けていたはずなのに…お手数おかけします」

あなた「これくらい気にしないで」

しずく「傘、私が持ちますね。先輩に持っていただくと傾けられちゃいますから」

あなた「あはは、そう言えばそうだった。よく覚えてるね」

しずく「あのときは先輩が風邪を引いてしまわないか凄く心配したんですよ?」

あなた「あー…まあそれは…私もしずくちゃんに風邪引いてほしくなかったし、お互いさまってことで」

 結局自分が風邪を引きかねない行動をしていたこと自体は否定できていませんが、この何とも緩い言い訳もまた先輩らしさです。

 ではお互いさまで。オウム返しの台詞を紡いで、スクールバッグの肩ひもを握ります。

 バッグの口はきちんと閉じていて───それでもなお念入りに。バッグの底へ沈む折り畳み傘の存在を、先輩に気取られないように。

25: 2020/05/28(木) 00:34:36.83 ID:W+E+Slab0
 翌日が週末休みであることから、普段の通学路にはいつもより車が多く行き交っていました。

 タイヤが車道の水を次々跳ね上げて、景気よく歩道へ水打ちをしているような状態です。

あなた「雨だけど…ちょっと遠回りしようか。流石にあれはね」

しずく「はい…」

 意図せず帰り道が延びて、車通りの少ないルートへ。住宅街の間を縫うような道は、街灯こそあれ人通りもあまりありませんでした。

 遠くの道で車の走る音がして、それも徐々に厚い雨のベールに遮られていきます。

 ばしゃ、ばしゃんと派手に水を打ち上げる音が微かに聞こえてきて、道を変えて良かったー、と先輩は胸を撫で下ろしていました。

 それから頷く私の方を見上げて、ぱちぱちと何度か瞬きをした後、柔らかく目を細めます。

しずく「どうかしましたか?」

26: 2020/05/28(木) 00:34:52.89 ID:W+E+Slab0
あなた「あのね、語弊がある言い方かもしれないんだけど、出来れば褒め言葉として受け取って欲しくって」

しずく「なんでしょう?」

あなた「もちろん、しずくちゃんはどんな時でも素敵なんだけど」

しずく「えっ!?」

 前置きにあっさりとそんなことを言って、先輩は続けます。

あなた「しずくちゃんは雨が似合うね。なんていうか、雰囲気がもっと大人っぽく見えるっていうか」

 暗いとかそういうマイナスな意味じゃないんだよ、と付け足して、頭上を覆う傘の布をちょんちょんと示しました。

あなた「それに、傘越しに色のついた光が落ちるでしょ?それが、なんだか舞台のライトっぽいなって」

 分かりづらい例えでごめん、と先輩は苦笑します。

27: 2020/05/28(木) 00:35:05.64 ID:W+E+Slab0
しずく「それでは、今の私はどちらに見えますか?」

あなた「え?」

しずく「ただの桜坂しずくか、役者の桜坂しずくか。先輩の目には、どう映っているでしょうか」

あなた「ええ…?普段のしずくちゃんって答えようとしたけど、いざそう聞かれると…うーん?」

 問いかけに、先輩は律義にうんうんと考え込み始めました。

 そこにはわざとらしい部分が見当たらなくて、こんなことにも真っ直ぐ向き合ってくれるところに惹かれているのだと、改めて実感します。

 小さなきっかけが水の一粒のように積み重なって、雨のように連なって、小さな傘の下に私を立たせているのでしょう。

28: 2020/05/28(木) 00:35:17.34 ID:W+E+Slab0
 周囲を目だけで見渡して、状況を確認します。

 人通りの少ない道で、同じ傘の下。雨が周囲の音を吸い、さながら静かな円形の舞台のような。

 今の私にとって、これほど何かに適した環境はあるでしょうか。

しずく「……」

 『いざチャンスが巡ってきたら、逃さず自分のものにすることだ』と、憧れの人は言いました。

 であれば、行動をするとすれば、今この時です。

しずく「ふふっ、変な質問をしてすみません。ただの興味本位ですから気にしないでください」

 おどけた冗談を装いながら、息を深く吸いました。

29: 2020/05/28(木) 00:35:28.66 ID:W+E+Slab0
しずく「先輩、少しの間、傘を持っていただいていいですか?」

あなた「はーい、どうぞ」

 先輩は嫌な顔ひとつせず、私から傘の持ち手を受け取ってくれました。左手に鞄、右手に傘。これで両手は塞がっています。

 私が立ち止まると、先輩も同じように止まりました。そうしなければ私が濡れてしまうから。

しずく「……」

 だから先輩は、この雨の間は、私の側から動けません。

あなた「しずくちゃん?どうしたの?」

 私が荷物から何かを取り出そうとしているとでも思っていたのか、動かない私に不思議そうに声をかけてきます。

しずく「突然になってすみません。お伝えしたいことがあります」

 開幕の言葉で、舞台は整いました。

30: 2020/05/28(木) 00:35:42.41 ID:W+E+Slab0
しずく「これから言うことは…お芝居の練習のためでも、表現力を磨くためでもありません」

 自分の心には、どこまでも素直に。

 竦む心を演技で隠して、喉の震えを押さえます。


しずく「先輩。私は、先輩のことが好きです」

 衝動に従ってしまえば、あっさりと言葉が出ました。


 先輩にありがちな聞き逃しや勘違いを防ぐために、ガクガク笑い始めた膝を必死に奮い立たせながら畳みかけます。

しずく「キスをしたい、触れたい。先輩の心が欲しい。私の好きは、そういう好きです」

 ここまで言えば聞こえているはずです。聞こえていれば、嫌でも伝わっているはずです。

あなた「!」

 息を呑む音。続いて、先輩の瞳が大きく開かれたのが分かりました。

 かすみさん曰くにぶにぶの先輩でも、伝わったのだと見て取れます。

31: 2020/05/28(木) 00:35:54.77 ID:W+E+Slab0
しずく「もし同好会の部長として『スクールアイドルの桜坂しずく』に触れることが出来ないなら、役者の卵としての桜坂しずくではいけませんか?」

 一度ラインを超えてしまえば後はなし崩しで、堰を切ったように言葉が溢れてきました。

 乗じるように感情が高ぶって、目の前の人のことしか考えられなくなっていきます。

しずく「…それでも駄目なら、ただの後輩としての桜坂しずくに、一度だけ、触れさせてくれませんか」

 アドリブ下手なはずなのに、なぜだか今はやたらとよく舌が回っていました。

 視線をぎこちなく左右へ振れさせ、何を言えばいいかを迷っているような先輩とは対照的です。

しずく「告白の返事が欲しいとは言いません。ただ、それだけで良いんです」

 伝わってほしい、知ってほしい。叶うことなら、触れさせてほしい。私の頭の中はもうそれだけでいっぱいで、半ば衝動に身を任せているような状態です。

32: 2020/05/28(木) 00:36:11.84 ID:W+E+Slab0
あなた「…わ、私、は」

 肩に触れても、先輩はただ迷うような目をしてそこに立っていました。そんな中でも、動く私の肩が濡れないように細かく傘を動かしていて、律儀さに笑ってしまいます。

 拒まないと、拒めないとわかっていて踏み込む私は、きっともっとおかしい人間なのでしょうけど。

しずく「……」

 傘を持つ手を上から包んで、なるべく柔らかい力で押し下げます。

 周囲から私たちの顔が見えないように、何をしているか分からないように。

しずく「今だけ…私はただの、桜坂しずくです」

 言い聞かせるような言葉は、きっと自分自身のため。

 この傘の下でだけ、私はこの心に素直でいられます。誰かにとっての在るべき『私』ではなくて、素のままでは決して出来ない『素直な自分をさらけ出す私』を、演じていられます。

しずく「嫌だったら突き飛ばしてください。そうしてくれたら、諦められますから」

 そんなことが出来る人ではないと分かっていて、言葉だけの予防線を張りました。

 もし嫌だとしたって先輩は私を突き飛ばすようなことはしないでしょうし、何より、万が一突き飛ばされたとしたって、諦められるとは思いません。

33: 2020/05/28(木) 00:36:27.86 ID:W+E+Slab0
しずく「……」

あなた「しずく、ちゃん」

 手を添えた先輩の肩は強張っています。当たり前のことでした。視線はふるふると揺れていて、もしかすると私の言葉の半分以上はよく分かっていないかもしれません。

 だとしてももう、私は止まれない場所まで来ています。

 震えを押し〇して、顔を寄せました。

 とにかく心臓がうるさくて、先輩の表情を見る余裕はありません。

あなた「……っ」

 微かに息を吸う音だけが聞こえて、合図のように、唇を触れました。

34: 2020/05/28(木) 00:36:41.68 ID:W+E+Slab0
 お芝居や映画でキスシーンを見たことは何度もあります。寸止めのする振りだったら、演じたことだってあります。

 今私たちがしているようなものより遥かにとんでもなくとんでもないものだって、数えきれないほど見てきました。

 けれど、目を通して見たどれだけ深いキスよりも、唇で今まさに感じているごく軽いキスの方が、比べようもないほど激しく心臓を揺さぶります。

 私の唇が先輩と重なっている。その事実だけで頭の奥はビリビリ痺れて、胸が爆発してしまいそうでした。

しずく「っ、ん…」

 少し強張っていても柔らかくて、雨の匂いに紛れて甘い香りがします。離れがたく何度も角度を変えて押し付けている間に、その香りはどんどん強くなっているようにも感じました。

 触れさせる以上のことは出来ないけれど、すぐに離れるわけでもない。

 お互いの呼吸の音と、小さく漏れる喉の奥の音と、途切れない雨音だけの世界。

 欲もタガも中途半端なキスは、決して短くない時間続きました。

35: 2020/05/28(木) 00:36:55.19 ID:W+E+Slab0
しずく「…っ、は」

 顔を離しても、どくどくとこめかみまで脈打っているのが分かります。鼓動で胸が張り裂けそうで、唇の名残はずっと消えそうにありません。

 興奮で乱れる息を整えながら、私はここで、ようやく先輩の表情を真正面から直視しました。

 耳の先まで赤くなり、さっきまで重ねていた唇は心なしかしっとりしているように見えます。しかし何より目を引いたのは、いつもはキラキラと光を湛えているはずの、その両目でした。

あなた「……」

 先輩の象徴とも言える瞳の力強さはどこかへと鳴りを潜め、ひどく弱々しく、今にも涙が零れそうなほどに潤んでいました。

しずく「───」

 一気に血の気が引いていきます。今更冷静になった思考がぐるぐると脳内を駆け巡り始めます。

 演じる演じないだとか、素直さがどうなどとは関係なく、あってはならない感情のぶつけ方をしました。

 告白をするだけして、返事はしなくていいなんて健気なふりをして。挙句、逃げられない状況まで誘導して、取り返しのつかないことをしました。

36: 2020/05/28(木) 00:37:34.73 ID:W+E+Slab0
しずく「…せ、んぱい」

 足元がぐらりと揺れて、酷い眩暈がします。

 津波のようにどっと押し寄せる罪悪感で、今にも潰れてしまいそうでした。 

しずく「こんなことをしておいて、勝手なことを言うようになってしまいますが…」

 さっきとは異なる理由で荒くなる息を鎮めながら、なるべく冷静に聞こえるように、声を絞り出します。顔は上げられません。先輩がどんな表情をしているか、もう見られそうにありません。

しずく「…今日のことは、忘れてください」

 言い終わると同時に円を出て、雨の中へ飛び出しました。

あなた「しずくちゃん、待って!!」

 後ろから私の名前を呼ぶ先輩の声が聞こえた気がしましたが、それも振り切って雨音の中へと身を投げました。運動神経にはそれなりに自信もありますから、先輩が仮に追いかけてきたとしても私には追い付けないでしょう。

 途端に雨粒が次々と肌の上を滑って、体温を吸い取り、地面へ落ちていきます。アスファルトの上に出来た水たまりからばしゃばしゃと水を跳ね上げて、足元を濡らしていきます。

しずく「っは…はぁっ…はぁ…っ!」

 構わず走って、走って、とにかく走りました。

 駅に着くころにはずぶ濡れで、行き交う人たちの視線を感じながら駅の女子トイレへと滑り込みます。

 最低限の水滴を拭って、併設されたフィッティングルームで制服からジャージへと着替えました。

しずく「っ、ぅ……」

 心臓が痛くて、息が苦しいのは、悪天候の中で走り続けたせいで。

 びしょびしょの制服をビニールへ突っ込む手の甲へ落ちた水滴は、きっと、前髪の拭き損ねでしょう。

37: 2020/05/28(木) 00:37:51.05 ID:W+E+Slab0
 翌日、久々に酷い風邪を引きました。

 いろいろと弱り切った上で雨の中を駆け抜けたわけですから、まあ当然と言えば当然です。

 個人的に受けているボーカルレッスンもお休みしなければいけなくなってしまいましたが、きっと行けていたとしてもほとんど身が入らなかったでしょうから、別日に振り替えられたぶん結果オーライかもしれません。

 家族やオフィーリアに心配をかけてしまったことは申し訳なくて、でもそれ以上にどこかホッとしている自分もいます。あんなことをしてしまった昨日の今日で、先輩にどんな顔をしていいか分かりませんでしたから。

 他のメンバーにうつしてしまっても大変ですし、しっかり治して体力をつけるまで同好会の練習は控えなければなりません。

 どうかその数日の間に、あの日の出来事が流れ落ちてしまえばいいと、自分勝手にも願ってしまいます。

 窓の外には、昨日のことがまるで嘘のように、抜けるような蒼天が広がっていました。

38: 2020/05/28(木) 00:38:09.31 ID:W+E+Slab0
 そんな祈りがどこかしらへと届いたのでしょうか。

 思ったよりも呆気なく時間は流れていって、いつも通りに過ごしていたと思います。風邪から復帰して以来私はあの日の一件には触れず、また先輩もそのことに触れることはありませんでした。

 白く厚い雲も、世界を覆う雨も、区切られた小さな円の舞台も見ることなく、晴れた空の下で過ごしていました。


 少しずつ風化していた───そうさせようとしていた、ある日のことです。

 その日は雨が降ったり止んだりしていて、傘を差すべきかどうか迷ってしまう曖昧な天気でした。

39: 2020/05/28(木) 00:38:26.43 ID:W+E+Slab0
 これくらいなら大丈夫だろうと高をくくって校舎から出たは良いものの、予想以上に雨が強くなっていって、シャッターの閉まったお店の軒先で足止めをされています。

しずく「夕立だろうけど…まだしばらく止まなさそう」

 手のひらに落ちる雨粒を目にして、ため息をつきました。これなら使わないにせよ職員室で傘を借りるだけ借りていった方が良かったかもしれません。

 天気予報アプリでこれからの天気を確認してみると、嫌な予感は的中していて、雨雲はしばらくの間この辺り一面にかかり続けるようでした。

しずく「少しずつ移動しながら喫茶店にでも…いや、そこまでするならいっそ走る…?」

 ぶつぶつと呟いて、どうしたものかと思案します。

しずく「……よし」

 答えを出すのにはあまり時間がかからず、走り抜ける覚悟を決めました。お店を探して入るには時間が中途半端ですし、あまり散財はしたくありません。

 数十分雨をしのぐためだけに使うよりも、観劇のチケットや歌劇団の方のグッズへ回した方が有意義です。

しずく「いざ───」

「絶対また風邪引くからやめよう?傘無いの?」

しずく「え」

 背後からの声に固まって。

40: 2020/05/28(木) 00:38:37.67 ID:W+E+Slab0
あなた「狭いけど、入っていきなよ」

しずく「先輩、どうして…?」

 ぎこちなく振り返れば、先輩が傘を差し出しながら立っていました。

41: 2020/05/28(木) 00:38:51.44 ID:W+E+Slab0
 既視感のある───できれば思い出したくはなかった───シチュエーション。直径100センチメートルの円の中で、肩を触れさせながら歩きます。

 お互い言葉は少なく、傘はいつしか私側に傾けられていました。


 ほどなくして、見覚えのある分岐路に立ちます。

 一方は駅までの最短ルート。車通りのある賑やかな道で、小さなお店が立ち並び、下校中の学生があちらこちらで歩いていました。

 もう一方は住宅街に繋がる道で、駅に着くまで少し遠回りになります。車通りも人通りも少ない、簡単にふたりきりになれてしまう道です。

しずく「……先輩…」

 立ち止まって、先輩の袖の端をつまみます。

 忘れて欲しいと言ったのは私なのに、僅かに見える可能性へ縋ってしまう、ずるい行いでした。

42: 2020/05/28(木) 00:39:02.54 ID:W+E+Slab0
あなた「…こっちにしようか」

 それから数秒ほどでしょうか。

 先輩は、駅とは違う方向へ足を向けました。

 車通りも人通りも少ない、遠回りのルートへ。

 住宅街の中にあるひっそりとした小さい公園の、更にその片隅で、先輩は足を止めます。雨のベールは白く厚く、私たちを周囲から隔離していました。

 何も言葉は交わしません。先輩は何も話さずにいて、私は何も話せずにいました。この行動が示す意味を汲み取るべきか分からずに、バクバクとうるさい自分の鼓動だけを聞いています。

しずく「…先輩」

 沈黙を破って呼ぶ声が、雨音にすら隠しようなく震えました。

43: 2020/05/28(木) 00:39:22.56 ID:W+E+Slab0
しずく「ダメです、こんな場所で立ち止まったら」

 やっぱりアドリブは大の苦手のままで、それでも、絞り出すように必死に続けます。

しずく「欲しがって良いんだって、勘違いしてしまいます」

 分岐路の前で裾に縋っておきながら、そんな言葉を吐き出します。

 強張る手を無理やり動かして、先輩の華奢な両肩へ手を添えて。過度の緊張で指先が酷く冷たくなっていることに、この時になってようやく気付きました。

 同時に、先輩の体がとても熱く、強張っていることにも、こうして初めて気づきます。

しずく「っ…!」

あなた「しずくちゃん」

 数センチ下からの視線。小さいけれど確かに届く、私の名前を呼ぶ声。

 先輩は嘘も演技もお世辞にも上手とは言えない人です。だから、取り繕いの一つもなく、目の前の表情が何より雄弁に語ります。

 鼻の奥が熱くて、目の奥が熱くて、けれど一番ひどく熱を持っているのは、間違いなく心の奥底でした。

しずく「……すきです、せんぱい」

 ぐしゃぐしゃの声で雨粒のように零した声は、これほど近いからこそ届いてくれて。

44: 2020/05/28(木) 00:40:10.23 ID:W+E+Slab0
 先輩は傘を低く差して、私を静かに見上げました。


おわり

47: 2020/05/28(木) 01:24:22.48 ID:9hJ8xg64d
乙、座長も好きだけど正統派ヒロインのしずくちゃんもいいよね

48: 2020/05/28(木) 02:38:29.80 ID:yk4PPvHJd
これは正統派ヒロイン

49: 2020/05/28(木) 03:03:06.76 ID:G6Hn8bJa0
乙、よかった

50: 2020/05/28(木) 04:04:07.48 ID:fLo4C2+30
素敵過ぎるあなしずをありがとう…
あなしず好きだなぁ…

51: 2020/05/28(木) 10:13:32.00 ID:hBbkgu8Dd
やっぱりあなしずなんです理想のヒロインなぁ…

53: 2020/05/29(金) 03:21:15.05 ID:lFziH348r
いつまで立っても傘持ち歩かないしずくちゃんに草

茶化しちゃったけど読んでて本当にドキドキした

52: 2020/05/28(木) 18:23:01.87 ID:8cSLy2YDa
良かった…

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1590593317/

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