【SS】日曜桜坂劇場「刑事オードリー」[字][解][デ]死を呼ぶ嘘スキャンダル記事!人気アイドルに秘密あり…疑惑の八重歯と魅惑のセクシー姉さん【ラブライブ!虹ヶ咲】

SS


1: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:00:06.90 ID:pQpcRFPF
歩道橋下

しずく「身元不明かぁ……」

璃奈「うん、所持品は特になし。歩道橋から転落死したのは間違いないけど……」

しずく「物取りかな?」

璃奈「かもしれない」

あなた「しずくちゃーん! 連れてきたよ、こちら第一発見者の近江彼方さん」

彼方「いや~、彼方ちゃん朝からえらいもん見つけちゃったぜ~」

しずく「ありがとうございます、先輩。では早速発見時の詳しいお話を――」

あなた「あれっ? この死んでる子って……」

しずく「お知り合いなんですか?」

あなた「知り合いじゃないけど、知らない? 綾小路姫乃ちゃん」

しずく「……?」

璃奈「あれから40年」

あなた「それきみまろじゃん」

彼方「あー、きみまろならこないだ徹子の部屋で見たよ~」

しずく「私も見ました」

あなた「だからきみまろじゃなくて姫乃ちゃんだってば、アイドルの」

3人「……?」

あなた「えっ、私しか知らないの?」

しずく「すみません……」

彼方「ん~……その子って徹子の部屋に出たことある?」

あなた「それはないかもしれないけど……」

彼方「じゃあ知らなくてもしょうがないね~」

璃奈「うん、しょうがない」

あなた「そうなの? そういうものなの?」

しずく「とりあえず遺体が姫乃さんかどうかを確認しましょう」
 
5: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:04:00.50 ID:pQpcRFPF
警察署・安置室

栞子「藤黄芸能の三船と申します」

あなた「姫乃ちゃ……さんのマネージャーさんだよね? どうぞこっちへ」

しずく「では、お願いします」

栞子「……えいっ」ペラッ

しずく「姫乃さんに間違いありませんか?」

栞子「はい……間違いありません」

あなた「やっぱり姫乃ちゃ、さんだったんだ……」

栞子「あの、言い直さなくて大丈夫です」

しずく「もしよろしければ姫乃さんについて少しお話を聞かせてもらえますか?」


別室

栞子「……姫乃さんは自〇したのでしょうか?」

しずく「それはまだなんとも……どうして自〇だと?」

栞子「このところ精神的に不安定な様子だったので、もしかしたらと」

あなた「姫乃ちゃんが『死にたい』みたいなことを言ってたとか?」

栞子「いえ、そこまではっきりとは……」

しずく「ではその原因に心当たりは?」

栞子「……おそらくあの記事かと」
 
7: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:08:00.48 ID:pQpcRFPF
コンビニ前

あなた「あったよ『週刊ミンミン』。えっと姫乃ちゃんの記事は……」ペラッペラッ

あなた「これだ。『宇脇刷三、綾小路姫乃と深夜の不倫デート』?」

しずく「不倫とは穏やかじゃありませんね」

あなた「この宇脇って人、先月結婚発表したばかりみたい」

しずく「それなのに早速不倫ですか……」

あなた「まったく、信じられないよ」

しずく「……見事に炎上してますね、姫乃さん共々」

あなた「うわー……やっぱりこれが原因で姫乃ちゃんは自〇を?」

しずく「どうでしょう……まだ自〇と決まったわけじゃありませんから」

あなた「だよね。もっと調べてみないとわかんないか」

しずく「ただこの写真、なんだか気になりますね……」

あなた「写真? ああ、記事の」


マンション・エントランス

ピンポーン

??〈……どちら様?〉

しずく「警察です。綾小路姫乃さんのことでお話が」

??〈……どうぞ〉
 
8: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:12:00.32 ID:pQpcRFPF
姫乃宅

果林「話ってなに?」

あなた「あ、その前に確認を。えっと……朝香果林さんだよね? 姫乃ちゃんとルームシェアしてる」

果林「姫乃“ちゃん”?」

あなた「……姫乃さんとルームシェアなさっている朝香果林さんでいらっしゃいますか」

果林「ええ、そうよ。それで姫乃ちゃんがどうかしたの?」

しずく「まもなく発表されると思いますが、綾小路姫乃さんがお亡くなりになりました」

果林「えっ……? どういうことよ、それ……」

あなた「亡くなったっていうのは、死んだとかご臨終とかお陀仏とか、あとポ――」

果林「そんなこと知ってるわよ! 私は姫乃ちゃんがどうして死んだのか聞いてるのっ!!」

あなた「ご、ごめんなさい……」

しずく「今わかっているのは歩道橋から転落したということだけです」

果林「……誰かに〇されたってこと?」

しずく「その可能性もあります」

果林「そう……」

しずく「姫乃さんの死の真相を知るために、いくつかお聞きしたいんですが……」

果林「私にわかることならなんでも聞いてちょうだい」

しずく「ありがとうございます。では早速……昨日の姫乃さんに変わった様子はありましたか?」

果林「さあ……特に気が付かなかったわ」

しずく「そうですか……姫乃さんが昨夜何時頃に家を出たかは覚えていますか?」

果林「私が眠った後だから10時以降だとは思うけど、詳しい時間まではわからないわね」

しずく「出かけるという話も姫乃さんからは聞いていなかったんですか?」

果林「ええ」

あなた「じゃあ朝、姫乃さんがいなくておかしいとは思わなかったの?」

果林「あの子、仕事で朝早くから家を出ることも多かったから」

あなた「なるほど……人気アイドルだもんね」

しずく「姫乃さんを恨んでいる人物に心当たりは?」

果林「どうかしら……人気に嫉妬してる人はいるかもしれないけど、だからって〇したりする?」

しずく「まあ〇人の動機は色々ですから……あっ、姫乃さんのお部屋を見せてもらってもいいですか?」
 
9: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:16:00.21 ID:pQpcRFPF
姫乃自室

あなた「へぇ~……ここが姫乃ちゃんの部屋かぁ。広ーい……」

果林「ん?」

あなた「……姫乃さんの部屋か~」

しずく「果林さんはいつ頃から姫乃さんとルームシェアを?」

果林「4年くらい前からだけど……」

しずく「4年ですか……ちなみに果林さんはどんなお仕事をしているんですか?」

果林「モデルをやってるわ」

あなた「果林さんモデルなの!? すごい、写真見せてよ!」

しずく「先輩……」

果林「ふふっ、それはまた今度ね」

しずく「あぁ、大事なことを聞き忘れていました。果林さん、この記事はご存じですか?」スッ

果林「……あなたたち、そんなガセネタ信じてるの?」

あなた「えっ、この記事って嘘なの?」

しずく「どうしてガセネタだとわかるんですか? もしかして、姫乃さん本人から聞いたとか?」

果林「そうよ。姫乃ちゃんが浮気なんてするはずないじゃない」

あなた「そっか~よかったぁ~……あ、なんか安心したらトイレ行きたくなっちゃった。借りていい?」

果林「どうぞ」

あなた「じゃあしずくちゃん、ちょっと行ってくるね!」

ガチャッバタン
 
10: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:20:00.61 ID:pQpcRFPF
廊下

あなた「って出てきたはいいもののトイレの場所聞くの忘れてた……」

あなた「ま、片っ端からドア開けていけば見つかるよね!」ガチャッ

あなた「おぉ、大きいベッド……寝室か」バタン

あなた「じゃあこっち~」ガチャッ

あなた「きったな! なにこの部屋……泥棒でも入ったのかな? こわいこわい」バタン

………………

…………

……


玄関

しずく「では私たちはこれで失礼します」

あなた「写真、ちゃんと用意しておいてね!」

果林「はいはい、じゃあまたね」

バタン……

しずく「さて、これからどうしましょう?」

あなた「雑誌の編集部に行ってみよっか。あの記事なんだか怪しいし」


週刊ミンミン編集部

ランジュ「編集長の鐘嵐珠よ! で、警察がアタシになんの用?」

あなた「この記事を書いた人と話がしたいんだけど……」

ランジュ「ランジュに用があるんじゃないの?」

あなた「まあ……今はないかな?」

ランジュ「ふーん、そう。ねえミア! 姫乃の記事を書いた子、呼んできなさい!」

ミア「彼女ならさっき出掛けて行ったけど?」

ランジュ「そうなの? 悪いわね、今確認したらあの子留守みたいなの」

しずく「知ってます、聞こえてましたから」
 
11: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:24:00.63 ID:pQpcRFPF
ランジュ「だから代わりにアタシとミアがアナタたちと話をしてあげるわ!」

ミア「なんでボクまで……」

しずく「では単刀直入に。この記事が捏造だという話が出ているのですが、どういうことでしょう?」

ランジュ「捏造? そんなはずないわ。事務所も否定してないし、写真だってあるじゃない」

あなた「でももしこれが合成写真だとしたらどうかな?」

ランジュ「まさか、合成じゃないわよね?」

ミア「ボクが知るわけないだろ」

しずく「そのあたりをはっきりさせるためにも、書いた本人とお話がしたいのですが」

ランジュ「……電話してみるからちょっと待ってて」ポチポチ

プルルルル……プルルピッ

ランジュ「ダメね、出ないわ」

しずく「切るの早くないですか?」

ランジュ「それにしてもびっくりよね、姫乃が死んじゃうなんて」

しずく「知っていたんですね、姫乃さんのこと」

ランジュ「ええ、さっきニュースで見たから」

あなた「……もしかすると、この記事が姫乃ちゃんの死の原因かもしれないね」

ランジュ「えっ?」

しずく「姫乃さんは記事が出てからSNSや匿名掲示板でバッシングを受けていたんです。知りませんでしたか?」

ミア「つまりこう言いたいわけ? 姫乃はそのバッシングのせいで自〇したって」

しずく「あくまで可能性の一つですが……」

ミア「ランジュ、編集長はボクがしっかり引き継ぐから安心してよ」

ランジュ「ちょっと! ランジュは辞めるつもりなんてないわよ!」

ミア「それは上が決めることだよ。ランジュの意思は関係ない」

ランジュ「なによう……ミアはランジュのこと嫌いなの?」

ミア「……別にそんなこと言ってないだろ」

ランジュ「きゃあっ! じゃあ好きってことね! アタシもミアのこと好きよ!」

しずく「あの……もし記者の方とお話できそうな時は連絡してもらえますか?」

ランジュ「わかったわ。ランジュに任せなさい!」
 
12: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:28:00.35 ID:pQpcRFPF
小料理屋・ぽむの里

あなた「今日のところはあんまり収穫なしって感じだね」

しずく「そうですね……ただ少なくとも物取りの線はほぼ消えました」

あなた「えっ、そうなの?」

しずく「姫乃さんの部屋には財布やこんなものも置きっぱなしでしたから」スッ

あなた「スマホ? 姫乃ちゃんの?」

しずく「はい。果林さんにお借りしました」

あなた「つまり姫乃ちゃんは手ぶらで出かけてたってこと?」

しずく「状況から見ればそう考えるのが自然ですね」

あなた「夜中になにも持たないで、いったいどこに行くつもりだったんだろう……」

歩夢「ねえ、今話してるのって綾小路姫乃ちゃんの事件のことだよね?」

あなた「あっ、盗み聞き」

歩夢「私に聞かれたくなかったらここでそんな話しちゃダメだよ?」

あなた「う……それはそうだけど……」

しずく「歩夢さんになら多少話を聞かれても大丈夫ですよ」

歩夢「ふふっ、しずくちゃんは私のこと信用してくれてるんだね」

しずく「先輩の幼馴染ですから」
 
13: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:32:00.29 ID:pQpcRFPF
翌日 警察署・鑑識係

璃奈「被害者の死亡推定時刻は一昨日の夜11時から0時までの間」

しずく「果林さんの証言と一致しますね」

璃奈「それと歩道橋の手すりに被害者の両手の指紋があった」

あなた「飛び降りるときに掴んだってことかな?」

璃奈「その可能性もあるけど断定はできない」

しずく「そうだ、璃奈さんに頼みたいことがあるんだけど……」

璃奈「ん?」

しずく「この記事の写真が合成写真かどうかを調べてほしいの。それとこっちのスマホの解析もお願い」

璃奈「わかった」


歩道橋

あなた「姫乃ちゃんはこの位置から落ちたんだよね?」

しずく「はい。指紋があったのもそのあたりです」

あなた「ん~……あんまり高さはないね。ここから落ちても運が良ければ骨折くらいで済みそう」

しずく「そうですね……もし事故だったとすれば、不運としか言いようがありません」

エマ「罰が当たったんだよ(低音)」

あなた「わっ、びっくりした……」
 
14: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:36:00.46 ID:pQpcRFPF
愛「ちょっとエマっち! ごめんね、変なこと言って」

あなた「ああ、別に気にしてな……いや気になるね」

しずく「そのお花、もしかして姫乃さんのファンの方ですか?」

愛「うん、まあ……アタシはね」

しずく「罰が当たったというのはどういうことでしょう?」

エマ「わたしたちを騙してあんな男と付き合ってたから、神様が罰を与えたんだよ(低音)」

あなた「と言っても死ぬほどのことかな? 罰が重すぎるんじゃない?」

エマ「あなた……本気じゃないよね……?(低音)」

あなた「ひっ……で、でもあの記事がデマだって話もあるしさ!」

エマ「ええっ!? あれってやっぱり嘘だったの!? なんだぁ、わたしの思った通りだよ~!」

しずく「5秒前まで思いっきり信じてたじゃないですか」

エマ「愛ちゃん、今日から毎日ここにお花をお供えしようね!」

愛「う、うん。エマっちがそうしたいなら愛さんも付き合うよ……」

エマ「ふふっ、デマか~。デマ・ヴェルデだね~」ルンルン

あなた「うんうん、元気になったみたいでよかったよ」

エマ「ぐすっ……姫乃ちゃん、どうして死んじゃったの……? わたしを、置いていかないで……」ポロポロ

しずく「情緒不安定ですね……」

愛「あー、今からパンでも食べに行こっか! 愛さん奢るからさ! ねっ?」

エマ「うん……」トボトボ……
 
15: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:40:00.20 ID:pQpcRFPF
愛「もうお腹パンパンになるまで食べちゃってよ! パンだけに!」

あなた「ぷふっ! あの子面白いね、くふふ……」

しずく「あ、はい」

あなた「ねえねえ、ひとつ思いついたんだけど……」

しずく「なんですか?」

あなた「今回の事件、狂信的なファンの犯行ってことも考えられるよね」

しずく「そうですね……あの様子を見るとありえると思います」

あなた「ここって姫乃ちゃんの家からかなり近いし、犯人がマンションを張ってたとしたら襲うのも簡単でしょ?」

しずく「うーん……だとするとなぜ犯人は夜中に〇そうと思ったんでしょう?」

あなた「え?」

しずく「私が犯人だったら朝を狙います。夜中に出かけることなんてそう多くないと思うので」

あなた「まあたしかに……わかった! 犯人は姫乃ちゃんをここに呼び出したんだよ!」

しずく「ただのファンに呼び出されて、わざわざ夜中に会いに行きますかね?」

あなた「だよね……相当親しいか仕事関係でもなきゃ出かけないよね……」

しずく「お仕事、ですか……」ポチポチ

しずく「あっ、先輩これ見てください」

あなた「ん……? 優木せつ菜ちゃん?」
 
16: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:44:00.22 ID:pQpcRFPF
芸能事務所・虹ヶ咲エージェンシー

せつ菜「はい、私が姫乃さんに代わってそのイベントに出ることになりました」

しずく「事務所も違うのになぜせつ菜さんが?」

せつ菜「実は最初に出演依頼が来たのは私だったんです。でも別のお仕事があったので……」

しずく「代わりに姫乃さんに声がかかったというわけですか」

せつ菜「その姫乃さんがあんなことになってしまって……また、私に」

あなた「で、今度は引き受けたんだ」

せつ菜「姫乃さんは良きライバルであり良き友人でしたから。恩返し……と言うのも変かもしれませんが」

しずく「ですがそうするともともとあったお仕事はどうされるんですか?」

せつ菜「後輩に代役で出てもらうことになりました」

あなた「ちなみにその後輩っていうのは……」

せつ菜「うちの新人の中須かすみさんです」

かすみ「!」タタタタッ!

かすみ「今かすみんの話してました!?」

あなた「えっと……中須かすみちゃん?」

かすみ「はいっ! 新人アイドルの中須かすみです! かすみんって呼んでくださいねっ」

あなた「へ~……可愛いね!」

かすみ「……!」パァァ

かすみ「もう一回! 言ってください!!」

あなた「かすみちゃん可愛い!」

かすみ「~~! そうですよねっ! かすみんすっごく可愛いですよね!!」

あなた「うんっ!」

しずく「むぅ……」

かすみ「せつ菜先輩より、可愛いですよねっ?」

あなた「え? あー……」チラッ

せつ菜「…………」コクッ

あなた「かすみちゃんのほうが可愛いよ!」

かすみ「やっぱり~! それなのにせつ菜先輩があのイベントに呼ばれるなんて……納得いきません!」

あなた「あはは……」
 
17: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:48:00.29 ID:pQpcRFPF
ロビー

あなた「うーん、せつ菜ちゃんにも動機はあるって考えるべきなのかな」

あなた「でもなぁ、イベントに出たいってだけで人ひとり〇すっていうのもなぁ……」

あなた「あ、イベントが動機ならあのかすみちゃんも怪しくなるね」

あなた「って……しずくちゃん聞いてる?」

しずく「聞いてます」

あなた「ならいいけど……」

栞子「あっ……」

あなた「あれ? 姫乃ちゃんのマネージャーの……」

しずく「なぜ栞子さんがこんなところに?」

栞子「ええと……イベントのことでお話がありまして……」

あなた「いろいろ大変だね」

栞子「ええ、まあ……急いでいるので失礼します」スタスタ

あなた「栞子ちゃん、すごく忙しそうだよね」

しずく「…………」

あなた「しずくちゃん?」

しずく「……かすみさんとせつ菜さん、可愛かったですか?」

あなた「えっ? そりゃあアイドルだし可愛いと思うけど……」

しずく「ふーん……そうですか」

あなた「……? しずくちゃん、なんか変じゃない? 具合悪いの?」

しずく「別になんともありません」

あなた「本当に? ちょっと顔よく見せて」グッ

しずく「あっ……」

あなた「…………」ジー

しずく「うぅ……///」
 
18: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:52:00.25 ID:pQpcRFPF
あなた「やっぱり赤くなってる……少し休んだほうがいいよ」

しずく「いえっ、本当に大丈夫ですから!」

あなた「でも……」

しずく「そ、そんなことより! ランジュさんからの連絡が全然ありませんね!」

あなた「あー、そういえばそうだね」

しずく「もしかしたら記者を匿っているのかもしれませんし、今から編集部に行ってみましょう」

あなた「まあ、しずくちゃんがそう言うなら……」


週刊ミンミン編集部

しずく「えっ、今日も来ていないんですか?」

ランジュ「そうなの。相変わらず電話もつながらないし……」

あなた「その子の住所わかるよね?」

ランジュ「案内するわ。ミア! 出かけるわよ!」

ミア「面倒くさい。一人で行ってくれば?」

ランジュ「ハンバーガー好きなだけ奢ってあげるから!」

ミア「……わかったよ」


アパート

ピンポーン

しずく「こんにちは、警察です」

シーン……

ランジュ「ランジュよ! いるなら返事しなさい!」ドンドン

あなた「ちょっといい?」

ガチャッ

あなた「……開いてる」

しずく「ランジュさんたちはここで待っていてください」

ランジュ「どうして? ランジュも一緒に入るわ」

ミア「ランジュ、いいから待ってなって」
 
20: (もなむす) 2022/09/04(日) 20:56:00.24 ID:pQpcRFPF
室内

あなた「おじゃましまーす……」

しずく「人の気配はありませんね」

あなた「うん……こっちの部屋には誰もいないみたい。ベランダ見てくるね」

しずく「お願いします」


ベランダ

ガラガラ

あなた「……なにもないか」

しずく『先輩、来てください』

あなた「ん?」


浴室

しずく「いましたよ。もうお話は聞けそうにありませんが……」

あなた「あぁ……遅かったみたいだね」

ミア『おい、ランジュ!』

ガチャッ

ランジュ「ねえ、ランジュたちをいつまで待たせる気――」

ランジュ「いやあっ!!」

ミア「うわっ……」

あなた「ちょっ、入ってきちゃだめだってば!」

ランジュ「どうして……こんな……」

あなた「しずくちゃん、鑑識に連絡を」

しずく「わかりました」
 
22: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:00:00.24 ID:pQpcRFPF
夕方 警察署・鑑識係

璃奈「現場の状況から見て自〇で間違いない。遺書の筆跡も本人のものと一致したよ」

あなた「『私が書いた記事のせいで人を死なせてしまいました。私も死んで罪をつぐないます』か……」

しずく「璃奈さん、お願いしていたものはどうだった?」

璃奈「結論から言うとあの写真は合成じゃなかった」

あなた「えっ、じゃあガセネタじゃなかったってこと?」

璃奈「ううん。合成ではないんだけど、そもそもあれは姫乃さんじゃない」

璃奈「写真を解析してみたら身長が全然一致しなかったから」

しずく「……つまり記事は捏造というよりただの勘違い?」

あなた「遺書にも捏造についてはなにも書かれてないし、そういうことになるのかな?」

しずく「とはいえ宇脇さんの不倫については紛れもない事実ですよね」

あなた「うん。この記事が出た直後から体調不良ってことで活動休止中だし」

しずく「となると奥さんが姫乃さんを不倫相手だと思っていたとすれば――」

あなた「いや、奥さんにはアリバイがあるみたい。今は悲別の実家にいるらしくて」

しずく「そうですか……璃奈さん、スマホの方は?」

璃奈「これといって気になるものは出てこなかったけど、見る?」

しずく「一応ね……たしかに変わったものはないかな」

あなた「通話履歴は栞子ちゃんに果林さん……あ、せつ菜ちゃんも」

しずく「ここから犯人を特定するのは難しそうですね……」
 
23: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:04:00.29 ID:pQpcRFPF
翌日 姫乃宅

しずく「――というわけで、やはり姫乃さんは宇脇さんの不倫相手ではありませんでした」

果林「ほらね、私の言った通りじゃない」

しずく「ただ気になるのはなぜ姫乃さんが記事を否定しなかったのか、です」

しずく「果林さんはそれについて姫乃さんからなにか聞いていませんか?」

果林「さぁ……私はなにも。栞子ちゃんとはなにか相談してたみたいだけど」

あなた「ねね、果林さん。写真は用意してくれた?」

果林「写真?」

あなた「モデルやってるって言ってたでしょ? で、今度写真見せてくれるって」

果林「ああ、そのことね。ごめんなさい、まだ用意してなくて……」

あなた「そうなんだ……残念」


マンション前

しずく「もう一度栞子さんから話を聞く必要がありそうですね」

あなた「その前にちょっと寄りたいところがあるんだけど、いいかな?」

しずく「もちろん。どこへ行くんですか?」
 
24: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:08:00.32 ID:pQpcRFPF
本屋前

あなた「はあ~……」

しずく「お目当てのものは見つかりませんでしたか」

あなた「うん……」

かすみ「あっ!」

あなた「ん? かすみちゃん?」

かすみ「わぁ、こんなところで会うなんてびっくりですね! なんだか運命感じちゃいますよ~」

あなた「あー、そうだね」

しずく「ダメだよかすみさん。先輩が困ってるじゃない」

かすみ「えぇ~? そんなことないですよねっ? ねっ?」

あなた「あはは……」

かすみ「よかったら今からお茶しませんか? かすみん奢ってもらっちゃいます!」

しずく「私たちが奢るの?」

あなた「まあちょっとだけならいいけど……」

かすみ「やったぁ! ではではさっそく行きましょう!」


喫茶店

かすみ「このパフェ一度食べてみたかったんですよ~。あーむっ!」パクッ

しずく「いいんですか? こんなことしてて」ヒソヒソ

あなた「うーん……」

かすみ「ん~、美味しいですっ! あっ、かすみんに聞きたいことがあったらなんでも聞いてくださいね!」

しずく「じゃあ私から質問。姫乃さんが亡くなった時刻、どこでなにをしてたの?」

かすみ「え!? なんでそんなこと聞くの!?」

しずく「なんでも聞けって言ったのはかすみさんだよ」
 
25: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:12:00.23 ID:pQpcRFPF
かすみ「そ、そうだけど……いつ死んだかなんてかすみん知らないもん!」

しずく「3日前の午後11時から0時の間」

かすみ「その時間なら寝てた……はず」

しずく「それを証明できる人はいる?」

かすみ「お母さん!」

しずく「つまりアリバイはないと」

かすみ「ちょっと! お母さんって言ったでしょ!!」

しずく「家族の証言には証拠能力がほとんどないの。常識だよ?」

かすみ「ぐぬぬ……」

あなた「しずくちゃん、なんだかかすみちゃんに厳しくない?」

かすみ「ですよね! かすみん絶対意地悪されてますよね!」

しずく「私はちゃんと仕事をしているだけです」

かすみ「はぁ~……今度入ってくる子がこんな意地悪な人だったらやだなぁ……」

あなた「それってアイドルの子?」

かすみ「いえ、マネージャーですよ。引き抜きらしくてよそから移ってくるんです」

あなた「へ~」

かすみ「……そういえば昨日うちの事務所に来てましたね」

しずく「その人の名前、わかる?」

かすみ「名前? えっとぉ……たしか、しお子とかいう名前だったような……」

あなしず「三船栞子?」

かすみ「そう! なんで知ってるんですか? まさかふたりのお知り合いとか?」

しずく「先輩」

あなた「うん、行こう」

かすみ「えっえっ、かすみんまだパフェ食べ終わってな――」
 
27: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:16:02.17 ID:pQpcRFPF
芸能事務所・藤黄芸能

栞子「――仕事をしていましたよ、ここで」

しずく「そんな夜遅くに?」

栞子「はい。いけませんか?」

あなた「いけなくはないよ、それが証明できればだけど」

栞子「証明ですか……それは難しいですね。あの日はひとりだったので」

あなた「そっか、ひとりだったんだ」

しずく「栞子さん。例の姫乃さんの記事、どうして事務所は否定しなかったの?」

栞子「……なぜそんなことを聞くんですか?」

しずく「だってあれが誤報だってことはわかってたはずだよね?」

栞子「そうですね。ただ否定はしていませんが、肯定だってしていませんよ」

しずく「じゃあ質問を変えるね。否定しないって判断は事務所のもの? それとも姫乃さんの意思?」

栞子「その質問は事件と関係があるんですか?」

しずく「ある、かもしれないから聞いてるの」

栞子「……お答えできません」

しずく「…………」

あなた「あっ、そういえば昨日虹ヶ咲エージェンシーで会ったよね?」

栞子「それがなにか?」

あなた「イベントがどうとか言ってたけど……あれ嘘でしょ」

栞子「はい?」

しずく「ここを辞めて虹ヶ咲のマネージャーになるって聞いたよ」

栞子「!」

あなた「もしかしてそのことで姫乃ちゃんと揉めてたんじゃない?」

栞子「そんなことありませんっ!」

あなた「……場所を変えよっか。ここじゃ話しづらいかもしれないし」
 
28: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:20:00.77 ID:pQpcRFPF
警察署・取調室

栞子「姫乃さんに事務所を辞めることをお伝えしたのは、あの記事が出た翌日でした」

……

…………

………………

姫乃『えっ……?』

栞子『すみません……こんなときに話すべきではないとわかってはいるのですが……』

姫乃『どうして……見捨てるんですか? 私のことを』

栞子『見捨てたりなんてしません! 私はこれからも姫乃さんを――』

姫乃『これからもって、栞子さんが事務所を辞めるまでの間だけですよね?』

栞子『……マネージャーとして支えられるのは、それまでになります』

姫乃『…………』

栞子『ですがその先も、姫乃さんの友人として力になれたら……と私は思っています』

姫乃『栞子さん……』

栞子『私はいつだって姫乃さんの味方ですよ』

………………

…………

……

栞子「――そう言ったのに、結局私は彼女を守りきれませんでした」

栞子「姫乃さんは……私のせいで自〇したんです」

しずく「自〇?」

あなた「栞子ちゃんがやったんじゃないの?」
 
29: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:24:00.74 ID:pQpcRFPF
夜 刑事課

あなた「本当に犯人じゃないのかな?」

しずく「嘘をついているようには見えませんでしたが……」

あなた「自〇、なのかなぁ」

しずく「どうでしょう……自〇だとすると気になる点があります」

しずく「ひとつはなぜあの場所を選んだのか。先輩の言った通り、確実に死ぬには高さが不十分です」

あなた「本気で死ぬつもりじゃなかった、とか?」

しずく「もしそうならもっと安全な方法を選ぶと思いませんか?」

しずく「例えば自宅で自〇を図れば、果林さんに助けてもらえるじゃないですか」

あなた「それもそっか……」

しずく「もうひとつ気になるのが遺書です。姫乃さんがなにかメッセージを残していれば――」

しずく「自〇の可能性が極めて高くなりますが、そういったものは見つかっていません」

あなた「ん~……もうちょっと姫乃ちゃんのことを知りたいよね」

しずく「そうですね……他にお話が聞けそうなのは――」
 
30: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:28:00.54 ID:pQpcRFPF
翌日 虹ヶ咲エージェンシー

せつ菜「私は自〇ではないと思います」

しずく「なぜそう思うんですか?」

せつ菜「たしかに姫乃さんは悩んでいましたが、自〇するようなことでは……」

しずく「その様子だとせつ菜さんは姫乃さんの悩み事がなんなのか知っているんですね?」

あなた「教えてせつ菜ちゃん!」

せつ菜「ダメです! 絶対言えません!」

しずく「大丈夫ですよ、外部に漏らしたりはしませんから」

せつ菜「ダメなものはダメなんですっ!」

あなた「……もしかしてあの記事と関係あること?」

せつ菜「ぜ、全然関係ありませんよ! あんなフェイクニュースとは!!」

あなた「よく知ってるね、あれがガセネタだって」

せつ菜「あっ」

しずく「本人から詳しいお話でもお聞きしたんでしょうか?」

せつ菜「…………」ダラダラ

しずく「姫乃さんの死の真相を、知りたくはありませんか?」

あなた「お友達だったんでしょ? 姫乃ちゃんのためにも話してくれないかな」

せつ菜「姫乃さんのため、ですか……」

しずく「お願いします、せつ菜さん」

せつ菜「……わかりました。実は――」


事務所前

あなた「いやぁ……びっくりだね。まさか姫乃ちゃんに――」

しずく「先輩、調べたいことがあるんです。手伝ってもらえますか?」
 
32: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:32:00.37 ID:pQpcRFPF
ビル・屋上

果林「こんなところに呼び出して、一体なんの用?」

あなた「果林さん、写真は用意してくれた?」

果林「……どうしてそんなに私の写真が見たいの? もしかしてお姉さんに惚れちゃった?」

しずく「それはないのでご安心を」

あなた「私どうしてもモデルをしてる果林さんが見たくてネットで調べてみたの」

あなた「だけど最近の写真は見つからなくて。だから本屋さんに行ってみたんだけど……」

しずく「果林さんが載っている雑誌はひとつも見つかりませんでした」

果林「きっと品揃えの悪い店だったのよ」

しずく「そうかもしれませんね。ですが私はもう一つの可能性を考えました」

果林「……もう一つの可能性?」

しずく「はい。私たちは普通の本屋ではなく、ブックオフに行ってみたんです」

あなた「そしたら見つかったよ、このファッション誌が」スッ

果林「……!」

あなた「他にも何冊か果林さんが載ってる本を見つけたんだけど、一番新しいのはこれだった」

しずく「この雑誌が発行されたのは4年前。たしか姫乃さんとルームシェアを始めたのもその頃でしたね」

しずく「そしてこれ以降、果林さんがモデルとして活動した記録はありません」

あなた「果林さんは今モデルの仕事をしてるはずなのに……おかしいよね?」

果林「……なにが言いたいの?」

しずく「私たちに嘘をつきましたね、果林さん」

果林「いけなかったかしら?」

しずく「まあ、あまり褒められたことではありませんね」

果林「なによ……働いてないのがそんなに悪いことなの!?」

しずく「いいえ。ただ、仕事のない果林さんは一体どうやって生活費を捻出していたんでしょうか?」

しずく「あれだけ立派なお部屋なら、家賃だけでもかなりの額になるはずです」

しずく「仮に姫乃さんがそれをひとりで負担していたのだとすれば、ルームシェアではなく単なる居候ですよね」

しずく「でも……おふたりの関係を表すには、もっと適切な言葉があるんじゃないですか?」
 
33: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:36:00.88 ID:pQpcRFPF
果林「…………」

あなた「果林さんと姫乃ちゃんは恋人同士だった……違う?」

果林「ちゃん付けはやめてって言ってるでしょ!」

あなた「おっと、ごめんごめん」

しずく「そうやって呼び方ひとつにこだわるのも、ずっと気になっていたんです」

しずく「それに姫乃さんの部屋にはベッドが見当たりませんでした。夜は果林さんと眠っていたからですよね?」

果林「それは部屋が余ったから寝室にしただけよ!」

あなた「だとしてもダブルベッドっていうのはどうなのかな?」

果林「なっ、どうしてそれを……」

しずく「正直に答えてください。果林さんと姫乃さんは、お付き合いをされていましたね?」

果林「……ええ、そうよ。それで? アイドルとこっそり付き合うと捕まるのかしら?」

しずく「なぜ私たちがここへ来たのかは、果林さんが一番よくわかっているはずですよ」

果林「まさか私が姫乃ちゃんを〇したって言いたいの? 恋人なのに?」

しずく「恋人だからこそですよ。きっかけはおそらくあの記事でしょう……」

しずく「『姫乃ちゃん! どうして記事を否定しないの!?』」

しずく「『これは私の問題なんです。果林さんは黙っていてください』」

しずく「『いいえ、黙っていられないわ。姫乃ちゃんの恋人は私でしょ!』」

果林「……これはなに? 落語?」

あなた「推理だよ、しずくちゃんの」

しずく「『私の恋人が誰かなんて、好きに思わせておけばいいんです』」

しずく「『嫌よそんなの! お願い姫乃ちゃん、考え直して!』」

しずく「『もう決めたことですから』」

しずく「『姫乃ちゃんのわからず屋!』」

しずく「『……っ!』姫乃さんは部屋を飛び出し、歩道橋へ――」

果林「やめて!!」
 
34: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:40:00.21 ID:pQpcRFPF
しずく「あの、まだ途中なんですけど――」

果林「あなたたちになにがわかるっていうの!? 私と姫乃ちゃんの、なにがっ……!」

あなた「果林さん……」

しずく「わかりますよ」

果林「嘘よ!」

しずく「嘘じゃありません。だって私も……果林さんと同じですから」グイッ

あなた「え?」

しずく「んっ……」チュウゥゥ

あなた「んんんっ!?」

果林「!」

あなた「しし、しずくちゃんっ! 人前でこんな――」

しずく「わかってもらえましたか? 果林さん」

果林「ふふっ……そう、あなたたちもだったのね」

しずく「はい。私の推理は間違っていますか?」

果林「……まあほとんど正解。私は姫乃ちゃんを追って、あの歩道橋まで行ったわ」

……

…………

………………

果林『……見つけた』

姫乃『…………』

果林『いつまで意地を張ってるつもり?』

姫乃『意地を張ってるのは果林さんのほうです』

果林『それはどうかしら?』
 
35: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:44:00.19 ID:pQpcRFPF
姫乃『この際はっきり言ってしまいますけど、果林さんはもっといろいろ勉強したほうがいいと思います』

果林『きゅ、急になによ……いまさら勉強なんて必要ないでしょ?』

姫乃『九九すらちゃんと言えないのにですか?』

果林『い、言えるわよ! いんいちがいち、いんにがに、いんさんが――』

姫乃『せめて3の段あたりを言ってください!』

果林『さんいちがさん、さんにがろく、さざんが……きゅう、さんしじゅうし、サンゴを折ってはいけません』

姫乃『とにかく! 果林さんのことは絶対に公表しませんから』

果林『……そんなに私が恥ずかしいの!? それとも私なんかもう好きじゃないってこと!?』

姫乃『違いますっ!』

果林『だったらどうして言えないのよ! 私が姫乃ちゃんの恋人だって!!』

姫乃『果林さんにはわからないんですか!?』

果林『わからないわよ! 今の姫乃ちゃんはどうかしてるわ!!』ガシッ

姫乃『離してくださいっ!』

果林『お願いだから私の言うことを聞いてよ!』

姫乃『できませんっ!』ジタバタ

果林『ちょっと、そんなに暴れたら……!』

姫乃『あっ……』フラッ

果林『姫乃ちゃ――』

ドサッ!!

果林『嘘……姫乃ちゃん……?』

果林『あ……あぁ……!』

タッタッタッ……

………………

…………

……
 
37: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:48:00.18 ID:pQpcRFPF
果林「私はただ、姫乃ちゃんを守りたかっただけなのに……」

あなた「守りたかった?」

果林「知ってるでしょ? 姫乃ちゃんがなにも知らない人たちからどんなふうに言われてるか」

果林「あの記事が出てからネットじゃ勝手な憶測や妄想がさも事実みたいに広まっていってるの」

果林「そのせいで姫乃ちゃんへの誹謗中傷はどんどん激しくなっていった……」

果林「それを止められる方法は、真実を打ち明けることだけだったのよ」

しずく「……きっと姫乃さんも、果林さんを守りたかったんだと思います」

果林「えっ?」

しずく「ふたりの関係を公表すれば、それを快く思わない人も出てくるはずです」

しずく「姫乃さんはそんな人たちから果林さんを守ろうとしていたんじゃないでしょうか」

果林「…………」

しずく「果林さんも姫乃さんも、お互いを傷つけたくないという気持ちが強すぎたのかもしれません」

しずく「その結果、ふたりはすれ違ってしまった……」

果林「そう……姫乃ちゃんは私を嫌いになったわけじゃなかったのね」

しずく「はい」

果林「……よかった」

あなた「ただひとつ大きな問題があるんだよね……」

果林「なにかしら?」

あなた「その……事件の決定的証拠がなくて……」

しずく「果林さんが容疑を否認すれば、私たちはお手上げなんです」

果林「……あなたたちは秘密を話してくれた。だから私ももう隠し事はしないわ」

しずく「では、行きましょうか」

果林「ええ」
 
39: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:52:00.32 ID:pQpcRFPF
翌日 週刊ミンミン編集部

ランジュ「じゃあ姫乃はあの記事のせいで……」

しずく「記事のせいとまでは言えませんが、死の遠因となったことは間違いありません」

ランジュ「……アタシはこれからどうしたらいいの?」

ランジュ「あのふたりはランジュのせいで死んだようなものよ……!」

あなた「あんまり自分を責めちゃダメだよ」

ランジュ「でもっ――」

しずく「ランジュさんにその意思があるのなら、罪を償うことはできるはずですよ」

しずく「あの記者さんとは違う方法で……ね、ミアさん?」

ミア「ちょっ、なんでボクに振るんだよ!」

ランジュ「ミア……」

ミア「うっ……そんな目で見るなって……」

あなた「ミアちゃん、ランジュちゃんのこと任せたよ」

ミア「……あーもう! わかったよ!」
 
40: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:56:00.21 ID:pQpcRFPF
夜 ぽむの里

あなた「――とまあそんな事件だったよ」

歩夢「じゃあ宇脇さんって人が逃げずにちゃんと説明していれば、こんなことにはならなかったのかな」

しずく「どうでしょう。不倫をしていた人の言うことを信じてもらえるかどうか……」

歩夢「それもそうだよね……もしあなたに悩み事があったら、私が力になるからね!」

あなた「ありがとう、歩夢ちゃん」

しずく「ふふっ。よかったですね、先輩」

あなた「え? あぁ、うん」

しずく「……でも一番に私を頼ってくれないとやですよ?」ヒソヒソ

あなた「あ、あはは……」

歩夢「ん? どうかしたの?」

あなた「ううん、なんでもないよ。あ、私テレビ見たいな!」

歩夢「いいけど……」ピッ

せつ菜〈せつ菜☆スカーレットストーム!〉

あなた「あっ、せつ菜ちゃん! 可愛いな~」

歩夢「…………」ピッ

あなた「あれっ、なんで消しちゃうの?」

しずく「先輩、今は食事に集中すべきですよ」

歩夢「そうだよ。私が心を込めて作ったんだから、ちゃんと味わって食べてね」

あなた「はーい……」

パタン

この物語はフィクションです♡


来週のこの時間は前田佳織里主演「肝にやさしく」をお送りします。
 
41: (もなむす) 2022/09/04(日) 21:57:00.06 ID:pQpcRFPF
お粗末さまでした。

【前回の日曜桜坂劇場】
[新]日曜桜坂劇場「しずく総天然色」[字][解][デ]大女優・桜坂しずくが挑む新たなる舞台――先輩は私のこと、好きって言ってくれますか?

 
【SS】[新]日曜桜坂劇場「しずく総天然色」[字][解][デ]大女優・桜坂しずくが挑む新たなる舞台――先輩は私のこと、好きって言ってくれますか?【ラブライブ!虹ヶ咲】
■約10000文字■夕方 部室 しずく「ふう……」 あなた「今日はこのくらいで終わりにしよっか。はい、タオルとお水」 しずく「ありがとうございます、先輩」 あなた「毎日居残り練習なんて、しずくちゃん本当に頑張ってるよね」 しずく「いえ、私なんて全然……いつも付き合ってくれる先輩のほうがずっとすごいです」 あなた「そうかなぁ? 私はただただ楽しいだけなんだけど……」 しずく「ふふっ、先輩らしいです」 しずく(先輩はきっと、私の気持ちには気付いていない) しずく(こうして居残りするのも、頑張っているんじゃなくて) しずく(ただ先輩とふたりきりでいられる時間がほしいから) しずく(先輩……あなたにとって私はどんな存在ですか?)

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1662289206/

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