【SS】虹ヶ咲・短期集中連載!!!｢歩夢の好きなものを当てるまで帰れま10～同好会壊滅の危機!?編～｣【1位～10位まで全て高咲侑】

事態はその一言から始まった


愛｢そういえばさ、歩夢ってクソゲー好きなんだっけ？｣


それはボソリとした、何気ない一言だった
放課後、ダンス練習のため一室に集まる同好会の面々達
これは、その休憩の最中の出来事


歩夢「え？なに急に？///｣


上原歩夢は照れくさそうに共に呟いた

2時間ぶっ通しの練習で身体に熱を帯びた少女達は、その熱気を地面に委ね、身体の回復に努めていた

そこに宮下愛の何気ない一言
少女達の耳と脳を素通りするには十分だった


しかしそこに確かな好奇心を抱いた少女が一人


せつ菜｢え、歩夢さんってクソゲー好きなんですか！？｣

歩夢「せ、せつ菜ちゃん？」

せつ菜「クソゲーってクソゲーのことですよね！私、歩夢さんがクソゲー好きって初めて聞きました！」


練習の疲れを感じさせず絶叫するせつ菜
他人の『大好き』を大切にする彼女は、それを知ることにも興味津々であった


果林「クソクソうるさいわね」

しずく「あまりそういう汚い言葉使いは……女の子ですから……」

せつ菜「違います違います！汚くなんてないです！」

せつ菜「クソゲーっていうのは『クソみたいな』『ゲーム』を略してクソゲーと呼ぶんです！決して『糞がついた』『ゲーム』とかそういう意味じゃないですから！」

果林「知ってるわ」

璃奈「『璃奈ちゃんボード』当たり前だろ」

せつ菜「はえ～、歩夢さんにそんな趣味があったなんて……私、初めて知りましたよ……」ｼﾐｼﾞﾐ

歩夢「ちょ、ちょっとせつ菜ちゃん～?というか、愛ちゃんどこからそれ聞いたの？？」

愛「ゆうゆから」

侑「私から」

侑「昔から好きじゃん、クソつまんないゲームするの」

歩夢「そ、それは……まあ……」

エマ「え、え？ちょっと待って」

エマ「ゲームのことよく分かんないけど、どうしてつまらないものが好きなの……？」

侑「いや、分かんない」

侑「昔からそういう変態なのかと思ってた。歩夢のこと」

歩夢「へ、変態！？」

侑「意味分かんないもん。なんでこんなつまらないゲームしてキャッキャしてるんだろうって」

侑「よく付き合わされてたけど正直『なんだコイツ』って思ってた」

歩夢「」

愛「へ、へえ～……」


『……』『……』『……』
垣間見えた2人の中の「闇」
不思議な気まずさが部室の中を包み込む……
しかしそこに、空気を見ざる聞かざる言わざるの少女がある提案をする


せつ菜「私、そういえば歩夢さんのことを全然知りませんでした！歩夢さんの『大好き』を、全然知ってなかったです！」

せつ菜「よければ教えて下さい！歩夢さんの大好きを……！」ｶｯ

果林「ｶｯってなによ」

せつ菜「そうだ、あれやりましょう！」

せつ菜「歩夢さんの『大好き』を当てるまで……」

せつ菜「「「「帰れま10！！！」」」」ｶｯ

彼方(うるせぇ……寝れねぇ……)

かすみ「え……なんですかそれ……？」

せつ菜「おや、『帰れま10』をご存知ない？」

かすみ「知ってますけど……」

せつ菜「じゃあ話が早いです！」

せつ菜「単純です！単純に歩夢さんの大好きなものを10個！当てていくだけです！」

しずく「テレビで見るやつですね」

歩夢「ちょ、ちょ、ちょっと待って？」

歩夢「そんな急に言われても……好きなもの10個なんて……」

せつ菜「いえ、今適当に考えて、この紙とかに書いてくれたら大丈夫です」

果林「いま適当にって言ったわね」

愛「完全に遊びたいだけだね」

歩夢「……う～ん、わ、分かったよぅ。もう」


悩みつつ紙に書くこと20分……

愛「長いわ」

せつ菜「さて。書き終わりましたね……？」

歩夢「う、うん……こんなんでいいのかな……」

せつ菜「では回答していきましょう！ルールは……一人1回ずつ！順番にやっていきましょう！」

せつ菜「言っときますけどこれ本当に全部当てるまで帰れませんからね！？ガチのやつですよ？」

エマ「っどくさ……」ﾎﾞｿ

せつ菜「？」

エマ「え？な、なんでもないよ？」

せつ菜「私も門限とかありますから！ドキドキですね！」

愛「自分の首も締めてくスタイル嫌いじゃないよ」

せつ菜「じゃあまず侑さんから！」

侑「え～？そうだな～歩夢の好きなものかー……」

侑「……というか今クソゲーの話してたよね。普通にクソゲー？」

歩夢「……」

歩夢「……残念！17位！」

侑「え」

愛「え、そうなの？」

エマ「ていうか10位以下も決めてたの……？」

歩夢「あ、うん。そうしないとゲームにならないかなと思って……」

愛「マジすぎるって……」

侑「え～、あんなにクソゲー集めてるのに？」

歩夢「うん」

侑「ファミコンからWiiに至るまでのクソゲー網羅してるのに……？」

璃奈「え、本当？」

歩夢「あ、それは違うよ！」

歩夢「最近Switchにも手を出したから」

愛「えぇ……」

侑「え、なんだろ。本当に分かんなくなってきた……」

せつ菜「意外と幼馴染だと分かんなかったりするのかもしれませんね」

せつ菜「じゃー、順番にいきましょうか。次は私で！」

せつ菜(とは言いつつ、確かにパッとは思い浮かびませんね……)

せつ菜(……)

せつ菜「もしかして、お料理とか？」

歩夢「あ～、それは21位だね」

せつ菜「えっ違うんですか？家庭的なイメージがあったので……」

歩夢「好きだけど10位以内じゃないかな～」

『……』


その後、悩みに悩んで答えてく面々……


「あ、はいはい！もしかして編み物ですか？」
「残念！22位！」

「寝ること～？」
「惜しい！12位！」

「クソゲーじゃなくて、ゲームすること。」
「クソゲーじゃないなら148位！」

「オシャレすることかしら？」
「違います！29位！」


不正解の連続……
一体歩夢とは何が好きなのか？
なんとなくで始まったゲームが熱を帯び始める……

そんな中！
ついに一つの正解が！！


エマ「もしかして、侑ちゃんとか？」

歩夢「……」

歩夢「大正解！1位！！！」

侑「ひっ」

歩夢「……」ﾆｺﾆｺ

侑「」ｽｽｽ

しずく(あ、ちょっと距離とった……)

愛(やっば……満面の笑みじゃん……)


垣 間 見 え た 2 人 の 中 の 「 闇 」
不 思 議 な 気 ま ず さ が 部 室 の 中 を 包 み 込 む ……


せつ菜「えっあ」

せつ菜「じゃ、じゃあ次！しずくさんの番ですよ！」

しずく「へぇっ！？え、え～っと……」

しずく「あ！もしかして侑先輩とクソゲーやることだったり……」

しずく「しませんよね……？」

歩夢「……」

しずく「……」

歩夢「惜しい！けどほぼ正解！2位！」

しずく「えっ」

歩夢「『クソゲーをしている侑ちゃん』が2位です！」

侑「ひっ」

侑「」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

侑「……」

侑「ク、クソゲーはクソゲーで好きなんだよね？」

歩夢「うん。17位だよ？」

歩夢「でも侑ちゃんがクソゲーやって困ってるとこ見るのはもっと好き！だから2位！」ﾆｺ

侑「……」

愛「ゆうゆが見たことない顔になってるんだけど……」

せつ菜「えっ、えっと……」

せつ菜「じゃあ次答えていいですよ愛さん……」

果林「冒頭のパワフルさどこいったのよ……」

垣 間 見 え た 2 人 の 中 の 「 闇 」
不 思 議 な 気 ま ず さ が ry


愛(う～ん、私で回答が一回りする訳だけど……)

愛(1位と2位がゆうゆ。これは偶然じゃない気がするんだよね)

愛(歩夢はゆうゆのことが好き。んでさっきはクソゲーやってるゆうゆが好きって言ってた……)

愛(つまり？)

愛(歩夢が好きなものとゆうゆをくっ付けたら……もしかしたら……)

せつ菜「何かとんでもなく頭を使ってますね」

璃奈「あの顔は、本気」

愛「……分かった」

愛「『自分の作った料理を食べてるゆうゆ』。これだね？」

歩夢「……」

愛「……」

歩夢「正解！4位！！」

侑「ひっ」

愛「おっけー、おっけー！コツは掴んだよ！みんな！」

歩夢「実はそうなの！侑ちゃん！」ﾆｺﾆｺ

侑「あっ、ふ～ん……はえ～……ほお……そっ、そっか……」

侑「ま、まさかそんなに歩夢が私のこと好きだなんてね～、お、幼馴染だしね～」

歩夢「あ、正解！3位だよ！」

侑「は？」

せつ菜「あ、そういえば次の回答はまた侑さんの番……」

侑「え？私いま何か言った？」

歩夢「正解は『幼馴染』！つまり侑ちゃんのことだよ！これが3位！」

侑「ひっ」

果林「ひっ」

垣 間 見 え た 2 人 の 中 の ry


せつ菜「さ、さて……次の番は……げっ、私ですか」

しずく「げってなんですか、これはあなたが始めた物語でしょう」

せつ菜「い、いや……だって歩夢さん、侑さんのことが好きすぎるから……」

歩夢「……ある意味正解！5位だよ、せつ菜ちゃん！」

せつ菜「は？」

歩夢「正解は『高咲侑』！本当は1位と被るかもと思ったんだけど……フルネームも別にしなきゃと思って分けたんだ！」

侑「ひっ」

せつ菜「ひっ」

果林「ひっ」

かすみ「ひっ」

果林「な、なんでフルネームは1位より落ちるのよ……」

歩夢「うーん……確かにフルネームは2位にしてよかったとも思うんだけど……」

歩夢「フルネームは『高咲』も発音しないといけないよね。その点でちょっと利便性が落ちるかなって思って！私、侑ちゃんの名前はすぐ呼びたいから！」

歩夢「あ、でももちろん『高咲』って苗字が嫌いなわけじゃないよ？『侑』って名前との繋がりが凄く素敵だよね！だからこその5位なの！」

侑「」

歩夢「あれ、侑ちゃーん？どうしてそんな部屋のすみっこにいるの？もう、自分の番が終わったからって！もっと参加しないとダメだよ！」

せつ菜「……」

しずく「何黙ってるんですか。もう一度言いますけどこれはあなたが始めた物語ですよ」

せつ菜「つ、次……かすみさんの番で……」

かすみ「……」

かすみ「まさかですよ」

かすみ「この流れでいくと……いや、外してるかもしれないですけど……」

歩夢「いいよ、言ってみて？」

かすみ「編み物……侑先輩と一緒に編み物……。いや、違くて……」

かすみ「……『自分の作った編み物を身に付けている侑先輩』！」

歩夢「正解！」

歩夢「9位！！」

侑「帰りたいよー！」

愛「私もだよ！」

歩夢「普段から侑ちゃんのことは好きだけどやっぱり普段とは違う侑ちゃんもいいと思うんだ。いつもと違う洋服とか着てる侑ちゃんね。で、その洋服……じゃないけど、例えば冬にはマフラーとか。そういうの付けてると凄くかわいいと思うの。で、ちょっと恥ずかしいんだけど……ふふ。その……私が作ったマフラーとか付けてる侑ちゃんを見たとき……その……下品なんだけど……興奮しちゃって……それからは毎年冬になる度にマフラー編んでるんだ。あ、侑ちゃん？捨てたりとかしてないよね～！……秋頃から編むんだ。編み物って時間がかかっちゃうから。冬から編み始めたらもう寒くなくなってるかもしれないもんね。そんな時にマフラー貰っても侑ちゃん困っちゃうもん。あ、ちなみに編み始めるのは秋からだけど、デザインを考えてるのは夏ぐらいからだよ！えへへ、ちょっと早いよね。あ！だから侑ちゃん、ちょうど今デザイン……実は昨日ぐらいから考えてたところだったの。今年はもし何か希望があったら言ってね？せっかくだし、侑ちゃんの好きな柄で、今年はお揃いにしちゃおうかな。なんちゃって」

せつ菜「……」

せつ菜「次彼方さんですよ」

彼方「あ、はい。『寝ている侑ちゃん』」

歩夢「正解！流石彼方ちゃんだよ～！すぐ当てられちゃった！」

彼方「はい」

歩夢「6位！凄いね！これであとは7位8位と10位だけだよ！」

彼方「あ、そうなんだ。じゃあ彼方ちゃん寝るからね。もう起こさないでね。zzz。」

果林(逃げた……)

せつ菜「と、とはいえ結構絞れてきましたね！あとはどんな侑さんがランクインしてるんでしょうか！」

愛「もうどんな侑さんがって言っちゃってるじゃん」

璃奈「つ、次私の番？」

愛「うん、そうだよ」

しずく「淡々と進めましょう淡々と」

璃奈「で、でも残り3つだし……ふつうに難しい……」

愛「りなりー、多分だけど」

璃奈「？」

愛「歩夢の好きそうなこと想像して……そこにゆうゆ加えたら正解だよ」

璃奈「元々歩夢ちゃんの好きなことを当てるゲームなんだから一周回って元に戻ってないかな」

璃奈「う～ん……う～ん……」

歩夢「あ、正解だよ璃奈ちゃん！それ7位！」

璃奈「え？」

歩夢「うんうん唸ってる侑ちゃん！昔から好きなの！よく分かったね！」

愛「ゆうゆの事とは言ってなかったろ今！」

歩夢「ちなみにだけど実はその『ゆうゆ』って呼び名は11位だよ。かわいいよね。恥ずかしいんだけど一度そのあだ名で呼んでみたいんだよね」

果林「呼べばいいじゃない……なんでそんなとこでシャイなのよ……」

せつ菜「あ、じゃあ次果林さんで……お願いします……」

果林「え～……？7位が困ってる侑なのよね……？」

果林「ってことは……」

果林「あ」

果林「じゃあ『喜んでる侑』が入ってないのはおかしいんじゃない？」

歩夢「……」

果林「……」ｺﾞｸﾘ

歩夢「果林さん」

果林「は、はい……」

歩夢「流石だよ～、それ8位なの！」

果林「……」

エマ「普段のテストより頭使ったんじゃない？」

果林「うるさいわね！」

しずく(というか喜んでる侑さんより困ってる侑さんの方が好きなんですか……)

せつ菜「じゃあ残り……！はぁ、やっと終わります……残りは10位のみ！」

せつ菜「ピンポイントで当てるのは難しくなってきますよ！さて残りはどんな侑さんがランクインしてるんでしょうか！」

愛「どんな侑さんって」

せつ菜「次の回答者は……エマさんですね！」

エマ「え、わ、私かぁ」

エマ「……？」

エマ「というか侑ちゃんはどこへいったの？？」

果林「あれよあれ」

エマ「あ……」

果林「あの部屋のすみっこで身体丸めてブルブル震えてるのがそうよ」

かすみ「大地震のときに机の下に避難してる人って多分あんな感じですよね」

侑「」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ

歩夢「……」ﾎﾞｰ

歩夢「……❤」ﾎﾞｰ

エマ「……！」

エマ(7位が『困ってる侑ちゃん』……？8位が『喜んでる侑ちゃん』……？なら10位は……)

エマ(そしてあの視線から分かることは……)

エマ「わ、分かったかも……」

歩夢「あ、はい」

エマ「10位は……」

歩夢「10位は……？」

エマ「怯えてる侑ちゃん……？」

歩夢「……」

エマ「……」

歩夢「正解！！」

エマ「ひっ」

果林「ひっ」

彼方「zzz。(ひっ)」

せつ菜「ひっ」

愛「ひっ」

かすみ「ひっ」

しずく「ひっ」

璃奈「『璃奈ちゃんボード』ひっ」

侑「ひー！！！」

侑「だ、ダメだ……こうやって怯えてると10位になる……こうやって困ってると7位になる……」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ

愛「ゆ、ゆうゆ！？」

せつ菜「精神に異常をきたしてます！」

歩夢「お、落ち着いて侑ちゃん！」

エマ「大丈夫！し、深呼吸しよ？ほら！」

かすみ「コ、コッペパン！コッペパンありますよ！これ食べて落ち着いてください！」

せつ菜「……で、ではとりあえず10位全部まで当てられたということで……」

せつ菜「こ、これで帰れますね！あ、ちょうど門限だ！失礼します！」

彼方「……」

彼方「知らないでいいことって、いっぱいあるよねぇ……」

しずく「全くです……」


それからしばらく、侑の口癖は「○○位になる……」だったそうな……

総括表

1位 侑ちゃん
2位 クソゲーをしている侑ちゃん
3位 幼馴染(＝侑ちゃん)
4位 自分の作った料理を食べている侑ちゃん
5位 高咲侑
6位 寝ている侑ちゃん
7位 うんうん唸ってる侑ちゃん
8位 喜んでる侑ちゃん
9位 自分の作った編み物を身に付けている侑ちゃん
10位 怯えてる侑ちゃん

11位 ゆうゆというあだ名
12位 寝ること
17位 クソゲー

21位 お料理
22位 編み物
29位 オシャレすること

148位 ゲームすること(クソゲー除く)

おわりです
自分で書いといてなんですが侑ちゃん関連除けば寝ることが一番好きな歩夢ちゃんかわいいと思いました

おつ、めっちゃ笑った

どうせ夢の中で侑ちゃんと遊んでるし、そもそも侑ちゃん以外だったら一位って侑ちゃんのいない現実に用はないって言ってるようなもんじゃねーか！！
それにしても侑ちゃん関連が最初の11個って少なくない？大丈夫？

乙
最近はSS自体が減ってきてるからこういう笑えるSSは特に貴重