【SS】結ヶ丘の怪談【ラブライブ！スーパースター!!】

ある日の夜


結ヶ丘女子高等学校　旧校舎　



モブ生徒「あーあ、学校に教科書忘れるなんてドジしたなあ。早く持って帰って宿題しなきゃ」ｽﾀｽﾀ


♫ﾎﾟﾛﾛﾝ

 ﾎﾟﾛﾛﾝ



モブ生徒「あれ？　ピアノの音？」



モブ生徒「綺麗な曲だけど、この音楽室の中から？　電気は点いてないけど……」






モブ生徒「きゃああああああぁ！」

別の日の午後


結ヶ丘女子高等学校　スクールアイドル部　部室



かのん「うぃーっす！」



千砂都「かのんちゃん、うぃーっす！」



かのん「ちーちゃん今日早いね」



千砂都「うん。東京地区予選に向けて振り付け考えてたんだ」

可可　「みなさんコンニチワー」ｶﾞﾗｯ



かのん「可可ちゃん、うぃーっす！」

可可　「ういーっすデス。今日は衣装の素材を買ってきました。疲れました～」ﾊﾟﾀﾘ



すみれ「ショーウビジネスの世界にいるこの私がなんで荷物持ちなんかしなきゃいけないのよ」ﾌﾝ



可可　「すみれのおかげで助かりまシタ」



すみれ「フンッ///」

恋　　「みなさん揃っているようですね」ｶﾞﾗｯ



かのん「恋ちゃん。生徒会はもう終わったの？」



恋　　「はい……」



かのん「？」



恋　　「あの…生徒会の案件なのですが、みなさんに相談させていただいてよろしいでしょうか？」



千砂都「相談？」


かのん「とりあえず座ろうか」


恋　　「言いにくいのですが…その……

　　　　最近、結女にお化けが出ると問題になってまして……」



みんな「お化け～！？」



すみれ「ちょっと恋！何言ってるのよ高校生にもなって！

　　　　お化けなんかいるわけないじゃない！」



かのん「神社の娘が言うと説得力有る」



可可　「非科学的デス」

恋　　「そうなんですが、『見た』という生徒も何人かいまして。

　　　　トラウマになって転校すると言っている子もいます」



千砂都「そうなんだ」



恋　　「このままでは生徒数は減り、さらに我が校の悪い噂が立てば入学希望者も減り、

　　　　母の作った学校が……」



みんな「……」

かのん「それは困るけど、お化けの噂じゃ生徒の私たちにはどうしようも無いよね？」



恋　　「それなんですが、生徒会で見回りをしてお化けなんかいないと言うことを証明しようと考えました」



千砂都「生徒会も大変だねえ」



恋　　「ですが、その……一緒に回ってくれる方がいなくて……」ﾁﾗｯ



すみれ「ちょっと、何こっち見てるのよ」

かのん「まさか私たちに…?」



千砂都「一緒に行って欲しいの！？」



恋　　「無理ですよね！やっぱり無理ですよね！　わかってるんです！

　　　　生徒会長として一人で行くしか無いですよね……　これは必ず成し遂げる義務ですよね……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ



可可　「レンレンいじけてます」



かのん「恋ちゃん、そんないじけないで、一緒に行ってあげるから」



恋　　「本当ですか！」


かのん「みんなも行ってくれるよね？　Song for Allだよ！」



すみれ「使い方間違ってない？ Songじゃないし」



千砂都「まあ人数多い方が怖く無いし」



可可　「しょうがないデスね」



恋　　「ありがとうございます！」

見回りの夜

結ヶ丘女子高等学校　旧校舎玄関



恋　　「みなさん集まっていただきありがとうございます」



かのん「う、うん……」ﾁﾗｯ



可可　「すみれ！　なんで巫女の格好してるデスカ？」



すみれ「ま、まあ雰囲気よ」

かのん「お化け退治には似合ってるんだけど……」



千砂都「逆に怖い……」



すみれ「だからお化けなんて非科学的な物、存在しないったらしないんだから！
　
　　　さっさと回って帰るわよ！」

旧校舎　廊下



ギシギシ……



すみれ「……」



かのん「うう〜、昼間と違ってなんか怖い」



可可　「ライトを点けるデス」ﾋﾟｶｯ



千砂都「それは……ブレード？」

可可　「クーカーの時のブレードです。色も変えられます」ｶﾁｯｶﾁｯ



恋　　「暗闇の中でピンク色だとヘンな気持ちになりますね」



千砂都「変なこと言わないで〜///」

すみれ「ところでお化けってどこにいるのよ？」



恋　　「複数の場所で目撃されています。理科室、トイレ、音楽室……」



可可　「どんなお化けデスカ？　キョンシー？」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ



恋　　「それが、制服を着た女の子らしいです。結女か神宮音楽学校の制服を……」



千砂都「えぇ……」

恋　　「昔亡くなった神宮音楽学校の女子生徒の霊が彷徨っているのではないかという噂が……」



可可　「ヒエー！」



かのん「ゴメン！　やっぱり帰るわ」



恋　　「待ってください！　帰らないでください！」



千砂都「でも怖すぎるよ……」



かのん「そうだ！　点呼で気合い入れよう！」



すみれ「ここでー？」



可可　「いい考えデス」

かのん「行くよっ！　１！」



　　　「２！」



　　　「３！」



　　　「４！」



　　　「５！」



　　　「６！」



かのん「結ヶ丘女子高等学校　スクールアイドル部！

　　　　Song for me！　Song for you！」



みんな「Song for All！」

可可　「なんだか気合いが入ってきまシタ」



かのん「手を繋げば怖く無い！　このままみんなで手をつないで行こう」



千砂都「さすがかのんちゃん」



恋　　「これで先に進めます」



すみれ「うん」

かのん「うう～、先頭は怖いよう」



可可　「かのん！　可可が手を握ってるから平気です」



すみれ「そんなこと言って、アンタも手が震えてるじゃない」



千砂都「すみれちゃん手を離さないで～」



恋　　「おっと、躓きそうになってしまいました。両手がふさがっていてブレードを持てません」



かのん「ゆっくり歩くね」

理科室の前



恋　　「理科室です」



かのん「中に入らなきゃだめ？」



千砂都「さっき気合い入れたでしょ　行くよ」ｶﾞﾗｯ

可可　「異常は無さそうデス」



かのん「でもこの理科室古いって言うか、なんか雰囲気あるよね」



恋　　「この理科室の備品は神宮音楽学校時代の物が多いんです。

　　　　買うと結構高いんですよ人体模型とか」



千砂都「この頭蓋骨マンマルだね～」



恋　　「昔の骨格標本はホンモノが混ざってることもあるとか……」



千砂都「ヒッ！」


可可　「レンレン！怖いこと言わないでクダサイ」



かのん「そうだよ恋ちゃん！　せっかく付いてきてあげたのに！」



恋　　「すみません…… 最近、あなたの知らないセカイというサイトを見まして…」



千砂都「またヘンなサイト見てるの……？」



すみれ「ここはもういいでしょ？　次行くわよ」


トイレの前



千砂都「……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ



かのん「どうしたの？ちーちゃん？」



千砂都「トイレに行きたくなって……」



かのん「じゃあ行ってきなよ。ここで待ってるから」

千砂都「一人じゃ怖くて…かのんちゃん一緒にして」



かのん「ええっ！　そんなのイケないよ！」



千砂都「昔は一緒に来てくれたじゃん」



恋　　「ほぅ…」



かのん「そこ！反応しない！　子供の頃の話だよ…

　　　　ほら待っててあげるから」



千砂都「うう～、そこに居てね、かのんちゃん」ﾊﾞﾀﾝ

シーン



みんな「……」




可可　「アリェ？」



すみれ「！」



かのん「どうしたの可可ちゃん？」



可可　「今、廊下の向こうに生徒がいたような？　アリェ？」



恋　　「ついに出ましたか？！」



かのん「なんで嬉しそうなの？」

千砂都「きゃーーー！」



かのん「ちーちゃん？！」ﾀﾞﾀﾞｯ



かのん「ちーちゃん大丈夫！？」



千砂都「い、いま奥のトイレで音がして……」



ギィ….



みんな「ひぃいいい！！！」

理事長「こんな時間に何してるのですか？」



恋　　「り、理事長！？」



理事長「生徒はもう入れない時間のはずですが？」



恋　　「そ、そうなんですが、制服を着たお化けが出ると言う噂が立ってまして見回りに…」


かのん「あの理事長、その格好、制服……ですよね？」



理事長「こ、これはちょっと昔の気分に戻りたくて……」



可可　「理事長コスプレしてましたカ？！」



千砂都「まさかお化けの正体って……？」

次の日


スクールアイドル部　部室



かのん「いや～、お化けの正体が理事長だったなんてね」



可可　「コスプレして仕事してるなんて良い趣味してマス」



恋　　「理事長はピアノが弾けないから練習もされてたのでしょうか？　勉強熱心な方です」

可可　「グソクムシは大げさな格好してきたのに役に立たなかったデス」



すみれ「一応準備しただけよ。役に立ったら大変よ」



かのん「さあ！　東京地区予選に向けて練習しよう！」



みんな「おー！」




ビュー



かのん「気持ちのいい風！」

すみれ「……」



すみれ（この校舎には間違いなく”居た”）



すみれ（でも除霊が必要な悪い存在ではなかった。むしろ生徒を見守る、風のような...）



すみれ（あれはひょっとしたら恋の……）




完