【SS】勝手に【ラブライブ 第4期】を作ってみた~ダイジェスト~

SS


2: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:04:26.28 ID:KAvcyO7O
第1話(14-1)
『なってしまった!』

廊下を楽し気にスキップする花陽。

「♪なんと私が!生徒会長に!穂乃果ちゃんの薦めで…」

だが…突然立ち止まり…膝から崩れ落ちる。
そして「いや無理、無理、無理、無理…無理です!無理です!花陽には無理です!」と叫んだ。



部室。

「大丈夫ですよ!穂乃果でさえ、務まったのですから」
「う…海未ちゃん、それはひどいなぁ…穂乃果だってそれなりに頑張ったよ」
「うん、頑張った!偉い、偉い!」
「だよね?だよね?」

「いや、穂乃果ちゃんと私とじゃあ…行動力とかカリスマ性とか…全然違うから…」

「そんなことないよ、花陽ちゃんは花陽ちゃんの良さがあるもん。花陽ちゃんなら大丈夫だよ」
「ことりちゃん…」
「真姫、凛…しっかりサポートを頼みますよ」
「まっかせるにゃ~」
「まぁ…仕方ないわね」

「うぅ…みんな…」

こうして無理やり立候補させられた花陽は、無投票で新生徒会長に選任されたのであった。
 
3: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:08:08.65 ID:KAvcyO7O
(14-2)

穂乃果の部屋。

「ところで穂乃果…あなた、進路は本当に…」
「うん!まさか『家事手伝い』って訳にもいかないしね」
「わかっていますか?そうであれば…相当、勉強をしないと…」
「わかってるよ…だから…海未ちゃん、ことりちゃん…高坂穂乃果を、何卒よろしくお願いします」
「なるほど…覚悟は決めたのですね?それなら容赦はしませんよ」
「や、やっぱ…やめようかな…」
「ふふふ…頑張ろうね、穂乃果ちゃん!ファイトだよ!」
「それ、私のセリフ…」



花陽の部屋。

「穂乃果ちゃんが受験?」
「うん…そうみたい」
「今からじゃ遅くないかにゃ?」
「そうね…でも穂乃果はやればできる人だから…」
「真姫ちゃん、上から目線にゃ」
「私たちだって、卒業後の進路は今から考えておかないと…」
「現実はつらいにゃ…」
 
4: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:10:39.32 ID:KAvcyO7O
第2話(15-1)
『エントリー』

「…というわけで…私たちは今回のラブライブに出ないことなりました」

「えぇ!?」
穂乃果の説明に、部室内の1年生、2年生がどよめく。

「ごめんね!ラブライブに出たいのはやまやまなんだけど…元生徒会長が赤点取って『活動停止!』なんて言われても、みんなに悪いし…」
「それは受験以前の問題ですが…」
海未が眉を顰めた。

「引退ってこと?そんなに大事な事、軽く言わないでよ」
真姫が不満げに口を挟む。
「そうにゃ!そうにゃ!」

「引退とは言ってないよ!ただ…ステージに立つのは厳しいかな…って」

「えっ…あっ…うん…仕方ないよね…お勉強、大事だもん」
花陽は事前に聴かされていたようだ。
それほど動揺した様子は見せなかった。
 
5: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:12:32.23 ID:KAvcyO7O
(15-2)

「でも、それじゃあ、花陽先輩に負担が掛かりすぎだよ!」
雪穂は高坂先輩に…ではなく、姉に対して意見した。

「そう思うならさ、みんなで花陽ちゃんを助けてあげればいいんじゃないかな?」

「!!」

「えへへ…私が言うのもなんだけどさ、みんな花陽ちゃんに頼りすぎてない?もっと自分たちで色々作っていかないと…ね?」
「雪穂の心配はもっとも話です。確かに生徒会長も押し付けてしまった上に、部長を兼任する花陽への負担は大きく…申し訳なく思っています…ですから…」
「うん、私たちも出来る限りのバックアップはするよ♡」
「大丈夫!みんななら出来る!!ファイトだよ!!」

「まったく、無責任なんだからぁ」
屈託のない表情でそう言い放つ姉を見て、妹がそう呟くと部室は笑いに包まれた。
 
6: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:17:36.62 ID:KAvcyO7O
第3話(16-1)
『挑戦者、現る』

朝の神田明神。

「久しぶりね!」
練習に精を出す一同の前に、UTXの制服を着たひとりの少女が現れた。

「織音(おりお)!?」
反応したのは和香。

「ラブライブ…エントリーするんでしょ?」

「…そのつもりだけど…」

「当然よね…私を裏切って、音ノ木坂に言ったんだから」

「…」

「違うとでも?…まぁ、いいわ…あなたと戦えることを…楽しみにしてるから」

「…」

「あっ…元μ'sのみなさんですか…すみません、練習のお邪魔をしまして…私はこれで失礼します」
和香が『おりお』と呼んだ少女は、穂乃果たちに頭を下げ、その場を立ち去って行った。



「彼女は?」

「UTXの1年生です」

「それは見たらわかるけど」
「ラブライブに出場って…」
「ライバル…にゃ?」

「まぁ…そんなところです…」

「それより気になったのは…裏切り者って?」

「…いや…それは…」

「?」

「すみません…個人的なことなので…さぁ練習、続けましょう!」

「…」
 
7: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:19:43.08 ID:KAvcyO7O
(16-2)

「私ね…織音…天野織音と『一緒にUTXに進もう』って約束してたんだ」

「えっ?」

「『うわぁA-RISEってカッコいいね!あんな感じで一緒にステージに立てたらいいね!』…なんて言ってて…」

「ソウダッタンダ…」

「でも…μ'sを見たら…あ、私…こっちの方が好きかも…って…。なんて言えばいいんだろう…先輩たちから『熱さ』を感じたっていうか…感動しちゃったっていうか…」

「わかるなぁ…A-RISEが一部の隙もない完成された恰好良さ…だとしたら、μ’sは私たちと等身大っていうか『そうそう!』ってなるところが、魅力だもんね!」
亜里沙が少し興奮気味に言った。
「ソレデ…和香ハ 音ノ木坂ヲ選ンダ?」

「まぁね…それ以来、あいつは私のことを『裏切り者』って呼ぶの」

「辛いね…それは…」

「だけど…最初はスクールアイドル研究部に入る気はなかったじゃない」

「…なんて言えばいいのかな…新入生歓迎会の時のステージを見た瞬間…『場違いかも』って」

「だよね!」
「レジェンド感が半端なかったよね」
桃子と奈美が頷く。
 
8: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:21:32.31 ID:KAvcyO7O
(16-3)

「私の知ってるμ'sに、私はいない…か」

「何それ?」

「亜里沙の名言」

「?」

「入学前、同じことで悩んだんだよ。私たちが先輩たちと一緒に…μ’sのメンバーになっていいのかどうか…って」

「へぇ…亜里沙たちも…」

「結局、絵里さんたちが卒業してμ'sは終わっちゃったから、取り越し苦労になっちゃったんだけどさ」
「うんうん」
亜里沙が大きく首を縦に振った。

「…それだけじゃないんだけどね…ずっと一緒にいたら自分がダメになるかも…って」
和香はう~ん…と大きく伸びをしながら、言葉を吐き出した。

「友達に依存しちゃう…ってこと?」

「大人だねぇ…」
「ナカナカ深イネ…」
「私と雪穂も一緒にいたらダメになる?」
「どうかなぁ…なるかもしれないし、ならないかも知れないし…」
「まさか、和香にそんな過去があるなんて…」

「いつかわかってくれると思ってるんだけど…」

「そうだね…」
 
26: (しうまい) 2022/02/08(火) 12:08:21.83 ID:KAvcyO7O
>>9
ごめんなさいね。
少なからず続編希望のレスを頂いたもので…調子に乗ってみました。

ちなみに…かつてはハーメルンでも書いてたんですけどね…。
 
10: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:23:20.33 ID:KAvcyO7O
第4話(17-1)
『どうするの?』

「…で…私たちはどうするの?」
「どうするにゃ?」
「何が?」
「ラブライブよ」
「あ…うん…」

3年生の事実上の引退宣言。
それを聴かされ、真姫と凛は迷っていた。
花陽への質問は、そのまま自分への問い掛けでもあった。

「…う~ん…そうだね…」
彼女のその返事で『答え』は何となくわかる。
そして、それは自分たちの考えと同じだと感じた。

「そうね…私はあなたの結論に従うわ」
「凛もにゃ」

「ずるいなぁ…2人とも…花陽はまだ何も言ってないよ」

「言わなくてもわかるにゃ」
「長い付き合いだもの」

「…そっか…そうだね…」
 
11: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:26:07.02 ID:KAvcyO7O
(17-2)

「えっと…念の為確認なんだけど…ラブライブのエントリーに反対する人っているかなぁ」
部長は1年生に問い掛けた。
誰も手を挙げなかったのを確認すると「うん、そっか…」と一人頷いた。

「どういう意味ですか?」

「この間、にこちゃんと奈美のお姉さんのこと、みんなも聴いたでしょ?『スクールアイドルが好き!』『アイドル活動が好き!』って気持ちは同じでも…その先の目標が異なっていた為に、バラバラになっちゃった…って話」
「ラブライブに出る!って言うと、どうしても勝ち負けに拘(こだわ)る必要があるでしょ?でもそれでいいのかな…ってことよ」
「凛たちは、何にも考えずに突っ走ってきちゃったけど…みんなはどう思ってるのかにゃ?って」

「ラブライブ…優勝…目指す?」
「愚問ですよ、真姫先輩!」
「私たち、全員、そのつもりです!!」

「ふふふ…わかったわ。そういうことなら容赦しないわよ」
「おぉ!真姫ちゃんに海未ちゃんが乗り移ったにゃ!」

「あ、いや…お手柔らかに…」

「あはは…」
花陽と凛は、ビビる1年生を見て笑った。
 
12: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:31:59.61 ID:KAvcyO7O
第5話(18-1)

『ν's(ニューズ)』

「色々考えたんだけど…ラブライブのエントリーは…1年生の6人だけにします」
花陽は苦悩の末、部員に告げた。
もちろん、凛も真姫も納得済みである。

3年生が受験勉強で事実上の引退。
自分たちも生徒会の仕事がある以上、並行してステージに立つ…というのは困難を極めた。

いや、去年の穂乃果たちはどうだった?
そんなことを言い訳にしなかったではないか。

それはわかってる。
でも…勢いが違う。
何も考えずに突っ走ってきたあの時とは、状況が違う。



正直μ'sという看板効果は大きい。

「…でも1年生にとって、不利だと思うんだ」

μ'sは解散したとはいえ、自分たちが出れば、どうしてもオリジナルメンバーの顔がチラつく。
花陽はデメリットが大きいと考えた。

「1年生はμ'sじゃないから…」
 
13: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:35:37.33 ID:KAvcyO7O
(18-2)

「わかりました!頑張ります!!」
大きく頷いた1年生たち。

予想はしていた。
最近の2年生の雰囲気を、それとなくみんなが感じていたからだ。

「望むところです!」
「私たちの歴史は、自分たちで作ります」
先輩の提案に依存はなかった。



「それで名前なんだけど…『ν's(ニューズ)』なんてどうかな?」
花陽が提案した。



「ν's?」



「ギリシャ語で…μの次はνなんだよ。新しい音ノ木坂のスクールアイドルって意味も込めて…」



「We are『ν's』!!」
1年生の6人は、新しく付けられた名前を大きな声で叫んだ。
 
14: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:38:00.60 ID:KAvcyO7O
第6話(19-1)
『Reach the top‼』


ラブライブの一次予選と文化祭に向けて、ν'sが動き出した。

これまで通り『作詞は海未』『作曲は真姫』『衣装はことり』という製作体制は変わらないが、新たに『ダンス兼トレーニングコーチとして凛』が…『総合プロデューサーとして花陽』が就任。

「私は?私は?」

「あなたは勉強に集中してください」
…ということで、穂乃果は役どころから外された。

そして、それぞれの役割に助手として桃子、和香、奈美、亜里沙&デルフィナが付き、雪穂は統括リーダーを任された。

初めは、慣れない作業に四苦八苦し、先輩との距離感に戸惑っていた1年生も、徐々に冗談を言えるほどに打ち解けていく。
そして、作業を進めていくうちに、彼女たちの秘められた潜在能力が開花する。
 
15: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:40:27.25 ID:KAvcyO7O
(19-2)

「桃子の描く世界観は、実にロマンチックで素敵ですね」
「海未先輩と同じです。伊達に妄想が趣味じゃないですから」
「なっ…私は妄想などしていません!」
「花陽先輩から聴きましたよ…鏡の前で『ラブア…』」

「花陽!!」

「ぴゃあ!」



「アナタ、ピアノが弾けるの?」
「小学校までは習ってたので…」
「続ければよかったのに…」
「そうなんですけど…真姫先輩と一緒です!親の言いなりになるのが嫌で…」
「ベ、別に…私はそういうつもりじゃ…」
「…このまま黙ってたら、きっとそのまま実家を継ぐんだろうな…と思ったら…反発したくなっちゃって」
「まぁ…わからなくもないわね…あっ…今のフレーズ、もう一回弾いてみて?…あら、なかなかいいじゃない…」
「あ、ありがとうございます…」
 
16: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:43:58.61 ID:KAvcyO7O
(19-3)

「ことり先輩、よろしくお願いします」
「うん、奈美ちゃん、よろしくね♡」
「…とはいえ…私はデザインとか、まったくやったことがないんですけど…」
「え~…そうかなぁ…この間ポスター一緒に描いた時、すごくセンスあるなぁ…って思ったよ」
「イラストとか描くのは嫌いじゃないですけど…」
「うんうん、それならあとは…みんなを想い浮かべながら『雪穂ちゃんだったら、こういうのが似合うな』とか『亜里沙ちゃんだったら…和香ちゃんだったら…』とか描いていけば、きっといいものが出来るんじゃないかな」
「そういうものですか?」
「デザインはね…気持ちなんだよ」
「…いい言葉ですね…『デザインは気持ち』かぁ…」



「バレエのレッスンは亜里沙ちゃんに、任せるね!」
「はい!身体の柔らかさなら、お姉ちゃんにも負けませんから」
「よろしくにゃ」
「では、まず凛先輩から柔軟を…」
「えぇっと…凛はいいから、デルちゃんに…」
「ダメデス!凛先輩モ 一緒ニ ヤリマショウ」
「にゃ~~~…」
 
17: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:45:23.56 ID:KAvcyO7O
(19-4)

「今までずっと言おうと思ってたんですけど…花陽先輩…ありがとうございます」

「?」

「先輩がお姉ちゃんたちを救ってくれたので、そのお礼を…」

「私が?穂乃果たちを?」

「はい!先輩がファーストライブに来てくれたおかげで、お姉ちゃんたちは救われたんです。先輩が来てくれなかったら…高坂穂乃果は闇の中で生きていたと思います。あぁ、見えて…脆いところがあるんで」

「そんなことないと思うよ。穂乃果ちゃんなら、私なんていなくてもきっと…」

「先輩はお姉ちゃんを買いかぶりすぎですよ!周りの人がサポートしてくれてるから、何とかなってるのであって…」

「相変わらず、雪穂ちゃんは穂乃果ちゃんに厳しいねぇ…」

「先輩がお姉ちゃんに対して、甘すぎるんです。この前だって、無責任に生徒会長を押し付けたりして…」

「それは…私も少しは頼られるようになった…ってことで…」

「先輩は優しすぎですよ…」

「そうかな?」

「無理…しないでくださいね…」

「うん…ありがとう…」
 
18: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:47:40.15 ID:KAvcyO7O
(19-5)

「あと…どうしても聴いておきたいことが…もうひとつ、ふたつ」

「今日はグイグイ来るねぇ」

「二人きりになることなんて、滅多にないですから」

「ほうほう…それで?」

「花陽先輩は…凛先輩のこと、どう思ってますか?」

「ごほっ!」

「和香は…幼馴染と一緒にいたら、自分がダメになるかも…って違う道を選んだと言ってました。それを聴いた時…一理あるな…って思って…」

「あっ…そういう意味?」

「えっ?」

「いや…」

「先輩は考えたことありませんか?」

「うん、あるよ」

「本当ですか?」

「毎日、そう思ってる」

「ま、毎日?」

「小さい頃、散々、凛ちゃんに助けてもらったから…自分の事は自分でなんとかしなきゃって…それでも結局、甘えちゃって…あぁダメだな…って落ち込むんだけど」

「どっちかというと、凛先輩が花陽先輩に頼ってる気が…」

「そうかな?」

「お姉ちゃんだって…いつまで海未さんとことりさんに甘えるつもりなのか…」

「どうなんだろうね…穂乃果ちゃんは卒業して、別々の道に進んでも…きっと今の関係が続くんじゃないかな…」

「海未さんとことりさんは、いい迷惑ですね」
 
19: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:51:30.75 ID:KAvcyO7O
(19-6)

「雪穂ちゃんは大人だなぁ…」

「だらしない姉を持つと、自然とこうなるんです」

「ふふふ…あんまり、お姉ちゃんの悪口を言っちゃだめだよ…」

「花陽先輩がお姉ちゃんだったら、私の性格はここまで捻くれてないと思います」

「いやいや…それは…」

「結構本気で言ってるんですよ…」

「そんなに穂乃果ちゃんのことが嫌いなの?」

「そっちじゃなくて…」

「ん?」

「…」

「雪穂ちゃん?」

「あの…花陽先輩…」

「はい」

「いえ…先輩のす…す…き…あ、いや…やっぱり、何でもありません…」

「そこまで言って止(や)めちゃうの?」

「じゃあ…思いきって…先輩の好きな…」

「好きな?」



「先輩の好きな…食べ物は何ですか!?」

「ご、ご飯…」



「で、ですよね…知ってました!」

「そ、そう?」

「そこで今度、美味しいご飯の炊き方を教えてください」

「ううん…それは良いけど…」

「ありがとうございます」

「大丈夫?具合悪い?お熱測ろうか?」

「いえ…大丈夫です」

「??」
 
20: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:53:06.35 ID:KAvcyO7O
第7話(20-1)
『いらっしゃい!拍手喝采!文化祭!』

諸事情で昨年は行われなかった文化祭。
今年は1年ぶりの開催となった。

スクールアイドル研究部は、屋上でミニライブを行い…学年別に3曲を披露。
最後は12人全員でパフォーマンスを行い、ステージを締め括った。

「貴方たち、ラブライブにエントリーしなかったって本当?」
穂乃果たちが控室していた教室。
そこへ不意に訪れたのは…綺羅ツバサだった。

騒然となる一同。

「あ、あの…お茶を…」
「よかったら穂むらの饅頭も…」

あたふたとする穂乃果と花陽に「ふふふ…相変わらずね」とツバサは笑った。
 
21: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:56:29.31 ID:KAvcyO7O
(20-2)

「観たわよ、さっきのステージ」

「ありがとうございます」

「全然、衰えてないじゃない」

「いやいや、そんな…」

「本当に出ないの?」

「私たちの時代は終わったので…」
冗談めかしく言う穂乃果。

「そう…残念ね…」
ツバサは肩を落とす。

「まぁ…はい…色々と事情がありまして…」

「…こっちの世界に来る気は…その調子だと無さそうね…」

「あはは…すみません」

「謝ることじゃないわ…でも、気が変わったらいつでも声掛けてね!少しは役に立つと思うわ」

「ありがとうございます」

「それから…」

「はい?」

「私たちの後輩も…虎視眈々と『リベンジ』を狙ってるわ」

「…」

「もちろん、立場としたら、後輩たちを応援しない訳にはいかないけど…スクールアイドルのレベルを上げる為には、あなたたちにも頑張ってもらわないとね。期待してるわよ」
綺羅ツバサはそう言って、去っていった。
 
22: (しうまい) 2022/02/08(火) 11:59:12.05 ID:KAvcyO7O
(20-3)

ラブライブの一次予選はビデオ審査だ。
出場チームが撮影したデータを大会本部に送ると、専用サイトに映像がアップされる。
それを基に視聴者は推しのチームに投票を行う…というシステムである。

東京都からは上位4校が、地方予選に進出できる。
ν's は『スポーツの秋』ということで『応援系ファイトソング』を作った。
衣装も曲に合わせて『ラクロス』や『テニス』『ホッケー』などのウェアをモチーフにしたものである。
さすがに剣道着やみかんの着ぐるみはない。

花陽監修のもと、撮影/編集が行われ、データは無事、大会本部に送付された。
 
23: (しうまい) 2022/02/08(火) 12:01:14.12 ID:KAvcyO7O
第8話(21-1)
『火花』

1カ月後。

「おめでとう!無事、一次予選通過だよ!!」
花陽が興奮気味に、その結果を発表した。

「やった~!」
「ばんざ~い!!」

歓喜に咽(むせ)ぶ部員一同。
デルフィナがサンバを踊り出す。

「ですが…戦いはここからが本番です!!UTXのチームも、当然の如く、通過しています」

得票数は僅差だった。
通過順位は1位。
UTXが2位。
気を抜くことは許されない。

コメント欄を見ると『楽曲』『パフォーマンス』は勿論のこと『映像の美しさ』…『演出力』の評価も高かった。

「しかし!!…二次予選は生のステージ…一発勝負です!誤魔化しは効きません」
部長の言葉に1年生は、ごくりと喉を鳴らした。
 
24: (しうまい) 2022/02/08(火) 12:03:22.22 ID:KAvcyO7O
(21-2)

「おめでとう」
ν'sの朝練に姿を現したのは織音だった。

「さすが昨年のチャンピオンって言ったところね。でも…それは元μ'sのメンバーのバックアップが凄いだけであって、アナタたちの力ではないわ」

「そうかもね」
彼女の挑発を、和香はあっさりと受け流した。

「へぇ…随分殊勝じゃない」

「言いたいことはそれだけ?だったら、練習の邪魔だから、帰ってくれない」

「!?」

「織音の言う通り、私たちはまだまだ力が足りないわ。だから、一生懸命練習するしかないの。くだらない戯言に付き合ってるヒマはないってこと」

「なるほど…いい心掛けだわ。精々、私をガッカリさせるようなステージは見せないでね」

「そうね」

「じゃあ、また…」
織音は片手をあげて去っていった。



「はぁ…怖かった…」
「喧嘩ニナルカト思ッタヨ」

「まぁ、こういう相手がいないと張り合いがないからね」
そう言いつつ、和香の目は寂しそうに彼女の後ろ姿を追っていた。
 
25: (しうまい) 2022/02/08(火) 12:05:27.26 ID:KAvcyO7O
第9話(22-1)
『インパクト』

二次予選は一発勝負。
関東の各県を勝ち上がった計20チームが、一発勝負の生ステージに挑む。
その上位3チームのみが、全国大会…決勝進出…というシステム。
各チームのレベルは昨年度より上がっており、大混戦が予想されている。

「事前の情報を見ますと…UTXが優勝候補の筆頭であることは変わりありませんが…他のチームも侮れないですね」

「うん。特に去年の出場チームで、メンバーの入れ替わりがない神奈川のここも、割と評判高いし…群馬の…ダンスパフォ―マンスに特化した『歌わないスクールアイドル』のここも、もしかしたら…って言われているんだよ…」
「歌わないスクールアイドルって凄いね」
「映像見たけど、まったく歌ってない訳じゃないんだよねぇ…ラップが9で…歌が1くらいかな?」
「でも、まあ…私たちがイメージするアイドルとは程遠いわね」
「まぁね…他のチームと同じことしてても目立たないから…」
「インパクトが大事ってこと?」



「インパクト…」



上級生は、昨年の忌まわしい過去を思い出し、ぶんぶんぶん…と頭を振った。



「え、えっと…私たちは奇を衒(てら)わず、王道アイドル路線で直球勝負します!!」
花陽の決意に、誰一人異論はなかった。
 
28: (しうまい) 2022/02/08(火) 21:12:30.87 ID:KAvcyO7O
>>27
スレ建てられました!

νとVって紛らわしいですね。
本編では、案の定『ブイズ?』と呼ばれたりします。

♪ぱなぁ~ゆきぃ~…
 
29: (しうまい) 2022/02/08(火) 21:18:20.67 ID:KAvcyO7O
(22-2)

発表の順番を決める抽選会。

音ノ木坂からは代表して雪穂がステージに上がる。
出場チームが座る観客席の空気が、ピリッと引き締まった。
メンバーは変わったとはいえ、昨年の優勝校チーム。
当然、注目度も高い。

箱に手を突っ込み引き抜いた番号は…



「1番」



「みんな、ごめん…私は『持ってない』なぁ…」
雪穂はメンバーに謝罪した。

20チームが出演するステージの一番最初。
観客のエンジンもあったまっていないし…何より後半に出場するチームの方が印象に残りやすい。
そういう意味では最悪の数字。


「はい、はい…いちいちそんなことで落ち込まないの」
「『1番になる』って言う神様のお告げにゃ」
「あなたも希の影響をだいぶ受けてるわね」
「伊達に毎朝掃除を続けてないにゃ」
「うん、真姫ちゃんと凛ちゃんの言う通りだよ!ポジティブに行こう」

「わかりました!」

「先行逃ゲ切リ ダネ!」
「そうだね!一発目からぶちかまして…」
「インパクトを残すわよ!」



「えっ…インパクト…」
そのキーワードを聴いて頭を抱え込む花陽たち…。


「相当トラウマみたいだね」
「ね」
事情を知っている雪穂と亜里沙は、苦笑いしながら呟いた。
 
36: (しうまい) 2022/02/09(水) 23:09:58.40 ID:ZTzYLZmE
第10話(23-1)
『一心不乱に』

二次予選の当日。
天気は快晴。
昨年の大雪を思えば、嘘のように穏やかな朝を迎えた。

準備万端。
メンバーの体調もすこぶる良い。
あとは本番で自分たちの力を出し切るだけ。

「楽しもう!結果はあとからついてくる!!」

会場入りを前に円陣を組むメンバー。


そこにUTXのチームが現れた。
『HOT SPICE(ホットスパイス)』と言う5人組だ。
その中のひとりに…天野織音…がいた。

「おはようございます…ν'sの皆さん」
彼女が近寄り、声を掛ける。

「おはようございます」

「確か…あなたたちがトップバッターだったわよね?しっかり頼むわよ。初めがコケると、連鎖反応でみんな失敗したりするから」

「そうね…頑張るわ」
代表して和香が答えた。

「じゃあ…またあとで…」



「まったく…嫌味しか言えないのかしら」
奈美が呆れるようにして、肩をすぼめる。
「そう言うなって…あれは織音なりの激励だよ」
「ダトシタラ 素直ジャ ナイネ」
デルフィナは、そう言って苦笑した。
 
39: (しうまい) 2022/02/10(木) 21:44:45.07 ID:smzYy/vY
(23-2)

ν'sのパフォーマンスは終わった。

ノーミスの完璧なステージ。
舞台袖で見守った花陽たちの目に、うっすらと涙が浮かぶ。

あとは…結果を待つのみ。



そして…いよいよ…



「第3位…UTX…『HOT SPICE(ホットスパイス)』」
司会者の声に、会場が』どぉ』っと、どよめく。
優勝候補がまさかの3位通過となった。




「第2位…横浜湾岸高校…『Seagull girls(シーガルガールズ)』」
準優勝は前評判通り、神奈川代表のチームが入った。
順位はともかくとして…誰もが納得の通過だった。



「そして1位通過は…群…」



歓声と悲鳴…。



この瞬間、音ノ木坂の連覇は消えた。
 
43: (しうまい) 2022/02/11(金) 22:30:12.16 ID:rRrOO8wz
(23-3)

泣いて…泣いて…泣いて…泣き疲れたのだろう。
桃子とデルフィナは、自宅に戻ったあと、制服を着替えることもなく、ベッドで抱き合いながら寝ていた。



「最高だったよ!結果は残念だったけど…私の中の順位は奈美たちのステージが1番だったよ!」
家に帰った奈美は、姉の言葉にまた泣いた。
「あのステージに立てただけでも、凄いことじゃない。私は、あそこまでさえいけなかったんだから…」

うん…と彼女は千代の胸の中で、小さく頷いた。



「おめでとう」
和香はスマホの向こうにいる相手に、賛辞を送った。

「ふん…あんまり嬉しくないね…」

「3位だから?贅沢言うなよ…」

「違うよ…お前たちが通過しなかったからさ」

「!!」

「当たり前だろ?…アンタたちはここで落ちるようなチームじゃないって…それは私たちが一番わかってるから…あんな異質なチームに負けるようなチームじゃないから!」

「織音…」

「正直、納得いかないよ…いや、私が怒っても意味ないけどさ…お前が一番悔しいのにな…」

「…変な気遣いはいらないよ…」

「気遣い?…確かに…」

彼女はそう言うと、一度大きく息を吸い込んで
「ふざけんじゃねーぞ!こんなとこで落ちやがって!私を裏切って音ノ木坂に行ったんだ!根性見せろよなぁ!這い上がってこいよ!来年も待ってるからなぁ!」
と一気に捲し立てた。

「おぉ!言われなくてもそのつもりだ!…その前に…全国大会…優勝しろよ!リベンジしてこいよ!!」
和香もスマホに向かって、叫び返した。
 
47: (光) 2022/02/12(土) 22:46:10.14 ID:DhCE752e
(23-4)

「ほら、花陽…あなたがいつまでもグズグズしてちゃダメじゃない…」

「だっでぇ…花陽のぜいでぇ…花陽がぁ…もっど上手にぃ 指導じでればぁ…うぅ…うぅ…」

「かよちんが悪いわけじゃないよ!投票者の見る目がなかっただけにゃ!」

「うぅ…うぅ…」

「花陽ちゃん…一旦、落ち着こう…」
「はい…悔しい気持ちはわかります。私だって信じられない気持ちでいっぱいです。…ですが…今、ここで泣いていても結果はかわりません」
「アナタは精一杯やったわ。1年生だって、花陽がせいだなんて思ってる娘はいないわよ…」
「そうにゃ!そうにゃ!」

「でぼ…でぼ…」

「あ、花陽ちゃん!お腹空いてるようね!あそこにGOHAN-YAさんがあるよ!みんなで食べに行こう!」

「ご…ごはん…」

「はい、そうしましょう」

「いや…今の花陽は…それくらいで…気持ちは収まりません!」

「まぁまぁ…」
「行くにゃ」

「レッツ…ゴー!!」
花陽はことりと海未に小脇を抱えられ、引きづられながら店へと入って行った。



「おかわりです!」



「今、何杯目?」
「5杯目…かにゃ」
「さっきの話はなんだったのでしょうか?」
「花陽ちゃんはこうでなくっちゃ♡」



「むふ♡おいひぃ♡」
 
51: (しうまい) 2022/02/13(日) 22:28:49.11 ID:CreAtQBi
第11話(24-1)
『ただいま充電中』

「明けましておめでとうございます」

1月1日の神田明神。

昨年は真姫だけが晴れ着姿だったが、今年は全員がその恰好をしている。
特別に呉服屋である『和香の実家』がレンタルしてくれたものだ。
この時ばかりは普段『和風文化』に拒否反応を示している本人も『仕方なしに』着用した。

「オブリガード(ありがとう)!和香」
初めての晴れ着に感激したデルフィナが、彼女を抱き締める。

「べ、別に…お礼なら親に言って。私は何もしてないんだから…」



「浴衣って窮屈だね」
「違ウヨ!亜里沙、コレハ振リ袖!」
「この時期に浴衣なんてきたら、死んじゃうよ」
「?」
「いやいや…『?』…じゃなくて」
亜里沙のボケに全員がツッコミを入れる。


「わぁ!みんな可愛いい♡なんか1列に並ぶと女優さんの撮影会みたいだね♡」
ことりが目をキラキラさせて彼女たちを眺める。

「一人、初詣ジャナクテ『七五三』ノ オ参リガ 混ジッテマスケドネ」

「凛先輩!デルフィーが先輩のこと、ちっちゃいって言ってます」

「にゃ?デルちゃん、酷いにゃ」

「ワォ!ケイティ、アナタニ言ッタンダケド」

「あははは…」
あれから日が経ち、こんな冗談が言えるくらいまでにはなった。



「いつまでも落ち込んでられないですからね!」

「うん!」

頼もしい後輩たちだ。
 
55: (光) 2022/02/14(月) 22:10:40.05 ID:0ZL7eQjM
(24-2)

「このあとみんなで新年会&残念会ってことで、カラオケに行くんですけど先輩もいかがですか!」
後輩たちが声を掛ける。

「おっ!いいねぇ!久々に思いっきり歌っちゃおうかなぁ」

「折角のお誘いですが…」

「海未ちゃん?」

「お休み気分も、今、この瞬間までです!ここから一ヵ月!ラストスパートです。さぁ、帰って勉強しますよ!」

「えぇ、今から?」

「受験生に盆も正月もないのです!」
「ファイトだよ!穂乃果ちゃん」

「こ、ことりちゃん…それ、私のセリフだってば…」

「では、私たちはこれで…」
海未にヘッドロックされる穂乃果。
それをニコニコと見ていることり。

「うわぁ…じゃあみんな…よ、良いお年を…」
前生徒会長がそんな言葉を残し、3人は人ごみの中へ消え去った。
 
56: (光) 2022/02/14(月) 23:42:53.29 ID:6WACDdDM
(24-3)

「良いお年を…って、穂乃果先輩、来年まで会わないつもりなのかしら」
「まったく、相変わらずバカなんだから」

「雪穂ちゃん!雪穂ちゃん!」

「あっ…すみません、花陽先輩…つい…」

「うん!」

「それより、花陽先輩!よかったですね!…具合良くなって」

「ありがとう」

「本当よ。あの後、体調崩したっていうから、どうしたものかと思ったったけど…」

「あはは…まさか胃腸炎に罹るなんて…ねぇ…」

「無理が祟ったんじゃない?」

「ううん…自己管理が出来てなかっただけで…ごめんね、みんな…心配させちゃって」

「いえ…いえ…それより…少し瘦せました?」

「食べてなかったから…うん、でも、もう大丈夫だよ」

「お正月に間に合って良かったにゃ」

「今日からお餅を食べまくるよ!」
「私モ オ餅 イッパイ食べマス!」

「こらこら…ほどほどにしなさいよ!」

「…だよね…」

「それから…あんまり思い詰めたらダメよ」

「ありがとう、真姫ちゃん」

「う~ん…真姫先輩、花陽先輩だけにはやさしい」
「えっ?真姫先輩、花陽先輩だけにはやらしい?」
「いや、やらしいじゃなくて…あ、いや、ある意味そうかも」

「なにが、ある意味そうかも!よ…」
と真姫が言おうとしたセリフを、雪穂と和香がシンクロして言った。

「おっと…どうして雪穂が怒るのよ?」
「和香ガ ドウシテ怒ルノヨ?」

「べ、べつに…怒ってないけど…先輩をからかうには良くないなって」
雪穂はみんなから顔を背けた。

「そうだよ…先輩が困るような事を言っちゃダメだよ」
和香も視線を逸らせて言う。

「ま…まぁ…そうだけど…」
花陽と真姫は顔を見合わせたあと、首を傾げた。
 
61: (光) 2022/02/15(火) 20:07:03.67 ID:nY6XzAAW
(24-4)

カラオケ店を出て、2年生と別れたν'sのメンバー。

「いやぁ、楽しかったぁ」
「ねぇ!」
「デルちゃんは演歌も歌えるんだ」
「演歌、アニメ、何デモコイヨ!」
「本当に日本の文化が好きなんだね」

「ソウダネ!出来レバ ズット住ミタイト思ッテルヨ」

「出来れば?」
「ずっと…住みたい?」

「私、留学生ダカラ 3月ノ末デ ブラジルニ帰ルカラ」

「!!」

「ブラジルに帰っちゃうのぉ!?」
「えっ?聴いてないよ…」
「まったく頭になかったわ…1年の短期留学だったの?」
「桃子…あなたは?」

「もちろん、知ってたよ…ウチにホームスティしてるんだもん、知らないわけないでしょ」

「そっか…そうだよね…」

「デモ、マダ3ヵ月モ先ノ事ダシ…」

「確かに!確かに!」
「お正月から暗い顔してちゃダメだよね!」
「それじゃ…みんなで何か食べて帰ろう!」

「オ汁粉 食ベタイナ」

「おっ!いいね」
「げっ!お汁粉?私、餡子はちょっと…」
「はい、はい、文句言わない!!」

「レッツゴー!」
 
64: (しうまい) 2022/02/16(水) 21:58:48.06 ID:ZdfxB5qA
第12話(25-1)
『私たちは』

「結局、全国大会も群馬のチームが制しちゃったね…」
「納得いかないにゃ」
「認めたくないわね…あんな『飛び道具』みたいなチームが優勝するなんて」
2年生が愚痴る。

「結局…インパクトの強かったチームが勝った…っていうことですよね」
「そのうち、アクロバットをしたりするチームとか出て来るかも」
「それならまだしも、ミュージカル仕立てに歌うチームとか…」
「あり得るよね」
「レベルが上がって、各チームの実力が伯仲すればするほど、異質なものに目が行きがちだもんね」
「正統派よりも新しいものが好まれる…ってこと?」
「M1トカモ ソウジャナイ?」
「デルちゃん、漫才も詳しいの?」
「落語モ好キ」
「凄いね…」
「新しいものか…それもわからなくはないけど…」
「だとすると『スクールアイドルって何ですか?』って話になるよね?」
「う~ん…まぁ、そうだねぇ…」
「楽器ヲ持ッタ アイドルナンカガ出テキタリシテ」
「それは…もうアイドルじゃなくて…バンドだよね?」
「ダヨネ…」
1年生も今回の結果をどうとらえたら良いか、困惑している。



「そこで…私たちスクールアイドル部は今後、どうあるべきかを問いたいと思います!!」

「つまり…路線変更するべきか…ってことですか?」

「私は…今のままでいいと思います!!」
「はい、私も!」
「もちろんです!」
「愚問ですよ、花陽先輩!」
「なんて言ったって…私たちは…」

「μ'sに憧れて入ってきたんですから!!」
 
68: (光) 2022/02/17(木) 23:27:42.34 ID:wYpSZoYd
(25-2)

「卒業ライブ!?」

「卒業式から入学式まで少し、日があるでしょ?その期間を利用して出来ないかな…って。うん、穂乃果ちゃんも無事合格したことだし、お祝いを兼ねて…」

「面白そうだにゃ」

「それと…ことりちゃんはフランスに留学しちゃうし、デルちゃんはブラジルに帰っちゃうし…12人で出来る最後のステージになると思うから」

「いいけど…新曲を作ってるヒマはないわよ」

「うん、わかってる」



「!!…あの曲をやるのね?」
「凛もわかったにゃ!」

「穂乃果ちゃんたちなら、練習なんていらないでしょ」







♪I say…



アンコール!アンコール!







♪OH!YEAH!…



アンコール!アンコール!







♪あいしてるバンザーイ…
 
71: (しうまい) 2022/02/18(金) 22:03:17.99 ID:7aCZ47+v
第13話(26-1)
『受け継ぐもの』

私たちは2人の旅立ちと帰還を、空港で見送りました。

「ケイティ…ミンナ、本当ニ、本当ニ有難ウ。本当ニ、本当ニ有難ウ。コノ1年、スゴク楽シカッタヨ!今度イツ会エルカワカラナイケド 私ハ必ズ 戻ッテ来ルカラ。ソノ時ハ マタ一緒ニ カラオケシヨウネ!」

和香ちゃんは泣いていました。
奈美ちゃんも泣いていました。
亜里沙ちゃんも雪穂ちゃんも…。
もちろん桃子ちゃんも…。

「ソレカラ 先輩ガタ…大変オ世話ニナリマシタ。私ハ 日本ニ来ルマデ 友情トカ根性トカ…アニメヤドラマノ世界ダケノ事ダト思ッテマシタ。デモ 違イマシタ。私ハ スクールアイドル研究部ニ入ッテ 多クノ事ヲ経験シ 沢山ノ事ヲ学ビマシタ。コノ精神ハ ブラジルニ帰ッテモ 忘レマセン」

私たちは大きく頷いた。



「デハ時間ノヨウデス…最後ニ ケイティ…」

「!?」

「花陽先輩ミタイニ イッパイ食ベテ 大キクナッテネ!」

「余計なお世話よ!!」

みんなの笑いが起こる中、デルちゃんは搭乗口へと消えて行きました。
振り向くことなく…でも、いつまでもいつまでも手を振っていました…。



そして…
 
73: (しうまい) 2022/02/19(土) 22:29:38.69 ID:txI7c1H+
(26-2)

「ちゃんと枕は持ちましたか?」
「うん!大丈夫!」
「あはは…いくらなんでも穂乃果じゃないんだから、そう同じことは繰り返さないよねぇ」
「うん!」
自虐的に言った穂乃果ちゃんの言葉を、事も無げに肯定することりちゃん。

「えっ?」

「あっ…」

「ぷっ」と吹き出したあと…
穂乃果ちゃんは泣いてしまいました。
それを見て、海未ちゃんも泣いてしまいました。

「もう…一生のお別れじゃないんだから…」
そう言った、ことりちゃんも泣いてしまいました。



フランス行きの飛行機の搭乗案内が流れます。

ことりちゃんは「行ってくるねぇ」と、いつものようなとろけそうな笑顔を残して、飛行機へと乗り込んでいきました。



ことりちゃんの乗った飛行機が空へ旅立っていきます。



穂乃果ちゃんと海未ちゃんと、見えなくなるまで、すっと手を振っていました…。
 
76: (しうまい) 2022/02/20(日) 22:35:55.20 ID:IhQgN4Pf
(26-3)

鏡の前で「グッ」っと拳を握りしめ「ファイトだよ」と呟く、ネイビーブルーのスーツを着た穂乃果。



グレーのスーツを着て鏡の前に立ち、顔をパンパンと叩(はた)いて気合を入れる海未。



『緑のリボン』を付けた制服で、学校に向かう花陽と凛と真姫。
校門まで来ると教師が『入学式』の立て看板を設置していた。
軽く挨拶を交わし、校舎に向かうと、屋上から雪穂たちが手を振っている。

おはよう~!!

3人は声を合わせて返事をした。

見上げ空には、一本の飛行機雲。
そよ風が吹き、桜の花びらが優しく舞う。



音ノ木坂に…また新しい1年が始まった…。










勝手に【ラブライブ 第4期】を作ってみた ~ダイジェスト~

~完~
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1644285617/

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