【SS】かのん「好きな人の好きな人」【ラブライブ!スーパースター!!】

Liella!ーSS


5: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:24:39.22 ID:M5U54Vzk
千砂都「みんな動き良くなってきたね!」

恋「今のは結構うまくいった気がします!」

すみれ「ほら見なさい! 私のアドバイスの通りでしょ!」

可可「む……調子乗んなデス! 千砂都のお陰デス!」

かのん「あはは」


いつもと変わらない練習の風景。

賑やかで、楽しくて、みんな仲良しで。


この5人がLiella!で良かったなって心から思う。


かのん「……」キュン


そんな私にも特別に好きな人ができた。

私だけじゃない。他のメンバーにもそれぞれ想い人ができたんだ。

そんな私たち5人の恋愛は、甘くも苦い、ちょっと異質で、でも特別なものだった。
 
6: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:28:44.77 ID:M5U54Vzk
始まりは恋ちゃんから受けた相談だった。


かのん「どうしたの恋ちゃん。改まって相談なんて」

恋「いえ、その、すごく個人的な相談なのですが……」

かのん「うんうん。何でも聞くよ!」ニコッ

恋「実は……」グッ

恋「私、千砂都さんのことが好きなんです……!」

かのん「……!?」

かのん「好きって、ラブの方……?」

恋「ラブの……方です……」カアアアア

かのん「そっか、そうだったんだ」

恋「はい」

恋「気付いた時には抑えられないほど大きな気持ちになっていて……」

恋「それで幼馴染で誰よりも千砂都さんのことを知るかのんさんに相談に乗っていただきたかったんです」

かのん「そういうことならもちろん協力するよ!」

恋「……!」パアア

恋「ありがとうございます!」


こうして私は恋ちゃんを応援することになった。

ちぃちゃんのことそんな風に想ってくれるなんて、幼馴染の私もちょっと嬉しいな。
 
8: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:32:24.99 ID:M5U54Vzk
かのん「ちぃちゃんはグループ内恋愛ってどう思う?」

千砂都「グループ内恋愛……?」


恋ちゃん応援のため、ちぃちゃんに探りを入れてみる。


かのん「例えば、Liella!のメンバー同士で恋人ができたりとか……」

千砂都「どうしたの急に。かのんちゃん好きな人ができたの?」

かのん「ううん、そういうわけじゃないんだけど、Liella!でそういうこともあるのかなって……」

千砂都「好きな気持ちはそれぞれだし、グループ内で付き合ったりしても構わないと思うけど……」

かのん「そうだよね」

かのん「いやー、私恋愛とかってよくわからないからさ」アハハ

かのん「ちぃちゃんは好きな人とかいるの?」ニコッ

千砂都「……」

千砂都「いるよ」

かのん「……!」

千砂都「すっごく大好きな人」

かのん「そうだったんだ……」

かのん「頑張ってね、ちぃちゃん!」

千砂都「ありがと!」


かのん(一体誰なんだらう……)

かのん(恋ちゃんだといいんだけど……)
 
10: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:36:01.23 ID:M5U54Vzk
かのん「その人が誰かまでは聞けなかったけどね……」アハハ

恋「かのんさん、ありがとうございます」

恋「私、決めました」

かのん「え?」

恋「今度のバレンタインデーに千砂都さんに告白します!」

かのん「!!」

かのん「恋ちゃん、頑張ってね! うまくいくよう願ってるから!」ニギッ

恋「はい!」グッ




かのん(告白、か……)

かのん(恋ちゃん凄いな……)

かのん(でもこういうきっかけがないとなかなか踏み出せないもんね)


かのん「…………」グッ


かのん(よし、私も覚悟決めて告白しよ!)キッ
 
11: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:39:41.04 ID:M5U54Vzk
バレンタインデー当日

部室

すみれ「この時の恋に比べたら、今は見違えるくらい自然な表情で写真に写ってるわよ」

恋「そうでしょうか」

恋「すみれさんの特訓のおかげです!」ニコッ

すみれ「恋が頑張ったからよ」

すみれ「でもまたいつでもコーチしてあげるから!」

恋「お願いしますね」フフッ


かのん「……」

かのん(すみれちゃんと恋ちゃんは楽しそうに話してる)

かのん(ちぃちゃんはまだ来てない)

かのん(今しかない……!)


かのん「可可ちゃん……」

可可「かのん、どうかしましたカ?」

かのん「ちょっと話したいことがあるんだ。いいかな?」


私をスクールアイドルの世界に連れて行ってくれた人。

いつも一生懸命で、人懐っこくて、笑顔がとっても可愛い人。

そして私を胸を締め付ける、大好きな人。


今こそこの想いを伝えるんだ。
 
12: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:43:34.03 ID:M5U54Vzk
可可「すみません、かのん、気持ちはとても嬉しいのデスガ……」

かのん「……っ!」ズキッ


フラれた……

まあ、当然か。


かのん「そ、そうだよね……」

かのん「ごめんね、私なんかが……」

可可「そうではありまセン!」

可可「かのんが気持ちを教えてくれたので、可可も正直に言いマス……」

可可「可可、すみれのことが好きなんデス……」

かのん「……!」

かのん(可可ちゃんがすみれちゃんのこと大好きなのは見ればわかるけど、本当に好きだったんだ……)


可可「実は可可もさっきすみれに告白したんデス……」

かのん「え……?」

可可「他に好きな人がいると断られてしまいましたガ……」アハハ

可可「でも可可、簡単には諦められなくて……」

可可「だからとってもとっても嬉しいのデスガ、かのんの気持ちには応えられまセン。ごめんなさい……」

かのん「ううん。聞いてくれてありがとう、可可ちゃん」

かのん「これからもよらしくね!」ニコッ
 
13: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:46:52.72 ID:M5U54Vzk
初めての告白と初めての失恋。

それは私の心に重くのしかかってきて。

全身の脱力感から、廊下を1人トボトボと歩いていた,

でも、今日も変わらず練習頑張らないと。



恋「……」テクテク



あ、恋ちゃんだ。

恋ちゃんの方は告白どうだったのかな。


かのん「恋ちゃ……」

恋「……っ!」ウルッ


すれ違いざま、恋ちゃんは涙目で私を一瞥して無言で去っていった。

告白の結果なんて一目瞭然だった。


でも、なぜだろう。

恋ちゃんの私を見る目はいつもと雰囲気がまったく違っていた。


ちぃちゃんのことであんなに私を頼りにしてくれた恋ちゃん……

今の恋ちゃんの視線は、私を睨んだとも捉えられるほど強いものだった。
 
15: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:50:51.37 ID:M5U54Vzk
恋ちゃんは体調が悪いとその日は帰った。


すみれ「恋ったら珍しいわね」

かのん「う、うん。心配だよね」

すみれ「そうね……」


目を細め、心配そうに俯くすみれちゃん。

こうして改めて見ると、綺麗な顔立ちだなって思う。

可可ちゃんが好きになるのも無理ないよね。


その日は私たちも早めに帰ることになった。

 ◆

帰り道

千砂都「クラスの子たちにもたくさんチョコ貰えたねー」

かのん「うん。しばらくチョコには困らないね」アハハ

かのん「それじゃあね、ちぃちゃん!」


いつものようにういっすーってやろうとしたら、ちぃちゃんに話があるって言われて。

そこでちぃちゃんから言われたのは驚くべき言葉。


「私ね、かのんちゃんのこと……」
 
17: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 19:57:03.33 ID:M5U54Vzk
それから数日が過ぎた。

Liella!の5人はこれまで通り練習をこなしていたし、新曲にも挑戦していた。

傍から見ればラブライブに向けて精力的に活動しているように映るだらう。


でも私たちの気持ちは違っていた。

私たち5人の間に流れる空気。

それがあの日から決定的に変わってしまったんだ。


そう、みんな薄々気付いてるんだ。

私たち5人が置かれている状況に。



練習が終わり、制服に着替えた私たちは長机を囲んで座っていた。

全員無言だった。

重く、冷ややかな空気を感じる。


かのん「……」ギュッ


私は怖かった。

この空気が続けば、このまま私たち5人がバラバラになっていく気がして。

それだけは絶対に嫌で。

だから

だから……!


かのん「ねぇ、みんな」

かのん「はっきりさせておこうよ」
 
18: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:02:28.34 ID:M5U54Vzk
千砂都「はっきりって何を?」

かのん「最近の私たちの感じ、おかしいよ」

可可「それは……」

かのん「みんな、気付いてるんでしょ……?」

かのん「私たち5人の状況……」

恋「……っ!」ズキッ

すみれ「状況って?」

すみれ「はっきりさせるなら、早く言いなさいったら言いなさいよ」

かのん「うん。はっきり言うね」


かのん「私は可可ちゃんが好き」

かのん「この前、告白もした」

恋「……」

可可「かのん……」

かのん「ごめんね、可可ちゃん」

かのん「可可ちゃんはすみれちゃんが好きなんだよね?」

可可「……」

可可「フラれましたが……」


かのん「すみれちゃんは……」

すみれ「待ちなさい! 自分で言うわよ」

すみれ「私は恋が好き」

可可「……!」

すみれ「でも恋は千砂都が好き。そうでしょ?」

恋「はい……」


千砂都「私が好きな人はかのんちゃん」

千砂都「私も断られちゃったけど」

すみれ「……」

可可「そんな……」

千砂都「これで大きな丸ができたね」

かのん「……」
 
19: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:06:15.77 ID:M5U54Vzk
かのん「そうだよ。みんな好きな人への気持ちが一方通行で、ぐるっと一周しちゃってるの」

かのん「それが今の私たち」

かのん「最近のぎこちない雰囲気ってそのせいでしょ?」

千砂都「……」

千砂都「ただの失恋ならともかく、好きな人の好きな人を辿っていくと、最後は自分に帰ってくる」

千砂都「だからやりきれない想いになってる……」

かのん「うん」

恋「好きな人と好きな人が好きな人、自分のことを好きな人とその人を好きな人……」

可可「その全員が同じグループにいるわけですからネ……」


すみれ「何も難しく考えることないわよ!」

恋「すみれさん……」

すみれ「シンプルに、5人とも相手に別に好きな人がいて失恋しました。それだけじゃない」

すみれ「確かに落ち込むけど、諦めるしかないじゃない」

かのん「すみれちゃんはできるの……?」

すみれ「え……?」

かのん「恋ちゃんのこと、諦められる?」

すみれ「そんなの……」

すみれ「簡単には、できないわよ……」
 
20: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:13:32.54 ID:M5U54Vzk
かのん「それで思ったんだけどさ……」

かのん「好きな気持ちがこの5人で輪になってるんだよ?」

かのん「全然違う人とかじゃなくて、この5人で完結してるの」

かのん「それなら、みんなが幸せになれる方法ってないのかな?」

すみれ「……?」

恋「1組でも両想いの方々がいればともかく、みんな片想いなんですから、1人だって幸せになれるはずが……」


千砂都「いや、あるかも……」

可可「千砂都……?」
 
21: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:17:05.78 ID:M5U54Vzk
千砂都「でもこれは……」

かのん「ちぃちゃん、話してみて」

千砂都「……」

千砂都「自分が好きな人と、自分のことを好きな人、みんなが両方と付き合っちゃえば……」

すみれ「それ二股ってことじゃない!」

可可「……」

可可「確かに同時に2人と付き合えば二股ですが……」

可可「同時じゃなければ……?」

すみれ「……?」


恋「ローテーション……!」ハッ


恋「例えば、週ごとのローテーションで付き合う人を変えていけば……」

かのん「それだ! それだよ、恋ちゃん!」バッ

すみれ「ちょ、ちょっと正気なの!?」


かのん「輪の中の自分の両隣の人と週ごとのローテーション恋人!」

かのん「それなら自分が好きな人とも恋人でいられる週があるし、みんなが幸せになれる!」

可可「でも……」

恋「そんなやり方……」

かのん「やってみようよ!!」

かのん「このままみんなが諦めて、変な空気のままいるくらいなら、試してみようよ!」

かのん「きっと私たち5人ならうまくいくよ!」

千砂都「かのんちゃん……」


こうして私たちの奇妙な恋人ローテーションは始まった。
 
22: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:29:46.16 ID:M5U54Vzk
休日

かのん「可可ちゃんと恋人としてデートできるなんて夢みたいだよー!」

可可「可可もとっても楽しみデシタ!」ニコッ

かのん「今日は楽しもうね、可可ちゃん!」

可可「はいっ!」

可可「それにしても……」

可可「今日のかのん、いつもに増して可愛いデス!」

かのん「ほんと!?」

可可「ハイ! とっても可愛いデス!」

かのん「ありがとう……可可ちゃんとの初デートだからお洒落してきちゃった」エヘヘ

可可「嬉しいデス!」ニコッ

かのん「……!!」ドキッ


かのん(可可ちゃんとこんな風に恋人できるなんて!)

かのん(それでいて誰も悲しむことがないなんて)

かのん(恋人ローテーション、最高だよ!!)



ローテーションは週ごとだ。

5人中2人ずつペアになるから必ず1人は誰とも付き合わない1週間がある。

その1週間が終わると、まず自分のことを好きな人と1週間付き合う。(私の場合はちぃちゃん)

その次の週は、自分が好きな人と1週間付き合う。(私の場合は可可ちゃん)

それをもう一度繰り返す。(ちぃちゃんと1週間、可可ちゃんと1週間)

そしてまた誰とも付き合わない週に戻る。


そんな具合に私たちの恋人関係は回り始めた。

すべてはみんなが好きな人と付き合えて、幸せになれるために。
 
23: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:33:07.42 ID:M5U54Vzk
ある週の最終日

すみれ「そろそろ帰るわよ」

可可「……」

すみれ「可可?」

可可「その、今日は最後の日なので……」モジッ

すみれ「……」

すみれ「そうだったわね」

すみれ「次私たちが恋人になるのは2週間後だものね。もう少し一緒にいましょ」

可可「……」ジン

すみれ「なにしんみりしてるのよ! アンタらしくもない!」

すみれ「ほら、また恋人になるまでいい子にしてるのよ」ナデナデ

可可「こ、子ども扱いするなデス!」バッ

すみれ「アンタ子どもでしょ」

可可「グソクムシのくせに生意気デス!」

すみれ「まったくアンタは……」

可可「……」


可可(やっぱりすみれといるのすっごく楽しいデス)

可可(本当は明日も明後日もずっと恋人でいて欲しいデス……)
 
24: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:36:21.86 ID:M5U54Vzk
恋「千砂都さん、この1週間、本当に楽しかったです」

恋「でも、最終日は寂しいですね……」

千砂都「うん」

恋「今週私の恋人だった千砂都さんが明日からかのんさんの恋人になるなんて、変な感じです……」

千砂都「そうだよねー」アハハ

千砂都「恋ちゃんは明日からすみれちゃんが恋人だね。賑やかで楽しそう!」フフッ


恋「あ、千砂都さんにプレゼントがあるんです!」

千砂都「え、なになにー?」

恋「これなんですが」スッ

恋「……」チラッ

千砂都「うわーっ!」パァ

恋「……」ドキッ


恋(恋人として過ごして、千砂都さんへの想いはますます募るばかりです……)

恋(ずっとこの時間が続けばいいのに……)
 
26: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:41:41.29 ID:M5U54Vzk
可可「帰りたくなくなってきマシタ……」

すみれ「じゃあ気が済むまで一緒にいましょ」ナデナデ

可可「すみれ……」ギュッ




恋「千砂都さん、その……」

恋「抱きしめても……いいですか……?」

千砂都「もちろんいいよ。恋人なんだから当然だよー!」ニコッ

恋「……!」

恋「では、失礼します……」ダキッ

千砂都「……」ダキッ

恋「……」ギュッ




すみれ(可可が私のこと好きな気持ちは十分伝わってくる)


千砂都(恋ちゃんと一緒にいられるの、私もすごく嬉しいよ)


すみれ(でも……)


千砂都(だけど……)


すみれ・千砂都(早く明日にならないかな……)
 
27: (もんじゃ) 2022/02/19(土) 20:45:00.51 ID:M5U54Vzk
今日はここまでです。
続きます。
 
47: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:00:38.27 ID:C9OQSNNy
回る私たちの恋人ローテーション。

5人みんなが好きな人と恋人になれて、誰も悲しむことのない。

一度フラれた相手と2人の時間を過ごせる夢のような仕組み。

だからこそ、みんなこの提案に乗ったし、初めのうちはそれを大いに楽しんだ。

でも、こんなイビツなシステムに問題が起こらないはずもなくて……


かのん「それでその時、ちぃちゃんがね」クスクス

可可「そんなことがあったのデスカ!」ケラケラ

かのん「うん! そしたらその後ね」クスクス

可可「……」ボーッ

かのん「可可ちゃん……?」

可可「あ、すみまセン! 少しぼーっとしてまシタ……!」

かのん「……」


かのん(可可ちゃん、今すみれちゃんのこと考えてたのかな……)

かのん(そうだよね。別に私のこと好きなわけじゃないんだし……)


1つ目の問題は気持ちの温度差だった。

一方通行の恋人だからこその好意のズレ。

だから恋人である幸せなはずの1週間の間にも、度々寂しさを感じてしまうのだった。
 
48: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:04:41.33 ID:C9OQSNNy
ある日の夜

すみれ「恋のほっぺって柔らかいわね」ツンツン

恋「すみれさんのほっぺだって、きめ細かくて綺麗です」ムニッ

すみれ「恋だって綺麗じゃない」ムニムニッ

恋「ふふっ、何するんですか」フフッ

すみれ「もう恋ったら可愛いわね……」ズイッ

恋「え……?」

すみれ「恋……」ジッ

恋「……!!」ビクッ

すみれ「……」スッ

恋「ちょ、すみれさん、ちょっと待ってください……!!」グイッ

すみれ「え、あ、ごめん……」

すみれ「嫌だった……?」

恋「いえ、嫌ではないのですが、そういうのはまだちょっと……」

すみれ「そ、そうよね! まだ早過ぎたわね!」
 
49: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:08:47.45 ID:C9OQSNNy
千砂都「かのんちゃん……っ!」ガバッ

かのん「ちぃちゃん!?」ドサッ

千砂都「はぁ……はぁ……」

千砂都「かのんちゃん……」サワッ

かのん「ま、待って、ちぃちゃん! 落ち着いて!」バッ

千砂都「……!」ハッ

千砂都「ごめん、かのんちゃん! 私、なんか興奮しちゃって……」

かのん「ううん」

かのん「我慢させちゃってごめんね、ちぃちゃん」

かのん「こういうこと、本当は彼女の私の役目なのに……」

千砂都「そんな……かのんちゃんが無理にすることないんだから」

千砂都「私、待ってるから……」

かのん「うん、ごめん、ちぃちゃん」


気持ちの温度差は次の問題を生む。

ローテーションのどの組み合わせも、ある一定以上の進展がないんだ。


手を繋いでデートとか、ハグくらいまではあるかもしれない。

でも、キスやそれ以上のことは、どの組もほとんど進展がなかった。


当然だ。

みんなそういうことは本当に好きな人とかしたくない。

初めては大好きな人に捧げたい。

常に一方通行の恋人関係では成立のしようがなかった。
 
50: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:13:26.85 ID:C9OQSNNy
そして更なる問題は……


学校屋上 練習中

千砂都「1・2・3・4! 1・2・3・4・!」パチパチ

可可「ゼェ……ゼェ……」フラッ

千砂都「可可ちゃん、フラついてるよ!」

可可「うぅ……ああっ!」コケッ

可可「すみまセン……」ゼェゼェ


かのん「大丈夫!? 可可ちゃん」

可可「このフリ、すっごく難しいデス……」

千砂都「もっと動きを身体に覚えこませないとね」

千砂都「あと基礎練習もしっかりね」

千砂都「可可ちゃんだけできてなかったよ」

可可「ハイ……」ゼェゼェ

すみれ「……」ムッ


すみれ「ちょっと千砂都、アンタの考えたフリが難し過ぎるんじゃないの?」

千砂都「え……? そんなことないと思うけど……」

すみれ「可可がこんなにバテてるのよ!?」

すみれ「アンタは踊れるかもしれないけど、私たちのことも少しは考えてよ!」

可可「すみれ、いいんデス。可可ができてなかっただけですカラ……」

すみれ「よくないわよ!」

すみれ「メンバーが踊れないようなフリ考えてるようじゃ……」

かのん「ちょ、ちょっとすみれちゃん、ストップ! どうしちゃったの……?」バッ

すみれ「……」

すみれ「ちょっと飲み物買ってくる……」タタッ

かのん「すみれちゃん……!」

千砂都「……」
 
51: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:18:14.55 ID:C9OQSNNy
かのん「ねぇ、すみれちゃん、さっきの……」

すみれ「……」

すみれ「かのん……私、どうしたら……」

かのん「すみれちゃん……?」

すみれ「私だって、好きでいたいのに……」

すみれ「あんなこと言いたくないのに……」

すみれ「このままじゃ、千砂都のこと嫌いになりそうで……!」グッ

かのん「……!」

 ◆

千砂都「すみれちゃん、怒ってた?」

かのん「あのね、すみれちゃんも悪気があったわけじゃないと思うんだ」

かのん「すみれちゃんは恋人の可可ちゃんを守りたくて、それで……」

千砂都「わかってるよ」

千砂都「私が悪いんだ……」

千砂都「私が最近可可ちゃんに強く当たっちゃうから……」

千砂都「それで……」ウルッ

かのん「あ……」


その時、気がついた。

すみれちゃんは千砂都ちゃんを、千砂都ちゃんは可可ちゃんに思うところがあるんだ。

だって、好きな人の好きな人だから。

自分の大好きな彼女を、次の週には奪っていく人だから。
 
52: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:21:15.21 ID:C9OQSNNy
そしてその矛先は、私自身も例外ではなくて。


恋「かのんさん」バッ

かのん「恋ちゃん……?」

恋「さっき千砂都さんと何を話していたんですか?」

かのん「いや、ちょっと練習のこと話してただけだよ」アハハ

恋「今週の千砂都さんの恋人は私です。わかっていますよね?」

恋「私の彼女にそんなに馴れ馴れしくしないでください」

かのん「ご、ごめん……そうだったよね……」


大好きな仲間である恋ちゃんの視線が痛かった。
 
54: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:24:22.99 ID:C9OQSNNy
それらの問題が端を発し、ローテーションが回るごと、みんなの焦りや嫉妬は募っていった。

私たちを取り巻く空気は”あの時”以上に重いものに変わっていたんだ。


部室

恋「……」

千砂都「……」

可可「……」

すみれ「……」


かのん「……」ズキッ


かのん(ダメ……このままじゃ、本当にみんなバラバラになっちゃう……)

かのん(この5人でいるためには……)


かのん「…………」グッ


かのん(考えて、かのん! 考えて!!)

かのん(みんなでずっと一緒にいたいんでしょ?)

かのん(そのためにはどうすればいいの……!?)
 
55: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:29:25.79 ID:C9OQSNNy
恋「ごめんなさい……!」

かのん「……!」ビクッ

すみれ「……」

千砂都「恋ちゃん……」

恋「元はと言えば、私がローテーションなどと言ったから、こんな事に……」

恋「事態をより拗らせてしまいました……」

可可「いえ、レンレンは悪くないデス!」

可可「そういう話に持っていったのは可可デス……」

千砂都「それを言ったら2人と付き合ったらって言ったのは私だよ」

千砂都「私がそんなこと言わなければ……」

すみれ「千砂都、私もみんなもそのアイディアに乗ったんだもの」

すみれ「誰も悪くないわ」

かのん「……」


かのん(あれ、この感じ……)


かのん(そうか、これなら!!)ハッ


かのん「ふふっ、ふふふ」

恋「……?」

かのん「ふふふふ」

千砂都「かのんちゃん?」

すみれ「かのん、どうしたの……?」

かのん「ううん!」

かのん「みんなが庇い合ってるの見てたらさ」

かのん「私たちちょっとギクシャクしちゃったけど、やっぱりみんな、みんなのこと大好きなんだなって」

千砂都「それはそうだよ……」

可可「みんな仲間デスカラ」


かのん「それならさ、いい解決策思いついたんだ!」
 
56: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:35:59.43 ID:C9OQSNNy
千砂都「全員が……」

恋「全員の恋人……!!?」

可可「かのん、一体どういうことデスカ……!?」


かのん「私たち5人が同時に全員と恋人になるの!」

かのん「私は可可ちゃんのことが好きだし、ちぃちゃんのことも大切に思ってる!」

かのん「でもすみれちゃんと恋ちゃんのことも大好きだから!」

かのん「きっと4人とも恋人として好きになれると思うんだ!」

かのん「5人全員が恋人同士なら、週替わりの寂しさも、焦りも嫉妬も起こらない」

かのん「そうでしょ?」ニコッ


可可「え、えっと……」

すみれ「かのん、自分が何を言ってるのかわかってる?」

すみれ「そんなの正気の沙汰じゃないわ」

恋「はい。私もうまくいくとは思えません……」


かのん「うん。とんでもないこと言ってるのはわかってる」

かのん「それでもね……」グッ

かのん「私ね、こんな風に好きな気持ちがこの5人で輪になるのって特別な事な気がするんだ」

かのん「私自身が大好きなみんなとこんな風に輪になれて……」

かのん「だから、この気持ちを諦めたくない……!」

可可「かのん……」


千砂都「でもそんなことどうやって……」

かのん「とりあえずさ……」

かのん「みんな、明日空いてる?」ニコッ
 
57: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:38:11.00 ID:C9OQSNNy
翌日

待ち合わせ場所

千砂都「みんな集まったね」

すみれ「かのん、それでどうするのよ」

かのん「うん。今日からこの5人は全員恋人同士!」

かのん「だから今日は5人でデートしよ!」

可可「5人でデート……」


かのん「ふふふ」

かのん「ほら恋ちゃん、可可ちゃん、行こっ!」ニギッ、ニギッ

恋「あ、はい……!」ニギッ

可可「ま、待ってくだサイ……!」ニギッ

スタスタスタ

千砂都「……」

すみれ「……」


千砂都「私たちも手繋ぐ?」アハハ

すみれ「いいけど……」

千砂都「……」ニギッ

すみれ「……」ニギッ


すみれ(まあ、今日はかのんの考えに付き合ってみようかしら……)

千砂都(かのんちゃん、ちょっと様子がおかしい気がしたけど、大丈夫かな……)
 
58: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:41:05.00 ID:C9OQSNNy
かのんちゃんがリードして、その日は5人デートを楽しんだ。

最初は普通に5人で遊ぶのと変わらないかなと思ったけど、かのんちゃんに続いて私たちも恋人であることを意識するようになった。

決まった組み合わせではなく、その場で隣にいる人と手を繋いだり、見つめ合ったり、笑い合う。

可可ちゃんとも、すみれちゃんとも、恋ちゃんとも、もちろんかのんちゃんとも。

誰に対しても恋人同士がするみたいに接した。


とっても不思議な感覚だったけど、かのんちゃんの提案にも一理あるように感じた。

全員に対して等しく愛を持てば、そこに寂しさも嫉妬も生まれないはずなのだから。


本当にその通りいけば……だけど。
 
59: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:45:07.90 ID:C9OQSNNy
デートの終わりにはみんなで恋ちゃんの家に行った。

サヤさんは用事があって出かけていた。

広い恋ちゃんの部屋に、私たち5人。

何とも言えない緊張感があった。


かのん「ローテーションで恋人してた時はさ、みんなあんまり進展しなかったよね」

千砂都「え……?」

かのん「でもさ、みんなのことが好きなら、そういうこともできると思うんだ」

可可「そういうコト……?」

かのん「すみれちゃんっ!!」ダキッ


かのんちゃんはすみれちゃんを背後から抱きしめた。

そして顔を寄せ、じっとすみれちゃんを見つめる。


すみれ「ちょ、ちょっとかのん!?」

かのん「すみれちゃんって本当に美人さんだよね」ギュッ

かのん「可愛くて大好き!」ギュウウウ

すみれ「どうしたのよ急に……」

かのん「急じゃないよ。すみれちゃんのこと、ずっと前から可愛いって思ってた」

かのん「だから、ね……」スッ

すみれ「いいの……? かのんが本当に好きなのは可可のはずでしょ」

かのん「今はみんなのことが好きなんだよ」

かのん「すみれちゃんだって私の彼女なんだから」

すみれ「かのん……」

かのん「すみれちゃんっ……ん、ちゅ……」

すみれ「ちゅる……ん、ぁ……」


2人の口づけが始まる。

いつものかのんちゃんとは思えない強引さだった。

でも、だからこそ私はかのんちゃんの覚悟を感じた。

みんなを幸せにするために選んだ道がこれなんだよね。

それなら、私もかのんちゃんに続かなきゃ……
 
60: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:49:02.79 ID:C9OQSNNy
可可「あ……そんな……」

可可「す、すみれ……」ズキリ

千砂都「可可ちゃん」ズイッ

可可「ちさ……んっ、んん……!?」

千砂都「ちゅ……ちゅるっ……」


かのんちゃんたちの口づけに呆然としていた可可ちゃんの唇を奪う。

こういうことなんだよね、かのんちゃん。


恋「……」ポカン

恋「千砂都……さん……」

恋「……っ!」ハッ


恋「ずるいですよ、千砂都さん。可可さんを独り占めしないでください」ズイッ


そこに恋ちゃんも加わって、2人で可可ちゃんの唇、身体に口づけを落としていった。


千砂都「……」チラッ


かのんちゃんたちに視線をズラせば、2人も濃密に絡み合っていた。

すみれちゃんの肌蹴た衣服の隙間にかのんちゃんが顔を埋め、その肌を愛撫していた。


かのん「ちゅるる……ちゅ……」サワサワ

すみれ「んぁ……かのん……ふぅ……」ビクッ


千砂都「……」


私は可可ちゃんに視線を戻す。


可可「ちさ……と……?」ウルウル

千砂都「可可ちゃん、私たちが気持ちよくしてあげるからね」
 
63: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 22:54:44.54 ID:C9OQSNNy
すっかりみんな衣服を脱ぎ、5人で肌と肌を擦り合わせるこの空間は、異様な香りに包まれていた。

私と恋ちゃんはそれぞれ可可ちゃんの下半身と上半身を攻め続けていた。


可可「あぁ……んふ……ふぁ……」


可可ちゃんの熱を帯びた声が私たちを昂らせる。


可可「ぁ……千砂都、レンレン……私、もう……!」

恋「いいですよ、千砂都さん……」

千砂都「気持ち良くなって」

可可「ああっ……ふぁ……んんぁ……ああああっ!!」ビクビク


私と恋ちゃんの集中攻撃に耐えかね、可可ちゃんの身体が大きくのけ反った。


イカせちゃった。

私たちの彼女を。


ぐったりする可可ちゃんを見つめていると、横からすみれちゃんの聞いたことのない声。


すみれ「あん……はぁ……んぁ……」

かのん「可愛いよ、すみれちゃん……」

すみれ「かのん……ぁ……かのん……っ!」

かのん「すみれちゃん……」

すみれ「ぁ、ダメ……はぁ……いやぁ……んあ……ああっ!!」ビクン


すみれちゃんは激しく痙攣し、かのんちゃんにもたれかかった。

それをしっかり抱きしめるかのんちゃん。


かのん「イっちゃったね、すみれちゃん……」

すみれ「馬鹿……」


恥ずかしそうに目を伏せるすみれちゃん。

そんなすみれちゃんを優しく見つめるかのんちゃんの表情は、心から幸せそうなものだった。
 
65: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 23:03:30.74 ID:C9OQSNNy
その後は5人入り乱れ、相手を交代しながら、みんな夢中でエ チしていた。

かのんちゃんが私を攻めることもあったし、すみれちゃんと可可ちゃんが恋ちゃんを2人で愛撫したりもしていた。


「レンレンとっても可愛いデス……」

「そんなとこ、やめてください……」

「ほら、もっと力抜いて……」

「ちぃちゃんの可愛い声もっと聞かせて」

「ん……ぁ……かのんちゃん……」


みんな疑問がないわけではないだろう。

こんなの正常じゃない。


でも今は余計なことは考えられなかった。

ただただ甘美な空気と昂ぶった気持ちに正直になるしかなかった。


恋人ローテーションを経て、私たちの感覚はとっくに麻痺していたんだ。
 
66: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 23:13:31.22 ID:C9OQSNNy
すみれ「千砂都、最高……ほんと可愛いわね……」

千砂都「はぁ……はぁ……」


気付けば何度目かの絶頂を迎えていた。

荒くなった息をゆっくり整えていると、かのんちゃんが満足そうな笑顔で私たちを見ていることに気付いた。


だけど……


すみれ「ちょっとかのん、まさか自分だけ逃げようってんじゃないでしょうね?」

可可「そうデス。私たちだけ何度もされて、かのんだけまだ攻められていまセン!」

かのん「ええっ!?」ギクッ


かのん「いや、私はいいよー……みんなが気持ちよくなってくれれば満足だからさ」アハハ

恋「そういうわけにはいきません」スクッ

恋「かのんさん散々好き放題したのですから」

千砂都「うん。しっかりお返ししてあげないとね!」ニコッ

かのん「ひぃっ!!」ビクッ

かのん「いやみんなほんとに……私は……」ガクガク

すみれ「かーのーんー?」ニコニコ


かのん「いやあああああああ」
 
67: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 23:18:18.58 ID:C9OQSNNy
4人でかのんちゃんに襲い掛かる。

唇を、乳 を、陰 を。

それぞれが吸い付き、舐め回し、 した。


涙目になりながらイヤイヤと小さく抵抗するかのんちゃん。

そんなかのんちゃんが可愛くて、可愛くて。

私たちは愛を込めてかのんちゃんに触れていく。

かのんちゃんの悲鳴のような嬌声が響く。




4人のことを平等に愛し、5人全員が恋人。

それは4股なんてものじゃない。

この状況に比べたら、普通の4股がどれほど可愛らしく見えることか。


これからは何をするのも5人一緒。

食事も、お出かけも、エ チも。

それは誰にも言えない秘密の仲。

完全に常軌を逸した関係。


それでもみんながかのんちゃんの提案に乗ったのは、これで好きな人と繋がれるかもという欲望と、一方通行の輪から外れることへの恐怖からだったのかもしれない。


こんな関係が長続きするわけがない。

そんなこと、みんな分かりきっていたはずなのに。
 
79: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:08:15.95 ID:A0SMe2SY
続きやります。
 
80: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:11:54.12 ID:A0SMe2SY
数週間後

すみれ「じゃ、また」

千砂都「ういっすー!」

恋「また明日!」

可可「また明日デス!」

かのん「うん、じゃあねー!」


5人での交際は順調に進んでいた。

もう誰を好きで、誰に告白されたかなんて関係ない。

Liella!のみんなが好きで、みんなを同じくらい愛していた。

今日もみんなで思いきり遊んできたんだ。



かのん「ただいまー!」

かのん「〜♪」

ありあ「お姉ちゃん最近機嫌いいねー」

ありあ「彼女でもできたの?」クスッ

かのん「ふふっ、まあねー!」タタッ

ありあ「……」

ありあ「マジで……?」
 
81: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:20:33.56 ID:A0SMe2SY
かのんの部屋

かのん「ふー……」

部屋につくなりベッドに飛び込んだ。


かのん「あー、幸せー!!!!」バサッ


本当に今の私は幸せ者だった。

可可ちゃん、すみれちゃん、恋ちゃん、ちぃちゃん。

大好きな4人みんなが私の恋人だなんて。

恋愛の喜びもドキドキもみんなと分かち合えるなんて。


スマホでみんなと撮った写真を見返す。

かのん「はぁ……みんな可愛いなぁ……」


写真をめくる度現れる私の可愛い恋人たち。

それを見ながら今日のことを思い出していると、下半身がじんと疼いてくるのを感じた。


かのん「ちょっとだけ……」


スマホを置き目をつぶる。

みんなのことを思い浮かべながら、そっと自分の胸を触る。


(恋『かのんさん、触りますね』)

かのん「あ、恋ちゃん……」


恋ちゃんが優しく胸を触ってくれる。

温かくて柔らかい指先の感触。


かのん「恋ちゃんみたいに大きくないよ……」

(恋『私はかのんさんの大好きですよ。とっても可愛くて』モミッ)

かのん「ぁ……」

(恋『それに、かのんさんのここ凄く硬くなってます』)

かのん「ひゃあっ!」ビクッ

かのん「もう恋ちゃんっ!」
 
82: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:26:13.26 ID:A0SMe2SY
(可可『かのん……大好きデス……』)

今度は顔を赤らめた可可ちゃんが私にキスしてくれる。

何度か唇同士を重ねてお互いの体温を確かめ合うと、今度は舌を口内に差し入れてきて。


(可可『かのん……ちゃる……』)

かのん「んはぁ……ぁ……」


可可ちゃんが貪るように私の中を舐め回す。

口内の隅から隅まで犯される感覚。

気持ちよくて脳がとろけちゃいそう……



(千砂都『かのんちゃんのここ、すごく濡れてるよ……』)

かのん「ちぃちゃん……」

(千砂都『それじゃ、いただきます』ペロッ)

かのん「ふあっ!!」ビクッ


貫くような快感に身体が跳ねてしまう。

ちぃちゃんは構わずそこを攻め始める。


かのん「ちぃちゃん、そんなとこ汚いよ……」

(千砂都『かのんちゃんに汚いところなんてないよ』)


ちぃちゃんがねっとりとそこを舐め上げ、ゆっくりキスしてくれた。

それだけで私のそこはさらに水気を帯びていく。
 
83: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:28:43.42 ID:A0SMe2SY
(すみれ『指、入れるわね』)

すみれちゃんの細い指が私の中に侵入する。

口を抑えたものの、我慢しきれず声が漏れてしまう。


かのん「ああっ……すみれちゃ……ああん!」ビクビク

(すみれ『かのんったら本当に可愛いわね』)


かのんちゃんの指の動きは優しくも、確実に私を犯していった。

快感が絶頂へ近づくにつれ、私の息も荒くなっていく。


かのん「はぁ……すみれちゃん……はああ……んふぁ……」

(すみれ『いいわよかのん、ラクになっちゃいなさい』)

かのん「だ、だめすみれちゃん……はぁ……ああ、ああああっ!!」


大好きな4人で頭の中をいっぱいにして、果てる。

この上ない幸福感に身体中が満たされていく。


かのん「はぁ……はぁ……はぁ……」


本当に幸せ。
 
84: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:36:09.57 ID:A0SMe2SY
翌日

学校 練習後

可可(ふー、今日も練習頑張りました)


すみれ「……」テクテク

可可(あれ、すみれ……?)


すみれ「……」フラフラ

すみれ「……」フラッ

可可「すみれ!?」ガシッ


可可「何フラついているのデスカ? 練習でバテてしまったのデスカ?」

すみれ「あ、可可……」ポツリ

すみれ「…………」

可可「え、すみれ……?」


すみれ「あ……ぁ……う……」

すみれ「あああああああああ!!」ドン

可可「!?」ビクッ

可可「どうしたのですか、すみれ……!?」


すみれ「もう……」

すみれ「もう限界よ……」

可可「すみれ……?」


すみれ「4人全員平等に愛せ? 全員が恋人?」

すみれ「1人を好きになったのだって大変だったのに……」

すみれ「もう私、頭がおかしくなりそうよ……!!」

可可「すみれ、大丈夫ですから……しっかりしてくだサイ……」サスサス


すみれ「ねぇ可可、私わからなくなってきちゃった……」

すみれ「私元々誰のことが好きだったんだっけ……?」

すみれ「可可に告白したんだっけ……?」

可可「……っ!!」
 
85: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:42:11.09 ID:A0SMe2SY
可可「違いマス! すみれの好きな人はレンレンだったじゃないデスカ!」ウルッ

可可「すみれには、私が白白したんデス……!」ポロッ

可可「忘れてしまったのデスカ……!」ポロポロ

すみれ「……!」


すみれ「そう、だったわよね……」

すみれ「私ったらそんな大切なこと……」

可可「すみれっ!!」ダキッ


可可「もう抜けましょう、こんなの。終わりにしまショウ……!」ギュッ

すみれ「でもそうしたら、みんながバラバラに……」

可可「そうなったとしても、可可は絶対すみれの傍にいますカラ……!!」ギュッ

すみれ「可可……」

可可「私じゃ、ダメデスカ……?」

すみれ「……」

すみれ「可可……!」ギュッ
 
86: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:47:32.88 ID:A0SMe2SY
恋「あれ、千砂都さん、こんなところでどうされたのですか?」

千砂都「……」

恋「千砂都さん……?」


千砂都「恋……ちゃん……」ポロッ

恋「……!!」

千砂都「恋ちゃん……!!」ポロポロ

恋「千砂都さんっ!」ダキッ


恋「そうですよね、辛かったですよね」

恋「ここまでよく頑張りましたよ、千砂都さん」ギュッ


千砂都「私は……私はかのんちゃんのことが好きなだけだったのに……」

千砂都「だからかのんちゃんの言う事を信じれば……きっとうまくいくって……」

千砂都「でも……」

千砂都「かのんちゃんが他の子とキスしたり、いろんなことしてるのいつも目の前で見せられて……」

千砂都「私の気持ち、もうわかんないよ……!」

千砂都「もうこんなの……耐えられない……!!」ポロポロ

千砂都「私、どうすればいいの……」ポロポロ


恋「…………」

恋「千砂都さん……」

恋「私は今でも千砂都さんのことが好きです」

恋「だからもし、千砂都さんさえ良ければ……」

千砂都「……」
 
87: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:52:47.31 ID:A0SMe2SY
翌日

部室

かのん「みんな、遅くなってごめんね!」バッ

かのん「今日も練習頑張ろうね!」ニコニコ

すみれ「……」

千砂都「……」

かのん「あれ、みんなどうしたの……?」



恋「かのんさん、練習の前にお話があります」

かのん「え、話……?」
 
88: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 21:55:56.04 ID:A0SMe2SY
恋「私たち5人の関係ですが」

恋「今日で終わりにしましょう」

恋「やっぱり何かの間違いだったんです。こんな関係」

かのん「……………………」


かのん「ぇ…………」

かのん「何、言ってるの…………?」


かのん「みんなも……同じ考えなの……?」


可可「はい。可可たちも同じデス」

可可「かのんには申し訳ないのですが、もう終わりにしたいデス……」

かのん「そんな……」


かのん「待ってよ、みんな! 私に悪いところあったら直すから!」

かのん「だからお願い……!」

可可「……っ!」

かのん「ねぇ、すみれちゃん……!」


すみれ「かのん、よく聞いて」

すみれ「私と可可、付き合うことにしたの」

すみれ「だからこの関係は本当におしまい」

かのん「……!?」

かのん「付き合うって……2人で……?」
 
89: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 22:03:07.79 ID:A0SMe2SY
恋「私と千砂都さんもです」

かのん「…………」

かのん「え……?」

千砂都「私たちも付き合うことにしたんだ」

千砂都「本当はかのんちゃんの気持ちに応えたかったけど……」

千砂都「ごめん、私じゃかのんちゃんについて行けないみたい……」グズッ

かのん「ちぃ……ちゃん……?」

千砂都「ごめん、かのんちゃん……」ポロッ

かのん「…………!!」



かのん「そっか……」

かのん「そういうことなんだね……」

かのん「これがみんなの選んだ道なんだ……」

可可「かのん、それでも私たちは……」


かのん「みんな……」

かのん「……お幸せにね!」ニコッ

可可「……っ」


かのん「ごめんね、今日は帰るから……」タタッ

可可「あ……!」


かのん「……」タタタッ


千砂都「かのんちゃん……」


その時の私には、かのんちゃんを追いかけることもできなかった。

それからかのんちゃんは学校に来なくなった。
 
90: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 22:07:43.48 ID:A0SMe2SY
1週間後

かのんの家の前

すみれ「それで、かのんには会えないの……?」

ありあ「すみません。まだお姉ちゃん、体調が……」

可可「そうデスカ……」

恋「……」

ありあ「毎日来ていただいてるのにすみません……」

千砂都「ううん。かのんちゃんに無理させたくないから」

 ◆

恋「今日もかのんさんに会えなかったですね……」

可可「本当に……心配デス……」

千砂都「うん……」

すみれ「明日は無理やりにでも押し入りましょ」

すみれ「それでかのんの顔見てやるんだから」


可可「……」

可可(かのんに会いたいな……)
 
91: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 22:12:49.16 ID:A0SMe2SY
かのんの部屋

ありあ「お姉ちゃん……」カチャッ


かのん「ちぃちゃん、恋ちゃん、可可ちゃん、すみれちゃん、恋ちゃん、ちぃちゃん、すみれちゃん、可可ちゃん」

かのん「恋ちゃん、恋ちゃん、可可ちゃん、ちぃちゃん、すみれちゃん、可可ちゃん、ちぃちゃん、すみれちゃん」

ありあ「…………」


ありあ「お姉ちゃん、電気くらいつけたら……?」

かのん「可可ちゃん、ちぃちゃん、すみれちゃん、すみれちゃん、恋ちゃ……」

かのん「あ、ありあ……」

ありあ「体調はどう……?」

かのん「うん。だいぶよくなってきた……かな……」

ありあ「そう……」


ありあ「しばらく学校は休んで、ゆっくり休もうね!」ニコッ

かのん「うん……」

ありあ「さっきお姉ちゃんの友達来たよ」

ありあ「まだ会えなさそう……?」

かのん「うん……ごめんね……」

ありあ「ううん」


ありあ「ご飯できたらまた来るから」

かのん「うん。ありがとう」
 
92: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 22:16:50.64 ID:A0SMe2SY
かのん「…………」

暗い部屋の中、目をつぶって考える。


大好きな4人の恋人を一度に失った。

こんなに辛いことがこの世界にはあるんだと知った。


あんなに素晴らしい関係がなぜ終わってしまったのだろう。

なぜ別れることになってしまったのだろう。

しかもこんなかたちで……


結局、幸せを感じていたのは私だけで、私はみんなを苦しめていたんだ。


そして、みんなはあの関係の中で立ち止まらなかった。

4人それぞれの幸せを見つけて。

4人それぞれが結ばれたんだ。


それなら。

私も一歩を踏み出さないと。

新しい一歩を。


可可ちゃん、すみれちゃん、恋ちゃん、ちぃちゃん。

4人の笑顔、楽しかった日々。

大切な思い出をぎゅっと抱きしめて。

大好きだよ、みんな。

ずっとずっと一緒にいたかった。


私は一歩を踏み出す。


踏み込んだ衝撃で乗っていた椅子が勢いよく倒れる。

硬いロープが私の首を締め付け、身体を宙吊りにする。


さよなら、大好きなみんな。

おやすみなさい。



おわり
 
93: (もんじゃ) 2022/02/22(火) 22:19:29.03 ID:A0SMe2SY
ありがとうございました。
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1645265972/

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