【SS】穂乃果「カニ」

穂乃果「ん〜美味しいね〜」むしゃむしゃ

にこ「うん。美味しい〜」むしゃむしゃ

ガチャ

真姫「…………」

穂乃果「あっ、真姫ちゃん！」

にこ「おつかれ〜」

真姫「…………うん」
　

穂乃果「どうしたの？元気ないね」

真姫「いや…」

にこ「なによ？何かあったの？」

真姫「えっと…」

穂乃果「大丈夫？あっ、カニ食べる？」

真姫「それよ！」

穂乃果「え？それ？」

真姫「部室入って来たらなんか食べてるから驚いたのよ」
　

穂乃果「なるほど。確かにビックリするよね〜」

にこ「まあね。まさか学校でカニ食べてるとは思わないものね」

真姫「え？」

穂乃果「これね、なんか希ちゃんのご両親が送られて来たらしいんだけど一人じゃ食べきれないって持って来たんだよ」

真姫「うん…希は？」

穂乃果「どっか行っちゃった」
　

真姫「どっか…」

穂乃果「うん、どっか。真姫ちゃんも食べる？美味しいよ〜このカニ」

真姫「いや…ちょっ…」

穂乃果「ほらほら。遠慮しなくて良いから〜。ほら、あ〜ん」

にこ「あんたのじゃないけどね」

真姫「わ、分かった。自分で食べるから」

穂乃果「そう？」
　

真姫「うん」

穂乃果「じゃあ、はい」

真姫「ありがとう」

穂乃果「ふふん。凄い美味しいからビックリするよ」

真姫「……頂きます」パクッ

穂乃果「美味しいでしょ？」

真姫「うん……」

にこ「なによ？美味しくないの？」

真姫「いや…」
　

にこ「なによ？」

真姫「これって…」

穂乃果「ん？」

真姫（普通にカニカマじゃない！）

穂乃果「いや〜やっぱりカニは美味しいなぁ」

真姫「……もしかして私の事試してる？」

穂乃果「え？何を？」
　

真姫「いや…何も…」

穂乃果「そっか」

真姫「あの…二人共…」

穂乃果「いや〜それにしても殻がついて無いから楽でいいよね〜」

にこ「そうね。カニって食べるの面倒くさいからね」

穂乃果「ね〜」
　

真姫「…………」モグモグ

穂乃果「これ何カニなんだろうね？」

にこ「さあ？希も食べてとしか言ってなかったし」

穂乃果「あれかな？タラバガニかな？」

にこ「そうなの？」

穂乃果「知らないけど…なんとなく…」
　

にこ「何となくで言わないでよ」

穂乃果「だってタラバガニしか知らないし。じゃあ、にこちゃん知ってるの？」

にこ「え？毛ガニとか？」

穂乃果「毛付いてないじゃん」

にこ「バカね、殻に付いてるんでしょ普通」

真姫「…………」
　

穂乃果「あ〜真姫ちゃん分かる？」

真姫「え？何が？」

穂乃果「だから〜これが何のカニかだよ」

真姫「えっと…」

にこ「なによ？普段食通ぶってるくせに分からないの？」

真姫「食通ぶった事なんて一度もないわよ」
　

真姫（くっ…なんでカニとカニカマの区別がつかない人にこんな事言われなきゃならないのよ。パッと見で分かるじゃない）

にこ「何よ？結局分からないの？」

真姫「あのね！これは…」

穂乃果「にこちゃん。真姫ちゃんはきっと超高級のカニしか食べた事ないんだよ。だから普通の種類のカニと分からないんだよ」

にこ「普通じゃないカニって何よ？」

穂乃果「なんか…まだ発見されてない様な…」
　

にこ「発見されてないのに何で真姫が食べれるのよ」

穂乃果「それは…財力に物を言わせてみたいな？ねえ？」

真姫「そんな訳ないでしょ！！！」

穂乃果「だよね〜。まあ、何ガニでもいいじゃん。美味しいんだからさ」

にこ「あんたが言い出したんだけどね」
　

穂乃果「えへへ〜」

にこ「まあ、でも確かに美味しければいいか」

真姫（そうね。二人が喜んで食べてるんだし別にいっか）

穂乃果「真姫ちゃん美味しい？」

真姫「うん…美味しい」
　

穂乃果「美味しいのが一番だね〜」

真姫「そうね」

にこ「いつだったかな……小さい頃…一回だけ家族でカニを食べたのよね…」

穂乃果「そうなの？」
　

にこ「うん。ママが貰って来てね。それまでカニなんて食べた事なかったからさ…全然食べ方とかも分からなくてさ。凄い嬉しかったなぁ」

穂乃果「そうなんだ」　

にこ「うん…………アレ？」

穂乃果「どうしたの？」
　

にこ「カニ…こんな感じだったっけ？」

穂乃果「え？」

真姫「！！？」

にこ「なんか…記憶と違う様な…」

真姫「にこちゃん」

にこ「なんか…何かなぁ…」
　

穂乃果「にこちゃん…」

にこ「ん？」

穂乃果「気のせいだよ」

にこ「え？」

真姫「え？」

穂乃果「それかさ、前に食べたカニは種類が違ったんだよ」

にこ「あ〜なるほど」
　

真姫「………納得した」

穂乃果「あ〜でも私も思い出すな〜」

にこ「あんたもカニの思い出あるの？」

穂乃果「子供の頃にテレビでカニ特集やっててさ」

にこ「へ〜」

穂乃果「それ見てカニ食べたいって騒いだんだ」

にこ「お子ちゃまね」

穂乃果「実際に子供だったからね。そしたらさ、次の日お母さんが買って来てくれて」

にこ「カニを？え？カニを？」
　

穂乃果「と思うじゃん？」

にこ「うん」

穂乃果「カニじゃなくてカニカマ買って来てこれで我慢しなさいって。も〜子供だと思ってさ」

真姫「は？」

にこ「何よそれ。じゃあカニ食べた事ないの？」

穂乃果「あるよ」

にこ「ああ…あるのね」
　

真姫「ちょっと待って」

穂乃果「どうしたの？」

真姫「それでどうしたの？」

穂乃果「どうしたって？」

真姫「いや…だから…カニカマ食べたの？」

穂乃果「食べたよ。せっかく買って来たんだし」

真姫「どうだった？」

穂乃果「何が？」

真姫「本物のカニと比べてどうだったの？」

穂乃果「な、何で？」

真姫「興味本位よ！！」

穂乃果「え〜…いや…まあ美味しかったけど。やっぱり本物のカニとは全然違うね」

真姫「す、凄い…」

穂乃果「え？そんなに凄い？カニとカニカマの区別つくのが？」

真姫（凄い味音痴なんだ…それかバカなのか…）
　

穂乃果「えへへ。なんか真姫ちゃんに褒められた」

にこ「良かったね」

真姫（どっちなのかしら？どっちでも、ある意味幸せなのかもしれない。だってカニカマで満足出来るんだから）

ガチャ

絵里「ごめん。遅くなりました…ってあれ？これだけ？」

真姫「絵里…」

穂乃果「絵里ちゃん！」

絵里「え？何してるの？」
　

穂乃果「カニ食べてるの」

絵里「えっと…なんで？」

にこ「また説明するの？」

穂乃果「希ちゃんから聞いてないんだね」

絵里「希？希が関係あるの？」

穂乃果「希ちゃんからの差し入れだよ」

絵里「差し入れに…カニ？」
　

穂乃果「うん。カニ」

絵里「カニ…」

穂乃果「何か変カニ？」

にこ「うわっ…親父ギャグ」

絵里「だって普通学校でカニ食べないでしょ？」

真姫（流石絵里…普通の事を言うわね）

絵里「って言うかコレ…本当にカニ？」

穂乃果「え？」
　

真姫（もう絵里来たし考えるのやめよう）

絵里「なんかカニっぽいけど違う様な…」

穂乃果「日本のカニだからじゃない？」

絵里「そう言う事？」

真姫（え？絵里？あっ…もしかして絵里ってカニカマを知らない？海外育ちだから？今や世界中でカニカマが食べられてるのに？いや、単純に絵里が食べた事ないだけかも。結構世間ズレしてるし）
　

絵里「でも…なんか違和感が…」

穂乃果「気のせいだよ」

絵里「でも…」

穂乃果「普通学校でカニなんて食べないからね〜違和感もあるよね」

絵里「そう言う事じゃない様な…」

にこ「気のせいよ、気のせい」

絵里「そうなのかしら」
　

穂乃果「まあ絵里ちゃんも食べなよ。美味しいよ。はい」

絵里「ありがと…いただきます…」パクッ

穂乃果「美味しい？」

絵里「美味しい…けど…」

穂乃果「けど？」

絵里「言っていい？」

にこ「何よその言い方。言いたい事あるなら言いなさいよ」
　

絵里「これ…カニカマって事ない？」

穂乃果「え？」

にこ「カニカマ？」

絵里「うん…私は食べた事はないんだけど…」

穂乃果「あはははは。絵里ちゃん面白い事言うね〜カニカマは全然味が違うってば〜あ〜おかしい」

絵里「そ、そう？」

にこ「いや…待って…」
　

穂乃果「え？」

にこ「やっぱり…にこも違和感が…」

穂乃果「ちょ、ちょっとやめてよ。さっき気のせいだって言って納得してたじゃん」

にこ「それはあんたが気のせいだって言うから」

穂乃果「も〜冗談キツいよ。じゃあ何？私達はカニカマをカニだと思い込んで食べてたって言いたいの？」

にこ「その可能性もあるかなって」

穂乃果「それじゃあバカみたいな話し…ね、ねえ？真姫ちゃんもなんか言ってあげてよ」
　

真姫「いいの？」

穂乃果「いいよいいよ。言ってあげて！」

真姫「これどう見たってカニカマでしょ？」

穂乃果「ほら〜どう見たってカニカマだって！………え？」

真姫「だからカニカマだって言ってるの。どう見たってそうじゃない」

絵里「やっぱりそうよね？」
　

穂乃果「じ、冗談…」

真姫「冗談じゃないけど」

にこ「………あんたはいつから気付いてたの？」

真姫「最初からだけど」
　

穂乃果「最初から？」

にこ「じゃあ何で言わないのよ！！！」

真姫「言おうとしたわよ？でも人の話し聞かなかったじゃない」

にこ「そんな事は…」

真姫「そんな事あるのよ」
　

穂乃果「ずっと笑ってたんだ。カニカマをカニだって喜んで食べてる私達を見て」

真姫「別に笑ってなんかないわよ。ただ…」

穂乃果「ただ？」

真姫「バカだなとは思ってた」

穂乃果「なっ！！？」

にこ「バカ…」
　

穂乃果「そんな事思ってたんだ」

真姫「うん。だって普通間違えないし」

穂乃果「普通って…真姫ちゃんはしょっちゅうカニを食べれるかもしれないけど私達はカニなんて滅多に食べれないんだよ。だから…」

真姫「別に私だってカニなんて滅多に食べないわよ」

穂乃果「え？そうなの？お金持ちなのに？」

真姫「どう言うイメージよ」
　

穂乃果「だってカニとか高級だし」

真姫「この際だから言っておくけど」

穂乃果「な、なに？」

真姫「カニって言うほど美味しい？」

穂乃果「え？」

にこ「え？」

絵里「あ〜…」
　

穂乃果「それは…美味しに決まってるじゃん。ねえ？」

にこ「え？う、うん」

真姫「そう。正直私はそんなに美味しいと思わないわ」

穂乃果「そんな事は…だってメチャメチャ高いでしょ？」

真姫「高いからって美味しい訳じゃないでしょ？」

穂乃果「え？そうなの？」

にこ「さ、さあ」
　

穂乃果「だって…高いのってだいたい美味しいよね？」

にこ「えっ……と…うん…」

絵里「安くて美味しい物も沢山あると思うけど」

穂乃果「そりゃあ…まあ…あるけど…」

真姫「高い物は美味しいって別に否定はしないけど。私はカニにそこまでの価値を見出せないわ」
　

にこ「じゃあ何よ？さっき美味しいって言って食べてたのは嘘だっての？」

真姫「嘘なんか吐いてないわよ」

にこ「はあ？どう言う事よ」

真姫「だってこれカニじゃないし」

穂乃果「ん？」

真姫「カニカマだもの」

穂乃果「あ……なるほど」




絵里「あっ…それで良いんだ」
　

おわり
　

世の中にはカニよりカニカマの方が好きな人も居ます