【長編SS】真姫(25)「え、海未ちゃん恋人できたの?」

真姫ーまきー物憂げな SS


1: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:04:59.48 ID:tnL71mVw
海未「は、はい。 実はその……せ、先日……」

真姫「そうなん、だ」

海未「……」

真姫「……知らなかったわ」

海未「あ、そ、そうだと思います。 私も、初めて真姫に言いましたから……」

真姫「……そう」

海未「……」

真姫「えー……どんな人、なの?」

海未「そ、そうですね……た、頼りがいのあって、えっと……あ、年上の、方です。 それで、器用な、感じで……」

真姫「へぇ……」

海未「……すいません、自ら切り出したことなのに、なんだか焦ってしまって」

真姫「……別に。 というか、私とのルームシェアどうするの? 事情があれなら……」

海未「あっ、いえ! ま、まだ付き合いたてですし、その辺は……」

真姫「じゃあもう少しルームシェアは続けるって形でいいのね?」

海未「は、はい。 そうしていただけると、ありがたいです……」

真姫「……分かったわ。 ごちそうさま」スッ

海未「あ、はい……」

バタン
 
4: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:12:17.19 ID:tnL71mVw


真姫「……」

真姫「……」

真姫「……っ」

真姫(えええぇ……!? なによ恋人って……!?)

真姫「っ、初耳なんですけど……」ボソッ

真姫(……あの、海未ちゃんが恋人……!?)

真姫(ずっと大学の時から一緒に暮らしてきて、そんなこと一言も言わなかったくせに……!)

真姫(……抜けがけされた、というか、びっくりというか、)

真姫(まあ、半恋人みたいなものだった、し……)

真姫(……今となっては、勝手な思い込みだったんだけどね)

真姫(というか……恋人って、性別どっち、なんだろう……そもそも海未ちゃんって……どっち好きになるの……?)

真姫(どんな人?って聞いた時……なんだか海未ちゃんどもってたし……女性、かしら……)

真姫(……って、そんなこと、気にしてもしょうがないし)

真姫(……少し寂しい、かも)

真姫(……)

真姫(寂しい、というか……これは……)

真姫(雛が親鳥を離れていく感じね……)

真姫(……あー、恋人、恋人……ね)
 
5: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:19:16.23 ID:tnL71mVw


真姫「……」コソコソ

海未「真姫、出かけるのですか?」

真姫「えっ! あ、あー……え、ええ。 ちょっと……コンビニ、まで……」

真姫(なんとなく、海未ちゃんと顔合わせづらいし……)

海未「えっ、コンビニ……? 『コンビニの食材は全部体に悪いのよ。 太るし』と、いつも鼻高々に言っているのに……!」

真姫「そ、そういう気分なのよ……」

海未「は、はあ……」

真姫(というか鼻高々ってなに……)

海未「……ふふふ」

真姫「な、なによ」

海未「私がこの前買ってきたからファ〇チキ、気に入ってくれたのですか?」

真姫「……もうそういうことでいいわよ。 買ってくるから」

海未「私の分もお願いしますね」

真姫「はいはい」

海未「あ、あと、トイレットペーパーが切れていたので、暇があれば……」

真姫「トイレットペーパー、ね。 分かったわ」

海未「ありがとうございます。 いってらっしゃい」

真姫「……いってきます」

バタン
 
7: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:26:09.14 ID:tnL71mVw


アリガトウゴザイッシター

真姫「……」

真姫(……ほんとに久々にコンビニ行ったかも)

真姫(ファミチキ……って、この丸いお団子みたいなのがささってる串ので合ってたかしら……)

真姫(なぜか商品名が提示してなかったから直感で買っちゃったけど……)

真姫(トイレットペーパー……は、コンビニにもあったけど、海未ちゃんに口うるさくスーパーで買えって言われてる、ものね……)

真姫(……海未ちゃんと暮らし始めるまで、コンビニとスーパーの商品の値段の違いとか、いろいろ、知らなかった……)

真姫(……実は、私の方が海未ちゃんに雛って思われてたりね)

真姫「……はぁ」


「……あ! 真姫ちゃん!」


真姫「……? あっ」

ことり「久しぶり~!」

真姫「ことり……」

ことり「ほんとに久しぶりだね! 元気だった?」

真姫「……まあまあ、ね」

ことり「あれ……うーん……なんか、元気ない、よね?」

真姫「え!? そ、そんなこと……!」
 
8: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:35:18.74 ID:tnL71mVw


ことり「自由に座ってね~」

真姫「あ、ありがとう……」

真姫「……」

真姫(あれ……なんでことりの家に来ちゃったの)

真姫「……」キョロキョロ

真姫(と、というか、なんか……いい匂いがして落ち着かない……)

ことり「……散らかってるでしょ?」

真姫「え!? そ、そんなこと……」

真姫(や、やば……ほんとにそわそわしてただけだし……勘違いさせたかも……)

ことり「うーん、ちゃんと片付けるんだけどいつの間にか汚くなるんだよぉ」

真姫「そ、そうなの……十分綺麗だと思う、けど」

真姫(……でも、確かに)チラッ

真姫(綺麗といえば綺麗だけど……)

真姫(ことりの家にしては……所々……服とか、くしゃってなってたり……)

ことり「えへへ、そんなに気になるならお部屋探索してもいいよ?」

真姫「あ、っ! ち、違うの。 ちょっと……緊張しちゃって……」

ことり「えー、なんで緊張するの? 高校生の時は仲良しだったのになぁ……」

真姫「い、いや、緊張というか……久々に会って……その、」

ことり「分かってるよぉ。 大丈夫」

真姫「……」

真姫(……読めない)
 
11: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:44:05.95 ID:tnL71mVw
ことり「それでー……なんで元気ないの?」

真姫「……え、元気、ない?」

ことり「ないよー。 ないないっ。 顔色もちょっと悪いような……」スッ

真姫「!」ビクッ

ことり「ううんー、熱はないなぁ」

真姫「わ、私の、ひ、額汗ばんでない?」

ことり「全然?」

真姫「そ、そう……」

真姫(ことりの手、あったかい……)

ことり「熱がないってことは、悩み?」

真姫「……悩み、というか」

ことり「?」

真姫(……ほんと、悩み、というか、自分が勝手に気にしてるだけのことだし)

ことり「気になるなぁ」

真姫(……そう、だ。 ことり……ことりは……!? 恋人、いるの……!?)キッ

ことり「……?」

真姫(こ、こんなに可愛いんだし……面倒見もいいし……絶対、いる、わよね……?)

真姫(も、もしかしたら私よりも何倍も先のこと、経験してたり、して……)ゴクッ

ことり「あ、あの……真姫ちゃん?」

真姫(でも……もし、恋人がいなかったら……)チラッ

真姫(……つ、付き合い、たい、かも)

真姫「あ、あの、ことり……!」ガタッ

ことり「……!?」

真姫「わ、私……」


ピンポーン

ことり「あ、誰かきた……宅急便かも。 ご、ごめんね、ちょっと……」

真姫「……ええ」

真姫(……タイミング)
 
13: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:52:56.11 ID:tnL71mVw
真姫「……」

真姫(あー……完全に、馬鹿なことしかけた……)

真姫(いくら、ことりが可愛いからって……いきなり告白とか……)

真姫(チャイムがなってなかったら……かえってドン引きされるところだったかも……)

真姫(よかった、冷静に、なれて……)

真姫(……というか、海未ちゃんに恋人できたからって、)

真姫(……焦りすぎ)

ガチャッ

ことり「真姫ちゃーん、ごめんお待たせっ」

真姫「あ、い、いいのよ」

真姫(……あれ?)

真姫「……ことり、宅急便……じゃなかったの?」

ことり「……へ?」

真姫「いや……荷物、もってないし」

ことり「あ、えーと……うーん……えへへ、うん……」

真姫「……」

ことり「……う、ん」

真姫(……まさか)

ことり「そ、その、さっき来たのは、ね……恋人、っていうか……今、半同棲状態の人、で……」

真姫「……」

ことり「え、へへ、忘れ物したから、取りに来たんだって……だけど、私が見る限り、家にはなかったから、もっかい玄関でかばん確認したら……あって……///」

真姫「……へぇ」

ことり「な、なんか、こういうこと後輩の前で話すの照れるね……!」

真姫「……そうね」
 
15: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 19:59:35.96 ID:tnL71mVw


真姫「……」トボトボ

真姫(なんなのかしら……)

真姫(……フられてないのに、2回失恋した気分ね)

真姫(……いいけど)

真姫(……そうよ、いいのよ。 私は、多分、お医者さんとかと、付き合って、結婚するのよ)

真姫(……まあ、1回も告白なんてされたことないけど)

真姫(というか、なんで、ことりと、海未ちゃんに固執してるのよ……私……)

真姫「……」

真姫(……あー、帰りたくない)

真姫(……泣きそう)


「……真姫?」


真姫「っ!?」ビクッ

絵里「ご、ごめんなさい……驚かせたのなら謝るわ」

真姫「え、エリー……?」

絵里「でもあまりにもボーッとしてるから……」

真姫「……」

絵里「それよりも……久しぶりね。 最近μ’sのみんなと会えてないから、真姫と会えて嬉しいわ」

真姫「……そう」

絵里「……?」

真姫(どうせエリーも恋人いるんでしょ……)ジロジロ

絵里「……? ? ?」
 
18: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 20:06:57.19 ID:tnL71mVw


絵里「真姫、好きなもの頼んでいいわよ」

真姫「……」

絵里「まーきっ……もう、すいません。 先にお冷だけもらってもいいかしら」

店員「かしこまりました」

絵里「……はぁ」

真姫「……」

絵里「真姫!」

真姫「!」ビクッ

絵里「……」

真姫「なっ、なによ」

絵里「さすがに寂しいから……無視しないでほしいのだけれど?」

真姫「……それなら最初から食事なんて誘わないでくれる?」

絵里「久しぶりに会った後輩が、何を言っても上の空で、ぼーっとしてたら食事にも誘いたくなるわよ」

真姫「……余計なお世話」

絵里「真姫……はぁ。 あなたって昔から私にだけはあたり強いのよね」

真姫「……別に」

絵里「それだけ頼りやすい先輩、ってことでいいのかしら?」

真姫「……めんどくさいからそれでいい」
 
19: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 20:14:28.40 ID:tnL71mVw
絵里「じゃあ普通にお話しましょうか。 最近どう?」

真姫「……普通」

絵里「普通に上手くやってるの? 普通に上手くいってないの?」

真姫「……ああもう、そんなに言うならエリーから現状話せば?」

絵里「私? そうね……仕事もプライベートも概ね順調ってところかしら」

真姫「……ふっ」

絵里「な、なに?」

真姫「……清々しいほどにムカつく」

絵里「え、ええ……?」

真姫「まあ、いいけど」

絵里「ということは、真姫は上手くいってないのかしら?」

真姫「……ちょっと、今日、ついてなかった、だけよ」

絵里「ふぅん……」

店員「お待たせいたしました。 ……ご注文お決まりになりましたら、お呼びください」

絵里「ありがとうございます」

真姫「……」

絵里「さて、なにを注文しましょうか」

真姫「……」

絵里「お腹ペコペコなのよねー」

真姫「……私トマトパスタ」

絵里「ふふっ。 言うと思った」
 
22: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 20:26:48.65 ID:tnL71mVw


真姫「え……じゃあエリー、この間までロシアにいたってこと?」

絵里「えぇ。 日本に帰ってこれたのはつい最近ね」

真姫「……」

絵里「仕事で行っていたのだけれど……ロシアのおばあさまにも一度あいさつしたかったし、丁度いいといえばよかったわ」

真姫「へぇ……」

絵里「真姫は大学卒業後どうしたの?」

真姫「普通に……病院勤務よ」

絵里「ハラショー! すごいじゃない」

真姫「……親のコネよ」

絵里「でも真姫は頭いいでしょう? コネ、というよりは、真姫がそれを与えられるほど賢い人間になったってことでしょう?」

真姫「……物は言いようね」

絵里「素直じゃないんだから……」

真姫「……」

絵里「そういえば海未は? 確か、あなた達一緒に……」

真姫「……海未ちゃんは家を継ぎながら作詞家やってるわよ」

絵里「作詞家……!? すごいわね……!」

真姫「μ’sの時から海未ちゃん才能あったし……でも、その進路を選んだのは私も意外だと思ったわ」

絵里「どんな歌詞つくってるの?」

真姫「なんか……アイドルの曲とか依頼されることが多いみたい」

絵里「アイドル……そうね。 海未って意外と乙女だものね」

真姫「本人曰く嫌々らしいわ」

絵里「ふふ……」
 
23: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 20:43:57.75 ID:tnL71mVw
絵里「真姫は仕事に満足してる?」

真姫「……それなりには」

絵里「μ’sというアイドルグループを結成して活動したことは、私たちの人生において、とっても大きな出来事よね?」

真姫「いきなりなによ……まあ、そうね」

絵里「高校卒業して……みんなそれぞれ道を歩んでる」

真姫「……」

絵里「私が知ってる範囲だけれど……海未は作詞家になって……にこはそれこそアイドルしてるわ。 希は芸能事務所に内定が決まって、ことりはデザイナー」

真姫「……」

絵里「μ’sで培ったことを職にしてるメンバーも多いわ」

真姫「……」

絵里「真姫の進んだ道が決して誤ってるとか、そういう訳ではないのだけれど……真姫は、アイドルとは全く無縁の職に就いてる」

真姫「……」

絵里「真姫はほんとに満足してる?」

真姫「……してるわよ。 もとから、高校卒業したら、アイドルは辞めるつもりだったんだから」

絵里「そう。 それならよかった」

真姫「エリーこそ、アイドルとは無縁でしょ」

絵里「私がアイドルって柄かしら?」

真姫「知らないわよ……」

絵里「ふふ。 でも私は、今幸せよ」

真姫「……」

絵里「こうしてメンバーに会えるし……そうね、私がμ’sで得たのは、1番はメンバーとの信頼かも」

真姫「……」

絵里「だから……真姫が元気ないと心配なの。 何があったか……話してくれるかしら?」

真姫「……」
 
24: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 20:52:14.35 ID:tnL71mVw
真姫「た、例えばよ? 例えば……」

絵里「ええ」

真姫「……エリーは」

絵里「ええ」

真姫「……好きな人、というか、気になってる人が、いて」

絵里「……ええ」

真姫「……2人」

絵里「え?」

真姫「……気になってる人が、2人」

絵里「……二股?」

真姫「どっちも付き合ってないんだから二股なんて素敵なものじゃないわよ!」

絵里「お、落ち着いて。 二股は素敵なことではないわ……」

真姫「そ、そうね……それでね、その2人に……どっちも、恋人がいたら、どう、する」

絵里「……」

真姫「……」

絵里「……ご、ごめんなさい」

真姫「な、なんで謝るのよ!」

絵里「な、なんだか真姫の心の傷をえぐってしまったようで……!」

真姫「た、例えばって言ってるでしょ!? その表情やめなさいよ!」

絵里「……そ、そうね。 私なら……」

真姫「……」

絵里「……新しく、好きな人を作ることに、専念する、かも」

真姫「新しく……」

絵里「2人好きな人がいて、どっちも恋人がいたら……って、割と稀なケースなきもするけど……やっぱり、何人いても好きな人は好きな人だから……とりあえず、その人の幸せは願わなきゃいけないと思うわ」

真姫「……そう、よね。 やっぱ、り」

絵里「……そんなに簡単に、諦められないとは思うけど」

真姫「……?」
 
26: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 21:02:11.86 ID:tnL71mVw


真姫「え、っと……エリー、ごちそうさまでした」

絵里「ええ。 また機会があれば食事しましょう」

真姫「というか……タクシー代まで、出させて……ごめんなさい。 それにあの後お酒も……」

絵里「いいのよ。 お酒飲みたいって言い出したの私の方だし。それに、後輩に出させるのはエリチカのプライドか許さないわ」

真姫(相当酔ってるわね……)

真姫「……はいはい。 ありがとね」

絵里「あ、真姫」

真姫「?」

絵里「そこ、服……ちょっとほつれてる」

真姫「あ、どこ……?」

絵里「こっち……」

真姫「えー……?」

絵里「……」グイッ

真姫「っ!?」

絵里「……真姫」ギュッ

真姫「……えっ」

絵里「……」ギュゥゥ

真姫「あっ、え……あ、ち、ちょっ、と……タクシーの運転手さん困ってるから!」バッ

絵里「あ……ごめんなさい」

真姫「……も、もう」

絵里「……じゃあ、おやすみなさい」

真姫「……お、やすみ」

バタン

ブロロロロ…

真姫「……」

真姫「……」

真姫(……な、なんかめっちゃ抱きしめられたんだけど……!?///)ドキドキドキ
 
27: (SB-iPhone) 2017/10/26(木) 21:08:18.84 ID:tnL71mVw


ガチャッ

真姫「た、だいま……」

海未「真姫!」

真姫「……あ」

海未「心配しました……! こんなに遅くなるなら連絡してください! 連絡以前に、ケータイも置いて……!」

真姫「……あ、れ?」

真姫(そうだ……私財布しか……)

真姫(そもそも……なんか買うつもりで……フ〇ミチキと……あ、トイレットペーパー買い忘れてた……)

真姫(あーだめ……お酒でクラクラするし、眠い)

海未「真姫! 聞いているのですか!?」

真姫「うーん……ごめん……トイレットペーパー買い忘れた……」

海未「そうじゃなくて……!」

真姫「今日は、寝る……はい、これ、ファミ〇キ……」

海未「あ、ど、どうも……」

真姫「……じゃ、あ、おやすみ」フラフラ

パタン

海未「……」

海未「はぁ、まったく……」

海未「……?」ガサガサ

海未(これ……)


海未(……つくねじゃないですか)
 
48: (SB-iPhone) 2017/10/27(金) 22:00:37.25 ID:Tr5mZPcC


チュンチュン…

「……き、」


「ま、……き……」


真姫「……んん、」モゾッ

海未「まーき!」

真姫「、っ!?」ビクッ

海未「もう10時ですよ!」

真姫「えぇ……今日私休みだし……もう少し寝かせなさいよ……」

海未「ダメです。 休みだからこそきちんと起きて、好きなことを楽しむべきでしょう?」

真姫「……うる、さい」

海未「毛布取りますよー」バッ

真姫「ちょっと! 寒いんだけど!」

海未「ふふふ。 今日は天気がいいので、毛布を干すのにはもってこいですね」

真姫「もう、この前も海未ちゃん干してたし……」

海未「そうそう。 真姫、昨日お風呂入っていないでしょう? シャワーだけでも浴びたらどうです? スッキリしますよ」

真姫「……そうする」

海未「タオルはもう置いてありますから、入っちゃってください。 お風呂掃除が今日はまだなので」

真姫「……ええ」

海未「お風呂から上がったら……一緒に映画観ませんか?」

真姫「……分かった」

海未「では、行ってらっしゃい」

真姫「……はいはい」
 
49: (SB-iPhone) 2017/10/27(金) 22:15:02.09 ID:Tr5mZPcC


ザァァァ…

真姫「……」

真姫(……普通に話せるものね、案外)

真姫(まあ……あの鈍い子が、私が思い悩んでるだなんて考えもしないでしょうけど……)

真姫(……はー、嫌になる)

真姫(というか海未ちゃん恋人いるのに……私とルームシェアなんかしてていいわけ?)

真姫(絶対相手はよく思わないでしょ……)

真姫(い、いや……もし海未ちゃんの相手が男性だったら別になんとも思わないのかしら……)

真姫(……海未ちゃんの、相手)

真姫(気になる……)

ガチャッ

海未「真姫」

真姫「きゃぁっ!」

海未「……あ、す、すいません。 シャンプーがもう少しでなくなりそうだったので……」

真姫「あ、そ、そう」

海未「こ、ここに置いておきますね……」

真姫「あ、ありがと……」

パタン

真姫「……」

真姫(……ビックリした)

真姫(そうね……もし相手が女性だとしたら……私と海未ちゃんが、一緒に住んでるの……いや、よね……)

真姫(それこそ、私とシャンプーまで同じの使ってるし……)

真姫(私が逆の立場だったら絶対嫌だし……)

真姫(……でもでもでも、相手の性別わかんないし……!)

真姫(あああ……モヤモヤする……!)
 
50: (SB-iPhone) 2017/10/27(金) 22:51:03.31 ID:Tr5mZPcC


海未「……はい。 コーヒー入りましたよ」

真姫「……ありがと。 作詞、行き詰まってるの?」

海未「あ……は、はい。 実は……」

真姫「海未ちゃんって作詞に困ったらいつも映画観るわよね」

海未「なんとなくアイデアが浮かぶような気がして……すいません。 毎回付き合わせてしまって」

真姫「い、いいのよ。 私もその……割と、映画観てゆっくりするの好きだし」

海未「……! ほ、ほんとですか?」

真姫「え? ……ええ」

海未「う、嬉しいです……」

真姫「……」

真姫(……可愛い)

真姫(……っ、あー、ダメダメダメ。 海未ちゃんは人妻……人妻……違う、人妻じゃなくて……恋人持ち……)

海未「う、嬉しいものですね、そうやって、真姫が言ってくれるのは……」

真姫「そ、そう?」

海未「え、映画観ましょうか……」

真姫「え、ええ……」

海未「えーと……DVD……」

真姫「……」

真姫「……」ゴクリ

真姫「……海未ちゃん、のさぁ、」

海未「はい?」

真姫「こ、恋人、って……男の人? 女の人?」
 
51: (SB-iPhone) 2017/10/27(金) 22:57:03.67 ID:Tr5mZPcC
海未「……え?」

真姫「な、なんとなく! なんとなくね……」

真姫(もっといい聞き方あったでしょ私……)

海未「……えっ、と、」

真姫「……」ドキドキ

海未「そう、ですね……」

真姫「……」ドキドキドキ

海未「……女性、ですね」

真姫「……!!!!!!」


真姫(じょ、せい……!)


真姫(女性……!!!)



真姫(女性……!!!!!!!!)


海未「……真姫?」

真姫「はっはぁー……」

海未「……?」

真姫(女性……!)
 
52: (SB-iPhone) 2017/10/27(金) 23:43:52.87 ID:Tr5mZPcC
海未「な、なんです、いきなり……」

真姫「あ、ちょ、ちょっと気になっただけよ……」

海未「そ、そうですか……」

真姫「え、えっと、女性……ってことは、海未ちゃん、は……えっと……」

真姫(せっかく恋人の話題になったんだから……この会話は終わらせない……!)

海未「私、は……?」

真姫「え、っと……!」

海未「はい……」

真姫「……れっ、レズなの?」

真姫(あ、あああ……またこんな聞き方……)

海未「……そう、ですね。 私は……れ、……うーん……よく、わからないのですが……」

真姫「そっ、そうよね! そんなこと急に言われても分からないわよね!」

海未「はあ……」

真姫「っ、で、誰なの?」

海未「はい?」

真姫「私の知ってる人?」

海未「……私の恋人ですか?」

真姫「あ、当たり前でしょ」

海未「……知って、ます」

真姫「だ、誰!?」

海未「えっ、と……」

真姫「ええ!」


海未「……にっ、にこ、です」


真姫「……」

真姫「……」

真姫「……は?」
 
54: (SB-iPhone) 2017/10/27(金) 23:54:32.66 ID:Tr5mZPcC


絵里『……で、泣きながら私のところに電話をかけに来たと』

真姫「うるさいわね! 泣いてないわよっ!」

絵里『お、落ち着きましょう? とりあえず』

真姫「落ち着いてるわよ!」

絵里『そ、そう……』

真姫「……た、ただ、ちょっと、頭が追いつかない、だけよ」

真姫(まさか相手がにこちゃんだなんて……)

絵里『うーん……そうね。 私的にも、にこが海未と付き合っているのは驚き桃の木山椒の木、といったところだけれど……別にいいんじゃない?』

真姫「……よくないわよ」

絵里『……? なんでよくないのかしら?』

真姫「……べ、別に」

真姫(ちょっと海未ちゃんのこと気になってたから、とか言えないし……)

真姫(……そういえば私、ことりのこともちょっと、好きになりかけて、たような)

真姫(それに……昨日の帰り際……)

真姫(エリー、に……)

真姫「……っ、うぁぁぁぁ、ぅ! もう!」

絵里『ま、真姫?』

真姫(どうせエリーのことだから覚えてないんでしょうけど!)

真姫(覚えてたとしてもなんとも思ってないんでしょうけど!)

真姫(てか私何人のこと好きになってんの!?)

真姫「うぅー……」

絵里『お、落ち着きましょう? ね? ね?』

真姫「うるさい!」

絵里『……ご、ごめんなさい』

真姫「もう……!」
 
56: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 00:13:10.69 ID:Q+nA17Lr
絵里『思うところはあるだろうけれど……真姫が伝えたいことがあるのなら、海未に伝えてみたら?』

真姫「ふっ、簡単に言ってくれるわ……」

絵里『えぇ……?』

真姫(エリーみたいな思考の持ち主になりたかった……)

絵里『……え? ああ、ちょっと待って、今話してる途中なの』

真姫「……? エリー? どうしたの?」

絵里『あ……いや、ちょっと……こっちの都合』

真姫(……? よく聞いたら電話越しにいるの、エリーだけじゃ、ない……?)

真姫「……誰かといるなら、また掛け直す、けど」

絵里『あー、大丈夫、よ』

真姫「ほんとに? ……てか、誰といるのよ」

絵里『……うーん』

真姫「……」

絵里『……友達、かしら』

真姫「そ、そう」

真姫(かしら、ってなによ……)

真姫「……はぁ、まあいいわ。 そもそもエリーとそんなに話すことないし」

絵里『……ふふ、ひどいわね』

真姫「ひどくて結構よ。 じゃあ……またね」

絵里『ええ。 いつでも掛けて』

ピッ
 
58: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 00:25:18.87 ID:Q+nA17Lr


絵里「……はぁ」

絵里(ふふふ……真姫って……)

絵里(なんか、こう……構いたくなっちゃうのよね)

絵里(……こういうのが煙たがられる原因かしら)

ことり「……」

絵里「……ああ、ことり。 電話終わったから来てもいいわよ」

ことり「……」

絵里「ことり?」

ことり「……ことりのいる前では他の子と電話しちゃダメって言ってたのに」

絵里「あ……そ、そうだったわね。 ごめんなさい」

絵里(すっかり忘れてたわ……)

ことり「それに、なに、友達って……」

絵里「え?」

ことり「友達じゃなくて、ことりは絵里ちゃんの恋人でしょ? なんで嘘ついたの……」

絵里「それは……そうね、相手からしてみれば、電話越しにいる人との関係なんて、友達でも恋人でもいいかなって」

ことり「絵里ちゃんにとってことりは友達でも恋人でもいいの!?」

絵里「ことり……」

ことり「……っ」

絵里「……はぁー……ことり。 こっち来なさい」

ことり「……」

絵里「こーとーり。 ほら、早く」

ことり「……うん」

絵里「ね、ことり、そんなに拗ねないで」ギュッ

ことり「……」

絵里「恋人だってちゃんと思ってるから。 ね?」

ことり「……絵里ちゃん好き」

絵里「私も好きよ」

ことり「……どこにも行かないでね」ギュッ

絵里「行かないわよー……」
 
73: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 22:15:34.33 ID:Q+nA17Lr


絵里「……ふー」

絵里(……仕事が進まない)

絵里(やっぱり持ち帰ってするのは良くないわね……)

絵里(ちゃんとデスクに向かって……集中してやらないと……)

ことり「まだお仕事してるの?」

絵里「ええ。 まあね。 なかなか終わらなくて……」

ことり「ふぅん……いつ終わる?」

絵里「う、ううーん……そうねぇ、キリがないから、いつ、っていうのは……」

ことり「え~……」

絵里「ごめんなさい。 なるべく早く終わらせるから」

ことり「……ちょっとパソコン見せて」

絵里「え、見てもわからないと思うわよ?」

ことり「いーいーかーらっ」

絵里「もう……」スッ

ことり「……」ジーッ

絵里「ふふ、分からないでしょう?」

ことり「……」クルッ

絵里「?」

ことり「ちゅっ……」

絵里「んっ……」

ことり「んちゅ、ん、っ……ん、」

絵里「……っ、う……あ、あー、こら、こらこら、ダメよ、ことり」

ことり「やだ……っ、む、ちゅ、……」

絵里「んん、っ、ん……ちょっ、と、」

絵里(ううう……仕事が……どうしましょう……)
 
75: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 22:30:27.73 ID:Q+nA17Lr
プルルルルル…

絵里「……っ、あ、で、電話!」

ことり「……出ちゃダメ」

絵里「で、でも……」

ことり「ダメ。 出たら絵里ちゃんのこと嫌いになる」

絵里「……仕事の電話かもしれない、から。 確認だけ。 それでも駄目かしら?」

ことり「やだ」

絵里「……」

ことり「仕事とことりどっちが大事?」

絵里「……ことりよ。 もちろん」

ことり「えへへ~。 ことりも絵里ちゃんのこと大事だよ」

絵里「……ありがとう」

ことり「ことり、絵里ちゃんの好きなところだったら永遠に言えるよ?」

絵里「永遠に……そう。 それは素敵ね」

ことり「髪の毛の色が好き。 髪質もさらさらふわふわしてて大好きだよ」

絵里「ええ。 それから?」

ことり「リップ塗ってないのに唇の色がちょっとだけピンクなのも可愛くて大好き。 色素が薄いまつ毛がたくさん生えてるのもね、お人形さんみたいで好き」

絵里「……あとは?」

ことり「瞳の色が薄いところも大好きなんだぁ」

絵里「……そうね。 ことりはよく私の目を舐めてきそうになるから……結構ビックリするわ」

ことり「飴玉みたいで美味しそうなんだもん。 あっ、あとはね、お  いが大きくて、腰がくびれてて、お尻の形が綺麗なところも大好き」

絵里「……さ、すがに恥ずかしくなってきた、のだけれど」

ことり「えへへ。 ことりは恥ずかしくないよ?」

絵里「うー……そ、そう。 すごいわね」
 
76: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 22:42:22.93 ID:Q+nA17Lr
ことり「うーん、あと、絵里ちゃんは細くていいなぁ」

絵里「ほそ……くないわよ。 標準くらいよ?」

ことり「嘘だぁ。 ことり、絵里ちゃんの体型見てたらいっつも痩せなきゃって思うの」

絵里「いやいや……ことりこそ痩せすぎよ。 お腹のお肉が全然ないし……脚も……あら? 最近、また痩せたでしょう?」

ことり「そうかな。 自分では痩せたって自覚がなくて……」

絵里「う、うーん……」

ことり「……いっぱい痩せて可愛くなりたいな」

絵里「はぁ……これ以上痩せちゃ駄目。 いい?」

ことり「……」

絵里「……なに?」

ことり「……ことり、可愛くなりたい」

絵里「……」

ことり「……もっともっと可愛くなりたい」

絵里「ことりは充分可愛いわ」

ことり「じゃあ好きって言ってくれる?」

絵里「……好きよ」

ことり「……浮気しない?」

絵里「……しーなーい」

ことり「……絵里ちゃんが浮気したら、ことり、死ぬからね」

絵里「……死ぬなんて簡単に言わないのよ」

ことり「それなら……絶対浮気しないでね」

絵里「……ええ」
 
77: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 22:55:04.81 ID:Q+nA17Lr


<『ずっと前から君のことが大好きだったんだ!』

<『えっ……ほ、ほんとに……?』


真姫「……」

真姫(……なにこの駄作)

真姫(少女漫画が元になってる映画……だったわよね)

真姫(こういうのは地雷が多いから、もう借りるなって海未ちゃんには前から言ってるのに……)

真姫(相変わらずじゃないの……)

真姫(……まあ、海未ちゃんがこれをもとに作詞ができるっていうならそれはそれで……)チラッ

海未「……」スースー

真姫「……」

真姫(……寝てるし)

真姫「はぁ……」

真姫(まあ、疲れてるのなら無理に起こすのも気が引けるわね……)

真姫(……海未ちゃんが干してくれてた毛布、取り込んでしまおう)

ガララ…

真姫「……さむっ」

真姫(今年は秋がないのかしら……)

真姫「……ん?」

真姫(あの、下にいる人……なんか見覚えが……)

真姫「……」

真姫「……あっ、!?」

真姫(あれ、にこちゃんじゃないの……!)
 
78: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 23:01:42.96 ID:Q+nA17Lr
真姫(ど、どうしたのかしら……って、こっち向かってきてる……!?)

真姫(こ、これは、絶対海未ちゃんに会いに来たパターン、よね……!?)

真姫(ど、どうし、よ、……!?)

真姫(か、隠れた方が……!?)ワタワタ


ピンポーン


真姫「……!?」ビクッ

真姫(きっ、来ちゃった……!)

真姫(居留守使うべき……!? そ、それとも海未ちゃんを起こして……!?)

真姫(……)

真姫(……って、なんでこんなに、焦ってるの、私)

真姫(別に、2人が付き合ってたって……普通に接すればいいだけ、だし)

真姫(……はぁ、考えるだけ、馬鹿馬鹿しいわ)

真姫「……」ガチャッ

にこ「あ……真姫ちゃん」

真姫「……ひ、久しぶり」

にこ「ちょっと海未に用があって……一応行くって連絡してたんだけど。 上がってもいい?」

真姫「っ、え、ええ」ビクッ

真姫(やっぱり……!)

にこ「おじゃましまーす」

真姫「……」ビクビク

にこ「……なんでそんなに挙動不審なの」

真姫「ヴェェ?」
 
79: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 23:11:48.22 ID:Q+nA17Lr
にこ「えーと……海未、は。 あれ、寝てる?」

真姫「さ、さっき、映画観てたら……寝ちゃったみたい」

にこ「……あーあー、今日話し合わなきゃいけないのに」

真姫(……!? なに!? なんの!? 話し合い!?)

にこ「でも起こすのも悪いわよね……」

真姫(だからなにが……!? っ、気になる……! もしかして痴話喧嘩? 別れ話? それともこの一連の流れは全て惚気……!?)

にこ「あ、だけど真姫ちゃんの前で話すような事でもないか」

真姫「えっ!」

にこ「あー、こっちの話だから」

真姫(こっち……!? やっぱり恋人同士のなにかなの……!?)

真姫「わ、私のことなら気にしないで。 なんなら私、出掛けてくる、から」

にこ「え……別にそこまでしてくれなくても」

真姫「お、お気遣いしてくれなくてもいいのよ!?」

にこ「……き、今日なんだか真姫ちゃん元気ね」

真姫「そ、そう? 普通よ……?」

にこ「……まあ、いいわ。 海未起こすのも悪いから、帰る」

真姫「え……いい、の?」

にこ「あー、うん。 また、後ほどLI〇Eでも入れとくからって伝えといて。 海未とLI〇Eするの、返事遅いからあんまり好きじゃないんだけど」

真姫(にこちゃんはそういうところも踏まえて海未ちゃんの事が好きなのね……大人だわ……)

にこ「真姫ちゃん? 聞いてんの?」

真姫「あ、わ、分かったわ。 伝えとく」

にこ「ありがと。 じゃあね」

真姫「……う、うん」

バタン

真姫「……」

真姫「……はぁぁぁぁ」
 
80: (SB-iPhone) 2017/10/28(土) 23:22:13.25 ID:Q+nA17Lr
真姫(私、海未ちゃんとのルームシェア解消すべきなのかしら……)

真姫(どう考えても、邪魔者よね……)

真姫(……)

真姫(……海未ちゃんと暮らすの、割と楽しいんだけどな)

真姫(海未ちゃんしっかりしてるから、健康面とかで安心できる、っていうのもあるけど……)

真姫(……一応、ちょっとは好きなんだから)

真姫(あ、でも私……ことりの事も好きなんだっけ……)

真姫(エリーの事も……)

真姫(はぁぁ……こんなに好きな人(保留)がいるだなんて……私ちょろいのかしら……)


海未「……んん、ふぁぁ……いつの間にか寝てました……」

真姫「あ……海未ちゃん」

海未「ん……はい?」

真姫「さっきにこちゃんが来てね……」

海未「……!? にこが!?」

真姫「えっ!? ……き、来たけど」

真姫(な、何この海未ちゃんの反応……お、起こすべきだった?)

海未「なっ、え、に、にこ、私のこと何か言ってました!?」

真姫「と、特に……」

海未「で、では、逆に、真姫は私のことを何かにこに言いました!?」

真姫「そ、それも、特に……その、LI〇E後で入れるからっていう伝言預かっただけ、よ」

海未「そ、そうでしたか……」

真姫「……」

海未「そ、それなら、いいんですが」

真姫「……」

真姫(……やっぱり私って邪魔、なのかしらね)
 
93: (SB-iPhone) 2017/10/29(日) 21:20:52.25 ID:5mp+66s/


にこ「……あー」

希「にこっち、お疲れ様っ」

にこ「……お疲れ様、じゃないのよっ!」

希「え~?」

にこ「午前中に5件も取材入れるってどーいう神経してるわけ!?」

希「しょーがないやろっ。 にこっちがドラマの出演するんだし、取材は増えるよ」

にこ「でも半日で5件はおかしいでしょ!」

希「その代わりに今日は午後オフやん。 やったねにこっち」

にこ「……ま、まあ、それはありがたい、けど」

希「しかもうち、昼ごはん奢ってあげるんよ? ファミレスだけど」

にこ「……あー、はいはい。 ありがとね」

希「えー? こんなに優秀なマネージャーはいない? ……照れるわぁ」

にこ「そこまでは言ってないっつーの!」

希「ふふふ」


海未「すいませんっ。 遅れました!」

希「あ、海未ちゃん、やっほー」

海未「すいません、すいません……! 道場での指導の方が長引いてしまって……!」

にこ「で、この前のL〇NE見た?」

海未「あ、はい……作詞の件ですよね。 見ました……と、というか、にこ……」

にこ「……なによ」

海未「わ、私……にこに、謝らないといけないことがあるんです」

にこ「……?」

希「?」
 
94: (SB-iPhone) 2017/10/29(日) 21:32:05.57 ID:5mp+66s/
海未「そ、その……この間……にこ、言ってましたよね?」

にこ「何をよ」

海未「ほ、ほら……あれ、ですよ……あれ」

にこ「……? なんだったっけ」

希「作詞のこと? それとも別のこと?」

海未「あ、べ、別のことです……」

にこ「……尚更、なんだった?」

海未「この前、私とにこと希とで、飲みに行った時に言っていたではないですか……私と、にこ、が……えっと、」

にこ「……うん」

海未「……」

希「あっ! にこっちと海未ちゃんが付き合ってる……って真姫ちゃんに言ってみたら? ってやつやろ!」

海未「そ、そうです……それです」

にこ「あはは! あーあれね。 ……ああ。 そういえばそんなことも話したわね」

海未「は、はい」

にこ「で、それがなに?」

海未「……実際に、真姫に、言っちゃったん、です」

にこ「……え?」

希「おおっ?」

海未「し、かも……中途半端に伝えたせいで……真姫には全然、響いてなくて……」

にこ「あっ、あんたね……! あんなの、冗談に決まってるでしょ!?」

海未「す、すいません! ……あ、あと申し上げにくいのですが……その上、冗談って言える雰囲気でも、なくなってしまって……未だに、真姫は、私がにこと付き合ってるって思ってます」

にこ「あ、あんたが本当に好きなのはその真姫ちゃんでしょ!? 馬鹿じゃないの!?」

海未「うううっ……すいません……」
 
96: (SB-iPhone) 2017/10/29(日) 21:51:53.54 ID:5mp+66s/
希「あはは。 海未ちゃんって意外とお茶目さんやな」

にこ「お茶目さんで済まされないわよ!」

海未「ううっ」

にこ「っ……馬鹿!」

海未「ううっ!」

にこ「……ば、馬鹿!」

海未「うぐぅっ……!」

希(2回言った……)

にこ「はー……それで真姫ちゃんが動揺したとか、嫉妬してくるとかならまだしも……響いてない……!?」

海未「は、はい……」

にこ「そんなのただ単に誤解生んだだけじゃないのよ!」

海未「すいません……」

にこ「もうここまできたなら徹底的にやりなさいって言いたいけど……海未には無理よね……」

海未「て、徹底的に、とは……?」

希「にこっちとちゅーしたって言うとか?」

海未「!?」

にこ「……いや、そんなのじゃぬるいわね。 もうここはセッ、」

海未「そそそそそそんなの言えるわけないじゃないですかっ!///」

にこ「駄目よ言いなさい! このにこにーと付き合ってるってあんたは嘘ついてるんだから!」

海未「無理に決まってます!///」

にこ「せめてちゅーしたぐらいは言いなさいよ! さもないと……真姫ちゃんに本気でバラすわよ!」

海未「そっ、それだけは……」

希(海未ちゃんも大変やなぁ……あっ)

希「そうだ。 そういえばもうすぐえりち来るってさっき連絡入ったよ~」

にこ「ああ、3人が集まるなら休憩時間だけでも会いたいとかって」

海未「絵里……久々に会います」


絵里「お待たせ!」

希「おお、噂をすれば」
 
98: (SB-iPhone) 2017/10/29(日) 22:05:52.26 ID:5mp+66s/
にこ「ったく、遅いわよ」

絵里「ごめんなさい……! 長引いちゃって」

希「まあいいやん。 座りなよ」

絵里「それが……昼休憩ほとんどなくなっちゃったのよ。 すぐに行かなきゃ」

希「そうなんや……残念」

絵里「だけど……海未、久しぶりね」

海未「あ、はい……」

絵里「真姫とはうまくやってるの?」

海未「えっ!?」

絵里「……? 一緒に住んでるんでしょう?」

海未「あ、そ、そういうことですか……ま、まあ、そうですね。 はい。 特に、問題は無いです」

絵里「よかった。 じゃあ……また会いましょう。 行ってくるわ」

希「頑張ってなー」

にこ「身体は大事にしなさいよ?」

絵里「……ありがとう! 皆もね!」

タッタッタッ…


にこ「……やっぱり」

希「そうねぇ……」

海未「……? どうかしたのですか?」

希「えりち、疲れてるなぁって」

海未「……ああ、仕事、忙しそうですもんね」

希「それもあるやろうけど……」

海未「?」

にこ「……あのメンヘラちゃんの相手してたら、そうもなるわよ」
 
99: (SB-iPhone) 2017/10/29(日) 22:19:59.89 ID:5mp+66s/
海未「メンヘラちゃん? とは? 外国の方ですか?」

にこ「あーうん。 じゃあそれで」

海未「お、教えてくださいよ……」

希「まあ……簡単に言えば構ってちゃん症候群って感じかな。 限りなく鬱病に近い感じの」

海未「メンヘラ……は、病気ですか?」

にこ「そんなもんよ」

海未「……それで、その、メンヘラとは誰ですか?」

希「……うーん」

にこ「……あんた、絵里とことりが付き合ってるの知らない?」

海未「えええぇ!? そうだったのですか!?」

希「まあ付き合い始めたの最近やしね」

にこ「どーいうわけかね」

海未「え、絵里とことりが……そ、それはそれは……い、いい事ですね……」

希「付き合ってること自体はいいと思うけど……ちょっとなぁ……ことりちゃんがいけない方向に走っちゃってるというか……」

海未「いけない方向?」

にこ「だーかーら、メンヘラになってんの。 ことりが」

海未「……!? そ、それは……い、いけないことです……」

にこ「ほーんとね。 しかも絵里は絵里で依存されてる自覚がほぼほぼなし。 困ったもんよ」

海未「は、はあ……お、おふたりはどういう経緯で付き合うことに……?」

希「確か……ことりちゃんが前の恋人に振られて、そんな時にえりちがことりちゃんとたまたま連絡取り合って、そこから……みたいな感じだった、かな?」

海未「前の恋人……! 恋多き女なのですね、ことりは……!」

にこ「……あんた幸せそうで羨ましい」

海未「って、なんでですか……前の恋人、は……私達の知り合いですか?」

希「あー……」
 
102: (SB-iPhone) 2017/10/29(日) 22:34:23.43 ID:5mp+66s/


絵里「……」タッタッタッ…

絵里(午後までに戻れるかしら……)

絵里(ちょっと時間はギリギリになっちゃったけど……海未にも会えたし)

絵里(希とにこは相変わらず仲がいいわね……ふふふ、なんだかこっちが嬉しくなっちゃう)


~♪


絵里「……?」

絵里(……ストリートライブね)

絵里(歌はお世辞にもうまい、とは言えないけど……なんか、こう……)

絵里(すごく、胸に刺さる歌詞と、歌声ね……)

絵里(というか歌ってる人……半袖じゃない……)

絵里(こ、この時期に……)

絵里(……だけど、何故か……この人の曲を聞いてると暖かくなってくるわね)

絵里(……まって)

絵里(あれ、は……もしかして……)

絵里「……あ、あの!」

「……? 」

絵里「人違いだったら、ごめんなさい、その……」

「……?」

絵里「……っ」

「……あー!!! 絵里ちゃん!」

絵里「……! やっぱり! あなた…… 」

「えへへ……絵里ちゃんだぁ……」

絵里「えっ、と……凛、であってる、わよね?」

凛「えっ、ああ……ごほんっ、『そうだにゃ!』 ……これで分かる、かな?」

絵里「ハラショー!」

凛「……久しぶり!」
 
119: (SB-iPhone) 2017/10/30(月) 22:36:35.78 ID:eRMIymbe
絵里「また髪が伸びて……1段と大人っぽくなったわね」

凛「そ、そうかなぁ……」

絵里「えぇ。 似合ってるわよ」

凛「えへへ、ありがとう」

絵里「髪染めるのはやめたの?」

凛「あ、うん……なんだかめんどくさくなっちゃって」

絵里「ふふふ。 髪を染めてた時の凛はなんだか遠くに行っちゃったように感じてたから……少し安心したわ」

凛「もー……髪染めたからって何にも変わらないよ」

絵里「ふふ、それはごめんなさい」

凛「絵里ちゃんは地毛が綺麗な金髪だからいいよねー……」

絵里「凛の髪の毛の色も素敵よ」

凛「そうかなぁ……あ、そうだ。 また今度ね、初めてCD出すの!」

絵里「え……すごいじゃない!」

凛「でしょでしょー! コツコツライブとかしたかいがあったなぁ」

絵里「なかなか都合がつけれないのだけれど……また凛のバンドのライブがある時は是非誘ってほしいわ」

凛「うんっ」

絵里「じゃあ私は……そろそろ仕事に、」

凛「……え、絵里ちゃん」

絵里「……? なぁに?」

凛「あの……」

絵里「……?」

凛「ことりちゃん、のことなんだけど……最近、元気?」

絵里「……」
 
120: (SB-iPhone) 2017/10/30(月) 23:06:01.02 ID:eRMIymbe
凛「あ、えと……答えたく、ないなら、」

絵里「あー……もちろん、元気よ」

凛「……そ、そっかぁ」

絵里「だから、心配しないで。 ね?」

凛「え、りちゃん……ごめんなさい!」

絵里「え……?」

凛「り、凛が、ことりちゃんと別れたから……」

絵里「……凛」

凛「……」

絵里「私、凛が別れたからことりと付き合ったわけじゃないわよ?」

凛「……でも、」

絵里「それに、凛がことりと別れたかったのなら……それでいいじゃない。 付き合う、って強制じゃないわ」

凛「そう、だけど……」

絵里「だから、謝らなくていいのよ?」

凛「……うん」

絵里「……正直ね、ことり、今は元気ない、というか……ちょっとだけ、あれおかしいな?って思うところ、あるのだけれど……」

凛「……」

絵里「きっと、一時的に混乱してるだけだと思うの。 大丈夫よ」

凛「……」

絵里「じゃあ、仕事に戻るわね。 素敵な歌をありがとう」

絵里(ううう……結局間に合わなかった……)

タッタッタッ…


凛「……」
 
121: (SB-iPhone) 2017/10/30(月) 23:13:13.24 ID:eRMIymbe


ガチャッ…

真姫「ただいまぁ……」

海未「あ……お、おかえりなさい」

真姫「はー、つっかれた。 もう眠い……」

海未「よ、夜ご飯はきちんと食べないといけませんよ……」

真姫「んー……」

海未(……ま、真姫に、ちゃんと、言わなければ、)

海未「あ、あの、真姫……」

真姫「……なに?」

海未「わ、わた、し……に、にこと、キス、しました」

真姫「……」

海未「……っ///」

シーン…

海未(……っ、い、言ってしまいました……!)

真姫「……」

海未(ま、真姫の、反応は……?)

真姫「……へ、え」

海未「……」

真姫「……よかったじゃないの」

海未「え……」

海未(そ、それだけ……?)

真姫「今日、疲れたから……先にシャワー浴びるわね」

海未「あ……」

真姫「夜ご飯、シャワーのあとでいいわ」

バタン
 
122: (SB-iPhone) 2017/10/30(月) 23:21:09.86 ID:eRMIymbe
海未「……」

海未(……か、完全に、無反応じゃないですか!)

海未(うう……やっぱり、脈はなさそうです……)

海未(……にこにも、きちんと連絡しておきましょう……進展はなかったです、と)

海未(……)

海未(……ぜ、絶対怒られますよね)

海未(ど、どうしましょう……連絡しないといけないのは分かっていますが……)

海未(……にこの反応が怖すぎます)

海未(希に言ってもきっとからかわれるだけですし……)

海未(それならば……)ポチポチ


プルルルル…


海未「……」ドキドキ

絵里『……もしもし? 海未?』

海未「あ、絵里……!」

海未(今日、ちょうど会いましたし……絵里に相談しましょう……!)

絵里『あ……そうだ。 今日は少しだけしか顔出せなくてごめんなさい』

海未「い、いえ……」

絵里『それで、どうしたの?』

海未「あ、あの……」
 
124: (SB-iPhone) 2017/10/30(月) 23:32:43.57 ID:eRMIymbe
海未(い、いざ話すとなると恥ずかしすぎます……)

絵里『……えーっと、海未?』

海未「あっ、はい……! すいません、すいません……」

絵里『せ、急かしたつもりはなかったのだけれど……』

海未「……あ、あの、そ、その」

海未(……なん、というか、)

海未(れ、恋愛相談となると……話しづらい、ものですね)

海未(や、っぱり、話すことはなかった、って言って、切ってしまいましょうか……)

海未(でもそれも失礼に、あたりますよね……?)

絵里『……うーん、分かったわ』

海未「へっ?」

絵里『また今度、直接会って話しましょう?』

海未「え……」

絵里『ふふ、なんだか海未、緊張しているみたいだから……その方がいいかしら、って』

海未「あ……ありがとうございます。 でも、お仕事が忙しいのでは……」

絵里『ううん。 いいのよ。 完全にお休みがない訳じゃないし』

海未「そ、それでは、お言葉に甘えて……」

絵里『そうね……じゃあ、今週の土曜日、私の家に来れるかしら? 後で住所教えるから』

海未「ぜ、是非。 あ、夕方から、道場の方で指導があるので、午前中にうかがっていいでしょうか?」

絵里『勿論。 ……あー、最近帰ってないから、ちょっと掃除しておくわね』

海未「そ、そんな、お気遣いなく……!」

絵里『ふふふ。 じゃあ、待ってるわね』

ピッ

海未(……はぁぁ、緊張、しました)

海未(しかし……自分の家に、最近帰っていない、とは……?)

海未「……?」
 
125: (SB-iPhone) 2017/10/30(月) 23:47:01.57 ID:eRMIymbe


ガチャッ

絵里「ただいま」

ことり「あ……絵里ちゃん。 おかえりなさい。 ごめんね、今日絵里ちゃんが来てくれるってわかってたのに、まだ夜ご飯作れてなくって……」

絵里「いいのよ全然。 デザインの方はどう? 捗ってる?」

ことり「うーーん……」

絵里「見てもいいかしら?」

ことり「まだ途中だから恥ずかしいよぉ」

絵里「そういうものなの?」

ことり「そうですー」

絵里「今デザインしてるのはどういうのなの?」

ことり「えへへ……実はね、真姫ちゃんがお勤めしてる病院のね、小児病棟の壁をデザインするんだ」

絵里「すごいじゃない。 デザイナーってそんなこともするのね! もしかして……真姫に直々に頼まれたとか?」

ことり「ううん。 これはたまたまだよぉ」

絵里「へぇー……」

ことり「頑張って子供たちが喜ぶようなデザインにしなきゃ……」

絵里「頑張ってるわね……あ、そうだ。 今週の土曜日は、自宅に帰るから」

ことり「え……なんで? お休みでしょ?」

絵里「そうなのだけれど……」

ことり「……やだ。 帰ってほしくない」

絵里「う、うーん……」
 
126: (SB-iPhone) 2017/10/30(月) 23:59:05.78 ID:eRMIymbe
ことり「絶対浮気する気だもん……」

絵里「しないわよ……するならこんなこと、ことりに言うかしら?」

ことり「……」

絵里「……夕方にはまたことりの家に行く、それならいいかしら?」

ことり「……」

絵里「……駄目?」

ことり「……分かった。 ことり、土曜日はちょっと用事があって、出ないといけないから……いいよ」

絵里「用事?」

ことり「病院にいって、第1デザイン案を見てもらうんだ」

絵里「そう……もしかしたら、真姫に会えるかもね」

ことり「……ことりが帰る前に、ことりの家にちゃんと来といてよ?」

絵里「ええ。 約束するわ」

ことり「っ……ぐす、っ」

絵里「ことり……」

ことり「……っ、うっ、ことりばっっかり、絵里ちゃんのこと、好き、みたい」

絵里「そ、そんなことないわよ……! お願いだから泣かないで」ギュッ

ことり「ひっく、うっ、ぐす……」

絵里「ことりのことが好きよ。 大好きよ……」

ことり「ぐ、すっ……うぅっ……絵里ちゃん、ごめんね、ごめんね……」

絵里「……」

絵里(……本当なら、海未と会うことも言っておいた方がいいのかもしれない、けれど)

絵里(こんなことりの様子を見たら、言えないわよね……)

絵里(……悪いことしてるみたいに、すごく、嫌な感じ)
 
139: (SB-iPhone) 2017/10/31(火) 22:26:56.76 ID:hjI7ZYZD



真姫「……今日エリーの家行くの?」

海未「あ、はい……実は、そうなんです」

真姫(なっ、なんでエリーの家……!?)

真姫(……ま、さか、2人が付き合う、なんて、ことに……なったり……)ダラダラ

真姫「へ、へぇ……珍しいわね」

海未「い、いろいろありまして……」

真姫「ふ、ふーん……」

海未「……」

真姫「……」

海未「……じ、じゃあ、行ってきますので。 真姫もお仕事頑張ってください」

真姫「ええ……」

バタン

真姫「……」

真姫(……はぁぁぁ、もし、ほんとにそうだったら、どうしよう)

真姫(いいけど……別に、いいけど……)

真姫(……いい、けど)

真姫「……」

真姫(……仕事行こ)
 
140: (SB-iPhone) 2017/10/31(火) 22:41:07.79 ID:hjI7ZYZD


ガチャッ

真姫「……おはようございま……あら?」

ことり「……あ」

真姫「……ことり」

「……え? なに? 西木野さんの友達?」

真姫「ま、まあ、ちょっと……」

「それより見てこれ! すごくいいっしょ!」

真姫「へ?」

「小児病棟の!ほら、修繕工事する時にさ、同時に〇風景な壁を賑やかにするからって……」

真姫「ああ、あの、デザイン案、ですか……」

「俺感動したわ!しかもデザイナーさんも可愛いし! なんか一石二鳥っつーか……」

真姫「……そうなんですか」

ことり「……えへへ、ありがとうございます」

「デザインの仕事って、結構されてるんすか!? 俺の友達にも何人かいてさー、やっぱ可愛い人とかオシャレな人とか……」

ことり「へーぇ、そうなんですかぁ……」

真姫(ことり、嫌そうな顔してるじゃないの……)

「今夜飯行きません!? 俺奢りますよ!」

ことり「わーありがとうございます。 でもごめんなさい、今夜は予定が……」

「じゃあじゃあ! 明日でも! 西木野さんも一緒にさ!」

ことり「うーん……」

真姫「……はぁ。 行きませんから」

「えー」

ことり「じゃあ……私は、この辺で……」スッ

真姫「……」


真姫「っ……あ、あの……こ、ことり、」

ことり「?」

真姫「……ちょっと、話さない?」

ことり「……え?」
 
141: (SB-iPhone) 2017/10/31(火) 22:53:39.95 ID:hjI7ZYZD


ことり「……」

真姫「……あー、あの、ことり、さっきは、ごめんね」

ことり「なにが?」

真姫「さっきの、やつ。 悪い人じゃないんだけど……節操が、ないから」

ことり「……あの人と、真姫ちゃんは付き合ってるの?」

真姫「は……!? なっ、そんなわけ、ないでしょ!?」

ことり「じゃあ謝らなくてもいいんじゃないかな?」

真姫「……そ、それも、そうね」

真姫(……な、んか、ことり……いつも通りの話し方、だけど、)

真姫(どことなく、機嫌悪い……?)

真姫「あー……なんか、ごめんね」

ことり「うん?」

真姫「いや、その……なんと、なく、」

ことり「……私、この仕事貰えたのほんとに嬉しいの」

真姫「……え?」

ことり「デザインするの、好きで、いろいろしてきて……まさか、こんなことまで、できるようになるだろなんて、って……」

真姫「……」

ことり「……真姫ちゃん、このデザイン見て」

真姫「え、ええ……」ジッ

ことり「……どう思う?」

真姫「……いいんじゃない?」

ことり「ほんとにそう思う?」

真姫「え……」

ことり「ほんとに? 見てて楽しい気持ちになる? 明るい気持ちになる?」

真姫「……」

ことり「……私は、いまいちだと思う」

真姫「……」

ことり「だけど、まだ1回目の提出で、オッケーもらっちゃった」
 
142: (SB-iPhone) 2017/10/31(火) 23:02:25.56 ID:hjI7ZYZD
真姫「……なら、よかったん、じゃない?」

ことり「……よくないよ」

真姫「……」

ことり「さっきの男の人は、デザインじゃなくて私を見たんだよ。 私が、可愛いから」

真姫「ええ……そうね……」

真姫「……」

真姫「……!?」ビクッ

真姫(……はぁ!?)

真姫(いっ、今、自分のこと可愛いって言った……!?)

真姫(……いや、まあ、可愛いけど、ことりは)

真姫(だ、だけど……まさか、こんな、こと言うとか……ね……)

真姫「そ、れは、いけないことよね……た、たぶん……」

ことり「……もういいよ。 慣れてるから」

真姫「……」

ことり「男の人はね、みんなみんな、私を見ると、目がきらってなって、自分のものにしようと必死になってくれるのに……」

真姫「……」

ことり「……なんで、肝心な人は、私のことで、必死になってくれないのかなぁ」

真姫「え、っと……」

ことり「……」

シーン…

真姫(……だ、黙っちゃったし)

真姫(あー、話題……話題……)

真姫「……そっ、そういえばね」

ことり「……ん? なぁに?」

真姫「き、今日、海未ちゃんが……エリーに、会いにいくんだって」

ことり「……え?」

真姫「め、珍しいわよね。 エリー、仕事忙しくって、あんまり人と遊ぶイメージとか、ないから……」

ことり「……珍しく、ないよ」

真姫「……え?」

ことり「……珍しくない」
 
143: (SB-iPhone) 2017/10/31(火) 23:12:58.04 ID:hjI7ZYZD
真姫「め、珍しくなかった……?」

ことり「……絵里ちゃんと私、付き合ってるの」

真姫「え゛っ゛」

真姫(……えっ!?)

真姫(……ヴえええええええええっ!?!?!?)

真姫「あ、そ、そうなん、」

ことり「……だから、絵里ちゃんのこと知らないくせに、珍しいとか勝手に決めないで」

真姫「こ、とり……?」

ことり「海未ちゃんは、絵里ちゃんのこと好きなの?」

真姫「い、いや……好きとかじゃない、と思うけど……」

ことり「……」

真姫「だ、だって……海未ちゃん、付き合ってるのよ、にこちゃん、と……」

ことり「……そうなんだぁ」

真姫「え、ええ……」

ことり「……用事思い出したから帰るね」

真姫「えっ……ことり……?」

ことり「またね、真姫ちゃん」

真姫「あ、えと……うん……」

バタン

真姫「……」

真姫「……?」

真姫(な、なんだったのかしら……)

真姫(……ことり、ちょっと様子が、変?)
 
145: (SB-iPhone) 2017/10/31(火) 23:31:38.69 ID:hjI7ZYZD


絵里「はー……」

絵里(海未も帰ったことだし、ことりの家に向かおうかしら……)

絵里(それより……まさか、海未が真姫のこと好きだなんてね)

絵里(みんな色々と大変なのね……)

ガチャッ

ことり「……」

絵里「……? あら? ことり?」

ことり「……来ちゃった」

絵里「寒い中わざわざ……今ちょうど、ことりの家に行こうとしてたのに。 すれ違わなくてよかったけど……」

ことり「……ことり、合鍵持ってるから。 最悪すれ違ってもいいかなって」

絵里「それもそうね……どうしましょうか。 ことりが来てくれたことだし……このまま今日は私の家に泊まる?」

ことり「……泊まる」

絵里「そう。 じゃあパジャマとか用意しなきゃね」

ことり「……明日早いから、早朝には帰るね」

絵里「分かったわ」

ことり「……ね、絵里ちゃん、海未ちゃんのこと好きなの?」

絵里「……え?」

絵里(……どういう、こと?)

絵里(このタイミングでそれを聞いて来るっ、て……今日、海未が家に来たこと、知ってる……の……?)

絵里「……う、うーん、好きは、好きよ。 でも、友達としての好き。 そういうのじゃないわ」

ことり「じゃあなんで今日家に呼んだの」

絵里(やっぱり、知ってる……)

ことり「……どうしてそのこと知ってるのって顔してる」

絵里「……」

ことり「病院で真姫ちゃんと会ったの。 その時、たまたま聞いちゃって、それで」

絵里「……」

ことり「……海未ちゃんとなにしてたの」
 
146: (SB-iPhone) 2017/10/31(火) 23:44:05.93 ID:hjI7ZYZD
絵里(海未、は……真姫のことが好きって、言っちゃえば、いいのかも、しれないけれど……)

絵里(勝手に言うのも、悪いし……)

絵里(なにより、この状況で言っても、言い訳にしか聞こえないだろうし……)

絵里「……はぁー」

ことり「……なんでため息つくの」

絵里「あ、ち、違うのよ? これは……その……」

ことり「やましいことがないなら言えばいいじゃん! 何も無かった、って!」

絵里「こ、ことり……」

ことり「この前浮気しないって、約束したばっかりなのに……!」

絵里「う、浮気なんてしてない! 本当よ!」

ことり「……ことり、絵里ちゃんだけなの。 絵里ちゃんしかいないの、なのに、なんで……」

絵里「……わ、私が好きなのは、」

ことり「……」

絵里「……ことりだけよ」

ことり「……」

絵里「……分かってくれた?」ギュッ

ことり「……」

絵里「……」

ことり「……分かった」

絵里「……好きよ。 大好きよ」

ことり「……ん」

絵里「……ベッドいく?」

ことり「……ううん。 お風呂入ってないから、ソファでいい」

絵里「……ええ」

ことり「……」

絵里「ことり、本当に好きよ……」

ことり「……うん」
 
162: (SB-iPhone) 2017/11/01(水) 21:52:07.77 ID:ZUpUNzyu


絵里「……」スースー

ことり「……ん、」パチッ

ことり「……」ボーッ

ことり「……」

ことり(今、何時……? スマホ……)スッ

ことり(……4時)

ことり(帰らなきゃ……)

ことり(……シャワー……家帰ってからで、いいか……)

ことり(服……服どこだろ……)

ことり(あった……)

ことり(……はー、ぼーっとする)

ことり「……絵里ちゃん、絵里ちゃん」

絵里「……んん」モゾッ

ことり「帰るね」

絵里「……うー、ん」

ことり「……」

絵里「……気を、付けてね」

ことり「……うん」

絵里「……」スースー

ことり「……」


ことり「……絵里ちゃん、大好きだよ」
 
163: (SB-iPhone) 2017/11/01(水) 22:05:06.57 ID:ZUpUNzyu


海未「……」

海未(……昨日、絵里に言われた通り……)

海未(きちんと、真姫に伝えたいことは全部伝えて、焦らず、慎重に……)

海未(絵里が言っていた……『きっと、真姫もあなたのこと意識してるはずよ』って、ほんとでしょうか……)

ピンポーン

海未(……? 誰でしょうか)

海未「はい、今出ます……」

ガチャッ

海未「あ……!」

にこ「よっ」

穂乃果「海未ちゃん久しぶりっ」

海未「にこ、穂乃果……!」

にこ「鍋しましょ」

海未「へ?」

穂乃果「ほんとはね、にこちゃんと2人でするはずだったんだけど、思いの外食材がいっぱいになっちゃって!」

にこ「あんたが調子乗って買いまくるからでしょ?」

穂乃果「えへへー、だって楽しみだったんだもん」

にこ「それで海未達も巻き添えにしないかーって」

海未「そ、そうなんですか……」

穂乃果「ねーねー、上がってもいーい? 寒いよー!」

海未「そうですね、立ち話もあれですし……どうぞ上がってください」

穂乃果「うん! ……わー! コタツあるー!」

海未「こら穂乃果! 手を洗ってから……」

にこ「……で、真姫ちゃんにはちゃんと言ったわけ?」

海未「」ビクッ

にこ「……」

海未「い、言いましたよ、一応……『にことキスしました』って……」

にこ「……! ど、どうだった?」

海未「どう、って……」
 
164: (SB-iPhone) 2017/11/01(水) 22:13:17.74 ID:ZUpUNzyu
にこ「……」

海未「……へぇ、そうなの、みたいな、」

にこ「……はぁ?」

海未「……うっ」

にこ「なにそれ全然進展してないし! 言った意味がないじゃないの!」

海未「ううう……」

にこ「もっとこう……工夫しなさいよ!」

海未「く、工夫、と言われましても……」

にこ「そんなことならほんとにセ   しましたって言っちゃった方がマシだったでしょ!?」

海未「そ……そんなはしたないこと言いたくありません!」

にこ「人と付き合ってるって勝手に嘘ついといてなにがはしたない、なのよ!」

海未「そ、それとはわけが違います! は、っ、破廉恥ですよ……」

にこ「……そう思うなら私と付き合ってないってさっさと真姫ちゃんに言えば?」

海未「……ぐうの音も出ません」

にこ「でしょうね」

穂乃果「海未ちゃん、お鍋どこー? お腹減ったー!」

海未「あ……な、鍋は……」

にこ「まあ、いいわ。 どうせ真姫ちゃん帰ってくるでしょ?」

海未「そ、そうですね……」

にこ「……“4人”で鍋を囲むのが楽しみね」

海未「……」

海未(……今日なるべく真姫が家に帰るのが遅くなりますように)
 
165: (SB-iPhone) 2017/11/01(水) 22:46:13.25 ID:ZUpUNzyu


ガチャッ

真姫「ただいま……」

真姫「……」

真姫(……なんか、靴が多いわね)

真姫(誰かきてるのかしら……)

真姫(そんな話特に聞いてなかったけど……)

ガチャッ

真姫「……っ!」

海未「あ……」

にこ「……真姫ちゃん」

穂乃果「あー! 真姫ちゃんっ! おかえり!」

真姫(……な、)

真姫(穂乃果はいいとして、なんで、にこちゃんがいるの……!?)

真姫(き、気まずい……でしょ……普通……)

真姫(よ、よく、わからないけど……)

海未「ま、真姫もほら、食べましょう」

真姫「え、ええ」

海未「き、今日は、鍋ですよ」

真姫「……えぇ。 お、おいしそうね」

にこ「……そう言いつつ何でそんなに穂乃果にくっついて座ってんのよ」

真姫「えっ、な、なんとなくよ」
 
166: (SB-iPhone) 2017/11/01(水) 22:50:00.60 ID:ZUpUNzyu
穂乃果「私は全然いいよー!」

真姫「……ありがと」

海未「……っ、っ」

にこ(……思うところがあるならさっさと告白すればいいのに)

にこ「……めんどくさ」ボソッ

海未「え、な、なんです?」

にこ「……なんでもなーい」

海未「私、真姫のお皿とってきますね……」

真姫「あ、わ、私、自分でやるわよ?」

海未「いっ、いいい、いいんです! もう席立っちゃいましたから!」

真姫「じ、じゃあ……あ、ありがとう……」

海未「いえ……」

海未(平常心……平常心……)ドキドキ

穂乃果「あ、ねぇねぇねぇ!」

真姫「な、なに?」

穂乃果「真姫ちゃんと、海未ちゃんって、付き合ってるの!?」

真姫「ヴぇっ」

海未「」ガッシャーン
 
167: (SB-iPhone) 2017/11/01(水) 23:07:07.46 ID:ZUpUNzyu
真姫「なっ、え、えっ……」

海未「ほ、穂乃果!? な、何を言ってるのですか……!」

穂乃果「だって、ずっと一緒に暮らしてるし……なんか……態度が恋人みたいだったから!」

海未「そ、そんな……」

にこ「……ぷ、っ」

にこ(ふ、ふふっ……穂乃果……おもしろ……よくもこう……思ったことをずばっと……)

にこ(スッキリしたけど……ふふふ、っ……面白すぎでしょ……っ……)

真姫「つ、付き合って、ないわよ……だ、だって……」

穂乃果「?」

真姫「……う、海未ちゃん、は、にこちゃん、と、」

海未「ま、真姫!」

真姫「えっ」

海未「ち、違うんです……実は……その……わ、私とにこは、付き合っていなくて……」

真姫「……えっ」

海未「すいません……嘘を、付いてました……ね、にこ」

にこ「……ええ」

真姫(……えええええぇっ!?)

真姫「な、なんで、じゃあ、そんな嘘……!?」

海未「そ、それは、その……」チラッ

にこ「……」

海未「……な、なんとなく、です」

にこ(……あーもう、ヘタレ)

真姫「そ、そうなん、だ……」

海未「は、はい……すいません、その……はい……」

真姫(……こう思ったら、いけないのかもしれないけど……なんかちょっと、安心、した)

真姫「……はぁ」

海未「すみません……」

穂乃果「……? な、何が起こってるの?」

にこ「……さぁ」

にこ(まあ、結果オーライってとこかしらね……)
 
168: (SB-iPhone) 2017/11/01(水) 23:22:55.29 ID:ZUpUNzyu


穂乃果「じゃあ、また今度絶対みんなで遊ぼうね!」

真姫「はいはい」

にこ「今日はいろいろありがとう」

海未「いえ。 お気を付けて帰ってください」

穂乃果「ばいばーい!」

にこ「穂乃果……夜なんだから、声落としなさいよ」

穂乃果「えへへ……ごめん……」

バタン

真姫「……」

海未「……」

真姫「……あ、か、片付けちゃう?」

海未「そ、そうですね……」

真姫「……はー、なんか、久々だったわね」

海未「な、なにがですか?」

真姫「あんなに、賑やかだったの」

海未「……ですね」

真姫「……う、海未、ちゃん」

海未「な、なんで、しょう……」

真姫「……き、今日、一緒の部屋で、寝ない?」

海未「えっ」

真姫「……いやならいい、けど」

海未「あ、え、っと……」

真姫「……」

海未「……ぜ、ぜひ」

真姫「……う、ん。 な、なら、さっさと片付け終わらせちゃいましょ」

海未「……は、い」



真姫(い、言っちゃっ、た……! つ、ついに言っちゃった……!///)ドキドキドキ

海未(う、うわぁぁぁぁ……私はどうしたらいいんでしょうか……!///)ドキドキドキ
 
181: (SB-iPhone) 2017/11/02(木) 23:29:16.18 ID:cheiIxDk


海未「お、お風呂あがりましたー……」

真姫「ええ」

海未(この後のことに緊張して、全然ゆったりできませんでしたが……)

真姫「えー……一緒の部屋で寝るって言ったけど、どっちの部屋で寝る?」

海未「あ、えっ、えーと……私は、どちらでも、かまいませんが……」

真姫「そう、ね……じゃあ、私が言い出したし、私の部屋でいい?」

海未「は、はい……真姫がいいなら……」

真姫「それに、海未ちゃんって床布団で寝てるでしょ? 私の部屋のベッドのが広いと思うから」

海未「い、一緒の布団で寝るんですか!?」

真姫「そ、そのつもりだったけど……」

海未(そ、そんな……///)

海未(こ、これは……もしかして……)

海未(し、初夜、というやつでは……///)ドキドキ

真姫「……」

真姫(……や、ばい。 この反応……引かれた?)

真姫「……い、嫌だったら、いいけど」

海未「いいい、嫌じゃないです! まったく!」

真姫「そ、そう……な、なら、もう、寝る?」

海未「ね、寝ましょうか」

真姫「……そうね」

真姫(あー……なんでこう、私って気の利いたことが言えないのかしら……)

海未(……緊張しすぎて変な態度になってしまいます)
 
183: (SB-iPhone) 2017/11/02(木) 23:38:15.72 ID:cheiIxDk


真姫「狭くない?」

海未「せ、狭くないです……」

海未(ま、真姫との距離がかなり近いです……)

真姫(2人だと案外狭いものね……)

海未(そ、それになんだかいい匂いが……って、これじゃあ変態みたいでは……)

真姫(……なんか海未ちゃんいい匂いする。 てか肌綺麗すぎでしょ……何使ってんのかしら……)ジッ

海未(……真姫とこんなに近付くことがあったでしょうか)チラッ

真姫「!」

海未「!?」

真姫(やば……ガン見してた……)

海未(……い、いきなり目が合ってビックリしました)

真姫「あ、え……電気消すわね」

海未「そ、そそ、そうですね」

真姫「お、おやすみなさい」

海未「はい……」

カチッ

真姫「……」

海未「……」

真姫「……う、海未ちゃん」

海未「……はっ、はい。 なんでしょう」

真姫「……スキンケアって、何かしてるの?」

海未「え、いや……特には」

真姫「……そう」

真姫(会話が……)

海未(あああ……会話を終わらせてしまいました……)
 
184: (SB-iPhone) 2017/11/02(木) 23:49:57.52 ID:cheiIxDk
海未(こ、今度は私から話題をふらないと……)

海未「……ま、真姫は、」

真姫「……なに?」

海未「髪……その……このまま伸ばすんですか?」

海未(髪って……もう少しいい話題があったのでは……)

真姫(い、いきなり髪の話……!?)

真姫(えー……っと……えーっと……)

真姫「そ、そうね……結ばないと、いけないことが多いから……」

海未「そうなんですか……」

真姫「海未ちゃんこそ……切らないの?」

海未「む、昔から伸ばし続けていたので、今更切るのも……という、感じ、ですかね……」

真姫「へぇ……」

海未「……」

真姫「……」

海未(……いつもは、話題に困ることなんてないのに)

海未(……一緒の布団に寝るだけで、こんなにもおかしなことになるものなのでしょうか)

海未(私が変に意識しすぎなだけでしょうけど……)

海未(……ああ、情けない)

真姫「……その、にこちゃん、のことなんだけど」

海未「……! は、はい」

真姫「ほ、ほんとに、付き合ってないのよね?」

海未「……はい」

真姫「……もう1回、嘘ついた理由聞いてもいい?」

海未「……」

真姫「……無理にじゃないけど」

海未「……その、」

真姫「……ええ」

海未「……」

海未(……なんと、答えたらいいのでしょうか)
 
185: (SB-iPhone) 2017/11/02(木) 23:58:58.46 ID:cheiIxDk
真姫「ほ、ほんと、無理強いしてるわけじゃないから」

海未「あ、は、はい……えっ、と……」

真姫「……」

海未「……真姫」

真姫「……な、なに?」

海未「き、きいても、いいですか」

真姫「……?」

海未「私が、にこと付き合っている、と聞いた時……どう、思いました……?」

真姫「それって、どういう……」

海未「あ、あああ、違います……あの……私達自身の事ではなくて……女同士、とか、おかしい……みたいな……こと、とか」

真姫「……お、かしくは、ないんじゃない?」

海未「ほ、ほんとですか?」

真姫「ええ……別に……」

海未(……よかった)

海未(その言葉を聞けただけでも私は……)

真姫「……でも、なんだか」

海未「へ……?」

真姫「……嫌な感じがしたわ」

海未「……」

真姫「……分からないけど」

海未「……」

真姫「……」

海未「……本当は、嘘なんて、付きたくなかったんです」

真姫「……え?」

海未「ただ、どうしようも無くて……私が、卑怯で……」

真姫「……」


海未「……私、真姫のことが、好きかもしれないんです」
 
186: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 00:11:10.12 ID:1QWwJIQD
真姫「……」

海未(……ち、沈黙が)

海未(ぜ、絶対、真姫、心の中でドン引きしてます……)

海未「ま、真姫……」

真姫「……」

海未「……す、すいません」

真姫「え……あっ、謝ることじゃないでしょ!?」

海未「あ、はっ、はい!」ビクッ

真姫「……謝ることじゃないでしょ」

海未「……」

真姫「……私も、その、海未ちゃん、が」

海未「あ、いやいやいや! 無理にそういう事をいう必要は……!」

真姫「む、無理じゃないわよ!」

海未「お、お気遣いなく……!」

真姫「だっ、だから……! 気をつかっても……っ、あああ……もう……!」

海未「……すいません」

真姫「……謝らないでってば」

海未「……」

真姫「……」

海未「……真姫、ち、近付いてもいいですか」

真姫「……はっ?」

海未「か、顔が見たいです……」

真姫「な、なんで……?」

海未「……真姫が、今どう思っているかが、分からないからです」

真姫「……」

海未「暗くて、ここからだとあんまり顔が見えないので……」

真姫「……え、っ」

海未「……はい?」

真姫「……え、っ、工  、する?」

海未「……!!!?///」
 
187: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 00:19:54.93 ID:1QWwJIQD
海未「な、ななな……なんで……///」

真姫「し、知らないわよ! でも、な、なんか、ふ、雰囲気が……そうだから!」

海未「え、っ……だ、そ、そう、いうのは、段階をですね……!///」

真姫「だ、段階とか言う歳なわけ……!?」

海未「えええ……!?///」

真姫「う、海未ちゃん今年何歳よ」

海未「……26歳、ですが」

真姫「ほ、ほら……10年前ならまだしも……四捨五入したら30歳よ」

海未「しっ、四捨五入しなくてもいいじゃないですかっ!///」

真姫「……ほ、ほら、こっち来てよ」

海未「ほ、ほんとに……? ほんとにするんですか……?///」

真姫「……う、うるさいわね。 もう黙っといてよ……」

海未「……は、はあ」

真姫「……」

海未「……」

真姫「……チッ」

海未「……あ、あの、真姫、さっきから何してるんですか?」

真姫「……暗くて、手元が見えない……!」

海未「え?」

真姫「……だ、大体、ボタン付きのパジャマとか着てるんじゃないわよ!」

海未「そ、そんな理不尽な……!///」

真姫「見えないから脱がせられないし……」

海未「えぇ……と、というか普通に脱がそうとしないでくださいよ!///」

真姫「えっ、エ チするんだからいいでしょ……!///」

海未「まだするだなんて言っていません!///」
 
188: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 00:30:33.64 ID:1QWwJIQD
真姫「……も、もういいからキスしましょ」

海未「い、いきなりすぎません!?」

真姫「キスするわね、って宣言しないとしたらいけないわけ!?」

海未「い、いけないわけではないですが……!」

真姫「……な、ならいいじゃない」

海未「で、ですがちょっと、焦りすぎなような……」

真姫「……ちゅっ、」

海未「んっ……!?///」

真姫「んむ……っ、ちゅっ、ん……」

海未「……っ、ちょっ、と、……ふ、っ……んんん……///」

真姫「……ん、」

海未「……っ、いっ、っっ!」

真姫「!」ビクッ

海未「いっ……た……」

真姫「う、海未ちゃん……? ど、どうしたの……!?」

真姫(で、電気……!)

カチッ

海未「いたた……」

真姫「だ、大丈夫……!? ご、ごめんなさ……」

海未「い、いえ……すこし、唇が、痛かっただけですので……あっ、」タラー

真姫「……!」

真姫(血が……!)

海未「……す、すいません。 き、切れてしまったようです」

真姫「」
 
196: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 22:53:38.90 ID:6OmOlkjY


真姫「……」ドヨーン

真姫(……酷い顔)

真姫(あの後……出血した海未ちゃんにわたわたしてたら朝が来てた……)

真姫(……はぁぁ)

真姫(……昼から、仕事したくない)

真姫(でも、そろそろ行かなきゃ……)

真姫(いつまでもトイレの洗面台でにらめっこしてても……)

ガチャッ

真姫「!」ビクッ

真姫(……やばっ、誰かきた)

ことり「……」

真姫「……! ことり、」

ことり「ま、真姫ちゃ……っ、うぇっ、」

真姫「……!? ど、どうしたの!? 顔真っ青よ……!?」

ことり「ちょっ、と……気分悪くて……」

真姫「だ、大丈夫……!?」

ことり「うん……っ、けほっ、っ、ごほっ、」

真姫「ち、ちょっと!」

ことり「……お、ぇっ……げぼっ、ご、ほ、っ」

真姫「こ、ことり……」

ことり「だ、だいじょ、……っ、げ、っ、おぇっ……」

真姫「し、喋らなくてもいいから……」

真姫(いきなり、どうしたのかしら……た、体調不良? 食あたり?)

真姫(ここ病院だから、すぐに治療はできるけど……)

ことり「ごほっ、っ、っ、うぇっ……」

真姫「……」
 
197: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 23:03:40.18 ID:6OmOlkjY


真姫「……落ち着いた?」

ことり「……うん。 ごめんね」

真姫「いいけど……どうしたの? なにか、変なもの、食べたとか……」

ことり「……ううん。 違うの」

真姫「……」

ことり「ちょっと、気持ち悪くなっただけだから」

真姫「……そう」

ことり「……」

真姫「今日も、小児科に?」

ことり「うん。 ちょっと、この前より、本格的なこと、話してて」

真姫「へぇ……今日は、あいつに絡まれなかった?」

ことり「……ちょっとだけ」

真姫「……あー、ごめんなさい」

ことり「だから、真姫ちゃんは悪くないでしょ? 謝らないでってば」

真姫「……デザイン、今日はどうだった?」

ことり「……どうって?」

真姫「ダメ出しとか、された?」

ことり「……されてない」

真姫「ことりは満足してるの?」

ことり「……してない」

真姫「……そっか」

ことり「……何が言いたいの?」

真姫「あ、いや……その、この前、言ってたでしょ? いまいち、だって、」

ことり「……うん」

真姫「だから、気になって」
 
198: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 23:13:16.37 ID:6OmOlkjY
ことり「……関係ないよ。 みんな、私を見るんだもん」

真姫「……」

ことり「……」

真姫「……気にさわったら、ごめんだけど」

ことり「……なに」

真姫「それ、って、言い訳……じゃないの、かしら、って」

ことり「……え?」

真姫「だって、自分でデザインがいまいちだ、って思ってるなら……提出する前に、手を施したりとか、」

ことり「……」

真姫「直したりとか、いろいろできるんじゃないの?」

ことり「……真姫ちゃんには分かんないよ」

真姫「……」

ことり「真姫ちゃんには分かんないよ。 私の気持ちなんて」

真姫「……ことり」

ことり「私は、好きな人に可愛いって言われたいから可愛くしてるの。 可愛くなりたいの」

真姫「……」

ことり「それなのに、その容姿のことでこういう結果になってるのにさ、言い訳なんて言われたって、そんなの分かってるはずがないよ」

真姫「……確かに、ことりの気持ちは分からないけれど、あくまで改善策を伝えただけ」

ことり「……」

真姫「なんなら私が、直接担当者に話してもう1回デザイン案出したいってことりが言ってるって伝えても、」

ことり「……っ、余計なことしないで!」

真姫「……こと、」

ことり「余計なことしないでよ……!」

真姫「ことり、あの、私……」

ことり「……もういい、帰るから」

真姫「ことり、待っ、」

バタン

真姫「……」

真姫(……はぁぁ、やっ、ちゃった)
 
199: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 23:28:39.09 ID:6OmOlkjY
真姫(……寝不足でイライラしてたのとか、この間からモヤモヤしてたのとかもあって、完全に言いすぎた……)

真姫(……正論言ったつもり、だったけど……ことりにも、ちゃんと思う所は、あった、だろうに、)

真姫(さいっあく……)

真姫(謝らなきゃ……)

真姫(……謝る……って、いっても、なんて言って謝れば……)

真姫(多分、電話には出でくれないだろうし……)

真姫「……」

真姫(……そう、だ、)

真姫(ことりって、エリーと付き合ってる、のよね……)

真姫(……エリーに、それとなく伝えてもらえば、もしかしたら、)

真姫(……)ポチポチ


プルルルル…


絵里『……真姫? どうしたの?』

真姫「エリー、ちょっと今いいかしら?」

絵里『ええ。 ちょうど今昼休みに入ったところよ』

真姫「……あ、え、と」

絵里『?』

真姫「今、ことりと……付き合ってる、のよね?」

絵里『えっ……! あ、そ、そ、そうね』

真姫(……や、やっぱり、事実、なのね)

真姫「その、ことりのね、ことなんだけど……ちょっと、今日ね……」

絵里『……?』
 
200: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 23:42:21.21 ID:6OmOlkjY


ガチャッ

絵里「……ただいま」

ことり「あ……! 絵里ちゃんおかえり」

絵里「……ことり」

ことり「え、な、なに……?」

絵里「……今日、真姫と病院で会った、のよね」

ことり「……会った、けど」

絵里「その時、何を話したの?」

ことり「……別に、なにも。 お仕事のことだよ?」

絵里「……」

ことり「……」

絵里「……真姫、謝ってたわよ」

ことり「……え?」

絵里「ことりの気持ちを考えずにひどい事言っちゃった、って。 昨日イライラしてて、その延長でつい言いすぎてしまった、って」

ことり「……そんな、こと、言われたって」

絵里「……真姫はまるで全部自分が悪い、みたいな言い方だったけれど、話を聞く限り、ことりにも少し非があるような気がしたのだけれど」

ことり「……」

絵里「……ことりも、真姫に謝った方がいいんじゃない?」

ことり「……」

絵里「……」

ことり「……やだ」

絵里「……はぁっ。 ことり」
 
201: (SB-iPhone) 2017/11/03(金) 23:52:52.48 ID:6OmOlkjY
ことり「……」

絵里「……私が電話掛けてあげましょうか?」

ことり「いい。 謝らないから……」

絵里「……謝らなきゃ」

ことり「……絵里ちゃんは、真姫ちゃんの味方なの?」

絵里「いや違うわよ……私は、あくまで公平に、」

ことり「公平、じゃなくて、ことりの味方してよっ!」

絵里「そ、そんな、こと言われたって……」

ことり「絵里ちゃんはことりのこと好きじゃないの!?」

絵里「好きだからこそ言ってるのよ……?」

ことり「……ことりの味方して」

絵里「あ、あのね……ことり……」

ことり「……ことりはね、世界中のみんなに嫌われても、絵里ちゃんにさえ好かれてればいいよ」

絵里「……」

ことり「……ほんとだよ」

絵里「……ある、わけないでしょ。 世界中のみんなから、嫌われるだなんて」

ことり「……例えだもん」

絵里「……」

ことり「だから、絵里ちゃんはことりの味方してくれなきゃダメなの。 ことりのこと、もっと好きになって」

絵里「……」

ことり「……ね、お願い」

絵里「……」

絵里(困った、わね……)

絵里(はぁ……)
 
213: (SB-iPhone) 2017/11/04(土) 22:49:46.74 ID:n46spOc/


海未「それはそうと……絵里が私に相談だなんて珍しいですね」

絵里「だって……海未ならことりのことたくさん知ってるじゃない……」

海未「いやいや、知りませんよ。 ことりと最近出会っていませんし……絵里の方が今は詳しいのでは……」

絵里「……そうかしら」

海未「……た、多分、はい」

絵里「……でも、真姫に謝らないだなんて」

海未「……」

絵里「おかしいわよ……」

海未「……真姫の言い方が相当キツかった、とかは考えられませんか?」

絵里「話聞く限りそんな風には……というか、やっぱり海未はことりの肩を持つのね……真姫が好きでも……」

海未「なっ、ち、違いますよ! ただ……あまり話が把握出来ていない、といいますか……」

絵里「ふぅーん……」

海未「と、というか、絵里まで肩を持つ、とか言ってはダメです! いたちごっこでは埒が明きません……」

絵里「……そうね」

海未「……絵里」

絵里「私、ことりのこと大事にしてない……?」

海未「そ、それは絶対にないですよ!」

絵里「……」

海未「……絶対です」

絵里「でも、現に……海未の家に今、来てるし……私ってば悪い女ね……」

海未「それは悪いことではないですよ……しっかりしてください、絵里……」

絵里「ことりにバレたらまたなんて言われるか……」

海未「あぁ……」
 
214: (SB-iPhone) 2017/11/04(土) 23:03:41.87 ID:n46spOc/
絵里「はぁぁぁ……」

海未「……顔色悪いですよ」

絵里「ああ……最近……仕事の方も忙しくて……」

海未「……」

絵里「……疲れたわ。 なんか」

海未「……あの」

絵里「……? なに?」

海未「ことりと……その、付き合ったきっかけ、を、聞いても……いいでしょうか」

絵里「え……な、なんでいきなり」

海未「気になったので……」

絵里「……」

海未「ことりは、前に凛と付き合っていたのですよね?」

絵里「……知ってたの?」

海未「は、はい……一応……」

絵里「……」

海未「……ことりと凛、って、なんだか意外だなと、思ったんです」

絵里「……」

海未「ことりは、どちらかと言うとおしとやかな感じで……凛は、天津万欄というか、元気いっぱいというか……」

絵里「……」

海未「その2人が付き合っていた、ということは、よっぽどなにか、息があっていた、というか……仲が良かったのだろうな、と思います」

絵里「……逆ね」

海未「え?」

絵里「……ことりが言うには、ついていけなくなった、とか、喧嘩が絶えなかった、とか」

海未「……」

絵里「最初は仲が良かったんですって。 でも……次第に、そういうことが増えて……」

海未「……」

絵里「……まあ、ことりが言うことだから、全部が全部真実、とは言いきれないけどね」
 
215: (SB-iPhone) 2017/11/04(土) 23:19:00.01 ID:n46spOc/
海未「それで、別れた後、ことりは、絵里と……?」

絵里「……ええ」

海未「……」

絵里「たまたま、出会ったのよ。 凛と別れてから間もなかったことりと」

海未「……はい」

絵里「こっちもこっちでね、ロシアから帰ったばっかりで、久々にμ’sメンバーに出会ったものだから……うかれちゃってて。 ことりとはよく遊んだり、話したりするようになったの」

海未「……」

絵里「そのうち、ことりは……凛と付き合っていた頃の話をしだすようになったわ。 最初はね、楽しそうに凛との思い出を話すから……凛とのことは思い出として割り切ってるんだな、ってそう思ってた」

海未「……最初は、ということは……」

絵里「……ええ。 どんどんとね、喧嘩した話や、言い合いをした話が増えてきて……同時に、ことりはまだ凛に未練が残ってるってことが分かってきて」

海未「……はあ」

絵里「……私は相談相手みたいになって、ことりと長い時間を過ごすようになったの」

海未「……」

絵里「それ、で……まあ、ちょっと、あっちの話になっちゃうけど……」

海未「……?」

絵里「……やっ、ちゃったのよね」

海未「……はい?」

絵里「……」

海未「……あの、何をしたんですか?」

絵里「……も、もういいわ。 この話は飛ばしましょう」

海未「って、なんでですか」

絵里「そこから……ずるずる付き合うようになって……今に至る、って感じね」

海未「なるほど……大体の話の流れは分かりました」

絵里(ほんとかしら……)
 
220: (SB-iPhone) 2017/11/04(土) 23:38:44.41 ID:n46spOc/
海未「絵里は……ことりのことが好きですか?」

絵里「……好きよ」

海未「話だけ聞くと……言い方は悪いですが、ことりに都合よく使われているだけのように聞こえますが……」

絵里「そっ、そんなことないわよ。 ほんと、私は……ことりが、好きよ……」

海未「……ことりは、絵里のことが好きなんですよね?」

絵里「……多分」

海未「ですが、絵里は……」

絵里「……」

海未「絵里は、いつも、人に悟られまいと、気を使って話をしているような気がします」

絵里「……」

海未「……なに、隠してるんですか」

絵里「……ふふ」

海未「なっ、なんですか……? 人が真剣に……!」

絵里「……ううん。 海未がいい子で、笑っちゃったの」

海未「……馬鹿にしないでくださいよ」

絵里「してないわよ!」

海未「ほんとでしょうか……」

絵里「……海未、」

海未「……はい?」

絵里「手握っていい?」

海未「え、な、なんでですか」

絵里「いいでしょ。 ほらほら」

海未「ま、まあいいですけど……」

絵里「あー……あったかい」ギュッ

海未「……変ですね、絵里は」

絵里「変かしら?」

海未「変です……ふふふ」

絵里「……ふふっ」
 
221: (SB-iPhone) 2017/11/04(土) 23:45:31.80 ID:n46spOc/
ガチャッ

真姫「ただいまー……って、なにやってるのよ」

絵里「あら、お帰りなさい」

海未「まっ、!?」パッ

真姫「……別に、手繋いだままでもいいけど」

海未「ち、ちちち違いますからね!? 絵里とはそういうのでは……!」

真姫「……はぁっ。 四捨五入したら30なのに、手繋ぐくらいで狼狽えてるんじゃないわよ」

海未「だからその言い方やめてくださいって!」

絵里「ほんとよね。 私も四捨五入したら余裕で30だわ」

海未「……」

真姫「……」

絵里「……なんで地雷に触れたみたいな顔してるのよ、ねぇ」

真姫「……そういえば夜ご飯買ってくるの忘れてた。 買ってくるわね」

海未「あ、わ、私、家にあるもので適当に作りますよ……?」

真姫「……いい。 なんにしろ、外に用あるから」

海未「そう、ですか……」

絵里「……」

真姫「じゃあ、ちょっと行ってくるから」

バタン

海未「……はぁ」

絵里「……あらあら? なんだか真姫と上手くいってない感じなのかしら?」

海未「ま、まあ……諸事情が、ありまして」

絵里「?」
 
223: (SB-iPhone) 2017/11/04(土) 23:58:58.29 ID:n46spOc/
海未「こ、この間……ま、真姫と、寝たんです……」

絵里「……!? 寝た!?」

海未「は、はい……」

絵里「ね、寝たって……」

絵里(……待ちなさい、絵里。 海未のことだから……どうせ、純粋に寝たって意味よ……)

絵里「……で、どうしたの」

海未「はい。 そ、れで……ま、真姫が……」

絵里「ええ」

海未「……そ、の……えっ、っ、っ、あ、あの、えっ……///」

絵里「お、落ち着いて……あっ、分かった。 エ チしようって誘われたのね?」

海未「な、なんでわかったんですか!?///」ガタッ

絵里「え……ほ、ほんとに、そうなの?」

海未「……だ、だって、真姫が、い、いきなり……///」

絵里「ふーん……どうだった?」

海未「……ど、どうだった、とは」

絵里「気持ちよかった?」

海未「え、いや……い、痛かったです」

絵里「……そ、そんなに激しく?」

海未「出血しました……」

絵里「……激しすぎないかしら?」

海未「口から……」

絵里「……くち?」

海未「はい。 私の口から」

絵里「……ハラショー」
 
224: (SB-iPhone) 2017/11/05(日) 00:05:11.52 ID:Hko6qCOW
海未「で、ですので、こ、行為自体は……キス、だけなんです」

絵里「そ、そうなの……」

海未「……それで、それからというもの、真姫の様子が、どこか私を避けてる感じで……」

絵里(……多分、真姫のプライドとか、その他もろもろのものがボロボロになっちゃったのね)

絵里(真姫と海未はセ   すらまともに出来ていない、っていうのに……よっぽど、こっちの悩みは贅沢ね……)

絵里(……まって、そうなる、と……私って、もしかしたらことりとセ   出来るから付き合ってるの……?)

絵里(……現に私、ことりと毎日のように、シてるわね)

絵里(ことりの性欲が強いからだって、勝手に思ってたけど……思えば、私も……割と、乗り気な、ような……)

絵里(ことりの外見は好きだし……ことりも、多分、私の外見が、好き……)

絵里(……Win-Winといえば、そうな気もするけど……ことりは、私に依存、というか……私に、好かれることに、付き合う価値を見出してる……)

絵里(じゃあ私……私は……?)

絵里(ことりと、なんで、付き合ってるの……?)

絵里(やっぱり、セ   できるから……?)

絵里(いや、そんなはずは……)

絵里(でも、だとしたら……)

絵里「……ええ、ちょっと……私、最低、すぎ」

海未「……?」
 
242: (SB-iPhone) 2017/11/05(日) 23:10:26.64 ID:Hko6qCOW


真姫「……」

真姫(……なんっで、エリーがいるのよ)

真姫(手繋いでるくらいで~、とか、言ったけど……)

真姫(……でも、)

真姫(……私が、どんなに頑張っても出来ないことを、エリーが簡単にやってのけるのはほんとムカつくわ)

真姫(……海未ちゃん、内心、この前のことどう思ってるのかしら)

真姫(気持ちが分からないとこっちも行動しようがないし……)

真姫(……そうだ)

真姫(エリーに言伝頼んだとはいえ……ことりに、改めて連絡入れとかなきゃ……)

真姫(私が原因で、ことりの仕事に差し支えるような結果になっちゃったら元も子もないしね……)

真姫(……最近踏んだり蹴ったりすぎ)

真姫「……はぁ」ポチポチ


プルルルル…


ことり『……もしもし?』

真姫「あ、ことり? その、この前の、ことなんだけど……」

ことり『……私、謝らないから』

真姫「え……? ち、ちょっとまって、私が謝ろうとしてるのよ?」

ことり『……嘘ばっかり』

真姫「……」
 
243: (SB-iPhone) 2017/11/05(日) 23:23:37.38 ID:Hko6qCOW
ことり『絵里ちゃんに、話したんでしょ?』

真姫「……話した、けど」

ことり『……そうやって、絵里ちゃんに私のこと嫌いにさせようとしてるんでしょ』

真姫「違うわよ! 私は……ことりが絵里と付き合ってるって知ってたから……」

ことり『だから? だから、そんなひどいことするの?』

真姫「ひどいこと……って」

ことり『……私は、絵里ちゃんと付き合ってるんだよ?』

真姫「……」

ことり『……邪魔しないでよ』

真姫「……してないわよ」

ことり『してるじゃん』

真姫「……私がいつしたの?」

ことり『……絵里ちゃんは私の恋人なのに、すぐに目移りするの』

真姫「……」

ことり『絵里ちゃんが、他の人好きになったらどうするの。 私はもっと好かれたいし、絵里ちゃんの為に可愛くなりたいし、ずっとずっと好きなの』

真姫「……エリーってそんな人なの?」

ことり『え……?』

真姫「エリーのこと好きなら、信じてあげなさいよ。 それが出来ないなら、好かれないのも当然だと思うけど」

ことり『……だから、真姫ちゃんに何がわかるの』

真姫「別に、ことりのことが分かるとは言ってないでしょ」

ことり『……』

真姫「……」
 
244: (SB-iPhone) 2017/11/05(日) 23:32:21.30 ID:Hko6qCOW
ことり『……分かんないなら、口出ししないで』

真姫「可愛い可愛い、って言われて辛い気持ちなんて、一生私は分からなくてもいい」

ことり『……なに、が?』

真姫「疲れるでしょ。 そんなの」

ことり『別に、疲れないよ。好きな人のために可愛くしてるから』

真姫「……それならいいんじゃないの」

ことり『……』

真姫「とにかく、デザインのお仕事任されたならちゃんとしてよね」

ことり『……偉そうに言わないで』

真姫「可愛いからって理由で、手抜きされてたら嫌だから」

ことり『……手抜きなんかしてない』

真姫「あと、エリーのことほんとに好きなら、エリーの気持ちも考えてあげた方がいいわよ」

ことり『……っ、そんなの考えて、』

真姫「……じゃあね」

ピッ

真姫「……」

真姫(帰ろ……)
 
245: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 00:03:17.68 ID:fEPXH4Fz


真姫「……はぁー」

真姫(忙しいし……結局海未ちゃんともなにも進展してない……)

真姫「……」イライラ

「あ、西木野さん」

真姫「……はい?」

「西木野さんに、会いたいって人が……」

真姫「……? 今行きます」

真姫(誰……?)

ガチャッ

真姫「あ……」

ことり「……」

真姫「……ことり」

ことり「今、ちょっと、時間いい?」ムスッ

真姫「……」

ことり「……」

真姫「……ある、けど」

ことり「じゃあちょっと……来て」

真姫「分かった、わ……あ、ちょっと待ってて」

ことり「うん」


真姫(ま、まさか、ことりの方から私のところに来るなんて……)

真姫(……何の用かしら)

真姫(刺されたりしないわよね……)

真姫(……まあ、病院内だし、最悪私に何かあっても……ね)

真姫「ふふふ……」

「に、西木野さん、大丈夫?」

真姫「……はい」
 
247: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 00:12:30.44 ID:fEPXH4Fz


ことり「……これ」スッ

真姫「あ……えっと、これ、って」

ことり「デザイン、考え直してみたの」

真姫「……」

ことり「……どう?」

真姫「ええ……」

ことり「……」

真姫「……すっごく、いいと思う」

ことり「じゃあ、これ責任者さんに渡しといて。 私からキャンセルしてやっぱりこっちのデザインでって言いづらいから」

真姫「もちろんいいけど……」

ことり「……」

真姫「……ありがとう」

ことり「……真姫ちゃんさ、」

真姫「? なに」

ことり「……なんでそんなに私に遠慮がないの」

真姫「……え?」

ことり「みんな、私には甘いもん」

真姫「……」

ことり「……だから、変な感じ」

真姫「ぷっ……」

ことり「……なに」

真姫「っ、ふ、あははっ……なに、それ……」

ことり「笑わないでよ。 真剣なんだけど……」

真姫「ふふふ……っ……」

真姫(確かに……ことりの周りって、海未ちゃんといい、エリーといい、みんなことりに甘々よね……)
 
248: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 00:28:49.63 ID:fEPXH4Fz
ことり「なんで笑うの……」

真姫「……ごめんなさい。 なんでもないわ」

ことり「……」

真姫「だけど、やっぱりことりはすごいと思うわ」

ことり「……なにが?」

真姫「デザイン。 見た瞬間、ほんとにすごいって思ったの」

ことり「……」

真姫「お、お世辞じゃないわよ?」

ことり「……変なの」

真姫「え?」

ことり「ことりの本性知ってて、優しくしてくれるんだもん」

真姫「……」

ことり「……なんで?」

真姫「……私は、今のことりの方が好きよ」

ことり「……」

真姫「だから、どんな態度でも大丈夫」

ことり「……やっぱり真姫ちゃんって変」

真姫「失礼ね」

ことり「……あはは」

真姫「……ことりこそなんで笑うのよ」

ことり「……なんか、元気出た」

真姫「あっそう。 それは良かったわ」

ことり「なんかお腹空いた……」

真姫「……今日仕事終わったらなにか食べに行く?」

ことり「え? ほんと? 真姫ちゃんの奢りか~やった~」

真姫「歳下にたかるっていい度胸してるわね……」
 
263: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 21:33:12.09 ID:DzKRoW2W


絵里「海未! ごめんなさい、遅くなっちゃって……」

海未「い、いえ、いいんです」

絵里「ふふ、今日は海未からのお誘いなのね」

海未「……真姫が、今日は夜遅くなるというので」

絵里「……そう」

海未「……」

絵里「さ、どこ行きましょうか」

海未「あ、どこでも……特には……」

絵里「……また、私の家くる?」

海未「え……」

絵里「……おいしいお酒があるの。 嫌ならいいわ」

海未「……」

絵里「……」

海未「……じっ、じゃあ、」

絵里「ええ」

海未「お、お邪魔、します」

絵里「……向かいましょうか」

海未「は、はい……」

絵里「……」

海未「……」チラッ

海未(……本来なら、断るべき、なのでしょうが)

海未(……断れませんでした)

海未(最低ですね……)

海未「……」

絵里「……なに緊張してるの?」

海未「しっ、してませんよ……!」

絵里「ふふふ、それならいいけど」
 
264: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 21:44:52.67 ID:DzKRoW2W


ことり「わー、おいしそう」

真姫「……」

ことり「いただきまーす」

真姫「……ねぇ、ことり」

ことり「なぁに」

真姫「ほんとにラーメン屋でよかったの?」

ことり「なんで? ここのラーメン屋さんすごく美味しいんだよ」

真姫「……そう」

真姫(ことりって案外こういうものも食べるのね……)

真姫(マカロンとかケーキとか、そういうものばっかり食べてそうなイメージだったわ……)

ことり「意外って思ってるでしょ」

真姫「……まあね」

ことり「甘いものとか大好きだけど、もちろんラーメンとかも食べるよ」

真姫「……よく太らないわね」

ことり「太ったら可愛くなくなるから、太りたくないもん」

真姫「……そう」

ことり「……」

真姫「……じゃあ食べた後に吐くのやめた方がいいわよ」

ことり「……なんのこと?」

真姫「吐きダコと、あと、顔ちょっと浮腫んでるし。 吐いてるでしょ、自分で」

ことり「……えへへ、流石お医者さん」
 
265: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 21:50:34.44 ID:DzKRoW2W
真姫「はぁ……えへへ、じゃなくて。 今はいいかもしれないけど、歳とってから響くわよ」

ことり「今がいいからいいの。 どうせ、歳とったら可愛くなくなるし」

真姫「そうは言っても……後から太りやすくなるし、内蔵ボロボロになるし、歯だって溶けるのよ」

ことり「歯かぁ……歯はちょっと困るなぁ……」

真姫「歯以外もやばいから。 その他の病気にだって……」

ことり「ふーん……」

真姫「ふーん、って……あなたねぇ……」

ことり「綺麗なおばさんになってもねー、って感じだし」

真姫「……せめて綺麗に老ける努力くらいしたら?」

ことり「え~」

真姫「ことりなら絶対綺麗に歳とれるって」

ことり「そんなことないよ」

真姫「あんたの親の理事長だって綺麗に……」


ガラッ

「いらっしゃいませー何名様ですか?」

「いーち、にー……あ、4人で」

「4人ってなんで抜かすんだよ! 5人だろ!」

「はいはい、うっさいなー、じゃあ5人で」

「かしこまりました。 5名様入りましたー」

ガヤガヤ…


真姫「……なんだか騒がしい連中が入ってきたわね」

ことり「そうだね……あっ、」

真姫「どうしたの……? あ、」

凛「……!」

真姫「凛……!」
 
266: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 21:59:23.08 ID:DzKRoW2W
凛「真姫、ちゃん……」

「え、だれだれ? 凛の知り合い?」

凛「えっ……ま、まあ……」

「かわいーじゃん! お前こんな可愛い子と知り合いなのかよー」

凛「う、うるさいなー……」

「あれじゃね、μ’sのメンバーだっけ」

「あー、昔流行ったなそういえば」

凛「……い、いいから。先に席いってて」

「はいはい。 遅かったら勝手にお前の分も注文すっから」

「ひでー」

「あはは」


真姫「……元気だった?」

凛「う、うん」

真姫「それにしては元気なさそうね」

凛「そ、そんなことないよ! 元気だよ!」

真姫「……にゃー、ってやめたの?」

凛「あー、うん。 前にね……あはは、流石にね……」

真姫「可愛くて……よかったのに。 ね、ことり」

ことり「……」

真姫「……ことり?」

ことり「……真姫ちゃん、店出よう」

真姫「え? まだ食べてる途中じゃ、」

ことり「いいから。 ことりがお金払うし」グイッ

真姫「え、あ、ちょっ、と……!」

ことり「……」スタスタ

真姫「ま、待ちなさいよ……り、凛、ごめんなさい。 また、今度ね……」

凛「……う、ん」
 
267: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 22:15:28.51 ID:DzKRoW2W


ことり「……」スタスタ

真姫「ことり、ことりっ、ちょっと、!」

ことり「……」スタスタ

真姫「……っ、ことり!」

ことり「……」

真姫「……い、いい加減、手痛いんだけど」

ことり「……」

真姫「それに……凛に久々に会ったっていうのにあの態度は……」

ことり「……久々じゃない」

真姫「え……?」

ことり「……前に付き合ってたの」

真姫「えっ、」

ことり「……」

真姫「り、凛と?」

ことり「……もういい」

真姫「な、なんでもういいになるのよ……」

ことり「……」

真姫「何があったのよ……」

ことり「……ことりは、好きだったのに」

真姫「……」

ことり「……捨てられたの」

真姫「……」

ことり「好きな人ができたからって」

真姫「……」

ことり「……ことり、いっぱい我慢もしたし、喧嘩するたびにどうしたらいいかって悩んで、考えたのに」

真姫「……」

ことり「おかしいよ、こんなの」
 
268: (SB-iPhone) 2017/11/06(月) 22:25:02.78 ID:DzKRoW2W
真姫「……元気、だして」

ことり「……」

真姫「こういう時、なんて言ったらいいか、分かんないけど……」

ことり「……」

真姫「……コンビニいく?」

ことり「なんでコンビニ……」

真姫「ことり、甘いもの好きなんでしょ? その……最近のコンビニスイーツ、おいしい、って、聞くから……」

ことり「……人が落ち込んでるのにコンビニスイーツ」

真姫「だ、ダメ?」

ことり「……もう、今日は帰るからいいよ」

真姫「そ、そう……」

ことり「その代わり、また今度買って。 フ〇ミマの全種類」

真姫「全種類……!?」

ことり「今日ことり、ラーメン奢ったもん」

真姫「ええぇ……ま、あ、いいけど」

ことり「……えへへ、やった」

真姫「はぁ……送ってく? ことりの家この近くでしょ?」

ことり「うー、ん……いいや。 今日、絵里ちゃんの家行こうかなって思ってて」

真姫「……そう。 気をつけてね」

ことり「うん。 今日はありがと」

真姫「……ええ」

ことり「今度、また一緒にどこか食べ行こうよ」

真姫「……まあ、どうしてもっていうならいいけど」

ことり「真姫ちゃん、かんじわる」

真姫「ことりにだけは言われたくない」

ことり「あははっ……じゃあ、ばいばい」

真姫「……またね」
 
284: (SB-iPhone) 2017/11/07(火) 23:15:49.51 ID:hyHYDjQL


凛「……」

「凛、さっきの人達と話し終わったの?」

凛「あ、うん……」

「なんか揉めた感じ?」

「よくわかんないけど、相手怒ってなかった?」

凛「い、いやぁ……はは、どうかな……」

「どうかなって……」

凛「……わかんないや」

「そっか……あ、早く注文決めろよ」

「そーそー。 お腹すいたー」

凛「うん……ごめんね」


凛「……」

凛(……ことりちゃん、前にも増してやつれてたな)

凛(全部、凛のせいだ……)

凛(次会った時、なんて言えば……)

凛「はぁぁぁぁぁ……」

「凛? ラーメンくわないの?」

凛「あー、食べる……もうちょっと待って……」

「?」


凛(……絵里ちゃんと、このままうまくいってくれればいいんだけどなぁ)
 
285: (SB-iPhone) 2017/11/07(火) 23:30:23.74 ID:hyHYDjQL


絵里「どう? おいしいでしょ?」

海未「……お、おいしいです……!」

絵里「ふふ」

海未「どこのお酒ですか?」

絵里「母国のものなの」

海未「へぇ……ロシアの方では、お酒が有名といいますもんね……えっと……ウォッカ、とか」

絵里「そうそう」

海未「私、あんまりお酒は飲まないのですが……このお酒はおいしいと思います」

絵里「よかった。 料理もお口に合うかしら?」

海未「はい。 もちろんです」

絵里「海未って綺麗に食べるわね」

海未「そ、そうですか?」

絵里「お箸の持ち方も上手だし、背筋も伸びてるし」

海未「それは……当たり前では、ないでしょうか」

絵里「最近は出来てない人も多いわ」

海未「……あ、りがとうございます」

絵里「……」

海未「……」

絵里「……まだお酒飲む?」

海未「い、いえ、もう……充分いただきました、ので……」

絵里「……そう。 海未、こっち向いて」

海未「……?」

絵里「……かわいい」

海未「え、っ、な、なにを……!?///」

絵里「ふふ」

ガチャッ…

海未「……? 何か、玄関の方で物音が……」

絵里「あー、……ちょっと、待ってて」

海未「……は、はい」
 
286: (SB-iPhone) 2017/11/07(火) 23:40:52.22 ID:hyHYDjQL


ことり「……」

絵里「……ことり」

ことり「……」

絵里「今日、来るって聞いてなかったの、だけれど」

ことり「……いちいち言わなきゃダメ?」

絵里「ダメ、ってことじゃない、けど……」

ことり「ならいいでしょ」

絵里「……ええ。 もちろんいいわ」

ことり「……なんか隠してる?」

絵里「隠してる、っていうか……あのね、ことり、たいしたことじゃないかもしれないけれど……」

ことり「……なぁに?」

絵里「あー……」

ことり「……」

絵里「……いま、海未がきてるの」

ことり「え……」

絵里「……ごめんなさい。でも、本当に来ているだけよ。 夜ご飯を作って、お酒を飲んでいるだけ」

ことり「……海未ちゃんとヤったの?」

絵里「……はぁ、してない」

ことり「……そう」スタスタ

絵里「え、ちょ、ことり……」

ことり「別に上がってもいいって言ったでしょ。 ダメになったの?」

絵里「……なって、ないわ」

ことり「……」

絵里「……」

ガチャッ

海未「……あ、ことり」

ことり「……海未ちゃん、久しぶりだね」

海未「ええ……あ、座りますか? 私、もうご飯食べ終わったので……」

ことり「……」
 
287: (SB-iPhone) 2017/11/07(火) 23:50:50.64 ID:hyHYDjQL
絵里「……私、ことりの分の料理も取ってくるわね」

海未「あ、手伝いましょうか?」

絵里「いいわ。 座ってて」

海未「は、はい」


海未「……」

ことり「……」

海未「……ことり、あの、」

ことり「海未ちゃん、絵里ちゃんのこと好きなの?」

海未「い、いえ、そんなことは……」

ことり「……」

海未「……だって、絵里はことりと付き合っているのですから」

ことり「うん、そうだよ」

海未「……」

ことり「なのにさ、よく絵里ちゃんの家来れたよね」

海未「すっ、すいません……悪気はなかったんです、」

ことり「というか海未ちゃんはにこちゃんと付き合ってるんじゃないの?」

海未「……!? い、いや、それは……! と、というかその情報どこから……」

ことり「っ、この……ビ チ……!」

ガシャーン!

海未「う、わっ……こ、ことり……?」

ことり「ふざけないでよ! ことりがどんな気持ちで絵里ちゃんのことっ……!」

海未「こ、ことり、動かないでください! 破片で怪我をしてしまいます!」

ことり「いい子ぶってんじゃねぇよ!」

海未「こ、とり……」
 
292: (SB-iPhone) 2017/11/08(水) 00:04:22.60 ID:6WR2V7Zq
絵里「な、なにやってるの!?」

ことり「大体なんで海未ちゃんの方が絵里ちゃんと会ってるの!? おかしいでしょ!?」

海未「……あ、あの、」

絵里「ことり、やめなさい!」

ことり「ことりは絵里ちゃんに釣り合うように努力してるの! 頑張って可愛くしてるの!」

絵里「ことり!」

ことり「それなのにっ……なんで、っ、!」

絵里「やめて、ったら!」

ことり「ことりが、ことりの方がっ……絵里ちゃんのこと、好きだもん!」

海未「すいません、ことり……」

ことり「謝ってどうにかなることじゃない!」

絵里「……やめなさい」

ことり「っ……」

絵里「ことり、もうやめなさい」

ことり「……なんで、」

絵里「海未も、怪我はない? 大丈夫?」

海未「あ、は、はい……」

ことり「なんで、海未ちゃんの味方するの……?」

絵里「……私、」

ことり「え……?」

絵里「そういうね、ことりの……自分が1番、自分の方が、自分だけが、ってところ、好きになれない」

ことり「……っ、」

絵里「もう私達、やっていけないと思う」

ことり「……」

絵里「……別れましょう」
 
317: (SB-iPhone) 2017/11/08(水) 23:07:18.25 ID:/gARoZUQ


凛「じゃーね。 また」

「凛ちっこいんだから誘拐されんなよー」

「そうそう。 タクシー拾ったら?」

凛「もー、大丈夫だよ。皆こそ早く帰んなよ」

「分かってるって」

「まったねー」

凛「……」

凛「……はぁー」

凛(さっむい……早く帰ろ……)

凛「……」スタスタ

凛(あー、ことりちゃんのこと気になる)

凛(もやもやもやもやして……ラーメンの味全然分かんなかった……)

凛(あそこのラーメン美味しいのに……)

凛(なんか損した気分……)

ドンッ

凛「あ、すいませ……」

ことり「……」

凛「……!? こ、ことりちゃっ、」

ことり「……」

凛「……ん?」

ことり「……」

凛(な、なんで、無反応……?)

凛「ことりちゃんっ? ことりちゃーん……?」

ことり「……」

凛「ことりちゃーーん!」

ことり「……」

凛「……っ、ちょっと、もう、来て」グイッ

ことり「……」

凛(あああ……何してんだろ……)
 
318: (SB-iPhone) 2017/11/08(水) 23:18:42.68 ID:/gARoZUQ


ガチャッ

凛「ただいまー……」

ことり「……」

凛「まあ、誰もいないんだけど……ってね」

ことり「……」

凛「……はは」

ことり「……」

凛「……そこ、座っていいよ。 散らかってるけど」

ことり「……」

凛「さ、最近、寒いよねぇ……えへへ」

ことり「……」

凛「へ、へ……」

ことり「……相変わらず、凛ちゃんの部屋少し散らかってるね」

凛「へっ!? ……あ、う、うん……そ、そうかな?」

ことり「うん……前よりは綺麗だけど」

凛「……」

ことり「……凛ちゃんのせいで、ことりも少し散らかす癖がついちゃったんだよね」

凛「そう、なんだぁ……」

ことり「……」

凛「……」

ことり「……凛ちゃんって、」

凛「……なに?」

ことり「まだ、ことりのこと好き?」

凛「え……?」

ことり「……エ チしたいな、って思う?」

凛「え、えーと……どういう、こと?」
 
320: (SB-iPhone) 2017/11/08(水) 23:27:58.26 ID:/gARoZUQ
ことり「深い意味はないけど」

凛「う、うーん……」

ことり「……」

凛「……す、好きだよ。 でも、エ チはちょっと……違うような、気がするかな」

ことり「それは、花陽ちゃんのことが今は好きだから?」

凛「……」

ことり「……そうなんだよね」

凛「……」

凛(な、なんて答えるのが、正解なんだろう……)

凛「こ、とりちゃんも、好きだよ……かよちんと、同じくらい」

ことり「……」

凛「……」

ことり「そんな嘘、つかなくてもいいのに」

凛「っ、え……?」

ことり「……こんな時くらい、正直に花陽ちゃんのことが好きって言ったらいいのに」

凛「えっ、と……」

ことり「……そういうとこ、やっぱり好きになれない」スッ

凛「こ、ことりちゃん……? か、帰るの?」

ことり「……」スタスタ

凛「ちょっと、待ってよ、」


バタン


凛「……」

凛「……あああぁ」

凛(分かんないよ、もう……)
 
322: (SB-iPhone) 2017/11/08(水) 23:51:36.76 ID:/gARoZUQ


ガチャッ

真姫「ただいまー」

真姫「……」

真姫(……まだ、海未ちゃんは帰ってないか)

真姫(明日も早いし……さっさとシャワー浴びて……)

プルルルル…

真姫「……?」

真姫(海未ちゃん……?)

真姫(こんな時間に何よ……お酒飲みすぎて動けませんとか言われたら知らないから……)ピッ

真姫「……もしもし?」

海未『っ、真姫……?』

真姫「……ど、うしたの?」

真姫(明らかに、なんか……様子が……変……)

海未『ぐすっ……真姫……うっ、ううっ……』

真姫「なっ、ど、どうしたのよ……!」

海未『ことりに、私は、酷いことをしてしまったかもしれません……』

真姫「……はぁ?」

海未『もう、許してもらえないかもしれませんし、呆れられたかもしれません……っ、ひっく……』

真姫「……どういうこと?」

海未『っ、私が、』

ブチッ

ツーツー……

真姫「……」

真姫「……は?」
 
323: (SB-iPhone) 2017/11/08(水) 23:55:33.52 ID:/gARoZUQ
真姫「……私が、?」

真姫(……なに!? 私が、なに!?)

真姫(なんでこんなタイミングで切れるのよ……海未ちゃんのことだからまた充電切れ……?)

真姫(外出する時は充電した方がいいわよっていっつも言ってるのに……!)

真姫(『私はスマホにはもう慣れたから大丈夫なのです!』って自慢げに話してたじゃないの……!)

真姫「はぁっ……」

真姫(というか……どうしたらいいの……)

真姫(海未ちゃん……ことりと、何があったのよ……)

真姫(ただの喧嘩ってわけでもなさそうだし……)

真姫(ことり……ことり、って……)

真姫(今日、エリーの家に行くって言ってたわよね……)

真姫(まさか……)

真姫「……」

真姫「……まさか、ね」

真姫(あー、明日仕事なのに……)

真姫「はぁぁ……」

真姫(……こんなの、行くしかないじゃない)

真姫(せっかく帰ってきたのに……!)

タッタッタッ…
 
324: (SB-iPhone) 2017/11/09(木) 00:10:18.89 ID:Cg1psje4


真姫「はぁっ……はぁぁ……」

真姫(全力疾走したのなんて何年ぶり……?)

真姫(疲れたし……足痛いし……)

真姫(体力落ちたなぁ……)

真姫「……はぁ、っ」

真姫「……」カチッ

ピンポーン

真姫「……」

真姫「……」カチッ

ピンポーン…


シーーーン……


真姫(……なんで、出ないのよ)

真姫(まさか……そもそも家にいない……?)

真姫(絶対、こっちの家にいると思ってきたのに……)

真姫(だとしたらまた探さなきゃ……)

真姫(そ、その前に電話……?)

真姫(……あ、れ)

真姫(……)ガチャッ

真姫(鍵、あいてる……)

真姫(……入っていいのかしら)

真姫「お、じゃましまーす……」ソロソロ



ことり「あれ……真姫ちゃん……?」

真姫「こ、とり……」

ことり「……なんで」

真姫「こ、とりこそ……なんで、そんな、冷たいところに座ってるの……」
 
326: (SB-iPhone) 2017/11/09(木) 00:19:11.62 ID:Cg1psje4
ことり「……」

真姫「……と、にかく、立って」

ことり「……」

真姫「立って、ほら」

ことり「……」

真姫「……ことり」

ことり「……」

真姫「こーとーり」

ことり「……」

真姫「ねぇ、冷たいでしょ……」

ことり「……」

真姫「せめて、そっちのソファに……ね」

ことり「……」

真姫「風邪ひくから」

ことり「……」

真姫「……どうしたの」

ことり「わかんない……」

真姫「……」

ことり「わか、んな……」

真姫「……」

ことり「……ぐすっ、く、うぇっ、わか、んない、っ」

真姫「……」

ことり「うっ、なんかっ、もう、わかんなくてっ……っ、ひっく、うっ、」

真姫「……」

ことり「なんで、こうなっ、ちゃうのか、っ……ぐすっ、わかんなくて、っ、いっつも、なんで、こん、なっ……っ、」

真姫「……」

ことり「ことりだけ、っ、みんなと、うまくいかなくてっ、それで、っ、ひっ、く、それでっ……」

真姫「……ことり、」

ことり「っ、うぅっ、ぐすっ……っ、ひっく……」
 
329: (SB-iPhone) 2017/11/09(木) 00:32:40.15 ID:Cg1psje4
真姫「……エアコンのリモコンどこ?」

ことり「ぐすっ……っ、ひ、っく……」

真姫「……とにかく、あったかくしなきゃ」

ことり「……っ、く」

真姫「あ、これ?」

ことり「……」

真姫「……ことり、これ?」スッ

ことり「……それ電気、の」

真姫「えっ、うそ」

ことり「見ればわかるでしょ」

真姫「……言われないと分からないわよ」

ことり「……」

真姫「というか……ことり、甘い物食べ過ぎ。 ゴミ箱の中……」

ことり「……見ないでよ」

真姫「目に入ったのよ。 そもそも、マメにゴミくらい捨てなさいよ……」

ことり「……」ポイッ

真姫「いたっ! いったぁ……なに、投げてるのよ」

ことり「リモコン。 暖房つけて」

真姫「ああこれがエアコンの……って、自分の近くにあったならことりが付ければよかったでしょ……」

ことり「……やだ」

真姫「ふっ、なにそれ……」

ことり「……」

真姫「……まっ、たく」

ことり「……っ、ふふ、」

真姫「なに、笑ってんのよ……」

ことり「笑ってないし……っ、あははっ……」

真姫「笑ってるじゃないの……ふふふ……」

ことり「いいから、暖房つけてってたら」

真姫「あーもう……はいはい」
 
348: (SB-iPhone) 2017/11/09(木) 23:56:05.07 ID:7/CQhVrw


真姫「ことりー? これ捨ててもいい?」

ことり「んんんー……これは……」

真姫「……」

ことり「……ダメ」

真姫「はぁ……これも?」

ことり「仕事で使うの」

真姫(ほんとかしら……)

真姫「……あの」

ことり「なに?」

真姫「部屋、この調子で片付くの……?」

ことり「うーん……多分」

真姫「多分、って……」

ことり「部屋片付けろって言ったの真姫ちゃんでしょ」

真姫「……そうだけど」

ことり「責任取って真姫ちゃんが最後まで付き合ってね」

真姫「あーもう……分かってるわよ」

ことり「……でもお腹すいたなぁ」

真姫「そうね。 もう昼だし……」

ことり「ねね、ご飯食べに行こうよ」

真姫「いいわね」

ことり「お掃除頑張ってるから、ご褒美に奢って?」

真姫「ええ……って、私が手伝ってる側なのになんで奢らなきゃいけないのよ」

ことり「あはは。 ほら、いこっ」グイッ

真姫「ちょっと、何本気で手ぶらで出ようとしてるのよ」

ことり「えー」

真姫「まったく……」
 
349: (SB-iPhone) 2017/11/10(金) 00:08:21.44 ID:ZF/jbuy7


ことり「はー、おいしかった」

真姫「今日はゆっくり食べられてよかったわね」

ことり「うんっ」

真姫「……」

真姫(あの、ことりが泣き崩れた日から……ちょっと経って……)

真姫(……ことりは大分落ち着いたみたいだけれど、本人はどう思っているか、分からない)

真姫(聞けば、エリーに振られて、その後に凛の家に行って、自暴自棄になってた、とか……)

真姫(もっと詳しく聞きたかったけど……)

真姫(あんまり聞くのも、悪いだろうし、ってことで……未だに、詳細は分からない……)

真姫(でも……)

ことり「あ、真姫ちゃん」

真姫「なに?」

ことり「甘いもの食べたい」

真姫「……奢れって言いたいのかしら」

ことり「うん。 さっきお昼ご飯は割り勘だったでしょ? でね、あそこのさ、クレープ食べたいなーって。 真姫ちゃんの奢りで」

真姫「……分かったわよ」

ことり「やったっ」

真姫(……本人が、もう何も無かったみたいな素振りだし、)

真姫(変に、楽しそうだし……)

真姫(……これで、いいのよね)
 
351: (SB-iPhone) 2017/11/10(金) 00:21:47.65 ID:ZF/jbuy7


ことり「おいしい~」

真姫「……」モグモグ

真姫(甘い……)

ことり「真姫ちゃん、一口食べる?」

真姫「……ことりの、私のよりさらに甘そうだからいい」

ことり「えー、真姫ちゃんって甘いのダメだっけ?」

真姫「いやそうじゃないけど……さっきラーメン食べて、もう胃がもたれてるというか……」

ことり「ふーん……真姫ちゃん老けたね」

真姫「ふ、老けてないわよ!」

ことり「えへへ、冗談だよ」

真姫「……」

ことり「甘いものは別腹だもんねぇ」

真姫「……ことりは少し太ったわね」

ことり「……そう?」

真姫「あ、えっ……と、違う、前がガリガリっていうか……痩せすぎだったから……」

ことり「……」

真姫「……よかった」

ことり「……うん」


プルルルル…

真姫「……? ことりのスマホ?」

ことり「あ……ほんとだ。ちょっと、クレープ持ってて」

真姫「はいはい」

ことり「落とさないでね?」

真姫「落とさないわよ……」

ことり「落としたらもうひとつ買ってもらうから……っ!?」ビクッ

真姫「……どうしたの?」

ことり「で、んわ……凛ちゃんからだ……」

真姫「……えっ?」
 
352: (SB-iPhone) 2017/11/10(金) 00:32:20.82 ID:ZF/jbuy7
ことり「ど、どうしよ……」

真姫「どうしよ、って……で、出れば?」

ことり「簡単に言わないでよ」

真姫「……」

ことり「……はぁぁ、なんなのいきなり」

真姫「……そんなに嫌なら出なかったらいいじゃない」

ことり「……なんでそんなに突き放した言い方、ばーか」

真姫「えっ!? ……ご、ごめんなさい」

ことり「……もーいいよっ。 そうやって言われたし、出る」ピッ

真姫「そ、そう……」

ことり「……もしもし?」

凛『あ……こ、ことり、ちゃん?』

ことり「……うん」

凛『この前は、さ……』

ことり「……」

凛『ごめんね……』

ことり「……」

凛『凛ね、ほんっっっとに、空気読むの苦手で……よく、バンドメンバーからも、KYだって言われるの』

ことり「……知ってる」

凛『……う、ん』

ことり「でも、そんな凛ちゃんが好きで、付き合ってたのは私だから。 こっちも、この前は……ごめんね」

凛『……っ、え?』

ことり「私、あの時凛ちゃんと話す前ね、絵里ちゃんに振られたばっかりだったの。 八つ当たりがしたかったの」

真姫「……」

凛『……そ、そうだったん、だ』

ことり「……うん。 『ことりのそういう所が好きになれない』って、絵里ちゃんに言われて、傷ついて、はけ口をつくるみたいに、凛ちゃんにも同じこと言っちゃった」

凛『そっ、か……』

ことり「だから……ごめん、なさい……」
 
353: (SB-iPhone) 2017/11/10(金) 00:40:07.99 ID:ZF/jbuy7
凛『……ううん。 いいよ、スッキリした!』

ことり「……よかった」

凛『あ、あとさ、今日は謝りたかっただけじゃなくて……』

ことり「?」

凛『ライブするんだ。 1stシングルの記念で。 よかったら聴きに来てよ。 いい席用意するから!』

ことり「わぁぁ……ほんと? いつ?」

凛『えっと……来週の、金曜夜から。 詳しい日程は後ほどLI〇Eで……それと、他のμ’sメンバーも誘ってるけど……いい?』

ことり「あ……」

凛『……まだ、来れる人来れない人、確定しては……ない、んだけどさ、』

ことり「……分かった。 ことりは、多分、行くから」

凛『ありがとう! ……じゃあ、また』

ことり「うん」

プツッ

ツーツー…

ことり「……はぁぁ」

真姫「……どうだったの?」

ことり「……へへ、いい感じ」

真姫「……そ」

ことり「真姫ちゃん、凛ちゃんからライブの事についてなにか聞いてる?」

真姫「ライブ……?」

♪ライン

真姫「あ……今ちょうどLIN〇きた」

ことり「ねぇ、行こうよ」

真姫「日程、は……来週の金曜日……た、ぶん、大丈夫……?」

ことり「じゃあ行こ」

真姫「多分ね、多分」
 
355: (SB-iPhone) 2017/11/10(金) 01:00:49.72 ID:ZF/jbuy7
ことり「……聞かないの?」

真姫「……なにを?」

ことり「凛ちゃんと、ことりのこと」

真姫「……聞いてほしいなら」

ことり「またかんじわるー」

真姫「あー、もう、じゃあ聞くってば」

ことり「……まあ、大したことじゃないんだけどね、ことり、一時期、ロック……っていうか、バンドとか、そういう活動してた人に憧れてた時があって」

真姫「……意外ね」

ことり「でしょ? それで……凛ちゃんがバンド組んでるって聞いて、凛ちゃんのバンドのライブとかに足を運ぶようになって……付き合うことになったの」

真姫「……ファンだったの?」

ことり「ファン……ってよりはやっぱり憧れかな。 そういう世界への」

真姫「……ふぅん」

ことり「で、付き合った頃は、いい感じだったんだけど、ことりの仕事が忙しくなってきてね、ライブとかになかなか行けなくなっちゃって……」

真姫「……」

ことり「その頃になるとさ、凛ちゃんとはよく喧嘩するようになって。 仕事のストレスとか、価値観の違いとか、まあいろいろあったんだけど……うん」

真姫「……」

ことり「……で、凛ちゃんはことりのことをよく花陽ちゃんに相談するようになったんだって、で、そのまま花陽ちゃんのこと好きになったんだって」

真姫「……あー、」

真姫(なんとも、凛らしい……)
 
356: (SB-iPhone) 2017/11/10(金) 01:09:50.08 ID:ZF/jbuy7
ことり「それを正直に凛ちゃんに言われて、別れを告げられた時はさ……うん、怒った」

真姫「……」

ことり「すごく怒った。 なんで、どうして、って。 喧嘩ばっかりで、答えは見えてたのに。 花陽ちゃんの方が、凛ちゃんにあってるんだって、明確だったのに」

真姫「……」

ことり「……その後、ことりね、ちょっと、ストーカーまがいなことしちゃってた」

真姫「……」

ことり「……ひいた?」

真姫「……もう今更よ」

ことり「だよねー。 あはは……」

真姫「だけど、さっきの電話でとりあえず解消出来たんでしょ?」

ことり「……まあまあかな」

真姫「まあまあって」

ことり「……明日も会える?」

真姫「……いい、けど」

ことり「うん……」

真姫「……とりあえずクレープ返すわ」

ことり「あー、そうだった忘れてたー」

真姫「普通忘れる?」

ことり「うるさいなぁ」

真姫「……」

真姫(海未ちゃんのこと、いつ言えば……)

真姫(逆に、海未ちゃんにも、ことりのこといつ言えば……)

真姫(……もう、言わなくても、いいのかしら)
 
381: (SB-iPhone) 2017/11/12(日) 00:39:36.88 ID:LJdD0Hg5


ガチャッ

真姫「……ただいま」

真姫(ことりと話してたらついまた遅くなっちゃった……)

真姫(……海未ちゃんに怒られないといいけど)

海未「あ……真姫、」

真姫「……な、なに?」

海未「少し、話したいことが」

真姫「……?」

海未「そちらに座っていただけますか?」

真姫「……せ、説教?」

海未「いっ、いえ! そういうものではないのですが……」

真姫「……」

海未「……ちょっとでいいんです。 時間をいただけませんか」

真姫「……」

海未「……」

真姫「……分かった」ストン

海未「……」ホッ

真姫「……で、なに?」

海未「実は、ですね……」

真姫「ええ」

海未「……申し上げにくいのですが」

真姫「……」

海未「絵里に、告白されました」

真姫「……ええ」

海未「……はい」

真姫「……」

海未「真姫には、言っておかないと、と思って……」
 
382: (SB-iPhone) 2017/11/12(日) 00:48:14.84 ID:LJdD0Hg5
真姫「……言わなくたっても、いいのに」

海未「そういう訳には……」

真姫「……」

海未「……私、どうしたらいいんでしょうか」

真姫「……それは海未ちゃんが決めることよ」

海未「だって……私は、真姫に、好きかもしれないと、あの日告げたのですよ?」

真姫「……」

海未「それで、その後……」

真姫「……エ チしかけたことならもういいじゃない」

海未「……」

真姫「私が勝手にしたことだし、海未ちゃんが気にすることじゃないわ」

海未「……」

真姫「……その上、私に告白したって言っても、あってなかったようなものでしょ」

海未「……」

真姫「……海未ちゃんがほんとのほんとに、私が好きで、付き合いたかったっていうなら別だけど、」

海未「……」

真姫「今、エリーに告白されて気持ちが揺らいでるってことは……違うと、思う、から」

海未「……すいません」

真姫「あ、謝ることじゃないでしょ」

海未「私が自分の気持ちとしっかり向き合っていないのが、いけないんです」

真姫「……」

海未「気持ちが、ぶれているから、誰に対してもこのように、変な態度になってしまいます……」

真姫「……」

海未「……情けないです」
 
383: (SB-iPhone) 2017/11/12(日) 00:55:32.64 ID:LJdD0Hg5
真姫「……海未ちゃんだけじゃない、し」

海未「……え?」

真姫「そんなこと言ったら……この前までことりと付き合ってて、別れて、海未ちゃんに告白したエリーの方がよっぽどぶれぶれよ」

海未「それは……」

真姫「……人間そんなものってこと」

海未「……」

真姫「だから私のことは考えないでいい。 エリーに対してどうなのか、ってことだけ考えてあげて」

海未「……」

真姫「……海未ちゃん、なに、泣きそうになってるの」

海未「っ……すっ、すいません、ぐす、すいません……」

真姫「……」

海未「すいません……っ、ひっ、く……何故か、涙が止まらなくって……」

真姫「……ティッシュ」

海未「ぐすっ……すいませ……」

真姫「……」

海未「……なんなんでしょうね、私」

真姫「……」

海未「絵里と真姫にこれだけ迷惑をかけた上に……ことりの心に、深い傷を負わせてしまいました……」

真姫「……」

海未「ほんとに、最低です……ぐす、っ……」
 
384: (SB-iPhone) 2017/11/12(日) 01:04:20.14 ID:LJdD0Hg5
真姫「……ことり、海未ちゃんに暴言吐いちゃったって落ち込んでたわ」

海未「え……」

真姫「海未ちゃんに何をしたら許してくれるのか、必死に考えてた」

海未「……そ、んな……私が、悪いのに」

真姫「……いつもは、海未ちゃんが謝ってくれるけど、今回はこっちから謝らないと、って」

海未「……なんで、そんなこと、」

真姫「……」

真姫(ことり……お酒に酔った勢いで、海未ちゃんのことかなり言ってたし……)

海未(まあ……半分ぐらい愚痴だったけど……嘘は、言ってないし……)

海未「……真姫って、ことりと仲がいいんですね」

真姫「えっ……ま、まあね」

海未「……そう、だったのですか」

真姫「なんか……私もね、海未ちゃんとことりが喧嘩したら、海未ちゃんが折れて最初に謝るってイメージがあったから……」

海未「……」

真姫「……ことりがこうやって海未ちゃんに謝れなくてどぎまぎしてるの、すごい新鮮だと思った」

海未「……」

真姫「だから、そう考えないのよ。 相手のことばっかり」

海未「……」

真姫「……」

海未「……ふふ、そうですね」

真姫「……」

真姫(……よかった。 笑ってくれた)
 
386: (SB-iPhone) 2017/11/12(日) 01:14:00.56 ID:LJdD0Hg5
海未「それなら……まずはことりと会わなければなりませんね」

真姫「……そうね」

海未「……よかった、です。 ことりが、私のことを恨んでいるのではないかと、夜も眠れなくて」

真姫「……やっぱり海未ちゃんって、」

海未「……はい?」

真姫「ことりには過保護よね」

海未「そ、そうでしょうか……?」

真姫「……」

真姫(海未ちゃんがこうだから……ああいう感じになっちゃったのかしらね)

真姫(案外……海未ちゃんとことりが付き合ったら、うまくいったりして……)

真姫(……嫌だけど)

海未「まあ……ことりには思ったことを素直に伝えられる反面、強く出られないところもあるのは事実です」

真姫「……でしょうね」

海未「もうこれは昔から変わりませんから……」

真姫「あ……そうだ」

海未「はい?」

真姫「凛のライブ……案内来た?」

海未「はい。 来ましたよ。 伺わせていただくつもりです」

真姫「そう……あ、じゃあ現地まで一緒に行く?」

海未「真姫がそれでいいのなら、そうします」

真姫「ことりとも会う約束してるから……海未ちゃんも丁度いいでしょ」

海未「う、うまく謝れるでしょうか……」

真姫「……きっと大丈夫よ」

海未「だといいんですが……」
 
409: (SB-iPhone) 2017/11/14(火) 02:30:49.92 ID:IKd7Be9Y


海未「真姫、準備出来ましたか?」

真姫「……ええ」

海未「もう少し厚着をした方がいいのでは? 外、かなり寒いですよ」

真姫「大丈夫よ。 いつも海未ちゃんってママみたい」

海未「……そうですかね」

真姫「……ふふふ」

海未「戸締り……よし、洗濯物も今日はもう終わってますし……電気も消し忘れはないし……」

真姫(こういうところとかほんとママ……)

真姫「というか、ライブの開場時間まであと2時間もあるじゃないの。 もう少し遅く出ても……」

海未「念には念を、ですよ」

真姫「……そう」

海未「それから、ことりも迎えにいくのでしょう? 尚更早めに出なければいけません」

真姫「……」

海未「さ、行きましょう」

真姫「……」

海未「やっぱり外は寒いですねー……」

真姫「……」

海未「……冬がもう近いですね」

真姫「……海未ちゃん」

海未「はい?」

真姫「……私達、今一緒に住んでるじゃない」

海未「……」

真姫「今後のことについて、もう少し考えてみない?」
 
410: (SB-iPhone) 2017/11/14(火) 02:41:54.44 ID:IKd7Be9Y
海未「今後……」

真姫「……」

海未「……それは、ルームシェア内のルールのことでしょうか」

真姫「……」

海未「それとも、ルームシェアそのものを解消するか否かのことでしょうか」

真姫「……」

海未「……すいません。 後者ですよね」

真姫「……」

海未「私は……ちょっと、まだ、分かりませんので……よければ真姫の意見を先に聞かせてくださいませんか?」

真姫「……私?」

海未「えぇ」

真姫「……私、は」

海未「……」

真姫「……海未ちゃんが、エリーと付き合うっていうなら、解消するべきだと思うわ」

海未「……付き合わなかったら?」

真姫「……」

海未「……」

真姫「……分からない」

海未「私は……」

真姫「……」

海未「ずっと真姫と暮らしてきて、いきなり1人で暮らしたり、他の人と暮したり……となると、」

真姫「……」

海未「……子供じみていますが、きっと、寂しいと思うんです」

真姫「……ええ」

海未「真姫、私は……真姫のいう“ママ”のようなしっかりとした人間ではないのですよ」
 
411: (SB-iPhone) 2017/11/14(火) 02:49:51.71 ID:IKd7Be9Y
真姫「……でも、」

海未「……」

真姫「私からみれば、充分しっかりしてる、わ」

海未「……」

真姫「ご飯は、美味しいしバランスいいし、掃除や洗濯だって、いつも、完璧にこなしてるし……」

海未「ふふ、その程度なら、真姫だって習慣づければ簡単にできますよ」

真姫「……」

海未「真姫……日常生活の家事が心配であるようなら、私と住まずともきちんとやっていけますよ?」

真姫「……! そ、そういう意味で言ったんじゃないわよ!」

海未「……分かってます」

真姫「……海未ちゃんと離れるのは、寂しいわよ。 寂しい」

海未「……」

真姫「寂しくないわけ、ないじゃないの……」

海未「……」


「うわぁぁぁぁん!」


真姫「……泣き声?」

海未「あ……迷子でしょうか。 小さい子のようです」

真姫「あー……みんな避けて通ってるわね。 あの子のまわり。 当然でしょうけど」

真姫(他人の子だし……)

海未「声かけた方がよさそうですね……」

真姫「……え? いや、いいでしょ。 そんなことしなくたって」

海未「そういうわけにも……」スタスタ

真姫「あ、ちょっと!」
 
412: (SB-iPhone) 2017/11/14(火) 03:02:17.85 ID:IKd7Be9Y
「うっ、うう、ひっく……」

海未「……大丈夫ですか?」

真姫(ほんとに声掛けた……)

「ううっ、ぐすっ、ざっきまでっ、ママといたのにっ、いなぐなっ、……うっ、うぇぇん……」

海未「そうだったのですか……お母様の電話番号とか分かりませんか?」

「ひっ、く……ううん、わかんない……ぐすっ……」

海未「それは困りましたね……でも大丈夫ですよ。きっとお母様は見つかります!」

「ぐす、っ……ほんと……?」

海未「はい! ……ねっ、真姫」

真姫「あ……えー、そ、そうね」

海未「とりあえず泣き止んで……あ、お名前は?」

「ひっく、うっ、ぐすっ……すず……」

海未「すず……いい名前ですね」

「うん……お姉さんは?」

海未「私はですね……」


「……! すーちゃん!」


海未「あ……」

「……ママ!」

「よかった……! ごめんね、ごめんね……無事でよかった……」

「ぐすっ、こわかったぁ……あのね、このお姉さんたちが一緒にいてくれたの……」

「そうなの? すいません。 ご迷惑おかけしました……」ペコッ

海未「いえ、迷惑だなんてそんな……」

「なんとお礼をしたらいいか……」

海未「本当に、無事に再開出来てよかったです」

真姫「……」
 
413: (SB-iPhone) 2017/11/14(火) 03:14:22.66 ID:IKd7Be9Y


「じゃあ、お姉さん達にありがとうは?」

「あ、ありがとう……」

海未「いえいえ。 今度ははぐれないようにするのですよ?」

「うん! ばいばーい!」



真姫「……」

海未「……さて、少し時間がギリギリになってしまいましたので……急いでいきましょうか」

真姫「……よく、他人の子にあれだけできるわね」

海未「真姫は子供が嫌いですか?」

真姫「嫌い……というか、好きではないわね」

海未「へぇ……」

真姫「……」

海未「……真姫ってことりに似てますよね」

真姫「……は? な、なんで?」

海未「ことりは、子供が嫌いなんですよ」

真姫「そ、そうなの?」

海未「本人の口から直接聞いた訳ではありませんが……」

真姫「……」

海未「ことりは子供を見た時、社交辞令のようにかわいいー、というのです。 内心、冷めているような感じなのですよ」

真姫(……ことりらしい)

海未「……きっと、ことりにとって可愛いと可愛くないものの存在というものは……共存できないんですよね」

真姫「……」

海未「……だから、そのことに関して嘘をつくときっと苦しいんです。それが見え見えなんです」
 
414: (SB-iPhone) 2017/11/14(火) 03:27:04.96 ID:IKd7Be9Y
真姫「詳しいのね」

海未「……長い付き合いですから」

真姫「……」

海未「ことりは可愛いと思います。 だから、可愛くないものの存在は許せないし、見たくないんでしょうね」

真姫「……」

海未「……ことりの考えからすると、そんな気がします」

真姫「……よく、分かってるわ」

海未「……」

真姫「……」

真姫(でも、今は……)


海未「……あ、ことり!」

真姫「!」

ことり「あ……真姫、ちゃん……と、海未ちゃん」

真姫「……外で待ってたんだ。寒いのに」

ことり「……」

真姫「……ことり、なにぼーっとしてるの?」

ことり「あ……いや、別に……その、ま、真姫ちゃんと、海未ちゃん一緒に来たんだぁ……って、あはは……」

真姫「……まあ。 一緒に住んでるから」

ことり「そ、そうだったの?」

真姫「あ、れ……言ってなかったっけ」

ことり「き、きいてなかった……」

真姫「……」

海未「ことり、その……この前は、すいません、でした……!」

ことり「え? ……い、いいよ、こっちもごめんね」

海未「ことりは、悪くないんです……!」

真姫「……」

真姫(あー……まずかった、かも)
 
426: (SB-iPhone) 2017/11/15(水) 01:10:27.65 ID:Jg3HAPtj


穂乃果「あ、真姫ちゃん達だ! おーい!」

真姫「穂乃果……こんなに寒いのに、今日も元気ね……」

穂乃果「だって凛ちゃんのライブでテンション上がっちゃって! ねーっ、にこちゃん!」

にこ「そうね……」

海未「な、なんか……にこ、やつれてません?」

穂乃果「新しいドラマの撮影とその他もろもろの仕事のせいでね、最近の睡眠時間が平均3時間なんだって……」

海未「ああ……」

真姫「ちょっと、にこちゃん。 若く見える容姿だけが取り柄なんだから気を付けないと」

にこ「だけってなによ!」

真姫「冗談よ」

にこ「大体私は若く見える上に可愛いんだからっ、」

真姫「はいはい」

にこ「くっ……」

穂乃果「えーと、来たのは……穂乃果と、海未ちゃんと、ことりちゃんと、真姫ちゃんと、にこちゃん……だけ?」

にこ「ああ……なんか希は仕事らしくて。 花陽は関係者席で見るらしいわよ」

ことり「……」

真姫「……へぇ。 そう、なの」

海未「絵里も仕事と言っていましたね」

にこ「ふぅん……って、なんで海未が知ってるのよ」

海未「えっ……い、いや、それは……」

真姫「……」

ことり「……」

にこ「……まっ、まあ、いいわ。 と、というかもう開場してるわよ! 行きましょ!」

穂乃果「わーい!」


真姫「……ことり、大丈夫なの?」コソッ

ことり「……」フイッ

真姫「……はぁ」
 
427: (SB-iPhone) 2017/11/15(水) 01:29:23.70 ID:Jg3HAPtj


穂乃果「わー……人多いね!」

にこ「そうね……まあ、凛のバンドの知名度結構なものになったしねー……」

海未「そうなのですか?」

穂乃果「えー、海未ちゃん知らないの? いま女子高生とかの間で、すっごい人気なんだよ!」

海未「し、知りませんでした……」

穂乃果「おっくれってるー」

海未「仕方がないじゃないですか……もう26になるのですから……」

穂乃果「もぉ……おばさんみたいな事言ってるし」

海未「お、おば、まだおばさんじゃないです!」

にこ「なんでここまで来て言い合いしてんのよ……」

ことり「……」スッ

にこ「……? ことり?」

真姫「……」

ことり「私、今日、用事思い出したから帰るね」

にこ「……は?」

穂乃果「なんでなんで!?」

ことり「……ごめん。 ま、また今度ね」

タツタッタッ…

海未「こ、ことり! ……行ってしまいました」

にこ「……なんか、どうしたの、かしら」

真姫「……さあね」

穂乃果「真姫ちゃん、」

真姫「なに?」

穂乃果「ことりちゃん、追わなくてもいいの?」

真姫「……な、んで?」

穂乃果「だって、真姫ちゃんとことりちゃんって、付き合ってるんでしょ?」

真姫「……!?」
 
428: (SB-iPhone) 2017/11/15(水) 01:41:53.62 ID:Jg3HAPtj
にこ「え……そうなの?」

海未「そ、そうだったのですか……?」

真姫「なっ、ちがっ……!」

穂乃果「えー、違うの?」

真姫「なんで、そんなこと……」

穂乃果「うーん……なんとなくかなぁ」

真姫「なんとなく、って……」

穂乃果「というか、ことりちゃん見てたら分かった!」

真姫「……」

穂乃果「真姫ちゃんも、ことりちゃんのこと好きでしょ!」

真姫「……別に、最近、よく会うだけ、だし」

海未「だから最近帰りが遅いのですか……?」

にこ「帰りが遅い……って……あんたら……」

真姫「違うわよ! 何もしてないから!」

にこ「まだ何も言ってないんですけど」

穂乃果「……真姫ちゃん、ことりちゃんのことが好きなら、追いかけてあげて」

真姫「……」

穂乃果「真姫ちゃんなら、大丈夫だよ」

真姫「……っ、はぁ」スッ

にこ「ライブはどうするのよ」

真姫「……ことり次第」

にこ「……そうね」

真姫「じゃあ……その、行ってくるわ」

タツタッタッ…

海未「……」

にこ「……海未は、もう真姫ちゃんのことよかったの?」

海未「……はい」

にこ「……」

海未「もうお互いに、変われましたから」

にこ「……そ」
 
429: (SB-iPhone) 2017/11/15(水) 01:50:31.86 ID:Jg3HAPtj


ことり「っ……うっ、はぁっ……はあっ……」

ことり「はぁっ、うっ……うっ……」

ことり「……ぐ、っ」

ことり「う、うぅっ……ひっく……」

ことり「うううぅ……っ、ぐすっ……」


真姫「……ことり、!」

ことり「……っ、」

真姫「やっ、と、見つけた……」ガシッ

ことり「触らないで!」

真姫「ことり、っ、」

ことり「やだ、もう、やだっ……やめてよ!」

真姫「話を聞い、て、っ」

ことり「やだ、っ……ぐすっ、触らないでってば!」

真姫「……」

ことり「……うっ、ひっく、うっ……も、なん、でぇっ……」

真姫「……」

ことり「やだ……こんなの……ぐ、す……っ」

真姫「……」

ことり「……ぐすっ、最初から振る気なら、」

真姫「……」

ことり「ひっ、く……っく……優しく、しないでよ……」

真姫「……振る気ってなにが」

ことり「……」

真姫「なに、」

ことり「……う、る、さい……っ、!」

真姫「……」
 
430: (SB-iPhone) 2017/11/15(水) 02:01:37.01 ID:Jg3HAPtj
ことり「……そういうの、っ、いちばん、きらい……っ」

真姫「……」

ことり「っ、はっ……どうせ、最初っから、ことりのこと惨めな女だって、見下してたんでしょ?」

真姫「……そんなことないわ」

ことり「勝手に、自惚れて、絵里ちゃんにも、振られて、馬鹿だって、どうせ、」

真姫「……思ってない」

ことり「ぐすっ……もう、いいよ……」

真姫「……」

ことり「もう、いい……っ……ひ、っぐ……」

真姫「……」

ことり「この後、家に帰ったら、海未ちゃんとエ チするんでしょ……?」

真姫「……しないわよ」

ことり「一緒に住んでるってこと、隠してさ……それで、ことりと会った後、毎日、エ チしてたんだ……?」

真姫「……」

ことり「っ、ひっく、うっ、ぐすっ……っ……」

真姫「……もう触ってもいいの?」

ことり「い、やっ……」

真姫「……苦しそうだから、背中さするくらい、いいでしょ」

ことり「……う、っ、っく、ぐ、ずっ」

真姫「……」

ことり「ぐす……」

真姫「……海未ちゃんとは、確かに一緒に住んでるけれど、付き合ってるわけじゃないし、そういう関係でもない」

ことり「……うそだ」

真姫「……なら、そういう関係であってほしいの?」

ことり「……」

真姫「……」

ことり「……やだ」
 
431: (SB-iPhone) 2017/11/15(水) 02:14:08.76 ID:Jg3HAPtj
真姫「じゃあ、信じなさいよ」

ことり「……」

真姫「……私もことりのこと信じるから」

ことり「……」

真姫「……ことりが嫌なら、引っ越すわ」

ことり「……」

真姫「私、ことりのこと、割と好きなんだけど」

ことり「……」

真姫「伝わってなかったのは、不本意、というか……」

ことり「……」

真姫「……ごめん」

ことり「……どのくらい好き?」

真姫「えっ、」

ことり「割と、じゃわかんない」

真姫「……あーー、もう、いいでしょ!」

ことり「よくないし……」

真姫「はぁ……今更ライブ戻れる感じでもないし……帰りましょ。 送るわ」

ことり「……コンビニ寄りたい」

真姫「いいわね。 お酒買って家でのみましょ」

ことり「甘いものも買って。 前に全種類買ってくれるって言ってたし」

真姫「そう言えば言ってた、ような……はぁ、この際買うわよ」

ことり「……真姫ちゃん」

真姫「なに」

ことり「……なんでもなーい」

真姫「は? なんなのよ……」

ことり「……ことりも多分すき、」

真姫「……」

ことり「……って、言おうとしただけ」

真姫「……はいはい、ありがとね」

ことり「……うん」
 
451: (SB-iPhone) 2017/11/15(水) 23:43:57.28 ID:rMnPDaL6
~~~

海未「真姫、こちらのものはもう全てダンボールでいいですか?」

真姫「ええ。 お皿とか新聞紙に包み終わったわよ」

海未「ありがとうございます。 えー……あ、とは……」

真姫「……」

海未「……ない、ですね。 片付け終了です!」

真姫「はぁ……やっと終わった……」

海未「流石に疲れましたね……」

真姫「ええ……」

海未「……」

真姫「……」

海未「……では行きましょうか」

真姫「……海未ちゃん、」

海未「……はい」

真姫「長い間ありがとう、」ペコッ

海未「な、なんですか改まって……私こそ、ありがとうございました」

真姫「海未ちゃんがいたから、ちゃんと生活できてたと、思うから」

海未「……」

真姫「……あと、楽しかった、わ」

海未「……私もです」

真姫「し、しんみりするのも……なんか変よね」

海未「そ、そうですねぇ……そ、それでは、気を取り直して、行きましょう」

真姫「えーと……不動産屋さんにまずは鍵を返しに行く?」

海未「それがいいと思います」

真姫「その後は……あ、ことりからLI〇Eきてる。 早く鍵返して、合流しましょ」

海未「はい」
 
453: (SB-iPhone) 2017/11/16(木) 00:01:46.98 ID:BdVK0AVI


ことり「もー、遅いよっ」

真姫「これでも急いだのよ?」

海未「す、すいません……」

ことり「あ、これ……鍵、もらってきたの」

海未「ありがとうございます……合鍵を作らなければなりませんね。 4つ……」

真姫「そうね。 今日もう作っちゃう?」

ことり「引越し業者さんがもう少しで来るから……家にとりあえずはいないとダメだよ」

真姫「ことりはもう部屋になにか荷物置いた?」

ことり「んー、まだ」

真姫「えぇ……荷物どこ?」

ことり「どっか」

真姫「は?」

ことり「うそ。 もう荷物置いた」

真姫「……」

海未「ふふふ」

真姫「何がおかしいのよ……」

海未「いえなんでも……あ、着きました。 ここですね……」

真姫「寒いから早く鍵開けて」

海未「え……記念すべき最初の解錠を私がしていいのですか?」

真姫「馬鹿な事言ってないでいいから……」

ことり「あと、海未ちゃんにはごめんだけど……もうことり、1回部屋入ってるし……」

海未「……そ、そうでしたね」

真姫「何ショック受けてるのよ……」

海未「いえ……」
 
456: (SB-iPhone) 2017/11/16(木) 00:10:48.01 ID:BdVK0AVI
ガチャッ…

海未「おお……なにもないです……」

真姫「当たり前でしょ」

ことり「奥にことりの荷物はあるけどね」

真姫「最初から散らかして置いたりしてないわよね?」

ことり「してないもん」

海未「今日から、ここで暮らすのですね……」

ことり「結構広いよね」

真姫「ま……4LDKにして正解ね。 多分このメンバーで暮らしたらすぐ汚くなるし」

海未「そ、それは私が許しませんよ!」

ことり「あ、海未ちゃんが全部片付けしてくれるってこと? 嬉しいなぁ~」

海未「そうではありません! 休日はきちんと掃除片付けをするよう私が促します!」

真姫「……とか言いつつ、今までは全部海未ちゃんが片付けてたのよね」

ことり「やっぱりかぁ。 海未ちゃんすごーい」

海未「なっ……こ、今回こそは……」

ピンポーン

真姫「ほら、引越し業者きたし。 また後でね」

海未「まったく……」

ことり「はーい、今でまーす」

真姫「海未ちゃんも行きましょ」

海未「分かってます……」
 
461: (SB-iPhone) 2017/11/16(木) 00:25:25.31 ID:BdVK0AVI


真姫「とり、あえず……リビングだけは片付いたわね……」

海未「そうですね……」

真姫「後は各々の部屋と……」

ことり「えー、ことりお腹すいた……」

海未「……確かに。 もう片付け始めて8時間くらい経ってますから……」

真姫「そう言われれば、流石に疲れたわね」

海未「では……今日はここまでということで。 続きは明日にしましょう」

ことり「どこで寝るの?」

真姫「まあ……とりあえず、リビングに布団ひけるくらいのスペースはあるし……ここでいいんじゃない?」

海未「……そうしましょうか」

ことり「あぁー……疲れた……」

海未「夕食……買い出しに行きましょうか」

ことり「あ、ことりこうなると思ってたから、既にいろいろ買ってきてるよ。 パンとかおにぎりとか」

海未「あ、ありがとうございます」

真姫「海未ちゃん、タオルってどこしまった? 机軽く拭いとかないと……」

海未「えーと……」

ピンポーン

真姫「……やっっっっと、きた」

ことり「今日も仕事忙しくなりそうって言ってたもんね~」

海未「はは……私出ますね……」

ガチャッ


海未「……随分遅かったですね」

絵里「……あ、あー……もう、片付け、終わった? ごめんなさい……」

海未「いえ……お疲れ様です。 とりあえず、ご飯にしましょう。 ね?」

絵里「……ええ」
 
463: (SB-iPhone) 2017/11/16(木) 00:34:03.96 ID:BdVK0AVI


海未「では、1日お疲れ様でした」

ことり「おつかれー」

真姫「……エリー、なんでそんな隅っこに座ってるの」

絵里「な、なんだか……片付けを手伝っていないのに、申し訳なくて……」

海未「絵里は仕事を頑張ったのだから、いいのですよ」

絵里「うう……うーみぃ……」ギュッ

海未「ち、ちょっと……い、いきなり何を……!///」

真姫「エリーもう酔ってるの?」

絵里「シラフに決まってるでしょ」

ことり「ちょっと、目の前でイチャイチャしないでください。 目のやり場に困るじゃん」

絵里「困るとか言う割にまったく動揺しているように見えないのだけれど……というか、ことりこそ真姫とイチャイチャしたらいいんじゃない?」

ことり「そういうのじゃないでーす」

絵里「真姫! ことりにキスしてあげなさい!」

真姫「はぁ……」

海未「え、絵里! い、いつまでこうしているのですか! 離してください!」

絵里「……もう。 分かったわよ」

ことり「……でもさ、こうなるまでに随分時間かかったよね」

真姫「……そうね」

海未「ええもうそれは……」

絵里「いろいろあったわよね……」
 
465: (SB-iPhone) 2017/11/16(木) 00:48:08.66 ID:BdVK0AVI
ことり「ことりと真姫ちゃんが付き合って……」

真姫「……私と海未ちゃんがルームシェアしてるのが嫌だって、まずはことりに言われたんだっけ」

海未「ですが私と真姫が、離れて暮らすのを躊躇してしまったのですよね」

ことり「……長く暮らしてるっぽかったから、こっちも強く言えないしさぁ」

海未「すみません……」

絵里「……で、それが原因で真姫とことりが大喧嘩」

海未「あの時の真姫は機嫌が悪くて怖かったです……」

真姫「だってことりが……」

ことり「真姫ちゃんが全然ことりの気持ち考えてくれなかったから……」

絵里「あー! そこまで! もう終わったからいいじゃない……って、感じで、2人じゃ解決できそうにないから、私と海未が仲介役みたいになってたのよね」

海未「そ、そんなうちに私と絵里も付き合うことになっていて……」

真姫「……至った結論が4人でルームシェア」

絵里「まあ……収まるべきところに収まった、って感じじゃないの?」

海未「そうでしょうか……というか、一生この4人で暮らすつもりですか……?」

真姫「男女の仲だったら子供が増えたりして、また考えないといけないけれど……私達子供できないし。 一生なんじゃない?」

ことり「えええぇー……」

真姫「不満なの?」

ことり「……真姫ちゃんはことりと2人っきりになりたくないの?」

真姫「そ、そういうわけじゃ……」

ことり「……」

真姫「……ない、けど! 今は4人で暮らすの! いい!?///」

ことり「あはは。 何照れてるのー?」



絵里「……見せつけてくれるわねぇ」

海未「……そう言いつつなんで私の肩に手をまわすのですか」

絵里「見せつけ返そうかしらって」

海未「何、言ってるのですか……」


おしまい
 
466: (SB-iPhone) 2017/11/16(木) 00:49:07.14 ID:BdVK0AVI
一応おしまい
ほのぼのに付き合ってくれてありがとう
この後は4人で幸せなキスをして終了
 
471: (もこりん) 2017/11/16(木) 02:00:54.15 ID:A3e8fXNa
まだまだドロドロすると思ったのにすげえ、>>1
しかしことりちゃんと四人とはいえよく元恋人と一緒に暮らす気になれたな…
 
474: (庭) 2017/11/16(木) 04:17:13.74 ID:aPT3d/jh
りんぱなはあの後どうなったんや…
 
467: (プーアル茶) 2017/11/16(木) 00:53:19.64 ID:1JNPE0iD
超お疲れ様でした
毎日楽しませてもらった
 
520: (WiMAX) 2017/11/18(土) 12:52:51.62 ID:b0xA9di2
ほのぼのの価値観が変わったいい作品だった
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1509012299/

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