【SS】歩夢「アユムの歩」【ラブライブ!虹ヶ咲】

ぽむ SS


2: (たこやき) 2023/02/09(木) 20:57:10.89 ID:gLukbaUp
歩夢ママ「歩夢も高校2年生ね。お母さんに似てきたんじゃない?」

歩夢「そうかな…?えへへ///」

歩夢ママ「…あ、ねえ…歩夢。将棋盤……外に捨ててあったけど…」

歩夢「……うん。私が捨てたの」

歩夢ママ「歩夢…」

歩夢「お母さん、あのね…」



「……私、もう将棋はしないから」
 
3: (たこやき) 2023/02/09(木) 20:58:56.90 ID:gLukbaUp
11年前


アユム(5)「しょーぎきょーしつ?」

ユウ(5)「うん!なんかね、メージンがきてね、おしえてくれるんだって!」

アユム「メージンってなに?」

ユウ「とにかくいこうよ!ほら!」

アユム「わあ!まってよユウちゃん~!」

~~~

『以上、優木名人の講演でした』

パチパチパチパチ

ユウ「ユウキメージン…!かっこいい!」

アユム「う、うん」(よくわかんなかった…)

『この後、優木名人による100面指しを…』

ユウ「アユム!メージンとさせるんだって!いこう!」

アユム「ゆ、ユウちゃん!?」
 
4: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:00:56.05 ID:gLukbaUp
ユウ「……まいりました」

アユム「え…!ユウちゃんまけちゃった…?」

ユウ「うん…。ごめんアユム、いっぱいおーえんしてくれてたのに…」

アユム「ううん!すごかった!」(よくわかんないけど…)


メージン「あなたの将棋、すばらしいですね」

ユウ「め、メージン…!」

アユム(ユウちゃんをたおしたすごいひと…)

メージン「この歳だと力任せに指す子が多いですが、あなたは将棋の基本をしっかり守ってます。それだけでも同年代の子より一歩前です」

ユウ「あ、ありがとうございます…!」

アユム(ユウちゃんほめられてる…?すごい!)

メージン「"歩"に、こだわりがあるみたいですね」

ユウ「え、わかるんですか…!?そうなんです!」



ユウ「歩は、"アユムの歩"だから…いっぱいカツヤクさせたいんです!」

アユム「!」
 
5: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:02:20.95 ID:gLukbaUp
メージン「ふふ……その想い、大切にしてあげてください」

ユウ「はい!」

「おーい名人!早くこっちの相手してくれよー」

メージン「あ、忘れてました…!すみません……では、私はこれで」

ユウ「た、たいきょく…ありがとうございました!」ペコッ

アユム(わたしもペコッてしておこう)ペコッ



ユウ「はぁ~!ときめいちゃったよー!メージンとおはなししちゃったー!」

アユム「やさしいひとだったね」

ユウ「うん!いやー、きょうのことはいっしょーわすれないよー!」

アユム「……ねえ、ユウちゃん」

ユウ「ん?どうしたのアユム」

アユム「あの……わたしも、しょうぎ…」

ユウ「やりたいんだね!?よしやろう!」

アユム「!……うん!」
 
7: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:05:06.67 ID:gLukbaUp
歩夢(あの日から、侑ちゃんは私の幼馴染であり、将棋の師匠にもなった)

歩夢(侑ちゃんと私は毎日のように対局して、互いに磨きあっていった)

歩夢(いつかプロになって、タイトル戦で会おう……そう約束した)

歩夢(けれど……侑ちゃんは死んだ。事故死だった)



歩夢(将棋のことを考えると真っ先に、侑ちゃんの顔が浮かんでくる)

『歩夢~。一局やろー!』

歩夢(侑ちゃん……)



歩夢「囲碁部…オセロ部…チェス部……」

歩夢(部活勧誘かぁ……どこに入部しようか決めあぐねてたら、そのまま2年になっちゃったなぁ)

歩夢(今年からは予備校だし…もう部活とは縁が…)

「ねえねえ、向こうで優木せつ菜ちゃんが将棋の10面指しやってるんだって!」

「マジ!?見に行こー!」

歩夢(優木…!)
 
8: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:06:53.71 ID:gLukbaUp
歩夢(き、来ちゃった…)

歩夢(将棋からは離れようと思ってたのに……いやいや、これは見てるだけだからノーカン…?)



「愛ちゃんー!がんばれー!」

愛「応援ありがと~!」

愛「……と言っても、ぜんぜん勝てる気しないけどね…」アハハ

せつ菜「いえ!私相手にここまで指せたなら上出来です!!」

歩夢(あの人が、優木さん…!)

「せつ菜ちゃんすごい!あっという間に9人倒して、残る愛ちゃんと一騎討ちだもん!」

「虹ヶ咲に時たま現れる神出鬼没の棋士、優木せつ菜!そんな幻の存在に会えるなんて光栄だよ~!」

歩夢(優木名人と同じ名前……もしかして、名人の娘さん…?)
 
9: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:09:09.78 ID:gLukbaUp
愛「ん~……これで、どう?」カタッ

せつ菜「」バチッ

歩夢(早指し!)

愛「そうきたか~!じゃあ……こっちからも攻めるよ!」カタッ

せつ菜「いい手です。この局面では最善手でしょう」バチッ

歩夢(わあ…せつ菜ちゃんの手に迷いがない……)

歩夢(もう完全に、詰みまで読み切ってるんだ)

愛「やば……これもう詰んでない…?」

歩夢「!」

歩夢(いや、まだ…活路はあるよ…!気づいて……)

愛「んー……何回考えてもだめだー」

歩夢(諦めちゃだめ…!)

愛「参りまし…」



歩夢「待ったー!!」
 
11: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:11:35.90 ID:gLukbaUp
「え、何?」「誰あの子?」「さあ…?」

ザワザワザワ…

歩夢「うっ…///」(つい大声出しちゃった…///)

愛「もしかしてあなた、ここから逆転できるの!?」

歩夢「ええっ!?そ、そこまでは言ってな…」

せつ菜「代打ちですか?いいですよ!私は気にしません!」

愛「愛さんからバトンタッチ!いぇーい!」ハイファイブ!

歩夢「えええ~…!」(やる流れになっちゃった…)



歩夢「あ、あの……私が指示するので、その通りに動かしてね。1三歩」

愛「え…?うん、1の三……ここに打てばいいんだね」カタッ

せつ菜「」バチッ

歩夢(早い!読まれてる…!)

歩夢(だったら…)

歩夢「4七銀」

愛「4七…」カタッ

せつ菜「…」バチッ
 
13: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:14:53.79 ID:gLukbaUp
カタッ

バチッ

カタッ

バチッ

愛「……」カタッ

せつ菜「」バチッ



歩夢「……同歩」

愛「…はい」カタッ

せつ菜(そこを取ってきましたか。だったら同桂で…)



せつ菜「!?」

せつ菜(ま、待ってください……この盤面、何か変です…)

せつ菜(もしここで歩を取ったら……数手先で詰んでしまいます…!)

せつ菜(真ん中に陣取っている、この歩が……活きてます…!!)

せつ菜(読みを間違えた…?いえ、そんなはずは…)

せつ菜「…………………………」



「せつ菜ちゃん、初めての長考…!」

「あのピンク髪の子、何者!?」

愛「すごっ…!」

歩夢「……………………………」
 
14: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:17:48.93 ID:gLukbaUp
愛「ねえ!やっぱりあなたが指した方がいいって!」

歩夢「え…!」

愛「もしこのまま勝てたとしても、愛さんが戦ったわけじゃないしさ」

歩夢「い、いや……」

愛「はい、今度こそ交代!」

歩夢「~~~!?」



歩夢(私が……将棋を……?)

『アユム!また強くなったね!』

歩夢(侑ちゃん……)



歩夢「いやあああああーーーーー!!!」

愛「うわあ!?ちょっとー!」

せつ菜「……逃げちゃい、ましたね」

「えー、対戦放棄ですかー」

「逆転の目が見えてきたとこなのに……残念だね~」

愛「あーあ。あの子の名前、聞いておけばよかったー」

せつ菜(普通科2年…上原歩夢さん…!)

せつ菜(見つけました…!)
 
16: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:19:54.00 ID:gLukbaUp
歩夢「ただいまー」

歩夢ママ「おかえりなさい」

歩夢「……!」

歩夢「お母さん…これ……」

歩夢ママ「…つらい気持ちもわかる。でも、大切な思い出でしょ?そう簡単に手放しちゃいけないわ」

歩夢「お母さん……」

歩夢(将棋盤…きれいに磨かれてる…)

歩夢(いつも、侑ちゃんと対局してた…侑ちゃんとの思い出…)

歩夢(大切な…思い出……!)

歩夢「……ありがとう、お母さん」
 
17: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:21:49.17 ID:gLukbaUp
歩夢(今日、何年かぶりに将棋に触れた……)

歩夢(私は指示してただけだった……)

歩夢(でも、すごくドキドキした…!!)

歩夢(忘れかけていたあの感覚…!懐かしいなぁ…)



歩夢(将棋盤の、榧のにおい…)

パカッ…カラカラ

歩夢(指に吸いつく駒の感触…)

バチッ!

歩夢(盤に打つと響く、この音…)

歩夢「ねえ、侑ちゃん……」

歩夢「私、また…将棋指しても……いいかな…?」

侑「もちろん!いいに決まってるよ!」





歩夢「えっ」

侑「え?」
 
19: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:24:10.58 ID:gLukbaUp
歩夢「……」

歩夢「あはは。私ったら、幻覚見えてる…」

侑「あ、歩夢……?もしかして、私のこと…見えてる…?」

歩夢「え…ほんとに……」

歩夢「ああ…侑ちゃんが…成長してたら……ちょうどこんな感じの見た目なんだろうなぁって……」

歩夢「何回も……想像してた………」

侑「歩夢…!ほんとに…見えてるの…!?」

歩夢「侑…ちゃん……!」

スカッ!

歩夢「!?あ、あれ…?」



侑「……ごめんね、歩夢」

侑「私……幽霊なんだ」

歩夢「侑ちゃんが……幽ちゃん…?」

侑「ごめん…。透けちゃうから…歩夢を抱きしめることもできないの」

歩夢「……それでもいい」

侑「!」

歩夢「侑ちゃんに……会えただけで、うれしい…!」

侑「歩夢ぅ…!」
 
22: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:26:06.16 ID:gLukbaUp
侑「んー。でもなんで突然、歩夢に見えるようになったんだろ?」

歩夢「それは…」

侑「……ま、いっか!」

侑「それより歩夢!将棋しよ!」

歩夢「え…!でも侑ちゃん…駒に触れないんじゃ…」

侑「代わりに歩夢が指してくれるでしょ?ほら、私が先攻ね!」

歩夢「あ!もーずるいよ侑ちゃん~」

ワイワイワイ!!



歩夢「すごい侑ちゃん!腕上げたね?」

歩夢「でも私だって、負けないよ!」

歩夢「えい!えい!」バチッ


歩夢ママ「む、娘が幻覚見てるわ…」アワワ…
 
23: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:29:02.26 ID:gLukbaUp
歩夢(幽霊になった侑ちゃんは、なんと学校までついてきました!)

歩夢「あの将棋盤に憑いた地縛霊かと思ったけど……意外とアクティブだね?」

侑「うん!歩夢が近くにいる限りどこでも行けそうだよ!」



「普通科2年、上原歩夢さん」

歩夢「!」(生徒会長さんだ)

侑「この人、生徒会長だよね」

歩夢「え、知ってるの…?」

菜々「はい。全校生徒の顔と名前は把握してます」

歩夢「!?……そ、そうなんですね」

歩夢(そうだ、侑ちゃんは私以外には見えてないんだった…!)

歩夢(他の人の前では気をつけないと…)



菜々「実は昨日、優木せつ菜さんからあなたを呼び出してほしいと頼まれたんです」

歩夢「せつ菜ちゃんから…?」

侑「せつ菜ちゃん!あの将棋強くてお  い大きい子だよね!?ときめいちゃうな~」

歩夢「侑ちゃん」ニコッ

菜々「ゆ、ゆうちゃん…!?」

歩夢「あ、いや……なんでもないです!!」

菜々(びっくりしました…!私が優木せつ菜なのがバレているのかと…)ドキドキ
 
25: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:32:59.02 ID:gLukbaUp
侑「あれ!?生徒会長のパ〇〇……せつ菜ちゃんと同じだー!」

歩夢「!?」

侑「ブラのサイズも同じ!これはまさか……」

歩夢「侑ちゃん!そんなことしちゃだめだよ!」

菜々「……あ、あのぉ」

歩夢「!?ち、違うんです!私は変な人じゃありません!!」

菜々「そ、そうですか……?」

歩夢(もう、侑ちゃん~///)



菜々「……放課後、将棋同好会の部室で待っているそうです。私は頼まれた通りに伝えましたので……では」

歩夢「はい、ありがとうございます」

スタスタスタ…

侑「せつ菜ちゃんに呼ばれたってことは、やっぱり昨日の対局のことだよね」

歩夢「侑ちゃんも見てたんだ?」

侑「うん!あの劣勢からの追い上げ、すごかったよ!」

歩夢「そ、そんなことないよ…///」

侑「……たぶん、昨日の続きだよね。歩夢、指せそう?」

歩夢「うん!私、今度はがんばれそう」

歩夢「侑ちゃんがそばにいてくれるから…!」
 
26: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:35:33.46 ID:gLukbaUp
将棋同好会部室


ガラガラ

歩夢「こんにちは。えっと、せつ菜ちゃんいますか…?」

「せつ菜ちゃんはまだ来てないよ」

歩夢「そうですか…。せつ菜ちゃんから部室へ来るようにって…」

「えー!?プライベートのせつ菜先輩に会ったんですかー!」

歩夢「え……いや、私は生徒会長からの伝言で…」

「せつ菜さんは神出鬼没、主に放課後にしか現れませんからね」

侑「なんかレアポケモンみたいだね」

歩夢「あはは…」



かすみ「私、中須かすみですっ!かすみんって呼んでください♪ 先輩のお名前は?」

歩夢「歩夢です。上原歩夢」

かすみ「歩夢先輩ですね!」

歩夢(先輩…!いい響き…)

かすみ「突然ですが、歩夢先輩~…」



かすみ「ここでかすみんの踏み台となってもらいますよ…!」

歩夢「へっ…?」
 
28: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:39:19.69 ID:gLukbaUp
かすみ「昨日のせつ菜先輩との対局…確かにすごかったです。けど……あれ?しず子、なんて言うんだっけ?」

しずく「傍目八目です」

かすみ「そう、それ!途中参加でいい気にならないでください!私だってあれぐらい打てますよ!」

「ほんとかな~?」

かすみ「ほ、ほんとですよ!」

かすみ「とにかく!歩夢先輩を倒して、せつ菜先輩に実力を認めてもらいます!!」

歩夢「ええ…?まあ…せつ菜ちゃんが来るまでならいいけど…」

かすみ「では、かすみんが先攻で♪」

しずく「かすみさん…卑怯です」

かすみ「うぐっ…。か、かすみは後輩だから、先攻譲ってくれますよね…?」

歩夢「うん、いいよ」

「強者の余裕…!」

「もうこの時点でかすみちゃん負けてるね」

かすみ「うるさいですよ!なんで味方なのにやじ飛ばすんですか~!?」



彼方「あ、まだ名乗ってなかったね。私は彼方ちゃん」

エマ「エマだよ~」

歩夢「上原歩夢です。部室おじゃましてます」

かすみ「先輩たち無視しないでください~!」
 
29: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:42:03.72 ID:gLukbaUp
しずく「かすみさん。こうなったら実力で見せつけるしかないね」

かすみ「!」

かすみ「そうです…!かすみんの棋力で目にもの見せてやります!」ニシシ

かすみ「さあ、勝負です歩夢先輩!泣かせちゃったらごめんなさい!」

~~~

かすみ「ふぇ~ん……ぐすっ…」

彼方「よしよし」ナデナデ

エマ「よくがんばったね~。えらいよ~」ナデナデ

しずく「歩夢さん、本当にお強いですね…!」

歩夢「そうかな…?えへへ」

侑「うんうん!歩夢ほんと強くなったよ!」

歩夢「あ、ありがと…///」

「その指し筋……流石です!」

歩夢「!」



せつ菜「お待たせしました、歩夢さん!」

歩夢「せつ菜ちゃん…!」
 
30: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:44:55.92 ID:gLukbaUp
歩夢「昨日はごめんね、途中でやめちゃって…」

せつ菜「いえ、問題ありません!今日ここで再戦しましょう!」

歩夢「うん」

侑「やっぱり、生徒会長と同じパ〇〇…」

歩夢(ツッコまないからね…?)



せつ菜「では、盤面を…」

歩夢「あ、私がやるね」

バチッ バチッ バチッ バチッ

せつ菜「リプレイ……?」

せつ菜「!?……あ、歩夢さん!」

歩夢「ん?」

せつ菜「歩夢さん……昨日の対局は、途中から見に来てましたよね…?」

歩夢「うん…そうだけど」

せつ菜「では…なぜ!序盤中盤の流れを、完璧に再現しているんですか…!?」

彼方「見てない盤面を知ってる…?」

しずく「ありえるんですか、そんなこと…!?」



歩夢「えっと…」

歩夢「盤を見たら、そこににじむ棋士の思惑とか、苦悩とか…いろんな感情が伝わってきて…対局の流れとかもわかるんです」

せつ菜「!!」

せつ菜(この才能…)

せつ菜(やはり、歩夢さんを選んで正解でした…!)
 
31: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:46:50.97 ID:gLukbaUp
バチッ バチッ バチッ バチッ……

歩夢「ここで私が逃走」バチッ

せつ菜「はい……リプレイは終了ですね」



せつ菜「では、私からの封切りです」バチッ

歩夢「!」

侑「7四角……きっと昨日から考え込んだ最善手なんだ!」

せつ菜「かなりズルいですが……どうかお許しください」

歩夢「…ううん。大丈夫」

歩夢(真ん中の歩……この子がカギを握ってるんだ)

歩夢(この歩をもとに、展開していけば…)

歩夢「…」バチッ



かすみ「……今どういう状況なんですか?」

しずく「拮抗……に見えますね」

エマ「せつ菜ちゃんの兵隊さんは敵にゴン攻めしてて、自分のお城は守りが薄いんだね」

エマ「だから真ん中にある歩を注意してて…でもその間に歩夢ちゃんも兵隊さんを助けに向かわせてるの」

彼方「なかなかいい解説ですな」

かすみ「なるほど…じゃあどっちが勝ちそうなんですか?」

かなしずエマ「せつ菜ちゃん(先輩)!」

侑「歩夢しか勝たないよー!!」

歩夢「…………」
 
33: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:49:34.08 ID:gLukbaUp
歩夢(私の作戦は、歩への警戒が弱かったことを利用した奇策……)

歩夢(警戒度を上げられちゃった今、攻め入るのは難しい……)

歩夢「でも……まだ道は消えてない!」バチッ

せつ菜「……………………」



Wow wow! Wow wow! Wow wow!

せつ菜「……DIVE!」

歩夢「!?」

かすみ「出ました!せつ菜先輩のダイブ!」

しずく「うるさい代わりに、とんでもない集中力で先を読み切る能力です…!」

せつ菜「…………ふぅ!すべて読みました!」

歩夢「え…」



せつ菜「歩夢さん!」

せつ菜「20手先の投了まで……全力で戦いましょう!!」

歩夢「…………」
 
34: (たこやき) 2023/02/09(木) 21:54:13.29 ID:gLukbaUp
歩夢「……参りました」

かすみ「さっすがせつ菜先輩~!」

彼方「歩夢ちゃんもよぅがんばっとる」

歩夢「……はい」

せつ菜「この対局、歩夢さんに不利な面が多かったですし、この結果がすべてとは思っていません」

せつ菜「ただ……とても楽しいゲームでした!ありがとうございました!」

歩夢「…ありがとうございました」

せつ菜「歩夢さん……あなたの将棋、すばらしいですね」

歩夢「…!」

侑「優木…名人……?」



せつ菜「……すみません。私の都合で、同好会活動の方が遅れてしまいました」

エマ「大丈夫だよ~」

しずく「はい!いいもの見させてもらいました!」

せつ菜「…歩夢さん」

せつ菜「よければ、我が将棋同好会に入っていただけませんか…?」
 
35: (たこやき) 2023/02/09(木) 22:02:58.47 ID:gLukbaUp
歩夢「……はい!私なんかでよければ…」

エマ「大歓迎だよ~!」

彼方「うぇるかむ歩夢ちゃん~」

かすみ「歩夢先輩~♡将棋教えてください~」

しずく「わ、私にも教えてください!」

歩夢「教える…!うーん、私にできるかな……」



せつ菜「皆さん!今日からこの将棋同好会は、本格始動となります!」

せつ菜「実は皆さんに、伝えなければならないことがあります」

歩夢「…?」

せつ菜「この同好会の実態は……なんと!悪と戦うための正義の機関なんです!!」

しずく「……はい?」

せつ菜「まずはこちらの映像をご覧ください」ポチィ



歩夢(スーツの人に囲まれた場所で、将棋を指してる2人…)

歩夢(あ、片方の人が降参した)

『や、やめろ……やめてくれぇ……』

『ぐわあああああああ!!!』

歩夢「!?」
 
37: (たこやき) 2023/02/09(木) 22:13:22.28 ID:gLukbaUp
せつ菜「この映像は、『音将会』と呼ばれる組織が公開したものです」

歩夢「!!」


~昨夜、侑との対局中


歩夢『……侑ちゃんが生きてたら…抱きしめられるのに…』

歩夢『侑ちゃん……どうして死んじゃったの…』

侑『うーん……実はよく覚えてないんだよねー』

侑『あ!でも最後に……誰かに会ったような…』

歩夢『誰かって…?』

侑『えっと、確か…………』


~~~


侑「音将会……!」

歩夢(侑ちゃんの死に関わってるかもしれない人たち…!)



せつ菜「音将会は棋士に対局をけしかけ、負けた方は〇害するやり方で人類の選別を続けています」

せつ菜「……我々は、そんな音将会を倒すべく集まった正義の味方!ヒーローです!」

せつ菜「さあ皆さん!悪を滅ぼすために将棋の腕を磨き、世界を救いましょう!!」
 
40: (たこやき) 2023/02/09(木) 22:23:56.72 ID:gLukbaUp
かすみ「いや……か、かすみんにはちょっと…荷が重いです」

しずく「私も、ちょっと……」

せつ菜「え……皆さん……?」

彼方「彼方ちゃん…かわいい妹がいるから……危険なことには関わりたくないな…」

エマ「ごめんね…?」

せつ菜「あ!待ってください~!もう少しだけ話を~!!」



せつ菜「……2人きり…ですね」アハハ…

歩夢「せつ菜ちゃん…」

せつ菜「歩夢さんは、残るんですか…?」

歩夢「うん…。私も、関係してることだと思うから…」

せつ菜「!」

歩夢(音将会を追えば……侑ちゃんの死の真相に辿り着けるはず…!)

侑「歩夢……」

せつ菜「しかし…2人で戦うのは困難です。もっと仲間がほしいところですね…」

歩夢「そうだね……あ!あの人はどうかな?昨日私がサポートしたあの金髪の…」

せつ菜「宮下愛さん……いいですね!彼女も勧誘してみましょう!」



歩夢(どんな敵が現れても…倒してみせる……)

歩夢(待っててね、侑ちゃん…!)


おわり
 
41: (たこやき) 2023/02/09(木) 22:25:14.96 ID:gLukbaUp
長編構想だったけど体力ないのでプロローグで終わっときます
またいつか完結編まで書くかも
 
42: (もも) 2023/02/09(木) 22:28:42.78 ID:4SPpBkdW
完璧な導入じゃん
完結編も待ってるで
 
44: (もんじゃ) 2023/02/09(木) 22:44:16.44 ID:jKmIjvNA
続き待ってる
 
45: (もんじゃ) 2023/02/09(木) 23:08:59.71 ID:EW2x8bfH
面白いで
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1675943672/

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