千歌「チョコレートの距離」【SS】

ダイヤポッキー拒否 SS


1: 2019/11/11(月) 22:47:37.12 ID:WuJWtLgz
ちかダイです

2: 2019/11/11(月) 22:48:14.19 ID:WuJWtLgz
朝、登校中

曜「ちーかちゃんっ!」

千歌「わっ、曜ちゃん。おはよう!」

曜「おはヨーソロー!早速だけど、これあげる!」

千歌「えっ。これ、ポッキー?」

曜「うん!本日11月11日はみなさまご存知、ポッキー&プリッツの日だけらね!」

千歌「ああ!そっか、今日だっけ!もらっていいの?」

3: 2019/11/11(月) 22:48:35.57 ID:WuJWtLgz
曜「もちろんだよ!そのために持ってきたんだもん!」

千歌「ありがとー!おやつに食べるね!」

曜「ダイヤさんと仲良くね!」

千歌「あ、うん!ちょうどね、放課後は生徒会室に行く用事があるから、そのとき半分こして…」

曜「違うよー、違う違う。千歌ちゃん、そうじゃないでしょ?」

千歌「えっ。違う、って?」

4: 2019/11/11(月) 22:48:56.54 ID:WuJWtLgz
曜「もう、しっかりしてよ。今日はポッキーの日なんだよ?」

千歌「うん、だからポッキーを半分こに…」

曜「違うってばー。ポッキーの日といえば、意中の人とポッキーゲームをする日でしょ?」

千歌「…ふぇっ?」

曜「気になるあの子との距離を、ポッキーがぎゅっと縮めてくれる日でしょ!」

千歌「え、ええっ!?だ、ダイヤさんと、ポッキーゲーム!?」

5: 2019/11/11(月) 22:50:38.84 ID:WuJWtLgz
曜「頑張ってね、千歌ちゃん!」

千歌「む、むりむり!私にはそんなの無理だよ!」

曜「千歌ちゃんならできるよ!輝きはきっとある!」

千歌「そ、それとこれとは別の話!」

曜「じゃあ、やめる?」

千歌「やめな…って、何度もその手には乗らないよ!」

6: 2019/11/11(月) 22:51:32.71 ID:WuJWtLgz
曜「じゃあ、やめない?」

千歌「や、やめる…ってそういうことでもなくって!」

曜「なるほどなるほど。つまり、やるかやらないかで迷ってるんだね。大丈夫、私が応援してるから!」

千歌「いや、だから…」

曜「大事なのは素直な気持ちと勢い!押して押して押しまくれば、きっと想いは伝わるから!」

千歌「よ、曜ちゃん?今日の曜ちゃん、なんだかいつになくイケイケじゃない?」

曜「全速前進ヨーソロー!大事なのは好きになる情熱ですっ!」

千歌「決め台詞に持ち歌まで…お、おかしい。恥ずかしがり屋の曜ちゃんが、今日に限ってこんなに積極的で生き生きとしているなんて…」

7: 2019/11/11(月) 22:54:27.66 ID:WuJWtLgz
曜「むー、千歌ちゃんなかなか手強いな」

千歌「手強いのは曜ちゃんの方だと思うけど…」

曜「なら、とどめの一押ししちゃうよー」

千歌「とどめって、な、何?」

曜「ダイヤさん、可愛いよね」

千歌「う、うん」

曜「可愛いダイヤさん、好きだよね」

千歌「…うん。かっこいいところも、だけど」

曜「ならさ、想像してみてよ。ポッキーゲームに恥じらうダイヤさんを」

千歌「想像…」

8: 2019/11/11(月) 22:55:06.68 ID:WuJWtLgz
千歌『ダイヤさん、ポッキーゲームしよう?』

ダイヤ『ふぇ!?』

千歌『ほらほら、そっち側をくわえて』

ダイヤ『あ…うぅ…!』

千歌『ふふっ、スタート!』

ダイヤ『ち、千歌さん、食べるのがはや――んむっ』

曜「――って感じで!」

千歌「ちょ、ちょっと待って!恥じらうダイヤさんが可愛いのはわかるけど、なんで私がリードする方なの!?それに最後のは何!?」

9: 2019/11/11(月) 22:56:16.90 ID:WuJWtLgz
曜「千歌ちゃんからっていうのがいいんだよ!予想外のアプローチにダイヤさんもドキドキすること間違いなし!経験者の私が言うんだから、間違いありませんっ!」

千歌「経験者…そ、そうか!曜ちゃんはスクフェスURでダイヤさんとポッキーゲーム済み!経験者の余裕が、曜ちゃんをイケイケに変えたんだ!」

曜「ふふっ。それじゃ頑張ってね、千歌ちゃん!」

千歌「えっ、行っちゃうの!?あれだけ言ったんだから、一緒にSailingしてくれる流れじゃないの!?」

曜「そうしたいのはやまやまだけど、他の子にもポッキー配らなきゃだから。みんなの恋路を後押ししなきゃいけないのであります!」

千歌「ええっ、そんなぁ!?」

10: 2019/11/11(月) 22:57:11.62 ID:WuJWtLgz
曜「あっ、そうこう話すうちに一年生ズを発見!おーい、みんなー!」

千歌「あっ、曜ちゃ…行っちゃった。ど、どうしよう、ダイヤさんとポッキーゲーム…」

『ダイヤさん、ポッキーゲームしよ?』

千歌「…!」

『ダイヤさんはそっち側くわえて。私はこっちから…んむっ』

千歌「…!!」

千歌『らいやひゃん…んっ――』

千歌「~っ!むりむり、そんなの無理だよぉ!」

曜『頑張ってね、千歌ちゃん!』

千歌「ダイヤさんと、ポッキーゲーム…!」

11: 2019/11/11(月) 22:58:15.21 ID:WuJWtLgz
放課後・生徒会

ダイヤ「ふむ…」

ダイヤ(私の手元には、果南さんと鞠莉さんに持たされたポッキーが二箱)

果南『ダイヤ、ポッキーだよ。頑張ってね』

鞠莉『私からもどうぞっ。ちかっちと仲良くね!』

ダイヤ(まったく。あのお二人、応援してくれているのか楽しんでいるのか…おそらく両方でしょうね)

ダイヤ(ですが、今日は年に一度のポッキーの日。この機を逃す手はありません、必ずやり遂げてみせます)

ダイヤ(生徒会長としてでも、黒澤家の長姉としてでもなく)

ダイヤ「ひとりの人間、黒澤ダイヤとして…!」

12: 2019/11/11(月) 22:58:58.91 ID:WuJWtLgz
コンコン

ダイヤ「はい、どうぞ」

千歌「ダイヤさん、千歌です」

ダイヤ「ふふ。わかってますよ、窓から見えていますから。どうぞ」

千歌「し、失礼しまーす」

ダイヤ「ようこそ来てくださいました。さ、こちらへ」

千歌「は、はいっ」

ダイヤ(千歌さん?なにやら緊張しているようですが)

千歌(ううっ、あれこれ悩んだけど、考えがまとまらないうちに時間になっちゃった…それに曜ちゃんたら)

曜『さっきは言い忘れてたけど、私とダイヤさんがしたときには「最後」まで行ってないから安心してね!』

千歌(行きがけにあんなこと言うなんて…どうしたって意識しちゃうじゃん…)

13: 2019/11/11(月) 22:59:50.54 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「まずはお呼びした用件を済ませましょうか。この前提出のあった書類についてですが、こちらに訂正のサインを――」

千歌「あっ!」

ダイヤ「えっ?」

千歌「それ、ポッキー!」

ダイヤ「ああ、聞けば今日はポッキーの日だとかで」

千歌(ダイヤさん。もしかして、準備してくれたのかな…)

14: 2019/11/11(月) 23:00:25.08 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「いただいたのです。果南さんと鞠莉さんから」

千歌「あ、あー…ダイヤさんも?」

ダイヤ「と言うと、千歌さんもですか?」

千歌「うん、曜ちゃんがどうぞって…」

ダイヤ「ふふ、なるほど。それで後ろ手に持っていたんですね」

千歌(違った、準備してくれたわけじゃないんだ…)

ダイヤ「ちょうどおやつにしようと思っていたところです、用事が済んだら一緒にいただきましょうか。さすがに3箱は食べきれませんが」

千歌「は、はいっ」

15: 2019/11/11(月) 23:00:39.12 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「ではこの二ヶ所にサインを――はい、ありがとうございます」

千歌「これで大丈夫?」

ダイヤ「ええ。では、一息つきましょうか」

千歌(来た…!)

ダイヤ「ポッキーは普通のもの、アーモンド、いちご味の3種類ですね。どれにしますか?」

千歌「えっ?ふ、普通ので」

ダイヤ「ふふっ、意見が合いますね。私もそれがいいと思っていました」

千歌「あ、はは…」

ダイヤ「前に抹茶味を食べたことがあるのですが、最近は見かけませんね。季節限定だったのでしょうか」

千歌「あ、うん…」

16: 2019/11/11(月) 23:01:19.04 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「はい、千歌さん。半分こです」

千歌「あ、ありがとう。いただきまーす」

ダイヤ「いただきます――ん、さすが普通タイプ。王道の美味しさです」

千歌「そ、そうだね」

千歌(普通に食べ始めちゃった。もしかしたら、ダイヤさんの方から誘ってくれないかなって思ってたけど…)

ダイヤ(ポッキーゲームに誘うにしても、初手からはさすがに早すぎる。節操が無いと思われてもいけません。少し様子を見てからにしましょう)

千歌(やっぱり私から行かなきゃ…!でも、どうやって…)

17: 2019/11/11(月) 23:01:48.59 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「それで、そのとき鞠莉さんたちが――」さくさく

千歌(ダイヤさんのおしゃべり。楽しいけど、その分時間が過ぎるのも早くて。気付けば殆ど食べちゃった)さくさく

ダイヤ「ん、千歌さん?」

千歌(チャンスは一度きり…頑張れ私。全速前進、大事なのは情熱…)ぽりぽり

ダイヤ「千歌さん、千歌さーん」

千歌「んっ、えっ?」

ダイヤ「もうポッキーが空っぽですが、そんなにお腹が空いていたのですか?」

千歌「あ、ああっ!?しまった、全部食べちゃった!」

18: 2019/11/11(月) 23:02:17.15 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「ふふ。美味しいのはわかりますが、随分食いしん坊さんですね」

千歌「いや、これは緊張で…」

ダイヤ「…もしかして、まだ食べ足りないのではありませんか」

千歌「!」

ダイヤ「よければ…私のを少しお分けしますが」

ダイヤ(チャンスは訪れた…今こそ打って出るとき、です…!)

千歌「でも、ええっと…」

千歌(どうしよう。私からアプローチしなきゃなのに、なにもできないで…ん?)

19: 2019/11/11(月) 23:03:27.86 ID:WuJWtLgz
千歌「あっ!」

千歌(残ってた…折れて小さくなったポッキーが、一本だけ…!)

ダイヤ「ん?ああ、袋の中で折れてしまっていたんですね」

千歌(サイズは半分くらいになってる。条件的には不利、だけど…!)

千歌「だ、ダイヤさんっ、ポッキーゲームしよう!」

千歌(や、やっと言えた…!)

ダイヤ「…!」

20: 2019/11/11(月) 23:04:12.48 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「ぽ、ポッキーゲーム…」

千歌「ダイヤさんさえよければ…だけど…」

ダイヤ「…私は構いません」

千歌「ほんと!?」

ダイヤ「ですが、そのポッキーは折れて短くなっていますね。ゲームには不向きな状態と見受けられます」

千歌「た、確かにそうだけど…なら、ダイヤさんのを――」

ダイヤ「…もぐっ」

千歌「!?」

21: 2019/11/11(月) 23:05:02.79 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「もぐ、もぐもぐ」

千歌「だ、ダイヤさん!?どうして手元のポッキーを一気に!?」

ダイヤ「ん…ふぅ、こうしたかったのです」

千歌「えっと、どうして?」

ダイヤ「少々贅沢な食べ方をしてしまいましたが…これで残るポッキーは、千歌さんのその一本だけですわ」

千歌「あ…!」

ダイヤ「…しましょう。ポッキーゲームを」

千歌「は、はいっ!」

22: 2019/11/11(月) 23:05:54.88 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「それと、ゲームを開始する前に、伝えておきたいことがあります」

千歌「えっ、なに?」

ダイヤ「私はいま、ポッキーを勢いよく食べきったため、程よくお腹が満たされています。ですから…最後のポッキーは、千歌さんに食べて欲しいのです」

千歌「そ、それって」

ダイヤ「私がポッキーを支えます…お願い、できますか?」

千歌「は、はいっ!」

千歌(それって、そういうこと…だよね?)

23: 2019/11/11(月) 23:06:22.45 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「では、始めましょう。あむっ」

千歌「あ、あむっ」

ダイヤ「…」

千歌(ポッキーが短いせいで、初めから顔が近い…)

ダイヤ「…っ」

千歌(間近で見るダイヤさん、可愛い…)

ダイヤ「…すみません。千歌さん、えっと、あまり見ないでください」

千歌(えっ…)

24: 2019/11/11(月) 23:07:33.22 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「近くで見つめられると、その…ドキドキしてしまいます…」

千歌(あ、ああ!)

ダイヤ「…ふふ、かといって目を閉じてしまっては、何も見えませんよ」

千歌「ん、んー」

ダイヤ「ふふ。それなら大丈夫そうですね」

千歌(…ダメだなぁ、私。ダイヤさんに助けてもらってばかりで、いざという時に怖気づいて)

ダイヤ「では、改めてもう一度…あむっ」

千歌「あむっ」

千歌(だけど、いや、だからこそ。ちゃんとリードするんだ…ダイヤさんを、私が…!)

25: 2019/11/11(月) 23:08:21.56 ID:WuJWtLgz
千歌「んっ」もぐ

ダイヤ「…っ」

千歌「…ん」さく

千歌(ポッキーは通常の半分以下…すでに鼻がくっつきそうな近さ)

ダイヤ「…」

千歌(視界がダイヤさんの顔でいっぱい…ちょっと赤くなってる、多分、私も…)さく

ダイヤ「…!」

千歌(あと少し…ダイヤさんに、届く…!)

26: 2019/11/11(月) 23:09:59.61 ID:WuJWtLgz
パキッ

ダイヤ「!」

千歌「!!」

千歌(そんな…あとちょっと、あとちょっとで折れ――)

ダイヤ「――っ!」

千歌「んむっ!?」

ダイヤ「ん…」

千歌「ん、むぅ…んっ!」

ダイヤ「ん、んー…」

千歌「んーっ…ぷあっ…」

ダイヤ「…ふふ、無事食べきりましたね」

千歌「だ、ダイヤさん…!」

ダイヤ「ごちそうさまでした」

千歌「あ、うぅ…」

27: 2019/11/11(月) 23:10:25.15 ID:WuJWtLgz
ダイヤ「食べ足りなかったので、最後の一口を頂いてしまいました。ごめんなさい」

千歌(ダイヤさんの方から…嬉しい…でも、どうして?ダイヤさん、いつもはすぐ恥ずかしがっちゃうのに…ん、この疑問、さっきどこかで…)

ダイヤ「ポッキーをくださった曜さんに、感謝しなければですわね」

千歌(そ、そっか。ダイヤさんもポッキーゲーム経験者!曜ちゃんがそうだったように、ダイヤさんもまたポッキーゲームの恥ずかしさに耐性がついてるんだ…!)

ダイヤ「嬉しかったです。千歌さんの方からポッキーゲームに誘ってくれて。勇気を出して進んできてくれて」

千歌「ダイヤさん…」

ダイヤ「だから、今度は私から――」

千歌「えっ。ダイヤさん、ポッキーはもうな、んっ――」

私のとっておきを、あなたに――



終わり

28: 2019/11/11(月) 23:10:40.58 ID:WuJWtLgz
ちかダイポッキーゲームでした、ありがとうございました

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1573480057/

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