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1: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:00:02 ID:???00
「ねぇねぇ! 起きて起きて!」
吟子「ん、んん…………なん、なん……?」ノソリ
「! 良かったぁ……! 王子様が、目を覚ました!」
吟子「……? おうじさま……??」
吟子(何言うとるん……こんな現代日本に王子様なんて……)フワァ
吟子「……あれ」パチリ
「おはよう、王子様!」
吟子(声が聞こえた先には、ふわふわな毛並みをした一羽の──うさぎ?)
カホ「あたし、カホ! 遠くの原っぱに住んでいるうさぎさん、だよ!」ピョンピョン
吟子「……………………え??」
吟子「ん、んん…………なん、なん……?」ノソリ
「! 良かったぁ……! 王子様が、目を覚ました!」
吟子「……? おうじさま……??」
吟子(何言うとるん……こんな現代日本に王子様なんて……)フワァ
吟子「……あれ」パチリ
「おはよう、王子様!」
吟子(声が聞こえた先には、ふわふわな毛並みをした一羽の──うさぎ?)
カホ「あたし、カホ! 遠くの原っぱに住んでいるうさぎさん、だよ!」ピョンピョン
吟子「……………………え??」
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2: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:01:00 ID:???00
吟子「う、うさぎが喋っとる……!? しかも、花帆先輩の声で…………な、なんで……??」
カホ「? 動物だもん、そりゃあ喋るよ!」ピョン
吟子「いや、動物は普通喋らんし……」
吟子(私の目の前には、花帆先輩の声をもつ小さなうさぎ。楽しそうに飛び跳ねてるけど……な、なんなんこの状況……!?)
吟子「え……というか、私、着てる服まで変わっとる……!? いつの間に私、こんな軍服みたいなジャケットを……?」
カホ「? 動物だもん、そりゃあ喋るよ!」ピョン
吟子「いや、動物は普通喋らんし……」
吟子(私の目の前には、花帆先輩の声をもつ小さなうさぎ。楽しそうに飛び跳ねてるけど……な、なんなんこの状況……!?)
吟子「え……というか、私、着てる服まで変わっとる……!? いつの間に私、こんな軍服みたいなジャケットを……?」
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3: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:02:00 ID:???00
カホ「あ、そう、それ! その輝かしい気品に溢れた格好! 教えてもらった通り、あなたはやっぱり王子様、だよ!」ピョン
吟子「……!!? え、いきなりそんな、何言って……!?」
カホ「あ、そうだ! ねぇねぇ王子様! 良かったらあたしの友達を紹介して──」
「──もうカホさん! また勝手に駆け出して……やっと見つけましたよ!」
吟子「……!!? え、いきなりそんな、何言って……!?」
カホ「あ、そうだ! ねぇねぇ王子様! 良かったらあたしの友達を紹介して──」
「──もうカホさん! また勝手に駆け出して……やっと見つけましたよ!」
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4: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:03:00 ID:???00
吟子「……! この声は……」チラッ
カホ「あ、サヤカちゃん!」
サヤカ「まったく……人間の匂いを探し当てたからといって、急に飛び出したら危ないですよ、カホさん」パタパタ
吟子「えっ」
サヤカ「……? あの、どうしたんですか、そんなにジッと見つめて……何か、ついてますか?」チュンチュン
吟子「あ、い、いえ……!」
吟子(それは確かにさやか先輩の声、だったはずなのに……その声色の持ち主は、どう見ても──小さな“鳥”にしか見えなくて)
カホ「あ、サヤカちゃん!」
サヤカ「まったく……人間の匂いを探し当てたからといって、急に飛び出したら危ないですよ、カホさん」パタパタ
吟子「えっ」
サヤカ「……? あの、どうしたんですか、そんなにジッと見つめて……何か、ついてますか?」チュンチュン
吟子「あ、い、いえ……!」
吟子(それは確かにさやか先輩の声、だったはずなのに……その声色の持ち主は、どう見ても──小さな“鳥”にしか見えなくて)
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5: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:04:00 ID:???00
カホ「ちょうど良かった! 今、王子様にサヤカちゃんを紹介しようと思ってたんだ!」
サヤカ「おや、そうだったんですか? では……わたしも一つ、王子様にご挨拶をしなくてはなりませんね」コホン
サヤカ「お初にお目にかかります、王子様。わたしは、鳥のサヤカと申します。以後お見知りおきを」チュンチュン
吟子「あ、え、はい……? ……???」
吟子(さ、さっきからなんなん……!? 起きたら突然、森の中にいて、周りは喋る動物で…………でも、あれ?)
吟子(これ、うさぎと鳥が先輩方の声で喋ってるファンタジー世界……?? 確か、どこかでそんなお話を聞いたような……)ウーン
サヤカ「おや、そうだったんですか? では……わたしも一つ、王子様にご挨拶をしなくてはなりませんね」コホン
サヤカ「お初にお目にかかります、王子様。わたしは、鳥のサヤカと申します。以後お見知りおきを」チュンチュン
吟子「あ、え、はい……? ……???」
吟子(さ、さっきからなんなん……!? 起きたら突然、森の中にいて、周りは喋る動物で…………でも、あれ?)
吟子(これ、うさぎと鳥が先輩方の声で喋ってるファンタジー世界……?? 確か、どこかでそんなお話を聞いたような……)ウーン
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6: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:05:00 ID:???00
カホ「王子様、王子様! 実はあたし達、魔法の林檎を探して旅をしてるんだけど、少し訊きたいことがあって……」ピョンピョン
吟子「訊きたいこと……? と、いうか待って、本当に私が王子様なん!? 流石に人違いなんじゃ……」
サヤカ「いえ、それはありえませんよ。この森に住んでいる親切な人間に、確かにそう教えてもらいましたから」チュン
吟子「え…………に、人間!?」
カホ「うん! こういう格好の王子様が森に来てる、って教えてくれて……しかも、あたし達のことをいーっぱい撫でてくれたんだ!」
吟子「そう、なんだ……?」
カホ「あ、そうだ! せっかくだし、その人間のところまであたし達が案内するよ! 王子様、こっちこっち!」グイグイッ
吟子「!!? え、ちょ、ちょっと……!?」
吟子「訊きたいこと……? と、いうか待って、本当に私が王子様なん!? 流石に人違いなんじゃ……」
サヤカ「いえ、それはありえませんよ。この森に住んでいる親切な人間に、確かにそう教えてもらいましたから」チュン
吟子「え…………に、人間!?」
カホ「うん! こういう格好の王子様が森に来てる、って教えてくれて……しかも、あたし達のことをいーっぱい撫でてくれたんだ!」
吟子「そう、なんだ……?」
カホ「あ、そうだ! せっかくだし、その人間のところまであたし達が案内するよ! 王子様、こっちこっち!」グイグイッ
吟子「!!? え、ちょ、ちょっと……!?」
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7: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:06:00 ID:???00
────
タッタッ…
吟子「はぁはぁ……もう、何でこんなことに……!」
吟子(花帆先輩と同じ声で迫られると、どうしても断ることができん……! 不可抗力で、そのうさぎを追いかけてしまった)
カホ「! あ、いた! ほら、あそこで歌っている子だよ!」
吟子「え、えぇっと……?」ジー
吟子(そして、その声に促され、森の中の小さな空き地を眺めて……気付いた)
吟子「──っ!」ピタッ
「~♪」
吟子(……素朴な格好の少女が、木漏れ日さす切り株に座っている。あれは、あの女の子は……間違いなく)
吟子(──安養寺姫芽。私のよく知る親友の姿が、そこにはあった)
タッタッ…
吟子「はぁはぁ……もう、何でこんなことに……!」
吟子(花帆先輩と同じ声で迫られると、どうしても断ることができん……! 不可抗力で、そのうさぎを追いかけてしまった)
カホ「! あ、いた! ほら、あそこで歌っている子だよ!」
吟子「え、えぇっと……?」ジー
吟子(そして、その声に促され、森の中の小さな空き地を眺めて……気付いた)
吟子「──っ!」ピタッ
「~♪」
吟子(……素朴な格好の少女が、木漏れ日さす切り株に座っている。あれは、あの女の子は……間違いなく)
吟子(──安養寺姫芽。私のよく知る親友の姿が、そこにはあった)
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8: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:07:00 ID:???00
姫芽「~♪」
吟子「……」ジー
吟子(私の存在には気付かず、姫芽は鼻歌を響かせ続けている。その姿は、自然と目が奪われてしまうような美しさがして……)
吟子「…………綺麗……」ポツリ
吟子(思わず、そう声がこぼれてしまった)
姫芽「……? そこに誰か……って」キョロキョロ
姫芽「──!!!?? ぎ、吟子ちゃん~……!?」ガタッ
吟子「……」ジー
吟子(私の存在には気付かず、姫芽は鼻歌を響かせ続けている。その姿は、自然と目が奪われてしまうような美しさがして……)
吟子「…………綺麗……」ポツリ
吟子(思わず、そう声がこぼれてしまった)
姫芽「……? そこに誰か……って」キョロキョロ
姫芽「──!!!?? ぎ、吟子ちゃん~……!?」ガタッ
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9: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:08:00 ID:???00
吟子「姫芽、あの……」
「あ、キミが噂の王子様だね!」タタッ
ルリノ「──はじめまして、ルリだよ!」ワンワン
吟子「!!? ……あ、はい……」
吟子(今度は切り株の後ろから子犬が、瑠璃乃先輩の声で私に挨拶を…………もう私、何が来ても驚かない自信がある……)ハァ
姫芽「あ、あぁ、吟子ちゃん、え、えぇと~……」ワタワタ
吟子「それで……姫芽? なんでそんなに慌てとるん……??」
サヤカ「? おや、王子様はこの方の顔見知りなんですか?」
カホ「それに今、“ひめ”って……! もしかしてこの人間、お姫様だったりするのかな?」
「あ、キミが噂の王子様だね!」タタッ
ルリノ「──はじめまして、ルリだよ!」ワンワン
吟子「!!? ……あ、はい……」
吟子(今度は切り株の後ろから子犬が、瑠璃乃先輩の声で私に挨拶を…………もう私、何が来ても驚かない自信がある……)ハァ
姫芽「あ、あぁ、吟子ちゃん、え、えぇと~……」ワタワタ
吟子「それで……姫芽? なんでそんなに慌てとるん……??」
サヤカ「? おや、王子様はこの方の顔見知りなんですか?」
カホ「それに今、“ひめ”って……! もしかしてこの人間、お姫様だったりするのかな?」
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10: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:09:00 ID:???00
姫芽「あ、ち、違くて~……アタシの名前が“姫芽”ってだけだから、アタシがお姫様とかじゃないはずであってほしくて~……」アワアワ
吟子「……? ねぇ、姫芽。もしかして……」
吟子「姫芽も──この世界にいきなり来た、みたいな感じ?」
姫芽「…………うん」コクリ
姫芽「アタシも……たぶん吟子ちゃんと同じかな。目が覚めたら、突然ここに居たんだ~」
吟子「……! 私も、そう。起きたら森の中で、気付いたらこんな格好をしてたからビックリして……」
吟子(あぁ、良かった……私以外にも現実世界? から来てる人が、それも姫芽がいるなんて、少し安心する)
吟子(えぇと、でも……話を聞く限り結局、姫芽も私も突然このファンタジー世界に来たってこと……? え、何故……??)
吟子「……? ねぇ、姫芽。もしかして……」
吟子「姫芽も──この世界にいきなり来た、みたいな感じ?」
姫芽「…………うん」コクリ
姫芽「アタシも……たぶん吟子ちゃんと同じかな。目が覚めたら、突然ここに居たんだ~」
吟子「……! 私も、そう。起きたら森の中で、気付いたらこんな格好をしてたからビックリして……」
吟子(あぁ、良かった……私以外にも現実世界? から来てる人が、それも姫芽がいるなんて、少し安心する)
吟子(えぇと、でも……話を聞く限り結局、姫芽も私も突然このファンタジー世界に来たってこと……? え、何故……??)
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11: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:10:00 ID:???00
ルリノ「? なんのお話をしてるか、わかんないけど……ねぇねぇ、もっとルリのこと、撫でてほしいなぁ」ワンワン
姫芽「!!! そんなの、もちろんですよ、るりちゃんせんぱい~!!」ナデナデナデ
吟子「………………姫芽」ジトー
姫芽「あ、い、いやいや~……アタシも最初は驚いたし、この行為は現実逃避かもしれないけどさぁ~」
姫芽「……るりちゃんせんぱいの声帯を持った可愛いわんちゃんがいるなら、かわいがらなきゃ損だって~!!! あぁ幸せ~」ニヤニヤ
ルリノ「わんわん! よくわかんないけど、喜んでもらえてルリも嬉しい!」ニコッ
姫芽「うへへ~!!! るりちゃんせんぱい、可愛い~!!!」
姫芽「!!! そんなの、もちろんですよ、るりちゃんせんぱい~!!」ナデナデナデ
吟子「………………姫芽」ジトー
姫芽「あ、い、いやいや~……アタシも最初は驚いたし、この行為は現実逃避かもしれないけどさぁ~」
姫芽「……るりちゃんせんぱいの声帯を持った可愛いわんちゃんがいるなら、かわいがらなきゃ損だって~!!! あぁ幸せ~」ニヤニヤ
ルリノ「わんわん! よくわかんないけど、喜んでもらえてルリも嬉しい!」ニコッ
姫芽「うへへ~!!! るりちゃんせんぱい、可愛い~!!!」
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12: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:11:00 ID:???00
吟子「はぁ……そっか。姫芽はいつも通りだね……」
吟子(よくわからない不思議な世界でも、いつもみたいに平然としている姫芽に、呆れるやら安心するやら…………でも)
姫芽「るりちゃんせんぱい~!!」ナデナデナデ
吟子(……鼻歌を歌うさっきの姫芽は、本当に、綺麗だった。だからかな……私は、姫芽の顔を正面から見られない)
吟子(見れば思わず……意識、しちゃいそうになるのが自分でもわかって…………って)
吟子(な、何思っとるん私……! これはまだ、確信の持てない秘めておくべき気持ちだから……考えないようにしなきゃ……//)
吟子(よくわからない不思議な世界でも、いつもみたいに平然としている姫芽に、呆れるやら安心するやら…………でも)
姫芽「るりちゃんせんぱい~!!」ナデナデナデ
吟子(……鼻歌を歌うさっきの姫芽は、本当に、綺麗だった。だからかな……私は、姫芽の顔を正面から見られない)
吟子(見れば思わず……意識、しちゃいそうになるのが自分でもわかって…………って)
吟子(な、何思っとるん私……! これはまだ、確信の持てない秘めておくべき気持ちだから……考えないようにしなきゃ……//)
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13: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:12:00 ID:???00
サヤカ「ルリノさん。わたし達も旅の途中なんですから、あまり人間に迷惑をかけないでくださいね」チュンチュン
ルリノ「はぁい」トテトテ
姫芽「な……もう終わりなんですか、るりちゃんせんぱい~……!?」シュン
吟子「あれ、そういえば……確か、さっきも旅がどうとかで訊きたいことがあるって……」
カホ「あ、そう、そうなんだよ! あたし達、魔法の林檎を探して、3匹で旅をしてるんだ!」ピョン
ルリノ「はぁい」トテトテ
姫芽「な……もう終わりなんですか、るりちゃんせんぱい~……!?」シュン
吟子「あれ、そういえば……確か、さっきも旅がどうとかで訊きたいことがあるって……」
カホ「あ、そう、そうなんだよ! あたし達、魔法の林檎を探して、3匹で旅をしてるんだ!」ピョン
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14: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:13:00 ID:???00
ルリノ「わんわん! それで、お城まで向かう旅の途中、ルリ達気づいたら森の中にいて……人間と出会ったんだぁ」ワンワン
吟子「? お城と魔法の林檎に、何か関係が?」
サヤカ「ええ。魔法の林檎には、呪いを解く不思議な力があるんですが……実は、この国のお姫様はその林檎の在処を知っているらしく」チュン
ルリノ「お姫様ってことは普通に考えてお城にいるはずだし……会いに行くしかないと、ルリ思う、故にルリあり」ワンワン
カホ「うん! だからあたし達、お姫様に魔法の林檎の場所を訊くために、王子様にお城までの道を訊きたかったんだ!」ピョン
吟子「て、手間が二重……」
吟子「? お城と魔法の林檎に、何か関係が?」
サヤカ「ええ。魔法の林檎には、呪いを解く不思議な力があるんですが……実は、この国のお姫様はその林檎の在処を知っているらしく」チュン
ルリノ「お姫様ってことは普通に考えてお城にいるはずだし……会いに行くしかないと、ルリ思う、故にルリあり」ワンワン
カホ「うん! だからあたし達、お姫様に魔法の林檎の場所を訊くために、王子様にお城までの道を訊きたかったんだ!」ピョン
吟子「て、手間が二重……」
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15: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:14:00 ID:???00
吟子(あれ……今の話をまとめると、これは、3匹の動物が魔法の林檎を探し出す、それにお姫様も出てくる物語ってこと……?)
吟子「……あっ」
吟子(その瞬間──思い出した。この物語を、うさぎと鳥と犬のファンタジーのお話を、私は、“花帆先輩から聞いた”んだ)
吟子(そう、それは数日前のこと……)
吟子「……あっ」
吟子(その瞬間──思い出した。この物語を、うさぎと鳥と犬のファンタジーのお話を、私は、“花帆先輩から聞いた”んだ)
吟子(そう、それは数日前のこと……)
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16: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:15:00 ID:???00
────
──
吟子「……演劇?」
花帆「うん! 新入生に向けた部活動紹介でやる出し物なんだけど、部員みんなでやるオリジナル脚本の演劇が良いんじゃないかって!」ニコッ
吟子「…………まだ花帆先輩、新入部員のこと諦めとらんかったん……?」
花帆「ぐっ……だ、だって! このままだと、新入部員がゼロ人かもしれないんだよ!? ダメだよ、そんなの!」バッ
──
吟子「……演劇?」
花帆「うん! 新入生に向けた部活動紹介でやる出し物なんだけど、部員みんなでやるオリジナル脚本の演劇が良いんじゃないかって!」ニコッ
吟子「…………まだ花帆先輩、新入部員のこと諦めとらんかったん……?」
花帆「ぐっ……だ、だって! このままだと、新入部員がゼロ人かもしれないんだよ!? ダメだよ、そんなの!」バッ
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17: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:16:01 ID:???00
吟子「だからって……もう新入生の寮まで全部まわったんでしょ? 流石に、そろそろ厳しいんじゃ……」
花帆「いや、で……でも! もしかしたら相乗効果で、スクールアイドルクラブのファンだって増えるかもしれないし……」
吟子「はぁ……いくらなんでも急すぎるし、クラブのみんなだって反対するに決まって──」
花帆「! ──ふっふっふ……それは甘いね、吟子ちゃん!」バッ
吟子「……え?」
花帆「実は、もう他の子には許可を貰ったんだ! 小鈴ちゃんは監督をやってくれるって!」グッ
吟子「……!?!!? わ、私の知らない間に、いつの間にか話が進んどる……!?」
花帆「ふふん♪ これでもあたし、今年はさやかちゃんと並んで部長だからね! 計画性はバッチリ!」
花帆「いや、で……でも! もしかしたら相乗効果で、スクールアイドルクラブのファンだって増えるかもしれないし……」
吟子「はぁ……いくらなんでも急すぎるし、クラブのみんなだって反対するに決まって──」
花帆「! ──ふっふっふ……それは甘いね、吟子ちゃん!」バッ
吟子「……え?」
花帆「実は、もう他の子には許可を貰ったんだ! 小鈴ちゃんは監督をやってくれるって!」グッ
吟子「……!?!!? わ、私の知らない間に、いつの間にか話が進んどる……!?」
花帆「ふふん♪ これでもあたし、今年はさやかちゃんと並んで部長だからね! 計画性はバッチリ!」
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18: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:17:00 ID:???00
吟子「えぇ……なんでこういうことばっか行動が早いん……」ハァ
花帆「それでね、王子様の役は──吟子ちゃんに決まってるんだ!」フンフン
吟子「………………は!?」ガタッ
吟子(だ、ダメだ……もう私が何を言っても、この先輩は止められない……!!)
花帆「お話のベースは白雪姫がモデルなんだけど、仲良しのうさぎと鳥と犬が魔法の林檎を探して一緒に旅をしててね……」フンフン
花帆「それにそれに、読むと実は、吟子ちゃんが演じる王子様と最終的に付き合うお姫様もいて、それはなんと脚本の姫──」
吟子「も、もういいって、花帆先輩!! どうせやらなきゃいけないなら……時期が近くなった、そのときに私も読むから!」プイッ
花帆「それでね、王子様の役は──吟子ちゃんに決まってるんだ!」フンフン
吟子「………………は!?」ガタッ
吟子(だ、ダメだ……もう私が何を言っても、この先輩は止められない……!!)
花帆「お話のベースは白雪姫がモデルなんだけど、仲良しのうさぎと鳥と犬が魔法の林檎を探して一緒に旅をしててね……」フンフン
花帆「それにそれに、読むと実は、吟子ちゃんが演じる王子様と最終的に付き合うお姫様もいて、それはなんと脚本の姫──」
吟子「も、もういいって、花帆先輩!! どうせやらなきゃいけないなら……時期が近くなった、そのときに私も読むから!」プイッ
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19: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:18:00 ID:???00
──
────
吟子「……と、いうことは、つまり……」
吟子(あのとき花帆先輩に聞いたお話と今の状況が、あまりにも酷似しすぎている……これは……)
吟子「私達──演劇でやるはずの“物語の中”に入っちゃった、ってことなんじゃ……!?」
────
吟子「……と、いうことは、つまり……」
吟子(あのとき花帆先輩に聞いたお話と今の状況が、あまりにも酷似しすぎている……これは……)
吟子「私達──演劇でやるはずの“物語の中”に入っちゃった、ってことなんじゃ……!?」
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20: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:19:00 ID:???00
カホ「?? ものがたりの、なか?」
ルリノ「何のお話してるんだろうねー」ワンワン
姫芽「ん~、やっぱ、そうだよね~……」ハァ
吟子「? 何で姫芽はそんなに落ち込んどるん……? 少なくとも少しは状況がわかったことだし、解決することだって……」
姫芽「……吟子ちゃん。もし、もし仮に、ここが物語の中だとしたらさ~……」
姫芽「アタシ達が脱出するための条件って、何だと思う?」
ルリノ「何のお話してるんだろうねー」ワンワン
姫芽「ん~、やっぱ、そうだよね~……」ハァ
吟子「? 何で姫芽はそんなに落ち込んどるん……? 少なくとも少しは状況がわかったことだし、解決することだって……」
姫芽「……吟子ちゃん。もし、もし仮に、ここが物語の中だとしたらさ~……」
姫芽「アタシ達が脱出するための条件って、何だと思う?」
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21: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:20:00 ID:???00
吟子「条件? え、っと例えば……きちんと物語のエンディングを迎えることができたら、とか……? ……あっ」
吟子(……しまった。そうだとしたら、問題が一つ──私は“この物語のエンディング”がどんなものかを全く知らない……!)
吟子「なるほど……姫芽も私と同じで、物語の結末を知らないから、突破口がわからず塞いでたんだね」
姫芽「……え? あ、あ~……え~~っと……そ、そうなんだよ~。アタシも、何にも知らなくてさ~……」アセアセ
吟子「……? 姫芽……何か隠してる?」ジー
姫芽「! う、ううん、なんでもないよ、吟子ちゃん~。アタシはたぶん、森の中に住んでる一般人役だったっけな~」
吟子「そっか……あぁもう、こうなるんだったら脚本、ちゃんと読んでおくんだった……! どんなお話かも全然わからんなんて……」ハァ
吟子(知っているのは、白雪姫がモデルのお姫様と王子様が出てくるお話ってことと、3匹の動物が旅をすることくらい)
吟子「何の役にも立たない情報すぎる……これで、どうやってエンディングを迎えれば……」ウーン
カホ「──ねぇ、それならさ!」ピョン
吟子(……しまった。そうだとしたら、問題が一つ──私は“この物語のエンディング”がどんなものかを全く知らない……!)
吟子「なるほど……姫芽も私と同じで、物語の結末を知らないから、突破口がわからず塞いでたんだね」
姫芽「……え? あ、あ~……え~~っと……そ、そうなんだよ~。アタシも、何にも知らなくてさ~……」アセアセ
吟子「……? 姫芽……何か隠してる?」ジー
姫芽「! う、ううん、なんでもないよ、吟子ちゃん~。アタシはたぶん、森の中に住んでる一般人役だったっけな~」
吟子「そっか……あぁもう、こうなるんだったら脚本、ちゃんと読んでおくんだった……! どんなお話かも全然わからんなんて……」ハァ
吟子(知っているのは、白雪姫がモデルのお姫様と王子様が出てくるお話ってことと、3匹の動物が旅をすることくらい)
吟子「何の役にも立たない情報すぎる……これで、どうやってエンディングを迎えれば……」ウーン
カホ「──ねぇ、それならさ!」ピョン
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22: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:21:00 ID:???00
吟子「!?? きゅ、急になんなん……!?」
サヤカ「カホさん? 何を……」
カホ「話は聞かせてもらったよ! 全然わからなかったけど! えっと、それでね、一つ提案があって……」フンフン
カホ「王子様も、そこの親切な人間も──あたし達の旅に、一緒に加わればいいんじゃないかな!」ピョン
サヤカ「カホさん? 何を……」
カホ「話は聞かせてもらったよ! 全然わからなかったけど! えっと、それでね、一つ提案があって……」フンフン
カホ「王子様も、そこの親切な人間も──あたし達の旅に、一緒に加わればいいんじゃないかな!」ピョン
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23: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:22:00 ID:???00
吟子「……え? 旅に、って……確か、3匹はお城に向かってるんだよね?」
サヤカ「はい。魔法の林檎を探し出すためにも、森を抜けてお城に辿り着くのが一番ですから」
ルリノ「わんわん! ルリ達は1匹じゃないからね! 森を抜けて、きらめきを探しに行くんだ!」ワンワン
姫芽「それじゃあ……どうして、アタシ達のことまで旅に誘う提案を~?」
カホ「? そんなの、みんなで一緒に旅をした方が楽しいからに決まってるよ!!」ピョン
吟子「えぇ……? た、単純すぎる…………」
サヤカ「はい。魔法の林檎を探し出すためにも、森を抜けてお城に辿り着くのが一番ですから」
ルリノ「わんわん! ルリ達は1匹じゃないからね! 森を抜けて、きらめきを探しに行くんだ!」ワンワン
姫芽「それじゃあ……どうして、アタシ達のことまで旅に誘う提案を~?」
カホ「? そんなの、みんなで一緒に旅をした方が楽しいからに決まってるよ!!」ピョン
吟子「えぇ……? た、単純すぎる…………」
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24: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:23:00 ID:???00
ルリノ「んー、まぁでも……そもそもルリ達だって、この森を抜ける道がわかんなくて人間に訊こうと思ってたんだもんね」ワン
サヤカ「ええ。もし双方にとって、お城に辿り着いてお姫様に会う、という目的が一致していれば……カホさんの提案も悪い話ではないかもしれません」チュン
吟子「! あぁ、そっか。……お城には、お姫様が住んでるんだ……」ポツリ
吟子(花帆先輩、この物語には“王子様と最終的に付き合うお姫様”がいるって言ってたし……お城でなら、会えるかもしれない)
吟子(この物語がどんな結末を迎えるかはわからないけど……お姫様に会えば、きっとエンディングには近づくはずだよね)
サヤカ「ええ。もし双方にとって、お城に辿り着いてお姫様に会う、という目的が一致していれば……カホさんの提案も悪い話ではないかもしれません」チュン
吟子「! あぁ、そっか。……お城には、お姫様が住んでるんだ……」ポツリ
吟子(花帆先輩、この物語には“王子様と最終的に付き合うお姫様”がいるって言ってたし……お城でなら、会えるかもしれない)
吟子(この物語がどんな結末を迎えるかはわからないけど……お姫様に会えば、きっとエンディングには近づくはずだよね)
0
25: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:24:00 ID:???00
吟子「……うん、わかった。それなら、私も同行させてもらおうかな。姫芽も、いいよね?」
姫芽「……え!? あ~…………うん」コクリ
カホ「!! やったぁ! それなら、王子様を先頭にみんなで行進だー!」ピョンピョン
ルリノ「わんわん! みんなで、ごー!」
吟子「お、おー?」
姫芽「……」
姫芽「……え!? あ~…………うん」コクリ
カホ「!! やったぁ! それなら、王子様を先頭にみんなで行進だー!」ピョンピョン
ルリノ「わんわん! みんなで、ごー!」
吟子「お、おー?」
姫芽「……」
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26: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:25:00 ID:???00
────
吟子(お城までの行き方は、何故だか私の頭に入っていた。私がこの世界では王子様だということが、本当なんだと確信する)
吟子(でも、その道のりは想像よりも長かったから、私達は道中、とある地点で夜を越すことになった……)
ホーホー…
吟子「こんな夜遅い時間に、森の中に居るなんて不思議な気分……」
姫芽「あはは、珍しい体験だよね~」ニコッ
吟子(お城までの行き方は、何故だか私の頭に入っていた。私がこの世界では王子様だということが、本当なんだと確信する)
吟子(でも、その道のりは想像よりも長かったから、私達は道中、とある地点で夜を越すことになった……)
ホーホー…
吟子「こんな夜遅い時間に、森の中に居るなんて不思議な気分……」
姫芽「あはは、珍しい体験だよね~」ニコッ
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27: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:26:00 ID:???00
サヤカ「……! みなさん、上を見てください!」チュンチュン
ルリノ「ん、どったのサヤカちゃんー……? ……って、わぁ……!」
カホ「あ、ほら見て、あそこ! ──流れ星だ! すごい、すごい!」
キャッキャ ワイワイ
ルリノ「ん、どったのサヤカちゃんー……? ……って、わぁ……!」
カホ「あ、ほら見て、あそこ! ──流れ星だ! すごい、すごい!」
キャッキャ ワイワイ
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28: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:27:00 ID:???00
吟子「流れ星……ふふ、あんなにはしゃいじゃって、あの3匹、本当に仲良しなんやね」クスッ
吟子「…………でも本当、綺麗……」ジー
吟子「……」チラッ
姫芽「? どうしたの、吟子ちゃん~?」
吟子「あ、いや……綺麗だよね、星」
吟子(…………月も綺麗だ、なんて文言も……もし姫芽に言えたなら、なんて、少し思ってしまう)
姫芽「……そうだね~」
吟子「…………でも本当、綺麗……」ジー
吟子「……」チラッ
姫芽「? どうしたの、吟子ちゃん~?」
吟子「あ、いや……綺麗だよね、星」
吟子(…………月も綺麗だ、なんて文言も……もし姫芽に言えたなら、なんて、少し思ってしまう)
姫芽「……そうだね~」
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29: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:28:00 ID:???00
吟子「えぇと……」チラッ
吟子(このまま姫芽と二人並んでいたら、私の隠した想いまで吐露してしまいそうで……私は、焦って動物達の方へ声をかけた)
吟子「……あ、あの、サヤカ……さん! お城までは、あともう少しなので頑張りましょうね」
サヤカ「そうですね。王子様の道案内に従って、ここを越えれば……光が見えてきて、もうすぐ森を出られますよ!」チュンチュン
ルリノ「おおっ、それなら、あともう一踏ん張りだね!」ワンワン
吟子(このまま姫芽と二人並んでいたら、私の隠した想いまで吐露してしまいそうで……私は、焦って動物達の方へ声をかけた)
吟子「……あ、あの、サヤカ……さん! お城までは、あともう少しなので頑張りましょうね」
サヤカ「そうですね。王子様の道案内に従って、ここを越えれば……光が見えてきて、もうすぐ森を出られますよ!」チュンチュン
ルリノ「おおっ、それなら、あともう一踏ん張りだね!」ワンワン
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30: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:29:00 ID:???00
カホ「進み続ければ、ちゃんと辿り着くんだ! あたしも頑張るぞー!」ピョンピョン
吟子「うん、そうやね。お城まで着いて、お姫様に会えれば……」
吟子(物語には必ず終わりがある。この未来を進んでいけば幸せなエンディングを迎えられる……そう、私は無垢に信じていて)
吟子(だから、姫芽の不審な様子に……私は全く気づけなかった)
吟子「うん、そうやね。お城まで着いて、お姫様に会えれば……」
吟子(物語には必ず終わりがある。この未来を進んでいけば幸せなエンディングを迎えられる……そう、私は無垢に信じていて)
吟子(だから、姫芽の不審な様子に……私は全く気づけなかった)
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31: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:30:00 ID:???00
────
──お城
カホ「そして──とうとう着きました、お城ー!!」
ルリノ「山あり、谷あり、崖っぷち……いやぁ、大冒険だったね」ワンワン
サヤカ「同じところをぐるぐるまわっているみたいで、大変なこともありましたけどね……」チュン
──お城
カホ「そして──とうとう着きました、お城ー!!」
ルリノ「山あり、谷あり、崖っぷち……いやぁ、大冒険だったね」ワンワン
サヤカ「同じところをぐるぐるまわっているみたいで、大変なこともありましたけどね……」チュン
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32: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:31:00 ID:???00
カホ「ふふっ、でもでも、みんなでの冒険、とーっても楽しかったよ!!」ピョン
サヤカ「ふふ、それもそうですね」チュン
ルリノ「わんわん! ルリもそう思う! このまま、ずっとだって一緒に旅をしていたいなぁ」ワン
吟子「……って、ほら3匹とも。目的、忘れちゃダメでしょ。私達はお姫様に会いに来たんだから」
サヤカ「ええ。さっそく中に入って、お姫様に会いに行きましょうか」チュン
サヤカ「ふふ、それもそうですね」チュン
ルリノ「わんわん! ルリもそう思う! このまま、ずっとだって一緒に旅をしていたいなぁ」ワン
吟子「……って、ほら3匹とも。目的、忘れちゃダメでしょ。私達はお姫様に会いに来たんだから」
サヤカ「ええ。さっそく中に入って、お姫様に会いに行きましょうか」チュン
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33: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:32:00 ID:???00
────
ギィィィ…
カホ「失礼しまーす……あれ?」
シン…
ルリノ「……んん? お城の中、誰もいなくね? お姫様、消えちゃった?」キョロキョロ
サヤカ「え、そんな筈はないのですが……おかしいですね、どういうことでしょうか……??」
吟子「? お姫様が、いない……?」
ギィィィ…
カホ「失礼しまーす……あれ?」
シン…
ルリノ「……んん? お城の中、誰もいなくね? お姫様、消えちゃった?」キョロキョロ
サヤカ「え、そんな筈はないのですが……おかしいですね、どういうことでしょうか……??」
吟子「? お姫様が、いない……?」
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34: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:33:05 ID:???00
吟子(物語の中で、最後に辿り着くお城。普通の物語だったら、お姫様はお城で王子様を待っている筈じゃ……)
吟子「……!」ハッ
吟子(……違う! 花帆先輩が話していた、この物語のベースとなった童話のお姫様は……“白雪姫”だ!)
吟子「っ! なら、もしかして……」クルッ
吟子(私は、咄嗟に振り返って……知った)
吟子「──姫芽が、いない!!」
カホ「えっ!?」ピョン
吟子「……!」ハッ
吟子(……違う! 花帆先輩が話していた、この物語のベースとなった童話のお姫様は……“白雪姫”だ!)
吟子「っ! なら、もしかして……」クルッ
吟子(私は、咄嗟に振り返って……知った)
吟子「──姫芽が、いない!!」
カホ「えっ!?」ピョン
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35: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:34:00 ID:???00
ルリノ「!? ど、どど、どーいうこと?? お姫様もお城から消えちゃってるし、ルリには何が何だか……」
吟子「そうじゃない…………お姫様は消えたんじゃなくて、もうとっくに、舞台に上がっていたんだ……」ポツリ
吟子(もっと早く気づくんだった……! 今出てる登場人物は5人。スクールアイドルクラブの部員でやる演劇で、小鈴は監督だから舞台には上がらない)
吟子(だったら──“この5人の中にお姫様が居ないとおかしい”……!)
サヤカ「? それでは、お姫様の正体は……」
吟子「……このお話のモデルは白雪姫。そして、童話の物語の中では、城から追い出された白雪姫は──“森の中”に住んでいた」
吟子「だから……お城にはお姫様なんて居ない! 魔法の林檎でしか解けない呪いを受けていた白雪姫は、姫芽だったんだ!」
吟子「そうじゃない…………お姫様は消えたんじゃなくて、もうとっくに、舞台に上がっていたんだ……」ポツリ
吟子(もっと早く気づくんだった……! 今出てる登場人物は5人。スクールアイドルクラブの部員でやる演劇で、小鈴は監督だから舞台には上がらない)
吟子(だったら──“この5人の中にお姫様が居ないとおかしい”……!)
サヤカ「? それでは、お姫様の正体は……」
吟子「……このお話のモデルは白雪姫。そして、童話の物語の中では、城から追い出された白雪姫は──“森の中”に住んでいた」
吟子「だから……お城にはお姫様なんて居ない! 魔法の林檎でしか解けない呪いを受けていた白雪姫は、姫芽だったんだ!」
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36: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:35:00 ID:???00
カホ「え、えぇ!? それって、早く見つけてあげなきゃ、呪いで大変なことになるんじゃ……」
吟子「っ、このままだと、姫芽が……!」
吟子(お姫様の正体がわかると同時に、姫芽が何をしようとしているのかも、残酷に理解してしまった)
吟子(姫芽は──バッドエンディングに進もうとしている)
サヤカ「まだそう遠くは行っていない筈です! 手分けして探しましょう!」チュンチュン
ルリノ「わんわん! ルリ達も手伝うよ!!」
吟子「姫芽……!」ダッ
吟子(姫芽を……お姫様を、救わなきゃ……!!)
吟子「っ、このままだと、姫芽が……!」
吟子(お姫様の正体がわかると同時に、姫芽が何をしようとしているのかも、残酷に理解してしまった)
吟子(姫芽は──バッドエンディングに進もうとしている)
サヤカ「まだそう遠くは行っていない筈です! 手分けして探しましょう!」チュンチュン
ルリノ「わんわん! ルリ達も手伝うよ!!」
吟子「姫芽……!」ダッ
吟子(姫芽を……お姫様を、救わなきゃ……!!)
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37: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:36:00 ID:???00
────
吟子(魔法の林檎。それは、お姫様の呪いを解くキーアイテム。……もっと、その意味をちゃんと考えておけば良かった)
吟子(有名な絵本の白雪姫は、呪いを解くために何をしたか。姫芽は……全部知ってたんだ)
タッタッ
吟子「……! 見つけた……っ──姫芽!」ギュッ
姫芽「!! ……吟子、ちゃん」
吟子(魔法の林檎。それは、お姫様の呪いを解くキーアイテム。……もっと、その意味をちゃんと考えておけば良かった)
吟子(有名な絵本の白雪姫は、呪いを解くために何をしたか。姫芽は……全部知ってたんだ)
タッタッ
吟子「……! 見つけた……っ──姫芽!」ギュッ
姫芽「!! ……吟子、ちゃん」
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38: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:37:00 ID:???00
姫芽「……離してよ、アタシは……」
吟子「ううん、離さない。私は王子様で、姫芽がお姫様なんだから、絶対に」
姫芽「! だ、だからダメなのに~……」
吟子「うん、わかってる。姫芽はきっと、この先の結末で何が起きるか知ってるんだ。……“魔法の林檎”をどう使うか、も」
姫芽「……!」
吟子「姫芽は──呪いを解くためにする、王子様のキスから、逃げてるんだよね?」
吟子「ううん、離さない。私は王子様で、姫芽がお姫様なんだから、絶対に」
姫芽「! だ、だからダメなのに~……」
吟子「うん、わかってる。姫芽はきっと、この先の結末で何が起きるか知ってるんだ。……“魔法の林檎”をどう使うか、も」
姫芽「……!」
吟子「姫芽は──呪いを解くためにする、王子様のキスから、逃げてるんだよね?」
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39: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:38:00 ID:???00
姫芽「ぅ……////」カァァ
吟子「その反応、図星ってことかな……姫芽」
吟子(私が仮定した、この世界から脱出する条件を思い出す。きっと姫芽も、同じことを考えた上で……)
吟子「姫芽は……自分だけを犠牲にしようとしたんだ。呪いによる、バッドエンディングを目指して」
吟子「その反応、図星ってことかな……姫芽」
吟子(私が仮定した、この世界から脱出する条件を思い出す。きっと姫芽も、同じことを考えた上で……)
吟子「姫芽は……自分だけを犠牲にしようとしたんだ。呪いによる、バッドエンディングを目指して」
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40: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:39:00 ID:???00
姫芽「………………うん」
姫芽「全部……吟子ちゃんの言うとおり、だよ」ポツリ
吟子「!」
姫芽「お姫様が呪いで命を落とす……そんなバッドエンドを迎えれば、この世界から出られるかも、って~……」
姫芽「…………まぁ実際のところ、吟子ちゃんが王子様でアタシがお姫様なこの世界で、本来のエンディングを迎える勇気が、ね……」ポツリ
吟子「? ……ねぇ、姫芽」
姫芽「全部……吟子ちゃんの言うとおり、だよ」ポツリ
吟子「!」
姫芽「お姫様が呪いで命を落とす……そんなバッドエンドを迎えれば、この世界から出られるかも、って~……」
姫芽「…………まぁ実際のところ、吟子ちゃんが王子様でアタシがお姫様なこの世界で、本来のエンディングを迎える勇気が、ね……」ポツリ
吟子「? ……ねぇ、姫芽」
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41: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:40:00 ID:???00
吟子(どんな結論だろうと、物語が幕を閉じさえすればいい。そうすれば、それが脱出の糸口になる。でも、だとしても……)
吟子「…………私は、たとえ物語の中だとしても……姫芽が自分を犠牲にするなんてことは嫌、だよ」ギュッ
姫芽「! で、でも~……元はといえば、アタシのせいでもあるから~……」ワタワタ
吟子「……?? 姫芽のせいって、どういうこと?」
姫芽「…………だって、この物語の脚本は──アタシが書いたもの、だから」
吟子「…………私は、たとえ物語の中だとしても……姫芽が自分を犠牲にするなんてことは嫌、だよ」ギュッ
姫芽「! で、でも~……元はといえば、アタシのせいでもあるから~……」ワタワタ
吟子「……?? 姫芽のせいって、どういうこと?」
姫芽「…………だって、この物語の脚本は──アタシが書いたもの、だから」
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42: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:41:01 ID:???00
吟子「……え」
姫芽「吟子ちゃんを王子様役にしたのは、アタシのアイディアなんだ。お姫様役も、自分に当て書きしてさ」
姫芽「願えば、叶う……かほせんぱいも前、そう言ってた。……だからアタシ、思ったんだ」
姫芽「吟子ちゃんと一緒にこの物語の中に入っちゃったのは、たぶん、アタシがそう願ったからなんじゃないか、って~……」
吟子「え? そ、それって……姫芽が、自分の叶えたい夢を物語に投影したから……?」
吟子(夢を託した物語は私を巻き込んで、この世界を作り上げた……なんて、途方もない話だろう)
吟子「じゃあ、なんでそれを最初に教えてくれなかったん?」
姫芽「そ、それは~……お姫様のモデルを自分にしてこんなお話を書いた、なんて吟子ちゃんに知られたら恥ずかしいもん……//」カァァ
姫芽「吟子ちゃんを王子様役にしたのは、アタシのアイディアなんだ。お姫様役も、自分に当て書きしてさ」
姫芽「願えば、叶う……かほせんぱいも前、そう言ってた。……だからアタシ、思ったんだ」
姫芽「吟子ちゃんと一緒にこの物語の中に入っちゃったのは、たぶん、アタシがそう願ったからなんじゃないか、って~……」
吟子「え? そ、それって……姫芽が、自分の叶えたい夢を物語に投影したから……?」
吟子(夢を託した物語は私を巻き込んで、この世界を作り上げた……なんて、途方もない話だろう)
吟子「じゃあ、なんでそれを最初に教えてくれなかったん?」
姫芽「そ、それは~……お姫様のモデルを自分にしてこんなお話を書いた、なんて吟子ちゃんに知られたら恥ずかしいもん……//」カァァ
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43: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:42:00 ID:???00
吟子「え、それなら姫芽は……この物語のハッピーエンドを知ってるってこと?」
姫芽「……うん。元々の脚本では……臆病で怖がりのお姫様は、呪いを受けた身でありながら王子様のことを信用できない」
姫芽「本当は魔法の林檎も手元にあるのに言い出せないお姫様は、王子様と3匹の動物に出会い、旅に加えてもらい……」
姫芽「でも、その仲間達との冒険の旅で、お姫様は自分の秘めた想いに気づくんだ~。それで……その、魔法の林檎を、こう、キスで……//」
姫芽「……うん。元々の脚本では……臆病で怖がりのお姫様は、呪いを受けた身でありながら王子様のことを信用できない」
姫芽「本当は魔法の林檎も手元にあるのに言い出せないお姫様は、王子様と3匹の動物に出会い、旅に加えてもらい……」
姫芽「でも、その仲間達との冒険の旅で、お姫様は自分の秘めた想いに気づくんだ~。それで……その、魔法の林檎を、こう、キスで……//」
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44: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:43:00 ID:???00
吟子「…………そっか……なるほど、ね」
吟子(姫芽が逃げてしまいたくなる気持ちも……わからないでもない。でも、これは……私にとって、良い機会かもしれない)
吟子「……よし、姫芽。なら、早速やろっか」スタッ
姫芽「へ? な、何を~……?」
吟子「何って…………呪いを解くためのキスに、決まってるでしょ?」
姫芽「!!!?!?!!?」ガタッ
吟子(姫芽が逃げてしまいたくなる気持ちも……わからないでもない。でも、これは……私にとって、良い機会かもしれない)
吟子「……よし、姫芽。なら、早速やろっか」スタッ
姫芽「へ? な、何を~……?」
吟子「何って…………呪いを解くためのキスに、決まってるでしょ?」
姫芽「!!!?!?!!?」ガタッ
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45: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:44:04 ID:???00
吟子「話を聞く限り、魔法の林檎も姫芽が持ってるんだよね? じゃあ、やっちゃおう」グイッ
姫芽「吟子ちゃん!? も、持ってるけど……でも、そんな~……//」
吟子「姫芽。姫芽は……私のこと、好きじゃないの?」
姫芽「う、ううん。そうじゃない、けど……」
吟子「それなら……」
姫芽「で、でも……アタシ、その気がないかもしれない吟子ちゃんに無理矢理やらせるのだけは、嫌で~……」オロオロ
吟子「……!」
姫芽「吟子ちゃん!? も、持ってるけど……でも、そんな~……//」
吟子「姫芽。姫芽は……私のこと、好きじゃないの?」
姫芽「う、ううん。そうじゃない、けど……」
吟子「それなら……」
姫芽「で、でも……アタシ、その気がないかもしれない吟子ちゃんに無理矢理やらせるのだけは、嫌で~……」オロオロ
吟子「……!」
0
46: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:45:04 ID:???00
吟子「…………そっか。私の気持ちは姫芽に伝えてなかったから……勘違い、させちゃったんだ」ポツリ
姫芽「えっ?」
吟子(私がどれだけ姫芽のことを想っているか、姫芽は知らない。それどころか、私のためを考えてくれていて)
吟子「……姫芽は、優しいね。……あった。魔法の林檎、これだよね?」サッ
姫芽「あ、えっと……そう、だけど~……待って、吟子ちゃんはいいの?」
吟子「そんなの……決まってるでしょ。それに姫芽も、すぐにわかるよ」
姫芽「え、え?? その言葉は、どういう……?」
吟子「ふふっ、本当に想いを伝えなきゃいけなかったのは、私の方だったってこと。……脚本、修正してもらわんとね」クスッ
吟子(旅がきっかけで自分の想いに気付いたのは、お姫様ではなく王子様。秘密にしていた想いを、今、姫芽に──)
吟子「大好きやよ、姫芽」ソッ
姫芽「えっ?」
吟子(私がどれだけ姫芽のことを想っているか、姫芽は知らない。それどころか、私のためを考えてくれていて)
吟子「……姫芽は、優しいね。……あった。魔法の林檎、これだよね?」サッ
姫芽「あ、えっと……そう、だけど~……待って、吟子ちゃんはいいの?」
吟子「そんなの……決まってるでしょ。それに姫芽も、すぐにわかるよ」
姫芽「え、え?? その言葉は、どういう……?」
吟子「ふふっ、本当に想いを伝えなきゃいけなかったのは、私の方だったってこと。……脚本、修正してもらわんとね」クスッ
吟子(旅がきっかけで自分の想いに気付いたのは、お姫様ではなく王子様。秘密にしていた想いを、今、姫芽に──)
吟子「大好きやよ、姫芽」ソッ
0
47: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:46:04 ID:???00
姫芽「!!? ~~っ//」
吟子「………………姫芽」チュッ
姫芽「! ぎ、吟子ちゃ、ぁ……」
吟子「……ん、んん…………ぷはっ」
姫芽「……////」
吟子「ふぅ……これで魔法の林檎、姫芽も食べられたよね」
姫芽「あ……う、うん…………く、口移しだけど……」
吟子「……そ、そりゃ、呪いを解くには王子様のキスも必要なんだから、こうなるでしょ……//」カァァ
吟子「………………姫芽」チュッ
姫芽「! ぎ、吟子ちゃ、ぁ……」
吟子「……ん、んん…………ぷはっ」
姫芽「……////」
吟子「ふぅ……これで魔法の林檎、姫芽も食べられたよね」
姫芽「あ……う、うん…………く、口移しだけど……」
吟子「……そ、そりゃ、呪いを解くには王子様のキスも必要なんだから、こうなるでしょ……//」カァァ
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48: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:47:00 ID:???00
姫芽「え、というか、吟子ちゃん、アタシのこと……」
吟子「……うん。私も姫芽のことが好き、やよ」
姫芽「!!!?! あ、アタシだって、好きで……え、両想い!!? そんな、これ現実!?!??」
吟子「げ、現実とも言い難いけど……でも、この気持ちは本当だよ、姫芽」ギュッ
吟子(やっと伝えることができた。姫芽のことが好きだ、って)
吟子「……うん。私も姫芽のことが好き、やよ」
姫芽「!!!?! あ、アタシだって、好きで……え、両想い!!? そんな、これ現実!?!??」
吟子「げ、現実とも言い難いけど……でも、この気持ちは本当だよ、姫芽」ギュッ
吟子(やっと伝えることができた。姫芽のことが好きだ、って)
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49: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:48:00 ID:???00
姫芽「……そ、そんな、アタシ、吟子ちゃんにいっぱいワガママだって言っちゃうかもしれないよ~……?」
吟子「ふふっ、そんなの、むしろ嬉しいよ」ニコッ
姫芽「……え?」
吟子「だって、大好きなお姫様のワガママなんて……王子様にとっては、幾らでも叶えてあげたくなる物なんだから」クスッ
姫芽「!! っ、そ、その言い方は、反則すぎるって~……////」
吟子「ふふっ、そんなの、むしろ嬉しいよ」ニコッ
姫芽「……え?」
吟子「だって、大好きなお姫様のワガママなんて……王子様にとっては、幾らでも叶えてあげたくなる物なんだから」クスッ
姫芽「!! っ、そ、その言い方は、反則すぎるって~……////」
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50: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:49:02 ID:???00
カホ「──あ、王子様と……お姫様!」ピョンピョン
ルリノ「よかったぁ、見つかったんだね!」ワンワン
サヤカ「どうやら、万事解決したみたいですね」チュンチュン
姫芽「あ……動物達もみんな集まってきたし、これってもしや、エンディングってやつかな~?」
吟子「そうだね。完全なるハッピーエンド……」
吟子(お姫様と王子様は互いに想いを伝え、結ばれた……そんな幸せな結末。そう認識した途端、私は、意識が……)
ルリノ「よかったぁ、見つかったんだね!」ワンワン
サヤカ「どうやら、万事解決したみたいですね」チュンチュン
姫芽「あ……動物達もみんな集まってきたし、これってもしや、エンディングってやつかな~?」
吟子「そうだね。完全なるハッピーエンド……」
吟子(お姫様と王子様は互いに想いを伝え、結ばれた……そんな幸せな結末。そう認識した途端、私は、意識が……)
0
51: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:50:00 ID:???00
──────
────
──
吟子「ん、んん……」パチリ
姫芽「ふにゃぁ~……あれ、ここは~……」
「あ、二人とも起きた?」
吟子「…………花帆、先輩?」
花帆「うん、そうだよ吟子ちゃん。ふふ、二人とも揃って部室で居眠りなんて、仲良しさんだね!」ニコッ
────
──
吟子「ん、んん……」パチリ
姫芽「ふにゃぁ~……あれ、ここは~……」
「あ、二人とも起きた?」
吟子「…………花帆、先輩?」
花帆「うん、そうだよ吟子ちゃん。ふふ、二人とも揃って部室で居眠りなんて、仲良しさんだね!」ニコッ
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52: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:51:00 ID:???00
吟子「居眠り…………え、さっきのは、夢……?」
吟子(……いや、違う。夢なんかじゃない。だって……)チラッ
姫芽「……//」
吟子「姫芽……あの」
姫芽「!? な、えぇと、えと……ど、どど、どうしたの、吟子ちゃん~……!?////」
吟子「……//」
吟子(そんなに顔を真っ赤にされたら、いくらなんでも実際に起こったことなんだって、わかるに決まっとるって……!!//)
吟子(……いや、違う。夢なんかじゃない。だって……)チラッ
姫芽「……//」
吟子「姫芽……あの」
姫芽「!? な、えぇと、えと……ど、どど、どうしたの、吟子ちゃん~……!?////」
吟子「……//」
吟子(そんなに顔を真っ赤にされたら、いくらなんでも実際に起こったことなんだって、わかるに決まっとるって……!!//)
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53: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:52:00 ID:???00
花帆「……? でも、寝てる場合じゃないよ、二人とも! これから実際に、新入生に向けた演劇の練習をしなきゃ!」パンッ
吟子「練習…………あぁ、なんというか私、演技の方は完璧にできそうな自信がある……」
吟子(だって私と姫芽は、あの夢みたいな世界の中で、実際にリハーサルをこなしたようなものやし…………)
吟子「…………って、あれ??」
花帆「? 吟子ちゃん?」
吟子「──!」ハッ
吟子(脚本の内容的に、もしかして私…………新入生の前で“キスシーン”を演じなきゃいけないってことなんじゃ……!!!//)
吟子「練習…………あぁ、なんというか私、演技の方は完璧にできそうな自信がある……」
吟子(だって私と姫芽は、あの夢みたいな世界の中で、実際にリハーサルをこなしたようなものやし…………)
吟子「…………って、あれ??」
花帆「? 吟子ちゃん?」
吟子「──!」ハッ
吟子(脚本の内容的に、もしかして私…………新入生の前で“キスシーン”を演じなきゃいけないってことなんじゃ……!!!//)
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54: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:53:00 ID:???00
吟子「…………~~~っ!!////」カァァ
花帆「あぁ、楽しみだなぁ、吟子ちゃんの王子様! 姫芽ちゃんのお姫様役も、すっごく綺麗なんだろうなぁ……」キラキラ
吟子「っ、花帆先輩、その……」
花帆「? どうしたの、吟子ちゃん! あ、もちろんあたしも、うさぎさんの役は頑張るよ!」ニコッ
吟子(ぐ、花帆先輩の純粋な瞳を見ると何も言えん……! あ、で、でも、もしかしたら姫芽は嫌がるかも……!)チラッ
姫芽「ぎ、吟子ちゃん……」
花帆「あぁ、楽しみだなぁ、吟子ちゃんの王子様! 姫芽ちゃんのお姫様役も、すっごく綺麗なんだろうなぁ……」キラキラ
吟子「っ、花帆先輩、その……」
花帆「? どうしたの、吟子ちゃん! あ、もちろんあたしも、うさぎさんの役は頑張るよ!」ニコッ
吟子(ぐ、花帆先輩の純粋な瞳を見ると何も言えん……! あ、で、でも、もしかしたら姫芽は嫌がるかも……!)チラッ
姫芽「ぎ、吟子ちゃん……」
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55: ◆puraWbgs★ 2025/04/25(金) 21:54:00 ID:???00
姫芽「……演劇、せいいっぱい頑張ろうね~!!」グッ
吟子「!!? な、なんで姫芽まで!?」
姫芽「いや、だってまぁ……アタシにとっては、むしろこれが望み通り、というかなんというか~……//」
吟子「あ……」
吟子(そうだ、そもそもこの王子様とお姫様のお話は、姫芽が書いた脚本なんだった……!!)
吟子(つまるところ最初から、私は逃げも隠れもできないわけで……)
吟子「……っ、も、もう! どうなっても知らんからね!!//」
その後──実際に行われた演劇でのキスシーンは、絶大な反響を呼び……スクールアイドルクラブのファンは急激に増加することとなった
おしまい
吟子「!!? な、なんで姫芽まで!?」
姫芽「いや、だってまぁ……アタシにとっては、むしろこれが望み通り、というかなんというか~……//」
吟子「あ……」
吟子(そうだ、そもそもこの王子様とお姫様のお話は、姫芽が書いた脚本なんだった……!!)
吟子(つまるところ最初から、私は逃げも隠れもできないわけで……)
吟子「……っ、も、もう! どうなっても知らんからね!!//」
その後──実際に行われた演劇でのキスシーンは、絶大な反響を呼び……スクールアイドルクラブのファンは急激に増加することとなった
おしまい
引用元: https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11224/1745582402/