【SS】かすみ『大好きを伝える』【ラブライブ!虹ヶ咲】

かすみん SS


1: 2021/01/31(日) 20:12:35.77 ID:ijsOBi1U
  「…………だから…」

  「ちゃんと…………だよ!」

  「………ぼー……」

  「…………か」

5つの人影。影を見た感じ同好会の人たちかな。なんで離れて行くんだろう…

…そして、なぜかしず子にそばにいて欲しいと願ってしまう。

かすみ「…あ」

っはぁ…またあの夢だ。ここ最近夢を見るときはいつもこんな感じの夢。

最初は人影だけだったのに今日は声まで付き始めてる…。

かすみ「んああ~!かすみんはかわいい夢が見たいのに~!!」

最近のかすみんはこの夢のせいで本当に気分が悪いというか…運が悪いというか…。

でもかすみんにはスクールアイドル同好会があるから悪い夢くらいどうってことないよね!

……ってあれ?もうこんな時間?!遅刻寸前じゃん!またしず子に迷惑かけちゃう!

6: 2021/01/31(日) 20:17:53.49 ID:ijsOBi1U
かすみ「ごめ~ん!また寝坊しちゃった~!」

しずく「あ、かすみさんおはよう」

しずく「今日も寝坊しちゃったの?全くかすみさんは…早寝早起きは大事だよ?」

かすみ「昨日は11時に寝たんだよ?なのに変な夢見てたら目覚ましに気づかなくてさ~」

しずく「変な夢?…あ、私のあげた髪留め今日も使ってくれてるんだね。ありがとう」ニコッ

かすみ「……っ!///」

その月のようにキレイな笑顔。本当にドキってする…

かすみ「だ、だって友達から貰ったものだし?使うに決まってるじゃん…」

しずく「…そっか、そう言ってもらえると嬉しいな」ニコッ

今度は咲いたお花のような笑顔をかすみんに見せてくる。

かすみんもこんな可愛い笑顔をしず子に見せられたらなぁ…ってかすみん何考えてるんだろ…

8: 2021/01/31(日) 20:22:07.27 ID:ijsOBi1U
しずく「そういえば変な夢ってなんのことなの?」

かすみ「あ!それがさ~かすみんから同好会の皆んなが離れちゃうーっていう夢でさー…ここ最近の夢がずっとこれなんだよね~」

しずく「確かに変な夢だね…」

かすみ「でも変な夢なんかにかすみんは負けないからね!」

しずく「その調子だよかすみさん。かすみさんは笑顔じゃなきゃね」

そう言うとしず子は私の手を握って走り出す。

しずく「早くしないと間に合わないよ?行こっ!」

かすみ「わぁ!しず子!?」

スクールアイドルフェスティバルが終わってからしず子がなんか積極的なんだよね…嬉しいからいいけど!

10: 2021/01/31(日) 20:27:15.46 ID:ijsOBi1U
授業中

先生「――『我が命の全けむかぎり忘れめやいや日にけには思ひ益すとも』これは小テストに出しますから~…」

…ぼーっとしてるとしず子の笑顔を思い出す。最近しず子といるとたまにすごく緊張する時がある…急に心臓がバクバクするんだよね。なんでだろ?

緊張はするけどもっと一緒にいたいって思っちゃう。しず子が演劇部の活動で一緒に帰れない時はすごく寂しいし。

…またドキドキしてきた。なんなのこの気持ち…

「かすみちゃん顔赤いよ?どうしたの?」

クラスメイトの子に話しかけられる。かすみん、顔まで真っ赤なんだ…

かすみ「ちょっと暑いなーって思っただけだから大丈夫!」

誤魔化してはみたけど結局授業中にドキドキはおさまんなくてすごく疲れた…。

12: 2021/01/31(日) 20:32:17.94 ID:ijsOBi1U
放課後 

スクールアイドル同好会部室

今日も同好会の練習!スクールアイドルフェスティバルが終わってからイベントに引っ張りだこなかすみんたち。

同好会のみんなも魅力的だけどファンのみんなはかすみんの可愛さに惚れたはず!

せつ菜「今日もみんなの大好きのために練習やっていきましょう!!」

同好会一同「おーー!」

果林「スクールアイドルフェスティバルが終わってから本当に雰囲気いいわよねぇ…」

エマ「うん!ポカポカしてるね!」

彼方「ほんとにポカポカしてるよねえ…じゃあ彼方ちゃんはおひるね…」スヤピー

侑「彼方さーん!とりあえず準備運動だけはお願いします!」

私も準備しないと!今日もかすみんのかわいいを伝える練習しなきゃ!

…あれ?しず子がこっち見てる?

かすみ「しず子~?どうしたの?」

しずく「…っなんでもない!今日は屋上で練習するんだよね?早く行こ?」

そう言うとしず子は勢いよく部室から出ていく。

かすみ「待ってよしず子ぉ~!りな子も行くよー!」

璃奈「まだ璃奈ちゃんボードつけ終わってないよ~」

愛「じゃありなりーは私たちと行こっか!2人とも先行っててー!」

かすみ「分かりました!はやくしないとかすみんの可愛さがランクアップしちゃいますからね~!」

早くしず子に追い付かないとね!

13: 2021/01/31(日) 20:37:10.53 ID:ijsOBi1U
歩夢「あの2人元気だねー…」ニコッ

侑「……そうだね」ニコッ

せつ菜さん「侑さんと歩夢さんいい表情してますね!何かいいことでもありました?」

彼方「…あ、二人は気づいてるのかな~?」

せつ菜「??」

侑「結構前からですけどね…ほんと、青春ですね」

歩夢「かすみちゃんもしかして気づいてないのかな…?」  

璃奈「璃奈ちゃんボード『恥ずかしい』」

愛「でもかすみん幸せそうな顔してるよねー、頭では理解できてないけど心は意識してる感じ?」

せつ菜「??皆さんが何を言ってるかはよく分かりませんが、私たちも急ぎましょう!!」

エマ「まぁまぁ、たまにはゆっくりいこうよ~せつ菜ちゃん」ニコニコ

果林「そうよ、走って怪我でもしたら大変よ?これからイベントもたくさんあるのよ?」

せつ菜「んーそうですね!たまには揃って練習場所に行くのもいいですね!!」

15: 2021/01/31(日) 20:42:16.89 ID:ijsOBi1U
屋上

かすみ「かすみんがいっちばん乗り~!あれ~しず子ぉ~?私より先に出てったのに私より遅いね~?」

しずく「ハァ…かすみさんが速いだけだよ…ハァ…」

今日は快晴。ダークブルーとサンセットスカイが交わる空、東京湾からの風。火照った体にはちょうどいい…。

しずく「…風、気持ちいいね」

かすみ「うん!やっぱり屋上は気持ちいいなぁ!」

空を見ているしず子の瞳が輝く。しず子の持つスカイブルーの瞳は大人っぽくてほんとに綺麗。かすみんの目の色もかわいいけど大人っぽいかわいいも欲しいなぁ…

しずく「そういえばかすみさん」

かすみ「ん?なに?」

しずく「今度演劇の発表会があるんだけど、良かったらかすみさんも来て欲しいな」

かすみ「しず子が出るなら絶対行くよ!どんなストーリーなの?」

しず子はなぜか顔を赤くしながら答える。

しずく「お姫様に恋をしてしまった平民の女の子がお姫様をあの手この手で振り向かせるストーリーで…」

かすみ「女の子がお姫様に…お姫様…」

17: 2021/01/31(日) 20:47:18.23 ID:ijsOBi1U
あっ

…そっか。

私は理解した。なんでしず子にドキドキするのかって。

しずく「…不思議なストーリーだよね」

かすみ「…確かに不思議かもね」

なんとか会話を繋げる。理性で無理やり笑顔を作る。でも体は震えてるし顔は赤くなっていると思う…

―――頭の中の私が優しく語りかける。

  『――それはね、恋だよ』って。

19: 2021/01/31(日) 20:52:05.12 ID:ijsOBi1U
しずく「喉渇いたから飲み物買ってくるけどかすみさんは何かいる?」

かすみ「…じゃあカルピスが欲しいな」

しずく「私が奢ってあげるね」

かすみ「…ありがとう」

胸に手を当てる。ドキドキが止まらない。

今までは無意識だけど友達として誤魔化せてた。

もうしず子を友達としてみられないと思うとすごく不安になる。

…溜息をつきつつ空を見上げると、一番星が煌めいてる。木星か金星だったっけ?

あの星に願う。

かすみ「しず子といつまでも一緒にいられますように…」

私の勝手だってわかってても願うくらいならいいよね…願うだけで終わってほしくないけどさ。

20: 2021/01/31(日) 20:57:23.44 ID:ijsOBi1U
ガチャ

侑「お待たせー!あれ?しずくちゃんは?」

同好会のみんながきた。この気持ちはとりあえず隠しておかないといけないのかな…

かすみ「もう!遅いですよぉ~!しず子は飲み物買いに行きました!」

愛「あはは~ごめんごめん」

しずく「あ、皆さん来ていたんですね。待たせてしまってごめんなさい」

璃奈「私たちも今来たとこだから大丈夫」

しずく「そっか、それなら良かった…」

せつ菜「皆さん集まりましたね!早速準備運動しましょう!!!」

同好会一同「おー!!」

しずく「かすみさん、璃奈さん、ストレッチやろ?」

いつものかわいい笑顔をかすみんに見せてくる。でもしず子と目が合わせられないよ…

璃奈「璃奈ちゃんボード『がんばるぞー!』」

かすみ「り、りな子って最近すごく体柔らかいよね!」

どうにかして平静を取り繕う。

璃奈「愛さんが手助けしてくれたから…ここまで柔らかくなるとは思わなかった」

しずく「かすみさんも十分柔らかいよ」

とりあえず今は練習に集中しないと。

かすみ「……かすみんのかわいいを伝えるためにはこういう地道な努力も必要なの!」

胸を締め付けられるような感覚…。

しずく「継続は力なりって言うもんね、私も頑張らなきゃ!」

こんな会話を続けるうちに時間はあっという間に過ぎていく。…いつもなら。

今日は時間がゆっくりに感じる。同好会の活動が早く終わって欲しいなんて初めて思ったかも…。

21: 2021/01/31(日) 21:02:20.84 ID:ijsOBi1U
せつ菜「ふぅ…今日はここまでにしましょうか?」

侑「そうだねー、もう7時半だしこの辺りでやめにしとこっか」

歩夢「今日もお疲れ様~。本当にあっという間だね…」

彼方「帰る頃には8時過ぎてるもんね~家事もしなくっちゃ~」

せつ菜「明日は休みにしましょう!ここ最近ずっと活動していますしね!」

エマ「そうだね!お休みすることも大事だもんね!」

せつ菜「はい!!ではお疲れ様でした!」

同好会一同「お疲れ様でした!」

やっと終わった。結局練習中にドキドキは治んなくてすごくきつかった…。

22: 2021/01/31(日) 21:07:16.70 ID:ijsOBi1U
帰り道

しずく「かすみさん、明日の古文の小テストあるって聞いたけど大丈夫?」

かすみ「……」

しず子とお話ししたいのにできない…あの気持ちと向き合ってからしず子と目を合わせるたび緊張する…たった数時間前はちゃんとお話できてたのに。

しずく「かすみさん?」

かすみ「…かすみんさ、しず子が今度演劇するストーリー、全然不思議じゃないと思うよ」

しずく「っ!」

しず子は驚いたような、嬉しいような表情をする。

しずく「そっか…でもいきなりだね?」

かすみ「うん…」

しずく「そ、そういえば明日は演劇部の稽古があるから一緒に登下校はできないかな…」

悲しい顔すらも綺麗だって感じる。今日のかすみんの心は忙しい…。

かすみ「…そっか、じゃあまた今度」

しずく「うん!」

23: 2021/01/31(日) 21:12:06.55 ID:ijsOBi1U
   「まったく………」

   「ほんとだよ……………」

   「意外と……ちゃん…………だね」

呆れているようなトーンで喋る人がいる。…これは…果林先輩?侑先輩、歩夢先輩らしき人もいる。

みんな私から遠ざかっていく。

追いかけたいけど足が動かない。ここがどこかもわからない。

…しず子……!

かすみ「はっ…!」ガバッ

…朝の6時……流石にここまで人物がはっきりしている夢を見ちゃうと気分が悪い。

朝からほんとに最悪…。かすみんに可愛い夢を見させてよーーーー!!!

24: 2021/01/31(日) 21:17:04.92 ID:ijsOBi1U
放課後

今日は同好会も休みだししず子は演劇の方で忙しいし…どこに行こう…

今日は今までで一番うまくいかない日だなぁ…小テストも居残りだったし!

ピロン

ん?誰からだろ?

愛(かすかす~!時間あったらアタシのお店に来ない?)

愛先輩から?…と言うか

かすみ(かすかすはダメです!!!)

愛(ごめんごめん、もんじゃ焼きサービスしてあげるから来てよ!)

かすみ(しょうがないですね~今から行きますね!)

いい機会だし愛先輩に相談してみようかな。愛先輩ってなんでも知ってそうだし一番頼りになるかも。

25: 2021/01/31(日) 21:22:25.74 ID:ijsOBi1U
愛のお店

愛「お!きたきた!いらっしゃいませー!!」

かすみ「珍しい動物に出会ったみたいなトーンですね…ってかりな子もいるの?」

璃奈「うん。愛さんの作るもんじゃ焼き美味しすぎて毎週来てる」

かすみ「りな子さらっとすごいこと言ってるんだけど…」

愛「私を褒めても何も出ないぞ~?よし!かすみんにも会えたことだしミーティングしよう!『meet』だけに!」

かすみ「わざわざそれが言いたくて会議じゃなくてミーティングって言ったんですか?」

愛「よく気付いたね~!愛さんちょっとだけ仕事あるから、りなりーとかすみんでアタシの部屋行ってて!」

何のミーティングだろ?

27: 2021/01/31(日) 21:27:07.16 ID:ijsOBi1U
愛の部屋

愛「と、言うわけで愛さんの部屋に来たわけなんだけど」

かすみ「今日のミーティングってなにするんですか?同好会の?」

同好会のこともいいけど今はそれよりもおっきい問題があるからあんまり意見できないかもなぁ…

愛先輩とりな子が目を合わせる。

璃奈「…いきなり変なこと聞くけど、かすみちゃんって好きな人いるの?」

かすみ「え?!」

かすみんの聞きたかったことだけど、まさか先に聞かれるなんて…

28: 2021/01/31(日) 21:32:26.33 ID:ijsOBi1U
璃奈「…いるの?」

言葉が詰まる。言うべきか迷う…

愛「大丈夫だよ!あたしもりなりーも口固い方だし気にせず言ってみな?」

かすみ「…いるにはいるんですよ。でも…」

愛&璃奈「あれ?!」

かすみ「…その反応なんです?別にいたっていいじゃないですかぁ!」

さすがのかすみんもムスッてきた。

愛「い、いやぁさ、いることは悪くないんだよ?高校生の女の子って言ったらね?」

璃奈「まさか自覚できてたなんて…りなちゃんボード『びっくり』」ヒソヒソ

愛「ってか、でもって何?」

かすみ「えーっとですね…かすみんの好きな人っていうのは……女の子なんです」

2人の顔が真っ赤になる。やっぱりおかしいよね…

愛「なーんだそんなことか!性別とかどーでもいいじゃん!」

愛「大事なのは好きになったっていうその気持ちでしょ?もっとここを大切にしなよっ!」

そう言って愛先輩は笑いながら私の胸に向けて指をさす。

愛「周りの目を気にするかすかすなんか可愛くないし、好きな子に自分の大好きを伝えないなんてらしくないっ!」

璃奈「自分が信じる道を歩めばいいんだよ。それこそがかすみちゃんの魅力だし」

29: 2021/01/31(日) 21:37:08.09 ID:ijsOBi1U
2人の言葉は心にすごく響いた。今までなに迷ってたんだろ…

そっか…そうだよね!そんなことで弱気になっても可愛くないもんね!

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんですぅ!…でもありがとうございます、なんか気持ちが楽になりました!」

璃奈「あとは自分からアプローチしていこう。勇気を出せば相手の人もその勇気を受け取ってくれるよ。」

璃奈「…それに、本当の気持ちを言えなかったら、言わなかった後悔になるだけだよ。璃奈ちゃんボード『ファイト!』」

りな子がいつになく全力だ…。すごく勇気づけられる。

かすみ「ありがと!…というかりな子ってそういうの意外と詳しいんだね…」

璃奈「こ、このくらいは知識というか…本で読んだことあるだけ」

かすみ「ふーん…まあいいや!今日はありがとう!」

愛先輩の店から出るなり、私は全力で走る。勇気を出さない中須かすみとは今日でさよならするために!

全力で駆け抜けていくといつの間にか青色に輝く永代橋を渡っていた。

スカイツリーが見える。

…エメラルドグリーンに光ってる。

30: 2021/01/31(日) 21:42:06.12 ID:ijsOBi1U
愛「かすみんは気づけてたみたいだね、自分の気持ちに」

璃奈「でもかすみちゃんはしずくちゃんがかすみちゃんのこと好きってことわかってない…」

愛「しずくも猛アピールしてたから普通は気づくと思うけどね…そういうところがかすみんっぽけどね」

璃奈「どっちが先に告白するんだろう…」

愛「愛さん達の時とは状況が違うからね~私としてはかすみんに告白して欲しいけど」

愛「……そういえば勇気のところさ、別に嘘はつかなくても良かったんじゃない?」

璃奈「だって私から愛さんに告白したなんて信じないし説得力ないし…まだ付き合ってるってみんなに言ってないし…」

愛「んもぉ~!そういうところが可愛いなああ~!!」ナデナデ

璃奈「うぅ…ありがとう」

愛「今日も泊まってく?」

璃奈「…うん!もっと愛さんとお話ししたい…!」

愛「よーし!今日は恋バナで盛り上がっちゃうぞ~!」

31: 2021/01/31(日) 21:47:04.76 ID:ijsOBi1U
翌日

朝の4時半!しず子はすごく早起きするって聞いたことあるからしず子より先に駅に着くためには早寝早起きだよね!

…あと今日は珍しく夢を見なかった。すごい気分いい!


駅前

こんなに早く登校するのは初めて。

人通りは相変わらず多いけどすごく新鮮に感じる。

しずく「かすみさん、お待たせ!かすみさんより遅く着くのは初めてかも…」

かすみ「じゃあ今日はしず子がお寝坊さんだね!」

しずく「なんでそうなるの…」

なんかしず子がすごく幸せそうな顔してる…。よしっ!

かすみ「今日はかすみんが早かったからかすみんが学校まで連れてってあげるからね!」

しず子の手を握りゆりかもめのホームまで走る。

しずく「ちょっ…かすみさん!?」

冷たい風が顔に打ちつけるけど全然気にならない。繋いでる手がすごくあったかいから…。

32: 2021/01/31(日) 21:52:05.24 ID:ijsOBi1U
ホームに着いてしず子の顔を見る。

かすみ「あれ!?しず子顔真っ赤っかじゃん!大丈夫?!」

しずく「…かすみさんの…ばか」

かすみ「え?!」

しずく「…ばか」

かすみ「バカって言った方がバカなんだよしず子!」

しずく「うぅ…」プシューー

かすみ「…っ!」

しず子がこんな顔してるの初めて見た…すごいかわいい…。

かすみ「なんか…ごめんね?」

しずく「…いいよ」

しずく「その代わり…手、繋いでほしい…」

かすみ「…うん」

私としず子の小指同士が混じり合う。もうカップルみたいで緊張する…けど嬉しい。

手を繋いだままゆりかもめに乗る。

レインボーブリッジに差し掛かった時、東から昇る太陽の光が私たちを包む。

…かすみんの顔が真っ赤なのはその光のせい、と言うことにしておこう。

33: 2021/01/31(日) 21:57:18.47 ID:ijsOBi1U
あれから何日か経ってかすみんは相変わらずしず子に向けて積極的に行動してる。自分で言うのはなんか恥ずかしいけど…

あとあの変な夢も見てない。ほんとになんだったんだろう?

逆にしず子の方は日が経つごとに積極的じゃなくなってきた…一緒に登下校してくれるけど顔が真っ赤のまま…

かすみ「しず子ってここ最近顔真っ赤だよね、体調悪い?」

しず子「…体調悪いわけじゃないから大丈夫、ありがとう」

かすみ「そっか、それならいいんだけどね!じゃあ行こっか!」

今日も私がしず子を引っ張る。かすみんはわざわざ早起きしてしず子よりも先に来てるもんね!

しずく「……うぅ」

ゆりかもめに乗ってる時もしず子から話しかけることはなくなっちゃった…いつも顔赤いし…かすみんもちょっと赤いけどさ。

でも嫌がってる感じはしないなんだよね、多分だけど。ずっと手は握ってくれるし。

35: 2021/01/31(日) 22:02:09.14 ID:ijsOBi1U
虹ヶ咲学園正門前

…結局駅から一言も喋らずにここまできちゃった。

ここで久しぶりにしず子から話しかけられる。

しずく「…かすみさん」

かすみ「どうしたの?」

しずく「今日の同好会が始まる前に私の教室に寄って欲しいんだけどいい?」

かすみ「いいけど…同好会に遅れちゃうかもよ?」

しずく「その時は私が連絡するから…お願い」

かすみ「そんな顔真っ赤にしなくてもいいんだよ?しず子の頼み事だから絶対行くよ」

しずく「………ありがとう、かすみさん」

なんのことだろ?ちょっと気になる。

演劇のことかな…?今なら少し言葉にできそうだけど…

37: 2021/01/31(日) 22:07:14.78 ID:ijsOBi1U
しずくの教室

ガチャン

かすみ「お待たせしず子!」

しずく「…大丈夫だよ」

しず子は教室の端にいた。…教室には私としず子だけ。

西に沈む太陽が教室をオレンジ色に染め上げる。

かすみ「何かあったの?演劇のことで相談とか?」

しずく「……」

逆光でしず子の顔がよく見えない。

かすみ「ん?しず子?」

38: 2021/01/31(日) 22:12:11.19 ID:ijsOBi1U
しずく「かすみさんは…かすみさんは誰かを好きなったことがある?」

胸がドクンって脈打つ。

かすみ「…うん」

しずく「恋愛対象として?」

かすみ「…うん」

しずく「そっか…」

そう言うとしず子は大きく息を吸って…。

しずく「実はね、私も好きな人がいたの」

好きな人がい『た』?

何で過去形?

39: 2021/01/31(日) 22:17:07.15 ID:ijsOBi1U
しずく「その子は友達として私を助けてくれて、太陽みたいな笑顔を見せる明るくて純粋な子だった。今もそうなんだけどね?」

しずく「一緒に登校したり、遊んだり、歌ったり、踊ったり…その子がいないと私はずっと白黒の世界にいた。絶対に」

もしかして…私のことが好きだったの?

そして……最近の積極的じゃなくなってるしず子の行動を振り返ってみる。…背筋が凍る。

まさか…………嫌だ。多分、としか思ってなかったのに…。そんなの受け入れたくない!

しずく「私の世界はその子が色づけてくれた。心の底から感謝してる」

視界がぼやける。嫌だ、これ以上聞きたくないって頭の中が叫ぶ。でも…でも…私の好きな人の言葉だもん。最後まで聞かなきゃ。

かすみ「…そうなんだ」

これ以外に言葉が出ない。

40: 2021/01/31(日) 22:22:08.24 ID:ijsOBi1U
何秒かの沈黙。私にとっては2時間くらいあるのかと錯覚する。

しずく「それでね?その子と一緒にいるうちに私もその子に色をあげたいと思った」

しずく「でもその子の世界は色とりどりの色で溢れてる。そこに無理をして色を付け加えるのは嫌だった」

しずく「だから私は…その子が私の色を受け入れてくれるように努力した」

しずく「その子は多分私の気持ちに気づかないだろうから…私が率先して引っ張ってあげたり、その子に合う髪留めを選んだりしてね?」

しず子の思いに気づけなかった自分が本当に馬鹿だって思う。かすみんのばか!

ごめんなさい。本当にごめんなさい…。



しずく「でも…その子が私に対して積極的になってから」

しずく「私がその子のことを『好き』じゃなくて『大好き』になっちゃった」

かすみ「………っ!!」

…私の方に近づいてくる。

しずく「だからね?」

しずく「…かすみさん、あなたのことが大好きです。これからもずっと、ずっと隣にいてください」

41: 2021/01/31(日) 22:27:07.96 ID:ijsOBi1U
嬉しい、後悔、感謝、幸せ…色んな感情が溢れ出そうになる。

かすみんの顔、酷い顔してるだろうなぁ…

涙でしず子の顔がよく見えないけどきっと不安そうな顔してるはずだよね…。

でも心配しなくていいよ。

かすみ「ずっと気づかなくてごめんね。本当にごめん」

かすみ「…私もしず子のことが」

  「わぁ!」

  「せつ菜ちゃん?!」

  「あら、鼻血…せつ菜ってこういうのに弱いの?」

廊下から聞き慣れた声がする。

しずく「……」ジーー

かすみ「かすみんは関係ないよ!?」

42: 2021/01/31(日) 22:32:15.69 ID:ijsOBi1U
彼方「んもぉ~せつ菜ちゃんってばだらしないんだから~」

エマ「ちゃんと上向かなきゃダメだよ!」

璃奈「もしかして気絶しかけてる?璃奈ちゃんボード『あわわ』」

愛「とりあえずせっつーは保健室いこっか」

せつ菜先輩と一緒に4人は保健室に向かう。

かすみ「……あのぉ~…なんでみなさんここにいるんです?」

侑「えーっと…しずくちゃんの恋を応援したかったから…かな?」

しずく「えぇ…?もしかして結構目立ってました?」

歩夢「しずくちゃんは悪くないと思うな…」

果林「まったく…かすみって思った以上に鈍感なのね…」

侑「ほんとだよー、しずくちゃんがあんなにアプローチしてたのに…」

歩夢「意外とかすみちゃんってそういうの気づかないんだね…」

かすみ「なんでみんな揃って呆れ顔なんですかぁー!!確かにかすみんが全部悪いですけどぉー!」

果林「ふふっ…じゃあ私たちは保健室に行くから」

侑「今日は二人ともお休みしていいよ」

歩夢「一歩ずつ、だよ?」ニコッ

そう言うと3人は5人を追うように歩いて行った。

43: 2021/01/31(日) 22:37:04.84 ID:ijsOBi1U
廊下には静寂が訪れる。

あの夢の再現をしているようですっごく驚いた。

そして…夢を見ていた理由、やっと分かった。

しずく「かすみさん、もう一回やりなおす?」

しず子は私に試すような表情をしながら微笑む。

かすみ「…当たり前じゃん」


――あの夢は―――

彼女は問う。迷いも、不安もない素敵な笑顔で。

しずく「かすみさん、あなたのことが大好きです。これからもずっと、ずっと隣にいてください」

私は答える。とっておきの笑顔で。

かすみ「私もしず子とずっと一緒にいたい。私もしず子のことが大好き」

―――私の心がずっと叫んでたんだ。

   『私の大好きを、どんな形でもいいから、大好きな人に伝えてあげて』って。

~完~

44: 2021/01/31(日) 22:37:16.70 ID:ijsOBi1U
最後までご覧いただき、本当にありがとうございました!2作目ということもあり、まだまだ拙い文だったとは思いますが楽しんでいただけたなら幸いです!

45: 2021/01/31(日) 22:45:18.09 ID:Uk+Kz6Jk
恋心の描写すごく上手いな
読んでてキュンキュンした
初SSでしずかす書いてた人と同じ人ならあれも良かった

46: 2021/01/31(日) 22:47:53.11 ID:CXiBb7i3
綺麗なしずかすで救われたわ
明日も頑張れる

47: 2021/01/31(日) 22:48:43.35 ID:58ASMVd+
とても良かったです

48: 2021/01/31(日) 22:55:28.81 ID:XedMUCps
夢との関係性が良かった
素敵な作品をありがとう

49: 2021/01/31(日) 22:57:12.88 ID:gbXFdm3c
おつ、とてもきれいなしずかすだった
よかったら前作も教えてほしいっす

50: 2021/01/31(日) 23:01:55.40 ID:ijsOBi1U
>>49

【SS】しずく「あなたのことが―――」
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1611238072/

これです

52: 2021/01/31(日) 23:03:53.85 ID:gbXFdm3c
>>50
ありがとうございます!!!!
あなたは最高です!!!

53: 2021/01/31(日) 23:04:47.34 ID:Uk+Kz6Jk
>>50
やはりか
これも最高だったし今回のも最高だった
また書いてほしい

51: 2021/01/31(日) 23:02:29.25 ID:nC0FAESt
こういうのでいいんだよ

55: 2021/01/31(日) 23:08:47.57 ID:x6snZfdF
最高でしたありがとう

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1612091555/

【SS】かすみ「一緒に帰るの久しぶりだね」しずく「うん…」【ラブライブ!虹ヶ咲】
■約15000文字■ しずく「同好会の方はイベントの出席依頼とかは来てるの?」 かすみ「再来月にエマ先輩と彼方先輩とりな子でライブやるよ~!」 スクールアイドルフェスティバルが終わってからと言うものの、私たちはいろいろなイベントに招待されている。 かすみ「それまでにかすみんの可愛さがランクアップすればいいんだけどなぁ~」 しずく「かすみさんは今のままでも十分可愛いと思うよ?」 かすみ「そーやってからうのはなしだよしず子!」 私は本気で思ってるんだけどな…。 かすみ「そういうしず子だって可愛いよ?『演劇部のお月様』だしね!」 しずく「やめてよかすみさん…お月様だなんて…いきなり言われると恥ずかしいな…」 合同演劇祭が終わってから私のことを「お月様」なんて呼ぶ人が増え始めた。 かすみ「えへへ~、さっきのお返しだよ!」 そう言って彼女は弾けるように笑う。 こういった時間が私が今一番欲しいものなのかもしれない。
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