【SS】愛「せっつー、アタシとルームシェアしよう」【ラブライブ!虹ヶ咲】

あい (3) SS


6: 2021/02/05(金) 23:21:24.63 ID:A+yXoyfA
「ねえ、宮下さんってモテるでしょ?告白されたりとかメチャクチャ多そう!」 

愛「んー、前はスクールアイドルやってたから」

「恋人とかいないの?」

愛「今はいいかな~」

「ええ、もったいないよ!?」

愛「はは……」

大学一年の秋。

愛(あれ)

愛(愛さん、今日お酒飲んだっけ……?)


サークルの飲み会が終わった後の居酒屋。
その真ん前で、アタシはフリーズしていた。

7: 2021/02/05(金) 23:22:44.77 ID:A+yXoyfA
愛(いやいや……それはないって、別人でしょ)

原因は向かいの居酒屋の前で、ぐったりしている人影。

愛(でもあの黒髪、チラッと見えた顔……身長も)

愛(やっぱりどう見てもせっつーだよね?)


優木せつ菜が未成年飲酒 = ありえない

彼女を知っている人なら、全員同意してくれると思う。

「せっつーが酔っ払ってたよ!」なんて同好会グループに送ったら、通知が鳴りやまないに違いない。

愛(みんな意外と過保護だからねぇ……)

友1「愛、さっきからどうしたの?」

愛「あー、ゴメン…。あそこで酔い潰れてるあの子、アタシの元同級生っぽくてさ」

8: 2021/02/05(金) 23:24:34.21 ID:A+yXoyfA
友2「ありゃ。ギリ未成年飲酒?」

愛「でも絶対そういうのしない子なんだよなー。生真面目っていうか」

友1「まずいんじゃないの?飲まされてお持ち帰りされてない?」

愛「えー?いや、それは……」

愛(いや、正直せっつーならあり得る……)

友2「でもさあ、連れて帰る人が恋人かもよ?ずっと同じ人が支えてるもん」

愛「……!」

友2「なら割って入るのも野暮かなー」

愛「恋人、かぁ……」


ーーー
ーー


せつ菜「私は……誰かの特別には……」



愛(……)

9: 2021/02/05(金) 23:27:07.24 ID:A+yXoyfA
友2「あ、もうタクシー来てるよ?」

愛「え!?ごめん、アタシやっぱり帰る!」

友1「おー?頑張れヒーロー宮下!」

愛「そのあだ名やめて!」

友人達の声を背にしつつ、タクシーへ。

愛「すみません、この子あたしの友達なんで、連れて帰りまーす!」

愛(いや……これじゃ不審者だよね)

愛「いきなりゴメンね!アタシはこの子の友達で元同級生で……」


ザワザワ…

「えっ!?ニジガクの……」

「うっそ!?宮下愛じゃない??」

愛「おー、まだ知名度あったんだ!良かったよ。ね、この子連れて帰ってもいーい?」

10: 2021/02/05(金) 23:29:50.39 ID:A+yXoyfA
「えっ、えっと……」

「「……」」

せっつーを支えてた子達に声をかける。

愛(これは、危なかったな)

愛「連れて帰るね、荷物くれる?…すいません、出してください」


愛「とりあえずこの先を…」

ひとまず運転手に自分のマンションへの道を伝える。

愛(さて……)

愛「せっつー起きれる?っていうか意識ある?」

せつ菜「うー……」

愛(ダメだこりゃ)

彼女の家の正確な住所は分からない。
本人から聞き出すのは無理。

愛「あ、行き先そのままで!この子も降ります」 

14: 2021/02/05(金) 23:34:19.70 ID:A+yXoyfA
ーーー
ーー


愛「せっつー軽いなー、ちゃんと食べてる??」

マンションのエレベーターから降りても、せっつーの意識ははっきりしなかった。

長い髪が顔に当たってくすぐったい。

愛(髪下ろして眼鏡だと、なんか新鮮だなー)

愛「ほい、愛さんの部屋にご案内!」

マンション3階。1LDK。
愛さんの自慢の部屋に到着!


とりあえず部屋に入ってカーペットの上へ。

何だかぐにゃぐにゃしてるし、イスは落ちそうで怖いし。

愛「はいお水、飲めるー?」

15: 2021/02/05(金) 23:36:21.98 ID:A+yXoyfA
せつ菜「ん……」

愛「はいベット行こうねー、よいしょっと」

せつ菜「ふふ……」

愛(結構飲んだのかなぁ、全然気づかないや)

愛「まあ、事情は明日聞けばいいか……」

愛「おやすみ、せっつー」


~翌朝~

バタン!ガタッ!

愛「ん……?」

17: 2021/02/05(金) 23:39:38.73 ID:A+yXoyfA
せつ菜「えっ。あれ、え、……???」

愛「あ…せっつーだ~。おはよ~」

せつ菜「あ、愛さん…?な、なんで私ここに」

愛「あー、昨日のこと覚えてる?」

せつ菜「昨日?サークルの飲み会で…。あれ?途中から記憶が……」

愛「愛さんは隣の居酒屋にいてね……」

明らかに混乱しているせっつーに、昨日のくだりを説明する。

~~~~~

せつ菜「本っ当にすみませんでした!!」

愛「もういいってば、そんなに謝らなくても」

せつ菜「ですが…ご迷惑をおかけして」

愛「それはいいけど、気をつけなよー?お酒だって、自分から飲んだわけじゃないでしょ」

愛「昨日の人達はアイドルサークル?」

18: 2021/02/05(金) 23:41:23.84 ID:A+yXoyfA
せつ菜「ええ、私はたまにしか顔を出せてないんですが……」

愛「アイドルファンの集まりなんて、危ないよ?せっつーは今も現役なんだからさ」

せつ菜「……注意が足りませんでした。気をつけてはいたんですが」

愛(お説教する気は無かったんだけど……)

愛「あ、お腹空かない?今うち、あんまり食べ物ないんだけど……」

せつ菜「でしたら、コンビニでも行きましょう。昨日のお詫びにおごりますよ」

愛「えー、悪いよー」

ーーー
ーー


せつ菜「久しぶりですね、こうして愛さんとゆっくり話すのも」

愛「だね。お互いバタバタしてたし……大学入ってすぐ会った以来?」

19: 2021/02/05(金) 23:46:24.50 ID:A+yXoyfA
せつ菜「はい。愛さんは大学どうですか?情報学科でしたよね、理系は忙しそうです」

愛「一年だからそうでもないかなぁ。法学部の方が忙しいでしょ?」

愛「でも最近、うちの店手伝ってたら経営も勉強したいなって思ってさ。たまに商学部の授業に潜ってるんだー」

せつ菜「……相変わらず行動力がありますね」

愛「むしろ忙しいのはせっつーの方でしょ。アイドル活動、順調そうで愛さんも嬉しいよ」

せつ菜「ありがとうございます。最近は仕事も増えてきて……毎日が新鮮ですよ」


そう。
現役アイドル「優木せつ菜」は今、ちょっとした有名人だ。

大学入学と同時にソロ活動を本格化させて、若者中心に人気も高まっている。

愛「昨日は部屋に連れてきちゃったけど……スキャンダルとか大丈夫??」

20: 2021/02/05(金) 23:52:25.14 ID:A+yXoyfA
せつ菜「友達の家にお泊まりしただけですからね全然平気ですよ。…愛さんこそいいんですか?」  
愛「ん?何が?」

せつ菜「恋人とか……誤解されて困る人はいないんですか?」

愛「んー、居ないかな」

せつ菜「そうですか、なら良かった。……私もまだ、いえ」

愛「……」

愛「そういえばせっつー。朝帰りだけど連絡しなくて平気?」

せつ菜「連絡?」

愛「あれ、そっか。一人暮らしだったね」

せつ菜「ええ。…あ!でもそろそろ帰らないと」

せつ菜「ごめんなさい、バイトがあるので!また今度お礼しますね」

愛「おごってくれたし充分だよー!?」

23: 2021/02/05(金) 23:59:45.40 ID:A+yXoyfA
愛「はぁ……」

せっつーが帰った後。

愛(久しぶりに会ったから、思い出しちゃったなー)

同好会の仲間として過ごした二年間。

全然タイプの違う私達だけど、せっつーとだっていろんな思い出を積み重ねてきた。

その中でも、たまに思い出す記憶がある。

24: 2021/02/06(土) 00:00:59.83 ID:+AsshhDx
~高3春~

後輩「宮下先輩、入学した時から好きでした!」

愛「ありがとう、すっごく嬉しいよ。でも……」

後輩「分かってます。ただ、先輩の卒業前に伝えておきたくて……!聞いてくださって、ありがとうございましたっ!」

愛「……行っちゃった」


せつ菜「愛さん?」

愛「うわっ、せっつー!どしたのこんな所で」

せつ菜「愛さんこそ……いや、あのごめんなさい実は聞こえてしまって」

愛「あ~、聞こえちゃったかぁ」

愛(ん、せっつーが持ってるのって…手紙?)

愛「もしかして、理由一緒?」

25: 2021/02/06(土) 00:03:04.33 ID:+AsshhDx
せつ菜「……多分」

愛「最近多いねぇ」

せつ菜「卒業が近いですから。…歩夢さんも人気がある筈なんですが、呼ばれているのを見かけませんね」

愛「いや…まあ理由はね、なんとなく分かるよ」

せつ菜「でも呼ばれる回数なら、愛さんが一番では?部室棟のヒーローには、助けられた人がたくさん居ますから」

愛「いやいや!生徒会長兼スクールアイドルには負けるって」

26: 2021/02/06(土) 00:10:21.76 ID:+AsshhDx
去年、中川菜々=優木せつ菜という事実はひょんなことから全校生徒にバレた。

一部の生徒には激震が走ったらしい。

いつの間にか存在していた「優木せつ菜ファンクラブ」と「中川会長を見守る会」は統廃合の危機に陥ったとか、どうとか。

愛(本人は存在自体知らないみたいだけど……)


せつ菜「そう、でしょうか」

愛「浮かない顔だねー」

せつ菜「…愛さんは。告白を受け入れたりとか、しないんですか?」

愛「んー。しないかな」

せつ菜「それは他に、好きな人がいるとか?」

愛「……ううん。それの逆、かな?」

27: 2021/02/06(土) 00:12:48.72 ID:+AsshhDx
せつ菜「逆ですか?」

愛「誰か一人を恋人にするってさ。愛さんにはよく分からないんだ」

愛「恋の歌とか歌っといて、何をいまさらー!って感じなんだけどね」

愛「今まで楽しい事もたくさんあって、面白い人にもいっぱい会ってさ。何かを一つに絞るっていうのは多分苦手なんだよね、アタシ」

愛「同好会に入って、特別な人達は増えたけど…一人を大事にする!ってのはまだハードルがね」

せつ菜「愛さん……」

愛「これ、告白してくれる子には酷いこと言ってるかな」

せつ菜「それでいいと思いますよ」

愛「せっつー……」

せつ菜「愛さんは皆を楽しませようとしているだけでしょう?」

愛「えっ?」

28: 2021/02/06(土) 00:15:42.63 ID:+AsshhDx
せつ菜「愛さんは相手の事を考えて、いつも真剣に向き合っているじゃないですか」

せつ菜「愛さんを好きになる人は、その分の思いをお返しているだけですよ」

せつ菜「だから…愛さんが気に病むことではないと思います」

せつ菜「それに愛さんなら、いつか心から大切にしたいと思える人に出会えますよ」

せつ菜「って、私が言っても説得力ないですね」

愛「ううん。なんか…スッキリしたかも。ありがとね、慰めてくれて」

せつ菜「……それに、私も一緒なんです」

愛「え?」

せつ菜「私はきっと、誰かの特別にはならないと思うんです」

愛「せっつー、それって」

せつ菜「……さてと。早めに同好会に行かないと、二年生に怒られてしまいますね」

愛「……」

愛「そう、だね。行こっか」

30: 2021/02/06(土) 00:18:59.45 ID:+AsshhDx
ーーー
ーー


愛(あの時踏みこんでたら、せっつーの本音が聞けたのかもしれない。なんて)

愛「今さらかなぁ……」

愛「それにしてもバイトまであるとは。本当に忙しそうだなー」

愛「あれ、ベットの傍に落ちてるの……」

愛「せっつーの眼鏡!?うわ、掛けないで帰って大丈夫なのかな」

愛「うーん……住所は知ってるんだよね」

32: 2021/02/06(土) 00:20:55.61 ID:+AsshhDx
愛「来てしまった」

愛(ここがあのせっつーの家ね~)

愛「……セキュリティ大丈夫?」

別に古い訳じゃないけど、女子が一人で住むには少し心配なアパート。

せつ菜「愛さん!?」

愛「あ、帰ってきた」

せつ菜「どうしたんですか!?」

愛「いやー、近くを通りかかったからさ。眼鏡を届けようと思って」

愛「LINEしたんだけど、バイト中だったかな」

せつ菜「あ、眼鏡……無くて困ってたんです。助かりました」

愛「いいって。近くに有名なケーキ屋があるから買って帰るよ」

せつ菜「えっ」

せつ菜「愛さん!上がっていってください。ケーキはありませんが……。コーヒーくらいなら出せますから」

33: 2021/02/06(土) 00:24:02.79 ID:+AsshhDx
愛「お邪魔しまーす」

せつ菜「散らかってますがどうぞ」

愛「いや、全然散らかってないけど……」

愛(というか……物がない。机と布団と棚しかない)

せつ菜「狭いですが座ってください。コーヒー入れますね、えっとカップ……」ガチャガチャ

愛(キッチンも使ってなさそうだなぁ)

せつ菜「お待たせしました」

愛「アニメグッズは置いてないの?」キョロキョロ

せつ菜「本とグッズはそこの棚の中です」

愛(随分減ってる……)

愛「そういえば今日、何のバイトだったの?」

せつ菜「家庭教師です。週に3回、受験勉強を教えてるんです」

愛「へー、週3なんだ」

34: 2021/02/06(土) 00:27:55.81 ID:+AsshhDx
せつ菜「ところで愛さん、今日は泊まっていきますか?」

愛「へっ?悪いよ、押しかけたのに」

せつ菜「ですが予報だと、確かこの後…」


ザアアァ…… ピカッ!!

せつ菜「朝まで雨がひどいと」


愛「ひゃっ!……泊まらせてください」

せつ菜「ふふっ。狭いですがどうぞ」

せつ菜「…あのすみません、食べ物はカップラーメンしかないんですが」

愛「いいよ?」

36: 2021/02/06(土) 00:32:43.67 ID:+AsshhDx
~翌朝~

愛「おはよー、どこか行ってた?」

せつ菜「おはようございます愛さん!ちょっとランニングに出てました」

愛「今日は菜々モードなんだね?」

せつ菜「大学なので……。私はもう少しで出ますが、ゆっくりしていて下さいね。鍵は外のロッカーにでも入れておいてください」

愛「えっ!?いや、危ないって。アタシ今日は講義ないし待ってるよ?」

せつ菜「一限から講義なんですが、その後ダンスのレッスンがあるので帰りは遅いんです」

愛「何時くらい?」

せつ菜「……21時くらいまで」

愛「……」

せつ菜「鍵は無理しないで置いていってくださいね。眼鏡、助かりました!」

愛「うん、いってらっしゃい……」

愛「えっ、ウソまだ7時半!?せっつー本当に大学生か?」

愛「うーん……あ、カレンダーがある」

愛(うわ、予定ビッシリ……。ダンスレッスン、講義、試験勉強、バイト、歌のレッスン、ミニライブの打ち合わせ、またバイト)

愛「いつ寝てるんだろ……」

ガチャッ

愛「冷蔵庫空じゃん…ゼリーとお茶しかないし」

愛「……よし!」

38: 2021/02/06(土) 00:35:18.32 ID:+AsshhDx
一旦ここまでで。
続きは多分夜に投稿します。

56: 2021/02/06(土) 20:00:17.60 ID:+AsshhDx
~その日の夜~

せつ菜「あれ、鍵が……愛さん?」

愛「せっつーおかえり!」

せつ菜「待っててくれたんですか!?」

愛「フッ……それだけじゃないよ~?じゃーん!」 

せつ菜「あれ、いい匂い……」

愛「簡単な炒め物と味噌汁だけど作ったんだ。勝手に買い物行ってごめんね?」

せつ菜「そんなことは全然!」

せつ菜「でもこんな遅くまで…いいんですか?」

愛「一宿一飯の恩って奴だよ。召しあがれ?」

せつ菜「……い、いただきます」

57: 2021/02/06(土) 20:01:08.80 ID:+AsshhDx
せつ菜「おいしいです!」ペカー

愛「そんなに喜んでくれると愛さんも嬉しいよ」

せつ菜「最近食事を適当に済ませていたので、本当に助かりました!お味噌汁が温かいです……」

愛(可愛いなー)

愛「でもせっつー。炊飯器くらいは買った方がいいと思うな~」

せつ菜「うっ。そのですね、料理する時間が無くて」

愛「…バイトとかって、減らせないの?」

せつ菜「……家賃も学費もありますし。奨学金はあるんですが」

愛(奨学金か……)

愛「やっぱりその…アイドルは認めてもらえない感じなの?」

58: 2021/02/06(土) 20:09:26.85 ID:+AsshhDx
せつ菜「……愛さんも知っている通り、スクールアイドル活動は色々あって認めてもらったのですが」

愛「うん」

せつ菜「大学までとなれば話が変わってきます」

愛「大学と学部をちゃんとすればオッケーだ、って前に言ってなかった?」

せつ菜「高校三年生の時に、今の事務所からお話がありました」

愛「そうだね。みんなでお祝いしたもんね」

せつ菜「迷いましたが……私はまだ、アイドルを続けたかった」

せつ菜「もっとたくさんの人を笑顔にすることに未練があったんです」

59: 2021/02/06(土) 20:10:59.81 ID:+AsshhDx
せつ菜「両親は私が本格的にアイドルをするのに猛反対でしたから。…結局卒業式の後まで話し合いは続けたんですが、平行線で」

せつ菜「最後は私が飛び出してしまいました」

愛「そっか……」

せつ菜「ですが…私ももう大学生です。自分の好きなことをするんですから、大変なんて言っていられません」

せつ菜「わがままを通した私が、親に頼る訳にはいきませんから」

せつ菜「でも……心配してくれてありがとうございます。愛さん」

愛(そう言って笑ったせっつーの顔はとても可愛かったけど)

愛(何だろう、見ていると少し不安になった)

60: 2021/02/06(土) 20:19:49.20 ID:+AsshhDx
愛(それからアタシは時々、せっつーの家に行くようになった)

愛(たまにご飯を作ったり、泊まっていったりとそれだけ)

愛(多分アタシは確認したいんだと思う。せっつーがちゃんと家にいて、生活していることを)


愛「せっつーは明日も早い?土日だから仕事?」


愛(せっつーは朝早く出て、夜遅く帰ってくる。ほとんど家に居ない)


せつ菜「事務所で打ち合わせですね、愛さんはお店の手伝いですか?」

愛「そだよー。お客さん多くて大変!」

せつ菜「いいことじゃないですか」ピロリン

61: 2021/02/06(土) 20:21:01.41 ID:+AsshhDx
愛(だからかな。最近アタシには一つ、考えてることがある)

せつ菜「あ!歩夢さんからです」

愛「お、なんて?」

せっつーの隣に行って画面を覗きこむ。


歩夢さん『菜々ちゃん、久しぶりだけど元気かな?今度愛ちゃんも入れて4人で集まらない?』

『 @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
>?< 』


愛「歩夢ってせっつーのこと、菜々って読んでたっけ?」

せつ菜「まあ色々ありまして……」

62: 2021/02/06(土) 20:23:27.85 ID:+AsshhDx
愛「へー気になるなー?愛さんにも教えてよ!」

せつ菜「そこは秘密です……!予定、いつ空いてますか?」

愛「そこはせっつーに合わせる方が良いでしょ。次の休みいつ?」

せつ菜「えっと、……うーん」

愛「……」

せつ菜「ちょっと保留で……」

63: 2021/02/06(土) 20:27:11.04 ID:+AsshhDx
ーーー
ーー


愛「うー、さむ~!さすがに上着なしだとキツかったかぁ」

愛(一週間ぶりだけど、行くってメッセージに返信来ないんだよね)

愛「おーい、せっつー?」

愛(いないのかなー?って……)ガチャッ

愛「開いてる!?」

愛「ちょっと、入るよっ!?」

ドアを開けてすぐ、倒れている人影があった。
すぐそばには落ちたレジ袋も。

愛(……っ!!)

64: 2021/02/06(土) 20:31:40.70 ID:+AsshhDx
せつ菜「……あれ、あい…さん?」

愛「どうしたの、ねぇ大丈夫!?って熱っ!」

せつ菜「ちょっと昨日から具合が悪くて……熱が上がったみたいで」

愛「布団広げるから寝て!」

せつ菜「ありがとうございます…」

愛「立たなくていいから!肩貸すって!」

愛「えっと後は……」

せつ菜「薬と体温計、ゴホッ!そこのレジ袋に入ってるので」

愛「なんで自分で買ってきちゃうかな、言ってくれれば……!」

愛「水持ってくるからね、寝てるんだよ!」

せつ菜「ふぁい……」 

65: 2021/02/06(土) 20:36:10.63 ID:+AsshhDx
ピピピッ……

愛「うーん……ハッ!」

せつ菜「おはようございます、愛さん」

愛「おはよう……?えっ、もう起きて大丈夫なの!?」

せつ菜「熱は下がりましたよ!愛さんの看病のおかげです」

せつ菜「愛さんには助けられてばかりですね」

愛「全然いいよ、これくらい」

せつ菜「あ!今コーヒー入れますね……」

66: 2021/02/06(土) 20:37:30.16 ID:+AsshhDx
キッチンに立つせっつーを見つめる。

もう着替えてるから、今日は出かける気なんだろうな。

愛(メガネだから大学かな……)

愛(……)

愛「ねぇ、せっつー」

せつ菜「はい?」

愛「愛さんとルームシェア、しない?」

70: 2021/02/06(土) 21:17:37.72 ID:+AsshhDx
せつ菜「ルームシェア?」

愛「ほら、愛さんの部屋1LDKで、おばあちゃんの知り合いが借りてるとこだから家賃も安いし」

せつ菜「……」

せつ菜「それは…私が危なっかしいからでしょうか?」

愛「え?」

せつ菜「私が倒れたりしたから、愛さんに心配をかけてしまったんでしょう?」

愛「いや、それだけじゃ……」

せつ菜「あ…違います、ごめんなさい!愛さんの提案は本当に嬉しいんです」

71: 2021/02/06(土) 21:18:40.61 ID:+AsshhDx
せつ菜「でもルームシェアなんてしたら、きっと愛さんの負担になってしまいます」

愛「そんなことないよ!」

せつ菜「愛さんも知ってるでしょう?私はあまり家に居られませんし…家事だって極力やりますが、出来る時間も多くないんです」

愛「家賃が半額になるよ!お得じゃん」

せつ菜「でもさっき家賃安いって」

愛「あー、もう!」

愛(ああ言えばこう言う!)

72: 2021/02/06(土) 21:21:34.67 ID:+AsshhDx
愛「せっつーは!愛さんと暮らすのが嫌なの?」

せつ菜「エッ」

愛「アタシといるのは楽しくないの!?」

せつ菜「そ、それは…楽しいですよ」

愛「ならいいでしょ!」

せつ菜「でも!この話、愛さんにメリットがないでしょう?」

愛「メリットならある!」

せつ菜「なんですか!」

愛「家にせっつーがいる」

せつ菜「……」

73: 2021/02/06(土) 21:27:43.32 ID:+AsshhDx
せつ菜「…なっ、」

せつ菜「……えっと///」 

せつ菜「それは、良いことなんですか…?」

愛「あ、当たり前じゃん……」

愛「……なんか不安なんだよ、せっつーがちゃんと居てくれないと。このままだと何にも言わないで、どっか行っちゃいそうで」

せつ菜「そ、そんなこと」

愛「ねえ、せっつー」

愛「愛さんの安心のために、一緒にいて?」


せつ菜「……ずるい」

せつ菜「そんなこと言われたら、断れない……」

74: 2021/02/06(土) 21:28:46.97 ID:+AsshhDx
愛「!じゃあ……」 


せつ菜「はい。お願いします、愛さん」

76: 2021/02/06(土) 21:35:07.62 ID:+AsshhDx
愛「せっつー!!」

せつ菜「でも一つだけ、いいですか?」

愛「うん?」

せつ菜「愛さんが私と住むのを辞めたくなったら、すぐに言ってください」

愛「もう、まだ……」

せつ菜「うじうじ言ってごめんなさい。でもこれだけは、はっきりしておきたいんです」

せつ菜「今の私は貰ってばかりなんです。助けてもらっても、ちっとも返せない」

愛「……」

せつ菜「自分でも薄々気づいているんです。夢を追いかけると決めてからの私は…特に危なっかしいんだろうって」

せつ菜「夏に彼方さんが来たときも、その後心配して料理を届けてくれましたし」

愛「そうだったの!?」  

77: 2021/02/06(土) 21:41:22.99 ID:+AsshhDx
せつ菜「明らかに忙しい筈なのに申し訳なくて、断ってしまいましたが……」

せつ菜「前に果林さんにダイエット食の相談をした時だって、絶対に止めなさいと怒られてしまいました」

愛「ええ!?」

愛(これ以上食べ物減らそうとしてたの?)

せつ菜「それに……」

せつ菜「私はアイドル「優木せつ菜」ですから。誰か一人の特別にはなれない」

せつ菜「そんな私が自分の事で手一杯になって、愛さんがやりたいことを潰してしまうのが怖いんです」

愛「……そっか」

せつ菜「だから…愛さんが良いと言ってくれるうちは、お世話になります」

こうして始まったルームシェア。

条件付きではあるけど、二人の生活は楽しい。

唯一の不満は、アタシの同居人が相変わらず気を使いまくっていること!

一限からせつ菜「明らかに忙しい筈なのに申し訳なくて、断ってしまいましたが……」

せつ菜「前に果林さんにダイエット食の相談をした時だって、絶対に止めなさいと怒られてしまいました」

愛「ええ……」

愛(これ以上食べ物減らそうとしてたの?)

せつ菜「それに……」

せつ菜「私はアイドル「優木せつ菜」ですから。誰か一人の特別になることはないでしょう」

せつ菜「そんな私が自分の事で手一杯になって、愛さんがやりたいことを潰してしまうのが怖いんです」

愛「……そっか」

せつ菜「だから…愛さんが良いと言ってくれるうちは、お世話になります」

こうして、せっつーとのルームシェアが始まった。

条件付きではあるけど、二人の生活は楽しい。

唯一の不満は、アタシの同居人が相変わらず気を使いまくっている事!

一限からなのに家事をこなしていこうとしたり、
自主練をわざわざ外でやって来たりして

…休んで欲しいんだけど。

79: 2021/02/06(土) 21:45:56.54 ID:+AsshhDx
~ 一カ月後 ~

愛「せっつーってもう、なんであんなに頑固なんだろ!」

それにも慣れてきて、ついに今年も終わる頃。

彼方「ふだりとも~~!!よがったねぇ~!」

愛さんの文句まじりの思い出話は、完全に聞き流されていた。

83: 2021/02/06(土) 23:23:57.43 ID:+AsshhDx
愛「カナちゃん絶対聞いてないよね……なんで泣いてるのさ?」

目の前には早くも酔い潰れた、一人の先輩。

果林「ほら、彼方もまだお酒は慣れてないんだから。こっちにしときなさい」

もう一人の先輩がさりげなく水を飲ませても、泣き止む気配がない。

愛「それにしても、カナちゃんがこんな泣き上戸だったとは……」

果林「彼方もせつ菜のこと心配してたのよ。大目に見てあげなさい?」

エマ『うんうん。二人ともしっかりしてるけど、私達にとっては可愛い後輩だからね!』

愛「エマっち……ありがとう」

84: 2021/02/06(土) 23:26:12.89 ID:+AsshhDx
果林「それにしても、集まれたのがこのメンバーだけっていうのも少し寂しいわね……」 

彼方「ゔわああん、遥ちゃーん、しずくちゃーん!」

愛「ちょっ、カリン…!ようやく落ち着きかけたのに」 

果林「あ、ごめんなさい……」 

エマ『現三年生はお勉強会なんだっけ?』

愛「センターもすぐそこだからねー、元一年組はしずくの家で合宿だってさ」

果林「遥ちゃんもそこに行っちゃったのね。あの子達、随分仲良くなったわね?」

彼方「しずくちゃん、よく家に遊びに来てくれてたし。あの子達は三年間ライバルみたいなものだしね~」

彼方「今日みんなで集まるって行ったら、私達の事は気にしないで!って…寂しいよ~!」

彼方「ゔあぁ、もう彼方ちゃんも鎌倉行く!!」

92: 2021/02/07(日) 21:18:50.25 ID:rVTBWbWi
果林「彼方もそろそろ妹離れしなくちゃ、ね?」

エマ『あらら……』

果林「でも…良かったわ、本当に。愛とせつ菜が一緒にいる事になって、ホッとしたんだから」

愛「カリン?」

果林「私はあの子のことを心配もしてるけど…多分それ以上に、信頼しているから」

愛「せっつーのことを?」

果林「あの子が「優木せつ菜」を続けると決めたんですもの。なら絶対折れないだろうと思った」

果林「……私はその姿が好きなのよ。だから……せつ菜が仮にアイドルを続けて苦しんでいても、きっと諦めきれない気がするの」 

果林「でも…ふふっ。その点、愛なら安心かなって」

愛「?」

果林「つまりね……」

彼方「愛ちゃんなら、せつ菜ちゃんが無理してたら絶対止めるでしょ~?」

彼方「愛ちゃんもせつ菜ちゃんも、どっちも同じくらいに頑固だからね」

93: 2021/02/07(日) 21:21:05.31 ID:rVTBWbWi
果林「ちょっと彼方、急に割り込んでこないでくれる?あなた鎌倉はどうしたのよ?」

エマ『でも果林ちゃんも、言いたいことは同じでしょう?』

果林「……!もう、二人して……」

愛「みんな愛さんを買い被りすぎだって…」

彼方「大丈夫だよ。今はちょっとお疲れだけど…せつ菜ちゃんもきっと愛ちゃんを助けてくれるから」

愛「でも。うん、これからも二人で…頑張る」

エマ『うん!私二人の家に色々送るね、何キロがいい?』

果林「エマ…太らせないようにね……」

彼方「お~?彼方ちゃんもお惣菜送るよ~」

愛「えー、いいの~?」

愛「でも最近はせっつーも元気になってきたからね!」

愛「料理を習得します!って、エプロンして頑張ってるんだ~」

彼方「……料理本もおくるね~」

96: 2021/02/07(日) 21:27:38.86 ID:rVTBWbWi
愛「ただいまー!」

せつ菜「愛さん!おかえりなさい」

愛「うー、寒かった~。手もこんなだよー」

せつ菜「ひゃっ、冷たいです!?もう、こたつが温まってますよ。どうぞ?」

愛「おー!あったかい…一日中ここにいたい…」

せつ菜「愛さんでも、こたつに入るとそうなるんですよね。もう慣れたけど少し意外です」

愛「こたつから出られる日本人なんていないよぉ……」

せつ菜「ふふっ、愛さんは年末ずっとお休みなんですから、明日はずっとこたつにいても良いんですよ?」

愛「せっつーは大晦日、何時に帰ってくるの?

97: 2021/02/07(日) 21:29:59.92 ID:rVTBWbWi
せつ菜「流石に夕方には終わるのでお蕎麦を買ってきますね。プロデューサーさんが美味しいお店を教えてくれたんです!」

愛「おお、楽しみ!」

せつ菜「その後は初詣でかすみさん達の合格祈願もしましょうね」

愛「うん!うちの店にも寄ろうね」

せつ菜「楽しみですね。ところで、皆さん元気でしたか?」

愛「うん!いやー、カナちゃんが最後に大泣きして大変だったよ~、ほらコレ、写真!」

せつ菜「ええ!?号泣してますけど何があったんですか……」

愛「お酒は人を変えるんだよ……」

せつ菜「でもちょっと見てみたいような…。次こそ私も行きたいです」

98: 2021/02/07(日) 21:35:01.39 ID:rVTBWbWi
愛「結局……ゆうゆ達とも、会えてないしね~」

せつ菜「二月の長期休みには会えるといいんですが……」

愛「うーん、そう、だね……」

せつ菜「愛さん?……寝てる!ダメです、ここで寝たら火傷しちゃいますよ!」

愛「うーん……」ムニャムニャ

せつ菜「起きてくださーい……!」


そんなこんなで、年末年始はゆったり過ごせたんだけど……。

結局、二月には皆で集まれなかった。

忙しくて時間がなかったから……なんだけどね。

せっつーじゃなくて、愛さんの方が。

100: 2021/02/07(日) 22:47:45.74 ID:rVTBWbWi
せつ菜「新入生向けの交流会?」

愛「ウチに新しく入る人達のために、色々相談に乗ろうっていう企画なんだ~。去年愛さんも行ったんだけどね」

せつ菜「愛さんの大学だと……かなり大規模なのでは?」

愛「そう!凄いたくさん人が来るからさ、運営も大変なんだよねー」

せつ菜「それでお手伝いを頼まれたと」

愛「前から実行委員の子と仲良くてね、去年から手伝いはやってたんだけど。本格的にメンバーになってくれないかって、頼まれたんだ」

せつ菜「サポートですか、愛さんらしいです」

愛「ちょっと忙しくなるけど……」

せつ菜「気なんて使わないで頑張ってください。私のバイトも減ったことですし、大丈夫ですよ」

せつ菜「それにしても……」

愛「ん?」

101: 2021/02/07(日) 22:55:45.57 ID:rVTBWbWi
せつ菜「いや、愛さんに相談に乗ってもらえるなんて百人力だなと思って」

愛「大げさじゃない?」

せつ菜「そんな事ないです!後輩さん達は幸せ者ですね」

愛「……せっつーってさぁ。たまに恥ずかしいこと真顔で言うよね」

せつ菜「それは愛さんの方では?」


愛(イベントの準備は意外と大変で、2月はずっとバタバタしてた気がする)

愛(せっつーも心配してくれたけど、3月に入ってやっと落ち着いてきた)

愛「さて、本番までもうひと頑張り……!」

愛「やっとチョコ生活も終わったし……ん?」
プルルル…

愛「何お母さんどうしたの……えっ?」

102: 2021/02/07(日) 23:06:35.40 ID:rVTBWbWi
せつ菜「お父様が怪我?」

愛「うん、そうみたい……。」

せつ菜「大丈夫なんですか!?お加減は」

愛「骨折だから安静にしてれば良いんだけど…。お店がね」

愛「お婆ちゃんは身体もきついだろうし、お母さんだけだと大変だし……」

愛「バイトも増やすの大変だからさ、アタシも、しばらくお店手伝うね」

せつ菜「そうですか……。でも無理はしないで下さいね、私もサポートしますから」

愛「せっつー……ありがと」  

104: 2021/02/07(日) 23:10:43.45 ID:rVTBWbWi
それから予定は増えたけど、まだアタシには何とかなる範囲だと思う。

愛(アタシもやる事が増えたけど、期待されるのは嫌いじゃないしね)


愛(さて、今日は一日、店の手伝いと……)

愛(ん……?せっつーのベット空だ。リビングも明るいし…)


せつ菜「うーん……」

愛(何してるんだろ)

せつ菜「……よし!」

愛「早いね、おはよー?」

せつ菜「愛さん、おはようございます!」

せつ菜「朝ごはん一緒に食べましょう。簡単なものですけど」

愛(目玉焼きにお味噌汁……)

せつ菜「お味噌汁はレトルトですが…目玉焼きも大丈夫なはずです!彼方さんのレシピ通りに作りました」

105: 2021/02/07(日) 23:20:54.17 ID:rVTBWbWi
愛「いただきます!うん、ちゃんと美味しいよ」

せつ菜「よかったです……」

愛「よしっ!これで今日も頑張れるよ~」

せつ菜「もう、大げさですよ」フフッ


~数日後~

母「愛、ありがとう!今日はお終いでいいわよ」

愛「あー、終わったぁ~」

母「もう遅いし疲れたでしょ?今日は泊まっていきなさいよ」

愛「うーん、そうだね……」

愛(でも今日は、早いって言ってた……)

愛「やっぱアタシ帰る!また!」

母「あらそう?気をつけなさいねー!」

106: 2021/02/07(日) 23:26:33.91 ID:rVTBWbWi
せつ菜「すー……」

愛「もう寝ちゃったかぁ」

せつ菜「ん、あいさん……?おかえりなさい」

愛「起こした?ごめんね、朝早いのに」

せつ菜「いえ、顔が見れてよかったです」フニャッ

布団から顔だけ出したせっつーの、安心しきった顔。

せつ菜「今日も一日、お疲れ様でした」

愛(ああ、あの時一緒に住んで……)

愛「……うん。ただいま、せっつー」

愛(良かったなあ……)

121: 2021/02/09(火) 22:56:15.85 ID:TPBXdb3H
愛「よしっ!本番までもうちょい、頑張ろう!」

実行委員「愛、いつもありがとね~!でもなんか最近疲れてない?ちょっとくらい休んでも……」

愛「平気だって~。10代の体力なめないでよ?」

「愛ちゃーん、ここのシフトなんだけどさ……」

愛「おー、ここはね……」

愛「あっ、セット運ぶの?愛さんも手伝うよ~!!」

実行委員「う~ん……」

ーーー

ーー




愛「ただいま~」

せつ菜「遅かったですね……お帰りなさい」

愛「うーむ、せっつーより遅い日が続くのはまずいかもねぇ」

122: 2021/02/09(火) 23:00:36.94 ID:TPBXdb3H
せつ菜「最近は余裕も出来ましたよ!今は丸一日オフの日もたまにあるんですから」

愛「大学生は人生の夏休みなんだよ?せっつーはずっと平日だけど……」

せつ菜「今の愛さんも休んでませんからね?」

愛「まあでもさ、交流会の方は明日までだから!もうお風呂入っちゃうね~」

せつ菜「私は明日レコーディングなので朝は入れ違いになると思いますけど、気をつけてくださいね?」

愛「えー、気をつけるのはせっつーだよ?相変わらず忙しいんだからさ~」

せつ菜「…うーん……」

せつ菜(目の下、くまができてましたね……)


愛「うわっ、冷たっ!?シャワー水だった…!」


せつ菜「大丈夫じゃなさそう……」ウーン

124: 2021/02/09(火) 23:09:41.27 ID:TPBXdb3H
~朝~

愛「ふあぁ…ねむっ……」

愛「よし!当日だから気合い入れて……」

愛(ちょっと体が重いなぁ、熱は無いんだけど)

愛「よし、ここは……」ガサゴソ

愛「あったー、せっつーが冷蔵庫に隠してるエナドリ!一本もらって行くね……」


実行委員「新入生の皆さま~~!今日は一日楽しみましょう!!」

「「ワ~~!!」」 

愛「おっ、新入生?相談会はあっちだよ~!」

愛「へー、東京初めて来たんだ!どこから来たの?えっ八丈島?」

125: 2021/02/09(火) 23:11:49.71 ID:TPBXdb3H
~~~~~

実行委員「愛、休憩入っちゃって!」

愛「ほーい」

愛「ふぅ……」


「この大学広いねー、迷っちゃいそう……」

「そのうち慣れるって!それよりさぁ、さっきすごい綺麗な人いなかった?」

愛「?」


実行委員「後1時間で終了です!最後に来てくれた皆さんに歓迎動画を……」


愛(ん……?)クラッ

愛「ヤバい。メチャクチャ眠い……!」

愛「でも、後ちょっと……」

126: 2021/02/09(火) 23:15:03.26 ID:TPBXdb3H
ザワザワ……

「あれ!?」
「何、どしたの??」
「いや、今通った人…あのっす、すいません!」

「!」

「えっ、嘘この大学じゃ無いよね……!?」

「ゆうk……」

「……」シーっ

「ごめんなさい、お忍びなんです。気づいてくれてありがたいんですが、ヒミツにしてくれると……」

「嬉しいかな、って」

「「……」」コクコク

「ふふっ、ありがとうございます♪」

「「……」」ボー

127: 2021/02/09(火) 23:21:12.09 ID:TPBXdb3H
実行委員「…それでは皆さん、良い大学生活を~~~」

パチパチパチ……

「終わったー」
「あ、愛ちゃんもお疲れ様ー!」

愛「うん、お疲れさま……ッ!」フラッ

「えっ、ちょっと大丈夫……」

愛(ヤバい、倒れる……!)

パシッ

愛「……?」

愛(誰かが支えてくれてる)

愛(誰か?でも、この温かさは…)

愛「せっつー……?」

せつ菜「良かった…間に合った」

せつ菜「大丈夫ですか、愛さん?」

128: 2021/02/09(火) 23:27:16.34 ID:TPBXdb3H
「あの、愛ちゃん平気ですか!?」

せつ菜「熱は…ないみたいですね、多分寝不足でしょう」


「よかった~」
「……えっ!?貴方もしかして」

せつ菜「すみません、この人の荷物を持ってきて頂いてもいいですか?」

「そ、それは…もちろん。タクシーとか呼びますか?」

「ありがとうございます。でも車は私が呼ぶので…。あとこの椅子…使っても?」

「それは全然……荷物取ってきます!」タタタ…!

129: 2021/02/09(火) 23:28:19.34 ID:TPBXdb3H
愛「どうしてここに?」

せつ菜「レコーディングが一発で終わったので」

愛「…もしかして、結構前からいた?」

せつ菜「まあ、1時間前くらいから……」

愛「ずっと待っててくれたの?」

せつ菜「見かけた時に体調が悪そうだなとは思ったんですけどね」 

せつ菜「でも、最後まで見て欲しかったから」

愛「?」

せつ菜「ほら、見て」 

130: 2021/02/09(火) 23:29:53.53 ID:TPBXdb3H
ガヤガヤ……

「楽しかったね~~!」
「ねっ!!今日まではちょっと不安だったけど……」

愛「!」

愛「……よかった」

せつ菜「愛さんが今日まで頑張ってきたのはこの為でしょう?なら途中で帰るのはもったいないです」

「お待たせしましたー!」

愛「そっかぁ」

愛「ありがとね、せっつー」

せつ菜「いいえ、私はなにも」


せつ菜「さぁ愛さん。家に帰りましょう!」

132: 2021/02/09(火) 23:44:02.34 ID:TPBXdb3H
せつ菜「じゃあ愛さんはすぐ寝てくださいね!」

愛「はーい……」

せつ菜「私は着替え持ってきますから」

愛「うん……ごめんねせっつー」

せつ菜「…愛さんは謝る事なんてないでしょう?」

愛「せっつーが無理するのを見たくなくてルームシェアしたのに、今度は愛さんがやり過ぎちゃったよ」

愛「前にカナちゃんに『2人は似たもの同士だ』って言われた時はピンと来なかったけどさぁ」

愛「せっつーにかっこ悪いところ見せちゃったかなって……」

せつ菜「……っ」

せつ菜「……」ポスッ

愛「あの…せっつー?ベットに座られると愛さん寝れないかなーって……」

134: 2021/02/10(水) 00:06:26.23 ID:nFTRzHXN
せつ菜「……」ドサッ

愛「うわっ!?」

愛(頭が何か……柔らかいところに)

愛「あの、せつ菜さん?なんでひざ枕を」

せつ菜「……うぅ」

愛(それに、こういうのは苦手だったんじゃ……)

せつ菜「ちょっと今顔上げないでください……」

グググ……

愛「分かった、分かったから!」

愛「で、どうしちゃったの?」

せつ菜「愛さんはかっこいいですよ!昔から、周りに頼りにされても涼しい顔で引き受けて」

愛「あ、ありがとう?」

135: 2021/02/10(水) 00:13:13.21 ID:nFTRzHXN
せつ菜「私はそんな愛さんが…いや、えっと。……どんなになっても、私にとって貴方はかっこいい人ですから!」

愛「!」

せつ菜「あの……だから、」

せつ菜「愛さんが落ち込んだり、弱気になったりした時は!これからも私には、隠さないでくれると…嬉しいです」

愛「せっつー……」

せつ菜「あ、う…言いたかったことはそれだけ、です…から」

せつ菜「……寝てください」

愛「いや、今ので眠気があんまり」

せつ菜「いえ、眠いはずです!私ずっと膝枕してますから、寝てください……///」ナデナデ

愛(撫でられたらもっと寝れないよ……!いや、ちょっと眠いけど寝たくないってば!)

愛「…今日、せっつーが居てくれてよかったよ。おやすみ」

せつ菜「……はい、おやすみなさい」

137: 2021/02/10(水) 01:09:34.15 ID:nFTRzHXN
ーーー

ーー



せつ菜「……愛さん?寝てますか?」

愛「……zzz」

せつ菜「…大丈夫そうですね」

顔を覗きこんでみたらよく寝ていた。これなら、私の真っ赤な顔を見られる事もないでしょうか。

せつ菜(居てくれてよかった、か……)

さっきの言葉は嬉しかった。

助けてもらってばかりの自分がこの人の役に立てたのなら、本当に良かった。

せつ菜(今の私がいるのは、愛さんのおかげですから)

高校生の終わりに、私はずっと守ってきた「中川菜々」への期待を切り捨てて、アイドルの「優木せつ菜」を選んだ。

そのくせ大学には通い続けて、何もかも中途半端のままで。

周りに心配されていると分かっていても、自分の道を貫くことに焦ってばかりで拒絶して、受け取れなくて。

138: 2021/02/10(水) 01:12:33.22 ID:nFTRzHXN
そんな時、愛さんにこの部屋に誘われた。

せつ菜(愛さんは優しいから、私の惨状を見ていられなかっただけだろうけど)

一緒にご飯を食べたり、寝る前にくつろいだり……。

そんな時間を過ごすだけで、私の焦りは段々と消えていってしまった。


その中で生まれた自分の気持ちに、私はもう気づいている。

せつ菜(さっきは少し危なかったですが、今ならいいですよね……?)


せつ菜(「優木せつ菜」がそれを伝えることはないけれど)

せつ菜「……」

愛『誰か一人を特別にするっていうのはさ、まだよく分からないんだ』

高校生の頃、愛さんが言っていた。
もしそれが、もう少しだけ続くなら。


せつ菜「好きですよ、愛さん」

せつ菜「だから……貴方が大切にしたい一人を見つけるまでは、側に居させてくださいね」

139: 2021/02/10(水) 01:32:54.36 ID:nFTRzHXN
チュンチュン…(・8・)…

愛「……はっ!」

愛「寝てた…って、もう朝か。ん?」

メモ
『愛さん
新しいライブの打ち合わせが入ったので出掛け てきます。朝ごはん食べてくださいね せつ菜』


愛「ライブかー。順調そうで良かった……」

愛「昨日のお礼も、もう一度言わないとね!」 

『これからも私には、隠さないでくれると…嬉しいです』

愛「これから、かぁ……」

愛「せっつーって、いつまでこの部屋に居てくれるんだろ?」

愛(アイドルは順調みたいだし、このまま行けば2人で住む必要もなくなるかも。

愛(そうしたら出て行くのを止める理由も無い)

愛「あれ」

愛「愛さん……せっつーが出て行くの、嫌かも」

148: 2021/02/11(木) 23:20:30.25 ID:uPP+zCoP
短いですが更新します

149: 2021/02/11(木) 23:24:06.11 ID:uPP+zCoP
愛「誕生日ライブ!?」

せつ菜「はい!先日出したCDの売り上げが伸びていて、お話を頂いたんです」

愛「そうだ、新曲も良かったよ~!何かこう……元気が出る感じでさ」

せつ菜「そう言ってもらえると嬉しいですね!今度の曲は自信作で、歌詞もこれまでのファンのみんなへの……」ペカー

愛(可愛いなぁ)

せつ菜「…愛さん、聞いてますか?」

愛「へっ!?聞いてる聞いてる!!」

せつ菜「…そうですか?」

愛(あぶないあぶない)

あのひざ枕の日から、せっつーの笑顔をぼーっと見ていることが増えた。

愛(そろそろ怪しまれそうだしね、理由は自分でも分かんないけど)

愛「じゃあ愛さんもライブのチケット買おうっと!」

せつ菜「愛さんには関係者席を空けておきますよ?」

愛「えっ、いいの?」

せつ菜「同好会の皆さんの分は全員分取ってありますから!」

150: 2021/02/11(木) 23:27:02.40 ID:uPP+zCoP
愛「嬉しいけどさ、でも自分でゲットしたいかな…」

せつ菜「ふふっ、愛さんまで侑さんと同じことを」

愛「ゆうゆもチケット要らないって?」

せつ菜「そうなんですよ、いつも断られて。この前なんてCDを買うためにに店を梯子して、結局講義に遅れたと歩夢さんが怒っていました」

愛「あはは!ゆうゆも相変わらずだねー」

愛「あれ、あの二人って大学違うよね?」

せつ菜「えっと…そこは歩夢さんだからというか……一緒に住んでいればそういう事もあるのでは?」

愛「あの二人は年季入ってるからね~。……アタシ達もお互いの予定がバッチリ!っていう感じになれるといいねぇ」

せつ菜「……あそこまでは無理でも、出来たらいいですね。あ、四月に入ってすぐミニライブと握手会をやるんですよ!」

愛「へー、握手会……」

151: 2021/02/11(木) 23:29:29.66 ID:uPP+zCoP
せつ菜「良ければ愛さんも来ます?なんて…」

愛「え?いいの!?行きたい!」

せつ菜「えっ」

愛「えっ、ダメなの?」

せつ菜「いや、え……でも握手ならいつでもしますよ、今ここでも」

愛「違うよ、愛さんはアイドルのせっつーと話してみたいかな~って。絶対行くから!」

せつ菜「半分冗談だったのに……分かりました、ならファンの一人として精一杯お話しますね!」

愛「やった、楽しみ!」

152: 2021/02/11(木) 23:34:46.92 ID:uPP+zCoP
~数週間後、ミニライブ会場~

せつ菜「今日は来てくれてありがとう!これからたくさん燃え上がってっ!笑顔で帰りましょうね!!」

ウワァァァ!!

愛「すごい熱気…!ああいう所は昔のままだね」

せつ菜「今日はいつもリクエストが多かった、スクールアイドル時代の曲も歌っちゃいますよ~~!!」

ヤッターー!!!ホントーーー!?

??「うおおおぉ!!せつ菜ちゃーん、最高にときめいてるよ~~、可愛いよ~~~!!!」ピョンピョン

愛「……最前列に見覚えある子がいるような」

愛(まぁいっか!今日は愛さんもお客さんだもんね!)

愛「頑張れせっつ……」

「「せつ菜ちゃーん!!」」

愛「……せつ菜ちゃーん……!」

153: 2021/02/11(木) 23:42:43.60 ID:uPP+zCoP
「握手会こちらでーす!」

愛「よし!」


せつ菜「次の方どうぞ!あっ。」

愛「えーっと…」

愛(あれ!?何話すんだっけ、)

せつ菜「今日は…ライブから見てくれたんですか?」

愛「…!うん。いや、はい?」

せつ菜「嬉しいです!どの曲が好きでした?」

愛「えーっと、やっぱりスクールアイドルの時の曲かな。昔よりも上手くなっててびっくりしたよ!」

せつ菜「それは良かったです!私が上手くなっているなら、それはずっと応援してくれる人達のおかげですね」

せつ菜「だから……これから先も、ずっと私を見続けてくれたら嬉しいです」

せつ菜「……なんて。今日は、ありがとう」ニコッ

愛(おお……)

154: 2021/02/11(木) 23:46:21.13 ID:uPP+zCoP
愛「あっという間に終わった……」

愛(あれがアイドル。アタシの知らない今のせっつー)


愛(せっつーの曲は相変わらずビリビリ来て、こっまで燃やしてくるような情熱があって、前よりずっと凄くなっていた)

家でよく見るふにゃっとしたせっつーは見る影もない。

愛(まあ、あのせっつーはアタシ限定だから大丈夫、なんて……)

愛「何考えてるのかな……愛さんは」

間違いなく凄いライブだったのに、楽しかったのに。

何かモヤモヤしたものは消えてくれなかった。


だから、

ゴソゴソ……

愛(ん、帰ってきた?)

夜中に帰ってきたせっつーにすぐ声をかけなかったのは、昼間のモヤモヤが残っていたのかも。

155: 2021/02/12(金) 00:00:40.49 ID:+fCNolMj
リビングに大荷物を抱えたせっつーが来て、一つ一つ開けていく。

愛(ファンレターかプレゼントかな)

せつ菜「……あ」

愛「?」

せっつーが取り出したのは一通のファンレター。

せつ菜「……」

せつ菜「……っ」ギュッ

その便箋を見てそっと撫でたせっつーは。

今まで見たことないくらいの笑顔で、それを抱きしめた。

それを見た瞬間、
今日のモヤモヤが塊に変わった。

愛(いや、モヤモヤなんかじゃない。)

この気持ちが何かなんて、とっくにアタシは気づいてた筈だった。

169: 2021/02/14(日) 00:24:17.14 ID:WdMu1val
愛「あの手紙って、誰から?」


なんて聞けるわけもなく。

せっつーの様子はいつも通りのまま、時間は過ぎて行った。

せつ菜「5月になれば愛さんもお酒デビューですね!」

愛「大分最後の方だけど。酔って変なことしないように気をつけないとね~」

愛「あ!愛さんの誕生日、せっつーも一緒に飲む?」

せつ菜「ダメですよ。夏まで待ちます」

愛「もー、真面目だなー」

せつ菜「愛さんは酔いやすいんですか?」

愛「えー?まだ分かんないよ、飲み会ではちゃんとノンアル飲んでるし」 

せつ菜「愛さんも意外と真面目ですよね」フフッ

170: 2021/02/14(日) 00:26:25.52 ID:WdMu1val
愛「でもせっつーの誕生日は飲めないか…。ライブだもんね」

せつ菜「ファンの方々にお祝いしてもらえるなんて最高の誕生日です!」

愛「せっつーが頑張って来たからでしょ~」

愛(ファン、かぁ……)

愛「プレゼントとか手紙とか、色々届いてるよね」

せつ菜「……!そうなんですよ、私も出来るだけ手紙をお返ししてるんですけど……」

話し始めたせっつーは楽しそうだけど、やっぱりあの夜見た笑顔は特別だった気がする。

愛(でも)

せつ菜『私はアイドルです。誰かの特別には…』

愛(だから、大丈夫なはず……)

愛(もし特別な人が居たとして、愛さんに責める権利なんか無い)

171: 2021/02/14(日) 00:29:10.41 ID:WdMu1val
せつ菜「愛さん……?」

愛「うん!?聞いてるよ?」

せつ菜「……」

愛(こんな事、今までの付き合いでは無かったのに)



後から考えたら、
気持ちを溜め込んだのが良くなかったんだと思う。

こんなズルい自分を見られたくなくて、柄にもなく我慢していた。

愛『お酒は人を変えるんだよ……』

先輩に言った言葉がそのまま返ってくるなんて気づかなかった。20歳になるまで。

172: 2021/02/14(日) 00:35:27.56 ID:WdMu1val
~5月30日~

「「ハタチおめでと~」」

直接、またはメッセージで。

祝ってもらった日も終わり、後は二人で家飲みするだけ。

愛(片方はジュースだけど)

「「かんぱ~い!!」」

せつ菜「おめでとうございます!」

愛「ありがとせっつー!ケーキも買ってきてくれたし、メチャクチャ美味しいよコレ!」

せつ菜「ですよね!ここはどれも美味しくて…」

せつ菜「あっそうだ、もう一個渡すものがあるんです」

愛「さっきのマグカップだけじゃなくて?」

せつ菜「愛さんのお家から、ぬか床を分けてもらいました!」

愛「え!?いつの間にうちに?」

せつ菜「まぁ、正月にもご挨拶にお邪魔したので。これからは色々漬けていきましょうね」

愛「これから…やった~、たのしみー!!」

せつ菜「でも良かったです。これからライブに向けて忙しくなる前に、ちゃんと愛さんのお祝いが出来て」

愛「さびしいね~!」

せつ菜「愛さん…酔ってますね」

173: 2021/02/14(日) 00:41:37.66 ID:WdMu1val
~~~~~

せつ菜「愛さーん??もうベット行きましょう、ね!」

愛「う~ん……」

せつ菜「飲ませすぎました……?」ウーン

せつ菜「ほら、肩貸しますから。着きますよ?」

愛「あれ……?せっつー、香水かえた?」

せつ菜「……!あ、これはその、贈り物なんです」

せつ菜「すごく良い香りなんですよ?」ニコッ


愛(……あ)


愛(あの時の、笑顔だ)


ドサッ

せつ菜「え、…あい…さん?」

175: 2021/02/14(日) 00:50:01.67 ID:WdMu1val
気づいたら、視界にはせっつーしか居なかった。

せつ菜「あの……酔ってますか?今寝られると」

愛「ねぇ、せっつー」

せつ菜「……?」

愛「せっつーは…いつまでここにいる?」

せつ菜「……え?」

愛「仕事がもっと増えるまで、それとも卒業まで?」

せつ菜「あの、急にどうして」

愛「それとも……大事な人と住めるまで?」

せつ菜「大事な…?あの愛さん、さっきから何を」

愛「もし…せっつーに特別な人がいて、それでもアタシと住むっていうなら……愛さん、もう無理かも」

せつ菜「……無理?」

愛(あれ、ちゃんと隠しておくつもりだったのに)

愛(一回言ったら、もう止まれないじゃん)

愛「このまま愛さんと暮らしてたら、せっつーが困るってこと」

せつ菜「困るって……私はそんな、んっ!?」

頭がグルグルして、混乱して。

愛「……ッ」

せつ菜「ん、うぅ……!?」


色々言いたそうな口を、思いっきり塞いだ。

176: 2021/02/14(日) 00:56:45.00 ID:WdMu1val
愛「……はっ、ぁ、分かった?これで…」


せつ菜「…ちょっと、まって……愛さん…」 


愛(……あ、れ?)


せつ菜「ちゃんと、はなしを」

真っ赤な顔に、潤んだ瞳。

愛「……あ、」

息を整えようと、必死に呼吸している姿を見て、

ぼうっとしていた頭がすーっと冷えた。

愛「っ、ごめん!すぐにどくから」

愛(何してるんだアタシ!)

愛(勝手に怒って、こんな事して……)

せつ菜「愛さん…ちょっと、待ってくださ」

愛「今日はっ、出て行くね……!」

後ろで何か言っているせっつーに構わずに、家を飛び出した。

その日から、アタシは部屋には戻らなかった。

177: 2021/02/14(日) 01:00:32.98 ID:WdMu1val
友1「ねぇ愛~!?聞いてる??」

愛「あ、うんー、聞いてるよ」

友2「ここ一か月、ずーっとそんな感じじゃない?」

愛「そうかも……」

友1「はっ、もしや恋?」

愛「……」ピクッ

友2「…嘘、ホントに!?あっ、まさか失恋!?」

愛「あぁ……!!」パタン

友1「おお、マジかぁ…」

愛「してない……」

「「ん?」」

愛「告白、ちゃんとしてない……」

愛(あれから、せっつーからは何度も連絡が来てる。その度に何を言われるのか怖くて出られない)

178: 2021/02/14(日) 01:02:58.47 ID:WdMu1val
愛(メッセージが来る時間もバラバラで、忙しい中こまめに連絡してくれてるのは分かってる)

友1「いや、それはダメでしょ」

愛「はい……」

友2「今度連絡来たら出なよ、スマホ出して」

愛「いや、それは……」

友2「愛って意外とめんどくさいねー」

愛「自分でも意外なんだよ……ん?」プルル…

友1「あっ!来たんじゃない?ほら!!」

愛「……歩夢?」

179: 2021/02/14(日) 01:06:11.30 ID:WdMu1val
愛「もしもし!?珍しいね、どうしたの?」

歩夢『愛ちゃんに話したいことがあるの、出来れば直接会って』

愛「……そっか。いつが良い?」

歩夢『今からじゃ駄目かな?』

愛「えっ、今?いいけど、どこに行けば……」

歩夢「愛ちゃんの大学の最寄り駅にいるんだけど、時間ある?」

184: 2021/02/14(日) 23:04:28.77 ID:WdMu1val
愛「歩夢~~!!」

歩夢「愛ちゃん、急にごめんね」

歩夢は意外とにこやかに、アタシを待っていた。

愛「…なんか歩夢って、会うたびに大人っぽくなってるよね」

歩夢「そう?照れちゃうな」

愛「でも急にびっくりしたよ~?」

歩夢「迷惑かなって思ったけど。どうしても話がしたかったから」

愛「……うん。せっつーの事、だよね?」

歩夢「……」コクリ

愛「あれは愛さんが悪かったんだよ、…今だって」

歩夢「それだけじゃないよ」

歩夢「だってこれは、二人の問題だもん」

185: 2021/02/14(日) 23:09:06.37 ID:WdMu1val
~数日前~

せつ菜「……やっぱり、見てませんよね」ハァ


「せつ菜せんぱ~い!!」

「せつ菜さん、久しぶりに会えて嬉しい」

せつ菜「…お久しぶりです。かすみさん、璃奈さん」 

~~~~

璃奈「今日を逃したらライブまで大忙しって聞いたけど、付き合ってもらって良かった?」

せつ菜「二人と会う方が大事ですよ」

かすみ「本当に久しぶりですよねぇ~、先輩達みんな忙しすぎなんですよ」

璃奈「せつ菜さん、変装しなくて大丈夫なの?」

せつ菜「意外と眼鏡くらいで平気なんですよ、その…やり過ぎると逆に目立っちゃいますから」

璃奈「だってよ、かすみちゃん」

かすみ「ギクッ」

せつ菜「街中ではマスクとサングラスは取った方がいいかと…」

璃奈「何でそんなに重装備なの?」

187: 2021/02/14(日) 23:13:51.38 ID:WdMu1val
かすみ「うぐっ、だって!かすみんだってアイドルへの道を踏み出したんですから、常に周りの目を意識しないと…!」

璃奈「でも、まだ知名度はそんなに」

かすみ「いいの!気持ちが大事なの!」

せつ菜「……ふふっ」

璃奈「この三人だけなのは寂しいけど、今日はたくさんお喋りしよう」

かすみ「全く、早速演劇サークルに入り浸ってるなんてしず子は……」

璃奈「愛さんも用事できたって来ないし…」

せつ菜「あっ!そうですね……」

「「……」」

かすみ「もう、相変わらず分かりやすいですね~」

璃奈「愛さんと、何かあった?」

せつ菜「えっ!?えっと……そうなんですけど、後輩に話すのはちょっと」

188: 2021/02/14(日) 23:20:30.42 ID:WdMu1val
かすみ「せつ菜先輩が一人で悩むとかそっちの方が心配ですから。話してみてください」

璃奈「むう…、私達も、もう大学生だから」

せつ菜「二人とも…。その、ファンの人に思いを告げられたとして」

璃奈「ファン……うん」

せつ菜「私はそれに答えを返せないまま、会えなくなってしまって…」 

璃奈「せつ菜さんはその人の事、どう思ってるの?」

せつ菜「その人は私にとって、とても大切な人です!だからこのままでは絶対に駄目で、でもどうすればいいか……」

かすみ「もうっ、じれったいですね!」

せつ菜「か、かすみさん」

かすみ「あ…相手の人だって、先輩が本気で追いかければ話を聞いてくれますよ!」

かすみ「それもしないで諦めるとか、それでも優木せつ菜なんですか!?」

189: 2021/02/14(日) 23:26:10.50 ID:WdMu1val
せつ菜「……!」

璃奈「私からも、お願い。愛さんのこと」

せつ菜「璃奈さん…」

璃奈「愛さんが逃げてるところなんて、私見たことないよ。きっとそれだけ戸惑ってるんじゃないかな」

璃奈「それって凄く珍しいことだから……受け止めてあげて欲しいって、思う」

せつ菜「戸惑ってる…愛さんが」


愛『……もう無理かも』


せつ菜「……」グッ

せつ菜「ありがとうございます。そうです、もう一度向き合ってみるしかないですよね!」

せつ菜「お二人にも負けていられませんね!」

かすみ「でもでも、かすみんだって負けませんからね、せつ菜先輩!」

せつ菜「……えぇ、楽しみにしてますよ!」フフッ

せつ菜(私が声を届けるには、私なりのやり方がある)

せつ菜(待っててください、愛さん……!)

201: 2021/02/18(木) 22:10:32.51 ID:ypjASC+b
だいぶ時間が経ってすみません
保守ありがとうございます……!

202: 2021/02/18(木) 22:15:31.83 ID:ypjASC+b
今日最後まで投稿する予定です

203: 2021/02/18(木) 22:16:28.48 ID:ypjASC+b
歩夢「愛ちゃん、チケット届いた?」

愛「え、何の?」

歩夢「あれ?まだ見てないんだ、菜々ちゃんの誕生日ライブのチケット」

愛「…見てないかな」

歩夢「実家に送ったって言ってたから、見てあげて欲しいな」

愛「歩夢、聞いてると思うけど、アタシは…」

歩夢「菜々ちゃんには会えない?」

愛「酷いことしたんだよ、会えない」

歩夢「うーん…でも菜々ちゃんは会いたがってるんじゃないかな?連絡、来てるでしょ?」

愛「……歩夢はさ、せっつーから話聞いてるんでしょ?だったら」

歩夢「私、詳しい話は知らないよ。聞いたんだけど教えてもらえなかったの」

歩夢「愛ちゃんと話がしたいけど連絡が取れない、部屋にも帰ってこないってだけ」

204: 2021/02/18(木) 22:21:37.29 ID:ypjASC+b
愛(確かに、せっつーはあの夜のこと話す性格じゃないか……)

愛「でも何があったか何となく気づいてるんじゃない?」

歩夢「…うん、会って分かった。さっきから愛ちゃん…凄く迷ってる顔だもん」

歩夢「少しでいいから話してみて?その気持ち、私は多分分かると思うんだ」

~~~~~


近くのカフェに入って数分。

歩夢「珍しいね、愛ちゃんと居てこんなに黙ってるの」

愛「あはは…ごめん、来てくれたのに。それで…せっつーの事なんだけど」

歩夢「愛ちゃんは菜々ちゃんのことが好きなんでしょ?」

愛「……うん」

歩夢「それを伝えられないのは、アイドルだから?」

205: 2021/02/18(木) 22:25:37.74 ID:ypjASC+b
愛「それもあるけど…ううん、一番はアタシが逃げてるだけかな。怖がってるだけ」

歩夢「怖い?」

愛「気づいたら、せっつーの気持ちがアタシ一人に向いてたら…なんて考えてた」

歩夢「独占したい、ってこと?」

愛「……歩夢って、高校の頃はせっつーのこと「せつ菜ちゃん」って読んでたよね」

歩夢「うん?そうだね」 

愛「いつから?理由とか聞いてもいい?」

歩夢「えっ、えーっと、卒業した後かな。理由は…うーん…内緒」

愛「もう一つ、せっつーに香水あげたのって歩夢?」

歩夢「…香水?ううん、プレゼントはしてないよ」

愛「そっか……ゴメン、変なこと聞いた」

歩夢「う、ううん……」

愛「歩夢がせっつーのこと、よく知ってるなーって思ったら凄い気になってさ……」

愛「こんな事、愛さん今まで無かったんだけどなぁ」
   

206: 2021/02/18(木) 22:31:16.67 ID:ypjASC+b
愛「一人だけにこんな大きな気持ちが向くのが怖いんだ、そのせいで…せっつーも傷つけちゃった」

歩夢「傷つけたって、そんなことは…」

愛「あるよ!せっつー、あの時困ってた……!」

歩夢「愛ちゃん……」

愛「好きとも言ってないのに押し倒すとか、普通に犯罪だよ…」

歩夢「そ、そんなことは…ないんじゃないかな……」

歩夢「……多分」

愛「相談に乗ってもらってゴメンだけど、歩夢にはこの気持ち、馴染みがないかも」

歩夢「ううん、分かるよ」

愛「え?」

歩夢「私も同じこと、昔悩んでたから分かる」

愛「でも歩夢は…その、ゆうゆに」

歩夢「正確には今の愛ちゃんと逆、かな」

207: 2021/02/18(木) 22:39:53.62 ID:ypjASC+b
歩夢「ずっと同じ人に向けてると思ってた気持ちが、たくさんの人に広がってる気がして……自分が変わっていくのが、凄く怖かった」

愛「あ……」

愛(今のアタシと同じ……?)

歩夢「それでも、進まなきゃいけない」

愛「っ、どうやって?」

歩夢「一人で悩んじゃ、駄目なんだと思う。誰かに背中を押して貰えばいいんだよ」

愛「それだけでいいの?」

歩夢「愛ちゃん、二人でちゃんと話して?」

歩夢「そしたら意外と、気持ちは通じるかもよ」

愛「……!」

愛(あの夜から、せっつーとは話してない)

愛「アタシ一人で悩んでても、ダメってことか……」

歩夢「……うん。言葉にしちゃうと、簡単だけどね」

209: 2021/02/18(木) 22:53:08.93 ID:ypjASC+b
愛「それでも、愛さんは出来てなかったよ」

歩夢「あ、そうだ。私が呼び方を変えたのはね」

愛「え、教えてくれるの?」

歩夢「せつ菜ちゃんはかっこいいアイドルだったけど」

歩夢「私にとっては「中川菜々ちゃん」も親友だから。…卒業して呼ぶ人がいなくなるのは、寂しいから」

愛「そっか……。色々ありがとう、歩夢」

歩夢「二人とも私にとっての親友だもん、当たり前だよ」

歩夢「それに…今度は私が背中を押す番だから」



歩夢と別れた後。

ずっと開けなかった画面を開く。

愛「……よし!」


『ずっと無視して、ごめん』

『チケットありがとう!誕生日ライブ、絶対見に行くから!!』

211: 2021/02/18(木) 23:25:52.80 ID:ypjASC+b
~8月8日 ライブ当日~

愛「……会場、大きいなぁ」

侑「おーい、愛ちゃーん!!」

愛「ゆうゆ!来てたんだねー!」

歩夢「愛ちゃん!良かった……久しぶり」

愛「うん!」

侑「じゃあ歩夢、終わったら入口でね!」ダダッ

愛「あれ、ゆうゆは席違うの?」

歩夢「侑ちゃんは自分で取った席で見るって…」

愛「こだわってるね~、じゃあ行こっか!」


\ワーワー!/ \ザワザワ……/

始まる前から、ライブの熱気が伝わってくる。

愛(ここの皆が優木せつ菜を待ってるんだ……)

愛「頑張れ、せっつー」

212: 2021/02/18(木) 23:34:04.09 ID:ypjASC+b
歩夢「あ、暗くなって……」

幕が上がる。

せつ菜「ここに来てくれたみなさんっ!」

せつ菜「今日は私の誕生日に集まってくれて、ありがとーー!!」

\ワーー!!/

愛「……!」


この日のライブは盛りだくさんで、大歓声の中進んだ。

アタシはせっつーの姿をたくさん目に焼きつけたはず、なんだけど。

実は、覚えているのはライブの最後だけなんだ。

何時間も叫んだ後、それでもアンコールの声が止まない中で、愛さんも隣の歩夢も、ずっとずっと叫んでいた。

愛「アンコール!アンコール!!アンコール……あっ」

せつ菜「……」

せつ菜「アンコールありがとう!最後に、今日のために作った新曲を歌いたいと思います!!」

213: 2021/02/18(木) 23:40:56.13 ID:ypjASC+b
せつ菜「……その前に」

せつ菜「この曲は私を支えてくれた人達への、感謝を込めた曲です」

せつ菜「これまで…私は夢を追いかけて、数えきれない人達に助けられてきて」

せつ菜「危なっかしい私ですが、暖かい場所を皆がくれた……私は本当に幸せ者です」

愛「……」

せつ菜「今度は私が、誰かを支える側になりたい。……そんな決意も込めました!」

せつ菜「……」フッ

愛(……笑った?)

せつ菜「それでは!」

せつ菜「悲しい時も切ない時も、皆に安心できる場所が出来ますように!…愛を込めて!」

せつ菜「聴いてください、『I'm home!』」

ーーー

ーー

216: 2021/02/18(木) 23:54:28.70 ID:ypjASC+b


『ライブはこれにて終了となります、ご来場のお客様は足元に注意して……』

愛「……」

歩夢「ふぅ、すごかったね……愛ちゃん?」

愛「……っ」プルプル

歩夢「な、泣いてるの!?タオル使う……って」

愛「っ、あははっ!!」

歩夢「え、ええっ……?」

愛「最後、曲の前のアレ!切ない、って…愛を込めてとI'm homeって……急にダジャレ入れてくるなんて……」

歩夢「えぇ……?」

愛「自分の名前と掛けてくるとか流石せっつー!ホントにど直球!!」

歩夢「うーん……?」

歩夢(愛を込めて、が掛かってるのは多分……)

歩夢(愛ちゃんも意外と鈍感?)

愛「……っ、はぁもう、本当に直球……///」

歩夢(伝わってる、かな?)クスッ

217: 2021/02/19(金) 00:06:27.40 ID:I5m0JfnF
侑「いた~!二人とも~~!!」オーイ

歩夢「あ、侑ちゃん」


歩夢「私はこの後、楽屋に寄ってみようかな。愛ちゃんはどうする?」 

愛「へ、うーん、愛さんは……」

愛「楽屋には行かないかな。ちゃんと待ってる」

歩夢「……うん、分かった」

愛「じゃあまた今度、四人で…」

歩夢「あの、愛ちゃん!」

愛「ん?」

歩夢「……もう、大丈夫?」

愛「うん。まだ少しまとまってないけど…自分の気持ちは、ちゃんと伝えなきゃね」

歩夢「愛ちゃんはもう、自分の想いに気づいてるもん。それをぶつければ、きっと大丈夫」

歩夢「……昔ね、悩んでる時に言われた言葉なんだけど。夢でも、多分恋でも…」

歩夢「始まったのなら…貫くのみ、だよ!」

219: 2021/02/19(金) 00:26:25.76 ID:I5m0JfnF
愛「歩夢……。ありがとう!次はみんなで会おうね!」ダッ

歩夢「うん!って、もう行っちゃった」

歩夢「これで…少しはお返しできたかな?」

侑「歩夢~!あっちで写真…って、大丈夫?」

歩夢「ゆ、侑ちゃん」

侑「顔真っ赤だけど……どうしたの!?」

歩夢「ち、違うの…冷静になって急に恥ずかしくなったとかそういうのじゃないの……///」

侑「なにを?」

歩夢(うう…さっきの言葉、愛ちゃんが菜々ちゃんに言いませんように……!)


『ライブ、すごい良かったよ!』

『せっつーに言いたいことはたくさんあるんだけど』

『家で待ってます!』

愛「うん、これでよし」

ラインを送って、一旦終わり。

何時かは分からないけど、帰りを待とう。

その間にも、会場からは、観客がどんどん出てくる。

愛(ん……?)

愛「今すれ違った人、あの香水……!」

220: 2021/02/19(金) 00:47:43.61 ID:I5m0JfnF
愛「あの、すみません!」

「はい……?」

愛(しまった、つい声かけちゃったけど!?)

「あの、何か……?」

愛「あ、えっと……その、香水がですね」

愛(これじゃ不審者だよ…!よく見たらウチのお母さんくらいの人だし!)

「あら、貴女……!菜々の」

愛「え?」

「いいえ、なんでも……。急いでいるので失礼していいかしら?」

愛「は、はい!呼び止めてすみませんでした…」

「……」

「この香水、いい香りでしょう?」

愛「ええ、とっても!」

「娘も好きでね、昔あげるって約束してたのよ。……それじゃあね」


愛「そりゃあ、好きな香りだよねぇ。せっつー」

227: 2021/02/19(金) 23:10:09.91 ID:I5m0JfnF
 ガチャッ

「ただいま」

何ヶ月かぶりに、この部屋に戻ってきた。

アタシがいない間も、せっつーはここで暮らしてたらしい。

愛「ホントに久しぶりだな~…あ、」ピロリン


せつ菜『今から帰ります』

それだけのメッセージが、何だか嬉しい。

愛「……えへへ」

愛「次は愛さんの番っと」

その後は部屋を歩き回ったり、キッチンでぬか床の様子を見たり、ぐるぐると時間が過ぎるのを待った。

愛「なんかソワソワしてない?……自分の家なのに」

愛「冷たい物でも飲も……」

ガチャッ

愛「!」

228: 2021/02/19(金) 23:16:30.87 ID:I5m0JfnF
愛「あ、」

ドアが開いて、彼女が入ってきた。

せつ菜「…ただいま帰りました、愛さん」

愛「…おかえり、せっつー!」


せつ菜「良かった、ちゃんと居てくれて」

愛「ハハ…ごめんね。こんな久しぶりになって」

せつ菜「いいんです、私も会いに行けませんでしたから」

せつ菜「おかえりなさい、愛さん」

愛「うん、ただいま!」

愛「……疲れてると思うけど、せっつーに言いたいことがあるんだ」

せつ菜「はい」

愛「まず、この前のこと謝らせて。勘違いで色々して逃げてごめん!」

229: 2021/02/19(金) 23:20:09.08 ID:I5m0JfnF
せつ菜「勘違い…あの、愛さん。この前の香水は」

愛「あ、大丈夫。それはもう解決したから!」

せつ菜「えっ!?何でですか?」

愛「とにかく、アタシがあんな事したのは…結局ただの嫉妬だったんだ」

せつ菜「は、はい」

愛「その、つまり……アタシはせっつーのこと」

せつ菜「待ってください!」

愛「えっ、ここで止められると愛さん傷つくんだけど……」

せつ菜「私から言わせて欲しいんです!」


愛「え~、ダメ!愛さんから言う!」

せつ菜「いえ!ルームシェアに誘ってくれたのも愛さんなんですよ、ここは私が……」

230: 2021/02/19(金) 23:31:23.06 ID:I5m0JfnF
愛「せっつーはライブで色々言ってくれたでしょ!愛さんだって色々考えて……」

「「む……」」


せつ菜「……っ、ふふ。もう言っているのと同じですね」


せつ菜「大好きですよ、愛さん」 


愛「あ、っ、せっつーずるい!先に……もう!」

せつ菜「ちょ、急に抱きつかないで」 
 
愛「愛さんだって!愛してるよ。せっつー」

せつ菜「……っ///」

愛「だから……これからも、一緒にいてくれる?」


せつ菜「……はい、喜んで」

231: 2021/02/19(金) 23:48:39.57 ID:I5m0JfnF
愛「……ふぅ、やっと言えた~~、やっぱり緊張した~」

せつ菜「私もです……」

せつ菜「ライブの後にこんな事を言うのは、ファンに怒られてしまいますね」

せつ菜「あの、愛さん」

愛「ん~?」

せつ菜「あの…私達、外でデートとか…ちゃんと出来ないかもしれません」

せっつーが離れようとするから、もう一回抱きしめる。

愛「アイドルだもんね……でも大丈夫!」 

愛「愛さん今、優木せつ菜と付き合う気はないから!」

せつ菜「……はい?」

233: 2021/02/19(金) 23:52:25.29 ID:I5m0JfnF
せつ菜「え、ちょっと待ってくださいね?私なんだか混乱して……」

愛「あー。待ってせっつー、ちゃんと説明するね」

愛「ずっと考えてたんだ。せっつーがファンを大事にしてるのは知ってる」

愛(これからもっと、この子のファンは増える)

愛「だからね、アイドルと恋人になるのは保留!」

せつ菜「ほりゅ、え、それでいいんですか?」

愛「それで……」ギューッ

愛「中川菜々はアタシの恋人ってことで!」

せつ菜「え?」

愛「もう、せっつー…。さっきから、え?ばっかりだよ~」

せつ菜「う、だって……愛さんが考えてくれたのは嬉しいですけど、それは屁理屈というのでは」

愛「でも良い屁理屈でしょ?」

せつ菜「そう……ですね」

234: 2021/02/19(金) 23:59:57.58 ID:I5m0JfnF
愛「それに愛さんが好きなのは、真面目で頑張り屋で…でも家ではぼーっとしてる時もあって……そんなせっつーだから、ね?」

愛「だから大丈夫!」

せつ菜「愛さん……」

せつ菜「嬉しいです、けど急にそんなに言わないでください……!」

愛「えー、先に言われたからお返し!」

せつ菜「もう…じゃあ……恋人として、ずっとよろしく」ギュッ

愛「!……うん、ずっとね」

235: 2021/02/20(土) 00:05:11.73 ID:FCX0/dxw
愛「なんかずっと立ったまま喋ってたねー」

せつ菜「早く話したかったんですよ」

愛「せっつーは今日疲れてるもんね、お風呂入って寝ないと……って、ああ!」

せつ菜「な、何ですか!?」

愛「今日からお酒飲めるじゃん!誕生日おめでとう
!」

せつ菜「あ、ありがとう……?」

愛「直接言おうと思って忘れてたよ~。言いたいことを溜めすぎたなぁ」

愛「せっかくだから、お酒飲む?」

せつ菜「今からですか?また今度にしましょうよ」

愛「え~、でも最初は愛さんの前で飲んでね?せっつーが外で飲むとか不安だよー」 

せつ菜「だ、大丈夫ですよ!」

236: 2021/02/20(土) 00:12:14.59 ID:FCX0/dxw
愛「ホントかな~。前にお持ち帰りされかけてたしなぁ……」

せつ菜「あれは…、もう平気です。あんな無茶はもうしませんから」

せつ菜「その、」

せつ菜「それより愛さん、私も一つ言い忘れたことがあるんです」

愛「なに?」

せつ菜「その……えっと、……じゃ、なかったですから」

愛「ん?」

せつ菜「だから、あの時の、き、キス!私だって嫌じゃなかったって事です!」

愛「……へ!?」

せつ菜「う、私だって愛さんが好きだったんですよ?嫌な訳ないじゃないですか」

愛「だって、せ、せっつーが大声で変なこと言うから……!」

せつ菜「変なことってなんですかぁ……///」

愛(あ、せっつーがお酒飲んだみたいに真っ赤に)

238: 2021/02/20(土) 00:34:39.46 ID:FCX0/dxw
愛(まあそれは、愛さんも一緒…かな)

愛「じゃあする?もう一回」

せつ菜「ふぇっ!?」

愛(もっと真っ赤に)

愛「ま、せっつーが嫌なら……ん、」

せつ菜「っ、」

愛「!」


せつ菜「……っ、はぁ、嫌じゃないです」

愛「……ぅ、うん」

せつ菜「……やっぱり、もう少し背が高かったらよかったです」

239: 2021/02/20(土) 00:48:09.79 ID:FCX0/dxw
せつ菜「不意打ちしづらい、んぅ!?」

愛「……は、愛さんは小さいせっつーも好きだよ?抱きつくのにちょうどいいし」

せつ菜「……やっぱり、高い方がいいです」ギュッ

愛「……もう一回、する?」

せつ菜「はい」

愛(しまった、またせっつーの顔が見えない)


愛「ねぇせっつー、続きしても…いい?」

せつ菜「……はい」

顔を上げた真っ赤なせっつーは、とっても可愛かった。

せつ菜「わっ、愛さん!?」

愛「せっつーって軽いよね。前も布団に運んだし」 

リビングからせっつーを抱えて出ていこうとした瞬間、恋人が暴れ出した。

240: 2021/02/20(土) 00:53:35.99 ID:FCX0/dxw
せつ菜「待って、お風呂!」

愛「後でいいんじゃない?」

せつ菜「駄目です!ライブの後汗拭いただけなんですよ、流石にダメです!」

愛「えー、愛さん待てないよ」

せつ菜「すぐ戻りますから……!」

愛「……うー、しょうがないなぁ、気持ちは分かるけどさ…」

本当に嫌々、ゆっくりせっつーを床に降ろす。

せつ菜「待たせてごめんなさい。でも……これからずっと、一緒にいますから」タタッ


愛「……///」

愛(相変わらず、せっつーは反則……!)

241: 2021/02/20(土) 00:57:02.73 ID:FCX0/dxw
それからも、まあ色々あって。

アタシとせっつーとの生活は、ずっと続いている。


ピリリリリ……

愛「ん……?」

せつ菜「……」スヤスヤ

愛「せっつーおはよ……って、まだ寝てるか」

愛「……クシュっ、さむっ!?ちょっとせっつー、布団独り占めしないで愛さんにも貸して!」

せつ菜「ん……、あれ、愛さん?」

愛「おはようせっつー、とりあえず隣入れて」

せつ菜「愛さん冷たい……」

愛「昨日せっつーが色々蹴り飛ばすから……」

せつ菜「私のせいなんですか?今日は二人とも休みだからゆっくり寝ようって言ったのに……」

愛「と、とにかく!愛さんが暖かくなるまでこのまま!せっつーまだ眠いでしょ?」

せつ菜「そうですね、じゃあもう少し寝る…」

242: 2021/02/20(土) 01:05:54.80 ID:FCX0/dxw
愛「……せっつーってさ、意識がふわふわしてると敬語消えるよね」

せつ菜「……?そう?」

愛「消えてるよー。今とか、覚えてない?昨日の夜だって……いた、痛い、枕は痛いって!」

せつ菜「やっぱり起きる…起きます!」 


~~~~~~


せつ菜「コーヒーどうぞ」

愛「ありがと」

せつ菜「そういえば、休みなのになんで目覚ましセットしたんでしょう……」

愛「まだ寝ぼけてるね~。今日は前から楽しみにしてたでしょ?」

せつ菜「あ、そうでした!同好会、全員集まれるなんてすごいですよね」

愛「アタシ達がだいぶ遅くしちゃったからねー」

せつ菜「愛さんも頼られることが多くて、結局忙しいですからね……」

243: 2021/02/20(土) 01:12:13.53 ID:FCX0/dxw
愛「エマっちが来てる間に会えて良かったよー」

せつ菜「はい!支度しないとですね」


愛(相変わらず忙しいし、いつも一緒に居られる訳じゃないけれど)


愛「せっつー、朝パンでいい?」

せつ菜「お願いします!」


愛(同じところに帰って来るって分かってるから、いつも頑張れる)

愛(きっとせっつーも……)チラッ


せつ菜「どうかしました?」ニコッ

愛「いや?こんな朝もいいなーって」

せつ菜「いきなり…?でも……そうですね、私も好きですよ。この時間」

愛「……うん!」

愛「はい、愛さん特製トースト!食べよう!」

せつ菜「ふふ、美味しそうです!じゃあ……」


「「いただきます!」」

244: 2021/02/20(土) 01:15:07.26 ID:FCX0/dxw
おしまい

長々続けてしまいましたが、読んでくださってありがとうございました!

245: 2021/02/20(土) 01:15:50.44 ID:6aDGBy+L
おつ
良いあいせつだった

246: 2021/02/20(土) 01:21:23.94 ID:46EL9KkZ
素晴らしい
おつです

248: 2021/02/20(土) 01:24:18.71 ID:wJ+B25fC
良いあいせつだった
おつ!

250: 2021/02/20(土) 01:42:00.31 ID:Zg6zxji0
おつでした。菜々ちゃんの恋人になったけど、やっぱりせっつー呼びなんだね

251: 2021/02/20(土) 02:00:53.97 ID:f0ENlS0V
おつ

252: 2021/02/20(土) 03:22:58.64 ID:5aAtwu9B
最高でした

253: 2021/02/20(土) 09:53:16.50 ID:bXWiJtur
あいせつは脳に良い

254: 2021/02/20(土) 10:11:47.51 ID:uVmHZMT3
良いあいせつでした
また書いていただけると嬉しいです

257: 2021/02/20(土) 14:31:16.67 ID:Japo/TuK
no title

256: 2021/02/20(土) 10:56:26.48 ID:haF8qYim
お疲れ様!最後まで書いてくれてありがとう

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1612534604/

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