【SS】曜「ミスド寄って行かない?」【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: 2020/06/13(土) 20:22:39.75 ID:Mqglj5iq
曜「ハンカチ借りちゃったし、ご馳走するよ」

善子「…いく」

帰りのバスはいつも曜と一緒。
それもそのはず、沼津市街に住んでいるのは私と曜だけだから。

2: 2020/06/13(土) 20:23:21.62 ID:Mqglj5iq
この日はとある事情があって、曜が千歌に対してずっと抱いていた、『一緒に何かをしたかった』と言う感情を私に漏らした。
いつも飄々としている曜が涙ながらに話す姿を見て、私はお気に入りのゴシック柄ハンカチを差し出すことしかできなかった。


曜って案外、誰よりも女の子らしくて繊細なのかもしれない。
なんてことを思いながら曜の提案に乗ることにした。
何よりも、私にそんな弱みを見せてくれた曜がたまらなく愛おしく感じて、
もうちょっと側に居たいと思った。

3: 2020/06/13(土) 20:24:12.68 ID:Mqglj5iq
曜「私はねーいつもポンデリング食べるんだよね。食感が可愛くて好きなんだ。善子ちゃんは?」

善子「オールドファッションかな。チョコがかかってるのとノーマルのを気分次第でって感じ」

曜「オールドファッションは普段私食べないなー。
よし!今日はオールドファッション食べる!」

4: 2020/06/13(土) 20:24:46.99 ID:Mqglj5iq
善子「ええ!?何よ急に!パサパサしたもの嫌いでしょ!?」

曜「善子ちゃんの好きなものをさ、私も好きになれたら良いなって思ってさ!」

天然ジゴロなのだろうか、一つ上のこの先輩は。
きっと千歌以外には常にこういう感じなのだろうと、予測はできてもつい顔が緩みそうになる。

でも、自分は曜にとって千歌ほどの特別ではないのかと思うと、少し寂しい。

6: 2020/06/13(土) 20:25:24.37 ID:Mqglj5iq
善子「じゃあ私はポンデリング!!」

そんなことを言われたら、私だって曜の好きなドーナツにしたくなる。
正直私はあの食感が少し苦手だけど、今なら好きになれる気がした。

思い返すとこの瞬間が、私の曜に抱く感情が『憧れ』や『羨望』から『恋』に変わった瞬間だった。

そう、ハッキリ言える。

8: 2020/06/13(土) 20:33:45.44 ID:Mqglj5iq
〜津島善子 24歳〜

善子「ふぁ〜、またあの頃の夢かぁ」

午前8時25分。
私は今日も元気に目覚めた。
ゆっくりと、ららぽーとのカルディで買ってきたブレンドコーヒーでも入れよう。
新聞も読まないと。

9: 2020/06/13(土) 20:34:08.50 ID:Mqglj5iq
私は今も沼津に住んでいる。
流石に実家はもう出たけど、沼津で同居人と住んでいる。
その同居人はもちろん、渡辺曜だ。

善子「今日は久しぶりに曜が帰ってくる日ね。
ご飯何作ったら喜ぶかな…」

10: 2020/06/13(土) 20:43:13.81 ID:Mqglj5iq
私はフリーのWEBデザイナーとして働いているから、基本はうちにいる。

一方で曜は海上保安官なんて仕事に就いたもんだからろくに帰ってもこない。
でも、そんな曜を待つ時間は寂しいけれど嫌いではない。

会えない時間が愛を育てるということは、本当にあるんだと知った。

善子「さて、日課日課」

12: 2020/06/13(土) 20:46:44.75 ID:Mqglj5iq
コーヒーをすすり、日課である新聞を読みながらAqoursの仲間たちが活躍していないか、何か事件に巻き込まれていないかをチェックする。

船の事故の記事があろうものなら、心拍数は自分でも驚くくらい上がってしまう。

ダイヤやルビィも危ない仕事に就いているから、毎日新聞を開くたびに事件がないかハラハラする。

鞠莉の経営するホテルの株価も、まぁ一応チェックする。でも株価を新聞で見る意味ってあるのかしらね。

13: 2020/06/13(土) 20:47:13.48 ID:Mqglj5iq
高校時代のあの輝かしい日々は、今も善子の心を強く支えている。
そして、何よりも曜と過ごしたあの時間は、一緒に暮らすようになった今だからこそ、より一層宝石の煌めきのように心に残っている。

善子「もう7年以上も前だものね…」

69: 2020/06/14(日) 05:59:17.15 ID:ortybz/T


>>13
ここだけ地の文の目線が変かも

70: 2020/06/14(日) 07:08:49.31 ID:9pBUNAFl
>>69
ありがとうございます。
本当ですね…痛恨のミスです。

「善子」を「私」に脳内置換でお願いします…

14: 2020/06/13(土) 20:47:39.05 ID:Mqglj5iq
〜善子 静真高校2年生 曜 静真高校3年生〜

曜「受験で忙しくなるから、今までみたいにこうやって帰り道遊ぶのは減っちゃうね」

善子「仕方ないわよ…」

15: 2020/06/13(土) 20:48:15.43 ID:Mqglj5iq
夏のラブライブは、地区予選こそ通過したものの、全国では入賞を逃してしまった。

やっぱり、年々レベルが上がっているのは間違いなんだろうな。

メンバーも口には出さないけど、果南、鞠莉、ダイヤのいたあの時が自分たちのピークだと気付いていた。

18: 2020/06/13(土) 20:53:45.49 ID:Mqglj5iq
善子「曜は大学はどこに行くの?私にもわかるところかしら」

正直、私は大学の名前なんて東大京大慶應早稲田をZ会のCMで覚えた程度で他は知らなかった。
後は県内公立の静岡県立大学くらいか。
曜が行くような大学…私の知ってる中にはなさそう。

曜「海上保安大学校」

20: 2020/06/13(土) 20:54:13.29 ID:Mqglj5iq
善子「…は?」

本当に知らなかった。

曜「海上保安官になる大学だよ。興味なきゃ知らないよね」

善子「なんで…?」

曜「勉強しながらお金もらえるし、そのまま海技士の資格も取れたりするから、船長にもなれるしね」

21: 2020/06/13(土) 20:54:42.59 ID:Mqglj5iq
善子「お父さんみたいなフェリーの船長になるんじゃなかったの?
なんならエスパルスドリームフェリーに就職すると思ってたくらいよ」

曜「パパみたいな船長になりたいのも、本当だよ。
でもね、背中を追いかけるだけじゃなくて、パパやパパみたいな仕事につく人たちを守る仕事もかっこいいなって思ったんだ。
大好きな内浦の海も守れるしね」

22: 2020/06/13(土) 20:55:00.27 ID:Mqglj5iq
善子「そう…それにお金ももらえるのね。変な大学」

曜「正確には大学とは少し違うんだよね。お金は…まあ、うん。ちょっと早い段階から貯めておきたいって思うし」

善子「何か欲しいものでもあるの?船?」

曜「んー秘密」

23: 2020/06/13(土) 20:55:24.51 ID:Mqglj5iq
何よそれ、気になるじゃない。

少し腹が立ったけど、お金があって困ることはないから、別に不自然でもないか…と思った。

曜に関して言えば、受験が成功すれば夢を追いかけながらお金がもらえるのだから。

24: 2020/06/13(土) 20:55:56.77 ID:Mqglj5iq
曜「善子ちゃん」

善子「ヨハネ。何よ」

曜「楽しかったね、Aqours。やっぱ寂しいよ。
受験に疲れたら、たまにこうやって遊んでくれる?」

善子「良いわよ…それと…」

曜「ありがとう!で、それと?」

25: 2020/06/13(土) 20:56:18.17 ID:Mqglj5iq
善子「曜からは…ヨハネじゃなくて…善子って名前で呼ばれたいわ」

曜「…大丈夫?熱ある?」

善子「ない!もう!今のなし!」

曜「あはは!まぁ元々呼んでるけどね。善子ちゃん」

好きだ。たまらなく。
私は曜が。

26: 2020/06/13(土) 20:56:58.74 ID:Mqglj5iq
千歌も旅館を継ぐために来年からホテルオハラにインターンとして働くための準備に忙しい。

リリーも東京の音大に進むために勉強を頑張ってる。

だから、そばに住んでいる私が、実質的に曜を独り占めできているわけだ。

この時間が大好き!
千歌とリリーには悪いけどね!

27: 2020/06/13(土) 21:02:45.81 ID:Mqglj5iq
そうして曜と過ごす時間は減ったけど、それでも他のメンバーよりは一緒にいたと思う。

たまに勉強ですごい疲れているときや、模試の成績が芳しくなくて少し不機嫌な時があったけど、それも込みで曜のことが好き。

最後の模試の時は、ようやくA判定が出たと大はしゃぎしていた。
嬉しい時や楽しい時には、決まったあの日のミスドに行くんだ。

28: 2020/06/13(土) 21:03:05.63 ID:Mqglj5iq
曜「やっと出たよA判定!さ、ポンデとオールドファッションどっちにしようかな〜」

善子「…私がオールドファッションにするから、曜はポンデにしなさいよ。
は、半分こ…しましょう」

曜「それだ!善子ちゃんは賢いなぁ!」

29: 2020/06/13(土) 21:03:26.25 ID:Mqglj5iq
本当なら1個まるまるオールドファッション食べたかったけど、お金もないし…
何より曜と1つのドーナツを半分こする体験が欲しかった。

善子「本番、もうすぐね」

曜「うん!でもね、受かる気がしてきた!もうひとガンバルビィだね!
そう言えばルビィちゃんと花丸ちゃんは元気?」

30: 2020/06/13(土) 21:04:03.83 ID:Mqglj5iq
善子「元気すぎるくらいよ。ルビィはなりたい仕事が見つかったって猛勉強してるわ。
ダイヤも家は継がないらしいし、黒澤家もどうなるのかしらね。
花丸は沼津市役所受けるんだって」

曜「善子ちゃんは?何か進路決まった?」

善子「この前ね、私のブログを読んでくれている人からホームページの作成依頼がきたの。
私、ブログとかもかなり凝って作ってるから、それで興味持ってくれたみたい。
だから、それ系の仕事に興味湧いたかな。
大学に行くかはわからない」

31: 2020/06/13(土) 21:05:06.54 ID:Mqglj5iq
曜「そっか〜!すごいね善子ちゃん。自分の得意を人のために活かせるって、なかなかないよ?」

曜がそれを言うのか…って思ったけど、曜に褒められるのは単純にすごい嬉しかった。
もう、『この道で生きる!』って決めたわ。


その後、曜は希望していた大学校に合格した。

その時はミスドではなく、Aqoursで活動していた時によく行っていた松月に集まってお祝いした。
流石に千歌とリリーと花丸とルビィも呼んだけどね。

32: 2020/06/13(土) 21:10:53.21 ID:Mqglj5iq
そうして、あっという間に卒業式の日がきた。

花丸「すごい…」

ルビィ「本物のアイドル級だよぉ…」

善子「ふんっ…」

私たち3人の目線の先には二人の渡辺がいた。曜と月だ。
二人の下級生人気は凄まじく、とても近づけない。

34: 2020/06/13(土) 21:17:43.35 ID:Mqglj5iq
モブ「曜せんぱ〜い!ブレザーのボタンください!」

モブ2「ずるい!私も欲しい!」

曜「ん〜だめ〜」

モブ「なんでですか〜!私浦の星時代からのファンなのに〜」

曜「あげたい人がいるんだ。え〜と…あ、いたいた!善子ちゃん!!」

35: 2020/06/13(土) 21:18:14.76 ID:Mqglj5iq
善子「…あ?」

思わず柄の悪い声がでた。まさかこの人混みで私を見つけてくれるなんて、思わなかった。

曜「しっかりとってよ〜!ヨーソロー!」

曜はブレザーのボタンを豪快に千切って、私に向かって指で弾いて飛ばしてきた。

36: 2020/06/13(土) 21:18:38.76 ID:Mqglj5iq
善子「いたっ!」

キャッチし損ねて頭にぶつかったけど、地面に落とす前には掴めた。

曜「あげる!大事にしてよね」

モブ3「ずるい〜〜〜〜」

曜「ずるくないよ?」

37: 2020/06/13(土) 21:30:37.26 ID:Mqglj5iq
私にくれたんだ……でもなんで?
私にとっては曜は、かけがえのない大切で大好きな人。

でも曜はあの通り、大勢に囲まれる人気者。
曜にとっては私なんて、沢山いる大事な人たちの中の1人くらいの認識なんじゃないかって思ってた。

だってそうじゃない。
曜は名前の通り太陽みたいな人。
誰にだって優しい。

でも、ボタンをくれたの。私に。
だったらもう、言うしかないじゃない。

38: 2020/06/13(土) 21:30:57.49 ID:Mqglj5iq
善子「曜!卒業おめでとう!
好き!あなたが大好きなの!
ずっと一緒にいたい!!」

花丸「善子ちゃん…」

ルビィ「だ、大胆…」

曜「善子ちゃん…ごめん、君たちちょっどいて」

曜は人混みをかき分けて私の方に走ってきた。

39: 2020/06/13(土) 21:31:19.93 ID:Mqglj5iq
曜「私たちまだ10代だよ?ずっと一緒って、気が早くない?」

善子「…早くないもん」

曜「これから互いにいろんな出会いがあるよ?」

善子「関係ないもん」

曜「じゃあさ、賭けようか」

善子「賭け?」

何を言い出すんだろう。
好き!良いよ!じゃないの?賭けって何よ。

40: 2020/06/13(土) 21:31:44.42 ID:Mqglj5iq
曜「何歳かな…2…28歳。28歳までにお互い良い人と出会わなかったら、一緒に住もう。
どうかな?」

善子「好きなんだもん…そんなの、乗るしかないじゃない…」

でも。待てない。後10年もあるじゃない。
馬鹿じゃないの曜!

曜「賭け成立だね。あ、ボタンあげたよね?私も一つ欲しいものがあるんだ」

善子「何y…」

41: 2020/06/13(土) 21:32:06.78 ID:Mqglj5iq
言い終わる前に、私の唇には曜の唇が重ねられた。

曜「これだけは譲れないからさ。賭け以前に」

善子「はわわわわ……」

曜「じゃあ、善子ちゃん。10年後までご機嫌よう」

善子「ば、馬鹿〜〜〜〜!!!」

43: 2020/06/13(土) 21:34:53.94 ID:Mqglj5iq
それから、曜は私の前に姿を見せなかった。
半年に一回開催しているAqoursの同窓会にも、
大学校に通っているであろう4年間は顔を出さなかった。

それで良いいと思ってる。
もし会ってしまったら、私は多分、気持ちを抑えられない。

そして、あの賭けが始まり5年が経とうとした頃、止まっていた私の…いや、私たちの時間が動き出す。

44: 2020/06/13(土) 21:36:49.05 ID:Mqglj5iq
善子「良い天気ね〜最近仕事が安定してきたし、
つい新しい液タブ買っちゃった〜
…………んん!?」

買い物帰り、駅から私のマンションまでの道を歩いていた時、家の横のホテルの前に、私のファーストキスを奪った顔があった。

制服を着て。

45: 2020/06/13(土) 21:37:41.75 ID:Mqglj5iq
曜「や!善子ちゃん。やっと卒業後の世界一周研修が終わってさ、束の間の自由の身なんだ」

善子「は〜〜〜〜なんなのよもう!!ずっと顔一つ見せず連絡一つせず!!こんな公衆の面前でずっと待ってたの!?」

曜「この格好で来たから、奇異の目で見られて挫ける寸前だったよ」

46: 2020/06/13(土) 21:38:04.48 ID:Mqglj5iq
善子「で…今更何しに来たの?」

自分でも思っている以上に、冷静だった。

曜「あの日のミスドの答え合わせだよ」

善子「え?」

47: 2020/06/13(土) 21:43:36.65 ID:Mqglj5iq
善子「え?」

私が疑問を唱えたその瞬間、曜の指からキラキラしたものが弾かれた。

善子「わ!わ!ちょ!」

曜「お!今度は取れたね」

善子「え、これって…?」

48: 2020/06/13(土) 21:43:57.78 ID:Mqglj5iq
自分でも驚いた。
思わず涙がこぼれた。
こんな体験は初めてだった。

曜「綺麗な指輪でしょ?
善子ちゃんに似合うよ。
お金、貯めてたんだ」

善子「嘘でしょ……」

49: 2020/06/13(土) 21:44:17.94 ID:Mqglj5iq
曜も、ずっと想ってくれていたのだ。
私と同じように…いや、自分の進路の一要因にするくらいに、私のことを…

善子「嬉しい…」

曜「賭けはね、私の負け!
我慢できなかった。
善子ちゃんが他の人の恋人になるなんて、考えたくない」

50: 2020/06/13(土) 21:44:34.99 ID:Mqglj5iq
善子「当たり前でしょう!!その言葉そのまま曜に返す!!」

曜「ずっと一緒に、いて欲しい。
良いよね?」

答えるまでも、なかった。

51: 2020/06/13(土) 22:00:04.70 ID:Mqglj5iq
曜「ーーーーーちゃん。よっちゃん。よーしーこーちゃん」

善子「はわぁ!!曜!帰ってきてたの!?今!?」

曜「テーブルで一人ボーッとしてるから、しばらく眺めてたけど寂しかったから声かけた。
考え事?」

曜はもう部屋着になっていた。
帰ってきてから結構時間が経っていたらしい。

52: 2020/06/13(土) 22:01:59.10 ID:Mqglj5iq
善子「今日ね、初めて曜とミスドに行った時の夢を見たの。だから、少し昔を思い出していたわ」

曜「懐かしいね。私も大学校で辛い時はよくあの頃を思い出してたよ」

善子「あら、曜は辛い時に思い出すのね」

曜「善子ちゃんは違うの?」

53: 2020/06/13(土) 22:02:35.35 ID:Mqglj5iq
善子「私はね、幸せな時に思い出すの。あの頃があったから今の私たちがある。
今ある当たり前の幸せに感謝したくて、思い出すんだ」

曜「それ良いね。もらった」

善子「ふふ、あげた!」

曜を待つ時間は嫌いじゃない。
でも、一緒に過ごす時間は大好き。

54: 2020/06/13(土) 22:03:00.06 ID:Mqglj5iq
善子「ねえ曜」

曜「なぁに?善子ちゃん」

善子「私、高校の頃までずっと不幸体質って言ってたでしょ?」

曜「ちょっとうざいくらい言ってたね」

善子「うざいはひどい!
でもね不幸体質で良かったって今は思うの」

曜「なんで?」

55: 2020/06/13(土) 22:03:21.31 ID:Mqglj5iq
善子「人生の幸不幸の収支が同じなら、今こうしてあなたと居られる時間はあの不幸があったからだと思うの。
だから私、不幸で良かった」

曜「不幸に戻らないように、遠慮しようか」

善子「馬鹿…そんなの許さないわよ」

56: 2020/06/13(土) 22:03:39.76 ID:Mqglj5iq
曜「ねえ、善子ちゃん」

善子「何よ、曜」

曜「愛してる」

本当に、ずるい人。

善子「私もよ」

57: 2020/06/13(土) 22:04:49.10 ID:Mqglj5iq
その日と次の日、私と曜は会えない時間を埋めるように幸せで濃密な時間を過ごした。

二人で街を歩いた。もうあのミスドはないけれど、残っている景色は他にもたくさんある。

私の運転でドライブもした。車はお父さんから借りて、二人で浦の星の跡地も見に行った。

夜は抱き合って眠った。パジャマ越しに伝わる曜の体温が愛おしい。

曜「離したくないなぁ」

善子「離されたくないわ」

58: 2020/06/13(土) 22:05:33.30 ID:Mqglj5iq
朝起きると、曜はもう仕事に向かっていた。
曜が薄情なわけではなく、私が起きなかっただけだろう。
やっぱり、曜がいない時は無意識に不安なのだ。
きっと曜がいたから安心して寝過ぎてしまったんだろう。

善子「作って行ってくれたんだ…」

テーブルには曜お手製ヨキソバが作っておいてあった。
あーやっぱりいってらっしゃいは言いたかった!

59: 2020/06/13(土) 22:05:55.32 ID:Mqglj5iq
でも良いんだ。この当たり前の日常の1ページを、これから何百何千と繰り返すのだから。

そっと、あの日曜から投げられた指輪とは違う、
曜とお揃いの指輪を撫でた。
ちょっとだけ…ちょっとだけ寂しい時のくせだ。

60: 2020/06/13(土) 22:07:13.47 ID:Mqglj5iq
善子「今日も一日、頑張ろう!」

それが私と、曜のこれからなんだ。


to be continued

61: 2020/06/13(土) 22:14:51.57 ID:aVeS7/Yu
じっもあい! じっもあい!

64: 2020/06/13(土) 22:22:03.73 ID:Mqglj5iq
個人的に善子と曜だけ沼津の沼津に住んでるって設定最高だなぁおい!!!!
ってずっと想っていたので形にしました。
それぞれ皆さん二人の関係への解釈はあるかと思いますが、自分はこれです!!ってSSです。


読んでくださった皆さんに心からの感謝を。
感想やこのへんよくわかんなかったよ〜ということあれば、どしどしお願いします。

65: 2020/06/13(土) 22:25:13.10 ID:Mqglj5iq
それと、過去ログになりますが、前作SSでは私なりの黒澤家の解釈を書かせていただきました。
世界線はつながっています。こちらも是非とも読んでいただきたいです。

https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1591533871/l50

72: 2020/06/15(月) 03:33:00.13 ID:nHxO5Syd
これほんとにいいSSだな、バランスが好き、妙に生々しくないところが良い

74: 2020/06/16(火) 05:31:46.57 ID:BaKZCRBq
良かった乙

75: 2020/06/16(火) 22:53:50.51 ID:av4sUgyn
これはいいようよし
曜ちゃんカッコいいね

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1592047359/

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