鞠莉「半分の優しさと」

曜ー笑顔 SS


2: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:37:55.76 ID:xcTTH2v1
曜「よし、お湯は沸いたね。鞠莉ちゃーん、おやつの時間だよー」

「今行くわー」

ガチャ

鞠莉「お待たせ。はぁ…」

曜「お仕事お疲れさまー。コーヒーでいい?」

鞠莉「ん、お砂糖多めで」

曜「ブラック派なのに珍しいね。お疲れモード?」

4: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:41:06.62 ID:xcTTH2v1
鞠莉「疲れたっていうか、なんか頭が痛くて…」

曜「えっ、大丈夫?」

鞠莉「平気よ、そこまでじゃ…ごめん、ちょっと元気ない」

曜「おでこ触るよ、ちょっと失礼」

鞠莉「んー…」

曜「どうやら熱は無いみたいだね。痛み止め飲む?」

5: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:41:29.05 ID:xcTTH2v1
鞠莉「少し前に飲んだんだけど、あんまり効かなくて…あ、手はそのまま当てててほしい…」

曜「よしよし、辛かったね」

鞠莉(…痛み止めより、こっちの方が効く気がする)

曜「他には大丈夫?寒気がするとか、体がだるいとか」

鞠莉「そういうのは無い、と思う」

曜「そっか…ともかく、すぐ準備するから待ってて。コーヒー飲みながら一休みしよう」

6: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:41:52.07 ID:xcTTH2v1
鞠莉「ええ。でも、なるべく早く来て?」

曜「はーい、手早くやるよ」

鞠莉「うん、待ってる…」

曜(可哀相に、しゅんとしちゃって…きっとかなり辛いんだ。見た感じ病気ではなさそうだけど、心配だな。頭痛か…)

曜(頭痛…そう言えば、私も今日は頭が重い感じがする。この感覚はきっと――)

7: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:42:30.15 ID:xcTTH2v1
……………………………………

鞠莉「ふぅ、美味しい…」

曜「甘すぎなかった?」

鞠莉「ちょうどいいわ。お砂糖の加減が抜群で、今の体調にぴったり。ありがとうね」

曜「よかった。リラックスできて、頭痛が和らぐといいけど」

鞠莉「心配かけてごめんね。でも、どうしてこんなに頭が痛いのかしら…」

曜「なにか心当たりは?」

8: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:43:11.24 ID:xcTTH2v1
鞠莉「ないわ。強いて言うなら、さっきまで真面目にデスクワークしてたってくらいで」

曜「私の見立てでは、きっと低気圧のせいだね」

鞠莉「低気圧?」

曜「うん。実を言うと、私も今日はちょっと頭がずーんってしてるから」

鞠莉「そうだったのね、大丈夫?」

曜「鞠莉ちゃんほどじゃないよ、多分ね」

9: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:43:38.11 ID:xcTTH2v1
鞠莉「ならいいけど…低気圧、ね。そういえば夜からは雨って言ってたような。よくわかったわね」

曜「これでも特技の一つだからね、体感天気予報」

鞠莉「海辺の街の天気予報士はいまだ健在ね」

曜「あとは、そうだなあ。お仕事したから首や肩が張ってるのかも。腕、回してみて。ぐるぐるーって」

鞠莉「こう?あっ、なんかぎこちない」

10: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:43:59.99 ID:xcTTH2v1
曜「だよね。ちょっと失礼」

鞠莉「んっ」

曜「ああ、やっぱりだ。わかる?首がこんなに凝ってるもん」

鞠莉「んんーっ」

曜「肩も硬くなってる。これも頭痛の原因だよ、辛かったね。少し揉んであげるね」

鞠莉「ん、やぁっ!」

11: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:44:17.37 ID:xcTTH2v1
曜「こーら。逃げないで、力抜いて」

鞠莉「む、無理よ、触られるとぞわぞわして…」

曜「それじゃいつまでたってもコリが取れないよ。はい、リラックス」

鞠莉「…痛くしない?」

曜「しないよ。じゃ、いくね。えーっと、この辺だっけ」

鞠莉「ん…」

13: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:44:54.22 ID:xcTTH2v1
曜「あれ、見失った?」

鞠莉「も、もう少し左」

曜「ここ?」

鞠莉「んうっ!」

曜「お、当たり。それじゃ、ここを重点に、じっくり優しく、丁寧に」

鞠莉「ん、く、ーっ!?」

14: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:45:18.43 ID:xcTTH2v1
曜「変な声ださないの」

鞠莉「出そうと、してるわけじゃ…っ、あっ!」

曜「よしよし、うまく捉えたよ」

鞠莉「うっ、やっ、あ、ああっ」

曜「段々とほぐれてきたでしょ。あと少し、ひと頑張りだよ」

鞠莉「んっ、う、んんんーっ!?」

15: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:45:44.66 ID:xcTTH2v1
――――――

鞠莉「はぁ、はぁ…」

曜「どう?具合は」

鞠莉「曜がいじめた…」

曜「いじめてないって。もう、心配だからやってあげてるのに」

鞠莉「わかってるけど…でも、おかげでだいぶ違うわ、軽くなった感じがする。腕も…ほら、スムースに回るようになった」

曜「でしょ?へへ、よかった!」

16: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:46:11.17 ID:xcTTH2v1
鞠莉「天気予報だけじゃなく、こんな特技まであったなんて。曜ってテクニシャンなのね」

曜「誤解を招く言い方しないの。パパによくやってあげてたんだ。曜はマッサージが上手だねーって、評判だったんだよ」

鞠莉「なるほどね。そういえば、私も小さい頃はパパやママの肩もみをしてたっけ。父の日や母の日には肩たたき券をプレゼントしたり」

曜「あ、鞠莉ちゃんも?」

鞠莉「ってことは、曜も?」

曜「うん!千歌ちゃんや果南ちゃんもあげたことがあるって言ってた。誰もが通る道なんだね」

17: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:46:26.09 ID:xcTTH2v1
鞠莉「かもね、うふふっ。それじゃ、選手交代よ」

曜「えっ?」

鞠莉「曜も頭が重いって言ってたでしょ。今度はマリーがマッサージしてあげる」

曜「ええ、いいよ。別になんともないし、さっきの仇を取られそうだし…」

鞠莉「そんな可愛くないことしないって。ほーら、背中向けて」

曜「それじゃあ…お願いしちゃおうかな」

鞠莉「任せて。いくわよー。わしわしっ」

18: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:47:01.64 ID:xcTTH2v1
曜「んっ!ちょ、ちょっと、何するの!」

鞠莉「何って、わしわしだけど」

曜「場所が違うでしょ!揉んで欲しいのは、首や肩の方だよ!」

鞠莉「ふふふ、冗談よ。張り詰めた肩や首をほぐすには、まずは気持ちからかなって」

曜「本当かなぁ。ただ自分がやりたかっただけじゃないの?」

鞠莉「そんなことは…あるかもね?」

曜「もう…次はちゃんとお願いね」

19: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:47:21.45 ID:xcTTH2v1
鞠莉「はーい。ちゃんと肩に手を置いて、わしわしっ」

曜「ん…」

鞠莉「気持ちいい?」

曜「うん…やっぱり、凝ってたみたい…あ、そこ…」

鞠莉「ここね。ぐり、ぐりっと」

曜「んあっ…あっ、くっ」

20: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:47:43.62 ID:xcTTH2v1
鞠莉「曜ったら、可愛い声出しちゃって♪」

曜「い、いいから、今はそういうの…んっあ」

鞠莉「じゃあ、いつならいいの?」

曜「とにかく、今は後にして…ん、うっ」

鞠莉「はいはい、まずは手強いコリをやっつけるのが先決ね」

曜「ん、ああ…!」

21: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:47:57.73 ID:xcTTH2v1
鞠莉「力加減は大丈夫?」

曜「ちょうどいい…鞠莉ちゃん、上手だね」

鞠莉「でしょう。ふふ、独り占めできて、曜は幸せ者よ?」

曜「ん、しあわせ…えへへ」

鞠莉「曜…ごめん、ちょっとハグするわね」

曜「わっ。ど、どうしたの?」

22: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:48:34.41 ID:xcTTH2v1
鞠莉「今の答え、すごく可愛かった」

曜「そう?」

鞠莉「そうよ。ハグせずにはいられないくらい、ね」

曜「あはは、照れるよ」

鞠莉「こうして曜を抱きしめていると、なんだか痛みが和らいでいくわ」

曜「ん、私も」

鞠莉「曜って癒し系なのね」

23: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:48:57.95 ID:xcTTH2v1
曜「それ、最近あんまり聞かないね」

鞠莉「いいのよ。私がそう思ったんだから」

曜「そっか。なら、鞠莉ちゃんも癒し系ってことで!」

鞠莉「ね、もっとぎゅってしていい?」

曜「うんっ」

鞠莉「ぎゅー♪」

曜「えへへっ…♪」

24: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:50:30.76 ID:xcTTH2v1
……………………………………

鞠莉「んーっ、気分は実にシャイニー!」

曜「あははっ、元気出たみたいだね」

鞠莉「ええ。曜のおかげで、コリも頭痛もすっかり良くなったわ。ハグで疲れも回復できたしね!」

曜「それは何よりだよ。でも、本当に天気が悪くなってきたね。風が出てきたし、今にも降り出しそうな感じ。今日は出掛けられないかも」

鞠莉「そうね。ところで、曜?」

曜「なぁに――わっ!?」

25: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:50:57.09 ID:xcTTH2v1
鞠莉「ふふっ、捕まえた」

曜「ま、鞠莉ちゃん?どうして私はいきなり押し倒されてるのかな?」

鞠莉「さっきマッサージしてる時、曜言ってたよね。『そういうのは後にして』って」

曜「そ、そうだっけ?」

鞠莉「言ったよ、確かに聞いた」

曜「い、いやー、取り込み中だったから、ちょっと記憶にない、んっ」

26: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:52:18.80 ID:xcTTH2v1
鞠莉「ふーん」

曜「あっ、も、もう。だめ、だよ…」

鞠莉「なら、やめとく?」

曜「…意地悪」

鞠莉「むくれた顔も可愛い」

曜「そうやって、すぐからかう…」

ザァァ…

鞠莉「雨、ね」

27: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:52:48.07 ID:xcTTH2v1
曜「…する?」

鞠莉「する。けど、今はこのままがいい」

曜「鞠莉ちゃん…」

鞠莉「曜が可愛すぎるんだもの。頭が痛かったのなんて忘れちゃうくらい可愛くって、すごく心が安らぐの」

曜「うん…私もこうしていたい。包まれてるみたいで、落ち着くんだ」

鞠莉「私たちの半分は、優しさで出来てるのかも」

曜「もう半分は?」

鞠莉「さあね。一緒に見つけましょう、これから二人で」

曜「うんっ!」



終わり

28: (らっかせい) 2020/03/20(金) 09:53:54.42 ID:xcTTH2v1
全弾撃ち尽くしました。癒し系なようまりでした。

第2回ようまりなかよしマッチの開催おめでとうございます。

↓は前回のようまりイベのときのSSです。

曜「夏の誘い」
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1535576780/

↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。

曜「貴女は白がよく似合うから」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1584197531/

ありがとうございました。

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引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1584664627/

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