曜「今年こそ!今年の夏こそ千歌ちゃんに……!!」

youchika-you-mousou SS


1: 2020/09/04(金) 19:36:34.74 ID:En0HDyTO
千歌「うわぁ~!オシャレなカフェだね~!」

曜「でしょでしょー!なんかちょっとだけ大人の階段上ったって感じしない?」

千歌「うんうん!!けど……」

キャピキャピ♪

千歌「……曜ちゃん、なんかこのお店カップル多くない?大丈夫?私たち」

曜「ふえっ!?そ、そうかな……全然そんなことないと思うよ、あはは……」

曜「そ、それに……」チラッ

曜「……//」

千歌「……?」

曜「ち、千歌ちゃんの今日のワンピース、このお店のオシャレな雰囲気に合ってるっていうか……と、とっても可愛い、と、思う……」

千歌「え?あ、うん。ありがと……」

曜「……//」

曜(……よ、よし!!ちゃんと褒められた!練習通り!千歌ちゃんの服装褒められたよ!!)

曜(私!渡辺曜は宣言します!今日こそ!今日こそ千歌ちゃんに、絶対に告白してみせるって!!)

3: 2020/09/04(金) 19:38:41.81 ID:En0HDyTO
千歌「でも曜ちゃん、よくこんなお店見つけたねー」

曜「たまたま読んでた雑誌で見つけたんだ!雰囲気のいいお店だったし、二人で来てみたいなって」

千歌「二人でって……私と?」

曜「う、うん、そうだけど……」

千歌「どうして?」

曜「どうしてって……」

千歌「……?」ジーッ

曜「えっと、その……//」

曜(い、言えない……この雰囲気に頼れば私なんかでも勇気振り絞れるのかも!って考えてたことなんて、とてもじゃないけど……)

千歌「……」ジーッ

曜「……//」タジタジ

6: 2020/09/04(金) 19:39:34.31 ID:En0HDyTO
曜「い、言わなきゃだめかな……?」

千歌「うん。だって私気になるもん」

曜「そ、それは……」

千歌「うん」

曜「えっと……//」タジタジ

千歌「うん」

曜「……//」

ガサッ!!

曜(こ、これだ!!)

7: 2020/09/04(金) 19:40:35.03 ID:En0HDyTO
曜「ち、千歌ちゃん!!先に注文決めちゃおうよ!!ね!!」

千歌「あ、うん……」

曜「何にしよっかなー?あっ!みかんパフェもある!これなんていいんじゃない?ね、千歌ちゃ……」

千歌「……曜ちゃん」ジトッ

曜「え、な、なに……?」

千歌「……なんでもない!」プイッ!

曜「え……?うん……」

千歌「……」

曜「……?」

千歌(……ヘタレよーちゃん)

9: 2020/09/04(金) 19:41:49.29 ID:En0HDyTO
………



千歌「~♪」

曜「……」チラッ

曜「……//」

曜(ほわぁ~、今日の千歌ちゃんもいつも通り可愛いなぁ~♡)

千歌「~♪」

曜(注文が楽しみで待ちきれなくてつい口角があがっちゃってるとことか、それを頑張って隠そうとしてるけど全然隠しきれてないとことか!一緒にいるだけでつい私まで嬉しくなってきちゃう)

曜(でもねでもね!千歌ちゃんってね!意外とまつげスラ~ってながいから、横顔を見てるとついドキッ!としちゃうこともあるんだ!それで……私はもう何年も、千歌ちゃんのそんな大人な微笑みから、もう目が離せなくなってる)

曜(このことはきっと果南ちゃんだって気づいてないんだろうから……私だけが知ってる千歌ちゃんの魅力、ってことになるのかな?……うん!すっごい優越感!!)

13: 2020/09/04(金) 19:43:36.33 ID:En0HDyTO
曜(それに……)

曜「……」チラッ

曜(……今日の千歌ちゃんはいつもと違って髪を結んでない)

曜(これって……私だけに新しいヘアスタイルを見せてくれてるってことなのかな?なんかちょっとだけ嬉しいかも♪むふふ♪)

曜(千歌ちゃんの今日のファッションもなんだか気合が入ってるって気もしなくもないし……私のためにわざわざ……)

曜(わ、私だって!!昨日の夜必死にデートコーデをばっちし考えてきたつもりだし!ということは、こ、これってひょっとして……)

曜「……//」

曜(もしかして、もしかしたらだけど、私たちって両想いってことなんじゃ……//)

15: 2020/09/04(金) 19:44:11.32 ID:En0HDyTO
曜「……//」

千歌「どしたの曜ちゃん、そんなに熱心に私のこと見つめちゃって」

千歌「もしかして私の顔に何かついてるとか?」

曜「ふえっ!!?い、いや、そうじゃなくて、えっと……」

千歌「うん」

曜「そ、その……//」

千歌「……?」

曜「……千歌ちゃん!!最近すっごく可愛くなったなぁって!!」

曜(い、言っちゃった……//)

19: 2020/09/04(金) 19:45:56.17 ID:En0HDyTO
千歌「おっ!曜ちゃん、わかる~?私も最近ね、ついにオシャレに目覚めちゃったんだー!!」

千歌「というわけで問題です!てれん!私、どこが変わったでしょーっか?」

曜「えっと……髪型、とか?」

千歌「ん~、私かに今日は三つ編みしてないからそうとも言えるんだけど……ほか」

曜「えっと、他には……」

千歌「うんうん♪」

曜「……」ジーッ

千歌「……」

曜「……」ジーッ

千歌「……曜ちゃん?」

曜「ふえっ!?えっと……」タラタラ

曜「……ごめん、思いつかないや」

21: 2020/09/04(金) 19:47:06.69 ID:En0HDyTO
千歌「えええ~っ!!曜ちゃん!!それでも私のことちゃんとみてくれてるつもりなの~!!?」

曜「も、もちろんだよっ!!私千歌ちゃんのことは毎日ちゃんとチェックしてるし!そ、それに今日だってずっと……」

千歌「ずっと……?」

曜「な、なんでもない!!なんでもないから!!正解教えて!!」

千歌「もう、しょうがないなぁ~……正解は……」

ファサッ!!

千歌「……今のだよ!!」

千歌(さすがに曜ちゃんも、今の仕草でなら……)

曜「???」

千歌(あ、ダメだ。さっぱりわかんないって顔してる)ジトッ

24: 2020/09/04(金) 19:49:05.89 ID:En0HDyTO
千歌「もうーっ!!シャンプー変えたの!!ちょっと高めのやつに!!どうして気づいてくれないのーっ!!」プクーッ!!

曜「あっ!ごめん!!でも確かにいつもの千歌ちゃんの匂いじゃ……」

フワッ!

曜「!!?」ドキッ!!

千歌「どう?髪サラサラだしいい匂いだしてちょとドキッ!としちゃったでしょ?」

曜「うん、すっごく……//」

千歌「でっしょー!私すっごく魅力的になったでしょー!!」

曜「う、うん……//」コクリ

曜(この香りが千歌ちゃんの匂いなんだなぁってちょっと意識しちゃうだけでも……//)

千歌『よーちゃん、おいで?』

千歌『すみずみまでチカの匂いで上書きしてあげるからね♡よーちゃんのこと、全部!』

千歌『よーちゃんはもう、体も心もチカのものだよ?ふふふっ♡』

曜「……//」キュンキュン

曜(うぅ~、なんかいけないことしてるみたいで、すっごくドキドキしてくるよぉ……//)

25: 2020/09/04(金) 19:50:37.40 ID:En0HDyTO
曜「で、でも千歌ちゃん!どうしてシャンプーなんて変えようって思ったの?千歌ちゃんっていつも旅館のやつ使ってなかったっけ?」

曜「あ、あとできれば商品名とか教えて欲しいなって……」

千歌「梨子ちゃんに聞いたんだ!いいシャンプー知ってる?って!」

曜「え……?」

曜(梨子ちゃん……?)

千歌「ほら!梨子ちゃんの髪の毛ってすっごくサラサラしてるでしょ?」

曜「あ、うん、そだね……」

千歌「だからね、梨子ちゃんに髪の毛のお手入れの秘訣教えてもらったんだー!私、昔からずっと憧れだったの!あーいうサラッ!ふわっ!とした髪質に!!」

曜「……」

千歌「でねでね!梨子ちゃんが普段使ってるシャンプー教えてくれて、それを二人で買いに行ったんだよ!この前!」

曜「ふーん……」

曜(……じゃあ私がさっきトキメキかけたのは千歌ちゃんじゃなくて梨子ちゃんの匂いだったってことじゃん)

曜(返してよ、私のさっきのドキドキを。なんか損した気分)

27: 2020/09/04(金) 19:51:39.24 ID:En0HDyTO
曜「はぁ……」

曜(……そっか。千歌ちゃんと梨子ちゃんってもうそんなに深い関係になっちゃってたんだね。シャンプーを共有しちゃうような関係に)

曜(それってもうほぼ付き合ってるってことなんじゃないの?二人で一緒のお風呂に入って、一緒のベッドで……)

千歌『えへへ~、やっぱり梨子ちゃんの匂いが一番落ち着くの♡』

梨子『ふふっ、千歌ちゃんってば。もうすっかり私のものになっちゃったのね♪』

千歌『うん!私、すっかり梨子ちゃん色に染まっちゃったぁ~♡』

曜「……」

曜「……!!」フルフル

曜(って!!梨子ちゃん!!勝手に私の妄想に入り込んでこないでよ!!)

曜(千歌ちゃんはいま私とのデート中なの!!邪魔しないでっ!!)ブンブン!!

28: 2020/09/04(金) 19:53:14.06 ID:En0HDyTO
千歌「……曜ちゃん?」

曜「ほへっ!!?な、何!!?」

千歌「いや、曜ちゃんさっきずっと浮かない顔してたから……」

曜「あ、や、えっと……」

千歌「……もしかして、曜ちゃんいつもの私の方が好きだったりする?いつもの三つ編みの私の方が」

千歌「曜ちゃんはいつもの私と今日の私、どっちが好き?」

29: 2020/09/04(金) 19:54:12.54 ID:En0HDyTO
曜「え、えっと……」

千歌「……うん」

曜「わ、私は普段の千歌ちゃんの方が好きかな、なんて……」

曜(だって、梨子ちゃんの影を少しでも感じちゃう千歌ちゃんなんて、とてもじゃないけど心が……)

千歌「……ふーん」

曜「う、うん……」

千歌「……」ムスーッ!

ガタッ!!

曜「!?」

千歌「ちょっと私、お手洗い行ってくる」

曜「あ、うん。いってらっしゃい……」

30: 2020/09/04(金) 19:55:23.34 ID:En0HDyTO
千歌「……」

ジャーッ

千歌「はぁ~……」

千歌「……」チラッ

千歌「やっぱり私って、可愛くないのかなぁ……?」クシクシ

千歌(そりゃ、梨子ちゃんとなんて比べちゃったらまだまだだってことは、私もわかってるんだけど……)

千歌「むぅ……」ムスッ

千歌「あーあ、今日だって頑張ってオシャレしてきたつもりなんだけどなぁ……」

千歌(梨子ちゃんからたくさん勉強して、少しでも女子力あげれるようにって……)

千歌「……」

千歌「……やっぱり私じゃ、曜ちゃんとは釣り合わないのかな?」

31: 2020/09/04(金) 19:56:33.25 ID:En0HDyTO
千歌「ごめん曜ちゃん、おまたせ」

曜「ううん、別にいい、よ……」

曜「……」

千歌「ん?どうしたの曜ちゃん?」

曜「あ、いや、髪……戻ってるなって」

千歌「これ?さっきトイレで結んできたの。曜ちゃんこっちの方が好きなんでしょ?」

曜「あ、うん、けど……」

千歌「けど?」

曜「あっ、ううん!なんでもない!!」

千歌「……そう」

曜「うん……」

34: 2020/09/04(金) 19:57:34.62 ID:En0HDyTO
千歌「……」

曜「……あ、あのね千歌ちゃ

店員「お待たせしました。みかんパフェになります」

千歌「あっ!それ私の!ありがとうございます!」

店員「いちごのソフトジェラートになります。ご注文は以上でおそろいでしょうか?」

曜「あっ、はい。ありがとうございます」

店員「ではごゆっくりどうぞ」ペコリ

千歌「わーい!みかん♪みかん♪」

曜「ふふっ、千歌ちゃんってばほんと大好きだよね、みかん」

千歌「うん!大好き!ずっとずっと食べてたって飽きないくらいだよっ!!」

曜「あはっ、何それ、千歌ちゃんってば」

曜(まあ、千歌ちゃんが機嫌を直してくれたのなら、それで……)

千歌「あ、そうだ曜ちゃん。さっき何か言いかけてなかった?」

曜「えっ……ううん!なんでもないから!気にしないで!」

曜(言えない、言えないよね、あんな恥ずかしいセリフ)

曜(『千歌ちゃんはどんな髪型でも可愛いよ』なんて歯の浮くようなセリフなんて、私には似合わないよね、きっと)

35: 2020/09/04(金) 19:58:47.28 ID:En0HDyTO
パクッ!!

千歌「ん~♪甘くてすっぱくておいしぃ~♪」

千歌「でも……」

曜「……?」

千歌「……」チラッ

曜「……」

千歌「……」チラチラッ

曜「……もしかして千歌ちゃん、私の欲しいの?」

千歌「うえっ!?あ、いや、そういうわけじゃ……」

曜「じゃあ半分こしよっか!」

千歌「……いいの?」

曜「もちろん!大丈夫だよ!」

曜(それにそのためにわざわざ違うメニュー選んだんだもん!)

千歌「おおー!さすが曜ちゃん!!心が広い!!」

曜「あはは、ありがと千歌ちゃん」

37: 2020/09/04(金) 19:59:40.23 ID:En0HDyTO
千歌「じゃあまずは私から……はい!あーん!!」

曜「あ、あーん……」

パクッ!

曜「もぐもぐ……」

千歌「ねー、すっごく美味しいでしょ?」

曜「うん!とっても!!」

曜(まあ半分は千歌ちゃんに食べさせてもらったからのような気もしなくもないんだけど……)

千歌「じゃあ私も……はい!」

曜「!!?」

千歌「んー……」

曜(ち、千歌ちゃん!!?えっと……)

曜(食べさせてほしい、ってことなのかな……?)

38: 2020/09/04(金) 20:00:50.30 ID:En0HDyTO
千歌「んー……」

曜(千歌ちゃんは前のめりになって私の方にお口を突き出してくる。これって、ちょっとだけ……)

曜(……キ、キス!!欲しがってるみたいじゃない!!?ヤバくない!!?)

曜「……//」カァァッ!

曜(なんかちょっとほっぺたも赤くなってるように見えなくもないし、えっと……)

曜「……//」ドキドキ

千歌『よーちゃん、きて♡』

曜『!!?』

千歌『チカ、早く欲しいな♡よーちゃんのこと♡』

曜(ち、千歌ちゃん……!!!//)ドキドキ

曜(い、今ならきっと許されるよね!!だって誘ってきたのは千歌ちゃんの方からだもん!!)

39: 2020/09/04(金) 20:01:43.74 ID:En0HDyTO
曜(それに元はと言えば千歌ちゃんが十数年間ずっと思わせぶりな態度をとり続けるのがいけないんだし!私、もう我慢できないよ……)

曜(そ、そうだよね。たとえ勢いでキス!しちゃったとしても!その流れで好きだよって伝えられれば、きっと千歌ちゃんだって許して

千歌「曜ちゃん?」

曜「ひゃ、ひゃぃぃぃ!!」ビシッ!!

千歌「くれないの?私はみかんあげたのに不公平じゃない?」

曜「ご、ごめっ!!でもっ!!!」

曜「……//」

千歌「……?」

曜「わ、私が、その……食べさせるの……?」

41: 2020/09/04(金) 20:02:45.18 ID:En0HDyTO
曜「……//」ドキドキ

千歌「え?……あ、じゃあスプーン借りるね」

曜「あっ……」

パシッ!!

千歌「曜ちゃん?」

曜「……」

千歌「……?」

曜「……は、はい、あーん」

千歌「あ、あーん……」

パクッ!!

曜「……//」

曜(や、やっちゃった、ついに……)

42: 2020/09/04(金) 20:03:52.63 ID:En0HDyTO
曜(それに、これってよく考えたら間接キスだし、千歌ちゃんと……//)

千歌「ん~♪ちめた~い♪ありがと、曜ちゃ

曜「それで、その……ど、どうだった?」

千歌「え?どうって……さっきの?」

曜「う、うん……//」コクコク

千歌「すっごく美味しかった!甘くて冷たくて!でも……私はやっぱりみかんの方が好きかな」

曜「えっと、そうじゃなくて……」

千歌「ほへ?なにが『そうじゃない』なの?」

曜「あ、いや……なんでもないっ!!」

パクッ!!

曜「……//」

44: 2020/09/04(金) 20:05:32.67 ID:En0HDyTO
曜「あっ!見てみて千歌ちゃん!ほら!!おっきな入道雲!!」

千歌「ほんとだ!キレイ……」

曜「うん!なんだか夏って感じがするよね!青い空と白い雲!」

千歌(夏……)

千歌「……」

千歌(……でも私は知っている。この夏がもうすぐ終わっちゃうってこと)

千歌(あーあ、夏なのになーんにも楽しいことできなかったなぁ……)

千歌「……」チラッ

曜「……?」

千歌(……はぁ、やっぱり曜ちゃんは鈍感すぎるよ)

千歌(今年の夏こそ!二人っきりでプールいったりとか!旅行に行ってみたりとか!なんかリア充?っぽいことしちゃったりして!なんて……)

千歌(なんか夏らしい、キラキラしたことしてみたいって、そう思ってたのになぁ……)

千歌(ほんっと、曜ちゃんてっば、にぶちんさんなんだから……)

46: 2020/09/04(金) 20:07:15.79 ID:En0HDyTO
千歌(だいたい曜ちゃんは昔からそう!!ずっとさりげなく好きだって言ってんのに!!全然気づいてくれようとしない!!まずこっちを見ようって気持ちが感じられないよね!!)

千歌(そ、そりゃ私だって、曜ちゃんのこと大好きだよ?私だって積極的になろうって頑張ってるんだよ?今日だってちょっとだけ夏っぽく大胆になったつもりだし……)

千歌(でも……)

千歌「……」チラッ

曜「夏ももう終わりか~、楽しかったよね……」

千歌「……」

千歌(や、やっぱり告白はよーちゃんの方からしてほしいっていうか……だって私からするなんてちょー恥ずかしいし……//)

千歌(曜ちゃんだって女の子なんだってことは私だってわかってるんだけど……)

千歌(ほわぁ~、やっぱりキュンキュンしちゃうようなシチュで『好き』なんて大胆にもささやかれちゃうの?とか、憧れちゃうよね~……)

千歌「……」

千歌(……ま、曜ちゃん相手にそんなこと考えててもしょうがないんだけど)

48: 2020/09/04(金) 20:08:48.20 ID:En0HDyTO
千歌「……」ジトッ

曜「……?」

千歌「……はぁ」

千歌(もう、どうしてこんなヘタレさんに恋しちゃったんだか……)

千歌(あーあ、今の気持ちだったら、曜ちゃんから告ってくれるんだったらすぐにでもオッケーって言えるんだけどなぁ……はぁ~……)

千歌(ほんと、曜ちゃんはいつまでたってもしょうがないんだから……)

千歌「……ねえ、曜ちゃん?」

曜「ん、なあに千歌ちゃん?」

千歌「あのさ、明日って

ピロリン♪

千歌「……」

曜「……?」

千歌「……あ、明日なんだけど

ピロリン♪

曜「千歌ちゃん、スマホ鳴ってるよ?」

49: 2020/09/04(金) 20:09:58.70 ID:En0HDyTO
千歌「あ、ごめん……」

スッスッ

千歌「……ヤバ」

曜「ん?どうしたの?」

千歌「夏休みの宿題全然やってないこと、志満姉にバレた……」

千歌「ど、どうしよ……めずらしく志満姉本気で怒ってるよ……私ずっと嘘ついてたから……」

曜「そ、それは大変だね……」

千歌「……そうだ!曜ちゃんは宿題終わってる?」

曜「私?私はもうほとんど終わらせちゃったかな……」

千歌「そっかー、一緒にやろうと思ってたんだけどなぁ……」

曜「ん、いいよ私は!二人で協力すればすぐに

千歌「いいのいいの!自分の力でなんとかするから!それに誰かに手伝ってもらってるのが見つかったら、今度こそ志満姉に何と言われることか……」

曜「……そっか」

千歌「うん、ごめん……」

50: 2020/09/04(金) 20:10:52.62 ID:En0HDyTO
曜「……」

千歌「……あ、だから今日は早く帰ってこいって。ごめんね曜ちゃん!せっかく誘ってもらったのに!!」

曜「ううん、いいの!それに学校始まったらまたすぐ会えるようになるし!!」

曜「じゃあ私お会計済ませてきちゃうから!!」

テテテッ!!

千歌「あっ……」

千歌「……」

千歌「曜ちゃん……」

51: 2020/09/04(金) 20:11:52.34 ID:En0HDyTO
曜「……」テクテク

千歌「……」テクテク

曜「……そっか、来週から学校あるんだよね」

千歌「うん……」

曜「千歌ちゃん……」

曜「……!!」フルフル

曜「大丈夫!大丈夫だよ千歌ちゃん!!」

曜「夏休みが終わっても学校でたくさん会えるし!それに部活だって

ギュッ!!

曜「!!?」

千歌「……やだ、帰りたくない」

52: 2020/09/04(金) 20:13:08.35 ID:En0HDyTO
千歌「帰りたくない。曜ちゃんとずっと一緒にいたい」

千歌「ダメ……?」ウワメ

曜「……」

曜「……!!?」

曜(えええええっ!!!?何今のセリフ!!それに千歌ちゃんすっごい泣きだしそうにしてたし!!)

曜(ま、まるで千歌ちゃん、私のこと好きって言ってくれてるみたいな……//)

曜(これってもしや!!千歌ちゃんなりの告白なんじゃないの!!?)

曜「……!!//」

曜(ど、どうしよ、なんて返せばいいんだろ……)

55: 2020/09/04(金) 20:14:22.24 ID:En0HDyTO
………



曜『……わかった。千歌ちゃん、じゃあ今夜はウチでお泊りしよっか』

千歌『……いいの?』

曜『うん!でもその代わり……』

クイッ!

曜『千歌ちゃん、もう絶対に帰さないよ?』

千歌『よ、よーちゃん……//』

曜『ふふっ、今夜は寝かさないからね♡』

千歌『うん……//』

曜「……//」キュン

曜(よしっ!いける!この流れなら私から好きって……)

曜「ち、千歌ちゃ

ムニュッ!!

曜「わっ!?千歌ちゃん!?」

千歌「……」

曜「千歌ちゃん……?」

千歌「えへへ~、びっくりした?」

56: 2020/09/04(金) 20:15:49.27 ID:En0HDyTO
千歌「どう?ドキッ!ってしたでしょ!今の!!」

曜「ド、ドキッ!って……//」

千歌「あーっ!ほら!曜ちゃん赤くなってる!!」

千歌「もう、ほんと単純だなー、曜ちゃんってば!」クスクス

曜「ええっ!?じゃ、じゃあさっきのは……//」

曜「……//」ホッ

曜(よかったぁ~!!あのままの流れで告白なんてしなくて!!最高にダサくなるところだったよ……)

57: 2020/09/04(金) 20:17:13.12 ID:En0HDyTO
曜「……も、もうっ!千歌ちゃん!!からかわないでよっ!!」プクーッ!

千歌「ごめんごめん、曜ちゃん可愛くてつい~」

千歌「でも……」

クルッ!

千歌「うん!曜ちゃんからかったらなんか元気出てきた気がする!これなら宿題も頑張れそうだよ!!」

千歌「よーし!それじゃあバス停まで競争ね!!負けた方が今度ジュースおごり~!!」

曜「ええっ!?そんな、急すぎない!!?」

千歌「よーい!どん!!」

ピューッ!!

曜「あっ!?待ってよ千歌ちゃん!!」

千歌「はぁ、はぁ………」タタタタタッ!!

千歌「……//」

58: 2020/09/04(金) 20:18:35.19 ID:En0HDyTO
———

コロコロコロコロ…

曜「……」

千歌「……」

曜「……千歌ちゃん、次の大瀬崎行きのバスいつ?」

千歌「え?もうすぐ、だと思うけど……」

曜「そっか……」

千歌「……」

曜「……」

曜(……そう。もうすぐ私たち二人の夏休みは、終わりを迎えてしまう)

59: 2020/09/04(金) 20:19:26.81 ID:En0HDyTO
曜(今年こそ千歌ちゃんに告白しようって決め込んできた夏休み。今年こそ、忘れられない夏にする!って意気込んだのはいいものの……終わってみればいつもと同じようにあっという間で……)

曜(あーあ、もっと二人っきりでいろんなことやってみたかったなぁ……二人でプール行ったりとか、夜更かしして星を見上げて、思い出話に花を咲かせたりとか……)

曜「……」

千歌「……」

曜(……あとほんの数センチだけ先を歩いている千歌ちゃんには、私は今年も追いつけませんでした)

60: 2020/09/04(金) 20:20:45.74 ID:En0HDyTO
ブォー…

曜「あ……」

千歌「バス、来ちゃったね……」

曜「うん……」

千歌「……じゃ、じゃあ私!行くね!!」

曜「あっ……」

曜(行っちゃう……)

千歌「……」スタスタ

千歌「……またね曜ちゃん!また学校で

曜「待って!!!」

千歌「!!」ピタッ!!

曜「ち、千歌ちゃん!!あのね!!」

ガシッ!!

千歌「……」

曜「えっと、その……そ、そうだ!!花火大会!!」

61: 2020/09/04(金) 20:21:54.16 ID:En0HDyTO
曜「明日の夜、ちょっと遠くの街で花火大会があって!えっと、それで……」

千歌「……」

曜「わ、私の方からも志満姉にお願い、してみるから……だ、だから、その……」

曜「……」

千歌「……うん」

曜「……!!」

曜「千歌ちゃん!!私と一緒に!!花火大会!行かない!!?」

千歌「うん!!」パァァッ!!

曜(私のちょっとだけワガママなお願いに、千歌ちゃんはこの夏一番の笑顔を咲かせました)

70: 2020/09/04(金) 20:36:34.33 ID:En0HDyTO
———

千歌「ごめーん曜ちゃん!!お待たせ!!」

タタタッ!

千歌「はぁ、はぁ……待った?」

曜「ううん、私も今きたとこ!!」

千歌「そっか、じゃあ行こっか!花火大会!!」

カランカラン♪

千歌「……って曜ちゃん、行かないの?」

曜「あっ、ごめん!ちょっとぼーっとしてて……」

千歌「もうっ!困るよ!せっかくのお祭りなんだから!全力で楽しまないと損だよっ!!」

曜「ご、ごめん、でも……」

曜(千歌ちゃんが、あまりにも綺麗だから……)

72: 2020/09/04(金) 20:38:57.31 ID:En0HDyTO
曜「……」ポーッ

千歌「曜ちゃん……?どうしたの?」

曜「あ、いや……浴衣、すっごく可愛いなぁ~って思って……」

千歌「そう?曜ちゃんも似合ってるけど?」

曜「あ、うん……ありがと……」ポーッ

千歌「……ふふっ♪」

クルッ!

千歌「どう?曜ちゃん、その……に、似合ってる、かな?」クシクシ

曜「う、うん!すっごく似合ってると思う!!後ろで結われたお団子とか!なんかいつもと雰囲気違ってて、特別って感じがするっていうか……」

千歌「特別……そっか!!」

千歌「ふふっ!よかったぁ~!わざわざ志満姉に着付け手伝ってもらって!」

千歌「ありがと曜ちゃん!嬉しい♪」

曜「千歌ちゃん……」

曜(千歌ちゃんは私に優しい笑顔を向けてくれた。無邪気であどけなさで幼さの残るその仕草とほんのり色めく大人な化粧がすっごく魅力的で……可愛い、なんて言葉じゃ表せないくらいに魅力的だった)

73: 2020/09/04(金) 20:39:45.23 ID:En0HDyTO
千歌「ふふふふ~ん♪」

曜「……」ツカツカ

曜(今日の千歌ちゃんはナチュラルなお化粧をしてきてるみたいで……いつもよりちょっとだけお姉さんに見える)

曜(こういう千歌ちゃんの新しい一面を知るたびに、ああ、どんどん千歌ちゃんが遠くに行っちゃってるんだなぁ、なんて……)

千歌「あーっ!また曜ちゃん辛気臭い顔しちゃってる!!」

曜「い、いや辛気臭いって程じゃ……」

千歌「もうっ!せっかくのお祭りだって言ってんじゃん!!笑顔!笑顔!!」

千歌「それとも……」

千歌「……」チラッ

曜「……?」

千歌「私と二人っきりは……イヤ?」

74: 2020/09/04(金) 20:40:37.64 ID:En0HDyTO
曜「!!?」

千歌「……」ウルウル

曜「イ、イヤじゃないっ!!っていうか……むしろ二人っきりが良かった!!っていうか……」

千歌「……そっか!」

ギュッ!!

曜「わわっ!!?千歌ちゃん!!?」

千歌「じゃっあ~、今日は曜ちゃんに優しくリードしてほしいな~」

千歌「なんちゃって……」チラッ

曜「う、うん!!頑張る!!私!頑張る!から……//」

千歌「うん!期待してる。私の大切な幼馴染さん?」

75: 2020/09/04(金) 20:42:08.15 ID:En0HDyTO
カラン♪カラン♪

曜「そういえば千歌ちゃん、宿題は終わったの?」

千歌「うん!ばっちり!!だって来るの楽しみにしてたんだもん!!」

曜「そっか、よかった」

曜(千歌ちゃんそんなに私と花火大会来るの楽しみにしてくれてたんだね、なんか嬉しい)

千歌「あのねあのね!私ね!朝から早起きして!ずーっと机に向かってね!もう美渡姉に心配されちゃうくらい必死に宿題やってたんだよ、すごくない?」フッフーン!!

曜「うん、志満姉から聞いた。千歌ちゃんすっごく頑張ってたって」

千歌「でしょでしょー?偉くない?そんな偉い私には、何かご褒美が欲しいな、なんて……」チラッ

曜「ご褒美……」

曜「……」

ナデナデ

千歌「ふえっ!?曜ちゃん!?」

曜「こ、これで、いい……?//」

76: 2020/09/04(金) 20:43:08.07 ID:En0HDyTO
千歌「あ、うん……//」

曜「……//」ナデナデ

千歌「……//」

千歌(ど、どうしよ、いつも梨子ちゃんにはこうやってなでなでしてもらったりしてるけど)

千歌(なんか曜ちゃん相手だとヘンに緊張しちゃうっていうか……うう、急に恥ずかしくなってきた……//)

千歌「……//」

曜「……//」

スッ

千歌(あっ……)

曜「……ご、ごめんね千歌ちゃん、急にこんなことしちゃって

千歌「もう!どうしてやめちゃうの?」

77: 2020/09/04(金) 20:44:18.26 ID:En0HDyTO
曜「え……?」

千歌「まだ私、やめていいなんて言ってないもん」

曜「じゃ、じゃあ……//」サワサワ

千歌「ひゃっ!?曜ちゃん、くすぐったいよぉ~♪」

曜「ふふっ、だって千歌ちゃんの反応が可愛いんだもん。まるでしいたけみたい♪」

曜「やっぱりペットは飼い主に似るってホントだったんだね~」

千歌「そうだね~……って私がペットなの!!?」

曜「あはっ、冗談だよ千歌ちゃん♪」ナデナデ

千歌「も、もうっ!曜ちゃんってばっ!!怒るよっ!!」プクーッ!!

78: 2020/09/04(金) 20:45:47.91 ID:En0HDyTO
ガヤガヤ…

千歌「うわぁ~、すっごい人いっぱいだね……」

曜「そうだね、すこし大きな街に来ただけなのにね……」

千歌「あーあ、内浦のお祭りにもこんだけ人が来ればいいのになぁ~……」

曜「あはは、ほんとだね……」

カラン♪カラン♪

千歌「あっ!見て見て曜ちゃん!!あれ!!」

ドスッ!

千歌「きゃっ!あっ、ごめんなさい……」ペコリ

79: 2020/09/04(金) 20:46:30.90 ID:En0HDyTO
曜「千歌ちゃん、大丈夫?」

千歌「うん、私は……」

曜「もう、ただでさえ人多いんだからちゃんと前見て歩かないと危ないよ?」

千歌「そうだよね、あはは……」

曜「……」

スッ

千歌「……え?」

曜「……//」

千歌「曜ちゃん?」

曜「だ、だからさ!その……」

曜「手!つなごうよ!千歌ちゃん!!」

80: 2020/09/04(金) 20:47:39.13 ID:En0HDyTO
千歌「手?」

曜「あっ、いや、その……」

曜「ほ、ほら!!転んじゃうと危ないし!!迷子になっちゃったらはぐれちゃうかもだし!!……べっ、別に千歌ちゃんを子ども扱いしてるわけじゃないけどっ!!」

曜(ほんとはただ私が千歌ちゃんと手を繋ぎたいだけなんだけど……)

千歌「曜ちゃん……うん!!」

ギュッ!!

千歌「私も手つなぎたい!曜ちゃんと!!」

曜「あ、いや私は別に……」

千歌「じゃあつながなくていいの?」

曜「つなぐ!つなぐよ!けどっ!!」

千歌「もうっ!理由なんてなんでもいいじゃん!今日は私と曜ちゃんの二人っきりなんだし、ね?」

81: 2020/09/04(金) 20:48:21.19 ID:En0HDyTO
カラン♪カラン♪

曜「……」

千歌「~♪」

曜「……//」

曜(い、勢いで千歌ちゃんと手をつなぐことになっちゃったけど……)

曜「……//」ボフッ!!

曜(ど、どうして指からめて繋いでるの!!?私たち!!?)

曜(だってこれ、俗にいう恋人つなぎってやつなんじゃ……あわわ……//)

千歌「~♪」

曜(そ、それになんかこうやってつなぐと千歌ちゃんの指が私の指に絡みついてくるみたいで……//)

85: 2020/09/04(金) 20:49:37.36 ID:En0HDyTO
曜『きゃっ!?千歌ちゃん、くすぐったいよぉ……//』

千歌『えへへ~、曜ちゃんカワイイ♡うりゃうりゃ~♪』

曜『ひゃっ!?千歌ちゃん!!そこはだめっ!!私弱いからぁ~!!』

曜「……!!//」フルフル

曜「……ね、ねえ千歌ちゃん!!その、さ!!」

千歌「ん、曜ちゃん、なーに?」

曜「あ、いや……ほら」チョイチョイ

千歌「……?」

曜「どうして私たち、その……恋人繋ぎ!してるのかなって……」

86: 2020/09/04(金) 20:50:58.64 ID:En0HDyTO
千歌「え?どうしてって?」

曜「だってほら、これって特別な人とやるつなぎ方っていうか……//」

千歌「私は曜ちゃんのこと特別だって思ってるけど?」

曜「……そうなの?」

千歌「さすがにこんな恥ずかしいつなぎ方普通の人とはしないよ~」

曜(普通の人とは、しない……)

曜「……そっか!」

曜「そっか!そっか!!」ムフフ

千歌「うん、そうだけど」

曜(じゃあきっと梨子ちゃんとかともこんな大胆なことはしてないってことなんだよね!それに……)

曜(今だけは千歌ちゃんの私もの!ってことなんだよね!きっと!)

87: 2020/09/04(金) 20:51:45.22 ID:En0HDyTO
ギュッ!!

千歌「わっ!曜ちゃん、手、痛い……」

曜「いいの!迷子になったら大変だもん!」

曜「それになんかぎゅっ!って握った方が、その……手つないでるって感じする!!」

千歌「……そっか」

ギュッ!!

千歌「じゃあもう絶対に離さないでよね、曜ちゃん!」

88: 2020/09/04(金) 20:52:51.91 ID:En0HDyTO
千歌「ねえ曜ちゃん!りんご飴!すっごく美味しそう!!」

曜「わあ!ほんとだ!赤くてキレイ……」

千歌「私りんご飴食べたい!買ってくるっ!」ピューッ!!

曜「あっ!待って千歌ちゃん!!」

パシッ!!

千歌「もう!曜ちゃん!止めないでよ!!私のりんご飴への溢れ出る想いを……!!」

曜「でも千歌ちゃん、さっき焼きそばも食べたいって言ってなかった?」

千歌「うん!食べるよ!」

曜「あとわたあめとたこ焼きと今川焼も」

千歌「もっちろん!だってお祭りなんだよ!いっぱい楽しまないと……」

曜「でも……そんなに食べちゃうとお腹いっぱいになっちゃうんじゃない?」

89: 2020/09/04(金) 20:54:03.83 ID:En0HDyTO
千歌「……」

千歌「うげっ!?確かにそうかも……」

千歌「でも、りんご飴も食べたいし……」チラチラ

曜「……」

千歌「えっと……」ムムム

曜「……そっか、じゃあ私が半分食べてあげる」

曜「千歌ちゃん、半分こしようよ。それなら全部食べられるんじゃない?」

千歌「たしかに……さすが曜ちゃん!かしこーい!!」

ギュッ!!

千歌「じゃあ曜ちゃん!!早く買いに行こっ!早くしないと売り切れちゃうかもっ!!」

テテテッ!!

曜「待ってよ千歌ちゃん!!そんなにすぐにはなくなったりしないからーっ!!」

90: 2020/09/04(金) 20:55:11.20 ID:En0HDyTO
千歌「ふぅ~、美味しかったね~!!」

曜「ね~!私、わたあめなんて久々に食べた気がするよ~!!」

千歌「確かに!最近こういうお祭りに行く機会も少なくなっちゃったから……」

曜「あ、千歌ちゃん。さっきの焼きそばのソースついてるよ」チョンチョン

千歌「うえっ!?ほんとに!?ありがと曜ちゃん

曜「ストップ千歌ちゃん!袖で拭くとシミになっちゃうから!今ティッシュ準備するね!!」

千歌「あ、うん。ありがと曜ちゃん、お願い」

曜「じっとしててね、千歌ちゃん……」

千歌「んぅ~……」ジーッ

曜「……」

曜(……なにこれ、すっごく可愛いんだけど)

91: 2020/09/04(金) 20:56:13.32 ID:En0HDyTO
曜(千歌ちゃんは目をつぶってじっとしている。これならちょっとくらい変なことをしてもばれないのかも、なんて……)

曜(例えば……もしもだよ?私がいきなり千歌ちゃんの唇を奪う、なんてことをしちゃったら……)

曜(……千歌ちゃんはどういう反応をするのかな?驚くのかな?ドン引きするのかな?)

曜(それとも……嬉しい、なんて考えてくれたりするのかな?)

千歌「んぅ……曜ちゃん、まだ……?」

曜「……」

ガサガサ

曜(……えいっ!)

パシャッ!!

千歌「……へ?曜ちゃん?」

曜「……//」

千歌「……?」キョトン

曜「……ご、ごめん。とっちゃった」

92: 2020/09/04(金) 20:57:24.03 ID:En0HDyTO
千歌「とっちゃったって……写真?」

曜「……//」コクコク

千歌「……」

千歌「……って、ええええっ!!?」

千歌「消してっ!!今すぐ消してよ!!やだっ!!恥ずかしいから!!」ポカポカ

千歌「私!!とられる準備なんてしてなかったし!!それに今すっごく恥ずかしい顔してた気がするからだめっ!!いきなりはダメなのっ!!」

千歌「けしてーっ!!けしてよ曜ちゃん!!」ポカポカ

曜「わ、わかった!!消す!!ちゃんと消すから!!」

ピッ!!

曜「……はい、消したよ」

93: 2020/09/04(金) 20:58:45.88 ID:En0HDyTO
千歌「ほんとに?」

曜「うん、ほんとに」

千歌「ほんとのほんとに?」

曜「ほんとのほんとだってば」

曜(まあ、心のカメラロールにはしっかりバックアップとってるんだけどね)

千歌「……なら、ゆるす」

千歌「曜ちゃん?ちゃんと写真とるときは私に撮るって言ってよ?私だって、心の準備が……」

パァーン!!!

千歌「あっ……」

パァーン!!!

曜「……花火、あがっちゃったね」

千歌「うん……」

94: 2020/09/04(金) 21:00:14.02 ID:En0HDyTO
曜「うわぁ~……」

千歌「花火、おっきい……」

曜「ねー……」

曜(目の前に大きく咲き誇る光の花は本当に美しくて、会話も忘れて千歌ちゃんと二人でただ花火を見上げていた)

曜「……」

千歌「ほわぁ~……」

曜「……」

曜(……よかった。夏の最後に、千歌ちゃんと二人でこの花火を見ることができて)

パァーン!!

曜(光った花火はだんだん暗くなっていくけど、私の心の中にはいつまでも残り続けてる。これがきっと『思い出』ってことなんだと思う)

98: 2020/09/04(金) 21:02:06.22 ID:En0HDyTO
曜「……」チラッ

曜(……なんにもないただの夏休みでも、私の中には千歌ちゃんとの思い出がたくさん詰まっている。二人で部活帰りにアイスを食べたり、部室の扇風機で宇宙人ごっこをしてるとこをルビィちゃんにみつかったり)

曜(あと……二人でたくさん遊んだり、花火大会に来てみたり、とか)

曜「……」チラッ

千歌「はわぁ~、きれい~……」ポカーン

曜(……ふふふっ)

曜(やっぱり、千歌ちゃんと過ごす夏休みは、私にとっての毎年の宝物なんだよ。たとえ恥ずかしくて今は言えなかったとしてもね)

曜(……ありがとう、千歌ちゃん)

曜(だから、もう少しだけ……せめて、この季節が終わるまでだけでも、一番近くにいさせてほしいな……)

曜(……なんてね、ふふっ)

99: 2020/09/04(金) 21:03:00.56 ID:En0HDyTO
曜「……」ジーッ

千歌「……?」

千歌「曜ちゃん、どうかした?」

曜「あ、いや、キレイだなーって思って……」

千歌「うん、ほんとだね……」

曜(……ううん、違うよ千歌ちゃん。私がそう思ったのは、千歌ちゃんのその可愛い横顔に対してなんだよ?)

曜(今はせめて目に焼き付けておきたい。一生忘れられない夏の思い出として、千歌ちゃんを)

曜「……」

曜(だって、私、今日のこと、こんなにも千歌ちゃんに感謝して……)

千歌「……私、曜ちゃんとこの景色を見られてよかった」

100: 2020/09/04(金) 21:04:22.02 ID:En0HDyTO
曜「えっ……?」

クルッ!!

千歌「梨子ちゃんとでも果南ちゃんとでもなくて!ずっと曜ちゃんと二人で見たいって思ってたから!おっきな花火!!」

千歌「だって一番近かったのにこんなにも遠かったんだよ?私たちって!!」

曜「千歌ちゃん……」

千歌「だからね、ずっとこの夜のことが楽しみだったんだ、私。それこそ、昨日の夜は楽しみすぎて眠れなくなるくらい!!」

ヒューッ…

千歌「だからね!!私、すっごく嬉しい!!だって今日がこんなにも楽しかったのは!!全部全部曜ちゃんのおかげなんだもん!!」

パァーン!!!

曜(暗闇の中に千歌ちゃんのシルエットが浮かび上がる。花火の煌めきに照らし出された千歌ちゃんの姿は、どんな花火よりも輝いているなって、なんとなく私はそう思った)

101: 2020/09/04(金) 21:05:41.43 ID:En0HDyTO
曜「……」

パァーン!!

千歌『梨子ちゃんとでも果南ちゃんとでもなくて!ずっと曜ちゃんと二人見たいって思ってたから!おっきな花火!!』

曜(千歌ちゃん……)

曜「……」ウルウル

曜(……嬉しい。千歌ちゃんが他の誰とでもなくて、私といることを選んでくれるだなんて考えたこともなかったから)

曜(やっぱり私は、奇跡だなんてカッコつけたセリフは言えないや。だってこんなに近いのに遠かったんだもん。千歌ちゃんってば、ずっと)

曜(でも、もし……もしもだよ?私の方から千歌ちゃんがいいって……千歌ちゃんといたいって、そう宣言することができたのなら……)

曜(……もうちょっとだけ踏み込んでいけたりするのかな?)

曜(だから、私から、この季節が終わっても、また千歌ちゃんと二人でいたいって、そう……)

千歌「……あのね曜ちゃん、本当はもっと早く言わなくちゃって思ってたんだ」

千歌「ずっと言おうと思ってたの。曜ちゃんに、大切なこと」

千歌「私ね、ずっと曜ちゃんのこと

曜「待って千歌ちゃん!!!」

千歌「!!」

曜「その先は……その先は私の口から言わせて欲しいの」

102: 2020/09/04(金) 21:07:02.30 ID:En0HDyTO
曜「最後くらい、私だってカッコいいこと言ってみたいって、そう、思ってるから……」

千歌「曜ちゃん……」

曜「……」プルプル

千歌「……そっか。うん、いいよ」

千歌「いいよ曜ちゃん、来て?私、どんな言葉も、どんな想いも、ちゃんと全部受け止めてあげるから」

曜「千歌ちゃん……」

曜(きっと、きっと今なんだって思う。本当の勇気を振り絞らなくちゃいけない瞬間っていうのは、きっと今この瞬間のことなんだと思う)

曜(このチャンスを逃したら、きっともう二度と千歌ちゃんに近づける機会はない。それに、ちゃんと私から言うんだって、告白はちゃんと私の方からして見せるって!夏の初めから……ううん!!この恋の始まりから!私!そう決めてるから!!)

103: 2020/09/04(金) 21:07:51.55 ID:En0HDyTO
曜「すぅ~……はぁ~……」

曜(息を吐いて、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。心臓はバクバクと音を立ててるんだけど、不思議と頭は冷静で、目の前で優しく微笑んでいる千歌ちゃんをまっすぐに見ることができた)

曜(あとは!溜め込んだこの想いを!十数年間の想いを全部!!千歌ちゃんに全部伝えるだけ!できるよね!きっと!!)

曜(たとえどんな結末に進むとしても!私と千歌ちゃんの二人でなら!ハッピーエンドに変えられるって!!私、そう信じてるから!!!)

曜「……いくよ」

千歌「うん!来て?」

曜「……」

千歌「……」

曜「……あ、あのね千歌ちゃん!!」

千歌「……うん」

104: 2020/09/04(金) 21:08:38.71 ID:En0HDyTO
ヒューッ…

曜(ふいに、千歌ちゃんの背後で大きな花火が打ちあがる)

曜「あのね!!私ね!!」

千歌「……うん!」

曜「私、私!!ずっと!!」

パァーン!!!

曜(そして、私たち二人は、光の雨に包まれて—

曜「私ね!ずっと千歌ちゃんのことが—

———


105: 2020/09/04(金) 21:08:49.23 ID:En0HDyTO
FIN

106: 2020/09/04(金) 21:09:24.74 ID:En0HDyTO
終わりです。お粗末様でした
ここまでコメント&お読み下さり、大変ありがとうございました!

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1599215794/

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