【SS】千歌「幼馴染の果南ちゃんと」【ラブライブ!サンシャイン!!】

SS


1: 2018/04/16(月) 00:29:37.82 ID:NBPguAGy
冬、冬といえばこたつ、こたつといえばみかん。

みかんの季節がやってまいりましたー!

というわけで、果南ちゃんとみかんデートだよ。

最近はスケジュールが合わなかったから冬になってから会うのは初めて。

久々だとわくわくするね。

果南「やっほ」

来た!

千歌「果南ちゃん久しぶりー!」

左手はポケットに入れたまま右手をすっと高くに上げる仕草が果南ちゃんらしかった。

2: 2018/04/16(月) 00:31:28.48 ID:NBPguAGy
さてどこに行こっか。

千歌「どこ行く?」

果南「そうだねー」

厚手のコートに白い吐息。

髪が少し伸びたのかな。雰囲気がまた大人っぽくなった?

千歌「寒いよね」

果南「寒いね」

千歌「冬だよ」

果南「冬だね」

千歌「では問題です。冬といえば何の季節でしょう!」

果南「言うと思った。みかん狩りは持って帰っても腐らせちゃうから遠慮するよ」

千歌「どうして分かったの?!さてはエスパー!!」

果南「ははっ。このやり取りすると冬だなーって感じるなあ」

3: 2018/04/16(月) 00:32:03.35 ID:NBPguAGy
千歌「いつからやってんだろう、これ」

果南「小学校低学年…いいや、幼稚園の頃にもやった気がする。ほら、3人で朝からクリスマスパーティーとか言ってさ」

千歌「ああ覚えてる!確かあの時は…」

果南「…」

千歌「私、一日のスケジュール書き出してさ、3枚つくって渡したんだ」

果南「そうそう」

千歌「それで、冬といえばみかん、まずはみかん狩りに行きましょう、って仕切って、畑まで行って、みんなでみかん狩りしたよね」

果南「私持ち帰れないくらい採っちゃってさ、しばらくみかんに囲まれた生活だったおかげで一時期みかん恐怖症だったんだ」

あったね、そんなこと。

懐かしい思い出話をしながら、2人で街に向かっていった。

4: 2018/04/16(月) 00:32:45.66 ID:NBPguAGy
お昼過ぎだったから、ファミレスでご飯を食べることにした。

千歌「うぬぬ…」

果南「どれ選んだって死にやしないって」

千歌「いやさあ」

果南「うん」

千歌「だってお金出して買う訳じゃん?なら最善の選択肢を選ばないと損だと思わない?」

果南「そうかなあ。どれ選んでも満足できれば優劣の差はないと思うけど…。そだ、私が千歌の候補の一つ選ぶから、半分こってどう?」

千歌「ううん、よし、決めた。果南ちゃんにばかり頼ってはいられないからね。私パスタにする」

果南「お、頼もしいね」

千歌「えっへん」

果南「じゃあ私は…あ、ドリアにしようかな。ぽちっと」

千歌「はやっ!?」

5: 2018/04/16(月) 00:34:06.75 ID:NBPguAGy
果南「で、どうなの、学校のほうは。うまくやれてる?」

千歌「学校?うん、ぼちぼちかな。環境にも慣れてきたし、友達もできたし、勉強は、まあ…それなり?」

果南「はは、千歌らしい。けど、留年しちゃうと親に負担かかることだけは覚えておかないとね」

千歌「うぅ…」

  「お待たせしましたー。ご注文どうぞ」

千歌「はい、パスタで」

  「パスタお一つ」

果南「私はドリアで。あとドリンクバー2つ」

  「では、パスタとドリアがお一つ、ドリンクバーがお2つでお間違いないでしょうか」

果南「はい」

  「かしこまりました」

果南「大学、嫌いじゃないんでしょ?」

千歌「嫌いじゃないよ、全然」

果南「なら、頑張んなよ」

千歌「…果南ちゃんは、今通ってる学校好き?」

果南「嫌いじゃないかな」

千歌「あんまり、気に入らないの?」

果南「気に入らないって程じゃないし、満足してはいるんだけど、何だろうなー、このもやもやした感じ」

千歌「もやもや?」

6: 2018/04/16(月) 00:34:46.51 ID:NBPguAGy
果南「うん。私だって環境に慣れたし、友達もいるし、勉強に関しては留年の心配はないくらいにはこなせてると思う。学校自体に何の不満もない。けど、こう、寂しいんだよ。何となく。心にぽっかり穴が空いたような、どこかに一人取り残されたような」

千歌「…それって、Aqoursのこと?」

果南「どうだろ。それもあるかもね。けど、もっと的を射ていうなら、繋がり、かな」

果南ちゃんの瞳に映る海みたいに青く広がる大空。

じっと見つめていると吸い込まれそうになってどきっとした。

果南「まあ、嫌いじゃなきゃ頑張れるよ。千歌はYDKだ。本当に困ったときは梨子ちゃんや私や大学の仲間に頼ればいいんだし」

千歌「それって最終的に人頼りじゃん。それじゃやってもできない子だよー」

果南「仲間の応援や手助けもその人の実力の内だと思わない?」

千歌「そうかなあ」

果南「ほら、人は一人で生きられないってよく言うじゃん。あれを考えてみれば…」

9: 2018/04/16(月) 00:36:22.32 ID:NBPguAGy
しばらくおしゃべりしてると、パスタとドリアが運ばれてきた。

迷いに迷った末選び抜いたパスタの味は如何ほどでしょうか…ゴクリ。

千歌「おお、バジルの良い香り…」

果南「バジル?それこっちじゃない?」

千歌「ええ?」

果南「多分そっちのパセリだよ。こっちの少し大きい破片がバジル。いただきまーす」

千歌「そうかな。いただきます」

果南「うん。やっぱこれだね」

千歌「なんかバジル分かんなくなってきた。でもこれも美味しい!」

果南「ね、一口交換しない?」

千歌「ん?」

果南「そっちの味も気になる」

千歌「あ、もちろんいいよ」

一瞬で決めた果南ちゃんのドリアがすごく美味しかった。

次回から選ばずに絶対あのドリアにしよ。

10: 2018/04/16(月) 00:37:06.13 ID:NBPguAGy
それからショッピング。

服を見たり、雑貨を見たり、モール内をぶらぶら。

千歌「かっわいいー!」

果南「へえ、結構しっかりしてるね」

千歌「何言ってんの果南ちゃん、質なんて二の次でいいんだよ、試着試着」

果南「え、いやいいって。私こういうキュートなの似合わないから。可愛いなら千歌が」

千歌「そんなことない。これは絶対果南ちゃんに似合うの。さあ、着てみてよ、さあ!」

11: 2018/04/16(月) 00:37:43.13 ID:NBPguAGy
無理やり試着室に押し込んで、待つこと数分。

おそるおそるカーテンを開く果南ちゃん。

果南「…ど、どうかな」

千歌「ハラショー!」

果南「まさかの絵里さんの持ちネタ!?」

千歌「用意しておきましたっ」

果南「用意されたハラショー…」

千歌「でも思ってた通り超可愛い!さらに千歌にはない大人の色気っていうのかな」

果南「…そ、そう?」

千歌「うん!自信持ちなって。写メ撮るから送ったら見てね」

果南「す、ストップストップ!記録に残すのは嫌!」

千歌「あーちょっ、閉めないでよー」

果南「開けたら通報するから」

千歌「ぶー。いけずー」

12: 2018/04/16(月) 00:39:45.63 ID:NBPguAGy
果南「…本当に似合ってた?」

千歌「だから本当だってー」

果南「…そう。今まで、あんまり可愛い衣装来たことなかったから」

千歌「ああ、そっか。あ、少女以上の恋がしたいなんてここの服イメージにぴったりじゃない?」

果南「あ、それいいかもね。すごく合ってる」

千歌「ね?今度ここで買ってカラオケとかで歌ってみようよ」

果南「2人で?」

千歌「…うん。2人で」

13: 2018/04/16(月) 00:40:35.91 ID:NBPguAGy
さらに映画観たりなんかもしてたら、すっかり日が暮れてた。

夜ご飯の前には家に戻るのが幼馴染の私たちの習慣。

果南「じゃ、暗いし帰ろっか」

千歌「…うん」

果南「…」

14: 2018/04/16(月) 00:41:03.14 ID:NBPguAGy
バスの中で、こんなことを聞かれた。

果南「千歌は、将来何になりたいの?」

千歌「将来?正直全然検討つかないなあ」

果南「そっか」

千歌「どうして?」

果南「気になっただけ」

千歌「果南ちゃんは?」

果南「夢っていうには夢っぽくないかもしれないけど、店を継ぎたいかな」

瞳には果てなくどこまでも続く暗い大空が映ってた。

果南ちゃんは、何を見てるんだろう。

15: 2018/04/16(月) 00:42:11.85 ID:NBPguAGy
果南「楽しかった、ありがと」

千歌「うん、こちらこそ。また遊ぼうね」

果南「適当に連絡する。ばいばい」

伸びた髪が、くるりと背を向けて、靡いた。

千歌「…ねえ」

果南「ん?」

千歌「…覚えてる?」

果南「何を?」

千歌「…なんでもない」

果南「言ってみて」

千歌「その…」

果南「…」

千歌「…いなくならない?離れたりしない?」

果南「ありえないよ、そんなこと」

16: 2018/04/16(月) 00:42:50.39 ID:NBPguAGy
家。一千万。

自分の部屋の自分の机。

果南ちゃんに促されて早速勉強って訳じゃないんだけどね。

バッグから、なんとなく買ったポストカードを取り出して、ボールペンを持ってみても、言葉がまるで出てこない。

こういうのって難しい。

マグカップにいれてきた紅茶を一口飲んで窓の外を眺めると、海が月を反射してて綺麗だった。

あの海は、どこまでも繋がってて世界を旅してるだなんて、想像もつかない。

あ、書いても宛先すら知らないや。

困った。

17: 2018/04/16(月) 00:43:17.84 ID:NBPguAGy
…ボトルメールっていうのやってみようかな。

ロマンチックだし。

どうせ船にでも乗って海を漂流してるんだろうし。

そもそも、読まれたくて書いてるのとは違う気がする。

気持ちは全部伝わっていたと思うから。

それにね、いつかまた会える気がするから、寂しくないんだ。

果南ちゃんは寂しいって言葉にしたけど、きっとそれは違って、踏ん切りがつかないんだと思う。

何が違うのか聞かれると説明に困るけど。

私は寂しくないよ。

全部気のせいなのかもしれない。

それでも、だっていなくなっちゃったら寂しいじゃん。

18: 2018/04/16(月) 00:43:45.53 ID:NBPguAGy
冷たくなった紅茶をすすったら、お母さんの声が聞こえた。

夜ご飯。

早く行かなくちゃ、って。

最後、おまけみたいに書き足した。

部屋の照明を消すと、やっぱり空と海、月と星がとても綺麗だった。

その空間が壊れないように、そっと部屋を出た。

19: 2018/04/16(月) 00:44:15.70 ID:NBPguAGy
p.s.
 
 
その先には。
 
 
その先を、私は。
 
 
 
 
 
 
  
Fin

25: 2018/04/16(月) 03:49:34.19 ID:J6SZkZMW
何か寂しい終わり方だ…

26: 2018/04/16(月) 07:32:07.45 ID:s/GJK/vZ
直接口にしない辺りに趣を感じる、乙

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1523806177/

タイトルとURLをコピーしました