1:代行(SB-iPhone) 2021/09/18(土) 16:40:31.67 ID:ZSXXlr1O
恋「すみれさんっ。おいしいたい焼き屋さんを見つけたんです。帰りに寄りませんか?」
すみれ「たい焼き? なんだかジジ臭いわねぇ」
恋「そんなことありません! そこのイチゴ餡たい焼きがおしゃれで、とっても美味しいんですよ」
すみれ「あんた、ホント苺好きよね。まあ良いわ、行きましょ」スタスタ
恋「ふふふ、ありがとうございますっ!」
すみれ「……」スタスタスタ
恋「……」トコトコ
すみれ「たい焼き? なんだかジジ臭いわねぇ」
恋「そんなことありません! そこのイチゴ餡たい焼きがおしゃれで、とっても美味しいんですよ」
すみれ「あんた、ホント苺好きよね。まあ良いわ、行きましょ」スタスタ
恋「ふふふ、ありがとうございますっ!」
すみれ「……」スタスタスタ
恋「……」トコトコ
2: (しまむら) 2021/09/18(土) 16:45:03.07 ID:8nSAv/cl
>>1 代行ありがとうございます!
すみれ「……それにしても、節約中じゃなかったの? 最近しょっちゅう私を付き合わせるじゃない」
恋「はい。でも引っ越した先の都営住宅は家賃補助が頂けて、少し余裕があるんです」
すみれ「なるほどね。良かったわね補助が出て。どうなの新しい家は、慣れた?」
恋「そうですね。初めは実家にあったチビの部屋くらいの広さしかなくて、びっくりしました。でも、住んでしまえば案外これで十分なのですね」
すみれ(いやあんたの実家がデカすぎたのよ)
恋「それに5階なので、眺めは実家よりも良いんですよ? エレベーターがないのが辛いですが」ハハハ
すみれ「……それにしても、節約中じゃなかったの? 最近しょっちゅう私を付き合わせるじゃない」
恋「はい。でも引っ越した先の都営住宅は家賃補助が頂けて、少し余裕があるんです」
すみれ「なるほどね。良かったわね補助が出て。どうなの新しい家は、慣れた?」
恋「そうですね。初めは実家にあったチビの部屋くらいの広さしかなくて、びっくりしました。でも、住んでしまえば案外これで十分なのですね」
すみれ(いやあんたの実家がデカすぎたのよ)
恋「それに5階なので、眺めは実家よりも良いんですよ? エレベーターがないのが辛いですが」ハハハ
3: (しまむら) 2021/09/18(土) 16:50:11.38 ID:8nSAv/cl
すみれ「ま、若人にはそれくらいがちょうどいいでしょ」
すみれ「サヤさん、だったかしら? あのメイドの人はどうしてるの?」
恋「サヤさんは今、執事学校に通っています。下宿が私の部屋の近くで、たまに来てくれますよ。『成長をお見せします』と言って料理をふるまってくれるんです」クスクス
すみれ「良かったわ、元気になって」
恋「はい、サヤさんが次の生きがいを見つけられて本当に――」
すみれ「ううん。あんたのことよ」
恋「私ですか?」
すみれ「ええ。学校のこととかお母さんのこととか背負って、思い出のある家も引き払って……一時は、この子大丈夫かしらと思ったわ。すっかり元気になったわね」ニコッ
すみれ「サヤさん、だったかしら? あのメイドの人はどうしてるの?」
恋「サヤさんは今、執事学校に通っています。下宿が私の部屋の近くで、たまに来てくれますよ。『成長をお見せします』と言って料理をふるまってくれるんです」クスクス
すみれ「良かったわ、元気になって」
恋「はい、サヤさんが次の生きがいを見つけられて本当に――」
すみれ「ううん。あんたのことよ」
恋「私ですか?」
すみれ「ええ。学校のこととかお母さんのこととか背負って、思い出のある家も引き払って……一時は、この子大丈夫かしらと思ったわ。すっかり元気になったわね」ニコッ
5: (しまむら) 2021/09/18(土) 16:54:59.54 ID:8nSAv/cl
恋「それは、だって……」
恋(あなたが優しくしてくれるから……)
すみれ「??」キョトン
恋(なんて、言えるわけないじゃないですか!)
恋「あ、ほ、ほら! 着きましたよあのお店です!」アセアセ
すみれ「って、ギャラクシー! めちゃめちゃ並んでるじゃない!!」
恋「はい! おしゃれで美味しくて、1個80円。並ばないわけがないですねっ」
すみれ「庶民感覚得るの早いわねぇ」
恋「ほら、早く行きましょう! 売り切れてしまいます!」パシッ
すみれ「あ、ちょ、引っ張るんじゃないわよ~~~!」
恋(あなたが優しくしてくれるから……)
すみれ「??」キョトン
恋(なんて、言えるわけないじゃないですか!)
恋「あ、ほ、ほら! 着きましたよあのお店です!」アセアセ
すみれ「って、ギャラクシー! めちゃめちゃ並んでるじゃない!!」
恋「はい! おしゃれで美味しくて、1個80円。並ばないわけがないですねっ」
すみれ「庶民感覚得るの早いわねぇ」
恋「ほら、早く行きましょう! 売り切れてしまいます!」パシッ
すみれ「あ、ちょ、引っ張るんじゃないわよ~~~!」
6: (しまむら) 2021/09/18(土) 16:58:19.28 ID:8nSAv/cl
―――
すみれ「確かにこれで80円は安いわね。美味しいし。人気なのも分かるわ」モチャモチャ
恋「はぅう~~~イチゴ餡、とても美味しいです!」モグモグモグモグ
すみれ「そんなに頬張っちゃって。ん、餡子ついてるわよ、口の、ここ」
恋「ここですか?」
すみれ「逆、ここ。そこじゃないったら。…しょうがないわね、じっとしてなさい」ハンカチフキフキ
すみれ「…取れた。いちごのことになると途端に困ったちゃんね、あんた」
恋「お、お恥ずかしい…」
すみれ「イチゴ餡が美味しいから許してあげるわ。かのんたちも来られれば良かったのにね」
恋「しかたないですよ。私たちとは家が逆方向ですから」
すみれ「まぁね……ってあんた何そのおっきな袋。そんなの持ってたかしら?」
すみれ「確かにこれで80円は安いわね。美味しいし。人気なのも分かるわ」モチャモチャ
恋「はぅう~~~イチゴ餡、とても美味しいです!」モグモグモグモグ
すみれ「そんなに頬張っちゃって。ん、餡子ついてるわよ、口の、ここ」
恋「ここですか?」
すみれ「逆、ここ。そこじゃないったら。…しょうがないわね、じっとしてなさい」ハンカチフキフキ
すみれ「…取れた。いちごのことになると途端に困ったちゃんね、あんた」
恋「お、お恥ずかしい…」
すみれ「イチゴ餡が美味しいから許してあげるわ。かのんたちも来られれば良かったのにね」
恋「しかたないですよ。私たちとは家が逆方向ですから」
すみれ「まぁね……ってあんた何そのおっきな袋。そんなの持ってたかしら?」
7: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:01:07.19 ID:8nSAv/cl
恋「これですか? たい焼きですが?」
すみれ「え、買い過ぎじゃないかしら!? いくつ食べるつもりったら腹積もりよ!?」
恋「? せっかく並んだんですもの。今日は奮発しちゃいましたっ。3日分くらいはありますね♪」
すみれ「はぁ!? 明日には全部シナッシナになってるし、3日ももつ訳ないじゃない!」
恋「え、」
恋「そ、そうなのですか!?」
すみれ「あったり前じゃない、あんたねぇ…」
恋「そんな…どうしましょう……」ショボーン
すみれ「え、買い過ぎじゃないかしら!? いくつ食べるつもりったら腹積もりよ!?」
恋「? せっかく並んだんですもの。今日は奮発しちゃいましたっ。3日分くらいはありますね♪」
すみれ「はぁ!? 明日には全部シナッシナになってるし、3日ももつ訳ないじゃない!」
恋「え、」
恋「そ、そうなのですか!?」
すみれ「あったり前じゃない、あんたねぇ…」
恋「そんな…どうしましょう……」ショボーン
9: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:04:11.89 ID:8nSAv/cl
すみれ「家にトースターないの? 焼けば明日くらいまでならカリカリにして食べられるわよ?」
恋「実家から持ってきたオーブンレンジ?ならあります」
すみれ「良いじゃない。それでも大丈夫よ」
恋「ですが、機械は使い方がよく分からなくて……」
恋「…っ、たい焼き…」ジワッ
すみれ「……」
すみれ「はぁ~~~しょうがないわねぇ。私が教えてあげるわ」
恋「い、いいのですか!?」
すみれ「別に大したことじゃないわよそれくらい。それに、あんた一人じゃたい焼き丸焦げどころか家も黒焦げにしそうだもの」
恋「すみれさん……」ジーン
すみれ「早く行きましょ、置いてくわよ?」スタスタ
恋「あ、は、はい!」
恋「実家から持ってきたオーブンレンジ?ならあります」
すみれ「良いじゃない。それでも大丈夫よ」
恋「ですが、機械は使い方がよく分からなくて……」
恋「…っ、たい焼き…」ジワッ
すみれ「……」
すみれ「はぁ~~~しょうがないわねぇ。私が教えてあげるわ」
恋「い、いいのですか!?」
すみれ「別に大したことじゃないわよそれくらい。それに、あんた一人じゃたい焼き丸焦げどころか家も黒焦げにしそうだもの」
恋「すみれさん……」ジーン
すみれ「早く行きましょ、置いてくわよ?」スタスタ
恋「あ、は、はい!」
11: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:08:52.68 ID:8nSAv/cl
すみれ「……」スタスタ
恋「……」トボトボ
恋(こんなんで私、独りで生きていけるんでしょうか……)
すみれ「……」スタスタスタ
恋「……」トボトボ
すみれ「……」タチドマリ
恋「……」トボトボトボ
すみれ「……あ~~~~もう!」髪ワシャワシャワシャ
すみれ「……ん」手サシダシー
恋「っ……!」
恋「……」オソルオソル
すみれ「まどろっこしいわねぇ」ギュッ
恋「……!」ギュゥ
すみれ「しょうがない子。元気になったかなと思ったら、すぐこうなんだから」
恋「ごめんなさい、私……」
恋「……」トボトボ
恋(こんなんで私、独りで生きていけるんでしょうか……)
すみれ「……」スタスタスタ
恋「……」トボトボ
すみれ「……」タチドマリ
恋「……」トボトボトボ
すみれ「……あ~~~~もう!」髪ワシャワシャワシャ
すみれ「……ん」手サシダシー
恋「っ……!」
恋「……」オソルオソル
すみれ「まどろっこしいわねぇ」ギュッ
恋「……!」ギュゥ
すみれ「しょうがない子。元気になったかなと思ったら、すぐこうなんだから」
恋「ごめんなさい、私……」
12: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:12:25.08 ID:8nSAv/cl
すみれ「別に謝んなくて良いわよ。赤ちゃんをあやしてると思えば、なんてことないわ」
恋「赤ちゃんって、もしや私のことですか?」キョトン
すみれ「他に誰がいるのよ」ジトー
恋「赤ちゃん……ふふ、赤ちゃんっ。ではすみれさんはお母さんですね♪ すみれお母さんっ」
すみれ「私よりおっきな赤ちゃんなんて生んだ覚えないわ! せめてお姉ちゃんにしてよね」
恋「うふふっ」クスクス
すみれ「さ、可可じゃないんだし、バカなこと言ってないで行くわよ。日が暮れちゃうわ」
すみれ「はいっ! すみれお母さんっ」
恋「赤ちゃんって、もしや私のことですか?」キョトン
すみれ「他に誰がいるのよ」ジトー
恋「赤ちゃん……ふふ、赤ちゃんっ。ではすみれさんはお母さんですね♪ すみれお母さんっ」
すみれ「私よりおっきな赤ちゃんなんて生んだ覚えないわ! せめてお姉ちゃんにしてよね」
恋「うふふっ」クスクス
すみれ「さ、可可じゃないんだし、バカなこと言ってないで行くわよ。日が暮れちゃうわ」
すみれ「はいっ! すみれお母さんっ」
14: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:15:42.52 ID:8nSAv/cl
―――
恋「ありがとうございます! これでたい焼きが明日も美味しく食べられるのですね!」キラキラキラ
すみれ「ええ、でもオーブンモードでは袋とかラップとかは入れちゃダメよ!? 逆に電子レンジモードでは金属のお皿とかアルミホイルはダメなんだからね!? たい焼きをカリカリにしたいならこのモード! あっためるだけでいいならこのモードよ!?」ガミガミ
恋「それはもう何度も聞きましたよ? まったく、すみれお母さんは心配性ですねっ」クスクス
すみれ「あんたが機械音痴過ぎるから言ってやってんでしょうが……」ワナワナワナ
恋「練習とお礼も兼ねて、お茶の用意をいたしますね。取り急ぎレンジでお湯を沸かして――」
レンジ:10分 ピッ
恋「ありがとうございます! これでたい焼きが明日も美味しく食べられるのですね!」キラキラキラ
すみれ「ええ、でもオーブンモードでは袋とかラップとかは入れちゃダメよ!? 逆に電子レンジモードでは金属のお皿とかアルミホイルはダメなんだからね!? たい焼きをカリカリにしたいならこのモード! あっためるだけでいいならこのモードよ!?」ガミガミ
恋「それはもう何度も聞きましたよ? まったく、すみれお母さんは心配性ですねっ」クスクス
すみれ「あんたが機械音痴過ぎるから言ってやってんでしょうが……」ワナワナワナ
恋「練習とお礼も兼ねて、お茶の用意をいたしますね。取り急ぎレンジでお湯を沸かして――」
レンジ:10分 ピッ
16: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:20:45.04 ID:8nSAv/cl
すみれ「だー! ダメったらダメよ! レンジでお湯を沸騰させるのは危ないんだから!」
恋「そうなのですか?! やっぱり、当面この機械はたい焼き温め直し専用機になりそうですね……」
すみれ「もうそれで良いんじゃない? あんたに機械を教えるのがこんなに骨の折れることとは思わなかったわ……」グデー
恋「そうなのですか?! やっぱり、当面この機械はたい焼き温め直し専用機になりそうですね……」
すみれ「もうそれで良いんじゃない? あんたに機械を教えるのがこんなに骨の折れることとは思わなかったわ……」グデー
17: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:22:51.37 ID:8nSAv/cl
すみれ「そうだ……お礼というなら、宿題写させてもらわないと割に合わないわねぇ」ニシシ
恋「むっ」ギロッ
すみれ「ひゃっ……?」ゾワッ
恋「むっ」ギロッ
すみれ「ひゃっ……?」ゾワッ
18: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:23:43.63 ID:8nSAv/cl
恋「それは看過できない言葉ですね。良いでしょう、お礼にすみれさんには宿題を教えて差し上げます」
すみれ「あっ……や、やっぱり良いわ。帰って一人でやるから……」アハハハ~
恋「いいえ! すみれさんの将来のため、この葉月恋、宿題を写すなどという横着を見逃すわけには行きません!!」
すみれ「さ、さっきのは気の迷いよ、言葉のあやよ! 帰って一人でちゃんとやるわ!」
恋「さあ! そこに座ってノートを開いてください! 楽しいお勉強会の始まりです!」
すみれ「やっちゃった。やっちゃったったらやっちゃったわよ~~~!!」
すみれ「あっ……や、やっぱり良いわ。帰って一人でやるから……」アハハハ~
恋「いいえ! すみれさんの将来のため、この葉月恋、宿題を写すなどという横着を見逃すわけには行きません!!」
すみれ「さ、さっきのは気の迷いよ、言葉のあやよ! 帰って一人でちゃんとやるわ!」
恋「さあ! そこに座ってノートを開いてください! 楽しいお勉強会の始まりです!」
すみれ「やっちゃった。やっちゃったったらやっちゃったわよ~~~!!」
19: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:25:29.12 ID:8nSAv/cl
―――
恋「――これは、――となってこうなるのです」
すみれ「う~ん……」
恋「では、こう考えるのはどうでしょう。このxが今回の条件ではこの値をとるので――」
すみれ「――あ、それなら分かるかも」
恋「その意気ですよ。いちご飴をひとつ差し上げます。次はこの問題ですが、これはさっきの応用で――」
すみれ「う~~ん、もう疲れたわ。実は昨日寝不足だったのよ~~」
恋「では気分を変えて次は英語にしましょう。まずはこの文章を読んでください。とりあえず10分間でいきましょう」
恋「その間私はお茶の準備をいたしますね。え? クスクス、大丈夫ですよ、今度はいつも通りコンロを使います」
恋「――さあ、すみれさん、そろそろ10分ですよ」
恋「……すみれさん?」
恋「――これは、――となってこうなるのです」
すみれ「う~ん……」
恋「では、こう考えるのはどうでしょう。このxが今回の条件ではこの値をとるので――」
すみれ「――あ、それなら分かるかも」
恋「その意気ですよ。いちご飴をひとつ差し上げます。次はこの問題ですが、これはさっきの応用で――」
すみれ「う~~ん、もう疲れたわ。実は昨日寝不足だったのよ~~」
恋「では気分を変えて次は英語にしましょう。まずはこの文章を読んでください。とりあえず10分間でいきましょう」
恋「その間私はお茶の準備をいたしますね。え? クスクス、大丈夫ですよ、今度はいつも通りコンロを使います」
恋「――さあ、すみれさん、そろそろ10分ですよ」
恋「……すみれさん?」
20: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:29:32.83 ID:8nSAv/cl
すみれ「すー、すー」コクッコク
恋「すみれさん、寝てしまったのですか?」
恋(すみれさんが寝入ってしまいました)
恋(起こそうかとも思いましたが、傾いた陽が照らすすみれさんの寝顔はお人形のように静かで、躊躇われました)
恋「今日は私に付き合わせしまいましたものね」
恋(押し入れからブランケットを持ってきて、起こさないように掛けてあげる)
恋(手持無沙汰の私は、すみれさんの隣に腰かけます)
恋「すみれさん、寝てしまったのですか?」
恋(すみれさんが寝入ってしまいました)
恋(起こそうかとも思いましたが、傾いた陽が照らすすみれさんの寝顔はお人形のように静かで、躊躇われました)
恋「今日は私に付き合わせしまいましたものね」
恋(押し入れからブランケットを持ってきて、起こさないように掛けてあげる)
恋(手持無沙汰の私は、すみれさんの隣に腰かけます)
21: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:34:45.59 ID:8nSAv/cl
恋(赤い夕陽は次第にかげり、遠く山々の向こうに、太陽が落ちようとしています)
恋(あっというまに夜になり、すみれさんはおうちに帰ってしまうことでしょう)
恋(そう思うと、今この時間がとても勿体ないような、尊いような。不思議な焦燥感に駆られます)
すみれ「すー、すー……」コテッ
恋「……!」
恋(すみれさんが頭が私の肩にもたれかかりました)
恋(すみれさんの重みと、吐息と、体温と、匂いを感じる)
恋(なんだか背筋がくすぐったい)
恋(私の心臓が高鳴る)
恋「……!?」
恋(なんでドキドキしているのです!?)
恋(あっというまに夜になり、すみれさんはおうちに帰ってしまうことでしょう)
恋(そう思うと、今この時間がとても勿体ないような、尊いような。不思議な焦燥感に駆られます)
すみれ「すー、すー……」コテッ
恋「……!」
恋(すみれさんが頭が私の肩にもたれかかりました)
恋(すみれさんの重みと、吐息と、体温と、匂いを感じる)
恋(なんだか背筋がくすぐったい)
恋(私の心臓が高鳴る)
恋「……!?」
恋(なんでドキドキしているのです!?)
22: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:39:19.12 ID:8nSAv/cl
恋(私は不安になりました。この鼓動の音ですみれさんが起きたらどうしようとか、そうなったらいったいどう思われるだろう、とか)
恋(すみれさんが起きる気配はなく、安堵して、改めて胸の高鳴りの意味を考えました)
恋(確かに、私は優しいすみれさんのおかげで立ち直ることが出来ました)
恋(だから、すみれさんのことはお慕いしています。不器用な私ですが、精いっぱいこの感謝を伝えたい)
恋(でも、それ以上でもそれ以下でもないのです)
恋(すみれさんが起きる気配はなく、安堵して、改めて胸の高鳴りの意味を考えました)
恋(確かに、私は優しいすみれさんのおかげで立ち直ることが出来ました)
恋(だから、すみれさんのことはお慕いしています。不器用な私ですが、精いっぱいこの感謝を伝えたい)
恋(でも、それ以上でもそれ以下でもないのです)
23: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:41:48.97 ID:8nSAv/cl
恋(……だったら、なぜ私はすみれさんの隣に座ったのでしょう?)
恋(寝ている友人の隣に忍び込むのは、普通の距離感と言えますか?)
恋(ああ、肩に乗っているすみれさんの頭に、自分の頬をすりすりすりとやって触れてみたい)
恋(ブランケットの下で、身体と身体をもっと密着させたい)
恋(そんなことを思うのは、単なる友人への親しみ? それとも……)
恋「……分かりません」
恋(なにも考えたくない。私はそう思って目を瞑ったのでした)
恋(寝ている友人の隣に忍び込むのは、普通の距離感と言えますか?)
恋(ああ、肩に乗っているすみれさんの頭に、自分の頬をすりすりすりとやって触れてみたい)
恋(ブランケットの下で、身体と身体をもっと密着させたい)
恋(そんなことを思うのは、単なる友人への親しみ? それとも……)
恋「……分かりません」
恋(なにも考えたくない。私はそう思って目を瞑ったのでした)
24: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:43:46.24 ID:8nSAv/cl
―――
すみれ「……んっ」
すみれ「あれ、寝ちゃってたのね」目ゴシゴシ
すみれ「うわ、外暗っ――あら?」
恋「すーっ、すーっ」スヤスヤ
すみれ「どうして私たち、もたれかかれあって寝てたのかしら。思い出せないわ」ムーン
すみれ「ほら、起きなさい。ねえ、ねえってば」ユッサユッサ
恋「う~ん…?」ムニャムニャ
すみれ「……んっ」
すみれ「あれ、寝ちゃってたのね」目ゴシゴシ
すみれ「うわ、外暗っ――あら?」
恋「すーっ、すーっ」スヤスヤ
すみれ「どうして私たち、もたれかかれあって寝てたのかしら。思い出せないわ」ムーン
すみれ「ほら、起きなさい。ねえ、ねえってば」ユッサユッサ
恋「う~ん…?」ムニャムニャ
25: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:47:20.42 ID:8nSAv/cl
恋「あ、すみれさん。起きたのですね」
すみれ「ええ、宿題やってて寝ちゃったみたいね。もうすっかり夜よ」
恋「本当ですね……」
恋「――って、はっ! チビのご飯!!」ガバッ!!
すみれ「っ……」
恋「あ…………」
恋「……そうでした、チビは……」
すみれ「ええ、宿題やってて寝ちゃったみたいね。もうすっかり夜よ」
恋「本当ですね……」
恋「――って、はっ! チビのご飯!!」ガバッ!!
すみれ「っ……」
恋「あ…………」
恋「……そうでした、チビは……」
26: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:51:48.05 ID:8nSAv/cl
すみれ「つらいわよね。家族と離れ離れになるのは」
恋「はい……」
すみれ「大丈夫。きっと向こうでも楽しくしているわよ」
恋(すみれさんが私の肩に手を回して、優しく抱きしめてくれる)
恋「本当にそうでしょうか…?」
すみれ「そうよ。そうったら、絶対そうなのよ」ギュゥ
恋「……ありがとうございます」ギュゥッ
すみれ「それにしても、すっかり真っ暗ね~。今日、泊めてくれない?」
恋「はい……」
すみれ「大丈夫。きっと向こうでも楽しくしているわよ」
恋(すみれさんが私の肩に手を回して、優しく抱きしめてくれる)
恋「本当にそうでしょうか…?」
すみれ「そうよ。そうったら、絶対そうなのよ」ギュゥ
恋「……ありがとうございます」ギュゥッ
すみれ「それにしても、すっかり真っ暗ね~。今日、泊めてくれない?」
27: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:57:28.39 ID:8nSAv/cl
恋「……っ」
恋「すみれさんは優しいです。優しすぎます」
すみれ「ち、違うわよ! 別にあんたを一人にするのが心配とかじゃないんだから!」
すみれ「ほ、ほら。もうこんな時間でしょ。ショービジネスの世界に生きる者として、こんな時間に外を出歩くなんて不用心はご法度なのっ。それだけなんだから」
恋「すみれさん……」
恋「すみれさんは優しいです。優しすぎます」
すみれ「ち、違うわよ! 別にあんたを一人にするのが心配とかじゃないんだから!」
すみれ「ほ、ほら。もうこんな時間でしょ。ショービジネスの世界に生きる者として、こんな時間に外を出歩くなんて不用心はご法度なのっ。それだけなんだから」
恋「すみれさん……」
28: (しまむら) 2021/09/18(土) 17:59:42.65 ID:8nSAv/cl
恋(すみれさん。すみれさん。あなたはどうしてそんなに優しくしてくれるのですか?)
恋(このままじゃ、私、私。おかしくなっちゃいます……)
恋「グス……っ」ポロポロ
すみれ「……」ポンポン
恋「ぅぐっ……ひっぐ……」ボロボロ
すみれ「……つらいわよね。でもあんたなら大丈夫ったら大丈夫よ」ギュゥウ
恋「ズズッ…ずみれざん……」
すみれ「なぁに」
恋(このままじゃ、私、私。おかしくなっちゃいます……)
恋「グス……っ」ポロポロ
すみれ「……」ポンポン
恋「ぅぐっ……ひっぐ……」ボロボロ
すみれ「……つらいわよね。でもあんたなら大丈夫ったら大丈夫よ」ギュゥウ
恋「ズズッ…ずみれざん……」
すみれ「なぁに」
29: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:02:07.41 ID:8nSAv/cl
恋「恋って、呼んでくれませんか?」
すみれ「しょうがないわねぇ、本当に赤ちゃんになっちゃったのね」クスクス
すみれ「れん。恋。良い子、良い子。あなたは独りじゃない。私がここにいるわ」ポン、ポン
恋「ずっとそばにいてくれますか?」ギュゥゥゥ
すみれ「いいわ、ずっと恋のそばにいてあげる」
恋「本当ですか?」
すみれ「本当よ」
恋「じゃあ、私たちは家族ですね」
すみれ「ふふっ、そうね。恋が赤ちゃんで私がお姉さんね」クスクス
恋「……すみれさん、大好きです」
すみれ「…!」
すみれ「甘えんぼね。ふふ、私も好きよ。恋」
すみれ「しょうがないわねぇ、本当に赤ちゃんになっちゃったのね」クスクス
すみれ「れん。恋。良い子、良い子。あなたは独りじゃない。私がここにいるわ」ポン、ポン
恋「ずっとそばにいてくれますか?」ギュゥゥゥ
すみれ「いいわ、ずっと恋のそばにいてあげる」
恋「本当ですか?」
すみれ「本当よ」
恋「じゃあ、私たちは家族ですね」
すみれ「ふふっ、そうね。恋が赤ちゃんで私がお姉さんね」クスクス
恋「……すみれさん、大好きです」
すみれ「…!」
すみれ「甘えんぼね。ふふ、私も好きよ。恋」
30: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:04:40.38 ID:8nSAv/cl
―――
かのん「みんなおはよう~」
千砂都「おはよっ!」
可可「おはようございマス――って」
くぅかぁちぃ「えぇ!?!?」
すみれ「どうしたのよ、三人して豆鉄砲を喰らったハトみたいな顔しちゃって」
千砂都「いや、だって……」
かのん「ねえ…?」
可可「な、ナゼすみれとレンレンが手を繋いで登校しているデス!?」
かのん「みんなおはよう~」
千砂都「おはよっ!」
可可「おはようございマス――って」
くぅかぁちぃ「えぇ!?!?」
すみれ「どうしたのよ、三人して豆鉄砲を喰らったハトみたいな顔しちゃって」
千砂都「いや、だって……」
かのん「ねえ…?」
可可「な、ナゼすみれとレンレンが手を繋いで登校しているデス!?」
31: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:09:10.18 ID:8nSAv/cl
すみれ「ああこれ? どうかしら、私と恋による新しい営業スタイルは!」
かのん「営業……?」
すみれ「そうよ! 学年一真面目な生徒会長とかつて会長を争って反目したスクールアイドルが裏で姉妹のように慕いあっていたなんて、バズること間違いなしだわ!」
すみれ「名付けて姉妹営業! これでかのん、あんたの人気はもはや過去の栄光よ~!」
可可「ズルいですズルいです! それにかのんなんてレンレンとは喧嘩した仲なんデスから、負けないデス! ね、かのん!」
かのん「えぇ? 私は喧嘩したつもりないよ~~~」
可可「かのぉん! センターとしてもっとすみれと張り合ってクダサイ!」
すみれ「どうやらかのんは負けを認めたようね! 今度のライブから私がセンターよっ!!」
可可「違いマス違いマス~~~!!」ギャイギャイ
かのん「営業……?」
すみれ「そうよ! 学年一真面目な生徒会長とかつて会長を争って反目したスクールアイドルが裏で姉妹のように慕いあっていたなんて、バズること間違いなしだわ!」
すみれ「名付けて姉妹営業! これでかのん、あんたの人気はもはや過去の栄光よ~!」
可可「ズルいですズルいです! それにかのんなんてレンレンとは喧嘩した仲なんデスから、負けないデス! ね、かのん!」
かのん「えぇ? 私は喧嘩したつもりないよ~~~」
可可「かのぉん! センターとしてもっとすみれと張り合ってクダサイ!」
すみれ「どうやらかのんは負けを認めたようね! 今度のライブから私がセンターよっ!!」
可可「違いマス違いマス~~~!!」ギャイギャイ
32: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:12:28.67 ID:8nSAv/cl
恋「ふふふ」ニコニコ
可可「レンレン! レンレンもすみれに言ってやってクダサイ! 三下り半を叩きつけるのデス!」
すみれ「ムダよ! 恋の方から私の家族に――妹になるって言ってきたんだから」フフン
可可「バカは休み休み言うデス! そんなはずないデスよね、レンレン!?」
恋「……はい、私、妹になるとは一言も言ってません」ニコニコ
すみれ「はぁ~~~!? 恋、あんた裏切るのねぇ!?」ガーン
可可「ほれ見ろデス~~~!」キャー
可可「レンレン! レンレンもすみれに言ってやってクダサイ! 三下り半を叩きつけるのデス!」
すみれ「ムダよ! 恋の方から私の家族に――妹になるって言ってきたんだから」フフン
可可「バカは休み休み言うデス! そんなはずないデスよね、レンレン!?」
恋「……はい、私、妹になるとは一言も言ってません」ニコニコ
すみれ「はぁ~~~!? 恋、あんた裏切るのねぇ!?」ガーン
可可「ほれ見ろデス~~~!」キャー
33: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:13:52.89 ID:8nSAv/cl
「姉妹営業は今日で終いデス!」
「アハハハハ、可可ちゃんダジャレ上手い~~」
「偶然に決まってるじゃない」
「ちぃちゃん、ツボ浅っ」
ワイワイガヤガヤ
恋「家族になりたい、というのは本当ですけれど」ボソッ
すみれ「? 恋、何か言ったかしら?」
恋「いいえ、なんでもありません」ニコッ
いまは、まだ。
「アハハハハ、可可ちゃんダジャレ上手い~~」
「偶然に決まってるじゃない」
「ちぃちゃん、ツボ浅っ」
ワイワイガヤガヤ
恋「家族になりたい、というのは本当ですけれど」ボソッ
すみれ「? 恋、何か言ったかしら?」
恋「いいえ、なんでもありません」ニコッ
いまは、まだ。
34: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:21:50.91 ID:8nSAv/cl
おしまい
37: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:27:37.63 ID:8nSAv/cl
>>35
明日には全部解釈違いだろうね
明日には全部解釈違いだろうね
43: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:45:32.47 ID:8nSAv/cl
恋ちゃんの家ってこの後どうなるんだろうね
上で35さんが言ってるように学校の施設になるんかな
上で35さんが言ってるように学校の施設になるんかな
45: (しまむら) 2021/09/18(土) 18:52:06.29 ID:8nSAv/cl
>>44
ありがとうございます
最初はもっと軽い絡みの書いてたんだけど、
いつのまにかがっつりめな百合になってしまった
すみれん好きは軽いとの重いのだとどっちが好きなのかな
ありがとうございます
最初はもっと軽い絡みの書いてたんだけど、
いつのまにかがっつりめな百合になってしまった
すみれん好きは軽いとの重いのだとどっちが好きなのかな
引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1631950831/