【SS】恋「Liella!の東北旅行」千砂都「この村の怪異?」【ラブライブ!スーパースター!!】

Liella!ーSS


1: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 16:36:00.14 ID:dGeOniDt
覚えている方がいるか分かりませんが、リゾバパロの続編です。立ったら書きます。
 
【SS】かのん「海辺の旅館でリゾートバイト!」可可「楽しそうデス~!」【ラブライブ!スーパースター!!】
■約40000文字■夏休みも間近に迫ったある日のこと… 可可「海に行きましょう!」 かのん「いきなり!?」 すみれ「ほんとに唐突ね、いったいどうしたのよ」 可可「どうしたもこうしたもないのデス!最近暑すぎるのデス!屋上で練習が出来ないくらい暑いのデス!!」 恋「たしかに、例年と比べても今年の夏は特に暑いかもしれませんね」 可可「デス!来週からは夏休みも始まってきっともっと暑くなります!なので海に遊びに行って少しでも涼しくなりたいのデス!」

2: (もんじゃ) 2022/02/20(日) 16:38:05.01 ID:JI4emxIT
〜回想~

恋「東北に住んでる私の祖母に皆さんの話をしたら、祖母が皆さんに会いたいみたいで…」

すみれ「それじゃ、明後日出発しましょう!」

恋「それじゃあ次は東北へ…」

一同「レッツゴー!!!」

〜回想終わり〜

恋(というわけで、今日はリエラの皆さんと東北に住んでる私の祖母の元へ遊びに向かいます)

恋(久しぶりに会うので楽しみですね、ふふっ)
 
3: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:41:10.21 ID:u5l2t7+c
千砂都「恋ちゃん、嬉しそうだね」

恋「そ、そうですか?」

千砂都「久しぶりにおばあちゃんに会うって言ってたもんね」

恋「ええ、はやく祖母に皆さんを紹介したくて」

恋「祖母も楽しみにしていますし、私も友達と一緒に旅行した経験があまりないもので」

恋「皆さんとお出かけできるのが楽しみで…」

すみれ「ふふ、恋も意外と可愛いところあるのね」

恋「なっ///」

かのん「この前はバタバタしてたからね」

可可「まさか海に行って死にかけるとは思わなかったデスー…」

かのん「今回はゆっくりできるといいね」
 
4: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:41:45.14 ID:vzBkJ3UB
千砂都「恋ちゃん、嬉しそうだね」

恋「そ、そうですか?」

千砂都「久しぶりにおばあちゃんに会うって言ってたもんね」

恋「ええ、はやく祖母に皆さんを紹介したくて」

恋「祖母も楽しみにしていますし、私も友達と一緒に旅行した経験があまりないもので」

恋「皆さんとお出かけできるのが楽しみで…」

すみれ「ふふ、恋も意外と可愛いところあるのね」

恋「なっ///」

かのん「この前はバタバタしてたから、今回はゆっくり出来るといいね」

可可「まさか海に行って死にかけるとは思わなかったデスー…」
 
6: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:42:42.10 ID:dKt2tIzP
一同「……」

すみれ「ま、まぁ!怪異に襲われるなんて滅多に経験できることじゃないし考えようによってはこれもステータスよね!」

可可「デスね、中国の友達へのお土産話が出来たと思いまショウ」

可可「そんなことより、こうしてまた皆さんと旅行に行けるなんて…」

可可「しかも今日はレンレンのお祖母様のお家なので余計に楽しみなのデス!」

恋「うふふ、そう言って貰えて嬉しいです。今回はのんびりできるといいですね」

千砂都「うんうん!恋ちゃんのおばあちゃんに会うの楽しみだなぁ」

かのん「私も私も!それじゃ、電車に乗ろっか」
 
7: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:43:50.12 ID:dKt2tIzP
そんなこんなで東北に到着した一行

恋「夏だ!」

千砂都「旅行だ!」

かのん「東北だーーー!!」

可可「スゥー…ハァー、空気が美味しいデス〜」

すみれ「ほんと、雰囲気がまったりしていて休暇にぴったりの場所だわ」

恋「ふふ、気に入ってもらえましたか?私も大好きな場所なんです」

恋「祖母の家はすぐ近くです、少し歩きますよ」

千砂都「おけーい」

ーーー
ーー


祖母「あら恋ちゃんいらっしゃい、待ってたわよ」

恋「お祖母様!」ダッ

祖母「うふふ、高校生になって少し大きくなったかしら。…後ろの方たちが噂の?」

恋「そうでした、紹介します!同じ部活の…」

かのん「澁谷かのんです!好きな食べ物はカフェオレ、焼きリンゴ、トマト、ハンバーグもいい。夢は猫を飼うことで…」

可可「はじめまして!上海から来た唐 可可です!スクールアイドルに憧れて日本にやって来ました。お母さんが日本人で…」

千砂都「嵐千砂都です。ダンスをやるために学校に入ったんですがひょんなことからみんなとスクールアイドルをやることになって…」

すみれ「平安名すみれです。お世話になります」ペコリ

恋「ちょっと皆さんいっぺんに自己紹介しないでください!順番に、順番に…ね?」

祖母「ふふふ、愉快なお友達ね。さ、お家の中へ案内するわ。いらっしゃい」

一同「失礼しまーす」
 
8: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:44:25.59 ID:dKt2tIzP
祖母の家

祖母「到着したばかりなのに申し訳ないのだけれど、おばあちゃん少しだけお出かけする用事があるのよ」

祖母「すぐ戻ってくるからゆっくりしててね」

恋「気にしないでください。行ってらっしゃい」

恋「さて、みなさんにお茶を持っていきましょうか」

ーーー
ーー


かのん「ふ〜、縁側って落ち着くね」

可可「くぅー…くぅー…」

千砂都「可可ちゃんなんてもう寝ちゃってるよ」

すみれ「田舎の空気って落ち着くわね、それにしてもほんと子供みたい」

可可「うるさいです」

すみれ「起きてるじゃない」

恋「みなさん、お茶淹れてきましたよー。お茶菓子もあるのでどうぞ」

かのん「わーいおまんじゅう好きー!」

千砂都「まんまるだー♡」

ワイワイガヤガヤ
 
9: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:44:50.69 ID:dKt2tIzP
ダダダダダ

可可「あ、誰か来たみたいですよ」

近所のじいさん「ばあさん!ばあさんはおるか!」

恋「祖母なら今外出中で…って大吉おじ様?」

大吉「お、恋ちゃんかい。大きくなったな。今は高校生くらいか?」

恋「はい、今年の春から高校生になりました」

大吉「そうか、元気そうでなによりだ。…と、こんな話をしている場合じゃねえんだ」

大吉「恋ちゃんと…一緒にいるのはお友達か?ちょっと手を貸してくれねえか」

恋「なにかあったのですか?」

大吉「人をついばむカラスが見つかった」
 
10: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:45:18.59 ID:dKt2tIzP
大吉「これから〇しに行くから恋ちゃん達にも手伝って欲しい」

恋「…カラス?なぜ〇す必要があるのですか?そもそも特定のカラスなんて見つけることができるのですか?」

大吉「…恋ちゃん、ばあさんから何も聞いてないのか?」

恋「お祖母様から…?」

……

祖母『人をついばむカラスはすぐに〇さないといけないのよ』

恋『でも、そんなカラス見たことないよ、カラスは人が近づくと逃げていくよ』

祖母『見たことがないならいいの…だけど見たらすぐに〇しなさい』

恋『どうして?』

祖母『……』

……

恋「…!そういえば幼い頃にそのような話を聞いたことが…」

恋「……わかりました、準備が出来次第私達も鴉を探しに参ります。みなさん、ジャージに着替えてください」

チクカス「????」

大吉「ありがとう、じゃあ村の集会所で待ってるからな」ダダダダダ

恋「……」

かのん「恋ちゃん…?」

恋「訳は準備をしながら説明します。とりあえず着替えましょう」

千砂都「うん」
 
11: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:45:41.68 ID:dKt2tIzP
恋「昔、祖母の家に来た際には寝る前に祖母が色んな話を聞かせてくれました」

恋「絵本だったり、昔のお祖母様の話だったり…その内容は様々だったのですが、ひとつ不気味な話があったのを先程思い出しました」

可可「不気味な話?」

恋「はい、その内容というのが」

恋「『人をついばむカラスはすぐ〇せ』というものでした。」

すみれ「ああ、さっきの…」

千砂都「危ないから〇そうってこと?」

恋「おそらく。…ですが大吉おじ様の反応を見るにそれだけではないような気もするのです」

恋「私も疑問に思いなぜ〇すのか尋ねたこともあるのですが理由を聞くとお祖母様は黙ってしまうのです。そしてそのうちに私は眠ってしまう…」

かのん「じゃあ理由は恋ちゃんにもわからないんだね」

恋「はい…すみません」

可可「レンレンは悪くないのです!さて、着替えも終わったことですしカラスを探しに行きますよ!」

すみれ「やけに張り切ってるわね」

可可「先日助けてもらった恩をここで返したいと思いまして」

恋「可可さん…ありがとうございます」

かのん「それじゃまずは集会所に行こっか、恋ちゃん案内してもらえる?」

恋「わかりました、行きましょう」
 
12: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:46:03.45 ID:8H2Khby/
集会所

大吉「お、来たな」

恋「遅くなりました」

大吉「いや、無理を言ったのはこっちだ。これ、全員分の軍手と草苅り鎌だ」

すみれ「…カラス探すだけよね?」

大吉「おう、だが見ての通り田舎だからな」

かのん「もしかしたら林や森の中にも入ったりするかもしれないってこと?」

大吉「お、察しがいいな東京の嬢ちゃん。まさに今から林に向かってもらうんだよ」

大吉「進む上で足止めするものがあったら容赦なくぶった切ってもらって構わない。…今回この鎌はそれだけのものじゃねえけどな」

恋「五月女(そうとめ)さんは林の方におられるのですか?」

大吉「おう、お前らを向かわせるって話したから先に林で待ってる。行くぞ」
 
13: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:46:31.28 ID:8H2Khby/
道中

かのん「恋ちゃん恋ちゃん」

恋「どうしたのですか?」

かのん「カブトムシ見つけたらとっていい?」

恋「そ、それはお好きにどうぞ」

すみれ「まったく、遊びに行くんじゃないのよ」

千砂都「私はテントウムシが好きだなー丸いし」

可可「フンコロガシじゃないのですか?」

千砂都「ちょ‪w丸けりゃなんでもいいと思ってるでしょ‪w」

可可「ゴメンナサイ‪w‪w‪w」

千砂都「まあフンコロガシも好きなんだけどさ‪w」

すみれ「好きなんかーい‪w‪w‪w」

一同「‪w‪w‪w‪w‪w‪w‪w」

大吉「…にぎやかな仲間たちだな」

恋「あはは…おかげで毎日楽しいです」

かのん「そういえば恋ちゃん」

恋「今度はどうしたのですか?クワガタもとっていいですよ」

かのん「いやそうじゃなくて…」
 
14: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:46:56.64 ID:8H2Khby/
かのん「さっき言ってた五月女さんってのは誰なの?」

恋「そうでした、五月女さんの話をしておかないといけませんでしたね」

恋「五月女さんというのはこの土地のリーダーのような人で、村の人からは親しみを込めて『とめきっつぁん』と呼ばれています」

恋「大吉おじ様でも頭が上がらない人ですので皆さんくれぐれも無礼のないように」

一同「はーい」

大吉「着いたぞ」

五月女「おう、やっと来たかい。久しぶりだね恋ちゃん」

恋「お久しぶりです五月女さん。例のカラスはこの林で見つかったのですか?」

五月女「んだよ。大吉から聞いてねえのか?ここで昼間に子供たちが襲われたんだよ」

五月女「夏休みなんで林で鬼ごっこをしていた小学生がな。恋ちゃんも昔はよくここで遊んでたよな」

恋「そうですね、懐かしいです」

五月女「後ろの子達は例の仲間たちだな。女の子のあんたらに協力させてしまってすまない。とにかく人手がひつようなんだ。お礼は後でさせてもらうから」
 
15: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:47:21.06 ID:8H2Khby/
大吉「とめきっつぁん、部落の男は、来れるヤツはみんないるんだろ?獲物がいるのに、カラスは襲ってこないのか?人間を襲うのは馬鹿カラスのはずだろう」

五月女「そうなんだよな。子供が襲われてから、すぐどっかに隠れてしまって。出て来ねぇんだ。まぁ、焦ることはねぇよ。本当に人間をついばむカラスなら、すぐ我慢できずに出てくんだ」

千砂都「どういうことですか?」

五月女「例のカラスはそうとうな阿呆ガラスでな。人間を見つけると狂ったように襲ってくんのよ」

五月女「手で払っても逃げねぇから草苅り鎌で簡単に〇せるんだ」

すみれ「ああ、なるほど。そっちが本来の使い道ってわけね」

可可「ブッソウデス…」

恋「可可さんの言う通りです。なぜそのカラスを〇す必要があるのでしょう?放っておいてもいいのでは?…祖母に聞いても教えてくれないのです」

五月女「まぁ、な……教えてやってもいいんだけど、お前ら、まだ学生だべ?あんまり難しいこと気にすんな。口で伝えるのはダメなんだ。見せないと」

恋「見せる?そのカラスをですか?」

五月女「ちげぇよ。んーとな……とにかく、口で伝えるのはダメなんだ。二十歳になってまたここに来たら見せてやるから」

一同「……」
 
16: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:47:44.30 ID:8H2Khby/
数時間後

恋「見つかりませんね」

すみれ「そろそろ暗くなり始めてきたわね…何時間探したかしら」

恋「だいぶ時間経ちましたよね、さすがに疲れてきました」

すみれ「でも爽やかな青草の香りや虫の声、自然の中ってすごく気持ちいいわね」

恋「そうですね。耳をすませば聞こえる虫の声が…」

可可「行け!行くデス!根性見せるデス!!」

かのん「うおおおお!!負けないで!あと少し、あと少しだから!!」

可可「えぇーーーい!!」

かのん「あぁーーっ!!」

千砂都「勝者、可可ちゃん!」

可可「やりマシタ!3連勝デスー!!」

かのん「むぅーまた負けたー」

恋「…聞こえてきたのは虫の声でなくあの人たちの声でしたね」

すみれ「まったく、かのんたちはさっきからなにやってるのよ」

恋「多分、昆虫相撲かと」

すみれ「カラス探しなさいよ」
 
17: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:48:03.92 ID:8H2Khby/
すみれ「そういえば五月女さんは?」

恋「姿は見えませんがおそらく近くにはいるかと。この森を任されたのは五月女さんと私達ですので」

すみれ「そっか、森だもんね」

かのん「よーし、もっと強いカブトムシ捕まえるぞ!」

すみれ「だからカラスを探しなさいよ!」

恋「どうせ今日はもう見つかりませんし好きにさせてあげましょう」

すみれ「あなたもそれでいいの?」

恋「少しカラスにイタズラされただけで死にはしませんよ。それにもともと旅行の予定で来たのですから皆さんには楽しんでもらわないと」

すみれ「まぁ…恋がそう言うなら」

「なんてことをしてくれたんだ!このクソアマが!!なんて大馬鹿なんだ!!」

一同「!?!?」

すみれ「ほら真面目にカラス探さないから怒られちゃったじゃない」

恋「いえ違います!…あれは大吉おじ様の声…別の場所を探していたはずですが…」

可可「声が聞こえたということはすぐ近くじゃないデスカ?」

千砂都「そうみたいだね、行ってみる?」

恋「そうしましょう」
 
18: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:48:25.77 ID:8H2Khby/
恋「大吉おじ様はだれかのことを『クソアマ』なんて言う人では無いのです…いつもは優しくて…」タッタッタ

かのん「…そんな人が声を荒らげるほどの異常事態ってことだね」タッタッタ

すみれ「いやそれあんたが言う?」タッタッタ

かのん「私だって最初はちゃんと探してたんだよ?でも例のカラスどころか普通のカラスすら見つからないから途中で飽きちゃって…」タッタッタ

すみれ「まあ気持ちは分からなくはないけど…」タッタッタ

千砂都「いたよ!」タッタッタ

恋「大吉おじ様!」

大吉「このクソアマ!この野郎!よそ者が!!」

恋「落ち着いてください、いったいなにが…」

一同「!!」

大吉が罵倒を浴びせている先を見ると、着ている服から女だったとしか分からないほど腐敗した死体があった。
 
19: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:49:02.58 ID:8H2Khby/
可可「し、死んでマスよ…」

すみれ「だいぶ腐敗してるわね…着ている服からかろうじて女性だったとわかるけれども…」

千砂都「そ、それよりも匂いがキツいね…さっきまで爽やかな香りだったのに…」

かのん「私…ちょっと気分悪い…」

恋「おじ様!落ち着いてください!なぜ死体に向かって罵声を浴びせているのです!?」

五月女「これは…」

恋「五月女さん!」

五月女「ふんっ」ブンッザク

5人と同じく大吉の声を聞きつけやってきた五月女は何も言わなかったが、死体に鎌を投げつけた。彼もまた怒っていたのだ。

恋「どうしたのですか五月女さんまで!!この人亡くなってますよ!!ど…どうすればいいのですか!?」

大吉「この、クソ……もう遅い。カラスが見つからないのは、このクソアマのせいだ。こいつのせいだ」

恋「はぁ…?」

五月女「驚かせて悪かった。俺も大吉も正気だよ」

五月女「もう夜が来る…たぶん明日だな。嬢さん達、できれば今日中に蜘蛛を見つけるんだ」

かのん「あ、蜘蛛ならさっきとったよ。見てこのジョロウグモ」

千砂都「めちゃめちゃでかいね」

すみれ「カブトムシ以外にも捕まえてたのね…まさかこんなところで役に立つなんて…」
 
20: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:49:22.27 ID:8H2Khby/
祖母の家 玄関

祖母「おかえりなさい」

恋「お祖母様!!」ダッ

すみれ「さっきとまったく同じ光景ね」ヒソッ

千砂都「おばあちゃんのこと大好きなんだね」ヒソッ

祖母「お疲れ様、なんだか大変なことになっているみたいね。『人間をついばむカラス』が出たんだってね」

恋「お祖母様…教えてください!!そのカラスというのはいったいなんなのですか!!」

祖母「……」

一同「……」

祖母「と、とりあえず中へお入り、お風呂も用意してあるから先に入りなさいな」

かのん「わーいお風呂お風呂ー!」ダッ

可可「一番風呂は頂くデスー!」ダッ

すみれ「ちょ、あんたら待ちなさい!!少しは遠慮というものを…」

千砂都「あはは…」

祖母「……」

恋「お祖母様…?」
 
21: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:49:46.17 ID:8H2Khby/
翌日

恋「皆さん、起きてください」

かのん「ふぇ…もう朝…?」

千砂都「ん…ってまだ5時じゃん」

可可「まだ眠いデス…あと5分だけ…」

すみれ「こら起きなさい!」チョップ

可可「いてっ」

恋「朝早くに起こしてしまい申し訳ありません。祖母が皆さんとともに行きたい場所があるみたいで」

千砂都「昨日のことで?」

恋「ええ、人をついばむカラスについて話があると…」

すみれ「で、どこに行くっていうのよ」

恋「ドスコイ神社です」

チクカス「ドスコイ神社?」
 
22: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:50:02.49 ID:8H2Khby/
居間

恋「お祖母様、おはようございます」

祖母「恋ちゃんおはよう、それに他のみんなも」

チクカス「おはようございます」

祖母「朝早くにごめんなさいね。恋ちゃんから聞いてると思うけどこれからドスコイ神社に行こうと思うの…みんな昨日のこと気になってると思うから」

恋「準備はできています。早速行きましょう」

可可「どすこーい」
 
23: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:50:15.54 ID:8H2Khby/
神社へ向かう一行

かのん「それにしても、変わった名前の神社だよね。ドスコイ神社」

すみれ「可可は気に入ってるみたいだけどね」

可可「どすこいどすこーい♪」

恋「あはは、正式な名前はちゃんと他にあるみたいですけどね。部落の子供が必ず一度はその敷地で相撲をとって遊ぶことから、ドスコイ神社と呼ばれるようになったみたいです」

かのん「なるほど」

千砂都「お相撲の土俵って丸くなっててかわいいよねぇ」

すみれ「なんの話よ」

可可「…そういえば、昨日の人をついばむカラスというのは妖怪かなにかなのデスか?」

祖母「いいえ、カラスはカラス。ただの鳥よ。でも、もうカラスじゃないの。〇さなくちゃいけないのは…」

恋「〇すって…」

すみれ「あ、着いたみたいね」

かのん「ここがドスコイ神社…」

祖母「この本殿の中にあるわ。私に聞かれても上手く説明できないの…ごめんなさいね」
 
24: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:50:39.63 ID:8H2Khby/
祖母「おばあちゃんは家に帰るから、あなた達で中を見ておいで。そこにあるものに答えはないの。あなた達が感じたことが全てよ」

恋「お祖母様…?」

祖母「それじゃ、ご飯作って待ってるわね」

恋「あ…」

千砂都「行っちゃったね」

かのん「とりあえず中に入ってみる?」

すみれ「いや鍵かかってるわよここ、どうするの?」

恋「鍵は先ほどお祖母様から預かりました…行きます?」

すみれ「ちょ、あんたがビビってどうすんのよ」

恋「だって…」

千砂都「まぁ行って確かめないとだよね。私たち今起こってることについてほとんど何もしらないし。ここに答えがあるかはわからないけど…」

かのん「でも昨日のことで連れてこられたってことは何かしらあるってことだよね」

可可「その通りデス。答えとまではいかなくとも『人をついばむカラス』についてのなにかがここに隠されているのデス!」

すみれ「言い切ったわね」

可可「展開が欲しいのでそうでないと困るのデス」

すみれ「まぁ、そうね」

恋「…そうですね、では開けますよ」カギガチャガチャ

ちくかす「…」ゴクリ
 
25: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:51:04.43 ID:8H2Khby/
ギィー…

千砂都「暗くてよく見えないね」

すみれ「可可、懐中電灯持ってきてたわよね」

可可「つけマスね」パチッ

一同「……」

かのん「何も無いね…こういう所ってなにかあるんじゃないの?こう…御神体的なものが」

千砂都「うん…」

可可「本当に何も無いデスね…ただの部屋って感じデス…というかここ独特な匂いしますね」キョロキョロ

すみれ「そうね、なんか墨っぽい匂いするわよね」

恋「…!可可さん、懐中電灯貸してください」

可可「どうぞ、なにか見つけたのですか?」

恋「おそらく。皆さん壁に注目してください」

チクカス「?……!!」

かのん「染み…?いや違う、墨でなにか描いてある…?」

千砂都「絵じゃない?」
 
26: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:51:17.29 ID:8H2Khby/
すみれ「壁一面に描いてあるわね…上は?」

恋「上にもなにか描いてあるようです」

すみれ「なんか…気持ち悪い絵ね」

かのん「ねえ、この絵って繋がってるのかな…四コマ漫画みたいに」

千砂都「どこが始まりでどこが終わり?」

かのん「わかんないけど…だいたいこういうのって右からじゃない?で、上で終わるんじゃないかな…なんとなくだけど」

可可「なるほど、それでは早速この絵を考察するのデス」

すみれ「まずは右の壁ね。ここに描かれているのは…黒い鳥の巣、黒い鳥、そして黒い卵?」

千砂都「黒い鳥は多分カラスだよね。なんで卵と巣が黒いのかはわからないけど」

可可「次に奥の壁デスね…真っ黒な卵から人間のようなものが孵りマシタね」

すみれ「これ人間なのかしら?真っ黒だけど」

可可「人型のナニカ、デスね」

かのん「次は左の壁だね、さっきの黒い人が…普通の人?をいじめてるのかな」

すみれ「明らかに〇してるわよねこれ、血しぶき出てるし」

恋「そして最後…」

恋「その黒い人間がたくさんの蜘蛛に囲まれて両腕を広げ広げてる絵ですね」
 
27: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:51:35.72 ID:8H2Khby/
かのん「これは蜘蛛が黒い人をやっつけたってこと?」

可可「そうでショウね、めでたしめでたしデス」

千砂都「まとめてみると、カラスが産む黒い卵から孵った黒い人型のナニカが普通の人々を蹂躙するけど最後は蜘蛛がやっつける話…って解釈でいいのかな」

恋「おそらくそれであっているかと…皆さん少しいいですか?」

かのん「どうしたの?」

恋「今朝皆さんを起こす前にお祖母様と少し話したのですが…その内容を皆様にお伝えしようかと」

かのん「お、聞きたい」

恋「では。皆さん神社の入口に石碑があったのは見ましたか?」

すみれ「なんかあったわね。なんとなくスルーしたけど」

千砂都「ちらっと見たけど私たちじゃ読めなさそうだったしね」

恋「そうですね。流暢な文体で読めたものではありませんでしたがあそこには『口伝は駄目だという口伝』と書いてあるそうです」

可可「口伝は駄目だという口伝?」

恋「はい、理由はわかりませんが口で伝えるのは駄目なんだそうです」

かのん「だから絵で残したんだね」

恋「そうですね、なので大吉おじ様も五月女さんもお祖母様も本当のことは知らないのだそうです」

すみれ「つまりこの絵は昔の人が描いた、化け物への防衛策ってこと?口で伝えるのは駄目だから」

千砂都「だろうね」

可可「待ってクダサイ、ということはこの化け物が今何処かにいるということデスか?」

すみれ「昨日必死にカラスを探してたのは、この化け物が産まれる前になんとかしたかったんでしょうね。でも昨日の大吉さんや五月女さんの反応を見るに手遅れの可能性はおおいにあるわね」

かのん「え?本気で怖くなってきたんだけど。私たち生きて帰れない可能性出てきたよね?」

恋「落ち着いてください、まだ話は終わってません」

かのん「そうだよね、ごめん。続けて」

恋「いいえ、取り乱してしまうのは当然のことですので…続けますね」
 
28: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:52:13.68 ID:8H2Khby/
恋「皆さん下を見てください」

チクカス「?」

『人間』

可可「文字が書いてありますね…『にんげん』…?」

恋「これは『ジンカン』と読むらしいです」

千砂都「ジンカン?」

恋「これだけは口で伝えることになっているらしいです。おそらく描かれている化け物の名前でしょう。私たちがこれから〇さなくてはいけないものらしいです…」

一同「……」

かのん「ちょっと昨日のこと考えてたんだけどさ、この黒い巣っていうのは人の髪の毛で作られてるんじゃないかな」

千砂都「なるほど、『人をついばむ』っていうのはそういう…」

かのん「あとなんか蜘蛛捕まえ って言われたよね。この絵の通りだと蜘蛛がジンカンをやっつけるってことだよね?」

恋「その通りです。これも朝聞いた話ですが言い伝えの通りだと蜘蛛の巣にはジンカンを払う効果があるみたいです」

恋「なので村の方々は既に蜘蛛に巣を張らせているそうです。…さて、私が聞いた話はここまでです。帰りましょうか」
ーーー
ーー

 
29: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:52:34.29 ID:8H2Khby/
帰り道

可可「本当デスね…皆さん蜘蛛に巣を張らせています」

すみれ「なんというか…変な宗教団体みたいね」

千砂都「かのんちゃんがとった蜘蛛かなり大きかったよね。それより大きい蜘蛛なんて五月女さんのところくらいじゃない?」

かのん「へへ、すごいでしょ」

可可「でもあの絵を描いた人は頭悪いデスよね」

千砂都「どうして?」

可可「口で伝えるのが駄目なら文章で残せばよかったじゃないデスか」

恋「あはは、きっと頭が悪かったから文章では残せなかったんですよ」

可可「なるほどデス」

すみれ「文字は時代によって形が変わったりするから確実に伝えるために絵にしたんじゃないかしら…考えすぎ?」

可可「グソクムシにしてはなかなか面白い考察デスね」

すみれ「グソクムシ言うな」
 
30: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:52:51.14 ID:8H2Khby/
その晩

かのん「ねえ、最初にヒトカゲ選んだんだけどこれどうやってタケシ倒せばいいの?詰みじゃない?」ピコピコ

可可「レベル上げてひっかくでゴリ押すデス」

すみれ「あんたもポケモン好きなの?」

可可「はい、初めてはBWデシタ。ケンホロウが相棒だったデス」

すみれ「ケンホロウ‪w‪w‪w‪w」

可可「な、何がおかしいデスーーー!!」

ワイワイガヤガヤ

恋「みなさんお茶がはいりましたよ」

千砂都「お茶菓子はおまんじゅうだよ!」

可可「わーい食べマスー!」

すみれ「あんたさっき晩御飯あんなに食べたのに食欲すごいわね」

可可「デザートは別腹なので」

かのん「タケシに負けたから私もお茶飲むー」

すみれ「そういえばお祖母さんは?」

恋「お祖母様なら先程寝ましたよ」

すみれ「あ、もうそんな時間なのね。9時すぎてる」

ドタドタドタドタ

大吉「恋ちゃん!!おばさんいるか!!」

一同「!?」

恋「大吉おじ様…?祖母なら先程床に就きましたが…どうされたのですか?…というかその服は!?」

いきなり現れた大吉の白シャツは鮮血によりところどころ赤く染まっていた。

大吉「大変だ!とめきっつぁんがやられた!!ジンカンだ!!」

一同「!!!」

かのん「ねえ、まじでやばくないこれ?」コソッ

すみれ「そうね、いざと言う時のために走って逃げる準備だけしておきなさいよ」コソッ

恋「おじ様!落ち着いてください!五月女さんはどうなっているのですか?」

大吉「死んだ!完全に死んだ!これを見ろ、とめきっつぁんの血だ!まずいぞ、蜘蛛じゃない!ジンカンは蜘蛛じゃ〇せないんだ!」

恋「落ち着いてください!五月女さんの家には小さなお孫さんもいたはずですが家族の方はどうしました?」
 
31: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:53:06.61 ID:8H2Khby/
大吉「家族はみんな、公民館に逃げてきて無事だった…。だから公民館で、見回りから帰ってきた俺に、とめきっつぁんの様子を見てきてくれって!とめっきっつぁんはやられてた!」

恋「やられてたとは…どのような状態だったのですか?」

大吉「穴だらけだった…!血が噴き出していた!」

カンカンカンカンカンカンカンカンカン

可可「この音は…?」

恋「消防の鐘ですね…」

大吉「公民館に行くんだ…今日はみんなで集まるんだ…守るんだ」

かのん「ねえ、恋ちゃん?」

恋「かのんさん、どうしました?」

かのん「その…」

かのん「なんか臭わない?」スンスン

恋「…確かになんか臭いますね」スンスン

千砂都「最近嗅いだことのある臭い…これって…」

可可「死んだ人の臭いデス!!」
 
32: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:53:53.28 ID:8H2Khby/
一同「!」

可可「死んだ人の臭いがシマス!」

大吉「俺じゃない…この臭い、外からだ!」

ドンッ!!!

一同「!?」

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!!!!

玄関の戸を叩く音が響く。何事かと思い、皆廊下に出て戸に目を向け固まる。正常な人間ならこんな戸の叩き方はしないだろう。戸の向こうにいるものが人間ではないのは明らかだった。

かのん「ジンカン…?」

バリンッ!!!!

戸が壊れた。私たちがいる茶の間は玄関から廊下とふすまをはさんですぐだったので、それが目の前に現れるのもすぐだった。

ジンカンは存在した。

かのん「ぎゃぁあぁああああぁああ!!化け物だ!ジンカンだよ!!!」

人間の形をした、人外の化け物。その身体は絵のとおりに真っ黒だった。
その腐ってただれた身体には人間で言う左腕が無かったが、そのかわり右腕の動きが異常だった。こんな化け物を蜘蛛で〇せると本当に思っていたのか…。

可可「ひいいぃぃ!!なんで家の中まで入ってくるデスカ!!蜘蛛の巣張ったじゃないデスカ!!」

すみれ「落ち着きなさい、とりあえず逃げるわよ!恋、公民館ってどこ…って恋はどこに行ったのよ!!」

ジンカン「ァー!!」

ジンカンはその顔を人間では考えられない角度にぐるりと回転させ、明らかに大吉おじ様に狙いを定めた。

大吉「…!」

ジンカン「ァァァ」

恋「みなさん離れてくださいっっ!!」

千砂都「恋ちゃん!!」

恋「はっ!!!」バシャッッッ

ジンカン「ァァァァァァ」

可可「この臭い…ガソリンデスカ!る」

恋「燃やします!!みなさん離れてください!!」ボッ

ジンカン「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!!!!」メラメラメラ

恋「はぁ…はぁ…もしジ

一同「……」

ジンカン「……」
 
33: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:57:30.90 ID:+GWajHJD
転がるジンカンはやがて叫ぶことをやめ、空気の抜けていく風船のようにしぼんでいき、炎とともに消えた。

すみれ「し…んだの?」

大吉「な、なんだったんだ…」

恋「大吉おじ様、公民館へ行ってことの顛末を皆様に伝えてくれませんか?私たちは完全に消火してから祖母を連れて公民館へ向います」

大吉「お…おう…」スタスタスタ

一同「……」

かのん「終わったの…?」

恋「おそらくこれでジンカンは消滅したと思います…みなさん後片付け手伝ってください」

チクカス「は、はい…」

祖母「どうしたの…?随分賑やかだったみたいだけど…」

恋「お祖母様…!」

祖母「ちょっと、なにしたのこれ!室内でキャンプファイヤーなんてするもんじゃないわよ!」

一同「………」

可可「恋のお祖母さんってもしかして少し天然なんデスカね…」コソッ

すみれ「ちょっと黙ってなさい」コソッ

恋「実は…」カクカクシカジカ
 
34: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:57:58.58 ID:+GWajHJD
その日は皆で後片付けをしてから祖母を連れて公民館へ向かいました。
大吉おじ様が避難してきた人達にことの顛末を説明していましたが、いきなりそんな話をされて信じられる人というのは多くなく…しかしはじめは信じられないでいた部落の住民も、祖母の家の有り様と、五月女さんの遺体を見たら何も言えなくなった。
 
35: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:58:12.72 ID:+GWajHJD
翌朝

恋「皆さん、起きてください」

かのん「ふぇ…もう朝…?」

千砂都「ん…ってまだ5時じゃん」

可可「まだ眠いデス…あと5分だけ…」

すみれ「ちょっと、なんかデジャヴなんだけど」

恋「昨日同様朝早くに起こしてしまい申し訳ございません、これからドスコイ神社へ向かおうと思うのですが」

千砂都「昨日のことで?」

恋「はい、少し確かめたいことがあって…鍵は持ってるのでさっそく行きましょう」
 
36: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:58:31.96 ID:+GWajHJD
ドスコイ神社

可可「相変わらず気味の悪い絵デスね…」

千砂都「私さ、昨日の夜寝る前に恋ちゃんには言ったんだけどさ」

千砂都「これ、『蜘蛛がジンカンを〇す』んじゃなくて、『蜘蛛を目印にジンカンが襲う』絵だよねってことに気付いて…。昨日は蜘蛛がやっつけてるって解釈したけど夜中のこともあったしよくよく見るとまるで蜘蛛はジンカンの手下って感じだよね」

すみれ「たしかにそう見えるわね」

かのん「というかそれ聞いた後だとそうとしか見えないよね」

恋「そして千砂都さんの話を聞いた後色々考えて思ったのです」

恋「この話は天井から始まるのではないかと」

チクカス「!」
 
37: (らっかせい) 2022/02/20(日) 16:58:47.95 ID:+GWajHJD
恋「右から読むとカラスが産んだ卵から血しぶきをあげるジンカンが孵り、人々を蹂躙し最後に蜘蛛にやっつけられる話になります。」

恋「ですが天井から読むとどうでしょう。蜘蛛を従えるジンカンは人間を〇して、最後にはカラスの産む黒い卵で血しぶきをあげて死ぬ。そんな話になると思いませんか?」

かのん「なるほど…本当は逆だったんだね…」

恋「確証はありませんが…」

可可「ということは、『人間をついばむカラス』がジンカンを産むのでは無く、そのカラスの卵がジンカンを〇す卵だった…という訳デスか?」

恋「!…だとしたらその卵を割って全てが終わる…まだ終わってない…」

恋「皆さん、朝食を食べた後すぐに卵を探しに向かいますよ!」
 
44: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:03:28.75 ID:+NeSTsWC
朝食後

すみれ「それにしても昨日の恋の行動力はすごかったわね」

かのん「ほんとだよ!私なんて逃げることしか考えてなかったのに」

千砂都「あんな怖いもの目の前にしてよく動けたよね」

恋「や、やめてください!みなさんを守るために動くのは当たり前です!」

恋「これからは学校も守らなくてはいけませんし、あそこで怯むようでは生徒会長は務まりません!」

すみれ「今の発言で全国の生徒会長へのハードルがぐぐっと上がったわよ」

可可「さすがレンレンは強いのデス!結ヶ丘女子高等学校初代生徒会長ばんざいデス!」

チクカス「ばんざーい!ばんざーい!」

恋「もう!はやく卵を探しに行きますよ!」

かのん「というかあの林に行くってことだよね。首吊り死体とかもう見たくないんだけど…」

恋「安心してください、死体は一昨日のうちに駐在さんが片付けてくれたみたいです」

千砂都「よかった…すごい臭いだったもんね」
 
45: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:03:51.40 ID:+NeSTsWC


すみれ「というかカラスの卵なんて見つけられるの?」

恋「コツがありますよ!真上ではなく斜め上を見るんです」

可可「なるほど」

かのん「ちょっと得意げな恋ちゃんかわいいね」コソッ

千砂都「ほんとにね」コソッ

かのん「大きくはないとはいえこの広さだから簡単には見つからないよね…卵」

かのん「そのうえ昨日の今日でこの林だよ…めちゃめちゃ怖いよ」

千砂都「お日様が出てるのに不気味だよね」

すみれ「まぁ人が死んでるわけだしね…」

かのん「というかそもそもカラスが飛んでないよね、この2日間で1羽も見てないまであるよ」

恋「この辺りにはあまり高い木がありませんからね…カラスは高い木に巣を作ると聞きました」

すみれ「それって見つけるの無理じゃない?」

恋「探して見つからなかったら仕方がありません。探すだけ探してみましょう」
 
46: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:04:32.03 ID:+NeSTsWC
2時間後

恋「見つかりませんね…」

すみれ「まあそこそこ広さあるものね…」

かのん「恋ちゃん!みんな!ちょっと来て!!」

可可「見つけたのデスカ!?」

かのん「うん!これだよね?」

恋「お手柄ですかのんさん!まさしくこれですよ!」

千砂都「すごい、本当に髪の毛だけで巣が出来てる…」

可可「卵も綺麗な漆黒デスね。まるで人が造ったみたいデス…」

すみれ「意外なところにあったわね、もっと高いところにあるものだと思ってたわ」

恋「そうですね、まさか私達が手を伸ばして届く高さにあるとは思いませんでした」

恋「それでは、持って帰りましょう」
 
47: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:04:54.31 ID:+NeSTsWC
ーーー
ーー


恋「割りますよ!」

かのん「割るの!?」

恋「割ります。神社の絵に従うのであればこの卵を割ってジンカンの最後です」

恋「あの時焼け死んだのならそれに越したことはないのですが…」

千砂都「さすがに割るのは少し怖いね…ジンカンが出てくるかも」

すみれ「ちょ、笑えない冗談やめなさいよ」

千砂都「ごめん‪‪w大丈夫、この卵からジンカンは産まれないはずだよ。卵が割れてないのが何よりの証拠だよ」

可可「でも中身は気になりマスね…何が入っているんでショウ…」

恋「ではいきますよ」スゥー…

恋「ていっ!!」パリンッ

かのん「おぉ…まさかのグーパン」

千砂都「すごい勢いだったね」

恋「怖いんですもん…」

可可「…何も入ってませんでシタね」

すみれ「まぁ今の勢いならなにか入っていても潰れてたでしょうけど」
 
48: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:05:07.92 ID:+NeSTsWC
祖母「ちょっと恋ちゃん、廊下に何塗ったの?」

恋「お祖母様?」

祖母「ペンキでもこぼしたのかい?真っ黒なのだけれど」

恋「???」

廊下に出てみると、昨日ちょうどジンカンが息絶えた位置が黒く染まっていた。

一同「……」

恋「…」コクッ

恋「そ、そうなんです。ちょっとペンキをこぼしてしまいまして…」

私達はそういうことか、と頷いて祖母を不安にさせないようにペンキをこぼしたことにして誤魔化しました。これで、全部終わったのですから…。
 
49: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:05:22.50 ID:+NeSTsWC
その後、五月女さんの葬儀は部落をあげて行われた。
五月女さんの親戚も来ていたが、遺体を見せることはなかったし、私達も見せてもらえなかった。
彼は『不運な事故』で死んでしまい、今もそういうことになっている。

その後、紆余曲折あって、ドスコイ神社のあの絵は現代の人間にも理解しやすいよう描きかえられた。
そして大きく変わったことがひとつだけ。絵以外は何もなかったドスコイ神社の本殿には、立派な御神体が置かれた。まるで人間が造ったように美しい、漆黒の卵。私達5人が見つけた卵は2つあったから。
 
50: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:05:36.35 ID:+NeSTsWC
最後に、部落の子供に『人間をついばむカラスはすぐ〇せ』と教えることはなくなった。
むしろカラスはほうっておくように教える大人が増えている。
部落で毎年行われていた『カラス追い祭り』なる祭りも無くなったそうだ。
今の部落の長は、ジンカンに〇された五月女さんの息子で彼もまた、みなから親しみをこめて『とめきっつぁん』とよばれているらしい。

あの一件の以来、祖母の家にはお邪魔していないので、詳しいことは分からないのですが…。いえ、正確にはお邪魔していないわけではなくお邪魔「できなく」なったのですが、それについてはまたいつか…。

恋「Liella!の東北旅行」千砂都「この村の怪異?」[完]
 
51: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:07:16.08 ID:+NeSTsWC
エピローグ的なものが少しだけあります
 
52: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:15:07.25 ID:Ms2WK2I8
1週間後
縁側でまったりするLiella!一行

かのん「今日で恋ちゃんのおばあちゃんちも最後かぁ」

千砂都「すごくお世話になったよね」

恋「いえいえ、それより皆さんを大変なことに巻き込んでしまい申し訳ありませんでした。お片付けまで手伝って頂いて」

すみれ「別にあんたが謝ることじゃないでしょ」

可可「そうデス!それにすごく楽しかったデスよ!みんなで壊れた戸を直したり川遊びしたり!」

恋「そう…ですね!私もすごく楽しかったです!」

恋「祖母もすごく楽しそうでした!」

かのん「恋ちゃんのおばあちゃんが帰ってきたらお礼言わないとね」

千砂都「だね、帰る準備もそろそろしないとねー」

可可「もう少しまったりしてからでも遅くないのデスー…」

すみれ「そうね、もう少しゆっくりしましょう」

恋「じゃあ私はお茶をいれてきますね」

千砂都「私も手伝うー!」
 
53: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:15:30.02 ID:Ms2WK2I8
すみれ「そういえばかのん、タケシ倒した?」

かのん「うん!ハナダジムまで行ったよ!ナゾノクサいるし余裕だよね!」

可可「カスミを甘く見ないほうがいいデスよ…」

ワイワイガヤガヤ

千砂都「賑やかだねー」

恋「そうですね」

恋(お母様、あなたの遺した学校で素晴らしい仲間に出会うことができましたよ)

恋(ラブライブ!…必ず優勝するので見ていてくださいね!)

恋「さ、お茶をいれに行きますよ!今日のお茶菓子はどら焼きです!」

恋「…ふふっ」

















???「ぽぽぽ…」

つづく
 
54: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 19:22:27.67 ID:Ms2WK2I8
最後まで読んでいただいた方、待っていてくださった方本当にありがとうございます?
忙しくて投稿が遅くなった挙句テンポ悪くなってしまい申し訳ないです?
次回は長身白ワンピのあの子のお話です…!
ご縁がありましたらその時はまたよろしくお願いします。 それでは!
 
58: (もんじゃ) 2022/02/21(月) 21:58:40.80 ID:l8rgsFSy
過去作貼っておきます!
リゾバ https://lovelive-petitsoku.com/chat-category/130614/

ユキノオー説 https://lovelive-petitsoku.com/chat-category/128383/
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1645342560/

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