【SS】侑 「今日は歩夢の誕生日。でも歩夢相手なら私も記憶力を鍛えないと……」【ラブライブ！虹ヶ咲】

侑 「……」 ﾑﾑﾑ

歩夢 「侑ちゃん？ どうしたの？」

侑 「……歩夢、この道覚えてる？」

歩夢 「この道？」

侑 「うん、懐かしいよね」

歩夢 「？ 通学路だからね」
　

侑 「……歩夢、あのお店覚えてる？」

歩夢 「あのお店？」

侑 「うん、あそこのオムライス美味しかったよね」

歩夢 「そういえば会計のとき、侑ちゃんが百円足りなくて、侑ちゃんに貸してたの返してもらってないかも」

侑 「この話、無かったことにしようか」

歩夢 「ふふ、別に返さなくてもいいから、せっかくの会話無かったことにしないよ」

侑 「会話までコレクター魂が出てるの？」
　

歩夢 「侑ちゃん、今日どうしたの？ 少し変だよ？」

侑 「……実は今日、大切な日なんだ」

歩夢 「えっ？ 音楽科の課題の締め切りとか？」

侑 「嫌なことを思い出してしまった……でもそうじゃなくて」
　

歩夢 「そうじゃないの？ 大切な日……うーん、なんだっけ？」

侑 「私の誕生日はすぐ祝うのに、歩夢は自分のことには鈍感なんだから……今日は」

歩夢 「待って、自分でもう少し考えたい」

侑 「いま私、大ヒント言っちゃったけど、ここから間違えようある？」
　

歩夢 「分かった、オリジナルTシャツの日だ！！ 間違いないよっ！」

侑 「大間違いだよ。なに？ オリジナルTシャツの日って聞いたことないんだけど」

歩夢 「知らないの？ 侑ちゃん？ 常識だよ？」

侑 「浸透してない常識が悪い」

歩夢 「オリジナルTシャツを制作する際に大事にしたいポイント三つ。『Message』『Memorial』『Mind』を、一つのTシャツに込める……このことから三月一日をオリジナルTシャツの日だって制定したんだよ」

侑 「なるほど……？」
　

歩夢 「ちなみに『メッセージ』はそのままだけど、メモリアルは少し難しいから日本語訳してみるね。すると『想い出』という意味になるんだけど」

※ちなみにマインドは『心・絆』を表している。

侑 「想い出、良い言葉だよね」

歩夢 「あの日々は良い想い出だったよね」

侑 「もう過去形になってるの？ スクールアイドルの日々。これからだよ歩夢」
　

歩夢 「もしかして、オリジナルTシャツのことではない……？」

侑 「仮にそうだとしても、私にとって何が大切な日なのそれ」

歩夢 「毎日が記念日っ！！ 今日はいつだって大切な日でしょ！？ 侑ちゃん！！ だからそんなこと言わないでっ！！」

侑 「情熱は伝わってくるけど、普通に今日は記念日なんだよ歩夢」
　

歩夢 「なんの記念日なの……？」

侑 「言っていいの？」

歩夢 「やだ。侑ちゃんに記憶力で勝ってるの実は自慢なんだ」

侑 「そうだったの？ ってことはいつも思い出を話してくるのはただの記憶力マウントだったの？」
　

歩夢 「分かった、今日はマヨネーズの日だ。これで合ってるよね？」

侑 「もう当てられそうにないからはっきり言うね。誰かの誕生日だよ今日」

歩夢 「うん、だからマヨネーズの誕生日である三月一日でしょ？」

侑 「もっとマヨネーズ以外に祝うものがあるでしょ？」
　

歩夢 「まあ正確にはキューピーが最初に日本でマヨネーズを製造・販売したのが三月で、そこに日本初という要素で一を足したから、三月一日が記念日になってるだけで、一日が誕生日なわけではないけど……」

侑 「やけに詳しいね」

歩夢 「それにしても侑ちゃん、マヨネーズの誕生日が大事な日だなんて、野に咲く花まで愛すような寛大な心なんだね。ますます好きになっちゃうな」

侑 「だから別にマヨネーズを祝ってるわけじゃないんだけどなぁ」
　

歩夢 「え？ マヨネーズじゃないなら三月一日の記念日は後は……デコポンの日？ 未来郵便の日？」

侑 「うーん、そのどちらでもないっ」

※ちなみに未来郵便とは、数年後の指定日に手紙や品物が届く制度のこと。タイムカプセル郵便とも言う。

歩夢 「えっ、じゃあ、後ある記念日で言ったら……」

侑 「なんでそんな三月一日に詳しいの？ 自分の誕生日と同じ記念日調べちゃったんだよね？ もう答えわかってるんだよね？」
　

歩夢 「切抜の日かな」

侑 「切り抜きの日？」

※各種の新聞や雑誌などから顧客の必要な情報だけを切り抜いて提供する日本初の切り抜き会社「日本諸新聞切抜通信」が設立された日が三月一日であることが由来。

歩夢 「新聞紙、切り取ってみるね」

ﾁｮｷﾁｮｷ

ﾁｮｷﾁｮｷ
　

ゆ う ちゃん いつも ありがとう

侑 「嬉しいな……なんか新聞の文字を切り取って貼ると事件性を感じる点を除けば」

歩夢 「文字が余っちゃった……」

きやこんこん 〜さむい こなべ

侑 「『ゆきやこんこん う〜さむい ちゃんこなべ いつも ありがとう』ってどんな記事の見出し？」
　

歩夢 「それにしても、本当に分からないや……侑ちゃん、記憶力がたまたま上だったからって調子に乗らないでね。私侑ちゃんの傷の数が七つって覚えてるし、星列の形だってことも覚えてるから」

侑 「いや怖いよ、それにそれ私じゃなくてケンシロウでしょ。北斗七星でしょ」

歩夢 「お前はもう死んでいる……なんちゃって」

侑 「いや生きてるし、むしろ歩夢は今日生まれたんだよ」

歩夢 「えっ？」
　

侑 「……まだ分からないの？ 今日は私にとって大事な記念日。それは」

せつ菜 「侑さん！！ 誕生日ケーキ持ってきましたよーー！！ 歩夢さん誕生日おめでとうございます！！」

侑 「ありがとうーーーー！！ せつ菜ちゃん！！ 私が最初に言いたかったなっっ！！！！！！」

歩夢 「そっか……！ 今日は私とマヨネーズの誕生日……！」

侑 「マヨネーズは余計かな」
　

歩夢 「ありがとうみんな……ありがとう侑ちゃん……」 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

せつ菜 「泣くのは早いですよ、ほらみなさんが待ってます」

一同 「「ハッピーバースデー！！」」

愛 「歩夢、お誕生日おめでとう！ 今日は嬉しくてバスで帰ろうかなっ、バースデーだけに！」

かすみ 「歩夢先輩、お誕生日おめでとうございます！ これからも歩夢先輩には絶対負けませんから！ お互い頑張りましょう！」
　

璃奈 「おめでとう、歩夢さん。これからも、たくさん仲良くしてくれたら嬉しい。璃奈ちゃんボード『ハッピーバースデー』」

しずく 「歩夢さん、おめでとうございます！ 誕生日はとてもめでたいということで、せっかくなので歩夢さんのモノマネを演じさせてもらいます。『あゆぴょんだぴょん！』」

彼方 「歩夢ちゃんお誕生日おめでとう〜。眠い中全力で頑張ったよぉ、ところでさっき言ってた『クソゲー並べて大地讃頌を歌いたい』ってどういう意味だったのかな？」
　

エマ 「ふふ、それは多分夢の中の話だと思うよ、彼方ちゃん。歩夢ちゃんお誕生日おめでとう！ これからもいっぱい仲良くしてね！」

果林 『歩夢、お誕生日おめでとう。訳あって会場には辿り着けずリモートなのは許してね。歩夢はとっても可愛い後輩だわ、いつも癒されてるの。ありがとね』

歩夢 「みんな……！ 本当に、本当に、ありがとう……！」 ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
　

こうして、私は最高の誕生日パーティーを過ごすことができました。

せっかくなので、三月一日にちなんだことをしたいと、デコポンをみんなで食べたり、オリジナルTシャツを作ったり、本当に楽しかった一日で……最後にみんなの手紙を未来郵便で十年後に届くようにしました。
　

この手紙を読むときは、きっと私も大人になってるし、アイドルもまだ続けてるのかな？ それはまだ分からないけど……。
でも一つはっきり分かることは、きっと十年後もこうして、みんな一緒にいてくれること！ こうして誕生日を祝ってくれること！

それが一番の幸せだから。
だからあなたには感謝しかないんだ。
ありがとう、私をスクールアイドルとして輝かせてくれて……！

3/1 上原歩夢より

おわり
　

ありがとうございました。
歩夢ちゃん誕生日ssを書かせてもらいました。
お誕生日おめでとうございます！
結局記憶力勝負だと、歩夢ちゃんには勝てない侑ちゃんでした。

去年の歩夢誕生日ss
歩夢 「せつ菜ちゃんの方が大事なの！？」侑 「違うよ」

【SS】歩夢 「せつ菜ちゃんの方が大事なの！？」侑 「違うよ」【ラブライブ！虹ヶ咲】

侑 「見て、歩夢。あの花綺麗だね」 歩夢 「花の方が大事なの！？」 侑 「違うよ」 歩夢 「じゃあなんで私と話してるのに花の方を向くの！？」 侑 「……あの花、歩夢に似合うかなって」 ﾎﾞｿｯ 歩夢 「え、侑ちゃん……///」 ｶｧｧ

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2021年3月1日 03:00