【SS】侑「歩夢のこと歩夢ちゃんって呼んでみよう！」【ラブライブ！虹ヶ咲】

前日

侑「明日は歩夢の誕生日！今年は何しようかなぁ」

侑「かすみちゃん何かいい案ある？」

かすみ「そうですねぇ……」

かすみ「……ぴこーん！かすみん、閃いちゃいました！」

侑「えっ、なになにー？知りたい！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

かすみ（……）

かすみ「お二人は長いこと一緒なわけですし……変化が必要だと思うんです」

侑「うんうん」

かすみ「だから歩夢先輩に新鮮な気持ちを味合わせる為に呼び方を変えてみるなんてどうです？」

侑「呼び方……呼び方かぁ……たしかに変化はあってもいいよね……」

侑「よし！採用！」

かすみ「やった♡」

侑「えーと……じゃあ……明日は」

侑「歩夢のこと歩夢ちゃんって呼んでみよう！」
　

歩夢誕生日　朝

侑「おはよ～」

歩夢「あ、侑ちゃん……お、おはよう！」ﾄﾞｷﾄﾞｷ　　

侑「えへへ、誕生日おめでとう！」

歩夢「う、うん！ありがとう！（ふふ、やっぱり一番最初は侑ちゃんから祝ってもらいたいな……その為に朝までスマホもみないし家族からも事前に帰るまで祝わないでって言ってるし）」

歩夢（今年は侑ちゃん何してくれるのかなぁ……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

侑「プレゼントは……放課後のみんなでやるお誕生日会に渡すね」


侑「────歩夢“ちゃん”」




歩夢「……………………」

歩夢「────────ぇ？」
　

歩夢（聞き……間違いかな？今、侑ちゃん……）

侑「？どうしたの歩夢ちゃん、ボーッとして」

歩夢「いや、その……」

侑「そろそろ行かないと電車遅れちゃうよ？行こ、歩夢ちゃん」ﾃｸﾃｸ　

歩夢「あっ……う、うん」

歩夢（聞き間違い……じゃない）

歩夢（侑ちゃん……私のこと、歩夢ちゃんって呼んでる）

歩夢（なんで……）
　

侑（ふふ……歩夢、驚いてるね。かすみちゃんの言った通り変化を楽しんでくれてるみたい！私もボロを出さないように徹底しないと！）ﾃｸﾃｸ

歩夢（怒っては……いないよね。侑ちゃんは怒ったらもっと無愛想で静かになってこんなに喋らない……呼び方だけが変わってる）

歩夢（もしかして……みんなのことをちゃん付けで呼んでるから、私のことも統一してそう呼ぶようにしたのかな……）


歩夢（だとしたら……）

歩夢（他の人とは違う……私だけの特別な呼び方だったのに）

歩夢（侑ちゃんの特別じゃ────なくなっちゃう）
　

ﾓﾝﾓﾝﾓﾝﾓﾝﾓﾝ

侑「あ、もう学校ついちゃった……歩夢ちゃん？」

歩夢「あっ……うん、そうだね」

歩夢（もう学校……考えてたら一瞬だなぁ）

かすみ「あ！侑先輩！歩夢先輩、おはようございま～す♡」

侑「おはよう！」

歩夢「おはよう、かすみちゃん」

かすみ「も～！歩夢先輩なんで既読つけないんですか～！せっかく日付変わってすぐかすみんお誕生日おめでとうございます♡って送ったのに」

歩夢「あ……ごめんね、寝てたんだ」

かすみ「えー！かすみんその為に起きてたのにー！」

かすみ「こほん、ではあらためて……お誕生日おめでとうございます♡歩夢先輩」

歩夢「うふふ、ありがとうかすみちゃん」ﾆｺ

かすみ「スペシャルコッペパンどうぞ」

歩夢「わあ、いいの？」

かすみ「もちろんです！侑先輩にも焼いてきたのでどうぞ！」

侑「わあ！ありがとう！！」

侑「私、“かすみ”のコッペパン大好きー！！」













歩夢「──────ぇ……？」
　

～～～～～

かすみ「それと、なんですけど」

かすみ「歩夢先輩の呼び方変えると同時に、逆に歩夢先輩以外の子の呼び方も変えるなんてどうですか？」

侑「え？」

かすみ「その方が、歩夢先輩的にも新鮮さが更に上がると思うんです」

侑「なるほど～……」

侑「ということは……かすみ」

かすみ「！！」ﾄﾞｷｯ

侑「……こんな感じでいいのかな？あはは、急に変えるのって難しいね」

かすみ「が、がんばってください……」

～～～～～

侑（昨日の夜たくさん練習したからすらっと呼べたなぁ……よかった）

歩夢「…………」

歩夢「ねえ、ゆうちゃ────

侑「あ！！！きょ、今日学期当番私だった！！ご、ごめん二人とも！私もう行くよ！」ｼｭﾀﾀﾀ

かすみ「がんばってくださ～い♡」

歩夢「あ……」
　

歩夢「ねえ、かすみちゃん」

かすみ「じゃあかすみんも行きますね！それじゃあ！」ｼｭﾊﾞﾊﾞﾊﾞ

歩夢「………」

歩夢「………」


歩夢「……後で、侑ちゃんに聞かないと」

ｸﾞｸﾞｸﾞ　
　

放課後

歩夢（お昼に探してももう他のこと食べに行っちゃってたし……結局放課後になっちゃったなぁ）

歩夢（ずっと考えてて色々な子に誕生日祝ってもらったような気がするのに全然覚えてないよ……ごめんね）

ｶﾞﾁｬ


みんな「「「ハッピーバースデー！！」」」

ﾊﾟﾝﾊﾟﾝﾊﾟ-ﾝ!!

歩夢「あ……」

せつ菜「歩夢さん！！！！お誕生日おめでとうございます！！！！うおーー！！」ﾍﾟｶ-

愛「歩夢のこと待ってたよー！」

ランジュ「ランジュは歩夢のお誕生日会が楽しみすぎて途中授業抜けて準備しちゃったわ！」

歩夢「…………あ……ありがとう……」ﾆ…ｺ　

歩夢「とっても嬉しいよ、みんな」

侑「料理は彼方お姉ちゃんとエマお姉ちゃんが作ってくれたんだよ！絶対美味しいから早く食べよう歩夢ちゃん！！」

歩夢「！？」

彼方「！？」

エマ「！？」

かすみ「！？」
　

侑（三年生は流石に呼び捨てはちょっとまずいし……これでいいよね？ミアちゃんはまあ……呼び捨てでいいか）

かすみ（そ、そうきますか……）

栞子「あの、聞き間違いでしょうか……今……

かすみ「しっ！……しお子、ああいうのはたまにあるの！ほら、先生をお母さんって呼ぶみたいな」ﾋｿ

栞子「なるほど」ﾎﾟﾝ

侑「じゃあお皿並べようか！愛、せつ菜手伝ってもらっていいかな」

せつ菜「！！？！？！？」
（瞬間せつ菜の脳内に溢れ出した存在しない記憶）

愛「？　おっけー！」

ランジュ「ねえねえ、ランジュは？ランジュも何か手伝うわ！」

侑「じゃあランジュはお肉盛り付けといて」

ランジュ「きゃあっ！任せて！」


歩夢（……やっぱり、そうだ）

歩夢（きっと……侑ちゃんは、他の子の呼び方も変えてる）
　

ﾜｲﾜｲ

しずく（侑先輩……面白そうなことしてるなぁ……私のことも呼んでくれるのかな？）

しずく「あのっ、侑先輩？」

侑「ん？どうしたのしずく」

しずく「────……！い、いえ。みなさんの飲み物入れますね！」

侑「ありがとうしずく！」

しずく「えへへ……（目的はどうあれ、今は楽しませてもらおっと♪）」

歩夢「……」

侑（歩夢……本当に新鮮さ感じてくれてるんだなぁ……みたことないような顔してる！……どんな感情なのか分からないけど私的にも新鮮！）
　

歩夢（あれからみんなからそれぞれプレゼントを貰った。けど……）

歩夢（だめだ、やっぱり頭がボーッとして全然分からない。誰から何をもらったのかすら分からないよ）

歩夢（この自作小説は誰がくれたんだっけ……果林さんだっけ……？野球観戦チケットは……多分栞子ちゃんだよね）

侑「じゃあ最後は私だね」

歩夢「──────！」


ｺﾞｿｺﾞｿ


侑「はい！歩夢ちゃん！」ｽｯ　　

侑「ワゴンセールで売ってたゲーム！」（10個で1000円）

歩夢「え……」

歩夢（……いままでずっと、手作りの物くれたのに）

侑（まずはこれを渡して、夜ベランダであっちの方だなぁ）

侑「どうかな？歩夢ちゃんが好きそうだと思って」

歩夢「……うん、ありがと。うれしいよ」
　

果林「そういえば今日ずっと気になっていたんだけれど侑はどうしていつもと呼び方が違うのかしら」

歩夢「！！！！」

ミア「あれ、そうだっけ。全然気にしてなかったよ。ステイツじゃささいなことだし」

璃奈「私は今の呼ばれ方、好き」

侑「あー……」ﾁﾗ

歩夢「え？」

侑「まあ、細かいことは気にしないでいいよ！ね？果林お姉ちゃん」

果林「そうかしら……？そうかも……」



歩夢（細かいこと……？違うよ。細かいこと、些細なことなんかじゃない。私にとっては──────）
　

栞子「それでは下校時刻なのでここまでにしましょう」

ランジュ「えー！まだいいじゃない！」

栞子「いけません！私だって本当はまだまだ祝い足りないと思ってるんですよ！」

栞子「あの、歩夢さん……もしよかったらこの後……」

歩夢「ごめんね栞子ちゃん、今日はちょっと……疲れちゃって。はしゃぎすぎちゃったかな、あはは……」

栞子「そ、そうですか……」ｼｵ

せつ菜「侑！！！！一緒に帰りましy」



歩夢「侑ちゃん、二人で────帰ろうか」

侑「え？でもせっかくだしみんなで


歩夢「──────…………ね？」
　
侑「う、うん……」
　

ﾃｸﾃｸﾃｸ

歩夢「…………」

侑「……」

侑（歩夢、ずっと無言だけどどうしたんだろう……そんなに疲れたのかな？）

侑（けど好都合かな、このまま私の部屋行っておしゃべりしてプレゼント渡そっと♪）

歩夢「…………」

ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ
　

ｶﾞﾁｬ　　　

侑「あがってあがって～」

歩夢「……前より散らかってるね、部屋」

侑「うん、勉強することがたくさんで参考書とかもいっぱい買ったしピアノ以外の楽器も出来るようにならないとだからね～」

歩夢「言ってくれたら掃除しにくるのに」

侑「ええ～それくらい自分でできるよ！歩夢ちゃん私のことだらしな

歩夢「やめて」

侑「え？」

歩夢「……」

侑「どうしたの歩夢ちゃ



歩夢「やめてってば！！！！！」


侑「！！！！」ﾋﾞｸｯ
　

歩夢「ねぇ、なんで──────」

歩夢「なんで、なんで、なんで！！……そういうこと言うの……？」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

侑「！？！！？！？」

歩夢「酷いよ……こんなの……」

侑「ちょ、ちょっと待って歩夢……ちゃん、私なんの

歩夢「いやぁ！」ｶﾞﾊﾞｯ　

侑「あゆっ

ﾄﾞｻｯ

（例の）
　

歩夢「……聞きたくないよ」

歩夢「……なんで、呼んでくれないの」

侑「えっ」

歩夢「“歩夢”って」

侑「それは……」

歩夢「私、自分が侑ちゃんの特別だって思ってたの。侑ちゃんが呼び捨てで呼ぶのは私だけ。幼馴染の、私だけだって」

歩夢「なのに……それなのに……」

歩夢「ねぇ、私は特別じゃなかったのかな……？特別な気持ちを抱いていたのは私だけだったのかな……？」

歩夢「私のこと……嫌になったんでしょ、だから遠ざけて他の子と」

侑「違うよ」
　

侑「……ほんとはちょっと、怖かったんだ」

侑「歩夢には、もう私以外にもたくさん歩夢の魅力を知ってくれてる子や、同好会のみんながいて……いままでみたいな私との時間はもう飽きてるんじゃないかって」

侑「だから、変えてみたいって思ったんだ」

侑「そうすれば、歩夢も飽きないでいてくれて……私のそばにずっといてくれるって……」

侑「だけど、私……気付けなかった。むしろそのことで歩夢にこんなに……悲しい思いをさせてたなんて」

ﾀﾞｷｯ

ｷﾞｭ-ｯ

歩夢「！？ゆ、侑ちゃん！？」
　

侑「私、歩夢が好きなの！だから──────」

歩夢「えっ、侑ちゃん、それって……その────」ｶｱｧ
　
侑「本当の誕生日プレゼント……部室だとみんながいるから絶対に渡せなかったけど……受け取って」ｼｭﾙｼｭﾙ　

歩夢「──────！？ゆ、侑ちゃん！？」





侑「本当の……誕生日プレゼントは、私だよ─────────///」
　

──────
────

ﾊﾟﾀﾝ　　

歩夢（まだこれから50ページ分くらいあるけど……もう、いいや）

歩夢（だって現実は……本当の侑ちゃんは……）


ﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗ
　



歩夢「……侑ちゃん……」
　

完