【SS】せつ菜「愛さんの声って『ミュークルドリーミー』の日向ゆめちゃんに似てますね」【ラブライブ！虹ヶ咲】

せつ菜「はぁ……」


愛「どしたん？せっつー、ため息なんかついて」


せつ菜「あ、いえ……。すごく個人的なことなんですが……」


愛「愛さんでよかったら、相談乗るよ？」


愛「人に話せば楽になるかもよ」


せつ菜「ありがとうございます」


せつ菜「愛さんは、『ミュークルドリーミー』ってアニメ知ってますか？」
　

愛「ごめん、知らないや」


せつ菜「日曜の朝にやってたサンリオキャラクターのアニメなんですけど」


愛「サンリオってことはかわいい系？」


せつ菜「そうなんです！！」


せつ菜「本来のターゲットは小学校入学前の女の子なんですけど、話のテンポや細かいネタなんかが私たち世代、いわゆる大きなお友達にも受けてまして」


愛「うんうん。なるほどね。っていうか“やってた”って……」


せつ菜「はい。2年間続いてたんですけど、今年の3月ついに終わってしまいまして……」


愛「あー……ロスってやつだ」


せつ菜「はい……。３年目も期待していたんですが……」


せつ菜「あのですね？私、１クールのアニメでもよくロスになるんですけど、やっぱり現実に２年間追い続けてたとなるとロスの大きさが……」


愛「う～ん……そういうのって次の新しく始まるアニメにハマればいいんじゃないの？」


せつ菜「それが最終回の後、枠事態消滅してしまって」


愛「あー……」
　

せつ菜「すみません。どうしようもないことを愚痴ってしまって」


愛「こっちこそ何もできなくてごめんね」


せつ菜「いえいえ」


愛「ま、なんかさ、言いたいことあったら愛さんに言ってみ？」


せつ菜「あ、あの！」


愛「ん？」


せつ菜「前からうすうす思ってたんですが、愛さんの声、ゆめちゃんに似ていますね」


愛「ゆめちゃん？」


せつ菜「ああ、そのミュークルドリーミーの主人公です」


愛「そうなの？よくわかんないけど、ありがと」


せつ菜「今の言葉も劇中で言っていたような気がしてきました」


せつ菜「あの……試しに『ちあふる』って言ってもらっていいですか？」


愛「ちあふる」


せつ菜「！？」
　

せつ菜「もう一度！」


愛「ちあふる」


せつ菜「～～！！これです！」


愛「なんかわかんないけど、元気になってうれしい！」


せつ菜「あの！もし時間ありましたら、明日同好会終わったら生徒会室によってもらえませんか？」


愛「う～ん……いいよ」


せつ菜「ありがとうございます！」
　

―翌、生徒会室―


ｺﾝｺﾝ


愛「せっ……生徒会長いるー？」


菜々「ああっ！愛さんこっちです！」


愛「それで、愛さん何すればいい？」


菜々「えっと……まずはこれに着替えてもらいたいのですが……」


愛「おー、コスだ。愛さん一度アニメのコスしてみたかったんだよね」


菜々「ホントですか！？これはゆめちゃんの夢の中の衣装なんですが、頑張って一晩で用意しました！」


愛「でも似合うかな……」


菜々「愛さんなら似合いますよ！」


愛「ありがとう。んじゃ、ちょっと着替えてくるね」
　

愛「じゃーん！どう？」


菜々「はぅわあ～～～！！！最っっっ高です！！！ゆめちゃんそのものです！！」


菜々「あ！後これを」


愛「あ、みゅーちゃん」


菜々「知ってるんですか！？」


愛「昨日、アタシもいろいろ調べてみたんだよねー」


菜々「本編は観ましたか！？」


愛「1話が無料で公開されてたから、それだけだけど」


菜々「どうでした！？」


愛「なんか久しぶりにああいう子供向けアニメ観たから、新鮮だったよ！」


菜々「ですよね！」


菜々「幼馴染の男の子が窓を挟んで向かいに住んでるって時点で、もうキュンキュンしちゃいますよね！そしておもちゃも……」


愛「せっつーストップ！ストップ！テンション上がりすぎてせつ菜になってるよ！」


菜々「はっ！そうでした。つい……」
　

菜々「それでは改めて『ちあふる』と言ってもらえますか？」


愛「おっけー。ちあふるちあふる！」


菜々「はい！それです！それ！」


愛「なんか元気になったみたいでよかったよ」


菜々「ありがとうございます！それで次のシチュエーションなんですが……」


PiPiPi...


愛「あ、せっつーごめん。りなりーのとこ行かなきゃ」


菜々「そうですか……。私の方こそわがまま聞いてくれてありがとうございます」


菜々「あの！できたら明日もお願いできますか？」


愛「明日？いいよ空いてるし」


菜々「ありがとうございます！」
　

―次の日―


菜々「それでは今日はこのシチュエーションでお願いします」


愛「これもう台本じゃん！」


菜々「愛さんに行ってほしいセリフを考えてたら、ついこのような量に……」


愛「ま、いいや。じゃあ、行くよ」ｺﾎﾝ


愛「『ことこ先輩に教えてもらって、何とか宿題終わったよ～』」


菜々「『ピタンきたみゃ』」


愛「え？」


菜々「愛さんみたいに似てませんが、私も参加したくなりまして……」


愛「あ、ごめんごめん。いきなりだったからびっくりしちゃって」


愛「『あ！あさひー！宿題終わったー？』」


菜々「『俺は昨日のうちに終わらせたけど』」


愛「あさひくんもやるの！？」
　

―そのまた次の日―


愛「『つぎとはぎがいるってことは……』」


菜々「『きっとゆにくんもいるみゃ』」


愛「『あー！』」


菜々「『いたみゃ』」


愛「なんかせっつーのみゅーちゃん、上達してない？」


菜々「そうですか？練習した甲斐があります！」
　

―さらに次の日―


愛「さて、今日も生徒会室に寄って……」


果林「愛」


愛「カリンじゃん。どしたん？」


果林「最近生徒会室に通ってるけど、何かあった？」


愛「え？何でもないよ。せっつーに会いに行ってるだけ」


果林「なら部室で会えばいいじゃない」


愛「それは……」


果林「数日前から生徒会室で怪しい声するって噂流れてるの知ってる？」


愛「噂？」


果林「放課後生徒会室から『ちあふるちあふる』って声がするっていう……」


愛「わー！それ違っ……！」


果林「やっぱり愛だったのね」


愛「ごめん」
　

―――――

―――

――


果林「なるほど……またなのね」


愛「また？」


果林「半年前も同じことがあったのよ」


愛「半年前？」


果林「『キラッとプリ☆チャン』っていう、同じように日曜日の朝にやってたアニメがあったのよ」


愛「プリチャン……」


果林「それが半年前終わってね。彼女、その時も落ち込んでたわ」


愛「その時はどうやって立ち直ったの？」


果林「一緒よ。私とエマがプリチャンの登場人物になりきってせつ菜を励ましたわ」


愛「そうだったんだ……」


果林「ま、励ましたことより、新しく始まった次の『プリマジ』に興味が移ったって方が合ってるんでしょうけど」


愛「でもミュークルは……」


果林「そこは愛の腕の見せ所よ」


愛「！？」
　

果林「愛、あなたファンを笑顔にさせるんでしょ？なら仲間も笑顔にさせなくちゃ」


愛「そう……だよね。愛さん、せっつーを立ち直らせてみせる！」


果林「その意気よ」


愛「カリン！これあげる！」


果林「プチトマト？」


愛「今日使おうと思ってた小道具なんだけど、アタシ生徒会室行ってくる！」


果林「ふふっ、いってらっしゃい」


エマ「果林ちゃ～ん！」


果林「エマ」


エマ「今噂になってる生徒会室のちあふるって、やっぱり……」


果林「大丈夫よ。今度は愛が何とかするから。それより、食べる？プチトマト」
　

―生徒会室―


ﾊﾞｧﾝ!


愛「せっつー！！」


菜々「愛さん!ちょうどよかった。今日はこのシチュエーションで……」


愛「せっつー、よく聞いて。ミュークルドリーミーは終わったの」


菜々「な、なにをいきなり……」


愛「そろそろ、立ち直ろう？」


菜々「ヤダ！」


愛「ゆめちゃんたちも3年生に進級したんだよ？せっつーも前に進も？」


菜々「無理です！ゆめちゃんやみゅーちゃん、いちなるがいない日曜日なんて……」


愛「日曜日はミュークルだけじゃない！！」


菜々「！！？」
　

愛「忘れたの？せっつー、日曜日の朝プリキュアやウルトラマンとか仮面ライダーだって実況してるじゃん。お昼過ぎても感想と考察垂れ流してるじゃん！」


菜々「垂れ流っ……それよりウルトラマンは土曜日です！」


愛「それにさ……。7月になったらNHK Eテレにて毎週日曜午後7時より『ラブライブ!スーパースター!!』だって始まるよ？」


菜々「愛さん……なんか急に宣伝が……」


愛「ロスに浸ってる時間、ないんじゃない？」


菜々「愛さん……。そう……ですよね……」


愛「愛さんも応援するからさ」


菜々「応援？何を……」


愛「愛さんの声に似た人がプリキュアになるのを！」


菜々「あっ！」


愛「もちろん、せっつーの声に似た人がプリキュアになるのも応援するけどね」


菜々「愛さん……そうですね！私、現行作品のことをないがしろにしてました」


菜々「愛さん、ありがとうございました！」


愛「せっつーが元気になって、愛さんもうれしい！」
　

―スクールアイドル同好会部室―


ﾊﾞｧﾝ!


せつ菜「皆さんお待たせしました！優木せつ菜、復活です！！」


かすみ「せつ菜先輩！？」


歩夢「せつ菜ちゃん、元気になったんだね」


せつ菜「愛さんのおかげで、立ち止まってはいられないことに気づきました！」


歩夢「じゃあ、次のステージは……」


せつ菜「はい！新曲で行きたいと思います！」


璃奈「せつ菜さん、燃えてる」


せつ菜「その前に……」


みんな「？」


せつ菜「最後にみんなご一緒に！」


みんな「「希望わくわく！夢キラキラ！」」


みんな「「くるくる　ミュークルドリーミー　みっくす！」」


せつ菜「ちあ～」
　

愛「ところでさ、カリン」


果林「なに？」


愛「カリンはせっつーにどんなコスさせられたの？」


果林「えっ……？」


愛「愛さんはパステルカラーのふわもこ衣装だったんだけど、カリンはどんなの着たのかな～って」


果林「べ、べべ別に普通よ」


愛「隠さなくてもいいじゃん。ねえ、教えてよー」


果林「か、隠してなんかないわよ！普通過ぎて覚えてないだけよ」


愛「ふぅん……。あっ、エマっちー！ちょっと聞きたいことあるんだけどー」


果林「待って！聞かないで！答えないで！」


おしまい