【SS】歩夢「そういえばしずくちゃんって侑ちゃんにどういう本みせてたの?」【ラブライブ!虹ヶ咲】

A・ZU・NAーSS


1: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:00:33.37 ID:nuMN4eGV
しずく「ええっと、こういうものなんですけど…」

せつ菜「こんなに厚いノートに書いてきたんですか?すごいですね!」

侑「すごいよね!すごく細かくてびっくりしちゃったよ」

しずく「やっぱり少しだけ恥ずかしいですね…」

歩夢「脚本家さんにもなれるかもしれないね!」

しずく「手前味噌ですが小学生のころからこういうことをしているので、結構慣れてるんです」

せつ菜「すごいですね…」

せつ菜「ほうほう………」

ポワワワアアン…
 
2: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:07:06.19 ID:nuMN4eGV
───

──
狼(…この気持ちは届いたのだろうか)

少女「…ありがとう、ダンスに誘ってくれて」

少女「あなたの気持ちはちゃんと伝わったよ」

狼「!?」

狼(僕は狼なんだ、僕の言葉は届いていないはずなのに…!)

少女「…私も同じ気持ちだと思う」

少女「愛しています」

狼「!!!!」

少女「言葉はわからなくても貴方のぬくもりでわかったよ」
 
4: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:11:15.56 ID:nuMN4eGV
「ここに逃げたはずだ!」

「探せ!」

「絶対に捕まえてやる!」

少女「!」

少女「…実は村をあげて貴方を捕まえようってなってるの」

少女「私がお母様のドレスを着てここにきたのもそれが理由」

少女「最後に貴方と踊ることができて幸せでした」

狼(そんな泣かないでくれ)

少女「もっと貴方と一緒にいたかったのに…」

少女「お母様とお姉さまに怒られながらも、ここまで楽しく過ごせたもの貴方のお陰なのに…」

少女「貴方に何もお礼ができてないのに…」

狼(こんな可愛らしい容姿なのに家族にいじめられているのか…)
 
5: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:13:42.64 ID:nuMN4eGV
ギュッ

狼「!」

少女「最後にこうさせて…」

狼(…合ってるかはわからないけれど、やってみるしかない)

狼(こういう時のために村の教科書を盗ってきたんじゃないか)

狼(人間のことをもっと知りたい)

狼(愛する人に気持ちを伝えるために!)

狼「イ…」

狼「イ…イッショ、イコウ」

少女「!!!」

少女「いま……一緒にって…」

狼(伝わった!)

狼「ソウ、イッショ」

少女「…!うん!私も行きたい!」

狼「ワカッタ」

狼「ボクニ、ツカマッテ」

少女「うん!」

少女「どこに行くの?」

狼「トオイトコロ」

少女「貴方となら何処へでも一緒に行きます!」

狼「ボクモ」
 
6: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:14:53.30 ID:nuMN4eGV
少女「また同じ気持ちだね」

狼「ウン!イコウ!」

少女「うわあ?!」

少女「すっごく速い…!!」

狼(嬉しそう、僕まで嬉しいな)

少女「あ、そうだ!貴方の名前は?」

狼(ナマエとはなんだろうか)

少女「…もしかして名前がないの?」

狼「ワカラナイ」

少女「知らないってこと?」

狼「シラナイ」

少女「そうなんだ…」

少女「名前っていうのは人を呼ぶ時に使う言葉だよ」

少女「ちなみに私の名前は『アユム』って言うの」
 
7: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:18:00.44 ID:nuMN4eGV
狼「ア…ユム」

アユム「うん!アユムだよ!」

狼「アユム、アユム」

アユム「えへへ…」

アユム「それで…貴方の名前は…うーーん…」

アユム「すっごく暖かいし、大きくて優しくて…」

アユム「すっごく速いから…」

アユム「…わかった!セツナ!」

アユム「どう?とっても速いからセツナ!」

セツナ「セツナ…セツナ!」

セツナ「セツナ、アユム、アイシテル」

アユム「私も!愛してる!」
 
8: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:25:56.68 ID:nuMN4eGV
───
──

せつ菜「////////////////」

しずく「せ、せつ菜さん?」

しずく「やっぱり侑先輩に見せるのとは違って恥ずかしいですね…」

せつ菜「い、いえいえ!すごくいいお話だと思います」

せつ菜(あああああ凄く変な妄想してしまいました…………!!)

せつ菜(目の前にいる人をそんな…あああもうそういう目でしか見れなくなってきちゃいました!!!!)

せつ菜(あれ?歩夢さんってこんなに抱きしめたくなる様な雰囲気でしたっけ…)

せつ菜(うう…真面目に読んでる様ですしあんまり邪魔しちゃいけませんよね…)

せつ菜(でも手くらいなら握ってみたい…というか握らないと凄くむずむずします!)

せつ菜(ほ、ほんの少しくらい手に触れても…)
 
10: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:31:29.08 ID:nuMN4eGV
ギュッ

せつ菜「へっ?!」

せつ菜(手を握り返してきました!!!どういうことですか??!!??!?)

歩夢「…………はっ!ご、ごめんねせつ菜ちゃん!」

せつ菜「いえいえ、おかまいな…じゃなくて全然気にしてないです!」

歩夢「本当にごめんね、つい夢中になっちゃって…」

せつ菜「分かります!情景がすごく浮かびやすいですよね」

しずく「ありがとうございます!お二人に褒めてもらえるととっても嬉しいです!」

しずく「ちなみにせつ菜さんはどんな情景を想像したんです?」

せつ菜「わ、私ですか?!」

しずく「はい!私とは違う物語や背景も聞きたいなって思いまして」
 
12: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:34:59.41 ID:nuMN4eGV
せつ菜(これはまずいです!!流石に本当のことを言ってしまうのは絶対ダメです!)

せつ菜「ええっと…お、お城でダンスするのも悪くないのですが崖の上でダンスするのも悪くない…のかもしれません」

しずく「いいですね!!お別れ際にダンスする、みたいなイメージですか?」

せつ菜「そ、そうですそうです!それです!」

しずく「いいですね…」

しずく「歩夢さんも熱心に読んでいましたけど新しい発見とかありましたか?」

歩夢「わ、私?!」

せつ菜(ききききききました!!!!)

せつ菜(歩夢さんはなにを考えて手を握ったんでしょうか!!!)
 
14: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:39:22.32 ID:nuMN4eGV
歩夢「ええっと…ゆ、侑ちゃんは?」

侑「え?私?」

侑「うーん…想像力があんまりないからただただ感動しちゃっただけかなー」

歩夢「そうなんだね」

しずく「…………」ワクワク

せつ菜(わくわく!!!!!!)

歩夢「ええっと…」

歩夢「なんだかんだで報われなさそうな物語かなって思った…かな?」

せつ菜「え」

せつ菜(えー…)
 
15: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:41:52.10 ID:nuMN4eGV
しずく「なるほどなるほど!!!」

歩夢「あ!せつ菜ちゃんが嫌いとかそういうわけじゃないの!」

歩夢「叶わない物語もきれいだよね…みたいな」

しずく「逆だったらどうですか?歩夢さんが狼役で…」

歩夢「ええ?!私が?」

歩夢「うう…なんだろう…」

せつ菜(待ってください)

せつ菜(私はしずくさんたちに引かれないように嘘を付いたんです)

せつ菜(もしかしたら歩夢さんも嘘をついているのでは?歩夢さんがバッドエンドを考えるなんて歩夢さんらしくないし…)

せつ菜(これはもしかするともしかするかもしれません!!!!!)

せつ菜(でも『本当のこと言ってくださいよ』なんて野暮な質問はできないし…)

せつ菜(どうしましょう…)
 
16: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:47:56.03 ID:nuMN4eGV
歩夢「『逆もイイ!』…って書いてあるけど、私だったら木の陰に隠れてずっと見守ってるだけとかになっちゃいそう」

しずく「え?ほんとですか?」

侑「ほんとにー?歩夢ってもっと勇気?があると思うよ?」

歩夢「ほ、ほんとかな…」

しずく「でも内気な狼さんっていう設定もいいですね!!」

しずく「せつ菜さんのような活発な人に惹かれていく狼…」

しずく「ひょんなことから交流が生まれ、お互いがお互いを意識していく純愛のような展開…たまりません!!」

歩夢「しずくちゃんはどんな役でそのストーリーに出るの?」

しずく「あー…このノートには元々私が出る設定ではないんで・・・・・・・」

せつ菜(待ってください、やっぱりあれは嘘じゃないのでは…)
 
17: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:52:16.03 ID:nuMN4eGV
せつ菜(歩夢さんと侑さんはとても仲がいい…それこそ家族のようです)

せつ菜(つまり私との物語なんて望んでないのでは?!??!!)

せつ菜(あのバッドエンドも密かに『せつ菜ちゃんには興味がない』って言ってるという事ですよね…)

せつ菜(まあ冷静に考えたらそうですよね…急に手を握ってきたから変なこと考えてしまいました)

しずく「・・・・という感じですね」

歩夢「すごくいいお話になりそうじゃない?」

侑「早速練習しようよ!」

しずく「そうですね!今日は時間も時間ですし細かいことは明日決めましょう!」

せつ菜(…ん?じゃあなんで手を握ってきたんでしょうか?)
 
18: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:54:15.95 ID:nuMN4eGV
せつ菜(夢中になったから手を握っくれた、なんておかしな話です)

せつ菜(相当自分と物語を重ね合わせないと手なんて握ってくれないはず…)

せつ菜(歩夢さん、本当に何を考えているんでしょうか…気になります!気になります!)

せつ菜(もしかしたら私に何か伝えたかったんでしょうか!!!)

歩夢「せつ菜ちゃん?大丈夫?」

せつ菜「うゎ!!ああああああ歩夢さん!???」

せつ菜(そういえば今日歩夢さんに会った時いきなり口をふさがれたんでした!!!)

せつ菜(あの時はびっくりしただけですけど振り返ってみると結構すごいことをされたのでは???!!?)

せつ菜(ここで何かアクションを起こしておかないとこの特別な瞬間を逃してしまいそうです…)
 
19: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:55:58.75 ID:nuMN4eGV
せつ菜(うーーーーん…)

せつ菜(なにか、何か言わないと!)

せつ菜「い、いえなんでもないです!じゃあ私はこのへんで!」

歩夢「?うん、また明日」

しずく「明日から練習なので来てくれると嬉しい…あ、行ってしまいました」

侑「急に顔赤くしちゃってどうしたんだろ」

歩夢「体調悪かったのかな…後でメッセージ送った方がいいかな」

しずく「そうですね…とりあえず私もそろそろお暇しますね」

歩夢「うん!また明日ね!」
 
20: (しまむら) 2022/05/07(土) 20:57:55.93 ID:nuMN4eGV
———
──

せつ菜(や、やってしまいました!!!!)

せつ菜(はあああ…………もう最悪です…)

せつ菜(本当にどうしたらよかったのでしょう…)

せつ菜(『なんで手を握ったんですか?』なんて聞いてもはぐらかされそうですし…)

せつ菜(でも気になってしまったしメッセージで送る…?でも引かれたくはありませんし…)

せつ菜(やっぱり練習中にさらっと聞くのが1番いいんですかね?)

(こんなむずむずする感覚、初めてです)

(いっそのこと押し倒しちゃえばよかったのでは?)
 
21: (しまむら) 2022/05/07(土) 21:02:04.92 ID:nuMN4eGV
「うーーん…」

(それだと物語の整合性がとれません…)

「とりあえず今日はここまでにしておこうかな」

「明日からの練習もありますし…」

「あ、せつ菜さんみたいな口調になっちゃった…いけないいけない」

「少なくとも役に呑まれるようなことはないようにしなくちゃ」

(変に意識してしまうせつ菜さんと歩夢さんの物語、これはなかなかの大作になりそうな予感がします!!!)

おしまい
 
25: (しまむら) 2022/05/07(土) 21:18:15.40 ID:nuMN4eGV
最後まで読んでくれてありがとうございました
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1651921233/

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