かすみ「あれ、せつ菜先輩ったら、ゲームのカード出しっぱなしにしてますね。なになに……ブラック・ロ、ロテュス？」【SS】

かすみ「綺麗なお花ですね～」

かすみ「でも、なんだか一輪だけポツンと寂しく咲いてて、ちょっとかわいそうかもです」

かすみ「……いいこと思いつきました！」

かすみ「～♪」ｶｷｶｷ

かすみ「これでよしっ！」

かすみ「くふふ……早くせつ菜先輩帰ってこないかな～」

ｶﾞﾁｬｯ

せつ菜「ただいま戻りました！！！」

かすみ「あ！せつ菜せんぱぁ～い！これ！これ見てくださいようっ！」ｻｯ

せつ菜「あ！私ったら、出しっぱなしにしてましたね！！ありがとうございます！！！」

せつ菜「って、あれ？？このカード……」

かすみ「気付きましたかぁ～？」

かすみ「かすみんがぁ、周りに8輪描き足しときました！同好会のみんなですようっ！」ﾌﾌﾝ

せつ菜「……ッ！！……かすみさん」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ













せつ菜「す ご く 良 い で す ね こ れ ！！！！！」

せつ菜ちゃん…ええやつやんけ…

璃奈「あ」

いくらだっけこれ

それでも数万の価値はありそう

優しい世界

せつ菜が落書きのあるブラック・ロータス使って世界を穫って『九輪黒蓮』の異名で呼ばれるSS書こうかとも考えたけど知識ないからやめた

ﾜｰﾜｰ
ｷｬｰｷｬｰ

せつ菜「みんなー！ありがとー！！」

せつ菜「また次のライブで会いましょう！！！」

──────
────
──

せつ菜「ふう！ソロライブは大成功でしたね！」

ｺﾝｺﾝ

スタッフ「失礼します」ｶﾞﾁｬｯ

スタッフ「せつ菜さん、ライブお疲れさまでした！これ、プレゼントボックスに入ってたのでお渡ししますね」

せつ菜「どうもありがとうございます！お疲れさまでした！！」

せつ菜「ふふ♪ファンの方からプレゼントを頂けるなんて嬉しいです！」

せつ菜「やはり、アニメのグッズなどをくださる方が多いですね！」ｶﾞｻｺﾞｿ

せつ菜「ん？これは何でしょうか？」

せつ菜「トランプ……？いえ、トレーディングカードのスターターボックスのようですね！」

せつ菜「えーと……『マジック：ザ・ギャザリング』と読むのでしょうか？」

せつ菜「璃奈さんならやり方を知っていそうですね！明日、訊いてみることにしましょう！！」

【朝練後・部室】

せつ菜「璃奈さん！『マジック：ザ・ギャザリング』ってやったことありますか？！」

璃奈「あるけど、急にどうしたの？」

せつ菜「昨日、ライブでファンの方からスターターボックスを頂いたんです！やり方を教えていただきたいので、良かったら放課後の練習後に少しお時間いただけませんか？」

璃奈「そういうことなら、もちろん。璃奈ちゃんボード『お任せあれ』」

せつ菜「ありがとうございます！！」

せつ菜「じゃあそれまでに、私は頂いたカードの予習をしておきます！」ｶﾞｻｺﾞｿ

かすみ「しーず子！りーな子！コンビニ行こっ♪」

璃奈「じゃあせつ菜さん、また後で」

しずく「お先に失礼します」

ｶﾞﾁｬﾘ

せつ菜「時間は……」ﾁﾗﾘ

せつ菜「まだ少し大丈夫ですね！」

せつ菜「ちょっと開けて見てみましょう！！」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘ

──────
────
──

せつ菜「……これで全部ですね」

せつ菜「イラストに味があって素敵です！」

せつ菜「ところで、この初めの2枚のカード……」

せつ菜「トレーディングカードゲーム初心者の私からしても、この2枚はかなり優れた効果を持っているように思います！」

せつ菜「【タイム・ウォーク】と【ブラック・ロータス】……」

せつ菜「後で璃奈さんに確認してみましょう！」

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

せつ菜「あっ！もうこんな時間！！」

せつ菜「急がないと！！！」ｶﾞﾁｬｯ

栞子「！」ｻｯ

せつ菜「わわっ！」ｷｷｰ

栞子「……中川さん」ﾌｧｻｯ

栞子「危ないでしょう。元生徒会長ともあろう人が廊下を走ろうとするなど、言語道断です」

せつ菜「すみません、三船さん！今日はたまたま急いでいまして……」

栞子「言い訳は結構です」

せつ菜「はい……すみません……」

せつ菜「……ところで、ドアの前にいらしたのは、何か同好会にご用事でも？」

栞子「ッ！」

栞子「……たまたま通りかかっただけです。では」ｽﾀｽﾀ

栞子「……ﾌﾌｯ」

【放課後・部室】

かすみ「さぁ！練習頑張りますよ～！」ｶﾞﾁｬｯ

ｼｰﾝ

かすみ「って、かすみんが一番乗りですか」

かすみ「あれ？」

かすみ「せつ菜先輩ったら、朝に話してたゲームのカード、出しっぱなしにしてますね」

かすみ「かすみんはこの手のゲームは全然わからないですけど、たくさんカードの種類があるんですねぇ」ﾏｼﾞﾏｼﾞ

かすみ「あ、かすみんこれ結構好きかもです」ｽｯ

かすみ「なになに……ブラック・ロ、ロテュス？」

かすみ「綺麗なお花ですね～」

かすみ「でも、なんだか一輪だけポツンと寂しく咲いてて、ちょっとかわいそうかも……」

かすみ「……」ｳｰﾝ

かすみ「！」

かすみ「いいこと思いつきました！」ﾊﾟｧ

かすみ「～♪」ｶｷｶｷ

──────
────
──

かすみ「これでよしっ！」

かすみ「くふふ……早くせつ菜先輩帰ってこないかな～」

【放課後・廊下】

せつ菜「あ！璃奈さん！！」

璃奈「せつ菜さんも今終わったところ？」

せつ菜「ええ！一緒に部室まで行きましょう！！」

璃奈「そう言えば、朝話してたカード、見てみた？」

せつ菜「はい！それで私から見ても強そうなカードがあったので、ぜひ璃奈さんに訊きたかったんです！！」

璃奈「カードの名前、わかる？璃奈ちゃんボード『ワクワク』」

せつ菜「えーっと、たしか……一つ目はガイコツみたいなのが２人歩いてるイラストで、【タイム・何とか】だったような……」ｳｰﾝ

璃奈「えっ……それって……」

せつ菜「あっ！一つ目は【タイム・ウォーク】です！！思い出しました！！！」

璃奈「……やっぱり」ﾌﾙﾌﾙ

璃奈「せつ菜さん、今そのカードはどこに？」

せつ菜「朝、急いでいたので、部室に置いたままです！」

璃奈「！！」

璃奈「すぐに部室に行こ！！！」ﾀﾞｯ

せつ菜「あっ！璃奈さん！急にどうしたんですか？！」

せつ菜「廊下を走るのはいけませんよ！私も今朝三船さんに叱られました！！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

せつ菜「でも、そんなに早く見たいだなんて、やはり強いカードということでしょうか！」

せつ菜「でも、私としては、二つ目カードの方が強いと思うんですよ！

せつ菜「黒いお花のカードなんですけどね！！！」

璃奈「！？」

璃奈「……璃奈ちゃんボード『これは夢？』」

【放課後・部室】

ｶﾞﾁｬｯ

璃奈「ﾊｧﾊｧ」

愛「どしたーりなりー？走ってきたん？」

璃奈「カード、カードは？！」

彼方「何のこと～？」

せつ菜「私の持ってきたトレーディングカードを、璃奈さんが評価してくれることになってるんです！」

果林「カードって、テーブルの上のこれのことかしら？」

せつ菜「はい！」

璃奈「良かった……無事みたい」

かすみ（にしし……例のカードは一番下に入れておきました。驚いた顔を見るのが楽しみですね～）

璃奈「せつ菜さん、ちょっと見せてね」ｽｯ

璃奈「……ッ！【タイム・ウォーク】！本物……！」

エマ「たいむうぉーく？」

璃奈「……これは、このゲーム、『マジック：ザ・ギャザリング』で"パワー9"と呼ばれる幻のカード。私も実物は初めて見た」

歩夢「わぁ！せつ菜ちゃん凄いね！」

せつ菜「私の見る目は確かだったようですね！」

璃奈「……せつ菜さん、さっき話してた、黒いお花のカードだけど……」

かすみ「！」ﾄﾞｷ

せつ菜「はい！名前も思い出しました！」

せつ菜「【ブ ラ ッ ク・ロ ー タ ス】ですっ！！！」

かすみ（あれって、ロータスって読むんですか……）

璃奈「……」

璃奈「…………」

璃奈「………………」

璃奈「【ブラック・ロータス】は、その"パワー9"の中でも頂点に君臨するカード。このカードを巡って、命のやりとりがあるとかないとか」

かすみ（えっ）

せつ菜「やはり！ゲームバランスを壊しかねない性能だとは感じましたが、そこまででしたか！」

璃奈「状態の良いものだと、最近では1800万円以上で取引された事例もある」

みんな「！？」

　　ざわ
　　　　ざわ

かすみ（え……なに、それ……）ﾏｯｻｵ

　　ざわ
　　　　ざわ

璃奈「でも……なかなか出てこない……」ｽｯｽｯ

かすみ「り、璃奈k……璃奈「あっ！」」

璃奈「嘘……」

かすみ「」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

璃奈「……え？なんで？？どうして？？？」

璃奈「……あれ？裏に……付箋？」ﾋﾟﾗｯ

璃奈「『綺麗なお花も、一輪だけだと寂しいので、周りに8輪描き足しときました！同好会のみんなは、いつでもせつ菜先輩と一緒ですよっ！かすみんより♡』」

璃奈「……」

ｼｰﾝ

かすみ「あっ、あのっ……せつ菜先輩……」ｶﾞｸｶﾞｸ

せつ菜「……かすみさん……これ……」
















せつ菜「最 高 で す ね ！！！」

かすみ「ごべんなざぃぃ！……ふぇ？」

せつ菜「みんながそばにいるんだって感じられる、すごく素敵なイラスになっています！！」

せつ菜「私はこっちの方が断然好みですね！！！」

せつ菜「素晴らしい贈り物をありがとうございます！！！！！かすみさん♪」

かすみ「あの……えと……」

かすみ「どう、いたしまし、て？？」

せつ菜「写真も撮っちゃいます！」ﾊﾟｼｬ

璃奈「……せつ菜さんが良いなら……良いか。璃奈ちゃんボード『九死に一生』」

せつ菜「私、決めました！」

せつ菜「このカードで『マジック：ザ・ギャザリング』の世界大会に出ます！！」

せつ菜「私の大好きを、世界中に溢れさせるんです！！！！」

せつ菜「だから璃奈さん！私に力を貸してください！！」

璃奈「……わかった。私の知識の全てを伝える。ついてきてね」

せつ菜「はい！！！！！！！！」

──────
────
──

璃奈「これで、伝えることは全部」

璃奈「璃奈ちゃんボード『免許皆伝』」

せつ菜「ありがとうございました！」

璃奈「いよいよ大会は来週だね」

璃奈「ルールはヴィンテージ。パワー9が一枚だけ使用できる」

璃奈「使うカードは……？」

せつ菜「はい！もちろん！！」

せつ菜「これです！！！！」

──────
────
──

【世界大会当日・会場】

せつ菜「いっけえぇぇぇ！！！」ﾊﾞｧﾝ

対戦相手1「な、何だこのカード……！」

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────
──

せつ菜「いっけえぇぇぇ！！！」ﾊﾞｧﾝ

対戦相手2「バ、バカな……！」

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せつ菜「いっけえぇぇぇ！！！」ﾊﾞｧﾝ

対戦相手3「こんな【ブラック・ロータス】……ありえない……！」

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──────
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司会「レディースアーンドジェントルメーン！お待たせ致しました！いよいよ世界大会も決勝戦を迎えます！」

司会「ファイナリストのお二方をご紹介します！」

司会「優木せつ菜さん！三船栞子さん！前へどうぞ！！」

司会「まずは、優木せつ菜さんです！日本の虹ヶ咲学園で、スクールアイドルをしているそうです！使用するパワー9のカードは【ブラック・ロータス】！」

ｳｫｫｫ!!

司会「続いて、三船栞子さんです！前述の虹ヶ咲学園で、生徒会長をしているとのことです！虹ヶ咲学園、強い！使用するパワー9のカードは……おおっと！こちらも【ブラック・ロータス】だァ！」

ｳｫｫｫ!!

司会「お二人は奇しくも同じ学校からの出場ですが、お互いに何かコメントはありますか？」

栞子「……」ｽｯ

司会「三船さん！どうぞ！」

栞子「優木さん……いえ、中川さん」

栞子「あなたでは私に勝てませんよ。以上です」

司会「おおっ！これは挑戦的なコメントだァ！これを受けて優木さんはどう応える？！」

せつ菜「……確かに、"私"では勝てなかったでしょうね。でも……」

ｶﾞﾀﾝ

せつ菜「今！ここにいるのはッ！！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の"優木せつ菜"なんです！！！」

栞子「……だったら何なんです？」

せつ菜「あ な た に 勝 て る ！！！！」

栞子「……面白いですね」

栞子「口先だけでないことを期待しますよ」

司会「さぁ盛り上がって参りました！」

司会「では！決勝戦スタートです！」

──────
────
──

栞子「先ほど言っていた、優木せつ菜なら勝てる、というのは、どういう意味ですか？」

せつ菜「……それは、こういうことです！」

せつ菜「【ブラック・ロータス】！」

栞子「……ハァ……なんですかそのカードは？落書きなどして、ふざけているのですか？」

せつ菜「これが、私があなたに勝てる理由です」

せつ菜「同好会のメンバーはいつだってそばにいて、私に勇気をくれる。このカードを見る度に、私はそれを実感できるんです」

せつ菜「自分に迷いがあった生徒会長選挙の時とは違い、進むべき道が見えるんです」

せつ菜「だから……ほら……」

せつ菜「【オーリオックの廃品回収者】」

栞子「なっ……それはッ！」

せつ菜「【ブラック・ロータス】を回収します。ほら、このカードとはいつも一緒なんです！！」

栞子「や……やめ……」

せつ菜「まだ私のターンですよ！【オーリオックの廃品回収者】で【ブラック・ロータス】を回収します！！」

栞子「ああっ……！」

──────
────
──

せつ菜「このタップで……終わりです」

せつ菜「三船さん……最後に一つ、いいですか？」

栞子「……何ですか」

せつ菜「私を『マジック：ザ・ギャザリング』の世界に導いてくれて、ありがとうございます」

栞子「！！」

栞子「……どうして」

せつ菜「私のソロライブでスターターボックスをプレゼントしてくれたの、三船さんですよね？」

せつ菜「あんなに突拍子もなく、私にマジシャンとしての才能を見出すことができる人物なんて、三船さん以外にいるはずありません！」

栞子「……」

栞子「ﾌﾌｯ」

栞子「『九輪黒蓮のせつ菜』」

せつ菜「えっ？！」

栞子「今日から、マジシャンとしてはそう名乗ると良いでしょう」

栞子「参りました。あなたの勝ちです」

ｳｫｫｫ!!

司会「決着ゥー！！！」

司会「優勝は、優木せつ菜さんです！おめでとうございます！！」

ﾜｰﾜｰ
ｷｬｰｷｬｰ
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

──────
────
──

【練習後・部室】

せつ菜「あっ！もうこんな時間ですね！」

せつ菜「皆さん！私、明日はイベントがあるので、今日はここで失礼しますね！」

かすみ「せつ菜先輩、それってどっちの"せつ菜"のイベントでしたっけ？」

せつ菜「はい！明日は！」







せつ菜「『九輪黒蓮のせつ菜』ですっ！」ﾌﾞｲｯ

おわり

よくやってくれた、乙

上手く活用してて素晴らしかった
ラストも完璧

熱い展開で心が熱くなった
泣きそう泣いた

カードゲームちっとも分からんけど面白い

感動した

あのブラックロータスに落書きまでして使い込んで状態まで下げて
しかもそれで最後に優勝して伝説となる

これもう元のロータスより希少価値高いんじゃね？

乙！めちゃくちゃ良かったよ！！書いてくれてありがとうございました！！！