【SS】海未「むしろ穂乃果とずっと一緒にいて、レズにならない方がおかしいと思いません?」にこ「は?」

SS


1: 2015/01/28(水) 21:49:22.66 ID:9mmS/V/c.net
               
海未「どう思います?」

にこ「い、いや……。話が見えないんだけど」

海未「ですから、よく私のことをレズだとかほのキチだとか言って、変態扱いする人がいるじゃないですか」

にこ「誰もしてないわよ……。ていうか、ほのキチってなによ……」

海未「してる人がいるんです。それも、結構たくさんの人が」

にこ「そういう噂が立ってるってこと……? でもあんたってむしろ、清純派キャラじゃない」

海未「その筈なんですけどね。でもなぜか、私のことをレズの変態だと思い込んでしまってる人が多いんですよね」

にこ「へえ……。一体どっからそんな噂が……」

海未「でも、よく考えてみてください。これって仕方なくありませんか?」

にこ「えっ?」

海未「だってあんな可愛い幼馴染と十年以上も一緒にいたら、誰だってレズになるに決まってるじゃないですか」

にこ「……」

3: 2015/01/28(水) 21:52:19.70 ID:9mmS/V/c.net
              
海未「ねえ?」

にこ「い、いや……えっと、ごめん。一つ確認なんだけど……」

海未「はい?」

にこ「あんたって、その……レズ、なの?」

海未「断じて違います」

にこ「違うのっ!? いやでも、話の流れ的に……」

海未「ですから困ってるんです。勝手に変なイメージを押し付けられて、変態呼ばわりされて」

にこ「は、はぁ……」

海未「ほんと、言ってやりたいですよ。逆の立場になって考えてみてください、と」

にこ「逆の立場……?」

海未「私を変態扱いする人に言いたいです。あなたが私の立場だったら、絶対あなただってほのキチになってるでしょう?」

にこ「……よく分かんないけど、つまりあんたはレズじゃなくて、そのほのキチとかいうやつなのね?」

海未「だから違いますよっ!」バンッ

にこ「ええっ!?」

6: 2015/01/28(水) 21:54:50.70 ID:9mmS/V/c.net
   
海未「私はノーマルなんですっ! 清純派なんですっ! 断じて、レズでもほのキチでも変態でもありませんっ!」

にこ「いや分かってるけどさっ! あんたの言い方だと……」

海未「ですが、例え私がそっち系だったとしても穂乃果が相手なら仕方ないですよね、と言ってるんですっ!」

にこ「う、うーん……?」

海未「穂乃果ですよっ!? あの可愛くて愛らしくていい匂いの穂乃果ですよっ!?」

にこ「まあ、うん……匂い?」

海未「あの穂乃果と、私は十年以上幼馴染やってるんですよっ!? 分かってるんですかっ!?」

にこ「うん……」

海未「そりゃレズにもなるでしょうっ!?」

にこ「つ、つまりあんたは、穂乃果と十年以上幼馴染として過ごしてきた末に、とうとうレズになってしまったってわけねっ!?」

海未「ですからなってませんよっ! 何度言わせるんですかっ!」

にこ「もうわけわかんないわ……」

7: 2015/01/28(水) 21:57:33.81 ID:9mmS/V/c.net
      
海未「とにかく、もう二度と私を変態扱いしないでください。というか、変態キャラとして描かないでください。私は至って普通の女子学生です」

にこ「誰に何を言ってんのよあんたは……?」

海未「ふぅ……」

にこ「……もう話は済んだの? 帰っていい?」

海未「はい……話を聞いて頂いて、ありがとうございました。なんだかにこに話したら、スッキリしました」

にこ「そう。ならよかったわ」

海未「またなにかあったら、相談に乗ってもらってもよろしいですか?」

にこ「えー? にこにーは人気者だからなぁー。どうかなぁー?」

海未「ふふっ……」


にこ(なんてね。一応先輩だし、後輩の悩みぐらいはいつだって聞いてやるわよ)

にこ(うーん、しかし海未にそんな噂が立ってたなんて、気づかなかったわ。これは、なんとかしてあげたいわね……)

にこ(大体、海未が変態って……。そんなイメージからは一番遠い女の子じゃない。希の方がよっぽど変態だっての)

10: 2015/01/28(水) 21:59:55.50 ID:9mmS/V/c.net
      
海未「はぁ、汗が……。さっきはちょっと、熱が入りすぎてしまいました」

にこ「色々苦労してんのね、あんたも」

海未「本当に……」

にこ「んじゃ、またね」

海未「はい、また」フキフキ

にこ「……」



にこ「あ、あんた……それ……」

海未「はい?」フキフキ







にこ「なんでパンツで、汗拭いてんの……?」

海未「……」フキ







海未「あっ」

13: 2015/01/28(水) 22:03:31.08 ID:9mmS/V/c.net
        
海未「えーっと、これは……」

にこ「あ、ああぁ、あぁ……」

海未「に、にこ?」

にこ「あ、あぁ……。へ、へん――」

海未「ち、違いますよ、にこ? 落ち着いてください?」







にこ「変態だああああぁぁーっ!!」





 


     

      

16: 2015/01/28(水) 22:08:04.21 ID:9mmS/V/c.net
             
にこ「いやぁぁあぁっ! へんたい、へんたぁいっ!」

海未「ち、違いますって! 誤解ですっ!」

にこ「何が誤解よっ! パンツで顔拭いといて、なにが誤解なのよっ!」

海未「ハンカチと間違えたんですっ! 私は変態ではありませんっ!」

にこ「ポケットにパンツ入れてることがまずおかしいのよっ!!」

海未「た、たまたまですっ! いつの間にかポケットに入ってたんですっ! いやもう本当、私が一番驚いてますっ!」

にこ「もう無理よっ! 何を言っても無理っ!」

海未「なんでですかっ! 無理じゃないですっ! 私の話を聞いてくださいっ!」

にこ「前フリが効きすぎてんのよっ! だってそれ絶対、穂乃果のパンツでしょっ!?」

海未「え、絵里のかもしれないじゃないですかっ!」

にこ「絵里のでもダメに決まってんでしょっ!!」
           

18: 2015/01/28(水) 22:11:15.75 ID:9mmS/V/c.net
        
海未「くっ、うぅ……」

にこ「はぁ、はぁ……」

海未「わ、分かりました。認めます。確かにこれは、穂乃果の家に遊びに行ったときに、こっそりタンスの中から拝借したものです……」

にこ「泥棒じゃないっ!」

海未「ど、どうしてもあの時は、欲望が抑えきれなかったんです……。で、でも本当に頂いたのは、これ一つだけですよっ!?」

にこ「う、っそでしょ……。あんたって、そんなヤツだったの……? もっと、真面目なヤツかと思ってたのに……」

海未「……一旦、落ち着きましょう、にこ。ね?」

にこ「いやぁ……変態……。近寄らないでよ……」

海未「分かりましたよ……。ひとまずここは、仮に、私が変態だったとしましょう」

にこ「仮にじゃないわよ……。変態よ……。変態確定よ……」

海未「仮に私が変態だったとしても、それは仕方がないことなんです」

にこ「変態……へんたい……」

海未「だって穂乃果が可愛すぎるんですから」

にこ「へんた……は?」
       

22: 2015/01/28(水) 22:15:12.59 ID:9mmS/V/c.net
              
海未「あなた今、私のことを変態だと言いましたね? ええ。確かにあなたの目からはそう見えるかもしれません」

海未「ですが、先ほども言いましたよね? あんな可愛い幼馴染とずっと一緒にいたら、こうなっても仕方がないんです」

にこ「仕方なくないわよ……ていうかなんなのよさっきから、その言い訳……」
                 
海未「ではにこは、穂乃果と一緒に過ごしても、こうはならないと?」

にこ「ならないわよ……。なるわけないじゃない」

海未「穂乃果とずっと一緒にいても、レズにはならない?」

にこ「ならないっての……」

海未「言いましたね? 穂乃果と一緒にいても、『レズにはならない』と」

にこ「もう帰りたいんだけど……」

海未「明日はちょうどお休みですね、にこ」

にこ「それがなによ」

海未「にこには明日一日、穂乃果と二人きりでデートをしてもらいます」

にこ「……なんですって?」

24: 2015/01/28(水) 22:18:09.62 ID:9mmS/V/c.net
         
海未「デートです。つまり、穂乃果と二人きりで過ごしてもらうんです」

海未「そうすればきっと、にこにも……私の気持ちが、理解できるはずです」

にこ「理解したくないし……。ていうか、デートって……」

海未「一日一緒に過ごせば、あなたもきっと穂乃果にメロメロになるはずです」

にこ「バカなの?」

海未「もう、レズ化まったなしです」

にこ「バカ……」

海未「そう言っていられるのも今のうちですよ。今に穂乃果という女の子の恐ろしさを、味わうことになるんですから……」

にこ「恐ろしさ……?」

海未「はい。明日を楽しみにしていてください」

にこ「……はぁ」

海未「それと、あなたは明日を境に穂乃果のことを大好きになっちゃうでしょうけど、このパンツは絶対にあげませんからね」

にこ「いらないし、早く本人に返しなさい」

海未「あぁ、穂乃果ぁ……」スンスン

にこ(うわぁ……)
                  

28: 2015/01/28(水) 22:21:10.33 ID:9mmS/V/c.net
           
海未「では、駅前に11時でお願いします。穂乃果の方からは私が伝えておくので」

にこ「なんか勝手に話が進んでるけどさ……。なに、適当にあいつと遊んでればいいわけ?」

海未「デートですから、手を繋いだりしてもいいですよ」

にこ「繋がないわよ。あと女の子同士で遊ぶだけなんだから、デートじゃないし」

海未「いいですねえ……。このノーマルにこが、明日にはレズになってしまうんですから」

にこ「そう言うあんたはもう既に、清純の欠片もないわね」

海未「あ、でも手を繋ぐまではギリギリ許しますが、それ以上のことは絶対にしないでくださいね?」

にこ「それ以上のことってなによ……」

海未「デートとは言いましたが、一日一緒に過ごすという体験を『させてあげる』だけであって、あなたが本当に穂乃果の恋人になるわけではないんですからね?」

にこ「だから、女子同士でしょうがっ! なんで恋人なんて話になるのよっ!」

海未「ふふっ、何も知らないんですねえ、にこは。これは明日が楽しみです」

にこ「どうでもいいけどあんた、次から付き合い方変えるからね」 
       

32: 2015/01/28(水) 22:26:42.03 ID:9mmS/V/c.net
       
――――



次の日

駅前



にこ「……」


にこ(……ていうか、穂乃果と二人きりで遊びに行くなんて、これが初めてよね……。ちょっと新鮮かも)

にこ(うーん、どこ行こうかな……。ノープランで来ちゃったけど……)

にこ(まあ、どこでもいいか。適当にその辺ブラブラして……)


穂乃果「にーこちゃんっ!」

にこ「うわぁっ!?」

穂乃果「へへー、ビックリしたぁーっ?」

にこ「あ、あんたねっ! いきなり出てくるんじゃないわよっ!」

穂乃果「ごめんね。待ったー?」

にこ「別に、待ってな……」

穂乃果「? どうしたの?」

にこ「あー、えっと……」



にこ(穂乃果の私服姿……は別に、見るの初めてじゃないけど)

にこ(なんか今日は妙に、気合い入ってる感じ……? いや、気のせいかしら)

にこ(正直……。まあ、可愛い、かな……)
     

39: 2015/01/28(水) 22:30:12.41 ID:9mmS/V/c.net
        
穂乃果「あ、ねえねえ。どうー? この服」

にこ「えっ?」

穂乃果「今日はね、頑張ってオシャレしてきたんだー。どう、かな?」

にこ「あ、ああ。可愛いわね、すごく」

穂乃果「ほんとっ? ありがとーっ!」

にこ「なんか気合入ってるわよね」

穂乃果「ほら、にこちゃんとこうして二人きりで遊ぶのなんて、初めてでしょ? だから、頑張っちゃおうかなーって!」

にこ「っ! べ、別に普通でいいのに……」

にこ(よく平気でそんな恥ずかしい台詞が言えるわね……)

穂乃果「それにね。穂乃果、嬉しかったんだ」

にこ「嬉しい……? なにがよ?」

穂乃果「にこちゃんが穂乃果を遊びに誘ってくれたことがね、すごく嬉しかったの」

にこ「ああ……。まあ、たまにはね」

にこ(なんか私の方から誘ったことになってるっ!?)
      

44: 2015/01/28(水) 22:34:42.07 ID:9mmS/V/c.net
       
穂乃果「にこちゃんも今日、すっごく可愛いねっ!」

にこ「えっ。ああ、そう?」

穂乃果「うんうんっ、オシャレだよねえ、にこちゃんって」

にこ「……ふん。当たり前じゃない。アイドルはプライベートでも可愛くなくちゃいけないんだからっ!」

穂乃果「やっぱりすごいなぁ、にこちゃんは……っ!」

にこ(そんな素直に褒められても、反応に困るわ……)

にこ「……とりあえず、どこ行く? ちょっと早いけど、お昼にしちゃう?」

穂乃果「そうだねっ。この辺だと……」

にこ「ちょっと歩くけど、ファミレスがあるわよ。そこでいい?」

穂乃果「うんっ! じゃ、いこっか」スッ

にこ「……? なによ、その手は」



穂乃果「手、繋いでいこっ?」

47: 2015/01/28(水) 22:38:15.26 ID:9mmS/V/c.net
       
穂乃果「……」ニコニコ

にこ「……」

にこ(手を繋いでもいいって、海未も冗談で言ったのかと思ってたけど……まさか穂乃果の方から言ってくるなんてね……)

にこ(まあでも、そっか。こいつはそういうヤツよね……)

穂乃果「にこちゃん?」

にこ「ああーえっと、手ね。うーん……」


にこ(……正直、嫌なんだけど。恥ずかしいし……。ていうか普通、友達同士で手なんか繋ぐ?)

にこ(よっぽど仲良しならアリかもだけど……私と穂乃果って、別にそんなに……)


ヴーヴー


にこ「……?」
   

50: 2015/01/28(水) 22:40:54.36 ID:9mmS/V/c.net
       
にこ「あっ、ごめん、電話……」

穂乃果「あ、うん。待ってるね」




にこ「……」


ピッ


にこ「……もしもし」

『どうも』

にこ「何の用よ、海未」

『ごめんなさい。今もしかして、いいところでした?』

にこ「いいところってなによ。さっさと用件を言いなさいって」

『……なんかにこ、私に冷たくなってません?』

にこ「昨日のことを簡単に忘れてもらえると思ったら大間違いだからね」

『ですか……。まあ、そんなことはどうでもいいです』

にこ「どうでもよくはないでしょ……」

『単刀直入に聞きますね』

にこ「は?」


『穂乃果に手を繋ごうと言われて、どう思いました?』


にこ「……」



にこ「はあああぁぁーっ!?」
   

51: 2015/01/28(水) 22:43:19.39 ID:9mmS/V/c.net
         
にこ「ちょ……っ! あ、あんた、まさか……っ!」

『なんでしょう?』

にこ「あんたまさか、近くに来てるのっ!? 私たちの会話を近くで、聞いてたのねっ!?」

『いいえ? ただ盗聴器を仕掛けただけですよ』

にこ「もっと悪いわっ!」

『にこと穂乃果の会話は全てイヤホンを通じて、私の耳に届くようになっています』

にこ「そりゃ盗聴器だもんねっ!」

『つまり、にこがなにか穂乃果にイケないことをしようとすれば、すぐに私に伝わるということです』

にこ「しないってのっ! くっ、いつの間に盗聴器なんて……っ!」

『穂乃果があなたとの待ち合わせ場所に行く前に、偶然を装って会っておいたのです。その時に、彼女の服にこっそり着けました』

にこ「なんか手馴れてる感じっ!? あんた絶対、これが初犯じゃないわよねっ!?」

『細かいことはいいので、答えてください。手を繋ごうと言われたとき、どう思ったんですか?』

にこ「はぁ!? そんなの――」

『ドキッとしたんでしょう?』
     

56: 2015/01/28(水) 22:48:25.10 ID:9mmS/V/c.net
         
にこ「……してないわよ、別に」

『嘘をつかないでください。穂乃果にそう言われたとき、妙な間があったことを、私は聞き逃しませんでしたよ』

にこ「ビックリしただけよっ! まさかそんなこと言われるなんて、思ってなかったから……っ!」

『……ふむ。これは、時間の問題ですね』

にこ「なにがよっ!」

『まだ始まったばかりですよ、にこ? このペースでは、あと一時間もすれば堕ちてしまいますよ』

にこ「どこになにが落ちるってのよっ!」

『あなたが恋にです』

にこ「あっ、そういう意味……。じゃなくて、堕ちるかっ! 女の子同士でしょうがっ!」

『それでもです。いえ、だからこそです』

にこ「はぁ……?」

『あ、もう戻って頂いて結構ですよ。昨日言いましたが、手を繋ぐのまでは許可しますので、どうぞお楽しみください』

にこ「あんた、一体なにがしたいのよっ!?」

『あなたがレズになっていく様を、見届けるのが私の役目です』

にこ「ならないっつってんでしょうがっ!」


ピッ

62: 2015/01/28(水) 22:55:50.97 ID:9mmS/V/c.net
      
にこ「くっ……。ああもう、なんなのよ……」

穂乃果「に、にこちゃん?」

にこ「あ、ああ、ごめんね、待たせちゃって」

穂乃果「あの、なんか怒鳴ってなかった? 大丈夫?」

にこ「いいのよ、気にしないで。えっと、それじゃ行きましょう」

穂乃果「うん。あっ、その……」

にこ「えっ?」

穂乃果「て……」

にこ「て……? ああ、手ね……繋ぐんだっけ?」

穂乃果「う、うんっ」

にこ「……」


にこ(ま、いっか……。ここで嫌がるのも可哀想だし)


ギュッ


にこ「はい。これでいい?」

穂乃果「あはっ。にこちゃんの手、あったかぁい……」

にこ「……い、行きましょうか」

穂乃果「うんっ!」


スタスタ


穂乃果「~♪」

にこ(はずい……)

111: 2015/01/29(木) 18:06:56.63 ID:Rd71vqDz.net
     
――――

ファミレス



穂乃果「もぐもぐっ……」

にこ「もぐっ……。ねえ。今日、どっか行きたいとこある?」

穂乃果「ごくん……。えー?」

にこ「特に予定考えてなかったからさ……。なんかある?」

穂乃果「どこでもいいよー」

にこ「そういうのが一番困るのよ……」

穂乃果「んー。でも穂乃果はにこちゃんと一緒だったら、どこでも楽しいから」

にこ「私と一緒だったら……?」

穂乃果「うんっ」

にこ「あ、あっそ……」

にこ(だからなんでそんなこと、平気な顔して言えんの……)

にこ(大体二人で遊ぶの初めてなのに、どこでも楽しいわけないし……)
  

112: 2015/01/29(木) 18:09:55.25 ID:Rd71vqDz.net
       
穂乃果「おいしかったぁーっ!」

にこ「おなかいっぱい……。あとは、デザートね」

穂乃果「にこちゃんは、チョコパフェだっけ?」

にこ「うん。ここのは美味しいらしいから、楽しみだわ」

穂乃果「ねっ。来たらちょっと食べてもいい? 穂乃果のいちごパフェ、食べてもいいから」

にこ「……別にいいわよ」

穂乃果「やったぁっ! えへへ、楽しみぃ……」

にこ「……」

穂乃果「……? どうしたの? 穂乃果の顔に、なにか付いてる?」

にこ「いや……。あんたってよく、笑うわよね」

穂乃果「えっ、そう?」

にこ「うん。アイドルにとっては大切なことよ。これからも大いに笑いなさい」

穂乃果「えへへ……褒められちゃった」

にこ「……」


にこ(……うん。この笑顔は、素直に魅力的だと思うわ)

にこ(海未は穂乃果のことを、可愛すぎるとか言ってたけど……。この笑顔を見ちゃうと、そう言いたくなる気持ちは分からなくもないかも)

にこ(まあ、にこの方が可愛いけどね)
      

115: 2015/01/29(木) 18:18:16.13 ID:Rd71vqDz.net
          
穂乃果「あはっ、でもにこちゃんもよく笑うじゃん。にっこにっこにー、って」

にこ「ああ、まあね……」

穂乃果「にっこにっこにー♪」

にこ「……いや、別にやんなくていいわよ」

穂乃果「えー? にこちゃんはやんないの?」

にこ「な、なんであんたと二人しかいないのに、やんなきゃいけないのよ」

穂乃果「やってよー。お手本見せてー」

にこ「いやっ!」

穂乃果「な、なんでーっ!? いつもやってるのにっ!」

にこ「そりゃ学校で、みんながいる時ならいいけど……今はなんか、やり辛いのよ」

穂乃果「どうして……?」

にこ「どうしてかしらね。プライベートで、二人きりだからかな……」

穂乃果「うーん……そっか。じゃあ、仕方ないね……」ショボン

にこ「……」



にこ「に、にっこにっこにー」

穂乃果「わぁっ! やってくれたーっ! あははっ」

にこ(これやって恥ずかしいと思ったのは、生まれて初めてだわ……)
       

118: 2015/01/29(木) 18:23:55.58 ID:Rd71vqDz.net
      
「おまたせしました。いちごパフェと、こちらチョコパフェになります」


穂乃果「もぐっ……。んー、甘くておいしーっ!」

にこ「んぅー、さいっこうだわこれ。流石、評判が良いだけあるわね」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「ん? ああ、食べたいんだっけ。ちょっとだけよ?」

穂乃果「あーん」

にこ「……なにしてんの?」

穂乃果「えっ。だって、食べていいって……」

にこ「……」

にこ(……こういうのって、カップルがするもんじゃないの……? 友達同士とかでするもんじゃない気がするけど……)

穂乃果「あーん……」

にこ「……はい」スッ

穂乃果「もぐっ、んぅ……。うわぁ、ほんとだっ! すっごくおいしいね、これっ!」

にこ「でしょ? あんたのも頂戴よ」

穂乃果「あ、うんっ。はい、あーん」

にこ(私もやんのっ!?)
      

119: 2015/01/29(木) 18:25:59.99 ID:Rd71vqDz.net
      
にこ「……あ、あーん」

穂乃果「はい、どうぞっ」スッ

にこ「んっ……。こっちもなかなかイケるじゃない」

穂乃果「おいしいよね。もう一口食べる?」

にこ「い、いや、もういいかな……」

穂乃果「そっか。へへ、でも穂乃果はもう一口、食べたいなー、なんて……」

にこ「面倒くさいから勝手にとって食べていいわよ」

穂乃果「やったぁー。じゃあちょっとだけ……」

にこ(まさかこんなことやらされるなんてね……。本当にデートみたいになっちゃってるじゃない)

にこ(二人きりだと穂乃果、こんな風になるんだ……。なんというか、甘えたがりというか……)


ヴーヴー


にこ「……」

123: 2015/01/29(木) 19:06:22.52 ID:Rd71vqDz.net
      
にこ「ちょっと、お手洗い行ってくるわね」

穂乃果「はーい」


バタン

ピッ


にこ「今度はなによ」

『穂乃果と食べさせ合いっこした時、どう思いました?』

にこ「どうも思わないわよっ! んなことでいちいち電話してこないでくれるっ!?」

『ドキッとしました?』

にこ「しないわよっ! ただ恥ずかしかっただけっ!」

『そうですか? 穂乃果が口を開けて待っている姿を見て、興奮したりはしませんでした?』

にこ「あんた何言ってんのっ!?」

『一緒にご飯を食べに行くと、いつも穂乃果はああやって、食べさせ合いっこをしたがるんです。可愛いですよね、本当に』

にこ「知らないわよ……」

『その後は、口に付いてしまった汚れを拭いてあげたりとかね……。もう、ゾクゾクしますよね』

にこ「知らないってのっ! あんた、どんどん気持ち悪くなってきてるわねっ!」

『……ところで、にこ。あなたも、穂乃果に食べさせてもらったんですよね?』

にこ「そうだけど、それがっ!?」

『もちろんその時は、穂乃果のスプーンで、食べさせてもらったんですよね?』

にこ「……だからなによ」

『関節キスですよね?』

にこ「……」
   

129: 2015/01/29(木) 19:14:23.39 ID:Rd71vqDz.net
     
にこ「……まあ、そうなるわね」

『はぁっ!?』

にこ「っ!? な、なによ」

『いや、関節キスですよっ!? 意味分かってますっ!?』

にこ「いやいや、なんでそんな興奮してんのよ……」

『穂乃果と関節キスしたんですよっ!? もっとなにかあるでしょうっ!?』

にこ「なにかって……。別に、そんな気にすることでもないじゃない。女の子同士なんだし」

『……』

にこ「急に黙んないでよ。怖いんだけど……」

『……にこは素直じゃないですね』

にこ「は?」

『穂乃果と関節キスをして何も感じないわけないのに……。平常心を装って……』

にこ「……ごめん、なに言ってんの?」

『分かってますよ、私は。あなた、本当はもう既に、穂乃果のこと好きになっちゃってるでしょう?』

にこ「もう切っていい?」

『早めに認めちゃったほうが、気が楽だと思いますよ。にこ、あなたもやはり、レズになって――』

ピッ    
    

132: 2015/01/29(木) 19:23:02.14 ID:Rd71vqDz.net
  
ストン


にこ「ふぅ」

穂乃果「あ、にこちゃん」

にこ「あ、もう食べ終わっちゃったの? 私も早く食べなきゃ」

穂乃果「へへ、手伝おっか?」

にこ「どんだけ食うのよ……。あんたまた太って、海未に怒られるわよ?」

穂乃果「うっ……。そ、それは嫌だなぁ、あはは……」

にこ(ていうか今思うと海未って、一体どんな感情で穂乃果に説教してんだろ……)

にこ「……って、穂乃果」

穂乃果「えっ?」

にこ「口、クリーム付いてる」

穂乃果「え、ほ、ほんと? どこだろ……」

にこ「拭いてあげる。じっとしてて?」

穂乃果「あ、う、うん。ありがと……」


フキフキ
   

142: 2015/01/29(木) 21:47:30.48 ID:Rd71vqDz.net
    
――――


にこ「さて、腹ごしらえもしたし……どこ行く?」

穂乃果「どうしよっかー。とりあえず、ブラブラしてみる?」

にこ「そうね。じゃ、歩きましょ」

穂乃果「うんっ」スッ

にこ「……ああ、手ね」ギュッ

穂乃果「へへー、にこちゃんの手って、小っちゃくて可愛い……」

にこ「あんたの手だって大きいわけじゃないでしょ」

穂乃果「あっ、あそこ行ってみようよっ!」

にこ「ん? ああ、服屋さんね。いいわよ」

穂乃果「にこちゃんに、オシャレの秘訣教わりたいなぁー」

にこ「仕方ないわねー。ファッションセンス抜群のにこにーが、あんたの服選んであげるわっ!」
   

143: 2015/01/29(木) 21:49:39.44 ID:Rd71vqDz.net
    
――――


にこ「んー、完ぺきっ! めちゃくちゃ似合ってるわよ、穂乃果っ!」

穂乃果「ほ、ほんとっ? でも穂乃果、こういう服初めて着るかも……」

にこ「似合いまくってるわっ! ほら、鏡かがみっ!」

穂乃果「……あっ。えへへ、いいかも……」

にこ「でっしょーっ!? いやぁ何がすごいって、この服をチョイスしたにこのセンスよねっ!」

穂乃果「うんっ。これからはこういう服も、着てみようかなぁ……」

にこ「是非そうしなさいっ!」

穂乃果「あはっ。ありがと、にこちゃんっ! にこちゃんに選んでもらって、正解だったよっ!」

にこ「にこもにこが選んで正解だったと思うわっ!」

穂乃果「ふふっ。これからお洋服買うときは、にこちゃんに選んでもらいたいなぁ」

にこ「いつでも呼ぶといいわっ!」

穂乃果「ほんとっ!? ありがとーっ!」


ヴーヴー


にこ「……」

144: 2015/01/29(木) 21:53:38.14 ID:Rd71vqDz.net
  
穂乃果「じゃ、これ買ってくるねっ!」

にこ「ん、行ってらっしゃい」


ピッ


にこ「なに」

『ふふっ。これからお洋服買うときは、にこちゃんに選んでもらいたいなぁ』

『って言われたとき、どう思いました?』

にこ「あんたいい加減にしなさいよっ!?」

『ドキッとしました?』

にこ「普通に嬉しかったわよっ! それだけっ!」

『なかなか認めませんね……。そんなにレズは嫌ですか?』

にこ「嫌もなにもないわよっ! ならないもんはならないのよっ!」

『そうですか。ただ、一応釘を差しておきますが、勘違いはしないでくださいね?』

にこ「なにが……っ!」

145: 2015/01/29(木) 22:01:38.91 ID:Rd71vqDz.net
  
『確かにこれであなたは、これから先穂乃果のお洋服を選ぶことができる権利を得たわけですが、だからといって別に、彼女にとってあなたが特別な存在になったというわけではないんですからね?』

にこ「長々となに言ってんのよあんたは……」

『穂乃果がああいうことを言うのは、いつものことなんです。例えば私だって――』

『海未ちゃんの教え方って、すごく分かりやすいねっ! これからもお勉強で分からないことがあったら、海未ちゃんに教えてもらいたいなぁ』

『……と、小学生の頃に言われたことがあります』

にこ「そんな出会ったばかりの頃であろう思い出を引っ張ってこられてもね……」

『穂乃果の恐ろしいところです。私は多分あの時、恋に堕ちてしまったのでしょう』

にこ「へえ。そんな前からあんた、レズだったんだ」

『私はレズではありません』

にこ「あんたこそ、頑なに認めようとしないわよね……」

『いいですか、勘違いしないでくださいね。あなたが穂乃果に恋をするのは勝手ですが、別に穂乃果はあなたのことを、一人の友達としてしか見てないんですからね』

にこ「はいはい。そうですか」

『……にこ。拗ねないでください。色々言いましたけど、私はあなたを尊敬しているんです』

にこ「な、なによ急に……」

『洋服を選んであげると言いながら、穂乃果を自分色に染め上げ、ほくそ笑む……。あなたは私なんかより、よっぽど変態です』

にこ「次会ったらほんっとうにぶん殴るからねっ!」

ピッ

149: 2015/01/29(木) 22:13:48.68 ID:Rd71vqDz.net
     
穂乃果「お待たせー」

にこ「ん、もう買ったの?」

穂乃果「うん。にこちゃんは何か買わないの?」

にこ「私はいいかな。服はいっぱい持ってるし」

穂乃果「……あのね。実は、にこちゃんが選んでくれたのとは別に、もう一着買った服があるの」

にこ「えっ?」

穂乃果「これなんだけど……」

にこ「……ふぅん。可愛いじゃない。あんたも結構、良いセンスしてるわね」

穂乃果「お、同じの、にこちゃんも買ってみない?」

にこ「……同じの?」

穂乃果「う、うん。お揃いで、どうかなって……。えへへ……」

にこ「……」


ヴーヴー
 

150: 2015/01/29(木) 22:22:19.15 ID:Rd71vqDz.net
    
ヴーヴー

穂乃果「……あ、あれ? 携帯鳴ってない?」

にこ「ああ、気にしなくていいわ。出ても仕方ないから」

穂乃果「そう……?」

にこ「うん。にしても、お揃いっていうのは……流石にちょっと、恥ずかしくない?」

穂乃果「ううん、そんなことないよっ! 穂乃果はにこちゃんとだったら全然、恥ずかしくないよっ!」

にこ「私が恥ずかしいのよバカ」

穂乃果「えっ……。そ、そっか。そうだよね……」

にこ(あっ、しまった……)

穂乃果「ご、ごめんね。そうだよね、恥ずかしいよね……。あはは……」

にこ「……」


ヴーヴー


にこ「や、やっぱり電話出てくるわ。ちょっと待ってて」

穂乃果「うん……」
  

155: 2015/01/29(木) 22:33:35.73 ID:Rd71vqDz.net
  
ピッ


にこ「もしもし」

『あなたは最低です』

にこ「なによいきなりっ!」

『穂乃果がせっかくお揃いにしようと言ってくれたのに、なんですかあの態度は』

にこ「い、いや、そんなこと言ったって……。流石にお揃いってのはどうなのよっ!?」

『素敵じゃないですか。今日一日は、ペアルックで過ごしてみてはどうでしょう? ギリギリのラインですが、特別に許可しますよ』

にこ「嫌よっ! 恥ずかしいっ!」

『はぁ……。もったいない。あとで後悔しても、知りませんよ』

にこ「しないわよ……」

『レズになってから後悔しても、遅いんですよ』

にこ「そしたらレズになったことを後悔するわ」

『そうですか。いや、それにしても……』

にこ「なに……」

『堕ちましたね、にこ』

にこ「なんでよっ!?」
      

156: 2015/01/29(木) 22:38:59.03 ID:Rd71vqDz.net
       
『穂乃果はにこちゃんとだったら全然、恥ずかしくないよっ!』

『と言われた瞬間に、見事に堕ちたでしょう? いやあ、あれはドキッとしましたね。音声だけでも穂乃果の無邪気な笑顔が伝わってきましたよ』

にこ「なに楽しんじゃってんのよあんた……。別に、何とも思わなかったわよ」

『認めませんねー。まあでも、勘違いしないでくださいね?』

にこ「今度はなによ」

『穂乃果は別に、あなたを特別に意識して言ってるわけじゃないですからね? 私だって、過去に同じようなことを言われたことはあるんですからね?』

にこ「どうでもいいっての……」

『というか、あのようなことを平気で言う彼女と何年も一緒に過ごしてきて、まだ理性を保てている私って、すごくないですか?』

にこ「それで理性保ててるつもりなんだ……」
    

161: 2015/01/29(木) 22:46:59.34 ID:Rd71vqDz.net
        
にこ「……まあでも、なんとなくあんたの言ってた穂乃果の恐ろしさってのは分かってきたわ」

『というと?』

にこ「ようするに、ああいう恥ずかしいことを平気で言えちゃうところが、ってことでしょう?」

『……』

にこ「確かにあんなこと言われたら、恋に堕ちちゃう人もいるでしょうね」

『でしょう? あんな感じのことを、私は何度も言われてるんですからね? レズになっても仕方ないでしょう?』

にこ「……いや、私が言ったのは、相手が男だった場合よ……。決まってるじゃない」

『は?』

にこ「男だったら、あんなこと言われて勘違いしちゃうヤツもいるかも、って話よ……。同性だったら、普通何とも思わないでしょ」

『……それ、本気で言ってます?』

にこ「言ってるけど……」
    

166: 2015/01/29(木) 22:52:54.12 ID:Rd71vqDz.net
        
『そうですか……。同性だったら、何とも思わないですか』

にこ「同性でも、恥ずかしいものは恥ずかしいけどね。平気であんなこと言えちゃうあいつは、やっぱり恐ろしいわ」

『私からしたら、普段のあなたもだいぶ恥ずかしいことを言ってる気がしますが……』

にこ「なんのことかわからないにこー?」

『……まあ、いいです。このデートが終わる頃には、あなたの考えも変わってるでしょう』

にこ「何も変わらないと思うけど」

『あと一つ、忠告です』

にこ「は?」

『もしも次、あなたが穂乃果のことを悲しませるようなことがあったら、その時点で即刻デートは中止とします』

にこ「……」

『やはり、これから私もそちらに向かおうと思います。ここから先は、盗聴と監視の二重体制で行きます』

にこ「……あっそ。勝手にすれば?」

『はい。デートを最後まで続けたければ、以後、発言には気を付けることですね』

にこ「……ふん」

ピッ

169: 2015/01/29(木) 22:58:56.72 ID:Rd71vqDz.net
       
にこ(別に私は、デートなんてどっちでもいいのよ。勝手に巻き込んでおいて、なに言ってんだか……)


穂乃果「あ、にこちゃん……」

にこ「やっぱり出るんじゃなかったわ。ほんと、どうでもいいことで電話かけないでほしいわよ」

穂乃果「あ、あはは……。だ、誰からだったの?」

にこ「ん、ああ……。あんたは知らなくてもいい人よ」

穂乃果「そっか……。じゃ、もういこっか?」

にこ「……」

にこ(まあ、でも……穂乃果はなにも、悪くないのよね。私と同じで、巻き込まれただけだし……)

にこ「……待ちなさいよ。私も買う物あんのよ」

穂乃果「えっ?」

にこ「これ、私好みだわ。デザインも良いし、着やすそうだし……」

にこ「……それに、あんたとお揃いってのも、悪くないしね」

穂乃果「に、にこちゃん……っ!」

にこ(そんなキラキラした目で見つめないでよ……)
    

173: 2015/01/29(木) 23:13:31.21 ID:Rd71vqDz.net
      
――――



スタスタ



穂乃果「へへーっ」モギュッ

にこ「……あのさ」

穂乃果「えー?」

にこ「くっつきすぎじゃない……?」

穂乃果「えー。そんなことないよぉー。ふふっ」

にこ「……まあ、いいけど」

にこ(さっきより甘え方がエスカレートしてきてるわね……)

にこ(しかし、手を繋ぐまではOKらしいけど、腕を組むのはどうなんだろ)

にこ(でも穂乃果からやってきてることだし、ここで嫌がったら穂乃果を悲しませることにもなるし……まあ、仕方ないわよね)

穂乃果「えへへー、にこちゃん」

にこ「なによ」

穂乃果「さっき買った服、今着替えちゃおうかっ?」

にこ「はっ!? あ、いや……。ま、また今度でいいんじゃない?」

穂乃果「また今度……?」

にこ「……う、うん」

にこ(うっ……。またやっちゃった? でも今すぐペアルックで街を歩くのは、やっぱり抵抗が……)


穂乃果「また穂乃果と二人で、お出かけしてくれるの?」
       

176: 2015/01/29(木) 23:21:25.54 ID:Rd71vqDz.net
      
ヴーヴー


にこ「……」

穂乃果「……」

にこ「……まあ。暇なときにでも、また」

穂乃果「ほんとっ!?」

にこ「ひ、暇な時だけよ?」

穂乃果「うんっ。いつでも誘ってねっ? 穂乃果、いつでも予定開けとくからっ!」

にこ「そ、そう……」

穂乃果「ふふっ。じゃあ次遊ぶときは一緒に、今日買った服、着ようねっ!」

にこ「ああー、うん……」

にこ(変な約束しちゃった…っ! どうしよう、ペアルックでお出かけなんて……っ!)

にこ(やっぱりおかしいわよねっ!? さっきも店員さん、ニヤニヤしてたし……。ていうか知り合いにでも見られたら、恥ずかしすぎるっ!)


ヴーヴー

228: 2015/01/30(金) 21:53:24.06 ID:njSlklQZ.net
   
――――


ゲームセンター



にこ「次はここで遊びましょうか」

穂乃果「穂乃果、UFOキャッチャーやりたいなあー」

にこ「はー? そんなのよりも私は、あっちのダンスゲームが」

穂乃果「あ、こっちこっちっ! このぬいぐるみ、かわいいなぁー」

にこ「聞きなさいよっ!」

穂乃果「よーし、やってみようっ! んー……」

にこ「……」


グイングイン 


穂乃果「……あっ」

穂乃果「あぁー、ちょっとずれたっ! うぅー、ダメだぁ……」

にこ「下手くそねー」

穂乃果「も、もっかいっ!」


グイングイン ガシッ


穂乃果「あっ、つかんだっ! いけぇーっ!」


ポトッ


穂乃果「あぁーっ! うぅ、惜しいぃ……」

にこ「どきなさい。にこがとったげる」

穂乃果「えっ?」
  

232: 2015/01/30(金) 22:00:30.83 ID:njSlklQZ.net
   
グイングイン ガシッ


穂乃果「あっ」

にこ「……」


グイングイン……ポロッ、ガタン


にこ「とれたわ。ほら」

穂乃果「す、すごぉーいっ! 一発でとっちゃったっ!」

にこ(ま、まさか一発でとれるとは……)

にこ「こんなの、にこにかかれば余裕よ。こんなのより、あっちのダンスゲームを」

穂乃果「ありがとーぉ! にこちゃんっ!」ギュッ

にこ「おわっ!? だ、抱きつくんじゃないわよっ!」

穂乃果「嬉しいよ、にこちゃんっ。大切にするね……っ!」ギュウゥ……

にこ(なんなのよこいつっ! 人前で……っ!)

にこ(うわぁ、見られてる見られてる……)


ヴーヴー

237: 2015/01/30(金) 22:15:19.11 ID:njSlklQZ.net
にこ「いいからこっちっ! ダンスやんのよっ!」グイッ

穂乃果「わぁっ!?」

にこ「いいっ!? にこ、まだ根に持ってんだからねっ! 前にこのゲームを、みんなでやったときのことっ!」

穂乃果「え、えぇー?」

にこ「勝負よっ! 今度こそ、にこが勝つっ!」

穂乃果「……ふっ。穂乃果も、負けないもん」

にこ「……へえ。いい度胸じゃない」

穂乃果「いくよっ、にこちゃんっ!」

にこ「負けても泣くんじゃないわよ、穂乃果ぁっ!」

ヴーヴー

241: 2015/01/30(金) 22:24:53.07 ID:njSlklQZ.net
ピピッ


にこ「はぁ、はぁ……」

穂乃果「ふぅ、ふぅ……」

にこ「あっ……。み、見なさいっ! ほらっ!」

穂乃果「あっ……」

にこ「勝ったぁっ! 勝ちよっ! 私の勝ちっ! やったぁーっ!」ピョンピョン

穂乃果「ま、まけたぁーっ! そんなぁーっ!」

にこ「あの日からずっと、練習してきた甲斐があったわっ!」

穂乃果「練習してたんだっ!?」

にこ「はぁ、はぁ、ふぅ……あははっ」

穂乃果「うぅー。悔しい……も、もういっかいっ!」

にこ「ふん。別にかまわないわ。まあ次も、にこが勝つけどーっ!」

穂乃果「こ、今度は負けないもんっ!」


ヴーヴー


にこ「……」

にこ「……の前に、休憩しましょう。ジュース買ってくるわ」

穂乃果「あ、いってらっしゃーい」

244: 2015/01/30(金) 22:35:45.00 ID:njSlklQZ.net
ピッ

にこ「ふぅ……。なによ。しつこいわね」

『また穂乃果と二人で、お出かけしてくれるの?』

『と言われたとき、どう思いました?』

にこ「それ言われたの、もう30分ぐらい前よっ!?」

『にこが私を無視するからこうなるのです。というかあなた、ちゃっかり次のデートの約束までしちゃってるじゃないですか』

にこ「デートじゃないっ! ただ友達同士一緒に遊びに出かけるだけっ!」

『ペアルックで、でしょう?』

にこ「くっ……!」

『私も一度したことがありますが、あれは最高ですね。私たちの関係を、周りに見せつけてるみたいで』

にこ「り、理解できないわ……っ! 恥ずかしくないのっ!?」

『幼馴染ならこれくらい普通です』

にこ(私は幼馴染じゃないんだけど……)

246: 2015/01/30(金) 22:44:46.95 ID:njSlklQZ.net
『あとは……先ほどは、穂乃果に抱きつかれていましたよね』

にこ「まるで見ていたかのような言い方ね……」

『見ていましたからね』

にこ「見てたのっ!?」

『言ったでしょう、そちらに向かうと。変装していますが、私はもう既に同じゲームセンター内にいます』

にこ「あんたもう怖いんだけど……」

『どうでした? 胸とか、当たってたんじゃないですか?』

にこ「は、はぁ……?」

『穂乃果って意外と、胸あるんですよね。私もよく抱きつかれますが、その度に胸が当たって、ドキドキします』

にこ「気持ち悪いわねっ! あんた本当は男なんじゃないのっ!?」

『女でもこうなってしまうから、穂乃果は恐ろしいんです。何度も言ってるでしょう』

にこ「ならないわよっ! あんただけよっ! だって現に、私はドキドキしなかったわよっ!?」

『嘘をつきなさい。例え女でも、穂乃果に抱きつかれようものなら、その日の夜は眠れなくなるのが普通です』

にこ「だからそれはあんただけっ!」

『大体さっきからあなた、息荒いですよ? 発情してるんですか?』

にこ「ダンスして疲れてんのっ!」

252: 2015/01/30(金) 23:25:14.80 ID:njSlklQZ.net
『ダンスですか……後ろから見てましたけど、やっぱりお二人とも、お上手ですよね』

にこ「後ろっ!? 全然気づかなかった……っ!」

『いえ本当、普段の練習の成果が出てると思います。ラブライブ、これなら優勝も夢じゃないかもしれませんね』

にこ「急にμ'sの話しないでっ!」

『そういえば練習中いつも思うんですが、穂乃果の汗ってどうしてあんなに舐めたくなるんでしょうね?』

にこ「んで急に変態に戻るなっ!」

『あぁ、今すぐ舐めたいです……。何か良い方法はありませんか? 穂乃果に引かれないように、自然に汗を舐める方法……』

にこ「私に考えさせないで」

『ていうか穂乃果、スカートでしたよね。パンツ見えちゃいそうで、ムラムラ、いえ、ハラハラしてましたよ』

にこ「……そう」

『穂乃果って、そういうところあるんですよね。例えば部屋で遊んでるときなんか、結構薄着なんですよ。それでたまにシャツから胸が、チラリと見えたりとか』

にこ「私、今普通に引いてるんだけど。分かる?」

『待ってください。これに関しては、私何も悪くないですよね? 穂乃果が無防備すぎるのがいけないんです』

にこ「そりゃ同性の幼馴染相手なんだから、無防備にもなるでしょ……。同性の幼馴染相手に興奮する、あんたが悪い」

『あ、あなたまだ、そんなことが言えるんですかっ!? あの穂乃果とここまで一緒に過ごしてきて、まだそんなことがっ!』

にこ「はぁ……」

256: 2015/01/30(金) 23:33:44.31 ID:njSlklQZ.net
『あなた、おかしいですよ……。もしかしてあなた、異性が好きなんじゃないですか?』

にこ「いや、それが普通でしょ……」

『あれ、そうでしたっけ……。もう何が普通で誰が変態なのか、分からなくなってきましたよ……』

にこ「変態はあんたよ」

『なんだか不安になってきましたよ、にこ。このままでは、ただ日曜日に友達と二人で遊びに出かけただけですよ?』

にこ「最初から私はそのつもりだっての」

『もっと何かないんですか……? 初めて二人きりで過ごして、その友達の意外な魅力に気づいて、好きになってしまうとか……』

にこ「あり得ないわね。だって、同性だし」

『……意外と手強いですね、にこ』

にこ「いやだから、あんたがおかしいだけで……」

『私はおかしくありません。未だに穂乃果に惚れていない、あなたがおかしいんです』

にこ「無駄よ、もう……。私は絶対に、女の子を好きになったりはしない」

『……』

259: 2015/01/30(金) 23:50:01.33 ID:njSlklQZ.net
 
『あなたで試したのは、失敗だったかもしれませんね……』

にこ「じゃあ誰だったら良かったのよ」

『真姫だったらチョロいですし、多分すぐに堕ちていたでしょうね』

にこ「チョロいのっ!? そうは思えないけど……」 

『あなたの知らないところで、彼女はチョロいことで有名なんです』

にこ「そんなことで有名になりたくないわね……」

『あとは絵里ですかね』

にこ「あいつもチョロいの?」

『チョロいというか、ポンコツですから。なんとなく簡単そうです』

にこ「ポンコツっ!? どこがよっ! 優等生じゃないっ!」

『あなたの知らないところで、彼女はポンコツなことで有名なんです』

にこ「可哀想すぎないっ!?」
    

261: 2015/01/30(金) 23:57:57.70 ID:njSlklQZ.net
『しかしあの二人じゃなくとも、これだけ長時間二人きりでいれば、穂乃果を好きにならないはずがないのですが……』

にこ「そんなことないでしょ。男ならともかく」

『性別なんて関係ないです。その者が、人間である限りは』

にこ「私が人間じゃないみたいに言うな」

『もしかしてあなた、感情というものがないのですか?』

にこ「とんでもないことを言い出し始めたわね……」

『普段のキャラ作りも、実はそれを隠すための演技なのでは……』

にこ「アホか」

『皮肉なものですね。にっこにっこにー、笑顔を届けるとか言いながら、心からの笑顔を一番知りたいのは自分だという……』

にこ「本当に感情がなければ、あんたとの会話ももっと楽なんでしょうね」

ピッ

264: 2015/01/31(土) 00:05:33.82 ID:6QvtQ/oz.net
   
にこ「もう本当、電話でるのやめよ……」




にこ「穂乃果。はい、ジュース」

穂乃果「ありがとっ。あ、お金……」

にこ「ジュースぐらい奢るわよ」

穂乃果「本当? へへ……」

にこ「? なに笑ってんのよ」

穂乃果「今のにこちゃん、先輩っぽかったなぁ、って……」

にこ「悪かったわね、普段先輩っぽくなくて」

穂乃果「えぇっ!? ち、違うよっ! そういう意味で言ったんじゃなくて……」

にこ「えっ?」

穂乃果「にこちゃんの、そういう先輩っぽいところが、かっこいいなぁって思って……」

にこ「か、かっこいい……っ!?」

穂乃果「う、うん。えへへ……」


にこ(な、なによ。褒めてくれたの……? いつものノリで、普通にツッコミ入れちゃったじゃない……)

にこ(素直すぎるわよ、こいつ……。まあ、嬉しいけど……)

270: 2015/01/31(土) 00:13:57.77 ID:6QvtQ/oz.net
   
にこ「んっ……んく……」

穂乃果「ごくっ……。ぷはぁ、おいしーっ!」

にこ「ぷはっ……。ふぅ、よし、休憩は終わりっ! それじゃあ、決着つけるわよっ!」

穂乃果「うんっ。負けないからね、にこちゃんっ!」

にこ「ふんっ、かかってきなさい、穂乃果っ!」


~♪


ピピッ



にこ「はぁ、はぁ……結果は……」

穂乃果「……あっ」

にこ「……」

にこ「……引き分け?」

穂乃果「……みたいだね」

にこ「……」

穂乃果「……」

にこ「……ぷっ」

穂乃果「あははっ……」
     

272: 2015/01/31(土) 00:24:34.39 ID:6QvtQ/oz.net
     
――――


穂乃果「楽しかったねー」

にこ「そうね。だけど次こそは、絶対に決着つけるわよ」

穂乃果「うんっ。へへ、次かぁ……」

にこ「なにニヤニヤしてんのよ……」

穂乃果「えいっ」ギュッ

にこ「わっ……」

穂乃果「次、どこいこっかー?」

にこ「……うーん」

にこ(当たり前みたいに腕組んでくるわね……。流石に慣れたけどさ)

にこ(それとも、こんなこと気にする方がおかしいのかな……)

にこ(でも今まで付き合いがあった友達は、こんなことしてこなかったし……やっぱり穂乃果が、特別なのよね)


穂乃果「……」


パッ ササッ


にこ「……? あれ、どうしたの?」

穂乃果「……あ、えっと……」
      

274: 2015/01/31(土) 00:30:54.52 ID:6QvtQ/oz.net
    
穂乃果「穂乃果、汗かいちゃったから……」

にこ「は?」

穂乃果「その……」

にこ「……ああ。においなら、別に大丈夫よ」

穂乃果「そ、そうかな……」

にこ「むしろあんた、良い匂いするわよね」

穂乃果「えっ!?」

にこ「香水とか使ってるの? なんかすごく、甘い香りがするのよね」

穂乃果「そ、その、特には……」

にこ「そう。ていうか、私も結構汗かいちゃったけど……。もしかして、臭かった?」


ギュゥ


にこ「……」

穂乃果「ううん、すごく、いいにおい……」

にこ「……穂乃果」

穂乃果「にこちゃぁん……」


スリスリ


にこ(……友達なら、これも普通?)

にこ(いや、絶対普通じゃないわよね……)
    

301: 2015/01/31(土) 22:20:28.45 ID:6QvtQ/oz.net
    
――――

映画館



にこ「映画館か……」

穂乃果「穂乃果ね。実は見たい映画があったんだー」

にこ「へえ、どんなの?」

穂乃果「これなんだけど……」

にこ「……恋愛映画か。まあ、いいんじゃない?」

穂乃果「あっ、もうすぐ始まるみたいだよ。入ろうっ」

にこ「ん……。あ、すいません。高校生二人で……」



穂乃果「楽しみだねー」

にこ「そうね……。もう席着くし、腕解いていい?」

穂乃果「あ、ごめんね」パッ

にこ(なんか、さっきの受付の人もニヤニヤしてた気がするのよね……。考え過ぎかしら)

穂乃果「ここかな。結構見やすいところでよかったね」

にこ「ていうか、全然人いないんだけど……日曜日なのに」

穂乃果「あ、あはは……。結構前の映画だし、きっともうみんな見ちゃったんだよ」

にこ(内容はあまり期待しない方がいいわね……。まあ上映中は携帯の電源も切らなきゃだし、あいつから解放されるのはありがたいわ)





「……すいません、高校生一人でお願いします」
    

305: 2015/01/31(土) 22:29:54.37 ID:6QvtQ/oz.net
    
―――――


上映中



『どうして私のこと捨てたのっ!?』

『お前とは、遊びだったんだよ……』



にこ(うわぁ、意外とドロドロだった……。純粋な穂乃果に、これはキツイんじゃ……)

穂乃果「……」スゥ

にこ(寝てるし……)

にこ(まあさっき運動したし、疲れちゃったのかな……)

穂乃果「……」トン

にこ「……」

穂乃果「……」スゥスゥ

にこ(……寄りかかってくんじゃないわよ。重いわね……)

にこ(……)


にこ「……」チラ

穂乃果「……」スゥ……

にこ(……)




にこ(……かわいい)

312: 2015/01/31(土) 22:39:12.64 ID:6QvtQ/oz.net
    
にこ(こうしてじっくり見てみると……)

穂乃果「……」スゥ

にこ(……やっぱり、すごく可愛いのよね。顔も整ってるし、肌も綺麗……)

にこ(真姫ちゃんとか絵里とはタイプが違うけど、穂乃果も穂乃果で、結構な美少女よね……)

にこ(……柔らかそうなほっぺた。触ってみようかな)

ツンツン

穂乃果「……んぅ」

にこ(あ、反応した……。面白い……)

にこ(髪とか、触ってみたり……)

サラッ……

にこ(サラサラ……。良い匂い……。どんなシャンプー使ってるんだろ……)

にこ(……頭、撫でたいかも)

にこ(撫でてみるか……)

ナデナデ

穂乃果「……」スヤスヤ

にこ(……ふふっ。ほんと、気持ちよさそうに寝るんだから)


ナデナデ




「なにしてるんですか?」

319: 2015/01/31(土) 22:48:59.79 ID:6QvtQ/oz.net
     
にこ「……」

「……」

にこ「……海未?」

「私ですが?」

にこ「……いやあんたの方こそ、後ろでなにしてんのよ……」

「ですから、監視です」

にこ「まさか劇場の中まで入ってくるとはね……」

「動かないでください。振り返らないでください。その姿勢のまま、画面だけを見ていてください。穂乃果が起きても、知りませんよ」

にこ「私が脅されてるみたいになってるけど、穂乃果が起きて困るのはあんたよね」

「あなただって、穂乃果に悪戯できなくなったら困るでしょう? 今みたいに」

にこ「人聞きが悪いわね。別に悪戯してたわけじゃないわよ」

「暗闇の中で触りまくってたじゃないですか」

にこ「言い方気をつけなさい」

「いいですか。私が許したのは、手を繋ぐまでです。痴漢行為まで許した覚えはありません」

にこ「私も痴漢をした覚えはないわ」

「まあ、いいです。これでようやく、証明されましたからね」

にこ「なにがよ……」

「にこ。あなたは、レズです」
    

323: 2015/01/31(土) 23:00:05.67 ID:6QvtQ/oz.net
    
にこ「……はあ」

「ため息をついても無駄です。もう、言い逃れはできませんよ」

にこ「なんで私がレズだって?」

「触り方です。あのいやらしい手つきは、レズ特有のものです」

にこ「殴るわよ」

「というのは冗談だとしても……。少なくともあなた、もう完全に穂乃果のこと、好きになってますよね?」

にこ「……は? いやいや……」

「にこ。流石にここで認めないのは、無理がありますよ。あなたは特に好きでもない相手の頭を、撫でるんですか?」

にこ「……」

「……」

にこ「……どう、なのかしらね」

「う、嘘でしょう……?」
  

329: 2015/01/31(土) 23:10:07.57 ID:6QvtQ/oz.net
    
にこ「嘘じゃないわよ……」

「何なんですか……? どうして素直になれないんですか? 恥ずかしいんですか? 照れてるんですか?」

にこ「……あんたね」

「にこ……。もういい加減、認めてくださいよ。私は別に、あなたが穂乃果のことを好きになってしまったからと言って、それについて何かを言うつもりはありません」

「デートも、ここで止めたりはしません。あなたの本音が聞ければ、私は今すぐ帰ったっていいんです」

にこ「いや、だからさ……」

「あなたが穂乃果に手を出さないと誓うなら、盗聴器だって外します。電話も、もうしません」

「そのまま今日限りにおいては穂乃果と二人きりで、デートを楽しんでくださって結構です」

「ですから、認めてください。穂乃果を好きになってしまったと。レズになってしまったと……」

「恥ずかしがらずに。さあ……」

にこ「……勘違いしないでくれる?」

「……はい?」

にこ「別に私は穂乃果のことなんて、何とも思ってないんだからね」
  

330: 2015/01/31(土) 23:17:11.37 ID:6QvtQ/oz.net
     
「な、なんですって……?」

にこ「……」

「どうして……だって……」

「だって隣、見てくださいよ……」

にこ「……」

「こんなに可愛いんですよ……? こんなに可愛くて魅力的で、素敵な女の子を……」

「どうして、好きになれないんですか……?」

にこ「それは私が女の子で、こいつも女の子だからよ」

「……」

にこ「……気は済んだ?」

「……いいえ。そんなはずはありません。にこ、聞かせてください」

にこ「……」

「先ほど穂乃果に匂いを嗅がれ、『すごくいいにおい……』と言われたとき……」

「どう思いました? ドキッとしましたよね?」

にこ「……ごめん。今いいところだから、黙っててくれる?」

「は?」
    

335: 2015/01/31(土) 23:22:46.14 ID:6QvtQ/oz.net
    
『……それでも私、あなたのことが好きなの』

『ああ、俺もだ……』


チュ……


にこ「……」

「あっ……」


チュゥゥ……


にこ「うわっ。すごっ……」

「……は」

にこ「……は?」

「は、は、ハレンチです……っ!」


スタスタスタ……


にこ「……行ったみたいね。ったく、あんたが一番ハレンチだっての」

にこ「しかしまさか、こんなガッツリなキスシーンがあるなんて……。純粋な穂乃果にはとても見せられないわ」

穂乃果「……」スヤスヤ

にこ「寝てるわね。良かった……色んな意味で」

にこ(キスシーンより見せられないやつが、後ろにいたからね……。本当、よく今まで本性を隠してこれたわね、あいつ……)
  

341: 2015/01/31(土) 23:37:42.25 ID:6QvtQ/oz.net
   
穂乃果「ん、ぅ……?」

穂乃果「……」

にこ「……起きた?」

穂乃果「……うわっ!? に、にこちゃんっ!? なんでこんな近くに……っ!」

にこ「いや、あんたが寄りかかってくるからさ……。映画、もう終わっちゃったわよ」

穂乃果「えっ……。わ、ご、ごめんねっ! 私、寝ちゃってたんだ……っ!」

にこ「別にいいわよ、気にしなくて。いいもの見れたし」

穂乃果「いいもの……?」

にこ「あんたの寝顔。じっくり見せてもらったわ」

穂乃果「えっ、えーっ!? は、恥ずかしいよ……。穂乃果、変な顔してなかった……?」

にこ「ううん? すっごく可愛い顔で、眠ってたわ」

穂乃果「か……かわ、いい?」

にこ「えっ? ああ、うん……。まあ可愛いって言っても、にこの方が――」

にこ「……」

穂乃果「……」

にこ「……なに赤くなってんの?」

穂乃果「えっ。あ、ぅ、えと……っ」カァァ
   

346: 2015/01/31(土) 23:48:36.49 ID:6QvtQ/oz.net
     
にこ「はっ、なに。照れてんの?」

穂乃果「だ、だって、そんなこと言われたら……っ! うぅ……」

にこ「変なヤツ。ほら、出るわよ」

穂乃果「あ、う、うん……」

にこ「あーもう、しっかり立ちなさいよ」

穂乃果「ご、ごめん、寝ぼけてるみたい……」

にこ「しょうがないわねー」グイッ

穂乃果「……//」

にこ「……」



にこ(やっぱダメだ……)

にこ(照れてる穂乃果、すごく可愛いのに……寝てた時も可愛かったけど、今はそれ以上に可愛いのに……)

にこ(すごく可愛いのに……すごく魅力的なのに……)








にこ(全然、ドキドキしない……)

357: 2015/01/31(土) 23:56:45.91 ID:6QvtQ/oz.net
        


私はおかしくありません。未だに穂乃果に惚れていない、あなたがおかしいんです

もしかしてあなた、感情というものがないのですか?

こんなに可愛いんですよ……? こんなに可愛くて魅力的で、素敵な女の子を……



どうして、好きになれないんですか……?





にこ(……にこが、おかしいの?)

にこ(私が、変なの……?)

にこ(こんなに可愛い子とずっと一緒にいて……ドキドキしない私が、変なの?)

にこ(レズにならない私が……間違ってるの?)

にこ(……ううん。そんなわけない)

にこ(私は、普通……。普通じゃないのは、あいつの方……)

にこ(女の子が女の子を好きになるなんて、あり得ないんだから……)

418: 2015/02/02(月) 22:03:20.90 ID:YHDs/CqU.net
――――



穂乃果「にこちゃん」ニコニコ

にこ「なによ」

穂乃果「次、どこ行くー?」ギュッ

にこ「……」

にこ(もう、夕方か……)

穂乃果「あっ。カラオケとかどう? こっちこっち」

にこ「ごめん。ここあたちが待ってるから、あんまり遅い時間になると……」

穂乃果「えっ? あ、そ、そっか……」

にこ「……」

穂乃果「……じゃあさ、お店には入らないで、ちょっと歩こっか」

にこ「歩く……?」

穂乃果「うん。穂乃果、にこちゃんとこうしてるだけで……楽しいから」

にこ「……そう」




にこ(……なんで?)

にこ(なんで私とこうしてるだけで、楽しいの……?)

にこ(私は……?)

にこ(私は穂乃果とこうしてるだけで……楽しい……?)

424: 2015/02/02(月) 22:14:38.07 ID:YHDs/CqU.net
  
穂乃果「~♪」

にこ(……本当に、楽しそう)

にこ(別に、何か話してるわけでもないのに……)

穂乃果「にこちゃん。今日はありがとね」

にこ「……えっ?」

穂乃果「本当に、楽しかったよ。にこちゃんと初めて、二人だけで遊んで……すっごく、楽しかった」

にこ「なによ、いきなり……」

穂乃果「また絶対一緒に、遊ぼうね。約束だよ」

にこ「……うん」

穂乃果「その時はまた、手を繋いで歩こうね」

にこ「ん……」

穂乃果「お揃いの服で……。一緒に、歩こうね」

にこ「うっ……う、うん」

にこ(そういや、そういう約束だったわね……)

にこ(まあ穂乃果がそれで喜ぶんなら、私もそれぐらい我慢するけどさ……)



にこ(……『我慢』?)

にこ(我慢、って……なに、私……)

にこ(私……まさか……)


にこ(穂乃果とお揃いの服で出かけるのが、嫌なの……?)
  

428: 2015/02/02(月) 22:20:47.50 ID:YHDs/CqU.net
  
穂乃果「ふふっ……楽しみだなぁ」

にこ「そう、ね……」

にこ(どうして……? こんな可愛い女の子に、お揃いの服で街を歩こうって、誘われて……嬉しく、ないの?)


にこ(ドキッとしないの……?)


穂乃果「……にこちゃんっ!」

にこ「な、なによ。あんたさっきから、くっつきすぎ……っ!」


にこ(なんなの……? なんでそんなに、甘えてくるの……?)


穂乃果「にこちゃん……。私、にこちゃんと一緒にいると、なんだかすごく安心する……」

にこ「はっ、なに、それ……?」


にこ(なんでそんなこと言うの……? どうして平気でそんなことが、言えるの……?)


穂乃果「にこちゃん……」

にこ「なに……。ちょ、歩きにくいってば……っ!」

穂乃果「……だいすき」

にこ「……」


にこ「は……?」



穂乃果「にこちゃん、だーいすきっ!」


ギュウゥ



にこ「――っ!!」

435: 2015/02/02(月) 22:31:43.68 ID:YHDs/CqU.net
   
穂乃果「……えへへ」

にこ「な、なに言ってんの……?」

穂乃果「大好き、にこちゃん」

にこ「……も、もう少し離れてくんないと、歩けないわよ……」

穂乃果「ごめんね。でも、もう少しこのまま……」

にこ「……」

にこ(周りに人、たくさんいるのに……)

にこ(どうして、抱きついてくるの……?)



「……わぁ。可愛いー……」

「聞こえた? 大好きだってー……」

「すごく仲良しなんだろうねー……」



にこ「……っ!」

にこ(私たちのこと……。誰か、話してる……っ!?)

にこ(やだ……。こんな、こんな恥ずかしいところ、見ないで……)

にこ(違う……。お願い、勘違いしないで……。私は、私と穂乃果は、別に――)



穂乃果「にこちゃん……えへへ……」

にこ「……てよ」

穂乃果「……えっ?」



にこ「やめてよっ!!」

444: 2015/02/02(月) 22:41:03.35 ID:YHDs/CqU.net
     
穂乃果「……?」

にこ「離れて……」

穂乃果「……えっ。あ、う、うん……」

にこ「……はぁ」

穂乃果「……あ、あの、にこちゃん……?」

にこ「……」

穂乃果「ご、ごめんね……。その、怒ってる?」

にこ「……どうして私が怒るの?」

穂乃果「……え、えっと、ちょっと、強く抱きしめすぎちゃったかな、なんて……」

にこ「……そう。そうよね。あんたは別に、街中で人に抱きつくことに、抵抗はないのよね」

穂乃果「えっ……?」

445: 2015/02/02(月) 22:42:57.92 ID:YHDs/CqU.net
     
にこ「手を繋ぐことも、腕を組むことも、お揃いの服を着ることも……あんたにとっては別に、恥ずかしいことでもなんでもないもんね」

穂乃果「あっ……。ご、ごめん、そうだよね。にこちゃん、恥ずかしいって言ってたもんね……っ!」

穂乃果「ごめんね。私一人だけ、浮かれちゃって……。私、にこちゃんの気持ち、全然考えてなかった……っ!」

にこ「……謝らなくていいのよ、穂乃果。あんたは何も、悪くないんだから」

にこ「別に普通だもん、そんなの。確かに恥ずかしいけど、でも仲の良い友達同士なら……それぐらいするわよね、普通」

穂乃果「えっ……」

にこ「恥ずかしい台詞だって、平気で言えるわよ、そりゃ。仲の良い友達が相手なら……」

にこ「例えそれが、女の子同士でも……全然、おかしくない」

にこ「とても仲が良ければ……。例えば、昔からの幼馴染とかが相手なら……それぐらい、普通よ」

穂乃果「……にこ、ちゃん……?」

にこ「……穂乃果。別に私はね、こんなことぐらいじゃ怒ったりしないわよ。ただね……」

にこ「ただ、私は……一つだけ、疑問に思っただけ」

にこ「ずっと……。今日一日、ずっと疑問に思ってた……」

にこ「と言ってもこんなこと、本来は気にするようなことじゃないし、別にわざわざ言わなくてもいいことなんだけど」

にこ「だけど……言うわね、穂乃果」

穂乃果「……」




にこ「私とあんたって、そんなに仲良かったっけ?」

449: 2015/02/02(月) 22:47:09.16 ID:YHDs/CqU.net
    
ヴーヴー


穂乃果「……」

にこ「……」

にこ「ごめん、電話……」

穂乃果「……うん」

にこ「多分大事な話だから……。ちょっと、外すわね」

穂乃果「うん。いってらっしゃい……」

にこ「……別に、待ってなくていいからね」

穂乃果「ううん、待ってる……」

にこ「先、帰ってくれていいから」

穂乃果「待ってるよ……」

にこ「……ごめんね。本当に……」

穂乃果「ううん、私の方こそ、ごめんね……」





ヴーヴー



にこ「……」


ピッ

457: 2015/02/02(月) 22:52:15.92 ID:YHDs/CqU.net
       
『デートは中止です』

にこ「……でしょうね」

『といっても、もう終盤だったようですが』

にこ「まあね……。とにかくこれで、終わりね」

『ええ。終わりです。ですが最後に一つ、確認させてください』

にこ「なによ」

『穂乃果に大好きと言われて、どう思いましたか?』

にこ「……そうね。人前だし、恥ずかしかったわ」

『それだけですか?』

にこ「それだけね」

『……ドキッとは』

にこ「しなかったわ」

『……分かりました。結論が出ましたね』

にこ「……」




『あなたは正真正銘の、ノンケです』

   

466: 2015/02/02(月) 22:59:31.37 ID:YHDs/CqU.net
         
にこ「ノンケ……? ああ、レズじゃない普通の人のことを、そう言うのね」

『ええ。あなたはこの先、どんなことがあっても、女性を好きになることはないでしょう』

『普通に男性を好きになって、普通に男性と恋をして、普通に男性と結婚するのでしょう』

にこ「まあ、そうなるでしょうね」

『正直、予想外でした。口では何と言っても、実際に一日デートをすれば、あなたも穂乃果を好きになると思っていました』

『しかしまさかあなたが、ここまで何も感じないとは……』

にこ「……」

『……にこ。どうしてあんなことを言ったのですか?』

にこ「……あんなこと?」

『穂乃果を悲しませるようなことを、どうして言ったのですか。あなたは理由もなく、あのようなことを言う人ではないはずです』

にこ「……」

にこ「……単純に、不思議だったからよ。どうして穂乃果はこんなに、私にベタベタしてくるのかな、って……」

『ですからそれが、彼女の性格なんです。私といる時だって、彼女はあんな感じです』

にこ「だから、あんたは幼馴染でしょ?」

『……』

にこ「なんで、まだ出会って一年も経ってない私に対して……ただの友達でしかない、私に対して……」

にこ「あんなことが恥ずかしげもなくできるのかな、って……不思議だったの」
     
    

468: 2015/02/02(月) 23:07:09.77 ID:YHDs/CqU.net
      
『……それは』

にこ「私ね、友達少ないのよ」

『いきなり何を言い出すんですか……』

にこ「それに、一年生の頃には……人間関係で、失敗もしてる」

『……』

にこ「でも多分、あいつだったら……穂乃果だったらそんな失敗、しないんだろうなって思った」

にこ「あいつのことは、よく知らないけど……。きっと友達だっていっぱいいて、クラスの人気者なんでしょう?」

『……はい。昔から彼女はそうでした』

にこ「そりゃそうよね……。だって、出会って日も浅い、私なんかが相手でも……。あんたみたいな昔からの幼馴染と同じように、接することができるんだもんね」

にこ「こんな、別にそんな仲が良いわけでもない、私なんかと一緒に遊んだぐらいで……あいつは本気で、楽しそうだった」

にこ「……きっと、そんなあいつだったからこそ、μ'sを作れたんだろうな、って」

『……μ'sを?』

にこ「私が一番、やりたかったことを……。仲間を集めて、アイドルグループを結成して、みんなでステージに立って……」

にこ「大切な仲間と一緒に、アイドルをやる……。それが私の夢だった」

にこ「だけど私には、できなかった……。三年生になるまで、一人だって仲間を作ることができなかった」

にこ「でも、あいつは……」

『……にこ』

にこ「たぶん、私は……そんなあいつに、嫉妬してたんだと思う」

にこ「だから私はあいつのことを、好きになれなかったのかもね」

    

477: 2015/02/02(月) 23:17:35.73 ID:YHDs/CqU.net
      
『……そうですか』

にこ「……」

『にこ。あなたの抱えていた想いは分かりました。ですが、やはりあなたは、勘違いをしているようです』

にこ「私が? なにをよ」

『確かに穂乃果は、友人に対して恥ずかしげもなく抱きついたり、くっついたり、甘えたりするような女の子です』

『ですが……だからと言って、なにも考えてないわけじゃないんですよ』

にこ「どういうことよ……?」

『あなたは先ほど穂乃果に対して、自分たちは果たしてそこまで仲が良かったか、と聞きましたよね……』

にこ「……そうよ。少なくとも、私は……。手を繋いだりするほど、あいつと仲が良かった覚えはないわ」

『穂乃果もきっと、同じ気持ちだったのではないですか?』

にこ「……なんですって?」

『穂乃果の方も多分、あなたとの仲がまだそこまで深くないということを……分かっていたのでしょう』

にこ「なによそれ……。じゃあ、なんで……」

にこ「なんでそんな相手に手を繋ごうなんて、言えるのよ……?」

にこ「なんでそんな相手に、抱きつこうなんて考えられるのよ……?」

にこ「なんでそんなヤツを相手に……『大好き』なんて、言えるの……っ!?」

『そんなの、決まっているでしょう』

『そこまで仲が良いわけではないあなたと、少しでも仲良くなるためですよ』
   

    

483: 2015/02/02(月) 23:23:53.74 ID:YHDs/CqU.net
          
にこ「……」

『……昨日穂乃果に、にこがあなたと二人で遊びに行きたいと言っている、と伝えたとき……』

にこ「言ってないんだけど……」

『話をスムーズに進めるための嘘です。とにかく、そう穂乃果に伝えたとき……』

『彼女、すごく嬉しそうにしていましたよ』

にこ「……」

『今日の朝、盗聴器を仕掛けるために、会った時も……。あなたと会うのを、とても楽しみにしている様子でした』

『にこちゃんと仲良くなれるチャンス、とね……』

にこ「……チャンス、か」

『あなたと仲良くなれるチャンスだから、頑張ってオシャレをしたり、スキンシップをとったり、あなたのことを褒めたりしていたんです』

『穂乃果なりに、あなたとの距離を縮めようとしていたんですよ。今日一日を通して……』

にこ「……」

『ペアルックの下りなんかは特に、勇気が必要な行動だったのではないでしょうか?』

『友達同士としては、ギリギリのラインですし……。下手をすれば引かれてしまいますから』

にこ「……」

『そうやって彼女なりに考えて、あなたと仲良くなろうとしていたんです』

『そうやって彼女は今まで……たくさんの人たちと、仲良くなってきたんです。それが、あなたとの違いです』

にこ「……」

『穂乃果はずっと、あなたとも仲良くなりたがっていたんです。そんなあなたと二人きりで遊ぶことができて……楽しくないわけ、ないでしょう?』

『あなたと仲良くなれて、嬉しくないわけないでしょう……?』

にこ「……」
    

487: 2015/02/02(月) 23:28:12.87 ID:YHDs/CqU.net
          
にこ「……そっか」

にこ「私……穂乃果に酷いこと、言っちゃったわね……」

『ええ。穂乃果は今日一日を通して、あなたと仲良くなれたと思っていたのに……』

にこ「……私はそれを、否定しちゃったんだ」

『……にこ。あなたは今日一日、楽しくなかったんですか?』

『あなたは穂乃果と、仲良くなれたとは……思っていなかったんですか?』

『それともまだ穂乃果に、嫉妬しているんですか?』

にこ「……」

にこ「……私、知らなかった」

『……はい?』

にこ「穂乃果があんなに、可愛い女の子だったなんて……』

『ほう……?』

にこ「ニコニコ笑ってる時も、甘えてる時も、寝てる時も……すごく、すっごく、可愛かった」

にこ「多分にこよりも、ずっと……」

『……』

にこ「今日一日、二人きりで過ごして……今まで知らなかった穂乃果の魅力に、いっぱい気づけた」

『……そうですか。では……』

にこ「そうね……。思ったより私、穂乃果のことを好きになっちゃってたみたい」

  

499: 2015/02/02(月) 23:39:17.67 ID:YHDs/CqU.net
     
にこ「まあでも、もちろん――」

にこ「恋愛対象としては、見れないけどね」

『……分かってますよ。あなたの言う好きというのは……』

にこ「なんていうか……そうだ。妹たちに対する『好き』と、似たようなものかな?」

『なるほど……』

にこ「好きでもない相手の頭を撫でるのか、ってあんたは言ったけど……。もちろん好きだから、撫でるのよ」

にこ「あの時の穂乃果の寝顔は……私の大好きな妹たちと、そっくりだったから」

『……そうですか。恋とまではいかずとも……あなたの穂乃果に対する想いは、今日一日で大きく変わったようですね』

にこ「そういうことになるわね……。ねえ、これって私、レズになったことになるの?」

『いえ……レズとは違うでしょう。強いて言うなら、シスコンでしょうか』

にこ「別に、無理にカテゴライズしなくていいわよ……」

『良い実験結果が得られました。穂乃果と二人きりで一緒に過ごすと、大抵の人は恋に堕ちるはずですが、にこほどのノンケの場合は、母性に目覚めると……』

にこ「実験って……」

『……いえ、待ってください。一日デートをさせたぐらいで結論を出してしまうのは、早計でしょうか?』

にこ「……」

『そういえば、次のデートも約束していたんでしたよね? 決めました。そのデートも、監視させてもらうことにしましょう』

『今日はダメでも次こそは、あなたもこちらの世界に……いえ、あちらの世界に行くことになるかもしれませんよ』

にこ「……」

『……にこ。聞いてます?』


ピッ



にこ「……穂乃果っ!」



タッタッタッ……


  

564: 2015/02/03(火) 21:02:33.79 ID:Q0mZ0RxQ.net
――――



穂乃果「……」

穂乃果(……バカだなぁ、私)

穂乃果(私ばっかり楽しんで……にこちゃんの気持ちなんて、全然考えてなくて)

穂乃果(本当はもっとゆっくり、仲良くなっていけばいいのに……。いきなり抱きついたり、甘えたりして……)

穂乃果(いくら友達同士でも、やりすぎだよね……。にこちゃん、きっと困ってただろうなぁ……)

穂乃果(……嫌われちゃったかな)

穂乃果(はぁ……。後でもう一度、ちゃんと謝ろう……)


「……あれ? もしかして……」

「μ'sの、穂乃果じゃねっ!?」


穂乃果「……えっ?」



男A「うわ、本物じゃんっ!」

男B「やべー、超かわいいーっ!」


穂乃果「……あっ、えっと……」

穂乃果(だれ……この男の人たち……?)

569: 2015/02/03(火) 21:10:36.55 ID:Q0mZ0RxQ.net
穂乃果「あ、あの……」

男A「俺、超ファンなんすよーっ!」

男B「握手、握手してっ!」

穂乃果「あっ……は、はいっ」

穂乃果(ファンの人だ……。怖がっちゃダメだ。笑顔、笑顔……っ!)


ギュゥ……


男B「いえーい、穂乃果ちゃんと握手ー」

男A「お、おい、代われよっ! 俺も俺もっ!」

男B「やだよっ! 大体お前、絵里ちゃん推しだろっ!」

男A「はっ!? お前だって海未ちゃん推しじゃねーかっ!」

男B「ばっ、ちげーよっ! 俺、穂乃果ちゃんが一番好きだからっ! マジでっ!」

穂乃果「あ、あはは……あ、ありがとう……」


ギュッ


穂乃果(い、痛い……)

572: 2015/02/03(火) 21:16:32.32 ID:Q0mZ0RxQ.net
男B「いやー、しかしリアルで会ってみると、めちゃくちゃ可愛いっすねっ!」

穂乃果「そ、そんなこと……」

男A「あっ、穂乃果ちゃんこの後、暇?」

穂乃果「えっ?」

男A「俺らとカラオケいかないっすか?」

男B「ははっ、バカかお前。なにアイドル誘ってんだよ」

男A「いいじゃん。こんな機会滅多にないぜ」

穂乃果「あ、あの、ごめんなさい。ちょっとそれは……」

男A「えー。俺、穂乃果ちゃんの歌聞きたいなぁー。なんだっけあれ、新曲の」

男B「あれな。めっちゃいい曲だよな。聞きたい聞きたい」

穂乃果「あの、本当に……」

男A「1時間でいいから。ねっ!」

男B「はっ、嘘つけよお前」

男A「いや本当だし。ね、お願いっ!」

穂乃果「……ぅ」

穂乃果(怖い……)

579: 2015/02/03(火) 21:24:11.46 ID:Q0mZ0RxQ.net
男A「いいよね? おっけー?」

穂乃果「だ、ダメ、です……」

男A「えー、なんでー?」

男B「バカお前、強引すぎんだよ。穂乃果ちゃんごめんね、こいつバカだから」

男A「うっせーよ。穂乃果ちゃん、じゃあメアドだけでも交換しよ?」

穂乃果「……そ、その、えっと……」

穂乃果(ダメだ、ちゃんと断らなきゃ……)

穂乃果(でも、怖いよ……。うぅ、こんな時、にこちゃんだったら……)

穂乃果(にこちゃんだったらきっと、上手く断れるんだろうなぁ……)

穂乃果(にこちゃんならきっと、ファンの人たちとの上手な接し方も、知ってるんだろうなぁ)

穂乃果(……にこちゃん)

男A「メアドだけ、メアドだけでいいからっ!」

男B「お前しつけーなー本当」

穂乃果「うぅ……」










「にっこにっこにーっ!」


 

586: 2015/02/03(火) 21:30:50.28 ID:Q0mZ0RxQ.net
 
――――――





男A「……ん?」

男B「えっ?」

にこ「……」ニコニコ

穂乃果「……あっ」

穂乃果「に、にこちゃん……っ!?」

男A「……誰だっけ?」

男B「どっかで見たような……」

にこ「……っ」イラッ

にこ「あ、あなたのハートににこにこにーっ。笑顔届ける、矢澤にこにこー♪」

男A「にこにー……あぁっ!」

男B「そうだそうだ、あのちっさい子だっ!」

にこ「もー、酷いなぁ。にこにーのこと忘れちゃうなんて」

男B「ごめんごめん。実は俺たち、最近μ'sのこと知ったばっかで……」

男A「あ、そうだ。にこにーも、一緒にカラオケ行かない?」

にこ「……カラオケ?」

穂乃果「に、にこちゃん……」

591: 2015/02/03(火) 21:44:32.13 ID:Q0mZ0RxQ.net
男A「にこにーが来るなら、穂乃果ちゃんも来てくれるでしょ?」

男B「いや、ごめんね。こいつがどうしても、二人とカラオケに行きたいらしくてさぁ」

男A「あ、ずりー。お前だって行きたいくせによー」

にこ「……ごめんなさい。そういうのは、お断りさせてもらってるにこっ!」

男A「えー、いいじゃん。俺、μ'sの超ファンなんすよー。お願いしますってー」

男B「あ、それはマジです。いや二人とも、ほんと可愛いっすわー」

にこ「ほんとっ!? 嬉しいにこっ!」

にこ「じゃ、そろそろいこっか穂乃果ちゃんっ! それではこれからもμ'sを、応援してくださいねっ!」

男B「えー? ちょっと待ってよ。もう行っちゃうの?」

にこ「ごめんなさいにこっ。またライブでお会いしましょうねっ!」

男A「あっ、待って待って。じゃあせめて、メアドだけでも――」

にこ「ぶっ飛ばすにこっ?」

男A「……えっ?」

男B「今なんて……」

にこ「……これ以上しつこくしてくるようなら」


にこ「ぶっ飛ばすって言ってんのよっ!!」

 

596: 2015/02/03(火) 21:52:58.64 ID:Q0mZ0RxQ.net
   
男A「うおっ!?」ビクッ

男B「な、なに? 怒ってんのにこにー?」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「さっさと私たちの前から消えなさい」

男A「は……? なに言ってんの? 俺らが悪者みたいじゃん」

男B「ていうか俺ら、μ'sのファンなんすけど? そんなこと言っていいの?」

にこ「アイドルを困らせるようなヤツが、ファンを名乗ってんじゃないわよっ!!」

男A「うっ……」

にこ「ファンだって言っとけば、何してもいいとか思ってんじゃないわよっ! 可愛いって言っとけば、なんでもサービスしてくれるとか思ってんじゃないわよっ!」

にこ「アイドルのファンやりたいなら、最低限の常識を身に着けてから出直してきなさい、このバカっ!!」

男A「ば、バカ……っ!?」

男B「なにこの女……。もういいわ、行こうぜ」

男A「ちっ……、マジ最悪。なにがにこにーだよ、猫かぶりやがって……」


スタスタ……



にこ「……」

 

601: 2015/02/03(火) 22:01:04.24 ID:Q0mZ0RxQ.net
    
にこ「……穂乃果っ」

穂乃果「……えっ? あっ……」

にこ「大丈夫?」ニコッ

穂乃果「あ、う、うん……」

にこ「……」


ザワザワ


にこ(……ちょっと目立ちすぎちゃったわね)


にこ「あっちに公園があるから、そこで話しましょう?」

穂乃果「うん……」

にこ「……行くわよ」グイッ

穂乃果「……」
     

スタスタ……

613: 2015/02/03(火) 22:48:15.90 ID:Q0mZ0RxQ.net
     
――――

公園



にこ「そこ、座りましょうか」

穂乃果「うん……」

にこ「……」

穂乃果「……あの」

にこ「ごめん、穂乃果」

穂乃果「えっ」

にこ「あんな冷たいこと言って……。本当にごめん」

にこ「せっかく今日一日、楽しかったのに……。台無しにしちゃうようなこと、言って」

にこ「ごめん……っ! 私、どうかしてたわ……」

穂乃果「ち、違うよ。そんな、どうしてにこちゃんが謝るの……?」

にこ「……えっ?」

穂乃果「悪いのは、穂乃果だよ……。穂乃果がバカだったから……にこちゃんの気持ちも、考えないで……」

にこ「なに言ってんのよ……あんたは何も悪くないでしょ?」

穂乃果「違うの。ごめんね、にこちゃん……。私たち、そんなに仲が良いわけじゃないのに……馴れ馴れしくされて、迷惑だったよね?」

にこ「めっ、迷惑だなんて、思ってないわよっ!」

穂乃果「……えっ?」

にこ「ちょっと戸惑ってただけよ……。迷惑だなんて、思ってない」

にこ「それに……今日一日を通して、私は前よりあんたと仲良くなれたと思ってる」

穂乃果「……っ!」

にこ「あんたは、その……。どう……?」

614: 2015/02/03(火) 22:55:13.87 ID:Q0mZ0RxQ.net
     
穂乃果「穂乃果も……」

穂乃果「うっ……。ほのかも……う、うぅ……っ!」

にこ「……は? ちょっ……」

穂乃果「うぅ、うっ、えぐっ……」ポロポロッ

にこ「ちょちょっ、なっ、なに、なに泣いてんのよっ!?」

穂乃果「だ、だって、だってぇ……っ! にこちゃんが、やさしいからぁ……っ!」

にこ「はぁっ!? 別に泣くようなことじゃないでしょっ!?」

穂乃果「う、うぅ、ありが、とぉ……。にこっ、ちゃん……っ!」

にこ「な、なにがよ……。なんでお礼なんか」

穂乃果「たす、けてくれて……っ! わたし、にこちゃんがきてくれなかったら……っ!」

にこ「あ、ああ……。さっきのことね。いいわよ別に、あんなの」

穂乃果「わたし、どうしたらいいか、わからなくて……っ! ぐす、こわくてぇ……っ!」

にこ「もう大丈夫だから。ねっ?」

穂乃果「うぅ、うっ、うあぁぁん……」

にこ「……」スッ


ナデナデ……

 

618: 2015/02/03(火) 23:07:20.82 ID:Q0mZ0RxQ.net
   
ナデ……


穂乃果「……」

にこ「……落ち着いた?」

穂乃果「……うん」グスッ

にこ「そう。よかった……」

穂乃果「えへへ……」

にこ(あっ。笑った……)

穂乃果「……にこちゃんって、かっこいいよね」

にこ「……急になに言いだすのよ」

穂乃果「私を庇って、あの人たちに怒ってくれたとき……。にこちゃん、すっごくかっこよかったよ」

にこ「やめてよ。にこが目指してるのは、可愛い系なんだから」

穂乃果「もちろん可愛いよ、にこちゃんは。でも……」

にこ「でも?」

穂乃果「でも……私がちゃんと上手に断ってれば、にこちゃんが怒らなくても、済んだんだよね……」

にこ「……」

穂乃果「あの人たち、ファンだって言ってくれてたのに……。にこちゃんのイメージ、変わっちゃったかもしれないよね……」

穂乃果「周りに人も、いっぱいいたし……。ごめんね。私のせいで、にこちゃんが……」

にこ「あんたね……。自分の身が危なかったってのに、なんで私の印象なんて気にしてんのよ……」

穂乃果「で、でも……」

にこ「確かにアイドルはイメージが大切だし、私もずっとそれを守ってきたけど……。でもあの場合は、しょうがないわよ」

穂乃果「……」



俺ら、μ'sのファンなんすけど? そんなこと言っていいの?

マジ最悪。なにがにこにーだよ、猫かぶりやがって……



にこ「あんたに手を出そうとするやつら相手に、キャラ作りなんかしてられないわよ……」

  

636: 2015/02/03(火) 23:27:46.79 ID:Q0mZ0RxQ.net
    
穂乃果「……」

にこ「……どうしたのよ」

穂乃果「……えへへ。今のもちょっと、かっこよかったなぁ、って……」

にこ「やめなさいって」

穂乃果「ふふっ……ありがとね、にこちゃん」

にこ「……」

にこ「あんたさ……」

穂乃果「えっ? なに……?」

にこ「……いや、多分いないと思うけど、一応聞くわね」

穂乃果「……?」






にこ「あんた、好きな人っている?」
    
  

868: 2015/02/04(水) 22:37:08.03 ID:PKguK9di.net
ちょっと休憩したら後日談投下して終わらせます
あと>>675の人とは別の人です
 

682: 2015/02/04(水) 20:25:05.74 ID:PKguK9di.net
     
穂乃果「……えっ?」

にこ「……」

穂乃果「す、好きな人……? って、えっと……」

にこ「好きな人。もちろん、友達とか幼馴染とか私とかに言うような、『好き』じゃないわよ?」

穂乃果「……」

にこ「つまり今、想いを寄せている男性はいる? って聞いてんのよ」

穂乃果「い、いない……かな……」

にこ「まあ、そうよね」

穂乃果「あの、にこちゃんは……」

にこ「いないわよ。ていうか、アイドルにそんな相手がいたら問題でしょ」

穂乃果「……えっと、じゃあどうしてそんなこと、聞くの……?」

にこ「……まあ別に、今はいなくていいんだけどさ」

にこ「でもあんた……いつかはそういう相手、見つけなさいよ」

穂乃果「……どういう、こと?」
   

685: 2015/02/04(水) 20:35:41.81 ID:PKguK9di.net
        
にこ「……さっきのヤツらさ」

にこ「まだ同い年か年下の、高校生っぽかったし……。それにそんな気の強そうな感じでもなかったから、私でもなんとかなったけど……」

にこ「でも、もし相手が大人だったら……」

にこ「ううん、そうじゃなくても……例えさっきのヤツらが相手でも、力ずくでこられたら、どうしようもなかった」

穂乃果「……っ」

にこ「私、からだ小っちゃいしね。頼りないでしょ?」

穂乃果「そ、そんなこと……っ!」

にこ「だからさ……あんた、良い男見つけなさいよ」

穂乃果「えっ……?」

にこ「いつか、きっと……。ああいうヤツらから守ってくれる、強い男を見つけなさい」

穂乃果「に、にこちゃん……なに、言ってるの……?」

にこ「……」

690: 2015/02/04(水) 20:43:19.37 ID:PKguK9di.net
         
にこ(……確かに。私、急になに言ってんだろ……)

にこ(海未と変な話しすぎたせいかしらね……)

にこ「とにかく……これからまたあんなことがあったら心配だから、彼氏でも作って守ってもらいなさい、ってこと」

穂乃果「かれし、って……。穂乃果、まだわからないよ、そういうの……」

にこ「……うん。分からないわよね。ごめん、変なこと言って」

にこ「ま、今はアイドル活動優先だし、どっちにしろそういうのは、先の話ね」

穂乃果「……」

にこ「……」





にこ(……さて。そろそろ潮時かしらね)

にこ(デートは中止だって、あいつにも言われたし……。まあ、最後にちゃんと謝れたから、よかったかな……)

穂乃果「……にこ、ちゃん」

にこ「うん?」

穂乃果「その……穂乃果ね……」

にこ「……? どうしたのよ?」

穂乃果「穂乃果ね……にこちゃんに、守ってもらいたいな」

にこ「……えっ?」

穂乃果「かれしとかじゃなくて、その……。これからもずっとにこちゃんに、守ってもらいたいなー、なんて……」

にこ「……」

 

708: 2015/02/04(水) 20:50:51.26 ID:PKguK9di.net
          
にこ「……ははっ。なに言ってんの?」

穂乃果「あ、あはは……」

にこ「まったく、あんたの甘えたがりも、とうとうここまで来たかって感じねー」

にこ「私じゃ頼りないから、男の人に守ってもらいなさいって話でしょ?」

穂乃果「た、頼りないなんて、そんなことないよ……。穂乃果、男の人じゃなくて、にこちゃんがいいな」

にこ「……」

にこ「……ああ。そういやあんたには、へんた……海未がいるじゃない」

穂乃果「海未ちゃん……?」

にこ「あいつならスポーツで体鍛えてるし、私より頼りになるわよね」

にこ「そうだ。あいつに守ってもらいなさいよ。うん、その方があいつにとっても」

穂乃果「ち、違うのっ!」

にこ「違うって、なにがよ……」

穂乃果「海未ちゃんは、大切な幼馴染だし、すごく頼りになるけど……。でも、そうじゃなくて……っ!」

穂乃果「私、にこちゃんがいいのっ!」

にこ「わ、分けわかんないわよっ! なんで私がいいのっ!?」

穂乃果「そ、それは、その……」

にこ「……」

穂乃果「にこちゃんのことが……」

穂乃果「……すっ、すき、だから……」

にこ「……はい?」

 

719: 2015/02/04(水) 20:58:25.65 ID:PKguK9di.net
         
穂乃果「……うぅ」

にこ「す、好きだから? えっ、じゃあ海未のことは、好きじゃないの?」

穂乃果「ちがうよっ! 海未ちゃんも大好きだけど、でも……」

穂乃果「でも多分、その好きとは、違くて……」ゴニョゴニョ

にこ「……?? ごめん、よく聞こえないんだけど……」

穂乃果「だ、だから、そのぉ……」

にこ「あ、あんた、また涙目になってない? 大丈夫?」ズイッ

穂乃果「っ! か、顔、近づけないで……」

にこ「うわっ! あんた、顔真っ赤じゃないっ! もしかして熱でもあるのっ!?」

穂乃果「ち、ちがう、ちがうのぉ……っ! うぅ、にこちゃぁん……っ!」

にこ「な、なに? ごめん、私どうすればいい……?」

穂乃果「い、一旦、離れて……?」

にこ「ああ、うん……」

穂乃果「はぁ、はぁ……」

にこ「ていうかあんた、あれだけ私にくっついといて、今更離れろって……。一体、どうしたのよ?」

穂乃果「穂乃果だって、わかんないよ……。さっきまでは、平気だったのに……」

穂乃果「今はなんだか、胸がすごく、ドキドキして……」

にこ「……」

727: 2015/02/04(水) 21:04:55.89 ID:PKguK9di.net
        
穂乃果「ねえ、にこちゃん……。穂乃果ね、多分……」

にこ「……待って。落ち着きなさい。そんなわけないから」

穂乃果「で、でも……」

にこ「落ち着いて。私、女の子よ?」

穂乃果「うん……。でも……っ!」

にこ「大丈夫だから。きっと、勘違いだから……っ!」

穂乃果「でも、でもぉ……っ!」

穂乃果「胸が、苦しいよ……にこちゃん……っ!」

にこ「――っ!!」

穂乃果「どうしよう、にこちゃん……」

穂乃果「私、女の子を、好きになっちゃったよぉ……っ!!」
      

739: 2015/02/04(水) 21:12:42.08 ID:PKguK9di.net
          
にこ「ば、バカ穂乃果っ!」

穂乃果「う、うぅ……」

にこ「違うでしょっ!? あんたが言ってる好きは、そういうんじゃないでしょっ!?」

にこ「海未とかことりとか……っ! 絵里とか希とか真姫とか花陽とか凛とかのことも、好きでしょっ!?」

にこ「それと同じよっ! あんたの言い方だと、まるで――」

にこ「まるで私に、恋をしちゃったみたいじゃないっ!」

穂乃果「うっ、うっ……」グスッ

にこ「な、泣かないでよ……っ! 何で泣くの……っ!?」

穂乃果「好き、なのぉ……」

にこ「な、なに……?」


ダキッ


にこ「――っ!?」

穂乃果「好きなの……にこちゃんのことが……」

穂乃果「好きに、なっちゃったのぉ……」

にこ「や、やめ、やめなさいよ……っ!」

穂乃果「ごめん、ごめんね……。女の子同士なのに、変だよね……」

穂乃果「でも、好きなの……」

穂乃果「にこちゃんが、すき……すき、なのぉ……うっ、うぅ……」
    

748: 2015/02/04(水) 21:20:14.83 ID:PKguK9di.net
         
ギュウ……


にこ(穂乃果の心臓の音が、伝わってくる……)


ドクン、ドクン


にこ(なによ、こいつ……。なんで、こんなドキドキしてんのよ……っ!)

にこ(なによ、これ……。なんなのよぉ……っ!)

穂乃果「すき、にこちゃん……」

にこ「ばっ、な、なっ、なに言ってんのよ……っ!」



にこ(まともに喋れない……)



にこ「あ、ああ、あんた、あんたねえっ! じぶんがなに言ってんのか、わか、分かってんの……っ!?」



にこ(顔が熱い……)



穂乃果「ごめんね……でも……」

にこ「も、もう、いいから、わかったからっ! もうそれ以上、言わなくていいからぁ……っ!」

穂乃果「う、うっ、うぅ……」




穂乃果「にこ、ちゃん……っ!」

750: 2015/02/04(水) 21:23:37.34 ID:PKguK9di.net
       

ドクン、ドクン



にこ(……あれ。この、心臓の音って……)




にこ(本当に、穂乃果の、よね……?)






穂乃果「にこちゃん……」


穂乃果「だいすきぃ……。にこちゃん……っ!」









トクン











にこ「~~~~~////っ!!」カァァァ
   




   
    

764: 2015/02/04(水) 21:31:24.52 ID:PKguK9di.net
      
穂乃果「にこ、ちゃん……」ギュッ

にこ「うっ、うっ、うぁ……///」プシュー

穂乃果「……にこちゃん?」

にこ「~~っ!!」

ドンッ

穂乃果「っ!? あっ……」

にこ「はぁ、はぁ……っ!」

穂乃果「に、にこちゃん……っ!?」

にこ「うっ、う、うあぁぁぁっ!」


ダダッ


穂乃果「あっ、にこちゃんっ! 待っ――」



タッタッタッ……


にこ「はっ、はぁっ、はぁっ! う、うわ、うわぁぁ……///」

にこ(あつい、あつい、あついぃ……っ!)




   
    

772: 2015/02/04(水) 21:35:17.30 ID:PKguK9di.net
       
にこ「はぁ、はぁ……っ!」スッ


ピッピッ

プルルルル……


にこ「……なんでこっちからかけると出ないのよっ!」

にこ「うみ……っ! うみぃっ!!」

にこ「どこにいんのよっ! どっかに隠れてんでしょっ!? 海未ぃっ!」

にこ「どっか、その辺の草むらとかに……っ!」


ガサッガサッ


にこ「はぁ、はぁ、どうせ見てたんでしょっ!? 聞いてたんでしょっ!?」

にこ「海未……っ!」



「……私に何か用ですか。にこ」


    

779: 2015/02/04(水) 21:39:45.63 ID:PKguK9di.net
       
にこ「っ!? 海未……っ!?」

海未「……」

にこ「どうしたの……? なんか、顔色悪くない……?」

海未「大丈夫です。それで、なんですか」

にこ「あ、えっと、その……」

海未「……」

にこ「……見てた、でしょ?」

海未「ええ。見てましたし、聞いてました」

にこ「じゃあ……あんた、私に何か聞きたいことがあるんじゃないの?」

海未「……そうですね」

にこ「今なら……なんだって、答えてやるわよ」

海未「そうですか……。それでは――」




海未「穂乃果に告白されて、どう思いましたか?」


    

785: 2015/02/04(水) 21:43:49.22 ID:PKguK9di.net
       
にこ「ドキッとしたわよっ!」

海未「……」

にこ「認めるわよっ! ドキッとしたし、今もドキドキしっぱなしよっ!」

にこ「顔が熱くて熱くて仕方ないのよっ! 穂乃果のことが頭から離れないのよっ!」

にこ「正直、今はもう顔をまともに見ることだって、できそうにないわっ! ええ、そうよっ!」

にこ「好きになったわよっ! 恋しちゃったわよっ! まんまと堕ちたわよっ!」

にこ「レズになったわよっ!!」

にこ「なんなのよもうっ! 可愛すぎんのよっ! ふざけんじゃないわよっ! あいつ、天使かなんかなのっ!?」

にこ「あんなの、好きになるに決まってるじゃないっ! なにが『恋愛対象としては見れない』よ、このザマじゃないっ! 恥ずかしい恥ずかしいっ! さっきまでのにこを、この手で消し去りたいっ!」

にこ「でも仕方ないじゃないっ! だって、あんなこと言われるなんて普通思わないでしょっ!? いや本当、おっそろしいわね穂乃果って子はっ!」

にこ「思い知ったわっ! あんなこと言われたら、誰だってそりゃレズになるわよねっ! たった一日でこうなんだから、十年以上も一緒にいるあんたが変態になるのも、無理ないわっ!」

海未「……にこ。一旦、落ち着いてください」

にこ「落ち着けるわけないでしょっ!? そりゃあんたはもう慣れっこなのかもしれないけど、私は穂乃果にあんなこと言われるの、初めてなんだからねっ!?」

海未「私だって言われたことありませんよ」

にこ「はぁっ!?」

海未「流石の穂乃果でも、あんなことを誰にでも言うなんてことはありませんよ……。幼馴染の、私にだって」

にこ「……」

    

788: 2015/02/04(水) 21:50:53.02 ID:PKguK9di.net
        
にこ「じゃ、じゃあ、ほんとに……?」

海未「はぁ……。穂乃果のあんな顔、初めて見ましたよ」

海未「まさかあなたを堕とすはずが、穂乃果が堕ちてしまうなんて……」

にこ「……あ、あんた、なんか落ち込んでる?」

海未「当たり前でしょう。好きな人を奪われたんですから」

にこ「うばっ!?」

海未「まあ、でも……こうなることも、全く予想していなかったわけではないのですが」

にこ「えっ、な、なんで……?」

海未「正直盗聴している間も、ずっと冷や冷やしてたんですよ。あなたの言動や行動が、穂乃果を惚れさせてしまうのではないかと」

にこ「言動や行動って……。私、なんかしたっけ?」

海未「……あなたまさか、どうして穂乃果が自分に惚れたのか、分かってないんですか?」

にこ「えっ……。その、さっき助けたから……?」

海未「それもありますけど、もっと他にもあったでしょう。今日一日を通して……」

にこ「ほ、他にも? え、なんだろ……」

海未「……あなたも体外ですね。穂乃果のこと言えませんよ」

にこ「……?」

海未「まあだからこそ、二人はお似合いのカップルかもしれませんね」

にこ「カップル……」

798: 2015/02/04(水) 21:57:42.61 ID:PKguK9di.net
          
にこ「私、穂乃果と……カップルに、なるの?」

海未「……なんですか。この期に及んで、嫌だとか言いだすんですか?」

にこ「そ、そんなことない、けど……。なんていうか……」

にこ「実感がわかないというか……。未だに、信じられないというか……」

海未「……あなたは穂乃果のことを、好きになってしまったのでしょう?」

にこ「……うん」

海未「だったらそれを、穂乃果に伝えに行ってあげてください。彼女、あなたの返事を待ってますよ」

にこ「あんたは……いいの?」

海未「はい?」

にこ「ずっと、好きだったんでしょう……? 穂乃果のこと……」

海未「……でも私、変態ですし」

にこ「だからそんな風になっちゃうくらい、穂乃果のことが好きなんでしょう……っ!?」

海未「……」

805: 2015/02/04(水) 22:02:44.38 ID:PKguK9di.net
         
海未「……私は世界で一番、穂乃果のことを想っていると自負しています」

にこ「……だったら」

海未「ですが……あの時穂乃果のことを助けたのは、あなたでした」

にこ「……」

海未「本当は、私が助けるべきだったのに……助けて、あげたかったのに」

海未「穂乃果の危機にいち早く気づいたのは、私ではなく、あなたでした」

海未「正直、悔しいです……。あなたとの電話中は、イヤホンを外すようにしていたので……それが、裏目に出ました」

海未「いつも一緒にいても……本当に大事な時に一緒にいられないようでは、穂乃果の恋人になる資格はありません」

海未「真に穂乃果にふさわしい相手は、あなたです……にこ」

にこ「……そう。分かったわよ」

にこ「これからは……私が穂乃果を、守る」

海未「お願いします、にこ」

823: 2015/02/04(水) 22:10:22.71 ID:PKguK9di.net
        
にこ「……それじゃ、行ってくる」

海未「緊張してます?」

にこ「あ、当たり前じゃない……。こんなこと、初めてなんだから」

海未「にこ。これで、証明されましたね」

にこ「えっ?」

海未「『穂乃果と一緒に過ごすと、誰でもレズになる』。にこがなったのだから、誰でもと言っていいでしょう」

にこ「……そういえば、主旨はそっちだったわね」

海未「あるいは……『にこと一緒に過ごすと、誰でもレズになる』、でしょうか」

にこ「……そ、そんなことないわよ」

海未「そうですか? では今度、絵里や真姫あたりで検証してみましょうか」

にこ「しなくていいわよっ!」

海未「ふふっ、冗談ですよ」

にこ「……はぁ」

にこ「海未。いろいろ冷たいこと言って、悪かったわね」

海未「なんですか、急に」

にこ「あんたの考えを否定して、ごめん。女の子同士の恋愛なんて、あり得ないと思ってたけど……」

にこ「……全然そんなことなかった。相手が例え、同性でも……人を好きになることって、とても素敵なことなのね」

にこ「それに気づかせてくれて……。この気持ちを教えてくれて、ありがとう、海未」

にこ「こんな気持ち、初めて……。私今、すごくドキドキしてる」

海未「……ふふっ」

海未「ようこそ。こちらの世界へ」

にこ「……ばか」

838: 2015/02/04(水) 22:18:00.49 ID:PKguK9di.net
       
――――




穂乃果「……」グスッ

にこ「穂乃果っ!!」

穂乃果「っ! に、にこちゃん……」

にこ「……ごめん、逃げちゃって」

穂乃果「う、ううん、いいの……。私の方こそ、ごめんね。ビックリしたよね……」

穂乃果「さっきのことは、その……忘れて?」

にこ「……忘れられるわけ、ないじゃない」

穂乃果「……そう、だよね」

穂乃果「ごめんね、変なこと言って……きもちわるいよね、私たち、女の子同士なのに……」

にこ「穂乃果……」

穂乃果「ごめん……。にこちゃん、穂乃果のこと、嫌いになった……?」

にこ「逆よ、バカ……」

穂乃果「ぎゃく……?」


ダキッ


穂乃果「――っ!?」

にこ「私も穂乃果のこと、好きになっちゃった……」
   

841: 2015/02/04(水) 22:21:05.11 ID:PKguK9di.net
      
穂乃果「えっ、えっ……///?」

にこ「……穂乃果」

穂乃果「に、にこちゃん……?」

にこ「好きよ、穂乃果」

穂乃果「っ!!」

にこ「……あははっ。言っちゃった」

穂乃果「……///」

にこ「は、恥ずかしぃ……。うわ、うわぁ……」

にこ「あは、ははっ。穂乃果……」

穂乃果「にこ、ちゃん……」

穂乃果「にこちゃぁん……穂乃果も、すきぃ……」

にこ「うん……」

穂乃果「すき、すきぃ……、にこちゃん……っ!」

にこ「……穂乃果」

にこ「ほのかぁ……っ!」


ギュウ……

849: 2015/02/04(水) 22:27:05.73 ID:PKguK9di.net
    
『ほのかぁ……っ!』

『にこちゃん――』



海未「……」スッ

海未「……この盗聴器はもう、必要ありませんね」

海未「穂乃果、にこ……」

海未「どうか、お幸せに……」

海未「……」グスッ

海未「う、嬉し涙です……」

海未「だってにこならきっと、穂乃果を幸せにしてくれるでしょうから……」

海未「だからこれは、この涙は……」ポロッポロッ

海未「う、うぅ、うぅ……」

海未「グスッ……ひっ、うぅ……」
 

856: 2015/02/04(水) 22:31:58.00 ID:PKguK9di.net
      
海未「うぅ……」グスン

海未「うっ、うっ……」スッ

海未「ひっく、うぅ……」フキフキ

海未「ぅ……。あっ……?」フキ……




海未「……」

海未「……私としたことが、またハンカチと間違えて、パンツを……」

海未「……穂乃果」



海未「ほのかぁ……」スンスン


         
海未「好きでした、穂乃果ぁ……っ!」





スンスンスン……



 

857: 2015/02/04(水) 22:32:49.57 ID:ny+3nueA.net
やっぱり園田は園田だった

883: 2015/02/04(水) 23:57:41.24 ID:PKguK9di.net
  
――――――――――
――――――――
――――――
――――




数日後……







海未「それで、ことり。相談というのはなんですか?」

ことり「ことりね、もううんざりなの」

海未「はい?」

ことり「色んな人がね、ことりのことを変態扱いするの……」

海未「……なんですって?」

ことり「もう、嫌だよ……。ことりはレズなんかじゃないのに……」

海未「やはりことりもそうだったんですか?」

ことり「えっ?」

海未「いえ……私とあなたは似た立場ですし、もしかしたらとは思ってたんですが……」

ことり「……ということは、海未ちゃんも?」

海未「ええ……。お互い、大変ですね。あらぬ疑いをかけられて……」

ことり「うん……」

ことり「……でもさ、もしもことりがレズだったとしても、これって仕方ないことだよね?」

海未「……えっ?」

884: 2015/02/05(木) 00:02:42.57 ID:Wl1J/R+J.net
       
ことり「むしろ可愛い幼馴染とずっと一緒にいて、レズにならない方がおかしいよね?」

海未「……ふふっ」

ことり「海未ちゃん?」

海未「ごめんなさい……。私も以前、全く同じことを考えていたので、笑ってしまいました」

ことり「えっ……? そ、そうなの……?」

海未「ええ……。本当、逆の立場になって考えてみてほしいものです」

ことり「そ、そうだよねっ! みんながことりの立場だったら、絶対レズになってるよねっ!?」

海未「はい……。ですから私たちは、なにもおかしくないんです」

ことり「あははっ……。よかった。海未ちゃんも、同じ考えだったなんて……」

ことり「……なんだか、嬉しいな」

海未「ふふっ。私もです」

海未「……私たちはもちろん、レズでも変態でもないですけど……。でも、仮にそうだったとしても、仕方がないんです」

海未「だって、穂乃果が――」

ことり「だって海未ちゃんが、可愛すぎるんだもんっ! そりゃ誰だって、レズになっちゃうよねっ!」

海未「……」



海未「はい?」

 

887: 2015/02/05(木) 00:05:25.77 ID:Wl1J/R+J.net
         
海未「え、えっと……」

ことり「あははっ。ほんとに嬉しいなぁ、海未ちゃんも同じ考えだったなんて」

ことり「だってそれって、海未ちゃんもことりのこと、好きでいてくれてたってことでしょ?」

海未「えぇっ!? あ、あの、私は」

ことり「もう、みんな酷いよね。こんなに可愛い幼馴染とずっと一緒にいたら、誰だってレズになるに決まってるのに」

ことり「なのにみんなしてことりのことを……ヤンデレだとか、クレイジーサイコレズだとか言ってさ」

海未「ヤンデレっ!? クレイジーっ!? なに言ってるんですかことりっ!?」

ことり「どうしてみんな、そんなこと言うんだろうね。ことり、全然そんなのじゃないのに……」

海未「ことり、目が真っ黒ですよっ!?」

ことり「まあでも、たとえ本当にことりがそうだったとしても、仕方ないよね」

ことり「だって海未ちゃんが、可愛すぎるんだから」

海未「なっ……なにいって……」
    

888: 2015/02/05(木) 00:06:44.30 ID:Wl1J/R+J.net
         
ことり「ていうか、こんな可愛い幼馴染と十年以上も一緒にいて、未だに理性を保っていることりって、結構すごくない?」

海未「は、はい……?」

ことり「あ、そうだ、海未ちゃんっ! せっかく両想いになれたんだし、キスしよっか?」

海未「ことり、本当に理性保ててますっ!?」

ことり「恥ずかしがらなくていいんだよ、海未ちゃん……ここには誰も、こないから」

海未「あ、あの、ことり……?」

ことり「海未ちゃんは絶対に誰にも、渡したりしないんだから」

ことり「海未ちゃんは、ことりだけのものなんだから……ふふっ」

海未「ひっ……」


海未「いやぁぁあぁっ!」

894: 2015/02/05(木) 00:12:23.92 ID:Wl1J/R+J.net
       
――――――――――
――――――――
――――――
――――





更に数日後、とある夜……


公園



にこ「そこ、座りましょうか」

穂乃果「うんっ。んしょ……」

にこ「……ふぅ」

穂乃果「にこちゃん……。今日のデートも、楽しかったね」

にこ「そうね。すっごく楽しかった」

穂乃果「えへへ……。誘ってくれて、ありがとう」

にこ「まあ、約束してたしね……」

穂乃果「それにその服、着てきてくれて……」

にこ「これも約束だったからね。あんたとお揃いの服で、デートするって……」

穂乃果「ふふっ。嬉しいなぁ……」

穂乃果「幸せだなぁ……穂乃果……」

にこ「……」


にこ(……やっぱり可愛いなぁ)

にこ(穂乃果の、笑顔……)

895: 2015/02/05(木) 00:18:05.41 ID:Wl1J/R+J.net
       
にこ「ねえ、穂乃果」

穂乃果「えっ?」

にこ「私たちの関係のこと……誰かに、話した?」

穂乃果「……ううん。まだ……。海未ちゃんやことりちゃんにも、言ってないよ」

にこ「……そっか」

穂乃果「うん……。あはは、やっぱりちょっと、怖くて……」

にこ「そうよね。女の子同士で付き合ってるなんて……ちょっと、言いにくいわよね」

穂乃果「う、うん……。やっぱりおかしなこと、なんだよね……?」

にこ「でしょうね……。さっき手を繋いで街を歩いてた時も、結構見られてたし……」

穂乃果「……」

にこ「知ってる? 同性を好きになっちゃった女の子のことを、なんて言うか」

穂乃果「……ううん」

にこ「『レズ』、って言うのよ」
  

896: 2015/02/05(木) 00:19:36.76 ID:Wl1J/R+J.net
      
穂乃果「れず……」

にこ「穂乃果。これからも私たちの関係は、誰にも言わないでほしいの」

穂乃果「えっ? ど、どうして?」

にこ「本当に信用できる人になら、言ってもいいけど……。それでもなるべく人には、言わないで」

にこ「……ほら。変な噂が立ったら、困るでしょ? 私たち、アイドルなんだから……」

穂乃果「……あっ。そ、そっか……」

にこ「うん……。だからせめて、スクールアイドルをやり遂げるまでは……」

穂乃果「分かった……誰にも言わないよ」

にこ「……と言っても、アイドル活動が終わっても、やっぱり堂々と付き合うことはできないかもしれないけどね」

にこ「同性愛に偏見を持ってる人は……やっぱり、いっぱいいるだろうし」

にこ(前の、にこみたいにね……)

897: 2015/02/05(木) 00:24:41.74 ID:Wl1J/R+J.net
        
穂乃果「そうだよね。やっぱり変だもんね、こんなの……」

にこ「……うん。ほんと、どうして女の子を好きになっちゃったんでしょうね、私たち……」

穂乃果「……でもね。穂乃果、後悔してないよ」

にこ「うん?」

穂乃果「にこちゃんを好きになれて……良かった」

穂乃果「穂乃果は別に、周りの人に変だって思われても……」

穂乃果「変でも、おかしくても……」

穂乃果「にこちゃんが、相手だったら……穂乃果、れずでもいいよ」

にこ「……」

898: 2015/02/05(木) 00:29:02.77 ID:Wl1J/R+J.net
       
にこ「あんたってヤツは……」

穂乃果「……えへへ」

にこ「……あんたといると、悩みなんかどうでもよくなるわ」

穂乃果「にこちゃんは……やっぱり周りの人の目、気になる?」

にこ「そりゃね……。変態だなんて、思われたくないし」

穂乃果「……そっか。そうだよね」

にこ「でも、仕方ないわよね」

穂乃果「えっ?」

にこ「……だってさ」



にこ「あんたと一緒にいたら、誰だってレズになっちゃうんだから」

にこ「それをあいつが……」

にこ「あの変態が、証明してくれたんだから……」

穂乃果「ど、どういうこと……?」

にこ「ねえ、穂乃果……」

にこ「仮に私が変態だったとしても……それは、仕方のないことなのよ」

穂乃果「……?」

にこ「だってあんたが、可愛すぎるんだから」

穂乃果「……」

  

901: 2015/02/05(木) 00:35:14.24 ID:Wl1J/R+J.net
      
穂乃果「……///」カァァ

にこ「……ごめん。私、なんか変なこと言ったみたい」

穂乃果「う、ううん……///」

にこ「ま、とりあえず……。当分アイドル活動は続くんだから、周りにバレないようにしないとね」

穂乃果「そ、そうだね……。なんかいけないことしてるみたいで、ドキドキするけど……」

にこ「いけないことしてんのよ」

穂乃果「あ、そっか……」

にこ「……まあでも、案外周りにも、私たちと同じような女の子はいるかもしれないわよ」

穂乃果「えっ?」

にこ「例えば、海未とかことりとか……ね」

穂乃果「えっ、えぇ? 海未ちゃんとことりちゃんが? そんな話、聞いたことないよ……?」

にこ「だから、私たちに隠れてさ」

穂乃果「……」

穂乃果「……うーん。なんか、想像できないよ」

にこ「……まあ、そうよね。あの二人に限って、そんなことないわよね」

穂乃果「うん。そうだよ」



にこ(よかった。一番近くにいる穂乃果にバレてないなら、多分誰にもバレてないわね)

にこ(この前海未に相談されたときはビックリしたけど……まさかあの海未が、ことりに強引に迫られてるなんて)

にこ(上には上が、いるもんね……)



にこ「……はぁ」

にこ「世の中、変態ばっかりか……」

穂乃果「……?」
   

904: 2015/02/05(木) 00:42:08.66 ID:Wl1J/R+J.net
     
にこ「……」

穂乃果「……」


にこ(会話がなくなっちゃった……まあ、いいか。嫌じゃないし)

にこ(星がきれいだなぁ……)

にこ(今日は遅くなるって伝えてあるから、もうちょっとゆっくりしててもいいかな)

にこ(穂乃果ともっと、一緒にいたいし……)

穂乃果「……ね、ねえ、にこちゃん」

にこ「……ん?」

穂乃果「穂乃果たちって、その……変、なんだよね?」

にこ「はは、なによ。あんたもやっぱり、気にしてるんじゃない」

穂乃果「う、ううん、そうじゃなくて、その……」

穂乃果「……どうせなら、もっと変なことしない?」

にこ「えっ?」

穂乃果「……」

910: 2015/02/05(木) 00:47:12.59 ID:Wl1J/R+J.net
      
にこ「もっと変なことって?」

穂乃果「……その、えっとぉ……」

にこ「……?」

穂乃果「うぅ……」

にこ「なに、言い辛いことなの?」

穂乃果「う、うん……」モジモジ

にこ(ぜんっぜん目を合わせてくんないわね……)

にこ「変なこと……。女の子同士でしたら、変なこと?」

穂乃果「うん……」

にこ「それで、言い辛いこと?」

穂乃果「……うん」

にこ「……んー」

穂乃果「……」モジモジ

穂乃果「……」チラッ

にこ「キス?」

穂乃果「っ!!」ビクッ
   

912: 2015/02/05(木) 00:54:58.41 ID:Wl1J/R+J.net
     
穂乃果「……///」

にこ「なんてね。冗談よ」

穂乃果「あ、あっ、あぅ、えっと」

にこ「あはっ。うわー、恥ずかし。なんてこと言ってんのよ、私」

穂乃果「せ、正解、せいかいですっ!」

にこ「えっ?」

穂乃果「き、きす……。にこちゃんと、その……」

穂乃果「きすが、したい、です……///」

にこ「……」

にこ「……ふっ。あははっ」

穂乃果「……?」

にこ「穂乃果の変態っ」

穂乃果「えぇーっ!?」

にこ「なに考えてんのよ。女の子同士で、キスとか……」

穂乃果「じゃ、じゃあ、その……に、にこちゃんは……」

穂乃果「穂乃果とキスするの、嫌……?」

にこ「……」


にこ「……したい、けどさ」
  

915: 2015/02/05(木) 01:02:57.86 ID:Wl1J/R+J.net
     
穂乃果「えっ……?」

にこ「嫌なわけ、ないでしょ……。私だって穂乃果とキス、したいわよ……」

穂乃果「……」

にこ「……///」

穂乃果「……ふふっ。じゃあにこちゃんも、へんたいさんだねっ」

にこ「う、うっさい!」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「な、なによ……っ!」

穂乃果「……」

にこ「……」




にこ「……」スゥハァ



にこ「……するね」

穂乃果「うん……」



にこ「……っ」





チュウ……
  

919: 2015/02/05(木) 01:08:56.69 ID:Wl1J/R+J.net
         
穂乃果「……んっ。ちゅっ……」

にこ「……ぷは」







穂乃果「……にこちゃん」

にこ「……なに?」

穂乃果「女の子同士でキス……しちゃったね」

にこ「そうね……」

穂乃果「……」

にこ「……」


にこ「……まったく」






にこ「どうしようもない変態ね、私たち」

穂乃果「……うんっ」


ダキッ


穂乃果「にこちゃん……だいすきっ!」

にこ「……私も、穂乃果が大好き」

穂乃果「ぷっ……」

にこ「あははっ……」






おわり

920: 2015/02/05(木) 01:10:15.38 ID:7hIe4KfX.net
ありがとう。ただそれだけ

921: 2015/02/05(木) 01:10:16.95 ID:dKI0Pkil.net
乙、遂に終わってしまったか
すごくよかったです

923: 2015/02/05(木) 01:10:26.00 ID:pIRoiqDZ.net
やっぱりほのにこって神だわ

924: 2015/02/05(木) 01:10:45.01 ID:f4zgvSwK.net
ハラショー!

925: 2015/02/05(木) 01:10:55.36 ID:Wvt5cch2.net
最高のほのにこだった

927: 2015/02/05(木) 01:11:03.41 ID:W/xgiQWt.net

ほんと素晴らしかったよ

951: 2015/02/05(木) 01:40:11.55 ID:ZJZiZRiy.net
素晴らしかった、本当にありがとう

954: 2015/02/05(木) 01:50:10.86 ID:r59aFU6i.net

まさかこんなに素晴らしいほのにこになるなんて
神SS

955: 2015/02/05(木) 01:52:03.97 ID:4VkWSlzg.net
素晴らしかった

962: 2015/02/05(木) 02:07:36.06 ID:iyW5T2gl.net

良いもの見せてくれてありがとう

975: 2015/02/05(木) 03:36:55.91 ID:EVTsk9Zj.net
面白かった!
文句なし!

979: 2015/02/05(木) 06:24:17.69 ID:IpFtjKdQ.net

ほのにこに目覚めたわ
素晴らしかったありがとう

981: 2015/02/05(木) 06:38:18.89 ID:yLWbJuJ6.net
10ハラショー!

998: 2015/02/05(木) 08:17:25.32 ID:yLWbJuJ6.net
1000ハラショー

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