【SS】ショウ・ランジュが気に入らない。【ラブライブ!虹ヶ咲】

ランジュ SS


1: (茸) 2021/11/14(日) 17:00:08.39 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「きゃあっ、すごいわ歩夢!そんなに手際よく髪を結えるなんて」

歩夢「慣れちゃえば簡単だよ。ランジュちゃんもやろうか?」

ランジュ「ほんとう!?やってほしいわ!」

歩夢「それじゃ座って。あんまり動かないでね」

ランジュ「うん!」

ランジュ「ランジュ、お友達に髪を結ってもらうの憧れだったのよ。嬉しいわ」

歩夢「これからいくらだって結ってあげるからね」

ランジュ「謝謝、歩夢!」

「ラーンージュー、せーんぱい」

ランジュ「!」

3: (茸) 2021/11/14(日) 17:03:32.43 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「なあに?かすみ、どうしたの?」

かすみ「別にー、なんでもないですけど。ランジュ先輩ばっかり歩夢先輩に髪やってもらって、ずるいなーと思っただけです」

歩夢「へ?」

ランジュ「あら、かすみってばヤキモチ?もう、拗ねてる顔だってカワイイんだから!」

かすみ「拗ねてなんかないですよ。はーあ、かすみんも歩夢先輩に髪やってもらいたいなー」

歩夢「い、いいよ…?」

かすみ「でも今はランジュ先輩の髪やってるんですもんね。ランジュ先輩が終わるまで、かすみんにはやってくれませんよね」

歩夢「えっ、と…」

4: (茸) 2021/11/14(日) 17:07:00.80 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「なあに、そんなこと!言ってくれたらかすみに先を譲るわよ!」

かすみ「え~、いいんですかあ?」

ランジュ「モチロン!さ、歩夢。かすみを先にやってあげてちょうだい」

歩夢「いいの?」

ランジュ「無問題ラ。こんなことでかすみが喜んでくれるんだったらお安いご用だもの!」

歩夢「ランジュちゃんがそう言うなら、そうしよっか。かすみちゃん、こっちに座って」

かすみ「はーいっ、ありがとうございますぅ!歩夢先輩♡」

ランジュ「かすみ、ランジュには?ランジュにもお礼を言っていいのよ」

かすみ「はい、ありがとーございます。ランジュ先輩」

ランジュ「きゃあっ、お礼言われちゃった!」

6: (茸) 2021/11/14(日) 17:11:11.06 ID:Gi09ZNHT
かすみ「~♪歩夢先輩に髪を結ってもらえるなんて嬉しいですぅー」

歩夢「もう、かすみちゃんってば。ランジュちゃんはいいって言ってくれたけど、順番は守らないとだめだよ?」

かすみ「はーい、ごめんなさぁい」テヘッ

ランジュ「それくらい、いいのよ!ああ、かすみの髪が歩夢の手によって可愛くなっていくわ。魔法みたいね」

かすみ「もう少し長くしたらもっと色んな髪型にできますよねぇ」

歩夢「そうだね。これくらいの長さだと後ろを結んでも映えづらいから、横を編み込んで流すくらいになっちゃうもんね」

かすみ「えへへー、それでもじゅうぶん可愛いからいいんですよ。あ、もちろんどんな髪型だってかすみんはいつも可愛いんですけどぉ」

ランジュ「その通りね!」

かすみ「………」ムゥ…

7: (茸) 2021/11/14(日) 17:14:53.79 ID:Gi09ZNHT
歩夢「……はい、できたよ」

かすみ「ありがとうございますっ、歩夢先輩!」

ランジュ「きゃあ!かすみってばすっごく可愛いわ!」

歩夢「それじゃ次はランジュちゃん…」

かすみ「歩夢せんぱぁい、これって自分でやるにはどうしたらいいんですか?」

歩夢「え?基本は編み込むだけだから、こう…」

かすみ「え~、速くてわかんないですよぅ。もっとゆっくり教えてください」

歩夢「髪を三つの束に分けて、こう持つでしょ。それで、こう、こう、こうやって交互に…」

ランジュ「へ~、すごいのねぇ歩夢」

10: (茸) 2021/11/14(日) 17:18:55.05 ID:Gi09ZNHT
かすみ「こんな感じですか?」

歩夢「うん、上手上手。それを先端まで続けたらいいんだよ」

ランジュ「すごいわ、そんなのどこで覚えたの?ランジュが向こうで通ってたスクールじゃ教えてくれなかったわよ」

歩夢「あはは、学校で習ったわけじゃないよ。なんとなくやってるうちにできるようになっただけ」

かすみ「歩夢先輩のこのおだんごも同じですか?」

歩夢「ううん、私のこれはまたちょっとやり方が違って……」


ガラッ


果林「あら、まだ部室にいたの?もうみんな外に集まってるみたいよ?」

12: (茸) 2021/11/14(日) 17:22:22.67 ID:Gi09ZNHT
かすみ「あー、いっけなーい!もう集合時間になっちゃってます!早く外に行かなくっちゃー!」

ランジュ「まあ!」

歩夢「あっ、ランジュちゃん、髪は…」

かすみ「もう遅刻しちゃってるのにそんなことしてる余裕ありませんよ、髪はまた今度にしましょう」

ランジュ「そうよね、残念だけど練習に遅刻しちゃいけないもの…」シュン

歩夢「大丈夫だよ、すぐにできるから。簡単なのでよかったらぱっとやるから──」

かすみ「ランジュ先輩、早く練習行きましょう!今日こそランニング負けませんからね!」

ランジュ「…うんっ、ランジュこそ負けないわよ!」


タタタ…


歩夢「かすみちゃん…」

15: (茸) 2021/11/14(日) 17:27:42.53 ID:Gi09ZNHT
あなた「果林さんは遅くなるって言ってたけど、歩夢ちゃんとかすみちゃん、ランジュちゃんは…」

かすみ「すみませぇん、遅くなりました~」

愛「遅いぞー、かすかすー」

かすみ「かすかすじゃなくてかすみんですぅ!歩夢先輩に髪を結ってもらってたら、ちょっぴり遅れちゃいました☆」

エマ「わあ、とっても可愛いね。かすみちゃん」

かすみ「えへへ~、そうですかぁ?それほどでもありますけど~」

ミア「ランジュが遅れるなんて珍しいじゃん。なにやってたのさ」

ランジュ「歩夢がかすみの髪を結ってあげてるのを一緒に見てたのよ!」

ミア「Huh? そんなことで遅刻したの?自分がやってもらうわけでもないのに、相変わらずランジュはなにを考えてるのかわかんないな」

ランジュ「ら、ランジュだって時間があれば歩夢にやってもらいたかったわよぅ!」ムー

あなた「歩夢ちゃんも来た!じゃあ始めるよー」

…………
……

16: (茸) 2021/11/14(日) 17:33:15.88 ID:Gi09ZNHT
ショウ・ランジュは素直だ。

思ったことをすぐ表情と言葉に出すし、たぶん裏がなくて、よく笑う。

友達に憧れてて、同好会のみんなと仲良くできるのがすごく嬉しいらしい。

私のことだって、いつも可愛い可愛いと褒めてくれる。

可愛いのは事実だし、それを面と向かって言ってくれるのはちょっと嬉しい──けど、


気に入らない。

18: (茸) 2021/11/14(日) 17:37:00.15 ID:Gi09ZNHT
あなた「今日はこの辺で終わりにしよっか」

彼方「ふい~、疲れたぜ~」

エマ「ランジュちゃん達が仲間に加わってから、前よりもっと練習ハードになったもんね」

彼方「彼方ちゃんのことをもっと労ったメニューにしてくれてもよいのだよ~~」ムギュ

あなた「わわっ、彼方さんってば!もう、なんだかんだ言ってちゃんとこなせるでしょ?」

エマ「彼方ちゃんは頑張り屋さんだもんね」

彼方「評価されるのは嬉しいけど、頑張ってついていけばいくほどハードになっていっちゃうなあ。この世の縮図か…」

ランジュ「みんな!」

20: (茸) 2021/11/14(日) 17:42:41.93 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「今日もたくさん練習して疲れたでしょう?体力のつくメニューをたっぷり用意させるから、みんなでビュッフェにしない?」

愛「おっ、出た。ランジュのビュッフェ誘惑攻撃」

ランジュ「最近、ランジュが寮に入っちゃったから、腕を振るう機会が減って寂しいってシェフが毎日うるさいのよ」

ランジュ「みんなが来るって知ったら、きっとすごく張り切るわよ!世界中の高級な食材を取り寄せて世界一のビュッフェを用意させるんだから!」

しずく「お気持ちは嬉しいですが、私達のためにそんなに無駄遣いをしちゃだめですよ。世界一のビュッフェだなんて…」

ランジュ「無駄なんかじゃないわ。初めてできた大親友達だもの、最高級のおもてなしをしなくっちゃバチがあたっちゃうもの!」

ランジュ「ね?どう?シェフだって料理を作らせなくちゃ宝の持ち腐れでしょう。みんなと楽しい時間を過ごしたいのよ!」

21: (茸) 2021/11/14(日) 17:48:07.02 ID:Gi09ZNHT
せつ菜「そう言われてしまうと、なんだか断る方が申し訳ない気持ちになってきますね…」

璃奈「シェフの人、最近はどうしてるの?」

ランジュ「自分のために料理を覚えたんじゃないからって、ランジュが寮に入ってからは全然料理してないみたいなのよ」

せつ菜「大切な人のためだけに能力〈ちから〉を使いたいとは、なんという正義の持ち主…!」ワナワナ…

璃奈「そういうことなの?」

ランジュ「だから、ねっ!シェフのためでもあるのよ。モチロン、ランジュ自身のためでもあるわ!お願いよ、みんなでビュッフェにしましょう?」

ミア「ま、いいんじゃない?本人がこう言うんなら甘えれば。最高級のハンバーガーを用意してよ」

ランジュ「当たり前よ!でもトマトもちゃんと挟むからね」

ミア「shit! 余計なことするなよ!」

23: (茸) 2021/11/14(日) 17:52:02.80 ID:Gi09ZNHT
あなた「うーん…みんな、今日の今日でっていうのは難しかったりするんじゃないかな?」

彼方「だねぇ。嬉しいけど、今日は遥ちゃんにも食べてくるって連絡してないし、ごはん作ってあげなくちゃいけないからなぁ」

栞子「では、土曜日の練習後などで調整するのはどうですか?シェフの方だって、いくらランジュの家の伝手があるとはいっても今から世界中の食材を集めるというのは現実的ではないでしょう」

ランジュ「それもそうね」

あなた「それじゃ、そういうことにしよっか。みんな、土曜日は少し早めに練習を切り上げてランジュちゃんのお家でビュッフェってことで!」

「「「はーい」」」

ランジュ「きゃあっ、やったわ!楽しみね!」

…………
……

24: (茸) 2021/11/14(日) 17:56:58.48 ID:Gi09ZNHT
ショウ・ランジュはお金持ちだ。

スクールアイドル部の頃からよくそんなことを言ってたけど、今でもビュッフェに誘いたがる。

他にも、同好会の備品とかを自前で高級なやつに買い替えようとしたりする。

でも本人は別にお金でみんなの気持ちをどうこうしたいってつもりがあるわけじゃないらしい。

単純に、自分ができることでみんなを喜ばせようとしてるだけ。

偽善とかじゃない。

心の底から、やりたくてやってる。

それがどういうことかもわからないまま。

25: (茸) 2021/11/14(日) 18:01:44.33 ID:Gi09ZNHT
翌週…


かすみ (学校が広いのは嬉しいけど、教室から購買部まで遠くていやになっちゃうなあ。一年生の教室の近くにも購買部つくってくれたらいいのに) トコトコ…

生徒1「あー、愛ちゃんが話してたよ。土曜日ランジュさんのとこのビュッフェ行ったんだって」

かすみ (!)

生徒2「前は学校でやってたりしたよね?スクールアイドル部が同好会と一緒になってからやらなくなったみたいだけど」

生徒1「だねー」

かすみ (そういえば、以前は食堂でやったりしてたっけ。自宅でやっても絶対同好会のメンバーが来ないからって…)

生徒1「もうやらないのかな?」

生徒2「今はスクールアイドル同好会のみんなと仲良しだからね、うちらに声かけてくれることなくなったもんね」

27: (茸) 2021/11/14(日) 18:06:18.59 ID:Gi09ZNHT
生徒1「ランジュさんと同じクラスの友達がさ、ランジュさん最近スクールアイドル同好会の話しかしないって言ってたよ。お友達になって嬉しいんだーって」

生徒2「ぞっこんって感じだね」

かすみ (クラスでもそんな感じなんだ…どれだけ私達のこと好きなんだ、ランジュ先輩)

かすみ (……)

かすみ (イヤなわけじゃ、ないんだけどさ──)

かすみ (って、やば。早く行かないとパン売り切れちゃうかも!あーもう、なんなら自分で作ってもってきちゃおうかな。好きな味にできるし…) タタ…

生徒2「あ、ランジュさんだ」

28: (茸) 2021/11/14(日) 18:10:41.42 ID:Gi09ZNHT
かすみ (!)

生徒1「…話しかけてみる?」

生徒2「…そうだね」

かすみ (行け行け。ちゃんと私達以外にも友達つくった方がいいに決まってるもん。お金持ちだし、すごく目立つ人だし、話しかけづらいのはわかるけど)

かすみ (クラスとか、同好会以外にも仲のいい相手ができれば、少しくらい感覚も庶民に近づくかもしれないし。いつまでもあんな『友達至上主義』みたいな価値観だと困るときが来るだろうし)

かすみ チラッ

生徒1, 2 タタタタ…

かすみ (……)

かすみ (早く購買部いこっと) タタタ…

30: (茸) 2021/11/14(日) 18:17:33.58 ID:Gi09ZNHT
かすみ (なんとかパン買えてよかった~) トコトコ

かすみ (っていうか、購買部に行って戻るだけでお昼休み15分も使っちゃうのって、やっぱり無駄だよね…) ムム

かすみ (週末に生地だけ仕込んでおいて、前の日の夜に焼いて、朝は具材だけ詰め込む。これならそんなに起きる時間も今と変わらなくて済むし、結構ありかもしれない──)

ランジュ「モチロン!ランジュ達、もうお友達よ!」

かすみ (…!)

生徒1「ほんとですか!やったぁ!」

生徒2「嬉しいな~っ」

かすみ (さっきの人達…もうお友達になったんだ。早っ)

31: (茸) 2021/11/14(日) 18:20:56.13 ID:Gi09ZNHT
ランジュ達 キャッキャ…

かすみ (基本、ああいう人だもんね。来る者拒まずっていうか、自分から壁を張る人じゃないんだよね。周りが勝手に遠慮したり、…離れちゃったりするんだって、言ってたもん)

かすみ (へーーー、もうお友達できたんですね。よかったですね。かすみん達以外にも仲良しさんができてなによりです!)

かすみ (って、なにこれ。私が拗ねてるみたいじゃん。ないない、ランジュ先輩が同好会のみんなにばっかりべったりしなくなったら私も嬉しいし)

かすみ (っていうか同好会のみんなは「大親友」らしいから、ただのお友達じゃないし)

かすみ (………そういうんじゃないし!!)

32: (茸) 2021/11/14(日) 18:25:01.96 ID:Gi09ZNHT
かすみ (ま、これをきっかけに少しずつ交友関係が広がっていけばいいですねーっと。早く教室戻ろ…)

生徒1「ねー、ランジュさん。今度私達もビュッフェに呼んでよー」

生徒2「あっ、私も行きたい~」

かすみ (げえ。自分からそんなこと言い出す!?すごい人達もいるんだな……でも、)

ランジュ「当然よ、いつでも来てちょうだい!」

かすみ (そう言うよね。ランジュ先輩なら)

かすみ (案外、あれくらいずかずか踏み込んでいくタイプの人達こそ相性いいのかもね。踏み込まれてイヤがる人じゃないし、同じくらい積極的に仲良くしようとする人達の方が──)

生徒2「ねえ、ビュッフェって何人くらい呼んでいい?」

かすみ (────ん……)

33: (茸) 2021/11/14(日) 18:27:15.03 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「何人って?何人でもいいわよ!ごはんを食べるのは大人数の方が楽しいもの!」

生徒2「え~っ、ほんと!?太っ腹~!」

生徒1「友達とランジュさんのビュッフェ行きたいって話てたんだよー」

ランジュ「きゃあ、そうなの!?あなた達のお友達ってことは、ランジュのお友達だもの!みんなまとめて来てちょうだい!」

生徒2「部活のコ達も呼んでいい?」

ランジュ「モチロンよ!」

かすみ (………)

34: (茸) 2021/11/14(日) 18:31:26.50 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「好きなもの、たくさん教えてちょうだい。シェフになんだって作らせるわ!あ、キライなものも教えておいてね。お友達にキライなものを振る舞っちゃうなんてイヤだもの」

生徒1「え~、やば!」

生徒2「私あれ食べてみたいんだ、ピータン!」

生徒1「黒いタマゴだっけ?私あれヤダ、見た目きもちわるいもん!」

生徒2「ランジュさんなら用意できるでしょ?」

ランジュ「できるわよ。本場からたくさん仕入れるわね!」

生徒1「やめときなよー、口に合わなかったらどうするの」

生徒2「だいじょうぶだって、美味しくなかったら他のもの食べたらいいんじゃん」

ランジュ「他には?なにか食べたいものはある?」

生徒2「えっとね~」

35: (茸) 2021/11/14(日) 18:36:07.47 ID:Gi09ZNHT
私は、ショウ・ランジュが気に入らない。

はっきり言ってキライだ。

同好会のみんなが、他でもない先輩が、受け入れることに決めたから文句はないけど。

あんなにたくさん意地悪されたのに、すぐに仲良くなんてできっこない。

でも悪い人じゃないことがわかってきたから、少しずつ歩み寄ってみてもいいかもしれないって思ってる。

私達のことを「大親友」と言ったこの人を、私達のためにならなんでもしちゃうこの人を、少しくらいなら信用してやってもいいと思い始めてる。

素直なとこが気に入らない。

お金持ちなのも気に入らない。

誰とでもあっさりお友達になっちゃうのが気に入らない。

自分のことを大切にできていないのが──すごく、気に入らないんだ。

36: (茸) 2021/11/14(日) 18:40:04.42 ID:Gi09ZNHT
だから。


生徒1「今日とか行ってもいい?全員は都合つかないかもしれないから、今日だめだったコは明日!」

ランジュ「いいわよ、毎日でも来てほしいくらいだもの!」

生徒2「週末、中学の頃の友達とカラオケ行こうってことになってるんだ。二次会で夕方から行ってもいいかな?」

ランジュ「まあ、もっとたくさんのお友達に会えるのね。いいわ、何人くらい?とびっきりのビュッフェを用意しておくから──」


かすみ「ランジュ先輩!!」


生徒1, 2「「!」」

ランジュ「きゃあっ、かすみ!偶然ね!」

37: (茸) 2021/11/14(日) 18:44:18.12 ID:Gi09ZNHT
かすみ ズンズンズン…

かすみ …ギロッ

生徒1, 2 ビクッ

ランジュ「どうしたの?あ、購買部に行った帰りなのね。もう、言ってくれたら美味しいパンをたくさん用意したのに!でもランジュ知ってるのよ、かすみもパンを作るのよね。ああ、またかすみの焼いたパンを食べたいわ!」

かすみ「ランジュ先輩、今日は居残り練習に付き合ってください」

ランジュ「え?構わないけど、どうしたの?どこか苦手なステップでも見つけたの?」

ランジュ「あ、でも今日はダメなのよ。この子達と約束があって──」

かすみ「だめです!今日はかすみんに付き合ってくださいっ」

ランジュ「かすみったら…」

38: (茸) 2021/11/14(日) 18:47:41.68 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「…ごめんなさい、ビュッフェは明日でもいいかしら──」

かすみ「明日もかすみんに付き合ってください!」

ランジュ「かすみぃ…」

かすみ「土曜日はうちに来てください。かすみんのパン食べたいんですよね?いいですよ、作るの手伝ってくれたらたくさん食べさせてあげます。ちょっと、たくさん生地をつくろうと思ってたとこなので」

かすみ「そういうわけなので、ランジュ先輩はしばらく空いてませんから。どうしてもビュッフェに行きたかったらスイパラにでもどうぞ!」

生徒1「な、なに…」

生徒2「感じ悪ぅ…」

生徒1, 2 ソソクサ…

かすみ「ふんっ…!」

39: (茸) 2021/11/14(日) 18:53:57.68 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「………かすみ、」

かすみ ハッ…

かすみ「…あ、その…」

かすみ「ごめんなさい…」


──ランジュは特別だからなんでもできるけど、私達には難しいよって、みんないなくちゃうの。

──憧れてたの。お友達とこんな風に、ファストフードを食べたりするの…!


かすみ「せっかく新しいお友達ができそうだったのに、邪魔…しちゃって」


──だいじょうぶだって、美味しくなかったら他のもの食べたらいいんじゃん。

──今日とか行ってもいい?全員は都合つかないかもしれないから、今日だめだったコは明日!


かすみ「………っ…」


──初めてできた大親友だもの、最高級のおもてなしをしなくっちゃバチがあたっちゃうもの!


かすみ「…でも、ああいう人達とは……」

40: (茸) 2021/11/14(日) 18:57:44.72 ID:Gi09ZNHT
ランジュ「なに言ってるのよう!」

ランジュ「ランジュ、すっごく嬉しいわ!かすみからこんなに積極的に誘ってくれたの、初めてのことなんだもの!」

ランジュ ハグッ

かすみ「ふぎゅうっ」

ランジュ「新しいお友達と遊ぶ機会が減っちゃったのはちょっぴり残念だけど、それよりもかすみとたくさん過ごせることの方が何倍も素敵よ!」

ランジュ「今日と明日の居残り練習ね、いいわ。ランジュが付き合うからにはできないステップなんか一つも残さないから安心してちょうだい!」

ランジュ「それと土曜日ね。かすみのパンが食べられるだけじゃなくて、一緒につくるのを手伝ってもいいのね!ああっもう、そんなのって幸せだわ!夢みたいよ!」

ランジュ「今週はかすみとの仲良し週間ね。ダイアリーに書いて毎年この週になったらお祝いするわ!」

42: (茸) 2021/11/14(日) 19:02:47.54 ID:Gi09ZNHT
かすみ「そ、そんな意味不明なお祝いしなくていいですよ…」

ランジュ「ええ、そんなわけには……あっでも、歩夢ともしずくとも彼方とも仲良くならなくちゃいけないから、どんどん仲良し週間が増えていっちゃうのね」

ランジュ「大変。このままじゃ毎週記念日になっちゃいそうよ!しっかりダイアリーに記録しておかなくっちゃ。みんなとの大切な想い出になるんだもの」

ランジュ「うふふっ──虹ヶ咲に来て、本当によかった…!」

かすみ「………ランジュ、先輩」

ランジュ「うん、なあに?」

43: (茸) 2021/11/14(日) 19:05:38.52 ID:Gi09ZNHT
私は、ショウ・ランジュが気に入らない。

好きになるまでにはまだまだかなりの時間がかかると思う。

だけど──


かすみ「……この間は、すみませんでした」

ランジュ「え、なにが?」

かすみ「…なんでもないですけど!」

かすみ「髪、結ってあげますよ。放課後。あれから自分でやってみて、できるようになったんで」

ランジュ「きゃあっ、ほんとう!?嬉しい、嬉しいわかすみ!ねえ、今やってちょうだい!」

かすみ「や、やりませんよ!廊下のド真ん中ですよ!?っていうかかすみんまだお昼ごはん食べてないですし!」

ランジュ「じゃあ食堂に行きましょう。食べ終えたら髪をやって!」

かすみ「も……もーーっ、引っ張らないでくださいー!!」


時間がかかるけど、好きにはなれるんじゃないかって。

そう、思う。



終わり

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1636876808/

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