【SS】絵里「幼馴染の大和撫子」

SS


1: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/10(月) 22:58:37.91 ID:xjPnNYCC.net
絵里「三年生か……」

絵里(そろそろ進路のことも考えないといけないわね…生徒会長に就けたから、そこそこいいところ推薦してもらえると嬉しいのだけれど)

絵里(ってこんな不純なことこと考えてると自分が小さく思えてくるわ。ちゃんと勉強もしないと…)

絵里「あ…そういえば」

絵里(あの子たちってうちの学校に入学してたわよね?全然話してなかったわ……連絡もしてないし、一度遊びに誘おうかしら)

絵里(…いや、三年生が下級生を遊びに誘うってどうなのかしら?うーん……)

絵里「…寝ましょう」スヤァ
 

2: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/10(月) 23:03:02.77 ID:xjPnNYCC.net
絵里「んぁ……」パチッ

絵里(よく寝た……目覚ましも鳴らずに起きたし)チラッ

絵里「ん?え……!?なんでっどうして!?」

亜里沙「あ、お姉ちゃんおはよう。今日は遅くていいの?」

絵里「あ、亜里沙…!」

亜里沙「でも確かお姉ちゃん、今日は音ノ木坂の始業式と入学式があるって言ってたよね?大丈夫なの?」

絵里「大丈夫…なワケないわ。ちょっとごはん食べてる余裕もないかも」

亜里沙「そう、じゃあ私先に出るからね」ガチャ

絵里「ええ、行ってらっしゃい」



絵里「……行ってらっしゃいじゃないでしょ…!早くいかないと…!」アタフタ
 
3: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/10(月) 23:06:56.80 ID:xjPnNYCC.net
絵里「ああもうっ、髪も結ばず来ちゃったわ、鬱陶しい!」タッタッタッ

絵里(いつもと違う日になるとこれだから困るのよ、ちゃんと意識してるつもりなのに…)

絵里「はっはっ……間に合いそう…かしら?」

「ん?……おーい、絵里ちゃ~ん!」

絵里「え…」クルッ

穂乃果「絵里ちゃん、おはよう!」

絵里「穂乃果!ことりと海未もいるじゃない」

ことり「おはよう、絵里ちゃん」

海未「ごきげんよう、絵里」
 
5: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/10(月) 23:10:45.92 ID:xjPnNYCC.net
穂乃果「朝に会うだなんて珍しいね!…いや、会うのが久しぶりなのかな…?」

絵里「え、えっと…穂乃果……」

海未「絵里、なにか急いでいるようですが…」

絵里「え、えぇ。そうなの、生徒会で準備しないといけないから早く行かないといけないのに……」

穂乃果「そうだったんだね。ごめんね、呼び止めちゃって」

絵里「いえ、構わないわ。あんまりお話できなくてごめんね、私はいつでも暇だから、連絡くれたらお話ししましょう?それじゃっ」スタッ

海未「あっ、絵里!」

絵里「……海未?」

海未「あまり焦ると危ないですよ、きちんと周囲に気を配ってくださいね」

絵里「…うん、ありがとう」スタッ



海未「いつでも暇とは……今は人生で一番忙しそうな顔をしていましたが」

ことり「絵里ちゃん、昔からあんな感じだよね。働きマンみたいな…」
 
6: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/10(月) 23:15:13.18 ID:xjPnNYCC.net
絵里(穂乃果とことりと、それと海未は私の昔からの友達……といっても、みんな一つ下なのだけれど)

絵里(地域の交流で歳が違っても仲良くなることはよくあることだけど、高校生になるまでその関係が続くというのは珍しいケースだと思う)

絵里(…いや、あの子達が入学してから一度も遊びに行ってないって……関係が薄まってきてる証拠じゃないのかしら)

絵里「ふぅ……」スタスタ

絵里(でも、海未のおかげで少し余裕ができてきたかも。あんまり余裕を出してもダメなのだけれど)

絵里(いつの間に海未はあんなに頼もしくなったのかしらね)クスクス

絵里(さて、頑張っていきましょう!)
 
7: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/10(月) 23:18:43.50 ID:xjPnNYCC.net
ー入学式、兼始業式ー

絵里「__この学校で充実した3年間を送って欲しいと願っています。ありがとうございました」

「続いて理事長の挨拶です」

絵里(ふぅ…噛まずに言えたわよね?朝走ったせいで逆に落ち着いてよかったわ……)

理事長「ご入学おめでとうございます。理事長の南………」

絵里(…最近は、ことりの顔よりもおばさまの顔のほうをよく見るわね。やっぱり近いうち4人で……)

理事長「音ノ木坂学院は今年度入学生を最後として、生徒募集を打ち切る方針を決定しました」

絵里「えっ」

理事長「今年度新入生 の卒業をもって、本校は廃校となります」

絵里「なっ………」
 
8: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/10(月) 23:23:41.98 ID:xjPnNYCC.net
ー生徒会室ー

絵里(廃校か……)

絵里(確かに、思い当たる節はある。毎年クラス数は少なくなって行っていたし、去年の説明会も生徒会はほとんど動かなかったことを覚えてる。でも………)

絵里「無くなっちゃうのね……」


ガチャ

絵里「!」

海未「失礼します」

絵里「海未。珍しいわね、どうしたの?もう帰る時間なのに…」

海未「いえ、特にどうかしたという訳ではないのですが、生徒会室に行けば絵里に会えるかと思いまして…」

絵里「っ」ドキッ

絵里「へ、へぇ~、私に会いたかったんだ?海未はいつまで経っても甘えんぼさんね」

海未「なっ……//そ、そういう理由できたわけではありません!」
 
30: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:14:20.77 ID:o59CyHNK.net
海未「……その、絵里が今日は忙しそうでしたので、なにか力になれることがあればと思いまして…これを」

絵里「あっ、サンドイッチ……買ってきてくれたの?」

海未「はい、お昼まで仕事をするかわかりませんでしたので軽めのものを選んだのですが…」

絵里「ううん、すごく嬉しいわ。ありがとう」

海未「よろこんでもらえたようでなによりです。お仕事頑張ってくださいね、それでは……」

絵里「あ、待って海未。この後なにか予定ある?」

海未「え?…そうですね、今日は部活もないのでこのまま帰宅しようかと思っていましたが……」

絵里「よかったら少し話していかない?」
 
31: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:18:03.97 ID:o59CyHNK.net
海未「お仕事の邪魔になるのでは?」

絵里「ちょっと休憩。ね、いいでしょ?」

海未「…わかりました、そうしましょう」

絵里「ありがとう。それでなのだけれど……廃校、になるんですって」

海未「そうみたい、ですね。私も始業式で聞いて驚きました。一番驚いていたのは穂乃果でしたが…卒倒するくらいでしたし」

絵里「ふふっ、穂乃果ならそれくらいはしそうね。でも私も…正直言って倒れてしまいそうだったわ」

絵里「大切な学校がなくなってしまうだなんて……」

海未「お祖母様の母校だったのですよね?」

絵里「うん、おばあさまの思い出の学校……」
 
32: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:21:36.41 ID:o59CyHNK.net
絵里「まだそういう方針で行くってだけだから、確定ではないけれど……なんとか止める方法はないのかしら」

海未「学校の魅力を伝える……来て欲しいと思わせる…いずれにしても一学生である私たちには難しそうです」

絵里「それでも…!私は、どうにかしたい……なにか小さなことでもいいの、きっかけが作れたら……」

海未「……ふふっ、絵里らしいです」

絵里「え?」

海未「ひたすらに努力家で、自分にできることを模索して動く。そういうところにずっと憧れているんです」

絵里「わ、私ってそんな感じなのかしら…あんまり自覚はしてなかったのだけれど……」

海未「ええ、そうですよ。昔からそうでした」
 
33: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:24:47.54 ID:o59CyHNK.net
絵里「昔、ねぇ……そういえばこうやって海未と二人きりで話すのは何年ぶりかしら」

海未「さすがにそこまで久しいわけでも……」

絵里「いいえ、私の記憶では中学校に上がった途端にぱったり話すことがなくなったわ」

海未「そうでしたっけ?」

絵里「そうよ。小学校までの海未は可愛かったわ、涙目でいつも『えりぃ……』でしたもの」クスクス

海未「なっ…!?そんな記憶はもう忘れました!///」

絵里「もう、照れちゃって……ほら、いまも私にたくさん甘えていいのよ?泣き虫海未ちゃん♥ 」

海未「~~~っ////も、もう帰りますっ!」
 
34: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:27:49.29 ID:o59CyHNK.net
絵里「ごめんごめん、からかいすぎたわ。とはいえもうお昼だから、おばさまが昼食作って待ってるかも知れないわよ?」

海未「もうそんな時間なのですね…絵里と一緒にいると時間が早く過ぎるようです」

絵里「ええ、あっという間にね」

海未「…それでは、これで失礼させていただきますね。………」

絵里「………海未!その、今度どこか遊びに行かない?久し振りに」

海未「はい、よろこんで。穂乃果やことりにも掛け合ってみますね。…ごきげんよう」ガチャ



絵里「……穂乃果とことりも…ねえ」
 
35: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:34:01.20 ID:o59CyHNK.net
絵里(海未は私の幼馴染で、とても大切な人。)

絵里(もちろん穂乃果もことりも大切な人だけど、その中でも海未はトクベツ……ということは自分でもいつの間にか気づいていた)

絵里(昔は_今はどうか知らないけど_海未とは仲が良くて、いつも私の斜め後ろが所定位置だった)

絵里(ある時は涙目で私に視線を送り、またある時は服の裾をぎゅっと掴んで黙って付いてきてくれたわ)

絵里(当時の様子をみた近所の人たちからはまるで姉妹みたいだと評されるくらいにはくっついていたようで…)

絵里(その時の私と言えば、迷惑なんてことは微塵も思わなかったし、むしろ頼られることに誇りを持っていた……はず)

絵里(亜里沙も日本に居なかったし、そういう妹みたいな存在が欲しかったのかもしれないわね)


絵里(中学からは……ぱったり話すことがなくなちゃった。海未も部活をし始めたし、私も忙しくなり始めたから)

絵里(だから…私は未だに、海未がずっと泣いてるようなイメージを持ってる)

絵里「…あともう少しだけして帰ろ」
 
36: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:37:40.02 ID:o59CyHNK.net
ー休日ー

穂乃果「あ、いた!絵里ちゃん!」

絵里「こんにちは、穂乃果」

ことり「こんにちは、絵里ちゃん♥ 」

海未「すみません、お待たせしてしまったでしょうか」

絵里「ううん、今来たところ。さて、今日はどうするの?」

穂乃果「なにも考えてないから…とりあえずみんなが行きたいところに行こう!」

絵里「ふふっ、穂乃果らしいわね。それじゃあ適当に歩きましょうか」
 
37: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:40:41.41 ID:o59CyHNK.net
ことり「それにしても、絵里ちゃんとこんな風に遊ぶのって久しぶりかも」

絵里「そうね…中学入ってからは全然だったものね」

絵里「ことりがこんなにおしゃれさんだったとは知らなかったわ」

ことり「ありがとう~♪おしゃれついでに……お洋服屋さんに寄ってもいいかな?」

絵里「えぇ、それじゃあまずは洋服屋にいきましょ」
 
38: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:41:05.83 ID:o59CyHNK.net
ことり「ん~♥ かわいい♥ ♥ 」

絵里「こんなに楽しんでることりを見るのは初めてかも……」

ことり「あっ!この服……ねぇちょっと穂乃果ちゃんこっち来て!」

穂乃果「ん?どうしたのことりちゃん」

ことり「試着室借ります~!」

穂乃果「ちょ、ことりちゃん!?待っ……!」ピシャン
 
39: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/11(火) 19:44:17.83 ID:o59CyHNK.net
絵里「………」

海未「………」

絵里「ことりって結構押しが強い方だったわね、思い出したわ」

海未「えぇ、特に自分の興味については」

絵里「海未はなにか買ったりしないの?」

海未「はい。お金も服を買うほどは持ってきていませんし、見ているだけというのも性に合いませんので」

絵里「そう。それじゃあ私の服選びに付き合ってもらっていい?第三者の意見があると助かるから」

海未「もちろんいいですよ」

絵里「ありがとう、嬉しいわ」
 
43: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:12:23.35 ID:QfnVW4QW.net
絵里(まあ、予想していた通りというか、海未はイエスしか言わなかった)

絵里(私が私の似合うものをきちんと熟知しているから、そういうものだけを選んだのは事実ではあるのだけれど……)

絵里(けれど、心の底から海未は私との掛け合いを楽しんでいる……ようにみえて、嬉しかった)


絵里「うん、満足したわ。こんなことに付き合ってもらっちゃってごめんなさいね」

海未「いいえ、私も少しファッションの勉強になりました。絵里はいい感性を持っていますから」

絵里「ふふっ、それならその感性をもうちょっと信じてくれる?」

海未「え?」

絵里「ハイ、これあげる」

海未「えっ!?い、いつの間に……」
 
44: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:16:34.02 ID:QfnVW4QW.net
絵里「さっき服選んでて、海未に似合いそうだなーって思ったの。受け取ってくれる?」

海未「うぅ…で、ですが、このような素敵な帽子、高かったのでは?」

絵里「全然、安物よ。……っていうとなんだか海未を軽視してるみたいだし、高価よって言うと海未が受け取ってくれなくなっちゃうわね……普通よ、普通♥ 」

海未「……わかりました、喜んで頂戴します。ありがとうございました」

絵里「よかった。こちらこそありがとうね」

海未「…ですが、どうしていきなり?」

絵里「んー、これからもよろしくって感じかしら」

絵里「ほら、しばらくこういうことなかったじゃない。これからは一緒に遊びたいなって」

海未「そう、ですね。私も絵里ともっと一緒に居たいです」

絵里「またそういうこと言う……」

海未「え?」

絵里「ううん、なんでもないわ。さて…ことりと穂乃果はまだなのかしら」
 
45: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:20:23.75 ID:QfnVW4QW.net
ことり「お待たせ~」

穂乃果「うぅ……流れで買ってしまった……」

ことり「でもすごく似合ってるよ?二人もそう思うよね……って海未ちゃん、その帽子買ったの?」

海未「あっこれは……はい、私の一番のお気に入りになりそうでしたので」

絵里「………///」

ことり「うん、とっても似合ってるよ!海未ちゃんが自分で似合うファッションを選べるなんてちょっとビックリかも……」

海未「うっ……あ、はは…たまには、感性も磨かなければと思いまして…」

ことり「へぇ、それは海未ちゃんも女の子としての自覚が芽生えてきたってことなのかな?」チラッ

絵里「っ!」サッ
 
46: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:24:02.70 ID:QfnVW4QW.net
穂乃果「もういい時間だからさ、ご飯食べに行こうよ。穂乃果もう今にもお腹なっちゃいそう」

海未「そ、そうですよ!いつまでも喋っていると一番人が混む時間に鉢合わせてしまいますよ!さあ行きましょう!」グイグイ

ことり「えっ海未ちゃん!?……むぅ」

絵里「……ほっ」


絵里(それから昼食をとって、色々な場所を見ていった)

絵里(私は3人の少しだけ後ろをあるいていたけど、少しだけ気付いたことがある)

絵里(海未がいつも車道側を歩いて、二人を守るような仕草をしているということ)

絵里(正直…すごくびっくりしたわ)
 
47: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:27:47.21 ID:QfnVW4QW.net
絵里(私の記憶の中の海未は、いつも後ろに隠れていて、私に守られて……)

絵里(それが今や、自分の大事な人たちを守るように成長していて…なんだか感慨深いわね)ポロ

絵里「え……」ポロポロ

絵里「なんで、泣いて……」

海未「……絵里?」

絵里「っ!な、なにかしら」

海未「いえ、絵里の意見も聞きたいと思いまして……泣いているのですか?」

絵里「えっ!?う、ううん、目にゴミが入っただけ。ごめんね」

海未「そうですか、今日は風が強いですから注意してくださいね」

絵里「う……うん。ありがとう」

絵里「………」
 
48: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:31:48.28 ID:QfnVW4QW.net
絵里(それからみんなとわかれて、気がつくと自分の部屋に戻ってた)

絵里(なんで泣いちゃったんだろう……海未が成長するのはなにも悪いことじゃないのに)

絵里(海未の知らないところを知ったから?私の知らない海未を垣間見た気がして……)

ピロロンッ

絵里「っ!海未……」

『夜分遅くに申し訳ありません。今日はお付き合いしていただいて本当にありがとうございました。久しぶりにあなたと一緒に遊びましたが、とても楽しかったです。
 また機会があれば今度は二人でどこかに遊びに行きましょうね。おやすみなさい』

絵里「っ………///」ドクンッドクンッ

絵里(こ、こんな…海未からメールが来ただけだっていうのに、胸が高鳴って……)
 
49: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:36:06.18 ID:QfnVW4QW.net
絵里(そ、そうよ。だって海未から連絡がくるだなんて初めてスマホ買ったから連絡先を教えてくれって時以来じゃない!?)

絵里(昔からの付き合いなのに、まだ『初めて』の経験があるだなんて……)

絵里「……」スッ

絵里(話したい。海未の声が聞きたい。どんなことでもいいの、あなたの声が……)

絵里(……いや、落ち着きなさい私。海未は早く寝てたはずだから、きっとこれも寝る直前に送信したはず。海未に迷惑はかけられないもの、やめておきましょう)

絵里「………」

『また明日ね』

絵里(そう、大丈夫。会おうと思えばいつだって会えるんだから)
 
50: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:40:29.41 ID:QfnVW4QW.net
ー翌日ー

絵里「あー………疲れた」

絵里(っと、いけないいけない。こんなの声に出したら聞いたみんなのやる気もなくなっちゃうわね)

絵里(とはいえ私一人なのだけれど……労いのお茶を出してくれる人が一人くらいいてもいいじゃない)

絵里(………帰りたくないなぁ、でも亜里沙が待ってるでしょうね……)

絵里「よっこらしょっ……///」スッ

絵里(これじゃあおばさんみたいじゃないのよ…///)
 
51: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:43:55.52 ID:QfnVW4QW.net
絵里(今日のご飯どうしようかしら。亜里沙も久々に故郷の料理が食べたくなってきてる頃かしら、ボルシチでも……)

ヒュッ スコンッ

絵里「!」

絵里「弓道部……まだ練習してるのね」

絵里「……もしかして」

海未「………」ギリッ

絵里(やっぱり)

絵里(よく表彰されてたからうまいのだとは思っていたけれど……なんというか……すごく綺麗…)

海未「んっ」チラッ

絵里「あっ」

海未「絵里……!」
 
52: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:47:22.94 ID:QfnVW4QW.net
海未「んっ」チラッ

絵里「あっ」

海未「絵里……!」

絵里「こんばんは、海未」

海未「ち、ちょっと待っててください。今支度しますので」

絵里「あ、いいのよ別に。たまたま通りかかっただけだから」

海未「いえ、私も帰ろうと思っていたので」

絵里「そう。それじゃあご一緒しちゃおうかな」
 
53: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:50:51.99 ID:QfnVW4QW.net
海未「……いつから見てたのですか?」

絵里「ついさっきよ。ちょうどさっきの矢を射る辺りからね」

海未「そうでしたか。いつもこの時間帯に帰るのですか?」

絵里「今日はトクベツ。新学期始まってからしばらくはお仕事が多いのよ。…海未もこんな時間まで一人で練習して、部長以外が部室と鍵の管理しちゃいけないのよ?」

海未「うっ…すみません。ただ、私は練習が大好きみたいで……なにかを頑張らないと体が腐ってしまいそうなんです」

絵里「……海未ってもしかしてM気質なの?」

海未「なっ…///ち、違います!それをいうなら絵里でしょう!?」

絵里「なんでよ?」
 
54: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:54:37.95 ID:QfnVW4QW.net
海未「見たところ一人で仕事をしていたようですが…みなさんが帰るということはもう今日の分の仕事はとうに終わっていたのでは?やらなくていい仕事をするだなんて絵里は物好きですよ」

絵里「単に面倒くさがりやってだけよ。夏休みの宿題も早めに終わらせてたしね」

海未「あぁ、確かに…そんな記憶があります」

絵里「穂乃果が自由研究終わってなくて、わたしがボツにしたやつをそのままあげたら『高坂さんがこんなの作れるわけない』って言われたりとか」

海未「あれは穂乃果が悪いのです。あの人は今も昔もああなのですから……」

絵里「……海未は結構、変わってしまったわね」

海未「え……そうでしょうか?」
 
55: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/12(水) 01:58:31.33 ID:QfnVW4QW.net
絵里「えぇ。随分逞しくなったと思うわ」

海未「ふふ……絵里にそう言われるとなんだか嬉しいです」

絵里「……褒めたわけじゃ…ないのだけれど」ボソッ

海未「なにか?」

絵里「ううん、そろそろ鍵を返しに行きましょう?途中まで一緒に帰りましょうか」


絵里(私の知っている海未は弱い女の子だった)

絵里(引っ込み思案で、いつもオドオドしていて、私の背中に隠れて………)

絵里(今の海未は文武両道で、立ち振る舞いがしっかりしていて……少し、恥ずかしがり屋なところはあるけれど)

絵里(もちろん今の海未を否定するわけではないし、むしろ喜ばしいことだと思う。けど……)

絵里(なんなのよこのモヤモヤ感……)
 
66: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/13(木) 22:04:16.63 ID:76SPCtlo.net
ー数日後ー

絵里(なんだか、今日は校内が湧いている気がする)

「まさかうちの学校にスクールアイドルができるなんてね~」

「2年生の子が始めたらしいわよ、最近流行ってるしここの学校も有名になったりして!」


絵里「スクールアイドル……」

絵里(って言ったらアレよね?よくUTX前のモニターに映ってるあのアライズみたいな……)

絵里(というか、私聞いてないんだけど?非公認でやるのは自由だけれど、学校の名前載せるくらいなら一声かけてほしいわね)
 
67: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/13(木) 22:07:41.74 ID:76SPCtlo.net
絵里「あ、これね」ピラッ

絵里(その貼り紙にはグループ名募集と書かれた上に3人の制服を着た女の子が描かれている絵があった)

絵里(この絵柄…どこかで見たような……?しかもこのデフォルメされた女の子たちにも見覚えが……)

絵里「まさか……」


コンコン

絵里「どうぞ」

海未「失礼します」

絵里「っ……海未……」

海未「えっと、絵里……先輩。お話があって参りました」

絵里「ちょうどよかった。私もあなたに話があるの。場所を変えたほうがいいかしら?」

海未「はい、私事でもありますので。よろしければ」
 
68: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/13(木) 22:11:31.07 ID:76SPCtlo.net
絵里「それじゃあ用件を聞きましょう」

海未「絵里も用事があったのでしょう?先にいいですよ」

絵里「ううん。多分同じことだと思うの、言ってくれる?」

海未「……はい。その、なんというか、信じられないと思うかもしれませんが…スクールアイドルをすることになりました」

絵里「この貼り紙はあなた達が貼ったの?」

海未「あ、はいっそうです」

絵里「別にまだ2、3枚しか貼ってないみたいだし、他に貼るものもないからよかったけれど、こういうのは生徒会を通してからにしてほしかったわね」

海未「すみません……」
 
69: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/13(木) 22:17:09.45 ID:76SPCtlo.net
絵里「…で、どういう風の吹き回しかしら」

海未「言い出したのは穂乃果です。学校の廃校を食い止めたい。その為に今流行りのスクールアイドルをやってはどうか。ということでした」

絵里「廃校の阻止?そんなことで今から部活を立ち上げて活動しようだなんて……そういうことは私たち生徒会が活動するのだから残りの学校での生活を楽しみなさいって穂乃果に言っておきなさい」

絵里「……その穂乃果はどこにいるのよ?」

海未「絵里があまりいい思いをしないのはなんとなくわかっていました。いきなり3人で話に行くとこじれるかもしれないと思い、まずは私だけで」

絵里「まずは……ねぇ。かしこい判断だとは思うけれど、それじゃあどうして海未はスクールアイドルをしようだなんて思ったの?弓道部も既に入ってるじゃない」

海未「それは……穂乃果に誘われたから……でしょうか」

絵里「っ……」ズキッ
 
70: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/13(木) 22:20:34.52 ID:76SPCtlo.net
海未「自分でも驚いているんです。私がスクールアイドルだなんて…って。でも穂乃果と一緒なら……言い様がないですが、きっと大丈夫と思わせる安心感があるんです……絵里?どうかしました?」

絵里「いや…ちょっと、ごめん……気分悪くなってきちゃった……」

海未「えっ!?それはいけません、早く保健室に……」スッ

絵里「いいから!!」

海未「っ!」ビクッ

絵里「…ごめん。とにかく、廃校を阻止したいって理由でスクールアイドルをやろうって言うのなら私は認めない。そう伝えておいて。……またね」フラフラ
 
71: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/13(木) 22:23:11.28 ID:76SPCtlo.net
絵里(ああ、そうだった。ずっと大事なことが見えていなかったんだわ)

絵里(海未は『私だけ』のものでは決してないということ。すっかり忘れてた)

絵里(あの子は昔から引っ込み思案で弱くて……なんて、とっくに昔のことじゃない)

絵里(いまはとてもしっかりしていて、それこそ私なんかいなくたって海未は………)

絵里(スクールアイドルに反対だったのだって本当は廃校がどうとかそんなのどうでもいい。ただ海未にかかる負担が心配で……)

絵里(でも、そんな心配も今となっては無用のものだったのね)ポロ…

絵里(なに泣いてるのよ、全部自分の利己心じゃない。結局海未に依存して欲しかっただけ……なんて)ポロポロ
 
76: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 22:38:36.50 ID:mU10umhb.net
カタカタカタ……

絵里「はぁ……」スッ

ガラッ

ワンツースリーフォー……

絵里「っ!」

希「おっ、やってるみたいやね」

絵里「希……」

希「知ってる?うちらの学校にもスクールアイドルができたんよ」

絵里「知っているわ」

希「エリチ的にはあんまり印象良くない?」

絵里「そういうわけでは、ないのだけれど」

希「エリチも昔バレエしてたんよね?エリチが監督としてでも彼女達に協力してあげれば、きっとすごいアイドルになれると思うんよ」

絵里「……私なんか居なくたって、きっとあの子は上手くやるわ」

希「またそういうこと言って……」
 
77: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 22:42:03.56 ID:mU10umhb.net
カタカタカタ

絵里「ふぅ……終わったわ…」

絵里(いつの間にか屋上からきこえる声はなくなり、他の役員も既に帰っていた)

絵里(陽はもう完全に沈んでいて、綺麗な藍色に染まっている)

絵里「……亜里沙が家で待ってるかも」スタスタ

絵里(ん……あそこって弓道場よね?電気消し忘れかしら)

絵里(ぁ…消えたわ。こんな時間まで練習してるだなんて……まさかね)
 
78: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 22:45:41.34 ID:mU10umhb.net
絵里(冷蔵庫にはなにもなかったはずよね……鶏肉でも買って帰りましょうか)

絵里(公園を横切ると確か近かったはず……)

絵里「ん……?」

絵里(人……?こんな時間なのにベンチに人がいるわ……)

絵里(この辺にホームレスがいるとは聞いてないし、なにかあったのかしら)

絵里「あの……大丈夫ですか?」

「………」

絵里(寝てる……?もうちょっと近づいてみましょう)スタスタ
 
79: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 22:49:16.15 ID:mU10umhb.net
絵里(もしかして制服着てる……女の子!?)

絵里「そこのあなた!大丈夫なの!?」タッタッタッ

海未「………」スヤァ

絵里「え……う、み……?なんで……」

海未「ふぁ…うん?お姉様……」

絵里「寝ぼけてるの?!体冷えてるじゃない、ちょっと待ってなさい。お茶買ってくるから」

海未「ん……」スヤスヤ
 
80: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 22:52:47.27 ID:mU10umhb.net
絵里「お待たせ……ってまた寝てる……」

海未「………んぅ」

絵里「その体勢じゃ辛いでしょう?膝に頭乗せなさい」

海未「ん……」

絵里「あと体も温かくして、ブレザー使っていいから」ファス

海未「ありがとう……ございます…」スヤスヤ

絵里「………」

絵里(目に隈できてる……この子はいつも早くから寝てるはずだから最近は寝てないのかしら)

海未「………」スゥ

絵里(寝顔は昔と変わってない……)チュ

絵里「……///」

絵里(……起きてたらころされちゃうわね)
 
81: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 22:58:34.80 ID:mU10umhb.net
海未「んっ……」

絵里「!!」ビクッ

海未「あれ…えり……どうして……」

絵里「どうしてはこっちのセリフよ、どうしてこんなところで寝てるの!?」

海未「あぁ、その、帰宅途中にどっと疲れが襲ってきて我慢できなくて……休憩しようと思ってベンチに座っているといつの間にか……」

絵里「はあ……動きすぎなのよあなたは。さっきまで弓道場いたでしょう?」

海未「………」

絵里「正直に答えなさい」

海未「…いました」
 
82: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:30:16.36 ID:mU10umhb.net
絵里「昨日は何時まで起きてたの?」

海未「い、1時半くらいでしょうか。ですがそれくらい高校生なら……」

絵里「あなたはいつも日付が変わる前に寝てるでしょうっ」

海未「ぅ……」

絵里「まだしんどい?」

海未「いえ、もう大丈夫です。すみません、膝をお借りしてしまって」

絵里「嘘ね」ギュゥ

海未「ひゃっ……!?ほ、本当に大丈夫ですから!」

絵里「あなたのことが心配なの」

海未「絵里……?」
 
83: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:33:23.01 ID:mU10umhb.net
絵里「私の心配なんて必要ないことくらいわかってる。海未はもう強い女の子ですもの」

絵里「でも……それでも、あなたを心配せずにはいられない。だって、あなたは私のかけがえのない人だから」

海未「………」

絵里「…ごめんなさい。『私の中の海未』を『今の海未』に求めても仕方がないのに……最低ね、私」

海未「……少し、昔話をしませんか」

絵里「えっ」

海未「私が小学6年生に上がるとき、絵里はすでに中学生でした。それから、ですよね。私と絵里が会う機会が少なくなったのは」

絵里「……そうね」
 
84: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:37:44.56 ID:mU10umhb.net
海未「それまでの私は何かと絵里に甘えることが多かったと思います、情けない話ですが、自立のできていない人間だったのです」

絵里「そんなことは……」

海未「いいえ、私は確かに甘えたがりでした。ですが絵里が中学校に入って、あまり会うことがなくなってから気づかされたことがありました」

海未「このまま絵里を頼ったままでいいのか、いつまでもこんなままではそのうち困るのではないか……」

海未「そして、穂乃果とことりに何かあった時私にどうにかできるのかということです」

絵里「穂乃果と、ことり?」

海未「はい、あの二人は私のとても大切な人たちです。絶対に守ってあげたいと思いました」

海未「ですから私は、部活や習い事を通して鍛錬を積むことにしたんです」

絵里「……そう。そう、よね。海未にとってあの子たちはかけがいのない人たちですもの」

絵里(あぁ、駄目。これ以上聞くとあの子達に嫉妬してしまいそう……)
 
85: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:41:29.98 ID:mU10umhb.net
海未「あと、もう1つ」

海未「絵里は、私との昔のことを覚えていますか?」

絵里「え…?えぇ、よく覚えているわ」

海未「私はよく、絵里の後ろを歩いていたと思います」

絵里「そうね、服の裾をよく掴まれたわ」

海未「はい。ですから、私の中の記憶は絵里の後ろ姿がほとんどなんです」

絵里「っ……」

海未「だから私は、あなたの顔を見たいと思いました」
 
86: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:45:00.01 ID:mU10umhb.net
海未「頑張って人見知りを治して、何にでも胸を張って行動できるようになって、自分のことは自分で面倒を見きれるようになりました」

海未「絵里の後ろではなく、ずっと隣り合わせになりたかったんです」

海未「……なんて言っても、こんなところで寝ていては説得力がないでしょうけど」

絵里「……ほんとに、そうよ…」

絵里「こんな危なっかしい子、目を離すわけには行かないじゃない」ギュッ

絵里「もしかしたら海未は私の後ろだけを見てたことに距離を感じていたのかもしれない。でもちゃんと私だって、あなたのことを見てたんだから」

絵里「なんでも自分一人でこなす必要はないと思うわ。自分が壊れない程度に人を頼ればいいのよ」
 
87: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:48:22.86 ID:mU10umhb.net
絵里「穂乃果とことりももう自分で物事を判断できるでしょうし、逆にあなたを助けてあげたいって思ってるかもしれない」

絵里「私は……海未の力になってあげるのが生き甲斐みたいな感じだったから、できるだけ頼ってほしいかな」

海未「ですがそれでは……またあなたの後ろについて行きそうで…」

絵里「大丈夫よ。海未がいままで培ってきたことはそう簡単になくならない。もし心配なら……お互いに助け合いましょう?」

海未「お互いに……?」

絵里「えぇ。海未がもし負担になってることがあったら、私を頼って?その代わり、私も海未に頼るから」

海未「ほ、本当にそれでいいのですか?」

絵里「もちろん。むしろ私の方が海未がいないと生きていけないみたいな感じだから」
 
88: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:51:42.46 ID:mU10umhb.net
海未「……不束者ですが、末長くよろしくお願いしますね」

絵里「なに?私に嫁入りするつもり?」

海未「それもいいかもしれませんね」

絵里「ばっ……///冗談に決まってるでしょ!?」

海未「ふふ……」

絵里「はぁ…私の知らない間に随分口が達者になったのね……それで、どうするの?そろそろ帰ったほうがいいんじゃない?」

海未「……確か絵里のご自宅はここから近かったですよね」

絵里「うん、お買い物してから帰ろうと思っていたのだけれど……」

海未「もし、よろしければ、お邪魔させてもらえませんか?」

絵里「え?別にいいけど、珍しいわね。海未ならまっすぐ家に帰るものかと思っていたのに」

海未「その、久しぶりに行ってみたくなって……」

絵里「わかったわ。それじゃあ一緒にいきましょ」

海未「!ありがとうございます!!」
 
89: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:59:17.39 ID:mU10umhb.net
テクテク

海未「……ふふっ」

絵里「どうしたの?」

海未「いえ……なにもかもが懐かしいような、新しいような……不思議な感じで」

絵里「ふぅん?」

海未「こうして絵里と、しかも並んで帰るのも、そもそもあなたとまたこんな風に話せているのと。…とても幸せに思います」

絵里「ぅ、あ……///そ、そんなの……わたしも……いや、大げさよ…///」

海未「大げさなんかじゃないです。ずっと絵里と一緒にまたこういう風に過ごせたらと思っていましたから」

絵里(そんなの私の方が幸せに決まってるでしょっ///)
 
90: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/14(金) 23:59:44.23 ID:mU10umhb.net
絵里(あぁ、もう…ついお昼までナーバスになってたのにそんな気持ちも吹き飛んじゃったわ)

絵里(この子はやっぱり、私にとっての……)

海未「あ、あの、絵里……」

絵里「うん?どうしたの?」

海未「そんなに見つめられると恥ずかしいです……///」

絵里「っ!?ご、ごめんなさい!そんな見てたかしら!?///」

海未「穴があきそうなくらいには」

絵里「ご、ごめん……ちょっと色々考え事してたから……」

海未「失礼に思われるかもしれませんが、絵里は何かを考えている時が一番華になりますね」

海未「その時のあなたの瞳は、吸い込まれそうで……」

絵里「もうっ//この話は終わり!今度から気をつけるから早く家にいきましょ」

海未「私を見て……くれないのですか?」

絵里「……ほどほどに見ることにするわ」

絵里(ああもうなんなのよ今日の海未は!振り回されっぱなしじゃない……)

絵里(いえ…私がそう思ってるだけなのかしら。海未がいるから私が変なかんじになってて……)

絵里(…こんなテンションで家にあげちゃって大丈夫かしら……)
 
108: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:20:37.83 ID:B2WRQKMJ.net
N始動>5D>2D>ct>6B>6C>6D>5式>hjcJB>JC>JD
 
109:>>108は間違い(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:22:46.53 ID:B2WRQKMJ.net
海未「お、お邪魔します……」

絵里「そんなに緊張しなくてもいいじゃない、私の家よ?」

海未「ですが……以前にお邪魔したのは確か小学生5年生の夏くらいでしたし……」

絵里「もう、自分から来たいって言っておいて……」

海未「あ、そうです。おばさまにも久しく会っていませんでしたし挨拶を……」

絵里「親は居ないわよ」

海未「お仕事ですか?大変ですね」

絵里「んー、まあ間違ってはいないかしら。二人ともロシアで仕事してるからあんまり帰ってこなくなっちゃったのよ」
 
110: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:26:53.48 ID:B2WRQKMJ.net
海未「えっ!?あんまり……ってどれくらいの頻度なのですか?」

絵里「長期の休暇の時に帰ってくるとか、日本で仕事があるときにここを寝床にしてるかくらいね」

海未「それではほぼ一人暮らしのようなものではありませんか!」

絵里「んーまあ、そんな感じね。でも今までも片親が単身赴任とかよくあったし、高校入ってからいまの感じに落ち着いたから時期的にはよかったかも。料理も上手になったものね」

海未「……やっぱり絵里はしっかりしていますね。すごいですよ」

絵里「ぜーんぜん。ダメなところは本当に駄目だし、それにあんまり寂しくもないから」

ガチャ

絵里「ほら、噂をすれば」

海未「え?」
 
111: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:29:47.55 ID:B2WRQKMJ.net
亜里沙「お姉ちゃん、帰ってるの?……あっ、お友達が来てたのね」

海未「っ!?」

絵里「ただいま。遅くなってごめんね、もうすぐご飯作るから」

海未「絵里、この方は……」

絵里「あ、そうよね。多分会うのは初めて……だものね。紹介するわ、私の妹の亜里沙よ」

亜里沙「初めまして、お姉ちゃんの妹の絢瀬亜里沙です。今は中学3年生です」ペコリ

海未「あ、妹……」
 
113: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:36:41.44 ID:B2WRQKMJ.net
絵里「亜里沙にも紹介するわね。この子は私の1つ下の友達の海未よ。昔からの付き合いだからよかったら仲良くしてあげてね」

海未「初めまして、園田海未と言います。高校2年生です、よろしくおねがいしますね。亜里沙……ちゃん?」

亜里沙「あ、どうぞ親しみを込めて亜里沙と呼び捨てで呼んでください」

海未「そうですか。よろしくおねがいしますね、亜里沙」

亜里沙「………」ポケー

絵里「む………」

絵里「ほら、私はご飯作るから亜里沙は自分の部屋でゆっくりしてなさい。海未とは食事の時にたっぷり話せるから」

亜里沙「はーい。それじゃあ海未さん、また後で」

海未「えっ、あの、晩御飯までご馳走になるわけには……」

絵里「この時間に自分から来ておいてそれはないでしょう。早くおばさまに連絡しておきなさい」

海未「すみません……あっ、手伝いますよ」

絵里「ありがとう、助かるわ」
 
114: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:40:06.89 ID:B2WRQKMJ.net
絵里「あんまり妹にちょっかい出されると困るわね」

海未「え?」

絵里「海未に見惚れてたわよ、亜里沙」

海未「えぇっ?私はそんなつもりでは……」

絵里「そんなつもりはなくても、あなた黙ってるだけで魅力が増すんだから気をつけなさい」

海未「そんなことを言われましても」

絵里(まあ喋ると途端に可愛くなるのだけれど)

海未「……妹さんだったのですね、少しびっくりしました」
 
115: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:43:48.47 ID:B2WRQKMJ.net
絵里「見ればわかるでしょう?……いや、あんまり似てないかしら。でも目の当たりとか割と……」

海未「いえ、そうではなく……その、同棲中の恋仲かと……」

絵里「恋仲って……亜里沙の見た目を見なさい、中3と思えないくらいあどけないのにそんな子と付き合ってたら犯罪よ」

海未「そうですよね……よかった」

絵里「え」

海未「てっきり絵里の恋人かと思い、少し……嫉妬してしまいました」

絵里「えっ」

ピピピッ

海未「おっと」カチッ

海未「絵里、余所見をすると手を切りますよ」

絵里「う、うん。気をつけるわ」
 
116: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:48:25.40 ID:B2WRQKMJ.net
「いただきます」

亜里沙「わぁ、今日はなんだかおいしそう!」

絵里「海未が手伝ってくれたのよ。手際が良くて助かったわ」

亜里沙「そうだったんだ、ありがとうございます海未さん!」

海未「ご馳走になるのですから、このくらいは当然ですよ」

海未「っと、亜里沙、箸を持つのに変な癖がついていますよ」

亜里沙「えっ?どこか変ですか?」

海未「すみません、些細なことなのですが……この指はここに置いて……」スッ

亜里沙「わっ……//」

海未「こまかくて申し訳ないのですが、人前で食事をするときは意識していた方が得ですから。余計なお世話だったでしょうか」

亜里沙「い、いえっ!箸はまだ使い慣れてなくて、日本のマナーも覚えたいので、もっと教えてください」

海未「ありがとうございます。………」
 
117: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:51:49.20 ID:B2WRQKMJ.net
絵里「……」モグモグ

絵里(目の前で海未と亜里沙がいちゃいちゃしてるけれど諭す余裕もない)

絵里(海未がさっき言ったことが頭の中でぐるぐると回って、他はなにも考えられなくなって…)

絵里(なに?嫉妬って……誰に?私?)

海未「絵里」

絵里「ひゃ、ひゃいっ!?」

海未「お皿から食べ物が落ちてますよ」

絵里「あ……///」

海未「もう、絵里も箸の使い方を今一度確認したほうがいいのでは?」

絵里「気をつけるわ……」

絵里(あなたのせいよ……)
 
118: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/20(木) 16:55:57.93 ID:B2WRQKMJ.net
「ごちそうさまでした」

亜里沙「おいしかった~、海未さん、ありがとうございました」

海未「いいえ、私は絵里のお手伝いをしただけですから。お姉さんを褒めてあげてください」

亜里沙「えへへ。いつもありがとうお姉ちゃん」

絵里「ちょっと、いきなりそういうこと言われると照れるじゃない……///」

亜里沙「お姉ちゃんと海未さんは部屋でゆっくりしてて、洗い物は私がするから」

海未「あ、そろそろお暇しますので手伝いますよ」

亜里沙「いえ、洗い物くらいは私がするっていうのがうちのルールですから」

絵里「せっかく亜里沙が気を利かせてるんだからもう少し一緒にいましょう?それとも私と話すのが嫌でもう帰りたい、とか」

海未「そんなことあるはずないです!もっと絵里と一緒に居たいと思っていますから!」

絵里「っ……///」

海未「え、絵里…?」

絵里「……海未の気持ちはよく伝わったけど言葉を選んで発言したほうがあなたの身のためだと思うわ」ボソッ

海未「??」
 
125: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:24:10.89 ID:jwprVtBd.net
ガチャ

絵里「適当に座って」

海未「失礼します」ポフッ

海未「……もう、ここに来ることはないものと思っていました」

絵里「…本当に、なんで今まで会えなかったのでしょうね。理由をつければいつだって会えそうなのに」

海未「………」

絵里「海未?」

海未「……はっ!?」

絵里「そういえば公園で寝るくらいですもの、疲れてるはずだわ」

海未「すみません……」

絵里「寝たかったら寝ていいからね」
 
126: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:27:09.99 ID:jwprVtBd.net
海未「流石にそこまでは……」

絵里「もっと私を頼って。……いえ、私に甘えなさい」

海未「……はい」

海未「あの、私なんとなく会えなかった理由がわかるんです」

絵里「え?」

海未「もしかしたら、会えなかったのではなくて、会わなかったのではないでしょうか」

絵里「会わなかったって……私が?」

海未「絵里も、私もです。お互いに避けていたのではないかと…」

絵里「そんな…私が海未のことを避けるはずなんてないわ」
 
127: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:30:43.85 ID:jwprVtBd.net
海未「わかっています。ですから無意識のうちにそうしていたのではないかと」

絵里「どういうことよ?」

海未「心境の変化があって、なんだかお互いに会いづらくなってしまったとか」

絵里「………」

海未「それでは私も絵里に聞きたいことがあります」

絵里「え、えぇ。なんでも答えるわ」

海未「先ほど公園で、絵里は私のことをかけがえのない存在だと言ってくれました」

絵里「っ…そ、それはっ!ちょっと流れで言っちゃったっていうか、あ、いや、本当に大切に思っているのだけれど、その……!」アセアセ

海未「それに、私を随分気にかけてくれたり……とか。どうしてですか?」

絵里「どうしてって……」
 
128: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:36:35.69 ID:jwprVtBd.net
海未「絵里」ギュッ

絵里「ひゃっ……!?」ドサッ

海未「私のこと、好きですか?」

絵里「好っ……!?///え、あ、あぁ…すっ…好きよ」

海未「私はその好きが、穂乃果やことりが私に向けてくれる好意とは違うものではないかと思っているのです」

絵里「………っ」ドキドキ

海未「私の言いたいこと、わかりますか?」スッ

絵里「ちょ、うみ、ちかっ……///」

海未「言わないつもりなら、私から言いますよ?」

絵里「う、海未………?」
 
129: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:40:52.52 ID:jwprVtBd.net
海未「私は、ずっと…絵里のことが、す……///」

海未「ぁ、う……すみません……あなたのことをずっとあいし……っ///」

絵里「………」

海未「ぅあ……///すみません、頭の中でずっと言おうって思っていたのですが……///」

絵里「………よかった。この辺りは変わってなくて」ギュッ

海未「え、絵里……///」

絵里「うん。海未の言う通り、私はあなたを好きになったことが怖かったんだと思う……というより、あなたに知られて、それを拒絶されることが怖かったのね」

海未「拒絶なんて……」

絵里「私ね、海未のことなんにも知らないの。普段どんな風に考えてるのか…とかね」

絵里「だからあなたの真意がわかった途端にこんな強気にでちゃって……とんだへたれよね」

絵里「……海未のことが好きよ。愛しているわ」

海未「っ……///」
 
130: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:44:12.79 ID:jwprVtBd.net
絵里「ずっとあなたの側に居させて。ずっと海未のことを支え続けていきたいし、もっとあなたのことが知りたい」

海未「……はい、私もずっと絵里と一緒に居たいです」ポロポロ

絵里「もう、泣いてるとかわいい顔が台無しになるわ」

海未「ですが、ずっと伝えたかったんです……あなたのことが好きだと。昔から思っていました」

絵里「昔から?……やっぱり私はあなたのこと全然知らなかったみたい」

海未「自分でもこの気持ちは持ってはいけないものだと思っていましたので、これだけは心の中にしまい続けていました」

海未「ですが、もう隠さないことにしたんです」

海未「絵里と……またこうして過ごすことができたからですよ」
 
131: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:48:16.32 ID:jwprVtBd.net
絵里「……ねえ、それじゃあ私たち恋人になるってことでいいのかしら」

海未「恋人……なんだか恥ずかしいですが、そうなのでしょうね」

絵里「だから、今までとは少し違った関係を過ごしていきましょう?」

絵里「公園でも言ったけれど、今度からはお互いに手を取り合って、助け合って生きていくの。海未となら、そうしていたい」

海未「はい、私も……絵里が困っているなら力になりたいです」

海未「……ふふっ、なんだか安心したら力が抜けてきました…」

絵里「ねむい?」

海未「すこし……」
 
132: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:51:03.75 ID:jwprVtBd.net
絵里「今日は、ありがとう」

海未「お礼を言うのは私の方ですよ」

絵里「ううん、私よ。」

海未「……そうですか」

絵里「今日は泊まっていきなさい。おばさまには私から連絡するわ」

海未「ありがとうございます。………」

絵里「おやすみ、海未」ソーッ

海未「……次は、起きてる間にしてくださいね?」

絵里「っ……////バレてたのね…」

海未「今度こそ、おやすみなさい」

絵里「えぇ。おやすみ」チュッ

海未「……♥ 」
 
133: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:54:08.26 ID:jwprVtBd.net
__

絵里「はい、それじゃあすこし休憩。ステップをもっと見直してみると見栄えが違ってくると思うから、検討してみて」

穂乃果「うぁぁぁ……絵里ちゃんの練習きっつい……」

海未「練習というよりは……まず体作りからし直した方がいいかもしれませんね……」

ことり「あぁ……床があったかい……」バタッ

穂乃果「こ、ことりちゃぁん……」

絵里「安心して。少なくとも夏休みまでにはその辺のスクールアイドルに負けないパフォーマンスができるようなレッスンを考えているから」

絵里「穂乃果たちは、頑張って新しい部員を見つけることに専念して。そうしないと部として認められないんだから」
 
134: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 17:57:14.38 ID:jwprVtBd.net
穂乃果「部員かぁ~……絵里ちゃんが入ってくれればいいじゃん!ほら、こんな練習メニューまで考えてもらってるし!」

絵里「えぇ?私?私は……生徒会の仕事が忙しいから……」

穂乃果「そんなぁ~」

絵里「うちの生徒会は以外と忙しい子が多いのよね。っと……そろそろ戻らないとね」

絵里「ん……海未、ちょっといい?」

海未「はい、なんでしょう」

絵里「汗かいてる。ちゃんと拭いて……」

海未「んっ……え、絵里…//これくらいなら自分で出来ますから///」

絵里「あははっ、ごめんね。それじゃあ無理しないように頑張ってね」
 
135: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 18:02:34.17 ID:jwprVtBd.net
海未「あっ、絵里!」

絵里「ん?」

海未「……ありがとう」ボソッ

絵里「~~~っ////」

絵里「完全下校時刻までには帰るのよ!///」スタスタ

海未「……ふぅ、もう少し休んだら再開しましょうか」

ことり「海未ちゃん、さっきなに言ったの?絵里ちゃん顔真っ赤にして走って行っちゃったけど……」

穂乃果「どっちかっていうと逆な印象があるのに……珍しいね」

海未「なんて言ったか、ですか。それは……秘密です♥ 」

ことほの「っ!///」ドキッ

海未「さあ、二人とも動けるようになってきたみたいですし、練習しましょうか」

ことり(何かあったね……)

穂乃果(だよね……)
 
136: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 18:05:33.06 ID:jwprVtBd.net
絵里(私は今、穂乃果たちのコーチをしている)

絵里(穂乃果には申し訳ないとは思っているけれど……動機は不純なものだ)

絵里(海未の支えになってあげたい。たったそれだけ。作詞をしているらしい海未の負担を少しでも和らげてあげたかった)

絵里(さっきは穂乃果にあんなことを言ったけれど、きっと、近いうちに私もあの3人の中に混ざって踊ることになるかもしれない……なんだか想像すると笑えてきちゃうわ)

絵里「さってっと、私も3人に負けないように頑張らなくちゃ」
 
137: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 18:09:59.43 ID:jwprVtBd.net
海未「………はい!いい感じだったと思います!映像を確認したいですが…そろそろ下校時刻なので帰りましょうか」

穂乃果「ふぁ~疲れたぁ。でも絵里ちゃんの練習メニューはスパルタだけど海未ちゃんのより後味がいいから続けられそうだね~」

海未「どういう意味ですか?」

穂乃果「い、いやぁ…だって……海未ちゃん思いきり体育会系じゃん……」

海未「とはいえ、私も絵里の練習メニューは非の打ち所がないと思います。私も自分なりの課題が見つかりましたし」

穂乃果「……海未ちゃんさぁ、絵里ちゃんにアマアマだよね」

海未「えっ!?い、一応先輩ですから!?」

穂乃果「なんで焦ってるの。穂乃果なにもおかしいこと言ってないでしょ」ニヤニヤ
 
138: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 18:13:03.02 ID:jwprVtBd.net
ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃんをあんまりいじめちゃダメです」

ことり「海未ちゃんはこれから初めてのことばかりなんだから、暖かい目で見てあげて、ね?」ニヤニヤ

海未「ことりまで……!」

ことり「まあまあ、このことは置いておくとして、海未ちゃん、一緒に帰る?」

海未「っ……すみません、先に帰ってもらって構いませんか?」

ことり「うんっ♥ 穂乃果ちゃんもそれでいいよね?」

穂乃果「うん。海未ちゃんにはやることがあるもんね」ニヤニヤ

海未「そのにやけ顔はいい加減やめなさいっ!///…ですが、ありがとうございます。また、明日」スタスタ



ことり「確かに、アマアマだよね」
 
139: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 18:16:25.35 ID:jwprVtBd.net
絵里「ふぅ……」

絵里(そろそろ帰ろうかな……)

コンコン

絵里「!!」

海未「こんばんは」

絵里「海未……」

海未「完全下校時刻までに帰りなさいと言っておきながら、全然帰る様子がないではありませんか」

絵里「今から帰ろうと思っていたところよ……」

海未「そうですか。なにか手伝えることがあればと思ったのですが」

絵里「……あなたが傍に居てくれることが、一番安心できるし、幸せよ」

絵里「たぶん、ずっとこれが言いたかったの」

海未「それでは釣り合いませんね。私も絵里と一緒ですから」

絵里「もう……それじゃあ、片付けだけ手伝ってくれる?一緒に帰りましょう」

海未「はいっ」
 
140: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 18:21:06.77 ID:jwprVtBd.net
絵里「あんまり、日が沈みきってから二人で歩くことはなかったわね」

海未「えぇ。お互いに門限がありましたから」

絵里「……一度だけ、あなたを見失って迷子にさせた時もあったかしら。心臓が止まるかと思ったわ」

海未「………」

絵里「ん?どうしたの?迷子になるのが怖くなっちゃったとか……なんて」

海未「……手」

海未「手を、繋いでくれませんか……///」

絵里「ぇ……うん、いいわよ」
 
141: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 18:24:07.42 ID:jwprVtBd.net
ギュッ

海未「……うれしいです」ポロ

絵里「……泣き虫海未ちゃんは変わってないのかしら」

海未「絵里の前、だけです」

絵里「そう言われると嬉しい。でも……」チュ

絵里「ちゃんと笑ってるあなたも、私に見せてくれる?」

海未「………はいっ!」

絵里(もう、後ろを振り返る必要もないのね)

絵里(だってすぐ隣には、こんなにも愛おしい人が居るのだから)


おわり??
 
146:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 22:59:44.24 ID:jwprVtBd.net
海未「絵里、誕生日フ゜レゼントは何がいいですか?」

絵里「なにがいいですかって……お母さん見みたいよ海未」

海未「うっ……仕方がないではありませんか。私はあなたやことりのようにファッションに優れているわけではありませんし、かと言って絵里が他に欲しがるものも思いつかないのです」

絵里「うーん……それならアレ買ってよ。ニンテンドースウィッチ。あつっ」

海未「ちょっと、誕生日にやけどなんてしないでくださいよ?……それでその、ニンテンドーすいっちというのは何ですか?任天堂というからにはゲーム機なのでしょうが」

絵里「昨日の夜に発表されたやつよ。私の誕生日に合わせて発表されるだなんてこれって買えって言ってるようなものじゃない?」

海未「昨日発表って……発売日まだじゃないですか」
 
147:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:31:58.92 ID:jwprVtBd.net
絵里「……それもそうね。じゃあ海未の誕生日に私がフ゜レゼントして遊ぶとしましょう。おっと……」グラグラ

海未「絵里、さっきからどこか危なっかしいですよ。体調でも悪いのですか?」

絵里「そ、そう見える?生憎だけどビックリするくらい健康よ」

海未「……もしかして緊張してますか?」

絵里「っ!」ギクリ

絵里「えぇ、そうよ。緊張してるわ……」

絵里「だってしょうがないじゃない。こんな誕生日初めてなんですもの。好きな人と二人きりで過ごす、なんて……///」

海未「そ、そんなこと考えていたのですか!?破廉恥ですよ!!///」

絵里「なっ!?なにも破廉恥なことなんて言ってないわよ!海未の考えが破廉恥よっ」

海未「え……うぅ……///」
 
148:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:35:05.67 ID:jwprVtBd.net
絵里「もう……それでね、私、今まで誕生日は家族と一緒に過ごしてきたの」

絵里「父と母と亜里沙、たまにおばあさまと一緒に家でご飯を食べたりして過ごしたわ」

絵里「でも今年は、幸か不幸か両親が帰ってこないし、亜里沙も夕食どきまで外に出てるらしいから、なんだかすごく新鮮で……」

絵里「だから、大好きな海未と二人きりでいる事がとても……緊張する」

海未「緊張……ですか。なんだか意識してくれているようで少しだけ嬉しいです」

海未「!……そうです。少し待っていてくださいね」

絵里「ちょっと、クッキーの空箱なんか使ってなにするのよ」

海未「ペンかなにかありますか?」

絵里「そこにあるけど……」

海未「ありがとうございます」カキカキ

絵里「……?」
 
149:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:38:34.18 ID:jwprVtBd.net
海未「できました!」

絵里「……なにこれ」

海未「確かに、緊張してくれるのは私も絵里の恋人であるという自信が出てきて嬉しいです。ですが、やはり緊張されたままでは寂しくもあるので、少しだけゲームをしようかと」

絵里「ゲーム……?」

海未「ニンテンドーすいっちは買えませんが……これです!」

絵里「これって……おとうさんスイッチじゃない!!」

海未「ボタンも少ないですし、文字を割り振ったりアンテナを立てるほど手間のかけたものは作りませんでしたが……」

絵里「海未がこんなことするのってなんか意外……」

海未「いいではありませんかっ//ゲームなのですから、どうぞお気軽に……」
 
150:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:41:41.34 ID:jwprVtBd.net
絵里「変なの。それじゃあ……えいっ」ピッ

海未「………」スッ

絵里「海未……?」

ギュッ

絵里「っ!?///」

海未「絵里……だ、大好きですよ……///」ボソッ

絵里「ふぁぁ……!?///」ヘニャ

海未「大丈夫ですか!?」

絵里「あ、あんな声で囁かれちゃったらこうなるわよぉ……///」
 
151:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:44:36.80 ID:jwprVtBd.net
海未「すみません……続けますか?」

絵里「……怖いもの見たさで…」ピッ

海未「あの、恥ずかしいので少し目を閉じてくれますか?」

絵里「え……」

絵里(もしかして……)

海未「んっ……///」チュッ

絵里「ん……♥ 」

絵里(あぁ…海未の唇はやっぱり柔らかいわ……これを堪能できるのも私だけ、なのよね)

絵里(……すき)ナデナデ

海未「っ……♥ 」ピクンッ

海未「ぅ、ん………っ///」
 
152:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:47:46.23 ID:jwprVtBd.net
絵里(どれくらいお互いの口を合わせ続けていたのだろう)

絵里(はっと気がつくと海未の目はとろんとしていて、どうやら夢現になっていたみたい)

絵里「ねえ、ご飯も食べてないけど……このまま一緒に寝ちゃう?」

海未「それは、だめです。絵里の誕生日ですから、ちゃんとその日にお祝いしないと……」

絵里「海未だけいればそれでいいの。最高の誕生日よ」

海未「それは嬉しい……のですが、あと1つ、残ったボタンを押して頂けますか?」

絵里「え?う、うん……」ピッ

海未「……」スッ

絵里「あっ……」

海未「………」

絵里「海未?」
 
153:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:51:23.65 ID:jwprVtBd.net
海未「今から、絵里のお願い事をなんでも聞きます」

絵里「なんでも……」

海未「はい。なんでも……です///」

絵里「……それは、2つ以上でもいいわけ?」

海未「はい。構いません」

絵里「そう……それじゃあまず1つ目、両手で体を隠しちゃダメ。怯えないで」

海未「っ……は、い……///」ドキドキ

絵里「いつ見ても、華奢な体つきね……誤って壊してしまいそうなくらい」

海未「はっ、……はぁっ……///」ドクンドクン
 
154:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:54:43.24 ID:jwprVtBd.net
絵里「海未、ちゃんと私を見て。」

海未「はい……」

絵里「2つ目。来年も、2年後も、3年後も。また一緒にこうしていなさい」

海未「っ……!はいっ!」

絵里「もう1つ。来年からは私が緊張しないように……私の、家族になってください」

海未「えっ、それって……」

絵里「けっこん………して」

海未「ぅ………」ポロ

海未「はいっ!もちろんです!」ギュッ
 
155:おまけ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:58:03.18 ID:jwprVtBd.net
絵里「ふふっ……勢いでプロポーズしちゃった」

海未「本当ですよ、あなたの誕生日なのに、私がフ゜レゼントをもらったようで……」

絵里「……ありがとう、愛しているわ。海未」

海未「私も、あなたを、絵里を……ずっと愛し続けています」


ガチャ

「お姉ちゃん、ただいまー!ケーキ買ってきたよ~」

絵里「……行きましょうか」

海未「絵里。……お誕生日、おめでとうございます」

絵里「うんっ、ありがとう!」
 
156: (やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/10/21(金) 23:59:05.60 ID:jwprVtBd.net
おまけおわりです??

絵里ちゃん先輩お誕生日おめでとうございます?
 
159: (ほうとう)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 02:09:01.23 ID:5b6h0jDB.net
乙ハラショー!
幼馴染設定ならではの葛藤がすごくよかった
 
160: (庭)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 09:06:24.19 ID:NhSH6olB.net
とてもハラショーでした!
幼馴染ネタもっと増えて欲しい
 
161: (有限の箱庭)@\(^o^)/ 2016/10/22(土) 10:43:11.33 ID:XbpBpEdJ.net

ハラショーなえりうみありがとう!
 

引用元: http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1476107917/

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