【SS】せつ菜「最近しずくさんの事ばかり考えてしまうんです」【ラブライブ!虹ヶ咲】

せつ SS


1: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:10:58.68 ID:ZwHq13/d
しずせつ
 

2: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:11:52.47 ID:ZwHq13/d
せつ菜「私どうしたらいいんでしょうか」

しずく「………えっ?」

せつ菜「え?」

しずく「えっと…すみませんもう1回お願いします」

せつ菜「最近気が付いたらしずくさんの事ばかり考えてしまって」

せつ菜「何も手に付かなくて困ってるんです」

せつ菜「どうしたらいいんでしょうか」

しずく「えっと……え?」

せつ菜「…?どうしたんですか?」

しずく「…聞く相手か相談内容を間違えてませんか?」

せつ菜「間違えてません。しずくさんのことはしずくさんに聞けば分かるかなと!」

しずく(何の冗談…?)
 
4: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:13:09.62 ID:ZwHq13/d
しずく(嘘だよね…自覚無しってこと?)

せつ菜「…?」ペカー

しずく(すごくいい笑顔…)

しずく(どうしたらいいって、私が聞きたいんだけど…)

しずく(…正直に言う?)

しずく(それは多分私の事が好きなんですよって…?)

しずく(そんなことしたら私もせつ菜さんも恥ずかしい思いをするだけだし)

しずく(うーん…でもそれを言わないことには…)

せつ菜「あの…?」

しずく(…私が分からないって言って放り投げたら次は誰に相談するんだろう)

しずく(侑先輩か歩夢さん、かすみさんあたり…?)

せつ菜「しずくさん?」

しずく「……」

しずく(ううん、誰にっていうのは問題じゃない)

しずく(せつ菜さんが自分から好きな人を言いふらさないようにするには)

しずく(どのみちここで私が止めてあげないとダメなんだ)
 
5: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:14:39.90 ID:ZwHq13/d
せつ菜「……」

しずく(一番知られちゃいけないのは私なんだけど…)

しずく(……)

せつ菜「もう!しずくさん!」

しずく「えっ」ビクッ

せつ菜「無視するなんて酷いです!」

しずく「あ、すみません…少し考え事を…」

しずく(って、私が悪いの?せつ菜さんのせいで頭が混乱してるんだけど…)

せつ菜「今は私の話を聞いてほしいです!」

しずく(…まぁとりあえず…)

しずく「ごめんなさい。許してもらえませんか?」

せつ菜「…次はありませんからね!」ペカー

しずく(…この笑顔だけで全部許してもいい気になっちゃう)クスッ

せつ菜「?…何かおかしいですか?」

しずく「いえ、なんでも♪」
 
7: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:17:30.79 ID:ZwHq13/d
しずく(とはいえ正直どうしてあげたらいいか分からないし)

しずく(聞いてみるしかないかな)

しずく「せつ菜さん」

せつ菜「はい?」

しずく「私の事を考えちゃうって、何か心当たりないんですか?」

せつ菜「うーん…」

せつ菜「やっぱり好きだからかもしれません!」

しずく(!?)

しずく「え、あの、本当に…?///」

せつ菜「はい!大好きです!!」

しずく(どういうこと!?っていうかそれが答えだよ!?)

しずく「そ、そうなんですね…」

せつ菜「はい!」ニコニコ

しずく「わ、私のどこが好きなんですか…?」

しずく(…何聞いてるの私)
 
8: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:20:16.89 ID:ZwHq13/d
せつ菜「しずくさんはいつもお淑やかで可愛くて!」

せつ菜「演劇にもスクールアイドルにも一生懸命で!」

せつ菜「好きな事には熱くなる時もあって芯の強さが素敵だなって思うんです!」

せつ菜「だから大好きなんです!」

しずく「……///」

せつ菜「どうしました?」

しずく「いえ、なんでもありません///」

せつ菜「?」

しずく(…どうしてこんなに堂々としていられるの?)

しずく(もしかして、好きの種類が区別できてないってこと…?)

しずく「わ、私の事よく見てもらえてるんですね」

せつ菜「はい!ずっと見ていたいくらいです!」

しずく(もう、なんなの今日のせつ菜さんは///)
 
11: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:22:08.29 ID:ZwHq13/d
せつ菜「それにですね!」

せつ菜「歌もダンスも華憐で上品さがあって!」

せつ菜「実はお茶目な一面もあったりだとか!」

せつ菜「あとそれから…」

しずく(純粋な好意の暴力)

しずく(褒めごろしなんて初めてされるかも///)

せつ菜「……」

せつ菜「あの、まだあるんですけど聞いてくれますか?」

しずく(…聞くだけ、聞こう…)

しずく「…は、はい。お好きなだけ」

せつ菜「ありがとうございます!」
 
12: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:24:08.96 ID:ZwHq13/d
せつ菜「まず1つ目なんですけど」

せつ菜「しずくさんの髪って綺麗ですよね!」

せつ菜「その長い髪が靡くところとか、つい見惚れてしまいます!」

せつ菜「それで2つ目はですね!」

せつ菜「しずくさんの声って透き通っていて、いつまでも聞いていたくなります!」

せつ菜「私、しずくさんの歌声毎晩聞いてるんです!」

せつ菜「次、3つ目なんですけど」

せつ菜「しずくさんの瞳って本当に宝石みたいに輝いてて…」

しずく「ちょ、ちょっと待ってください///」カァァ

せつ菜「えっ、どうしたんですか?」

しずく「…やっぱり照れくさいので一旦止めてください…///」

せつ菜「あっ、ごめんなさい!」

せつ菜「私つい夢中になってしまって…」

しずく「いえ…///」

しずく(死んじゃう、やっぱり死んじゃう…///)
 
13: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:26:45.93 ID:ZwHq13/d
しずく(せつ菜さんは全然恥ずかしがる素振りもない、いつも通りだし)

しずく(これは結構な重症だ…このままだと私もせつ菜さんもいろいろと危ない)

せつ菜「すみません、言い出したら止まらなくなってしまって」

しずく「…謝らなくてもいいんですけど…」

せつ菜「…やっぱりこんな相談迷惑でしたか?」

しずく「そ、そんなことありませんよ。気持ちは嬉しいです」

しずく「でもその、それを聞かされて逆に私は何をしたらいいんでしょう…」

しずく(もう何を相談されてるのかよく分からなくなってきたけれど…)

せつ菜「私、しずくさんともっと仲良くしたいんです!」

しずく「へ…?」

せつ菜「しずくさんが他の方と楽しそうに話してるのを見ると羨ましくて」

せつ菜「かすみさんとか相手だと特に、しずくさんの素が垣間見えて」

せつ菜「私もそれくらいしずくさんと気兼ねなく話せる関係になりたいんです!」

しずく(なるほど…?)
 
14: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:29:49.90 ID:ZwHq13/d
しずく(いったん整理しよう)

しずく(せつ菜さんが本当に自覚が無いと仮定して…)

しずく(ううん、絶対ない。あったらこんなことにはならない)

しずく(それでまず、自分で言うのも何だけどやっぱり私の事好きなんだよね)

しずく(で、私が誰かと仲良くしてるのを見て嫉妬?みたいな気持ちを持って)

しずく(心がモヤモヤするからとりあえず私と接したいってことかな)


―――あなたの事が好きなので仲良くしましょう、なんて

―――普通なら言えないけど、せつ菜さんらしいと言えばらしいのかな…

―――これだけ好かれてるんだから悪い気はしない


しずく「ふふっ」

せつ菜「さっきからちょくちょく、私笑われてます…?」

しずく「気にしないで下さい。せつ菜さんはせつ菜さんだなって思っただけです」

せつ菜「言い方に含みを感じますね…」
 
15: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:31:24.35 ID:ZwHq13/d
しずく「そのままの意味ですよ?」

せつ菜「…意味は分かりませんが、なんとなく馬鹿にされてるのは伝わりました」ジトー

しずく「いえいえ、そんな」

せつ菜「むぅ…」

しずく(もしも…)

しずく(もしもせつ菜さんが自分の気持ちに気付いたらどうなるのかな)

しずく(それでこのやり取りを思い出したらどうなっちゃうのかな)

しずく(普通なら恥ずかしさでおかしくなりそうだけど)

しずく(ちょっと見てみたいな)

しずく(…私ばっかり照れさせられて悔しいし)チラッ

せつ菜「…?」
 
16: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:34:02.10 ID:ZwHq13/d
しずく(って、変な事考えちゃった)

しずく「…はぁ」

せつ菜「…しずくさん?」

しずく(おかしいな、こういうのって惚れたほうの負けなのに)

せつ菜「……あの…?」

しずく(どうして私のほうがこんなに心を乱されてるんだろう…)

しずく(せつ菜さんが特殊過ぎて私がおかしいみたい)

せつ菜「…また無視…」ムスッ

しずく(…それより、改めて仲良くって言われてもどうしたら…)

しずく(別に今までだって…)

せつ菜「…しずくさん!!」ガシッ

しずく「!?」
 
17: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:36:09.38 ID:ZwHq13/d
せつ菜「酷いです!」

しずく「へ…?あっ」

せつ菜「次は無いって言いましたよね!」

しずく「えっと…す、すみませ」

せつ菜「いいえ、許しません!」

しずく「う…」

せつ菜「なんで無視するんですか?」ムスッ

しずく「ちょっと、あの、考え事が気になって…」

せつ菜「…目の前の私と話すより…?」シュン

しずく「あ、ご、ごめんなさい。そういうつもりではないんです」

しずく(だって、まだ心の整理ができてなくて…)

しずく「一応せつ菜さんの事を考えてて…これからどうしようかなって」

しずく「仲良くって言っても、私たち今も仲は良いと思ってて…」

せつ菜「本当ですか…?」

しずく「せつ菜さんはそうではないんですか?」
 
18: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:38:57.76 ID:ZwHq13/d
せつ菜「…そんなことはないんですけど…」

しずく(でもさすがに無反応は良くなかったよね)

しずく「すみません。ちゃんと聞いてますから」

せつ菜「…呼んでも返事がありませんでした」

しずく「…それは本当にすみません…」

せつ菜「…」シュン

しずく(罪悪感がすごい)ズキッ

せつ菜「……今日はもう帰ります」

しずく「えっ…」

せつ菜「いえ、突拍子もないことを言ってるのは分かってるんです」

せつ菜「今更いきなり仲良くしてくださいって言われても困りますよね」

しずく「っ、待ってください。本当にそんなことはなくて…」

せつ菜「大丈夫です。お話聞いていただいてありがとうございました」

せつ菜「明日からまたよろしくお願いします」

しずく「ぁ…」

せつ菜「…私もがんばります」スッ

しずく「え…?」


バタン
 
19: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:41:07.29 ID:ZwHq13/d
しずく「行っちゃった…」

しずく(思ったより傷つけちゃったかな…)

しずく(そうだよね、普通に目の前の相手を放っておいて考え事なんて)

しずく(ましてや相談をされてるのに)

しずく(最初は元気よく好きって言われて気をよくしてたけど)

しずく(せつ菜さんだっていろいろ考えてるのに)

しずく(…私、自分の事しか考えてなかったな)

しずく(……)

しずく(…がんばりますっていうのはなんだったんだろう?)

しずく(分からない…私も帰ろ)

――――
―――
――
 
20: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:43:12.93 ID:ZwHq13/d
翌日・部室



ガチャ

しずく「こんにちh」

せつ菜「あ!しずくさん!」ガタッ

ダキッ

しずく「!?!?」

せつ菜「こんにちは!お疲れ様です!」ギュッ

しずく「え、え!?」

侑「こんにちはしずくちゃん」

歩夢「こんにちは」

愛「やっほー」フリフリ

せつ菜「さ、こっちに来てください!歩夢さんが焼いてくれたクッキーがありますよ!」

しずく(何、なに!?)
 
21: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:45:22.61 ID:ZwHq13/d
しずく「せ、せつ菜さんっ、あの、皆さんがいるのにいいんですか?///」ヒソヒソ

せつ菜「…?、何かまずいですか?」

しずく(…重症にもほどがある!)

しずく(きっと変な目で見られて…)チラッ

侑「うんうん、すごくおいしいんだから!しずくちゃんも是非食べてみて!」

愛「ホントにおいしいけどゆうゆが得意げなのはおかしいでしょ!お菓子だけに!」

侑「~~~っ、ぷふ、くっ」プルプル

歩夢「あはは…」

しずく「」

しずく(あれ…私がおかしいの…?)

しずく「あの、皆さん…?」

愛「ん?どうしたの?」

しずく「何とも思わないんですか?」

愛「んー?何が?」
 
22: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:47:34.78 ID:ZwHq13/d
しずく「あの、この状況というか…///」チラッ

せつ菜「?」ペカー

愛「うーん、別に?」

侑「ちょっとテンション高いかなぁとは思うけど」

歩夢「いつもこんな感じじゃないかな?」

しずく「えぇ…」


―――せつ菜さんって確かにこんな感じではあるけれど

―――昨日の事を考えたら…


しずく(ってそれは私しか知らないんだった)

しずく(むしろ事情を知ってる私だからおかしいって思うの?)

しずく(せつ菜さんに振り回されっぱなしだよ…)

せつ菜「さあ!遠慮しないでどんどん食べてくださいね!」ギュッ

しずく「ひゃっ///」

しずく(近い///…当の本人はこれだし、もう…///)パクッ

しずく「あ、美味しい…」モグモグ

せつ菜「ふふ♪」
 
23: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:49:14.25 ID:ZwHq13/d
せつ菜「たくさんあるのでいっぱい食べてくださいね!」

しずく「ありがとうございます。って作ったの歩夢さんですよね」

せつ菜「まぁそうなんですけど!」

愛「なんでみんな歩夢のクッキーなのに自分が誇らしげなの?」

侑「おいしいからね!」

歩夢「意味がわからないよ侑ちゃん」

せつ菜「分かります!」

侑「さすがせつ菜ちゃんだね…ふふふ」

せつ菜「ふふ、当然ですよ!」

歩夢「もう、せつ菜ちゃんまで…」

愛「あははは、変な会話ー」

しずく(ううん…なんだか一周回って普通な気がしてきたかも…)

せつ菜「しずくさん!はい、あーんしてください!」スッ

しずく(やっぱり普通じゃないっ!)

しずく「せつ菜さんっ、流石にこれはっ///」チラチラ
 
24: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:50:43.69 ID:ZwHq13/d
侑「あ、それいいね」

侑「ほら歩夢、あーん」

歩夢「ゆ、侑ちゃんってば…あーん」

しずく「!?」

歩夢「おいしい」モグモグ

侑「自分で作ったやつだけどね」

愛「ゆうゆってば野暮だね」

侑「冗談だよー」アハハ

しずく(私たちの事は気にも留めてない…)

しずく(どうしてなの…)

しずく「…あーん///」パクッ

しずく「…おいしいです///」モグモグ

せつ菜「えへへ!」ペカー

しずく(本当に嬉しそうに笑うんだから)クスッ
 
26: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:51:53.50 ID:ZwHq13/d
しずく「…これ本当においしいですね。毎日でも食べたいくらいです」

歩夢「ほんとう?うれしいな」

歩夢「良かったら作り方教えるよ?」

しずく「いいんですか?」

歩夢「もちろん」

しずく「今度私もクッキーにあうハーブティー持ってきますね」

歩夢「それは気になるかも。いいの?」

しずく「はい。お礼の気持ちも込めて♪」

歩夢・しずく「ふふっ」

せつ菜「……」ギュッ

しずく(!…せつ菜さん?)

せつ菜「……」

しずく(…これ、構って欲しいってことだよね?)

しずく(なんでこんなに分かりやすいのに皆気付かないの///)

しずく(…仕方ない、どうせ誰も気にしないんだし…)

しずく「せつ菜さん、あ、あーん///」

せつ菜「!…あーん」パク

せつ菜「…♪」モグモグ

しずく(…ちょっとかわいい…)
 
27: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:53:25.93 ID:ZwHq13/d
しずく(距離感近すぎてまだ慣れないけど)

しずく(昨日みたいな悲しい顔はさせたくないし)

しずく(これはこれでいいのかな…)


ガチャ

かすみ「こんにちはぁ!」

せつ菜「かすみさん!お疲れ様です!」ムギュ

しずく「か、かすみさん。こんにちは…」

かすみ「…ん?」

しずく(!…かすみさんは違和感に気付いて…?)

かすみ「せつ菜先輩はいつにも増して元気そうですねぇ」

せつ菜「今日はしずくさんから元気を貰ってるので!」

かすみ「しず子も大変だね」

せつ菜「どういう意味ですか!」

しずく「あはは…」

しずく(…もういいや、考えるのはやめよう…)




 
28: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:56:28.40 ID:ZwHq13/d
・・・・・・

せつ菜『今日の練習一緒にやりたいです!』

・・・・・・

しずく(って言われちゃったから一緒にやるんだけど)

せつ菜「…」ニコニコ

しずく「本当に私と一緒でいいんですか?」

せつ菜「はい、是非お願いします!」

しずく「そんな畏まらなくても」

せつ菜「というより、しずくさんに発声練習教わりたいです!」

しずく「それは構いませんけど…」

しずく「そういうことならボイストレーニング、ボーカルトレーニングにしましょうか」

せつ菜「分かりました!」

しずく(正直せつ菜さんには私の教えなんて必要なさそうなんだけど)

せつ菜「~♪」ワクワク

しずく(まぁ楽しそうだし良いかな…)
 
30: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 21:58:43.41 ID:ZwHq13/d





しずく「あ~~~♪」

せつ菜「あ~~~♪」

しずく「…うん」

しずく(完璧。教えるなんておこがましいくらい)

せつ菜「…?」

しずく「やっぱりせつ菜さんの声って素敵ですね」

せつ菜「え、そ、そうでしょうか///」

しずく「はい。昨日私の歌声を好きだっておっしゃいましたけど」

しずく「私もせつ菜さんの歌声はとても好きなんですよ」

しずく「すごくよく通る声なので、聴いていて心地がいいんです」

せつ菜「あ、ありがとうございます…///」

しずく(あれ…こういうのは照れるんだ…)

しずく(……)




 
31: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:00:36.53 ID:ZwHq13/d
しずく「今日はここまでにしましょう。喉は適度に休めないといけませんから」

せつ菜「はい。ありがとうございました!」

せつ菜「~♪」

しずく「随分と上機嫌ですね」

せつ菜「しずくさんと一緒ですからね」

しずく「そ、そうですか」

せつ菜「はい。練習もあっという間に終わってしまって少し残念です」

しずく「せつ菜さん…」

せつ菜「やっぱり私はしずくさんのことが好きみたいですね、えへへ…」

しずく「……」

しずく(どうしてこうも包み隠さずに言えるんだろう…私のほうが照れちゃうよ///)

せつ菜「どうしました?」キョトン

しずく「あ、いえ…ありがとうございます」ニコ


――――
―――
――
 
33: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:02:43.19 ID:ZwHq13/d
―――それからしばらく、せつ菜さんは私にべったりで

―――同好会のみんなで集まっている時は常にせつ菜さんが隣に居て

―――それを気にも留めない皆さんも相まって

―――せつ菜さんの大好きを一身に受け続けた

―――誰かにここまで分かりやすく好かれるなんて経験はなく

―――その無自覚な猛アタックに私はたじろぎながらも

―――嫌な気持ちは全然なくて、むしろ嬉しくて

―――もう傍にが居るのが当たり前すぎて、居ないと寂しく感じるくらいに

―――ひょっとしたら、だけど

―――私もせつ菜さんに惹かれているのかなと思い始めていた…
 
34: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:04:25.74 ID:ZwHq13/d
数日後・週明け


せつ菜「明後日までは演劇部ですか…」

しずく「はい…どうしても…」

せつ菜「…そうですか…」

しずく「すみません…」

せつ菜「い、いえ、何も謝るようなことはありませんよ!」

せつ菜「むしろ、私のほうこそ気を遣わせてしまってすみません」

しずく「でも…」

せつ菜「演劇だってしずくさんには大事なのは分かってますから!」

しずく「…あ、あの、その次の日は同好会のほうに行きますので!」

せつ菜「…ありがとうございます」

せつ菜「でも、流石にしずくさんのやりたいことを優先してくださいね?」

しずく「…はいっ」
 
35: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:06:24.45 ID:ZwHq13/d
二日後・演劇部



部員A「―――、―――!」

部員B「……。~~~?」

演劇部部長「……」



しずく(なんだか、静かだな)

しずく(部員の皆さんの声も、他の部の方の掛け声もたくさん聞こえるのに)

しずく(せつ菜さん1人隣に居ないだけで全然違う気がする)

しずく(……)

しずく(せつ菜さん、元気かな…明日には会えるんだけど)

しずく(…ん?あれは…)チラッ


彼方「―――」

果林「……♪」

エマ「~~~~!」

侑「…っ…!」


しずく(同好会の皆さんだ…)

しずく(また鬼ごっこやってるのかな)

しずく(ふふ、侑先輩またすぐ捕まってる)
 
36: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:09:50.05 ID:ZwHq13/d
かすみ「―――。―――!」

せつ菜「…!…♪」

しずく(あ…)


―――なんだ、私が居なくても楽しそうじゃん…


しずく(あれ…?いや、元気でいてくれるなら別にいいんだけど…)


せつ菜「…!!」チラッ

せつ菜「♪」ブンブン


しずく(!?)

しずく(…あ、え、私?)キョロキョロ

演劇部部長(…?しずく?)チラッ

しずく(……///)フリフリ


せつ菜「♪」ペカー


演劇部部長(何して…、あぁ…へぇ)ニヤ
 
37: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:11:49.66 ID:ZwHq13/d
演劇部部長「しずく」ポン

しずく「ひっ、ぶ、部長…なんですか?」ドキッ

演劇部部長「いや、部活中になにボーっとしてるのかと思えば」

しずく「あ、すみませ」

演劇部部長「彼女といちゃついてるんだもの」

しずく「は!?///」

演劇部部長「そういうのは終わってからにしてくれる?」

しずく「ち、ちがいますよ!何言ってるんですか!///」

演劇部部長「あんなデレデレした顔で?」

しずく「そんな顔してません!!///」

演劇部部長「あれだけいる中であなたと彼女だけ二人で手を振り合ってて?」

しずく「だ、だから違うとっ///…っ…ごほっごほっ!」

演劇部部長「…大丈夫?」

しずく「部長が変な事いうかr…げほっ」

演劇部部長「分かった、ごめんごめん。ちょっと落ち着いて」

しずく「はぁ…はぁ…///」
 
38: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:14:47.81 ID:ZwHq13/d
演劇部部長「喉痛めたら大変だよ」

しずく「誰のせいですか…」

演劇部部長「ほら、お詫びにのど飴あるから。食べる?」

しずく「…いただきます」

しずく「あーん」

演劇部部長「…えっ」

しずく「……?……あっ!?」

演劇部部長「…なにしてるの?」

しずく「ち、違いますこれは!い、いつもの癖…で…あっ」

演劇部部長「へぇ…ふーん?」ニヤニヤ

しずく(ってそうじゃない!!)

演劇部部長「いつもの癖ねぇ。いつもそうやって彼女に食べさせてもらってると」

しずく「違います!本当に違います!!///」

演劇部部長「あー、んん゙…」

演劇部部長(せつ菜声真似)『しずくさん…私のアメが食べられないんですか?』

演劇部部長(しずく声真似)『い、いけません…こんなところで…///』

演劇部部長「みたいなね」

しずく「そんな変なことしません!!普通にです!!///」

演劇部部長「普通にはするんだ」

しずく「~~~っ!///」
 
39: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:16:50.50 ID:ZwHq13/d
演劇部部長「あははは」

しずく「部長!!///」

部員A「どうしたんですか?」

演劇部部長「いやね、しずくが彼女にあーんをしてもらってるんだって」

部員B「え、桜坂さん彼女いるの!?」

部員C「く、くわしく!」

しずく「違いますってば!もう!!///」

演劇部部長「あはは、ごめん、嘘嘘。ちょっとからかってただけ」

部員A「なーんだ」

部員B「でも、そういう話ならいつでも聞くからね!」

しずく「あ、ありえませんから…」

演劇部部長「…はい、のど飴」ポン

しずく「あ、ありがとうございます」

演劇部部長「痛めただけならいいけど、この時期だしいろいろ気を付けなよ」

しずく「はい」


――――
―――
――
 
40: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:18:46.21 ID:ZwHq13/d
翌日・しずく自室


チュンチュン


しずく「…ん…」

しずく(朝……)ムクッ

しずく「……」

しずく「……っ」クラッ

しずく(……あれ?)ハァ、ハァ

しずく(…寝起きだから、って感じじゃない…)


―――頭も体も重い

―――喉もまだ痛く息苦しい

―――もしかして風邪…?


しずく(ん……気のせいじゃなさそう…)

しずく(熱計らないと…)モソモソ スルッ




 
41: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:20:27.16 ID:ZwHq13/d
―――思いのほか熱は高く起き上がるのも怠く

―――学校は休むことにした


しずく母「それじゃ、何かあったらすぐ言ってね」

しずく「うん」

しずく母「とりあえず薬飲んで寝なさい」

しずく「うん…ありがとう」


バタン


しずく(はぁ…なんだか起きた時よりキツい…)

しずく(とにかく寝よう…)クラクラ

しずく(…あ…そういえば…)

しずく(今日…せつ菜さん…)ウツラウツラ

しずく(はぁ…っ)

しずく(…がっかり、するかな……)

しずく(…すー……)

しずく(……)


――――
―――
――
 
42: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:22:10.83 ID:ZwHq13/d
―――夢を見た気がする

―――夢というには現実味が強い

―――場所は部室

―――俯瞰視点で皆さんを見てる私と

―――私が学校を休んだことを知り

―――元気をなくすせつ菜さん

―――ごめんなさい

―――約束破ってしまいました

―――でも、ただの風邪だと思いますから

―――そんな顔をしないで

―――治ったら、また一緒に…
 
43: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:23:46.86 ID:ZwHq13/d
――
―――
――――


しずく「……」パチッ

しずく「…んん…」

しずく「……ふわぁ~…」

しずく(…今何時…ん…?)

せつ菜「あ、おはようございます」ニコ

しずく「…」ポカーン

しずく「え、…ん…?」

せつ菜「しずくさんのお母さんに頼んで上がらせてもらいました」

しずく「あ…そう…なんですね?」

せつ菜「はい」

しずく「…え!?なんでせつ菜さんが!?」ガバッ

せつ菜「いえ、だから…!?、し、しずくさん、服、服!///」フイッ

しずく「!?!?、きゃぁ!///」バッ
 
44: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:25:12.04 ID:ZwHq13/d
・・・・・・

しずく(熱計らないと…)モソモソ スルッ

・・・・・・

しずく(あ、あの時上着をはだけたままだったっ///)イソイソ

せつ菜「…///」

しずく「…もう大丈夫です///」

せつ菜「…///」クルッ

しずく「すみません、お見苦しいものを…」

せつ菜「いえ…その、綺麗でした…」

しずく「~~~っ!///」

せつ菜「あ、ち、違います!…変な意味ではなくて…」アセアセ

しずく「…え ち///」

せつ菜「うぐ…」




 
45: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:27:04.39 ID:ZwHq13/d
しずく「それで、私の事が心配でわざわざ…?」

せつ菜「それももちろんありますけど」

しずく「けど…?」

せつ菜「…今日はしずくさんと一緒に居られると思っていたので」

せつ菜「会えないと分かってるより、急に会えなくなる方がショックというか…」

せつ菜「…いつもより倍、会いたくなってしまいました…」

せつ菜「…体調崩してるのに押しかけてしまってすみません」

しずく「……いいんですよ」

しずく「私も今日は寝たきりで、ちょうど人恋しい気分でした」

しずく「会いに来てもらえて嬉しいです」ニコッ

せつ菜「…っ///」

しずく(…やっぱり、攻められると照れる…)
 
46: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:30:48.73 ID:ZwHq13/d
せつ菜「それより調子はどうですか?」

しずく「ん…」


―――軽く額に手を当てて

―――熱はなさそう。体調も朝よりずっと良い


しずく「大丈夫そうです」

しずく「薬飲んでずっと寝ていたのでかなり楽になりました」

せつ菜「ほっ…よかったです…」

せつ菜「あ、食欲はありますか?」

せつ菜「しずくさんのお母さんからリンゴを預かってますけど」

しずく「そういうことならいただきます」

せつ菜「分かりました!」サクッ

せつ菜「…あーん」スッ

しずく(っ、昨日を思い出す…///)

しずく「し、自分で食べますよ?」

せつ菜「……」ニコニコ

しずく「…あむ」パク

しずく(まぁ聞いてくれないのは分かってたけど…///)シャリシャリ
 
47: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:35:54.82 ID:ZwHq13/d
しずく(…そうだ)

しずく「せつ菜さんもいかがですか?」

せつ菜「え、いえ、これはしずくさんのためのものなので」

しずく「私もそこまでお腹すいてはないんです」

しずく「お見舞いに来ていただいたお礼と思って、是非」

せつ菜「そんな大層なものではありませんが…」

せつ菜「それなら、断り過ぎても失礼ですね…いただきます」

サクッ

しずく「はい、あーん?」スッ

せつ菜「…わ、私はいいですよ」

しずく「…それ、通ると思います?」ニッコリ

せつ菜「…っ…で、ですよね」

しずく(…クッキーはあーんしてくれたのにリンゴは拒否)

しずく(…分かりますよ?気になりますよね)

せつ菜「…あーん」シャリッ

しずく「…間接キス」ボソッ

せつ菜「~~~っ!んぐっ、けほっ」

しずく「…あはは♪」
 
48: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:38:55.57 ID:ZwHq13/d
せつ菜「し、しずくさんっ///」

しずく「ふふ、すみません♪照れてるせつ菜さんしおらしくて可愛いですよ」

せつ菜「……急に何言ってるんですか///」

しずく(なんとなくわかってきた)


―――せつ菜さんは攻める時はあんなに無自覚なのに

―――攻められると結構弱い


しずく「あはは…んっ…けほっ」

せつ菜「あぁ、ほら…しずくさんは一応病人なんですから大人しく…」

しずく「ならせっかくなのでこの風邪も貰ってください♪」

せつ菜「もう、シャレになりませんよ?」

しずく「ふふっ、私も責任持ってお見舞いに行きますから許してください」

せつ菜「……」

しずく「なんちゃっt」

せつ菜「…いいんですか?」

しずく「―――え?」
 
49: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:41:27.87 ID:ZwHq13/d
せつ菜「そういうことなら、遠慮なく貰っていきますけど」

しずく「…え…せ、せつ菜…さん…?」ドキッ

せつ菜「…いいんですよね…しずくさん…」

しずく(…何、急に…雰囲気が…)ドキドキ

せつ菜「本当はこんなことするために来たわけじゃないんですけど」

せつ菜「ごめんなさい…ちょっと我慢できる気がしません」

せつ菜「……」スッ

しずく「…ぁ」ギュッ

せつ菜「…ん」

しずく「―――」


―――ゆっくりと唇同士が触れる

―――私、せつ菜さんとキス、してるの…?

―――あぁ、せつ菜さんは私の事を好きなんだっけ

―――あれ、でもそれは自覚がないはずで…

―――追いつかない思考の中、口内に舌を入れられる

―――そこでようやく、今されていることの意味を理解した
 
50: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:43:18.18 ID:ZwHq13/d
しずく「んっ、だ、だめっ!」グイッ

せつ菜「…っ!」グラッ

しずく「はぁ、はぁ…」

せつ菜「ぇ…ぁ…」

しずく「…せつ菜…さん…?」

せつ菜「…ぃゃ…ちが…」フルフル


―――咄嗟に肩を押し返し、距離を取る

―――固く閉じていた目を開けて見えたせつ菜さんの顔は

―――今まで見たこともないような

―――せつ菜さんの普段のイメージからは最もかけ離れた


せつ菜「……っ!」ダッ

しずく「あ、待っ…」

ガチャ

バタン!

しずく「……」


―――恐怖に怯える顔をしていた

――――
―――
――
 
51: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:45:52.58 ID:ZwHq13/d
せつ菜自室


コンコン

せつ菜母「菜々?起きてる?」

菜々「うん…」

ガチャ

せつ菜母「…食欲はある?」

菜々「…ない」

せつ菜母「…本当に大丈夫なの?」

菜々「うん…ごめんなさい」

菜々「でも休むのは今日だけだと思うから…」

せつ菜母「…学校の事を言ってるんじゃないの」

せつ菜母「体調が悪いというのは嘘でしょ?」

菜々「……」

せつ菜母「これでもあなたをずっと見てきてるのよ」

菜々「……」
 
52: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:47:31.85 ID:ZwHq13/d
せつ菜母「何か行きたくない理由があるなら無理して行けとは言わない」

せつ菜母「でも親として、家族としてできることはしてあげたいの」

菜々「ありがとう…でも本当に大丈夫だよ」

せつ菜母「菜々…」


ピンポーン


せつ菜母「…また後で来るわね」


バタン

菜々「……」

菜々(…私は卑怯者だ)

菜々(病み上がりで心身共に疲労しているしずくさんに付け込んで)

菜々(赤い顔に着崩れた服、それと私をからかって笑うしずくさんを見て)

菜々(私の理性は簡単に壊れ、唇を一方的に奪って)

菜々(そのくせ拒絶の言葉を聞くのが怖くて)

菜々(こうして逃げている)
 
53: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:49:28.27 ID:ZwHq13/d
菜々(どの口が大丈夫だなんて言ってるんだろう)

菜々(正直このままずっと休んでいたい)

菜々(私は弱い…)

菜々(優木せつ菜は本当に情けない…)

菜々(っ、悲劇のヒロインぶるな!悪いのは私だ…!)

菜々(……)

菜々(……私、なのにな…)ジワッ

菜々(この期に及んで、私はまだしずくさんのことを…)


コンコン

菜々「…お母さん?」

ガチャ


菜々「…!?」ガバッ


―――突然、予想外の人物を見て咄嗟に布団を頭から被る

―――今ここに一番来て欲しくなくて

―――本当は一番会いたい人
 
54: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:51:15.77 ID:ZwHq13/d
しずく「調子はいかがですか、菜々さん」

菜々「…なんで…」

菜々(どうしてここにしずくさんが…)

しずく「私もお母様に頼んで上がらせていただきました」

菜々「…そうですか」

菜々(違う…何普通に答えてるの?まず謝るのが先なのに…!)

しずく「本当に私の風邪がうつっちゃったんでしょうか」

菜々「…しずくさんのほうはもういいんですか?」

しずく「はい。昨日菜々さんが来てくれた時には熱も引いてたので」

菜々「…よかったです」

菜々「それよりまたうつりますから、近づかないほうがいいですよ」

菜々(…また、こんな言い方して…)

しずく「…本当にただの風邪ならそうさせてもらいますけど」

しずく「その風邪は、私が帰った後一人で治せるんですか?」

菜々「…っ」
 
55: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:52:31.75 ID:ZwHq13/d
しずく「無理ですよね?」

菜々「……」

しずく「…はぁ」

しずく「とりあえずお顔を見せてもらえませんか?」

しずく「このまま顔も合わせずにお話なんて寂しいです」

菜々「…無理ですよ」

菜々「合わせる顔がないんですから…」

しずく「そんなことだろうと思ったので会いに来ちゃいました」

菜々「……」

菜々(声色からしずくさんの心情は読み取れませんが)

菜々(きっと呆れた顔をしてるんでしょうか)

菜々(もう愛想をつかしててもおかしくないですよね…)

しずく「…」モソモソ

菜々「…?」

しずく「もう少し寄ってください。入れません」

菜々「!?」
 
56: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:54:09.93 ID:ZwHq13/d
菜々「な、な、なにしてるんですか!?」

しずく「寒いので私も入れてください」イソイソ

菜々「い、いや!だめですよ!///」

しずく「知りませんっ」グイッ

ギュッ

しずく「はぁ、暖かい…菜々さんのぬくもりを感じますね」

菜々「あ、う…///」

菜々(何が起きてるんでしょうか…///)ドキ、ドキ

菜々「ど、どうしてこんなこと…」

しずく「菜々さんの風邪を治しに来たんです」

しずく「看病するって約束しましたよね?」

菜々「…私のこと、怒ってないんですか…?」

しずく「…これが答えですよ」

しずく「怒ってる人間がする行動に見えますか?」

菜々「……」
 
57: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:56:20.17 ID:ZwHq13/d
菜々「ごめん、なさい…」

しずく「欲を言えばそれを最初に聞きたかったですね」ニコ

菜々「……」

しずく「すみません、冗談ですよ。本当に怒ってませんから」ナデナデ

菜々(…本当の本当に、情けない)

菜々「しずくさんのことが、好きで…好き過ぎて」

菜々「私は馬鹿になってたみたいです…本当にすみませんでした…」

しずく「…本当は最初から自覚あったんですね」

しずく「私の事、特別な意味で好きだって」

菜々「…多分焦ってたんです」

菜々「私は歩夢さんのようにお菓子作りやお茶の話はできませんし」

菜々「かすみさんや璃奈さんのように親しく接する方法が分かりません」

菜々「ましてや恋愛の駆け引きなんて、もっと分かりません」

しずく「……」
 
58: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:58:02.69 ID:ZwHq13/d
菜々「でも時間は有限なんです。それだけは分かります」

菜々「私としずくさんは学年も違うし学科も違います」

菜々「唯一一緒に居られる部活も、しずくさんは掛け持ちなので毎日でもありません」

菜々「その貴重な時間を、一分一秒でも無駄にしたくなかったんです」

菜々「…それで、今すぐしずくさんに近づくにはどうしたらいいか」

菜々「思いついたのが、同好会の皆さんに話を合わせていただくことでした」

しずく「…やっと納得がいきました」

しずく「だから誰も菜々さんの様子に疑問を持たなかったんですね」

菜々「はい」

しずく(…私は、せつ菜さんの大好きを侮っていたかもしれない)

しずく(私の気も知らずに、って思ったこともあるけれどそんなことはなくて)

しずく(ずっと真剣で、自分の気持ちを皆さんに話して…そこまでして…)

菜々「あとは天然のフリをして、何も知らないフリをして、私らしい私を演じて」

菜々「しずくさんの優しさを利用して近づきました」

菜々「そうすればきっと何も言わずに…言えずに、私と接してくれると」
 
59: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 22:59:49.69 ID:ZwHq13/d
しずく「あれが全部計算ずくだったんですか」

菜々「……」

しずく「…よく、できますね。あんな積極的に…」

菜々「素直に伝える勇気がなくて、逃げていただけですよ…」

しずく「ある意味直球ではありましたけど…」

菜々「……」

菜々「でもやっぱり我慢はできませんでした…」

菜々「しずくさん…好きです。大好きなんです…」

菜々「私のこの想い…大好きをどうか、受け取ってもらえませんか?」


―――せつ菜さんが自分の気持ちを自覚したらどうなる?という疑問

―――答えは、せつ菜さんがどうこうではなく


しずく(私が返事をしないといけなくなる)
 
60: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:01:39.00 ID:ZwHq13/d
菜々「……」フルフル

しずく「返事、今でも大丈夫ですか?」

菜々「…正直、怖いですが…お願いします」

しずく「最初はあんなに臆することなく気持ちを伝えてくれたのに…」

菜々「…状況が違いますよ…」

しずく「まぁそうですね…」

しずく「では…私からの答えですが」

菜々「……!」ギュッ


菜々(お願い…どうか…)

―――聞きたいけど聞きたくない

―――永遠に感じる一瞬の間をおいてしずくさんが口を開く
 
61: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:03:13.44 ID:ZwHq13/d
しずく「…できれば受け取りたいんですけど」

しずく「もう受け取れません」

菜々「―――っ」

菜々「あ、そ、そうですよね…」ポロッ

しずく「……」


―――なんだかよく分からない言い方をされたけれど

―――多分、もう私に失望してしまったんだろう

―――どこか私は期待してたかもしれない

―――昨日の暴挙を許してもらえて

―――もしかしたらしずくさんも…なんて

―――しずくさんはただ、同好会の仲間として私を気遣いに来ただけで

―――許してもらえただけでも十分のはずなのに

―――何か、言わないと


菜々「…お、お返事、ありがとう、ございま…っ」グスッ

菜々「あっ…じゃなくて…あの、ひっく…」

菜々「こういうとき、何て言うんでしたっけ…えへ、えへへ…」ポロポロ
 
62: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:06:38.99 ID:ZwHq13/d
しずく「ふふっ…ごめんなさい。違いますよ」ナデリ

菜々「ぇ…?」グスッ

しずく「これ以上は受け取れませんという意味です」

菜々「…えっと…?」

しずく「今更過ぎます。私がどれほど菜々さんから…ううん」

しずく「せつ菜さんから大好きを受け取っていると思ってるんですか」

菜々「…よく、分かりません…」

しずく「これ以上貰ってしまったら、私の大好きをお返ししきれないじゃないですか」ニコ

菜々「…そ、それって…」

しずく「こんなことしている私が断るなんてないと思いませんか?」ギュッ

菜々「…それは…でも…」

しずく「本当は今日、せつ菜さんが居なくて私も寂しかったんです」

しずく「せつ菜さんが傍にいてくれないとなんだか物足りなくなってしまいました」

しずく「だからこうして会いに来たんですよ」

しずく「責任もって、これからも一緒に居てもらわないと困ります」

菜々「…ぁ…わ、わたし…っ」グスッ

しずく「……」ナデナデ

菜々「…っ…」ポロポロ




 
63: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:08:29.52 ID:ZwHq13/d
菜々「…あんな紛らわしい言い方、良くないと思います…」

菜々「私本気でショックでした…」

しずく「あはは…それはまぁ、細やかな仕返しということで…」

菜々(それを言われたら何も言えません…)

しずく「まぁでも…」

しずく「せつ菜さんに本気で迫られて平気な人なんて普通居ませんよ?」

しずく「私が保証します。もっと自信持ってください」

菜々「…私にとってしずくさんは普通の人ではありません」

しずく「…普通の人なら簡単に落とせるってことですか?」

菜々「な、し、しずくさんがそう言ったんですよ!///」

しずく「ふふふっ。やっぱりせつ菜さん照れさせるの楽しいです」ナデナデ

菜々「…もう…///」

菜々(主導権も握られて、私をからかう喜びを覚えてしまったしずくさん)

菜々(平気で頭まで撫でられて、完全に頭が上がらなくなってしまいました…)

菜々(でも…それでもかまいません)

菜々(これからもしずくさんの隣に居られるなら…)
 
64: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:10:26.04 ID:ZwHq13/d
菜々「…ところで、いつまでこうしてるんですか…?」

しずく「せつ菜さんが泣き止むまでです」ギュッ

菜々「…もう泣き止みました」

しずく「なら、私が満足するまでにします」

菜々「……な、なんでもありじゃないですか///」

菜々(…冷静になったらこの状況、ちょっと…///)ドキドキ

菜々「流石にくっつき過ぎですっ///」

しずく「自分からくっ付くのは良くて、私からは嫌なんですか?」

菜々(言い返せない…でも…)

菜々「か、勘弁してください…このままでは…」

菜々「またしずくさんに何かしてしまうかもしれませんから…」

しずく「…?、してもいいんですよ」

菜々「なっ…///」
 
65: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:12:34.46 ID:ZwHq13/d
しずく「せっかく両想いなんですから、したいこと、なんでもしてください」

菜々「…そ、そんな、良くないですよ…」

菜々「これ以上しずくさんに酷いことしたくありません…」

しずく「…私が良いって言ってるのに?」

菜々「……でも…」

しずく「もう、じれったいです。嫌なら私からしますからね」スルッ

スリ…

菜々「ひゃ!?///」ビクッ

しずく「…せつ菜さん」

菜々「ちょっ……しずくさっ……んっ……!」チュ

しずく「ちゅ…ん…ふふ」

菜々「~っ!///」

しずく「…本当に、攻められてるときは可愛いですね」スリスリ

菜々「や、やめっ…!///」

しずく「せつ菜さんの弱いところ、教えてください」ボソッ

菜々「っ…耳元で喋らないでください…っ///」ゾクゾク

しずく「早速一つ見つけちゃいました♪」クスクス

菜々「ぅ…///」
 
66: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:15:13.44 ID:ZwHq13/d
しずく「顔真っ赤ですね」

菜々「……誰のせいですか…」

しずく「私のせいだったら嬉しいです」

菜々「……」プイ

しずく「ふふ、そんなに拗ねないで下さい」ナデナデ

菜々「子供扱いしないでくださいっ!///」

しずく「大丈夫です、ちゃんと恋人として扱ってますよ」

菜々「なんなんですか、もうっ///」

しずく「初めてせつ菜さんが相談しに来た時の私の気持ち、分かってもらおうかと」

しずく「気分はいかがですか?」ニコ

菜々「…し、知りませんっ///」

しずく「ふふふ」ナデリ

菜々「ぁ…もういいです…好きにしてください……///」
 
67: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:16:39.55 ID:ZwHq13/d
しずく「では、お言葉に甘えて…」

スリ、スリ

菜々「ぁ…///」


―――しずくさんの細い手が私の足の付け根に差し込まれ

―――割れ目をゆっくりと、焦らすように撫でる


菜々「んっ♡…っ…」ピクッ

しずく「…気持ちいいですか?」シュル、シュル

菜々「あ♡、そんなこと、聞かないでくださいっ…///」

しずく「そうですね…すみません、こちらに聞くべきでした」

菜々「!?、ま、待っ…///」

しずく「えい♪」グニュッ

菜々「あんっ♡」ビクッ

しずく「…ごちそうさまです♪」

菜々「…っ///」
 
68: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:18:55.30 ID:ZwHq13/d
しずく「せつ菜さんも、最初みたいにもっと素直になって良いんですよ?」クチュ

菜々「…わ、私は別に……あっ♡」

しずく「ほら、こことかどうですか?」クリクリ

菜々「だ、だめですっ……そこぉ…♡」

しずく「ふふ、せつ菜さん、腰浮いてきましたね」

菜々「ぇ…あっ…///」

しずく「無意識だったんですか?…、え ちです、ねっ♡」ツプ…

菜々「あぁ♡、やっ、だめですっ♡」ビク

しずく「せつ菜さんの気持ちいいところ、たくさん見つけてあげますから♡」ヌププ

菜々「や、やめてくださっ…!あぁ!♡///」

しずく「悪いようにはしませんよ。私に任せてください♡」ニュプ、ニュプ

菜々「や、んっ♡、あっ♡あ♡」

しずく「…可愛い」チュ

菜々「んむっ♡、ちゅ…ぷぁ…♡」

しずく「せつ菜さん、キス好きですよね?」ヌプ、ヌプ

菜々「そ、そんな事なっ……んっ♡」

しずく「本当ですか?ならこれは何でしょうね」クイッ

菜々「ひゃうっ♡」ビクン
 
69: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:20:48.53 ID:ZwHq13/d
しずく「キスしてるときだけすごく締め付けられますけど♡」

菜々「や、やです…言わないで///」フルフル

しずく「どうしてですか?キスして気持ちよくなっちゃうなんて、可愛いですよ♡」

菜々「ぅぅ…///」

しずく「あとは…この奥のほうも好きですよね?」ジュプッ

菜々「ああぁっ♡」ガクガク

しずく「あとは、この辺りも…」グニッ

菜々「~~~っ♡」ビクビク

しずく「かなり敏感になってきましたね」ズプ、ズプ

菜々「やっ♡、あっ♡、あ♡」

しずく「ふふ、もうイキそうなんですか?ヒクヒクしてますよ」

菜々「やっ♡、言わないでっ……くださいぃ♡」

しずく「いいですよ、イッても」ボソッ

菜々「ぁっ♡」ビクッ

菜々「い、嫌ですっ♡恥ずかしいところ、みられ…っ♡」フルフル
 
70: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:22:40.02 ID:ZwHq13/d
コンコン

「菜々?入るわよ?」


しずく・菜々「!?!?」

シュバッ


ガチャ

菜々「…っ///」バク、バク

しずく(っ……はぁ、はぁ)ドキドキ

せつ菜母「…あれ、お友達は?」

菜々「はぁ、…っ、あ、と、といれ、かな?」


―――咄嗟にしずくさんを布団に隠す

―――今この状況は流石に言い訳できない


せつ菜母「…?そう」

菜々「そ、それよりどうしたの?」

せつ菜母「あなた朝から何も食べてないでしょ?」

せつ菜母「だから、おかゆ作ってきたの。流石に何か食べないと…」

菜々「あ、ありが…ひぅん♡」

せつ菜母「!?」

しずく(……♡)
 
71: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:24:35.61 ID:ZwHq13/d
せつ菜母「な、菜々…?どうしたの?変な声だして」

菜々(~~~っ、しずくさん!何してるんですか!)

しずく(えへ♡)

せつ菜母「…大丈夫?」

菜々「な、なんでもないよ、しゃっくりかな///」

せつ菜母「そ、そう…」

グチュッ

菜々「んあっ♡」

せつ菜母「!?!?」

菜々(しずくさん!!!///)

しずく(……♡)ゾクゾク

せつ菜母「…菜々…?」

菜々「あの、ほんとに、なんでも…あぁっ♡」

せつ菜母「」

菜々(~~~~っ!///)
 
72: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:26:18.92 ID:ZwHq13/d
せつ菜母(唐突な色っぽい声)

せつ菜母(上気して汗ばんだ顔)

せつ菜母(もぞもぞと動く布団)

せつ菜母「…あっ(察し)」

菜々「あ、あのね、お母さん、なんでもないからね!?」アセアセ

せつ菜母「い、いいのよ、あなたが元気そうでよかったわ…」

せつ菜母「でもその、そういうのは一人の時に…ね?」

菜々「!?、ち、ちがうよ!?お母さん!?」

せつ菜母「大丈夫、大丈夫だから…菜々も年頃の女の子だものね」

しずく(ちゅぷ…んっ…♡)

菜々「お、おかあさ…あんっ♡」

菜々(ほとんどイく寸前だったから、もう、…だめっ///)

せつ菜母「お、お邪魔よね、あ、おかゆここに置いていくわね…」ススッ

菜々「ま、待っ…あっ♡、――――っ♡♡」ビクンビクン

せつ菜母「っ///、ごめんなさいっ」

バタン


菜々「」
 
73: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:28:46.83 ID:ZwHq13/d
しずく「…いっちゃいましたね」モソモソ

菜々「しずくさん!!何考えてるんですか!?」

しずく「今はせつ菜さんの事しか考えられません♪」ギュ

菜々「っ、そんなこと聞いてません!!///」

菜々「こういう言い方はしたくありませんが、もしかして馬鹿なんですか!?」

しずく「せつ菜さんが好き過ぎて馬鹿になっちゃったかもしれません」

しずく「私たち、一緒ですね♡」

菜々「…っ///」

菜々「馬鹿です!ほんとバカです!ありえません、このばか!」

しずく「ふうん…そんな言い方しちゃうんですね」クチュ

菜々「あっ♡」

しずく「…せつ菜さんの弱いところはもう分かっちゃいましたけど」ジュプッ

菜々「っ…♡」

しずく「いいんですか?そんな口の利き方で」グチュッ

菜々「し、しずくさんがっ、んっ、悪いんですからっ♡」ピクン

しずく「ふーん…♡」




 
74: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:32:14.94 ID:ZwHq13/d
しずく「ほら、ここ、好きですよね?」グチュグチュ

菜々「あぁ♡やだ、やだ!♡」

しずく「やだ、じゃわかりませんよ?」ニュプ

菜々「やめてっ、そこ、だめですっ♡」

しずく「仕方ありませんね」

しずく「こっちにしてあげます」クニッ

菜々「そ、それもっ…やぁ!♡」

しずく「もう、わがままですね」ヌプヌプ

菜々「ひ、ごめんなさっ♡許してくださ…っ」ビクッ

しずく「だめです♡」

しずく「まだまだ、せつ菜さんに貰った大好きはこんなものじゃありませんよ?」

菜々「そ、そんなっ♡」ゾクゾク

しずく「…ふふ、いい顔ですよ」チュ

菜々「…///」


―――だから、これからもずっと隣に居てもらいますからね?

―――せつ菜さん♡



おわり
 
75: (えびふりゃー) 2021/12/15(水) 23:33:24.65 ID:ZwHq13/d
読んでくれた皆様ありがとうございました
 

引用元: https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1639570258/

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